説明

塩基性(メタ)アクリルアミドの製造方法

本発明の対象は、少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基および少なくとも1つの三級アミノ基を含有するアミンをエチレン性不飽和C〜Cカルボン酸と反応させてアンモニウム塩とした後、このアンモニウム塩にマイクロ波を照射して塩基性アミド又はイミドに転化することによる、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドの製造方法であるが、ただし、一級および/又は二級アミノ基はアルコキシ基を含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
塩基性の官能基を有するエチレン性不飽和化合物は、官能性ポリマーを製造するためのモノマーとしての需要がある。このような塩基性の官能基を有する共重合体には多様な用途があり、例えば、繊維製造の際のサイジング助剤として、粘度調整、排水処理の際に水系で、鉱物の産出の際の凝集助剤として、および金属加工の際の助剤として、および潤滑油中の清浄剤添加物として使用される。そのとき、モノマーとして、とりわけ、アミド基の他に塩基性を付与する少なくとも1つの三級アミノ基を有するN−アルキルアクリルアミドおよびN−アルキルメタクリルアミドが好ましいが、その理由は、それらが、対応するエステルと比較して高い加水分解安定性を有するからである。それを用いて製造されたポリマーは、使用目的に応じて、それ自体で、又は、ポリマー類似反応(polymeranaloger Umsetzung)の後で、例えば四級アンモニウム化合物、N−オキサイド、又はベタインに転化された後で使用される。しかし、このような塩基性官能基を有する単独重合体および共重合体の応用技術の特性に必要な高分子量を達成するのは困難であることが多い。
【背景技術】
【0002】
既存のおよび新規な用途に対する要求が高まっており、このような要求を満たすために、三級アミノ基を有するエチレン性不飽和アミドの様々な製造方法が開発された。このようなモノマーを製造するとき、それぞれ二官能性である反応体を的確に反応させるには特別な注意を要する。従って、ベースになるエチレン不飽和カルボン酸のカルボキシル基と、非対称に置換されているジアミンの一級又は二級アミノ基を、エチレン性二重結合も三級アミノ基も維持して的確に反応させなければならない。従来は、商業的に有利な収量を達成するために、費用と時間のかかる製造方法に依存している。既知の製造方法は、例えば、酸無水物、酸ハロゲン化物(例えば、酸塩化物)、エステルのような高反応性のカルボン酸誘導体、又は、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドのようなカップリング試薬の使用による反応の場(in−situ)での活性化、又は、非常に特殊な、従って高価な触媒を必要とする。これらの製造方法では、一部、大量の望ましくない副生成物(アルコール、酸、および塩など)が生成し、それを生成物から分離し、処分しなければならない。しかし、生成物中に残存する助剤(Hilfsprodukte)および副生成物の残留物はまた、一部、非常に望ましくない作用をする可能性がある。例えば、ハロゲン化物イオンおよび酸によって腐食が起こり; カップリング試薬およびそれによって生成する副生成物は、一部、毒性、感作性、又は発癌性を有する。
【0003】
エチレン性不飽和カルボン酸とジアミンの直接的な熱縮合では満足な結果が得られない。その理由は、様々な副反応によって収量が減少するからである。それには、例えば、エチレン不飽和カルボン酸の二重結合に対するアミンのマイケル付加反応、エチレン不飽和カルボン酸又は生成したアミドの無制御な熱重合、長時間の加熱中のアミノ基の酸化、および、とりわけ熱により誘発されるアミノ基の分解が含まれる。このような副反応によって、とりわけ、追加のC=C二重結合が形成されるため、このようにして、一度生成したアミドから2つの重合性中心を有する化合物が生成する可能性があり、この化合物は、後で塩基性(メタ)アクリルアミドを重合する時に、架橋をまねき、従って不溶性のポリマーを生成する。例えば、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドから、酸の存在下でホフマン分解によってN−(アリル)アクリルアミドが生成し、これは、典型的な、しかし可溶性ポリマーの製造には非常に望ましくない重合架橋剤であり、従って分離しなければならない。
【0004】
非特許文献1は、メタクリル酸と(R)−1−フェニル−エチルアミンをマイクロ波照射して縮合することによる(R)−1−フェニル−エチルメタクリルアミドの製造を開示している。
【0005】
非特許文献2は、(メタ)アクリル酸とアミンから直接、マイクロ波を使用して様々な(メタ)アクリルアミドを合成することを開示している。様々な脂肪族および芳香族アミンが使用される。
【0006】
非特許文献3は、マイクロ波を照射して合成された多数のアミドを開示している。しかし、追加の三級アミノ基を含有するものはない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】イアネリ(Iannelli)ら、テトラヘドロン2005、61、1509〜1515頁(Tetrahedron 2005, 61, 1509−1515)
【非特許文献2】ゴレツキ(Goretzki)ら、高分子速報、2004、25、513〜516頁(Macromol. Rapid Commun. 2004, 25,513−516)
【非特許文献3】ゲレンズ(Gelens)ら、テトラヘドロンレターズ2005、46(21)、3751〜3754頁(Tetrahedron Letters 2005, 46(21), 3751−3754)
【非特許文献4】「マイクロ波合成」、B.L.ヘイズ著、CEM出版2002年(“Microwave Synthesis” von B.L.Hayes, CEM Publishing 2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、エチレン性不飽和カルボン酸と、三級アミノ基を有するアミンを直接、高収量で、即ち、定量的な収量で、三級アミノ基を有するエチレン性不飽和カルボン酸のアミド又はイミドに転化することができる、エチレン性不飽和カルボン酸の塩基性アミドの製造方法を探求した。更に、そのとき、マイケル付加物、とりわけ多エチレン性不飽和化合物のような副生成物が生成してはならないか、又は少量しか生成してはならない。更に、特に高分子量の単独重合体および共重合体の生成に使用できるエチレン性不飽和カルボン酸の塩基性アミドを探求した。更に、本発明により製造された塩基性アミドは、固有の着色が実質的にないため、例えば、繊維製造などの様々な用途に非常に有利である。
【0009】
不飽和C〜Cカルボン酸の三級アミノ基含有アミド又はイミドは、少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基および追加の少なくとも1つの三級アミノ基を有するポリアミンをC〜Cカルボン酸とマイクロ波を照射することによって直接反応させると、高収量で製造できることが分かった。驚いたことに、そのとき、酸が存在しないにもかかわらず、三級アミノ基のホフマン脱離があまり起こらない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の対象は、少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基および少なくとも1つの三級アミノ基を含有するアミンをエチレン性不飽和C〜Cカルボン酸と反応させてアンモニウム塩とした後、このアンモニウム塩にマイクロ波を照射して塩基性アミド又はイミドに転化することによる、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドの製造方法である。ただし、前記一級および/又は二級アミノ基はアルコキシ基を含まない。
【0011】
