塵埃除去装置
【課題】大きな駆動電圧を印加しなくても所要の振動振幅を光透過部材に与えることを可能にする。
【解決手段】光線入射経路に位置する平板状の光学素子1の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置が、光学素子1の第1の平面に固着された圧電素子2と、光学素子1の第1の平面と反対側の第2の平面に、圧電素子2に対向して固着された円板5と、圧電素子2へ交流電圧を印加して光学素子1を平面に垂直な方向に弾性振動させ、光学素子1の表面に付着した塵埃を除去する駆動装置13とから構成される。
【解決手段】光線入射経路に位置する平板状の光学素子1の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置が、光学素子1の第1の平面に固着された圧電素子2と、光学素子1の第1の平面と反対側の第2の平面に、圧電素子2に対向して固着された円板5と、圧電素子2へ交流電圧を印加して光学素子1を平面に垂直な方向に弾性振動させ、光学素子1の表面に付着した塵埃を除去する駆動装置13とから構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃除去装置に関し、特に、光線入射経路に位置する平板状の光透過部材の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置に関する。
【0002】
この塵埃除去装置は、例えば、コピー機、ファクシミリ装置、ドキュメントスキャナなどの原稿読取装置や、ビデオカメラ、スチルカメラなどの撮像装置に装着されるものである。
【背景技術】
【0003】
近年の撮像装置においては、光学センサの分解能の向上に伴って、光学系に付着するゴミが撮影画像に影響を及ぼすようになってきた。特に、ビデオカメラ、スチルカメラの撮像素子の分解能がめざましく向上しているため、撮影画像に埃が写り込むことがある。すなわち、撮像素子の近くに配置されている赤外線カットフィルタ、光学ローパスフィルタなどに、外部からの埃や、内部の機械的な摺擦面で生ずる摩耗粉などが付着すると、撮像素子面での画像のぼけが少ないため、撮影画像に埃が写り込むことになる。
【0004】
一方、コピー装置、ファクシミリ装置、ドキュメントスキャナなどの撮像部では、ラインセンサに近接させた平面原稿を、ラインセンサの長さ方向(主走査方向)への繰り返し走査と、原稿とラインセンサとの副走査方向への相対移動とによって読み取っている。ここで、ラインセンサへの光線入射部に埃が付着すると、この埃が読み取り画像に写り込んでしまう。特に、ラインセンサ側に埃が付着すると、1つの埃が副走査方向へ連続する線画像となって写り込み、画像の品質を大きく損ねてしまうという問題がある。
【0005】
これらの塵埃を人手によって拭き取ることで画像品位は回復するが、埃の付着は、撮影や画像読み取りを終了した後に気付くものである。既に撮影や画像読み取りを終了して得られた埃が映り込んだ画像については、電子データ形態であれば、画像加工ソフトウェアによって修正することが可能であるが、煩わしい修正作業を行う必要がある。また、紙メディアに出力されてしまっている場合には、紙メディアの無駄な消費となってしまう。
【0006】
そこで例えば、特許文献1,2に示されるような、振動によって塵を取り除く防塵機構を備えたカメラや、特許文献3,4に示されるような、振動を与えることによって塵を画像読取部から移動させる画像読取装置が開示されている。
【0007】
図8は、特許文献3に開示されている画像読取装置の斜視図である。
【0008】
図8においてリーダ部200は、原稿に記録された画像情報を光学的に読み取り、光電変換して画像データとして取得するものである。リーダ部200は、ADF原稿用プラテンガラス(以下「ADF用プラテン」という)201、ブック原稿用プラテンガラス202、ランプ203とミラー204を有するスキャナユニット209、ミラー205、ミラー206、レンズ207、CCDセンサ(図示せず)等を有している。
【0009】
リーダ部200は、不図示の自動原稿送り装置(ADF)から搬送されてくる原稿画像を読み取る場合は、スキャナユニット209をADF用プラテン201の下に移動して停止させ、原稿がADF用プラテン201上を搬送されている間に画像情報を読み取る。
【0010】
210は圧電素子であり、ADF用プラテン201の下面に取り付けられる。そして、圧電素子210には不図示の回路から高周波信号が印加され、この結果、ADF用プラテン201に曲げ振動が発生する。ADF用プラテン201に塵埃が付着している場合、この曲げ振動によって塵埃が剥離され、塵埃が画像として写ることが防止される。
【0011】
ADF用プラテン201は、その周囲に配置された弾性素材からなる支持部材を介してリーダ200の筐体に支持されており、ADF用プラテン201、圧電素子210、支持部材によってリーダ200における塵埃除去装置を構成している。
【0012】
図9は、圧電素子210によってADF用プラテン201に発生される曲げ振動を示す図である。この曲げ振動は、複数次の定在波となっており、図9(B)は第1の振動モードを、図9(C)は第2の振動モードを示す。第1の振動モードは、8本の節を持つ曲げ7次モードであり、第2の振動モードは、7本の節を持つ曲げ6次の振動モードである。第1および第2の振動モードは、図9(D)に示すように、Y方向については、節のない一様な振動変位分布をもっている。
【0013】
圧電素子210からADF用プラテン201に対して、少なくとも第1の振動モードと第2の振動モードとを順次加振し、これによって、ADF用プラテン201の各部に振動が発生する。しかも、第1の振動モードと第2の振動モードとでは節の位置が互いにずれているので、ADF用プラテン201上のどの位置においても隈なく振動が発生し、これによって、ADF用プラテン201上から塵埃が剥離し、移動させられる。
【特許文献1】特開2002?204379号公報
【特許文献2】特開2003?333391号公報
【特許文献3】特開2003?280110号公報
【特許文献4】特開2004?012474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図8に示す画像読取装置に含まれる従来の塵埃除去装置においては、以下に述べるような問題があった。
【0015】
図10は、図8の従来の塵埃除去装置において、圧電素子210付近におけるADF用プラテン201のX−Z平面の断面図である。図11は、図8の従来の塵埃除去装置において、X方向に圧電素子210から離れた位置におけるADF用プラテン201のX−Z平面の断面図である。
【0016】
矩形平板状の光透過部材であるADF用プラテン201に円形平板状の圧電素子210が接着されている。図10(A)は、圧電素子210に曲げ振動が発生し、圧電素子210の円形平板の中心216付近でZ方向(厚み方向)に圧電素子210が最大変位となった瞬間の断面形状を表している。図10(A)および図11(A)において、215は、曲げの中立面を示しており、曲げ振動によってX方向に伸縮の生じない面位置を表している。図10(B)および図11(B)は、ADF用プラテン201および圧電素子210に発生するX方向の歪の大きさを矢印の長さで表しており、右矢印が伸長方向、左矢印が収縮方向を示している。
【0017】
図11(A)に示すように、ADF用プラテン201のうち圧電素子210が接着されていない部分では、曲げの中立面215は、ADF用プラテン201の厚み方向(Z方向)の中央に位置している。一方、図10(A)に示すように、ADF用プラテン201のうち圧電素子210が接着されている部分においては、曲げの中立面215が、圧電素子210の剛性が加算されることで、圧電素子210側へ移動し、圧電素子210内に位置する場合がある。
【0018】
このため、下記の2つの問題が生ずる。
【0019】
第1の問題は、ADF用プラテン201の破断限界振幅の低下である。
