説明

塩酸ピオグリタゾンを有するアンジオテンシンII拮抗薬の医薬組成物

本発明は、
(a) 式(I)


(式中、Rは置換されていてもよい、脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)
で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと低融点油脂状物質とを含有する核と、
(b)高分子量重合体を含有し当該核を被覆する第一の層と、
(c)塩酸ピオグリタゾンを含有し、当該第一の層を被覆する第二の層と
を含有してなる固形医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
高血圧症、心不全、糖尿病性腎症、動脈硬化症などの循環器系疾患および糖尿病、メタボリックシンドロームなどの代謝性疾患の予防・治療薬として臨床上有用であり、製剤中における有効成分の分解が著しく抑制されているなど製剤学的特性にも優れた、新規固形医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
近年、医薬品の開発分野においては、薬効の相乗作用、副作用の軽減、患者の利便性の向上等を目的として、合剤(複数の有効成分を含有する単一の医薬製剤)の開発が活発に行われている。例えば、特開平9−67271号公報には、インスリン抵抗性改善作用を有する化合物と、α−グルコシダーゼ阻害作用を有する化合物、ビグアナイド系化合物などとの合剤が、糖尿病の予防・治療薬として有用であることが記載されている。また、特開平9−323940号公報には、アンジオテンシンII拮抗作用を有する化合物とインスリン抵抗性改善作用を有する化合物との合剤が、アンジオテンシンII介在性諸疾患の予防・治療薬として有用であることが記載されており、国際公開第2006/038722号パンフレットには、アンジオテンシンII拮抗作用を有する特定の化合物とPPARγアゴニスト様物質との合剤がメタボリックシンドロームの予防・治療薬として有用であることが記載されている。
【0003】
アンジオテンシンII拮抗作用を有する化合物としては、特開平4−364171号公報または特開平5−271228などに開示されたベンズイミダゾール−7−カルボン酸誘導体、とりわけ、
式(I)
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、Rは置換されていてもよい、脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)
で表されるベンズイミダゾール誘導体が、極めて強力なアンジオテンシンII拮抗作用を有し、降圧薬として優れていることが知られている。しかし、式(I)で表されるベンズイミダゾール誘導体は、単独で固体状態では温度、湿度、光に対して安定であるものの、他の製剤成分とともに固形製剤化した場合には分解が加速され、品質保証上問題となりうることが知られている。そこで、特開平5−194218では、低融点油脂状物質を配合することにより、固形製剤中におけるベンズイミダゾール誘導体の分解が顕著に抑制されることが開示されている。また、特開平7−165580には、素錠の密度を特定の範囲に調整することにより、錠剤中におけるベンズイミダゾール誘導体の分解が顕著に抑制されることが記載されている。
【0006】
インスリン抵抗性改善作用を有する化合物としては、塩酸ピオグリタゾンが優れた糖尿病治療薬として臨床上用いられており、最近では塩酸ピオグリタゾンとメトフォルミンの合剤も臨床上用いられるようになっている。
【0007】
塩酸ピオグリタゾンと他の有効成分とを含有する固形製剤および製剤化の方法については、特開2004−149521号公報、特開2004−43478号公報、特開2005−220024号公報などに記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
式(I)で表されるベンズイミダゾール誘導体と塩酸ピオグリタゾンとを含有する製剤は、高血圧症、心不全、糖尿病性腎症、動脈硬化症などの循環器系疾患のみならず糖尿病、メタボリックシンドロームなどの代謝性疾患の予防・治療に有効であり、臨床上の有用性が極めて高いことから、該ベンズイミダゾール誘導体と塩酸ピオグリタゾンとを含む合剤の製剤化を検討した。しかし、式(I)で表されるベンズイミダゾール誘導体は製剤化の際の圧力、摩擦、熱などによって不安定化し、更に、塩酸ピオグリタゾンと固形製剤中に共存させると、該ベンズイミダゾール誘導体の分解が著しく加速されることが分かった。そこで、式(I)で表されるベンズイミダゾール誘導体と塩酸ピオグリタゾンとの物理的接触を妨げるため、該ベンズイミダゾール誘導体を含む造粒末と塩酸ピオグリタゾンを含む造粒末とを別々に製造し、これらの造粒末を用いて錠剤またはカプセル剤を製造したが、ベンズイミダゾール誘導体の分解は十分に抑制されず、実用化には至らなかった。
【0009】
また、薬効成分の製剤からの溶出速度が、投与後の経時的薬効プロファイルに影響しうることから、製剤の実用化においては、薬効成分の溶出速度が最適となるよう製剤組成を調節する必要がある。特に合剤の場合には、各薬効成分について溶出速度を最適化する必要があることから、製剤の困難性が高い。例えば、合剤の構成として、一方の薬効成分を含有する核を他方の薬効成分を含有する層で被覆した製剤も知られているが、一般的には核に含有される薬効成分の溶出速度が遅くなり、製剤開発上支障をきたす場合が多い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは、式(I)で表されるベンズイミダゾール誘導体と塩酸ピオグリタゾンとを含有する製剤であって、該ベンズイミダゾール誘導体の分解が十分に抑制され、かつ、薬効成分(ベンズイミダゾール誘導体および塩酸ピオグリタゾン)の溶出速度が容易に調節可能な製剤を実現するために鋭意研究を行った結果、該ベンズイミダゾール誘導体と低融点油脂状物質とを含有する核を高分子量重合体を含有する第一の層で被覆し、その周りをさらに塩酸ピオグリタゾンを含有する第二の層で被覆することによって、該ベンズイミダゾール誘導体の分解が予想外にも顕著に抑制され、かつ、薬効成分の溶出速度が容易に調節可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
発明の要旨
すなわち、本発明は、
(1)式(I)
【0012】
【化2】

【0013】
(a)(式中、Rは置換されていてもよい、脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)
で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグ(以下、単に化合物(I)という)と低融点油脂状物質とを含有する核と、
(b)高分子量重合体を含有し当該核を被覆する第一の層と、
(c)塩酸ピオグリタゾンを含有し当該第一の層を被覆する第二の層と
を含有してなる固形医薬組成物(以下、単に「本発明の医薬組成物」ということもある);
(2)式(I)で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグが2−エトキシ−1−{[2’−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸(化合物A)である前記(1)記載の組成物;
(3)式(I)で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグが1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレート(化合物B)である前記(1)記載の組成物;
(4)低融点油脂状物質の融点が20〜90℃である前記(1)記載の組成物;
(5)低融点油脂状物質が分子量1000〜10000のアルキレンオキシド重合体である前記(1)記載の組成物;
(6)高分子量重合体の分子量が2500〜400000である前記(1)記載の組成物;
(7)高分子量重合体がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンもしくはポリビニルアルコールまたはこれらの重合体の2以上の混合物である前記(1)記載の組成物;などに関する。
【0014】
以下に、本発明の固形医薬組成物を詳細に説明する。
【0015】
本発明の固形医薬組成物は、(a)化合物(I)および低融点油脂状物質を含有する核と、(b)高分子量重合体を含有し当該核を被覆する第一の層と、(c)塩酸ピオグリタゾンを含有し、当該第一の層を被覆する第二の層とを含有してなる。
【0016】
(a)核
本発明で用いる核は、化合物(I)および低融点油脂状物質を含有する。
前記式(I)において、Rは置換されていてもよい、脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、例えば、置換されていてもよい低級(C1−4)アルキル(例、メチル、トリフェニルメチル、メトキシメチル、アセチルオキシメチル、メトキシカルボニルオキシメチル、エトキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、ピバロイルオキシメチルなど)、アシル基(例、低級(C2−5)アルカノイル、ベンゾイルなど)などで保護されていてもよい、テトラゾリル基または式
【0017】
【化3】

