増強された免疫刺激活性を有する疎水性T類似体を含有するCpGオリゴヌクレオチド類似体
本発明は、少なくとも1つの親油性置換ヌクレオチド類似体およびピリミジン−プリンジヌクレオチドを包含するオリゴヌクレオチドに関する。本発明は、医薬組成物およびそれらの使用方法にも関する。
【図1】
【図1】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、免疫学の分野に関する。より具体的には、本発明は、増強された免疫刺激能力を有する治療用オリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
細菌DNAは、B細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化するための免疫刺激効果を有しているが、脊椎動物DNAは、そのような効果を有していない(Tokunaga,T.、他、1988.Jpn.J.Cancer Res.79:682〜686;Tokunaga,T.、他、1984、JNCI 72:955〜962;Messina,J.P.、他、1991、J.Immunol.147:1759〜1764;およびKrieg、1998、Applied Oligonucleotide Technology、C.A.SteinおよびA.M.Krieg、(編)、John Wiley and Sons,Inc.、New York、NY、431〜448ページで概説されている)。現在、細菌DNAのこれらの免疫刺激効果は、特定の塩基コンテクスト(CpGモチーフ)中の、細菌DNAに共通しているが、脊椎動物DNAではメチル化されていて占める割合が低い非メチル化CpGジヌクレオチドの存在の結果であると理解されている(Krieg他、1995 Nature 374:546〜549;Krieg、1999 Biochim.Biophys.Acta 93321:1〜10)。細菌DNAの免疫刺激効果は、これらのCpGモチーフを含有する合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)で模倣することができる。そのようなCpG ODNは、B細胞増殖;サイトカインおよび免疫グロブリン分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞溶解活性およびIFN−γ分泌;ならびに共刺激分子を発現し、サイトカイン、特に、Th1様T細胞応答の発現を促進するのに重要であるTh1様サイトカインを分泌するための樹状細胞(DC)および他の抗原提示細胞の活性化を包含する、ヒトおよびマウス白血球に対する高い刺激効果を有する。これら天然のホスホジエステル主鎖CpG ODNの免疫刺激効果は、CpGモチーフがメチル化されている、GpCに変化している、さもなければ除去または改変されている場合にその効果が劇的に低下するという点で、高度にCpG特異的である(Krieg他、1995 Nature 374:546〜549;Hartmann他、1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305〜10)。
【0003】
初期の研究において、免疫刺激性CpGモチーフは、プリン−プリン−CpG−ピリミジン−ピリミジンという式に従っていると考えられていた(Krieg他、1995 Nature 374:546〜549;Pisetsky、1996 J.Immunol.156:421〜423;Hacker他、1998 EMBO J.17:6230〜6240;Lipford他、1998 Trends in Microbiol.6:496〜500)。しかしながら、現在、マウスリンパ球は、この「式」に従っていないホスホジエステルCpGモチーフに対して十分に応答し(Yi他、1998 J.Immunol.160:5898〜5906)、同様のことは、ヒトのB細胞および樹状細胞に当てはまることが明らかになっている(Hartmann他、1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305〜10;Liang、1996 J.Clin.Invest.98:1119〜1129)。
【0004】
最近になって、CpG核酸のいくつかの異なるクラスが記載されている。1つのクラスは、B細胞を活性化することについては強力であるが、IFN−γを誘導することおよびNK細胞活性化においては比較的弱く;このクラスは、Bクラスと名付けられている。BクラスCpG核酸は、典型的には、完全に安定化されており、特定の好ましい塩基コンテクスト内に非メチル化CpGジヌクレオチドを包含する。例えば、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を参照されたい。CpG核酸の別のクラスは、B細胞およびNK細胞を活性化し、IFN−αを誘導し;このクラスは、Cクラスと名付けられている。CクラスCpG核酸は、最初に特徴付けられたように、典型的には、完全に安定化されており、Bクラス型配列およびGCリッチなパリンドロームまたはニヤーパリンドローム(near−palindrome)を包含する。このクラスは、同時係属の、2001年8月17日に出願された米国仮特許出願第60/313,273号および2002年8月19日に出願されたUS10/224,523ならびに国際公開番号WO03/015711として公開された関連するPCT特許出願PCT/US02/26468に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、増強された免疫刺激能力を誘発する1つまたは複数の修飾を含むオリゴヌクレオチドに関する。特に、本発明は、少なくとも1つの親油性置換ヌクレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチドの特定のサブクラスが、免疫応答を媒介するのに極めて有効であるという知見に基づいている。これらのオリゴヌクレオチドは、免疫応答を誘導するのに、ならびに癌およびウイルス感染などの疾患および障害を治療するのに治療的および予防的に有用である。
【0007】
一態様において、本発明は、配列:R1YZR2(式中、R1およびR2は、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)、ヌクレオチド、および結合を表し、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)であり、Yは、ピリミジンヌクレオチドであり、Zは、プリン、ピリミジン、または脱塩基残基である)を含む組成物である。
【0008】
一部の実施形態において、Lは、5または6員環核酸塩基類似体を含む。
【0009】
本発明の態様の他の実施形態において、Lは、以下の要素を有する式I
【0010】
【化1】
の基であり、A、B、X、D、E、およびFは、水素または置換基を有していてもよいC(炭素)またはN(窒素)であり、nは、0または1であり、点線は、任意選択の二重結合を示し、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノ、メチルおよび水素からなる群から選択されず、A、B、X、D、E、およびF原子の合計は、3窒素(N)以下である。一部の場合に、nは、1であり、他の場合に、nは、0である。一部の実施形態において、すべての原子A、B、X、D、E、Fは、炭素(C)である。一部の実施形態において、原子A、B、X、D、E、Fのうちの1つ、2つまたは3つは、窒素(N)である。一部の実施形態によれば、原子A、B、X、D、E、Fのうちの少なくとも1つは、以下の、F、Cl、Br、I、アルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、およびイミノのうちの1つにより置換されており、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノまたはメチルではない。さらに他の実施形態によれば、2つの原子AまたはEのうちの1つは、以下のF、Cl、Br、I、C2〜C6−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、またはメチルのうちの1つにより置換されており、ただし、メチルの場合、A、B、X、D、E、およびFは、すべてCである。
【0011】
一部の実施形態において、式Iは、置換されているピリミジン、ウラシル、トルエン、イミダゾールまたはピラゾールまたはトリアゾールを含む。他の実施形態によれば、式Iは、以下の、5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ヨード−ウラシル、5−エチル−ウラシル、5−プロピル−ウラシル、5−プロピニル(propinyl)−ウラシル、(E)−5−(2−ブロモビニル)−ウラシル、および2.4−ジフルオロ−トルエンから選択される。本発明の一実施形態によれば、式Iは、3〜6員の芳香族または脂肪族環系と縮合している。他の実施形態によれば、式Iは、ペントースまたはヘキソースを包含する5〜6員糖部分に連結している。一部の場合に、ペントースは、フラノースであり、ヘキソースは、ピラノースであり、それらは、F、アミノ、アルコキシ、アルコキシ−エトキシ、アモニプロピル(amonipropyl)、アルケニル、アルキニル、またはO2,C4−アルキレン橋により置換されていてもよい。他の場合に、フラノースは、リボースまたはデオキシリボースである。
【0012】
本発明の一部の実施形態によれば、R1とR2は、共にLである。一部の実施形態によれば、R1は、Lであり、R2は、ヌクレオチドである。あるいは、一部の場合に、オリゴヌクレオチドが構造5’R1CG3’を含むように、R1は、Lであり、R2は、結合である。他の実施形態は、オリゴヌクレオチドが構造5’R3R1YZ3’を含むように、R1が、Lであり、R2が、結合であり、R3が、R1YZの5’側にあるオリゴヌクレオチドを包含する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドが構造5’R1NR1YZ3’を含むように、R1は、Lであり、R2は、結合であり、第二のR1は、1つのヌクレオチドNを狭みR1YZの5’側にある。一部の場合に、オリゴヌクレオチドは、2つの5’R1NR1YZ3’モチーフを包含することがある。
【0013】
一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、以下のピリミジン、すなわち、シトシン、5−メチル−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ハロゲノ−シトシン、2−チオ−シトシン、4−チオ−シトシン、N3−メチル−シトシン、N4−アルキル−シトシンまたは6−置換シトシンのうちの1つであるYを包含する。
【0014】
一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、グアニン、7−デアザグアニン、ヒポキサンチン、7−デアザ−ヒポキサンチン、2−アミノ−プリン、4−チオ−プリン、2.6−ジアミノプリン、8−オキソ−7.8−ジヒドログアニン、7−チア−8−オキソ−7.8−ジヒドログアニン、7−アリル−8−オキソ−7.8−ジヒドログアニン、7−デアザ−8−アザ−グアニン、8−アザ−グアニン、N1−メチル−グアニンまたはプリンを包含するプリンヌクレオチドであるZを包含する。他の実施形態において、Zは、Tを包含するピリミジンヌクレオチドである。
【0015】
本発明の一部の実施形態によれば、R2は、Lであり、R1は、ヌクレオチドである。
【0016】
一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドの長さは、3〜100ヌクレオチドであり、例えば、オリゴヌクレオチドの長さは、3〜6ヌクレオチド、3〜100ヌクレオチド、または7〜100ヌクレオチドである。一部の環境において、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドの少なくとも80%がTであるように、Tリッチである。
【0017】
本発明は、少なくとも1つのパリンドローム配列を含む実施形態を包含する。例えば、一部の場合に、オリゴヌクレオチドは、2つのパリンドローム配列を包含する。
【0018】
本発明によれば、一部の実施形態は、1〜4個の非メチル化CGジヌクレオチドを包含する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの(G)m配列(式中、mは、4〜10である)を包含することがある。一部の場合に、すべてまでとは言わないが、少なくとも1つのCGジヌクレオチドは、メチル化されていない。一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、非ヌクレオチド修飾をさらに含むことがある。非ヌクレオチド修飾は、C6〜C48−ポリエチレングリコール、C3〜C20−アルカン−ジオール、C3〜C18−アルキルアミノリンカー、C3〜C18−アルキルチオールリンカー、コレステロール、胆汁酸、飽和または不飽和脂肪酸、フォレート、ヘキサデシル−グリセロールまたはジヘキサデシル−グリセロール基、オクタデシル−グリセロールまたはジオクタデシル−グリセロール基、ビタミンE基を包含するが、これらに限定されるものではない。他の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、非ヌクレオチドブランチャー部分またはヌクレオチドブランチャー部分をさらに含む。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが少なくとも2つの5’末端を有するブランチャー部分を包含する。
【0019】
本発明によれば、一部の実施形態は、鏡像異性混合物か鏡像異性的に純粋なS−またはR−立体配置のどちらかとして、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ボラノホスホネート、ホスホルアミデート、またはデホスホ結合を包含する安定化された結合を有するオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも2つのヌクレオチドを包含する。
【0020】
さらに、一部の実施形態において、R1YZR2のYZは、ホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合を有する。一部の場合に、R1YZR2のR1Yおよび/またはZR2は、ホスホロチオエート結合を有する。一部の実施形態において、すべての他のヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合を有する。
【0021】
本発明の一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、脂質担体を包含するマイクロキャリアを含まない。
【0022】
本発明によれば、オリゴヌクレオチドは、Aクラスオリゴヌクレオチド、Bクラスオリゴヌクレオチド、Cクラスオリゴヌクレオチド、PクラスオリゴヌクレオチドまたはTクラスオリゴヌクレオチドであってもよい。本発明のBクラスオリゴヌクレオチドの場合、一部の実施形態は、配列5’TCN1TX1X2CGX3X43’(式中、X1は、GまたはAであり、X2は、T、G、またはAであり、X3は、TまたはCであり、X4は、TまたはCであり、Nは、任意のヌクレオチドであり、N1およびN2は、各々約0〜25Nの核酸配列である)を包含する。
【0023】
本発明の一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの3’−3’結合および/または少なくとも1つの5’−5’結合を含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、抗原または抗微生物薬などの他の治療用化合物と組み合わせた本明細書に記載されているオリゴヌクレオチドの組成物である。抗微生物薬は、例えば、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗細菌薬または抗真菌薬であってもよい。
【0025】
本明細書に記載されているオリゴヌクレオチドを包含する持続放出装置の組成物は、本発明の別の態様に従って提供される。
【0026】
組成物は、医薬担体を包含していてよく、かつ/または送達装置に製剤化されることがある。一部の実施形態において、送達装置は、陽イオン性脂質、細胞透過性タンパク質、および持続放出装置からなる群から選択される。一実施形態において、持続放出装置は、生分解性ポリマーまたは微小粒子である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、免疫応答を刺激する方法が提供される。方法は、対象において免疫応答を誘導するのに有効な量で対象にオリゴヌクレオチドを投与するものである。オリゴヌクレオチドは、経口的に、局所的に、持続放出装置で、粘膜に、全身的に、非経口的に、または筋肉内に投与されることが好ましい。オリゴヌクレオチドが粘膜表面に投与される場合、オリゴヌクレオチドは、粘膜免疫応答または全身免疫応答を誘導するのに有効な量で送達されることがある。好ましい実施形態において、粘膜表面は、口腔、鼻腔、直腸、膣、および眼の表面からなる群から選択される。
【0028】
一部の実施形態において、方法は、免疫応答が抗原特異的免疫応答である、対象を抗原に曝露することを包含する。一部の実施形態において、抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原およびペプチド抗原からなる群から選択される。
【0029】
オリゴヌクレオチドは、癌を有する対象または癌を発症する危険性がある対象において癌を治療する(例えば、癌を発症する危険性を軽減する)のに有用である。癌は、胆道癌、乳癌、子宮頚癌、絨毛癌、大腸癌、子宮内膜癌、胃癌、上皮内新生物、リンパ腫、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞および非小細胞)、黒色腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、甲状腺癌、および腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫からなる群から選択することができる。一部の重要な実施形態において、癌は、骨癌、脳腫瘍およびCNS癌、結合組織癌、食道癌、眼癌、ホジキンリンパ腫、喉頭癌、口腔癌、皮膚癌、ならびに精巣癌からなる群から選択される。
【0030】
オリゴヌクレオチドは、場合により、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが抗癌療法と併せて投与される場合、癌療法(例えば、抗癌療法)に対する癌細胞の応答性を高めるために使用されることもある。抗癌療法は、化学療法、ワクチン(例えば、in vitroで初回刺激を受けた樹状細胞ワクチンまたは癌抗原ワクチン)または抗体ベースの療法であってもよい。この後者の療法は、免疫応答が抗体依存性細胞傷害(ADCC)をもたらす、例えば、癌細胞の細胞表面抗原に特異的な抗体を投与するものであってもよい。一実施形態において、抗体は、リブタキシン(Ributaxin)、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス(Panorex)、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム(Oncolym)、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス(Ovarex)、ベクサー、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット(Pretarget)、ノボMAb(NovoMAb)−G2、TNT、グリオマブ(Gliomab)−H、GNI−250、EMD−72000、リンフォサイド(LymphoCide)、CMA676、モノファーム(Monopharm)−C、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10Ab、SMART ABL364AbおよびImmuRAIT−CEAからなる群から選択することができる。
【0031】
したがって、本発明の一部の態様によれば、癌を有するまたは癌を有する危険性がある対象は、オリゴヌクレオチドおよび抗癌療法を投与される。一部の実施形態において、抗癌療法は、化学療法薬、免疫療法薬および癌ワクチンからなる群から選択される。
【0032】
他の態様における本発明は、対象において疾患を予防するための方法に関する。方法は、対象において疾患を予防するための免疫系応答性を促進するために、定期的にオリゴヌクレオチドを対象に投与するものである。本発明の予防的方法を用いて予防しようとする疾患または状態の例は、微生物感染(例えば、性感染疾患)および食物アレルギー由来のアナフィラキシーショックを包含する。
【0033】
他の態様において、本発明は、先天性免疫応答を活性化するのに有効な量でオリゴヌクレオチドを対象に投与することにより先天性免疫応答を誘導するための方法である。
【0034】
本発明の別の態様によれば、ウイルスまたはレトロウイルス感染を治療するための方法が提供される。方法は、ウイルスまたはレトロウイルス感染を有するか、またはウイルスもしくはレトロウイルス感染を有する危険性がある対象に、ウイルスまたはレトロウイルス感染を治療するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与するものである。一部の実施形態において、ウイルスは、肝炎ウイルス、例えば、B型肝炎、C型肝炎、HIV、ヘルペスウイルス、またはパピローマウイルスにより引き起こされる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、細菌感染を治療するための方法が提供される。方法は、細菌感染を有するか、または細菌感染を有する危険性がある対象に、細菌感染を治療するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与するものである。一実施形態において、細菌感染は、細胞内細菌が原因である。
【0036】
別の態様において、本発明は、寄生虫感染を有するか、または寄生虫感染を有する危険性がある対象に、寄生虫感染を治療するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与することにより寄生虫感染を治療するための方法である。一実施形態において、寄生虫感染は、細胞内寄生虫が原因である。別の態様において、寄生虫感染は、非蠕虫(non−helminthic)寄生虫が原因である。
【0037】
一部の実施形態において、対象は、ヒトであり、他の実施形態において、対象は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、シチメンチョウ、ヤギ、魚、サル、ニワトリ、ラット、マウス、およびヒツジからなる群から選択される非ヒト脊椎動物である。
【0038】
別の態様において、本発明は、自己免疫疾患を有するか、または自己免疫疾患を有する危険性がある対象に、自己免疫疾患を治療または予防するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与することにより自己免疫疾患を治療するための方法に関する。
【0039】
本発明は、一部の態様において、対象において気道リモデリング、喘息またはアレルギーを治療するのに有効な量で、本発明の組成物のいずれかを対象に投与することを含む気道リモデリング、喘息またはアレルギーを治療するための方法である。一実施形態において、対象は、喘息、慢性閉塞性肺疾患を有するか、または喫煙者である。他の実施形態において、対象は、喘息の症状がない。
【0040】
本発明の態様として、免疫応答を刺激するための本発明のオリゴヌクレオチドの使用も提供される。
【0041】
免疫応答を刺激するための本発明のオリゴヌクレオチドの医薬品を製造するための方法も提供される。
【0042】
本発明の制限の各々は、本発明の様々な実施形態を包含することがある。したがって、いずれか1つの要素または要素の組合せが関わる本発明の制限の各々は、本発明の各態様に包含されることがあると予測される。本発明は、その用途において、以下の説明に記載されているか、または図面に例示されている構築の詳細および構成要素の配置に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施するか、または行うことが可能である。また、本明細書において使用される言い回しおよび用語は、説明のためであり、制限していると見なされるべきではない。本明細書において、「包含する(including)」、「含む(comprising)」、または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関わる(involving)」、およびそれらの変形形態の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、免疫学の分野に関する。より具体的には、本発明は、増強された免疫刺激能力を有する治療用オリゴヌクレオチドに関する。
【背景技術】
【0002】
細菌DNAは、B細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化するための免疫刺激効果を有しているが、脊椎動物DNAは、そのような効果を有していない(Tokunaga,T.、他、1988.Jpn.J.Cancer Res.79:682〜686;Tokunaga,T.、他、1984、JNCI 72:955〜962;Messina,J.P.、他、1991、J.Immunol.147:1759〜1764;およびKrieg、1998、Applied Oligonucleotide Technology、C.A.SteinおよびA.M.Krieg、(編)、John Wiley and Sons,Inc.、New York、NY、431〜448ページで概説されている)。現在、細菌DNAのこれらの免疫刺激効果は、特定の塩基コンテクスト(CpGモチーフ)中の、細菌DNAに共通しているが、脊椎動物DNAではメチル化されていて占める割合が低い非メチル化CpGジヌクレオチドの存在の結果であると理解されている(Krieg他、1995 Nature 374:546〜549;Krieg、1999 Biochim.Biophys.Acta 93321:1〜10)。細菌DNAの免疫刺激効果は、これらのCpGモチーフを含有する合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)で模倣することができる。そのようなCpG ODNは、B細胞増殖;サイトカインおよび免疫グロブリン分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞溶解活性およびIFN−γ分泌;ならびに共刺激分子を発現し、サイトカイン、特に、Th1様T細胞応答の発現を促進するのに重要であるTh1様サイトカインを分泌するための樹状細胞(DC)および他の抗原提示細胞の活性化を包含する、ヒトおよびマウス白血球に対する高い刺激効果を有する。これら天然のホスホジエステル主鎖CpG ODNの免疫刺激効果は、CpGモチーフがメチル化されている、GpCに変化している、さもなければ除去または改変されている場合にその効果が劇的に低下するという点で、高度にCpG特異的である(Krieg他、1995 Nature 374:546〜549;Hartmann他、1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305〜10)。
【0003】
初期の研究において、免疫刺激性CpGモチーフは、プリン−プリン−CpG−ピリミジン−ピリミジンという式に従っていると考えられていた(Krieg他、1995 Nature 374:546〜549;Pisetsky、1996 J.Immunol.156:421〜423;Hacker他、1998 EMBO J.17:6230〜6240;Lipford他、1998 Trends in Microbiol.6:496〜500)。しかしながら、現在、マウスリンパ球は、この「式」に従っていないホスホジエステルCpGモチーフに対して十分に応答し(Yi他、1998 J.Immunol.160:5898〜5906)、同様のことは、ヒトのB細胞および樹状細胞に当てはまることが明らかになっている(Hartmann他、1999 Proc.Natl.Acad.Sci USA 96:9305〜10;Liang、1996 J.Clin.Invest.98:1119〜1129)。
【0004】
