説明

墓守システム

【課題】 寺院と檀家との間や、檀家側の関係者間の双方向コミュニケーションを支援する墓守システムを低コストで提供する。
【解決手段】 本発明では、実在の墓に関連する情報を墓データベースで管理し、この墓データベースを中心として、檀家(墓利用者)と寺院(墓管理者)との間でやり取りされるメッセージや、檀家管理情報など、様々な情報を関連づけることにより、墓を中心とするコミュニティの形成を支援する。また、本発明のシステムは、いわゆるアプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)形式のシステムであるため、墓管理者は、墓管理や檀家管理に関する様々なサービスを提供するシステムを低コストで運営することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墓に関する情報や墓の関係者(例えば寺院、墓地管理者、檀家など)に関する情報を管理するとともに、墓の関係者間のコミュニケーションを支援するシステムに関する。このようなシステムを本明細書では「墓守システム」と呼ぶ。
【背景技術】
【0002】
墓地や霊園(以下、単に墓地と呼ぶ)の管理業務に関しては、従来より「墓守」と呼ばれる人が重要な役割を果たしてきた。墓守の仕事には、例えば以下のようなものがある。
・墓の状態をチェックし、必要に応じて墓の清掃を行う。修繕が必要な墓があればその墓の関係者に連絡する。
・墓地内に設置された各檀家の墓の場所を把握し、墓参者があれば目的の墓まで案内する。墓地が複数の寺院により共用されている場合は、各寺院が使用しているエリアも把握する。
・いつ、誰が、どの檀家の墓に墓参したかを把握し、関係者からの問い合わせに応じてその情報(以下、墓参情報と呼ぶ)を提供する。
【0003】
総括すると、墓守は、(1)墓地や墓石の管理、(2)墓の関係者間のコミュニケーションの支援、という2つの側面において重要な役割を果たしてきたということができる。
【0004】
しかし、今日では墓守を置く墓地は少なくなっている。墓守が不在になると、以下のような問題が生じる。
・墓の状態を日々チェックする者がいないため、墓の清掃や修繕が必要になっても、その対応が滞ったり遅れがちになったりする。
・大規模な墓地では墓参者が独力で目的の墓にたどり着くことが困難な場合がある。
・ある墓の関係者が、その墓に最近墓参者があったか、それはいつか、といった墓参情報を入手することが困難になる。
【0005】
上記のような問題に関連する先行技術として特許文献1に記載のシステムが挙げられる。このシステムには以下ような特徴がある。
・墓の近傍に配置された入出力装置を備えている。例えば、墓掃除など、現実の墓参を行った人は、この入出力装置を使用して、自分の氏名や墓参の日時などの情報を入力することができる。遺族などの関係者は、遠隔地の端末から前記情報(墓参情報)を閲覧することにより、いつ、誰が墓参したかなどの情報を得ることができる。
・墓の現状を撮像するための墓撮像手段、映像をリアルタイムに遠隔に送信する墓映像送信手段、墓の周囲の音を収集するための音収集手段、及び、墓映像表示手段を備えており、遺族などの関係者は、墓のリアルタイム映像を見て現在の墓の状態を確認し、墓及びその周囲が汚れたり雑草が茂ったりしていれば墓参代行業者に清掃を依頼するなどの対策を講じることができる。
【0006】
なお、墓参の代行については、コンピュータネットワークを利用して墓の清掃、供花、焼香といった墓参の代行を遠隔から受け付けるシステムが各種提案されている(例えば特許文献2〜5を参照)。
【0007】
また、別の先行技術として特許文献6に記載のシステムが挙げられる。このシステムには以下ような特徴がある。
・檀家の固有情報を管理するデータベースを備えており、供養などの各種行事のスケジュールを檀家毎に管理するスケジュール管理機能を備えている。
・寺院側から檀家側に所定の情報を配信可能とすることができる。
・檀家側からホストコンピュータを介して寺院側情報端末にアクセスして寺院のスケジュールなどの寺院情報を取得可能である。また、檀家が自己の情報端末から寺院に対して法要などの行事日程の申し込みを行うことができる。
・檀家の過去帳が登録されており、上記ホストコンピュータは、上記情報端末からの要求に応じて、上記過去帳より家系図を作製して送信することができる。