【0020】
ADF用プラテン201は、ガラスや水晶などの光学材料で構成されており、破断限界が比較的低い。図11(A)に示すように、曲げの中立面215がADF用プラテン201内部にある場合は、曲げ振動の振幅に対するADF用プラテン201の上下面に生ずる引張応力の比は最小となる。しかしながら、図10(A)に示すように、圧電素子210が接着されたADF用プラテン201の部分においては、曲げの中立面215がADF用プラテン201から遠ざかっている。歪量は中立面215からの距離に比例するから、図10(A)に示すADF用プラテン201に発生する引張り応力は増大する。そのため、図11(A)に示すADF用プラテン201における破断限界振幅に比べて、図10(A)に示すADF用プラテン201における破断限界振幅が低下し、十分な振動振幅を与えることができなくなる恐れがある。
【0021】
第2の問題は、圧電素子210のADF用プラテン201に対する加振力の低下である。
【0022】
圧電素子210では、厚み方向(Z方向)に分極処理がなされており、また、ADF用プラテン201との接着面に裏面電極が設けられ、反対の表側に表面電極が設けられる。これらの電極間に電位差をかけると、電歪横効果によって圧電素子210にX方向の伸縮応力が発生する。図10(A)に示す状態の圧電素子210では、圧電素子210の厚み方向に一様に分布した収縮方向の応力が発生している。
【0023】
一方、こうした応力に基づいて、図10(B)に示すように、圧電素子210の内部に位置する曲げ中立面215の上部領域では、X方向に伸長する歪が発生し、下部領域では、X方向に収縮する歪が発生する。
【0024】
その結果、ADF用プラテン201と圧電素子210との接着面から曲げ中立面215までの領域217では、応力が収縮方向にも拘らず、歪が伸長方向となって、応力が有効に働かない。すなわち、この領域217では、圧電素子210に十分な電圧を印加しても、ADF用プラテン201に所要の振動振幅を発生させることができないことになる。
【0025】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、大きな駆動電圧を印加しなくても所要の振動振幅を光透過部材に与えることが可能な塵埃除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、本発明によれば、光線入射経路に位置する平板状の光透過部材の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置において、前記光透過部材の第1の平面に固着された電気機械エネルギ変換素子と、前記光透過部材の前記第1の平面と反対側の第2の平面に、前記電気機械エネルギ変換素子に対向して固着された弾性部材と、前記電気機械エネルギ変換素子へ交流電圧を印加して前記光透過部材を平面に垂直な方向に弾性振動させ、前記光透過部材の表面に付着した塵埃を除去する交流電圧印加手段とを有することを特徴とする塵埃除去装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光透過部材に固着された電気機械エネルギ変換素子によって光透過部材を振動させて、光透過部材に付着した塵埃を除去する塵埃除去装置において、光透過部材の電気機械エネルギ変換素子が固着された面と反対側の面に弾性部材を接着する。これによって、曲げ振動の中立面を光透過部材の厚み方向の中央に近づけることができるため、光透過部材に発生する応力を緩和し、破断限界振幅を増大させることができる。それと共に、電気機械エネルギ変換素子による光透過部材に対する加振力を増大させることができ、塵埃除去能力を向上させることができる。
【0028】
また、光透過部材を支持固定するための支持固定部材を弾性部材に一体に設ける。これによって、別途部材を追加することなく、塵埃除去能力を高めることができる。
【0029】
また、弾性部材および電気機械エネルギ変換素子(圧電素材)の縦弾性係数の大小関係に基づいて、光透過部材に接着する弾性部材の厚さを設定することによって、曲げ中立面を、より光透過部材の厚み方向の中央に近づけることができる。
【0030】
また、弾性部材および電気機械エネルギ変換素子における断面一次モーメントと、縦弾性係数との積を等しくすることによって、光透過部材の厚み方向の中央に曲げ中立面を位置させることができる。
【0031】
また、弾性部材を圧電材料で構成することによって、光透過部材の厚み方向の中央に曲げ中立面を位置させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る塵埃除去装置の構成を示す平面図(A)および側面図(B)、並びに該塵埃除去装置に発生させる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【0034】
本実施の形態における塵埃除去装置は、コピー機のリーダ部に装着されるものである。この塵埃除去装置では、矩形平板状のガラス製の光学素子1の裏面に円形平板状の圧電素子2を接合して振動体を形成する。この光学素子1は、図9に示したADF原稿用プラテンガラス201に相当する。なお、光学素子1の圧電素子2を接着した面と反対側の面には、ステンレス製の平板状の円板5が接着される。円板5は、圧電素子2とほぼ同じ直径であり、中心線が圧電素子2の中心線と一致するように配置される。すなわち、円板5の光学素子1への投影形状と、圧電素子2の光学素子1への投影形状とが重なるように、円板5の形状が設定されるとともに、円板5の配置位置が設定される。
【0035】
この塵埃除去装置では光学素子1に対して、図1(C)に示すように、7つの節を持つ曲げ振動モードと、図1(D)に示すように、6つの節を持つ曲げ振動モードとを発生させる。したがって、光学素子1のX方向におけるどの位置においても、光学素子1上にZ方向(光学素子1面と垂直な方向)の振動が発生し、光学素子1に付着した塵埃が剥離し、光学素子1上から移動させることができる。
【0036】
図2は、コピー機のリーダ部8に装着された塵埃除去装置を示す斜視図である。
【0037】
光学素子1の下面には、該光学素子1の長さとほぼ同じ長さのスキャナユニット9が配置される。そして、光学素子1上を搬送される原稿からの反射光の光束が、光学素子1を透過してスキャナユニット9内の光学センサに結像され、これによって、原稿の画像情報が画像データとして読み取られる。
【0038】
圧電素子2にはハーネス3を介して駆動装置13が接続される。駆動装置13は、圧電素子2に交流電圧を印加し、これによって、圧電素子2が振動して、図1(C)、(D)に示すような曲げ振動モードが光学素子1に発生する。駆動装置13は、図1(C)に示すような曲げ振動モードにおける共振周波数とその近傍とで交流電圧の周波数を掃引し、次に、図1(D)に示すような曲げ振動モードにおける共振周波数とその近傍とで交流電圧の周波数を掃引する。これによって、各曲げ振動モードでの振動振幅が最大となる共振状態を短時間で得ることができる。
【0039】
図3は、図1に示した塵埃除去装置における圧電素子2および円板5付近の光学素子1のX−Z平面の断面図および歪分布図である。光学素子1は振動状態にある。
【0040】
図3(A)は、圧電素子2のZ方向の変位が最大となったときの変形状態を示している。図3(B)は、円板5、光学素子1、圧電素子2のZ方向における歪分布を示している。
【0041】
第1の実施の形態では、詳しくは後述するが、円板5の材質やZ方向の厚みを適切に設定することにより、曲げの中立面4を、光学素子1のZ方向の厚みの中央付近に位置させることができる。これによって、図3(B)に示すように、圧電素子2では厚み方向(Z方向)の全領域においてX方向に収縮(左向き矢印の歪)している。一方、光学素子1の上面に接着された円板5においては、図3(B)に示すように、厚み方向の全領域においてX方向に伸長(右向き矢印の歪)している。光学素子1においては、前述のように、その厚み方向の中央付近に曲げの中立面4が位置しており、光学素子1に発生する歪量は、圧電素子2および円板5にそれぞれ発生する歪量に比べ、小さくなっている。
