説明

増強させた印刷性能のための多機能紙

【課題】印刷画像を受け取ることに受容力がある下地を生じる特徴を有する下地の提供。
【解決手段】1つの観点において、被覆量約0.8g(塗料)/m2未満で存在する金属酸化物を含む塗料で被覆された下地を含有する被覆された下地。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の参照
本出願は、2006年9月26日に申請された米国の仮特許出願通し番号第60/847,358号に対して優先権を主張しており、参照をもって本明細書に開示されたものとする。
【背景技術】
【0002】
印刷画像を受け取ることに受容力がある下地を生じる特徴を有する下地が、所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願番号US2006154994号
【特許文献2】US20040106697号
【特許文献3】US2003095905号
【特許文献4】US2002041952号
【特許文献5】国際出願番号WO2006067131号
【特許文献6】WO2006067127号
【特許文献7】WO2005061385号
【特許文献8】WO2004050377号
【特許文献9】WO9722670号
【特許文献10】カナダ出願番号CA2285792号
【特許文献11】米国特許番号7,015,270号
【特許文献12】米国特許番号6,808,769号
【特許文献13】米国特許番号6,840,992号
【特許文献14】米国特許番号6,680,109号
【特許文献15】米国特許番号5,827,363号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷画像を受け取ることに受容力がある下地を生じる特徴を有する下地の提供。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの観点において、被覆量約0.8g(塗料)/m2未満で存在する金属酸化物を含む塗料で被覆された下地を含有する被覆された下地が、提供される。
【0006】
別の観点において、金属酸化物を含む塗料で被覆された下地を含有する被覆された下地が提供され、60°で鏡面光沢約15%未満を有する該塗料が、提供される。
【0007】
他の観点において、それらの上に印刷された1つ以上の画像で被覆された下地を含有する記録媒体も提供される。
【0008】
別の観点において、金属酸化物を含有する塗料組成物を紙に適用することによって、60°で鏡面光沢約15%未満を有する被覆された紙の製造方法を提供する。前記の被覆された紙は、被覆量約5g(塗料)/m2(紙)未満で、かつサイズプレスを使用して適切に適用されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明を記載している記載内容において(特に続く特許請求の範囲の記載内容において)、"a"及び"an"及び"the"という用語、並びに同様の参照の使用は、本明細書において特に指示されない限り、又は記載内容によって明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形との双方を含むために解釈されるべきである。"含有する(comprising)"、"有する(having)"、"含む(including)"、及び"含む(containing)"という用語は、言及されない限り、制限されない用語(すなわち、"制限されない限り含む"を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の詳説は、本明細書において特に指示されない限り、個々に範囲内で低下するそれぞれの別々の値を言及する省略法として機能することを単に意図し、かつそれぞれの別々の値は、個々に本明細書において列挙されるかのように明細書中に取り入れられる。本明細書において記載される全ての方法は、本明細書において特に指示されない限り、又は本記載内容によって明らかに矛盾しない限り、あらゆる好適な指示で実施されうる。本明細書において提供されるあらゆる及び全ての例、又は例示的な言語(例えば"のような")の使用は、単に本発明をより良く解明することを意図し、かつ請求されない限り、本発明の範囲に対する制限をもたらさない。本明細書における言語は、本発明の実施に不可欠である、あらゆる請求されていない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0010】
本発明の好ましい実施態様は、本明細書において記載されており、本発明を実施するための発明者に公知の最良の方法を含む。前記の好ましい実施態様の変法は、前記の記述を読むことで当業者に明らかになってよい。本発明は、適宜かかる変法を実施することを当業者に求め、かつ本発明は、特に本明細書において記載されている以外に別の方法で本発明のために実施されることを意図する。従って、本発明は、該当する規則によって可能にさせるような本明細書に附随する特許請求の範囲において挙げられた内容の全ての修正及び同等物を含む。さらに、それらの全ての可能な変法における前記要素のあらゆる組合せは、本明細書において指示されない限り、又は本記載内容によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0011】
本明細書において挙げられるあらゆる数値的範囲は、低い値から高い値までの全ての値を含むことも理解される。例えば、濃度範囲が、1%〜50%として指定される場合に、2%〜40%、10%〜30%、又は1%〜3%等のような値が、本明細書において明確に列挙されることを意図する。特に意図されるものの例のみがあり、かつ列挙される最低値と最高値との間の数値的値の全ての可能な組合せは、本明細書において明確に指定されることを考慮すべきである。
【0012】
特に指示されない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件等を表す全ての数は、"約"という用語によって全ての場合において改変されるとして理解されるべきである。従って、反対に指示されない限り、続く明細書及び添付の特許請求の範囲において示す数値的パラメータは、本発明によって得ようとされる所望の特性に依存して変動してよい近似値である。少なくとも、及び本明細書の特許請求の範囲と同等の原則の適用を制限する試みではなく、それぞれの数値的パラメータが、繰り返される有効数字の数を考えて、及び通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0013】
数値的範囲及び前記の本発明の広い範囲を示しているパラメータが近似であるにもかかわらず、特定の例において示す数値的範囲は、できるだけ正確に繰り返される。しかしながらあらゆる数値的範囲は、それぞれの試験測定において見出された標準偏差から必然的に得られる確実な誤差を本質的に含む。
【0014】
一つの観点において、本発明は、金属酸化物、バインダー、並びに場合により該バインダーのための媒染剤及び架橋剤を含有する塗料組成物で被覆された下地を提供する。該下地は、紙、例えば日用紙であってよい。前記塗料組成物は、ヒュームド金属酸化物又はコロイド金属酸化物、例えばヒュームドシリカ、コロイドシリカ、ヒュームドアルミナ又はそれらの組合せ物、バインダー、例えばポリビニルアルコール、並びに場合によりバインダーのための媒染剤、例えばポリDADMAC、及び架橋剤、例えばグリオキシルを含んでよい。該下地は、被覆量が、下地1m2につき、塗料組成物の約5g未満、約2g未満、約1g未満、約0.8g未満、約0.5g未満、又は約0.1g未満であるように被覆されてよい。該下地は、下地1m2につき、金属酸化物の約4g未満、約1g未満、約0.5g未満、約0.2g未満、約0.1g未満、又は約0.05g未満があるように被覆されてよい。被覆された下地は、非光沢であってよく、例えば60°で約10%未満の鏡面光沢を有する。
【0015】
他の観点において、本発明は、金属酸化物、より詳述すれば、ヒュームド金属酸化物、コロイド金属酸化物、又はそれらの組合せ物を含有する塗料組成物で被覆された下地を提供する。本発明による金属酸化物は、制限されない限り、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、又はそれらの組合せ物を有する。金属酸化物及び非金属酸化物の源に対しては制限されない。例えば、火炎加水分解によって製造された金属酸化物、例えば二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムが、好適に使用されてよい。該金属酸化物は、少なくとも1つのヒュームドシリカ粒子、ヒュームドアルミナ粒子、及びそれらの組合せ物を含有してよい。前記組成物は、さらに、該粒子のための分散媒体、例えば水、バインダー、又はそれらの組合せ物を含有してよい。該組成物は、下地を被覆して、該下地の印刷特性を高めるために使用されてよい。印刷例は、制限されない限り、インクジェット印刷、レーザー印刷、複写印刷、高速度デジタル印刷、液体トナーを使用する印刷機、グラビア印刷、フレキソ印刷、平板捺染及び感熱印刷を含んでよい。好適な感熱印刷は、変動する情報、例えばバーコードを印刷するために使用されてよく、カラー又は白黒であってよく、かつ固形又は相転移インクを使用してよい。本発明の塗料における金属酸化物の断熱性は、急速に乾燥する感熱印刷のインクもたらしてよい。
【0016】
ヒュームドシリカ粒子は、熱分解法によって製造されてよく、かつ化学組成物SiO2を有する。典型的に、ヒュームドシリカ粒子は、アグリゲート粒子が、液状媒体中で分散される時に一次粒子を破壊しない、比較的強い凝集力によって共に保持される小さな一次粒子の凝集物粒子である。アグリゲートヒュームドシリカ粒子は、比較的弱い凝集力によって共に保持される、大きなアグロメレート粒子を形成してもよい。アグロメレート粒子は、液状媒体中で分散される場合に、アグリゲート粒子に分解されてよい。本発明において使用するための好適なシリカ粒子は、サブミクロンの粒子サイズを有する。例えば、好適なシリカ粒子は、少なくとも約5nm、及びよりいっそう詳述すれば、少なくとも約25nm、少なくとも約50nm、少なくとも約65nm、少なくとも約80nm、少なくとも約90nm、又は少なくとも約95nmのアグリゲートの粒子サイズを有してよい。前記のアグリゲートの粒子サイズは、一般的に、約400nm未満、及びよりいっそう詳述すれば、約350nm未満、約300nm未満、約275nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、又は約125nm未満である。