・檀家の墓地管理情報が登録されている。この墓地管理情報には、各檀家の墓の所在を示す墓地図および檀家自宅地図が含まれており、上記ホストコンピュータは、墓地図および檀家自宅地図をリンクして出力することができる。
【0008】
【特許文献1】特開2002-94984号公報
【特許文献2】特開2001-297161号公報
【特許文献3】特開2002-172057号公報
【特許文献4】特開2002-197210号公報
【特許文献5】特開2002-251488号公報
【特許文献6】特開2002-352017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載のシステムには以下のような問題がある。
・墓参情報の入力及び閲覧を可能にしたことで、檀家側の関係者間におけるコミュニケーションの支援にはある程度役立つと思われるが、寺院と檀家との間のコミュニケーションの支援は特に考慮されていない。
・墓の近傍に入出力装置を配置したり、墓撮像手段や集音手段を墓地内に固定的に配置する構成であるため、システムの構築及びメンテナンスにコストがかかる。
【0010】
特許文献6に記載のシステムには以下のような問題がある。
・寺院と檀家との間のコミュニケーションに関連する情報の流れが寺院から檀家への一方通行であり、両者間の双方向コミュニケーションを直接的に支援することは考慮されていない。
・墓地図を出力する機能を備えているが、これは寺院側でのみ利用可能なものであり、檀家側ではこの地図を利用できない。
【0011】
本発明は以上のような課題を解決するために成されたものであり、その目的は、寺院と檀家との間や、檀家側の関係者間の双方向コミュニケーションを支援する墓守システムを低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明1)上記課題を解決するために成された本発明の墓守システムは、
データ通信ネットワークを通じて他の端末から送信されてくる要求に応じた処理を実行するサーバを備え、該サーバは、
複数の墓利用者に関する情報を保存するための墓利用者データベース、
複数の墓管理者に関する情報を保存するための墓管理者データベース、
複数の墓に関連する情報を墓利用者及び墓管理者と関連づけて保存するための墓データベース、
墓利用者と墓管理者との間でやり取りされるメッセージ情報を墓と関連づけて保存するためのメッセージ保存部、及び、
墓利用者又は墓管理者の端末に、該利用者又は管理者宛のメッセージ情報を送信するためのメッセージ管理部
を備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明では、実在の墓をキーにして様々な情報が関連づけられるようにデータベースを構成しており、墓利用者や墓管理者は、墓をキーにして様々な情報にアクセスし、情報の閲覧や管理(追加、変更、削除など)を行うことができる。
【0014】
墓利用者とは、例えば檀家など、墓の保守管理費用を支払う者や、檀家の関係者(親戚、知人など)のことをいう。一の墓に対して一又は複数の墓利用者が関連づけられる。一方、墓管理者とは、寺院、墓地管理業者、墓のメンテナンス業者など、墓の維持管理に携わる者のことをいう。通常、一の墓管理者に対して複数の墓が関連づけられる。
【0015】
メッセージ情報とは、発信者と受信者が指定された情報のことをいう。やり取りされる情報の形式や内容(通知、質問、要望など)は問わない。メッセージの宛先となる墓利用者又は墓管理者は単独でも複数でもよい。例えば、寺院からある檀家の構成員全員に宛ててメッセージを送信できるようにしてもよい。あるいは、複数の宛先をまとめたグループ名(例えば、檀家名)を定義し、そのグループ名を宛先とする形でもよい。
【0016】
メッセージ保存部は、例えば電子メールや電子掲示板のような形で各メッセージ情報を保存するもので、ハードディスクや半導体メモリなどの各種記憶媒体を利用して構成する。一の墓に対して複数のメッセージ情報を関連づけすることができる。
【0017】
メッセージ送信部は、端末からメッセージ取得要求を受け取ったときに、その端末のユーザ(墓利用者又は墓管理者)宛のメッセージ情報を送信するもので、コンピュータ上で所定のプログラムを動作させることによりソフトウェア的に構成する。なお、メッセージ情報を受け取ったときにプッシュ方式で自動的にそれを指定の宛先に送信する機能を追加しても良い。
【0018】
