説明

塩素除去剤

【課題】遊離塩素を含む物質から塩素を効率よく除去する塩素除去剤及びそれを含む組成物の提供。
【解決手段】水酸基を有するアミノ酸化合物、例えばセリン、トレオニン及びチロシンを含む塩素除去剤及びそれを塩素除去成分として含み、これに他の機能成分、例えば洗浄剤、或いは眼科用薬剤を加えて組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊離塩素と称され、酸化活性の高い塩素(以下、活性塩素)を含む物質に接触又は混合したとき、前記物質から、前記活性塩素を捕捉・除去する効果を有する塩素除去剤、及び前記塩素除去剤を含み、例えば身体、衣服などの洗浄に使用される塩素除去剤組成物に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は例えばプール水などのように、活性塩素含有水と接触した後の毛髪洗浄、及び溶存塩素を含有する洗浄水中において毛髪を洗浄するときに、前記活性塩素による毛髪のダメージを防止するのに有効な塩素除去剤及び、それを含む塩素除去剤組成物、例えば塩素除去剤含有洗浄剤組成物、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩素は、殺菌、漂白等の効果があり、塩素系漂白剤や水道水、プール、及び循環型入浴施設の消毒剤として広く用いられている。
プールなどの遊泳施設では、厚生労働省環境衛生局長通知により遊離残留塩素濃度は「0.4mg/L(0.4ppm)以上1.0mg/L(1.0ppm)以下であることが望ましい。」とされている。活性塩素含有量が多すぎると皮膚に対する刺激が強いため、上限が定められているが、実際のプールにおいて、全ての場所で遊離残留塩素濃度を一定に保つことは困難であり、場合によっては高濃度の遊離残留塩素に接触することもあり得る。
【0003】
遊泳後のシャワーによる活性塩素或いは活性塩素と窒素化合物の縮合したクロラミン等の結合塩素除去が不十分であれば、残留する活性塩素及び結合塩素から放出される活性塩素により身体が損傷を受ける可能性がある。
遊泳後十分な水洗ができていたとしても、水道法によれば残留塩素の濃度の下限は「末端の蛇口」における濃度が平時で0.1ppm以上、水系病原菌汚染の存在が疑われる場合は0.2ppm以上と規定されているが、その上限規定は無く、その為、菌の繁殖しやすい時期には更に多量の残留塩素濃度の上水道中で洗浄することがある。
プールでの遊泳後、髪が切れやすくなり、或いは髪が変色するなどの症状が出ることがあるが、これは溶存塩素によるものである。髪は、皮膚に比して、塩素の影響が見えやすい部位である。
【0004】
洗髪作業は、温水中で頭皮を指でマッサージするように行うことが一般的であるが、この行為により40〜50℃の温水中で毛髪同士、毛髪と指の間に摩擦が起こり、毛髪に物理的なストレスが加わることが通常である。
水道水の様に比較的低濃度の溶存塩素含有水であっても、これを長時間毛髪に接触する場合、或いは、溶存塩素と毛髪が接触した状態で毛髪に熱や物理的なストレスを与えるとキューティクルの剥離等の損傷を毛髪に与えることを本発明者らは確認した。
毛髪のキューティクルにダメージを受けることにより、コルテックスやメデュラが外部と接触しやすくなり、例えばコルテックスやメデュラ層中にカルシウム等の多価金属が進入し、これらの構成タンパク質等と結びつき、毛髪を脆く切れ毛が発生しやすくする。或いは溶存塩素等の酸化性物質が内部たんぱく質を変性させるなどの問題が発生し、毛髪の質感を低下させ、或いは変色するなどの問題が発生すると推定される。
【0005】
毛髪洗浄中から活性塩素を除去するには、ハイポ(チオ硫酸ナトリウム)等の還元剤を使用する等の手法があるが、洗髪の度にこれらの準備を行うことは困難であり、手軽な手法で活性塩素を無害化或いは除去する方法が望まれていた。
活性塩素の捕捉効果のある物質として、特公平06−041409号公報(特許文献1)にはタウリンが記載されており、これがプールでの遊泳中に塩素殺菌剤によって起こる眼組織の障害に有効な眼科用液剤に有用であることが知られている。
特開2002−320981号公報(特許文献2)には水道水にタウリンを配合することにより簡便でしかも経済的に、飲用、洗顔用、動植物の飼育・給水用に適した水質に改善された水道水並びに水道水改質方法が開示されており、同明細書によると含硫アミノ酸であるタウリンは細胞賦活作用、強壮作用の他水質改善効果、すなわち水道水の塩素臭の抑制並びに硬度の軽減作用があることが開示されている。改質された水道水による洗顔、化粧用水と皮膚に対する効果についてかかれており、「予めタウリンを石鹸やシャンプーに用いて水道水で洗顔しても同様な効果が発揮される。」との記載もあり、タウリンを含有する化粧料により、皮膚の健康を促進し美容に大きな効果があることが記載され実施例により実証されている。
【0006】
化粧料にタウリンを配合する技術は、特開昭61−145109号公報(特許文献3)に開示されており、また特開平09−316486号公報(特許文献4)の技術はシャンプーにタウリンを配合する技術ではないが、脂肪酸タウリン塩を配合するものであり、その〔0050〕において「タウリン、N−メチルタウリンあるいはヒポタウリンの様に強酸と弱塩基(−NH2)の官能基を合せ持つ両性化合物が持つ上記の様な効果は、洗浄時の水が多い場合には、脂肪酸の−COO-基が解離し、ナトリウム石鹸に近い使用感触を有するが、使用後、乾燥時の水が少ない場合には、脂肪酸の−COO-基がタウリンやN−メチルタウリンのN+部分とイオンペアを形成し、水和結晶の融点が濃度に依存して上昇し水に不溶となるとともにスルホン酸系界面活性剤の使用感を発現するためと考えられる。」との記載があり、シャンプーによる洗浄時に、タウリンが、脂肪酸から自由に外れているモデルの記載がある。