本発明の別の対象は、少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基および少なくとも1つの三級アミノ基を有するアミンをエチレン性不飽和C〜Cカルボン酸と反応させてアンモニウム塩とした後、このアンモニウム塩にマイクロ波を照射して塩基性アミド又はイミドに転化することによって製造可能な、ハロゲン化物イオンおよびカップリング試薬に由来する副生成物を本質的に含まないエチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドである。ただし、前記一級および/又は二級アミノ基はアルコキシ基を含まない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
塩基性アミド又はイミドとは、そのアミド又はイミドの窒素原子が、少なくとも1つの三級アミノ基で置換されている少なくとも1つの炭化水素基を有するアミド又はイミドと理解される。本発明の意味における三級アミノ基は、窒素原子が酸プロトンを有していない構造単位である。従って、三級アミノ基の窒素は、3つの炭化水素基を有するか又は芳香族複素環系の構成要素であることができる。ハロゲン化物イオンを含まない脂肪酸アミドは、ハロゲン化物イオンの遍在量を超える量のハロゲン化物イオンを含有しない。
【0013】
一級および/又は二級アミノ基がアルコキシ基を含まないという条件は、一級および/又は二級アミノ基、又は、このような基が複数存在する場合はそれらが全て、アルコキシ基を含む置換基を有していないことを意味する。
【0014】
エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸とは、カルボキシル基に共役するC=C二重結合を有する炭素数3〜6のカルボン酸と理解される。好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸は、1つ以上のカルボキシル基、とりわけ1つ又は2つのカルボキシル基を有することができる。本発明に適したカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2,2−ジメチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸がある。アクリル酸およびメタクリル酸が特に好ましい。
【0015】
酸無水物、例えば無水マレイン酸の形態でエチレン性不飽和ジカルボン酸を使用する場合も、本発明による方法は有利である。ジカルボン酸と、一級および/又は二級アミノ基および三級アミノ基を有するアミンから中間体として生成するアミドカルボン酸の縮合では、熱縮合とは対照的に、エチレン性不飽和カルボン酸の三級アミノ基含有イミドが高収量で得られる。
【0016】
本発明に適したアミンは、2つ以上のアミノ基を有する。このアミノ基のうち、少なくとも1つは三級である、即ち、それは3つのアルキル基を有するか、又は、芳香族複素環系の構成要素である。少なくとも1つのアミノ基は、1つ又は2つの、好ましくは2つの水素原子を有する。
【0017】
好ましい実施形態では、本発明の対象は、アミンが次式、
HNR−(A)−Z
(式中、
は、水素、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12アラルキル、又は、環員数5〜12の芳香族複素環基を表し、
Aは、炭素数1〜12のアルキレン基、環員数5〜12のシクロアルキレン基、環員数6〜12のアリーレン基、又は環員数5〜12のヘテロアリーレン基を表し、
nは、0又は1を表し、
Zは、式−NRの基を表すか、又は、環員数少なくとも5の窒素含有環状炭化水素基を表し、
およびRは、互いに独立して、C〜C20炭化水素基を表すか又はポリオキシアルキレン基を表す)
に対応する、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドの製造方法、並びに、ハロゲン化物イオンおよびカップリング試薬に由来する副生成物を本質的に含まない、本方法で製造可能なエチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドである。
【0018】
好ましくは、Rは水素又はメチル、とりわけ水素を表す。
【0019】
好ましくは、Aは、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、nは1を表す。
【0020】
特に好ましくは、Aは、Zが式−NRの基を表すとき、炭素数2、3又は4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、とりわけエチレン基又は直鎖プロピレン基を表す。それに対して、Zが窒素含有環状炭化水素基を表すとき、Aが炭素数1、2又は3の直鎖アルキレン基、とりわけメチレン基、エチレン基又は直鎖プロピレン基を表す化合物が特に好ましい。
【0021】
構造要素Aに好ましい環状の基は、単環式又は多環式であることができ、例えば、2つ又は3つの環系を含有することができる。好ましい環系は環員数5、6又は7である。好ましくは、それらは全炭素数約5〜20、とりわけ全炭素数6〜10である。好ましい環系は芳香族であり、C原子のみを含有する。特別な実施形態では、構造要素Aはアリーレン基から構成される。構造要素Aは、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ニトリル基、ヒドロキシル基および/又はヒドロキシアルキル基のような置換基を有してもよい。Aが単環芳香族炭化水素である場合、アミノ基、又はアミノ基を有する置換基は、好ましくは互いに対してオルト位又はパラ位にある。
【0022】
好ましくは、Zは式−NRの基を表す。式中、RおよびRは、互いに独立して、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族、芳香族、および/又は芳香脂肪族(araliphatische)炭化水素基を表す。RおよびRとしては、アルキル基が特に好ましい。Rおよび/又はRがアルキル基である場合、それらは好ましくは炭素数1〜14、例えば、炭素数1〜6である。これらのアルキル基は直鎖、分岐鎖、および/又は環状であることができる。特に好ましくは、RおよびRは、炭素数1〜4のアルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルを表す。
【0023】
およびR基は、ヘテロ原子、例えばOおよび/又はSなどのヘテロ原子で置換されていてもよく、および/又はこのようなヘテロ原子を含有する置換基を有してもよい。しかし、好ましくは、それらは炭素原子2個当たり1個を超えるヘテロ原子は含有しない。従って、別の好ましい実施形態では、Rおよび/又はRは、互いに独立して、次式のポリオキシアルキレン基を表し、
−(B−O)−R
式中、
Bは、直鎖又は分岐鎖のC〜Cアルキレン基、とりわけ式−CH−CH−および/又は−CH(CH)CH−の基を表し、
mは、1〜100、好ましくは1〜20の数を表し、
は、水素、炭素数1〜20のアルキル基、環原子数5〜12のシクロアルキル基、環原子数6〜12のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、環原子数5〜12のヘテロアリール基、又は炭素数6〜12のヘテロアラルキル基を表す。
【0024】
および/又はRとして特に適している芳香族基は、環員数少なくとも5の環系を含む。それらは、ヘテロ原子、S、OおよびNのようなヘテロ原子を含有してもよい。Rおよび/又はRとして特に適している芳香脂肪族基は、C〜Cのアルキル基を介して窒素原子に結合している環員数少なくとも5の環系を含む。それらは、ヘテロ原子、例えばS、OおよびNのようなヘテロ原子を含有してもよい。芳香族基および芳香脂肪族基は、他の置換基、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ニトリル基、ヒドロキシル基および/又はヒドロキシアルキル基のような他の置換基を有してもよい。
【0025】