最近になって、CpG核酸のいくつかの異なるクラスが記載されている。1つのクラスは、B細胞を活性化することについては強力であるが、IFN−γを誘導することおよびNK細胞活性化においては比較的弱く;このクラスは、Bクラスと名付けられている。BクラスCpG核酸は、典型的には、完全に安定化されており、特定の好ましい塩基コンテクスト内に非メチル化CpGジヌクレオチドを包含する。例えば、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を参照されたい。CpG核酸の別のクラスは、B細胞およびNK細胞を活性化し、IFN−αを誘導し;このクラスは、Cクラスと名付けられている。CクラスCpG核酸は、最初に特徴付けられたように、典型的には、完全に安定化されており、Bクラス型配列およびGCリッチなパリンドロームまたはニヤーパリンドローム(near−palindrome)を包含する。このクラスは、同時係属の、2001年8月17日に出願された米国仮特許出願第60/313,273号および2002年8月19日に出願されたUS10/224,523ならびに国際公開番号WO03/015711として公開された関連するPCT特許出願PCT/US02/26468に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、増強された免疫刺激能力を誘発する1つまたは複数の修飾を含むオリゴヌクレオチドに関する。特に、本発明は、少なくとも1つの親油性置換ヌクレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチドの特定のサブクラスが、免疫応答を媒介するのに極めて有効であるという知見に基づいている。これらのオリゴヌクレオチドは、免疫応答を誘導するのに、ならびに癌およびウイルス感染などの疾患および障害を治療するのに治療的および予防的に有用である。
【0007】
一態様において、本発明は、配列:R1YZR2(式中、R1およびR2は、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)、ヌクレオチド、および結合を表し、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)であり、Yは、ピリミジンヌクレオチドであり、Zは、プリン、ピリミジン、または脱塩基残基である)を含む組成物である。
【0008】
一部の実施形態において、Lは、5または6員環核酸塩基類似体を含む。
【0009】
本発明の態様の他の実施形態において、Lは、以下の要素を有する式I
【0010】
【化1】
の基であり、A、B、X、D、E、およびFは、水素または置換基を有していてもよいC(炭素)またはN(窒素)であり、nは、0または1であり、点線は、任意選択の二重結合を示し、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノ、メチルおよび水素からなる群から選択されず、A、B、X、D、E、およびF原子の合計は、3窒素(N)以下である。一部の場合に、nは、1であり、他の場合に、nは、0である。一部の実施形態において、すべての原子A、B、X、D、E、Fは、炭素(C)である。一部の実施形態において、原子A、B、X、D、E、Fのうちの1つ、2つまたは3つは、窒素(N)である。一部の実施形態によれば、原子A、B、X、D、E、Fのうちの少なくとも1つは、以下の、F、Cl、Br、I、アルキル、アルケニル、アルキニル(alkinyl)、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、およびイミノのうちの1つにより置換されており、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノまたはメチルではない。さらに他の実施形態によれば、2つの原子AまたはEのうちの1つは、以下のF、Cl、Br、I、C2〜C6−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、またはメチルのうちの1つにより置換されており、ただし、メチルの場合、A、B、X、D、E、およびFは、すべてCである。
【0011】
一部の実施形態において、式Iは、置換されているピリミジン、ウラシル、トルエン、イミダゾールまたはピラゾールまたはトリアゾールを含む。他の実施形態によれば、式Iは、以下の、5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ヨード−ウラシル、5−エチル−ウラシル、5−プロピル−ウラシル、5−プロピニル(propinyl)−ウラシル、(E)−5−(2−ブロモビニル)−ウラシル、および2.4−ジフルオロ−トルエンから選択される。本発明の一実施形態によれば、式Iは、3〜6員の芳香族または脂肪族環系と縮合している。他の実施形態によれば、式Iは、ペントースまたはヘキソースを包含する5〜6員糖部分に連結している。一部の場合に、ペントースは、フラノースであり、ヘキソースは、ピラノースであり、それらは、F、アミノ、アルコキシ、アルコキシ−エトキシ、アモニプロピル(amonipropyl)、アルケニル、アルキニル、またはO2,C4−アルキレン橋により置換されていてもよい。他の場合に、フラノースは、リボースまたはデオキシリボースである。
【0012】
本発明の一部の実施形態によれば、R1とR2は、共にLである。一部の実施形態によれば、R1は、Lであり、R2は、ヌクレオチドである。あるいは、一部の場合に、オリゴヌクレオチドが構造5’R1CG3’を含むように、R1は、Lであり、R2は、結合である。他の実施形態は、オリゴヌクレオチドが構造5’R3R1YZ3’を含むように、R1が、Lであり、R2が、結合であり、R3が、R1YZの5’側にあるオリゴヌクレオチドを包含する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドが構造5’R1NR1YZ3’を含むように、R1は、Lであり、R2は、結合であり、第二のR1は、1つのヌクレオチドNを狭みR1YZの5’側にある。一部の場合に、オリゴヌクレオチドは、2つの5’R1NR1YZ3’モチーフを包含することがある。
【0013】
一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、以下のピリミジン、すなわち、シトシン、5−メチル−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ハロゲノ−シトシン、2−チオ−シトシン、4−チオ−シトシン、N3−メチル−シトシン、N4−アルキル−シトシンまたは6−置換シトシンのうちの1つであるYを包含する。
【0014】
一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、グアニン、7−デアザグアニン、ヒポキサンチン、7−デアザ−ヒポキサンチン、2−アミノ−プリン、4−チオ−プリン、2.6−ジアミノプリン、8−オキソ−7.8−ジヒドログアニン、7−チア−8−オキソ−7.8−ジヒドログアニン、7−アリル−8−オキソ−7.8−ジヒドログアニン、7−デアザ−8−アザ−グアニン、8−アザ−グアニン、N1−メチル−グアニンまたはプリンを包含するプリンヌクレオチドであるZを包含する。他の実施形態において、Zは、Tを包含するピリミジンヌクレオチドである。
【0015】
本発明の一部の実施形態によれば、R2は、Lであり、R1は、ヌクレオチドである。
【0016】
一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドの長さは、3〜100ヌクレオチドであり、例えば、オリゴヌクレオチドの長さは、3〜6ヌクレオチド、3〜100ヌクレオチド、または7〜100ヌクレオチドである。一部の環境において、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドの少なくとも80%がTであるように、Tリッチである。
【0017】
本発明は、少なくとも1つのパリンドローム配列を含む実施形態を包含する。例えば、一部の場合に、オリゴヌクレオチドは、2つのパリンドローム配列を包含する。
【0018】
本発明によれば、一部の実施形態は、1〜4個の非メチル化CGジヌクレオチドを包含する。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの(G)m配列(式中、mは、4〜10である)を包含することがある。一部の場合に、すべてまでとは言わないが、少なくとも1つのCGジヌクレオチドは、メチル化されていない。一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、非ヌクレオチド修飾をさらに含むことがある。非ヌクレオチド修飾は、C6〜C48−ポリエチレングリコール、C3〜C20−アルカン−ジオール、C3〜C18−アルキルアミノリンカー、C3〜C18−アルキルチオールリンカー、コレステロール、胆汁酸、飽和または不飽和脂肪酸、フォレート、ヘキサデシル−グリセロールまたはジヘキサデシル−グリセロール基、オクタデシル−グリセロールまたはジオクタデシル−グリセロール基、ビタミンE基を包含するが、これらに限定されるものではない。他の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、非ヌクレオチドブランチャー部分またはヌクレオチドブランチャー部分をさらに含む。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが少なくとも2つの5’末端を有するブランチャー部分を包含する。
【0019】
本発明によれば、一部の実施形態は、鏡像異性混合物か鏡像異性的に純粋なS−またはR−立体配置のどちらかとして、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ボラノホスホネート、ホスホルアミデート、またはデホスホ結合を包含する安定化された結合を有するオリゴヌクレオチドのうちの少なくとも2つのヌクレオチドを包含する。
【0020】
さらに、一部の実施形態において、R1YZR2のYZは、ホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合を有する。一部の場合に、R1YZR2のR1Yおよび/またはZR2は、ホスホロチオエート結合を有する。一部の実施形態において、すべての他のヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合を有する。
【0021】
本発明の一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、脂質担体を包含するマイクロキャリアを含まない。
【0022】
本発明によれば、オリゴヌクレオチドは、Aクラスオリゴヌクレオチド、Bクラスオリゴヌクレオチド、Cクラスオリゴヌクレオチド、PクラスオリゴヌクレオチドまたはTクラスオリゴヌクレオチドであってもよい。本発明のBクラスオリゴヌクレオチドの場合、一部の実施形態は、配列5’TCN1TX1X2CGX3X43’(式中、X1は、GまたはAであり、X2は、T、G、またはAであり、X3は、TまたはCであり、X4は、TまたはCであり、Nは、任意のヌクレオチドであり、N1およびN2は、各々約0〜25Nの核酸配列である)を包含する。
【0023】
本発明の一部の実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの3’−3’結合および/または少なくとも1つの5’−5’結合を含む。
【0024】
別の態様において、本発明は、抗原または抗微生物薬などの他の治療用化合物と組み合わせた本明細書に記載されているオリゴヌクレオチドの組成物である。抗微生物薬は、例えば、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、抗細菌薬または抗真菌薬であってもよい。
【0025】
本明細書に記載されているオリゴヌクレオチドを包含する持続放出装置の組成物は、本発明の別の態様に従って提供される。
【0026】
組成物は、医薬担体を包含していてよく、かつ/または送達装置に製剤化されることがある。一部の実施形態において、送達装置は、陽イオン性脂質、細胞透過性タンパク質、および持続放出装置からなる群から選択される。一実施形態において、持続放出装置は、生分解性ポリマーまたは微小粒子である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、免疫応答を刺激する方法が提供される。方法は、対象において免疫応答を誘導するのに有効な量で対象にオリゴヌクレオチドを投与するものである。オリゴヌクレオチドは、経口的に、局所的に、持続放出装置で、粘膜に、全身的に、非経口的に、または筋肉内に投与されることが好ましい。オリゴヌクレオチドが粘膜表面に投与される場合、オリゴヌクレオチドは、粘膜免疫応答または全身免疫応答を誘導するのに有効な量で送達されることがある。好ましい実施形態において、粘膜表面は、口腔、鼻腔、直腸、膣、および眼の表面からなる群から選択される。
【0028】
一部の実施形態において、方法は、免疫応答が抗原特異的免疫応答である、対象を抗原に曝露することを包含する。一部の実施形態において、抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原およびペプチド抗原からなる群から選択される。
【0029】
オリゴヌクレオチドは、癌を有する対象または癌を発症する危険性がある対象において癌を治療する(例えば、癌を発症する危険性を軽減する)のに有用である。癌は、胆道癌、乳癌、子宮頚癌、絨毛癌、大腸癌、子宮内膜癌、胃癌、上皮内新生物、リンパ腫、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞および非小細胞)、黒色腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、甲状腺癌、および腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫からなる群から選択することができる。一部の重要な実施形態において、癌は、骨癌、脳腫瘍およびCNS癌、結合組織癌、食道癌、眼癌、ホジキンリンパ腫、喉頭癌、口腔癌、皮膚癌、ならびに精巣癌からなる群から選択される。
【0030】
オリゴヌクレオチドは、場合により、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが抗癌療法と併せて投与される場合、癌療法(例えば、抗癌療法)に対する癌細胞の応答性を高めるために使用されることもある。抗癌療法は、化学療法、ワクチン(例えば、in vitroで初回刺激を受けた樹状細胞ワクチンまたは癌抗原ワクチン)または抗体ベースの療法であってもよい。この後者の療法は、免疫応答が抗体依存性細胞傷害(ADCC)をもたらす、例えば、癌細胞の細胞表面抗原に特異的な抗体を投与するものであってもよい。一実施形態において、抗体は、リブタキシン(Ributaxin)、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス(Panorex)、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム(Oncolym)、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス(Ovarex)、ベクサー、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット(Pretarget)、ノボMAb(NovoMAb)−G2、TNT、グリオマブ(Gliomab)−H、GNI−250、EMD−72000、リンフォサイド(LymphoCide)、CMA676、モノファーム(Monopharm)−C、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10Ab、SMART ABL364AbおよびImmuRAIT−CEAからなる群から選択することができる。
【0031】
したがって、本発明の一部の態様によれば、癌を有するまたは癌を有する危険性がある対象は、オリゴヌクレオチドおよび抗癌療法を投与される。一部の実施形態において、抗癌療法は、化学療法薬、免疫療法薬および癌ワクチンからなる群から選択される。
【0032】
他の態様における本発明は、対象において疾患を予防するための方法に関する。方法は、対象において疾患を予防するための免疫系応答性を促進するために、定期的にオリゴヌクレオチドを対象に投与するものである。本発明の予防的方法を用いて予防しようとする疾患または状態の例は、微生物感染(例えば、性感染疾患)および食物アレルギー由来のアナフィラキシーショックを包含する。
【0033】
他の態様において、本発明は、先天性免疫応答を活性化するのに有効な量でオリゴヌクレオチドを対象に投与することにより先天性免疫応答を誘導するための方法である。
【0034】
本発明の別の態様によれば、ウイルスまたはレトロウイルス感染を治療するための方法が提供される。方法は、ウイルスまたはレトロウイルス感染を有するか、またはウイルスもしくはレトロウイルス感染を有する危険性がある対象に、ウイルスまたはレトロウイルス感染を治療するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与するものである。一部の実施形態において、ウイルスは、肝炎ウイルス、例えば、B型肝炎、C型肝炎、HIV、ヘルペスウイルス、またはパピローマウイルスにより引き起こされる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、細菌感染を治療するための方法が提供される。方法は、細菌感染を有するか、または細菌感染を有する危険性がある対象に、細菌感染を治療するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与するものである。一実施形態において、細菌感染は、細胞内細菌が原因である。
【0036】
別の態様において、本発明は、寄生虫感染を有するか、または寄生虫感染を有する危険性がある対象に、寄生虫感染を治療するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与することにより寄生虫感染を治療するための方法である。一実施形態において、寄生虫感染は、細胞内寄生虫が原因である。別の態様において、寄生虫感染は、非蠕虫(non−helminthic)寄生虫が原因である。
【0037】
一部の実施形態において、対象は、ヒトであり、他の実施形態において、対象は、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、シチメンチョウ、ヤギ、魚、サル、ニワトリ、ラット、マウス、およびヒツジからなる群から選択される非ヒト脊椎動物である。
【0038】
別の態様において、本発明は、自己免疫疾患を有するか、または自己免疫疾患を有する危険性がある対象に、自己免疫疾患を治療または予防するのに有効な量の本発明の組成物のいずれかを投与することにより自己免疫疾患を治療するための方法に関する。
【0039】
本発明は、一部の態様において、対象において気道リモデリング、喘息またはアレルギーを治療するのに有効な量で、本発明の組成物のいずれかを対象に投与することを含む気道リモデリング、喘息またはアレルギーを治療するための方法である。一実施形態において、対象は、喘息、慢性閉塞性肺疾患を有するか、または喫煙者である。他の実施形態において、対象は、喘息の症状がない。
【0040】
本発明の態様として、免疫応答を刺激するための本発明のオリゴヌクレオチドの使用も提供される。
【0041】
免疫応答を刺激するための本発明のオリゴヌクレオチドの医薬品を製造するための方法も提供される。
【0042】
本発明の制限の各々は、本発明の様々な実施形態を包含することがある。したがって、いずれか1つの要素または要素の組合せが関わる本発明の制限の各々は、本発明の各態様に包含されることがあると予測される。本発明は、その用途において、以下の説明に記載されているか、または図面に例示されている構築の詳細および構成要素の配置に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施するか、または行うことが可能である。また、本明細書において使用される言い回しおよび用語は、説明のためであり、制限していると見なされるべきではない。本明細書において、「包含する(including)」、「含む(comprising)」、または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関わる(involving)」、およびそれらの変形形態の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列R1YZR2(式中、R1およびR2は、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)、ヌクレオチド、および結合からなる群から選択され、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)であり、Yは、ピリミジンヌクレオチドであり、Zは、プリン、ピリミジン、または脱塩基残基である)を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
Lが、5または6員環核酸塩基類似体を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
Lが式Iの基を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド
【化1】
(式中、
A、B、X、D、E、およびFは、水素または置換基を有していてもよいC(炭素)またはN(窒素)から選択され、
nは、0または1であり、
点線は、任意選択の二重結合を示し、
少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノ、メチルおよび水素からなる群から選択されることはなく、A、B、X、D、E、およびF原子の合計は、3窒素(N)以下である)。
【請求項4】
nが1である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
nが0である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
すべての原子A、B、X、D、E、Fが炭素(C)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの1つが窒素(N)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの2つが窒素(N)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの3つが窒素(N)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの少なくとも1つが、
F、Cl、Br、I、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、およびイミノからなる群のメンバーにより置換されており、少なくとも1つの置換基が、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノおよびメチルではない、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
2つの原子AまたはEのうちの1つが、
F、Cl、Br、I、C2〜C6−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、またはメチルにより置換されており、ただし、メチルの場合、A、B、X、D、E、およびFが、すべてCである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
式Iが置換ピリミジンを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
式Iが置換ウラシルを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
式Iが置換トルエンを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
式Iが置換イミダゾールまたは置換ピラゾールを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
式Iが置換トリアゾールを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
式Iが、5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシルまたは5−ヨード−ウラシルである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
式Iが、5−エチル−ウラシルまたは5−プロピル−ウラシルである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
式Iが、5−プロピニル−ウラシルまたは(E)−5−(2−ブロモビニル)−ウラシルである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
式Iが、2、4−ジフルオロ−トルエンである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
式Iが、3〜6員の芳香族または脂肪族環系と縮合している、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
式Iが、5〜6員糖部分と連結している、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
5〜6員糖部分が、ペントースまたはヘキソースである、請求項22に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
ペントースがフラノースであり、ヘキソースがピラノースであり、それらが、F、アミノ、アルコキシ、アルコキシ−エトキシ、アミノプロピル、アルケニル、アルキニル、またはO2,C4−アルキレン橋により置換されていてもよい、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
フラノースが、リボースまたはデオキシリボースである、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
R1とR2が共にLである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
R1がLであり、R2がヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
オリゴヌクレオチドが構造5’R1CG3’を含むように、R1がLであり、R2が結合である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項29】
オリゴヌクレオチドが構造5’R3R1YZ3’を含むように、R1がLであり、R2が結合であり、R3が、R1YZの5’側にある、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項30】
オリゴヌクレオチドが構造5’R1NR1YZ3’を含むように、R1がLであり、R2が結合であり、第二のR1が、1つのヌクレオチドNを狭みR1YZの5’側にある、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項31】
2つの5’R1NR1YZ3’モチーフを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項32】
Yが、シトシン、5−メチル−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ハロゲノ−シトシン、2−チオ−シトシン、4−チオ−シトシン、N3−メチル−シトシン、N4−アルキル−シトシンまたは6−置換シトシンからなる群から選択されるピリミジンを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項33】
Zがプリンヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項34】
Zが、グアニン、7−デアザグアニン、ヒポキサンチン、7−デアザ−ヒポキサンチン、2−アミノ−プリン、4−チオ−プリン、2、6−ジアミノプリン、8−オキソ−7、8−ジヒドログアニン、7−チア−8−オキソ−7、8−ジヒドログアニン、7−アリル−8−オキソ−7、8−ジヒドログアニン、7−デアザ−8−アザ−グアニン、8−アザ−グアニン、N1−メチルグアニンまたはプリンからなる群から選択されるプリンを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項35】
Zがピリミジンヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項36】
ZがTである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項37】
R2がLであり、R1がヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項38】
オリゴヌクレオチドの長さが3ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項39】
オリゴヌクレオチドの長さが3〜6ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項40】
オリゴヌクレオチドの長さが3〜100ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項41】
オリゴヌクレオチドの長さが7〜100ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項42】