【0007】
本発明者らは、これらの先行技術より、タウリンを塩素除去成分として毛髪用シャンプー組成物に配合することにより活性塩素を捕捉させれば、洗髪中の活性塩素濃度を低減化でき毛髪損傷を防げるのではないかと考え、添加塩素量、タウリンの添加量を変動させ実験を行った。
添加塩素量に対してより多量のタウリンの添加により一定の効果は見られたが、加温下、又は物理的ストレスを与えた系即ち洗髪時の条件では、タウリンの塩素捕捉効果はいまだ十分ではないことを見出した。
【0008】
毛髪洗浄における活性塩素の影響を除去するのに有効なレベルの塩素除去機能を有する塩素除去用剤の開発が望まれていた。
なお特表2005−500278号(特許文献5)にはアルカノールアミン含有組成物を、外科手術直後から1年間適用して手術瘢痕が軽減し、ニキビ萎縮性瘢痕患者に8ヶ月適用して瘢痕が80%低減治療痕の軽減したこと、皮膚、髪、爪に適用して外観が改善したこと、更に、塩素漂白した髪に適用して髪質が改善したことが開示されているしかし、この技術が、本発明の塩素除去・補足技術と直接関係するとは考え難い。
【特許文献1】特公平06−041409
【特許文献2】特開2002−320981
【特許文献3】特開昭61−145109
【特許文献4】特開平09−316486
【特許文献5】特表2005−500278
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、接触或いは混合により対象物に含まれる活性塩素と呼ばれている酸化活性の強い塩素を捕捉し、対象物から取り除く効果を有する塩素除去剤、及び例えば溶存塩素含有水による洗髪によっても毛髪にダメージを与えないレベル以上の効果を有する塩素除去剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、タウリン以外の活性塩素補足効果のある物質を検索し、それらの活性塩素捕捉能力と毛髪へのダメージ評価を行うことにより、セリン、トレオニン、チロシン、ヒドロキシプロリンなどのように、分子中に水酸基を有するアミノ酸化合物が、優れた塩素補足能力を有し、かつこれらの化合物により補足された塩素は容易に脱離できない事を見出し、このような化合物を用いることによって上記課題を解決し得ることを見出した。
また、トリエタノールアミンを対イオンとして含有するアニオン性界面活性剤に活性塩素捕捉機能があることを見出し、これに分子中に水酸基を有するアミノ酸化合物とタウリンおよび/又はトリエタノールアミンを対イオンとして含有するアニオン性界面活性剤を組み合わせることにより、より効果的に溶存塩素による毛髪損傷が防げることを見出した。
さらに水酸基、アミノ基、カルボキシル基を含有する水酸基含有アミノ酸化合物に前述したトリエタノールアミン及び/又は従来より知られていたタウリン等の塩素捕捉剤を併用することにより、より効果的な塩素除去機能が発現することを確認した。
【0011】
即ち本発明の塩素除去剤は、少なくとも1種の水酸基含有アミノ酸化合物を主成分として含むことを特徴とするものである。
本発明の塩素除去剤において、溶存塩素捕捉成分として、タウリン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリエタノールアミン、及び対イオン形成成分としてトリエタノールアミンを含むアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種がさらに含まれていてもよい。
本発明の塩素除去剤において、前記水酸基含有アミノ酸化合物が、セリン、トレオニン、チロシン、及びヒドロキシプロリンからなる群から選ばれることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は、本発明の塩素除去剤と、少なくとも1種の洗浄剤とを含むことを特徴とするものである。
本発明の洗浄剤組成物において、少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸からなる多価金属捕捉剤をさらに含むことが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物において、前記洗浄剤が、シャンプー用洗浄剤を含み、抗塩素ダメージ用シャンプーとして用いられるものであってもよい。
本発明の眼科用液剤は、本発明の塩素除去剤と、眼科用薬剤とを含むものである。
本発明の塩素漂白された物品用後処理剤は、本発明の塩素除去剤を含有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の塩素除去剤を、塩素を含有する物質特に塩素が溶存する溶液に接触或いは混合することにより、特に酸化力の強い活性塩素を捕捉し、その影響を除去する効果を有し、さらに溶存塩素を捕捉した状態で分離することが可能であれば、物質或いは溶液から塩素を除去することができる。
本発明の塩素除去剤組成物を、シャンプー組成物に用いた場合、活性塩素含有水による洗髪によっても毛髪にダメージを与えることがなく、毛髪に蓄積される塩素の除去を行いつつ、洗浄水中に含まれる塩素を無害化する。
更に本発明の塩素除去剤中にヒドロキシカルボン酸を配合することにより、活性塩素含有水下でもツヤのあるコシの強い毛髪の洗い上がりが実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
