説明

増強されたアンチセンスオリゴヌクレオチド

【課題】増強されたインビボ効能を有するキメラアンチセンス化合物を提供すること。
【解決手段】標的RNAの発現を減少する必要のある動物において、標的RNAの発現を減少するための医薬の製造における18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、ここで該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含み、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する、使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
配列表の写しおよび2005年9月19日に作成されたファイル名CORE0051WOSEQ.txtを含むフロッピー上の配列表のコンピューター読取可能形態は、参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、増強されたインビボ効能を有するキメラアンチセンス化合物およびそのための改善された治療指数を提供する。本明細書中に記載される化合物は、拡張(widened)デオキシギャップおよびインビトロ活性に基づいては予想されない増強されたインビボ効能を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療モーダリティーとして受け入れられ、数千もの多くの患者がアンチセンス化合物で処置されてきた。第1のアンチセンス臨床試験において使用される初期の「第1世代」アンチセンス化合物は、2’−デオキシリボヌクレオチドおよびホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有するオリゴデオキシヌクレオチドであった。続いて、キメラの「第2世代」アンチセンスオリゴヌクレオチドは、第1世代アンチセンスオリゴヌクレオチドを超える効能の著しい改善を示した。第2世代アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−修飾リボヌクレオチドを有するヌクレオチドを有する「ウイング」に隣接される2’−デオキシ「ギャップ」領域を典型的に有する、「ギャップマー」といわれるキメラオリゴヌクレオチドである。最も広く使用される「第2世代」アンチセンスモチーフは、2’−修飾リボヌクレオチドが2’−O−メトキシエチル(2’−MOEまたは単にMOE)修飾であり、ヌクレオチド間結合の各々がホスホロチオエートである「MOEギャップマー」としばしばいわれる。主に、第2世代オリゴヌクレオチドは、20ヌクレオチド長を有し、そのうち各末端の5ヌクレオチドは、2’−MOEヌクレオチドであり、中央の10ヌクレオチドは、2’−デオキシリボヌクレオチドである。これらの第2世代オリゴヌクレオチドは、「5−10−5 MOEギャップマー」といわれ、5−10−5ウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有する。他の修飾の配置を有するキメラアンチセンス化合物もまた作製される。「へミマー」は、2’−デオキシギャップ(の5’側または3’側のいずれか)に隣接する単一の2’−修飾「ウイング」が存在するキメラ化合物であり、記載される(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Geary et al., 2001, J. Pharm. Exp. Therap. , 296, 898-904
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、増強されたインビボ効能を有するキメラアンチセンス化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕標的RNAの発現を減少する必要のある動物において、標的RNAの発現を減少するための医薬の製造における18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、ここで該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含み、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する、使用、
〔2〕ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に、腎臓濃度に対して上昇した肝臓濃度を特徴とする、〔1〕記載の使用、
〔3〕標的RNAが、代謝疾患もしくは代謝状態、または心臓血管疾患もしくは心臓血管状態と関連する、〔1〕記載の使用、
〔4〕代謝疾患または代謝状態が、メタボリック症候群、糖尿病、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、食餌誘発性肥満、高血糖症、インシュリン抵抗性、肝臓脂肪症、脂肪肝疾患、または非アルコール性脂肪性肝炎から選択される、〔1〕記載の使用、
〔5〕心臓血管疾患または心臓血管状態が、家族性高コレステロール血症、非家族性高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、異βリポ蛋白質血症、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、心筋梗塞、高血圧症、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、末梢血管疾患、血栓症、または動脈瘤から選択される、〔1〕記載の使用、
〔6〕ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2-16-2、3-14-3、または4-12-4から選択されるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、〔1〕記載の使用、
〔7〕ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、〔6〕記載の使用、
〔8〕ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、ヌクレオチド間結合の全てがホスホロチオエートである、〔7〕記載の使用、
〔9〕ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの5-メチルシトシンを有する、〔6〕記載の使用、
〔10〕改善された治療指数を有するギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを選択する方法であって、該方法は、
ヒトRNAを標的とし、単一のウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドをインビトロでスクリーニングする工程;
複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドから有効なインビトロ活性を有する親アンチセンスオリゴヌクレオチドを同定する工程;
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ配列を有する、複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成する工程、ここで該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長であり、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれは独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する;
複数の動物において該複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを試験する工程;
該試験工程から組織濃度のデータを取得する工程;ならびに
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合に改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング-ギャップ-ウイングモチーフを決定する工程を含む、方法、
〔11〕該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに類似するげっ歯類配列を設計する工程をさらに含む、〔10〕記載の方法、
〔12〕該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに類似する非ヒト霊長類配列を設計する工程をさらに含む、〔10〕記載の方法、
〔13〕有効性のデータ及び濃度のデータが該試験工程から取得される、〔12〕記載の方法、
〔14〕改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング-ギャップ-ウイングモチーフを決定する工程が、親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合の、同じまたは上昇した有効性によって示される、〔10〕記載の方法、
〔15〕スクリーニングの工程について、複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、2-16-2、3-14-3、または5-10-5から選択されるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、〔10〕記載の方法、
〔16〕スクリーニングが、一次肝細胞、b.END細胞、HepG2細胞またはHeLa細胞において実施される、〔10〕記載の方法、
〔17〕選択の工程について、有効なインビトロ活性が、食塩水コントロールと比較された場合の標的mRNA発現の50%を超える減少である、〔10〕記載の方法、
〔18〕複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれが、異なるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、〔10〕記載の方法、
〔19〕各ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれが、12、13、14、15、16、17または18から選択される2'-デオキシリボヌクレオチドギャップ長を有する、〔10〕記載の方法、
〔20〕取得する工程について、組織濃度のデータが全長ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度である、〔10〕記載の方法、
〔21〕取得する工程について、組織濃度のデータが、肝臓組織、腎臓組織、または脂肪組織について取得される、〔10〕記載の方法、
〔22〕標的RNAレベルに関連する障害および疾患の治療のための医薬の製造における18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、ここで該アンチセンスオリゴヌクレオチドは11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含み、該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する、使用、
〔23〕11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに各々が独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有し、ギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドならびに任意に薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦活剤または賦形剤を含む医薬組成物、
〔24〕10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して、該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能によって測定される場合に、より少ない腎臓蓄積を有する、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに各々が独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有し、ギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチド、
〔25〕動物において遺伝子発現を調節するための医薬の製造における〔23〕記載の組成物の使用、
〔26〕10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して、腎臓におけるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの蓄積がより少ない、〔25〕記載の使用、
〔27〕腎臓蓄積が該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能によって測定される、〔26〕記載の使用
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、増強されたインビボ効能を有するキメラアンチセンス化合物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、5−10−5 MOEギャップマーおよび対応するギャップ拡張2−16−2 MOEギャップマーのインビボ効果の比較を示す。
【図2】図2は、5−10−5 MOEギャップマーおよび対応するギャップ拡張2−16−2 MOEギャップマーの標的mRNA調節の持続性の比較を示す。
【図3】図3は、5−10−5 MOEギャップマーおよび対応するギャップ拡張2−16−2 MOEギャップマーのインビトロ効果の比較を示す。
【図4】図4は、5−10−5 MOEギャップマーおよび対応するギャップ拡張2−16−2 MOEギャップマーの肝臓組織および腎臓組織中の濃度の比較を示す。
【図5】図5は、同じ配列であるが異なるウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有するオリゴヌクレオチドのインビトロ効果の比較を示す。
【図6】図6は、同じ配列であるが異なるウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有するオリゴヌクレオチドのインビボ効果の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、RNase H活性を支持しない、1〜8ヌクレオチドを有する2つの「ウイング」領域に隣接される11より大きい2’デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域を有する「ギャップ拡張」アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、同じ配列を有する5−10−5 MOEギャップマー(gamer)アンチセンスオリゴヌクレオチドを有する対応するアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較される場合、改善された治療指数を有することが示された。本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、同じ配列を有する対応する5−10−5 MOEギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較される場合、上昇したインビボ効能または改善された組織曝露を示す。最も興味深いことには、本明細書中に記載されるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ効能とインビボ効能との間には相関がない。本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18〜24ヌクレオチド長である。特に、本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドを有するウイング領域を有する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、10の連続的な2’−デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドの第1のウイング領域および第2のウイング領域を有する対応する5−10−5 MOEギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合改善された治療指数を有する、11を超える連続した2’−デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに独立して1〜8の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドを各々有するギャップ領域に隣接する第1のウイング領域および第2のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを動物に投与する工程を包含する、標的RNAの発現を減少することが必要な動物において標的RNAの発現を減少する方法である。治療指数の改善は、組織濃度の減少と関連する等しいもしくは増加した効能、または同じ配列の対応する5−10−5 MOEギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合等しい組織曝露と関連する増加した効能によって特徴付けられる。さらに、治療指数の改善は、同じ配列の対応する5−10−5 MOEギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合、増加した肝臓対腎臓比によって特徴付けられ得る。特に、本発明の方法は、腎臓組織、肝臓組織または脂肪組織において発現されるRNA標的の発現を減少するのに有用である。本発明の方法はまた、代謝または心臓血管の疾患または状態に関連する標的RNAの発現の減少に有用である。代謝疾患または状態が糖尿病、肝臓脂肪症、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、メタボリック症候群、肥満などから選択される場合、本発明の方法は有用である。さらに、心臓血管の疾患または状態が高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂質血症、家族性高コレステロール血症などから選択される場合、本発明の方法は有用である。
【0011】
本発明のさらなる方法は、改善された治療指数を有するギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを選択する方法であり、該方法は:
ヒトRNAを標的化し単一のウイング−ギャップ−ウイングを有する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドをインビトロでスクリーニングする工程;
強いインビトロ活性を有する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドから親アンチセンスオリゴヌクレオチドを同定する工程;
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ配列を有する複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成する工程であって、ここで、該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが18〜24ヌクレオチド長であり、11を超える連続した2’−デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに独立して1〜8の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドを各々有するギャップ領域に隣接する第1のウイング領域および第2のウイング領域を含む工程;
該複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを複数の動物において試験する工程;
該試験工程から効能および組織濃度データを得る工程;ならびに
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合、改善された治療指数、改善された効能、減少した組織曝露もしくは減少した毒性またはこれらの組み合わせを有する、最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング−ギャップ−ウイングモチーフを決定する工程、
を包含する。
【0012】
1つの態様において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを選択する方法は、該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに対して齧歯類配列類似体または非ヒト霊長類配列を設計する工程をさらに包含する。1つの態様において、改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドウイング−ギャップ−ウイングモチーフを決定する工程は、親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合、等しいまたは増加した効能を有するギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを同定する工程を包含する。
【0013】
スクリーニングの工程において、該アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々は、2−16−2、3−14−3、4−12−4、または5−10−5から選択される同じウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有する。さらなる態様において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのウイング部分は、2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドである。特に、スクリーニングの工程は、一次肝細胞、HepG2、bENDまたはHeLa細胞において実施される。同定の工程において、強いインビトロ活性は、食塩水コントロールと比較した場合、標的mRNA発現の50%より大きい減少である。代替的態様において、同定の工程において、強いインビトロ活性は、30%より大きく、40%より大きく、50%より大きく、60%より大きく、70%より大きく、80%より大きくまたは90%より大きい。