【0018】
〔式中、iは−O−または−S−を示し、jは>C=O、>C=Sまたは
>S(O)mを示す(式中、mは0、1または2を示す)〕で表される基(例えば、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基など)などが好ましく用いられる。
【0019】
なお、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基には、式:
【0020】
【化4】

【0021】
で示される3つの互変異性体(a’,b’およびc’)が存在し、4,5−ジヒドロ−5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基は上記a’、b’およびc’のすべてを含む。
【0022】
前記式(I)において、Rはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、例えば、カルボキシル基、または水酸基,アミノ、ハロゲン、低級(C2−6)アルカノイルオキシ(例、アセチルオキシ、ピバロイルオキシなど)、
低級(C4−7)シクロアルカノイルオキシ、(低級(C1−6)アルコキシ)カルボニルオキシ(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシなど)、
(低級(C3−7)シクロアルコキシ)カルボニルオキシ(例、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシなど)および低級(C1−4)アルコキシから選ばれる置換基で置換されていてもよい低級(C1−4)アルキルでエステル化されたカルボキシル基(例えば、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エトキシカルボニル基)などが用いられる。
【0023】
前記式(I)において、Rは置換されてもよい低級アルキルを示し、Rとしては水酸基、アミノ基、ハロゲン原子および低級(C1−4)アルコキシ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい低級(C1−5)アルキル(好ましくは、低級(C2−3)アルキル)が好ましい。
【0024】
式(I)で表される化合物の塩としては、薬学的に許容される塩が挙げられ、例えば、式(I)で表される化合物の、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0025】
式(I)で表される化合物もしくはその塩のプロドラッグとしては、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により式(I)で表される化合物もしくはその塩に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして 式(I)で表される化合物もしくはその塩に変化する化合物、胃酸等により加水分解などを起こして式(I)で表される化合物もしくはその塩に変化する化合物などをいう。式(I)で表される化合物もしくはその塩のプロドラッグとしては、式(I)で表される化合物もしくはその塩のアミノ基がアシル化、アルキル化、りん酸化された化合物(例、式(I)で表される化合物もしくはその塩のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化またはtert−ブチル化された化合物など);式(I)で表される化合物もしくはその塩の水酸基がアシル化、アルキル化、りん酸化またはほう酸化された化合物(例、式(I)で表される化合物もしくはその塩の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化またはジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);式(I)で表される化合物もしくはその塩のカルボキシル基がエステル化またはアミド化された化合物(例、式(I)で表される化合物もしくはその塩のカルボキシル基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチルエステル化またはメチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらのプロドラッグは自体公知の方法によって式(I)で表される化合物もしくはその塩から製造することができる。
【0026】
式(I)で表される化合物もしくはその塩のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で式(I)で表される化合物もしくはその塩に変化するものであってもよい。
【0027】
化合物(I)は水和物または非水和物のいずれであってもよい。
【0028】
化合物(I)は、結晶性であって、かつ融点が100〜250℃、なかでも120〜200℃であるものが好ましい。
【0029】
化合物(I)としては、上記化合物Aまたは化合物Bが好ましく、これらの化合物の結晶としては、化合物Aは融点191℃の結晶が、化合物Bは融点163℃の結晶が好ましく用いられる。
【0030】
化合物(I)は、本発明の固形医薬組成物中に、0.01〜50重量%、好ましくは0.05〜40重量%、より好ましくは0.1〜30重量%の割合で含有される。
【0031】
本発明で用いる低融点油脂状物質としては、油脂状を呈し、通常その融点が20〜90℃程度のもの、好ましくは20〜60℃のものが用いられる。有効成分に対して悪影響を及ぼさない物質であればいかなるものでも用いることができる。本発明の医薬組成物を製造するにあたって、低融点油脂状物質は高融点油脂状物質と比べて有効成分と均一に配合可能なものであり、その結果、有効成分の分解などが抑えられたより安定な医薬組成物を得ることができる。また、低融点油脂状物質としては、水に可溶性であっても不溶性であってもよい。ここで、水に可溶性の低融点油脂状物質の例としては、後述のアルキレンオキサイドの重合体が挙げられる。本発明に用いる低融点油脂状物質としては、たとえば炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの高級アルコールエーテル、アルキレンオキサイドの重合体もしくは共重合体などがあげられ、なかでも多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの高級アルコールエーテル、アルキレンオキサイドの重合体もしくは共重合体、とりわけアルキレンオキサイドの重合体が好ましく用いられる。
【0032】
炭化水素としては、たとえば、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、n−ヘンエイコサン、n−ドコサン、n−トリコサン、n−テトラコサン、n−ペンタコサン、n−トリアコンタン、n−ペンタトリアコンタン、n−テトラコンタン、n−ペンタコンタン等の炭素数17〜50のn−アルカンおよびこれらの混合物(ペトロレイタム、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等)などがあげられる。高級脂肪酸としては、たとえば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸およびそれらの混合物、天然油脂から採取される高級脂肪酸などがあげられる。
【0033】
高級アルコールとしては、たとえば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコールおよびそれらの混合物、天然油から採取される高級アルコールなどがあげられる。
【0034】
多価アルコールの脂肪酸エステルとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコール(たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいはこれらの共重合物などのポリアルキレングリコール、ソルビトール、蔗糖などの糖類、1,5−ソルビタン、1,4−ソルビトール、3,6−ソルビタンなどのソルビトールの分子内脱水化合物、グリセリン、ジエタノールアミン、ペンタエリスリトールなど)と脂肪酸(たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ステアロール酸など)とのエステル、具体的には、たとえば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノパルミテートなど分子量400〜900のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミテートなど分子量1000〜1500のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールトリステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトララウレートなどのポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール蜜ロウ誘導体などのポリオキシアルキレンソルビトール蜜ロウ誘導体、ポリオキシエチレンラノリン誘導体などのポリオキシアルキレンラノリン誘導体、プロピレングリコールモノパルミテート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジパルミテート、プロピレングリコールジステアレートなど分子量200〜700のプロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコールモノラウレート、エチレングリコールパルミテート、エチレングリコールマーガレート、エチレングリコールステアレート、エチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジミリステート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジマーガレートなど分子量500〜1200のエチレングリコール脂肪酸エステルなどのアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体など分子量3500〜4000のポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンリノレートなど分子量1900〜2200のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノプロピオネート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノリノレートなど分子量300〜600のグリセリンモノ脂肪酸エステル、蔗糖モノラウレート、蔗糖モノミリステート、蔗糖モノパルミテート、蔗糖モノステアレート、蔗糖トリミリステート、蔗糖トリパルミテート、蔗糖トリステアレートなど分子量400〜1300の蔗糖脂肪酸エステルなどがあげられる。
【0035】
多価アルコールの高級アルコールエーテルとしては、多価アルコール(上記多価アルコールの脂肪酸エステルのアルコール成分としてあげたもの)と高級脂肪酸アルコール(たとえば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール)とのエーテル、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレンデシルアルコールエーテルなどのポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンセチルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンステアリルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンオクチルアルコールエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアルコールエーテルなどのポリオキシプロピレンポリオキシエチレン高級アルコールエーテルなどが繁用される。
【0036】
アルキレンオキサイドの重合体としては、分子量1,000〜10,000のもの(例、ポリエチレングリコール6000(マクロゴール6000))が好ましく用いられる。アルキレンオキサイドとしては、たとえば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等(好ましくは、エチレンオキサイド)があげられる。アルキレンオキサイドの共重合体としては、上記アルキレンオキサイドの二種以上のものの共重合体であって分子量1,000〜10,000のものが好ましく用いられる。
【0037】
これらの低融点油脂状物質は、単独で用いてもまたは二種以上を併用してもよい。
【0038】
低融点油脂状物質は、本発明の医薬組成物中に0.005〜40重量%、好ましくは0.02〜30重量%、より好ましくは0.05〜15重量%の割合で含有される。
【0039】
また、化合物(I)と低融点油脂状物質の含有比率(重量比;化合物(I)/低融点油脂状物質)としては、約0.05〜約50、好ましくは約0.1〜約30、より好ましくは約0.2〜約20、さらに好ましくは約0.3〜約15である。