水中の溶存塩素は、たとえばDPD法等により、遊離塩素(活性塩素)量、結合塩素量、および2者の和である総塩素量を計測することが可能である。
ここで遊離塩素とは、溶存ガス(Cl2)、次亜塩素酸(HOCl)、および次亜塩素酸イオン(OCl-)として水中に存在する残留塩素として定義され、もっとも酸化力が強く毛髪損傷に大きく影響を与えるものである。
結合塩素とは、天然の水すなわち汚染した水に存在するアンモニアあるいは有機アミンと化学的に結合して水中に存在する残留塩素と定義される。前述のタウリンによる溶存塩素の捕捉とは、遊離塩素とタウリンが反応してクロラミン様物質を形成しこの結合塩素として捕捉されていると考えられる。すなわち本発明の目的のひとつは、溶存塩素のうち遊離塩素(活性塩素)を結合塩素に変換する機能を有する塩素除去剤を提供することである。
結合塩素は遊離塩素(活性塩素)に比較して殺菌力などは低いが、周辺の化学的環境が変化することにより活性塩素を放出することが知られている。総塩素量は遊離塩素量と結合塩素量の合計量である。
通常のDPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン)法による溶存塩素の測定は、被測定物中にDPDを混ぜてまず遊離塩素量(活性塩素)を測定し、更にヨウ化カリウムを入れるなどして結合塩素を分解して活性塩素を放出させDPDにより総塩素量を求めて、定量された総塩素量と遊離塩素(活性塩素)より結合塩素量を求める方法が一般的である。
【0014】
本発明者らは、一定の溶存塩素を有する水に各種アミノ基含有物質を加えてDPD法で溶存塩素量、結合塩素量、総塩素量を比色定量した。
タウリンやアミノ基と水酸基を有するモノエタノールアミンあるいは、アミノ基とカルボキシル基を有するグリシン、グルタミン酸等は、活性塩素捕捉機能を有し、溶存塩素捕捉剤は前述した一般的な方法で遊離塩素量、結合塩素量、総塩素量を計測できるが、セリン、トレオニン等の水酸基を含有するアミノ酸化合物による活性塩素捕捉においては、総塩素量の測定値が実験に使用した塩素量を回収できないことを発見した。
これは水酸基、アミノ基、カルボキシル基を含有する水酸基含有アミノ酸化合物から形成される本発明の溶存塩素の除去剤は、結合塩素を通常の塩素捕捉剤に比較して強く取り込んでおり、周辺の化学的環境の変化により活性塩素を再放出しにくい性質を有することを示すものである。このため、通常の測定において、結合塩素を活性塩素として再放出させるために加えるヨウ化カリウム溶液を添加したときのような化学的環境の変化においても、この反応系中に活性塩素を放出しないものと考えられる。
このことは水酸基、アミノ基、カルボキシル基を同一分子内に含有する水酸基含有アミノ酸化合物が強力な活性塩素除去剤であることを示すものである。
【0015】
本発明にかかる水酸基、アミノ基、カルボキシル基を同一分子内に含有する水酸基含有アミノ酸化合物は、溶存塩素捕捉機能を有効に発生させるため、水溶性であることが好ましい。油溶性の水酸基含有アミノ酸化合物を使用するときはこれに乳化・可溶化等を行い使用することが好ましい。
水酸基、アミノ基、カルボキシル基を同一分子内に含有する水酸基含有アミノ酸化合物の好適例としてはセリン(2−アミノ−3−オキシプロピオン酸)、トレオニン(α−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、2−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸)、チロシン(β−(p−ヒドロキシフェニル)アラニン、2−アミノ−3−ヒドロキシフェニルプロピオン酸)、ヒドロキシプロリン(具体的には、3−ヒドロキシプロリン、4−ヒドロキシプロリン)が入手のし易さより好ましい。
【0016】
本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物の使用量は、塩素除去対象物中の塩素のモル量及び/又は除去の程度により変動し、適宜に設定すればよいが、総塩素モル量を捕捉するのに十分な量又はそれ以上の量で使用されることが好ましく、具体的には、10倍モル量以上の量で使用される。
【0017】
本発明者らは前述の溶存塩素捕捉機能のスクリーニングにおいて、トリエタノールアミンにも活性塩素捕捉機能があることを見出した。1級及び2級アミンが遊離塩素により酸化されてクロラミン様物質を生成することは知られていた。しかし、3級アミンであるトリエタノールアミンによる溶存塩素捕捉効果に関しては知られていなかったのである。
1級及び2級アミンと塩素含有物質、例えば次亜塩素酸との反応は、下記のように推定されている。
【化1】

しかし、3級アミン、例えばトリエタノールアミンによる活性塩素の捕捉反応機構については、未だ報告がなされていない。
【0018】
トリエタノールアミン自体は水酸基含有アミノ酸化合物ほど強力な塩素除去機能は持たないが、洗浄剤組成物には比較的多量に配合することも可能である。例えばシャンプー組成物は、一般に洗浄効果、起泡効果による毛髪保護等を期待してアニオン性界面活性剤を配合する場合が多い、アニオン性界面活性剤は、水に溶解するとき、負イオンとして振舞う活性剤本体と、そのカウンターイオンである正イオン性物質とに分離して作用する。この正イオン性物質としてトリエタノールアミンを使用する界面活性剤は広く流通している。本発明者らの検討によると、これらのトリエタノールアミンをカウンターイオンとして含有する界面活性剤も活性塩素捕捉機能があることが判明した。
【0019】
