説明

塩素化エラストマー組成物のための改良された硬化システムおよび塩素化エラストマー組成物の硬化方法。

本発明は、改善された硬化システム組成物および塩素化エラストマー組成物の硬化方法である。本発明の硬化システム組成物は、ポリメルカプト架橋剤、無機塩基および四級アンモニウム塩を含む。前記四級アンモニウム塩は、以下式からなる群より選択される式を有する。
[式中、R1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、R2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、R2およびR3の炭素原子総数は3から9の間であり、R4およびR5はメチル基であり、および、R6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、Xはアニオンである。]。本発明に基づく塩素化エラストマーの硬化方法は、以下の工程:(1)塩素化エラストマー組成物を準備する工程、(2)上記記載の硬化システム組成物を準備する工程、(3)前記塩素化エラストマー組成物と、前記硬化システム組成物とを接触させる工程、および、(4)それによって前記塩素化エラストマー組成物を硬化させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素化エラストマー組成物のための改良された硬化システムおよび塩素化エラストマー組成物の硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この出願は、2005年3月14日に出願された「加硫性塩素化エラストマー組成物と改善された加工安全性および硬化速度」と題する米国仮出願No.60/661,378に基づく優先権を主張するものであり、その開示内容は後述において完全に再現されたかのごとく参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0003】
塩素化エラストマーは、数多くの方法によって硬化可能であり、前記方法としては過酸化物/補助剤(coagent)システム、チアジアゾール系システム、または、放射線架橋技術の使用が挙げられる。過酸化物硬化はそのスコーチ安全性、貯蔵寿命または貯蔵安定性、低永久歪みおよび高温特性のため、一般に好適である。しかし、過酸化物硬化システムは、揮発成分に起因する成形型の粘着性および汚損のため、成形品への使用において、または、機器もしくはプロセスの制限に起因する低温硬化が必要なアプリケーションにおいては、許容できないことが多い。
【0004】
チアジアゾール系硬化システムは、発生する揮発性副生成物が少なく、離型特性が良好であり、芳香族油のような低廉な配合原料の使用を可能とする上に、過酸化物硬化よりも広範囲の温度および圧力条件における硬化を可能とするといった一定の利点を提供する。
【0005】
ポリメルカプト/無機塩基/促進剤を主成分とする加硫システムによって塩素化エラストマー向けに卓越した加硫特性を得ることができるにもかかわらず、その有用性を制限する2つの重要な問題が残存する。第1の問題は、加硫物品の成形前に、配合物の早発性加硫が貯蔵中(すなわち低貯蔵安定性)または加工中(すなわち低スコーチ安全性)において生ずることであり、第2の問題は、加硫速度が一定とならないことである。エラストマー配合物は、製造後において、一般的な貯蔵環境条件下および配合物の加工中には完成品の成形前に起こる加硫が最小限であるように安定していることが望ましい。最終加硫物品を成形するプロセス、例えば射出成形、押出または圧縮成形を連続的に、廃品材料を生ずることなく行うことが可能となるように、加硫速度は一定であることが望ましい。
【0006】
米国特許第4,745,147号は、塩素化ポリエチレン、ポリメルカプト架橋剤、酸受容体および多価アルコールの硬化性組成物を開示する。この組成物はまた、アミン、四級アンモニウム塩または四級ホスホニウム塩などの硬化開始剤も含む必要がある。オニウム塩は、式R1234+Cl-で表されるか、またはN−置換ピリジニウムイオンの塩化物のいずれかである。[式中、Zは窒素またはリン原子であり、R1〜R4は同一でも互いに異なっていてもよく、および、ピリジニウムイオン上のN−置換のように、C117アルキル、シクロヘキシル、フェニルおよびベンジル基より選択される。]。多価アルコールは、架橋組成物の硬化状態および熱エージングを改良するといわれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貯蔵安定性、スコーチ安全性および硬化速度再現性の開発および改善の研究努力にもかかわらず、許容可能な硬化速度を維持したまま、貯蔵安定性およびスコーチ安全性をさらに改善するニーズは未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、改善された硬化システム組成物および塩素化エラストマー組成物の硬化方法に係るものである。当該硬化システム組成物は、ポリメルカプト架橋剤、無機塩基および四級アンモニウム塩を含む。前記四級アンモニウム塩は、
【0009】
【化5】

