説明

塩水浸入防止システム

淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムは、淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムを備えている。 水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバは、回収した淡水を受け、この淡水の方向を変えている。 保持リザーバと流体的に連通されている塩水浸入バリアサブシステムは、淡水ボディと塩水ボディの界面に位置決めされている。 塩水浸入バリアサブシステムは、回収した淡水を垂直に噴射して水圧マウンド区域を設ける複数の水中戻り排出ポートと、混合区域を作り出す細気泡ヘッダーとを備えている。 水圧マウンド区域および混合区域は、塩水ボディからの塩水をオフセットするように淡水の濃度を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第111条(a)に基づいて出願された本特許出願は、2002年6月27日に出願され、開示文書第515033号によって特定された塩水浸入防止システムという名称の開示文書の特典を請求する。
【0002】
本発明は淡水ボディへの塩水の浸入に関する。 より詳細には、本発明は、淡水ボディ(fresh water body)への塩水の浸入を防止するように、塩水ボディ(saltwater body)との淡水ボディの界面で一般的に使用される塩水浸入防止システム用の方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術は、淡水ボディへの塩水の浸入を防止する方法および装置を対象としている。
【0004】
水路、排水路、および航行用運河などの人工の構造物を通して淡水ボディに海塩水を浸入させることは普通、海水が淡水ボディ内およびこれを通して上流に移動する過程を伴う。 海水は淡水より濃度が高いことに留意すべきである。 航行用運河の場合、運河は淡水ボディを塩水ボディに連結させる1つまたは複数の運河水門(canal locks)を有することができることに留意すべきである。 各運河水門は、船舶が第1の海抜の淡水ボディと第2の海抜の塩水ボディとの間で移動できるように、水が張られている。 各運河水門の終端部は水門チャンバ扉を備えている。 海水移動過程は、運河水門の下側チャンバ扉が海水に対して開かれている場合に起こる。 これらの状態では、水門チャンバ扉を閉じる際に塩水が捕捉された水門チャンバに流入するときに、より濃度の高い塩水流が濃度の低い淡水を変位させる。 この過程は、海水が淡水源に到達するまで、連続した水門チャンバが運河水門の動作中に開閉されるときに繰り返される。 この過程の結果、淡水ボディは時間をかけて知らない間に塩分を含むようになり、生態系に顕著な変化をもたらし、淡水ボディの水質に深刻な脅威を作り出す。
【0005】
淡水ボディへの塩水の浸入に加えて、淡水ボディの劣化の一因となる他の問題が存在する。 熱帯地方では、年間降水量は普通高く、従って淡水ボディは雨季の間に再生する。 これによって、水量が比較的高いままであり、また淡水ボディ中の汚染を減少させるように働くことが保証される。 しばしば、淡水ボディは航行用運河として機能するだけではなく、農業、公共施設、飲料、水浴びなどに使用される水を提供する。 最近の地球の状態により、降雨量は少なくなった。 更に、次の15年間にわたる降雨量は不順で低いことが予測される。 この状態はもちろん、淡水ボディを補給する水が少なくなることにつながる。 加えて、運河水門の操作によって、水門扉が開閉される度に、水が実質的に失われることになる。 例えば、低い方の水門扉が塩水ボディに対して開かれると、文字通り数千ガロンの淡水が塩水ボディへと逃げていく可能性がある。 ある場合には、淡水ボディと塩水ボディとの間の運河を横切る船舶の数が少なくなるので、この問題は重要である。
【0006】
運の悪いことに、特定の淡水ボディでは、一部が植生増殖により死んでいるか、または死にかけている。 その結果、バクテリアが植物を食べて、淡水ボディ中の酸素量が少なくなる。 更に、淡水ボディ中に噴射される排水および化学物質はバクテリア量を増やし、これにより、淡水流が少ないことと合わせて、生態系が破壊され、淡水ボディ中の全ての海洋生物が死滅させることになる。 熱帯気候では、淡水ボディは通常、年間で数回増減する。 この自然の洗浄は、淡水ボディの汚染を最小限に抑えるように働く。 2つの水ボディの温度差が大きい場合、雲が形成され、降雨量は十分である。 例えば、カリブ地域の大西洋の水温(すなわち、華氏約85度)は普通、同じ地域の太平洋の水温より暖かい。 従って、年間降水量は普通、世界のこの地理的領域では十分である。 しかし、将来の低い降水量の予想は、大西洋と太平洋の水温が同じになってきているという発見に基づくものである。 この決定は、カリブ地域の太平洋の水温が太平洋の底の火山活動により上昇しているという事実に基づき行なわれた。 従って、淡水ボディ中の汚染レベルは、世界の多くの地域において年間降水量が少ないという予測を考慮すると、自然の浄化過程によって制御することはできない。
【0007】
上に記載した前述の問題は、淡水ボディの生存に展望のない状況を作り出す。 海からの塩水の淡水ボディへの浸入は、淡水環境を塩分のある(海塩)環境に変化させ、自然植物および海洋生物を破壊する。 また、淡水ボディの汚染は排水および化学物質の噴射と淡水ボディ中での植物の大きな成長とにより起こり、バクテリア量が多くなり、その中の酸素量が少なくなることにつながる。 加えて、主要な塩水ボディ、すなわち、例えば大西洋および太平洋の水温の同一化により起こる降水量が少なくなるという予測により、汚染レベルが自然の浄化過程によって制御されるという可能性が少なくなる。 最後に、淡水はまた、運河水門扉の操作毎に失われる。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/119010号明細書
【特許文献2】米国特許第5,360,290号明細書
【特許文献3】米国特許第5,295,762号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って業界には、(a)水門水回収サブシステムを利用することによって淡水ボディへの淡水の供給を増やし、(b)淡水ボディと塩水ボディとの界面に塩水浸入バリアを設けるように、水門水回収サブシステムによって回収された水の一部を方向転換し、(c)回収された淡水を濾過、空気供給、および化学処理することによって、淡水ボディに戻される淡水の品質を改善し、(d)更に、飲料、水浴び、農業、および実用的な用途用の飲用水処理設備で回収された淡水を濾過および化学処理するため、淡水ボディの塩水ボディとの界面で典型的に利用される塩水浸入防止システムに対する要請がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
簡単に言うと、また一般的には、本発明は塩水が浸入し、淡水ボディが塩分を含むようになるのを防止するように、淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用する新規かつ改良型の塩水浸入防止システムを提供する。 塩水浸入防止システムは、淡水ボディが通常運河水門を伴う航行用運河または水路、あるいは運河水門が存在しない塩水ボディと接する排水路である場合に利用することができる。 塩水浸入防止システムは、淡水ボディ中の利用可能な淡水量を増やし、塩水ボディからの淡水ボディへの塩水浸入を阻むように設計されている。
【0010】
好ましい一実施形態では通常、淡水ボディから塩水ボディへの(または塩水ボディから淡水ボディへの)船舶、すなわち海洋船舶、河川船舶などの移動を容易にしている運河水門システムが存在する。 本発明の重要な特徴は、普通は運河水門システムの操作中に、淡水ボディから塩水ボディに失われる、すなわち排出される淡水の捕捉である。 既存の運河水門の下の方の水門扉が開くと、今までは塩水ボディに逃げていた文字通り数千ガロンの淡水が、現在は水回収サブシステムによって捕捉されている。 水回収サブシステムは、以前は排出されていた淡水を捕捉し、回収した淡水を水門水回収排水溝および制水弁を介して淡水保持リザーバに案内するように、運河水門システムの既存の排水溝を利用している。 保持リザーバが動作している場合、典型的には制水弁はノーマリーオープンの位置にあり、それによって回収した淡水が保持リザーバに直接的に供給されている。
【0011】
保持リザーバは、(a)塩水の淡水ボディへの浸入を防ぐように、淡水ボディと塩水ボディとの間の界面に配置された塩水浸入バリアサブシステム(saltwater intrusion barrier subsystem)に第1の量の回収した淡水を運ぶこと、(b)その淡水量を増加させるように、第2の量の回収した淡水を淡水ボディに戻すこと、および(c)淡水を、例えば飲料、料理、水浴び、農業などのための地方水道に提供する別の処理のために、第3の量の回収した淡水を飲用水処理設備に運ぶことを含む、いくつかの機能を果たす。
【0012】
