説明

塩素化および充填熱可塑性材料の熱安定性および紫外線抵抗性を改良するための作用物質としての両親媒性コポリマーの使用、前記材料を製造するための方法

本発明は、塩素化および充填熱可塑性組成物であって、少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂および該組成物の熱安定性および紫外線抵抗性を改良する作用物質としての、少なくとも1つの無機充填剤を含有する熱可塑性組成物中において:
少なくとも1つの親水モノマーおよび少なくとも1つの疎水性モノマーからなること、
5,000g/molから20,000g/molの重量平均モル質量および3以下の多分子性指数、ならびに好ましくは10,000g/molから15,000g/molの重量平均モル質量および2.5以下の多分子性指数を有すること
を特徴とする直鎖状の両親媒性コポリマーの使用からなる。
本発明はさらに、塩素化および充填熱可塑性組成物を製造するための方法であって、前記コポリマーならびに前記方法によって直接的に得られる組成物を利用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機充填剤を含有する塩素化熱可塑性材料の分野に関する。本発明は、最終材料の熱安定性および紫外線抵抗性を改良する二重機能を有する、充填剤および樹脂の間の相溶化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩素化熱可塑性材料、および特にPVCをベースとする塩素化熱可塑性材料は、例えば導管(給水管、衛生設備用管、潅漑用管、ケーブルを通過させるための導管)、外装および/または内装建設資材(窓枠、シャッター、ドア、サイディング、吊り天井)または工業用部品の製造などの数多くの用途を有する。
【0003】
塩素化熱可塑性材料は、無機充填剤、例えばタルク、アルミナ、二酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、アルミニウム、シリカ、カオリンまたは天然もしくは合成炭酸カルシウム、これらの充填剤の1つ以上とPVCとの混合物から得られる剛体材料について記載している文献JP50−028105に列挙されている充填剤を含有する。
【0004】
炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムが塩素化熱可塑性材料の物理的特性の一部、例えば剛性、押出中の冷却時間またはダイ構築における改良を可能にするので、塩素化熱可塑性材料のために好ましい充填剤である。このことは、文献「The use of calcium carbonate to enhance the physical properties of rigid vinyl products」(Society of Plastic Engineering,Conf.,October 12−14,1999)に報告されている。
【0005】
当業者の基本的知識によると、これらの材料を作り上げる樹脂は、炭酸カルシウムが分散しにくい疎水性環境である:このことは、無機材料の粒子が上記樹脂内において自然で均質な方法では分散しないことを意味する。この不良な分散もしくはこの不良な分散状態、またはこの不良な相溶性は、最終組成物の機械的および光学的特性の劣化を生じさせる。
【0006】
さらに、当業者は、一般に熱可塑性樹脂、および特に例えばPVCなどの塩素化熱可塑性樹脂との相溶性を改良するために、炭酸カルシウムを加工処理するための方法を開発してきた。文献FR1047087、WO00/20336およびUS4151136は、ワックスおよび8から22個の炭素原子を有する脂肪酸を用いた炭酸カルシウムの表面処理について記載している。現在ではステアリン酸およびステアリン酸の塩が一般に使用されている:この用途は、文献WO02/55596、WO04/09711およびWO01/32787に見いだされる。
【0007】
ステアリンの作用を刺激または増幅させるために、当業者は、弱アニオン性およびくし形であると言われる特殊ポリマー構造を開発してきた。この発現を通して、本質的に直鎖状の骨格および(メタ)アクリル酸型からなり、ポリアルキレンオキシド型の少なくとも1つの「マクロモノマー」からなる少なくとも2つの側鎖セグメントがグラフト化されているコポリマーが開発されてきた。
【0008】
文献WO2007/052122およびWO2008/053296は、当該のポリマーが充填PVC組成物の耐衝撃性および光沢に有益な影響を及ぼすことを証明しており、これらの特性は充填剤および樹脂の相溶性が改良されたことを直接的に裏付ける公知の特性である。この関連は、特に刊行物「Study on ground calcium carbonate and wollastonite composite fillers filling properties and reinforcement mechanisms」(Zhongguo Fenti Jishu,2002,8(1),pp.1−5)、「Recycling of incompatible plastics with reactive compatibilizers」(Special Publication−Royal Society of Chemistry,1997,199 Chemical Aspects of Plastics Recycling,pp.170−179)および「Labor−saving method of testing the dispersibility of titanium dioxide Pigments」(FATIPEC Congress(1988),Vol.III(19th),307−19)において確定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭50−028105号公報
【特許文献2】仏国特許発明第1047087号明細書
【特許文献3】国際公開第00/20336号
【特許文献4】米国特許第4151136号明細書
【特許文献5】国際公開第02/55596号
【特許文献6】国際公開第04/09711号
【特許文献7】国際公開第01/32787号
【特許文献8】国際公開第2007/052122号
【特許文献9】国際公開第2008/053296号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「The use of calcium carbonate to enhance the physical properties of rigid vinyl products」(Society of Plastic Engineering,Conf.,October 12−14,1999)
【非特許文献2】「Study on ground calcium carbonate and wollastonite composite fillers filling properties and reinforcement mechanisms」(Zhongguo Fenti Jishu,2002,8(1),pp.1−5)
【非特許文献3】「Recycling of incompatible plastics with reactive compatibilizers」(Special Publication−Royal Society of Chemistry,1997,199 Chemical Aspects of Plastics Recycling,pp.170−179)