【0042】
次に、光学素子1の上面に接着されたステンレス製の円板5の作用について説明する。
【0043】
円板5は、光学素子1に接着された圧電素子2の剛性を光学素子1の反対面においてバランスさせる役割を果たす弾性部材である。すなわち、光学素子1単体における曲げ中立面は、光学素子1の厚み方向(Z方向)の中央に位置するが、圧電素子2を光学素子1に接着することによって中立面が圧電素子2側に移動してしまう。中立面を光学素子1の厚み方向の中央に維持するには、圧電素子2の接着により増加した剛性分を、光学素子1の圧電素子2接着側と反対の側に接着した円板5によって補えばよい。具体的には、下記式(1)に示すように、円板5の断面一次モーメントと縦弾性係数との積を、圧電素子2の断面一次モーメントと縦弾性係数との積に等しくなるように、円板5の材質および厚さを設定する。これによって、光学素子1の厚み方向の中央に中立面4を維持することができる。
【0044】
E2×∫AzdA2=E3×∫AzdA3 ・・・(1)
なお、上記式(1)において、E2は圧電素子2の縦弾性係数、E3は円板5の縦弾性係数、zは光学素子1の中央位置の厚み方向座標、dA2は圧電素子2の微小断面積、dA3は円板5の微小断面積である。
【0045】
この上記式(1)は下記式(2)のように書き換えることができる。
【0046】
E2(t1+t2)t2B2=E3(t1+t3)t3B3 ・・・・(2)
上記式(2)において、t1は光学素子1の厚さ、t2は圧電素子2の厚さ、t3は円板5の厚さ、B2は圧電素子2の平面方向の直径、B3は円板5の平面方向の直径である。
【0047】
上記式(1)、(2)の各々において、左辺が大きいときに中立面は圧電素子2側へ近づき、右辺が大きいときに円板5側に近づく。なお、円板5の縦弾性係数E3が圧電素子2の縦弾性係数E2よりも大きくなるような材質を円板5に用いることによって、円板5を圧電素子2よりも小さい厚さの材料で構成することができる。
【0048】
以上のように本実施の形態では、円板5の光学素子1への投影形状と圧電素子2の光学素子1への投影形状とが一致するように円板5を配置すると共に、円板5が上記式(1)、(2)を満たす厚さを備えるようにする。これにより、光学素子1の厚み方向の中央に中立面4を維持することができる。なお、円板5を構成するステンレス材の縦弾性係数は圧電素子2の約3倍であり、また、一般的に入手できるステンレス材の厚さは離散的な値となっている。そのため、上記式(1)、(2)で算出される値に近い厚さをもったステンレス材が存在しない場合もあり得、そうした場合には、圧延工程によりステンレス材の厚さを調整するようにすることが望ましい。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
つぎに、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0050】
図4は、第2の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【0051】
第2の実施の形態では、デジタルスチルカメラの撮像素子の前面に、矩形平板状の透明な光学フィルタ11が配置される。この光学フィルタ11はデジタルスチルカメラにおけるローパスフィルタとして動作するものであり、第1の実施の形態における光学素子1に相当し、塵埃除去装置の振動部材として使用される。光学フィルタ11には、その左右両端に、矩形平板状の圧電素子12a,12bが接着され、該圧電素子12a,12bには駆動装置13から交流電圧がそれぞれ印加される。
【0052】
撮像素子パッケージ14は、撮像素子部14aとカバーガラス14bと基板14cとからなり、撮像素子部14aはカバーガラス14bによって封止された構造となっている。撮像素子パッケージ14の基板14cと光学フィルタ11との間には、ゴムなどの弾性材からなる矩形枠状の支持部材18が配置される。支持部材18は、光学フィルタ11および基板14cに対して粘着剤によって接着され、これによって、光学フィルタ11が基板14cに対して振動可能な状態で支持固定される。光学フィルタ11、基板14c、および支持部材18によって囲まれた密閉空間には、撮像素子部14aとカバーガラス14bとが位置する。これによって、カバーガラス14bの表面(撮像素子部14aに向いた面と反対面)および光学フィルタ11の裏面(撮像素子部14aに向いた面)への塵埃の付着を防止している。
【0053】
弾性部材15a,15bは、第1の実施の形態におけるステンレス製の円板5に相当するものであり、圧電素子12a,12bとそれぞれ同じ平面形状のステンレス製の矩形平面板である。弾性部材15a,15bは、ステンレスのシート材をプレス加工により成型したものであり、それらの上下端には各々、腕部16および固定部17(弾性部材15aの上端のみ引用番号を付与)が一体的に設けられている。弾性部材15a,15bは、光学フィルタ11の圧電素子12a,12bを接着した面とは反対の面に、圧電素子12a,12bと対抗するように接着される。4つの固定部(17)は撮像素子パッケージ14の基板14cにビスなどで固定され、これによって、光学フィルタ11および圧電素子12a,12bからなる塵埃除去装置が撮像素子パッケージ14に装着される。弾性部材15a,15bの各厚みは、第1の実施の形態における数式(1)、(2)によって決定される値である。
【0054】
図5は、図4に示す光学フィルタ11、圧電素子12a,12b、および弾性部材15a,15bの平面図(A)、側面図(B)、および光学フィルタ11に生じさせる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【0055】
弾性部材15a,15bは、圧電素子12a,12bにそれぞれ対向して光学フィルタ11に配置されている。光学フィルタ11は、圧電素子12a,12bによって振動されて、図5(C)に示す7つの節を持つ6次の振動モードと、図5(D)に示す6つの節を持つ5次の振動モードとで振動する。圧電素子12a,12bは、2つの振動モードにおいて共通する腹部に位置している。
【0056】
ここで、弾性部材15a,15bの各厚みは、第1の実施の形態における数式(1)、(2)によって決定される値であるため、2つの振動モードにおいて、曲げの中立面が光学フィルタ11の中央に位置する曲げ変形となる。これにより、光学フィルタ11に過大な応力を発生させることなく、圧電素子12a,12bの発生する応力を効率よく光学フィルタ11の振動に変換することができ、塵埃の除去を行うことができる。
【0057】
さらに、第2の実施の形態では、光学フィルタ11を支持固定するための支持部材を、弾性部材15a,15bで構成しているので、あえて支持部材を追加する必要がなく、構成を簡略化できる。
【0058】
また、圧電素子12a,12bの左右辺の振動の節に近い位置に、弾性部材15a,15bと一体の腕部(16)を設けるようにしたので、光学フィルタ11の振動を大きく阻害することを防止できる。
【0059】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0060】
第3の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、第3の実施の形態の説明においては、第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、第2の実施の形態の説明を流用し、異なる部分だけを説明する。
【0061】
図6は、第3の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【0062】
