説明

塩基性染料と酸性染料による交互2段階式染毛料およびその染毛方法

【課題】人毛などのケラチン繊維に対し、染毛力が良好であるとともに、色変化が少なく、耐シャンプー・トリートメント性に優れた交互2段階式染毛料およびこれを用いた交互2段階式染毛法を提供する。
【解決手段】 塩基性染料を含有し、pH5〜8に調整された染毛用の第1剤と、酸性染料を含有し、pH2〜4に調整された染毛用の第2剤からなる染毛料であって、前記第1剤と前記第2剤のいずれかが先染めに使用され、残りの一方が後染めに使用されることを特徴とする交互2段階式染毛料およびその染毛方法である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人毛などのケラチン繊維に対し、染毛力が良好であるとともに、色変化が少なく、耐シャンプー・トリートメント性に優れた交互2段階式染毛料およびこれを用いた交互2段階式染毛方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来、塩基性染料または酸性染料を用いた半永久染毛料は、酸化染料を用いた酸化染毛剤と比較して毛髪の損傷が少なく、また安全性や簡便性に優れている。この塩基性および酸性染毛料には、塩基性染料または酸性染料、芳香族アルコール等の有機溶剤、pH調整剤の酸またはアルカリ、および使用時の垂れ落ちを防ぐ増粘剤が配合されている。ほとんどは染料として塩基性染料または酸性染料が使用された1段階式染毛方法であるが、しかし、第1段階において直接染料で染毛し、第2段階において染料前駆物質に過酸化水素などの酸化剤を用いる酸化染料、いわゆる永久的染毛剤による染毛法が記載されている(特許文献1参照)。しかし酸化染料を使用するこの方法では、酸化剤の使用を避けることができず、皮膚に対する刺激性の緩和は不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−508418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の単独で塩基性染料または酸性染料を用いた1段階式染毛方法では、本発明の2段階式染毛料の各々2倍の染料濃度で使用しても、シャンプーおよびトリートメントで繰り返し洗浄した時に、染着していた染料が徐々に脱着して、濃度低下や色相変化が大きいという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、染毛力が良好であるとともに、耐シャンプー・トリートメント性が、塩基性染料または酸性染料を単独で使用した場合よりも優れた、交互2段階式染毛料およびこれを用いた交互2段階式染毛方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、塩基性染料を含有し、pH5〜8に調整された染毛用の第1剤と、酸性染料を含有し、pH2〜4に調整された染毛用の第2剤からなる染毛料であって、前記第1剤と前記第2剤のいずれかが先染めに使用され、残りの一方が後染めに使用されることを特徴とする、交互2段階式染毛料である。
また、塩基性染料を含有し、pH5〜8に調整された染毛用の第1剤と、酸性染料を含有し、pH2〜4に調整された染毛用の第2剤からなる染毛料を使用し、前記第1剤と前記第2剤のいずれかを毛髪に染色し、水で洗浄する先染めの第1段階と、残りの一方を毛髪に染色し、水で洗浄する後染めの第2段階とを有することを特徴とする、交互2段階式染毛方法である。
【0007】
本発明の交互2段階式染毛料は、染毛力が良好であるとともに、耐シャンプー・トリートメント性に優れた理由は、(1)まず第1段階で第1剤を使用し、第2段階で第2剤を使用した場合、第1剤中の塩基性染料がpH5〜8において、ケラチン繊維のカルボキシアニオン基とイオン結合して染色し、第2段階として第2剤を重ねて染毛する際、第2剤中の酸性染料が、pH2〜4の最適pH値で、ケラチン繊維のアミノカチオンとイオン結合して染色する。(2)第1段階で第2剤を使用し、第2段階で第1剤を使用した場合、第2剤中の酸性染料がpH2〜4の最適pH値で、ケラチン繊維のアミノカチオンとイオン結合し、その後第1剤中の塩基性染料がpH5〜8において、ケラチン繊維のカルボキシアニオン基とイオン結合して染色する。両方法においては、同時に、第1段階で染毛されている塩基性染料または酸性染料との間に結合が一部起こり、耐シャンプー・トリートメント性を向上させているものと考えられる。
同浴に塩基性染料と酸性染料両方の染料を含有させ、1段階のみで染色しようとすると、両染料同士の結着力が強くコンプレックスを形成し、ケラチン繊維に強く染毛しない欠点がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人毛などのケラチン繊維に対して、染毛力が良好であるとともに、色変化が少なく、耐シャンプー・トリートメント性に優れた交互2段階式染毛料およびその染毛方法が提供されるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
【0010】
本発明の染毛料は第1剤と第2剤とからなり、第1剤は塩基性染料を含有し、pH5〜8に調整されており、第2剤は酸性染料を含有し、かつpH2〜4に調整されている。そして第1剤、第2剤の少なくとも一方に有機溶剤が含有されている。更に好ましい態様として、第1剤、第2剤の少なくとも一方に高分子増粘剤が含有されている。また更に好ましい態様としては、活性剤が含有されている。
【0011】
第1剤は有機酸、無機酸および/またはその塩、アルカリ剤を配合することにより、pH5〜8に調整される。pH5よりも低いと、染着効果および堅牢性が低下する。pH8よりも高いと皮膚への汚染が増大する。更に好ましくは、pH6〜7である。pHの調整剤としては、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、塩酸、燐酸、燐酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ヒスチジン、アルギニン等を調節し使用する。その配合量は、0.1〜10質量%である。
【0012】
第2剤は、pH2〜4に調整される。pH2よりも低いと、皮膚への刺激がありpH4よりも高いと染着効果および堅牢性が低下する。更に好ましくは、pH2.5〜3.5である。pHを上記範囲に調整するためのpH調整剤としては、有機酸、無機酸、アルカリ剤等が用いられる。有機酸、無機酸およびその塩、アルカリ剤は第1剤と同様のものが使用される。これら有機酸、無機酸、アルカリ剤等のpH調整剤は1種または2種以上を用いることができる。その配合量は、0.1〜10質量%である。
【0013】
本発明の交互2段階式染毛料の第1剤中に必須成分として含有される塩基性染料の配合量は、第1剤中に0.01〜5質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%である。