別の好ましい実施形態では、Zは、窒素原子がアミドを形成できない窒素含有環状炭化水素を表す。この環系は、単環式、二環式、又は多環式であることができる。好ましくは、それは、1つ以上の5員環および/又は6員環を含有する。この環状炭化水素は、酸プロトンを有していない1つ以上の、例えば、2つ又は3つの窒素原子を含有してもよく、特に好ましくは、それは1つのN原子を含有する。そのとき、特に適しているのは、例えば、ピリジンのように、窒素が芳香族6π電子系(aromatischen π−Elektronensextetts)の構成に関与している窒素含有芳香族化合物である。窒素原子がプロトンを有しておらず、例えば、全てアルキル基で飽和されている窒素含有ヘテロ脂肪族化合物も同様に適している。ZとA又は式NHRの基(n=0の場合)との結合は、ここでは、好ましくは、例えば、1−(3−アミノプロピル)ピロリジンの場合のように、複素環の窒素原子を介して行われる。Zによって表される環状炭化水素は、他の置換基、例えば、C〜C20アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ニトリル基、ヒドロキシル基および/又はヒドロキシアルキル基のような他の置換基を有してもよい。
【0026】
適したアミンの例としては、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−2−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−(2’−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)−ピロリジン、1−(3−アミノプロピル)−4−メチルピペラジン、3−(4−モルホリノ)−1−プロピルアミン、2−アミノチアゾール、並びに、N,N−ジメチルアミノアニリン、アミノピリジン、アミノメチルピリジン、アミノメチルピペリジンおよびアミノキノリンの様々な異性体、並びに、2−アミノピリミジン、3−アミノピラゾール、アミノピラジン、および3−アミノ−1,2,4−トリアゾールがある。
【0027】
本方法は、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]クロトニルアミド、N−[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]イタコニルイミド、N−[(ピリジン−4−イル)メチル]アクリルアミド、およびN−[(ピリジン−4−イル)メチル]メタクリルアミドの製造にとりわけ適している。
【0028】
本発明による方法では、エチレン性不飽和カルボン酸とアミンを任意の比で互いに反応させることができる。純粋なモノマーを製造するために、好ましくは、エチレン性不飽和カルボン酸とアミンのモル比が10:1〜1:10、より好ましくは2:1〜1:2、特に1.0:1.2〜1.2:1.0、とりわけ等モルであることが適している。
【0029】
多くの場合、アミンを少し過剰にして、即ち、アミン対カルボン酸のモル比を少なくとも1.01:1.00、とりわけ1.02:1.00〜1.2:1.0、例えば、1.05:1.0〜1.1:1にして処理することが有利であることが分かった。そのとき、酸は、実質的に定量的に塩基性アミドに転化される。使用される、少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基と少なくとも1つの三級アミノ基を有するアミンが易揮発性であるとき、この方法は特に有利である。易揮発性とは、本明細書では、アミンが常圧で好ましくは200℃未満、例えば、150℃未満の沸点を有し、従って、蒸留でアミドから分離できることを意味する。
【0030】
本発明による塩基性アミド又はイミドを、その製造に使用されるC〜C6エチレン性不飽和カルボン酸との共重合体の製造に使用する場合、より過剰のエチレン性不飽和カルボン酸を使用することもできる。従って、カルボン酸対アミンのモル比を少なくとも1.01:1.00、とりわけ1.02:1.00〜50:1.0、例えば、1.05:1.00〜10:1にして処理することが有利であることが分かった。本発明によるモノマーとの共重合体を反応の場(in−situ)で製造するために、過剰の酸を使用することができる。
【0031】
アミド/イミドの製造は、エチレン性不飽和カルボン酸とアミンを反応させてアンモニウム塩とした後、その塩にマイクロ波を照射することによって行われる。そのとき、アンモニウム塩は、好ましくは反応の場(in−situ)で生成され、単離されない。好ましくは、マイクロ波照射によって起こる温度上昇は、マイクロ波強度の調整および/又は反応容器の冷却により、300℃以下に制限される。100〜240℃、特に120〜200℃の温度で、例えば、125〜175℃の温度で反応を実施することが特に有効であることが分かった。
【0032】
マイクロ波照射の時間は、反応容積、反応室の幾何学的形態、および所望の転化率のような様々な要因に依存する。通常、マイクロ波照射は、60分未満、好ましくは0.01秒間〜15分間、特に好ましくは0.1秒間〜10分間、とりわけ1秒間〜5分間、例えば、5秒間〜2分間行われる。そのとき、マイクロ波放射の強度(出力)は、反応物(Reaktionsgut)ができるだけ短時間で目的の反応温度に到達するように調整される。その後、温度を維持するために、反応物をより低い出力および/又はパルス出力で更に照射することができる。同時にできるだけ出力の大きいマイクロ波を照射しつつ最高温度を維持するためには、反応物を例えば冷却ジャケットで、反応室内にある冷却管で、異なる照射ゾーン間の断続的な冷却により、および/又は外部熱交換器での蒸発冷却により冷却することが有効であることが分かった。好ましい実施形態では、反応生成物は、マイクロ波照射の終了後直ぐに、できるだけ迅速に120℃未満、好ましくは100℃未満、特に60℃未満の温度に冷却される。
【0033】
好ましくは、反応は、0.1〜200バール、特に1バール(大気圧)〜50バールの圧力で実施される。閉鎖容器内で処理することが特に有効であることが分かり、閉鎖容器内では、反応体又は生成物の沸点より高温で、場合によっては存在する溶媒の沸点より高温で、および/又は反応中に生成する反応水の沸点より高温で処理が行われる。通常、反応バッチの加熱により生じる圧力が、本発明による方法を成功裏に実施するのに十分である。しかし、より高い圧力で、および/又は圧力プロファイルを適用して処理することもできる。本発明による方法の別の好ましい変形では、例えば、開放容器内で生じるような大気圧で処理する。
【0034】
副反応を回避するために、およびできるだけ純粋な生成物を製造するためには、不活性保護ガス、例えば、窒素、アルゴン、又はヘリウムのような不活性保護ガスの存在下で本発明による方法を実施することが有効であることが分かった。
【0035】
好ましい実施形態では、反応を加速するために又は完全にするために、脱水触媒の存在下で処理する。好ましくは、そのとき、無機酸触媒、有機金属酸触媒、又は有機酸触媒、又はこれらの触媒の複数からなる混合物の存在下で処理する。
【0036】
本発明の意味における無機酸触媒としては、例えば、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、明礬、酸性シリカゲル、および酸性水酸化アルミニウムが挙げられる。更に、例えば、一般式Al(ORのアルミニウム化合物および一般式Ti(ORのチタネートが無機酸触媒として使用可能であり、式中、R基はそれぞれ同じであっても又は異なってもよく、互いに独立して、C1〜C10アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシル; C〜C12シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシルから選択され、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが好ましい。好ましくはAl(OR又はTi(OR中のR基は、それぞれ同じであり、イソプロピル、ブチル、および2−エチルヘキシルから選択される。
【0037】
好ましい有機金属酸触媒は、例えば、ジアルキル錫オキサイド(RSnOから選択され、式中、Rは前述の定義通りである。有機金属酸触媒の特に好ましい代表としては、いわゆるオキソ−ツィン(Oxo−Zinn)として又はファスキャット(Fascat)(登録商標)の商標で市販されているジ−n−ブチル錫オキサイドがある。
【0038】