第3の実施の形態では、光学フィルタ11における圧電素子12a,12bが接着されている面と反対側の面に、弾性部材19a,19b,19c,19dを接着する。弾性部材19a,19b,19c,19dは、光学フィルタ11の上下端部に、圧電素子12a,12bと対向して設けられる。すなわち、弾性部材19a,19b,19c,19dの光学フィルタ11に対する投影形状が、圧電素子12a,12bの光学フィルタ11に対する投影形状の中に含まれるように、弾性部材19a,19b,19c,19dが配置される。
【0063】
弾性部材19a,19b,19c,19dには各々、第2の実施の形態と同様に、腕部および固定部が一体的に設けられ、固定部が撮像素子パッケージ14の基板14cにビスなどで固定される。
【0064】
ところで、光学フィルタ11の製造過程では、素材(例えばガラス)から矩形状の光学フィルタ11が切り出され、その端部のエッジ部に対して研摩が行われて平滑面とされる。しかし、微小なクラックを完全に取り除くことができない場合があり、外力による歪が生じた場合に割れに発展する虞がある。
【0065】
これに対して、第3の実施の形態では、光学フィルタ11の端部に弾性部材19a,19b,19c,19dを接着する。これによって、光学フィルタ11の端部に生じる歪を低減することができる。そのため、振動時の曲げ応力に対する光学フィルタ11の破断応力に余裕がない場合においても、光学フィルタ11のエッジ部においてクラックが進展することを抑えることが可能となる。その結果、塵埃除去装置の信頼性を向上できる。
【0066】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0067】
第4の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、第4の実施の形態の説明においては、第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、第2の実施の形態の説明を流用し、異なる部分だけを説明する。
【0068】
図7は、第4の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【0069】
圧電素子12a,12bの製造工程では、板状の圧電素材が所定の形状に切断され、それの両面に、導電塗料の印刷や蒸着等の方法によって電極が形成され、その後に、厚み方向に分極処理が施される。
【0070】
第4の実施の形態では、圧電素子12a,12bの製造工程における電極形成処理および分極処理が行われる前の圧電素材に対して、圧電素子12a,12bと同一形状の切断加工を施し、得られたものを弾性部材20a,20bとして用いる。弾性部材20a,20bは、光学フィルタ11における圧電素子12a,12bが接着されている面と反対側の面に接着される。弾性部材20a,20bの光学フィルタ11に対する投影形状が、圧電素子12a,12bの光学フィルタ11に対する投影形状と重なり合うように、弾性部材20a,20bが配置される。
【0071】
第4の実施の形態における弾性部材20a,20bは、新規の材料を用いることなく、圧電素子12a,12bの製造工程において製造できる。なお、弾性部材20a,20bの機械的物性は、縦弾性係数に分極前後で僅かな差があるだけであり、圧電素子12a,12bに比べて大きい差がない。また、弾性部材20a,20bの線膨張係数についても、分極前後で僅かな違いがあるだけであり、圧電素子12a,12bに比べて、使用時の環境温度、自己昇温に対する熱応力による変形を小さく抑えることが可能である。
【0072】
また、第4の実施の形態では、弾性部材20a,20bを分極処理前の圧電材で構成しているが、これに代わって、電極形成処理および分極処理が行われた後の圧電素子を、両面の電極間を短絡した状態で弾性部材20a,20bとして使用してもよい。その場合、弾性部材20a,20bは圧電素子12a,12bと同一の機械的特性となるため、光学フィルタ11の厚み方向の中央に曲げの中立面を位置させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塵埃除去装置の構成を示す平面図(A)および側面図(B)、並びに該塵埃除去装置に発生させる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【図2】コピー機のリーダ部に装着された塵埃除去装置を示す斜視図である。
【図3】図1に示した塵埃除去装置における圧電素子および円板付近の光学素子のX−Z平面の断面図および歪分布図である。
【図4】第2の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す光学フィルタ、圧電素子、および弾性部材の平面図(A)、側面図(B)、および光学フィルタに生じさせる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【図6】第3の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【図7】第4の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【図8】特許文献3に開示されている画像読取装置の斜視図である。
【図9】圧電素子によってADF用プラテンに発生される曲げ振動を示す図である。
【図10】図8の従来の塵埃除去装置において、圧電素子付近におけるADF用プラテンのX−Z平面の断面図である。
【図11】図8の従来の塵埃除去装置において、X方向に圧電素子から離れた位置におけるADF用プラテンのX−Z平面の断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 光学素子(光透過部材)
2 圧電素子(電気機械エネルギ変換素子)
3 ハーネス
4 曲げの中立面
5 円板(弾性部材)
8 リーダ部
9 スキャナユニット
13 駆動装置(交流電圧印加手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃除去装置に関し、特に、光線入射経路に位置する平板状の光透過部材の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置に関する。
【0002】
この塵埃除去装置は、例えば、コピー機、ファクシミリ装置、ドキュメントスキャナなどの原稿読取装置や、ビデオカメラ、スチルカメラなどの撮像装置に装着されるものである。
【背景技術】
【0003】
近年の撮像装置においては、光学センサの分解能の向上に伴って、光学系に付着するゴミが撮影画像に影響を及ぼすようになってきた。特に、ビデオカメラ、スチルカメラの撮像素子の分解能がめざましく向上しているため、撮影画像に埃が写り込むことがある。すなわち、撮像素子の近くに配置されている赤外線カットフィルタ、光学ローパスフィルタなどに、外部からの埃や、内部の機械的な摺擦面で生ずる摩耗粉などが付着すると、撮像素子面での画像のぼけが少ないため、撮影画像に埃が写り込むことになる。
【0004】
一方、コピー装置、ファクシミリ装置、ドキュメントスキャナなどの撮像部では、ラインセンサに近接させた平面原稿を、ラインセンサの長さ方向(主走査方向)への繰り返し走査と、原稿とラインセンサとの副走査方向への相対移動とによって読み取っている。ここで、ラインセンサへの光線入射部に埃が付着すると、この埃が読み取り画像に写り込んでしまう。特に、ラインセンサ側に埃が付着すると、1つの埃が副走査方向へ連続する線画像となって写り込み、画像の品質を大きく損ねてしまうという問題がある。
【0005】
これらの塵埃を人手によって拭き取ることで画像品位は回復するが、埃の付着は、撮影や画像読み取りを終了した後に気付くものである。既に撮影や画像読み取りを終了して得られた埃が映り込んだ画像については、電子データ形態であれば、画像加工ソフトウェアによって修正することが可能であるが、煩わしい修正作業を行う必要がある。また、紙メディアに出力されてしまっている場合には、紙メディアの無駄な消費となってしまう。