【0017】
前記の塗料組成物は、ヒュームド金属酸化物又は同様のものを含む分散液を含有してよい。本発明における使用に好適な市販のヒュームドシリカは、制限されない限り、AERODISP(登録商標)(Degussa社)の商標下で販売されるものを含む。好適には、分散液中の該ヒュームド金属酸化物は、種々のヒュームド金属酸化物でドープされてよく、例えばヒュームドアルミナでドープされたヒュームドシリカであってよい。好適な分散液は、制限されない限り、AERODISP(登録商標)WK 341(カチオン化されたシリカ分散液)、VP Disp WK 7330(カチオン化されたヒュームド混合金属酸化物分散液−ヒュームドアルミナでドープされたヒュームドシリカ)、AERODISP(登録商標)WK 7520、AERODISP(登録商標)G 1220、AERODISP(登録商標)W1450、AERODISP(登録商標)W7215S、AERODISP(登録商標)W 1226、AERODISP(登録商標)W 1714、AERODISP(登録商標)W 1824、AERODISP(登録商標)W 1836、AERODISP(登録商標)W 630、AERODISP(登録商標)W440、VP DISP W7330N、VP DISP W740X、VP DISP 2730、VP DISP 2550、AERODISP(登録商標)W 7215 S、AERODISP(登録商標)W 7512 S、AERODISP(登録商標)W 7520、AERODISP(登録商標)W 7520 N、AERODISP(登録商標)W7520P、AERODISP(登録商標)W 7622、AERODISP(登録商標)WK 341、及びVP DISP W340;Cabot Corporation社から市販されているもの、例えばCAB−O−SPERSE(登録商標)PG 022、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 2012、CAB−O−SPERSE(登録商標)2012A、CAB−O−SPERSE(登録商標)2020K、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 2017、CAB−O−SPERSE(登録商標)2017A、CAB−O−SPERSE(登録商標)1030K、CAB−O−SPERSE(登録商標)K 2020、CAB−O−SPERSE(登録商標)2020K、CAB−O−SPERSE(登録商標)4012K、CAB−O−SPERSE(登録商標)PG 002、CAB−O−SPERSE(登録商標)PG 001、CAB−O−SPERSE(登録商標)1015A、CAB−O−SPERSE(登録商標)1020K、CAB−O−SPERSE(登録商標)GP 32/12、CAB−O−SPERSE(登録商標)GP 32/17、CAB−O−SPERSE(登録商標)GP 50、CAB−O−SPERSE(登録商標)MT 32/17、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 105、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 1095、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 205、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 1695、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 2095、CAB−O−SPERSE(登録商標)C 1030K、CAB−O−SPERSE(登録商標)C 1015 A、CAB−O−SPERSE(登録商標)K 4012、CAB−O−SPERSE(登録商標)P 1010、CAB−O−SPERSE(登録商標)II、CAB−O−SPERSE(登録商標)A 3875、CAB−O−SPERSE(登録商標)PG 001、CAB−O−SPERSE(登録商標)PG 002及びCAB−O−SPERSE(登録商標)CT 302C;並びにWacker Chemie AGから市販されているもの、例えばHDK(登録商標)XK20030、HDK(登録商標)A2012、HDK(登録商標)1515B、HDK(登録商標)2012B、HDK(登録商標)A3017及びHDK(登録商標)A3017B;並びにそれらの組合せ物を含む。
【0018】
好適な金属酸化物及び同様の物を含有する分散液は、米国特許出願番号US2006154994号、US20040106697号、US2003095905号、US2002041952号、国際出願番号WO2006067131号、WO2006067127号、WO2005061385号、WO2004050377号、WO9722670号、カナダ出願番号CA2285792号、及び米国特許番号7,015,270号、6,808,769号、6,840,992号、6,680,109号及び5,827,363号において開示されており、それぞれ、参照をもって完全に本明細書に開示されたものとする。
【0019】
他の好適な金属酸化物及び同様の物を含有する分散液は、制限されることなく、Akzo Nobel社/EKA Chemicals社から市販されているもの、例えばBINDZIL(登録商標)15/500、BINDZIL(登録商標)30/360、BINDZIL(登録商標)30/220、BINDZIL(登録商標)305、BINDZIL(登録商標)30NH2/220、BINDZIL(登録商標)40/220、BINDZIL(登録商標)40/170、BINDZIL(登録商標)30/80、BINDZIL(登録商標)CAT 80、BINDZIL(登録商標)F 45、BINDZIL(登録商標)50/80、NYACOL(登録商標)215、NYACOL(登録商標)830、NYACOL(登録商標)1430、NYACOL(登録商標)1440、NYACOL(登録商標)2034DI、NYACOL(登録商標)2040、NYACOL(登録商標)2040NH4及びNYACOL(登録商標)9950;H.C. Stark社/Bayer社から市販されているもの、例えばLEVASIL(登録商標)500/15%、LEVASIL(登録商標)300/30%、LEVASIL(登録商標)300F/30%、LEVASIL(登録商標)200E/20%、LEVASIL(登録商標)200S/30%、LEVASIL(登録商標)200A/30%、LEVASIL(登録商標)200/30%、LEVASIL(登録商標)200N/30%、LEVASIL(登録商標)200/40%、LEVASIL(登録商標)100/45%、LEVASIL(登録商標)100S/30%、LEVASIL(登録商標)100/30%、LEVASIL(登録商標)50 CK 30、LEVASIL(登録商標)4063、LEVASIL(登録商標)100S/45%、LEVASIL(登録商標)50/50%;Grace Davison社から市販されているもの、例えばLUDOX(登録商標)SM、LUDOX(登録商標)HS−30、LUDOX(登録商標)LS、LUDOX(登録商標)HS−40、LUDOX(登録商標)AM、LUDOX(登録商標)WP、LUDOX(登録商標)AS、LUDOX(登録商標)TM;Nalco Chemical社から市販されているもの、例えばNALCO(登録商標)1115、NALCO(登録商標)2326、NALCO(登録商標)6011、NALCO(登録商標)1130、NALCO(登録商標)1030、NALCO(登録商標)6010、NALCO(登録商標)1140、NALCO(登録商標)2325、NALCO(登録商標)2327、NALCO(登録商標)1060、NALCO(登録商標)1034、NALCO(登録商標)1129、NALCO(登録商標)1050、NALCO(登録商標)6009;Nissan Chemical Industries Ltd.から市販されているもの、例えばSNOWTEX(登録商標)20、SNOWTEX(登録商標)30、SNOWTEX(登録商標)C、SNOWTEX(登録商標)N、SNOWTEX(登録商標)O;並びにClariant社/Rodel社から市販されているもの、例えばKLEBOSOL(登録商標)30N25、KLEBOSOL(登録商標)30H25、KLEBOSOL(登録商標)30N50PHN、KLEBOSOL(登録商標)30N50、KLEBOSOL(登録商標)30H50、KLEBOSOL(登録商標)1501−50、KLEBOSOL(登録商標)1508−50、KLEBOSOL(登録商標)1498−50を含む。
本発明の塗料組成物は、あらゆるそれらの金属酸化物、金属酸化物を含有する分散液、又はそれらの組合せ物を含有してよい。
【0020】
ほとんどの金属酸化物粒子の表面積は、BET法として一般に呼称される、S.Brunauer、P.H.Emmet及びI.Tellerの、J.Am.Chemical Society、60、309(1938年)の方法によって決定されうる。本発明における使用のために好適なヒュームドシリカ粒子は、少なくとも約30m2/g、少なくとも約50m2/g、又は少なくとも約70m2/gのBET表面積を有してよい。該表面積は、適切には、約400m2/g未満、約350m2/g未満、又は325m2/g未満である。いくつかの実施態様において、ヒュームドシリカ粒子は、約90m2/g、約200m2/g、又は約300m2/gのBET表面積を有する。
【0021】
一実施態様において、前記金属酸化物は、バインダーと合されて組成物を形成する、及び/又は下地に適用される前に、水性分散液中で存在する。該水性分散液は、蒸留水又は脱イオン水を含有してよい。前記組成物は、水に加えて、多くの好適な水混和性液体、例えば1つ以上の水混和性アルコール(例えばメタノール、エタノール等)、又はケトン(例えばアセトン)も含有してよい。好適な塗料組成物は、少なくとも1つのバインダー及びヒュームドシリカ粒子を含有する水性分散液を含有する。
【0022】