からなる群より選択される式を有する。
【0010】
[式中、R1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、R2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、R2およびR3の炭素原子総数は3から9の間であり、R4およびR5はメチル基であり、および、R6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、Xはアニオンである。] 本発明の塩素化エラストマーの硬化方法は、以下の工程:(1)塩素化エラストマー組成物を準備する工程、(2)上記記載の硬化システム組成物を準備する工程、(3)前記塩素化エラストマー組成物を、前記硬化システム組成物を接触させる工程、および、(4)それによって前記塩素化エラストマー組成物を硬化させる工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の硬化システム組成物は、ポリメルカプト架橋剤、無機塩基および四級アンモニウム塩を含む。さらに、本発明の硬化性塩素化エラストマーは、塩素化エラストマー、ならびに、ポリメルカプト架橋剤、無機塩基および四級アンモニウム塩を含む硬化システム組成物を含む。
【0012】
架橋後にエラストマー製品を形成するためにコンパウンド可能な、塩素原子を含むあらゆるポリマーまたはコポリマーが、本発明の目的のための塩素化エラストマーと考えられる。塩素化エラストマーの例としては、ポリクロロプレン、ポリエピクロロヒドリン、エピクロロヒドリン/酸化エチレンコポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ブチルゴムおよび塩素化ポリエチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩素化およびクロロスルホン化ポリエチレンは、上記に列挙した他のエラストマーよりも水素と塩素を除くことが難しく、このため促進剤の差異により敏感であるため、本発明の組成物に特に好適である。
【0013】
本発明の組成物への使用に好適な無機塩基としては、金属酸化物、金属水酸化物、またはそれらの弱酸との塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機塩基は、硬化反応の副生成物として発生する塩酸を捕捉する酸受容体として作用する。典型的な金属としては、Mg、CaまたはBaなどの周期表第IIA族の金属が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な塩基性金属酸化物および水酸化物は、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムである。前記塩基性金属酸化物は、一般的に塩素化エラストマー100部あたり2〜10部(phr)混合する。
【0014】
本明細書中で使用するポリメルカプト架橋剤を架橋剤といい、これは2つ以上の−SH基を含む。場合によりこれらの架橋剤を硬化剤または加硫剤ということがある。本発明の組成物に用いることができるポリメルカプト架橋剤の具体例としては、米国特許第4,128,510号に記載の2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびその誘導体、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオールおよびその誘導体、米国特許第4,234,705号に記載のジメルカプトトリアゾール、米国特許第4,342,851号に記載の2−4−ジチオヒダントイン(2-4-dithiohydantoins)、および、米国特許第4,357,446号に記載の2,3―ジメルカプト−ピラジンまたは−キノキサリンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適には、架橋剤は2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾアートである。ポリメルカプト化合物は、典型的に塩素化エラストマー100部あたり0.5から5部(phr)のレベルで混合する。
【0015】
本発明の組成物に有用な加硫促進剤は、下記からなる群から選択される一般式を有する、芳香族複素環式四級アンモニウム塩である。
【0016】
【化6】