【0040】
上記核は、後述する第一の層で被覆可能な固体であれば如何なる形状、大きさであってもよい。また、核は、如何なる内部構造を有していてもよく、内部が均一であっても不均一であってもよい。核としては、成形(造粒、加圧成形など)によって製造される固形剤(例えば、顆粒剤、錠剤など)が好ましく用いられ、なかでも錠剤が好ましく用いられる。
【0041】
核は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてもよく、公知の方法に従って製造することができる。該添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、安定化剤、酸味料、香料、流動化剤などが挙げられる。これら添加剤は、製剤分野において慣用の量が用いられる。
【0042】
賦形剤としては、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;乳糖、果糖、ブドウ糖、マンニトール(例、D−マンニトール)、ソルビトール(例、D−ソルビトール)、エリスリトール(例、D−エリスリトール)、ショ糖等の糖または糖アルコール類:無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
【0043】
崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が用いられる。該崩壊剤の使用量は、本発明の医薬組成物100重量部に対して、好ましくは0.5〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部である。
【0044】
結合剤としては、例えば、結晶セルロース(例、微結晶セルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などが挙げられる。該結合剤の使用量は、本発明の医薬組成物100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、さらに好ましくは0.5〜30重量部である。
【0045】
滑沢剤の好適な例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。
【0046】
着色剤としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。
【0047】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
【0048】
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
【0049】
安定化剤としては、例えば、トコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。
【0050】
酸味料としては、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
【0051】
香料としては、例えば、メントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
【0052】
流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。
【0053】
上記した添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0054】
上記核を製造するにあたっては、通常、上記したような低融点油脂状物質を化合物(I)に配合した後、成型することにより行なわれる。これらの配合方法としては、製剤において一般的に用いられる配合方法、たとえば混合、練合、捏和、篩過、撹拌などにより行なわれる。例えば、低融点油脂状物質を直接有効成分に添加して混合(粉末添加)してもよく、また溶媒を加えて混和し、常法により練合、造粒、乾燥することもできる。また、低融点油脂状物質を適当な溶媒に溶解した後、有効成分と均一に混和して常法により練合、造粒、乾燥する(液添加)などにより配合することもできる。さらに、低融点油脂状物質を含有する液と化合物(I)を含有する液とを別々に賦形剤等の粉末にスプレーして配合してもよい。液添加の場合の適当な溶媒としては、たとえば水、ジメチルホルムアミド、アセトン、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メチレンクロライド、トリクロルエタンなどの有効成分に悪影響を及ぼさない溶媒が用いられる。配合終了後、公知の加圧成型手段を用いることにより有効成分を含有する錠剤を製造することができる。加圧成型とは、加圧下に圧縮して所望する形態となすことであり、最も一般的には、例えば打錠などをいう。低融点油脂状物質の配合により、練合、造粒および加圧成型時における化合物(I)の結晶の歪等が少なくなっていると考えられる。また、本発明の医薬組成物の製造法においては、上記したような種々の添加剤を適当な工程で添加することもできる。
【0055】
(b)第一の層
本発明で上記核を被覆するために用いる第一の層は、高分子量重合体を含有する。
【0056】
本発明で第一の層に用いる高分子量重合体は、水溶性であっても脂溶性であってもよく、水溶性の高分子量重合体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン等のいずれか又は2つ以上を混合したもの)が好ましく、なかでもヒドロキシプロピルメチルセルロースが特に好ましい。当該高分子量重合体の分子量は、好ましくは2500〜400000、より好ましくは3000〜150000、さらに好ましくは4000〜100000である。ここで、高分子量重合体の分子量とは、高分子量重合体の重量平均分子量をいい、より具体的にはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量をいう。GPCの方法としては、例えば、高分子論文集第39巻第4号293−298頁(加藤ら)に記載された方法が用いられるが、用いる基準物質ならびに詳細な測定条件については、測定対象とする高分子量重合体に適した基準物質ならびに条件を適宜用いることができる。
【0057】
当該高分子量重合体は、第一の層中に0.01〜100重量%、好ましくは0.1〜100重量%、より好ましくは0.5〜100重量%含有される。
【0058】
上記第一の層は、さらに、製剤分野において慣用のコーティング添加剤を含有していてよい。該コーティング添加剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄などの遮光剤および/または着色剤;ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸;乳糖、マンニトール(例、D−マンニトール)、エリスリトール(例、D−エリスリトール)、ショ糖などの糖類;低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスポビドンなどの崩壊剤;結晶セルロース(例、微結晶セルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などの結合剤などが挙げられる。
【0059】
上記核への第一の層は、公知の方法に従ってコーティングされる。コーティングには、例えばフィルムコーティング装置が用いられる。
【0060】
第一の層のコーティングは、核100重量部に対して、通常1〜40重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部の割合で付与される。
【0061】
また、第一の層に高分子量重合体1重量部に対して10重量部以上の糖類を含有する場合、第一の層は、核100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは50〜60重量部となる割合で付与される。
【0062】
(c)第二の層
第二の層は、塩酸ピオグリタゾンを含有し、当該第一の層を被覆する。
【0063】
当該第二の層は、如何なる方法で形成されてもよく、例えば、コーティング、圧縮成形などによって、上記第一の層を被覆するように形成される。
【0064】
第二の層がコーティングによって形成される場合、第二の層は、製剤分野において慣用のコーティング添加剤を含有していてよい。該コーティング添加剤としては、例えば酸化チタン、タルク、三二酸化鉄などの遮光剤および/または着色剤;ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸;乳糖、マンニトール(例、D−マンニトール)、エリスリトール(例、D−エリスリトール)、ショ糖などの糖類;低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスポビドンなどの崩壊剤;結晶セルロース(例、微結晶セルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などの結合剤などが挙げられる。
【0065】
上記第一の層でコーティングされた化合物(I)を含有する核(好ましくは、錠剤)の表面への第二の層のコーティングは、公知の方法(例えば、特開2004−43478号公報、特開2005−220024号公報などに記載された方法など)に従って行われる。コーティングは、例えばフィルムコーティング装置が用いられる。
【0066】
第二の層は、第一の層で被覆された核100重量部に対して、通常1〜80重量部、好ましくは1〜65重量部、さらに好ましくは5〜60重量部の割合で付与される。
【0067】
第二の層が圧縮成形によって形成される場合、第二の層は、さらに製剤分野において慣用の添加剤を含有していてよく、公知の方法に従って製造することができる。該添加剤としては、上記(a)で説明した、核が含有していてもよい添加剤と同様の慣用の添加剤などが用いられる。
【0068】
第二の層は、第一の層で被覆された核100重量部に対して、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは25〜250重量部の割合となるように形成される。
【0069】
さらに、第二の層で被覆した製剤に、被覆製剤の製剤強度の向上や着色等を目的とするさらなるコーティング(トップコーティング)を行ってもよい。該コーティングは、例えば前記第一の層に用いる高分子量重合体として説明した高分子量重合体、ならびに前記第一の層および/または第二の層が含んでいてもよいコーティング添加剤として挙げたコーティング添加剤などを用いて、公知の方法にしたがって行うことができる。
【0070】
化合物(I)と塩酸ピオグリタゾンの含有重量比率(塩酸ピオグリタゾン/化合物(I))としては、約0.0001〜約6000、好ましくは約0.002〜約500、より好ましくは約0.01〜約100、さらに好ましくは約0.1〜約50である。
【0071】
本発明の医薬組成物は、塩酸ピオグリタゾンを含有する第二の層に必要に応じて含まれる糖および/または糖アルコールの種類および/または量、結合剤の種類および/または量、崩壊剤の種類および/または量などを変化させることにより、あるいは塩酸ピオグリタゾンの含有量を変化させることによって、医薬組成物からの塩酸ピオグリタゾンの溶出速度を制御することができるという製剤設計上の利点を有する。
【0072】
塩酸ピオグリタゾンの量は、本発明の固形医薬組成物中に0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%含有される。
【0073】
ピオグリタゾンはインスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化し、インスリン抵抗性を軽減するとともにインスリン作用を増強させ、耐糖能改善作用を有していることから、本発明の医薬組成物は、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)に対し、インスリン抵抗性が関与する疾患の改善剤あるいは予防および/または治療剤として用いられる。このような疾患としては、例えば、インスリン抵抗性、耐糖能異常;インスリン非依存性糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性を伴うII型糖尿病、耐糖能異常を伴うII型糖尿病などの糖尿病;高インスリン血症、インスリン抵抗性を伴う高血圧症、耐糖能異常を伴う高血圧症、糖尿病(例、II型糖尿病など)を伴う高血圧症、高インスリン血症を伴う高血圧症、高血圧症に合併するインスリン抵抗性、高血圧症に合併する耐糖能異常、高血圧症に合併する糖尿病、高血圧症に合併する高インスリン血症、糖尿病性合併症[例、細小血管症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症など)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、糖尿病性脳血管障害、糖尿病性末梢血行障害、糖尿病性高血圧症など]、糖尿病性悪液質などの各種合併症などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、糖尿病を発症している正常高値血圧患者の治療にも用いることができる。