本明細書において使用されるように、"バインダー"という用語は、金属酸化物と下地との密着性を容易に促進する化合物を言う。あらゆる好適なバインダーは、親水性官能基、例えばヒドロキシル及び/又はアミンを有する水で膨張可能なポリマーを含む本発明の組成物において使用されうる。好適には、該バインダーは、少なくとも1つのセルロース誘導体(例えばヒドロキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル)、カゼイン、ゼラチン、タンパク質、デンプン(例えば酸化デンプン、エステル化デンプン、又はデンプンの他の改質されたタイプ)、ビニルポリマー(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、スチレンブタジエン、及び誘導体)、アクリルポリマー(例えばポリメチルメタクリレート、アクリルポリマーの格子、例えばアクリレートエステル、スチレン−アクリル酸エステル)、ポリエステル、ポリカーボネートポリマー、ポリアミド、ポリイミド、エポキシポリマー、フェノールポリマー、ポリオレフィン、それらのポリウレタンコポリマー、及びそれらの混合物を含有する。
【0023】
一実施態様において、該バインダーは、主鎖又は側鎖上に第一級、第二級もしくは第三級アミノ基又は第三級アンモニウム基を有する、ポリビニルアルコール、部分的に又は完全に鹸化されたもしくはカチオン化されたポリビニルアルコールであってよい。前記ポリビニルアルコール同士の組合せ及びポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、シラン化ポリビニルアルコール、スチレン−アクリレートラテックス、スチレン−ブタジエンラテックス、メラミン樹脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン樹脂、合成樹脂、例えばポリメチルメタクリレート、ポリエステル樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂)、ポリアクリレート、改質デンプン、カゼイン、ゼラチン及び/又はセルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース)が、使用されてもよい。ポリビニルアルコール又はカチオン化されたポリビニルアルコールが、好適には使用されうる。
【0024】
前記組成物中のバインダーの好適な量は、使用される、特定のバインダーに、及び金属酸化物、例えばシリカのタイプ又は表面積に依存する。例えば、特定の適用のための組成物中のポリビニルアルコールの最適量は、その適用のための組成物中のポリビニルピロリドンの最適量とは異なってよい。バインダーの最適量は、金属酸化物又は金属酸化物の組合せ物の表面積で変動してもよい。
【0025】
前記組成物中の金属酸化物とバインダーとの比は、適用及び所望の結果に依存して変動されてもよい。好適には、金属酸化物とバインダーとの比は、少なくとも約0.25:1、少なくとも約1:1、少なくとも約1.5:1、少なくとも約2:1、少なくとも約2.5:1、又は少なくとも約3:1である。シリカとバインダーとの比は、典型的に、約100:1未満、約50:1未満、約25:1未満、約20:1未満、約15:1未満、約12:1未満、又は約10:1未満である。好適な顔料とバインダーとの比は、粒子と紙との粘着性を改良して、表面からの粒子の損失を防ぎ、かつ紙を切断してシートを形成する場合に、早期の刃の摩耗を低減する。
【0026】
一般的に、本発明の塗料組成物は、当業者に公知の技術を使用して下地の表面上に付着させることが可能であることを提供する、非常に低い〜非常に高い範囲の粘度を有する。当業者に公知のあらゆる好適な技術は、組成物の粘度を測定するために使用されてよい。例えば、粘度をブルックフィールドLVT粘度計を使用して測定してよい。好適には、前記粘度は、少なくとも約1センチポイズ、少なくとも約5センチポイズ、少なくとも約10センチポイズ、少なくとも15センチポイズ、少なくとも20センチポイズ、又は少なくとも約50センチポイズであってよい。該粘度は、約1000センチポイズ未満、約500センチポイズ未満、約350センチポイズ未満、約200センチポイズ未満、又は約150センチポイズ未満であってよい。サイズプレスを使用して塗料を適用する場合に、好適な粘度は、約20センチポイズ〜約200センチポイズであってよい。前記サイズプレスは、例えば、ロッド又はブレード付属装置を付加することによって改質されてもよく、かつ好適な粘度は、約20センチポイズ〜約500センチポイズであってよい。例えば100nm未満のより小さい金属酸化物粒子は、約20センチポイズ〜約500センチポイズの粘度を有する塗料において好適であってよい。
【0027】
該組成物は、種々の方法を使用して製造されうる。一実施態様において、該組成物は、水性分散液(例えば、ヒュームドシリカ粒子と水とを含有する水性分散液)と、少なくとも1つのバインダーとを合して塗料組成物を製造することによって製造されてよい。該分散液及びバインダーは、例えば、高速剪断混合機で混合することによって合されてよい。前記塗料組成物のpHは、あらゆる工程で、該組成物の製造中に、所望のpHに調整されうる。しかしながら、ある実施態様においては、pHの調整が要求されない。一実施態様において、該pHは、高速剪断混合を伴う場合に、分散液に対して直接調整される。該pHは、分散液をバインダーと混合した後に(すなわち塗料組成物の形成後に)、調整されてもよい。pHにおける調整は、通常、分散液が自然のpH範囲(6.5〜7.5)を達成するために、粘度の上昇を伴う。該pHは、あらゆる好適な方法を使用して、例えば酸(例えば鉱酸、酸性カチオン交換樹脂等)、又は塩基(例えばアルカリ金属水酸化物、塩基性アニオン交換樹脂等)の添加によって、調整されうる。前記塗料組成物は、酸性又はアルカリ性であってよい。好適には、該塗料組成物のpHは、約2.5〜約10.5のpH範囲の範囲内、例えば約2〜約6、又は約8〜約10.5のpH範囲になってよい。
【0028】
該塗料組成物は、さらに、1つ以上の添加剤、例えば、界面活性剤(例えばカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、例えば長鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩及び長鎖、好適には分枝鎖のアルキルスルホコハク酸エステル、非イオン界面活性剤、例えば長鎖の酸化ポリアルキレンエーテル、有利には分枝鎖アルキル基含有フェノール及び長鎖アルキルアルコールの酸化ポリアルキレンエーテル、並びにフッ化界面活性剤)、硬化剤(例えば活性ハロゲン化合物、ビニルスルホン化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物、アクリロイル化合物、イソシアネート化合物等)、増粘剤(例えばカルボキシメチルセルロース(CMC))、流動性改良剤、消泡剤(例えばオクチルアルコール、シリコーンを基礎とする消泡剤等)、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色剤(例えば染料又は顔料)、顔料分散剤、蛍光増白剤、漂白剤(例えば蛍光漂白剤)、防腐剤(例えばp−ヒドロキシベンゾエートエステル化合物、ベンゾイソチアゾロン化合物、イソチアゾロン化合物等)、殺虫剤、殺菌剤、黄変阻害剤(例えばナトリウムヒドロキシメタンスルホネート、ナトリウムp−トルエンスルホネート等)、紫外線吸収剤(例えば2位でヒドロキシ−ジアルキルフェニル基を有するベンゾトリアゾール化合物)、抗酸化剤(例えば立体ヒンダードフェノール化合物)、帯電防止剤、pH調節剤(例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸等)、耐水剤、湿潤補強剤、乾燥補強剤、並びに潤滑剤(ポリウレタンワックス、天然ワックス、例えばカルナバワックス、ステアリン酸カルシウム、脂肪酸及び脂肪酸の塩、パラフィン)も含有しうる。架橋剤、例えば酸化ジルコニウム、ホウ酸、メラミン樹脂、グリオキサール及びイソシアネート、並びにバインダー系の分子鎖と共に連結する他の分子は、本発明においても使用されうる。該架橋剤は、バインダー系の、及び従って塗料の耐水性を増強してよい。
【0029】
前記塗料組成物は、該組成物の耐水堅牢性を高めてよい媒染剤、例えばカチオンポリマーも含んでよい。カチオンポリマーは、少なくとも1つの第四級アンモニウム基、ホスホニウム基、第一級、第二級もしくは第三級アミン基の酸付加物、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミンもしくはポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミド縮合物、ジシアンジアミド−ポリアミン共縮合物又はポリアミド−ホルムアルデヒド縮合物を有するポリマーを含む。多くのポリマー及び塩のカチオンの第四級化(NH4+)の官能性は、通常インクジェットインクにおいて使用されるアニオン染料の結合を容易にしてよい。好適な媒染剤は、制限されることなく、ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリアミン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)(ポリDADMAC)、又はポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)溶液(水でのポリDADMAC溶液)、及びそれらの混合物を含む。
【0030】
ジアリルアンモニウム化合物から誘導する該媒染剤、特に、ジアリルアミン化合物のラジカル環化反応によって得ることができ、かつ構造1または2を示す、ジアルキルジアリル化合物から誘導する該媒染剤が、好適に使用されうる。構造3及び4は、ジアルキルジアリル化合物から誘導するコポリマーを示す。R1及びR2は、ハロゲン原子、1〜4個のC原子を有するアルキル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基又はtert−ブチル基を示し、その際R1及びR2は、同様又は異なってよい。アルキル基からの水素原子は、ヒドロキシル基で置換されてもよい。Yは、ラジカル重合可能なモノマー単位、たとえばスルホニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸を示す。X-は、アニオンを示す。
【化1】