[式中、R1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、R2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、R2およびR3の炭素原子総数は3から9の間であり、R4およびR5はメチル基であり、および、R6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、Xはアニオンである。]。好適には、R2はメチル基である。好適なアリール基はベンジルまたはフェニルである。四級アンモニウム塩のアニオン、X-としては、塩化物、臭化物、硫酸水素塩、アセタート、フッ化物、リン酸二水素塩、および、他のアニオンで安定な四級アンモニウムまたはホスホニウム塩を生成するものが挙げられるが、これらに限定されない。特に有用な四級アンモニウム塩は、1−オクチルピリジニウムクロリド、1−オクチルピリジニウムブロミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリニウムクロリド、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリニウムクロリド、および、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムクロリドである。
【0017】
本発明の組成物は、ゴムの加硫に一般的に用いられる他の材料、例えば充填剤、増量剤、可塑剤、安定剤および顔料を含んでいてもよい。最終加硫物の特性は、これらの材料を用途に応じて加えることによって調整可能である。一般的な充填剤の例は、炭酸カルシウム、カーボンブラックまたはクレーである。増量剤および可塑剤は、一般的には芳香族またはナフテン油またはエステルである。典型的な顔料は二酸化チタンである。
【0018】
本発明の硬化性組成物は、良好な加工安全性(低スコーチおよび良好な貯蔵安定性)と、比較的高く、再現性がある硬化速度とを兼ね備える。一般的には、安全と考えられるスコーチ速度は、毎分0.35ムーニー単位(MU)未満である。許容可能と考えられる硬化速度(試験法参照)は、毎分3インチ−ポンド(3.4dN・m/分)以上である。硬化速度対スコーチ速度の比は便利なパラメータであり、硬化システムの説明に用いることができる。ほとんどのプロセスでは、許容可能な比は13インチ−ポンド/MU(14.7dN・m/MU)以上である。許容可能と考えられる貯蔵安定性(試験法参照)は0.2ムーニー単位未満(MU)上昇/時である。好適には、スコーチ速度は0.21MU/分未満であり、貯蔵安定性は0.1MU上昇/時未満である。
【0019】
本発明の硬化性組成物の一般的な最終用途としては、自動車用および工業用ホース、電線・ケーブル被覆、防振材、機械式継手の軟質ブーツ、ローラーカバー、シール、ならびに、ガスケットが挙げられる、
硬化性塩素化エラストマー組成物の原料は、一般的にはバンバリー(Farrel Corporationの登録商標)ミキサーのような高強度密閉式混合機を用いて、塩素化エラストマー性ポリマーと混合および均一ブレンドする。これらはまた、二本ロール機でのミリングによって、または、原料の均一ブレンドの生成が可能な他の任意の機械式混合機器によって、混合してもよい。組成物の温度が約110℃を超えず、および、混合時間が均一な組成物を得るために必要な最短時間に維持されるように、前記エラストマー性組成物の原料を混合することが望ましい。
【0020】
混合プロセスは、バインダー中に一部の原料を加えることによって改善されることがある。例えば、反応促進剤をその濃度が25〜27パーセントとなるようにエチレン−プロピレン−ジエンゴムのようなポリマー中で保持し、それによって原料の少量の添加を扱いやすくすることが可能である。原料をそのまま加えるか、バインダー中のものを加えるかは、本発明の結果に重大な影響を与えない。
【0021】
エラストマー配合物が架橋してエラストマー製品となる条件は、温度が130℃から200℃で、大気圧から高圧までの範囲であり、圧縮または射出成形で得られるような条件である。架橋反応が生じる時間は、温度、ならびに、組成物中のポリメルカプト化合物、促進剤および金属酸化物の濃度によって異なる。より低い温度およびより低い濃度では、完成部品が架橋するためにはより長時間を要する。典型的な架橋時間は、1分から数時間でよい。
【0022】
試験法
試験法は以下を含む。
【0023】
硬化速度試験は、ASTMD2084に準じ、モンサント(Monsanto)のオシレーティング・ディスクレオメータ(ODR)を用いて177℃、30分間で行った。