【非特許文献4】「Labor−saving method of testing the dispersibility of titanium dioxide Pigments」(FATIPEC Congress(1988),Vol.III(19th),307−19)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したくし形構造の中で、本出願人は近年、特に有益なポリマーのファミリーを同定したが、これはこれらが無機充填剤および樹脂の相溶性を強化する能力の他に、この組成物を(150℃を超える)高温での押出、射出、加圧、成形、例えば射出成形もしくはカレンダー加工による変換作業にかけることが意図されることが公知である場合の基本的特性である最終組成物の熱安定性を改良するからである。問題のポリマーは、側鎖上にエチレンオキシドとプロピレンオキシドの2つの基が同時に存在することを特徴とする。これは、出願番号FR0858748の仏国特許出願明細書には開示されていない課題を構成する。
【0012】
しかしこれらの後者の構造は、未だ完全な満足を提供していない。実際に、充填組成物は、高温または紫外線に曝露させられるとピンク色に変色することが観察された。この現象は、組成物の表面上で程度の差はあるが顕著なピンク色の着色を生成し、最終使用者にとっての審美的問題を生じさせる。
【0013】
さらに、該組成物の熱安定性および紫外線抵抗性を改良しながら、無機充填剤および無機充填剤がこの中に導入される塩素化樹脂の優れた相溶性を維持するための技術的解決策を探し求めて、本出願人は、一定の分子量に対して所定の多分子性指数を提示する所定の直鎖状の両親媒性コポリマーの使用を完成した。充填剤を該充填剤が導入される樹脂と相溶性にさせる能力に加えて、これらのポリマーは、最終組成物の熱安定性および紫外線抵抗性を改良するための作用物質の機能を有している。
【0014】
このような構造を用いて得られる結果は、特に興味深いことが分かっている:
樹脂中の充填剤の良好な分散状態が維持される:この特性は、充填組成物の光学的特性(光沢)および機械的特性(耐衝撃性)における改良と直接的に関連する、
充填組成物の熱安定性は、CHD(硬化層深さ:Case Hardness Depth)またはゲル化曲線によって測定されるように改良される、
該充填組成物の紫外線抵抗性が改良され、これにより直接的紫外線照射への曝露後または加熱処理後の白色度の測定によって証明されるように、ピンキング現象が減少する、
および充填組成物に関して:
ステアリン酸以外の相溶化剤を全く含有していない、
ステアリン酸に加えて、先行技術によって明らかにされたくし形の相溶化剤を含有している、
ステアリン酸に加えて、両親媒性であるが非直鎖状型の、および/または本発明の分子量および多分子性指数の特性を提示しない相溶化剤を含有している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、本発明の第1の課題は、塩素化および充填熱可塑性組成物であって、少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂および該組成物の熱安定性および紫外線抵抗性を改良する作用物質としての少なくとも1つの無機充填剤を含有する塩素化および充填熱可塑性組成物中において:
少なくとも1つの親水性コモノマーおよび少なくとも1つの疎水性コモノマーからなり、
5,000g/molから20,000g/molの重量平均モル質量および3以下の多分子性指数、ならびに好ましくは10,000g/molから15,000g/molの重量平均モル質量および2.5以下の多分子性指数を有する
ことを特徴とする直鎖状の両親媒性コポリマーの使用からなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「直鎖状」とは、本出願人は、両親媒性コポリマーが本質的に直鎖状であること、即ち該両親媒性コポリマーがフリーラジカル重合の結果として生じるわずかな量のランダム分岐を含む可能性があることを意味している。
【0017】
この使用はさらに、該直鎖状の両親媒性コポリマーが各コモノマーのモル%で、60モル%から95モル%の親水性コモノマーおよび5モル%から40モル%の疎水性コモノマー、好ましくは70モル%から90モル%の親水性コモノマーおよび10モル%から30モル%の疎水性コモノマーを含有することも特徴とする。
【0018】
この使用はさらに、該親水性コモノマーがアクリル酸、メタクリル酸およびこれらのコモノマーのブレンドから選択されることも特徴とする。
【0019】
この使用はさらに、該疎水性コモノマーがスチレンおよびアルキルアクリレートならびに特にブチルスチレンおよびブチルアクリレートを含むこれらのブレンドから選択されることも特徴とする。
【0020】
この使用はさらに、該直鎖状の両親媒性コポリマーがランダム構造またはブロック構造を有することも特徴とする。
【0021】
従って、本発明によって使用されるコポリマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸と疎水性コモノマー、例えばブチルアクリレートまたはスチレンとの共重合によって得られる。該コポリマーは、制御されたフリーラジカル重合によって、2,2’−[カルボノチオイルビス(チオ)]ビスのプロピオン酸の塩、および特にこれのナトリウム塩(No.CAS864970−33−2)である特定連鎖移動剤を使用して、排他的に水中で合成した。この塩の一般式は、以下:
【0022】
【化1】

(式中、Mは、水素原子、アミン塩、アンモニウムまたはアルカリカチオン、およびより好ましくはナトリウムカチオンを示す。)
である。
【0023】
酸形で得られるこのコポリマーはさらに、一価もしくは多価カチオンを有する1つ以上の中和剤によって部分的または完全に中和することができ、該中和剤は、好ましくはアンモニアから、またはカルシウム、マグネシウムの水酸化物および/または酸化物から、またはナトリウム、カリウム、リチウムの水酸化物から選択され、特に好ましくは、該中和剤は水酸化ナトリウムである。
【0024】
該コポリマーは、場合により、中和の前または後に、当業者には公知のランダム法もしくはダイナミック法によって、特に水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール類、アセトン、テトラヒドロフランまたはこれらのブレンドを含む群に属する1つ以上の極性溶媒によって複数の相に処理および分離することができる。相の1つは、本発明によって使用されるポリマーである。
【0025】
また別の変形によると、該コポリマーは、さらに乾燥させることができる。
【0026】
この使用はさらに、該塩素化および充填熱可塑性組成物が、該組成物の総重量に関連して:
(a)0.1から99乾燥重量%の少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂、
(b)0.1から90乾燥重量%、好ましくは5から50乾燥重量%の少なくとも1つの無機充填剤、
(c)0.01から5乾燥重量%、好ましくは0.1から3乾燥重量%の該直鎖状の両親媒性コポリマー、
(d)該両親媒性コポリマーではない、0から20乾燥重量%、好ましくは5から20乾燥重量%の熱安定剤および/または紫外線安定剤および/または潤滑剤および/またはレオロジー改質剤および/または衝撃改質剤および/または加工処理剤(processability agent)、
(e)該無機充填剤の乾燥重量に関連して0から3乾燥重量%、好ましくは0から1乾燥重量%、非常に好ましくは0から0.5乾燥重量%、極めて好ましくは0から0.2乾燥重量%の該両親媒性コポリマー以外の相溶化剤であって、この相溶化剤は、好ましくは8から20個の炭素原子を有する脂肪酸であり、該酸は、好ましくはステアリン酸およびステアリン酸の塩から選択される相溶化剤
を含有することも特徴とする。
【0027】
この使用はさらに、該塩素化熱可塑性樹脂がPVC、塩素化ポリビニルクロライド(CPVC)、塩素化ポリエチレン、PVC−ポリビニルアセテート(PVC−PVAC)タイプのコポリマーおよびこれらのブレンドから選択されることも特徴とする。
【0028】
この使用はさらに、該無機充填剤が天然もしくは合成炭酸カルシウム、ドロマイト類、石灰岩、カオリン、タルクおよびこれらのブレンドから選択され、好ましくは天然もしくは合成炭酸カルシウムであることも特徴とする。