オリゴヌクレオチドが、Tリッチである、請求項41に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項43】
オリゴヌクレオチドが、少なくとも80%のTを包含する、請求項42に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項44】
少なくとも1つのパリンドローム配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項45】
2つのパリンドローム配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項46】
1〜4個の非メチル化CGジヌクレオチドを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項47】
少なくとも1つの(G)m配列(式中、mは、4〜10である)を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項48】
少なくとも1つのメチル化CGジヌクレオチドを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項49】
すべてのCGジヌクレオチドがメチル化されていない、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項50】
非ヌクレオチド修飾をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項51】
非ヌクレオチド修飾が、C6〜C48−ポリエチレングリコール、C3〜C20−アルカン−ジオール、C3〜C18−アルキルアミノリンカー、およびC3〜C18−アルキルチオールリンカーからなる群から選択される、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項52】
非ヌクレオチド修飾が、コレステロール、胆汁酸、飽和または不飽和脂肪酸、およびフォレートからなる群から選択される、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項53】
非ヌクレオチド修飾が、ヘキサデシル−グリセロールまたはジヘキサデシル−グリセロール基である、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項54】
非ヌクレオチド修飾が、オクタデシル−グリセロールまたはジオクタデシル−グリセロール基である、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項55】
非ヌクレオチド修飾が、ビタミンE基である、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項56】
非ヌクレオチドブランチャー部分をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項57】
ヌクレオチドブランチャー部分をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項58】
オリゴヌクレオチドが少なくとも2つの5’末端を有するブランチャー部分をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項59】
オリゴヌクレオチドの少なくとも2つのヌクレオチドが安定化された結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項60】
安定化された結合が、鏡像異性の混合物か鏡像異性的に純粋なS−またはR−立体配置のどちらかとしての、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ボラノホスホネート、ホスホルアミデート、またはデホスホ結合である、請求項59に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項61】
R1YZR2のYZが、ホスホジエステル結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項62】
R1YZR2のYZが、ホスホロチオエート結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項63】
R1YZR2のR1Yが、ホスホロチオエート結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項64】
R1YZR2のZR2が、ホスホロチオエート結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項65】
すべての他のヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合を有する、請求項61に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項66】
オリゴヌクレオチドがマイクロキャリアを含まない、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項67】
オリゴヌクレオチドが脂質担体を含まない、請求項66に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項68】
オリゴヌクレオチドがAクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項69】
オリゴヌクレオチドがBクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項70】
Bクラスオリゴヌクレオチドが、配列5’TCN1TX1X2CGX3X43’(式中、X1は、GまたはAであり、X2は、T、G、またはAであり、X3は、TまたはCであり、X4は、TまたはCであり、Nは、任意のヌクレオチドであり、N1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である)を有する、請求項69に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項71】
オリゴヌクレオチドがCクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項72】
オリゴヌクレオチドがPクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項73】
オリゴヌクレオチドがTクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項74】
オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの3’−3’結合を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項75】
オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの5’−5’結合を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項76】
免疫細胞を請求項1から75のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドと接触させることを含む免疫応答を誘導するための方法。
【請求項77】
免疫応答がIFN−α誘導である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
抗原をさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
オリゴヌクレオチドが、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、眼、呼吸器、直接注射、および皮内からなる群から選択される経路により送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
オリゴヌクレオチドまたは組成物が、サイトカインおよび/またはケモカイン発現を誘導するのに有効な量で対象に送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
対象に追加の免疫モジュレーターを投与することをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
オリゴヌクレオチドが、対象において自己免疫疾患を治療するために対象に送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
オリゴヌクレオチドが、対象において気道リモデリングを治療するために対象に送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
オリゴヌクレオチドが、対象に抗原なしに投与される、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
癌を有する対象を治療するための方法であって、
対象に、癌を治療するのに有効な量で請求項1から75のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドを投与することを含む方法。
【請求項86】
癌が、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳腫瘍およびCNS癌;乳癌;子宮頚癌;絨毛癌;大腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を包含するリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;腎臓癌;呼吸器系の癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;尿路系の癌、ならびに他の癌腫および肉腫からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
対象に、抗癌医薬品または抗癌治療、例えば、化学療法薬、放射線を投与することをさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
オリゴヌクレオチドが、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、眼、呼吸器、直接注射、および経皮からなる群から選択される経路により送達される、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
対象が、手術で治療される、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
ウイルス感染を有する、またはウイルス感染を有する危険性がある対象を治療するための方法であって、
ウイルス感染を有する、またはウイルス感染を有する危険性がある対象に、ウイルス感染を治療するのに有効な量で請求項1から75のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドを投与することを含む方法。
【請求項91】
ウイルス感染が、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)またはヒトパピローマウイルス(HPV)により引き起こされる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
オリゴヌクレオチドが、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、眼、呼吸器、直接注射、および経皮からなる群から選択される経路により送達される、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
抗ウイルス薬をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
対象が、非CpG抗ウイルス療法に対して非応答性である、請求項90に記載の方法。
【請求項1】
配列R1YZR2(式中、R1およびR2は、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)、ヌクレオチド、および結合からなる群から選択され、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)であり、Yは、ピリミジンヌクレオチドであり、Zは、プリン、ピリミジン、または脱塩基残基である)を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
Lが、5または6員環核酸塩基類似体を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
Lが式Iの基を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド
【化1】
(式中、
A、B、X、D、E、およびFは、水素または置換基を有していてもよいC(炭素)またはN(窒素)から選択され、
nは、0または1であり、
点線は、任意選択の二重結合を示し、
少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノ、メチルおよび水素からなる群から選択されることはなく、A、B、X、D、E、およびF原子の合計は、3窒素(N)以下である)。
【請求項4】
nが1である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
nが0である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
すべての原子A、B、X、D、E、Fが炭素(C)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの1つが窒素(N)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの2つが窒素(N)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの3つが窒素(N)である、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
原子A、B、X、D、E、Fのうちの少なくとも1つが、
F、Cl、Br、I、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、およびイミノからなる群のメンバーにより置換されており、少なくとも1つの置換基が、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノおよびメチルではない、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
2つの原子AまたはEのうちの1つが、
F、Cl、Br、I、C2〜C6−アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、またはメチルにより置換されており、ただし、メチルの場合、A、B、X、D、E、およびFが、すべてCである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
式Iが置換ピリミジンを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
式Iが置換ウラシルを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
式Iが置換トルエンを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項15】
式Iが置換イミダゾールまたは置換ピラゾールを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項16】
式Iが置換トリアゾールを含む、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項17】
式Iが、5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシルまたは5−ヨード−ウラシルである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項18】
式Iが、5−エチル−ウラシルまたは5−プロピル−ウラシルである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項19】
式Iが、5−プロピニル−ウラシルまたは(E)−5−(2−ブロモビニル)−ウラシルである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項20】
式Iが、2、4−ジフルオロ−トルエンである、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項21】
式Iが、3〜6員の芳香族または脂肪族環系と縮合している、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項22】
式Iが、5〜6員糖部分と連結している、請求項3に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項23】
5〜6員糖部分が、ペントースまたはヘキソースである、請求項22に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項24】
ペントースがフラノースであり、ヘキソースがピラノースであり、それらが、F、アミノ、アルコキシ、アルコキシ−エトキシ、アミノプロピル、アルケニル、アルキニル、またはO2,C4−アルキレン橋により置換されていてもよい、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項25】
フラノースが、リボースまたはデオキシリボースである、請求項23に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項26】
R1とR2が共にLである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項27】
R1がLであり、R2がヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項28】
オリゴヌクレオチドが構造5’R1CG3’を含むように、R1がLであり、R2が結合である、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項29】
オリゴヌクレオチドが構造5’R3R1YZ3’を含むように、R1がLであり、R2が結合であり、R3が、R1YZの5’側にある、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項30】
オリゴヌクレオチドが構造5’R1NR1YZ3’を含むように、R1がLであり、R2が結合であり、第二のR1が、1つのヌクレオチドNを狭みR1YZの5’側にある、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項31】
2つの5’R1NR1YZ3’モチーフを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項32】
Yが、シトシン、5−メチル−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ハロゲノ−シトシン、2−チオ−シトシン、4−チオ−シトシン、N3−メチル−シトシン、N4−アルキル−シトシンまたは6−置換シトシンからなる群から選択されるピリミジンを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項33】
Zがプリンヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項34】
Zが、グアニン、7−デアザグアニン、ヒポキサンチン、7−デアザ−ヒポキサンチン、2−アミノ−プリン、4−チオ−プリン、2、6−ジアミノプリン、8−オキソ−7、8−ジヒドログアニン、7−チア−8−オキソ−7、8−ジヒドログアニン、7−アリル−8−オキソ−7、8−ジヒドログアニン、7−デアザ−8−アザ−グアニン、8−アザ−グアニン、N1−メチルグアニンまたはプリンからなる群から選択されるプリンを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項35】
Zがピリミジンヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項36】
ZがTである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項37】
R2がLであり、R1がヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項38】
オリゴヌクレオチドの長さが3ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項39】
オリゴヌクレオチドの長さが3〜6ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項40】
オリゴヌクレオチドの長さが3〜100ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項41】
オリゴヌクレオチドの長さが7〜100ヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項42】
オリゴヌクレオチドが、Tリッチである、請求項41に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項43】
オリゴヌクレオチドが、少なくとも80%のTを包含する、請求項42に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項44】
少なくとも1つのパリンドローム配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項45】
2つのパリンドローム配列を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項46】
1〜4個の非メチル化CGジヌクレオチドを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項47】
少なくとも1つの(G)m配列(式中、mは、4〜10である)を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項48】
少なくとも1つのメチル化CGジヌクレオチドを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項49】
すべてのCGジヌクレオチドがメチル化されていない、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項50】
非ヌクレオチド修飾をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項51】
非ヌクレオチド修飾が、C6〜C48−ポリエチレングリコール、C3〜C20−アルカン−ジオール、C3〜C18−アルキルアミノリンカー、およびC3〜C18−アルキルチオールリンカーからなる群から選択される、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項52】
非ヌクレオチド修飾が、コレステロール、胆汁酸、飽和または不飽和脂肪酸、およびフォレートからなる群から選択される、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項53】
非ヌクレオチド修飾が、ヘキサデシル−グリセロールまたはジヘキサデシル−グリセロール基である、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項54】
非ヌクレオチド修飾が、オクタデシル−グリセロールまたはジオクタデシル−グリセロール基である、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項55】
非ヌクレオチド修飾が、ビタミンE基である、請求項50に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項56】
非ヌクレオチドブランチャー部分をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項57】
ヌクレオチドブランチャー部分をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項58】
オリゴヌクレオチドが少なくとも2つの5’末端を有するブランチャー部分をさらに含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項59】
オリゴヌクレオチドの少なくとも2つのヌクレオチドが安定化された結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項60】
安定化された結合が、鏡像異性の混合物か鏡像異性的に純粋なS−またはR−立体配置のどちらかとしての、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ボラノホスホネート、ホスホルアミデート、またはデホスホ結合である、請求項59に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項61】
R1YZR2のYZが、ホスホジエステル結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項62】
R1YZR2のYZが、ホスホロチオエート結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項63】
R1YZR2のR1Yが、ホスホロチオエート結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項64】
R1YZR2のZR2が、ホスホロチオエート結合を有する、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項65】
すべての他のヌクレオチドが、ホスホロチオエート結合を有する、請求項61に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項66】
オリゴヌクレオチドがマイクロキャリアを含まない、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項67】
オリゴヌクレオチドが脂質担体を含まない、請求項66に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項68】
オリゴヌクレオチドがAクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項69】
オリゴヌクレオチドがBクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項70】
Bクラスオリゴヌクレオチドが、配列5’TCN1TX1X2CGX3X43’(式中、X1は、GまたはAであり、X2は、T、G、またはAであり、X3は、TまたはCであり、X4は、TまたはCであり、Nは、任意のヌクレオチドであり、N1およびN2は、各々約0〜25Nからなる核酸配列である)を有する、請求項69に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項71】
オリゴヌクレオチドがCクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項72】
オリゴヌクレオチドがPクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項73】
オリゴヌクレオチドがTクラスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項74】
オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの3’−3’結合を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項75】
オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの5’−5’結合を含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項76】
免疫細胞を請求項1から75のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドと接触させることを含む免疫応答を誘導するための方法。
【請求項77】
免疫応答がIFN−α誘導である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
抗原をさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