【0031】
加えて、着色剤、例えば顔料又は染料が、前記塗料組成物に添加されてよい。前記の顔料又は染料は、下地に適用される場合に前記組成物の白さ又は色を高めてよい。好適な顔料は、粘土(標準の品種、焼成させた品種、脱アミン化させた品種、化学的に構造化させた品種、複合材料/特殊な品種)、二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)、炭酸カルシウム(土壌、沈殿物)、アルミナ三水和物、ケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム、プラスチック顔料(例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン)、シリカ(例えばコロイドシリカ、沈降シリカ、シリカゲル、挙げられたシリカ化合物のカチオン化改良種)、アルミニウム化合物(例えばアルミニウムゾル、コロイド酸化アルミニウム及びそれらのヒドロキシル化合物、例えば擬ベーマイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、カオリン、粘土、タルク、硫酸カルシウム、炭酸亜鉛、白色染色液、リトポン、ゼオライトを含む。炭酸カルシウム、アルミナ三水和物及びケイ酸ナトリウムは、下地上を被覆する場合に、前記組成物のインクジェット性能を高めてもよい。該組成物中のシリカ、例えばヒュームドシリカの存在は、それら付加的な顔料のアグロメレーション量を有利に低減してよい。
【0032】
本発明は、さらに、本明細書において記載されている、下地の少なくとも一部に適用される塗料組成物で被覆された下地を含む記録媒体を提供する。本明細書において使用される、"被覆された紙"、"被覆された下地"又は"被覆された記録媒体"は、本明細書において示す塗料組成物で被覆されているものである。該下地は、印刷装置と相容性のある好適な紙である。本明細書において使用される、"紙"という用語は、制限されることなく、紙、板紙及び厚紙を含む。好適な紙は、日用紙を含む。本明細書において使用される、"日用紙"は、35〜400g/m2の質量、並びに白い場合に、少なくとも約84%、少なくとも約86%、少なくとも約88%又は少なくとも約90%、及び約100%未満、約99%未満、約98%未満、約97%未満又は約96%未満のGE輝度を有する紙である。輝度は、紙の表面から反射された光量の測度である。本明細書において使用されている日用紙は少なくとも約0秒、少なくとも約5秒、少なくとも約10秒、少なくとも約20秒、少なくとも約30秒、少なくとも約40秒、又は少なくとも約50秒、及び約500秒未満、約400秒未満、約300秒未満、約250秒未満、又は約200秒未満の、紙がどれくらい水をよく弾くかという測度であるヘラクレスサイズ試験(HST)値を有する。本明細書において使用される日用紙は、光沢のある写真品質及びインクジェット印刷機のために設計された典型的な安価な市販の日用紙は、白く、かつ質量24lb/1300ft2(90g/m2)であってよい。レーザー印刷機又は複写印刷機における使用のために設計された日用紙は、本発明における使用に好適であってもよい。好適な日用紙の例は、制限されることなく、白紙、例えばKodak Bright White Inkjet Paper、Hewlett−Packard Bright White Paper、Hammermill Ultra Premium Inkjet Paper、及びStaples Printing Paper−Bright Whiteを含む。
【0033】
下地に適用される塗料は、好適には、下地に対して、非光沢もしくは無光沢の表面、又は仕上げ塗を生じてよい。被覆された記録媒体の仕上げ塗又は表面に関して、本明細書において使用される"非光沢"とは、60°での鏡面光沢約10%未満を意味する。好適には、被覆された記録媒体の60°での鏡面光沢は、約15%未満、約13.5%未満、約12%未満、約10%未満、約7.5%未満、又は約5%未満であってよい。好適には、被覆された記録媒体の75°での鏡面光沢は、約15%未満、約13.5%未満、約12%未満、約10%未満、約7.5%未満、又は約5%未満であってよい。被覆された記録媒体の仕上げ塗又は表面に関して、本明細書において使用される"非光沢"は、75°での鏡面光沢約10%未満を意味する。被覆された紙の鏡面光沢は、該紙をカレンダー加工することによって増強させてよい。
【0034】
本明細書において記載されている記録媒体は、(a)下地を提供すること;(b)本明細書において記載されている組成物で下地の少なくとも一部を被覆して、被覆された下地を提供すること;及び(c)場合により、下地上の組成物を乾燥することを含む方法によって製造されうる。さらに、該組成物は、下地に繰り返し適用されて、所望の厚さで被覆を有する記録媒体を提供してよい。
【0035】
あらゆる好適な方法は、直接又は間接的に、該組成物で下地の一部を被覆するために使用されうる。好適な方法は、制限されることなく、ロールコーティング、ブレードコーティング、エア−ナイフコーティング、ロッドコーティング(例えばMeyer rod等を使用する)、バーコーティング、キャストコーティング、ゲートロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、ショート−ドエル(short−dowel)コーティング、スライドホッパー(slide hopper)コーティング、カーテンコーティング、フレキソ印刷コーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、ディップコーティング、カレンダー加工操作における水箱を使用して機械の電源を入れる又は切る方法におけるサイズプレスコーティング、及びダイコーティングを含む。紙の製造中に、抄紙機のサイズプレス部分を使用して被覆するような方法が、特に好適であってよい。下地に適用される塗料組成物は、あらゆる好適な厚さ又は量であってよい。該塗料組成物は、好適には、下地1m2毎に、少なくとも約0.02g、少なくとも約0.04g、少なくとも約0.05g、少なくとも約0.06g、少なくとも約0.08g、少なくとも約0.1g、少なくとも約0.5g、少なくとも約1g、少なくとも約2g、少なくとも約3g、少なくとも約4g、少なくとも約5g、少なくとも約6g、又は少なくとも約7gの塗料を提供するために適用される。該塗料は、好適には、下地1m2毎に、約30g未満、約25g未満、約20g未満、約15g未満、約10g未満、約8g未満、約5g未満、約3g未満、約2g未満、約1g未満、約0.8g未満、約0.6g未満、約0.5g未満、約0.4g未満、約0.3g未満、約0.2g未満、又は約0.1g未満の塗料を提供するために適用されてよい。下地1m2毎に金属酸化物を含む塗料の量を、 "被覆量"として本明細書において言う。
【0036】
該塗料組成物は、下地1m2毎に、少なくとも約0.01g、少なくとも約0.02g、少なくとも約0.03g、少なくとも約0.04g、少なくとも約0.05g、少なくとも約0.1g、少なくとも約0.3g、少なくとも約0.5g、少なくとも約0.8g、少なくとも約1g、少なくとも約1.5g、又は少なくとも約2gの金属酸化物を提供するために適用されてよい。該塗料は、好適には、下地m2毎に、約25g未満、約20g未満、約15g未満、約10g未満、約5g未満、約3g未満、約2g未満、約1g未満、約0.8g未満、約0.5g未満、約0.3g未満、約0.2g未満、約0.1g未満、約0.05g未満、約0.04g未満、約0.03g未満、又は約0.02g未満の金属酸化物を提供するために適用されてよい。
【0037】
本発明によると、驚くべきことに及び意外なことに、比較的少量、例えば約0.8g/m2未満で、又はよりいっそう詳述すれば0.05〜0.5g/m2で、下地、例えば紙へ本発明の塗料組成物を提供することが、よりよい品質の画像でその表面上に印刷されたインクに対して改良された受容力を示す紙を生じることが、見出された。本発明によると、驚くべきことに、本発明の塗料が、下地、例えば紙に、サイズプレスで好適に適用されうることも見出された。好適には、前記サイズプレスは、可動紙ウェブが、2つ以上の回転ロール、例えばスチールロールのニップ間を圧縮してよい抄紙機を有する"直列式"である。該ロールの圧力(例えば水圧)及び温度は、好適には、塗料が含浸すること、又は紙の表面近くに残ることを可能にする。好適なサイズプレスは、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールサイズプレス又はブレードメタリングサイズプレスを含む。下地の製造過程中に、本発明の塗料組成物を下地に適用する、他の"直結の"好適な方法は、ディップコーティング、カレンダースタックの水箱での適用、及び噴霧装置を含む。