【0029】
この使用はさらに、該直鎖状の両親媒性コポリマーが該無機充填剤の破砕工程において利用されるが、該破砕工程は乾式破砕もしくは乾燥工程が後に続く湿式破砕工程であること、および好ましくは後に乾燥する工程が続く該無機充填剤の湿式破砕工程中に利用されることも特徴とする。
【0030】
この使用はさらに、該無機充填剤がSedigraph(商標)5100によって測定して0.5から5μm、および好ましくは0.6μmから1.5μmの平均径を有することも特徴とする。
【0031】
この使用はさらに、該無機充填剤がSedigraph(商標)5100によって測定して2μm未満の径を有する粒子を10重量%から99重量%、好ましくは50重量%から95重量%、およびより好ましくは60重量%から90重量%有することも特徴とする。
【0032】
この使用はさらに、該塩素化および充填熱可塑性組成物が項目(a)から(e)の少なくとも1つの乾式混合工程を実施する方法によって形成されることも特徴とする。
【0033】
この使用はさらに、該塩素化および充填熱可塑性組成物が押出または射出成形による少なくとも1つの変換工程を実施する方法によって形成されることも特徴とする。
【0034】
この使用はさらに、該塩素化および充填熱可塑性組成物が少なくとも1つの工程を150から250℃、および好ましくは180から220℃の温度で実施する方法によって形成されることも特徴とする。
【0035】
本発明のまた別の課題は、少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂および少なくとも1つの無機充填剤を含有する塩素化および充填熱可塑性組成物を製造する方法であって:
a)該無機充填剤の少なくとも1つの破砕する工程と、
b)後に該熱可塑性樹脂内に工程a)で得られた破砕された無機充填剤を組み込む少なくとも1つの工程と
を含み、
工程a)の経過において:
少なくとも1つの親水性モノマーおよび少なくとも1つの疎水性モノマーからなる、
および5,000g/molから20,000g/molの重量平均モル質量および3以下の多分子性指数、ならびに好ましくは10,000g/molから15,000g/molの重量平均モル質量および2.5以下の多分子性指数を有する
直鎖状の両親媒性コポリマーを利用することを特徴とする方法である。
【0036】
この方法はさらに、該両親媒性コポリマーが各コモノマーのモル%で、60モル%から95モル%の親水性モノマーおよび5モル%から40モル%の疎水性モノマー、好ましくは70モル%から90モル%の親水性モノマーおよび10モル%から30モル%の疎水性モノマーを含有することも特徴とする。
【0037】
この方法はさらに、該親水性コモノマーがアクリル酸、メタクリル酸およびこれらのコモノマーのブレンドから選択されることも特徴とする。
【0038】
この方法はさらに、該疎水性コモノマーがスチレンおよびアルキルアクリレートならびにより詳細にはブチルスチレンおよびブチルアクリレートを含むこれらのブレンドから選択されることも特徴とする。
【0039】
この方法はさらに、該直鎖状の両親媒性コポリマーがランダム構造またはブロック構造を有することも特徴とする。
【0040】
この方法はさらに、該塩素化および充填熱可塑性組成物が、この総重量に関連して:
(a)0.1から99乾燥重量%の少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂、
(b)0.1から90乾燥重量%、好ましくは5から50乾燥重量%の少なくとも1つの無機充填剤、
(c)0.01から5乾燥重量%、好ましくは0.1から3乾燥重量%の該直鎖状の両親媒性コポリマー、
(d)該両親媒性コポリマーではない、0から20乾燥重量%、好ましくは5から20乾燥重量%の熱安定剤および/または紫外線安定剤および/または潤滑剤および/またはレオロジー改質剤および/または衝撃改質剤および/または加工処理剤、
(e)該無機充填剤の乾燥重量に関連して0から3乾燥重量%、好ましくは0から1乾燥重量%、非常に好ましくは0から0.5乾燥重量%、極めて好ましくは0から0.2乾燥重量%の該両親媒性コポリマー以外の相溶化剤であって、好ましくは8から20個の炭素原子を有する脂肪酸であり、該酸は、好ましくはステアリン酸およびステアリン酸の塩から選択される相溶化剤
を含有することも特徴とする。
【0041】
この方法はさらに、該塩素化熱可塑性樹脂がPVC、塩素化ポリビニルクロライド(CPVC)、塩素化ポリエチレン、PVC−ポリビニルアセテート(PVC−PVAC)タイプのコポリマーおよびこれらのブレンドから選択されることも特徴とする。
【0042】
この方法はさらに、該無機充填剤が天然もしくは合成炭酸カルシウム、ドロマイト類、石灰岩、カオリン、タルクおよびこれらのブレンドから選択され、好ましくは天然もしくは合成炭酸カルシウムであることも特徴とする。
【0043】
この方法はさらに、工程a)が乾式破砕工程または後に乾燥する工程が続く湿式破砕工程、および好ましくは後に乾燥する工程が続く該無機充填剤の湿式破砕工程であることも特徴とする。
【0044】
この方法はさらに、該無機充填剤がSedigraph(商標)5100によって測定して0.5から5μm、および好ましくは0.6μmから1.5μmの平均径を有することも特徴とする。
【0045】
この方法はさらに、該無機充填剤がSedigraph(商標)5100によって測定して2μm未満の径を有する粒子を10重量%から99重量%、好ましくは50重量%から95重量%、およびより好ましくは60重量%から90重量%有することも特徴とする。
【0046】
この方法はさらに、工程b)の後に押出または射出成形によって変換する少なくとも1つの工程c)が続くことも特徴とする。
【0047】
この方法はさらに、工程c)が150から250℃および好ましくは180から220℃の温度で実施されることも特徴とする。
【0048】
本発明の最後の課題は、本発明による方法によって得られる塩素化および充填熱可塑性組成物からなる。
【0049】
本発明の範囲および利益は、限定するためではない以下の実施例を読むことにより最もよく理解できる。
【実施例】
【0050】
全ての実施例において、Mwと表示する重量平均モル質量およびPIと表示する多分子性指数は:
直鎖状のコポリマーについては文献WO02/070571に記載された方法に従って、
およびくし形のコポリマーについては文献WO2008/107787に記載された方法に従って
決定する。
【0051】
実施例1
本実施例では、様々な仮説的事例:
相溶化剤が非存在である場合(試験番号1)、
先行技術に記載のくし形ポリマーである相溶化剤が存在する場合(試験番号2および3)、
くし形両親媒性コポリマーが存在する場合(試験番号4から7)、
本発明の分子量および多分子性指数の特性を提示しない直鎖状の両親媒性コポリマーが存在する場合(試験番号8)、
本発明の分子量および多分子性指数の特性を提示する直鎖状の両親媒性コポリマーが存在する場合(試験番号9から13)
において耐衝撃性、光沢、熱安定性および紫外線抵抗性が測定されている、PVCをベースとし、炭酸カルシウムを含有する組成物の製造を例示する。
【0052】
充填PVCの組成:
ARKEMA(商標)社によって名称Lacovyl(商標)S110Pの下で市販されている2,200gのPVC樹脂
KRONOS(商標)社によって名称Kronos(商標)2200の下で市販されている110gの二酸化チタン
ARKEMA(商標)社によって名称Durastrength(商標)320の下で市販されている132gのコア・シェル型の有機衝撃改質用添加物
BARLOCHER(商標)社によって名称One Pack Baeropan(商標)の下で市販されている55gの熱安定剤
LAPASSE ADDITIVES CHEMICALS(商標)社によって名称Lacowax(商標)EPの下で市販されている1.1gの潤滑剤