トリエタノールアミンをカウンターイオンとして含有するアニオン界面活性剤の好適例は、アルキル硫酸トリエタノールアミン塩、アルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩、アルキルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩、アシルタウリントリエタノールアミン塩、アシルアミノ酸トリエタノールアミン塩、エーテルカルボン酸トリエタノールアミン塩、POEアミドエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン塩である。
【0020】
本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物を含有する組成物としては、全身洗浄料組成物、洗顔料組成物、シャンプー組成物等種々の洗浄用組成物を挙げることができる。以下これらの一例としてシャンプー組成物について詳細に述べる。
先に述べたように、水道水の様な低濃度の塩素含有水でも、毛髪と長期間接触するとキューティクルの剥離などが観察される。この条件ではタウリン等の従来から知られている塩素捕捉剤を配合した水道水でもキューティクルの剥離はほぼ防げる。タウリンの塩素捕捉能力は水道水より高濃度の塩素含有水であっても短期間であればキューティクルの剥離を防げるほど有力ではある。しかし、水道水を40〜50℃に昇温された温水の場合及び洗髪操作の物理ストレスを再現するために振動状態に試験液を置く場合には、従来の塩素捕捉剤の効果は失われ、キューティクルの剥離が発生するようになる。
【0021】
タウリン等の従来より知られていた溶存塩素捕捉剤を配合したのみのシャンプー組成物では、温水下での洗髪操作等の物理ストレス下の毛髪損傷は防げなかったが、本発明にかかる水酸基、アミノ基、カルボキシル基を同一分子内に含有する水酸基含有アミノ酸化合物を、シャンプー組成物中に溶存塩素除去剤として配合した場合、熱及びストレス下の毛髪損傷を防止することが可能になる。これは水酸基、アミノ基、カルボキシル基を同一分子内に含有する水酸基含有アミノ酸化合物がタウリン等に比較して強い塩素除去機能を有しているため、このような効果が発現するものと推定している。したがい、本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物はダメージ用シャンプー組成物、より具体的には抗塩素ダメージ用シャンプー組成物の配合成分として好ましい。
【0022】
本発明にかかる水酸基、アミノ基、カルボキシル基を同一分子内に含有する水酸基含有アミノ酸化合物のシャンプー組成物への配合量は、洗浄対象物中の溶存塩素含有量によっても異なるが0.1重量%以上の配合が好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。配合量の上限は特に定めないが、10重量%を超えて配合すると、液状での安定組成物を得ることが困難になることがある。
【0023】
また、本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物に、前述のトリエタノールアミン及び/又は従来より知られている溶存塩素捕捉剤を併用することにより、より効果的に洗髪ストレス下の毛髪損傷を防ぐことができることが判明した。従来より知られている溶存塩素捕捉剤の好適例としては、タウリン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ基を含有する化合物が挙げられる。
【0024】
本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物を塩素除去成分としてシャンプー組成物に配合することにより洗浄中の溶存(遊離)塩素が十分に封鎖され、洗髪時の物理的ストレス下でも、毛髪のキューティクル損傷が見られなくなり、結果としてツヤのある洗い上がりを実現することができる。
【0025】
シャンプー組成物には、洗浄成分として、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤から選ばれる1種又は2種以上をシャンプー組成物全重量に対して5〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%含有することが好ましい。
【0026】
アニオン性界面活性剤の好適例としては、以下のものを挙げることができる。
脂肪酸セッケン類(たとえばセッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ヤシ脂肪酸トリエタノールアミン塩、ヤシカリセッケン等)、
高級アルキル硫酸エルテル塩類(たとえばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等)、
アルキルエーテル硫酸エステル塩類(たとえば、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリル硫酸ナトリウム等)、
N−アシルアミノ酸塩(たとえば、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル−β−アラニンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジエタノールアミン塩、ヤシ脂肪酸シルクアミノ酸カリウム塩等)、