【0014】
合成の工程において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々は、異なるウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有する。特に、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17または18の2’−デオキシリボヌクレオチド長のギャップを有する。試験の工程において、動物は、マウスおよびラットのような齧歯類ならびにカニクイザルのような非ヒト霊長類から選択される。
【0015】
得る工程において、組織濃度データは、特に肝臓組織、腎臓組織または脂肪組織において測定された全長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度である。1つの態様において、等しいまたは改善された効能データから、各最適化されたギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが選択される。別の態様において、減少した組織曝露から、各最適化されたギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが選択される。別の態様において、減少した毒性から、各最適化されたギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが選択される。別の態様において、改善された治療指数から、各最適化されたギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが選択される。別の態様において、減少した組織曝露、減少した毒性、改善された効能またはこれらの組み合わせから、各最適化されたギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが選択される。
【0016】
本明細書中に記載されるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1-16-1、2-15-1、1-15-2、1-14-3、3-14-1、2-14-2、1-13-4、4-13-1、2-13-3、3-13-2、1-12-5、5-12-1、2-12-4、4-12-2、3-12-3、1-11-6、6-11-1、2-11-5、5-11-2、3-11-4、4-11-3、1-17-1、2-16-1、1-16-2、1-15-3、3-15-1、2-15-2、1-14-4、4-14-1、2-14-3、3-14-2、1-13-5、5-13-1、2-13-4、4-13-2、3-13-3、1-12-6、6-12-1、2-12-5、5-12-2、3-12-4、4-12-3、1-11-7、7-11-1、2-11-6、6-11-2、3-11-5、5-11-3、4-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、1-16-3、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、5-14-1、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、4-12-4、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-18-1、1-17-2、2-17-1、1-16-3、3-16-1、2-16-2、1-15-4、4-15-1、2-15-3、3-15-2、1-14-5、2-14-4、4-14-2、3-14-3、1-13-6、6-13-1、2-13-5、5-13-2、3-13-4、4-13-3、1-12-7、7-12-1、2-12-6、6-12-2、3-12-5、5-12-3、4-12-4、1-11-8、8-11-1、2-11-7、7-11-2、3-11-6、6-11-3、4-11-5、5-11-4、1-19-1、1-18-2、2-18-1、1-17-3、3-17-1、2-17-2、1-16-4、4-16-1、2-16-3、3-16-2、1-15-5、2-15-4、4-15-2、3-15-3、1-14-6、6-14-1、2-14-5、5-14-2、3-14-4、4-14-3、1-13-7、7-13-1、2-13-6、6-13-2、3-13-5、5-13-3、4-13-4、1-12-8、8-12-1、2-12-7、7-12-2、3-12-6、6-12-3、4-12-5、5-12-4、2-11-8、8-11-2、3-11-7、7-11-3、4-11-6、6-11-4、5-11-5、1-20-1、1-19-2、2-19-1、1-18-3、3-18-1、2-18-2、1-17-4、4-17-1、2-17-3、3-17-2、1-16-5、2-16-4、4-16-2、3-16-3、1-15-6、6-15-1、2-15-5、5-15-2、3-15-4、4-15-3、1-14-7、7-14-1、2-14-6、6-14-2、3-14-5、5-14-3、4-14-4、1-13-8、8-13-1、2-13-7、7-13-2、3-13-6、6-13-3、4-13-5、5-13-4、2-12-8、8-12-2、3-12-7、7-12-3、4-12-6、6-12-4、5-12-5、3-11-8、8-11-3、4-11-7、7-11-4、5-11-6、6-11-5、1-21-1、1-20-2、2-20-1、1-20-3、3-19-1、2-19-2、1-18-4、4-18-1、2-18-3、3-18-2、1-17-5、2-17-4、4-17-2、3-17-3、1-16-6、6-16-1、2-16-5、5-16-2、3-16-4、4-16-3、1-15-7、7-15-1、2-15-6、6-15-2、3-15-5、5-15-3、4-15-4、1-14-8、8-14-1、2-14-7、7-14-2、3-14-6、6-14-3、4-14-5、5-14-4、2-13-8、8-13-2、3-13-7、7-13-3、4-13-6、6-13-4、5-13-5、1-12-10、10-12-1、2-12-9、9-12-2、3-12-8、8-12-3、4-12-7、7-12-4、5-12-6、6-12-5、4-11-8、8-11-4、5-11-7、7-11-5、6-11-6、1-22-1、1-21-2、2-21-1、1-21-3、3-20-1、2-20-2、1-19-4、4-19-1、2-19-3、3-19-2、1-18-5、2-18-4、4-18-2、3-18-3、1-17-6、6-17-1、2-17-5、5-17-2、3-17-4、4-17-3、1-16-7、7-16-1、2-16-6、6-16-2、3-16-5、5-16-3、4-16-4、1-15-8、8-15-1、2-15-7、7-15-2、3-15-6、6-15-3、4-15-5、5-15-4、2-14-8、8-14-2、3-14-7、7-14-3、4-14-6、6-14-4、5-14-5、3-13-8、8-13-3、4-13-7、7-13-4、5-13-6、6-13-5、4-12-8、8-12-4、5-12-7、7-12-5、6-12-6、5-11-8、8-11-5、6-11-7または7-11-6から選択される種々のウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有し得る。特定の態様において、本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2-16-2、3-14-3または4-12-4のウイング−ギャップ−ウイングモチーフを有する。
【0017】
本発明の別の側面は、標的RNAレベルに関連する障害および疾患の処置のための医薬の製造における、10の連続的な2’−デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドの第1のウイング領域および第2のウイング領域を有する対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合改善された治療指数を有する、11を超える連続した2’−デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに独立して1〜8の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドを各々有するギャップ領域に隣接する第1のウイング領域および第2のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用である。本発明の別の態様は、10の連続的な2’−デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドの第1のウイング領域および第2のウイング領域を有する対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合改善された治療指数を有する、11を超える連続した2’−デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに独立して1〜8の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドを各々有するギャップ領域に隣接する第1のウイング領域および第2のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチド、ならびに随意に薬学的に許容可能な担体、希釈剤、賦活薬または賦形剤を含む薬学的組成物である。本発明の別の態様は、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能力によって測定される場合、10の連続的な2’−デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドの第1のウイング領域および第2のウイング領域を有する対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合より低い腎臓蓄積を有する、11を超える連続した2’−デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに独立して1〜8の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドを各々有するギャップ領域に隣接する第1のウイング領域および第2のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドである。動物を薬学的組成物と接触させる工程を包含する、動物における遺伝子発現を調節する方法もまた提供される。別の態様は、動物を本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドと接触させる工程を包含する、動物において遺伝子発現を調節する方法であり、ここで、腎臓におけるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの蓄積は、10の連続的な2’−デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5の2’−O−(2−メトキシエチル)リボヌクレオチドの第1のウイング領域および第2のウイング領域を有する対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドに比較してより少ない。1つの態様において、腎臓蓄積は、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能力によって測定される。
【0018】
本発明の別の態様は、動物に、前もって選択されたRNA標的に標的化される11〜80核酸塩基長のキメラアンチセンス化合物を投与する工程を包含する、動物の肝臓中の前もって選択されたRNA標的のレベルを減少する方法であり、ここで、該キメラアンチセンス化合物は、少なくとも10の連続的な2’−デオキシヌクレオチドからなる第1のギャップ領域およびRNaseHに対する基質ではない1〜4の連続的なヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体からなるウイング領域を含む。特定の態様において、該第1のギャップ領域は、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17または少なくとも18の連続的な2’−デオキシヌクレオチドからなる。1つの態様において、キメラアンチセンス化合物は、RNaseHに対する基質ではない1〜7の連続的なヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体からなる第2のウイング領域を含み、ここで、該ギャップ領域は、該第1のウイング領域と該第2のウイング領域との間に位置する。別の態様において、キメラアンチセンス化合物は、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、RNaseHに対する基質ではないヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体は、糖部分の2’修飾を有するヌクレオチドである。1つの態様において、糖部分の2’修飾を有するヌクレオチドは2’−O−メトキシエチルヌクレオチドである。いくつかの態様において、化合物は、2−16−2 MOEギャップマー、3−12−3 MOEギャップマー、3−10−7 MOEギャップマーまたは7−10−3 MOEギャップマーである。1つの態様において、キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオエート主鎖結合を有する。
【0019】
本発明の別の態様は、前もって選択されたRNA標的に標的化されるキメラアンチセンス化合物を含む、動物の肝臓中の前もって選択されたRNA標的のレベルの減少での使用のための薬学的組成物であり、ここで、該キメラアンチセンス化合物は、少なくとも10の連続的な2’−デオキシヌクレオチドからなる第1のギャップ領域およびRNaseHに対する基質ではない1〜4の連続的なヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体からなるウイング領域を含む。
【0020】
(発明の詳細な説明)
特定のギャップの大きさは、アンチセンス化合物のインビボ効力に対して最適である。驚くべきことに、マウスまたはラットの肝臓における改善された効能(3〜10×改善)は、標準的5−10−5 MOEギャップマー(例えば、2−16−2、2−14−2、3−12−3ギャップマー)アンチセンスオリゴヌクレオチドに比較してギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドに対して示された。これはいくつかの異なるアンチセンス標的について示され、この改善された効能は、同じギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドでトランスフェクトされた培養細胞においては観察されなかった。従って、「ギャップ拡張」モチーフは、特に肝臓においていくつかの利益をインビボ効能に導くように見える。RNaseHに対する基質ではない1〜4のヌクレオチドからなるウイング領域によって隣接される11を超える連続的なデオキシヌクレオチドのギャップを有するキメラアンチセンス化合物がインビボ特に肝臓において標的RNAレベルを減少することに特に有効であることは、本明細書中に示される。
【0021】
(治療指数)
治療指数は、特定の効果を生じるのに必要な薬物の用量を、所望されない効果を生じる用量に関連づける基準である。1つの態様において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの改善された治療指数は、等しいまたは増加した効能および組織濃度の減少によって特徴付けられる。別の態様において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの改善された治療指数は、対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合増加した効能および等しい組織濃度によって特徴付けられる。別の態様において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの改善された治療指数は、対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合増加した効能および減少した毒性によって特徴付けられる。別の態様において、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの改善された治療指数は、対応する5−10−5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合同等の効能および減少した毒性によって特徴付けられる。いくつかの態様において、毒性は、腎毒性である。いくつかの態様において、毒性は、肝毒性である。
【0022】
(適応症)
本発明の態様は、標的RNAが本発明の化合物を投与することによって疾患または状態と関連する、疾患または状態を処置する方法である。本発明の別の態様は、標的RNAが本発明の化合物を投与することによって疾患または状態と関連する、疾患または状態の開始を予防または遅延する方法である。疾患または状態としては、代謝および心臓血管の疾患または状態が挙げられる。いくつかの態様において、疾患または状態は、メタボリック症候群、糖尿病、肥満、高脂質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、食事性肥満、高血糖症またはインスリン耐性である。1つの態様において、疾患または状態は、肝臓脂肪症である。いくつかの態様において、脂肪症は、脂肪性肝炎またはNASHである。いくつかの態様において、疾患または状態は、家族性高コレステロール血症、非家族性高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、異βリポ蛋白血症、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、心筋梗塞、高血圧、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、末梢血管疾患、血栓症または動脈瘤(arterial aneurism)である。
【0023】
(NAFLDおよびメタボリック症候群)
用語「非アルコール性脂肪肝疾患」(NAFLD)は、肝細胞中の単純なトリグリセリドの蓄積(肝臓脂肪症)から、炎症(脂肪性肝炎)、線維症および肝硬変を有する肝臓脂肪症までにわたる疾患スペクトルを含む。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、トリグリセリドの沈着の後のNAFLDの進行から生じる。壊死、炎症および線維症を誘導し得る第2ヒットは、NASHの進展に必要とされる。第2ヒットの候補は、以下の広い範疇にグループ分けされ得る:酸化ストレス下で増加を引き起こす因子および炎症誘発性サイトカインの発現を促進する因子。増加した肝臓のトリグリセリドが動物およびヒトの肝細胞における酸化ストレスの増加を導くことが示唆され、このことが肝臓トリグリセリド蓄積と酸化ストレスと肝臓脂肪症のNASHへの進行との間の潜在的な原因および効果の関係を示す(Browning and Horton, J. Clin. Invest, 2004, 114, 147-152)。高トリグリセリド血症および高脂肪酸血症(hyperfattyacidemia)は、末梢組織においてトリグリセリドの蓄積を引き起こし得る(Shimamura et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 2004, 322, 1080-1085)。
【0024】
「メタボリック症候群」は、代謝起源の脂質心臓血管危険因子および非脂質心臓血管危険因子のクラスター発生として規定される。これは、インスリン耐性として公知の一般化された代謝障害に密接に関連する。国立コレステロール教育プログラム(NCEP)成人処置パネルIII(ATPIII)は、5の危険決定因子の3以上が存在する場合、メタボリック症候群の診断に対する基準を確立した。5の危険決定因子は、男性に対して102cmを超えるウエスト周囲または女性に対して88cmを超えるウエスト周囲として規定される腹部肥満、150mg/dL以上のトリグリセリドレベル、男性に対して40mg/dLより低いHDLコレステロールレベルおよび女性に対して50mg/dLより低いHDLコレステロールレベル、130/85mmHg以上の血圧ならびに110mg/dL以上の空腹時グルコースレベルである。これらの決定因子は、臨床的実践において容易に測定され得る(JAMA, 2001, 285, 2486-2497)。
【0025】
(HbA1c)
HbA1cは、グルコースによる翻訳後修飾によってインビボで形成された安定な少数のヘモグロビンバリアントであり、優先的に糖化されたNH2末端β鎖を含む。HbA1cのレベルと前の3ヶ月の間の平均血糖レベルとの間には強い相関がある。従って、HbA1cは、しばしば維持された血糖コントロールを測定するための「黄金標準」として見られる(Bunn, H.F. et al., 1978, Science. 200, 21-7)。HbA1cは、イオン交換HPLCまたはイムノアッセイによって測定され得;HbA1c測定のための家庭血液回収(home blood collection)および郵送キット(mailing kit)は、現在広く入手可能である。血清フルクトサミンは、安定グルコースコントロールの別の基準であり、比色定量法によって測定され得る(Cobas Integra, Roche Diagnostics)。
【0026】
(心臓血管危険性プロフィール)
心臓血管疾患を進展する危険性に関連する状態としては、心筋梗塞の病歴、不安定性アンギナ、安定性アンギナ、冠状動脈手順(血管形成術またはバイパス手術)、臨床的に重要な心筋虚血の証拠、アテローム性動脈硬化症疾患の非冠状形態(末梢動脈疾患、腹部大動脈瘤、頚動脈疾患)、糖尿病、喫煙、高血圧、低HDLコレステロール、早発性CHDの家族性病歴、肥満、身体不活動、上昇したトリグリセリドまたはメタボリック症候群が挙げられるがこれらに限定されない(Jama, 2001, 285, 2486-2497; Grundy et al., Circulation, 2004, 110, 227-239)。
【実施例】
【0027】
(実施例)
(実施例1:オリゴヌクレオチド配列および標的)
(表1)
【表1】