上記サーバは、墓利用者や墓管理者の端末として市販のパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)や携帯電話を利用できるような構成とすることが好ましい。例えば、Webサーバを利用して上記サーバを構成すれば、Webブラウザを搭載した市販のパソコンや携帯電話を用いてサーバ上の情報にアクセスすることができる。
【0019】
以上のように、発明1の墓守システムでは、実在の墓をキーにして様々な情報が関連づけられるようにデータベースを構成しており、墓利用者や墓管理者は、墓をキーにして様々な情報にアクセスすることができる。特に、墓利用者と墓管理者との間でやり取りされるメッセージ情報を墓と関連づけて管理しているため、墓を中心とするコミュニティの形成を支援するシステムとして好適に利用できる。
【0020】
(発明2)この発明の墓守システムは、発明1の墓守システムにおいて、更に、
複数の墓地の地図情報を保存した墓地地図データベースを備え、
前記墓データベースには、墓と該墓が属する墓地との関連づけ情報、及び、墓地内における墓の位置を示す位置情報が含まれていること
を特徴とするものである。前記地図情報はラスタ画像情報でもよいし、地図描画用のベクトル情報でもよい。この発明の構成によれば、墓地地図を利用したユーザインターフェースを構成できる。例えば、利用者の端末上に墓地地図を表示し、墓を指定させることにより、利用者による墓指定操作を容易にすることができる。あるいは、地図上で目的の墓の場所を示すことができる。
【0021】
(発明3)この発明の墓守システムは、発明2の墓守システムにおいて、墓利用者の端末から現在位置情報を受信したときに該情報から前記端末の現在位置を推定する端末位置推定部を更に備えることを特徴とするものである。前記端末としては、GPS機能を搭載した携帯電話が好適に利用できる。この発明の構成によれば、端末の現在位置を利用した各種サービスを提供できる。例えば、墓地外にいるときは目的の墓地までの経路地図を表示し、墓地内に入ったら墓地地図を表示する、といったことが可能になる。
【0022】
(発明4)この発明の墓守システムは、発明3の墓守システムにおいて、
前記端末位置推定部により得られた前記端末の現在位置と、前記墓地地図データベースに保存された墓の位置情報に基づいて、前記墓利用者に対応する墓を特定する墓特定部を更に備えることを特徴とするものである。この墓守システムでは、まず推定位置に基づいて墓の位置範囲を絞り込み、次に、その範囲内にある墓の中から、利用者に対応する墓を探す。このような構成によれば、例えば、墓利用者が自分が利用している墓の近くに立ち、端末を操作して本システムにログインしたときに、サーバが位置情報と利用者のログイン情報に基づいて目的の墓を自動的に特定することができる。これにより、利用者による目的の墓の指定操作を省略することができる。上記のような2段階の検索処理により、たとえ第1段階の位置推定精度が多少低くても、目的の墓を高い確率で特定できる。
【0023】
(発明5)この発明の墓守システムは、上記いずれかの発明の墓守システムにおいて、映像及び音声を用いたテレビ電話機能を備える移動通信端末と通信するためのテレビ通信部を更に備えることを特徴とするものである。前記移動通信端末としては、テレビ電話機能を搭載した携帯電話が好適に利用できる。この発明の構成によれば、映像や音声付きのメッセージの受け渡しができる。これを利用して、例えば、一の墓利用者が自分の墓参状況の映像を含むメッセージ情報を本システムを通じて他の墓利用者に送信するといったことが可能になる。
【0024】
(発明6)この発明の墓守システムは、上記いずれかの発明の墓守システムにおいて、墓利用者の端末から墓に関する情報の取得要求を受けたときに、前記墓利用者と関連づけられた墓に対応する墓関連情報を前記墓データベースから取り出して前記端末に送信する墓情報管理部を更に備えることを特徴とするものである。墓関連情報の例としては、墓参の履歴情報、家系図情報、法事のスケジュール、故人の写真、映像、音声、個人史などが挙げられる。この発明の構成によれば、墓利用者は、自分が利用している墓に関連する各種情報を簡単に入手することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の墓守システムにより以下のような効果が得られる。