【0074】
式(I)で表される化合物は強力なアンジオテンシンII拮抗作用を有することから、本発明の医薬組成物は、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)に対し、アンジオテンシンII受容体を介して発現する血管の収縮および増殖や臓器障害により、アンジオテンシンIIの存在により、あるいはアンジオテンシンIIが存在すると誘発される因子により発症する疾患(または発症が促進される疾患)の予防または治療薬として有用である。
【0075】
このような疾患としては、例えば、高血圧症、血圧日内変動異常、心疾患(例、心肥大、急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全、拡張不全、心筋症、狭心症、心筋炎、心房細動、不整脈、頻脈、心筋梗塞など)、脳血管障害(例、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、脳卒中、脳血管性痴呆、高血圧性脳症、脳梗塞など)、脳浮腫、脳循環障害、脳血管障害の再発および後遺症(例、神経症候、精神症候、自覚症状、日常生活動作障害など)、虚血性末梢循環障害、心筋虚血、静脈機能不全、心筋梗塞後の心不全進行、腎疾患(例、腎炎、糸球体腎炎、糸球体硬化症、腎不全、血栓性微小血管症、透析の合併症、放射線照射による腎症を含む臓器障害など)、アテローム性を含む動脈硬化症(例、動脈瘤、冠動脈硬化症、脳動脈硬化症、末梢動脈硬化症など)、血管肥厚、インターベンション(例、経皮的冠動脈形成術、ステント留置、冠動脈内視鏡、血管内超音波、冠注血栓溶解療法など)後の血管肥厚または閉塞および臓器障害、バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄、移植後の赤血球増加症・高血圧・臓器障害・血管肥厚、移植後の拒絶反応、眼疾患(例、緑内障、高眼圧症など)、血栓症、多臓器不全、内皮機能障害、高血圧性耳鳴り、その他の循環器系疾患(例、深部静脈血栓症、閉塞性末梢循環障害、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓性血管炎、虚血性脳循環障害、レイノー病、バージャー病など)、代謝・栄養障害(例、肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、高尿酸血症、高カリウム血症、高ナトリウム血症など)、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症など)、中枢神経障害(例、脳出血および脳梗塞などの障害およびその後遺症・合併症、頭部外傷、脊椎損傷、脳浮腫、知覚機能障害、知覚機能異常、自律神経機能障害、自律神経機能異常、多発性硬化症など)、痴呆症、記憶障害、意識障害、健忘症、不安症状、緊張症状、不快精神状態、精神疾患(例、うつ病、てんかん、アルコール依存症など)、炎症性疾患(例、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊髄炎、骨膜炎などの関節炎;手術・外傷後の炎症;腫脹の緩解;咽頭炎;膀胱炎;肺炎;アトピー性皮膚炎;クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;髄膜炎;炎症性眼疾患;肺炎、珪肺、肺サルコイドーシス、肺結核などの炎症性肺疾患など)、アレルギー疾患(例、アレルギー性鼻炎、結膜炎、消化管アレルギー、花粉症、アナフィラキシーなど)、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、カリニ肺炎、膠原病(例、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発動脈炎など)、肝臓疾患(例、慢性を含む肝炎、肝硬変など)、門脈圧亢進症、消化器疾患(例、胃炎、胃潰瘍、胃癌、胃手術後障害、消化不良、食道潰瘍、膵炎、大腸ポリープ、胆石症、痔疾患、食道や胃の静脈瘤破裂など)、血液・造血器疾患(例、赤血球増加症、血管性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、播種性血管内凝固症候群、多発性骨髄症など)、骨疾患(例、骨折、再骨折、骨粗鬆症、骨軟化症、骨パジェット病、硬直性脊髄炎、慢性関節リウマチ、変形性膝関節炎およびそれらの類似疾患における関節組織の破壊など)、固形腫瘍、腫瘍(例、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、消化器(例、胃、腸など)癌など)、癌およびそれに伴う悪液質、癌の転移、内分泌疾患(例、アジソン病、クッシング症候群、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症など)、クロイツフェルト−ヤコブ病、泌尿器・男性性器疾患(例、膀胱炎、前立腺肥大症、前立腺癌、性感染症など)、婦人科疾患(例、更年期障害、妊娠中毒症、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣疾患、乳腺疾患、性感染症など)、環境・職業性因子による疾患(例、放射線障害、紫外線・赤外線・レーザー光線による障害、高山病など)、呼吸器疾患(例、かぜ症候群、肺炎、喘息、肺高血圧症、肺血栓・肺塞栓など)、感染症(例、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルス感染症、リケッチア感染症、細菌感染症など)、毒血症(例、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシンショック症候群など)、耳鼻咽喉疾患(例、メヌエル症候群、耳鳴り、味覚障害、めまい、平衡障害、嚥下障害など)、皮膚疾患(例、ケロイド、血管腫、乾癬など)、透析低血圧、重症筋無力症、慢性疲労症候群などの全身疾患などが挙げられる。
【0076】
本発明の医薬組成物は、種々の疾患に伴う臓器障害(例、脳血管障害およびそれに伴う臓器障害、循環器疾患に伴う臓器障害、糖尿病に伴う臓器障害、インターベンション後の臓器障害など)の一次および二次予防・治療剤として用いることができ、とりわけ式(I)で表される化合物の有する蛋白尿抑制作用はピオグリタゾンとの併用によって増強されることから、本発明の医薬組成物は腎保護剤として用いることができる。したがって、インスリン抵抗性、耐糖能異常、糖尿病、高インスリン血症の患者が上記疾患または病態を併発している場合にも本発明の医薬組成物を有利に用いることができる。
【0077】
糖尿病の判定基準については、1999年に日本糖尿病学会から新たな判定基準が報告されている。
【0078】
この報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上、随時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上のいずれかを示す状態である。また、上記糖尿病に該当せず、かつ、「空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl未満または75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満を示す状態」(正常型)でない状態を、「境界型」と呼ぶ。
【0079】
また、糖尿病の判定基準については、1997年にADA(米国糖尿病学会)から、1998年にWHOから、新たな判定基準が報告されている。
【0080】
これらの報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上であり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上を示す状態である。
【0081】
また、上記報告によれば、耐糖能異常とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl未満であり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl以上200mg/dl未満を示す状態である。さらに、ADAの報告によれば、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl以上126mg/dl未満の状態をIFG(Impaired Fasting Glucose)と呼ぶ。一方、WHOの報告によれば、該IFG(Impaired Fasting Glucose)のうち、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満である状態をIFG(Impaired Fasting Glycemia)と呼ぶ。
【0082】
本発明の医薬組成物は、上記した新たな判定基準により決定される糖尿病、境界型糖尿病、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)およびIFG(Impaired Fasting Glycemia)の改善剤あるいは予防・治療剤として、さらに上記判定基準(例えば、空腹時血糖値が126mg/dl)以上の高血圧症患者の高血圧症の治療剤としても用いられる。さらに、本発明の医薬組成物は、境界型糖尿病、耐糖能異常、IFGまたはIFGから糖尿病への進展を防止することもできる。
【0083】
本発明の医薬組成物は、糖尿病を有する心疾患(例、心肥大、急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全、拡張不全、心筋症、狭心症、心筋炎、心房細動、不整脈、頻脈、心筋梗塞など)患者の心機能低下、心リモデリング進展、症状悪化の抑制もしくは改善薬、または生存率の低下抑制薬として有用である。また糖尿病患者の心疾患(例、心肥大、急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全、拡張不全、心筋症、狭心症、心筋炎、心房細動、不整脈、頻脈、心筋梗塞など)および脳血管障害(例、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、脳卒中、脳血管性痴呆、高血圧性脳症、脳梗塞など)の発症予防に有効である。
【0084】
本発明の医薬組成物は、メタボリックシンドロームの予防・治療剤としても有用である。メタボリックシンドロームの患者では、単一の生活習慣病を発症している患者に比べて心血管系疾患を発症する率が著しく高いことから、メタボリックシンドロームを予防・治療することは心血管系疾患を予防するために極めて重要である。
【0085】
メタボリックシンドロームの判定基準が、1999年にWHOから、2001年にNCEPから発表されている。WHOの判定基準によれば、高インスリン血症または耐糖能異常を基本条件に、内臓肥満、異常脂質血症(高TGまたは低HDL)、高血圧のうち少なくとも2つを持つ場合にメタボリックシンドロームと診断される(World Health Organization: Definition, Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus and Its Complications. Part I: Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus, World Health Organization, Geneva, 1999)。米国の虚血性心疾患の管理指標であるNational Cholesterol Education Program のAdult Treatment Panel IIIの判定基準によれば、内臓肥満、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症、高血圧、耐糖能異常のうち少なくとも3つを持つ場合にメタボリックシンドロームと診断される(National Cholesterol Education Program: Executive Summary of the Third Report of National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adults Treatment Panel III). The Journal of the American Medical Association, Vol. 285, 2486−2497, 2001)。
【0086】
本発明の医薬組成物は、メタボリックシンドロームを発症している高血圧症患者の治療に用いることができる。
【0087】