保持リザーバは、回収した淡水中の大きな土石(debris)を濾過する土石ふるいを備えている。 土石ふるいを通して濾過されると、第1の量の回収した淡水は複数のダム制水弁(weir gate valves)、オーバーフロー水だめ(overflow sump)、および保持リザーバ排出排水溝を介して塩水浸入バリアサブシステムに迂回される。 保持リザーバ排出排水溝は、第1の量の回収した淡水を垂直に噴射して水圧マウンド区域(hydraulic mounding zone)を設けるように位置決めされた複数の水中戻り排出ポート(submerged return discharge ports)内で終端している。 加えて、空気混合区域を作り出すように、水中、穿孔、および被覆管からなる細気泡ヘッダー(fine air bubbler header)が設けられている。 水圧マウンド区域および空気混合区域の組合せは、淡水ボディ内への塩水浸入をオフセットするように、淡水ボディと塩水ボディの界面内の淡水の濃度(density)を増やすように働く。
【0013】
残りの回収した淡水は、土石ふるいを通して濾過されると、第1段階の処理基準を満たすように、保持リザーバ内で化学前処理が行なわれる。 この残りの回収した淡水はまた、淡水を酸化するようにコース気泡ヘッダー(course air bubbler header)に曝される。 その後、化学凝集がこの残りの回収した淡水に加えられて、浮遊固形物を沈殿させる。 コース気泡ヘッダーはまた、油およびグリースなどの浮遊溶剤および材料の上に取り付けるように、化学凝集を混合するように働く。 阻流板が、固形物を保持リザーバの底部に送り込むために利用されている。 その後、第2の量の回収した淡水が、中の淡水の量を増やすように淡水ボディにポンピングされて戻される。 最後に、第3の量の回収した淡水が、淡水を供給する別の処理のために飲用水処理設備にポンピングされる。
【0014】
本発明は概して、淡水が入り込み、淡水ボディが塩分を含むようになるのを防ぐように、淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で一般的に使用される塩水浸入防止システムを対象としている。 塩水浸入防止システムは、淡水ボディが運河水門を伴う航行用運河または水路、あるいは運河水門が存在しない塩水ボディと接する排水路である場合に利用することができる。 最も基本的な実施形態では、淡水ボディと塩水ボディとの間で使用される塩水浸入防止システムは、淡水を淡水ボディから回収するように水回収サブシステムを備えている。 保持リザーバは、回収した淡水を受け、この淡水の方向を変える方向を変えるように、水回収サブシステムと流体的に連通されている。 塩水浸入防止システムは、保持リザーバと流体的に連通されており、淡水ボディと塩水ボディとの界面に位置決めされている。 水回収サブシステムと流体的に連通されている塩水浸入バリアサブシステムは、回収した淡水を垂直に噴射して水圧マウンド区域を設ける複数の水中戻り排出ポートと、混合区域を作り出す細気泡ヘッダーとを備えている。 水圧マウンド区域および混合区域は、塩水ボディからの塩水をオフセットするように、淡水の濃度を増加させる。
【0015】
本発明のこれらおよび他の目的および利点は、本発明を例として示した添付図面と合わせて、以下のより詳細な説明により明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、塩水が入り込み、淡水ボディ104が塩分を含むようになるのを防ぐように、図1に示されるように淡水ボディ104と塩水ボディ106との間の界面領域102で一般的に利用される塩水浸入防止システム100である。 塩水浸入防止システム100は、淡水ボディ104が一般的には運河水門を伴う航行用運河または水路、あるいは運河水門が存在しない塩水ボディと接する排水路である場合に利用することができる。 塩水浸入防止システム100は、(a)淡水ボディ104内の利用可能な淡水量を増やし、(b)淡水ボディ104に加えられる淡水が最小淡水基準を満たすことを保証し、(c)船舶輸送を含む淡水用途、工業および農業用途、および公共利用用途の地方自治の要求を支持し、(d)淡水環境および海洋生息地を保護し、(e)塩水ボディ106からの淡水ボディ104内への塩水浸入を阻むように設計されている。
【0017】
本発明の好ましい一実施形態では、既存の運河水門システム110を有する航行用運河108は、図1および図2に示されるような態様で存在していると推測される。 このように推測されるものの、本発明は、淡水ボディが運河水門システムを備えていない場合にも、塩水ボディと接する他の淡水ボディに適用可能である。 図1に示した本発明の航空平面図は航行用運河108を示し、図2に示されるシステムブロック図は既存の運河水門システム110を示している。 航行用運河108および既存の運河水門システム110はそれぞれ、淡水ボディから塩水ボディへのおよびその逆への船舶の移動を容易にする。 航行用運河108の寸法に応じて、船舶は小型船舶から大型海洋船にわたる可能性がある。
【0018】
既存の運河水門システム110の全体的な概要を次に、図2を参照して呈示する。 図2に示される運河水門システム110は、従来技術に存在する一般化された運河水門システムを呈示することを意図している。 運河水門システム110は例えば、それぞれ図1および図2に示されるように船などの船舶の通過を容易にすることが可能である平行水門112および114を備えていても構わない。 平行水門112および114は、中心壁115によって仕切られ、一対の側壁117および119によって結合され、普通はそれぞれ複数の段116、118、120、122、124および126に分割されている。 各段116、118、120、122、124および126での淡水レベルは、前の段および次の段の淡水レベルとは異なることに留意すべきである。 従って、各段116、118、120、122、124および126は、他の段とは異なる海抜水レベルとなっている。 その結果、船舶は例えば、図1に示されるように平行水門112および114の長さ全体にわたって、それぞれ異なる段116、118、120、122、124および126を通してステップアップ若しくはステップダウンされる。 この設計により、船舶は例えば、海面レベルの塩水ボディ106から海面レベルではない湖または川などの淡水ボディ104まで移動することが可能である。
【0019】
水門段116、118、120、122、124および126はそれぞれ、図1にそれぞれ示されるように複数の水門扉128、130、132、134、136および138の1つによって前の段および次の段から仕切られている。 従って、平行水門112および114の各段116、118、120、122、124および126は他の段から隔離され、それによって各段には、各平行水門112および114の長さに沿って船舶を上下させるように淡水とは仕切られて注水することができる。 一般的には、各水門扉128、130、132、134、136および138は、水門扉128、130、132、134、136および138が開閉するのを可能にする水圧ラム(図示せず)によって駆動されるギア機構によって操作されている。 水門扉は一般的には、より多くの淡水が塩水浸入を少なくする塩水ボディ106に向かって流れるのを可能にするように、内側に、すなわち平行水門112および114に向かって開く旋回扉とされている。 平行水門112の水門段120の水門扉132と、平行水門114の水門段126の水門扉138とは、両方とも最終段の水門とされている。 水門扉132および138(下の方の水門扉と呼ぶ)は開閉可能とされており、これにより、最終段の水門120および126内の淡水が常に1フィートの水頭差を生じるように、海面より1フィート高くされている。
【0020】
平行水門112および114での使用に適した配管および弁配置を次に、図2を参照して簡単に論じる。 平行水門112および114は、淡水を淡水ボディ104から水門段116、118、120、122、124および126に運んで運河水門システム110を操作するように機能する配管および弁を共用するように設計することができる。 この目的を達成するため、平行水門112および114は、淡水を淡水ボディ104から運河水門システム110まで運ぶ3つの主排水溝を備えている。 配管システムは、図2に示されるように、それぞれ水門112および114に結合された中心排水溝140、一対の側排水溝142並びに144を備えている。 排水溝140、142および144の直径は、運河水門システム110の寸法によって変化させても良く、18フィート程度までの大きさとすることができる点に留意すべきである。 設計例では、平行水門112および114はそれぞれ、中心排水溝140と側排水溝142および144の一方とを利用している。 従って、水平水門112は、淡水を淡水ボディ104から平行水門112まで運ぶように、中心排水溝140と側排水溝142とを利用している。 同様に、平行水門114は、淡水を淡水ボディ104から水門114まで運ぶために、中心排水溝140および側排水溝144を利用している。 中心排水溝140並びに側排水溝142および144を通じて淡水を運ぶことは、ポンプシステムによって、または重力流設計を介して達成することができる。
【0021】