【0038】
本発明の塗料組成物は、好適には、カレンダー加工工程の前に、下地、例えば紙の製造中に、適用されてよい。紙の製造中に、カレンダー加工工程は、紙の繊維、例えばセルロース繊維を圧縮してよい。この工程は、紙の空隙率を減少することによってインクを吸収する紙の性能を低減してよい。しかしながら、本発明の塗料組成物において使用される金属酸化物は、カレンダー加工工程中に圧縮されず、その結果それらの空隙率を維持してよい。あらゆる特定の理論に束縛されない一方で、カレンダー加工工程中の金属酸化物の空隙率の維持は、カレンダー加工工程前に被覆された紙の優れたインク吸収性、及び被覆された紙上に印刷された画像の画質に寄与してよい。
【0039】
サイズプレスで取り込まれる場合に、製造欠陥、例えば表面引っ掻き傷、又は加工欠陥、例えばニップでの被覆拒否を導入してよい大きい粒子サイズを有する顔料と対照的に、かつ粒子構造を圧縮せずにインク吸収を増加する顔料と対照的に、本発明によると、驚くべきことに、抄紙機のサイズプレスでの金属酸化物含有塗料の適用が、種々の印刷機及び液体インクを使用して、実質的に殆ど又は全く製造欠陥を有さない、紙上の優れたインク吸収を可能にすることが発見された。あらゆる特定の理論によって束縛されない一方で、金属酸化物の小さい粒子サイズ及び狭い分布は、実質的に殆ど又は全く製造欠陥の導入を有さないサイズプレスでのそれの適用を考慮すると推定される。前記の小さい粒子サイズは、サイズプレスに対して塗料の配合物中でそれら化合物のより高い濃度の使用を可能にして、高い被覆量を得てもよい。ヒュームド金属酸化物の構造は、インクの吸収を改良してもよい。本発明の方法は、優れた画像を提供する印刷産業において見出される又は該印刷産業によって使用される幅広い種類のインクを受け入れることができる印刷紙を経済的に提供する紙の製造を可能にしてよい。
【0040】
被覆された下地は、その後、ヒュームド金属酸化物塗料がインクジェット印刷のために提供する吸収性をさらに高める及び相補する同一の又は異なる塗料で再度被覆されうる。該塗料は、例えば、紙製造機械から非直結で適用されてよい。適用の好適な方法は、制限されることなく、ロールコーティング、ブレードコーティング、エア−ナイフコーティング、ロッドコーティング(例えばMeyer rod等を使用する)、バーコーティング、キャストコーティング、ゲートロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、ショート−ドエルコーティング、スライドホッパーコーティング、カーテンコーティング、フレキソ印刷コーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、ディップコーティング、カレンダー加工操作における水箱を使用して機械の電源を入れる又は切る方法におけるサイズプレスコーティング、及びダイコーティングを含む。
【0041】
下地への塗料組成物の適用後に、被覆された下地は、好適には、あらゆる好適な方法、又は方法の組合せを使用して乾燥し、記録媒体を提供してよい。好適な乾燥法は、制限されることなく、空気又は対流乾燥(例えば直線トンネル乾燥、アーク乾燥、空気−ループ乾燥、サインカーブ空気浮遊乾燥等)、接触又は伝導乾燥、及び放射エネルギー乾燥(例えば赤外線乾燥及びマイクロ波乾燥)を含む。
【0042】
前記塗料組成物が、紙製造機のサイズプレス部分を使用して紙に適用する場合に、好適には、紙は、その後カレンダースタックを受けてよい。該カレンダースタックは、好適には、圧力、湿分及び熱を使用して紙ウェブの密度を増加し、かつ平滑度及びより均一な厚さを紙に付与してよい。紙の平滑度並びに均一な厚さ及び密度は、制限されることなく、印刷された画像の斑点及びきめの性質の増強を別法でもたらしてよい、印刷過程での有益な効果、例えばインク吸収速度の改良、及び局部的な範囲における容量、並びに不均一なインク吸収量を低減することを含むあらゆる理由のために有利であってよい。しかしながら、被覆されていない下地において、カレンダースタックは、下地を圧縮してもよく、かつ下地のインク吸収性、容量及び速度を低減する。
【0043】
本発明によると、カレンダー加工工程は、ヒュームド金属酸化物層の吸収性に対して最小の影響を有することが発見されている。従って、ヒュームド金属酸化物層の存在は、別法でカレンダー加工工程中に失ってよい吸収の利益の維持を可能にする。ヒュームド金属酸化物含有量及びカレンダー加工変数の操作は、被覆された下地のインク吸収性又は空隙率の操作を可能にする。
【0044】
画像は、直接又は間接的に、本発明の記録媒体上に、フレキソ印刷、回転印刷、リソグラフィー、オフセット印刷、凹版(グラビア)、凸版、サーモグラフィー、電子写真、及び高速デジタル(例えば、XEIKON(登録商標)印刷機、VERSAMARK(登録商標)印刷機、又はINDIGO(登録商標)印刷機を使用する)の技術を含む、1つ以上の種々の印刷技術を使用して印刷されてよい。
【0045】
該記録媒体は、好適には、カラーレーザー印刷機又は複写機において使用されてよい。かかる適用のために、該記録媒体の塗料は、好適には、カチオン材料、例えばAERODISP(登録商標)WK 341(カチオン化させたアルミナドープシリカ分散液)、VP Disp WK 7330(カチオン化させた混合金属酸化物分散液)又はW 630(アルミナ分散液)を含有してよい。
【0046】
該記録媒体は、特に、インクジェット印刷機から画像を受けることに適している。金属酸化物は、着色剤相からインクの液相を分離してよく、該着色剤が、急速に記録媒体上で固定されて、高い画像解像度、早いインク乾燥時間、鮮やかな色、耐水堅牢性、又はそれらの組合せをもたらす。
【0047】
本発明の塗料組成物を含有する記録媒体上でのインクジェット印刷機を使用して作成された画像は、本発明の組成物で被覆されていない下地と比較して、より明るく、よりはっきりとしており、かつより高い解像度を有する。
【0048】
該塗料組成物は、被覆された下地上に印刷された画像のウィック(wick)及びブリード(bleed)を改良してもよい。ウィック及びブリードは、公知の厚さ(例えば280μm)で印刷された線の特性を測定することによって評価される。ウィックは、紙上の該線の測定値である。ブリードは、他の色の四角内に含まれる該線の測定値である。前記塗料組成物は、下地上に印刷された画像のウィックを、被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%だけ改良してよい。前記塗料組成物は、下地上に印刷された画像のブリードを、被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%だけ改良してもよい。被覆された下地上にインクジェット印刷されたインクは、被覆されていない下地上に被覆されたインクと比較して、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約15ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約25ミクロン、少なくとも約30ミクロン、少なくとも約40ミクロン、又は少なくとも約50ミクロンのインクのブリーディング及びウィッキングの低減を示してよい。
【0049】
本発明の塗料組成物で被覆された下地上にインクジェット印刷されたインクは、相当する被覆されていない下地上に印刷されたインクと比較して、被覆された表面上へのインクジェット印刷された線の不規則さにおける改良を示してよい。不規則さは、理想の位置からの線の端の幾何学歪の測度である。不規則さの量は、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約3ミクロン、少なくとも約4ミクロン、少なくとも約5ミクロン、又は少なくとも約6ミクロンだけ低減されてよい。
【0050】
本発明の塗料組成物は、下地の色域を改良してもよい。下地の色域は、確かな条件の設定下で正確に表されうる色数である。本発明の組成物は、下地の色域を、相当する被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、又は少なくとも約40%だけ改良してよい。
【0051】