本発明の医薬組成物は抗炎症剤として、炎症性疾患の予防・治療剤として用いることができる。炎症性疾患としては、例えば、関節炎(例、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊髄炎、痛風性関節炎、滑膜炎)、喘息、アレルギー疾患、アテローム性を含む動脈硬化症(動脈瘤、冠動脈硬化症、脳動脈硬化症、末梢動脈硬化症など)、炎症性腸疾患など消化器疾患(例、クローン病、潰瘍性大腸炎)、糖尿病性合併症(糖尿病性神経障害、糖尿病性血管障害)、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、全身性エリスマトーデス、内臓炎症性疾患(腎炎、肝炎)、自己免疫性溶血性貧血、乾癬、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症)、中枢神経障害(例、脳出血および脳梗塞などの脳血管障害、頭部外傷、脊髄損傷、脳浮腫、多発性硬化症など)、髄膜炎、狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、インターベンション(経皮的冠動脈形成術、ステント留置、冠動脈内視鏡、血管内超音波、冠注血栓溶解療法など)後の血管肥厚または閉塞および臓器障害、バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄、内皮機能障害、その他の循環器系疾患(間欠性跛行、閉塞性末梢循環障害、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓性血管炎、虚血性脳循環障害、レイノー病、バージャー病など)、炎症性眼疾患、炎症性肺疾患(例、慢性肺炎、珪肺、肺サルコイドーシス、肺結核)、子宮内膜症、毒血症(例、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシックショック症候群)、悪液質(例、感染による悪液質、癌性悪液質、後天性免疫不全症候群による悪液質)、癌、アジソン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ウイルス感染(例、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルス感染)、汎発性血管内凝固症候群などの各種疾患に因る炎症性疾患などが挙げられる。
【0088】
本発明の医薬組成物は鎮痛薬として、疼痛の予防・治療薬として用いることもできる。疼痛としては、例えば、炎症による急性痛、慢性炎症に伴う痛み、急性炎症に伴う痛み、術後痛(切開創の痛み、深部痛、内臓痛、術後慢性痛など)、筋肉痛(慢性痛疾患に伴う筋肉痛、肩こりなど)、関節痛、歯痛、顎関節痛、頭痛(偏頭痛、緊張型頭痛、発熱に伴う頭痛、高血圧に伴う頭痛)、内臓痛(心臓痛、狭心痛、腹痛、腎臓の痛み、尿管の痛み、膀胱の痛み)、産婦人科領域の痛み(中間痛、月経困難、陣痛)、神経痛(椎間板ヘルニア、神経根痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛)、癌性疼痛、反射性交感神経性萎縮症、複雑局所痛症候群などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、神経性疼痛、癌性疼痛、炎症性疼痛などの各種疼痛を直接的かつ即効的に鎮めるのに有効であり、痛覚閾値が低下している患者や病態(例、高血圧症、糖尿病など、およびこれらの合併症など)に対して、特に優れた鎮痛効果を示す。
【0089】
本発明の医薬組成物は特に、慢性炎症に伴う痛みまたは高血圧に伴う頭痛の鎮痛剤として、または(1)アテローム性を含む動脈硬化症、(2)インターベンション後の血管肥厚、閉塞または臓器障害、(3)バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄、内皮機能障害、(4)間欠性跛行、(5)閉塞性末梢循環障害または(6)閉塞性動脈硬化症に因る炎症性疾患または疼痛の予防・治療剤として有用である。
【0090】
例えば、成人の糖尿病患者(体重60kg)に経口投与する場合の式(I)で表される化合物の投与量(式(I)で表される化合物の塩またはプロドラッグとして投与される場合、式(I)で表される化合物としての投与量)は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状などによっても異なるが、1日量として約0.1〜約600mg、好ましくは約0.5〜約240mg、より好ましくは約1.0〜約100mgであり、これらの量を一日1回投与してもよいし、2または3回に分割して投与してもよい。
【0091】
また、塩酸ピオグリタゾンの投与量としては、1日量として約0.1〜約600mg、好ましくは約0.5〜約240mg、より好ましくは約1.0〜約100mgであり、これらの量を一日1回投与してもよいし、2または3回に分割して投与してもよい。
【0092】
本発明の医薬組成物は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、抗動脈硬化剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、化学療法剤、免疫療法剤などから選ばれる1以上の薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。また、本発明の医薬組成物は、アンジオテンシンワクチン等のワクチン製剤、あるいは末梢動脈閉塞症などの遺伝子治療、あるいは胚性幹細胞を用いた再生医療などとも組み合わせて用いることができる。本発明の医薬組成物が併用薬剤と組み合わせて用いられる場合、本発明の医薬組成物と併用薬剤とを別々の薬剤の形態で投与してもよいし、または一つの合剤に製剤してもよい。別々の薬剤として組み合わせて使用する際、本発明の医薬組成物および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
【0093】
併用薬剤の投与量は、各薬剤の臨床上用いられている用量を基準として適宜決定することができる。また、本発明の医薬組成物と併用薬剤の投与比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜決定することができる。
【0094】
糖尿病治療剤としては、例えば、インスリン製剤(例、ウシまたはブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤など)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン等)、インスリン分泌促進剤[例、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール等)、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1等]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、フォスフォチロシンフォスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98、SYR−322等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ40140等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴンアンタゴニスト等)、SGLT(ナトリウム−グルコース共輸送体)阻害剤(例、T−1095等)等が挙げられる。
【0095】
糖尿病性合併症治療剤としては、例えば、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、SNK−860、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、BDNF等)、神経栄養因子産生促進薬、PKC阻害剤(例、LY−333531等)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン等)が挙げられる。
【0096】
抗高脂血症剤としては、例えば、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、イタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩)等)、スクアレン合成酵素阻害剤(例、TAK−475等)、トリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート、クリノフィブラート等)等が挙げられる。
【0097】
抗動脈硬化剤としては、例えば、アシル−コエンザイムAコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤(例、メリナミド、CS−505等)、脂質に富むプラークの退行剤(lipid rich plaque regressing agent)(例、WO 02/06264、WO 03/059900に記載の化合物等) 等が挙げられる。
【0098】
降圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等)、β−阻害剤 (例、メトプロロール、アテノロール、プロプラノロール、カルベジロール、ピンドロール等)、クロニジン等が挙げられる。
【0099】
抗肥満剤としては、例えば、中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ40140等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。
【0100】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0101】
化学療法剤としては、例えば、アルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシル等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポキシドなどが挙げられる。なかでも、5−フルオロウラシル誘導体である、フルツロン、ネオフルツロンなどが好ましい。
【0102】
免疫療法剤としては、例えば、微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等)などが挙げられ、中でもIL−1、IL−2、IL−12などが好ましい。
【0103】
さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン等)、プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)、糖質ステロイド(例、デキサメサゾン等)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(刊行物は上記と同じである)、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸等)、成長ホルモン、IGF−1、および悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体なども本発明の剤と併用することができる。
【0104】
本発明の医薬組成物が併用薬剤と組み合わせて使用される場合には、お互いの剤の量は、それらの剤の反対効果を考えて安全な範囲内で低減できる。したがって、これらの剤の組み合わせにより引き起こされるであろう副作用は安全に防止できる。それに加えて、併用薬剤の投与量を低減でき、その結果、併用薬剤により引き起こされるであろう副作用を効果的に防止できる。
【0105】
本発明の医薬組成物と組み合わせて用いられる併用薬剤としては、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトフォルミン、ブホルミン等)、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール等)などが好ましい。
【0106】
以下に、試験例、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0107】
なお、実施例として記載された処方において活性成分以外の成分(添加物)は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格における収載品などを用いることができる。
【0108】
実施例1
表1に示す処方で、1錠当たり化合物A(5mg)と塩酸ピオグリタゾン(49.59mg)を含有する錠剤を得た。
【0109】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0110】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、微結晶セルロース(PH101、旭化成ケミカルズ(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−21 信越化学工業(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠し、1錠当たり化合物A 5mgを含有する裸錠を得た。精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0111】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0112】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 5mgと塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表1の処方の錠剤を得た。
【0113】
【表1】