好ましい有機酸触媒は、例えば、ホスフェート、スルホン酸基、スルフェート、又はホスホン酸基を有する有機酸化合物である。特に好ましいスルホン酸は、少なくとも1つのスルホン酸基と、炭素数1〜40、好ましくは炭素数3〜24の少なくとも1つの飽和又は不飽和の、直鎖、分岐鎖および/又は環状炭化水素基を含有する。とりわけ好ましいのは、芳香族スルホン酸、特に、1つ以上のC〜C28アルキル基を有するアルキル芳香族モノスルホン酸、とりわけC〜C22アルキル基を有するものである。適した例としては、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、2−メシチレンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−ブチルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸;ドデシルベンゼンスルホン酸、ジドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸がある。酸性イオン交換体、例えば、約2mol%のジビニルベンゼンで架橋されているスルホン酸基含有ポリ(スチレン)樹脂なども有機酸触媒として使用することができる。
【0039】
ホウ酸、リン酸、ポリリン酸、およびポリスチレンスルホン酸は、本発明による方法の実施に特に好ましい。一般式Ti(ORのチタネート、特にチタンテトラブトキシレートおよびチタンテトライソプロピレートがとりわけ好ましい。
【0040】
無機酸触媒、金属有機酸触媒、又は有機酸触媒の使用を所望する場合、本発明では0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜2重量%の触媒が使用される。特に好ましい実施形態では、触媒を使用することなく処理する。
【0041】
別の好ましい実施形態では、マイクロ波照射は固体酸触媒の存在下で実施される。そのとき、場合によっては溶媒と混合したアンモニウム塩中にこの固体触媒を懸濁させるか、又は、連続的な方法では、有利には、場合によっては溶媒と混合したアンモニウム塩を固定床触媒上に導き、マイクロ波を照射する。適した固体触媒は、例えば、ゼオライト、シリカゲル、モンモリロナイト、および(部分)架橋されたポリスチレンスルホン酸であり、場合によってはそれらに触媒活性のある金属塩が含浸されていてもよい。固相触媒として使用され得るポリスチレンスルホン酸をベースにする適した酸性イオン交換体は、例えば、ロームアンドハース(Rohm & Haas)社からアンバーリスト(Amberlyst)(登録商標)の商標名で入手可能である。
【0042】
例えば、反応媒体の粘度を低下させるために、反応混合物が不均一である場合に反応混合物を流動化させるために、および/又は、例えば蒸発冷却による熱除去を改善するために、溶媒の存在下で処理することが有利であることが分かった。
【0043】
使用される反応条件下で不活性であり、反応体又は生成する生成物と反応しないものであれば原則的に全ての溶媒をそのために使用することができる。適した溶媒を選択するときの重要な要因の1つはその極性であり、それは一方では溶解特性を、他方ではマイクロ波との相互作用の程度を決定する。適した溶媒を選択するときの特に重要な要因の1つはその誘電損失ε”である。誘電損失ε”は、物質がマイクロ波と相互作用するときに熱に変換されるマイクロ波の割合を表す。最後に挙げた値は、本発明による方法を実施するための溶媒の適性の特に重要な基準であることが分かった。できるだけ低いマイクロ波吸収を示し、従って、反応系の加熱に少ししか寄与しない溶媒中で処理することが特に有効であることが分かった。本発明による方法に好ましい溶媒は、室温、2450MHzで測定した誘電損失ε”が10未満、好ましくは1未満、例えば、0.5未満である。様々な溶媒の誘電損失の概要は、例えば、非特許文献4に記載されている。本発明による方法に適しているのは、とりわけ、10未満のε”値を有する溶媒、例えばN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド又はアセトン、特に1未満のε”値を有する溶媒である。1未満のε”値を有する特に好ましい溶媒の例としては、芳香族および/又は脂肪族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン、ヘキサン、シクロへキサン、デカン、ペンタデカン、デカリン、並びに市販の炭化水素混合物、例えばベンジン留分、ケロシン、ソルベントナフサ、シェルゾール(Shellsol)(登録商標)AB、ソルベッソ(Solvesso)(登録商標)150、ソルベッソ(Solvesso)(登録商標)200、エクソール(Exxsol)(登録商標)、アイソパー(Isopar)(登録商標)およびシェルゾール(Shellsol)(登録商標)タイプがある。好ましくは10未満、特に1未満のε”値を有する溶媒混合物が本発明による方法の実施に同様に好ましい。原則的に、本発明による方法は、10以上のε”値を有する溶媒中でも可能であるが、これは、最高温度を維持するのに特別な措置を必要とし、収量の減少に繋がることが多い。溶媒の存在下で処理する場合、反応混合物中の溶媒の割合は、好ましくは2重量%〜95重量%、特に5重量%〜90重量%、とりわけ10重量%〜75重量%、例えば、30重量%〜60重量%である。特に好ましくは、溶媒を使用することなく反応を実施する。
【0044】
縮合中の無制御の熱重合を防止するため、縮合を重合禁止剤の存在下で実施することが有効であることが分かった。フェノールをベースにする重合禁止剤、例えばヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、並びに立体障害性フェノールをベースにする重合禁止剤、例えば2,6−ジ−tert−ブチルフェノール又は2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールが特に適している。同様に適しているのは、チアジン類、例えばフェノチアジン又はメチレンブルー、並びにニトロキシド類、とりわけ、立体障害性ニトロキシド、即ち、ニトロキシド基に隣接しているC原子にそれぞれ3つのアルキル基を有する二級アミンのニトロキシドであり、ここで、これらのアルキル基の2つ、とりわけ、同じC原子に結合していないアルキル基は、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)、又は4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(OH−TEMPO)におけるように、ニトロキシド基の窒素原子又はそれが結合している炭素原子と一緒に飽和5員環又は6員環を形成する。同様に、前述の禁止剤の混合物、前述の禁止剤と酸素、例えば、空気の形態での酸素との混合物、および前述の禁止剤の混合物と空気との混合物も適している。これらは反応混合物又は反応パートナーの1つに、エチレン性不飽和カルボン酸を基準にして、好ましくは1〜1,000ppmの量で、とりわけ10〜200ppmの量で添加される。
【0045】
マイクロ波照射は、通常、マイクロ波を殆ど透過する材料からなる反応室を有する装置内で実施され、マイクロ波発生器内で発生するマイクロ波が適したアンテナシステムを介して反応室の中に注入される。例えば、マグネトロンおよびクライストロンのようなマイクロ波発生器が当業者に既知である。
【0046】
マイクロ波とは、約1cm〜1mの波長と約300MHz〜30GHzの周波数を有する電磁放射線のことを言う。この周波数領域は原則的に本発明による方法に適している。好ましくは、本発明による方法には、産業用、科学用、および医療用に許可されている915MHz、2.45GHz、5.8GHz、又は27.12GHzの周波数を有するマイクロ波が使用される。単一モード又は準単一モードでも、多モードでも処理することができる。装置及び反応室の幾何学的形態および大きさに対して高度の要求がある単一モードの場合、定常波によって、とりわけその最大で、非常に高いエネルギー密度が発生する。それに対して多モードの場合、反応室全体がほぼ均一に照射されるため、例えば、比較的大きい反応容積が可能になる。
【0047】
本発明による方法を実施するために反応容器の中に照射されるべきマイクロ波の出力は、とりわけ、反応室の幾何学的形態、従って反応容積の幾何学的形態、および必要な照射の時間に依存する。それは、通常、100W〜数100kW、とりわけ200W〜100kW、例えば、500W〜70kWである。それを反応器の1つ以上の場所に照射してもよい。それを1つ以上のマイクロ波発生器で発生させてもよい。
【0048】