【0028】
【表2】



【0029】
(実施例2:発現の調節のアッセイ)
標的RNA発現の調節を、当該分野で公知の種々の方法においてアッセイし得る。GCCR mRNAレベルを、例えば、ノーザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリアルタイムPCRによって定量し得る。RNA分析は、当該分野で公知の方法によって全細胞RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対して実施され得る。RNA単離の方法は、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 1, pp. 4.1.1-4.2.9および4.5.1-4.5.3, John Wiley & Sons, Inc., 1993に教示される。
【0030】
ノーザンブロット分析は当該分野において常套的であり、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 1 , pp. 4.2.1 -4.2.9, John Wiley & Sons, Inc., 1996に教示される。リアルタイム定量的(PCR)は、PE-Applied Biosystems, Foster City, CAから入手可能であり製造業者の指示書に従って使用される市販のABI PRISMTM 7700 Sequence Detection Systemを使用して、都合よく達成され得る。
【0031】
標的RNAによってコードされるタンパク質のレベルは、免疫沈降、ウエスタンブロット分析(イムノブロッティング)、ELISAまたは蛍光標識細胞分取(FACS)のような当該分野で周知の種々の方法において定量され得る。標的RNAによってコードされるタンパク質に指向される抗体は、同定され、抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation, Birmingham, MI)のような種々の供給源から得られ、または従来の抗体産生法を介して調製され得る。ポリクローナル抗血清の調製方法は、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 2, pp. 11.12.1-11.12.9, John Wiley & Sons, Inc., 1997に教示される。モノクローナル抗体の調製は、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 2, pp. 11.4.1-11.11.5, John Wiley & Sons, Inc., 1997に教示される。
【0032】
免疫沈降法は、当該分野において標準的であり、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 2, pp. 10.16.1-10.16.11, John Wiley & Sons, Inc., 1998に見出され得る。ウエスタンブロット(イムノブロット)分析は、当該分野において標準的であり、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 2, pp. 10.8.1- 10.8.21, John Wiley & Sons, Inc., 1997に見出され得る。酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)は、当該分野において標準的であり、例えば、Ausubel, F.M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Volume 2, pp. 11.2.1-11.2.22, John Wiley & Sons, Inc., 1991に見出され得る。
【0033】
標的核酸が測定可能なレベルで存在する場合に、本発明のオリゴマー化合物の標的核酸発現に対する効果は、種々の細胞型のいずれかによって試験され得る。本発明のオリゴマー化合物の標的核酸発現に対する効果は、例えば、PCRまたはノーザンブロット分析を使用して常套的に決定され得る。細胞株は、正常な組織および細胞型ならびに種々の障害(例えば、高増殖障害(hyperproliferative disorder))に関連する細胞の両方に由来する。複数の組織および種に由来する細胞株は、American Type Culture Collection (ATCC, Manassas, VA)、Japanese Cancer Research Resources Bank (Tokyo, Japan)またはCentre for Applied Microbiology and Research (Wiltshire, United Kingdom)から得ることができる。
【0034】
一次細胞すなわち動物から単離され連続的培養に供されていない細胞は、当該分野で公知の方法に従って調製され得、または種々の市販供給業者から得られ得る。さらに一次細胞は、臨床的設定における供給者ヒト被験体(すなわち血液供与者、手術患者)から得られる細胞を含む。
【0035】
(細胞型)
オリゴマー化合物の標的核酸発現に対する効果を、以下の細胞型において試験した:
【0036】
b.END細胞:
マウス脳内皮細胞株b.ENDを、Max Plank Institute (Bad Nauheim, Germany)のDr. Werner Risauから入手した。b.END細胞を、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)で補充されたDMEM、高グルコース(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)中で常套的に培養した。細胞を、約90%コンフルエンスに到達した際に、トリプシン処理および希釈によって常套的に継代した。細胞を、オリゴマー化合物トランスフェクション実験における使用のために約3000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Falcon-Primaria #3872)に播種した。
【0037】
HepG2細胞:
ヒト胚芽腫細胞株HepG2を、American Type Culture Collection (Manassas, VA)から得た。HepG2細胞を、10%ウシ胎児血清、1mM非必須アミノ酸および1mMピルビン酸ナトリウム(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)で補充されたイーグルのMEM中で常套的に培養した。細胞を、約90%コンフルエンスに到達した際に、トリプシン処理および希釈によって常套的に継代した。マルチウェル培養プレートを、1:100希釈のリン酸緩衝化食塩水中1型ラット尾コラーゲン(BD Biosciences, Bedford, MA)でコートすることによって細胞培養のために調製する。コラーゲン含有プレートを37℃で約1時間インキュベートし、その後、コラーゲンを除去し、ウェルをリン酸緩衝化食塩水で2回洗浄した。細胞を、オリゴマー化合物トランスフェクション実験における使用のために、約8000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Falcon-Primaria #353872, BD Biosciences, Bedford, MA)に播種した。
【0038】
一次ラット肝細胞:
一次ラット肝細胞を、Charles River Labs (Wilmington, MA)から購入したSprague-Dawleyラットから調製し、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)、mLあたり100単位のペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシン(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)で補充されたDMEM、高グルコース(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)中で常套的に培養する。細胞を、約4000〜6000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート(Falcon-Primaria #353872, BD Biosciences, Bedford, MA)に播種し、本発明のオリゴマー化合物で処理する。
【0039】
(オリゴマー化合物での処理)
細胞が適切なコンフルエンシーに到達した際に、細胞を記載されるようなトランスフェクション法を使用してオリゴヌクレオチドで処理した。当該分野で公知の他の適切なトランスフェクション試薬としては、LIPOFECTAMINETM、CYTOFECTINTM、OLIGOFECTAMINETMおよびFUGENETMが挙げられるがこれらに限定されない。当該分野で公知の他の適切なトランスフェクション法としては、エレクトロポレーションが挙げられるがこれに限定されない。
【0040】
リポフェクチンTM
細胞が65〜75%コンフルエントに達した際に、オリゴヌクレオチドで処理する。Opti-MEMTM-1血清低減培地(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)中でオリゴヌクレオチドをLIPOFECTINTM(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)と混合し、所望の濃度のオリゴヌクレオチドおよび100nMオリゴヌクレオチド当り2.5または3μg/mLのLIPOFECTINTM濃度を達成する。このトランスフェクション混合物を室温でおよそ0.5時間インキュベートする。96ウェルプレート中で増殖した細胞のために、ウェルを一度100μLのOPTI-MEMTM-1で洗浄し、次いで130μLのトランスフェクション混合物で処理する。24ウェルプレートまたは標準の組織培養プレート中で増殖した細胞を、適切な容量の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて同様に処理する。細胞を処理して、データを二重または三重に得る。37℃での処理のおよそ4〜7時間後、トランスフェクション混合物を含有する培地を新しい培地に換える。オリゴヌクレオチド処理の16〜24時間後、細胞を回収する。
【0041】
実施例2:GCCR mRNAレベルのリアルタイム定量的PCR分析
製造者の使用説明書に従って、ABI PRISMTM 7600, 7700, または7900 Sequence Detection System(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて、リアルタイム定量的PCRによりGCCR mRNAレベルの定量を行なった。
【0042】
RTリアルタイムPCRにより得られた遺伝子標的量を、GAPDHの発現レベル、発現が一定である遺伝子、またはRiboGreenTM(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)を用いた全RNAの定量によることのいずれかを用いて標準化した。RiboGreenTM RNA定量試薬(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)を用いて全RNAを定量した。170μLのRiboGreenTM作用試薬(10mM Tris-HCl、1mM EDTA 、pH7.5で1:350に希釈したRiboGreenTM試薬)を、30μLの精製された細胞RNAを含む96ウェルプレートにピペットで移した。485nmでの励起および530nmでの発光で、CytoFluor 4000(PE Applied Biosystems)でプレートを読んだ。
【0043】
標的の定量と同時か別々に、GAPDH発現をRTリアルタイムPCRで定量した。定量的PCR分析の前に、標的レベルの測定と同時の測定のため、GAPDH増幅反応を「多重化」する能力について、測定されている標的遺伝子に特異的なプライマー-プローブセットを評価した。多重化とは、複数のDNA種、この場合単一チューブ中の標的、および内在性GAPDHコントロールの検出のことを言い、GAPDHのプライマー-プローブセットが標的の増幅を阻害しないことを要する。
【0044】
標的に特異的な配列にハイブリダイズするように、リアルタイムPCRの使用のためのプローブおよびプライマーを設計した。プライマーおよびプローブの設計方法は当該分野で公知である。リアルタイムPCRの使用のためのプライマーおよびプローブの設計は市販のソフトウェア、例えばPrimer Express(登録商標), PE Applied Biosystems, Foster City, CAを用いてなされ得る。標的特異的PCRプローブは、5’末端に共有結合したFAM、および3’末端に共有結合したTAMRAまたはMGBを有しており、FAMは蛍光色素で、TAMRAまたはMGBは消光色素である。
【0045】
単離後、RNAを連続的な逆転写酵素(RT)反応およびリアルタイムPCRにかけるが、両反応は同一ウェル中で行なわれる。RTおよびPCR試薬はInvitrogen Life Technologies(Carlsbad, CA)から購入した。30μLの全RNA溶液(20〜200ng)を含む96ウェルプレートに、20 μLのPCRカクテル(MgC12を含まない2.5x PCRバッファ、6.6mM MgC12、それぞれ375μMのdATP、dCTP、dCTPおよびdGTP、それぞれ375nMの順方向プライマーおよび逆方向プライマー、125nMのプローブ、4単位のRNAseインヒビター、1.25単位のPLATINUM(登録商標)Taq、5単位のMuLV逆転写酵素、ならびに2.5x ROX色素)を添加して、同一物中でRTリアルタイムPCRを行なった。48℃の30分間インキュベートでRT反応を行なった。続いて、95℃で10分インキュベートしてPLATINUM(登録商標)Taqを活性化し、40サイクルの2ステップPCRプロトコル:95℃で15秒(変性)、その後60℃で1.5分(アニーリング/伸長)を行なった。
【0046】
実施例3:5-10-5化合物と比較して、インビボでのISIS 344266(2-16-2)の増強された効能はオリゴヌクレオチドの高い蓄積のためではない
マウスに、6、3、1.5または0.75マイクロモル/kg(約40、20、10または5mg/kg)のISIS 116847(配列番号:1)またはISIS 344266(配列番号:1)を1週間に2回で3週間にわたり投与し、最後の投与量を与えた48時間後に屠殺した。図1の左側のパネルは、食塩水、ISIS 141923(無関係なネガティブコントロールオリゴヌクレオチド、本明細書中に配列番号:2として援用)、4種類の濃度のISIS 116847、または4種類の濃度のISIS 344266の投与後の、肝臓における標的RNAのパーセント減少を示すグラフである。ISIS 116847とISIS 344266の両方は、マウスのPTEN(GENBANK(登録商標)アクセッション番号:U92437.1、本明細書中に配列番号:103として援用)を標的とし、ヒト、ラットおよびウサギのPTENに完全に相補的な異種間(cross-species)オリゴヌクレオチドである。食塩水またはネガティブコントロールISIS 141923(6マイクロモル/kg)のいずれもPTEN RNAレベルを減少させなかった。ISIS 116847は、0.75、1.5、3および6マイクロモル/kgの投与のそれぞれで、PTEN RNAレベルを約21%、44%、64%および81%減少させた。ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドであるISIS 344266は0.75、1.5、3および6マイクロモル/kgの投与のそれぞれで、PTEN RNAレベルを約54%、79%、88%および91%減少させた。図1の右側のパネルに示されるウェスタンブロットにより、対応するPTENタンパク質の減少を立証した。
【0047】
これらの結果から計算されたID50(PTEN RNAの50%減少を生じる投与量)は116847で1.9マイクロモル/kgであり、344266で0.63マイクロモル/kgであった。ISIS 116847についてのIC50はまた、ISIS 344266の値の3倍を超えていた。これらの結果より、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは相当配列の5-10-5化合物より3倍の効能があることが示される。
【0048】
ISIS 344266(2-16-2)は、ISIS 116847(5-10-5)と比較して、類似の持続性作用を維持する。上記のように、マウスをISIS 344266(1.5または6マイクロモル/kg)またはISIS 116847(6マイクロモル/kg)で、または食塩水で処理した。1、7、14および28日目に、マウスの肝臓でPTEN RNAレベルを測定した。図2に示すように、二つの化合物は、PTEN RNAレベルの減少の同様の持続性を示し、28日目以降であってもアンチセンス処理動物(116847または344266のいずれか)のPTEN RNAレベルはコントロールレベルに戻らなかった。
【0049】
インビボにおける標的の減少について、本発明のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドによって示される利点は、インビトロでは観察されないので意外なものである。培養マウスbEND細胞で、同一のPTENオリゴヌクレオチド、ISIS 116847(5-10-5)およびISIS 344266(2-16-2)のインビトロでの比較がなされた。3マイクログラム/ml LIPOFECTINの存在下で、0.1nM、0.3nM、0.9nM、2.7nM、8.1nMおよび24.3nMの投与量のオリゴヌクレオチドを細胞にトランスフェクトした。本明細書に記載のように、定量的RTリアルタイムPCRで標的発現の減少をアッセイした。図3には、5-10-5ギャップマーは2-16-2ギャップマーよりも効能が低いことが示される。5-10-5ギャップマー(ISIS 116847)によるPTEN RNAの減少についてのIC50は3.4nMであり、2-16-2ギャップマー(ISIS 344266)については6.2nMであった。従って、肝臓での標的の減少について、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドによって示される利点は、培養細胞では観察されない。
【0050】
5-10-5ギャップマーと比較して、ギャップ拡張(2-16-2)PTENアンチセンスオリゴヌクレオチドの、肝臓における高い効能は、肝臓における増加した濃度のためではない。上記のように、ISIS 116847またはISIS 344266で処理したマウス由来の腎臓および肝臓組織において、オリゴヌクレオチドの濃度を測定した。組織においてオリゴヌクレオチド濃度を測定する方法は、当該分野で公知である(Geary et al, Anal Biochem, 1999, 274, 241-248)。マウス肝臓および腎臓におけるオリゴヌクレオチド濃度(マイクログラム/グラム)を測定した。図4に示されるように、肝臓において全てのオリゴヌクレオチド投与量でISIS 116847よりも一定して低いISIS 344266が見られた。腎臓について同じことが言えるが、両化合物の全ての濃度が腎臓でより低かった。従って、肝臓におけるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチド(2-16-2キメラ)の高い効能は、肝臓における化合物の高い蓄積のためではない。
【0051】
血清トランスアミナーゼ(AST/ALT)は、2-16-2化合物(ISIS 344266)で処理されたマウスについて、ISIS 116847で処理されたものよりも高かった。しかしながら、ISIS 344266は効能がより高い(より低い投与量で活性)ので、二つの化合物についての治療領域はおおよそ類似している。
【0052】
実施例3:インビトロおよびインビボ効能に対するギャップサイズの効果
マウスTRADD(マウスEST:本明細書中に配列番号:104として援用されるaa013629、aa914725、aa013699、aa122508、aa881900、aa423244、aa930854、w13708、aa201054、ai122320、aa611848、aa546092、およびaa939422、から作られるコンセンサス配列)を標的とするように、一連のMOEギャップマー(2-14-2〜6-6-6)を設計した。表2に示されるように、一連の18マーのキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成し、全てが同じ配列を有した(GCTCATACTCGTAGGCCA、本明細書中に配列番号:3として援用)。普通の字句はデオキシヌクレオチドを示し、太字で下線付きの字句で示される核酸塩基は2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドである。ヌクレオシド間結合は全体を通してホスホロチオエートであり、全シトシンは5-メチルシトシンである。オリゴヌクレオチドを含み化学的に異なる領域を示す、各化合物の「モチーフ」が表2に示される。
【0053】
【表2】