・本発明の墓守システムでは、実在の墓をキーにして様々な情報が関連づけられるようにデータベースを構成しており、墓利用者や墓管理者は、墓をキーにして様々な情報にアクセスすることができる。特に、墓利用者と墓管理者との間でやり取りされるメッセージ情報を墓と関連づけて管理しているため、墓を中心とするコミュニティの形成を支援するシステムとして好適に利用できる。
・本発明の墓守システムは、いわゆるアプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)形式のシステムである。従って、墓管理者は、墓管理や檀家管理に関する様々なサービスを提供するシステムを低コストで運営することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明に係る墓守システムの一実施形態について以下に説明する。図1は本実施形態の墓守システムの概略構成図である。本実施形態の墓守システムは、インターネットや携帯電話網などから成るネットワーク10に接続されたコンピュータである管理サーバ12を備えている。管理サーバ12は、同じネットワーク10に接続された寺院端末14及び檀家端末16から各種要求を受け取り、その要求に応じた処理を実行する。前記端末は、いずれもWebブラウザを搭載したパソコンや携帯電話である。なお、図1には、パソコンから成る寺院端末14及び携帯電話から成る檀家端末16をそれぞれ1台だけ描いているが、実際には複数の寺院端末14及び檀家端末16がネットワーク10に接続される。
【0027】
管理サーバ12は、コンピュータ上で所定のプログラムを動作させることによりソフトウェア的に構成された機能部であるWebサーバ20、データベースサーバ21(以下、DBサーバ21)、テレビ通信部22、端末位置算出部24、地図画像生成部25を備えている。また、管理サーバ12は、ハードディスクや半導体メモリなどで構成されるデータ記憶部26を備えている。
【0028】
データ記憶部26には、本システムを利用するためのWebサイト27が作成されている。Webサイト27は、HTML文書、画像、スクリプト、CGIプログラムなどのファイルから構成される。Webサーバ20は、端末からの要求に応じて、HTML文書や画像ファイル、あるいは、スクリプトやCGIプログラムの実行結果を含むデータを端末に送信する。端末上では、Webブラウザが前記ファイルやデータを受け取り、システム管理者用ページ、寺院用ページ及び檀家用ページを構成する。これらのページの構成については後述する。
【0029】
また、データ記憶部26には、本システムに必要な各種データを保存するためのデータベースが作成されている。各データベース(以下、適宜「DB」と略記する)の概要は以下の通りである(図2参照)。
寺院DB(30): 寺院ID、寺院名、連絡先、住職の氏名、ログイン用パスワードなどの情報を寺院毎に保存したデータベース。
檀家DB(32): 檀家ID、檀家名、連絡先、ログイン用パスワード、対応する寺院のID、対応する墓のIDなどの情報を檀家毎に保存したデータベース。
墓利用者DB(34): 墓利用者ID、氏名、連絡先、対応する檀家のID、檀家内順位などの情報を墓利用者毎に保存したデータベース。「檀家内順位」は、誰が寺院からの連絡を優先的に受けるべきかを示す序列値である。このデータベースは、檀家DB32と統合することも可能である。
過去帳DB(36): 檀家ID、檀家に対応する故人の氏名、戒名、没年月日、生前の画像などの情報を保存したデータベース。このデータベースは、檀家DB32と統合することも可能である。
墓地DB(38): 墓地ID、墓地名、墓地を管理している寺院のID、墓地の地図情報などの情報を保存したデータベース。地図情報はラスタ画像情報でもよいし、地図描画用のベクトル情報でもよい。また、1つの墓地が複数の寺院により分割利用されている場合は、各分割区画を別個の墓地とみなし、別の墓地IDを付与する。
墓DB(40): 墓ID、墓が属する墓地のID、墓を利用している檀家のID、墓の建立年月日や位置座標などの情報を墓毎に保存したデータベース。位置情報は、GPSなどで用いられている汎用測位系における3次元絶対位置座標でもよいし、墓地地図のラスタ画像内における2次元相対位置座標(単位:ピクセル)でもよい。
寺院メッセージDB(42): 寺院発のメッセージを保存したデータベース。メッセージID、メッセージの発信者の寺院ID、メッセージの宛先のID、メッセージと関連する墓のID、メッセージ本文、添付ファイルなどの情報を含む。宛先は寺院でも檀家でもよい。