【0014】
塩基性染料としては、染毛料に通常用いられ得る塩基性染料であれば特に限定されるものでなく、例えばBasic Blue 75、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、 Basic Yellow 87、Basic Orange 31等が挙げられる。これら塩基性染料は1種または2種以上を用いることができる。
【0015】
本発明の交互2段階式染毛料の第2剤中に必須成分として含有される酸性染料の配合量は、第2剤中に0.01〜5重量%であるのが好ましく、より好ましくは0.05〜2質量%である。
【0016】
酸性染料としては、染毛料に通常用いられ得る酸性染料であれば特に限定されるものでなく、例えば赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色227号、赤色220号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、だいだい色205号、橙色207号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色206号、青色202号、青色203号、青色205号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、だいだい色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、褐色201号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等が挙げられる。これら酸性染料は1種または2種以上を用いることができる。
【0017】
本発明の第1剤、第2剤に含有される有機溶剤としては、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、シクロヘキサン、ブチルセルソルブ等の水に難溶性の脂肪族アルコール;ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、フェニルエタノール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール;テトラヒドロフルフリルアルコール、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート等の環状ケトン類やエーテル類;グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、キシリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の多価アルコール;エタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール等が挙げられる。これら有機溶剤は1種または2種以上を用いることができる。これらの中でもベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコールが染毛力の点から好ましく用いられる。さらには、上記芳香族アルコールと、低級アルコール、多価アルコールの中から選ばれるいずれか1種以上とを有機溶剤として用いるのが、染毛力の点からより好ましい。
【0018】
これら有機溶剤は、第1剤および第2剤の少なくとも一方に含有されるのが好ましいが、最も好ましくは、第1剤、第2剤にともに有機溶剤を配合することにより、人毛に対して均一に、高濃度に染着でき、耐シャンプー・トリートメント性に優れる。有機溶剤の配合量は、第1剤、第2剤ともに2〜40質量%であるのが染毛力の点から好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。
【0019】
本発明の第1剤、第2剤に含有される増粘剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系高分子化合物、グアーガム、キサンタンガム、トラガントガム、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガムなどのガム系高分子化合物、デキストリンなどのデンプン系高分子化合物、アルギン酸ナトリウムなどの天然系高分子化合物、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アミド、アクリル酸メタクリル酸共重合体などの合成高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも施術後、流す時に良好な毛髪の感触を得るために、セルロース系高分子化合物およびガム系高分子化合物が好ましい。これら増粘剤は1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
増粘剤は、第1剤および第2剤の少なくとも一方に含有されるが、皮膚へのたれ落ち防止の点から、第1剤、第2剤の両者に含有されるのが好ましい。これら増粘剤の配合量は、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されるものでないが、配合される剤中に0.1〜20質量%であるのが好ましく、より好ましいのは0.5〜10質量%である。
【0021】
第1剤、第2剤には、感触改良及び染毛力の改良のためにそれぞれ所望により、油性成分、界面活性剤等を配合することができる。
【0022】
油性成分としては、例えばアボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、テトラオクタン酸ペンタエリスリット、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂;流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸−N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリー2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、エチルラウレート、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等の合成エステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分は、1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
油性成分の配合量は、第1剤、第2剤とも0.01〜10質量%配合するのが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0024】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等、任意に選択することができる。