【0054】
マウスbEND細胞において0.1nM、0.5nM、2.5nM、12.5nMおよび62.5nMの濃度で、化合物が標的mRNAレベルを減少させる能力について、本明細書に記載されるようにリアルタイムPCRを使用して、インビトロで化合物を試験した。図5に示されるように、これらの化合物についてのインビトロIC50は、5-8-5ギャップマー(ISIS 325589)について9.2nM、4-10-4ギャップマー(ISIS 117405)について11nM、3-12-3ギャップマー(ISIS 325588)について19nM、2-142ギャップマー(ISIS 325587)について49nMおよび6-6-6ギャップマー(ISIS 325590)について82nMであった。従ってこのインビトロ実験において、より大きなギャップがさらなる効能を示すとは思えなかった。
【0055】
これらの化合物をインビボで試験した際に、異なる順序の効能が観察された。1.56マイクロモル/kg、3.12マイクロモル/kgおよび6.24マイクロモル/kgの投与量それぞれの、2-14-2キメラ〜6-6-6キメラの範囲のTRADDギャップマーオリゴ(上述)でマウスを処理した。ネガティブコントロールはISIS 29837(配列番号:4)であり、食塩水のみで処理した動物を、データを標準化するためのコントロール群とした。図6に示されるように、肝臓における効能はギャップサイズ(6〜14の一連のデオキシヌクレオチド)が増加するにつれて増加した。その後の実験で(記載せず)、2-14-2化合物は4-10-4化合物よりもおよそ2倍優れていた。
【0056】
マウスの体重、肝臓重量および脾臓重量におけるこれらのギャップマー化合物の効果を比較したが有意差は見られなかった。マウスはおおよそ同じ割合で体重が増加し(一般に良好で健康を示す)、肝臓および脾臓重量は全処理群で食塩水と同様であった。
【0057】
実施例4:インビトロでの5-10-5ギャップマーまたは2-16-2ギャップマーによるヒトGCCR発現のアンチセンス阻害
公開された配列(GENBANK(登録商標)アクセッション番号:NM_000176.1、本明細書中に配列番号:105として援用)を使用して、ヒトGCCRの異なる領域を標的とするように一連のオリゴマー化合物を設計した。化合物は表3に示される。表3中の全化合物は、10個の2'-デオキシヌクレオチドからなる中心「ギャップ」領域からなり、その両側(5'および3')に5ヌクレオチドの「ウィング」が配置された、長さ20ヌクレオチドのキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)である。ウィングは、2'-MOEヌクレオチドとしても公知である、2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドからなる。ヌクレオシド間(主鎖)結合は、オリゴヌクレオチドを通してホスホロチオエートである。全シチジン残基は5-メチルシチジンである。オリゴヌクレオチドの配列、および標的配列上の第一(5'末端)位であり化合物が結合する標的部位を表3に示す。ヒトGCCRにハイブリダイズするように設計されたプライマー-プローブセットを用いて、本明細書の他の実施例で記載される定量的リアルタイムPCRにより、遺伝子標的mRNAレベルにおける化合物の効果について化合物を分析した。
【0058】
データは、LIPOFECTINTMを用いてHepG2細胞を50nMの開示されたオリゴマー化合物で処理した3回の実験からの平均である。発現の減少は、パーセント阻害として表3に表される。「N.D.」とある場合は「測定せず」を示す。これらのオリゴマー化合物が阻害する標的領域は、本明細書中で「有効標的セグメント」と言う。
【0059】
【表3】





【0060】
表4に記載される化合物と同一の配列を有するギャップ拡張オリゴヌクレオチドも試験した。表4中の全化合物は、16個の2'-デオキシヌクレオチドからなる中心「ギャップ」領域からなり、その両側(5'および3')に2ヌクレオチドの「ウィング」が配置された、長さ20ヌクレオチドのキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)である。ウィングは、2'-MOEヌクレオチドとしても公知である、2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドからなる。ヌクレオシド間(主鎖)結合は、オリゴヌクレオチドを通してホスホロチオエートである。全シチジン残基は5-メチルシチジンである。オリゴヌクレオチドの配列、および標的配列上の第一(5'末端)位であり化合物が結合する標的部位を表4に示す。2-16-2モチーフ化合物を、遺伝子標的mRNAレベルの効果について、本明細書に記載のように定量的リアルタイムPCRで分析した。
【0061】
データは、LIPOFECTINTMを用いてHepG2細胞を50nMの開示されたオリゴマー化合物で処理した3回の実験からの平均である。発現の減少は、パーセント阻害として表4に表される。「N.D.」とある場合は「測定せず」を示す。これらのオリゴマー化合物が阻害する標的領域は、本明細書中で「有効標的セグメント」と言う。
【0062】
【表4】





【0063】
表4に示される2-16-2オリゴヌクレオチドおよび表3に示される5-10-5オリゴヌクレオチドで、GCCR発現を少なくとも30%減少させるものが好ましい。これらの好ましい配列が相補的である標的セグメントを、本明細書では「好ましい標的セグメント」と言うので、本発明の化合物による標的化に好ましい。
【0064】
実施例5:GCCRを標的とする異種間オリゴヌクレオチド
先の実施例に記載された、いくつかのオリゴヌクレオチドは、異種間で相補的であるため、種を超えてグルココルチコイドレセプターの発現を減少させることが期待される。かかる異種間オリゴヌクレオチドの配列、ならびにオリゴヌクレオチドの5-10-5モチーフバージョンおよび2-16-2モチーフバージョンのISIS番号を表5に示す。また、各配列についてヒト標的配列(NM_000176.1、本明細書中に配列番号:105として援用)上の第一(5'末端)位であり、化合物が結合する標的部位を示す。ヒト、カニクイザル、ラットおよびマウスのGCCR mRNAに対する相補性が示される(「yes」は完全な相補性を意味し、「1mm」は完全な相補性からの一つのミスマッチを意味する)。
【0065】
【表5】