【0006】
そこで例えば、特許文献1,2に示されるような、振動によって塵を取り除く防塵機構を備えたカメラや、特許文献3,4に示されるような、振動を与えることによって塵を画像読取部から移動させる画像読取装置が開示されている。
【0007】
図8は、特許文献3に開示されている画像読取装置の斜視図である。
【0008】
図8においてリーダ部200は、原稿に記録された画像情報を光学的に読み取り、光電変換して画像データとして取得するものである。リーダ部200は、ADF原稿用プラテンガラス(以下「ADF用プラテン」という)201、ブック原稿用プラテンガラス202、ランプ203とミラー204を有するスキャナユニット209、ミラー205、ミラー206、レンズ207、CCDセンサ(図示せず)等を有している。
【0009】
リーダ部200は、不図示の自動原稿送り装置(ADF)から搬送されてくる原稿画像を読み取る場合は、スキャナユニット209をADF用プラテン201の下に移動して停止させ、原稿がADF用プラテン201上を搬送されている間に画像情報を読み取る。
【0010】
210は圧電素子であり、ADF用プラテン201の下面に取り付けられる。そして、圧電素子210には不図示の回路から高周波信号が印加され、この結果、ADF用プラテン201に曲げ振動が発生する。ADF用プラテン201に塵埃が付着している場合、この曲げ振動によって塵埃が剥離され、塵埃が画像として写ることが防止される。
【0011】
ADF用プラテン201は、その周囲に配置された弾性素材からなる支持部材を介してリーダ200の筐体に支持されており、ADF用プラテン201、圧電素子210、支持部材によってリーダ200における塵埃除去装置を構成している。
【0012】
図9は、圧電素子210によってADF用プラテン201に発生される曲げ振動を示す図である。この曲げ振動は、複数次の定在波となっており、図9(B)は第1の振動モードを、図9(C)は第2の振動モードを示す。第1の振動モードは、8本の節を持つ曲げ7次モードであり、第2の振動モードは、7本の節を持つ曲げ6次の振動モードである。第1および第2の振動モードは、図9(D)に示すように、Y方向については、節のない一様な振動変位分布をもっている。
【0013】
圧電素子210からADF用プラテン201に対して、少なくとも第1の振動モードと第2の振動モードとを順次加振し、これによって、ADF用プラテン201の各部に振動が発生する。しかも、第1の振動モードと第2の振動モードとでは節の位置が互いにずれているので、ADF用プラテン201上のどの位置においても隈なく振動が発生し、これによって、ADF用プラテン201上から塵埃が剥離し、移動させられる。
【特許文献1】特開2002?204379号公報
【特許文献2】特開2003?333391号公報
【特許文献3】特開2003?280110号公報
【特許文献4】特開2004?012474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図8に示す画像読取装置に含まれる従来の塵埃除去装置においては、以下に述べるような問題があった。
【0015】
図10は、図8の従来の塵埃除去装置において、圧電素子210付近におけるADF用プラテン201のX−Z平面の断面図である。図11は、図8の従来の塵埃除去装置において、X方向に圧電素子210から離れた位置におけるADF用プラテン201のX−Z平面の断面図である。
【0016】
矩形平板状の光透過部材であるADF用プラテン201に円形平板状の圧電素子210が接着されている。図10(A)は、圧電素子210に曲げ振動が発生し、圧電素子210の円形平板の中心216付近でZ方向(厚み方向)に圧電素子210が最大変位となった瞬間の断面形状を表している。図10(A)および図11(A)において、215は、曲げの中立面を示しており、曲げ振動によってX方向に伸縮の生じない面位置を表している。図10(B)および図11(B)は、ADF用プラテン201および圧電素子210に発生するX方向の歪の大きさを矢印の長さで表しており、右矢印が伸長方向、左矢印が収縮方向を示している。
【0017】
図11(A)に示すように、ADF用プラテン201のうち圧電素子210が接着されていない部分では、曲げの中立面215は、ADF用プラテン201の厚み方向(Z方向)の中央に位置している。一方、図10(A)に示すように、ADF用プラテン201のうち圧電素子210が接着されている部分においては、曲げの中立面215が、圧電素子210の剛性が加算されることで、圧電素子210側へ移動し、圧電素子210内に位置する場合がある。
【0018】
このため、下記の2つの問題が生ずる。
【0019】
第1の問題は、ADF用プラテン201の破断限界振幅の低下である。
【0020】
ADF用プラテン201は、ガラスや水晶などの光学材料で構成されており、破断限界が比較的低い。図11(A)に示すように、曲げの中立面215がADF用プラテン201内部にある場合は、曲げ振動の振幅に対するADF用プラテン201の上下面に生ずる引張応力の比は最小となる。しかしながら、図10(A)に示すように、圧電素子210が接着されたADF用プラテン201の部分においては、曲げの中立面215がADF用プラテン201から遠ざかっている。歪量は中立面215からの距離に比例するから、図10(A)に示すADF用プラテン201に発生する引張り応力は増大する。そのため、図11(A)に示すADF用プラテン201における破断限界振幅に比べて、図10(A)に示すADF用プラテン201における破断限界振幅が低下し、十分な振動振幅を与えることができなくなる恐れがある。
【0021】
第2の問題は、圧電素子210のADF用プラテン201に対する加振力の低下である。
【0022】
圧電素子210では、厚み方向(Z方向)に分極処理がなされており、また、ADF用プラテン201との接着面に裏面電極が設けられ、反対の表側に表面電極が設けられる。これらの電極間に電位差をかけると、電歪横効果によって圧電素子210にX方向の伸縮応力が発生する。図10(A)に示す状態の圧電素子210では、圧電素子210の厚み方向に一様に分布した収縮方向の応力が発生している。
【0023】
一方、こうした応力に基づいて、図10(B)に示すように、圧電素子210の内部に位置する曲げ中立面215の上部領域では、X方向に伸長する歪が発生し、下部領域では、X方向に収縮する歪が発生する。
【0024】
その結果、ADF用プラテン201と圧電素子210との接着面から曲げ中立面215までの領域217では、応力が収縮方向にも拘らず、歪が伸長方向となって、応力が有効に働かない。すなわち、この領域217では、圧電素子210に十分な電圧を印加しても、ADF用プラテン201に所要の振動振幅を発生させることができないことになる。
【0025】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、大きな駆動電圧を印加しなくても所要の振動振幅を光透過部材に与えることが可能な塵埃除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、本発明によれば、光線入射経路に位置する平板状の光透過部材の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置において、前記光透過部材の第1の平面に固着された電気機械エネルギ変換素子と、前記光透過部材の前記第1の平面と反対側の第2の平面に、前記電気機械エネルギ変換素子に対向して固着された弾性部材と、前記電気機械エネルギ変換素子へ交流電圧を印加して前記光透過部材を平面に垂直な方向に弾性振動させ、前記光透過部材の表面に付着した塵埃を除去する交流電圧印加手段とを有することを特徴とする塵埃除去装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、光透過部材に固着された電気機械エネルギ変換素子によって光透過部材を振動させて、光透過部材に付着した塵埃を除去する塵埃除去装置において、光透過部材の電気機械エネルギ変換素子が固着された面と反対側の面に弾性部材を接着する。これによって、曲げ振動の中立面を光透過部材の厚み方向の中央に近づけることができるため、光透過部材に発生する応力を緩和し、破断限界振幅を増大させることができる。それと共に、電気機械エネルギ変換素子による光透過部材に対する加振力を増大させることができ、塵埃除去能力を向上させることができる。
