説明

塩製タイル用ホルダー

【課題】 塩製タイルを壁面や天井、床等に確実且つ安定した状態で固定することのできる塩製タイル用ホルダーを提供することを課題とする。
【解決手段】 塩で成形された塩製タイルを一方の面上に配置可能に形成された樹脂製又は金属製のプレートベース部と、該プレートベース部の一方の面側に延出するように該プレートベース部に直接的又は間接的に連設されたタイル保持爪とを備え、該タイル保持爪は、プレートベース部の一方の面上に配置された塩製タイル回りに位置するように、プレートベース部の周方向に間隔をあけて少なくとも二つ設けられ、各タイル保持爪は、塩製タイルの外周面を係止可能に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩で成形された塩製タイルを壁や天井、床等に固定するための塩製タイル用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、塩には新陳代謝の活性化を促進する効能があるとして、部屋を画定する壁、床、及び天井の全てに岩塩から削り出した塊状の塩を敷き詰め、その部屋内を高温多湿にした塩サウナが知られているが(例えば、特許文献1参照)、塩サウナは、部屋内が高温多湿であることから、利用者の身体への負担が非常に大きいため、長時間に亘って部屋内の滞在できずに新陳代謝を十分に高めることができない場合がある。
【0003】
そこで、昨今、壁、床、及び天井(以下、これらを総称して壁等という)の全てに多数の塩製のタイル(以下、塩製タイルという)を敷き詰め、その部屋内の温度を体温よりも僅かに高い温度(例えば、41℃)で且つ湿度を低湿度(例えば、45%)に設定したソルトルームが提供されつつある。
【0004】
かかるソルトルームは、部屋内の温度及び湿度が一般的なサウナ風呂や塩サウナに比して非常に低く設定されているため、利用者の身体への負担が小さく、利用者が不快に感じることなく部屋内に長時間滞在できる上に、部屋内の温度及び湿度が塩の効能を最大限発揮させることのできる最適条件になっているため、新陳代謝や免疫力の活性化を非常に高めることができるとして、美容分野や医療分野等の多岐に亘る分野で脚光を浴びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−194861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ソルトルームを構築するにあたり、多数の塩製タイルが壁等に敷き詰められることになるが、この際、塩製タイルの位置ずれや落下を防止するために、塩製タイルを壁材や天井材、床材(以下、壁材等という)に対して確実に固定しなければならない。
【0007】
しかしながら、塩製タイルは、接着剤や粘着テープで壁材等に直接貼り付けようとすると、安定した状態で固定できないといった問題がある。すなわち、塩製タイルは、塩で成形されたものであるため、表面が凸凹になっていたり、塩の粉が付着したりしており、接着剤や粘着テープが付きにくい場合がある。また、塩製タイルは、保管中や輸送中等の温度や湿度の影響で表面が液状化乃至結晶化する場合があり、接着剤を塗布したり粘着テープを貼り付けたりする面が液状化乃至結晶化していると、接着剤や粘着テープが付きにくくなり、壁材等に対して確実に固定できない場合がある。そのため、塩タイルを接着剤や粘着テープで壁等に固定すると、塩製タイルが壁や天井から落下する虞がある
【0008】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、塩製タイルを壁材や床材、天井材等に確実に固定することのできる塩製タイル用ホルダーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る塩製タイル用ホルダーは、塩で成形された塩製タイルを一方の面上に配置可能に形成された樹脂製又は金属製のプレートベース部と、該プレートベース部の一方の面側に延出するように該プレートベース部に直接的又は間接的に連設されたタイル保持爪とを備え、該タイル保持爪は、プレートベース部の一方の面上に配置された塩製タイル回りに位置するように、プレートベース部の周方向に間隔をあけて少なくとも二つ設けられ、各タイル保持爪は、塩製タイルの外周面を係止可能に形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成の塩製タイル用ホルダーは、プレートベース部が樹脂製又は金属製であるため、プレートベース部の他方の面を壁材等に向けた状態で、接着剤や粘着テープによる貼着で壁材等に固定したり、ネジ止めで壁材等に固定したりすることができる。