【0066】
実施例6:ヒトおよびラットのGCCR mRNAレベルのアンチセンス阻害-5-10-5ギャップマーでの用量反応試験
本発明のさらなる態様において、さらなる用量反応試験のために11のオリゴヌクレオチドを選択した。一次ラット肝細胞を5、10、25、50、100または200nMのISIS 180274, ISIS 180275, ISIS 180276, ISIS 180281, ISIS 180304, ISIS 361137, ISIS 361141, ISIS 361151, ISIS 361156, ISIS 345198, ISIS 361137またはネガティブコントロールオリゴヌクレオチドISIS 141923(CCTTCCCTGAAGGTTCCTCC、本明細書中に配列番号:2として援用)で処理し、本明細書中の他の実施例で記載したようにmRNAレベルを測定した。ISIS 141923は、2'-MOEウィングが側面に配置された10個のデオキシヌクレオチドギャップおよびホスホロチオエート主鎖を含む5-10-5ギャップマーである。全シトシンは5-メチルシトシンである。未処理細胞は、データを標準化するためのコントロールとして用いた。
【0067】
これらの試験の結果を表6に示す。本明細書に記載のように、リアルタイムPCRにより標的mRNAレベルを測定した。データは3回の実験の平均であり、未処理コントロールに対してパーセント阻害として表す。
【0068】
【表6】

【0069】
本発明のさらなる態様において、同一のオリゴヌクレオチドを指定の用量で、GCCR mRNA発現を減少させる能力について、ヒトHepG2細胞株で試験した。未処理細胞は、データを標準化するためのコントロールとして用いた。
【0070】
これらの試験の結果を表7に示す。本明細書に記載のように、リアルタイムPCRにより標的mRNAレベルを測定した。データは3回の実験の平均であり、未処理コントロールに対してパーセント阻害として表す。
【0071】
【表7】



【0072】
表6および表7に示すように、GCCRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、インビトロにおいてヒトおよびラット標的mRNAレベルの両方を用量依存的な様式で減少させるという点で有効である。
【0073】
実施例7:ラットGCCR mRNAレベルのアンチセンス阻害-インビボにおける5-10-5ギャップマーでの用量反応試験
ラットにおいて、オリゴヌクレオチドの5-10-5ギャップマーモチーフのうちの5個(ISIS 180281, ISIS 361137, ISIS 345198, ISIS 180304, およびISIS 361141)を、種々の用量で、肝臓におけるGCCR mRNAレベルを減少させる能力について評価した。8週齡Sprague Dawleyラットを、注射により50、25または12.5mg/kgの一つの指定されたオリゴヌクレオチドの用量を受ける処理群に分けた。各処理群は4匹の動物からなり、週に2回を3週間にわたり投与した。食塩水のみを注射された動物をコントロール群として用いた。標準血液パラメーター(ALT/AST、コレステロール、トリグリセリド、およびグルコース)について、動物を週ごとに評価した。試験の終わりに動物を屠殺して肝臓組織を回収し、本明細書に記載のリアルタイムPCR分析法を用いて標的減少について分析した。結果を、指定のオリゴヌクレオチドの指定の用量で処理した後に測定したGCCR mRNAのパーセント減少として、表8aおよび8b(別々の実験)に示す。
【0074】
【表8a】

【0075】
【表8b】

【0076】
表8aおよび8bのデータには、GCCRを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、インビボにおいて、用量依存的な様式で発現を減少させるという点で有効であることが示される。ギャップ最適化に焦点を当てた構造活性実験におけるさらなる評価のために、ISIS 345198(GTCAAAGGTGCTTTGGTCTG;配列番号:16)を選択した。この化合物は、マウス、ラット、ヒト、サル、ウサギおよびモルモットのグルココルチコイドレセプターRNAに完全に相補的である。
【0077】
実施例8:インビボにおけるGCCR mRNAレベルのアンチセンス阻害-ギャップ最適化試験
GCCRを標的とするように、異なる大きさのデオキシヌクレオチドギャップおよび2'-MOEウィングを有する一連のオリゴマー化合物を設計した。試験したオリゴヌクレオチドのそれぞれは、同一の核酸塩基配列(GTCAAAGGTGCTTTGGTCTG、本明細書中に配列番号:16として援用)を有するので、配列番号:105(核酸塩基689〜709)の同一セグメントを標的とする。実施例5に示すように、このオリゴヌクレオチドもまたラットGCCRに完全に相補的である。
【0078】
化合物を表9に示す。普通の字句はデオキシヌクレオチドを示し、太字で下線付きの字句で示される核酸塩基は2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドである。ヌクレオシド間結合は全体を通してホスホロチオエートであり、全シトシンは5-メチルシトシンである。オリゴヌクレオチドを含み化学的に異なる領域を示す各化合物の「モチーフ」を表9に示す。
【0079】
【表9】

【0080】
9週齢のSprague Dawley雄ラットを、週に2回を3週間にわたり、表9に示される50、25、12.5、および6.25mg/kgのオリゴヌクレオチドの用量で処理した。食塩水のみを注射した動物をコントロールとして用いた。各処理群は4匹の動物からなった。
【0081】
試験の終わりに、動物を屠殺し、標的減少およびオリゴヌクレオチド濃度の測定のために組織を回収した。
【0082】
本明細書中に記載のリアルタイムPCR分析法を用いて、標的減少について白色脂肪組織を分析した。指定のオリゴヌクレオチドの指定の用量で処理した後に測定したGCCR mRNAのパーセント減少として、結果を表10a、10b、および10c(別々の実験)に示す。比較のために、各ギャップ拡張オリゴヌクレオチドで処理した動物由来の組織を、5-10-5モチーフオリゴヌクレオチドで処理した動物由来の組織と一緒に、標的減少についてアッセイした。
【0083】
【表10a】

【0084】
【表10b】

【0085】
【表10c】

【0086】
肝臓組織もまた、本明細書に記載のリアルタイムPCR分析法を用いて、標的減少について分析した。指定のオリゴヌクレオチドの指定の用量で処理した後に測定したGCCR mRNAのパーセント減少として、結果を表11a、11bおよび11c(別々の実験)に示す。比較のために、各ギャップ拡張オリゴヌクレオチドで処理した動物由来の組織を、5-10-5モチーフオリゴヌクレオチドで処理した動物由来の組織と一緒に、標的減少についてアッセイした。
【0087】
【表11a】

【0088】
【表11b】



【0089】
【表11c】

【0090】
表11a、11bおよび11cで示されるように、試験された、ギャップ拡張オリゴヌクレオチドの全ては、インビボにおいて、用量依存的な様式でGCCRレベルを減少させるという点で有効であった。また、ギャップ拡張オリゴヌクレオチドは、肝臓において5-10-5ギャップマーよりも大きな効能へ向かう傾向を示す。
【0091】
また、ギャップの大きさを変化させることの薬物動態学に対する効果を決定するために、腎臓および肝臓のオリゴヌクレオチド濃度を測定した。組織でのオリゴヌクレオチド濃度を測定する方法は、当該分野で公知である(Geary et al., Anal Biochem, 1999, 274, 241-248)。全オリゴヌクレオチドは、組織で検出された全オリゴヌクレオチド代謝物の合計である。指定の濃度の指定のオリゴヌクレオチドで処理した動物の肝臓における、全濃度および完全長オリゴヌクレオチドの濃度(μg/g中)を表12に示す。
【0092】
【表12】

【0093】
表12に示されるように、ISIS 345198と比較した際に、肝臓における完全長オリゴヌクレオチドのレベルは、ISIS 372339およびISIS 377130に対して同等であるか、または低い。表11に示される標的減少と組み合わせて、これらのデータより、ギャップ拡張化合物の高い効能は肝臓中の化合物の高い蓄積のためではないことが示される。従って、本発明の好ましいオリゴヌクレオチドには、対応する5-10-5ギャップマーに対する標的減少に関して、標的組織中に化合物の高い蓄積なしに、高いかまたは同等の効能を示すギャップ拡張オリゴヌクレオチドが包含される。いくつかの態様において標的組織は脂肪であり、いくつかの態様において標的組織は肝臓である。
【0094】
実施例9:ヒトGCGRを標的とする「ギャップ拡張」アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
異なる大きさのデオキシヌクレオチドギャップおよび2'-MOEウィングを有する、ヒトGCGR(Genbankアクセッション番号:NM_000160.1、本明細書中に配列番号:108として援用)を標的とするような一連のオリゴマー化合物を設計した。オリゴヌクレオチドのそれぞれは、長さ20核酸塩基であり、同一の核酸塩基配列(GCACTTTGTGGTGCCAAGGC、本明細書中に配列番号:93として援用)を有するので、配列番号:108(核酸塩基532〜551)の同一のセグメントを標的とする。化合物を表13に示す。普通の字句はデオキシヌクレオチドを示し、太字で下線付きの字句で示される核酸塩基は2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドである。ヌクレオシド間結合は全体を通してホスホロチオエートであり、全シトシンは5-メチルシトシンである。オリゴヌクレオチドを含み、化学的に異なる領域を示す各化合物の「モチーフ」を表13に示す。
【0095】
【表13】

【0096】
インビトロにおいて標的mRNAレベルを減少させる能力について、5-10-5ギャップマー、ISIS 310457を試験した。本明細書に記載される方法を用いて、HepG2細胞をISIS 310457で処理した。定量的リアルタイムPCRにより、ヒトグルカゴンレセプターmRNAレベルにおける効果についてISIS 310457を分析し、GCGRの発現を約96%減少させることを発見した。
【0097】
実施例10:ラットGCGRを標的とする「ギャップ拡張」アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計
異なる大きさのデオキシヌクレオチドギャップおよび2'-MOEウィングを有する、ラットGCGR(Genbankアクセッション番号:M96674.1、本明細書中に配列番号:109として援用)を標的とするような一連のオリゴマー化合物を設計した。試験したオリゴヌクレオチドのそれぞれは同一の核酸塩基配列(GCACTTTGTGGTACCAAGGT、本明細書中に配列番号:94として援用)を有するので、配列番号:109の同一のセグメント(核酸塩基402〜421)を標的とする。ラットオリゴヌクレオチドに標的とされるセグメントは、ISIS 310457(配列番号:93)に標的とされるヒトGCGRのセグメントに対応する。化合物を表14に示す。普通の字句はデオキシヌクレオチドを示し、太字で下線付きの字句で示されるヌクレオチドは2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドである。ヌクレオシド間結合は全体を通してホスホロチオエートであり、全シトシンは5-メチルシトシンである。オリゴヌクレオチドを含み、化学的に異なる領域を示す各化合物の「モチーフ」を表14に示す。
【0098】
【表14】

【0099】
実施例11:GCGRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果-インビボラット試験
本発明に従って、ラットGCGRを標的とするように設計されたオリゴヌクレオチドをインビボで試験した。8週齢の雄のSprague Dawleyラットに50、25、12.5、または6.25mg/kgのISIS 356171, ISIS 357368, ISIS 357369, ISIS 357370, ISIS 357371, ISIS 357372またはISIS 357373を週に2回を3週間にわたり、合計6回の投与で注射した。食塩水注射動物をコントロールとして用いた。試験したオリゴヌクレオチドのそれぞれは同一の核酸塩基配列(GCACTTTGTGGTACCAAGGT、本明細書中に配列番号:94として援用)を有し、各化合物の化学的性質およびモチーフは上述される。
【0100】
処理期間の後、ラットを屠殺して、肝臓における標的核酸レベルを評価した。RNAの単離および標的mRNA発現レベルの定量を、RIBOGREENTMを用いて、本明細書中の他の実施例に記載のように行なう。各処理群由来のRNAを、ISIS 356171で処理した群由来のRNAと一緒にアッセイした。食塩水処理コントロールレベルについてのパーセントとして、結果を表15a、15b、15c、15d、15eおよび15fに示す。
【0101】
【表15a】



【0102】
【表15b】

【0103】
【表15c】

【0104】
【表15d】

【0105】
【表15e】



【0106】
【表15f】

【0107】
表15a、15b、15c、15d、および15eに示されたように、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは用量に依存する様式においてインビボでのGCGRレベルの減少に有効であった。
【0108】
さらに、腎臓および肝臓におけるオリゴヌクレオチド濃度を決定した。組織のオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は、当該分野で公知である(Gearyら、Anal. Biochem., 1999, 274, 241-248)。25mg/kgの指示されたオリゴヌクレオチドで処理された動物の腎臓および肝臓において、全オリゴヌクレオチド濃度および完全長オリゴヌクレオチドの濃度(μg/g中)を表16に示す。全オリゴヌクレオチドは組織で検出される全オリゴヌクレオチド代謝産物の合計である。
【0109】
【表16】