OMYA(商標)社によって市販されているHydrocarb 90 OGを乾燥させた結果として生じる、粉末形にある352gの炭酸カルシウム
【0053】
炭酸カルシウムの乾燥粉末を入手する
Hydrocarb 90 OGと言及される懸濁液は、Sedigraph(商標)5100によって測定した場合に2μm未満の径を有し、Sedigraph(商標)5100によって測定した場合に0.7μmの平均径を有する粒子を90重量%含む石灰岩懸濁液である。
【0054】
Hydrocarb 90 OG製品は、NIRO(商標)社によって市販されているNiro Minor Mobile 2000型のスプレー乾燥機によって乾燥させた。この乾燥する工程の特性は:
ガス入口温度:350℃
ガス出口温度:102から105℃
換気口の開口:99%まで
空気圧:4bar
である。
【0055】
乾燥する工程は、炭酸カルシウムの乾燥重量に関して表示した:
0.90乾燥重量%のステアリン酸、
および先行技術による相溶化剤が存在する場合は0.45乾燥重量%、または本発明による相溶化剤が使用される場合は0.7乾燥重量%のステアリン酸
の存在下で実施する。
【0056】
乾燥PVCブレンドの製造
各試験について、試験は塩素化熱可塑性材料の組成物を作り上げる様々な成分のブレンドの調製から開始する。当該のブレンドは、当業者には周知の方法に従って製造する。
【0057】
PVCの乾燥ブレンドの押出
全ての乾燥ブレンドは、2軸および平板薄膜ダイ(25mm×3mm)を装備したThermoelectron Polylab(商標)600 610Pシステムを用いて押し出した。
【0058】
PVCプロファイルは次に、15℃の水浴中でキャリブレートし、Yvroudシステム上で積層させる。押出パラメータは:
4つのゾーンの温度:170℃
スクリュー速度:30RPM
である。
【0059】
衝撃強度の測定
衝撃強度の測定は、英国規格BS7413:2003に従って実施する。測定値は、MUTRONIC(商標)社によって市販されているDiadisc(商標)4200機を用いて製造された試験片10片ずつのバッチについて平均した。
【0060】
このパラメータは、「impact(衝撃)」と指定し、kJ/mで表示する。
【0061】
光沢の測定
光沢の測定は、BYK−GARDNER(商標)社によって市販されているTri−Gloss分光光度計を使用して60°で実施した。
【0062】
このパラメータは、「光沢60」と指定し、無次元である。
【0063】
熱安定性の測定
熱安定性の現象は、2種の異なる方法によって決定する。
【0064】
第1の方法はCHDに基づき、第2の方法はゲル化曲線に基づく。
【0065】
CHD測定は、200℃でのPVCサンプルの脱塩化水素(dehydrochloration)の速度を決定することを可能にする。CHD測定は、これらのサンプルの熱安定性を表す。およそ0.5gのPVCサンプルを200℃のMetrohm社製763 PVC Thermomat型装置内に配置する。サンプルが放出したHCL蒸気の量は、この中で導電性の発生が続く60mLの2回置換水溶液中に導入する。「tDHC」(min.)と指定する安定化時間は、水溶液の導電性が50μS/cmの数値に達する時点から始まる時間である。この時間が長いほど、サンプルの安定性は優れている。
【0066】
ゲル化曲線は、特殊加熱処理にかけられるPVCの乾燥ブレンドに対して生成される。PVCのこれらの乾燥ブレンドは、下記のパラメータ:
30RPMの速度、
190℃の温度、
69cmの容積
を有する内蔵ブレンダー(Thermoelectron Rheomix 600 610P)内に配置される。
【0067】
時間の関数としてのブレンダートルクの曲線を記録する。この曲線は、190℃の温度での経時的なPVC乾燥ブレンド粘度の漸進的変化の表示を可能にする。この意味では、および「PVCの乾燥ブレンドの押出物」と言われるパーツとは相違して、Thermoelectron機器をブレンダーとして使用する:PVCの該乾燥ブレンドは所定の加熱処理にかけられ、この間に該ブレンドの粘度の漸進的変化が追跡される。
【0068】
PVCの乾燥ブレンドの粘度における初期増加期間の後にPVCゲル化期に対応する急激な減少が続き、この後にこの材料の正常押出期に対応する約10分間までのトルク安定化期が続く。次に、加工処理された充填剤の特性に依存して、PVC材料の熱劣化に対応する内蔵ブレンダートルクの新規な漸進的変化が観察される。16分後には、大きく劣化するPVC調製物は、安定性のままであるPVC調製物から明白に識別することができる。この時点でのトルクの数値を測定し、「トルク(torque)」(N.m2)と指定する。この数値が小さいほど、ブレンドの安定性は優れている。
【0069】
ピンキングの測定
ピンキングの現象は、押出期から直接排出され、20×0.9cmのストリップに切断されたPVCのサンプル上のパラメータ「a」の測定(周知のベンチマーク座標L、a bにおける赤色の測定)を通して決定する(押出パラメータは上記に指示されている。)。
【0070】
このパラメータは、単純に「a」と指定する。このパラメータが弱いほど、ピンキングはより弱まる。
【0071】
さらにこのパラメータは、「a」における変化を通して、押出機からの20×0.9cmのストリップに切断されたPVCサンプルを12/24Sepap筐体内で60℃で500時間にわたり水銀ランプ(200から450nm)へ曝露させた後にもまた決定する。
【0072】
このパラメータは、「ΔaUV」と指定する。このパラメータが大きいほど、サンプルの色はピンクに近付く。
【0073】
使用したポリマーを以下の頁に列挙し、適用可能な結果は表1に要約する。
【0074】
試験番号1
本試験は、参照を構成し、相溶化剤を使用しない。
【0075】
試験番号2
本試験は、先行技術を示し:
82.0重量%のアクリル酸、
18.0重量%のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)
によって構成され、
Mw=65,000g/molおよびPI=2.8を有するくし形ポリマーを使用する。
【0076】
試験番号3
本試験は、先行技術を示し:
84.0重量%のメタクリル酸、
16.0重量%のヒドロキシポリアルキレングリコールメタクリレート(Mw=3,000g/mol)
によって構成され、
Mw=65,000g/molおよびPI=2.8を有するくし形ポリマーを使用する。
【0077】
試験番号4
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=2,000g/mol)と疎水性コモノマー(ブチルアクリレート)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ((AA−co−MEPEGM 2000)−ブロック−BAc)は:
55.1モル%のアクリル酸、
22.8モル%のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=2,000g/mol)、
22.1%のブチルアクリレート
から構成され、
Mw=33,800g/molおよびPI=3.93を有する。
【0078】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に600gの水および水中で21.70%の37.05gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0079】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
22.5gのブチルアクリレート、
6.45gのNaおよび75gの水からなる水溶液、
1.95gのNaおよび75gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0080】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