オリゴヌクレオチドが、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、眼、呼吸器、直接注射、および皮内からなる群から選択される経路により送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
オリゴヌクレオチドまたは組成物が、サイトカインおよび/またはケモカイン発現を誘導するのに有効な量で対象に送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
対象に追加の免疫モジュレーターを投与することをさらに含む、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
オリゴヌクレオチドが、対象において自己免疫疾患を治療するために対象に送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
オリゴヌクレオチドが、対象において気道リモデリングを治療するために対象に送達される、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
オリゴヌクレオチドが、対象に抗原なしに投与される、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
癌を有する対象を治療するための方法であって、
対象に、癌を治療するのに有効な量で請求項1から75のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドを投与することを含む方法。
【請求項86】
癌が、基底細胞癌、胆道癌;膀胱癌;骨癌;脳腫瘍およびCNS癌;乳癌;子宮頚癌;絨毛癌;大腸および直腸癌;結合組織癌;消化器系の癌;子宮内膜癌;食道癌;眼癌;頭頸部癌;胃癌;上皮内新生物;腎臓癌;喉頭癌;白血病;肝臓癌;肺癌;ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を包含するリンパ腫;黒色腫;骨髄腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸癌;腎臓癌;呼吸器系の癌;肉腫;皮膚癌;胃癌;精巣癌;甲状腺癌;子宮癌;尿路系の癌、ならびに他の癌腫および肉腫からなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
対象に、抗癌医薬品または抗癌治療、例えば、化学療法薬、放射線を投与することをさらに含む、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
オリゴヌクレオチドが、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、眼、呼吸器、直接注射、および経皮からなる群から選択される経路により送達される、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
対象が、手術で治療される、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
ウイルス感染を有する、またはウイルス感染を有する危険性がある対象を治療するための方法であって、
ウイルス感染を有する、またはウイルス感染を有する危険性がある対象に、ウイルス感染を治療するのに有効な量で請求項1から75のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドを投与することを含む方法。
【請求項91】
ウイルス感染が、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)またはヒトパピローマウイルス(HPV)により引き起こされる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
オリゴヌクレオチドが、経口、鼻腔、舌下、静脈内、皮下、粘膜、眼、呼吸器、直接注射、および経皮からなる群から選択される経路により送達される、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
抗ウイルス薬をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
対象が、非CpG抗ウイルス療法に対して非応答性である、請求項90に記載の方法。
【図1】本発明の修飾塩基の構造を例示する2つの図面である。図1aは、CpG六量体モチーフ(GTCGTT)のあるセクションを示している。図1bは、組み入れられた2’−デオキシチミジンの疎水性形類似体:2,4−ジフルオロトルエン(FF)、5−ブロモウリジン(BU)および5−ヨードウリジン(JU)を示している。
【図2】チミン形類似体2,4−ジフルオロトルエン(FF)で修飾されたBクラスオリゴヌクレオチド(ODN)についてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。FF修飾ODN(配列番号3〜9)の活性を、非修飾Bクラス親配列(配列番号1)、完全PS親配列(配列番号2)、および第三の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量のODNで刺激し、NF−κB刺激を、16時間後にルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図3】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。チミジン(T)を、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)(配列番号10〜12)および5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)(配列番号13〜15)で置換した。それらの活性を、非修飾Bクラス親配列(配列番号1)、完全PS親配列(配列番号2)、および第三の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量のODNで刺激し、NF−κB刺激を、16時間後にルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図4】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。2’−デオキシチミジン(T)を、2’−デオキシウリジン(U)(配列番号16〜18)で置換した。U修飾ODNの活性を、非修飾Bクラス親配列(配列番号1)、完全PS親配列(配列番号2)、および第三の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量のODNで刺激し、NF−κB刺激を、16時間後にルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図5】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイおよびPBMCアッセイの結果を示す2つのグラフである。5−エチル−2’−デオキシウリジン(EU)(配列番号42)、2’−デオキシウリジン(U)(配列番号16)、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)(配列番号13)、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)(配列番号10)、および5−クロロ−2’−デオキシウリジン(CU)(配列番号41)を有するODNの相対活性を、親配列(配列番号1)の活性と比較した。図5aは、TLR9活性を示し、図5bは、IFN−α産生を示している。3名のドナーの平均+/−SEMを示す。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数(図5a)またはIFN−α濃度(pg/ml)(図5b)である。
【図6】EU修飾ODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。EU修飾ODN配列番号29、30、および42の活性を、親配列(配列番号1)および別の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図7】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾配列番号19〜24の活性を、親配列配列番号37の活性と比較した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図8】修飾AクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイおよびPBMCアッセイの結果を示す2つのグラフである。JU修飾配列番号35〜37の活性を、非修飾親配列(配列番号43)および非修飾BクラスODN配列番号1の活性と比較した。図8aは、TLR9活性を示し、図8bは、IFN−α産生を示している。3名のドナーの平均+/−SEMを示す。x軸は、logODN濃度(μM)(図8a)またはODN濃度(μM)(図8b)であり、y軸は、相対刺激指数(図8a)またはIFN−α濃度(pg/ml)(図8b)である。
【図9】修飾CクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾CクラスODN配列番号27〜28および44〜45の活性を、非修飾親配列配列番号45および非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図10】修飾PクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾配列番号31〜33の活性を、非修飾親配列(配列番号52)の活性と比較した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図11】修飾TクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾配列番号47〜50およびU修飾配列番号51の活性を、非修飾親配列配列番号25の活性と比較した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図12】短いODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾された短いODN配列番号39〜40の活性を、非修飾親配列配列番号38およびBクラスODN配列番号37の活性と比較した。ODNは、DOTAPと共に、およびDOTAPなしに製剤化した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図13】BALB/cマウス膵細胞を様々なODNと共に培養した膵細胞培養上清中のサイトカイン濃度を測定するELISAアッセイの結果を示す4つのグラフである。培養上清は、6時間目(TNF−αの場合)または24時間目(IL−6、IL−10およびIL−12の場合)に収集した。JU修飾BクラスODN(配列番号13)、非修飾BクラスODN(配列番号37)、非CpG陰性対照ODN(配列番号26)の活性を比較した。図13a〜dは、それぞれTNF−α、IL−6、IL−10、およびIL−12濃度を示している。x軸は、ODN濃度(μg/ml)であり、y軸は、サイトカイン濃度(pg/ml)である。
【図14】B細胞増殖のFACS分析の結果を示すグラフである。CFSE染色BALB/cマウス膵細胞(4×105/ウェル)を、ODN0.001、0.01、0.1、0.3、1、3または10μg/mlと共にインキュベートした。インキュベーションの72時間後に、細胞を、CD19について染色し、B細胞増殖を、FACSと、続くModFit Softwareによる解析により決定した。JU修飾BクラスODN(配列番号13)、非修飾BクラスODN(配列番号37)、および非CpG陰性対照ODN(配列番号26)の活性を比較した。x軸は、ODN濃度(μg/ml)であり、y軸は、相対B細胞増殖である。
【図15】ELISAにより測定されるようなin vivoサイトカイン産生を示す2つのグラフである。BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、ODN10、50または100μgを皮下注射した。対照群には、PBS100μlを単独で与えた。動物を、注射の1時間後(TNF−αの場合)または3時間後(IP−10の場合)に心臓穿刺により放血させ、血漿を、ELISAによりTNF−αおよびIP−10についてアッセイした。JU修飾BクラスODN(配列番号13)および非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性を比較した。図15aは、TNF−α濃度を示し、図15bは、IP−10濃度を示している。x軸は、ODN投与量(μg)であり、y軸は、サイトカイン濃度(pg/ml)である。
【図16】親配列(配列番号1)中のチミジンの代わりにユニバーサル塩基(6−ニトロベンズイミダゾール)を有するBクラスODN(配列番号178)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図17】親配列(配列番号1)中のチミジンの代わりに5−(2−ブロモビニル)−ウリジンを有するBクラスODN(配列番号153および154)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図18】親油性置換ヌクレオチド類似体の他に糖修飾(2’−O−メチルグアノシン)を有するBクラスODN(配列番号111〜113)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらのODNの活性を、親配列(配列番号1)および親油性置換ヌクレオチド類似体のみを有する同一配列(配列番号13)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図19】複数の5’接近可能末端を有する分岐BクラスODNによるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。分岐ODN(配列番号96、97、101、および102)の活性を、配列番号1の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図20】短い非修飾BクラスODN(配列番号38)ならびに親油性置換ヌクレオチド類似体および親油性3’タグを有する同一配列のODN(配列番号126)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。両方とも、DOTAPと共に、およびDOTAPなしに製剤化した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図21】親配列(配列番号1)のチミンの代わりに5−プロイニル(proynyl)−dUを有する2つのBクラスODN(配列番号116および117)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図22】親油性置換ヌクレオチド類似体の他に第二のヌクレオチド類似体を有するBクラスODN(配列番号138、7−デアザ−dG;配列番号139、イノシン;配列番号140、5−メチル−dC)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらのODNの活性を、親配列(配列番号1)および親油性置換ヌクレオチド類似体のみを有する同一配列(配列番号13)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図23】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するTクラスODN(配列番号132〜134)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらの活性を、免疫刺激性CクラスODN(配列番号198)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図24】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜63)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示す2つのグラフである。図24aは、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した配列番号58〜61の活性を示している。図24bは、同一の陽性対照および陰性対照の活性と比較した配列番号62〜63の活性を示している。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図25】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号64、66〜67)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらの活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図26】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜63)によるIFN−αの誘導を示す2つのグラフである。図26aは、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した配列番号58〜61の活性を示している。図26bは、同一の陽性対照および陰性対照の活性と比較した配列番号62〜63の活性を示している。ヒトPBMCを、48時間にわたって指示されたODNと共にインキュベートした。次いで、IFN−αを、ELISAにより細胞培養上清中で決定した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図27】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号64、66〜67)によるIFN−αの誘導を示すグラフである。これらの活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)の活性と比較する。ヒトPBMCを、48時間にわたって指示されたODNと共にインキュベートした。次いで、IFN−αを、ELISAにより細胞培養上清中で決定した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図28】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58、60〜62、図28a)(配列番号64および67、図28b)によるIL−6誘導を示す2つのグラフである。活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、および非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。3名のドナー由来のPBMCを、24時間にわたってODNと共にインキュベートし、上清を、ルミネックスにより分析した。平均+/−SEMを示す。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、IL−6濃度(pg/ml)である。
【図29】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスクラスODN(配列番号58、60〜62、図29a)(配列番号64および67、図29b)による処理後のB細胞増殖を示す2つのグラフである。活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、非修飾PクラスODN(配列番号56)、LPS、R−848、SEB、およびポリ[I]:[C]ODNの活性と比較した。3名のドナー由来のCFSE標識PBMCを、5日にわたってODNと共にインキュベートし、次いで、CD19抗体で染色した。CFSE染色が減少したB細胞の割合を決定した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、分裂後に染色が減少したB細胞の%である。
【図30】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58、60〜62、64および67)によるマウスIFN−αの誘導を示すグラフである。これらの活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)および陰性対照(配列番号26)の活性と比較する。BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、様々な投与量のODNを皮下注射した。動物を、注射の3時間後に放血させ、血漿を、ELISAによりIFN−αについて試験した。x軸は、ODN投与量(μg)であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図31】マウスSA1N腫瘍モデルにおける腫瘍体積に対するODNの効果を示す2つのグラフである。雌性A/Jマウス(1群当たり10匹)に、0日目に5×105SaI/N腫瘍細胞を皮下注射した。マウスを、腫瘍誘導後8日目に開始し、週に1回、皮下で与える35μg(図31a)または100μg(図31b)の親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号60、64および67)、非修飾CクラスODN、非修飾BクラスODN(配列番号55)、またはPBS単独で処置した。動物を、生存および腫瘍体積についてモニターした。腫瘍サイズ(長さおよび幅)を、デジタルノギスを用いて測定した。腫瘍体積を、式:腫瘍体積=(0.4)(ab2)(ここで、aは、長径であり、bは、短径である)を用いることにより計算した。x軸は、腫瘍誘導後の日数を示し、y軸は、腫瘍体積(mm3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、部分的に、増強された免疫刺激能力を示すCpGオリゴヌクレオチドに基づいている。CpGオリゴヌクレオチドは、例えば、トール様受容体9(TLR9)との相互作用を介して免疫系を刺激することが知られている。TLR9の刺激は、Th1偏向免疫応答の刺激、NK細胞活性化およびB細胞活性化を包含する多くの効果を有する。本発明は、一部の態様において、それらのTLR9との相互作用に影響を及ぼす変化した構造を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドの同定に関する。CpGモチーフの外側に親油性置換ヌクレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチドが、インターフェロン−α(IFN−α)産生を刺激し、TLR9活性化を誘導する増強された能力を有することが本発明者らにより発見された。この効果は、試験した免疫刺激性オリゴヌクレオチドのすべてのクラスにおいて観察されている。増強された刺激能力を有するこれらの修飾オリゴヌクレオチドは、Eクラスオリゴヌクレオチドと名付けられている。
【0045】
本発明のEクラス修飾オリゴヌクレオチドは、一部の場合に、増強された免疫応答を誘導する能力を有する。免疫応答の誘導とは、免疫細胞の数または活性の任意の増加、またはサイトカインなどの免疫因子の発現または絶対レベルの増加を指す。免疫細胞は、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、B細胞、樹状細胞、マクロファージおよび他の抗原提示細胞を包含するが、これらに限定されるものではない。サイトカインは、インターロイキン、TNF−α、IFN−α、βおよびγ、Fltリガンド、および共刺激分子を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0046】
非メチル化CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドが、トール様受容体9(TLR9)経路を介して免疫応答を刺激することができることは知られている。多くのサイトカインの誘導は、TLR9活性化と相関している。したがって、TLR9刺激が増加するにつれて誘導が増加する。しかしながら、一般的に、CpG ODNについてTLR9とIFN−α誘導の間には逆相関が存在する。本発明の修飾の一部は、TLR活性化とIFN−αの間の逆相関ではなく、より直接的な相関が観察されるような修飾シグナル伝達パターンを生み出すことがあることが発見された。
【0047】
本発明者らは、CpGモチーフと取り囲む領域中の親油性残基の影響について検討することを目指した。以下の実施例に記載されているように、2,4−ジフルオロトルエン、5−ブロモウラシルおよび5−ヨードウラシルなどの親油性置換ヌクレオチド類似体のいくつかの異なるタイプを、CpGモチーフの5’側か3’側のどちらかでCpGオリゴヌクレオチド中に組み入れた。予想外に、これらの親油性置換ヌクレオチド類似体の組入れは、ヒトPBMCにおけるhTLR9活性ならびにIFN−α誘導の異常に強い増加につながった。ウラシル残基(チミンと構造的に類似しているが、メチル基を欠く)などの非親油性ヌクレオチドによる置換は、hTLR9刺激の強い減少を生じた。試験したオリゴヌクレオチドにおいて、TLR9刺激の増加は、親油性置換ヌクレオチド類似体が、モチーフの3’側に位置している場合よりも、CpGモチーフの5’側に位置している場合により良好であるように見えた。二重置換(すなわち、5’および3’親油性置換ヌクレオチド類似体置換)は、試験した置換のうちで最も強力な刺激をもたらした。対照的に、CpGモチーフにおける2,4−ジフルオロトルエンによるグアニンまたはシトシンの置換は、両方の場合に、TLR9刺激指数の強い減少につながった。
【0048】
親油性置換ヌクレオチド類似体修飾は、IFN−α誘導の強い増強をもたらした。特に、5−ブロモウラシルおよび5−ヨードウラシル修飾ODNの場合、TLR9刺激とIFN−α誘導の間の良好な相関があるように見えた。上述のように、この知見は、(i)親分子21317が、IFN−αを誘導するのに事実上不活性であり、(ii)普通は、これらの修飾を含有しないCpG ODNについてTLR9とIFN−α誘導の間に逆相関が存在することから、予想外であった。
【0049】
本発明の一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、配列R1YZR2を有する。オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のそのようなモチーフを包含することがある。R1およびR2は、独立して、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)、ヌクレオチド、または結合のうちのいずれか1つである。しかしながら、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)であることが好ましい。一部の場合に、R1とR2は、共にLである。以下の実施例の項に示すように、CpGモチーフの5’側と3’側の両方にLを有するオリゴヌクレオチドは、特に刺激性である。しかしながら、1つのみのRがLであることがある。例えば、R1がLであってよく、R2がヌクレオチドであり、逆もまた同様である。あるいは、オリゴヌクレオチドが構造5’R1CG3’を含むように、R1がLであってもよく、R2が結合であってもよい。
【0050】
一部の場合に、オリゴヌクレオチドは、配列R1N1YZN2R2(式中、N1およびN2は、長さが0〜3ヌクレオチドのヌクレオチドである)を有する。他の可能な変形形態は、5’R1N1R1YZN23’、5’R3R1YZ3およびR1ZN2R2などの構造を包含する。
【0051】
Yは、ピリミジンヌクレオチドである。Zは、プリン、ピリミジン、または脱塩基残基である。一部の実施形態において、Zは、プリンであることが好ましい。
【0052】
Lは、例えば、5または6員環核酸塩基類似体であってもよい親油性置換ヌクレオチド類似体である。5または6員環核酸塩基類似体の例を以下の式Iの基に示す。
【0053】
【化2】
【0054】
A、B、X、D、E、およびFは、水素または例えば、F、Cl、Br、I、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、およびイミノなどであるがこれらに限定されない置換基を有していてもよいC(炭素)またはN(窒素)のうちのいずれか1つである。一部の場合に、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノまたはメチルではない。nは、0または1である。点線は、任意選択の二重結合を示す。しかしながら、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノ、メチルおよび水素からなる群から選択されることはない。さらに、A、B、X、D、E、およびF原子の合計は、3窒素(N)以下である。一部の実施形態において、すべての原子A、B、X、D、E、Fは、炭素(C)である。あるいは、原子A、B、X、D、E、Fのうちの少なくとも1つ、2つまたは3つは、窒素(N)である。
【0055】