そして、タイル保持爪は、プレートベース部の一方の面上に配置された塩製タイル回りに位置するように、プレートベース部の周方向に間隔をあけて少なくとも二つ設けられ、各タイル保持爪は、塩製タイルの外周面を係止可能に形成されているので、プレートベース部の一方の面上に塩製タイルを配置することで、その塩製タイルの外周が各タイル保持爪に係止され、一方の面と直交する方向や一方の面の広がる方向に塩製タイルが移動することが規制される。従って、本発明に係る塩製タイル用ホルダーを用いれば塩製タイルを壁材等に確実に固定することができる。
【0011】
本発明の一態様として、前記プレートベース部の外周縁部から延出した枠部を備え、前記タイル保持爪は、枠部の先端から延出するように設けられていることが好ましい。このようにすれば、塩製タイルの外周縁部を枠部で包囲した状態にすることができるため、塩製タイルの位置決めが確実になる。そして、枠部の先端からタイル保持爪が延出しているので、塩製タイルを枠部で位置決めしつつ保持することができる。
【0012】
本発明の他態様として、平面視多角形状に形成された塩製タイルを保持すべく、前記プレートベース部は、平面形状が塩製タイルの平面形状に対応して多角形状に形成されるとともに、前記タイル保持爪は、プレートベース部の外周を多角形状に画定する多数の辺部のそれぞれに対応して設けられていることが好ましい。このようにすれば、多角形状の塩タイルの外周を複数のタイル保持爪で確実に保持した状態にすることができる。
【0013】
この場合、平面視六角形状の塩製タイルを保持すべく、前記プレートベース部は、平面形状が六角形状に形成されていることが好ましい。このようにすれば、複数の塩製タイル用ホルダーを密接状態で壁材等に固定することで、複数の塩製タイル用ホルダー全体がハニカム構造をなすため、壁材等に対する固定だけでなく、塩製タイルの並列方向(壁等の面方向)の剛性にも優れた配置状態にすることができる。
【0014】
そして、本発明の別の態様として、前記プレートベース部の他方の面側に延出した固定用補助爪が少なくとも一つ設けられてもよい。このようにすれば、セメントや接着剤等を介して壁材等に固定する場合に、固定用補助爪がセメントや接着剤に食い込んだ状態(固定用補助爪にセメントや接着剤が絡みついた状態)になるため、当該塩製タイル用ホルダーを確実に固定することができる。また、壁材等に固定用補助爪を挿入できる穴を開けておき、穴を画定する開口縁部と固定用補助爪とを互いに係合可能に構成すれば、接着剤に頼らずにその係合だけでも塩製タイル用ホルダーを確実に固定することができる。なお、言うまでもないが、固定用補助爪を開口縁部に係合させるようにしても、接着剤や粘着テープ等の貼着手段でプレートベース部を壁材等で貼着しても勿論よい。このように塩製タイル用ホルダーを確実に固定できるため、この塩製タイル用ホルダーに保持された塩製タイルも確実に固定されることになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塩製タイル用ホルダーによれば、塩製タイルを壁材や床材、天井材等に確実に固定することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実地形態に係る塩製タイル用ホルダーが対象とする塩製タイルの斜視図であって、(a)は第一タイルの斜視図を示し、(b)は第二タイルの斜視図を示し、(c)は第三タイルの斜視図を示す。
【図2】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第一ホルダー)の説明図であって、(a)は平面図を示し、(b)は底面図を示し、(c)は、側面図を示す。
【図3】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第二ホルダー)の説明図であって、(a)は平面図を示し、(b)は底面図を示し、(c)は、側面図を示す。
【図4】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第三ホルダー)の説明図であって、(a)は平面図を示し、(b)は底面図を示し、(c)は、側面図を示す。
【図5】同実施形態に係る塩製タイル用ホルダー(第一〜第三ホルダー)を複数配列した状態の部分斜視図を示す。