31.5gのアクリル酸および240gの水中に希釈させたMw=2,000g/molを有する360gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート、
3.75gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液、
1.05gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0081】
過酸化水素の水溶液(15gの水中で35%の0.92gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸およびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート2000と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0082】
試験番号5
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=2,000g/mol)と疎水性コモノマー(スチレン)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ((AA−co−MEPEGM 2000)−ブロック−Sty)は:
55.1モル%のアクリル酸、
22.7モル%のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=2,000g/mol)、
22.2モル%のスチレン
から構成され、
Mw=23,100g/molおよびPI=3.32を有する。
【0083】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に600gの水および水中で21.70%の37.05gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0084】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
18.30gのスチレン、
6.45gのNaおよび75gの水からなる水溶液、
1.95gのNaおよび75gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0085】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
240gの水中に希釈させた31.5gのアクリル酸および360gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=2,000g/mol)、
3.75gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液、
1.05gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0086】
過酸化水素の水溶液(15gの水中で35%の0.92gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸およびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート2000と疎水性コモノマーであるスチレンとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0087】
試験番号6
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)と疎水性コモノマー(スチレン)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ((AA−co−MEPEGM5000)−ブロック−Sty)は:
55.2モル%のアクリル酸、
22.7モル%のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)、
22.1モル%のスチレン
から構成され、
Mw=29,400g/molおよびPI=2.63を有する。
【0088】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に600gの水および水中で21.70%の37.05gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0089】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
18.24gのスチレン、
6.45gのNaおよび75gの水からなる水溶液、
1.95gのNaおよび75gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0090】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
240gの水中に希釈させた31.5gのアクリル酸および360gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)、
3.75gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液、
1.05gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0091】
過酸化水素の水溶液(15gの水中で35%の0.92gのH2O2)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸およびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート5000と疎水性コモノマーであるスチレンとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0092】
試験番号7
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)と疎水性コモノマー(ブチルアクリレート)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ((AA−co−MEPEGM5000)−ブロック−BAc)は:
55.2モル%のアクリル酸、
22.7モル%のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)、
22.1モル%のブチルアクリレート
から構成され、
Mw=51,800g/molおよびPI=3.39を有する。
【0093】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に600gの水および水中で21.70%の37.05gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0094】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
22.50gのブチルアクリレート、
6.45gのNaおよび75gの水からなる水溶液、
1.95gのNaおよび75gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0095】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
240gの水中に希釈させた31.5gのアクリル酸および360gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)、
3.75gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液、
1.05gのNaおよび37.5gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0096】