式の化合物は、例えば、以下の親油性置換ヌクレオチド類似体:置換ピリミジン、置換ウラシル、置換トルエン、置換イミダゾールまたは置換ピラゾール、置換トリアゾール、5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ヨード−ウラシル、5−エチル−ウラシル、5−プロピル−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、(E)−5−(2−ブロモビニル)−ウラシル、または2.4−ジフルオロ−トルエンのうちのいずれかであってもよい。
【0056】
親油性置換ヌクレオチド類似体は、別々であるか、または別の化合物と縮合していてもよい。例えば、親油性置換ヌクレオチド類似体は、3〜6員の芳香族または脂肪族環系と縮合していてもよい。親油性置換ヌクレオチド類似体は、例えば、ペントースまたはヘキソースなどの5〜6員糖部分に連結していてもよい。ペントースの例は、リボースまたはデオキシリボースなどのフラノースであり、ヘキソースの例は、ピラノースである。ペントースまたはヘキソースは、F、アミノ、アルコキシ、アルコキシ−エトキシ、アモニプロピル、アルケニル、アルキニル、またはO2,C4−アルキレン橋により置換されていてもよい。
【0057】
オリゴヌクレオチドは、C6〜C48−ポリエチレングリコール、C3〜C20−アルカン−ジオール、C3〜C18−アルキルアミノリンカー、C3〜C18−アルキルチオールリンカー、コレステロール、胆汁酸、飽和または不飽和脂肪酸、フォレート、ヘキサデシル−グリセロール、ジヘキサデシル−グリセロール基、オクタデシル−グリセロールもしくはジオクタデシル−グリセロール基またはビタミンE基などの非ヌクレオチド修飾を包含することもある。
【0058】
親油性置換ヌクレオチド類似体は、任意の免疫刺激性オリゴヌクレオチド中に組み入れることができる。本発明の一部の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、「CpGジヌクレオチド」である免疫刺激性モチーフを包含する。CpGジヌクレオチドは、メチル化されていてもメチル化されていなくてもよい。少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有する免疫刺激性核酸は、非メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、非メチル化5’シチジンの後に3’グアノシンが続き、ホスフェート結合により連結している)を含有し、免疫系を活性化する核酸分子であり、そのような免疫刺激性核酸は、CpG核酸である。CpG核酸は、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を包含する多くの交付済み特許、公開済み特許出願、および他の刊行物に記載されている。少なくとも1つのメチル化CpGジヌクレオチドを含有する免疫刺激性核酸は、メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、メチル化5’シチジンの後に3’グアノシンが続き、ホスフェート結合により連結している)を含有し、免疫系を活性化する核酸である。他の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドを含まない。CpGジヌクレオチドを含まないこれらのオリゴヌクレオチドは、非CpGオリゴヌクレオチドと呼ばれ、それらは、非CpG免疫刺激性モチーフを有する。これらは、少なくとも80%のTを有するODNなどのTリッチODNであることが好ましい。
【0059】
本発明のEクラスODNは、それらが、YGZモチーフの5’および/または3’に親油性置換ヌクレオチド類似体を包含する限りは、Aクラス、Bクラス、Cクラス、TクラスおよびPクラスなどの他のCpG ODNクラスのモチーフおよび特性を包含することがある。
【0060】
「Aクラス」CpG免疫刺激性核酸は、両方とも2000年9月27日に出願された米国非仮特許出願第09/672,126号および公開済みPCT出願PCT/US00/26527(WO01/22990)に記載されている。これらの核酸は、B細胞活性化に対して最小限の効果を有する一方で、高レベルのインターフェロン−αを誘導する能力を特徴とする。AクラスCpG免疫刺激性核酸は、Yamamotoおよび同僚により記載されている六量体パリンドロームGACGTC、AGCGCT、またはAACGTTを必ずしも含有しているわけではない。Yamamoto S他、J Immunol 148:4072〜6(1992)。
【0061】
Aクラス免疫刺激性核酸の例示的配列は、両方とも2000年9月27日に出願された米国非仮特許出願第09/672,126号および公開済みPCT出願PCT/US00/26527(WO01/22990)に記載されている。
【0062】
「Bクラス」ODNは、B細胞を活性化するのには強力であるが、IFN−αおよびNK細胞活性化を誘導するのには比較的弱い。BクラスCpG核酸は、典型的には、完全に安定化されており、特定の好ましい塩基コンテクスト内に非メチル化CpGジヌクレオチドを包含する。例えば、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を参照されたい。別のクラスは、IFN−αおよびNK細胞活性化を誘導するのには強力であるが、B細胞を刺激するのには比較的弱く、このクラスは、「Aクラス」と名付けられている。AクラスCpG核酸は、典型的には、5’および3’末端に安定化されたポリ−G配列および少なくとも6ヌクレオチドのパリンドローム型ホスホジエステルCpGジヌクレオチド含有配列を有する。例えば、公開済み特許出願PCT/US00/26527を参照されたい。
【0063】
CpG核酸のさらに別のクラスは、B細胞およびNK細胞を活性化し、IFN−αを誘導し、このクラスは、Cクラスと名付けられている。「Cクラス」免疫刺激性核酸は、少なくとも2つの別個のモチーフを含有し、免疫系の細胞に対して独特で望ましい刺激効果を有する。これらのODNの一部は、従来の「刺激性」CpG配列と「GCリッチ」または「B細胞中和」モチーフの両方を有する。これらの組合せモチーフ核酸は、B細胞活性化および樹状細胞(DC)活性化の強い誘導剤である従来の「クラスB」CpG ODNに関係する効果と、IFN−αおよびナチュラルキラー(NK)細胞活性化の強い誘導剤であるがB細胞およびDC活性化の比較的不十分な誘導剤である免疫刺激性核酸の最近記載されたクラス(「クラスA」CpG ODN)に関係する効果の中間に位置する免疫刺激効果を有する。Krieg AM他(1995)Nature 374:546〜9;Ballas ZK他(1996)J Immunol 157:1840〜5;Yamamoto S他(1992)J Immunol 148:4072〜6。好ましいクラスB CpG ODNは、ホスホロチオエート主鎖を有することが多く、好ましいクラスA CpG ODNは、混合型またはキメラの主鎖を有するが、組合せモチーフ免疫刺激性核酸のCクラスは、安定化された、例えば、ホスホロチオエート、キメラ、またはホスホジエステル主鎖のどれかを有することがあり、一部の好ましい実施形態において、それらは、セミソフト主鎖を有する。このクラスは、2002年8月19に出願された米国特許出願US10/224,523に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0064】
「Pクラス」免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、5’TLR活性化ドメイン、2つの二重鎖形成領域ならびに任意選択のスペーサーおよび3’尾部を包含するいくつかのドメインを有する。このクラスのオリゴヌクレオチドは、一部の場合に、Cクラスに比べてかなり高レベルのIFN−α分泌を誘導する能力を有する。Pクラスオリゴヌクレオチドは、in vitroおよび/またはin vivoのどちらかで自発的にコンカテマー(concatamers)に自己組織化する能力を有する。これらの分子の作用方法についていかなる特定の理論にも束縛されるわけではないが、1つの可能性のある仮説は、この特性が、Pクラスオリゴヌクレオチドに、特定の免疫細胞内でTLR9をより高度に架橋させる能力を与え、前に記載されたクラスのCpGオリゴヌクレオチドに比較して別個のパターンの免疫活性化を誘導するということである。TLR9受容体の架橋は、形質細胞様樹状細胞におけるI型IFNRフィードバックループを介して、より強力なIFN−α分泌の活性化を誘導することがある。Pクラスオリゴヌクレオチドは、少なくとも、米国出願第11/706,561号に記載されている。
【0065】
「Tクラス」オリゴヌクレオチドは、Bクラスオリゴヌクレオチドに類似したレベルのIL−10を誘導する能力を保持しながら、本発明のODNにおけるように修飾されていない場合にはIFN−α、ならびにIFN関連のサイトカインおよびケモカインの、BクラスまたはCクラスオリゴヌクレオチドよりも低レベルの分泌を誘導する。Tクラスオリゴヌクレオチドは、少なくとも、米国特許出願第11/099,683号に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0066】
一実施形態において、本発明の免疫刺激性ODNは、陽イオン性脂質と有利に組み合わせられる。一実施形態において、陽イオン性脂質は、DOTAP(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチル−サルフェート)である。DOTAPの代わりにまたはDOTAPの他に、エンドソームコンパートメントへの輸送を包含する類似の特性を有する他の薬剤を使用することができる。他の脂質製剤は、例えば、EFFECTENE(商標)(特殊なDNA濃縮エンハンサーを有する非リポソーム脂質)およびSUPERFECT(商標)(新規な作用型デンドリマー技術)として包含する。リポソームは、Gibco BRLから、例えば、N−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)などの陽イオン性脂質からなるLIPOFECTIN(商標)およびLIPOFECTACE(商標)として市販されている。リポソームを製造するための方法は、当技術分野においてよく知られており、多くの刊行物に記載されている。リポソームは、Gregoriadis G(1985)Trends Biotechnol 3:235〜241によっても概説されている。
【0067】
他の実施形態において、免疫刺激性ODNは、陽イオン性リポソーム中で製剤化されない。ODN内の修飾類似体の親油性のため、長さが3ヌクレオチドなどの短いODNでさえ、in vivoで効率的に機能するための製剤化を必要としないことがある。
【0068】
一実施形態において、本発明の免疫刺激性ODNは、1次構造と2次構造の両方に関して共有結合で閉じられたダンベル型分子の形態である。一実施形態において、そのような環状オリゴリボヌクレオチドは、介在する二本鎖セグメントにより連結された2つの一本鎖ループを包含する。一実施形態において、少なくとも1つの一本鎖ループは、本発明の免疫刺激性DNAモチーフを包含する。本発明の他の共有結合で閉じられたダンベル型分子は、例えば、二本鎖セグメントが少なくとも部分的にDNAであるキメラDNA:RNA分子(例えば、ホモ二量体dsDNAかヘテロ二量体DNA:RNAのどちらか)を包含し、少なくとも1つの一本鎖ループは、本発明の免疫刺激性DNAモチーフを包含する。あるいは、キメラ分子の二本鎖セグメントは、DNAである。
【0069】
特定の実施形態において、免疫刺激性ODNは、単離される。単離された分子は、実質的に純粋であり、その分子の意図する使用にとって実用的かつ適切な程度まで、天然もしくはin vivo系において普通に見いだされる他の物質を含まない分子である。特に、免疫刺激性ODNは、十分に純粋であり、例えば、医薬調製物を製造するのに有用であるように、細胞の他の生物学的構成物質が十分に除かれている。本発明の単離された免疫刺激性ODNは、医薬調製物中で薬学的に許容できる担体と混合されることがあるため、免疫刺激性ODNは、調製物のわずかな重量百分率のみを占めることがある。しかしながら、免疫刺激性ODNは、生命系において関係する物質から実質的に分離されているという点で、実質的に純粋である。
【0070】
免疫刺激性核酸分子は、キメラ主鎖を有する。本発明の目的のために、キメラ主鎖とは、少なくとも1つのインターヌクレオチド結合が、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様であり、少なくとも1つの他のインターヌクレオチド結合が、安定化されたインターヌクレオチド結合であり、少なくとも1つのホスホジエステルまたはホスホジエステル様結合と少なくとも1つの安定化された結合が異なっている、部分的に安定化された主鎖を指す。ボラノホスホネート結合は、ホスホジエステル結合に比べて安定化されていると報告されていることから、主鎖のキメラ性の目的のために、ボラノホスホネート結合は、状況に応じて、ホスホジエステル様か安定化されているかのどちらかとして分類することができる。例えば、本発明によるキメラ主鎖は、一実施形態において、少なくとも1つのホスホジエステル(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)結合および少なくとも1つのボラノホスホネート(安定化された)結合を包含する可能性がある。別の実施形態において、本発明によるキメラ主鎖は、ボラノホスホネート(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)およびホスホロチオエート(安定化された)結合を包含する可能性がある。「安定化されたインターヌクレオチド結合」とは、ホスホジエステルインターヌクレオチド結合と比較して、in vivo分解(例えば、エキソ−またはエンド−ヌクレアーゼを介して)に対して比較的抵抗性であるインターヌクレオチド結合を意味するものとする。好ましい安定化されたインターヌクレオチド結合は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、およびメチルホスホロチオエートを包含するが、これらに限定されるものではない。他の安定化されたインターヌクレオチド結合は、ペプチド、アルキル、デホスホ、および上記に記載されているような他のものを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0071】
ホスホロチオエートなどの修飾主鎖は、ホスホルアミデート化学反応かH−ホスホネート化学反応のどちらかを用いる自動化技法を用いて合成することができる。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されているように製造することができ;アルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を用いて自動固相合成により調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を作成するための方法が記載されている。Uhlmann E他(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconjugate Chem 1:165。キメラオリゴヌクレオチドを調製するための方法も知られている。例えば、Uhlmann他により出願された特許が、そのような技法について記載している。
【0072】
混合型主鎖修飾ODNは、市販のDNA合成装置および標準的ホスホルアミダイト化学反応を用いて合成することができる。(F.E.Eckstein、「Oligonucleotides and Analogs−A Practical Approach」IRL Press、Oxford、UK、1991、ならびにM.D.MatteucciおよびM.H.Caruthers、Tetrahedron Lett.21、719(1980))。カップリグ後、PS結合を、Beaucage試薬(R.P.Iyer、W.Egan、J.B.ReganおよびS.L.Beaucage、J.Am.Chem.Soc.112、1253(1990))(アセトニトリル中0.075M)またはフェニルアセチルジスルフィド(PADS)を用いる硫化と、続く、無水酢酸、テトラヒドロフラン中2,6−ルチジン(1:1:8;v:v:v)およびN−メチルイミダゾール(テトラヒドロフラン中16%)によるキャッピングにより導入する。このキャッピングステップは、ホスホロチオエート結合を位置させるべき位置における望ましくないホスホジエステル(PO)結合の形成を最小限に抑えるために、硫化反応後に行う。ホスホジエステル結合を、例えば、CpGジヌクレオチドに導入する場合、中間体ホスホラス(phosphorous)−IIIを、水/ピリジン中のヨウ素の溶液で処理することにより酸化する。固体支持体からの切断および濃アンモニアで処理することによる最終的な脱保護(50℃にて15時間)後、ODNを、NaCl−グラジエント(例えば、緩衝液A:アセトニトリル/水=1:4/v:v中の10mM NaH2PO4 pH6.8;緩衝液B:アセトニトリル/水=1:4/v:v中の10mM NaH2PO4、1.5M NaCl;1ml/分にて30分で5〜60%B)を用いるGen−Pak Faxカラム(Millipore−Waters)上のHPLCにより、またはキャピラリーゲル電気泳動により分析する。ODNは、HPLCにより、またはSource High Performanceカラム(Amersham Pharmacia)上のFPLCにより精製することができる。HPLC−均一分画を、混ぜ合わせ、C18カラムを介し、または限外濾過により脱塩する。ODNを、MALDI−TOF質量分析法により分析し、計算質量を確認した。
【0073】
本発明の核酸は、他の修飾を包含することもある。これらは、アルキル−およびアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素は、アルキルまたはアリール基により置き換えられている)、ホスホジエステルおよび荷電酸素部分がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルなどの非イオン性DNA類似体を包含する。どちらかまたは両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に抵抗性であることが明らかにされている。
【0074】
一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ソフト(soft)オリゴヌクレオチドまたはセミソフト(semi−soft)オリゴヌクレオチドであってよい。ソフトオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−プリンジヌクレオチド(YZ)の内側および真隣にのみ存在する、部分的に安定化された主鎖を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。YZは、YG、ピリミジン−グアノシン(YG)ジヌクレオチドであることが好ましい。少なくとも1つの内部YZジヌクレオチド自体は、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する。少なくとも1つの内部YZジヌクレオチドの真隣に存在するホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、少なくとも1つの内部YZジヌクレオチドの5’側、3’側、または5’側と3’側の両方であってもよい。
【0075】
特に、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、「内部ジヌクレオチド」を伴う。内部ジヌクレオチドとは、一般に、ヌクレオチド対におけるどちらのヌクレオチドも末端ヌクレオチドではない、すなわち、ヌクレオチド対におけるどちらのヌクレオチドも、オリゴヌクレオチドの5’および3’末端を規定するヌクレオチドではない、インターヌクレオチド結合により連結されている隣接ヌクレオチドの任意の対を意味するものとする。したがって、nヌクレオチド長である直鎖オリゴヌクレオチドは、合計n−1のジヌクレオチドおよびn−3だけの内部ジヌクレオチドを有する。内部ジヌクレオチド中の各インターヌクレオチド結合は、内部インターヌクレオチド結合である。したがって、nヌクレオチド長である直鎖オリゴヌクレオチドは、合計n−1のインターヌクレオチド結合およびn−3だけのインターヌクレオチド結合を有する。したがって、戦略的に置かれるホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合とは、核酸配列中のヌクレオチドの任意の対の間に位置するホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を指す。一部の実施形態において、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、5’または3’末端に最も近いヌクレオチドのどちらの対の間にも位置しない。
【0076】
少なくとも1つの内部YZジヌクレオチドの真隣に存在するホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、それ自体が内部インターヌクレオチド結合であることが好ましい。したがって、N1およびN2が、各々、他とは無関係に、任意の単一ヌクレオチドである配列N1YZN2の場合、YZジヌクレオチドは、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有し、さらに、(a)N1およびYは、N1が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結され、(b)ZおよびN2は、N2が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結され、または(c)N1およびYは、N1が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結され、ZおよびN2は、N2が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結されている。
【0077】
本発明のオリゴヌクレオチドにおいて、R1YZR2のうちの少なくとも1つのYZは、ホスホジエステル結合を有することがある。あるいは、R1YZR2のYZは、ホスホロチオエート結合を有することがある。一部の実施形態において、R1YZR2のR1Yおよび/またはZR2は、ホスホロチオエート結合を有する。
【0078】
本発明によるソフトオリゴヌクレオチドは、完全に安定化されたオリゴヌクレオチドと比較して、ヌクレアーゼ切断を比較的受けやすいと考えられる。特定の理論または機構に束縛されることを意味しないが、本発明のソフトオリゴヌクレオチドは、完全長ソフトオリゴヌクレオチドに比べて免疫刺激活性が低下したかまたは免疫刺激活性がない断片に切断可能であると考えられる。特にオリゴヌクレオチドの真ん中近くの、少なくとも1つのヌクレアーゼ感受性インターヌクレオチド結合の組入れは、オリゴヌクレオチドの最大免疫刺激活性の持続時間を短縮するためにオリゴヌクレオチドの薬物動態を変化させる「オフスイッチ」を提供すると考えられる。このことは、慢性局所炎症または免疫刺激に関係する損傷を避けることが望ましい組織および臨床応用例、例えば、腎臓において特に価値が高いことがある。
【0079】
セミソフトオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−プリン(YZ)ジヌクレオチドの内側にのみ存在する、部分的に安定化された主鎖を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。セミソフトオリゴヌクレオチドは、一般的に、対応する完全に安定化された免疫刺激性オリゴヌクレオチドに比べて、増大した免疫刺激効力を有する。セミソフトオリゴヌクレオチドのより大きな効力のため、セミソフトオリゴヌクレオチドは、一部の場合に、より低い有効濃度で使用されることがあり、望ましい生物学的効果を達成するために、従来の完全に安定化された免疫刺激性オリゴヌクレオチドよりも低い有効投与量を有する。
【0080】
セミソフトオリゴヌクレオチドの上述の特性は、一般的に、内部YZジヌクレオチドが関わるホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合の「投与量」を増やすにつれて増加すると考えられる。したがって、例えば、5つの内部YZジヌクレオチドを有する所与のオリゴヌクレオチド配列について一般的に、5つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドは、4つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YGインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であり、3つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であり、2つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であり、1つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であると考えられる。重要なことには、1つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合の包含であっても、内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合がないよりも有利であると考えられる。ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合の数の他に、核酸の長さに沿った位置も、効力に影響を及ぼすことがある。
【0081】
ソフトおよびセミソフトオリゴヌクレオチドは、一般的に、好ましい内部位置におけるホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合の他に、分解に対して抵抗性である5’および3’末端を包含するものとする。そのような分解抵抗性末端は、対応する非修飾末端を上回るエキソヌクレアーゼ消化に対する抵抗性の増加をもたらす任意の適当な修飾を必要とすることがある。例えば、5’および3’末端は、主鎖の少なくとも1つのホスフェート修飾をそこに包含することにより安定化することができる。好ましい実施形態において、各末端における主鎖の少なくとも1つのホスフェート修飾は、独立して、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、またはメチルホスホロチオエートインターヌクレオチド結合である。別の実施形態において、分解抵抗性末端は、3’末端においてペプチドまたはアミド結合により連結されている1つまたは複数のヌクレオチド単位を包含する。
【0082】
ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、天然において見いだされる核酸を特徴とする結合のタイプである。ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、2つの架橋酸素原子に両側を挟まれ、1つは荷電しておりもう1つは荷電していない2つの追加酸素原子も結合しているリン原子を包含する。ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、オリゴヌクレオチドの組織半減期を短縮することが重要である場合に特に好ましい。
【0083】
ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ホスホジエステルと化学的および/またはジアステレオマー的に類似しているリン含有架橋基である。ホスホジエステルとの類似性の尺度は、ヌクレアーゼ消化に対する脆弱性およびRNAseHを活性化する能力を包含する。したがって、例えば、ホスホロチオエートではなくホスホジエステルオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ消化を受けやすいが、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドとホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは共に、RNAseHを活性化する。好ましい実施形態において、ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ボラノホスフェート(または、同等に、ボラノホスホネート)結合である。米国特許第5,177,198号;米国特許第5,859,231号;米国特許第6,160,109号;米国特許第6,207,819号;Sergueev他、(1998)J Am Chem Soc 120:9417〜27。別の好ましい実施形態において、ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートである。ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートは、ヌクレアーゼ消化をより受けやすく、混合型またはジアステレオマー的に純粋なSpホスホロチオエートよりもRNAseHの活性化において優れていると考えられる。CpGオリゴヌクレオチドの立体異性体は、同時係属の、1999年7月27に出願された米国特許出願09/361,575および公開済みPCT出願PCT/US99/17100(WO00/06588)の主題である。本発明の目的にとって、「ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合」という用語は、ホスホロジチオエートおよびメチルホスホネートインターヌクレオチド結合を具体的に除外することに留意されたい。