【0114】
比較例1
表2の処方で、造粒末90mg中に化合物A 5mgを含む造粒末を製造した。
【0115】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得、流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末90mg中に化合物A 5mgを含む造粒末を得た。
【0116】
【表2】

【0117】
比較例2
表3に示す処方で、造粒末180mg中に塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含む造粒末を製造した。
【0118】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))を溶解し、結合液1を得、流動層造粒乾燥機中で、塩酸ピオグリタゾン、乳糖(メグレ・ジャパン(株))および半量のカルメロースカルシウム(五徳薬品(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、残りのカルメロースカルシウムおよびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えた。混合物をタンブラー混合機で混合し、造粒末180mg中に塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含む造粒末を得た。
【0119】
【表3】

【0120】
比較例3
比較例1の化合物A造粒末(90mg)と比較例2の塩酸ピオグリタゾン造粒末(180mg)を混合し、混合造粒末を得た。
【0121】
試験例1
比較例1の化合物A造粒末(90mg)、比較例3の混合造粒末(270mg)、実施例1で得られた錠剤を40℃75%RHガラスビン中開栓の条件下1ヶ月間保存し、化合物A由来の酸分解物のケトン体の増加量を測定した。結果を表4に示す。
【0122】
【表4】

【0123】
表4に示すとおり、化合物A造粒末に塩酸ピオグリタゾン造粒末を加えて、40℃75%RHガラスビン開栓の条件下1ヶ月間保存すると、化合物A由来の分解物であるケトン体は、顕著に増加した(比較例3の混合造粒末)。本発明の固形医薬組成物は、化合物Aとともに塩酸ピオグリタゾンを含有するが、ケトン体の増加は少なく、化合物Aが安定化されていることが明らかとなった。
【0124】
実施例2
表5に示す処方で、1錠当たり化合物A(40mg)と塩酸ピオグリタゾン(16.53mg)を含有する錠剤を得た。
【0125】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0126】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、微結晶セルロース(PH101、旭化成ケミカルズ)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−21 信越化学工業(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠し、1錠当たり化合物A 40mgを含有する裸錠を得た。
【0127】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0128】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0129】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて、精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 40mgと塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する表5の処方の錠剤を得た。
【0130】
【表5】

【0131】
実施例3
表6に示す処方で、1錠当たり化合物A(20mg)と塩酸ピオグリタゾン(33.06mg)を含有する錠剤を得た。
【0132】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0133】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、微結晶セルロース(PH101、旭化成ケミカルズ(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−21 信越化学工業(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠し、1錠当たり化合物A 20mgを含有する裸錠を得た。
【0134】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0135】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0136】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 20mgと塩酸ピオグリタゾン33.06mgを含有する表6の処方の錠剤を得た。
【0137】
【表6】

【0138】
実施例4
表7に示す処方で、1錠当たり化合物A(40mg)と塩酸ピオグリタゾン(33.06mg)を含有する錠剤を製造した。
【0139】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得、流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0140】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、微結晶セルロース(PH101、旭化成ケミカルズ(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−21 信越化学工業(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠し、1錠当たり化合物A 40mgを含有する裸錠を得た。
【0141】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0142】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0143】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 40mgと塩酸ピオグリタゾン33.06mgを含有する表7の処方の錠剤を得た。
【0144】
【表7】