【0024】
加工安全性の評価は、ASTM D1646に準じ、モンサント MV2000Eによって測定した、121℃における25分間の試験を通じてのムーニー粘度の変化を用いて行った。
【0025】
ODR試験において、MLおよびMHは試験中に測定された最小および最大トルクをさす。t2、t50およびt90パラメータは、トルクがMHとMLの差の2パーセント、50パーセントおよび90パーセント変化する時間である。
【0026】
最大硬化速度は、ODR曲線の2点間の傾きを算出し、かかる傾きの最大値を得ることにより、ODR曲線の傾きから直接求めた。
【0027】
ムーニースコーチ試験は、加工安全性の評価に用いた。ムーニーミニマムは、試験中に観察された最小粘度をいう。パラメータt3、t5およびt10は、ムーニー粘度がそれぞれ3、5および10単位上昇する時間をさす。スコーチ速度は、2をt5とt3の差で除することによって算出可能である。しかし、試験を通じてムーニー粘度が3〜5ユニットより大きく変化しなかった場合は、スコーチ速度は以下の式1を用いて算出可能である。
【0028】
式1:
スコーチ速度=(ムーニー粘度@25分−ムーニーミニマム)/(25分−時間@ムーニーミニマム)
貯蔵安定性(すなわち、化合物を貯蔵する間の、化合物の安全性対粘度変化)の指標は、43℃および相対湿度90パーセントにおいて1週間(168時間)貯蔵後のムーニー最小粘度とコンパウンド製造直後に測定した初期ムーニー最小粘度との差を求めて得た。式2は、貯蔵している間のムーニー粘度の変化速度に関連する指標(ムーニー単位(MU)/時の増加)である。
【0029】
式2:
貯蔵速度(MU/時)=[MU(エージング後)−MU(初期)]/168時間
【実施例】
【0030】
以下の非限定的な実施例は本発明を例証するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。これらの本発明の非限定的実施例は、特定範囲のアルキルピリジニウムまたはイミダゾリニウム化合物を主とする促進剤を選択することによって、加工安全性および貯蔵安定性を改善しながらも、高い加硫速度を維持可能であることを示す。
【0031】
この非限定的実施例は、本発明の予想外の結果、すなわち、ポリメルカプト硬化性塩素化エラストマー組成物の貯蔵安定性、スコーチ安全性および硬化速度の組み合わせが、芳香族複素環式四級アンモニウム塩を促進剤として用い、前記促進剤の窒素原子に結合する原子団中に存在する炭素原子の数を適当に選択することによって、最適化可能であることを示す。
【0032】
実施例1〜15および比較実施例1〜6
表I、IIおよびIIIの各組成物をそれぞれ、バンバリー(登録商標)BR(Farrel Corporation)密閉式ミキサーを用いて混合した。最初に乾燥原料をミキサーに投入し、続いて液体原料、次にハロゲン化エラストマーを投入した。低速混合速度を用いた。配合物を溶融し、ミキサーから105℃で排出した後に、バンバリーシュート(Banbury chute)を清掃した。ミキサーから取り出した配合物を、6インチ×13インチの二本ロール機にかけ、ロール機から排出することで圧延した。この圧延手順をさらに5〜6回繰り返し、全ての原料の十分な分散を確実なものにした。ロール機から、厚みが約3mmの最終シートを得た。この最終シートから切り出したサンプルを用いて、組成物の硬化速度および加工安全性を測定した。すべての促進剤を、組成物に用いるゴム100グラムあたり0.0011モルとなるように添加した。
【0033】
表IV、VおよびVIは、本発明の配合物および比較実施例の、硬化中、加工中および貯蔵中における粘度増加速度の結果を示す。比較に有用な方法は、硬化速度(CR)対加工速度、すなわちスコーチ速度(SR)または貯蔵速度(BR)の比に注目することである。硬化/スコーチ(CR/SR)および硬化/貯蔵(CR/BR)比は、高いことが望ましい。製品の2つの比、硬化/スコーチおよび硬化/貯蔵(CR.CR/SR.BR)が両方とも試験された場合は、特定の配合物を最適化することができる。表IVからVIに、これらの比を本発明の組成物および比較組成物のそれぞれについて示す。意外なことに、芳香族複素環式促進剤を含む本発明の硬化性組成物は、貯蔵安定性、スコーチ安全性および硬化速度の組み合わせは、脂肪族四級アンモニウム塩促進剤を含むこと以外同様の組成物よりも、大きく改善されている。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメルカプト架橋剤、
無機塩基、および、
【化1】