反応は、回分法で非連続的に、又は、好ましくは、例えば流通管内で連続的に実施することができる。それは、更に、例えば、連続的に運転される攪拌反応器又は反応器カスケードのような半回分式プロセスで実施することができる。好ましい実施形態では、反応は閉鎖容器内で実施され、その際、生成する縮合物、および、場合によっては反応体、および溶媒(存在する場合)によって圧力が増加する。反応終了後、過剰圧力は、放圧することによって、反応水と場合によっては溶媒および過剰な反応体の気化と分離、および/又は反応生成物の冷却に使用することができる。別の実施形態では、生成した反応水は、冷却および/又は放圧の後、例えば、相分離、蒸留および/又は吸収のような通常の方法で分離される。本発明による方法は、開放容器内で、蒸発冷却しておよび/又は反応水を除去(Auskreisen)して同様に成功裏に実施することができる。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、非連続的なマイクロ波反応器内で実施される。そのとき、マイクロ波照射は攪拌容器内で行われる。好ましくは、過剰な熱を除去するために、反応容器内に、例えば、冷却フィンガー(Kuehlfinger)又は冷却コイルのような冷却要素があるか、又は反応容器のフランジに、反応媒体を蒸発冷却するための還流冷却器が取り付けられている。比較的大きい反応容積を照射するために、マイクロ波はここでは好ましくは多モードで運転される。本発明による方法の非連続的な実施形態では、マイクロ波の出力を変化させることにより、迅速な加熱速度と緩速な加熱速度、および、とりわけ、比較的長時間にわたる、例えば、数時間にわたる温度の維持が可能である。反応体および場合によっては溶媒および他の助剤を、マイクロ波照射の開始前に反応容器に予め入れておくことができる。好ましくは、そのとき、それらの温度は100℃未満、例えば、10℃〜35℃である。好ましい実施形態では、反応体又はその一部はマイクロ波照射中に初めて反応容器に供給される。別の好ましい実施形態では、非連続的なマイクロ波反応器は、半回分式反応器又は反応器カスケードの形態で、反応体を連続的に供給し、同時に反応物を排出して運転される。
【0050】
特に好ましい実施形態では、本発明による方法は、連続的なマイクロ波反応器内で実施される。そのために、反応混合物は、耐圧性があり、反応体に対して不活性で、マイクロ波を殆ど透過し、マイクロ波加熱炉内に設けられている反応管に流通される。この反応管の直径は、好ましくは1ミリメートル〜約50cm、特に、2mm〜35cm、例えば、5mm〜15cmである。反応管とは、本明細書では、直径に対する長さの比が5より大きい、好ましくは10〜100,000、特に好ましくは20〜10,000、例えば、30〜1,000である容器と理解される。特別な実施形態では、反応管は二重ジャケット管の形態に構成されており、例えば、本方法の温度制御とエネルギー効率を向上させるために、反応混合物を二重ジャケット管の内部空間と外部空間に次々に向流で流通させることができる。そのとき、反応管の長さとは、反応混合物が端から端まで貫流する距離と理解され得る。反応管は、その長さにわたって、少なくとも1つの、好ましくは複数の、例えば、2、3、4、5、6、7、8又はそれより多くのマイクロ波照射器に取り囲まれている。マイクロ波照射は、好ましくは管ジャケットを通して行われる。別の好ましい実施形態では、マイクロ波照射は少なくとも1つのアンテナによって管端部を通して行われる。反応管は、通常、入口に計量添加ポンプとマノメータを備え、出口に圧力維持弁と熱交換器を備える。好ましくは、反応体であるポリアミンとC〜Cカルボン酸は、共に互いに独立して、場合によっては溶媒で希釈され、反応管に入れる直前に初めて混合される。更に、反応体は、好ましくは、本発明による方法に100℃未満、好ましくは10〜80℃、例えば、20〜50℃の温度の液体の形態で供給される。
【0051】
管の断面、照射ゾーン(以下、反応物にマイクロ波が照射される反応管の部分と理解される)の長さ、流動速度、マイクロ波照射器の幾何学的形状、照射されるマイクロ波の出力およびそのときに到達する温度を変化させることによって、できるだけ速く最高反応温度に到達し、副反応又は後反応の発生ができるだけ少なくなるように最高温度での滞留時間を短く保つように反応条件を調整する。好ましくは、連続的なマイクロ波反応器は単一モード又は準単一モードで運転される。そのとき、反応管内での滞留時間は、一般に30分未満、好ましくは0.01秒〜15分、例えば、0.1秒〜5分、例えば1秒〜3分である。反応を完全にするため、場合によっては中間冷却後に反応物を数回、反応器に通してもよく、そのとき、生成した生成物および/又は副生成物を場合によっては中間工程で分離してもよい。反応管から流出した直後に、反応生成物を例えば、ジャケット冷却又は放圧によって冷却することが特に有効であることが分かった。
【0052】
そのとき、特に驚いたことには、連続的に貫流される流通管内のマイクロ波場にアンモニウム塩が非常に短い時間しか滞留しないことにも関わらず、十分なアミド化が起こり、副生成物があまり生成しない。それに対応して熱ジャケット加熱により流通管内でこのアンモニウム塩を反応させる場合は、適した反応温度を達成するのに非常に高い壁温度が必要であり、それによって、重合、並びにマンニッヒ付加物および様々なアミン誘導体の生成が起こるが、エチレン性不飽和カルボン酸の塩基性アミドの生成はすこししか起こらない。
【0053】
反応を完全にするために、多くの場合、得られる粗生成物を、反応水の除去後に、および、場合によっては生成物および/又は副生成物の分離(Austragen)後に、再びマイクロ波を照射することが有効であることが分かった。
【0054】
通常、本発明による方法で製造されたアミドは、更に使用するのに十分な純度で得られる。しかし、特別な要求のために、それらを、蒸留、再結晶、ろ過又はクロマトグラフィー法のような通常の精製法で更に精製してもよい。
【0055】
本発明により製造されたアミドは、とりわけ単独重合および他のエチレン性不飽和化合物との共重合に適している。(共)重合体の総量を基準にして、本発明により製造されたアミドの含有量は、0.1〜100重量%、好ましくは20〜99.5重量%、特に好ましくは50〜98重量%であることができる。各反応媒体において本発明により製造されたアミドとの共重合を可能にする反応パラメータを有するものであれば、全てのエチレン性不飽和化合物を、コモノマーとして使用することができる。
【0056】
コモノマーとして好ましいのは、エチレン性不飽和カルボン酸、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸、並びにこれらの酸無水物、エステル、アミド、および塩である。スルホン酸類、例えばスチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、およびメタリルスルホン酸、並びにホスホン酸類、例えば、ビニルホスホン酸、およびアリルホスホン酸、並びにこれらの塩もコモノマーとして適している。
【0057】
これらの酸の好ましいエステルは、炭素数1〜30の脂肪族アルコール、炭素数5〜30の脂環式アルコール、並びに、炭素数6〜30の芳香脂肪族又は芳香族アルコールとのエステル、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ラウリル、およびアクリル酸ステアリルである。そのとき、脂肪族基は、直鎖又は分岐鎖、および飽和又は不飽和であってもよい。
【0058】
これらの酸の好ましいアミドは、アンモニア、および、それぞれ炭素数1〜24の1つ又は2つの炭化水素基を有するアミンから誘導される。特に好ましいアミドの例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、およびN,N−ジイソプロピルアクリルアミドがある。
【0059】
これらの酸の好ましい塩は、例えば、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Al3+、NH、モノアルキルアンモニウムカチオン、ジアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルアンモニウムカチオン、および/又はテトラアルキルアンモニウムカチオンを有し、ここで、アンモニウムイオンのアルキル置換基は、互いに独立して、炭素数1〜22の炭化水素基、炭素数3〜10のヒドロキシアルキル基、又はポリ(オキシアルキレン)基であることができる。カルボン酸の中和度は0〜100%であることができる。