【0028】
また、光透過部材を支持固定するための支持固定部材を弾性部材に一体に設ける。これによって、別途部材を追加することなく、塵埃除去能力を高めることができる。
【0029】
また、弾性部材および電気機械エネルギ変換素子(圧電素材)の縦弾性係数の大小関係に基づいて、光透過部材に接着する弾性部材の厚さを設定することによって、曲げ中立面を、より光透過部材の厚み方向の中央に近づけることができる。
【0030】
また、弾性部材および電気機械エネルギ変換素子における断面一次モーメントと、縦弾性係数との積を等しくすることによって、光透過部材の厚み方向の中央に曲げ中立面を位置させることができる。
【0031】
また、弾性部材を圧電材料で構成することによって、光透過部材の厚み方向の中央に曲げ中立面を位置させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0033】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る塵埃除去装置の構成を示す平面図(A)および側面図(B)、並びに該塵埃除去装置に発生させる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【0034】
本実施の形態における塵埃除去装置は、コピー機のリーダ部に装着されるものである。この塵埃除去装置では、矩形平板状のガラス製の光学素子1の裏面に円形平板状の圧電素子2を接合して振動体を形成する。この光学素子1は、図9に示したADF原稿用プラテンガラス201に相当する。なお、光学素子1の圧電素子2を接着した面と反対側の面には、ステンレス製の平板状の円板5が接着される。円板5は、圧電素子2とほぼ同じ直径であり、中心線が圧電素子2の中心線と一致するように配置される。すなわち、円板5の光学素子1への投影形状と、圧電素子2の光学素子1への投影形状とが重なるように、円板5の形状が設定されるとともに、円板5の配置位置が設定される。
【0035】
この塵埃除去装置では光学素子1に対して、図1(C)に示すように、7つの節を持つ曲げ振動モードと、図1(D)に示すように、6つの節を持つ曲げ振動モードとを発生させる。したがって、光学素子1のX方向におけるどの位置においても、光学素子1上にZ方向(光学素子1面と垂直な方向)の振動が発生し、光学素子1に付着した塵埃が剥離し、光学素子1上から移動させることができる。
【0036】
図2は、コピー機のリーダ部8に装着された塵埃除去装置を示す斜視図である。
【0037】
光学素子1の下面には、該光学素子1の長さとほぼ同じ長さのスキャナユニット9が配置される。そして、光学素子1上を搬送される原稿からの反射光の光束が、光学素子1を透過してスキャナユニット9内の光学センサに結像され、これによって、原稿の画像情報が画像データとして読み取られる。
【0038】
圧電素子2にはハーネス3を介して駆動装置13が接続される。駆動装置13は、圧電素子2に交流電圧を印加し、これによって、圧電素子2が振動して、図1(C)、(D)に示すような曲げ振動モードが光学素子1に発生する。駆動装置13は、図1(C)に示すような曲げ振動モードにおける共振周波数とその近傍とで交流電圧の周波数を掃引し、次に、図1(D)に示すような曲げ振動モードにおける共振周波数とその近傍とで交流電圧の周波数を掃引する。これによって、各曲げ振動モードでの振動振幅が最大となる共振状態を短時間で得ることができる。
【0039】
図3は、図1に示した塵埃除去装置における圧電素子2および円板5付近の光学素子1のX−Z平面の断面図および歪分布図である。光学素子1は振動状態にある。
【0040】
図3(A)は、圧電素子2のZ方向の変位が最大となったときの変形状態を示している。図3(B)は、円板5、光学素子1、圧電素子2のZ方向における歪分布を示している。
【0041】
第1の実施の形態では、詳しくは後述するが、円板5の材質やZ方向の厚みを適切に設定することにより、曲げの中立面4を、光学素子1のZ方向の厚みの中央付近に位置させることができる。これによって、図3(B)に示すように、圧電素子2では厚み方向(Z方向)の全領域においてX方向に収縮(左向き矢印の歪)している。一方、光学素子1の上面に接着された円板5においては、図3(B)に示すように、厚み方向の全領域においてX方向に伸長(右向き矢印の歪)している。光学素子1においては、前述のように、その厚み方向の中央付近に曲げの中立面4が位置しており、光学素子1に発生する歪量は、圧電素子2および円板5にそれぞれ発生する歪量に比べ、小さくなっている。
【0042】
次に、光学素子1の上面に接着されたステンレス製の円板5の作用について説明する。
【0043】
円板5は、光学素子1に接着された圧電素子2の剛性を光学素子1の反対面においてバランスさせる役割を果たす弾性部材である。すなわち、光学素子1単体における曲げ中立面は、光学素子1の厚み方向(Z方向)の中央に位置するが、圧電素子2を光学素子1に接着することによって中立面が圧電素子2側に移動してしまう。中立面を光学素子1の厚み方向の中央に維持するには、圧電素子2の接着により増加した剛性分を、光学素子1の圧電素子2接着側と反対の側に接着した円板5によって補えばよい。具体的には、下記式(1)に示すように、円板5の断面一次モーメントと縦弾性係数との積を、圧電素子2の断面一次モーメントと縦弾性係数との積に等しくなるように、円板5の材質および厚さを設定する。これによって、光学素子1の厚み方向の中央に中立面4を維持することができる。
【0044】
E2×∫AzdA2=E3×∫AzdA3 ・・・(1)
なお、上記式(1)において、E2は圧電素子2の縦弾性係数、E3は円板5の縦弾性係数、zは光学素子1の中央位置の厚み方向座標、dA2は圧電素子2の微小断面積、dA3は円板5の微小断面積である。
【0045】
この上記式(1)は下記式(2)のように書き換えることができる。
【0046】
E2(t1+t2)t2B2=E3(t1+t3)t3B3 ・・・・(2)
上記式(2)において、t1は光学素子1の厚さ、t2は圧電素子2の厚さ、t3は円板5の厚さ、B2は圧電素子2の平面方向の直径、B3は円板5の平面方向の直径である。
【0047】
上記式(1)、(2)の各々において、左辺が大きいときに中立面は圧電素子2側へ近づき、右辺が大きいときに円板5側に近づく。なお、円板5の縦弾性係数E3が圧電素子2の縦弾性係数E2よりも大きくなるような材質を円板5に用いることによって、円板5を圧電素子2よりも小さい厚さの材料で構成することができる。
【0048】
以上のように本実施の形態では、円板5の光学素子1への投影形状と圧電素子2の光学素子1への投影形状とが一致するように円板5を配置すると共に、円板5が上記式(1)、(2)を満たす厚さを備えるようにする。これにより、光学素子1の厚み方向の中央に中立面4を維持することができる。なお、円板5を構成するステンレス材の縦弾性係数は圧電素子2の約3倍であり、また、一般的に入手できるステンレス材の厚さは離散的な値となっている。そのため、上記式(1)、(2)で算出される値に近い厚さをもったステンレス材が存在しない場合もあり得、そうした場合には、圧延工程によりステンレス材の厚さを調整するようにすることが望ましい。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
つぎに、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0050】