側排水溝142および144並びに中心排水溝140はそれぞれ、船舶を、運河水門システム110を通じて移動させる目的で、平行水門112および114の各段116、118、120、122、124および126に注水するのに利用される複数の弁および配管を備えている。 中心排水溝140並びに2つの側排水溝142および144は、それぞれ平行水門112および114の各水門段116、118、120、122、124および126に注水するように機能している。 淡水ボディ104からの淡水が各水門段116、118、120、122、124および126に到達することを可能にする手段は、図2に示されるように複数の電動マイタ弁146を通る。 各マイタ弁146の寸法は、中心排水溝140並びに各側排水溝142および144の寸法に依存している。 大きな運河水門システム110は、大容量の中心排水溝140並びに側排水溝142および144を必要とし、次に大きなマイタ弁146を必要とする。 マイタ弁146は、18フィートの大きさの直径を有するものとして知られている。 淡水が特定の電動マイタ弁146を通過すると、淡水は複数の横口プラグ弁148の1つを介して水門段116、118、120、122、124、または126の選択した1つに流入することができる。 水門システム110は、淡水が別個の水門段内にポンピングされるように設計することができるし、あるいはは別の方法では、淡水重力が別個の水門段に流入するように設計することもできる。
【0022】
従来技術では、図1に示される最終段の水門120および126内に含まれる淡水は、水門扉132および138がそれぞれ開いている場合に、重量流を介して塩水ボディ106に逃げることが可能であった。 淡水は最終段の水門120および126の外に流れることが可能であったので、船舶が運河水門システム110を通って移動する度に、数千ガロンの淡水が塩水ボディ106に対して失われた。 世界的な年間降水量に影響を与える天候の変化により、水門システム110の操作による淡水の損失にもはや耐えることができない。 運河水門システム110の操作では、例えば平行水門114を通して淡水ボディ104から塩水ボディ106まで通過する船舶は以下の通りである。 船舶が水門段124にある場合の例として、水面レベルは海抜60フィートであってもよい。 船舶はその後、水門段126の水面レベルが海抜30フィートである場合に、図1に示されるように水門段124から水門段126まで移動する。 船舶が水門段126に配置されており、淡水レベルが海抜30フィートから海抜1フィートまで、すなわち29フィート下降することがある。 水門段126内の淡水レベルは海抜1フィートしかないので、最終段の水門扉138は開いており、船舶が界面領域102を通して塩水ボディ106に対する塩水経路150内に移動することが可能になる。 その後、最終段の水門扉138が閉じられる。 水門の最終段126内に配置された淡水は、水門の最終段126内の淡水レベルが塩水ボディ106の水面レベルより1フィート高いので、塩水ボディ106に逃げない。 従って、水門の最終段126の淡水と塩水ボディ106の塩水との間の圧力は等しい。
【0023】
過去に、淡水保持の試みはなかった。 従って、直前の段落に記載した例での海抜30フィートから海抜1フィートまでの水門の最終段126での淡水レベルの降下は、以下のように生じていた。 (この例では)平行水門114の中心排水溝140並びに側排水溝142及び144内に配置された適切な電動マイタ弁146は、通常の操作中に開放される。 従って、水門の最終段126での淡水レベルの29フィートの降下に伴って淡水は、中心排水溝140並びに側排水溝142および144から排出される。 過去に実施された過程では、29フィートの淡水が界面領域102(図8および図10に最も良く示されている。)に排出される。 界面領域102は、図8に最も良く示されている淡水ボディ104と塩水ボディ106との間で、水門段120および126の水門扉132および138それぞれのちょうど外側に配置される。 従って、排出された淡水は次第に、塩水ボディ106の塩水経路150に到達する。
【0024】
本発明の重要な特徴は、図3に最も良く示されているが、図1および図2にも示されている水門水回収サブシステム160である。 水門水回収サブシステム160は、運河水門システム110の通常の操作中に水門の最終段120および126から海水ボディ106につながる界面領域102に従前に排出された淡水を捕捉する重要な機能を果たしている。 水門水回収サブシステム160によって捕捉された淡水はその後、(a)塩水浸入バリアサブシステム162内で利用され、(b)飲用水処理設備164によって浄化され、(c)淡水供給を補給するように淡水ボディ104に戻されるように処理されている。 水門水回収サブシステム160は、図3にはっきりと示され、過去に水門の最終段120および126から界面領域102に従前に排出された淡水の全てを集めるように機能している。 海抜30フィートから海抜1フィートまでの淡水の降下に関連した前の2つの段落からの例に続けて、中心排水溝140並びに側排水溝142および144内に配置された適切な電動マイタ弁146が開放される。 水門の最終段階126での淡水レベルの29フィートの降下に伴って淡水はその後、中心排水溝140並びに側排水溝142および144から水門水回収サブシステム160内に排出される。
【0025】
水門水回収サブシステム160の構成は以下の通りである。 水門水回収サブシステム160は、従来技術(すなわち本発明の前)において、界面領域102に従前に排出された運河淡水を捕捉するために、運河水門システム110の既存の排水溝、すなわち中心排水溝140並びに側排水溝142および144を利用するように設計されている。 運河水門システム110からの回収した淡水はその後、図3および図5に示されるように、水門水回収排水溝168および制水弁170を介して淡水保持リザーバ166に迂回されている。 図1、図2、および図5に示される保持リザーバ166が動作している場合、制水弁170は一般的にノーマリーオープンの位置にある。 従って、回収した淡水をその後、図5に最も良く示されているように、水門水回収排水溝168を介して保持リザーバ166内に直接供給することができる。 水門水回収排水溝168は、直径36フィートの大きさの地下排水溝であり、運河水門システム110の既存の排水溝、すなわち中心排水溝140並びに側排水溝142および144を、図1および図2にはっきり示された淡水保持リザーバ166に連結させている。 水門水回収排水溝168は、例えばステンレス鋼などの適切な材料から構成することができる。
【0026】
好ましい実施形態では、水門水回収排水溝168は、図3および図6に示されるように、複数の連結排水溝172、174および176を使用することによって、運河水門システム110に連結されている。 特に、(a)側排水溝142は連結排水溝172を介して水門水回収排水溝168に連結され、(b)中心排水溝140は連結排水溝174を介して水門水回収排水溝168に連結され、(c)側排水溝144は連結排水溝176を介して水門水回収排水溝168に連結されている。 連結排水溝172、174および176はそれぞれ、直径が18フィートの大きさであってもよい。 更に、側排水溝142および144はそれぞれ、制水弁178および180を超える淡水流を防ぐように、ノーマリークローズの制水弁178および180を備えている。 この構成により実質的に、淡水をそれぞれ連結排水溝172および176に流入させ、その後に水門水回収排水溝168に流入させる。 同様に、中心排水溝140はノーマリーオープンの制水弁182とノーマリークローズの制水弁184とを備えている。 ノーマリーオープンの制水弁182により、運河水門システム110からの淡水を通すことが可能になるが、ノーマリークローズの制水弁184が流れを遮っている。 従って、淡水は連結排水溝174に効果的に流入され、その後水門水回収排水溝168に流される。 水門水回収サブシステム160が動作していなく、水門水回収排水溝168内に配置されたノーマリーオープンの制水弁170が閉じている場合、制水弁178、180、182および184(または、そのあらゆる組合せ)を、淡水を過去のように界面領域102に排出することができるように、開位置に配置することができる。
【0027】
それぞれ平行水門112および114の低い方の水門扉132および138に密接に近接して構成された保持リザーバ166が、水門水回収サブシステム160によって運河水門システム110から回収された淡水の全てを受ける。 淡水は、図5にはっきり示されるように、水門水回収排水溝168およびノーマリーオープンの制水弁170を介して保持リザーバ166内に受けられる。 回収した淡水が保持リザーバ166内で受けられた後、普通は少なくとも3つの方向に分岐される。 一般的には、第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)は、淡水ボディ104と塩水ボディ106との間の界面領域102に配置された塩水浸入バリアサブシステム162に向けられている。 第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)は、塩水の淡水ボディ104内への浸入を防ぐのに利用されている。 第2の量の回収した淡水(矢印187で示す)は、運河水門システム110の操作に利用可能な淡水の量を増やすように、淡水ボディ104に戻されている。 最後に、第3の量の回収した淡水(矢印189で示す)は、適当な淡水を例えば、飲料、調理、水浴び、農業での使用、および他の適切な用途で地方の水使用会社に供給するように更に処理するために、飲用水処理設備164に運ばれている。
【0028】