過酸化水素の水溶液(15gの水中で35%の0.92gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸およびメトキシポリエチレングリコールメタクリレート5000と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0097】
試験番号8
本試験は本発明ではなく、水中のアクリル酸と疎水性コモノマー(ブチルアクリレート)とのランダム両親媒性コモノマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ(AA−co−BAc)は:
9.0.0モル%のアクリル酸、
10.0モル%のブチルアクリレート
から構成され、
Mw=12,000g/molおよびPI=3.4を有する。
【0098】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に219.6gの水および293.43gのイソプロパノールおよび1.4gのAZDNを導入する。
【0099】
攪拌しながら、次に合成反応装置を還流下で加熱し、226.96gのアクリル酸、44.84gのブチルアクリレートおよび175.2gの水を2時間かけて導入する。
【0100】
次に媒質を蒸留し(イソプロパノールの除去)、pH=12.8になるまで水酸化ナトリウムを用いて中和する。アクリル酸と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートとの「従来型」ナトリウム中和ランダムコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0101】
試験番号9
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸と疎水性コモノマー(スチレン)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ(AA−ブロック−Sty)は:
90.0モル%のアクリル酸、
10.0モル%のスチレン
から構成され、
Mw=9,600g/molおよびPI=2.0を有する。
【0102】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に600gの水および水中で21.70%の83.1gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0103】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
17.25gのスチレン、
12.90gのNaおよび150gの水からなる水溶液、
3.90gのNaおよび150gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0104】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
75gの水中に希釈させた105gのアクリル酸、
1.5gのNaおよび75gの水からなる水溶液、
0.42gのNaおよび75gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0105】
過酸化水素の水溶液(15gの水中で35%の1.83gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸と疎水性コモノマーであるスチレンとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0106】
試験番号10
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸と疎水性コモノマー(ブチルアクリレート)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ(AA−ブロック−BAc)は:
90.0モル%のアクリル酸、
10.0モル%のブチルアクリレート
から構成され、
Mw=14,800g/molおよびPI=2.5を有する。
【0107】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に800gの水および水中で19.35%の110.8gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0108】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
30gのブチルアクリレート、
17.2gのNaおよび100gの水からなる水溶液、
5.2gのNaおよび100gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0109】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
100gの水中に希釈させた140gのアクリル酸、
2gのNaおよび50gの水からなる水溶液、
0.56gのNaおよび50gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0110】
過酸化水素の水溶液(20gの水中で35%の1.2gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0111】
試験番号11
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸と疎水性コモノマー(ブチルアクリレート)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ(AA−ブロック−BAc)は:
80.0モル%のアクリル酸、
20.0モル%のブチルアクリレート
から構成され、
Mw=8,600g/molおよびPI=2.3を有する。
【0112】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に800gの水および水中で21.70%の368.81gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0113】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
56.6gのブチルアクリレート、
51.6gのNaおよび150gの水からなる水溶液、
15.6gのNaおよび100gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0114】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
114gの水中に希釈させた125.3gのアクリル酸、
6gのNaおよび50gの水からなる水溶液、
1.68gのNaおよび50gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0115】
過酸化水素の水溶液(20gの水中で35%の3.6gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0116】
試験番号12
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸と疎水性コモノマー(ブチルアクリレートおよびステアリルメタクリレート)とのブロック両親媒性コポリマーを使用する。両親媒性コポリマーであるポリ(AA−ブロック−(BAc−co−Stearyl Meth))は:
80.0モル%のアクリル酸、
10モル%のブチルアクリレート、
10モル%のステアリルメタクリレート
から構成され、
Mw=12,600g/molおよびPI=2.3を有する。
【0117】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に800gの水および水中で21.70%の123.22gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0118】