高級脂肪酸アミドスルホン酸塩類(たとえばN−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム、N−ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム等)、
リン酸エステル塩類(たとえばPOEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEステアリルエーテルリン酸、POEラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等)、
スルホコハク酸塩類(たとえばジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等)、
アルキルベンゼンスルホン酸塩類(たとえばリニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等)、
高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩類(たとえば硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム、及びロート油などの硫酸化油等)、並びに
α−オレフィンスルホン酸塩類、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩類、二級アルコール硫酸エステル塩類。
【0027】
アニオン界面活性剤は、アニオン性界面活性剤の本体と、その電荷を中和するカウンターイオンとから形成される。先に述べたようにトリエタノールアミンにも弱い塩素除去機能があるので、洗浄成分としてトリエタノールアミンをカウンターイオンとして含有するアニオン性界面活性剤をシャンプー組成物全重量に対して0.1重量%以上のトリエタノールアミンが含有されているように配合すれば、これに本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物をシャンプー組成物全重量に対して0.1%以上添加することにより、本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物の添加効果がより顕著に発現される。
【0028】
カチオン性界面活性剤の好適例としては、以下のものが例示される。
アルキルトリメチルアンモニウム塩類(たとえば塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウムなど)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類(たとえば塩化ジステアリルジメチルアンモニウム塩)、アルキルピリジウム塩(たとえば塩化セチルピリジウム)、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、並びに塩化ベンザルコニウム等。
【0029】
両性界面活性剤の好適例としては、以下のものが例示される。
アミドアミン系両性界面活性剤類(たとえば2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ヤシ脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(商標:ソフタゾリンCL、川研ファインケミカル社製)、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ヤシ脂肪酸アシル−N′−カルボキシエチル−N′−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(商標:ソフタゾリンCH、川研ファインケミカル社製)など)、アミド酢酸ベタイン型両性界面活性剤類(たとえばヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルベタインなど)、アミドスルホベタイン型両性界面活性剤類(たとえばラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタインなど)、アミンオキサイド型両性界面活性剤類(たとえばラウリルトリメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシドなど)並びにアルキル酢酸ベタイン型両性界面活性剤類及び、アルキルスルホベタイン型両性界面活性剤類等。
【0030】
非イオン界面活性剤とてしては以下のものが例示される。
グリセリン脂肪酸エステル類(たとえばモノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(たとえばモノステアリン酸、POEグリセリルモノオレイン酸POEグリセリルなど)、ポリグリセリン脂肪酸エステル類(たとえばモノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリルなど)、ソルビタン脂肪酸エステル類(たとえばモノラウリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(たとえばモノヤシ脂肪酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタンなど)、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類(たとえばモノラウリン酸POEソルビット、テトラオレイン酸POEソルビットなど)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類(たとえば