図4は、第2の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【0051】
第2の実施の形態では、デジタルスチルカメラの撮像素子の前面に、矩形平板状の透明な光学フィルタ11が配置される。この光学フィルタ11はデジタルスチルカメラにおけるローパスフィルタとして動作するものであり、第1の実施の形態における光学素子1に相当し、塵埃除去装置の振動部材として使用される。光学フィルタ11には、その左右両端に、矩形平板状の圧電素子12a,12bが接着され、該圧電素子12a,12bには駆動装置13から交流電圧がそれぞれ印加される。
【0052】
撮像素子パッケージ14は、撮像素子部14aとカバーガラス14bと基板14cとからなり、撮像素子部14aはカバーガラス14bによって封止された構造となっている。撮像素子パッケージ14の基板14cと光学フィルタ11との間には、ゴムなどの弾性材からなる矩形枠状の支持部材18が配置される。支持部材18は、光学フィルタ11および基板14cに対して粘着剤によって接着され、これによって、光学フィルタ11が基板14cに対して振動可能な状態で支持固定される。光学フィルタ11、基板14c、および支持部材18によって囲まれた密閉空間には、撮像素子部14aとカバーガラス14bとが位置する。これによって、カバーガラス14bの表面(撮像素子部14aに向いた面と反対面)および光学フィルタ11の裏面(撮像素子部14aに向いた面)への塵埃の付着を防止している。
【0053】
弾性部材15a,15bは、第1の実施の形態におけるステンレス製の円板5に相当するものであり、圧電素子12a,12bとそれぞれ同じ平面形状のステンレス製の矩形平面板である。弾性部材15a,15bは、ステンレスのシート材をプレス加工により成型したものであり、それらの上下端には各々、腕部16および固定部17(弾性部材15aの上端のみ引用番号を付与)が一体的に設けられている。弾性部材15a,15bは、光学フィルタ11の圧電素子12a,12bを接着した面とは反対の面に、圧電素子12a,12bと対抗するように接着される。4つの固定部(17)は撮像素子パッケージ14の基板14cにビスなどで固定され、これによって、光学フィルタ11および圧電素子12a,12bからなる塵埃除去装置が撮像素子パッケージ14に装着される。弾性部材15a,15bの各厚みは、第1の実施の形態における数式(1)、(2)によって決定される値である。
【0054】
図5は、図4に示す光学フィルタ11、圧電素子12a,12b、および弾性部材15a,15bの平面図(A)、側面図(B)、および光学フィルタ11に生じさせる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【0055】
弾性部材15a,15bは、圧電素子12a,12bにそれぞれ対向して光学フィルタ11に配置されている。光学フィルタ11は、圧電素子12a,12bによって振動されて、図5(C)に示す7つの節を持つ6次の振動モードと、図5(D)に示す6つの節を持つ5次の振動モードとで振動する。圧電素子12a,12bは、2つの振動モードにおいて共通する腹部に位置している。
【0056】
ここで、弾性部材15a,15bの各厚みは、第1の実施の形態における数式(1)、(2)によって決定される値であるため、2つの振動モードにおいて、曲げの中立面が光学フィルタ11の中央に位置する曲げ変形となる。これにより、光学フィルタ11に過大な応力を発生させることなく、圧電素子12a,12bの発生する応力を効率よく光学フィルタ11の振動に変換することができ、塵埃の除去を行うことができる。
【0057】
さらに、第2の実施の形態では、光学フィルタ11を支持固定するための支持部材を、弾性部材15a,15bで構成しているので、あえて支持部材を追加する必要がなく、構成を簡略化できる。
【0058】
また、圧電素子12a,12bの左右辺の振動の節に近い位置に、弾性部材15a,15bと一体の腕部(16)を設けるようにしたので、光学フィルタ11の振動を大きく阻害することを防止できる。
【0059】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0060】
第3の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、第3の実施の形態の説明においては、第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、第2の実施の形態の説明を流用し、異なる部分だけを説明する。
【0061】
図6は、第3の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【0062】
第3の実施の形態では、光学フィルタ11における圧電素子12a,12bが接着されている面と反対側の面に、弾性部材19a,19b,19c,19dを接着する。弾性部材19a,19b,19c,19dは、光学フィルタ11の上下端部に、圧電素子12a,12bと対向して設けられる。すなわち、弾性部材19a,19b,19c,19dの光学フィルタ11に対する投影形状が、圧電素子12a,12bの光学フィルタ11に対する投影形状の中に含まれるように、弾性部材19a,19b,19c,19dが配置される。
【0063】
弾性部材19a,19b,19c,19dには各々、第2の実施の形態と同様に、腕部および固定部が一体的に設けられ、固定部が撮像素子パッケージ14の基板14cにビスなどで固定される。
【0064】
ところで、光学フィルタ11の製造過程では、素材(例えばガラス)から矩形状の光学フィルタ11が切り出され、その端部のエッジ部に対して研摩が行われて平滑面とされる。しかし、微小なクラックを完全に取り除くことができない場合があり、外力による歪が生じた場合に割れに発展する虞がある。
【0065】
これに対して、第3の実施の形態では、光学フィルタ11の端部に弾性部材19a,19b,19c,19dを接着する。これによって、光学フィルタ11の端部に生じる歪を低減することができる。そのため、振動時の曲げ応力に対する光学フィルタ11の破断応力に余裕がない場合においても、光学フィルタ11のエッジ部においてクラックが進展することを抑えることが可能となる。その結果、塵埃除去装置の信頼性を向上できる。
【0066】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0067】
第4の実施の形態の構成は、基本的に第2の実施の形態の構成と同じであるので、第4の実施の形態の説明においては、第2の実施の形態の構成と同一部分には同一の参照符号を付して、第2の実施の形態の説明を流用し、異なる部分だけを説明する。
【0068】
図7は、第4の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【0069】
圧電素子12a,12bの製造工程では、板状の圧電素材が所定の形状に切断され、それの両面に、導電塗料の印刷や蒸着等の方法によって電極が形成され、その後に、厚み方向に分極処理が施される。
【0070】
第4の実施の形態では、圧電素子12a,12bの製造工程における電極形成処理および分極処理が行われる前の圧電素材に対して、圧電素子12a,12bと同一形状の切断加工を施し、得られたものを弾性部材20a,20bとして用いる。弾性部材20a,20bは、光学フィルタ11における圧電素子12a,12bが接着されている面と反対側の面に接着される。弾性部材20a,20bの光学フィルタ11に対する投影形状が、圧電素子12a,12bの光学フィルタ11に対する投影形状と重なり合うように、弾性部材20a,20bが配置される。
【0071】