【0025】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えばソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールスルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ジイソステアリン酸ジグリセリン、α,α'−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;硬化ヒマシ油誘体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0026】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンモノラウレート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンテトラオレート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類;POEモノオレート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類;POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類;POEオクチルフェニルエーテル類、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン(POP)グリコール等のプルロニック型類;POE・POPセチルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類;POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油誘導体;POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド;POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキサイド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0027】
アニオン性界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩;POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEアルキルエーテル硫酸ナトリウム、POEアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸ジエタノールアミン、POEアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のアルキル及びアルキルアリルエーテル硫酸エステル塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、硫酸化油硫酸化ヒマシ油、POEラウリルエーテルリン酸、POEオレイルエーテルリン酸、POEセチルエーテルリン酸、POEステアリルエーテルリン酸、POEアルキルエーテルリン酸、POEアルキルフェニルエーテルリン酸、及びその塩(ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩)等のリン酸エステル塩;α−オレフィンスルホン酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウロイルロチルタウリンナトリウム等の高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、スルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、POEスルホコハク酸二ナトリウム、POEスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸POEラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム等のスルホコハク酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸などのナトリウム塩およびカリウム塩、トリエタノールアミン塩あるいはアンモニウム塩等が挙げられる。
【0028】
カチオン界面活性剤としては、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等などが挙げられる。
【0029】
両性界面活性剤としては、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸型界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ウンデシノイル−カルボキシメトキシエチルカルボキシメチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ウンデシル−N−ヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム液、ビス(ステアリル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリン)クロル酢酸錯体、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ヤシ油アルキル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムヒドロキシド、ヤシ油アルキル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムジナトリウムラウリル硫酸、ヤシ油アルキルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルN−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムジナトリウムドデカノイルサルコシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤は、分散剤、可溶化剤、乳化剤、感触改良剤として用いられ、その配合量は、第1剤、第2剤とも、0.01〜10質量%程度であるのが好ましい。
【0031】
本発明の染毛料は、本発明の効果が損なわれない範囲で、通常染毛料や染毛剤に用いられる他の成分、例えば、金属イオン封鎖剤、タンパク質加水分解物、防腐剤、香料、顔料、脂肪酸、エステル等も適宜、配合することができる。
【0032】