檀家メッセージDB(43): 檀家発のメッセージを保存したデータベース。メッセージID、メッセージの発信者の檀家ID、メッセージの宛先のID、メッセージと関連する墓のID、メッセージ本文、添付ファイルなどの情報を含む。宛先は寺院でも檀家でもよい。
墓参情報DB(44): 墓参情報ID、対象となる墓のID、墓参日時、墓参者の氏名又はID、墓参内容、メッセージなどの情報を保存したデータベース。「墓参内容」は、例えば「清掃」、「供花」、「焼香」及び「その他」の中から選択するものとする。
墓参代行サービスDB(46): サービス受付ID、対象となる墓のID、サービス業者名、連絡先、サービス内容、作業状態、作業日時、作業完了後の墓画像、作業に関する課金情報などの情報を保存したデータベース。「サービス内容」は、例えば「清掃」、「供花」、「焼香」及び「その他」から選択し、「作業状態」は、例えば「予約」「作業済」「請求済」及び「入金完了」から選択する。
墓石メンテナンスDB(47): メンテナンス受付ID、対象となる墓のID、メンテナンス業者名、連絡先、メンテナンス内容、作業状態、作業日時、作業完了後の墓画像、作業に関する課金情報などの情報を保存したデータベース。「メンテナンス内容」には、メンテナンス作業の説明を入力する。「作業状態」は、例えば「予約」「作業済」「請求済」及び「入金完了」から選択する。
行事DB(48): 行事ID、対象となる檀家のID、対象となる墓のID、行事の状態、日時、行事内容などの情報を保存したデータベース。「行事の状態」は、例えば「予約」、「通知済」及び「終了」から選択する。
【0030】
本システムの各種機能について以下に説明する。まず、寺院を対象とした機能について図3を参照しながら説明する。
【0031】
寺院側のユーザが寺院端末14のWebブラウザで所定のURLにアクセスし、寺院ID及びパスワードを入力して本システムにログインする。これを受けたWebサーバ20は、寺院用ページを構成するファイルやデータを前記Webブラウザに送信する。Webブラウザは、受け取ったファイルやデータから寺院用ページを生成し、ウィンドウに表示する。
【0032】
寺院用ページでは、本システムの以下のような機能を利用することができる。
【0033】
檀家管理: 檀家の新規登録、登録情報の閲覧、変更、削除など、檀家DB32を対象とする各種データベース操作を行う。
過去帳管理: 過去帳の新規作成、登録情報の閲覧、変更、削除など、過去帳DB36を対象とする各種データベース操作を行う。
墓情報管理: 墓の新規登録、登録情報の閲覧、変更、削除など、墓DB40を対象とする各種データベース操作を行う。
寺院情報管理: 登録情報の閲覧、変更、削除など、寺院DB30を対象とする各種データベース操作を行う。
墓地情報管理: 墓地の新規登録、利用している墓地の登録情報の閲覧、変更、削除など、墓地DB38を対象とする各種データベース操作を行う。
メッセージ作成: 入力フォームを用いて自分の檀家又はその構成員宛のメッセージを作成する。作成されたメッセージは寺院メッセージDB42に保存される。メッセージには画像などのファイルを添付することも可能である。
メッセージ表示: 寺院メッセージDB42及び檀家メッセージDB43に保存されたメッセージのうち自分宛のメッセージを表示する。
墓参代行サービス管理: 墓参代行サービスの依頼、予約の確認、作業記録の入力、課金管理など、墓参代行サービスDB46に対する各種データベース操作を行う。
行事スケジュール管理: 法事などの行事のスケジュールの新規作成、予約の確認、情報更新など、行事DB48に対する各種データベース操作を行う。
【0034】
以上の機能において、寺院が寺院端末14を使ってアクセスできるのは、ログインIDと関連づけられている情報、すなわち、その寺院に関係のある情報だけである。例えば、檀家管理では、自分の檀家に関する情報にしかアクセスできない。また、メッセージ送信では、自分の檀家又はその構成員宛のメッセージしか作成できない。
【0035】
次に、檀家を対象とした機能について図4を参照しながら説明する。
【0036】
まず、檀家側のユーザが、檀家端末16を用いて所定のURLにアクセスし、檀家ID及びパスワードを入力して本システムにログインする。これを受けたWebサーバ20は、檀家用ページを構成するファイルやデータを前記Webブラウザに送信する。Webブラウザは、受け取ったファイルやデータから檀家用ページを生成し、ウィンドウに表示する。