【0110】
表16に示されたように、腎臓におけるギャップ拡張オリゴヌクレオチドの濃度は、これらの組織においてISIS 356171について見出されたものに対して一般に減少された。有効性がISIS 356171に対してISIS 356371、ISIS 356372、およびISIS 356373で維持される表15に示された標的減少のデータと共に考慮すると、これらのデータは、ギャップ拡張オリゴ、特にISIS 356371、ISIS 356372、およびISIS 356373が、本質において、肝臓における標的レベルの減少にISIS 356171よりも有効であることを示唆する。
【0111】
実施例12: GCGRを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果−カニクイザルのインビボ研究
霊長類においてアンチセンスオリゴヌクレオチドモチーフの改変で生じる組織分布、有効性、または治療指数の変化を評価するために、カニクイザルを、1週あたり3、10、または20mg/kg用量のISIS 310457(5-10-5モチーフ)またはISIS 325568(2-16-2モチーフ)で注射した。これらのアンチセンス化合物はサルGCGR標的配列に100%の相補性を示す。食塩水のみを注射された動物はコントロールとして供した。研究期間は7週であり、動物は最初の週に3回投薬され、続けて週に1度6週間投薬された。各処理群は5匹の動物からなった。20mg/kgのISIS 310457で処理された1群および20mg/kgのISIS 325568で処理された1群は、屠殺前に投薬停止後3週間回復した(「20 mg/kg回復」)。他の処理群を研究の最後に屠殺した。肝臓組織を、標的の減少を評価するために回収した。
【0112】
RNAの単離および標的mRNA発現レベルの定量を、本明細書中に他の実施例で記載されたようにRIBOGREENTMを用いて実施した。食塩水処理されたコントロールレベルのパーセントとしての結果を表17に示す。
【0113】
【表17】

【0114】
表17に示されたように、ISIS 310457およびISIS 325568を用いた処理は試験された用量の全てでGCGRレベルの減少を生じ、標的レベルの減少は20 mg/kg回復群においてなお観察された。3 mg/kg用量での ISIS 325568はISIS 310457よりも大きい減少を生じた。
【0115】
さらに、腎臓および肝臓のオリゴヌクレオチド濃度を決定した。組織のオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は、当該分野で公知である(Gearyら、Anal Biochem, 1999, 274, 241-248)。指示されたオリゴヌクレオチドで処理された動物の腎臓または肝臓における全濃度および完全長オリゴヌクレオチドの濃度(μg/g中)を表18に示す。
【0116】
【表18】

【0117】
表18に示されたように、5-10-5モチーフオリゴヌクレオチドであるISIS 310457の腎臓の濃度は、試験された全濃度で2-16-2モチーフオリゴヌクレオチドであるISIS 325568について測定された濃度よりも高い。2-16-2モチーフオリゴヌクレオチドについて表9の標的減少のデータと共に考慮すると、これらのデータは、ギャップ拡張オリゴヌクレオチドが対応する5-10-5モチーフオリゴヌクレオチドよりも有効であり、上昇したオリゴヌクレオチドの蓄積なしに肝臓の標的mRNAレベルのより強い低下を提供することを示唆する。
【0118】
実施例13:ギャップ拡張オリゴヌクレオチドのDGAT2 mRNAレベルの減少への効果−インビトロ分析
本発明に従って、オリゴヌクレオチドを、DGAT2を標的とするように設計した。各オリゴヌクレオチドの配列を表19に示す。普通の字句は、デオキシヌクレオチドを示し、太字、下線の字句で示したヌクレオチドが2'-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドである。各オリゴヌクレオチドについて、そのモチーフ、ヒトDGAT2 mRNA上の標的部位(本明細書中に配列番号110として援用される、GENBANK(登録商標)アクセッション番号 NM_032564.2)、およびその異種間の同一性も表19に示す。列挙したそれぞれの種について、「X」はその種に対する標的配列に完全な相補性を示し、「1MM」は、該種に対する標的配列に1つのミスマッチを示す、など。
【表19】

【0119】
これらのオリゴヌクレオチドのそれぞれを、本明細書中に記載されるようなリアルタイムRT-PCR方法を用いてヒトDGAT2 mRNAレベルを減少する能力についてインビトロで試験した。HepG2細胞およびA549細胞において、表19のオリゴヌクレオチドのそれぞれは約20nMのIC50値を示した。
【0120】
実施例14:ギャップ拡張オリゴヌクレオチドのDGAT2 mRNAレベルの減少への効果−インビボ分析
本明細書中に配列番号111として援用されるGENBANK(登録商標)アクセッション番号 NM_047561.1のヌクレオチド15333000から15365000の相補物、ラットDGAT2を標的とするISIS 217357(ACACACTAGAAGTGAGCTTA,配列番号102)と共に、表19に記載されたオリゴヌクレオチドを、インビボでのDGAT2レベルを減少する能力について試験した。8週齢雄SDラットを、週あたり20mg/kgのオリゴヌクレオチドで2週間注射した。各処理群は6匹の動物からなった。食塩水のみを注射された動物はコントロールとして供した。
【0121】
処理期間の最後に、動物を屠殺し、肝臓組織および腎臓組織を採取した。ギャップサイズを変更することの、薬物動力学への効果を決定するために、腎臓および肝臓のオリゴヌクレオチド濃度を決定した。組織のオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は当該分野で公知である(Gearyら、Anal Biochem, 1999, 274, 241-248)。全オリゴヌクレオチドは、組織で検出された全てのオリゴヌクレオチド代謝産物の合計である。指示されたオリゴヌクレオチド濃度で処理された動物の肝臓における全濃度および完全長オリゴヌクレオチドの濃度(μg/g中)を表20に示す。
【表20】



【0122】
表20に示されたように、ギャップ拡張オリゴヌクレオチド、特にISIS 370727およびISIS 370747の腎臓濃度は10個のデオキシヌクレオチドギャップを有するオリゴヌクレオチドのものよりも一般に低かった。
【0123】
実施例15:ギャップ拡張オリゴヌクレオチドのDGAT2 mRNAレベルの減少への効果−インビボ分析
実施例14に記載された実験の別の部門において、8週齢雄SDラットを、週あたり50mg/kg用量のオリゴヌクレオチドで4週間処理した。各処理群は4匹の動物からなった。処理期間の最後に、動物を屠殺し、標的mRNAレベルを、本明細書中に記載されたようにリアルタイムRT-PCRを用いて決定した。各処理群について平均%阻害として、結果を表21に示す。
【0124】
【表21】

【0125】
表21に示されたように、DGAT2を標的としたギャップ拡張オリゴヌクレオチドは肝臓において優れた阻害活性を示す。特に、ISIS 370727およびISIS 370747は、標的の発現を減少する優れた能力を示した。表20に示すように、肝臓におけるこれらのオリゴヌクレオチドの分布と共に考慮すると、これらのデータは、標的組織の上昇したオリゴヌクレオチドの蓄積なしにギャップ拡張オリゴヌクレオチドが優れた標的の減少に優れていることを提供することを示唆する。さらに、ギャップ拡張オリゴヌクレオチドは、DGAT2を標的とする5-10-5モチーフオリゴヌクレオチドと比較される場合、腎臓に対する肝臓の好ましい比を有する。
【0126】
実施例16:ギャップ拡張オリゴヌクレオチドのCRP mRNAレベルの減少への効果−インビボ分析
C-反応性タンパク質(CRP)を標的とするサル−ヒト異種間オリゴヌクレオチドを、当該分野で公知の配列を用いてCRPを標的とするように設計した(その全体を参照によって本明細書中に援用される、US出願公開番号US2005-0014257を参照)。カニクイザルで試験されたCRPを標的としたオリゴヌクレオチドの配列を、表22に示す。普通の字句はデオキシヌクレオチドを示し、太字、下線で示される字句のヌクレオチドが2’-O-(2-メトキシエチル)ヌクレオチドである。表22に各オリゴヌクレオチドについてのそのモチーフも示す。
【表22】