【図6】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第一ホルダー)に対する塩製タイル(第一タイル)の取り付け作業を説明するための説明図であって、(a)は、第一ホルダーに第一タイルを取り付ける状態の斜視図を示し、(b)は、第一ホルダーに第一タイルを取り付けた状態の斜視図を示す。
【図7】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第二ホルダー)に対する塩製タイル(第二タイル)の取り付け作業を説明するための説明図であって、(a)は、第二ホルダーに第二タイルを取り付ける状態の斜視図を示し、(b)は、第二ホルダーに第二タイルを取り付けた状態の斜視図を示す。
【図8】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第三ホルダー)に対する塩製タイル(第三タイル)の取り付け作業を説明するための説明図であって、(a)は、第三ホルダーに第三タイルを取り付ける状態の斜視図を示し、(b)は、第三ホルダーに第三タイルを取り付けた状態の斜視図を示す。
【図9】同実地形態に係る塩製タイル用ホルダー(第一〜第三ホルダー)を用いて塩製タイル(第一〜第三タイル)を固定した状態の斜視図を示す。
【図10】本発明の他実施形態に係る塩製タイル用ホルダーの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る塩製タイル用ホルダーについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本実施形態に係る塩製タイル用ホルダーは、ソルトルームを構築するに当り、塩製タイルを壁材や天井材、床材(以下、これらを総称して壁材等という)に固定するためのものである。そこで、塩製タイル用ホルダーの説明に先立ち、前提となる塩製タイルについて概略説明する。塩製タイルには、岩塩から所定形状に削りだして成形されたものや、塩を溶融固化(金型成形)して所定形状に成形されたものを採用できるが、岩塩には不純物が多く含まれるため、塩の含有率を高めるべく、粉状又は粒状の塩を溶融固化して形成されたもの採用することが好ましい。すなわち、塩を高温で溶融させると、含有されていた不純物が気化し、塩に含まれる不純物(残存する不純物)が少なくなる。従って、塩を溶融固化して成形された塩製タイルは、高純度の塩で成形されたものとなり、新陳代謝や免疫を高めるとされる効能を最大限発揮させるものとなるため、ソルトルームを構築するのに最適である。
【0019】
そして、ソルトルーム(部屋)の内面を構成する壁や天面、床(以下、壁等という)が単一な方形領域、或いは、複数の方形領域の組み合わせ(以下、単に方形領域という)であるため、複数の塩製タイルを壁等に敷き詰めたときに、その集合体が方形領域を埋め尽くすことができるように、塩製タイルは、図1に示す如く、複数種類(本実施形態においては三種類)用意される。
【0020】
すなわち、ソルトルームを構築するための塩製タイルT1,T2,T3は、基本形として平面視略六角形状をなす第一の塩製タイル(以下、第一タイルという:図1(a)参照)T1と、対向する二つの頂点を結ぶ線上で基本形(第一タイルT1)を切断した形状(第一タイルT1を二つ割りにした形状)をなす第二の塩製タイル(以下、第二タイルという:図1(b)参照)T2と、対向する二つの辺(略平行をなす二つの辺)の中間点同士を結ぶ線上で基本形(第一タイルT1)を切断した形状(第一タイルT1を二つ割りにした形状)をなす第三の塩製タイル(以下、第三タイルという:図1(c)参照)T3とが用意される。なお、以下の説明において、第一乃至第三タイルT1,T2,T3の全てを指す場合には総称して塩製タイルTということとする。
【0021】
このように塩製タイルが複数種類用意されるに伴い、塩製タイル用ホルダーは、塩製タイルTの種類毎に形状設定される。すなわち、図2〜図4に示す如く、塩製タイルTとして第一乃至第三タイルT1,T2,T3が用意されるに伴い、本実施形態においては、第一タイルT1用の塩製タイル用ホルダー(以下、第一ホルダーという:図2参照)1と、第二タイルT2用の塩製タイル用ホルダー(以下、第二ホルダーという:図3参照)2と、第三タイルT3用の塩製タイル用ホルダー(以下、第三ホルダーという:図4参照)3とが用意される。なお、以下の説明において、第一乃至第三ホルダー1,2,3の全てを指す場合には総称してホルダーHということとする。
【0022】