【0084】
上記に記載されているように、本発明のソフトおよびセミソフトオリゴヌクレオチドは、CとGの間のホスホジエステル様結合を有することがある。ホスホジエステル様結合の一例は、Rpコンホメーションのホスホロチオエート結合である。オリゴヌクレオチドp−キラリティーは、活性が測定される時点に応じて、CpGオリゴヌクレオチドの免疫活性に対する見掛け上反対の効果を有することがある。40分の速い時点において、ホスホロチオエートCpGオリゴヌクレオチドのSpではなくRp立体異性体は、マウス脾臓細胞においてJNKリン酸化を誘導する。対照的に、44時間の遅い時点でアッセイされる場合、RpではなくSp立体異性体は、脾臓細胞増殖を刺激するのに活性である。RpおよびSp立体異性体の動態および生物活性のこの差異は、細胞取り込みのいかなる差異によるものではなく、むしろ、p−キラリティーの2つの対立する生物学的役割に起因する可能性が高い。第一に、速い時点における免疫細胞を刺激することについてのSpと比較して増強されたRp立体異性体の活性は、Rpが、CpG受容体、TLR9と相互作用すること、または下流のシグナル伝達経路を誘導することにおいてより有効であり得ることを示している。一方、Spと比較してより速いRp PS−オリゴヌクレオチドの分解は、シグナル伝達のかなり短い持続時間をもたらし、Sp PS−オリゴヌクレオチドは、遅い時点で試験された場合、より生物学的に活性であるように見える。
【0085】
驚くほど強い効果は、CpGジヌクレオチド自体におけるp−キラリティーにより達成される。ステレオランダムなCpGオリゴヌクレオチドと比較して、単一CpGジヌクレオチドがRpで連結している同族体は、わずかにより活性であるが、Sp結合を含有する同族体は、脾臓細胞増殖を誘導することについてほぼ不活性である。
【0086】
「核酸」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、塩基および/または糖におけるなどの、置換または修飾を有する核酸またはオリゴヌクレオチドも包含する。例えば、それらは、2’位のヒドロキシル基以外および5’位のホスフェート基またはヒドロキシ基以外の、低分子量有機基と共有結合している主鎖糖を有する核酸を包含する。したがって、修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を包含することがある。さらに、修飾核酸は、リボースの代わりに、アラビノースまたは2’−フルオロアラビノースなどの糖を包含することがある。したがって、核酸は、主鎖組成が不均一であってよく、それによって、ペプチド−核酸(核酸塩基と共にアミノ酸主鎖を有する)などの一緒に連結されているポリマー単位の任意の可能な組合せを含有することがある。
【0087】
核酸は、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基などの置換プリンおよび置換ピリミジンも包含する。Wagner RW他(1996)Nat Biotechnol 14:840〜4。プリンおよびピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシシトシン、5−フルオロシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換芳香族部分を包含するが、これらに限定されるものではない。他のそのような修飾は、当業者によく知られている。
【0088】
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルインターヌクレオチド架橋、β−D−リボース単位および/または天然のヌクレオチド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)が関わる天然のRNAおよびDNAと比較して、様々な化学修飾および置換を包含することができる。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えば、Uhlmann E他(1990)Chem Rev 90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques、S.Agrawal、編、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke ST他(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107〜129;およびHunziker J他(1995)Mod Synth Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を有することがあり、各修飾は、天然のDNAまたはRNAからなる同一配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルインターヌクレオチド架橋および/または特定のβ−D−リボース単位および/または特定の天然ヌクレオチド塩基位置に位置する。
【0089】
例えば、本発明は、1つまたは複数の修飾を含むことがあり、各修飾が、独立して、
a)ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオチド架橋の修飾インターヌクレオチド架橋による置き換え、
b)ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の、デホスホ架橋による置き換え、
c)糖ホスフェート主鎖由来の糖ホスフェート単位の別の単位による置き換え、
d)β−D−リボース単位の修飾糖単位による置き換え、および、
e)天然ヌクレオチド塩基の修飾ヌクレオチド塩基による置き換えから選択されるオリゴヌクレオチドに関する。
【0090】
オリゴヌクレオチドの化学修飾についてのより詳細な例は、以下の通りである。
【0091】
ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオチド架橋は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR1R2−ホスホルアミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C1〜C21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C6〜C12)アリール−(C1〜C21)−O−アルキル]エステル、(C1〜C8)アルキルホスホネートおよび/または(C6〜C12)アリールホスホネート架橋、(C7〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO95/01363に開示されている)から選択され、(C6〜C12)アリール、(C6〜C20)アリールおよび、(C6〜C14)アリールが、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノにより置換されていてもよく、R1およびR2が、互いに独立して、水素、(C1〜C18)−アルキル、(C6〜C20)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキル、好ましくは、水素、(C1〜C8)−アルキル、好ましくは、(C1〜C4)−アルキル、および/または、メトキシエチルであるか、またはR1およびR2が、それらを保有する窒素原子と一緒に、群O、SおよびNからの他のヘテロ原子をさらに含有することができる5〜6員複素環を形成する修飾インターヌクレオチド架橋により置き換えることができる。
【0092】
ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の、例えば、デホスホ架橋ホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホンおよび/またはシリル基から選択されるデホスホ架橋による置き換え(デホスホ架橋は、例えば、Uhlmann EおよびPeyman A「Methods in Molecular Biology」、第20巻、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」、S.Agrawal、編、Humana Press、Totowa 1993、第16章、355ffページに記載されている)。
【0093】
糖ホスフェート主鎖(すなわち、糖ホスフェート主鎖は、糖ホスフェート単位からなる)由来の糖ホスフェート単位(すなわち、一緒に糖ホスフェート単位を形成するβ−D−リボースおよびホスホジエステルインターヌクレオチド架橋)は、例えば、モルホリノ−誘導体単位による置き換えである「モルホリノ−誘導体」オリゴマー(例えば、Stirchak EP他(1989)Nucleic Acids Res 17:6129〜41に記載されているような)を構築するのに、または、例えば、PNA主鎖単位による、例えば、2−アミノエチルグリシンによる置き換えであるポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen PE他(1994)Bioconjug Chem 5:3〜7に記載されているような)を構築するのに適している別の単位により置き換えることができる。
【0094】
β−リボース単位、または、β−D−2’−デオキシリボース単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースから選択され、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースが、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C2〜C6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C1〜C6)アルキル−O−(C1〜C6)アルキル]−リボース、2’−NH2−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、および、炭素環式(例えば、Froehler J(1992)Am Chem Soc 114:8320に記載されている)および/または開鎖糖類似体(例えば、Vandendriessche他(1993)Tetrahedron 49:7223に記載されている)および/またはビシクロ糖類似体(例えば、Tarkov M他(1993)Helv Chim Acta 76:481に記載されている)であることが好ましい修飾糖単位により置き換えることができる。
【0095】
一部の実施形態において、糖は、特に、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結されている一方または両方のヌクレオチドについては、2’−O−メチルリボースである。
【0096】
核酸は、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基などの置換プリンおよび置換ピリミジンも包含する。Wagner RW他(1996)Nat Biotechnol 14:840〜4。プリンおよびピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン、ならびに他の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換芳香族部分を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0097】
修飾塩基は、T、C、G、A、およびUなどのDNAおよびRNAにおいて典型的に見いだされる天然に存在する塩基と化学的に異なっているが、これらの天然に存在する塩基と基本的化学構造を同じくする任意の塩基である。修飾ヌクレオチド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、プソイドウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1〜C6)−アルキルウラシル、5−(C2〜C6)−アルケニルウラシル、5−(C2〜C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1〜C6)−アルキルシトシン、5−(C2〜C6)−アルケニルシトシン、5−(C2〜C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン、好ましくは7−デアザ−7置換および/または7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えば、N4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えば、N4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、およびニトロピロールのデオキシリボヌクレオチド、C5−プロピニルピリミジン、およびジアミノプリン、例えば、2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチンまたは天然ヌクレオチド塩基の修飾から選択することができる。このリストは、例示的であることを意味しており、限定していると解釈されるべきではない。
【0098】
本明細書に記載されている特定の式において、一連の修飾塩基が定義されている。例えば、Yという文字は、ピリミジンおよび、一部の実施形態において、シトシンまたは修飾シトシンを含有するヌクレオチドを指すために使用される。本明細書で使用する修飾シトシンとは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置き換えることができる天然に存在するまたは天然に存在しないシトシンのピリミジン塩基類似体である。修飾シトシンは、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシン類似体(例えば、N,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、およびウラシルならびにその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)を包含するが、これらに限定されるものではない。好ましいシトシンの一部は、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンを包含する。本発明の別の実施形態において、シトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香族環系(例えば、フルオロベンゼンまたはジフルオロベンゼン)または水素原子(dSpacer)により置換されている。
【0099】
Zという文字は、プリン、ピリミジン、または脱塩基および、一部の実施形態において、グアニンまたは修飾グアニン塩基を指すために使用される。本明細書で使用する修飾グアニンとは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置き換えることができる天然に存在するまたは天然に存在しないグアニンのプリン塩基類似体である。修飾グアニンは、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニンなど)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、および6−チオグアニンを包含するが、これらに限定されるものではない。本発明の別の実施形態において、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、および、K−塩基)、芳香族環系(例えば、ベンズイミダゾールまたはジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)または水素原子(dSpacer)により置換されている。
【0100】
オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の接近可能な5’末端を有することがある。2つのそのような5’末端を有する修飾オリゴヌクレオチドを作成することが可能である。このことは、例えば、3’−3’結合を介して2つのオリゴヌクレオチドを接続させ、1つまたは2つの接近可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチドを生成することにより達成することができる。3’3’結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはその他の修飾インターヌクレオチド架橋であってよい。そのような結合を完成するための方法は、当技術分野において知られている。例えば、そのような結合は、Seliger,H.;他、Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’− and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisense inhibitors of viral gene expression、Nucleotides & Nucleotides(1991)、10(1〜3)、469〜77およびJiang、他、Pseudo−cyclic oligonucleotides:in vitro and in vivo properties、Bioorganic & Medicinal Chemistry(1999)、7(12)、2727〜2735に記載されている。
【0101】
さらに、3’−末端ヌクレオチド間の結合が、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよび他の修飾架橋ではない3’3’−連結核酸は、トリ−またはテトラ−エチレングリコールホスフェート部分などの追加スペーサーを用いて調製することができる(Durand,M.他、Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two(dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains、Biochemistry(1992)、31(38)、9197〜204、米国特許第5658738号、および米国特許第5668265号)。あるいは、非ヌクレオチドリンカーは、エタンジオール、プロパンジオールから、または標準的なホスホルアミダイト化学反応を用いて脱塩基デオキシリボース(dSpacer)単位(Fontanel,Marie Laurence他、Sterical recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research(1994)、22(11)、2022〜7)から誘導することができる。非ヌクレオチドリンカーは、1回もしくは複数回組み入れるか、またはお互いと組み合わせ、連結すべき2つのODNの3’末端間にいかなる望ましい距離も可能にすることができる。
【0102】
オリゴヌクレオチドは、分解に対して部分的に抵抗性である(例えば、安定化されている)。「安定化されたオリゴヌクレオチド分子」とは、in vivo分解(例えば、エキソ−またはエンド−ヌクレアーゼを介する)に対して比較的抵抗性であるオリゴヌクレオチドを意味するものとする。核酸安定化は、主鎖修飾を介して行うことができる。ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、最大の活性を提供し、細胞内エキソ−およびエンド−ヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを守る。他の修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル修飾核酸、ホスホジエステル核酸とホスホロチオエート核酸の組合せ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、p−エトキシ、およびそれらの組合せを包含する。
【0103】
ホスホロチオエートなどの修飾主鎖は、ホスホルアミデートかH−ホスホネート化学反応のどちらかを用いる自動化技法を用いて合成することができる。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されているように製造することができ;アルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を用いる自動固相合成により調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を作成するための方法が記載されている(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.、Chem.Rev.90:544、1990;Goodchild,J.、Bioconjugate Chem.1:165、1990)。
【0104】
他の安定化されたオリゴヌクレオチドは、アルキル−およびアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素は、アルキルまたはアリール基により置き換えられている)、荷電酸素部分がアルキル化されているホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステルなどの非イオン性DNA類似体を包含する。どちらかまたは両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に抵抗性であることが明らかにされている。
【0105】
一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のパリンドローム配列を含む。本明細書で使用する「パリンドローム」および、同等に、「パリンドローム配列」とは、逆方向反復、すなわち、AおよびA’、BおよびB’などが、通常のワトソン−クリック塩基対を形成することができる塩基であるABCDEE’D’C’B’A’などの配列を指すものとする。一部の場合に、パリンドロームは、GCリッチである。GCリッチなパリンドロームは、少なくとも3分の2のGおよびCの塩基組成を有するパリンドロームである。一部の実施形態において、GCリッチなドメインは、「B細胞刺激性ドメイン」の3’側にあることが好ましい。10塩基長のGCリッチなパリンドロームの場合、パリンドロームは、少なくとも8つのGおよびCを含有する。12塩基長のGCリッチなパリンドロームの場合、パリンドロームは、この場合も少なくとも8つのGおよびCを含有する。14量体のGCリッチなパリンドロームの場合、パリンドロームの少なくとも10個の塩基は、GおよびCである。一部の実施形態において、GCリッチなパリンドロームは、もっぱらGおよびCで構成されている。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2つ以上のパリンドローム配列を含有する。
【0106】
DNAは、3’−5’ホスホジエステル結合を介して結合しているデオキシリボヌクレオチドのポリマーである。本発明のポリマーの単位は、3’−5’ホスホジエステル結合を介して結合させることもできる。しかしながら、本発明は、具体的には、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、および2’−5’インターヌクレオチド結合を包含する普通でないインターヌクレオチド結合を有するポリマーも包含する。一実施形態において、そのような普通でない結合は、たとえそのような結合のうちの1つまたは複数がポリマー内のどこかに存在することがあっても、免疫刺激性DNAモチーフから除外される。遊離末端を有するポリマーの場合、1つの3’−3’インターヌクレオチド結合の包含は、2つの遊離5’末端を有するポリマーをもたらすことがある。逆に、遊離末端を有するポリマーの場合、1つの5’−5’インターヌクレオチド結合の包含は、2つの遊離の3’末端を有するポリマーをもたらすことがある。
【0107】
本発明の免疫刺激性組成物は、分岐単位を介して連結させることができる2つ以上の免疫刺激性DNAモチーフを含有することができる。インターヌクレオチド結合は、3’−5’、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、または2’−5’結合であってよい。それに関して、2’−5’という命名は、デオキシリボースの炭素原子に従って選択される。しかしながら、環拡大糖類似体(例えば、ヘキサノース(hexanose)、シクロヘキセン(cylohexene)またはピラノース)または二環式もしくは三環式糖類似体などの非天然糖部分が用いられている場合、この命名は、単量体の命名に従って変化する。普通でないインターヌクレオチド結合は、ホスホジエステル結合であってよいが、あるいは、ホスホロチオエートまたは本明細書に記載されているようなその他の修飾結合として修飾することができる。式IVは、ヌクレオチド分岐単位を介する本発明の分岐DNAオリゴマーおよび修飾オリゴリボヌクレオチド類似体についての一般構造を示している。それに関して、Nu1、Nu2、およびNu3は、3’−5’、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、または2’−5’結合を介して連結されていてよい。DNAオリゴマーの分岐は、非ヌクレオチドリンカーおよび脱塩基スペーサーの使用が関わることもある。一実施形態において、Nu1、Nu2、およびNu3は、同一または異なる免疫刺激性DNAモチーフを表す。
【0108】
【化3】
【0109】
修飾オリゴリボヌクレオチド類似体は、ダブラー(doubler)またはトレブラー(trebler)単位(Glen Research、Sterling、VA)、特に、3’−3’結合を有する修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体を含有することがある。ダブラー単位は、一実施形態において、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイトに基づいていることがある。トレブラー単位は、一実施形態において、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイトの組入れに基づいていることがある。修飾オリゴリボヌクレオチド類似体の複数のダブラー、トレブラー、または他のマルチプライア(multiplier)単位による分岐は、本発明の他の実施形態であるデンドリマーにつながる。分岐修飾オリゴリボヌクレオチド類似体は、特に、類似体の非分岐形態と比較して別個の免疫効果を有するTLR3、TLR7、TLR8、およびTLR9などの免疫刺激性RNAとDNAの組合せについて、受容体の架橋につながることがある。さらに、分岐類似体かさもなければ多量体類似体の合成は、分解に対してDNAを安定化させることがあり、治療に有用なレベルの免疫活性を発揮するには弱いか部分的に有効なDNA配列を可能にすることがある。修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体は、ペプチド修飾試薬またはオリゴヌクレオチド修飾試薬(Glen Research)に由来するリンカー単位を含有することもある。さらに、修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体は、ペプチド(アミド)結合によりポリマーに連結されている1つまたは複数の天然または非天然のアミノ酸残基を含有することがある。
【0110】
3’−5’、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、および2’−5’インターヌクレオチド結合は、直接または間接であってよい。直接結合とは、これに関連して、介在するリンカー部分がない、本明細書に開示されているようなホスフェートまたは修飾ホスフェート結合を指す。介在するリンカー部分は、本明細書に開示されているようなホスフェートまたは修飾ホスフェート結合と区別される有機部分であり、例えば、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、dSpacer(すなわち、脱塩基デオキシヌクレオチド)、ダブラー単位、またはトレブラー単位を包含することがある。
【0111】
結合は、C、H、N、O、S、B、P、およびハロゲンからなり、3〜300原子を含有することが好ましい。3原子を有する例は、例えば、1つのヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基を第二のオリゴヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基と連結するアセタール結合(ODN1−3’−O−CH2−O−3’−ODN2)である。約300原子を有する例は、PEG−40(テトラコンタポリエチレングリコール)である。好ましい結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ボラノホスホネート、アミド、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、尿素、チオ尿素、スルホンアミド、シッフ塩基およびジスルフィド結合である。Solulink BioConjugation System、すなわち、(www.trilinkbiotec.com)を使用することも可能である。