【0127】
インビボおよびインビトロでCRP化合物の活性をアッセイする方法は当該分野で公知である(参照によって本明細書中に援用される、US出願公開番号US2005-0014257を参照)。14または40mg/kg/週でサルを4週間処理することで、ギャップ拡張オリゴヌクレオチドの毒性プロフィールを、5-10-5オリゴヌクレオチドと比較した。用量の段階的上昇試験における活性を、8週間の4投薬サイクルにおいて投与される4回の皮下用量(月曜、水曜、金曜、月曜)を含む各サイクルと比較した。用量は2、4および10mg/kgであった。各処理サイクルの最終用量の48時間後に、サルを1〜2μg/kgのIL-6で試し(皮下投与)、血清CRPレベルを36時間定量した。血清CRPレベルを、市販の入手可能なキット(例えば、ALerCHEK Inc., Portland, ME)を用いたELISAで測定し得る。第2サイクルおよび第4サイクル後に動物を屠殺し、肝臓CRP mRNA、組織オリゴヌクレオチド濃度、臨床兆候、血清化学、血液学、体重、および組織学を評価した。組織オリゴヌクレオチド濃度および組織学に関して、主な差異は30%低い腎臓濃度であり、少しの組織学的な変化は3-14-3処理された動物においてであった。血漿サイトカインおよびCRPレベルを調べたが有意に上昇しなかった。
【0128】
いくつかのCRPインヒビターは、薬理学的に活性であり、血清CRP(30〜66%)および肝CRP mRNA(60〜85%)において最大の減少が4および10mg/kg処理サイクルの両方で観察された。
【0129】
我々は驚くべきことに、少なくとも11個の核酸塩基長のギャップおよび2’-MOEで修飾され、独立して1〜4核酸塩基長であるウイングを有するキメラアンチセンス化合物を見出した。この上昇した効力は、インビトロ(細胞培養)でのこれらの化合物のランク順有効性で予想されない。2-16-2および3-14-3ギャップマー化合物ならびに3-10-7および7-10-3ギャップマー化合物は、5-10-5キメラの等価な配列およびウイング修飾よりも効果的であることを示した。4-12-4ギャップマーはまた、有用な態様であると信じられる。
【0130】
詳細な態様の説明
本発明の化合物に有用な2’-修飾ヌクレオシドの非限定例としては、限定されないが、2’-O-アルキル、2’-O-アルキル-O-アルキルが挙げられ、ここでアルキルは末端置換基でない場合にアルキルがC1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキレンである。これらは2’-O-メチル、2’-O-プロピルおよび2’-O-メトキシエチルヌクレオシドを含む。
【0131】
詳細
本発明はキメラ化合物であるアンチセンス化合物を使用する。本発明の文脈において、「キメラ」アンチセンス化合物または「キメラ」は、2つ以上の化学的に別々の領域を含み、それぞれは少なくとも1つの単量体単位、すなわち、オリゴヌクレオチドの場合にヌクレオチドから構成されるアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは典型的に、ヌクレアーゼ分解に対する上昇されたオリゴヌクレオチドの耐性、上昇された細胞の取り込み、上昇された安定性および/または上昇された標的核酸に対する結合親和性を付与するようにオリゴヌクレオチドが修飾される、少なくとも1つの領域を含む。さらなるオリゴヌクレオチドの領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断し得る酵素の基質として働き得る。例として、RNAseHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。それゆえに、RNaseHの活性化は、RNA標的の切断を生じ、それによってオリゴヌクレオチドで媒介される遺伝子発現の阻害の効力を大いに上昇させる。RNA:RNAハイブリッドの切断は、同じ方法で、細胞性RNAおよびウイルス性RNAの両方を切断するRNAaseLのようなエンドリボヌクレアーゼの作用から達成され得る。RNA標的の切断はゲル電気泳動で慣例的に検出され得、必要ならば、当該分野で公知の核酸ハイブリダイゼーション技術と関連され得る。本発明のキメラアンチセンス化合物は、2つ以上の、上記に記載されるようなオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド模倣物および/またはオリゴヌクレオチド模倣物の複合構造物として形成され得る。かかる化合物はまた、当該分野でハイブリッドまたはギャップマーとして呼ばれている。かかるハイブリッド構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定されないが、US.:5,013,830; 5,149,797; 5,220,007; 5,256,775; 5,366,878; 5,403,711; 5,491,133; 5,565,350; 5,623,065; 5,652,355; 5,652,356;および5,700,922が挙げられ、それぞれをその全体を参照によって本明細書中に援用する。
【0132】
ヌクレオシドホスホロアミダイトの合成
アミダイトおよびその中間体を含む以下の化合物は、US 特許 6,426,220および公開されたPCT WO 02/36743に記載されるように調製された;5-メチルdCアミダイトに対する5’-Oジメトキシトリチル-チミジン中間体、5-メチル-dCアミダイトに対する5’-O-ジメトキシトリチル2’-デオキシ-5-メチルシチジン中間体、5-メチルdCアミダイトに対する5’-O-ジメトキシトリチル2’-デオキシ-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジンの最後から2番目の中間体、[5’-O-(4,4’-ジメトキシトリフェニルメチル)-2’-デオキシ-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジン-3’O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(5-メチルdCアミダイト)、2’-フルオロデオキシアデノシン、2’-フルオロデオキシグアノシン、2’-フルオロウリジン、2’フルオロデオキシシチジン、2’-O-(2-メトキシエチル)修飾アミダイト、2’-O-(2-メトキシエチル)5-メチルウリジン中間体、5’-O-DMT-2’-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジンの最後から2番目の中間体、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)5-メチルウリジン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(MOE Tアミダイト)、5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルシチジン中間体、5'O-ジメトキシトリチル-2'-O-(2-メトキシエチル)-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジンの最後から2番目の中間体、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)-N4-ベンゾイル5-メチルシチジン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(MOE 5-Me-Cアミダイト)、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)-N6ベンゾイルアデノシン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(MOE Aアミダイト)、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)-N4イソブチリルグアノシン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト(MOE Gアミダイト)、2'-O-(アミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトおよび2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイト、2'-(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、5'-O-tertブチルジフェニルシリル-O2-2'-アンヒドロ-5-メチルウリジン、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル2'-O-(ヒドロキシエチル)-5-メチルウリジン、2'-O-([2-フタリミドキシ)エチル]-5'-t-ブチルジフェニルシリル-5-メチルウリジン、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[(2-ホルムアドキシミノオキシ)エチル]-5メチルウリジン、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[N,N-ジメチルアミノオキシエチル]-5メチルウリジン、2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン、5'-O-DMT-2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン、5'-O-DMT-2'-O-(2-N,Nジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト]、2'-(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、N2-イソブチリル6-O-ジフェニルカルバモイル-2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン-3'-[(2シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホロアミダイト]、2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ(2'DMAEOE)ヌクレオシドアミノダイト、2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル]-5-メチルウリジン、5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)-エチル)]-5-メチルウリジンおよび5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)-エチル)]-5-メチルウリジン-3'-O-(シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホロアミダイト。
【0133】
オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシド合成
本発明に従って使用されるアンチセンス化合物は、簡便的にかつ慣例的に周知の固相合成の技術から製造され得る。かかる合成用装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City, CA)を含むいくつかの供給業者によって販売されている。当該分野で公知のかかる合成のための任意の他の手段がさらにまたは代替的に使用され得る。ホスホロチオエートおよびアルキル化された誘導体のようなオリゴヌクレオチドを調製するために同様の技術を使用することは周知である。未置換および置換ホスホジエステル(P=O)オリゴヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドは、ヨウ素による酸化を用いる標準のホスホロアミダイト化学を用いた自動化DNA合成機(Applied Biosystems model 394)で合成される。ホスホロチオエート(P=S)は、以下の例外:硫化(thiation)は、亜リン酸結合の酸化についてアセトニトリル中の10%w/vの3,H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン-1,1-ジオキシド溶液を利用することで実施された、を伴ってホスホジエステルオリゴヌクレオチドと同様に合成される。硫化(thiation)反応工程の時間は、180秒まで増加され、通常のキャッピング工程に先立った。CPGカラムからの切断および55℃(12〜16時間)の濃縮された水酸化アンモニウムにおける脱ブロック化の後に、オリゴヌクレオチドは3倍を超える体積のエタノールで沈殿させることで1M NH4OAc溶液から回収された。ホスフィン酸オリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許5,508,270に記載されるように調製される。アルキルホスホン酸オリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許4,469,863に記載されるように調製される。3'-デオキシ-3'-メチレンホスホン酸オリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許5,610,289または5,625,050に記載されるように調製される。ホスホロアミダイトオリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許,5,256,775またはU.S.特許5,366,878に記載されるように調製される。アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用される公開されたPCT出願PCT/US94/00902およびPCT/US93/06976(それぞれWO 94/17093およびWO 94/02499として公開された)に記載されるように調製される。3'-デオキシ-3'-アミノホスホロアミダイトオリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許5,476,925に記載されるように調製される。ホスホトリエステルオリゴヌクレオチドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許5,023,243に記載されるように調製される。ボラン(borano)ホスフェートオリゴヌクレオチドは、参照によって両方が本明細書中に援用されるU.S.特許5,130,302および5,177,198に記載されるように調製される。オリゴヌクレオシド:MMI結合オリゴヌクレオシドとしても同定されるメチレンメチリミノ結合オリゴヌクレオシド、MDH結合オリゴヌクレオシドとしても同定されるメチレンジメチルヒドラゾ結合オリゴヌクレオシド、およびアミド3-結合オリゴヌクレオシドとしても同定されるメチレンカルボニルアミノ結合オリゴヌクレオシド、およびアミド-4結合オリゴヌクレオシドとしても同定されるメチレンアミノカルボニル結合オリゴヌクレオシド、ならびに例えば、MMI結合およびP=O結合またはP=S結合を交互に有する混合骨格化合物は、U.S.特許5,378,825, 5,386,023, 5,489,677, 5,602,240および5,610,289に記載されるように調製され、全ては参照によって本明細書中に援用される。ホルムアセタールおよびチオホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許5,264,562および5,264,564に記載されるように調製される。エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドは、参照によって本明細書中に援用されるU.S.特許5,223,618に記載されるように調製される。
【0134】
RNA合成
一般に、RNA合成化学は、戦略上の中間反応での種々の保護基の選択的な組み込みに基づく。当業者は、有機合成における保護基の使用を理解するが、有用な種の保護基はシリルエーテルを含む。特に、大きなシリルエーテルは、2’ヒドロキシ上の酸に不安定なオルトエステル保護基と組み合わせて5’-ヒドロキシを保護するために使用される。次にこのセットの保護基は、標準の固相合成技術と共に使用される。他の全ての合成工程の後に酸に不安定なオルトエステル保護基を最終的に除去することが重要である。さらに所望の場合、合成中にシリル保護基の早期の使用が、望まない2’ヒドロキシの脱保護なしに容易な除去を確実にする。別々に除去され、かつ別々に化学的に不安定な基を保護することによる2’-ヒドロキシの保護と組み合わせた5’-ヒドロキシの連続的な保護についてのこの手順に続けて、RNAオリゴヌクレオチドが合成された。RNAオリゴヌクレオチドは段階的な仕方で合成される。各ヌクレオチドは、固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドに連続的に(3’-から5’-方向)付加される。鎖の3’末端の第一ヌクレオシドは、固体支持体に共有結合される。ヌクレオチド前駆体、リボヌクレオシドホスホロアミダイトおよび活性剤が添加され、第一のヌクレオシドの5’末端に第二の塩基を結合させる。支持体は洗浄され、任意の未反応の5’-ヒドロキシル基は無水酢酸でキャップされ、5’-アセチル部分を生じる。次に、より安定で最終的に所望されるP(V)結合へと結合が酸化される。ヌクレオチド付加サイクルの最後に、5’-シリル基はフッ化物で切断される。サイクルはそれぞれ次のヌクレオチドに対して繰り返される。合成後、リン酸上のメチル保護基は、DMF中の1Mジナトリウム-2-カルバモイル-2-シアノエチレン-1,1-ジチオレートトリヒドレート(S2Na2)を利用して30分間切断される。固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドから脱保護溶液が水を用いて洗浄される。次に、支持体は水中の40%メチルアミンを用いて55℃で10分間処理される。これはRNAオリゴヌクレオチドを溶液に放出し、環外アミンを脱保護し、2’-基を修飾する。オリゴヌクレオチドは、この段階で陰イオン交換HPLCによって分析され得る。
【0135】
2’-オルトエステル基は、除去されるべき最後の保護基である。Dharmacon Research, Inc.(Lafayette, CO)によって開発されたエチレングリコールモノアセテートオルトエステル保護基は、以下の重要な特性を有する有用なオルトエステル保護基の1つの例である。それはヌクレオシドホスホロアミダイト合成およびオリゴヌクレオチド合成の条件に安定である。しかし、オリゴヌクレオチドの合成後、オリゴヌクレオチドは、固体支持体からオリゴヌクレオチドを切断するだけではなくオルトエステルからアセチル基も除去するメチレンアミンで処理される。オルトエステル上の生じた2-エチル-ヒドロキシル置換基は、アセチル化前駆体より電子の求引が少ない。結果として、修飾オルトエステルは、酸で触媒される加水分解に対してより不安定になる。特に、アセチル基が除去された後、切断の速度はおよそ10倍速い。それゆえに、このオルトエステルは、オリゴヌクレオチド合成と適合性があるように十分な安定性を有し、さらにその後修飾される場合、最終のRNAオリゴヌクレオチド産物と適合する比較的温和な水性条件下で脱保護が実行されることを可能にする。さらに、RNA合成の方法は、当該分野で周知である(Scaringe, S.A. Ph.D. Thesis, University of Colorado, 1996; Scaringe, S. A.,ら,J. Am. Chem. Soc., 1"8,120,11820-11821; Matteucci, M.D.およびCaruthers, M.H. J. Am. Chem. Soc., 1981, 103, 3185-3191; Beaucage, S.L.およびCaruthers, M.H. Tetrahedron Lett., 1981, 22, 1859-1862; Dahl, B.J.,ら, Acta Chem. Scand,. 1990, 44, 639-641; Reddy, M.P.,ら,Tetrahedrom Lett., 1994, 25, 4311-4314; Wincott, F.ら,Nucleic Acids Res., 1995, 23, 2677-2684; Griffin, B. E.,ら, Tetrahedron, 1967, 23, 2301-2331; Griffin, B.E.,ら, Tetrahedron, 1967, 23, 2315-2331)。
【0136】
本発明のRNAアンチセンス化合物(RNAオリゴヌクレオチド)は、本明細書中の方法によって合成され得るか、あるいはDharmacon Research, Inc(Lafayette, CO)から購入され得る。一度合成されると、次に相補的なRNAアンチセンス化合物は、当該分野で公知の方法によってアニーリングされ、二本鎖(二重鎖)アンチセンス化合物を形成し得る。例えば、二重鎖は、30μlの各相補鎖のRNAオリゴヌクレオチド(50μM RNAオリゴヌクレオチド溶液)および15μlの5Xアニーリングバッファ(100mM 酢酸カリウム、30mM HEPES-KOH pH7.4, 2mM 酢酸マグネシウム)を混合し、続いて90℃で1分間、次に37℃で1時間加熱をすることによって形成され得る。生じた二重鎖アンチセンス化合物は、標的核酸の役割を調査するために、キット、アッセイ、スクリーニング、または他の方法において使用され得る。
【0137】
キメラオリゴヌクレオチドの合成
本発明のキメラオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドまたは混合オリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドは、いくつかの異なる型であり得る。これらは、「ギャップ」部分の結合オリゴヌクレオシドが、5'「ウイング」部分の結合ヌクレオシドと3'「ウイング」部分の結合ヌクレオシドの間に位置される第一の型、および「ギャップ」部分がオリゴマー化合物の3'末端または5'末端のいずれかに位置される第二の「開放端」型を含む。第一の型のオリゴヌクレオチドはまた、「ギャップマー」またはギャップオリゴヌクレオチドとして当該分野で公知である。第二の型のオリゴヌクレオチドはまた、「ヘミマー」または「ウイングマー」として当該分野で公知である。
【0138】
[2'-O-Me]--[2'-デオキシ]--[2'-O-Me]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
上記のように、Applied Biosystems自動化DNA合成機モデル394を用いて、2'-O-アルキルホスホロチオエートおよび2'-デオキシホスホロチオエートオリゴヌクレオチド部分を有するキメラオリゴヌクレオチドが合成される。自動化合成機ならびにDNA部分についての2'-デオキシ-5'-ジメトキシトリチル-3'-O-ホスホロアミダイトならびに5'ウイングおよび3'ウイングについての5'-ジメトキシトリチル-2'-O-メチル-3'-O-ホスホロアミダイトを用いてオリゴヌクレオチドが合成される。標準の合成サイクルは、5'-ジメトキシトリチル-2'-O-メチル-3'-O-ホスホロアミダイトについて増加した反応時間を有する結合工程を組み込むことで変更される。十分に保護されたオリゴヌクレオチドは支持体から切断され、濃縮されたアンモニア(NH4OH)中55℃で12〜16時間脱保護される。次に、脱保護されたオリゴは適切な方法(沈殿、カラムクロマトグラフィー、真空中で体積が減少される)によって回収され、キャピラリー電気泳動および質量分析によって収量および純度について分光光度的に分析される。
【0139】
[2'-O-(2-メトキシエチル)]--[2'-デオキシ]; -[2'-O-(メトキシエチル)]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
[2'-O-(2-メトキシエチル)]--[2'-デオキシ]--[-2'-O-(メトキシエチル)]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、2'-O-メチルアミダイトの2'-O-(メトキシエチル)アミダイトへの置換を伴う、2'O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上記の手順に従って調製された。