【0060】
コモノマーとして同様に好ましいのは、炭素数2〜20のカルボン酸のビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニル−2−エチルヘキサノエート、およびネオデカン酸ビニル;開鎖型N−ビニルアミド、例えば、N−ビニルホルムアミド(VIFA)、N−ビニルメチルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド(VIMA)、およびN−ビニルアセトアミド;環員数3〜9の環状N−ビニルアミド(N−ビニルラクタム)、例えば、N−ビニルピロリドン(NVP)およびN−ビニルカプロラクタム;アルコキシル化アクリル酸およびメタクリル酸およびそれらのアミド、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、およびコハク酸モノ−[2−(メタクリロイルオキシ)−エチルエステル]、N,N−ジメチルアミノメタクリレートおよびジエチルアミノ−メチルメタクリレートがある。他の好ましいコモノマーの例としては、アクリロニトリル、アクリルアミドグリコール酸およびメタクリルアミドグリコール酸、炭素数1〜22のアルコールのビニルエーテル、炭素数2〜20のオレフィン、スチレン、アルキルスチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、2−および4−ビニルピリジン、およびメタクリル酸グリシジルエステルがある。様々なコモノマーの混合物も共重合に同様に適している。
【0061】
本発明による方法は、高収量、高純度での不飽和カルボン酸の塩基性アミドの非常に迅速で安価な製造を可能にする。そのとき、副生成物は実質的に生成しない。更に、本発明による方法で製造された生成物は殆ど無色である。即ち、それらのAPHA色数は100未満であり、50未満であることが多く、例えば、30〜15である。従って、通常、仕上げ処理工程(Aufarbeitungsschritte)又は後処理工程を必要としない。このような迅速で選択的な反応は、従来の方法では達成できず、また、高温に加熱することだけでは期待できない。本発明による方法で製造されたアミド、およびそれから誘導された(共)重合体は、その製法の故に、カップリング試薬又はそれによって生じる副生成物(Folgeprodukten)の残留物を含有しないため、毒性に慎重な対応を要する分野、例えば、化粧品や医薬品の調合物にも問題なく使用することができる。更に、それらは、その製法の故に、ハロゲン化物イオンを含まないため、腐食が危険な分野、例えば、石油および天然ガスを産出および精製する設備に使用することができる。
【実施例】
【0062】
マイクロ波照射による反応は、CEM社の「ディスカバー(Discover)」タイプの単一モードマイクロ波反応器内で、2.45GHzの周波数で行った。反応容器の冷却は、圧縮空気で行った。温度測定は、反応容器内の圧力条件のため、IRセンサでキュベット(Kuevetten)底部で行わなければならなかった。反応混合物中に浸漬されるグラスファイバ光学素子を用いた比較試験により、反応媒体内の温度は、これに関連した温度範囲内において、IRセンサでキュベット底部で測定した温度より約50〜80℃高いことが確認された。
【0063】
非連続的に実施される反応は、容積8mlの閉鎖した耐圧性ガラスキュベット内で、磁気攪拌して行った。連続的に実施される反応は、キュベット底部上で終端する流入管とキュベット(二重ジャケット管)の上端の生成物取出部とを有する、耐圧性で円筒状のガラスキュベット(約10×1.5cm;反応容積約15ml)内で行った。反応中に生ずる圧力を、圧力調整弁で20バール以下に制限し、捕集器に逃がした。アンモニウム塩を流入管を通してキュベットにポンプで輸送し、ポンプ出力を変更することによって照射ゾーン内での滞留時間を約1分に調整した。
使用されるエチレン性不飽和カルボン酸は、それぞれ200ppmのヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化された。
【0064】
生成物の分析は、H−NMR分光法を用いて500MHzでCDCl中で、又はGC/MSで行った。水の測定は、カールフィッシャー滴定(Karl−Fischer−Titration)で行った。
【0065】
例1:N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドの製造
冷却下、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン1gに等モル量のメタクリル酸を加えて混合した。発熱が鎮静した後、このようにして得られた閉鎖キュベット内のアンモニウム塩に、最大能力で冷却下、1分間、100Wのマイクロ波を照射した。IRセンサで測定した温度は150℃に到達し、圧力は10バールに上昇した。その後、反応混合物を2分以内に30℃に冷却した。
【0066】
得られた粗生成物は、主成分として82%のN−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、4%のマイケル付加物、9%の水、および未反応の反応体を含有した。反応バッチをMgSOで乾燥させ、100Wのマイクロ波を再び1分間照射し、モレキュラーシーブで乾燥させた後、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドを98%を超える純度で得た。APHA色数は45であった。
【0067】
例2:N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミドの製造
冷却下、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン2gに等モル量のアクリル酸を加えて混合した。発熱が鎮静した後、このようにして得られた閉鎖キュベット内のアンモニウム塩に、最大能力で冷却下、1分間、25Wのマイクロ波を照射した。IRセンサで測定した温度は80℃に到達し、圧力は約1.3バールであった。照射終了後、反応混合物を2分以内に30℃に冷却した。
【0068】
得られた粗生成物は、主成分として61%のN−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミド、12%のマイケル付加物、7%の水、および未反応の反応体を含有した。反応バッチをMgSOで乾燥させ、50Wのマイクロ波を再び1分間照射し、モレキュラーシーブで乾燥させた後、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミドを95%を超える純度で得た。APHA色数は35であった。
【0069】
例3:N−(p−[N,N−ジメチルアミノ]フェニレン)メタクリルアミドの製造
冷却下、p−(N,N−ジメチル)フェニレンジアミン1gに2モル当量のメタクリル酸を加えて混合した。発熱が鎮静した後、このようにして得られた閉鎖キュベット内のアンモニウム塩に、最大能力で冷却下、150Wのマイクロ波を照射した。1分以内に185℃に加熱し、キュベットを空気冷却して、この温度を10分間維持し、このとき圧力は徐々に2バールに上昇した。その後、空気冷却により、2分以内に50℃未満に冷却した。
【0070】
粗生成物中、p−(N,N−ジメチル)フェニレンジアミンの92%がN−(p−[N,N−ジメチルアミノ]フェニレン)メタクリルアミドに転化されていた。粗生成物の他の成分は、反応水および未反応の反応体であった。反応水を除去し、再びマイクロ波を10分間照射し、過剰のメタクリル酸と反応水を蒸留して分離した後、98%のN−(p−[N,N−ジメチルアミノ]フェニレン)メタクリルアミドを得た。APHA色数は41であった。
【0071】
例4:N−(トリアゾールイル)メタクリルアミドの製造
冷却下、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール0.5gに等モル量のメタクリル酸を加えて混合した。発熱が鎮静した後、このようにして得られた閉鎖キュベット内のアンモニウム塩を100Wのマイクロ波出力で照射した。1分以内に150℃に加熱し、キュベットを空気冷却してこの温度を2分間維持し、このとき圧力は2バールに上昇した。その後、空気冷却により、2分以内に50℃に冷却した。