【0112】
オリゴヌクレオチドが、2つ以上の配列部分からなる場合、これらの部分は、同一または異なっていてよい。したがって、3’3’−結合を有するオリゴヌクレオチドにおいて、配列は、同一の5’−ODN1−3’3’−ODN1−5’または異なる5’−ODN1−3’3’−ODN2−5’であってよい。さらに、様々なオリゴヌクレオチド部分の化学修飾ならびにそれらを連結するリンカーは、異なっていてよい。短いオリゴヌクレオチドの取り込みは、長いオリゴヌクレオチドの取り込みより効率が低いように見えることから、2つ以上の短い配列の連結は、改善された免疫刺激をもたらす。短いオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは、2〜20ヌクレオチド、より好ましくは、3〜16ヌクレオチドであるが、最も好ましくは、5〜10ヌクレオチドである。2つ以上の非連結5’末端を有する連結オリゴヌクレオチドが好ましい。
【0113】
オリゴヌクレオチド部分配列は、非ヌクレオチドリンカーにより連結されていることもある。本明細書で使用する「非ヌクレオチドリンカー」とは、プリンまたはピリミジン核酸塩基、および糖ホスフェート、特に、脱塩基リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコール単位またはヘキサエチレングリコール単位を包含するヌクレオチドおよびそのポリマー(すなわち、ポリヌクレオチド)ではない任意のリンカー要素を指す。他の好ましいリンカーは、C3、C6、C12アミノリンカーなどのアルキルアミノリンカー、およびC3またはC6チオールリンカーなどのアルキルチオールリンカーである。オリゴヌクレオチドは、アルキルまたは置換アルキル基によりさらに置換されていてもよい芳香族残基により連結させることもできる。
【0114】
細胞への取り込みを容易にするために、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、一部の実施形態において、長さ3〜100塩基の範囲である。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さ7〜100塩基である。典型的には、6ヌクレオチドを超える任意のサイズの核酸(数kb長であっても)は、十分な免疫刺激モチーフが存在すれば、本発明に従って免疫応答を誘導することができる。しかしながら、本発明の修飾オリゴヌクレオチドの改善された免疫刺激能力は、かなり短い長さの免疫刺激性分子を提供する。一部の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さ3〜6塩基である。
【0115】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、本発明の一部の態様において、アレルギーもしくは喘息、感染性生物体による感染または具体的な癌抗原が同定されている癌を発症する危険性がある対象を治療するためのワクチンとして有用である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、感染、アレルギーまたは癌を防御するための抗原またはアレルゲンなしに与えることもでき、この場合に、反復投与が長期の防御を可能にすることがある。本明細書で使用する危険性がある対象とは、感染を引き起こす病原体もしくは癌もしくはアレルゲンへの曝露の任意の危険性または癌を発症する危険性を有する対象である。例えば、危険性がある対象は、特定のタイプの感染因子が見いだされる地域へ旅行することを計画している対象であってよく、または、生活様式または医学的手技を介して、感染性生物体を含有することがある体液に、もしくは生物体に直接曝露される対象、またはさらには感染性生物体もしくはアレルゲンが同定されている地域に住んでいる任意の対象であってよい。感染を発症する危険性がある対象は、医療機関が、特定の感染性生物体抗原によるワクチン接種を推奨する一般集団も包含する。抗原がアレルゲンであり、対象が、その特定の抗原に対するアレルギー性応答を惹起し、対象が、抗原に曝露されることがある場合、すなわち、花粉シーズン中は、その対象は、抗原への曝露の危険性がある。アレルギーまたは喘息を発症する危険性がある対象は、アレルギーまたは喘息を有すると認定されているが、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド治療中は活動性疾患を有しない対象ならびに遺伝的または環境的要因のためにこれらの疾患を発症する危険性があると見なされる対象を包含する。
【0116】
癌を発症する危険性がある対象とは、癌を発症する高い確率を有する対象である。これらの対象は、例えば、その存在が、癌を発症する高い可能性との相関関係を有することが立証されている遺伝的異常を有する対象およびタバコ、アスベスト、または他の化学的毒素などの発癌物質に曝露されている対象、または以前に癌の治療を受けたことがあり、見掛け上の寛解期にある対象を包含する。癌を発症する危険性がある対象が、対象が発症する危険性がある癌のタイプに特異的な抗原およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドで治療される場合、対象は、癌細胞が発生したときに癌細胞を殺傷することができることがある。対象において腫瘍が形成し始めた場合、対象は、腫瘍抗原に対して特異的免疫応答を発現するであろう。
【0117】
予防的治療のためのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの使用の他に、本発明は、感染、アレルギー、喘息、または癌を有する対象を治療するためのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの使用も包含する。
【0118】
感染を有する対象とは、感染性病原体に曝露されたことがあり、体内に急性または慢性の検出可能レベルの病原体を有する対象である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、抗原と共にまたは抗原なしに使用し、感染性病原体のレベルを低減するかまたは感染性病原体を根絶することができる抗原特異的な全身または粘膜の免疫応答を高めることができる。本明細書で使用する感染性疾患とは、体内の外来微生物の存在に起因する疾患である。病原侵入の主要部位である身体の粘膜表面を保護するのに有効なワクチン戦略および治療を開発することが特に重要である。
【0119】
アレルギーを有する対象とは、アレルゲンに応答してアレルギー反応を有するまたはアレルギー反応を呈する危険性がある対象である。アレルギーとは、物質(アレルゲン)に対する獲得過敏性を指す。アレルギー状態は、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹(hives))、および食物アレルギー、ならびに他のアトピー性の状態を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0120】
アレルギーは、一般的に、無害なアレルゲンに対するIgE抗体産生により引き起こされる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの全身投与または粘膜投与により誘導されるサイトカインは、主に、Th1と呼ばれるクラス(例は、IL−12、IP−10、IFN−αおよびIFN−γである)であり、これらは、体液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方を誘導する。IL−4およびIL−5サイトカインの産生に関係する免疫応答の他の主要なタイプは、Th2免疫応答と名付けられている。一般に、アレルギー性疾患は、Th2型免疫応答により媒介されるようである。対象における免疫応答を、優位なTh2(IgE抗体の産生およびアレルギーに関係している)からバランスの取れたTh2/Th1応答(アレルギー反応に対して予防的である)へシフトするCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの能力に基づいて、免疫応答を誘導するのに有効な投与量のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを対象に投与し、喘息およびアレルギーを治療または予防することができる。
【0121】
したがって、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、喘息などのアレルギー状態および非アレルギー状態の治療において有意な治療的有用性を有する。Th2サイトカイン、特に、IL−4およびIL−5は、喘息対象の気道において上昇している。これらのサイトカインは、IgEアイソトープスイッチング、好酸球の走化性および活性化ならびに肥満細胞増殖を包含する喘息の炎症性応答の重要な局面を促進する。Th1サイトカイン、特に、IFN−γおよびIL−12は、Th2クローンの形成およびTh2サイトカインの産生を抑制することができる。喘息とは、炎症、気道の狭窄および吸入された物質に対する気道の反応性増加を特徴とする呼吸器系の障害を指す。喘息は、それらに限らないが、アトピー性またはアレルギー性の症状を伴うことが多い。
【0122】
癌を有する対象とは、検出可能な癌性細胞を有する対象である。癌は、悪性または非悪性の癌であってよい。癌または腫瘍は、胆道癌;脳腫瘍;乳癌;子宮頚癌;絨毛癌;大腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;および腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫を包含するが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、癌は、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱細胞癌、または結腸癌である。
【0123】
対象は、ヒトまたはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シチメンチョウ、ニワトリ、霊長類、例えば、サル、および魚(水産養殖種)、例えば、サケを包含するがこれに限定されない脊椎動物を意味するものとする。したがって、本発明は、非ヒト対象における癌および腫瘍、感染、ならびにアレルギー/喘息を治療するためにも使用することができる。癌は、コンパニオンアニマル(すなわち、ネコおよびイヌ)の主な死亡原因の1つである。
【0124】
本明細書で使用する、治療する、治療される、または、治療することという用語は、感染性疾患、癌、アレルギー、または、喘息などの障害に関して使用される場合、疾患の発症(例えば、病原体の感染)に対する対象の抵抗性を高める、または、言い換えれば、対象が疾患を発症する(例えば、病原体に感染する)可能性を低くする予防的治療ならびに対象が疾患を発症した後に疾患と闘い(例えば、感染を減らすか排除する)または疾患が悪化するのを防ぐための治療を指す。
【0125】
CpGオリゴヌクレオチドが抗原と共に投与される場合において、対象は、抗原に曝露されることがある。本明細書で使用する「に曝露される」という用語は、対象を抗原と接触させる能動的ステップかin vivoにおける対象の抗原への受動的曝露のどちらかを指す。対象の抗原への能動的曝露のための方法は、当技術分野においてよく知られている。一般に、抗原は、静脈内、筋肉内、経口、経皮、粘膜、鼻腔内、気管内、または皮下投与などの任意の手段により対象に直接投与される。抗原は、全身的または局所的に投与することができる。抗原およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与するための方法を、以下でより詳細に記載する。対象は、抗原が、体内で免疫細胞への曝露に利用できるようになると、抗原に受動的に曝露される。対象は、例えば、体内への外来性病原体の侵入により、またはその表面上で外来性抗原を発現する腫瘍細胞の発生により、抗原に受動的に曝露されることがある。
【0126】
対象が抗原に受動的に曝露される方法は、特に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与するタイミングに左右されることがある。例えば、癌または感染性疾患またはアレルギー性もしくは喘息性応答を発症する危険性がある対象において、対象は、危険性が最大である場合、すなわち、アレルギーシーズン中または発癌物質への曝露後に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを定期的に投与されることがある。さらに、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、旅行者が感染因子に曝露される危険性がある外国に旅行する前に、旅行者に投与されることがある。同様に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、生物戦争への曝露の危険性がある兵士または民間人に投与され、もし対象が抗原に曝露される場合、抗原に対する全身または粘膜の免疫応答を誘導することができる。
【0127】
本明細書で使用する抗原とは、免疫応答を誘発することができる分子である。抗原は、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖複合体、多糖および他の分子のペプチドおよび非ペプチド模倣体、小分子、脂質、糖脂質、炭水化物、ウイルスおよびウイルス抽出物ならびに寄生虫などの多細胞生物体およびアレルゲンを包含するが、これらに限定されるものではない。抗原という用語は、宿主免疫系により外来性であると認識される任意のタイプの分子を広く包含する。抗原は、癌抗原、微生物抗原、およびアレルゲンを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本明細書で使用する癌抗原とは、腫瘍または癌細胞表面と結び付き、MHC分子との関連で抗原提示細胞の表面上で発現される場合に、免疫応答を誘発することができるペプチドまたはタンパク質などの化合物である。癌抗原は、例えば、Cohen、他、1994、Cancer Research、54:1055に記載されているように癌細胞の粗抽出物を調製すること、抗原を部分的に精製すること、組換え技術、または知られている抗原のde novo合成のいずれかにより、癌細胞から調製することができる。癌抗原は、組換え的に発現される抗原、腫瘍もしくは癌の免疫原性部分または腫瘍もしくは癌全体を包含するが、これらに限定されるものではない。そのような抗原は、組換え的にまたは当技術分野において知られているその他の手段により単離または調製することができる。
【0129】
本明細書で使用する微生物抗原とは、微生物の抗原であり、ウイルス、細菌、寄生虫、および真菌を包含するが、これらに限定されるものではない。そのような抗原は、インタクトな微生物ならびに天然の分離株およびそれらの断片または誘導体と、天然の微生物抗原と同一であるかまたは類似しており、その微生物に特異的な免疫応答を誘導する合成化合物を包含する。ある化合物は、その化合物が天然の微生物抗原に対して免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘導する場合、天然の微生物抗原に類似している。そのような抗原は、当技術分野において日常的に使用され、当業者によく知られている。
【0130】
ウイルスは、核酸コアおよびタンパク質コートを一般的に含有するが、独立して生きる生物体ではない小さい感染因子である。ウイルスは、タンパク質を欠く感染性核酸の形態をとることもある。ウイルスは、ウイルスが複製することができる生きた細胞がないと生存することができない。ウイルスは、エンドサイトーシスかDNA(ファージ)の直接注入のどちらかにより特定の生きた細胞に入って増殖し、疾患を引き起こす。次いで、増殖したウイルスは、放出され、さらなる細胞に感染することができる。一部のウイルスは、DNA含有ウイルスであり、他のウイルスは、RNA含有ウイルスである。DNAウイルスは、ポックス、ヘルペス、アデノ、パポバ、パルボ、およびヘパドナを包含する。RNAウイルスは、ピコルナ、カリシ、アストロ、トガ、フラビ、コロナ、パラミクソ、オルソミクソ、ブニヤ、アレナ、ラブド、フィロ、ボルナ、レオ、およびレトロを包含する。一部の態様において、本発明は、例えば、動物における牛海綿状脳症(すなわち、狂牛病、BSE)もしくはスクレイピー感染、またはヒトにおけるクロイツフェルト−ヤコブ病などの、プリオンが疾患進行に関与している疾患を治療することも意図している。
【0131】
ウイルスは、エンテロウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなどの、ピコルナウイルス科のウイルスを包含するが、これらに限定されるものではない)、ロタウイルス、アデノウイルス、ならびにA型、B型、C型、D型およびE型肝炎などの肝炎ウイルスを包含するが、これらに限定されるものではない。ヒトにおいて見いだされているウイルスの具体例は、レトロウイルス科(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV−III/LAVとも呼ばれる)、または、HIV−IIIなどのヒト免疫不全ウイルス;およびHIV−LPなどの他の分離株;ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(例えば、ハンターンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(大部分のアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV));ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス科(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);および他のウイルス、急性喉頭気管気管支炎ウイルス、アルファウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、パピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、鳥インフルエンザ、SARsウイルス、ウエストナイルウイルスを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0132】
本発明の方法は、一部の実施形態において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および肝炎ウイルスの治療に特に有用である。ヒトT細胞リンパ球指向性ウイルスIII(HILV III)としても知られているレトロウイルスの1種であるHIVは、AIDSとして知られている障害をもたらす悪化を引き起こす原因である。HIVは、T細胞に感染して破壊し、免疫系の全体バランスを乱し、患者が他の感染と闘う能力の喪失をもたらし、致命的になることが多い日和見感染に患者をかかりやすくする。
【0133】
ウイルス性肝炎は、腫脹、圧痛、および時には肝臓への永久的な損傷を生じることがある肝臓の炎症である。肝臓の炎症が少なくとも6カ月以上続く場合、慢性肝炎と呼ばれる。A型、B型、C型、D型およびE型を包含するウイルス性肝炎を引き起こすことが知られている少なくとも5つの異なるウイルスが存在する。A型肝炎は、一般的に、ヒトの糞便で汚染されている食物または飲料水を介して移される。B型肝炎は、一般的に、血液などの体液を介して広がる。例えば、B型肝炎は、出生児に母から子供に、性的接触、汚染された輸血および注射針を介して広がることがある。C型肝炎は、とてもありふれており、B型肝炎と同様に、輸血および汚染された注射針を介して広がることが多い。D型肝炎は、併存するB型肝炎ウイルスのキャリアである静注(IV)薬物使用者に見いだされることが最も多い。E型肝炎は、A型ウイルス性肝炎と類似しており、一般的に、粗末な下水設備に関係している。
【0134】
グラム陰性とグラム陽性細菌は共に、脊椎動物において抗原としての役割を果たす。そのようなグラム陽性細菌は、パスツレラ種、ブドウ球菌種、および連鎖球菌種を包含するが、これらに限定されるものではない。グラム陰性細菌は、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス種、およびサルモネラ種を包含するが、これらに限定されるものではない。感染性細菌の具体例は、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pyloris)、ボレリアブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリウム種(例えば、結核菌(M.tuberculosis)、トリ結核菌(M.avium)、マイコバクテリウムイントラセルラーレ(M.intracellulare)、マイコバクテリウムカンサシイ(M.kansaii)、マイコバクテリウムゴルドナエ(M.gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカスアガラクチエ(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(ビリダンス群)、ストレプトコッカスフェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカスボビス(Streptococcus bovis)、連鎖球菌(嫌気性種)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、病原性のカンピロバクター種、エンテロコッカス種、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(Bacillus antracis)、ジフテリア菌(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム種、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクターエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラムルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス種、フソバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシラスモニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、トレポネーマパリディウム(Treponema pallidium)、トレポネーマペルテヌエ(Treponema pertenue)、レプトスピラ、リケッチア、およびアクチノマイセスイスラエリイ(Actinomyces israelli)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0135】
真菌の例は、クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデスイミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセスデルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)を包含する。
【0136】
他の感染性生物体(すなわち、原生生物)は、熱帯マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、および三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、およびトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)などのプラスモジウム種を包含する。血液感染性および/または組織寄生虫は、プラスモジウム種、バベシアミクロチ(Babesia microti)、バベシアディバージエンス(Babesia divergens)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、リーシュマニア種、ブラジルリーシュマニア(Leishmania braziliensis)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma gambiense)、およびローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠症)、トリパノソーマクルージ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)、およびトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)を包含する。
【0137】
他の医学的に関連する微生物は、文献に広範囲にわたって記載されており、例えば、C.G.A.Thomas、Medical Microbiology、Bailliere Tindall、Great Britain 1983を参照されたい。その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0138】
アレルゲンとは、感受性の対象においてアレルギー性または喘息性の応答を誘導することがある物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑、粉塵、真菌胞子および薬物(例えば、ペニシリン)を包含することがある。天然、動物および植物アレルゲンの例は、以下の属、すなわち、イヌ科(カニスファミリアリス(Canis familiaris));デルマトファゴイデス属(例えば、コナヒョウダニ(Dermatophagoides farinae));ネコ属(イエネコ(Felis domesticus));アンブロシア属(ブタクサ(Ambrosia artemiisfolia));ロリウム属(例えば、ペレニアルライグラス(Lolium perenne)またはイタリアンライグラス(Lolium multiflorum));クリプトメリア属(ニホンスギ(Cryptomeria japonica));アルテルナリア属(アルテルナリアアルテルナータ(Alternaria alternata));アルダー;ハンノキ属(ハンノキ(Alnus gultinoasa));カバノキ属(ビーチ(Betula verrucosa));コナラ属(アメリカンホワイトオーク(Quercus alba));オリーブ属(ヨーロッパオリーブ(Olea europa));ヨモギ属(オオヨモギ(Artemisia vulgaris));オオバコ属(例えば、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata));ヒカゲミズ属(例えば、パリエタリアオフィシナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリアユダイカ(Parietaria judaica));チャバネゴキブリ属(例えば、チャバネゴキブリ(Blattella germanica));ミツバチ属(例えば、アピスムルチフローラム(Apis multiflorum));イトスギ属(例えば、ホソイトスギ(Cupressus sempervirens)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)およびモントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa));ビャクシン属(例えば、ユニペルスサビノイデス(Juniperus sabinoides)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、セイヨウネズ(Juniperus communis)およびユニペルスアシェイ(Juniperus ashei));クロベ属(Thuya)(例えば、コノテガシワ(Thuya orientalis));ヒノキ属(例えば、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa));ゴキブリ属(例えば、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana));カモジグサ属(例えば、シバムギ(Agropyron repens));ライムギ属(例えば、ライムギ(Secale cereale));コムギ属(例えば、コムギ(Triticum aestivum));カモガヤ属(例えば、カモガヤ(Dactylis glomerata));ウシノケグサ属(例えば、ヒロハウシノケグサ(Festuca elatior));イチゴツナギ属(例えば、ナガハグサ(Poa pratensis)またはコイチゴツナギ(Poa compressa));カラスムギ属(例えば、マカラスムギ(Avena sativa));シラゲガヤ属(例えば、シラゲガヤ(Holcus lanatus));ハルガヤ属(例えば、ハルガヤ(Anthoxanthum odoratum));オオカニツリ属(例えば、オオカニツリ(Arrhenatherum elatius));コヌカグサ属(例えば、コヌカグサ(Agrostis alba));アワガエリ属(例えば、オオアワガエリ(Phleum pratense));クサヨシ属(例えば、クサヨシ(Phalaris arundinacea));スズメノヒエ属(例えば、アメリカスズメノヒエ(Paspalum notatum));モロコシ属(例えば、セイバンモロコシ(Sorghum halepensis));およびスズメノチャヒキ属(例えば、コスズメノチャヒキ(Bromus inermis))に対して特異的なタンパク質を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0139】