【0140】
[2'-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル]--[2'-デオキシホスホロチオエート]--[2'-O-(2メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチド
[2'-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル]--[2'-デオキシホスホロチオエート]--[2'-O(メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチドは、2'-O-メチルアミダイトの2'-O(メトキシエチル)アミダイトへの置換、キメラ構造のウイング部分内にホスホジエステルヌクレオチド間結合を生じるヨウ素を用いた酸化および中心ギャップに対してホスホロチオエートヌクレオチド間結合を生じる3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン1,1 ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用した硫化を伴う、2'-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上記の手順に従って調製される。
【0141】
参照によって本明細書中に援用される米国特許5,623,065に従って、他のキメラオリゴヌクレオチド、キメラオリゴヌクレオシドおよび混合キメラオリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドが合成される。
【0142】
本発明の方法は、アンチセンス治療に特に有用である。現在の多くのアンチセンス標的は、肝臓および他の臓器で高いレベルまで発現されるので、アンチセンス標的は本質的に肝臓疾患と関連される必要はない。特に、代謝疾患および状態ならびに心臓血管疾患および状態と関連する標的は、特に肝臓のノックダウンに影響を受けやすく、動物および臨床研究において治療効果があることが示されている。
【0143】
本発明の化合物はまた、例えば取込み、分散および/または吸収を補助するための、リポソーム、レセプターを標的とする分子、経口処方物、直腸処方物、局所処方物もしくは他の処方物として、他の分子、分子構造または化合物の混合物と混合、カプセル化、共役化あるいはそうでなければ結合され得る。本発明のアンチセンス化合物は、ヒトを含む動物に投与する際、生物学的に活性な代謝産物またはその残渣を(直接的にまたは間接的に)提供し得る、任意の薬学的に許容され得る塩、エステル、もしくはかかるエステルの塩、または任意の他の化合物を包含する。従って、例えば、開示はまた、本発明の化合物のプロドラッグおよび薬学的に許容され得る塩、かかるプロドラッグの薬学的に許容され得る塩、ならびに他の生物学的等価物へと引き出される。
【0144】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを動物に投与する工程を含む、標的RNAの発現を減少する必要のある該動物において標的RNAの発現を減少する方法であって、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有し、10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に改善された治療指数、改善された有効性、減少された組織曝露、もしくは減少された毒性、またはその組み合わせを有する、方法。
[2]対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に、改善された治療指数が、同じまたは上昇された有効性および組織濃度の減少、上昇された有効性および同じ組織濃度、上昇された有効性および減少された毒性、または同等の有効性および減少された毒性を特徴とする、[1]記載の方法。
[3]対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に、ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが腎臓濃度に対して上昇された肝臓濃度を特徴とする、[1]記載の方法。
[4]標的RNAが代謝疾患もしくは代謝状態、または心臓血管疾患もしくは心臓血管状態と関連する、[1]記載の方法。
[5]代謝疾患または代謝状態が、メタボリック症候群、糖尿病、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、食餌誘発性肥満、高血糖症、インシュリン耐性、肝臓脂肪症、脂肪肝疾患、または非アルコール脂肪性肝炎から選択される、[1]記載の方法。
[6]心臓血管疾患または心臓血管状態が、家族性高コレステロール血症、非家族性高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、異βリポ蛋白質血症、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、心筋梗塞、高血圧症、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、末梢血管疾患、血栓症、または動脈瘤から選択される、[1]記載の方法。
[7]ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2-16-2、3-14-3、または4-12-4から選択されるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、[1]記載の方法。
[8]ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、[7]記載の方法。
[9]ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの全てが、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、[8]記載の方法。
[10]ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの5-メチルシトシンを有する、[7]記載の方法。
[11]改善された治療指数を有するギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを選択する方法であって、該方法は、
ヒトRNAを標的とし、単一のウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドをインビトロでスクリーニングする工程;
複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドから有効なインビトロ活性を有する親アンチセンスオリゴヌクレオチドを同定する工程;
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ配列を有する、複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成する工程、ここで該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長であり、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれは独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する;
複数の動物において該複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを試験する工程;
該試験工程から組織濃度のデータを取得する工程;ならびに
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング-ギャップ-ウイングモチーフを決定する工程を含む、方法。
[12]該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに類似するげっ歯類配列を設計する工程をさらに含む、[11]記載の方法。
[13]該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに類似する非ヒト霊長類配列を設計する工程をさらに含む、[11]記載の方法。
[14]有効性のデータ及び濃度のデータが該試験工程から取得される、[13]記載の方法。
[15]改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング-ギャップ-ウイングモチーフを決定する工程が、親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に同じまたは増大した有効性によって示される、[11]記載の方法。
[16]スクリーニングの工程について、複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが2-16-2、3-14-3、または5-10-5から選択されるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、[11]記載の方法。
[17]スクリーニングが一次肝細胞、b.END細胞、HepG2細胞またはHeLa細胞において実施される、[11]記載の方法。
[18]選択の工程について、有効なインビトロ活性が食塩水コントロールと比較された場合に標的mRNA発現の50%より大きい減少である、[11]記載の方法。
[19]複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれが異なるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、[11]記載の方法。
[20]各ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれが12、13、14、15、16、17または18から選択される2'-デオキシリボヌクレオチドギャップ長を有する、[11]記載の方法。
[21]取得する工程について、組織濃度のデータが全長ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度である、[11]記載の方法。
[22]取得する工程について、組織濃度のデータが、肝臓組織、腎臓組織、または脂肪組織について取得される、[11]記載の方法。
[23]標的RNAレベルに関連する障害および疾患の治療のための医薬の製造における18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、ここで該アンチセンスオリゴヌクレオチドは11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含み、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有し、ここで10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に該アンチセンスオリゴヌクレオチドが改善された治療指数を有する、使用。
[24]10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に改善された治療指数を有する、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに各々が独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有するギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドならびに任意に薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦活剤または賦形剤を含む医薬組成物。
[25]10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に、該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能によって測定される場合により少ない腎臓蓄積を有する、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに各々が独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有するギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[26][24]記載の医薬組成物と動物を接触させる工程を含む、動物において遺伝子発現を調節する方法。
[27]10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に、腎臓におけるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの蓄積がより少ない、[26]記載の方法。
[28]腎臓蓄積が該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能によって測定される、[27]記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的RNAの発現を減少する必要のある動物において、標的RNAの発現を減少するための医薬の製造における18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、ここで該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含み、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する、使用。
【請求項2】
ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合に、腎臓濃度に対して上昇した肝臓濃度を特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
標的RNAが、代謝疾患もしくは代謝状態、または心臓血管疾患もしくは心臓血管状態と関連する、請求項1記載の使用。
【請求項4】
代謝疾患または代謝状態が、メタボリック症候群、糖尿病、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、2型糖尿病、食餌誘発性肥満、高血糖症、インシュリン抵抗性、肝臓脂肪症、脂肪肝疾患、または非アルコール性脂肪性肝炎から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項5】
心臓血管疾患または心臓血管状態が、家族性高コレステロール血症、非家族性高コレステロール血症、混合型異常脂質血症、異βリポ蛋白質血症、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、心筋梗塞、高血圧症、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、頚動脈疾患、脳卒中、脳血管疾患、末梢血管疾患、血栓症、または動脈瘤から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項6】
ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、2-16-2、3-14-3、または4-12-4から選択されるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、請求項1記載の使用。
【請求項7】
ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、請求項6記載の使用。
【請求項8】
ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、ヌクレオチド間結合の全てがホスホロチオエートである、請求項7記載の使用。
【請求項9】
ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの5-メチルシトシンを有する、請求項6記載の使用。
【請求項10】
改善された治療指数を有するギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを選択する方法であって、該方法は、
ヒトRNAを標的とし、単一のウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドをインビトロでスクリーニングする工程;
複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドから有効なインビトロ活性を有する親アンチセンスオリゴヌクレオチドを同定する工程;
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ配列を有する、複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを合成する工程、ここで該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域、ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長であり、ここで該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれは独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する;
複数の動物において該複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドを試験する工程;
該試験工程から組織濃度のデータを取得する工程;ならびに
親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較した場合に改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング-ギャップ-ウイングモチーフを決定する工程を含む、方法。
【請求項11】
該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに類似するげっ歯類配列を設計する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
該親アンチセンスオリゴヌクレオチドに類似する非ヒト霊長類配列を設計する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
有効性のデータ及び濃度のデータが該試験工程から取得される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
改善された治療指数を有する最適化されたギャップ拡張オリゴヌクレオチドウイング-ギャップ-ウイングモチーフを決定する工程が、親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較された場合の、同じまたは上昇した有効性によって示される、請求項10記載の方法。
【請求項15】
スクリーニングの工程について、複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドが、2-16-2、3-14-3、または5-10-5から選択されるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、請求項10記載の方法。
【請求項16】
スクリーニングが、一次肝細胞、b.END細胞、HepG2細胞またはHeLa細胞において実施される、請求項10記載の方法。
【請求項17】
選択の工程について、有効なインビトロ活性が、食塩水コントロールと比較された場合の標的mRNA発現の50%を超える減少である、請求項10記載の方法。
【請求項18】
複数のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれが、異なるウイング-ギャップ-ウイングモチーフを有する、請求項10記載の方法。
【請求項19】
各ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドのそれぞれが、12、13、14、15、16、17または18から選択される2'-デオキシリボヌクレオチドギャップ長を有する、請求項10記載の方法。
【請求項20】
取得する工程について、組織濃度のデータが全長ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度である、請求項10記載の方法。
【請求項21】
取得する工程について、組織濃度のデータが、肝臓組織、腎臓組織、または脂肪組織について取得される、請求項10記載の方法。
【請求項22】
標的RNAレベルに関連する障害および疾患の治療のための医薬の製造における18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用であって、ここで該アンチセンスオリゴヌクレオチドは11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびにギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含み、該第一のウイング領域および第二のウイング領域のそれぞれが独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有する、使用。
【請求項23】
11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに各々が独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有し、ギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドならびに任意に薬学的に許容され得る担体、希釈剤、賦活剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して、該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能によって測定される場合に、より少ない腎臓蓄積を有する、11個より多い連続した2'-デオキシリボヌクレオチドを有するギャップ領域;ならびに各々が独立して、1〜8個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドを有し、ギャップ領域に隣接する第一のウイング領域および第二のウイング領域を含む18〜24ヌクレオチド長のギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
動物において遺伝子発現を調節するための医薬の製造における請求項23記載の組成物の使用。
【請求項26】
10個の連続した2'-デオキシリボヌクレオチドのギャップ領域ならびにギャップ領域に隣接する5個の2'-O-(2-メトキシエチル)リボヌクレオチドの第一のウイング領域および第二のウイング領域を有する対応する5-10-5アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して、腎臓におけるギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの蓄積がより少ない、請求項25記載の使用。
【請求項27】
腎臓蓄積が該ギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿タンパク質結合能によって測定される、請求項26記載の使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−256171(P2011−256171A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137144(P2011−137144)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【分割の表示】特願2007−532648(P2007−532648)の分割
【原出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(595104323)アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】