【0145】
実施例5
表8に示す処方で、1錠当たり化合物A(20mg)と塩酸ピオグリタゾン(49.59mg)を含有する錠剤を製造した。
【0146】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得、流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0147】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、微結晶セルロース(PH101、旭化成ケミカルズ(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−21、信越化学工業(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠し、1錠当たり化合物A 20mgを含有する裸錠を得た。
【0148】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0149】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0150】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 20mgと塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表8の処方の錠剤を得た。
【0151】
【表8】

【0152】
実施例6
表9に示す処方で、1錠当たり化合物A(40mg)と塩酸ピオグリタゾン(49.59mg)を含有する錠剤を製造した。
【0153】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得、流動層造粒乾燥機中で、化合物A、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびコーンスターチ(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0154】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、微結晶セルロース(PH101、旭化成ケミカルズ(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−21 信越化学工業(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末は、ロータリー打錠機で9.5mmφの杵を用いて重量350mgで打錠し、1錠当たり化合物A 40mgを含有する裸錠を得た。
【0155】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0156】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0157】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて、精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 40mgと塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表9の処方の錠剤を得た。
【0158】
【表9】

【0159】
試験例2
実施例2〜5で得られた錠剤、比較例3の混合造粒末270mgを防湿包装し、40℃75%RHの条件下1ヶ月間保存し、化合物A由来の酸分解物のケトン体の増加量を測定した。結果を表10に示す。
【0160】
【表10】

【0161】
表10に示すとおり、化合物Aに塩酸ピオグリタゾンを加えると、化合物A由来の分解物であるケトン体は、40℃75%RHの条件下1ヶ月間保存すると、顕著に増加した(比較例3の混合造粒末)。一方、本発明の固形医薬組成物は、化合物Aとともに塩酸ピオグリタゾンを含有するが、ケトン体の増加は少なく、化合物Aが安定化されていることが明らかとなった。
【0162】
実施例7
実施例6と同様にして得られた裸錠を用いて、表11の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0163】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が14mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0164】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32、信越化学工業(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0165】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表11の処方の錠剤を得た。
【0166】
【表11】

【0167】
実施例8
実施例6と同様にして得られた裸錠を用いて、表12の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0168】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が14mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0169】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32、信越化学工業(株))、ヒドロキシプロピルセルロース(分子量15000〜50000 日本曹達(株))およびエリスリトール(日研化成(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0170】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表12の処方の錠剤を得た。
【0171】
【表12】

【0172】
実施例9
実施例6と同様にして得られた裸錠と類似の裸錠を用いて、表13の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0173】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))とタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が14mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0174】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32 信越化学工業(株))、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびショ糖(塩水港精糖(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0175】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表13の処方の錠剤を得た。
【0176】
【表13】

【0177】
試験例3
実施例7、実施例8および実施例9で得られた各錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(900mL、37℃、pH2)を用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表14に示す。
【0178】
【表14】

【0179】
表14に示すとおり、本発明の固形医薬組成物は、糖の種類を変えることにより塩酸ピオグリタゾンの溶出速度を変化させることができた。
【0180】
試験例4
実施例2、実施例4および実施例6で得られた錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(900mL、37℃、pH2.0)を用いたパドル法(75rpm)により塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表15に示す。
【0181】
【表15】

【0182】
表15に示すとおり、製剤中の薬物濃度を変えることにより、薬物の溶出速度を変化させることができた。
【0183】
実施例10
実施例6で得られた裸錠を用いて、表16の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0184】
精製水にヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株)))、ショ糖(塩水港精糖)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32、信越化学工業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が100mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0185】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が120mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0186】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて、精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表16の処方の錠剤を得た。
【0187】
【表16】

【0188】
実施例11
実施例6で得られた裸錠を用いて、表17の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0189】
精製水にヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株)))、ショ糖(塩水港精糖(株))および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32、信越化学工業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が100mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0190】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0191】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて、精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表17の処方の錠剤を得た。
【0192】
【表17】

【0193】
試験例5
実施例10および実施例11で得られた各錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(900mL、37℃、pH2)を用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表18に示す。
【0194】
【表18】

【0195】
表18に示すとおり、D−マンニトールの量を変えることにより、薬物の溶出速度を変化させることができた。
【0196】
実施例12
実施例6で得られた裸錠を用いて、表19の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0197】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株)))、ショ糖(塩水港精糖(株))および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32、信越化学工業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が100mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0198】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0199】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表19の処方の錠剤を得た。
【0200】
【表19】

【0201】
試験例6
実施例11および実施例12で得られた各錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(900mL、37℃、pH2)を用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表20に示す。
【0202】
【表20】

【0203】
表20に示すとおり、主薬層中の結合剤の量を変化させることにより、薬物の溶出速度を変化させることができた。
【0204】
実施例13
実施例6と同様にして得られた裸錠を用いて、表21、表22および表23の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0205】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が14mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0206】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))、D−マンニトール(メルク(株))および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32 信越化学工業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0207】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表21、表22および表23の処方の錠剤を得た。
【0208】
【表21】

【0209】
【表22】

【0210】
【表23】

【0211】
試験例7
実施例13で得られた各錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(900mL、37℃、pH2)を用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表24に示す。
【0212】
【表24】

【0213】
表24に示すとおり、主薬層中の崩壊剤の量を変化させることにより、薬物の溶出速度を変化させることができた。
【0214】
実施例14
実施例6と同様にして得られた裸錠を用いて、表25、表26および表27の処方で、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0215】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株)))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が14mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0216】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))、エリスリトール(日研化成(株))および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC−32、信越化学工業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が150mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0217】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、1錠当たり塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表25、表26および表27の処方の錠剤を得た。
【0218】
【表25】

【0219】
【表26】

【0220】
【表27】

【0221】
試験例8
実施例14で得られた各錠剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(900mL、37℃、pH2)を用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表28に示す。
【0222】
【表28】

【0223】
表28に示すとおり、主薬層中の崩壊剤の量を変化させることにより、薬物の溶出速度を変化させることができた。
【0224】
実施例15
実施例6と同様にして得られた裸錠を用いて、表29の処方で、1錠当たり化合物A 40mgと塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0225】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0226】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が225mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0227】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて、精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 40mgと塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表29の処方の錠剤を得た。
【0228】
【表29】

【0229】
実施例16
実施例5と同様にして得られた裸錠を用いて、表30の処方で、1錠当たり化合物A 20mgと塩酸ピオグリタゾン 49.59mgを含有する錠剤を製造した。
【0230】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))およびタルク(松村産業)を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0231】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、ヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000 日本曹達(株))およびD−マンニトール(メルク(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が225mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0232】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))を分散装置を用いて、精製水に分散し得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が15mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物A 20mgと塩酸ピオグリタゾン49.59mgを含有する表30の処方の錠剤を得た。
【0233】
【表30】

【0234】
実施例17
表31に示す処方で、1錠当たり化合物B 8mgと塩酸ピオグリタゾン33.10mgを含有する錠剤を得た。
【0235】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))、マクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))および黄色色素5号(三栄源エフエフアイ(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0236】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 8mgを含有する裸錠を得た。
【0237】
精製水にD−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が70mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0238】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解・懸濁し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が100mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0239】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))、黄色三二酸化鉄(Univar/Anstead)および三二酸化鉄(BASFジャパン(株))を分散装置を用いて精製水に分散して得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物B 8mgと塩酸ピオグリタゾン33.10mgを含有する表31の処方の錠剤を得た。
【0240】
【表31】