保持リザーバ166は、図5にはっきり示されているように、地下水門水回収排水溝168の上に位置決めされている。 水門水回収排水溝168は、保持リザーバ166の下で行き止まりとなっている。 複数の上昇排水溝(riser culverts)186は、水門水回収排水溝168を保持リザーバ166に連結させて、複数の流入口188を形成している。 流入口188と組み合わされて上昇排水溝186は、保持リザーバ166に流入する回収した淡水用の通路を設けている。 保持リザーバ166は普通、例えば長さが1200インチ、幅が250インチ、高さが運河水門システム110の高さと一致する大きな水泳プールを連想させる大きなコンクリートプールである。 保持リザーバ166の主な機能の1つは、回収した淡水を第1段階の処理基準まで濾過および前処理することである。 保持リザーバ166に入る際に、回収した淡水は図1、図2、図4A、図4B、図5、および図6に示されるように土石ふるい190に衝突する。 土石ふるい190は、大きな土石(例えば木の幹、浮遊植物、およびある場合には海洋生物など)を全て取り除くことによって、回収した淡水の濾過を容易にするのをアシストしている。
【0029】
土石ふるい190は、当業界でよく知られている特徴であり、一般的に大きな物質および土石を含む原水が存在する状況で使用されている。 一例として、地方の湖、川、および他の大きな水ボディから発電所用の冷却水をポンピングする発電所の冷却塔に結合された土石ふるいの使用が挙げられる。 土石で目詰まりした土石ふるい190は、当業界でよく知られている自動拭取機構(図示せず)を備えている場合がある。 自動拭取装置(図示せず)の機能は、土石を土石ふるい190から、例えば土石で一杯になった場合に、保持リザーバ166の外側に持ち上げられ、捨てられるようにプログラミングされたバスケットまたは容器内に掃き集めることである。 土石ふるい190の自動拭取機構(図示せず)は、自動逆流拭取装置、または電動モータによって動力が与えられた自動拭取ふるい刃であってもよい。 このタイプの自動拭取機構(図示せず)は普通、発電所に水処理製品を提供する製造メーカから市販されている。
【0030】
好ましい実施形態では、土石ふるい190は、図5にはっきり示されるように、V字形を為し、第1のふるい構成要素192および第2のふるい構成要素194を備えている。 回収した淡水は上昇排水溝186に入り、土石ふるい190内で複数の流入口188から出る場合、第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)は、図5に示されるように土石ふるい190の第1のふるい構成要素192を通過する。 (矢印187によって示される第2の量の回収した淡水、および矢印189によって示される第3の量の回収した淡水を含む)回収した淡水の残りは、土石ふるい190の第2のふるい構成要素194を通過している。 次に、第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)が方向を変えられて案内される塩水浸入バリアサブシステム162について考える。
【0031】
第1のふるい構成要素192を通過した後の第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)は次に、図2および図5に最も良く示されているように、複数のダム制水弁200に向けられている。 複数のダム制水弁200は、第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)を保持リザーバ166からオーバーフロー水だめ202に通過させるように機能している。 オーバーフロー水だめ202は、塩水浸入バリアサブシステム162に迂回された第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)を含むように働いている。 ダム制水弁200は、オーバーフロー水だめ202内の第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)のレベルを制御するように、ダム制水制御装置204およびレベル制御装置206と一緒に動作している。 ダム制水弁200は、浮動弁と同様の方法で動作しており、すなわち、淡水レベルの高さにより弁が開閉され、水レベルの高さが増大することにより弁が閉じられるかどうかを判断している。 従って、ダム制水弁200の位置は、一般的には海の潮位である塩水ボディ106の潮位によって制御される。 オーバーフロー水だめ202内の第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)の制御されたレベルは、海抜+3フィートの水位で維持される。 この設計により従って、ダム制水弁200が塩水ボディ106からの逆流状態の塩水が保持リザーバ166に入るのを防ぐことができる。 従って、ダム制水制御装置204およびレベル制御装置206と組み合わせた複数のダム制水弁200の動作は、保持リザーバ166内に存在する回収した淡水が塩分を含むようになるのを防いでいる。 保持リザーバ166は、第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)と塩水ボディ106との間の仕切りバリアとして機能している。
【0032】
オーバーフロー水だめ202は、図2、図4A、図4B、図5、および図10に示されるように、第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)を保持リザーバの排出排水溝212に運ぶために、対応する数の排水溝210と協働する複数の排水口208を備えている。 排出排水溝212は地下排水溝であり、図1、図2、図8、および図10に示されるように、保持リザーバ166(図5参照)のオーバーフロー水だめ202の下から、界面領域102内で下の方の水門扉132および138のすぐ外側に配置される海水浸入バリアサブシステム162まで延在している。 保持リザーバの排出排水溝212は、直径36フィートのステンレス鋼で作製することができる。 排出排水溝212は、図8に最も良く示されているように、垂直に位置決めされた複数の水中戻り排出ポート216を備えている界面領域102内で終端している。 第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)は、海面で保持リザーバの排出排水溝212を通して重力で押され、垂直に位置決めされた水中戻り排出ポート216に運ばれている。 水中戻り排出ポート216は、直径18フィートとすることができ、第1の量の回収した淡水(矢印185で示す)を垂直に噴出して界面領域102内に水圧マウンド区域218を設けるように位置決めされている。
【0033】
塩水浸入バリアサブシステム162の機能は、塩水ボディ106からの塩水が淡水ボディ104の淡水内に浸入するのを防ぐことである。 塩水の浸入を防止することは、淡水ボディ104と塩水ボディ106との間の界面領域102での塩水の濃度に対して淡水の濃度(または重量)を増加させることによって達成することができる。 淡水の濃度の増加は、図11および図12に示されるように、水圧マウンド区域218および圧縮空気混合区域220を設けることによって、塩水浸入を防ぐように作り出すことができる。 水圧マウンド区域218を設ける際に、大量の第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)が、図8に示されるように水中戻り排出ポート216を介して垂直方向上側に案内されている。 淡水は、図8にまた示されるように、下の方の水門扉132および138の口で、淡水ボディ104と塩水ボディ106との界面領域102に密接近接して垂直に噴射されている。 流れ摩擦により、界面領域102内の水は盛り上がる(mound)、すなわち界面領域102内の水は周囲の水レベルよりも高い水位まで上昇し、マウンド区域218内の圧力を増加させる。 マウンド区域218内の圧力が増加すると、第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)の局部濃度(または、重量)も増加している。 このような第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)の圧力の増加が、塩水の圧力をオフセットし、それによって塩水浸入を防いでいる。
【0034】
水中戻り排出ポート216を通して垂直に噴射されている第1の量の回収した淡水185によって作り出された水圧マウンド区域218は、界面領域102内の淡水を周囲の塩水よりも高いレベルにする、すなわちマウンドされている。 特に、水圧マウンド区域218内の水位は、塩水経路150内の塩水より0.3インチ高い。 このような水圧マウンド区域218内の水の高さの0.3インチの増加は、周囲の塩水の高さに対する追加的な高さにより、マウンドされた水のより高い圧力と同視される。 水圧マウンド区域218内のマウンドされた水のこのような圧力勾配は、界面領域102内の周囲淡水および円錐経路150内の塩水の重量(または濃度)と等しいか、またはそれより大きくなっている。 従って、水圧マウンド区域218を通じた淡水ボディ104内への塩水の流入が防止される。 運河水門システム110からの淡水の回収および再利用に伴う水中戻り排出ポート216の実現による淡水の高さの増加により、塩水経路150内の周囲塩水の濃度圧力を超えるように第1の量の回収した淡水185の圧力が十分に増加される。 従って、水圧マウンド区域218に関連する淡水の高さの増大により、運河水門システム110の下の方の水門扉132及び138を通して、従って淡水ボディ104内への海水の浸入に対するバリアが創出されている。
【0035】