本発明の染毛方法は、上該塩基性染毛料および酸性染毛料を用いて第1剤、第2剤を別々に毛髪に染色することを特徴とする染毛方法であり、第1剤または第2剤を毛髪に染色する第1段階と、第1段階とは異なる残りの第2剤または第1剤を毛髪に染色する第2段階とからなり、かつ、第1段階の後に第2段階を行うことにより毛髪を染色する方法で、第1段階と第2段階の間に、洗い流して乾燥させたり、また加温することもできる。毛髪の染色は30℃〜50℃に加温し、5〜30分間かけて毛髪内部に浸透させることが好ましく、染色後は、洗い流す等の手段により毛髪から余分な第1剤、第2剤を除去することが好ましい。
【実施例】
【0033】
以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。なお、配合量は質量%を示す。第1剤と第2剤との割合を変え、交互2段階式染色したものを実施例1〜7に、塩基性染料のみ、酸性染料単独の場合を比較例1〜2に、塩基性染料と酸性染料を同浴で染色したものを比較例3に示す。
【0034】
表1に記載の実施例1〜7および比較例1〜3について、各成分を調整し、それぞれ第1剤、第2剤を得た。なお、比較例3は塩基性染料および酸性染料を含有する製剤である。次いで、実施例1〜3および7は、第1段階として、毛髪1質量部に対し第1剤10質量部を採り、45℃で20分染色し、水洗後、第2段階として、毛髪1質量部に対し第2剤10質量部を採り、45℃で20分染色し、水洗、乾燥して検体を得た。実施例4〜6は第1段階として第2剤を、第2段階として第1剤を用いた以外は、実施例1〜3と同様にして検体を得た。比較例1は、毛髪1質量部に対し第1剤10質量部を取り、45℃で20分染色し、水洗、乾燥して検体を得た。比較例2は、毛髪1質量部に対し第2剤10質量部を取り、45℃で20分染色し、水洗、乾燥して検体を得た。比較例3は毛髪1質量部に対し、製剤10質量部を採り、45℃で20分染色し、水洗、乾燥して検体を得た。次いで、下記に示す評価方法により、染毛力、耐シャンプー・トリートメント性について評価した。その結果を表1に示した。なお、毛髪は株式会社ビューラックス製白髪100%BM−Wを使用した。
【0035】
染毛力は株式会社カラーテクノシステム社製分光測色計JS555により分光反射率を測定し、下記のKbeluka-Munkの式により光学濃度K/Sdを求め評価した。なおK/Sd値の高い方が濃度は高く染毛力が大きいことを示す。
ΣK/Sλ=Σ(1−Rλ) 2/2Rλ
λ:反射率(%)/ 100
λ :380〜780nmの10nm間隔
K/Sd=染毛のΣK/Sλ−白髪のΣK/Sλ
【0036】
耐シャンプー・トリートメント性は未試験検体に対する下記耐シャンプー・トリートメント性試験検体のK/Sdの割合(残存率%)、色差(ΔE*)および彩度差(ΔH*)を求め評価した。なお、ΔE*、ΔH*は株式会社カラーテクノシステム社製分光測色計JS555によりL*、a*、b*を測定し下記に示す式により求めた。ΔE*は小さい方が変退色は少なく、またΔH*は小さい方が色相変化は少なく、耐シャンプー・トリートメント性に優れていることを示す。
【0037】
耐シャンプー・トリートメント性試験:
検体を下記のシャンプー処理を行ない、水洗し、さらに下記のトリートメント処理を行ない、水洗し、この処理を5回繰り返した。
<シャンプー処理>
シャンプー液 5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液
浴比 1:10(染毛1質量部に対してシャンプー液10質量部)
温度時間 45℃×20min
<トリートメント処理>
トリートメント液 5%塩化ステアリルトリメチルアンモニウム水溶液
浴比 1:10(染毛1質量部に対してシャンプー液10質量部)
温度時間 45℃×20min
【0038】
ΔE*、およびΔH*の算出式:



なお、L*、a*、b*の添字0および1は、それぞれシャンプー・トリートメント処理前および処理後の測定値を表す。
【0039】
実施例1〜7、比較例1〜3の試験結果を表1に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例1〜7の2段階染色黒は、比較例1の単独の塩基性染料黒、比較例2の単独の酸性染料黒および比較例3の塩基性染料・酸性染料同浴染め黒よりも、残存率%が高く、また色差(ΔE*)および彩度差(ΔH*)も小さく、耐シャンプー・トリートメント性の向上効果が認められた。
なお、実施例1〜3および実施例7の酸性染料含有の第2剤後染めの方が実施例4〜6の塩基性染料含有の第1剤後染めよりΔH*が小さく、試験後の色相変化が少なく、より効果的であった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、人毛などのケラチン繊維に対し、染毛力が良好で、かつ色変化も少なく耐シャンプー・トリートメント性に優れた交互2段階式染毛料および交互2段階式染毛方法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性染料を含有し、pH5〜8に調整された染毛用の第1剤と、酸性染料を含有し、pH2〜4に調整された染毛用の第2剤からなる染毛料であって、前記第1剤と前記第2剤のいずれかが先染めに使用され、残りの一方が後染めに使用されることを特徴とする、交互2段階式染毛料。
【請求項2】
前記第1剤、前記第2剤の少なくとも一方に有機溶剤を含有してなる請求項1記載の交互2段階式染毛料。
【請求項3】
前記第1剤、前記第2剤の少なくとも一方に高分子増粘剤を含有してなる請求項1または請求項2に記載の交互2段階式染毛料。
【請求項4】
有機溶剤として芳香族アルコールの1種または2種以上を配合してなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の交互2段階式染毛料。
【請求項5】
前記第1剤、前記第2剤の少なくとも一方に油性成分および界面活性剤の中から選ばれる1種または2種以上を配合してなる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の交互2段階式染毛料。
【請求項6】
塩基性染料を含有し、pH5〜8に調整された染毛用の第1剤と、酸性染料を含有し、pH2〜4に調整された染毛用の第2剤からなる染毛料を使用し、前記第1剤と前記第2剤のいずれかを毛髪に染色し、水で洗浄する先染めの第1段階と、残りの一方を毛髪に染色し、水で洗浄する後染めの第2段階とを有することを特徴とする、交互2段階式染毛方法。

【公開番号】特開2011−46614(P2011−46614A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193960(P2009−193960)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000005315)保土谷化学工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】