【0241】
実施例18
表32に示す処方で、1錠当たり化合物B 4mgと塩酸ピオグリタゾン33.10mgを含有する錠剤を得た。
【0242】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0243】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 4mgを含有する裸錠を得た。
【0244】
精製水にD−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が70mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0245】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が100mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0246】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))および黄色三二酸化鉄(Univar/Anstead)を分散装置を用いて精製水に分散して得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物B 4mgと塩酸ピオグリタゾン33.10mgを含有する表32の処方の錠剤を得た。
【0247】
【表32】

【0248】
実施例19
表33に示す処方で、1錠当たり化合物B 8mgと塩酸ピオグリタゾン16.55mgを含有する錠剤を得た。
【0249】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))および黄色色素5号(三栄源エフエフアイ(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0250】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 8mgを含有する裸錠を得た。
【0251】
精製水にD−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が70mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0252】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が50mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0253】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E,信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))および黄色三二酸化鉄(Univar/Anstead)を分散装置を用いて精製水に分散して得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物B 8mgと塩酸ピオグリタゾン16.55mgを含有する表33の処方の錠剤を得た。
【0254】
【表33】

【0255】
実施例20
表34に示す処方で、1錠当たり化合物B 4mgと塩酸ピオグリタゾン16.55mgを含有する錠剤を得た。
【0256】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0257】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 4mgを含有する裸錠を得た。
【0258】
精製水にD−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が70mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0259】
次に、精製水に塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))およびヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、コーティング液2を得た。コーティング機内で、得られた中間層コート錠にコーティング液2を1錠当たり重量が50mg増加するまでスプレーし、主薬層コート錠を得た。
【0260】
更に、精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5E、信越化学工業(株))およびマクロゴール6000(三洋化成工業(株))を溶解してヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1を得、別途、酸化チタン(フロイント産業(株))および黄色三二酸化鉄(Univar/Anstead)を分散装置を用いて精製水に分散して得られた分散液1をヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、コーティング液3を得た。コーティング機内で、得られた主薬層コート錠にコーティング液3を1錠当たり重量が10mg増加するまでスプレーし、1錠当たり化合物B 4mgと塩酸ピオグリタゾン16.55mgを含有する表34の処方の錠剤を得た。
【0261】
【表34】

【0262】
実施例21
表35に示す処方で、1錠当たり化合物B 8mgと塩酸ピオグリタゾン33.06mgを含有する錠剤を得た。
【0263】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))、マクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))および黄色色素5号(三栄源エフエフアイ(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0264】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 8mgを含有する裸錠を得た。
【0265】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、信越化学工業(株))、マクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0266】
次に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解してヒドロキシプロピルセルロース溶液1を得、別途、黄色三二酸化鉄(Univar/Anstead)および三二酸化鉄(BASFジャパン(株))を分散装置を用いて精製水に分散して得られた分散液1をヒドロキシプロピルセルロース溶液1に加え、混合物を撹拌機で撹拌混合し、結合液2を得た。流動層造粒乾燥機中で、塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))、結晶セルロース(KG−802、旭化成ケミカルズ(株))およびカルメロースカルシウム(五徳薬品(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液2を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0267】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、混合物をタンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、中間層コート錠を内核として有核錠打錠機で10.0mmφの杵を用いて重量395mgに打錠し、1錠当たり化合物B8mgと塩酸ピオグリタゾン33.06mgを含有する表35の処方の有核錠を得た。
【0268】
【表35】

【0269】
実施例22
表36に示す処方で、1錠当たり化合物B 8mgと塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する錠剤を得た。
【0270】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))、マクロゴール6000(分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))および黄色色素5号(三栄源エフエフアイ(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0271】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 8mgを含有する裸錠を得た。
【0272】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))、マクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0273】
次に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、結合液2を得た。流動層造粒乾燥機中で、塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))、結晶セルロース(KG−802、旭化成ケミカルズ(株))およびカルメロースカルシウム(五徳薬品(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液2を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0274】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、混合物をタンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末を得た。得られた打錠用造粒末を、中間層コート錠を内核として有核錠打錠機で10.0mmφの杵を用いて重量395mgに打錠し、1錠当たり化合物B8mgと塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する表36の処方の有核錠を得た。
【0275】
【表36】

【0276】
実施例23
表37に示す処方で、1錠当たり化合物B 4mgと塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する錠剤を得た。
【0277】
最初に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株))およびマクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))を溶解し、結合液1を得た。流動層造粒乾燥機中で、化合物B、乳糖(メグレ・ジャパン(株))およびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液1を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0278】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、タンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、ロータリー打錠機で7.0mmφの杵を用いて重量130mgに打錠し、1錠当たり化合物B 4mgを含有する裸錠を得た。
【0279】
精製水にヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(平均分子量:19000、TC−5E、信越化学工業(株))、マクロゴール6000(平均分子量:7300〜9300、融点:56〜61℃、三洋化成工業(株))およびタルク(松村産業(株))を溶解・懸濁し、コーティング液1を得、コーティング機内で、得られた裸錠にコーティング液1を1錠当たり重量が5mg増加するまでスプレーし、中間層コート錠を得た。
【0280】
次に、精製水にヒドロキシプロピルセルロース(平均分子量:15000〜50000、日本曹達(株))を溶解し、結合液2を得た。流動層造粒乾燥機中で、塩酸ピオグリタゾン、D−マンニトール(メルク(株))、結晶セルロース(KG−802、旭化成ケミカルズ(株))およびカルメロースカルシウム(五徳薬品(株))を均一に混合後、混合物を乾燥機内で結合液2を噴霧して造粒し、ついで造粒末を流動層造粒乾燥機中で乾燥し、造粒末を得た。
【0281】
得られた造粒末を、パワーミル粉砕機を用いて解砕し、カルメロースカルシウム(五徳薬品(株))およびステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))を加えて、混合物をタンブラー混合機で混合し、打錠用造粒末とした。得られた打錠用造粒末を、中間層コート錠を内核として有核錠打錠機で10.0mmφの杵を用いて重量395mgに打錠し、1錠当たり化合物B 4mgと塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する表37の処方の有核錠を得た。
【0282】
【表37】

【産業上の利用可能性】
【0283】
産業上の利用可能性
本発明の固形医薬組成物は、高血圧症、心不全、糖尿病性腎症、動脈硬化症などの循環器系疾患および糖尿病、メタボリックシンドロームなどの代謝性疾患の予防・治療薬として臨床上有用である。
【0284】
本出願はアメリカ合衆国で出願された米国仮出願第60/795,179号を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含される。また、本明細書で引用した特許、特許出願および公開公報は、引用したことによってその内容の全てが本明細書中に組み込まれるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 式(I)
【化1】

(式中、Rは置換されていてもよい、脱プロトン化しうる水素原子を有する単環状の含窒素複素環基を示し、Rはエステル化されていてもよいカルボキシル基を示し、Rは置換されてもよい低級アルキルを示す)
で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグと低融点油脂状物質とを含有する核と、
(b)高分子量重合体を含有し当該核を被覆する第一の層と、
(c)塩酸ピオグリタゾンを含有し、当該第一の層を被覆する第二の層と
を含有してなる固形医薬組成物。
【請求項2】
式(I)で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグが2−エトキシ−1−{[2’−(5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
式(I)で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグが1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレートである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
低融点油脂状物質の融点が20〜90℃である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
低融点油脂状物質が分子量1000〜10000のアルキレンオキシド重合体である請求項1記載の組成物。
【請求項6】
高分子量重合体の分子量が2500〜400000である請求項1記載の組成物。
【請求項7】
高分子量重合体がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンもしくはポリビニルアルコールまたはこれらの重合体の2以上の混合物である請求項1記載の組成物。

【公表番号】特表2009−534292(P2009−534292A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544698(P2008−544698)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/JP2007/059428
【国際公開番号】WO2007/126135
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】