【0072】
粗生成物は、86%のN−(トリアゾールイル)メタクリルアミド、3%のマイケル付加物、および10%の水を含有した。MgSOで乾燥させ、100Wのマイクロ波出力で再び1分間照射した後、98%を超える純度とAPHA色数53のN−(トリアゾールイル)−メタクリルアミドを得た。
【0073】
例5:N−((ピリジン−4−イル)メチル)メタクリルアミドの製造
冷却下、4−アミノピリジン1gに2モル当量のメタクリル酸を加えて混合した。発熱が鎮静した後、このようにして得られた閉鎖キュベット内のアンモニウム塩を、最大能力で冷却下、2.5分間以内、100Wのマイクロ波出力に付した。そのとき温度は約180℃に上昇し、圧力は徐々に20バールに上昇した。その後、空気冷却により2分以内に50℃未満に冷却した。
【0074】
粗生成物中、使用した4−アミノピリジンの81%がN−((ピリジン−4−イル)メチル)メタクリルアミドに転化されていた。粗生成物の他の成分は、反応水と未反応の反応体であった。反応水を除去し、再びマイクロ波を2分間照射し、過剰のメタクリル酸と反応水を蒸留して分離した後、98%のN−(p−[N,N−ジメチルアミノ]フェニレン)メタクリルアミドを得た。そのAPHA色数は62であった。
【0075】
例6:N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドの連続的製造
冷却下および攪拌下、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン100gをキシレン100g中に溶解させ、このアミンを基準にして等モル量のメタクリル酸をゆっくり加えた。発熱が鎮静した後、このようにして得られたアンモニウム塩を底部入口を経て、マイクロ波キャビティ中に嵌め込まれたガラスキュベットに連続的にポンプで輸送した。そのとき、キュベット内での、従って照射ゾーン内での滞留時間が約50秒となるように、ポンプの送出量を調整した。最大能力で冷却下、200Wのマイクロ波で処理し、このとき、IRセンサで測定した温度は150℃に到達した。ガラスキュベットから流出した後、反応混合物を短いリービッヒ冷却器で約30℃に冷却した。
【0076】
得られた粗生成物は、主成分として80%のN−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、7%のマイケル付加物、8%の水、および未反応の反応体を含有した。反応バッチをMgSOで乾燥させ、再び前述のプロセスを経て、再び乾燥させた後、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドを98%を超える純度で得た。APHA色数は23であった。
【0077】
例7:N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドの連続的製造
メタクリル酸とジメチルアミノプロピルアミン(200ppmのフェノチアジンで安定化された等モル混合物)から得られるアンモニウム塩の50%トルエン溶液を、マイクロ波キャビティ中に嵌め込まれたガラスキュベットに連続的にポンプで輸送した。そのとき、キュベット内での、従って照射ゾーン内での滞留時間が約5分となるように、ポンプの送出量を調整した。最大能力で冷却下、IRセンサで測定した温度が150〜160℃に維持されるように、マイクロ波出力を25W〜150Wに調整した。ガラスキュベットから流出した後、反応混合物を30℃に冷却した。
【0078】
得られた粗生成物は、主成分として84%のN−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、2%のマイケル付加物、9%の水、および未反応の反応体を含有した。反応バッチをMgSOで乾燥させ、再び前述のプロセスを経て、再び乾燥させた後、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドを98%を超える純度で得た。APHA色数は27であった。
【0079】
例8:N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル)メタクリルアミドの連続的製造
メタクリル酸とジメチルアミノプロピルアミン(200ppmのフェノチアジンで安定化された等モル混合物)から得られるアンモニウム塩の50%トルエン溶液を、マイクロ波キャビティ中に嵌め込まれたガラスキュベットに連続的にポンプで輸送した。そのとき、キュベット内での、従って照射ゾーン内での滞留時間が約2分となるように、ポンプの送出量を調整した。最大能力で冷却下、IRセンサで測定した温度が175〜185℃に維持されるように、マイクロ波出力を25W〜200Wに調整した。ガラスキュベットから流出した後、反応混合物を30℃に冷却した。
【0080】
得られた粗生成物は、主成分として85%のN−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミド、1%のマイケル付加物、9%の水、および未反応の反応体を含有した。反応バッチをMgSOで乾燥させ、再び前述のプロセスを経て、再び乾燥させた後、N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)メタクリルアミドを98%を超える純度で得た。APHA色数は17であった。
【0081】
例9および10:
メタクリル酸とジメチルアミノプロピルアミンの連続的熱反応(比較例)
実施例7および8と同様に、メタクリル酸とジメチルアミノプロピルアミン(200ppmのフェノチアジンで安定化された等モル混合物)から得られるアンモニウム塩の50%トルエン溶液を、300℃の加熱砂床中にある耐圧性ガラスキュベットに連続的にポンプで輸送した。そのとき、キュベット内での、従って加熱ゾーン内での反応体の滞留時間が約2分又は5分となるように、ポンプの送出量を調整した。反応混合物の温度の測定は、キュベットの流出口で行った。このとき観察された最高温度は150又は180℃であった(下表を参照)。ガラスキュベットから流出した後、反応混合物を迅速に室温に冷却した。
【0082】
実験から次の結果が得られた。
【0083】
【表1】

【0084】
残部は、本質的に、未反応の反応体、反応水、およびその他の未同定の副生成物である。
【0085】
実験後、反応器の壁および底部に、ポリマー生成および分解を示す固形の茶色の皮膜があった。
【0086】
本発明により製造された塩基性アクリルアミドと、それに対応して従来どおりアクリル酸メチルとジメチルアミノプロピルアミンの反応によって製造された塩基性アクリルアミドとの差を調べるため、両方の生成物をアクリルアミドとの高分子量共重合体の製造に使用した。その後、このようにして製造された共重合体の凝集助剤としての適性を試験した。
【0087】
例11および12:
N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル)アクリルアミド(DiMAPAM)とアクリルアミドの共重合
孤立した重合容器内で、表1に記載されている量のモノマーおよびABAH(2,2’−アゾビス−アミジノプロパン二塩酸塩)並びにビス−(2−アミノエチル)−アミン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸を記載されている量の水に溶解させた。氷冷下、反応混合物を10℃に冷却し、90分間窒素通気することにより不活性化させた。その後、tert−ブチルヒドロペルオキシド、および更に5分後にピロ亜硫酸塩溶液を添加した。温度上昇は、重合の開始を示した。最高温度を超えた後、ポリマーを約12時間、70℃で完全に反応させた。得られたポリマーゲルを細かく砕き、乾燥させ、粉砕した。
【0088】
【表2】

【0089】
両方のポリマーの0.2%水溶液の相対粘度(25℃のウベローデ(Ubbelohde)による)を測定した。
【0090】
【表3】

【0091】
本発明により製造されたN−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミドを使用して製造されたポリマーAから、同じプロセス方式で、比較ポリマーBより粘度が著しく高い共重合体が得られ、それによってポリマーAの方が分子量が大きいことが分かる。