すなわち、ホルダーHは、塩製タイルTの形態に応じて形成されるもので、塩製タイルTを一方の面上に配置可能に形成された樹脂製のプレートベース部10,20,30と、該プレートベース部10,20,30の一方の面側に延出するように該プレートベース部10,20,30に直接的又は間接的に連設されたタイル保持爪11…,21…,31…とを備えている。
【0023】
本実施形態に係るホルダーHは、プレートベース部10,20,30が透明な樹脂で成形されている。そして、該プレートベース部10,20,30は、保持の対象となる塩製タイルTの平面形状(外郭形状)に対応して形成される。そのため、第一ホルダー1は、プレートベース部10の平面形状が第一タイルT1の平面形状に対応し、第二ホルダー2は、プレートベース部20の平面形状が第二タイルT2の平面形状に対応し、第三ホルダー3は、プレートベース部30の平面形状が第三タイルT3の平面形状に対応している。
【0024】
従って、第一ホルダー1は、プレートベース部10が平面視略六角形状をなしている(図2参照)。これに対し、第二ホルダー2及び第三ホルダー3は、プレートベース部20,30が基本形(六角形状)を半割にした形状をなしている(図3及び図4参照)。すなわち、第二ホルダー2のプレートベース部20は、六角形の領域を画定する六つの辺が接続された六つの頂点のうち、対向する二つの頂点を結ぶ線上で六角形の領域を半分にした形状をなしている。そして、第三ホルダー3のプレートベース部30は、六角形の領域を画定する六つの辺のうち、対向する二つの辺(略平行をなす二つの辺)の中間点同士を結ぶ線上で六角形の領域を半分にした形状をなしている。
【0025】
そして、ホルダーHのプレートベース部10,20,30には、複数の貫通孔12…,22…,32…が穿設されている。本実施形態に係るホルダーHは、塩製タイルTを保持した状態で、プレートベース部10,20,30の他方の面側から照射した光がプレートベース部10,20,30の貫通孔12…,22…,32…を介して塩製タイルTを透過できるようになっている。すなわち、本実施形態に係るホルダーHは、壁材等に対する固定態様として、壁材等(板材)に対してプレートベース部10,20,30を直接固定する場合と、プレートベース部10,20,30を壁材等と間隔をあけて配置された上で固定される場合とが想定されており、プレートベース部10,20,30を壁材等と間隔をあけて配置したときに、その間に配置した光源の光を塩製タイルTに透過させて部屋内に照射させることを目的に、プレートベース部10,20,30に光透過用の貫通孔12…,22…,32…が穿設されている。なお、言うまでもないが、塩製タイルTに光を透過させることを対象としない場合には、必ずしもプレートベース部10,20,30に光透過用の貫通孔12…,22…,32…を設ける必要はない。
【0026】
そして、本実施形態に係るホルダーHは、プレートベース部10,20,30の他方の面に補強用のリブ13,23,33が設けられている。かかるリブ13,23,33は、プレートベース部10,20,30の他方の面から突出した突片で構成されている(図2(a)、図3(b)、図4(b)参照)。
【0027】
また、本実施形態に係るホルダーHは、プレートベース部10,20,30の外周縁部から一方の面側に延出した枠部14,24,34をさらに備えている。かかる枠部14,24,34は、プレートベース部10の外郭と同形の領域を画定し、その領域内に塩製タイルTが嵌め込み可能に形成されている。すなわち、第一ホルダー1の枠部14は、プレートベース部10を取り囲んで該プレートベース部10の外郭に対応した六角形状の領域を画定し、第一タイルT1を嵌め込み可能に形成されている(図2(a)参照)。これに対し、第二ホルダー2の枠部24は、プレートベース部20を取り囲んで該プレートベース部20の外郭に対応した台形状の領域を画定し、第二タイルT2を嵌め込み可能に形成されている(図3(a)参照)。そして、第三ホルダー3の枠部34は、プレートベース部30を取り囲んで該プレートベース部30の外郭に対応して扁平五角形状(ホームベース状)の領域を画定し、第三タイルT3を嵌め込み可能に形成されている(図4(a)参照)。
【0028】
前記タイル保持爪11…,21…,31…は、プレートベース部10,20,30の一方の面上に配置された塩製タイルT回りに位置するように、プレートベース部10,20,30の周方向に間隔をあけて少なくとも二つ設けられている。各タイル保持爪11…,21…,31…は、プレートベース部10,20,30と同様に樹脂製のもので、プレートベース部10,20,30と一体的に成形されている。