第4の実施の形態における弾性部材20a,20bは、新規の材料を用いることなく、圧電素子12a,12bの製造工程において製造できる。なお、弾性部材20a,20bの機械的物性は、縦弾性係数に分極前後で僅かな差があるだけであり、圧電素子12a,12bに比べて大きい差がない。また、弾性部材20a,20bの線膨張係数についても、分極前後で僅かな違いがあるだけであり、圧電素子12a,12bに比べて、使用時の環境温度、自己昇温に対する熱応力による変形を小さく抑えることが可能である。
【0072】
また、第4の実施の形態では、弾性部材20a,20bを分極処理前の圧電材で構成しているが、これに代わって、電極形成処理および分極処理が行われた後の圧電素子を、両面の電極間を短絡した状態で弾性部材20a,20bとして使用してもよい。その場合、弾性部材20a,20bは圧電素子12a,12bと同一の機械的特性となるため、光学フィルタ11の厚み方向の中央に曲げの中立面を位置させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塵埃除去装置の構成を示す平面図(A)および側面図(B)、並びに該塵埃除去装置に発生させる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【図2】コピー機のリーダ部に装着された塵埃除去装置を示す斜視図である。
【図3】図1に示した塵埃除去装置における圧電素子および円板付近の光学素子のX−Z平面の断面図および歪分布図である。
【図4】第2の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示す光学フィルタ、圧電素子、および弾性部材の平面図(A)、側面図(B)、および光学フィルタに生じさせる2つの振動モードの変位分布を示す図(C),(D)である。
【図6】第3の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【図7】第4の実施の形態における塵埃除去装置の構成を示す分解斜視図である。
【図8】特許文献3に開示されている画像読取装置の斜視図である。
【図9】圧電素子によってADF用プラテンに発生される曲げ振動を示す図である。
【図10】図8の従来の塵埃除去装置において、圧電素子付近におけるADF用プラテンのX−Z平面の断面図である。
【図11】図8の従来の塵埃除去装置において、X方向に圧電素子から離れた位置におけるADF用プラテンのX−Z平面の断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 光学素子(光透過部材)
2 圧電素子(電気機械エネルギ変換素子)
3 ハーネス
4 曲げの中立面
5 円板(弾性部材)
8 リーダ部
9 スキャナユニット
13 駆動装置(交流電圧印加手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線入射経路に位置する平板状の光透過部材の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置において、
前記光透過部材の第1の平面に固着された電気機械エネルギ変換素子と、
前記光透過部材の前記第1の平面と反対側の第2の平面に、前記電気機械エネルギ変換素子に対向して固着された弾性部材と、
前記電気機械エネルギ変換素子へ交流電圧を印加して前記光透過部材を平面に垂直な方向に弾性振動させ、前記光透過部材の表面に付着した塵埃を除去する交流電圧印加手段と
を有することを特徴とする塵埃除去装置。
【請求項2】
前記弾性部材の前記光透過部材への投影形状が、前記電気機械エネルギ変換素子の前記光透過部材への投影形状に重なることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項3】
前記弾性部材に一体に設けられ、前記光透過部材を支持固定する支持固定部材を、更に有することを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項4】
前記電気機械エネルギ変換素子が板状の圧電素材から構成されるとともに、前記弾性部材も板状の素材から構成されることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項5】
前記電気機械エネルギ変換素子の縦弾性係数が前記弾性部材の縦弾性係数よりも大きいならば、前記弾性部材の厚さを前記電気機械エネルギ変換素子の厚さより大きく設定し、一方、前記電気機械エネルギ変換素子の縦弾性係数が前記弾性部材の縦弾性係数よりも小さいならば、前記弾性部材の厚さを前記電気機械エネルギ変換素子の厚さより小さく設定することを特徴とする請求項4記載の塵埃除去装置。
【請求項6】
前記電気機械エネルギ変換素子における、前記光透過部材の厚み方向の中央を通り、該厚み方向に垂直な方向に延びた軸線に対する断面一次モーメントと縦弾性係数との積と、前記弾性部材における、前記軸線に対する断面一次モーメントと縦弾性係数との積とが等しくなるように、前記弾性部材の材質および厚さのうち少なくとも1つを設定することを特徴とする請求項4記載の塵埃除去装置。
【請求項7】
前記弾性部材が圧電素材から構成されることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項1】
光線入射経路に位置する平板状の光透過部材の表面に付着する塵埃を除去するための塵埃除去装置において、
前記光透過部材の第1の平面に固着された電気機械エネルギ変換素子と、
前記光透過部材の前記第1の平面と反対側の第2の平面に、前記電気機械エネルギ変換素子に対向して固着された弾性部材と、
前記電気機械エネルギ変換素子へ交流電圧を印加して前記光透過部材を平面に垂直な方向に弾性振動させ、前記光透過部材の表面に付着した塵埃を除去する交流電圧印加手段と
を有することを特徴とする塵埃除去装置。
【請求項2】
前記弾性部材の前記光透過部材への投影形状が、前記電気機械エネルギ変換素子の前記光透過部材への投影形状に重なることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項3】
前記弾性部材に一体に設けられ、前記光透過部材を支持固定する支持固定部材を、更に有することを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項4】
前記電気機械エネルギ変換素子が板状の圧電素材から構成されるとともに、前記弾性部材も板状の素材から構成されることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【請求項5】
前記電気機械エネルギ変換素子の縦弾性係数が前記弾性部材の縦弾性係数よりも大きいならば、前記弾性部材の厚さを前記電気機械エネルギ変換素子の厚さより大きく設定し、一方、前記電気機械エネルギ変換素子の縦弾性係数が前記弾性部材の縦弾性係数よりも小さいならば、前記弾性部材の厚さを前記電気機械エネルギ変換素子の厚さより小さく設定することを特徴とする請求項4記載の塵埃除去装置。
【請求項6】
前記電気機械エネルギ変換素子における、前記光透過部材の厚み方向の中央を通り、該厚み方向に垂直な方向に延びた軸線に対する断面一次モーメントと縦弾性係数との積と、前記弾性部材における、前記軸線に対する断面一次モーメントと縦弾性係数との積とが等しくなるように、前記弾性部材の材質および厚さのうち少なくとも1つを設定することを特徴とする請求項4記載の塵埃除去装置。
【請求項7】
前記弾性部材が圧電素材から構成されることを特徴とする請求項1記載の塵埃除去装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−264096(P2007−264096A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86061(P2006−86061)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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