塩水浸入バリアサブシステム162の第2の構成要素は、図8および図12に最も良く示されている圧縮空気混合区域220の創出である。 この塩水浸入バリアサブシステム162の構成要素は、細気泡ヘッダー222および空気圧縮設備224を備えている。 細気泡ヘッダー222は、図8に示されるように、それぞれ平行水門112および114の下の方の水門扉132、138をちょうど超えて界面領域102の底部幅にわたる4つの8インチ穿孔管226から構成されている。 細気泡ヘッダー222の穿孔管226は、塩水による腐食に耐えるように、例えばエポキシで被覆された金属から作製され得る。 別の方法では、穿孔管226は頑丈で、また腐食に耐える繊維強化配管(FRP:Fiber Reinforced Piping)から作製され得る。
【0036】
空気圧縮設備224は、細気泡ヘッダー222を通して圧縮空気をポンピングする一対のエアコンプレッサ228からなっている。 気泡ヘッダー222内にポンピングされた圧縮空気は、穿孔管226を通して逃がされて淡水を撹拌し、気泡の実質的なカーテンを作り出している。 気泡のカーテンは、表面まで上昇して、表面水レベルを泡立たせて混合(泡立)区域220を形成し、混合(泡立)区域220内の局部水圧を増加させる変位を生じている。 局部水圧が増加することにより、第1の量の回収した淡水185の局部濃度(または重量)も増加される。 淡水の圧力の増加によって、周囲塩水の圧力をオフセットし、淡水ボディ104内への塩水の浸入が防止されている。 更に、気泡のカーテンが水面まで上昇すると、淡水ボディ104と塩水ボディ106との両方の深さの関数として、淡水ボディ104と塩水ボディ106との間の界面領域102に沿って水濃度を等しくする混合(泡立)区域220内の混合流れが創出される。
【0037】
塩水浸入バリアサブシステム162は、水圧マウンド区域218を設ける水中戻り排出ポート216、または混合区域220を設ける細気泡ヘッダー222の何れかを含む場合、塩水浸入を防ぐように適切に機能することができることには留意すべきである。 しかしながら、水中戻り排出ポート216がそれぞれ水圧マウンド区域218および圧縮空気混合区域220を設けるように、細気泡ヘッダー222と合わせて使用される場合に、塩水浸入バリアサブシステム162の最大効率が得られる。 このような状態では、水中戻り排出ポート216から垂直に噴射された淡水は、細気泡ヘッダー222から気泡のカーテンと混合されている。 この混合過程は、下の方の水門扉132および138のちょうど外側で界面領域102に配置された淡水の垂直壁全体を通して生じている。 この混合過程により、塩水ボディ106内の塩水の圧力(濃度)より大きい、またはそれに等しい淡水の垂直壁全体を通じて圧力(濃度)が等しくされている。 これは、(a)淡水の水位が水圧マウンド区域218および圧縮空気混合区域220によって塩水の水位より高くなっており、(b)圧縮空気が塩水と混合されないために、塩水が等しい圧力(濃度)となっていないことによるものである
【0038】
従って、保持リザーバ166が水門水回収サブシステム160によって担持される淡水と塩水経路150の塩水との間の機械的な分離器として働くよう、淡水保持リザーバ166は塩水浸入バリアサブシステム162と協働して動作している。 この保持リザーバ166は、運河水門システム110から排出される淡水全てを受け取り、淡水の制御された一部、すなわち第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)をダム制水弁200および保持リザーバ排出排水溝212へ供給している。 回収した淡水の制御された一部185は次に、図8に示されるように、下方の水門扉132および138のちょうど外側の領域に排出排水溝212を通じて重力により供給されている。 回収した淡水の制御された一部185はその後、水中戻り排出ポート216を通して垂直に噴射されることによって水圧マウンド区域218を提供している。 そして、水圧マウンド区域218の効果として、圧縮空気混合区域220の効果と組み合わせられることにより、直前に説明したように淡水ボディ104内への塩水の浸入を防ぐための、同じ圧力を有する淡水壁が提供されている。
【0039】
本明細書で上に開示した塩水浸入バリアサブシステム162の詳細について上に述べてきたが、次に、淡水保持リザーバ166についての説明を完結させるために再度言及する。 V字形の土石ふるい190の第1のふるい構成要素192および第2のふるい構成要素194が、図5に明示されている。 水門水回収排水溝168によって担持される回収した淡水は上昇排水溝186に入り、土石ふるい190内の複数の流入口188から排出されている。 第1の量の回収した淡水(矢印185によって示す)は、第1のふるい構成要素192を通過すると共に、前述のように、ダム制水弁200およびオーバーフロー水だめ202に向けられている。 (矢印187によって示される第2の量の回収した淡水、および矢印189によって示される第3の量の回収した淡水を含む)回収した淡水の残りは、土石ふるい190の第2のふるい構成要素194を通過し、保持リザーバ166内に流入している。 回収した淡水187および189の残りは、土石ふるい190を通じて濾過されると、第1段階の処理基準を満たすように、保持リザーバ166内での化学前処理が以下の方法で行なわれる。
【0040】
図2にはっきり明示されるように、コース気泡ヘッダー(course air bubbler header)232および化学試薬噴射器234が、コンクリート保持リザーバ166の底部に位置決めされている。 コース気泡ヘッダー232は、塩水浸入バリアサブシステム162に結合された細気泡ヘッダー222と同様であり、少なくとも1本の穿孔管からなっている。 コース気泡ヘッダー232の穿孔管は、それぞれ耐塩水腐食性を有しているエポキシ被膜を備えた金属、または繊維強化配管(FRP)から作製することができる。 圧縮空気をコース気泡ヘッダー232に供給するために利用される空気圧縮装置236が、コース気泡ヘッダー232に接続されている。 コース気泡ヘッダー232は、回収した淡水(矢印187、189によって示される)を酸化するように機能している。 図2に示されるように、化学試薬を試薬噴射器23および回収した淡水内にポンピングするように機能している化学試薬ポンプケース238が、化学試薬噴射装置234に連結されている。 浮遊固形物、すなわち鉱物類および有機類の沈殿および/または浮遊を生じるように、化学試薬または凝集剤が回収した淡水(矢印187、189によって示されている)の残りに加えられている。 この過程では、浄水を提供するために、回収した淡水から浮遊溶剤および固体材料が取り除かれている。 更に、コース気泡ヘッダー232によって回収した淡水内に解放された気泡は、凝集剤が油およびグリースなどの浮遊溶剤および浮遊材料の上へ付着可能となるように、凝集剤を混合するのをアシストしている。
【0041】
回収した淡水(矢印187、189によって示されている)内の浮遊固形物の沈殿は、保持リザーバ166の底部に沈む塊を形成し、螺旋状コンベヤシステム(図示せず)によって取り除かれている。 螺旋状コンベヤシステムは一般的に、主保持タンク(図示せず)内に投入するために保持リザーバ166の底部に形成された複数の底部排水管またはポートの1つ内で汚泥を処分している連続旋回電動スクリュータイプ汚泥除去装置を備えている。 螺旋状コンベヤシステム(図示せず)は普通、水処理設備内で使用されている。 化学試薬または凝集剤によって生じた浮遊固形物の浮遊により、図2、図4A、および図4Bに示されるように、阻流板240によって回収した淡水(矢印187、189によって示される)の上部に浮遊し、そこからすくい取られる泡が生成されている。 阻流板240は一般的に、コース気泡ヘッダー232によって作り出された気泡により発生した泡またはあぶくを隔離および除去して、化学処理された水の汚染を防ぐように、水処理設備内で使用されている。 阻流板240はまた、回収した淡水(矢印187、189によって示される)内に沈殿している固形物を保持リザーバ166の底部配水管またはポート(図示せず)を通じて流入させて、主保持タンク(図示せず)内で処理するように利用することもできる。
【0042】
図2に示されるように、保持リザーバ166内の阻流板240の下流側に配置される回収した淡水(矢印187、189によって示される)はこの時点で、2つの行き先に分配される準備ができているきれいな酸化水である。 第2の量の回収した淡水187は、淡水供給を補給するために、第1のポンプケース242を介して淡水ボディ104に戻るようにポンピングされている。 第2の量の回収した淡水187は、運河水門システム110の動作、商業および公共の要求、農業および灌漑の要求などに利用される。 第3の量の回収した淡水189は、飲用淡水を供給する別の処理のために、第2のポンプケース244を介して図2に示される飲用水処理設備164にポンピングされている。
【0043】
飲用水処理設備164は、図2に最も良く示されている保持リザーバ166からきれいな酸化淡水(すなわち、矢印189によって示された第3の量の回収した淡水)を受け取っている。 曝気ボウル(aeration basin)250は、水処理の前に回収した淡水189を空気に曝すように設けられた開放型のタンクである。 回収した淡水189は、アルコールなどの揮発性有機材料を蒸発させて除去するために空気に曝されなければならない。 曝気ボウル250内に配置された複数のファウンテン(fountains)252が、酸素を回収した淡水189内に引き込む目的で、ウォータージェットを生じている。 回収した淡水(矢印189によって示されている)内で化合物を分解するバクテリアの活動を促進するため、回収した淡水189を更に酸化することが必要である。 化学試薬設備254は、水を浄化して、更に固形物の浮遊を助長する目的で、ソーダ灰、ポリマーなどの化学物質、および他の適切な化学物質を曝気ボウル250から空気に曝された淡水内に噴射する。 複数の混合器256は、完全な混合物を得るために、化学物質および空気に曝された淡水の全てを回転させる(thrash)ように機能している。