【0029】
各タイル保持爪11…,21…,31は、プレートベース部10,20,30の一方の面と直交する方向に延びている。そして、各タイル保持爪11…,21…,31…は、塩製タイルTの外周面を係止可能に形成されている。すなわち、各タイル保持爪11…,21…,31…は、先端部にプレートベース部10,20,30の外周側から内側に向いて先細りした突起15,25,35が形成されており、突起15,25,35の先端が塩製タイルTの外周面に圧接することで塩製タイルTを係止するようになっている。
【0030】
そして、各ホルダーHは、プレートベース部10,20,30が平面視多角形状に形成されるに伴い、前記タイル保持爪11…,21…,31…は、プレートベース部10,20,30の外周を画定する辺部のそれぞれに対応して設けられている。
【0031】
本実施形態において、第一ホルダー1は、プレートベース部10が平面視六角形状に形成されているため、タイル保持爪11…は、六つの辺部のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、第一ホルダー1は、六つの辺部の配置に対応して六つのタイル保持爪11…,21…,31…が設けられている(図2(a)参照)。これに対し、第二ホルダー2は、プレートベース部20が平面視台形状に形成されているため、タイル保持爪21…は、四つの辺部のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、第二ホルダー2は、四つの辺部の配置に対応して四つのタイル保持爪21…が設けられている(図3(a)参照)。そして、第三ホルダー3は、プレートベース部30が平面視扁平五角形状に形成されているため、タイル保持爪31…は、五つの辺部のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、第三ホルダーHは、五つの辺部の配置に対応して五つのタイル保持爪31…が設けられている(図4(a)参照)。
【0032】
本実施形態において、タイル保持爪11…,21…,31…は、プレートベース部10,20,30に対して間接的に連設されている。すなわち、本実施形態に係るホルダーHは、枠部14,24,34を備えているため、各タイル保持爪11…,21…,31…は、枠部14,24,34の先端から延出するように設けられている。また、本実施形態においては、塩製タイルTを配置するに当り、各ホルダーHのタイル保持爪11…,21…,31…同士の干渉を防止できるように、各タイル保持爪11…,21…,31…は、辺部の延びる方向の何れか一方の端部側に変位するように配置されている。すなわち、各タイル保持爪11…,21…,31…は、各辺部において、プレートベース部10,20,30の外周回りでの一方向(同方向)側に変位した位置に配置されている。
【0033】
そして、本実施形態に係る各ホルダーHは、他方の面側に延出した固定用補助爪16,26,36が少なくとも一つ設けられている。かかる固定用補助爪16,26,36は、プレートベース部10,20,30の他方の面に延設されており、プレートベース部10,20,30の他方の面上にあるリブ13,23,33よりも外方に突出している。そして、固定用補助爪16,26,36は、上述の如く、ホルダーHを壁材等に穿設した穴に挿入した状態でその穴を画定する開口縁部に係止できるようになっている。なお、上述の如く、ホルダーHを壁材と間隔をあけて配置する場合、ホルダーHを支持する基材が壁材に対して間隔をあけて配置され、この基材に対してホルダーHを取り付けるようになっているので、この場合、基材に穿設した穴に固定用補助爪16,26,36が挿入され、その穴の開口縁部に固定用補助爪16,26,36が係合するようになっている。
【0034】
本実施形態に係るホルダーH(第一〜第三ホルダー1,2,3)は、以上の通りである。次に、これらを用いて塩製タイルT(第一〜第三タイルT1,T2,T3)を壁等に敷き詰める作業について説明する。図5に示す如く、隣接する第一ホルダー1の辺部同士が並ぶ(略平行になる)ように、複数の第一ホルダー1を縦横に配置して固定する。本実施形態に係る第一ホルダー1は、プレートベース部10が樹脂製のものであるため、接着剤や粘着テープとの相性がよいことから、接着剤や粘着テープ等の貼着手段を介して壁材等に固定する。そして、本実施形態に係る第一ホルダー1は、上述の如く、プレートベース部10の他方の面に固定用補助爪16が形成されているため、接着剤や粘着テープによる接着に加え、壁材(又は基材)に穿設された穴に固定用補助爪16を挿入し、その穴の開口縁部に固定用補助爪16を係合させることでも固定する。