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコーなど)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(たとえばPOEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテルなど)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(たとえばPOE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類(たとえばPOEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POE分鎖オクチルフェニルエーテルなど)、ポリオキシエチレンアルキルアミン類(たとえばPOEステアリルアミン、POEオレイルアミンなど)、脂肪酸アルカノールアミド類(たとえばヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミドなど)、並びにポリオキシエチレンアルカノールアミド類(たとえばPOEラウリン酸モノエタノールアミド、POEヤシ脂肪酸モノエタノールアミド、POE牛脂脂肪酸モノエタノールアミドなど)。その他のノニオン性界面活性剤としてアセチレングリコール、POEアセチレングリコール、POEラノリン、POEラノリンアルコール、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POEフィトステロール、POEコレスタノール、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物などが挙げられる。
【0031】
近年の研究によると溶存多価金属等が毛髪内に進入し、毛髪内のタンパク間の架橋源となり、熱やメカニカルなストレスをきっかけに、組織の収縮が引き起こされて空洞が発生するのではないかと考えられている。
本発明にかかるシャンプー組成物においても、キューティクル層の隙間より溶存多価金属等の進入が考えられる。本発明にかかる水酸基を含有するアミノ酸化合物は、既に使用されている多価金属捕捉機能を有するリンゴ酸、グリコール酸、クエン酸ほどではないが、多価金属捕捉機能も有しており、毛髪への多価金属の進入を防ぐ効果がある。多価金属の進入を防ぐ目的で本発明のシャンプー組成物には、既知の多価金属捕捉機能を有するヒドロキシカルボン酸を併用することがより好ましい。
【0032】
リンゴ酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸を含有させることにより、本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物による溶存塩素の酸化によるキューティクルの損傷を防ぐ効果と、リンゴ酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸などの溶存多価金属捕捉効果の両方が発現し、溶存塩素が存在する洗浄水中を用いる洗髪においても洗髪後、毛髪にコシを与えることができる。その効果はヒドロキシカルボン酸のみを配合したシャンプー組成物より優れている。
ヒドロキシカルボン酸の配合量はシャンプー組成物に対して0.1〜5重量%程度が好ましい。同時にシャンプー組成物のpHを4〜5.5に調整することがより好ましい。
【0033】
本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物を含有するシャンプー組成物にはその発明の効果を妨げない限り通常化粧料に使用される成分、例えば動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン及びその誘導体、保湿剤、水溶性高分子、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、合成樹脂エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、抗菌剤、香料などを含有できる。
【0034】
本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物を含有する組成物としては、従来塩素捕捉剤としてタウリンが用いられていた化学剤、例えば眼科用液剤において、本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物をさらに添加或いはタウリンと置換することにより、タウリン含有眼科用液剤よりも高い効果が得られる。眼料用液剤として用いられる薬物としては、塩酸ナファゾリン、塩酸テトリゾリン、メチル硫酸ネオスチグミン、マレイン酸クロルフェニラミン、クロモグリク酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリム、シアノコバラミン、ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド、酢酸トコフェロール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム、アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、塩化リゾチーム、アラントイン、硫酸亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウム、プラノプロフェンなどを挙げることができる。
【0035】