【0044】
十分に化学混合された回収した淡水189は次に、複数の沈殿チャンバ258に運ばれ、回収した淡水189内に存在する固形物がチャンバ258の底部で沈殿することができるように利用されている。 沈殿チャンバ258の底部で沈殿した固形物は定期的に、水泳プールを洗浄する際に利用されるのと同様の真空引き過程(図示せず)により除去される。 回収した淡水189はその後、固形物の沈殿を最大限にするために、より長い保持時間で最終沈殿過程ステップを示す沈殿ボウル(settling sedimentation basin)260に運ばれている。 次の段階は、化学処理された水を濾過するのに利用される媒体濾過段階262を含んでいる。 この媒体濾過段階262は、回収した淡水189が次第に当たる無煙炭/石炭、砂、砂利、および活性炭素を備えている。 次に、一対の直径6フィートの管路264は、清浄ウェル(clear well)266に濾過した淡水189を通すためのものであって、この清浄ウェル266は、今やきれいに濾過された飲用水である回収した淡水189用の保持タンクである。 その後、殺菌を行なうため、清浄ウェル266内の濾過した飲用水に塩素が加えられている。 ポンプ室268はその後、濾過した飲用水を清浄ウェル266から引き込み、これを飲料、調理、水浴びなどで使用するために飲用水貯蔵設備(図示せず)に向けてポンピングしている。 屋外変電所270および屋内電気開閉設備272は、塩水浸入防止システム100に電力を供給するために、この塩水浸入防止システム100に隣接して配置されている。
【0045】
要するに、一般的に淡水ボディ104と塩水ボディ106との間の界面領域102で利用される塩水浸入防止システム100の最も基本的な実施形態は、淡水を淡水ボディ104から回収する水回収サブシステム160を備えている。 水回収サブシステム160と流体的に連通されている保持リザーバ166は、回収した淡水を受け、この淡水の方向を変えている。 保持リザーバ166と流体的に連通されている塩水浸入バリアサブシステム162は、淡水ボディ104および塩水ボディ106の界面領域102に位置決めされている。 塩水浸入バリアサブシステム162は、回収した淡水を垂直に噴射して水圧マウンド区域218を設けるための、複数の水中戻り排出ポート216と混合区域220を作り出す細気泡ヘッダー222とを備えている。 水圧マウンド区域218および混合区域222は、塩水ボディ106からの塩水をオフセットするように、淡水の濃度を増加させている。
【0046】
本発明は、従来技術で知られている他の塩水システムを凌ぐ新規の利点を提供している。 塩水浸入防止システム100の主な利点は、(a)第1の量の回収した淡水185を有している淡水ボディ104内への塩水の浸入を防止するための塩水浸入バリアサブシステム162内での使用、(b)第2の量の回収した淡水187を淡水ボディ104に戻すことによって、運河水門システム110の作動に際しての使用、および(c)公共、個人、および商業使用に飲用淡水を供給するための飲用水処理設備164内での使用、に切実に必要とされる淡水を貯蔵、回収、および再利用することにある。 更に、塩水浸入バリアサブシステム162は、それぞれ水圧マウンド区域218および圧縮空気混合(泡立)区域220を設けて、淡水ボディ104内への塩水の浸入を防止するように、水中戻り排出ポート216および細気泡ヘッダー222を利用している。
【0047】
本発明は特定の適用例に対する例示的実施形態を参照して本明細書で説明されたが、本発明はこれに限られないことを理解すべきである。 当業界の通常の技術および本明細書で与えられた教示へのアクセスを有する者は、その範囲内の追加の変更形態、応用例、および実施形態と、本発明がかなり有用である更なる技術分野を認識するであろう。
【0048】
従って、本発明の技術的範囲にこのような変更形態、応用例、および実施形態の何れかおよび全てを含むことは、頭記の特許請求の範囲によって意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の塩水浸入保持システムの航空平面図であって、塩水ボディとの淡水ボディの界面に配置された航行水門システムと共に利用される、淡水ボディ保持リザーバ、塩水浸入バリアサブシステム、および飲用水処理設備をそれぞれ示すものである。
【図2】図1の塩水浸入防止システムのシステムブロック図であって、塩水ボディとの淡水ボディの界面に配置された航行水門システムに関連する、淡水保持リザーバ、塩水浸入バリアサブシステム、および飲用水処理設備の更なる詳細をそれぞれ示すものである。
【図3】水門水回収サブシステムの斜視図であって、航行水門システムの既存の側排水溝および既存の中心排水溝からの水門水を受け取る保持リザーバ水門水回収排水溝を示すものである。
【図4A】淡水保持リザーバの平面図であって、塩水浸入バリアサブシステムに向けられた複数のダム制水弁および排出配管と、土石ふるいへ供給する水門水回収排水溝からの入力配管と、阻流板とを含むコンクリートリザーバとを示すものである。
【図4B】淡水保持リザーバの側面図であって、土石ふるいへ入力配管を供給する水門水回収排水溝と、保持リザーバ排出排水溝に向けられたダム制水弁および排出配管とを備えているコンクリートリザーバを示すものである。
【図5】水門水回収排水溝および保持リザーバ排出排水溝の斜視図であって、回収排水溝と保持リザーバとの間に延びる入力配管と、排出排水溝とオーバーフロー水だめとの間に延びる排出配管とを示すものである。
【図6】図5の線6−6に沿った保持リザーバおよび水門水回収排水溝の断面図を示すと共に図3に示された側排水溝および中心排水溝を示す水門システム排出排水溝を示す図である。
【図7】ダム制水弁を示す図5の線7A−7A、および水圧マウンド区域を提供するような水門水の垂直噴射を示す図8の線7B−7Bに沿った、保持リザーバおよび保持リザーバ排出排水溝の排出側の断面を示す図である。
【図8】それぞれ一対の空気圧縮装置と組み合わせた複数の水中戻り排出ポート、および細気泡ヘッダーを備えている保持リザーバ排出排水溝を示す塩水浸入バリアサブシステムの斜視図である。
【図9】図8の線9−9に沿った細気泡ヘッダーの断面図であり、複数の穿孔スチール管の1つ、および一対の空気圧縮装置を示す図である。
【図10】水圧マウンド区域を設けるのに利用される保持リザーバ排出排水溝、および淡水ボディと塩水ボディとの界面内に空気混合区域を設けるのに利用される細気泡ヘッダーを示す、淡水保持リザーバおよび塩水浸入バリアサブシステムの等測図である。
【図11】塩水浸入バリアサブシステム内に水圧マウンド区域を設けるために保持リザーバ排出排水溝から延在している複数の水中戻り排出ポートの平面図である。
【図12】水圧マウンド区域を設ける保持リザーバ排出排水溝の水中戻り排出ポートの1つを示し、水圧混合区域を設ける細気泡ヘッダーを示す、図8の線12−12に沿った塩水浸入バリアサブシステムの断面図である。
【符号の説明】
【0050】
100 塩水浸入防止システム
102 界面領域
104 淡水ボディ
106 塩水ボディ
108 航行用運河
110 運河水門システム
112,114 平行水門
115 中心壁
116,118,120,122,124,126 段
117,119 側壁
128,130,132,134,136,138 水門扉
140,142,144 排水溝
146 電動マイタ弁
148 横口プラグ弁
150 塩水経路
160 水門水回収サブシステム
164 飲用水処理設備
166 淡水保持リザーバ
168 水門水回収排水溝
170,178,180,182,184 制水弁
172,174,176 連結排水溝
185,187 矢印
186 上昇排水溝
188 流入口
190 土石ふるい
192,194 ふるい構成要素
200 ダム制止弁
202 オーバーフロー水だめ
204 ダム制水制御装置
206 レベル制御装置
208 排水口
210 排水溝
212 排出排水溝
216 水中戻り排出ポート
218 水圧マウンド区域
220 圧縮空気混合区域
222 細気泡ヘッダー
224 空気圧縮設備
226 穿孔管
228 エアコンプレッサ
232 コース気泡ヘッダー
234 化学試薬噴射器
236 空気圧縮装置
238 化学試薬ポンプケース
240 阻流板
242,244 ポンプケース
250 曝気ボウル
252 ファウンテン
254 化学試薬設備
256 混合器
258 沈殿チャンバ
260 沈殿ボウル
262 媒体濾過段階
264 管路
266 清浄ウェル
268 ポンプケース
270 野外変電所
272 屋内電気開閉装置設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムであって、
淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムと、
前記回収した淡水を受けて該淡水の方向を変えるように、前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバと、