【0035】
そして、第二ホルダー2及び第三ホルダー3も壁材等(又は基材)に固定する。すなわち、複数の第一ホルダー1を配置することで、この複数の第一ホルダー1の配置された領域の外周に、第二ホルダー2及び第三ホルダー3の平面形状に対応した部分が残るため、その部分に対応する第二ホルダー2又は第三ホルダー3を配置する。この場合においても、第一ホルダー1と同様に、プレートベース部20,30が樹脂製であるため、接着剤や粘着テープ等の貼着手段を介して壁材等に固定する。そして、本実施形態に係る第二ホルダー2及び第三ホルダー3についても、プレートベース部20,30の他方の面に固定用補助爪26,36が形成されているため、接着剤や粘着テープによる接着に加え、壁材(又は基材)に穿設された穴に固定用補助爪26,36を挿入し、その穴の開口縁部に固定用補助爪26,36を係合させることでも固定する。これにより、壁材等の方形領域内に複数のホルダーHが略密接した状態で配置されることになる。
【0036】
そして、図6に示す如く、各第一ホルダー1に対して第一タイルT1を取り付ける。すなわち、図6(a)に示す如く、第一タイルT1の一方の面が第一ホルダー1のプレートベース部10の一方の面と対向するように、第一タイルT1を枠部14内に嵌め込む。そうすると、図6(b)に示す如く、第一タイルT1が枠部14に位置決めされるとともに、複数のタイル保持爪11…によって外周が保持されることになる。また、図7(a)及び図8(a)に示す如く、第二タイルT2の一方の面が第二ホルダー2のプレートベース部20の一方の面と対向するように、第二タイルT2の一方の面側の一部を枠部24内に嵌め込み、第三タイルT3の一方の面が第三ホルダー3のプレートベース部30の一方の面と対向するように、第三タイルT3の一方の面側の一部を枠部34内に嵌め込む。そうすると、第二タイルT2は、図7(b)に示す如く、枠部24に位置決めされるとともに、複数のタイル保持爪21…によって外周が保持されることになる。また、第三タイルT3は、図8(b)に示す如く、枠部34に位置決めされるとともに、複数のタイル保持爪31…によって外周が保持されることになる。
【0037】
この状態で、図9に示す如く、各塩製タイルT間に隙間が形成されるため、この隙間内に目地剤を充填する。そうすると、各塩製タイルT間にあったタイル保持爪11…,21…,31…が目地剤によって覆い隠された状態になる。なお、塩製タイルT間の隙間に充填する目地剤は、樹脂製のものであってもよいが、例えば、粉末状の塩を水で練ったものであってもよい。このように塩を粉末(微粉末)にして水で練ると、漆喰やセメントのように硬化することになる上に、ソルトルーム(部屋)を画定する壁等の全てが塩で覆われた状態になる。
【0038】
そして、上述の如く、複数のホルダーHを配置すると、該ホルダーHがハニカム状をなすため、壁材等に対する固定だけでなく、塩製タイルTの並列方向(壁等の面方向)の剛性にも優れたものになる。
【0039】
以上のように、本実施形態に係る塩製タイル用ホルダーH(第一〜第三ホルダー1,2,3)は、プレートベース部10,20,30が樹脂製であるため、接着剤や粘着テープによる貼着で壁材等に固定したり、ネジ止め等で壁材等に固定したりすることができる。そして、タイル保持爪11…,21…,31…は、プレートベース部10,20,30の一方の面上に配置された塩製タイルT回りに位置するように、プレートベース部10,20,30の周方向に間隔をあけて少なくとも二つ設けられ、各タイル保持爪11…,21…,31…は、塩製タイルTの外周面を係止可能に形成されているので、プレートベース部10,20,30の一方の面上に塩製タイルTを配置することで、その塩製タイルTの外周がタイル保持爪11…,21…,31…によって係止され、一方の面と直交する方向や一方の面の広がる方向で塩製タイルTが移動することが規制される。従って、本発明に係る塩製タイル用ホルダーHを介して塩製タイルTを壁材等に確実に固定することができる。
【0040】
そして、前記プレートベース部10,20,30の外周縁部から延出した枠部14,24,34を備え、前記タイル保持爪11…,21…,31…は、枠部14,24,34の先端から延出するように設けられているので、塩製タイルTの外周縁部を枠部14,24,34で包囲した状態にすることができ、塩製タイルTの位置決めが確実になる。そして、枠部14,24,34の先端からタイル保持爪11…,21…,31…が延出しているので、塩製タイルTを枠部14,24,34で位置決めしつつ保持することができる。