吸光度(OD)は、それぞれの原色が反射する光であり、濃度計によって測定される。該ODは、紙のタイプ、例えば明度、平滑度、光沢度、不透明度及び着色剤が、例えば表面に、又は紙の物体中に位置する場所に影響される。本発明の組成物は、下地上へ印刷された画像のODを、相当する被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、又は少なくとも約25%だけ改良されてよい。
【0052】
斑点は、250μmを超える尺度に対して低い空間周波数(粗い尺度のノイズ)で生じる大規模な不均一さの測度である。本発明の組成物は、下地上へ印刷された画像の斑点を、相当する被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、又は少なくとも約30%だけ改良されてよい。
【0053】
粒状性は、250μm未満である尺度に対して高い空間周波数(細かい尺度のノイズ)で生じる吸光度の不均一さである。本発明の組成物は、下地上に印刷された画像の粒状性を、被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約40%、又は少なくとも約60%だけ改良してよい。
【0054】
ぼやけ度(blurriness)は、境界と線との間の遷移域の広さに対応する。低い値は、よりよい画像に関係する。本発明の組成物は、下地上に印刷された画像のぼやけ度を、被覆されていない下地と比較した場合に、少なくとも約15%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、少なくとも約22%、少なくとも約25%、少なくとも約27%、又は少なくとも約30%だけ改良してよい。
【0055】
耐水堅牢性は、"浸漬法"を使用して本明細書において測定された、相対的な用語である。この方法において、蒸留水250μLが、定常流で、厚さ4mmである色の塊上で適用される。そのODは、水の適用及び割合が得られる前に並びに後に測定される。0%の値は、水にさらされた後でのインクの完全な維持を示す。本発明の組成物で被覆された下地上に印刷された画像の耐水堅牢性は、好適には、約10%未満、約8%未満、約5%未満、約3%未満、又は約2%未満である。
【0056】
乾燥時間は、印刷機から出てすぐに他の"吸い取り"紙に移されたインクの量を評価することによって本発明において測定された、相対的な用語である。本発明の組成物で被覆された下地は、好適には、瞬間乾燥時間をもたらし、下地の乾燥時間を増加せず、かつおそらく乾燥時間を改良する。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであって、あらゆる方法で本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではない。特に指示されない限り、本発明において使用されるインクは、本発明において使用される印刷機と共に販売されている。
【0058】
実施例1
アルカリ性ヒュームドシリカ(粒子サイズ120nm)分散液を含有する組成物
AERODISP(登録商標)W 7520(AEROSIL(登録商標)200(粒子サイズ120nm及び表面積200m2/gを有するヒュームドシリカ)の低粘度で、わずかにアルカリ性である水性分散液)を、Celanese Limitedから市販されているCELVOL(登録商標)523(ポリビニルアルコール)と、高剪断ブレードを有するVMA−Getzmann GMBHから市販されているDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、合した。AERODISP(登録商標)及びCELVOL(登録商標)523の割合を、組成物におけるヒュームドシリカとポリビニルアルコールとの質量比が、2.5:1、3.6:1、5:1又は10:1であるように選択した。
【0059】
実施例2
酸性ヒュームド混合金属酸化物(粒子サイズ180nm)分散液を含有する組成物
VP Disp WK 7330(ヒュームド混合金属酸化物のわずかに酸性で、カチオンの水性分散液)を、CELVOL(登録商標)523(ポリビニルアルコール)と、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって合した。AERODISP(登録商標)及びCELVOL(登録商標)523の割合を、組成物におけるヒュームドシリカとポリビニルアルコールとの質量比が、10:1であるように選択した。
【0060】
得られた分散液の一部を、Indulor Chemie GMBHから市販されているからカチオンポリマーのInduquat 35L(ポリDADMAC)と合した。VP Disp WK 7330分散液に対するInduquat 35Lの割合は、100部(乾燥質量)のVP Disp WK 7330毎に15、30、45又は60部のInduquat 35Lであった。酸性及びカチオンのVP Disp WK 7330分散液は、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、塗料配合物中へポリDADMACを簡単に取り込むことを可能にした。
【0061】
実施例3
ポリビニルアルコール架橋剤及び酸性ヒュームドシリカ分散液を含有する組成物
組成物を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、CELVOL(登録商標)523(ポリビニルアルコール)と水とを合することによって製造した。Clariant Corporationから市販されている、ポリビニルアルコール(PVOH)のための架橋剤である、グリオキサール(Cartabond TSI)を、PVOHの水溶性を低減するために添加した。グリオキシルを、ポリビニルアルコール100部毎に5、10又は15部(乾燥質量)で添加し、そして該組成物を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、混合した。
【0062】
得られた組成物の一部を、VP Disp WK 7330(ヒュームド混合金属酸化物のわずかに酸性で、カチオンの水性分散液)と、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、合した。
【0063】
実施例4
実施例1〜3の塗料の標準事務用紙への適用
適切なMayer(巻線)ロッドを使用して、実施例1〜3の塗料を、紙の下地上にもたらした。該塗料を、触って乾燥するまで工業用のヘアドライヤーで乾燥した。そのシートを、完全に乾燥するまで乾燥ドラムに置いた。
【0064】
実施例5
家庭用及び事務用印刷のための市販の汎用紙上で印刷された画像
EPSON又はHewlett Packardから市販されているインク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard Photosmart 8250印刷機を使用して、標準の事務用汎用紙上にインクジェット印刷した。使用した紙は、Kodak Bright White InkJet Paper(24lb)、Hewlett−Packard Bright White Paper(24lb)、Hammermill Ultra Premium InkJet Paper(24lb)、Staples Printing Paper−Bright White(24lb)、及びGeorgia Pacific Spectrum DP(20lb)であった。
【0065】
色域、ウィック、ウィックぼけ、ウィックの不規則さ、正の線のぶれ(positive line deviation)又は負の線のぶれ(negative line deviation)、ブリード、ブリードぼけ、ブリードの不規則さ、並びに滲んだ線幅のぶれを、それぞれの印刷機でそれぞれの紙上に印刷した画像について測定した。結果を表1に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【0066】
実施例6
実施例1の組成物の標準事務用紙(Georgia Pacific Spectrum DP(20lb))への適用
20lb Georgia Pacific Spectrum DPは、一般の事務印刷のために設計された汎用紙である。実施例1の塗料組成物を、2.5:1、3.6:1、5.0:1及び10.1:1の4つの異なる顔料とバインダーとの比で、被覆量をそれぞれおよそ一定に保ちながら、20lbのGeorgia Pacific Spectrum DPに適用した。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表2において要約する。
【表2】