また、近年塩素含有漂白剤が配合された衣類洗浄剤或いは衣類の洗浄に漂白剤を用いることが多いが、漂白処理後に本発明にかかる水酸基含有アミノ酸化合物を加えてすすぎ洗いを施すことにより、塩素含有漂白剤の残留を防ぐことができる。
【実施例】
【0036】
溶存塩素捕捉能力を以下の方法で、調査した。
試験方法
蒸留水1Lに遊離塩素濃度が5mg/L(5ppm)になるように、次亜塩素酸ナトリウム溶液(試薬1級、関東化学Assay(as active chlorine min. 5.0%)を溶解し、この溶液に供試塩素除去剤0.10gを添加し、経過時間1時間、3時間、5時間、24時間後に全残留塩素濃度及び遊離塩素濃度をDPD法により測定した。
DPD(ジエチル−p−フェニレンジアミン法)法による測定において、柴田科学株式会社製 残留塩素測定用及び総塩素測定用の簡易水質キットを用い、その呈色させ、その色を、標準カラーチャートの色を比較して、残留塩素量及び総残留塩素量を測定した。
【0037】
実施例1及び2並びに比較例1〜7
実施例1及び2並びに比較例1〜7の各々において、表1に記載の塩素除去剤化合物を含む塩素除去剤0.10gを、遊離塩素を、5mg/リットル(5ppm)の濃度で含む次亜塩素酸ナトリウムの蒸留水溶液1リットル中に添加し、前記方法により残留塩素濃度及び全塩素濃度を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1の測定結果から明らかなように、塩素除去剤として使用されたアミノ基含有物質は、すべて塩素捕捉能力を有することが認められた。水酸基を有するアミノ酸であるセリン及びトレオニン(実施例1及び2)は、時間の経過とともに遊離塩素量の測定値のみならず総塩素量の測定値が減少している。これは先に述べたように全残留塩素が減ったわけではなく、水酸基を有するアミノ酸が捕捉した塩素が分離されないために、見掛け上全残留塩素量が減った様に計測されているものと推定される。
このことは水酸基を有するアミノ酸、例えばセリン、トレオニン等が一度捕捉した塩素を安定に保持し、放出しにくい性質があることを意味し、塩素捕捉剤として優れていることを示す。
比較例1〜7において、塩素除去剤添加後の総塩素量の測定値が、初期値と同一であることは、一旦捕捉された遊離塩素が、再び放出されて結合塩素を形成していることを示す。
【0040】
実施例3及び比較例8〜11
実施例3及び比較例8〜11の各々において、蒸留水(比較例8)に、又は蒸留水1リットルに、遊離塩素濃度が5mg/リットル(5ppm)になるように、次亜塩素酸ナトリウム溶液(試薬1級、関東化学製、Assay(as active chlorine min. 5.0%)を溶解し、これに、100mg/リットル(100ppm)のタウリン(比較例9及び11)、なし(比較例10)、100ppmのL−セリン(実施例3)を添加して溶解し、前記蒸留水又は前記溶液に、毛髪10gを浸漬し、50rpmの回転を施して振動し(振動付加)(比較例8,10,11及び実施例3)、又は振動を付加せず(比較例9)に、塩素除去処理を60分間施した。上記操作の完了後、毛髪を、イオン交換蒸留水1リットルで3回すすぎ洗いし、自然乾燥させた。得られた毛髪を、走査電子顕微鏡(SEM)により写真撮影した。このSEM写真を図1〜5に示す。SEM写真における毛髪の状況を下記のように評価した。
評価等級 SEM写真(毛髪)
3 損傷が認められない
2 キューティクル層が部分的に剥落している
1 キューティクル層が著しく剥落している
上記塩素除去処理液組成及び評価結果を表2に示す。
【0041】
【表2】

【0042】
表2より明らかなように、比較例9,10,11を比較すると塩素捕捉能力のあるタウリンを配合することにより遊離塩素によるキューティクル剥離はある程度防げるが、外部から物理的ストレス(振動)を与えると(比較例9)その効果は急速に低下する。それに対して実施例3から明らかなように、水酸基を有するアミノ酸であるL−セリンを用いると、物理ストレスが加わってもキューティクル層を保護し得ることが確認された。蒸留水のみ(比較例1)と比較しても、実施例3において、毛髪の見かけ上の損傷は認められない。
【0043】
実施例4及び比較例12〜14
本発明の塩素除去剤の塩素による蛋白質変性を防止する機能について実施例4及び比較例12〜14により評価した。
水溶性蛋白質OVA試薬(SIGMA社製)を表3に記載の濃度に、蒸留水中に溶解し、比較例14及び実施例4においては、OVA溶液に、セリンを0.0109%の濃度に溶解し、比較例12及び13において前記OVA溶液中にさらにNaClOを、表3に記載の濃度に溶解し、実施例4においては、前記OVA及びセリン溶液中に、NaClOを表3に記載の濃度に溶解し、25℃において、5分後及び24時間後における試験液のOVA含有量をHPLC法により測定し、OVAの変性率を下記式に従って、算出した。
OVA変性率(%)=100−{(試験液のピーク高さ)/(OVA標準液のピーク高
さ)×100}
HPLC条件
カラム:Shodex PROTEIN KW−803+KW−G
溶離液:50mM リン酸バッファー(pH7.0)+150mM 硫酸ナトリウム
流速:0.8ml/min
温度:40度
検出:UV220nm
試験液の組成、及びOVA変性率を表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
表3より明らかなように、セリンが未添加の場合(比較例12,13)、蛋白質の変性率が75%以上であるのに対してセリンを添加したもの(実施例4)は20%程度にとどまっている。これはセリンにより溶存塩素が捕捉され溶存塩素による蛋白変性が防止されたものと推定される。