【0041】
また、平面視多角形状に形成された塩製タイルTを保持すべく、前記プレートベース部10,20,30は、平面形状が塩製タイルTの平面形状に対応して多角形状に形成されるとともに、前記タイル保持爪11…,21…,31…は、プレートベース部10,20,30の外周を画定する辺部のそれぞれに対応して設けられているこので、多角形状の塩タイルの外周をタイル保持爪11…,21…,31…で確実に保持した状態にすることができる。特に、平面視六角形状の第一タイルT1を保持すべく、第一ホルダー1のプレートベース部10は、平面形状が六角形状に形成されているので、塩製タイルTを壁等に敷き詰めたときに複数の第一ホルダー1がハニカム状をなし、壁材等に対する固定だけでなく、塩製タイルTの並列方向(壁等の面方向)の剛性にも優れたものにすることができる。
【0042】
さらに、前記プレートベース部10,20,30の他方の面側に延出した固定用補助爪16,26,36が少なくとも一つ設けられているので、壁材に穿設した穴を画定する開口縁部と固定用補助爪16,26,36とが互いに係合することで確実に固定することができる。
【0043】
尚、本発明に係る塩製タイル用ホルダーは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0044】
上記実施形態において、ホルダーHを樹脂で成形したが、これに限定されるものではなく、例えば、薄板状の金属板を曲げ加工して形成したものであってもよい。すなわち、ホルダーHは、プレートベース部10,20,30を接着剤や粘着テープで壁材等に貼着できるように、少なくともプレートベース部10,20,30が樹脂製又は金属製であればよい。
【0045】
上記実施形態において、各ホルダーHのプレートベース部10,20,30に貫通孔12…,22…,32…を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、ホルダーHのプレートベース部10,20,30を壁材等に直付けする場合には、プレートベース部10,20,30は非貫通の状態であってもよい。
【0046】
上記実施形態において、プレートベース部10,20,30の他方の面に固定用補助爪16,26,36を延設し、その固定用補助爪16,26,36を壁材等に穿設した穴の開口縁部に係合させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、固定用補助爪16,26,36は、突起状(リブ13,23,33を設ける場合にはリブ13,23,33よりも外方に突出した突起)で構成し、接着剤でホルダーHを壁材等に固定する場合に、固定用補助爪16,26,36が接着剤に食い込む(固定用補助爪16,26,36に接着剤が絡みつく)ようにしてもよい。
【0047】
また、プレートベース部10,20,30が樹脂又は金属で構成されるため、接着剤や粘着テープ等の貼着手段でホルダーHを壁材等に固定できることから、固定用補助爪16,26,36は必要に応じて設ければよい。すなわち、図10に示す如く、第一ホルダー1のプレートベース部10の他方の面を平面状に形成し、この平面を貼着手段で壁材等に貼着するようにしてもよい。また、第二ホルダー2や第三ホルダー3も同様である。
【0048】
上記実施形態において、塩製タイルの基本形として平面視六角形状にするとともに、壁等の方形領域全面に塩製タイルTを敷き詰めることを前提にしたため、複数の塩製タイルTを配列するに当たって第二タイルT2及び第三タイルT3を配列に加えるようにしたが、第二タイルT2及び第三タイルT3は、壁面の端部に配置されるものであるため、例えば、壁等の隅部に目隠し等を設置することが許容される場合には、第一タイルT1のみを配列するようにしてもよい。従って、この場合には、塩製タイル用ホルダーとして第一ホルダー1のみを用意すればよい。また、上述の如く、塩製タイルTの平面視の形状(基本形)を三角形や四角形等の多角形にする場合も同様である。
【0049】