【0067】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下で、Epson Stylus Photo R200印刷機を使用して、表2によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表3で要約した。
【表3】

【0068】
実施例1の組成物を、10.0:1の顔料とバインダーとの比で、3つの異なる被覆量で、20lbのGeorgia Pacific Spectrum DPにも適用した。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表4において要約する。
【表4】

【0069】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下で、Epson Stylus PhotoR200印刷機を使用して、表4によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表5で要約した。
【表5】

【0070】
実施例7
実施例2の組成物の標準事務用紙(Georgia Pacific Spectrum DP(20lb))への適用
100部(乾燥質量)のVP Disp WK 7330毎に60部のInduquat 35Lの割合で、VP Disp WK 7330、CELVOL(登録商標)523及びInduquat 35L(ポリDADMAC)を含有する、実施例2の塗料組成物を、4つの異なる被覆量で、20lbのGeorgia Pacific Spectrum DPに適用した。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表6において要約する。
【表6】

【0071】
Epson又はHewlett Packardから市販されているインク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard PhotoSmart 8250印刷機を使用して、表6によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表7及び表8で要約した。
【表7】

【表8】

【0072】
実施例8
酸性のヒュームドシリカ分散液、バインダー、ポリDADMAC、及び泡調整剤を含有する組成物
VP Disp WK 7330(ヒュームド混合金属酸化物のわずかに酸性で、カチオンの水性分散液)を、CELVOL(登録商標)523(ポリビニルアルコール)と、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって合した。種々の組成物を製造し、その際、AERODISP(登録商標)及びCELVOL(登録商標)523の割合を、組成物中のヒュームドシリカとポリビニルアルコールとの被覆量(g/m2)の比が、0.7:1、1.0:1、1.2:1、1.6:1、1.8:1、2.6:1、4.2:1及び5.8:1であるように選択した。
【0073】
それぞれの得られた分散液の一部を、BASFから市販されているカチオンポリマーCATIOFAST CS (ポリDADMAC)と合した。VP Disp WK 7330分散液に対するCATIOFAST CSの割合は、100部(乾燥質量)毎に2.4部であった。酸性及びカチオンのVP Disp WK 7330分散液は、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、塗料配合物中へポリDADMACの簡単な取り込みを可能にした。Air Products社から市販されている泡調整剤のDYNOL 604を、VP Disp WK 7330分散液100部(乾燥質量)毎に0.1部でそれぞれの組成物に添加した。
【0074】
実施例9
擬似サイズプレス処理を使用する、実施例8の組成物の標準事務用紙(Georgia−Pacific Spectrum DP Paper)への適用
実施例8の組成物を、Georgia−Pacific Spectrum DP Paperへ擬似カレンダー加工法を使用して適用した。2セットの紙を、0.33%(固形)で、塗料で処理した。ロッド番号5、10及び15を、幅広い被覆量を得るために使用した。そして1つのセットの紙を、ニップ圧19bar及びロール温度58℃で、2回、1組の鋼ロールを通して圧縮して、カレンダー加工法を模擬実験した。他方のセットは、擬似カレンダー加工処理しなかった。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表9において要約する。
【表9】

【0075】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下で、Epson Stylus Photo R200印刷機を使用して、表4によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表10で示した。
【表10】

【0076】
実施例10
擬似サイズプレス処理を使用する実施例2の組成物の標準事務用紙(24# Staples Printing Paper)への適用
Induquat 35LとVP Disp WK 7330との種々の比で、VP Disp WK 7330、CELVOL(登録商標)523及びInduquat 35L(ポリDADMAC)を含む、実施例2の塗料組成物を、低い被覆量の設定(0.68、0.73、0.87、0.70及び1.05g/m2、平均0.81g/m2)及び高い被覆量の設定(1.90、1.50、1.43、1.63及び1.77g/m2、平均1.65g/m2)で、Staples社から市販されている24# Staples Printing Paperに適用した。低い被覆量の設定のための紙を被覆するために使用した塗料組成物、特性、及び方法を、表11に要約する。
【表11】

【0077】
Epson又はHewlett Packardから市販されているインク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard PhotoSmart 8250印刷機を使用して、表11によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表12及び表13で要約した。
【表12】

【表13】

【0078】
高い被覆量の設定のための紙を被覆するために使用した塗料組成物、特性、及び方法を、表14に要約する。
【表14】

【0079】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard PhotoSmart 8250印刷機を使用して、表14によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表15及び表16で要約した。
【表15】

【表16】

【0080】
実施例11
実施例8の組成物のインクジェット紙(Hammermill Ultra Premium Ink Jet Paper)への適用
実施例8の組成物を、Hammermill Ultra Premium Ink Jet Paperに種々の被覆量で適用した。塗料を、5番のロッドを使用して紙に適用した。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表17において要約する。
【表17】

【0081】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、表4によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表18で示した。
【表18】

【0082】
実施例12
バインダーに対する顔料の比10を使用して実施例3の組成物の標準事務用紙(Staples 24# Printing Paper)への適用
種々のポリビニルアルコールに対するグリオキサールの比でVP Disp WK 7330、CELVOL(登録商標)523及びグリオキシルを含有する実施例3の塗料組成物を、被覆量約1.0g/m2でStaples 24# Printing Paperに適用した。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表19において要約する。
【表19】

【0083】
Epson又はHewlett Packardから市販されているインク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard PhotoSmart 8250印刷機を使用して、表19によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表20及び表21で要約した。
【表20】

【表21】

【0084】
実施例13
種々のバインダーに対する顔料の比を使用して実施例3の組成物の標準事務用紙(Staples 24# Printing Paper)への適用
種々のポリビニルアルコールに対するグリオキサールの比でVP Disp WK 7330、CELVOL(登録商標)523及びグリオキシルを含有する実施例3の塗料組成物を、被覆量約4.0、5.0、6.7及び10.0g/m2でStaples 24# Printing Paperに適用した。紙を被覆するために使用する塗料組成物、特性及び方法を、表22において要約する。
【表22】

【0085】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard PhotoSmart 8250印刷機を使用して、表20によって被覆された紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表23及び表24で要約した。
【表23】