【0037】
檀家側のユーザが本システムにログインする別の方法について説明する。まず、檀家端末16のWebブラウザで所定のURLにアクセスすると、Webブラウザのウィンドウに寺院一覧が表示される。この一覧で目的の寺院を選択すると、寺院紹介ページが表示され、更にそこから墓地地図ページに進むことができる。墓地地図ページには、墓地内にある各檀家の墓の場所が示されている。このページ上でユーザが目的の墓を選択すると、ログインID及びパスワードの入力画面が表示される。この画面で、選択した墓のIDと関連づけられた檀家ID及びパスワードを正しく入力することにより、本システムにログインし、檀家用ページを表示させることができる。
【0038】
檀家用ページでは、本システムの以下のような機能を利用することができる。
【0039】
墓地地図表示: ログインIDに対応する墓がある墓地の地図を表示する。地図上では、目的の墓の位置が矢印などで指示される。
現在位置表示: 檀家端末16がGPS機能付きの携帯電話である場合、管理サーバ12の端末位置算出部24が携帯電話からの信号に基づいてその現在位置を算出し、地図画像生成部25が、その現在位置を矢印などで示した地図画像を生成して檀家端末16に送信する。
墓参情報入力: 目的の墓の墓参情報を入力する。檀家端末16がGPS機能付きの携帯電話である場合、檀家端末16が目的の墓の近傍に達すると、その墓を対象とする墓参情報の入力フォームにアクセス可能になる。一方、檀家端末16が目的の墓の近傍にない場合や、檀家端末16にGPS機能がない場合は墓参情報の入力フォームにアクセスできない。従って、実際には墓参していないにも関わらず墓参を行ったかのように墓参情報を入力することはできない。このようにして、本実施形態のシステムでは、墓参情報の信頼性を高めている。
墓参情報表示: 目的の墓の墓参情報を表示する。墓参情報は、例えば電子掲示板のような形で表示される。
メッセージ作成: 入力フォームを用いて自分が属する檀家の構成員や寺院宛のメッセージを作成する。作成されたメッセージは檀家メッセージDB43に保存される。メッセージには画像などのファイルを添付することも可能である。
メッセージ表示: 寺院メッセージDB42及び檀家メッセージDB43に保存されたメッセージのうち自分宛のメッセージを表示する。
墓実況中継: 檀家端末16がテレビ電話機能付きの携帯電話である場合、管理サーバ12のテレビ通信部22を介して墓の様子をテレビ中継することができる。この機能は、自分が属する檀家の墓の近傍に檀家端末16が位置している場合にのみ利用可能である。また、前記テレビ中継を視聴できるのは、発信者が属する檀家の関係者のみである。
故人情報表示: 過去帳の内容や、故人の画像、音声、個人史などを表示する。
墓参代行依頼: 墓参代行サービスの依頼、作業状況の確認、予約取消など、墓参代行サービスDB46に対する各種データベース操作を行う。
墓石メンテナンス依頼: 墓石メンテナンスサービスの依頼、作業状況の確認、予約取消など、墓石メンテナンスDB47に対する各種データベース操作を行う。
行事予約: 法事などの行事の予約及びスケジュール確認を行う。
寺院情報表示: 寺院DB30に保存された各寺院の情報を表示する。自分が属する檀家に対応する寺院以外の寺院の情報も表示可能である。
利用者登録情報管理: 檀家や墓利用者の登録情報の表示、変更、削除など檀家DB32や墓利用者DB34に対する各種データベース操作を行う。
【0040】
以上の機能において、檀家が檀家端末16を使ってアクセスできるのは、ログインIDと関連づけられている情報、すなわち、その檀家に関係のある情報だけである。例えば、墓参情報表示では、自家の墓の墓参情報にしかアクセスできない。また、メッセージ作成では、自家の構成員や寺院宛のメッセージしか作成できない。
【0041】
以上のように、本実施形態のシステムでは、檀家にとって利用可能な機能やアクセス可能な情報を、ログインID、墓ID、檀家端末16の現在位置及び機能に基づいて適宜制限する。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、実施形態は上記に限られないことはいうまでもない。以下に変形例を挙げる。
【0043】