上記実施形態において、塩製タイルの基本形が平面視六角形状であることを前提にホルダーH(第一ホルダー1)のプレートベース部10を六角形に形成し、また、第二ホルダー2及び第三ホルダー3を基本形の半分の形状に形成したが、塩製タイルの基本形は六角形状に限定されるものではなく、三角形状や四角形状等の多角形状、円形状等であってもよく、ホルダーHは、対象となる塩製タイルTの平面形状に合わせてプレートベース部10,20,30の平面形状を設定すればよい。なお、四角形状の塩製タイルTを対象とする場合、ホルダーHのプレートベース部10,20,30が平面視四角形状となるため、これらを縦横に並べると壁等の方形領域に体裁よく配置できるが、それ以外の多角形の塩製タイルTを対象にすると、縦横に配置したときにこれらで方形領域を形成することができないため、上記実施形態と同様に明き部分を埋める場合(方形領域全面に塩製タイルTを敷き詰める場合)、その明き部分に対応した平面形状の塩製タイルTを成形し、また、これに対応するホルダーHを用意することが好ましいことは言うまでもない。
【0050】
上記実施形態において、プレートベース部10,20,30とタイル保持爪11…,21…,31…とを一体成形したが、これに限定されるものではなく、例えば、これらを別体で形成した後、これらを連結するようにしてもよい。従って、プレートベース部10,20,30及びタイル保持爪11…,21…,31…は、同一の材質で作製されたものに限定されるものではない。
【0051】
上記実施形態において、プレートベース部10,20,30の外周に枠部14,24,34を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、プレートベース部10,20,30の外周端部又は一方の面上にタイル保持爪11…,21…,31…を直接的に延設してもよい。なお、ホルダーHは、隣り合う他のホルダーHと接近して配置できることが好ましいため、プレートベース部10,20,30を塩製タイルTの平面形状及びサイズに対応させて形成し、その外周端部にタイル保持爪11…,21…,31…を延設することが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1(H)…第一ホルダー(塩製タイル用ホルダー)、2(H)…第二ホルダー(塩製タイル用ホルダー)、3(H)…第三ホルダー(塩製タイル用ホルダー)、10,20,30…プレートベース部、11,21,31…タイル保持爪、12,22,32…貫通孔、13,23,33…リブ、14,24,34…枠部、15,25,35…突起、16,26,36…固定用補助爪、T1(T)…第一タイル(塩製タイル)、T2(T)…第二タイル(塩製タイル)、T3(T)…第三タイル(塩製タイル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩で成形された塩製タイルを一方の面上に配置可能に形成された樹脂製又は金属製のプレートベース部と、該プレートベース部の一方の面側に延出するように該プレートベース部に直接的又は間接的に連設されたタイル保持爪とを備え、該タイル保持爪は、プレートベース部の一方の面上に配置された塩製タイル回りに位置するように、プレートベース部の周方向に間隔をあけて少なくとも二つ設けられ、各タイル保持爪は、塩製タイルの外周面を係止可能に形成されていることを特徴とする塩製タイル用ホルダー。
【請求項2】
前記プレートベース部の外周縁部から延出した枠部を備え、前記タイル保持爪は、枠部の先端から延出するように設けられている請求項1に記載の塩製タイル用ホルダー。
【請求項3】
平面視多角形状に形成された塩製タイルを保持すべく、前記プレートベース部は、平面形状が塩製タイルの平面形状に対応して多角形状に形成されるとともに、前記タイル保持爪は、プレートベース部の外周を多角形状に画定する多数の辺部のそれぞれに対応して設けられている請求項1又は2に記載の塩製タイル用ホルダー。
【請求項4】
平面視六角形状の塩製タイルを保持すべく、前記プレートベース部は、平面形状が六角形状に形成されている請求項3に記載の塩製タイル用ホルダー。
【請求項5】
前記プレートベース部の他方の面側に延出した固定用補助爪が少なくとも一つ設けられている請求項1乃至4の何れか1項に記載の塩製タイル用ホルダー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−203181(P2010−203181A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51578(P2009−51578)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(503314716)
【Fターム(参考)】