【表24】

【0086】
実施例14
酸性のヒュームドシリカ分散液、バインダー、ポリDADMAC、及び泡調整剤を含有する組成物
組成物を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、CELVOL(登録商標)523(ポリビニルアルコール)と水とを合することによって製造した。グリオキサール(Clariant Corp.製のCartabond TSI)を、ポリビニルアルコール100部毎に2.5部(乾燥質量)で添加して、ポリビニルアルコールの水溶性を低減した。該組成物を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、混合した。得られた組成物の一部を、VP Disp WK 7330(ヒュームド混合金属酸化物のわずかに酸性で、カチオンの水性分散液)とカチオンポリマーInduquat 35L(ポリDADMAC)とを、100部(乾燥質量)のVP Disp WK 7330毎に30部のInduquat 35Lで、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、合した。AERODISP(登録商標)及びCELVOL(登録商標)523の割合を、組成物中のヒュームドシリカとポリビニルアルコールとの質量比が、10:1であるように選択した。
【0087】
第二の組成物を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、VP Disp WK 7330とCELVOL(登録商標)523とを合することによって製造した。組成物中でのヒュームドシリカとポリビニルアルコールとの被覆量(g/m2)の割合は、10:1であった。得られた分散液の一部を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、カチオンポリマーCATIOFAST CS(ポリDADMAC)と合した。VP Disp WK 7330分散液に対するCATIOFAST CSの割合は、100部(乾燥質量)毎に1部であった。英国のClariant Corporationから市販されている染料固定性のCARTAFIX(登録商標)4440を、100部(乾燥質量)毎に30部のCARTAFIX(登録商標)4440で得られた分散液と合した。
【0088】
第三の組成物を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、AKZO NOBEL IJ 935コロイドシリカ分散液とCELVOL(登録商標)523とを合することによって製造した。組成物中でのヒュームドシリカとポリビニルアルコールとの被覆量(g/m2)の割合は、10:1であった。得られた分散液の一部を、高剪断ブレードを有するDISPERMAT(登録商標)混合機を使用して、剪断速度1200min-1で、又は勢いよく振盪することによって、カチオンポリマーCATIOFAST CS(ポリDADMAC)と合した。AKZO NOBEL IJ 935分散液に対するCATIOFAST CSの割合は、100部(乾燥質量)毎に1部であった。Induquat 35Lを、得られた分散液と100部(乾燥質量)毎に30部のInduquat 35Lで合した。
【0089】
実施例15
実施例14の組成物の標準事務用紙(Staples 24# Printing Paper)への適用
実施例14のそれぞれの3種類の塗料組成物を、表23及び表24で示されている被覆量で、Staples 24# Printing Paperに適用した。
【0090】
インク(黒、シアン、マゼンタ及び黄)を、Photo Quality設定下でEpson Stylus Photo R200印刷機を使用して、又はPhoto Quality設定下でHewlett−Packard PhotoSmart 8250印刷機を使用して、紙上にインクジェット印刷した。画像の印刷品質の特徴を解析し、そして表25及び表26で要約した。
【表25】

【表26】

【0091】
実施例16
被覆された紙の鏡面光沢の測定
Staples 24# Printing Paperの鏡面光沢を、実施例4による紙に適用された、実施例1の組成物で被覆される前に及び被覆された後に、光沢測定器(米国のBYK−Gardener社から市販されているマイクロ−TRI−光沢測定器)を使用して測定した。被覆されていない紙は、60°で4.1、及び85°で4.5の鏡面光沢を有した。バインダーに対する顔料の比2.5及び被覆量3.9g/m2で、W7520で被覆された紙は、60°で3.7及び85°で11.9の鏡面光沢を有した。バインダーに対する顔料の比10及び被覆量3.6g/m2で、W7520で被覆された紙は、60°で3.1及び85°で7.5の鏡面光沢を有した。
【0092】
本明細書において挙げられている全ての特許、出版物及び参照文献は、参照をもって本明細書に完全に開示されたものとする。本明細書と、取り込まれた特許、出版物及び参照文献との矛盾の場合において、本明細書は制御されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料で、被覆量約0.8g(塗料)/m2(下地)未満で被覆された下地を含有する被覆された下地であって、該塗料が金属酸化物を含有する、被覆された下地。
【請求項2】
前記の被覆された下地が、60°で鏡面光沢約15%未満を有する、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項3】
前記の金属酸化物が、ヒュームドシリカを含み、さらに塗料が、ポリビニルアルコール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)及びグリオキシルを含有する、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項4】
前記の下地が、紙を含む、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項5】
該下地が、汎用紙を含む、請求項4に記載の被覆された下地。
【請求項6】
前記の金属酸化物が、ヒュームド金属酸化物を含む、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項7】
該金属酸化物が、少なくとも1つのヒュームドシリカ、コロイドシリカ、ヒュームドアルミナ及びそれらの組合せ物を含む、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項8】
該金属酸化物が、種々の金属酸化物でドープされる、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項9】
該金属酸化物が、アルミナドープシリカを含む、請求項8に記載の被覆された下地。
【請求項10】
前記の被覆量が、約0.05g(塗料)/m2(下地)〜約0.5g(塗料)/m2(下地)である、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項11】
該被覆量が、約0.2g(塗料)/m2(下地)未満である、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項12】
前記塗料が、約0.5g(金属酸化物)/m2(下地)未満を提供する、請求項1に記載の被覆された下地。
【請求項13】
請求項1の被覆された下地を含み、さらに被覆された下地上に印刷された画像を含む記録媒体であって、該画像が、前記塗料を有さない同様の下地上で印刷された同様の画像と比較して少なくとも約5%の改良された色域を示す、記録媒体。
【請求項14】
前記の被覆された下地が、60°で鏡面光沢約15%未満を有する、請求項13に記載の記録媒体。
【請求項15】
請求項1の被覆された下地を含み、さらに被覆された下地上に印刷された画像を含む記録媒体であって、その際該画像が、前記塗料を有さない同様の下地上で印刷された同様の画像と比較した場合に、少なくとも約5%の改良されたウィック、少なくとも約5%の改良されたブリード、少なくとも約5%の改良された吸光度、及びそれらの組合せから選択された改良された特性を示す、記録媒体。
【請求項16】
金属酸化物を含有する塗料で被覆された下地を含む被覆された下地であって、その際被覆された下地が、60°で鏡面光沢約15%未満を有する、被覆された下地。
【請求項17】
該被覆量が、約5g(塗料)/m2(下地)未満である、請求項16に記載の被覆された下地。
【請求項18】
該被覆量が、約0.2g(塗料)/m2(下地)未満である、請求項16に記載の被覆された下地。
【請求項19】
前記の金属酸化物が、ヒュームドシリカを含有し、さらに前記の塗料が、ポリビニルアルコール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)及びグリオキシルを含有する、請求項16に記載の被覆された下地。
【請求項20】
前記塗料が、約4g(金属酸化物)/m2(下地)未満を提供する、請求項16に記載の被覆された下地。
【請求項21】
前記塗料が、約0.5g(金属酸化物)/m2(下地)未満を提供する、請求項20に記載の被覆された下地。
【請求項22】
請求項16の被覆された下地を含み、さらに被覆された下地上に印刷された画像を含む記録媒体であって、その際該画像が、前記塗料を有さない同様の下地上で印刷された同様の画像と比較して少なくとも約5%の改良された色域を示す、記録媒体。
【請求項23】
前記の被覆された下地が、約0.8g(塗料)/m2(下地)未満の被覆量を有する、請求項22に記載の記録媒体。
【請求項24】
請求項16の被覆された下地を含み、さらに被覆された下地上に印刷された画像を含む記録媒体であって、該画像が、前記塗料を有さない同様の下地上で印刷された同様の画像と比較した場合に、少なくとも約5%の改良されたウィック、少なくとも約5%の改良されたブリード、少なくとも約5%の改良された吸光度、及びそれらの組合せから選択された改良された特性を示す、記録媒体。
【請求項25】
(a)サイズプレスを使用して、金属酸化物を含有する塗料を被覆量約5g(塗料)/m2(下地)未満で紙に適用すること、及び
(b)60°で鏡面光沢約15%未満を有する被覆された紙の製造
を含む、被覆された紙の製造方法。
【請求項26】
さらに、塗料の適用後に、紙をカレンダー加工することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記サイズプレスが、紙製造機と直列型である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記の金属酸化物が、ヒュームドシリカを含有し、さらに塗料が、ポリビニルアルコール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)及びグリオキシルを含有する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
該金属酸化物が、ヒュームドシリカ、コロイドシリカ、ヒュームドアルミナ、及びそれらの組合せ物から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記の被覆量が、約0.05g(塗料)/m2(下地)〜約0.5g(塗料)/m2(下地)である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
該被覆量が、約0.2g(塗料)/m2(下地)未満である、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記塗料が、約0.5g(金属酸化物)/m2(下地)未満を提供する、請求項25に記載の方法。

【公開番号】特開2012−136031(P2012−136031A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62499(P2012−62499)
【出願日】平成24年3月19日(2012.3.19)
【分割の表示】特願2009−530480(P2009−530480)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(508260728)エボニック デグサ コーポレーション (4)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa Corporation
【住所又は居所原語表記】379 Interpace Parkway, P.O.Box 677, Parsippany, New Jersey 07054−0677, United States of America
【Fターム(参考)】