攪拌しながら、次に合成反応装置を65℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
28gのブチルアクリレートおよび74.86gのステアリルメタクリレート、
17.2gのNaおよび100gの水からなる水溶液、
5.2gのNaおよび100gの水からなる水溶液
を1時間にわたって並行して導入する。
【0119】
さらにまだ攪拌しながら、次に以下の3種の溶液:
114gの水中に希釈させた125.3gのアクリル酸、
2gのNaおよび50gの水からなる水溶液、
0.56gのNaおよび50gの水からなる水溶液
を1.5時間かけて65℃で並行して導入する。
【0120】
過酸化水素の水溶液(20gの水中で35%の1.2gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートおよびステアリルメタクリレートとのナトリウム中和ブロックコポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0121】
試験番号13
本試験は、本発明を示し、水中のアクリル酸と疎水性コモノマー(ブチルアクリレート)との制御されたPIでのランダム構造両親媒性コポリマーの合成を使用する。両親媒性コポリマーであるポリ(AA−co−BAc)は:
90.0モル%のアクリル酸、
10モル%のブチルアクリレート
から構成され、
Mw=12,700g/molおよびPI=2.5を有する。
【0122】
機械的攪拌装置および油浴型加熱装置を装備した2Lの反応装置内に500gの水および水中で21.70%の57.75gのフォーミュラ移動剤(I)(Mはナトリウムカチオンを指定する。)を導入する。
【0123】
攪拌しながら、次に合成反応装置を90℃の温度へ加熱し、以下の3種の溶液:
315.9gのアクリル酸、62.4gのブチルアクリレートおよび72.1gの水、
31.32gのNaおよび100gの水からなる水溶液、
8.93gのNaおよび100gの水からなる水溶液
を1.5時間にわたって並行して導入する。
【0124】
過酸化水素の水溶液(20gの水中で35%の1.2gのH)を用いた処理後、結果として生じる溶液は次に水酸化ナトリウムを用いて90℃でpH=12へ中和する。Naを用いた最終後処理を実施する。アクリル酸と疎水性コモノマーであるブチルアクリレートとのナトリウム中和PI制御コポリマーを含有する安定性水溶液が得られる。
【0125】
【表1】


表1は、下記の略語が指定する意味を示している(この他は明白である、または既に明確にされている。):
REF:参照
PA:先行技術
OI:非本発明
IN:本発明
MEPEGM2000:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=2,000g/mol)
MEPEGM5000:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(Mw=5,000g/mol)
HYPAGM3000:ヒドロキシポリアルキレングリコールメタクリレート(Mw=3,000g/mol)
【0126】
最初に、この表を読むと、サンプルの耐衝撃性および光沢に相溶化剤(これが何であろうと)が及ぼす肯定的な影響を証明していることが分かる。この作用物質は、充填剤と樹脂との間を相溶化する役割を果たし、第2物質内の第1物質の分散を改良する:耐衝撃性および光沢の機械的特性は、予測されたように改良される。
【0127】
サンプルの熱安定性のレベルでは、先行技術に属する試験番号3による非両親媒性くし形ポリマーが、予測されたように試験番号2によるこの対応物より高度に機能することは明白である:まさにこの熱安定剤機能について、試験番号3によるポリマーが、出願番号FR0858748を有するまだ公開されていない仏国特許出願明細書において主張された。さらに、この非両親媒性くし形ポリマーが、本発明ではない両親媒性くし形ポリマーを用いて得られた数値と比較して、改良された熱安定性をもたらすことは明白である。本発明による直鎖状の両親媒性コポリマーがより優れた結果:CHDの観点ならびにゲル化曲線の観点の両方から高度に改良された熱安定性をもたらすことは真実である。
【0128】
最後に、本発明によるコポリマーがピンキングに関してより良好な結果をもたらすことは明白である。これらをまとめると、本発明によるポリマーは、無機充填剤と樹脂の相溶性を変化させないが(耐衝撃性および光沢の特性の保持)、ピンキングの傾向を減少させながら全ての充填材料の熱安定性を有意に改良する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素化および充填熱可塑性組成物であって、少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂および前記組成物の熱安定性および紫外線抵抗性を改良する作用物質としての少なくとも1つの無機充填剤を含有する塩素化および充填熱可塑性組成物において:
少なくとも1つの親水性モノマーおよび少なくとも1つの疎水性モノマーからなること、
5,000g/molから20,000g/molの重量平均モル質量および3以下の多分子性指数、ならびに好ましくは10,000g/molから15,000g/molの重量平均モル質量および2.5以下の多分子性指数を有すること
を特徴とする直鎖状の両親媒性コポリマーの使用。
【請求項2】
前記両親媒性コポリマーは、各モノマーのモル%で、60モル%から95モル%の親水性モノマーおよび5モル%から40モル%の疎水性モノマー、好ましくは70モル%から90モル%の親水性モノマーおよび10モル%から30モル%の疎水性モノマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
親水性コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのモノマーのブレンドから選択されることを特徴とする、請求項1または2の一項に記載の使用。
【請求項4】
疎水性コモノマーは、スチレンおよびアルキルアクリレートならびにブチルスチレンおよびブチルアクリレートを含むこれらのブレンドから選択されることを特徴とする、請求項1から3に記載の使用。
【請求項5】
前記直鎖状の両親媒性コポリマーがランダム構造またはブロック構造を有することを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の使用。
【請求項6】
塩素化充填熱可塑性組成物は、この総重量に関連して:
(a)0.1から99乾燥重量%の少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂、
(b)0.1から90乾燥重量%、好ましくは5から50乾燥重量%の少なくとも1つの無機充填剤、
(c)0.01から5乾燥重量%、好ましくは0.1から3乾燥重量%の前記直鎖状の両親媒性コポリマー、
(d)前記両親媒性コポリマーではない、0から20乾燥重量%、好ましくは5から20乾燥重量%の熱安定剤および/または紫外線安定剤および/または潤滑剤および/またはレオロジー改質剤および/または衝撃改質剤および/または加工処理剤、
(e)無機充填剤の乾燥重量に関連して0から3乾燥重量%、好ましくは0から1乾燥重量%、非常に好ましくは0から0.5乾燥重量%、極めて好ましくは0から0.2乾燥重量%の前記両親媒性コポリマー以外の相溶化剤であって、この相溶化剤は、好ましくは8から20個の炭素原子を有する脂肪酸であり、前記酸は、好ましくはステアリン酸およびステアリン酸の塩から選択される相溶化剤
を含有することを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の使用。
【請求項7】