前記保持リザーバと流体的に連通されており、前記淡水ボディと前記塩水ボディとの界面に位置決めされていると共に、前記回収した淡水を垂直に噴射して、前記塩水ボディからの塩水をオフセットするように前記淡水の濃度を増加させる水圧マウンド区域を設けるように、複数の水中戻り排出ポートを含む塩水浸入バリアサブシステムとを備えていることを特徴とする塩水浸入防止システム。
【請求項2】
前記水回収サブシステムは、前記淡水ボディからの淡水を集めると共に前記淡水を前記保持リザーバに運ぶための水回収排水溝および弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項3】
前記保持リザーバは、前記回収した淡水中に存在する大きな土石を濾過する土石ふるいを備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項4】
前記保持リザーバは更に、前記保持リザーバ内への塩水の逆流を防止する複数のダム制水弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項5】
前記保持リザーバは更に、前記淡水の複数のダム制水弁への流れを制御するダム制水制御装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項6】
前記保持リザーバは更に、複数のダム制水弁を通過する前記淡水を集めるオーバーフロー水だめを備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項7】
前記オーバーフロー水だめは更に、該オーバーフロー水だめ内の淡水の量を制御するレベル制御部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項8】
前記淡水を前記塩水浸入バリアサブシステムに向けるように、保持リザーバ排出排水溝を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項9】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムであって、
淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムと、
前記回収した淡水を受けて該淡水の方向を変えるように、前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバと、
前記保持リザーバと流体的に連通されており、前記淡水ボディと前記塩水ボディとの界面に位置決めされていると共に、前記回収した淡水を垂直に噴射して水圧マウンド区域を設けるための複数の水中戻り排出ポート、および混合区域を作り出すための細気泡ヘッダーを備えている塩水浸入バリアサブシステムであって、前記水圧マウンド区域および前記混合区域が、前記塩水ボディからの塩水をオフセットするように前記淡水の濃度を増加させる塩水バリアサブシステムとを備えていることを特徴とする塩水浸入防止システム。
【請求項10】
前記塩水浸入バリアサブシステムは更に、圧縮空気を前記細気泡ヘッダーに与える一対の空気圧縮装置を備えていることを特徴とする請求項9に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項11】
前記塩水浸入バリアサブシステムの前記細気泡ヘッダーは、複数の水中穿孔管からなることを特徴とする請求項9に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項12】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムであって、
淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムと、
前記回収した淡水を受け、濾過し、酸化し、方向を変えるように、土石ふるいおよびコース気泡ヘッダーを備えている前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバと、
前記保持リザーバと流体的に連通されており、前記淡水ボディと前記塩水ボディとの界面に位置決めされていると共に、前記回収した淡水を垂直に噴射して水圧マウンド区域を設けるための複数の水中戻り排出ポート、および混合区域を作り出すための細気泡ヘッダーを備えている塩水浸入バリアサブシステムであって、前記水圧マウンド区域および前記混合区域が前記塩水ボディからの塩水をオフセットするように前記淡水の濃度を増加させる塩水バリアサブシステムとを備えていることを特徴とする塩水浸入防止システム。
【請求項13】
圧縮空気を前記コース気泡ヘッダーに供給する圧縮空気装置を更に備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項14】
飲用水処理設備を更に備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項15】
前記保持リザーバは更に、化学凝集剤を加えて前記淡水中の浮遊固形物を沈殿させる化学試薬噴射器を備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項16】
前記保持リザーバは更に、固形物を前記保持リザーバの底部に送り込むための阻流板を備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項17】
前記保持リザーバからの淡水を前記淡水ボディにポンピングするための第1のポンプを更に備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項18】
前記保持リザーバからの前記淡水を飲用水処理設備にポンピングするための第2のポンプを更に備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムであって、
淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムと、
前記回収した淡水を受けて該淡水の方向を変えるように、前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバと、
前記保持リザーバと流体的に連通されており、前記淡水ボディと前記塩水ボディとの界面に位置決めされていると共に、前記塩水ボディからの前記淡水ボディ内への浸入を防止するように、複数の水中戻り排出ポートを含む塩水浸入バリアサブシステムとを備えていることを特徴とする塩水浸入防止システム。
【請求項2】
前記水回収サブシステムは、前記淡水ボディからの淡水を集めると共に前記淡水を前記保持リザーバに運ぶための水回収排水溝および弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項3】
前記保持リザーバは、前記回収した淡水中に存在する大きな土石を濾過する土石ふるいを備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項4】
前記保持リザーバは更に、前記保持リザーバ内への塩水の逆流を防止する複数のダム制水弁を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項5】
前記保持リザーバは更に、前記淡水の複数のダム制水弁への流れを制御するダム制水制御装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項6】
前記保持リザーバは更に、複数のダム制水弁を通過する前記淡水を集めるオーバーフロー水だめを備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項7】
前記オーバーフロー水だめは更に、該オーバーフロー水だめ内の淡水の量を制御するレベル制御部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項8】
前記淡水を前記塩水浸入バリアサブシステムに向けるように、保持リザーバ排出排水溝を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項9】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムであって、
淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムと、
前記回収した淡水を受けて該淡水の方向を変えるように、前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバと、
前記保持リザーバと流体的に連通されており、前記淡水ボディと前記塩水ボディとの界面に位置決めされていると共に、前記回収した淡水を垂直に噴射するための複数の水中戻り排出ポート、および混合区域を作り出すための細気泡ヘッダーを備えている塩水浸入バリアサブシステムであって、前記垂直に噴射された回収した淡水および前記混合区域が、前記塩水ボディからの前記淡水ボディ内への前記塩水の浸入を防止するためのものである塩水バリアサブシステムとを備えていることを特徴とする塩水浸入防止システム。
【請求項10】
前記塩水浸入バリアサブシステムは更に、圧縮空気を前記細気泡ヘッダーに与える一対の空気圧縮装置を備えていることを特徴とする請求項9に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項11】