[式中、
1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3の炭素原子総数は3から9であり、
4およびR5はメチル基であり、
6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、
Xはアニオンである。]
からなる群より選択される式を有する四級アンモニウム塩、
を含む、硬化システム組成物。
【請求項2】
前記ポリメルカプト架橋剤が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびその誘導体からなる群より選択される架橋剤である、請求項1に記載の硬化システム組成物。
【請求項3】
前記ポリメルカプト架橋剤が2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾアートである、請求項1に記載の硬化システム組成物。
【請求項4】
塩素化エラストマー、
ポリメルカプト架橋剤、
無機塩基、および、
【化2】

[式中、
1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3の炭素原子総数は3から9であり、
4およびR5はメチル基であり、
6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、
Xはアニオンである。]
からなる群より選択される式を有する四級アンモニウム塩、
を含む、硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項5】
前記塩素化エラストマーが、ポリクロロプレン、ポリエピクロロヒドリン、エピクロロヒドリン/酸化エチレンコポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンおよび塩素化ブチルゴムからなる群より選択される、請求項4に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項6】
前記塩素化エラストマーが塩素化ポリエチレンである、請求項5に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項7】
前記ポリメルカプト架橋剤が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびその誘導体からなる群より選択される、請求項4に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項8】
前記ポリメルカプト架橋剤が2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾアートである、請求項4に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項9】
硬化組成物から成形された1つ以上の部品を含む物品であって、前記硬化組成物が、
塩素化ポリエチレン、
ポリメルカプト架橋剤、
無機塩基、および、
【化3】

[式中、
1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3の炭素原子総数は3から9であり、
4およびR5はメチル基であり、
6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、
Xはアニオンである。]
からなる群より選択される式を有する四級アンモニウム塩、
を含むものである、物品。
【請求項10】
前記塩素化エラストマーが、ポリクロロプレン、ポリエピクロロヒドリン、エピクロロヒドリン/酸化エチレンコポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンおよび塩素化ブチルゴムからなる群より選択される、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記塩素化エラストマーが塩素化ポリエチレンである、請求項10に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項12】
前記ポリメルカプト架橋剤が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびその誘導体からなる群より選択される、請求項10に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項13】
前記ポリメルカプト架橋剤が2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾアートである、請求項10に記載の硬化性塩素化エラストマー組成物。
【請求項14】
塩素化エラストマー組成物を準備する工程、
ポリメルカプト架橋剤、
無機塩基、および、
【化4】

[式中、
1は4から12の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3は独立して1から8の炭素原子を含むアルキルまたはアリール基であり、
2およびR3の炭素原子総数は3から9であり、
4およびR5はメチル基であり、
6は2から8の炭素原子を含むアルキル基であり、ならびに、
Xはアニオンである。]
からなる群より選択される式を有する四級アンモニウム塩、
を含む硬化システム組成物を準備する工程、
前記塩素化エラストマー組成物を前記硬化システム組成物と接触させる工程、および、
それによって前記塩素化エラストマー組成物を硬化させる工程、
を含む、塩素化エラストマー組成物の硬化方法。
【請求項15】
前記塩素化エラストマー組成物および前記硬化システム組成物が混合される、請求項14に記載の塩素化エラストマー組成物の硬化方法。
【請求項16】
前記接触工程が130℃から200℃の温度範囲内で行われる、請求項14に記載の塩素化エラストマー組成物の硬化方法。
【請求項17】
前記塩素化エラストマーが、ポリクロロプレン、ポリエピクロロヒドリン、エピクロロヒドリン/酸化エチレンコポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンおよび塩素化ブチルゴムからなる群より選択される、請求項14に記載の塩素化エラストマー組成物の硬化方法。
【請求項18】
前記塩素化エラストマーが塩素化ポリエチレンである、請求項17に記載の塩素化エラストマー組成物の硬化方法。
【請求項19】
前記ポリメルカプト架橋剤が、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールおよびその誘導体からなる群より選択される、請求項14に記載の塩素化エラストマー組成物の硬化方法。
【請求項20】
前記ポリメルカプト架橋剤が2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール−5−チオベンゾアートである、請求項14に記載の塩素化エラストマー組成物の硬化方法。

【公表番号】特表2008−533281(P2008−533281A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501929(P2008−501929)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/008820
【国際公開番号】WO2007/044061
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】