【0046】
実施例5及び6
実施例5及び6の各々において、本発明の塩素除去剤を含有する下記組成のシャンプー組成物を調製した。
【0047】
〔実施例5〕透明シャンプー 純分重量%
ソフタゾリン LSB(註2) 4.50
アラノン ALTA(註3) 4.00
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.50
グリセリン 2.50
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.00
セリン 0.80
タウリン 0.50
リンゴ酸 0.30
香料 0.30
ピロクトンオラミン 0.75
キトアクア(註4) 1.00
カチオン化セルロース 0.20
精製水 全量100%にする量
〔註〕(2):ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン液
川研ファインケミカル社製
(3):N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニントリエタノールアミン液
(塩素除去剤) 川研ファインケミカル社製
(4):サクシニルカルボキシメチルキトサン液 川研ファインケミカル社製
【0048】
〔実施例6〕パール状シャンプー 純分重量%
ソフタゾリン LAO(註5) 4.50
ソイポン SCTA(註6) 5.00
ラウリル硫酸トリエタノールアミン塩 5.50
アルキルグルコシド 2.00
ビスコセーフMPE(註7) 2.50
エチレングリコールジステアレート 0.20
カチオン化ケラトース 0.50
セリン 1.00
クエン酸 0.50
香料 0.30
ピロクトンオラミン 0.50
精製水 全量100%にする量
〔註〕(5):ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド液 川研ファインケミカル社製
(6):ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン(塩素除去剤)
川研ファインケミカル社製
(7):(ラウリル/ミリスチル)グリコールヒドロキシプロピルエーテル
川研ファインケミカル社製
【0049】
実施例5及び6のシャンプーについて、実施例3と同様にして、次亜塩素酸含有シャンプー組成物の水溶液による毛髪の損傷試験を行った。実施例5及び6のシャンプーを用いたとき、いずれも毛髪キューティクル層に剥落は認められず、本発明のシャンプー組成物の塩素除去効果が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、比較例8の蒸留水による振動下における毛髪損傷試験結果を示す電子顕微鏡写真。
【図2】図2は、比較例9のタウリン及び塩素含有水による毛髪損傷試験結果を示す電子顕微鏡写真。
【図3】図3は、比較例10の塩素含有水による振動下の毛髪損傷試験結果を示す電子顕微鏡写真。
【図4】図4は、比較例11のタウリン及び塩素含有水による振動下の毛髪損傷試験結果を示す電子顕微鏡写真。
【図5】図5は、実施例3の塩素除去剤及び塩素含有水による振動下の毛髪損傷試験結果を示す電子顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の水酸基含有アミノ酸化合物を含む塩素除去剤。
【請求項2】
溶存塩素捕捉成分として、タウリン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリエタノールアミン、及び対イオン形成成分としてトリエタノールアミンを含むアニオン性界面活性剤からなる群から選ばれた少なくとも1種をさらに含む、請求項1に記載の塩素除去剤。
【請求項3】
前記水酸基含有アミノ酸化合物が、セリン、トレオニン、チロシン及びヒドロキシプロリンからなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の塩素除去剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩素除去剤と、少なくとも1種の洗浄剤を含む洗浄剤組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸からなる多価金属捕捉剤をさらに含む、請求項4に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記洗浄剤が、シャンプー用洗浄剤である請求項4又は5に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩素除去剤と、眼科用薬剤とを含む、眼科用液剤。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩素除去剤を含有する、塩素漂白された物品用後処理剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−238607(P2007−238607A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27943(P2007−27943)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(390003001)川研ファインケミカル株式会社 (48)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】