【0092】
例13:
N−(3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミドのポリマーの凝集助剤としての適性
様々な鉱物を産出する場合、水性懸濁液として得られる原料を脱水しなければならない。そのとき、とりわけ、水中に懸濁した粒子をできるだけ速く沈降させることが望ましい。そのためにポリマーAとポリマーBを凝集試験で比較し、凝集速度、とりわけ鉱物懸濁液の沈降速度を評価した。
【0093】
試験を開始する12〜24時間前に、ポリマーA又はポリマーBを水道水中0.1重量%の原液として調製した。そのために、密封可能な試料瓶(Probenglas)内の水49.5gにポリマー500mgを入れ、室温でマグネチックスターラーを用いて約4時間攪拌した。
【0094】
2Lのビーカー内で、凝集剤として試験される様々な濃度のポリマーA又はポリマーBを有する水道水に4重量%のカオリンを含んでなる懸濁液1Lを15秒間、約1000回転/分で攪拌した。攪拌後直ぐに懸濁液を1Lのメスシリンダ(Standzylinder)に移した。透明な上澄み液とカオリン懸濁液との境界が、3cmと8cmの深さのところにある2つの印の間の距離を通過するのに必要とする時間を測定することによって、沈降速度を測定した。沈降速度はcm/分で記載する。測定の結果を表2に要約する。
【0095】
【表4】

【0096】
試験結果から、試験された各試験濃度で、ポリマーAで処理された懸濁液は、ポリマーB(比較)で処理されたものと比較して沈降が速いことが分かる。
【0097】
これらの試験から、本発明により製造されたモノマーを使用することによって、優れた応用技術特性を有するポリマーが得られることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基および少なくとも1つの三級アミノ基を含有するアミンを、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸と反応させてアンモニウム塩とした後、このアンモニウム塩にマイクロ波を照射して塩基性アミド又はイミドに転化することによる、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドの製造方法であって、ただし、前記一級および/又は二級アミノ基がアルコキシ基を含まない、上記方法。
【請求項2】
前記アミンが次式に相当し、
HNR−(A)−Z
式中、
が、水素、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12アリール、C〜C12アラルキル、又は、環員数5〜12の芳香族複素環基を表し、
Aが、炭素数1〜12のアルキレン基、環員数5〜12のシクロアルキレン基、環員数6〜12のアリーレン基、又は環員数5〜12のヘテロアリーレン基を表し、
nが、0又は1を表し、
Zが、式−NRの基を表すか、又は、環員数少なくとも5の窒素含有環状炭化水素基を表し、
およびRが、互いに独立して、C〜C20炭化水素基を表すか又はポリオキシアルキレン基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、水素又はメチルを表す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Aが炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表し、nが1を表す、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
およびRが、互いに独立して、炭素数1〜20の脂肪族、芳香族、および/又は芳香脂肪族炭化水素基を表す、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
およびRが、互いに独立して炭素数1〜14のアルキル基を表す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
および/又はRが、互いに独立して次式のポリオキシアルキレン基を表し、
−(B−O)−R
式中、
Bが、直鎖又は分岐鎖のC〜Cアルキレン基を表し、
mが、1〜100の数を表し、
が、水素、炭素数1〜20のアルキル基、環原子数5〜12のシクロアルキル基、環原子数6〜12のアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、環原子数5〜12のヘテロアリール基、又は炭素数6〜12のヘテロアラルキル基を表す、
請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アミンが、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、およびN,N−ジメチル−2−メチル−1,3−プロパンジアミンから選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Zが窒素含有環状炭化水素基を表し、但し、その窒素原子はアミドを形成できない、請求項2〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2,2−ジメチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記マイクロ波照射が、脱水触媒の存在下で実施される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記マイクロ波照射が、溶媒の存在下で実施される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が10未満のε”値を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロ波照射が、300℃未満の温度で実施される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの一級および/又は二級アミノ基および少なくとも1つの三級アミノ基を有するアミンを、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸と反応させてアンモニウム塩とした後、このアンモニウム塩にマイクロ波を照射して塩基性アミド又はイミドに転化することによって製造可能な、エチレン性不飽和C〜Cカルボン酸の塩基性アミド又はイミドであって、ただし、前記一級および/又は二級アミノ基はアルコキシ基を含まない、前記塩基性アミド又はイミド。
【請求項16】
ハロゲン化物イオンおよびカップリング試薬に由来する副生成物を本質的に含まない、請求項15に記載の塩基性アミド又はイミド。
【請求項17】
前記反応が、0.1〜200バールの圧力で実施される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応は、前記アンモニウム塩が貫流する反応管内で、マイクロ波を照射することによって連続的に行われる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応管が、非金属でマイクロ波透過性の材料からなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反応管内での反応物の滞留時間が30分未満である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記反応管の長さ対直径の比が少なくとも5である、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−505890(P2010−505890A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531749(P2009−531749)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008677
【国際公開番号】WO2008/043492
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】