前記塩水浸入バリアサブシステムの前記細気泡ヘッダーは、複数の水中穿孔管からなることを特徴とする請求項9に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項12】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で使用される塩水浸入防止システムであって、
淡水ボディからの淡水を回収する水回収サブシステムと、
前記回収した淡水を受け、濾過し、酸化し、方向を変えるように、土石ふるいおよびコース気泡ヘッダーを備えている前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバと、
前記保持リザーバと流体的に連通されており、前記淡水ボディと前記塩水ボディとの界面に位置決めされていると共に、前記回収した淡水を垂直に噴射するための複数の水中戻り排出ポート、および混合区域を作り出すための細気泡ヘッダーを備えている塩水浸入バリアサブシステムであって、前記垂直に噴射された回収した淡水および前記混合区域が、前記塩水ボディからの前記淡水ボディ内への前記塩水の浸入を防止するためのものである塩水バリアサブシステムとを備えていることを特徴とする塩水浸入防止システム。
【請求項13】
圧縮空気を前記細気泡ヘッダーに供給する空気圧縮装置を備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項14】
飲用水処理設備を備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項15】
前記保持リザーバは更に、化学凝集剤を加えて前記淡水中の浮遊固形物を沈殿させる化学試薬噴射器を備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項16】
前記保持リザーバは更に、固形物を前記保持リザーバの底部に送り込むための阻流板を備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項17】
前記保持リザーバからの淡水を前記淡水ボディにポンピングするための第1のポンプを備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項18】
前記保持リザーバからの前記淡水を飲用水処理設備にポンピングするための第2のポンプを備えていることを特徴とする請求項12に記載の塩水浸入防止システム。
【請求項19】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面での塩水浸入を防止する方法であって、
淡水ボディからの淡水を回収するステップと、
前記淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で複数の水中排出ポートから前記回収した淡水を垂直に噴射し、それによって前記淡水ボディ内への前記塩水の浸入を防ぐようにカーテンを形成するステップとを備えていることを特徴とする方法。
【請求項20】
回収後かつ噴射前に、前記回収した淡水を受け、方向を変えるステップを備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
噴射前に前記回収した淡水から土石を濾過するステップを備えていることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面での塩水浸入を防止する方法であって、
淡水ボディからの淡水を回収するステップと、
前記淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で複数の水中排出ポートから前記回収した淡水を垂直に噴射するステップと、
細気泡ヘッダーを利用して混合区域を創出し、従って、前記垂直に噴射された回収した淡水および前記混合区域が、前記淡水ボディ内への前記塩水の浸入を防ぐための少なくとも1つのカーテンを形成するステップとを備えていることを特徴とする方法。
【請求項23】
回収後かつ噴射前に、前記回収した淡水を受け、方向を変えるステップを備えていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
噴射前に前記回収した淡水から土石を濾過するステップを備えていることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
化学試薬噴射器を利用して、前記保持リザーバ内の浮遊固形物を沈殿させるステップを備えていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
阻流板を利用して、固形物を前記保持リザーバの底部に送り込むステップを備えていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記淡水の一部を前記保持リザーバから前記淡水ボディにポンピングするステップを備えていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記淡水の一部を前記保持リザーバから飲用水処理センターにポンピングするステップを備えていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項29】
淡水ボディと塩水ボディの界面に位置決めされた塩水浸入バリアシステムであって、
淡水ボディから淡水を回収する手段と、
前記回収した淡水を受けて該淡水の方向を変える手段と、
前記淡水ボディ内への前記塩水ボディからの塩水の浸入を防ぐカーテンを作り出すために、前記淡水ボディと塩水ボディとの界面で前記回収した淡水を排出する手段とを備えていることを特徴とする塩水浸入バリアシステム。
【請求項30】
前記淡水ボディと前記塩水ボディとの前記界面に混合区域を作り出す細気泡ヘッダーであって、前記混合区域は前記淡水ボディ内への前記塩水ボディからの塩水の浸入を防ぐようにカーテンを作り出す細気泡ヘッダーを備えていることを特徴とする請求項29に記載の塩水浸入バリアシステム。
【請求項31】
淡水ボディから淡水を回収する水回収サブシステムを備えていることを特徴とする請求項30に記載の塩水浸入バリアシステム。
【請求項32】
前記回収した淡水を受けて該淡水の方向を変えるように前記水回収サブシステムと流体的に連通されている保持リザーバを備えていることを特徴とする請求項31に記載の塩水浸入バリアシステム。
【請求項33】
圧縮空気を前記細気泡ヘッダーに供給するための一対の空気圧縮装置を更に備えていることを特徴とする請求項30に記載の塩水浸入バリアシステム。
【請求項34】
前記塩水浸入バリアサブシステムの前記細気泡ヘッダーは、複数の水中穿孔管から成っていることを特徴とする請求項30に記載の塩水浸入バリアシステム。
【請求項35】
飲用水処理設備を更に備えていることを特徴とする請求項30に記載の塩水浸入バリアシステム。
【請求項36】
淡水ボディと塩水ボディとの間の界面で塩水浸入を防止する方法であって、
細気泡ヘッダーを利用して混合区域を作り出すステップであって、前記混合区域は前記淡水ボディ内への前記塩水ボディからの塩水の浸入を防ぐようにカーテンを作り出すステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項37】
濃度の低い液体部と濃度の高い液体部との間の界面で濃度の高い液体の侵入を防止する方法であって、
濃度の低い液体部から濃度の低い液体を回収するステップと、
前記濃度の低い液体部と濃度の高い液体部との間の界面で複数の水中排出ポートから前記回収した濃度の低い液体を噴射し、それによって、前記噴射された回収した濃度の低い液体が、前記濃度の低い液体部内への前記濃度の高い液体の浸入を防ぐためのカーテンを形成するステップとを備えていることを特徴とする方法。
【請求項38】
細気泡ヘッダーを利用して混合区域を作り出し、それによって、前記混合区域が前記濃度の低い液体部内への前記濃度の高い液体の浸入を防ぐための第2のカーテンを形成するステップを備えていることを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
濃度の低い液体部と濃度の高い液体部との間の界面に位置決めされた高い濃度の液体浸入バリアシステムであって、
濃度の低い液体部から濃度の低い液体を回収する手段と、
前記回収した濃度の低い液体を受けて該濃度の低い液体の方向を変える手段と、
前記濃度の低い液体部内への前記濃度の高い液体部からの濃度の高い液体の浸入を防ぐカーテンを作り出すように、前記濃度の低い液体部と濃度の高い液体部の界面で前記回収した濃度の低い液体を排出する手段とを備えていることを特徴とする液体浸入バリアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−523272(P2006−523272A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507042(P2006−507042)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/007319
【国際公開番号】WO2004/080793
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505339531)ダブリュピーエスアイ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】