塩素化熱可塑性樹脂は、PVC、塩素化ポリビニルクロライド(CPVC)、塩素化ポリエチレン、PVC−ポリビニルアセテート(PVC−PVAC)タイプのコポリマーおよびこれらのブレンドから選択されることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
無機充填剤は、天然もしくは合成炭酸カルシウム、ドロマイト類、石灰岩、カオリン、タルクおよびこれらのブレンドから選択され、好ましくは天然もしくは合成炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の使用。
【請求項9】
前記直鎖状の両親媒性コポリマーは、前記無機充填剤の破砕工程において利用されるが、前記破砕工程は乾式破砕もしくは乾燥工程が後に続く湿式破砕工程であること、および好ましくは後に乾燥する工程が続く前記無機充填剤の湿式破砕工程中に利用されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の使用。
【請求項10】
前記無機充填剤は、Sedigraph(商標)5100によって測定して0.5から5μm、および好ましくは0.6μmから1.5μmの平均径を有することを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項11】
前記無機充填剤は、Sedigraph(商標)5100によって測定して2μm未満の径を有する10重量%から重量99%、好ましくは50重量%から95重量%、およびより好ましくは60重量%から90重量%の粒子を有することを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の使用。
【請求項12】
塩素化および充填熱可塑性組成物は、項目(a)から(e)の少なくとも1つの乾式混合工程を実施する方法によって形成されることを特徴とする、請求項6に記載の使用。
【請求項13】
前記塩素化および充填熱可塑性組成物は、押出または射出成形による少なくとも1つの変換工程を実施する方法によって形成されることを特徴とする、請求項1から12の一項に記載の使用。
【請求項14】
塩素化および充填熱可塑性組成物は、少なくとも1つの工程を150から250℃、および好ましくは180から220℃の温度で実施する方法によって形成されることを特徴とする、請求項1から13の一項に記載の使用。
【請求項15】
少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂および少なくとも1つの無機充填剤を含有する塩素化および充填熱可塑性組成物を製造する方法であって:
a)前記無機充填剤を破砕する少なくとも1つの工程と、
b)この後に、熱可塑性樹脂内に工程a)で得られた破砕された無機充填剤を組み込む少なくとも1つの工程と
を含み、
工程a)の経過において:
少なくとも1つの親水性モノマーおよび少なくとも1つの疎水性モノマーからなる、
および5,000g/molから20,000g/molの重量平均モル質量および3以下の多分子性指数、ならびに好ましくは10,000g/molから15,000g/molの重量平均モル質量および2.5以下の多分子性指数を有する
直鎖状の両親媒性コポリマーを利用することを特徴とする方法。
【請求項16】
前記両親媒性コポリマーは、各モノマーのモル%で、60モル%から95モル%の親水性モノマーおよび5モル%から40モル%の疎水性モノマー、好ましくは70モル%から90モル%の親水性モノマーおよび10モル%から30モル%の疎水性モノマーを含有することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
親水性コモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらのモノマーのブレンドから選択されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
疎水性コモノマーは、スチレンおよびアルキルアクリレートならびに特にブチルスチレンおよびブチルアクリレートを含むこれらのブレンドから選択されることを特徴とする、請求項15から17の一項に記載の方法。
【請求項19】
前記直鎖状の両親媒性コポリマーは、ランダム構造またはブロック構造を有することを特徴とする、請求項15から18の一項に記載の方法。
【請求項20】
塩素化充填熱可塑性組成物は、この総重量に関連して:
(a)0.1から99乾燥重量%の少なくとも1つの塩素化熱可塑性樹脂、
(b)0.1から90乾燥重量%、好ましくは5から50乾燥重量%の少なくとも1つの無機充填剤、
(c)0.01から5乾燥重量%、好ましくは0.1から3乾燥重量%の前記直鎖状の両親媒性コポリマー、
(d)前記両親媒性コポリマーではない、0から20乾燥重量%、好ましくは5から20乾燥重量%の熱安定剤および/または紫外線安定剤および/または潤滑剤および/またはレオロジー改質剤および/または衝撃改質剤および/または加工処理剤、
(e)前記無機充填剤の乾燥重量に関連して0から3乾燥重量%、好ましくは0から1乾燥重量%、非常に好ましくは0から0.5乾燥重量%、極めて好ましくは0から0.2乾燥重量%の前記両親媒性コポリマー以外の相溶化剤であって、この相溶化剤は、好ましくは8から20個の炭素原子を有する脂肪酸であり、前記酸は、好ましくはステアリン酸およびステアリン酸の塩から選択される相溶化剤
を含有することを特徴とする、請求項15から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
塩素化熱可塑性樹脂は、PVC、塩素化ポリビニルクロライド(CPVC)、塩素化ポリエチレン、PVC−ポリビニルアセテート(PVC−PVAC)タイプのコポリマーおよびこれらのブレンドから選択されることを特徴とする、請求項15から20の一項に記載の方法。
【請求項22】
無機充填剤は、天然もしくは合成炭酸カルシウム、ドロマイト類、石灰岩、カオリン、タルクおよびこれらのブレンドから選択され、好ましくは天然もしくは合成炭酸カルシウムであることを特徴とする、請求項15から21の一項に記載の方法。
【請求項23】
工程a)は、乾式破砕工程または後に乾燥する工程が続く湿式破砕工程、および好ましくは後に乾燥する工程が続く前記無機充填剤の湿式破砕工程であることを特徴とする、請求項15から22の一項に記載の方法。
【請求項24】
前記無機充填剤は、Sedigraph(商標)5100によって測定して0.5から5μm、および好ましくは0.6μmから1.5μmの平均径を有することを特徴とする、請求項15から23の一項に記載の方法。
【請求項25】
前記無機充填剤は、Sedigraph(商標)5100によって測定して2μm未満の径を有する10重量%から99重量%、好ましくは50重量%から95重量%、およびより好ましくは60重量%から90重量%の粒子を有することを特徴とする、請求項15から24の一項に記載の方法。
【請求項26】
工程b)の後に押出または射出成形によって変換する少なくとも1つの工程c)が続くことを特徴とする、請求項15から25の一項に記載の方法。
【請求項27】
工程c)は、150から250℃および好ましくは180から220℃の温度で実施されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項15から27の一項に記載の方法によって得られる塩素化および充填熱可塑性組成物。

【公表番号】特表2013−513009(P2013−513009A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542631(P2012−542631)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003116
【国際公開番号】WO2011/070423
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(505018120)オムヤ・デイベロツプメント・アー・ゲー (31)
【Fターム(参考)】