(変形例1)上記実施形態では、墓参情報の信頼性を高めるため、檀家端末16が墓の近傍にない場合には墓参情報の入力ができないようにとしたが、これは本発明にとって必須ではない。別の対策として、例えば、墓の近傍にある檀家端末16から墓参情報が入力された場合にはオンとなり、それ以外の場合にはオフとなるフラグを導入することが考えられる。これにより、どの場所からでも墓参情報の入力を許可しつつ、その入力操作が墓の設置場所で行われたものかを区別することができ、その区別を檀家端末16の画面上で表示することができるようになる。
【0044】
(変形例2)上記実施形態では寺院と檀家という2種類のユーザが本システムを利用するものと想定したが、更に、墓参代行サービス業者や墓石メンテナンス業者など、他の種類のユーザを追加することも可能である。
【0045】
(変形例3)上記実施形態では墓地管理者が寺院であるものとしたが、これは寺院以外の業者であってもよい。また、上記実施形態では墓地利用者が檀家及びその構成員であるものとしたが、この範囲を更に広げてもよい。例えば檀家の親戚や故人の知人などを含むユーザグループを設定し、そのユーザグループ単位でアクセス権の設定やメッセージの送受信ができるようにしてもよい。
【0046】
(変形例4)上記実施形態では寺院発のメッセージと檀家発のメッセージを別のデータベースに保存して管理するものとしたが、両方のメッセージを単一のデータベースで管理することも可能である。また、他のデータベースについても、上記実施形態の構成はあくまで一つの具体例に過ぎない。
【0047】
以上の他にも、本発明の精神及び範囲内で様々な実施形態が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る墓守システムの一実施形態の概略構成図。
【図2】各データベースの概要。
【図3】寺院向け機能の説明図。
【図4】檀家向け機能の説明図。
【符号の説明】
【0049】
10…ネットワーク
12…管理サーバ
14…寺院端末
16…檀家端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ通信ネットワークを通じて他の端末から送信されてくる要求に応じた処理を実行するサーバを備え、該サーバは、
複数の墓利用者に関する情報を保存するための墓利用者データベース、
複数の墓管理者に関する情報を保存するための墓管理者データベース、
複数の墓に関連する情報を墓利用者及び墓管理者と関連づけて保存するための墓データベース、
墓利用者と墓管理者との間でやり取りされるメッセージ情報を墓と関連づけて保存するためのメッセージ保存部、及び、
墓利用者又は墓管理者の端末に、該利用者又は管理者宛のメッセージ情報を送信するためのメッセージ管理部
を備えることを特徴とする墓守システム。
【請求項2】
複数の墓地の地図情報を保存した墓地地図データベースを備え、
前記墓データベースには、墓と該墓が属する墓地との関連づけ情報、及び、墓地内における墓の位置を示す位置情報が含まれていること
を特徴とする請求項1記載の墓守システム。
【請求項3】
墓利用者の端末から現在位置情報を受信したときに該情報から前記端末の現在位置を推定する端末位置推定部を更に備えることを特徴とする請求項2記載の墓守システム。
【請求項4】
前記端末位置推定部により得られた前記端末の現在位置と、前記墓地地図データベースに保存された墓の位置情報に基づいて、前記墓利用者に対応する墓を特定する墓特定部を更に備えることを特徴とする請求項3記載の墓守システム。
【請求項5】
映像及び音声を用いたテレビ電話機能を備える移動通信端末と通信するためのテレビ通信部を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の墓守システム。
【請求項6】
墓利用者の端末から墓に関する情報の取得要求を受けたときに、前記墓利用者と関連づけられた墓に対応する墓関連情報を前記墓データベースから取り出して前記端末に送信する墓情報管理部を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の墓守システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−134237(P2006−134237A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325106(P2004−325106)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(504414282)株式会社石孫 (1)