本明細書で使用する実質的に精製されたという用語は、天然で関係する他のタンパク質、脂質、炭水化物または他の材料を実質的に含まないポリペプチドを指す。当業者は、タンパク質精製のための標準的技法を用いてウイルスまたは細菌のポリペプチドを精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元性ポリアクリルアミドゲル上に単一の主要なバンドを与えることが多いはずである。部分的にグリコシル化されたポリペプチドまたはいくつかの開始コドンを有するポリペプチドの場合、非還元性ポリアクリルアミドゲル上にいくつのバンドが存在することがあるが、これらは、そのポリペプチドに特有のパターンを形成するであろう。ウイルスまたは細菌のポリペプチドの純度は、アミノ末端アミノ酸配列分析により決定することもできる。多糖、小分子、模倣体などの核酸ベクターによりコードされない他のタイプの抗原は、本発明内に包含される。
【0140】
本発明のオリゴヌクレオチドは、抗微生物薬と共に対象に投与されることがある。本明細書で使用する抗微生物薬とは、感染性微生物を殺傷または阻害することができる天然に存在する化合物または合成化合物を指す。本発明に従って有用な抗微生物薬のタイプは、対象が感染しているか、または感染する危険性がある微生物のタイプによって異なるであろう。抗微生物薬は、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、および抗寄生虫薬を包含するが、これらに限定されるものではない。「抗感染薬」、「抗細菌薬」、「抗ウイルス薬」、「抗真菌薬」、「抗寄生虫薬」および「殺寄生虫薬」などの語句は、当業者には十分に確立した意味を有し、標準的な医療テキストで定義されている。手短に言えば、抗細菌薬は、細菌を殺傷または阻害し、抗生物質ならびに類似の機能を有する他の合成または天然化合物を包含する。抗生物質は、微生物などの細胞により二次代謝産物として産生される低分子量分子である。一般に、抗生物質は、微生物に特異的であり、宿主細胞には存在しない1つまたは複数の細菌の機能または構造を妨害する。抗ウイルス薬は、天然源から単離するか、または合成することができ、ウイルスを殺傷または阻害するのに有用である。抗真菌薬は、表在性真菌感染ならびに日和見性および原発性全身性真菌感染を治療するために使用される。抗寄生虫薬は、寄生虫を殺傷または阻害する。
【0141】
ヒト投与に有用な殺寄生虫薬とも呼ばれる抗寄生虫薬の例は、アルベンダゾール、アンホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、塩酸クロロキン、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、ジロキサニドフロエート、エフロルニチン、フラゾリダオン(furazolidaone)、糖質コルチコイド、ハロファントリン、ヨードキノール、イベルメクチン、メベンダゾール、メフロキン、アンチモン酸メグルミン、メラルソプロール、メトリフォネート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモックス、オキサムニキン、パロモマイシン、イセチオン酸ペンタミジン、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、パモ酸ピランテル、ピリメタンミン(pyrimethanmine)−スルホンアミド、ピリメタンミン−スルファドキシン、塩酸キナクリン、硫酸キニーネ、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトロプリム(trimethroprim)−スルファメトキサゾール、およびトリパルサミドを包含するが、これらに限定されることはなく、これらの一部は、単独でまたは他の抗寄生虫薬と組み合わせて使用される。
【0142】
抗細菌薬は、細菌を殺傷するか、または細菌の増殖または機能を阻害する。抗細菌薬の大きなクラスは、抗生物質である。広範囲の細菌を殺傷または阻害するのに有効である抗生物質は、広域抗生物質と呼ばれる。他のタイプの抗生物質は、グラム陽性またはグラム陰性クラスの細菌に対して主に有効である。これらのタイプの抗生物質は、狭域抗生物質と呼ばれる。単一の生物体または疾患に対して有効であるが、他のタイプの細菌に対して有効でない他の抗生物質は、限定域(limited−spectrum)抗生物質と呼ばれる。抗細菌薬は、それらの主要な作用機作に基づいて分類されることがある。一般に、抗細菌薬は、細胞壁合成阻害薬、細胞膜阻害薬、タンパク質合成阻害薬、核酸の合成または機能阻害薬、および競合的阻害薬である。
【0143】
抗ウイルス薬は、ウイルスによる細胞の感染または細胞内のウイルスの複製を防ぐ化合物である。抗ウイルス薬物が抗細菌薬物よりもずっと少ないのは、ウイルス複製のプロセスが、宿主細胞内のDNA複製と密接に関係しているため、非特異的抗ウイルス薬は宿主にとって毒性であることが多いためである。ウイルス感染のプロセス内には、抗ウイルス薬により遮断または阻害されることがあるいくつかの段階がある。これらの段階は、ウイルスの宿主細胞への付着(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱殻(例えば、アマンタジン)、ウイルスmRNAの合成または翻訳(例えば、インターフェロン)、ウイルスRNAまたはDNAの複製(例えば、ヌクレオチド類似体)、新たなウイルスタンパク質の成熟(例えば、プロテアーゼ阻害薬)、ならびにウイルスの出芽および放出を包含する。
【0144】
ヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドに類似しているが、不完全または異常なデオキシリボースまたはリボース基を有する合成化合物である。いったんヌクレオチド類似体が細胞内に入ると、それらはリン酸化され、ウイルスDNAまたはRNAへの組入れを正常なヌクレオチドと競合する三リン酸形態を生じる。いったんヌクレオチド類似体の三リン酸形態が、伸長中の核酸鎖に組み入れられると、ウイルスポリメラーゼとの不可逆的な会合と連鎖停止を引き起こす。ヌクレオチド類似体は、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスの治療に使用される)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの治療に有用である)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器合胞体ウイルスの治療に有用である)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジドブジン(アジドチミジン)、イミキモド、およびレシミキモド(resimiquimod)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0145】
インターフェロンは、ウイルス感染細胞ならびに免疫細胞により分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染細胞に隣接する細胞上の特異的受容体に結合することにより機能し、細胞において、ウイルスによる感染から細胞を守る変化を引き起こす。αおよびβ−インターフェロンも、感染細胞の表面上でクラスIおよびクラスII MHC分子の発現を誘導し、宿主の免疫細胞認識のための抗原提示の増加をもたらす。αおよびβ−インターフェロンは、組換え形態として入手可能であり、慢性B型およびC型肝炎感染の治療に使用されている。抗ウイルス療法に有効である用量において、インターフェロンは、発熱、倦怠感および体重減少などの重度の副作用を有する。
【0146】
本発明において有用な抗ウイルス薬は、免疫グロブリン、アマンタジン、インターフェロン、ヌクレオチド類似体、およびプロテアーゼ阻害薬を包含するが、これらに限定されるものではない。抗ウイルス剤の具体例は、エースマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデフォビル;アロブジン;アルビルセプトスドトックス(Alvircept Sudotox);塩酸アマンタジン;アラノチン;アリルドン;メシル酸アテビルジン;アブリジン;シドホビル;シパムフィリン(Cipamfylline);塩酸シタラビン;メシル酸デラビルジン;デスシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル;エドクスジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファムシクロビル;塩酸ファモチン;フィアシタビン;フィアルリジン;ホサリラート;フォスカルネットナトリウム;ホスホネトナトリウム;ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;ケトキサール(Kethoxal);ラミブジン;ロブカビル;塩酸メモチン;メチサゾン;ネビラピン;ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;塩酸リマンタジン;メシル酸サキナビル;塩酸ソマンタジン;ソリブジン;スタトロン(Statolon);スタブジン;塩酸チロロン;トリフルリジン;塩酸バラシクロビル;ビダラビン;リン酸ビダラビン;ビダラビンナトリウムリン酸塩;ビロキシム;ザルシタビン;ジドブジン;およびジンビロキシムを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0147】
抗真菌薬は、感染性真菌の治療および予防に有用である。抗真菌薬は、それらの作用機序により分類されることがある。一部の抗真菌薬は、グルコース合成酵素を阻害することにより細胞壁阻害薬として機能する。これらは、バシウンギン(basiungin)/ECBを包含するが、これに限定されるものではない。他の抗真菌薬は、膜の完全性を不安定にすることにより機能する。これらは、クロトリマゾール、セルタコナゾール(sertaconzole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナゾール(voriconacole)などのイミダゾール、ならびにFK463、アンホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラジミシン、UK292、ブテナフィン、およびテルビナフィンを包含するが、これらに限定されるものではない。他の抗真菌薬は、キチンを分解することにより(例えば、キチナーゼ)または免疫抑制(501クリーム)により機能する。
【0148】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫応答を増強するために、アジュバントなどの他の治療薬と組み合わせることができる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび他の治療薬は、同時に、または順次に投与することができる。他の治療薬が同時に投与される場合、それらは、同じか、または別々の製剤で投与することができるが、同時に投与される。他の治療薬およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与が時間的に分離されている場合、他の治療薬は、お互いにおよびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドについて順次に投与される。これらの化合物の投与間の時間の分離は、数分であってよく、またはそれより長くてよい。他の治療薬は、アジュバント、サイトカイン、抗体、抗原などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0149】
本発明の組成物は、非核酸アジュバントと共に投与することもできる。非核酸アジュバントとは、本明細書に記載されているCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを除く、体液性および/または細胞性免疫応答を刺激することができる任意の分子または化合物である。非核酸アジュバントは、例えば、デポ効果を生み出すアジュバント、免疫刺激アジュバント、およびデポ効果を生み出しかつ免疫系を刺激するアジュバントを包含する。
【0150】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、粘膜アジュバントとしても有用である。全身性免疫と粘膜免疫は共に、CpG核酸の粘膜送達により誘導されることがこれまでに発見されている。したがって、オリゴヌクレオチドは、他の粘膜アジュバントと組み合わせて投与することができる。
【0151】
免疫応答は、サイトカイン(Bueler & Mulligan、1996;Chow他、1997;Geissler他、1997;Iwasaki他、1997;Kim他、1997)またはB−7共刺激分子(Iwasaki他、1997;Tsuji他、1997)のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドとの同時投与または共直線性(co−linear)発現により誘導または増大させることもできる。サイトカインという用語は、ナノ−〜ピコモル濃度で体液性レギュレーターとして作用し、正常な状態または病的な状態のどちらかで、個々の細胞および組織の機能活性をモジュレートする可溶性のタンパク質およびペプチドの多様な群の一般名として使用される。これらのタンパク質は、細胞間の相互作用も直接媒介し、細胞外環境において生じるプロセスも調節する。サイトカインの例は、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン−γ(γ−IFN)、IFN−α、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、FLT−3リガンド、およびCD40リガンドを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0152】
オリゴヌクレオチドは、Th2免疫応答からTh1免疫応答に免疫応答を方向転換させるのにも有用である。このことは、比較的バランスの取れたTh1/Th2環境を生み出す結果となる。Th2からTh1免疫応答への免疫応答の方向転換は、核酸に応答して産生されるサイトカインのレベルを測定することにより(例えば、IL−12、IFN−γおよびGM−CSFを包含するTh1サイトカインを産生する単球細胞および他の細胞を誘導することにより)評価することができる。Th2からTh1応答への免疫応答の方向転換または再平衡は、喘息の治療または予防に特に有用である。例えば、喘息を治療するのに有効な量は、喘息に関係しているTh2タイプの免疫応答をTh1タイプの応答またはバランスの取れたTh1/Th2環境に方向転換するのに有用な量であってよい。Th2サイトカイン、特に、IL−4およびIL−5は、喘息対象の気道において上昇している。本発明のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫系の再平衡を助けるTh1サイトカインの増加を引き起こし、主としてTh2免疫応答に伴う有害作用を予防または軽減する。
【0153】
本発明のオリゴヌクレオチドは、気道リモデリングを治療するのにも有用なことがある。気道リモデリングは、気道における平滑筋細胞増殖および/または粘膜下肥厚に起因し、限られた気流につながる気道狭窄を最終的に引き起こす。本発明のオリゴヌクレオチドは、さらなるリモデリングを予防し、おそらくリモデリングプロセスによって生じる組織増加さえ軽減することがある。
【0154】
オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の生存、分化、活性化および成熟を改善するためにも有用である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の細胞生存、分化、活性化および成熟を促進する独特な能力を有する。
【0155】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ナチュラルキラー細胞溶解活性および抗体依存性細胞傷害(ADCC)も増加させる。ADCCは、癌細胞などの細胞内標的に特異的な抗体と組み合わせてCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを用いて行うことができる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、抗体と併せて対象に投与される場合、対象の免疫系が誘導され、腫瘍細胞を殺傷する。ADCC手順において有用な抗体は、体内の細胞と相互作用する抗体を包含する。細胞内標的に特異的な多くのそのような抗体は、当技術分野において記載されており、多くは、市販されている。
【0156】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、抗癌療法と併せて投与することもできる。抗癌療法は、癌医薬品、放射線および外科手術を包含する。本明細書で使用する「癌医薬品」とは、癌を治療する目的で対象に投与される薬剤を指す。本明細書で使用する「癌を治療すること」とは、癌の発症を予防すること、癌の症状を軽減すること、および/または確立した癌の増殖を阻害することを包含する。他の態様において、癌医薬品は、癌を発症する危険性を軽減する目的で癌を発症する危険性がある対象に投与される。癌を治療するための様々なタイプの医薬品を本明細書に記載する。本明細書のために、癌医薬品を、化学療法薬、免疫療法薬、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物学的応答調整剤として分類する。
【0157】
さらに、本発明の方法は、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドと一緒に2種以上の癌医薬品を使用することを包含することを意図している。一例として、必要に応じて、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、化学療法薬と免疫療法薬の両方と共に投与することができる。あるいは、癌医薬品は、癌を有する対象または癌を発症する危険性がある対象を治療する目的で1対象にすべて投与される免疫療法薬および癌ワクチン、または化学療法薬および癌ワクチン、または化学療法薬、免疫療法薬および癌ワクチンを包含することがある。
【0158】
化学療法薬は、メトトレキセート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖を含有しないクロロエチルニトロソ尿素、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグラミン(Meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MMI270、BAY12−9566、RASファメシル(famesyl)トランスフェラーゼ阻害薬、ファメシルトランスフェラーゼ阻害薬、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレク(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Mitroxantrone)、メタレット(Metaret)/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、Incel/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナール(Lemonal)DP2202、FK317、ピシバニール/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロマイド、エバセト/リポソームドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、ゼロード(Xeload)/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパクス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RAS癌遺伝子阻害薬、BMS−182751/経口白金、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール、カンプトサー/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラリトレキセド(Ralitrexed)、ロイスタチン/クラドリビン、パキセクス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリクス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン(Pharmarubicin)/エピルビシン、デポサイト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタルイミド(Naphtalimide)、LU103793/ドラスタイン(Dolastain)、カエチクス(Caetyx)/リポソームドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド(Anormed)、YM116、ロジンシード(lodine seed)、CDK4およびCDK2阻害薬、PARP阻害薬、D4809/デキシフォサミド(Dexifosamide)、アイフェス(Ifes)/メスネクス(Mesnex)/イフォサミド(Ifosamide)、ブモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベペシド(Vepeside)/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソ尿素、メルフェラン(melphelan)およびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロムブシル(Chlorombucil)、塩酸シタラビン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イフォスファミド、インターフェロンα−2a、α−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH−放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、塩酸メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、塩酸ミトキサントロン、オクトレオチド、プリカマイシン、塩酸プロカルバジン、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エルスロポエチン(Erthoropoietin)、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、および硫酸ビンデシンからなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
免疫療法薬は、リブタキシン、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス、ベクサー、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット、ノボMAb−G2、TNT、グリオマブ−H、GNI−250、EMD−72000、リンフォサイド、CMA676、モノファーム−C、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10Ab、SMART ABL364AbおよびImmuRAIT−CEAからなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
癌ワクチンは、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド共役ワクチン、Her2/neu、オバレックス、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLセラトープ(theratope)、BLP25(MUC−1)、リポソームイディオタイプワクチン、メラシン(Melacine)、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAベースのワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルスおよびイムシスト(ImmuCyst)/テラシス(TheraCys)からなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドをモノクローナル抗体などの免疫療法薬と併せて使用すると、ADCCの有意な増強(上記のような)、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、およびIFNαレベルの増加を包含する多くの機序を介して長期生存を高めることができる。核酸は、モノクローナル抗体と組み合わせて使用される場合、生物学的結果を達成するのに必要とされる抗体の投与量を軽減するのに役立つ。
【0162】
本明細書で使用する「癌抗原」および「腫瘍抗原」という用語は、癌細胞により差次的に発現され、それによって、癌細胞を標的とするために利用することができる抗原を指すために互換的に使用される。癌抗原とは、明らかに腫瘍特異的な免疫応答を潜在的に刺激することができる抗原である。これらの抗原の一部は、必ずしも発現されないが、正常な細胞によりコードされる。これらの抗原は、正常な細胞において普通はサイレントである(すなわち、発現されない)抗原、分化の特定の段階においてのみ発現される抗原ならびに胚抗原および胎児性抗原などの時間的に発現される抗原として特徴付けることができる。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化されたras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば、突然変異体p53)、内部欠失または染色体転座により生じた融合タンパク質などの突然変異体細胞性遺伝子によりコードされる。さらに他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルスで運ばれるものなどのウイルス遺伝子によりコードされることがある。
【0163】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、自己免疫疾患を治療および予防するのにも有用である。自己免疫疾患は、対象の自分の抗体が宿主組織と反応する、または免疫エフェクターT細胞が、内因性の自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす疾患の一クラスである。したがって、免疫応答は、自己抗原と呼ばれる対象の自分の抗原に対して仕掛けられる。自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合性結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎(例えば、半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、および自己免疫性糖尿病を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0164】
本明細書で使用する「自己抗原」という用語は、正常宿主組織の抗原を指す。正常宿主組織は、癌細胞を包含していない。したがって、自己抗原に対して仕掛けられる免疫応答は、自己免疫疾患に関連して、望ましくない免疫応答であり、正常組織の破壊および損傷の一因となり、一方、癌抗原に対して仕掛けられる免疫応答は、望ましい免疫応答であり、腫瘍または癌の破壊の一因となる。したがって、自己免疫疾患を治療することを目的とする本発明の一部の態様において、CpG免疫刺激性核酸が自己抗原、特に、自己免疫障害の標的である自己抗原と共に投与されることは推奨されない。
【0165】
他の場合に、CpG免疫刺激性核酸は、低投与量の自己抗原と共に送達されることがある。多くの動物研究は、低投与量の抗原の粘膜投与が、免疫低応答性すなわち「免疫寛容(tolerance)」の状態をもたらすことがあることを立証している。能動機序は、Th1から離れて主にTh2およびTh3(すなわち、TGF−β支配の)応答に向かうサイトカイン媒介性免疫偏向であるように見える。低投与量抗原送達による能動抑制は、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチおよびSLEの療法において非常に興味深い非関連免疫応答(バイスタンダー抑制)を抑制することもある。バイスタンダー抑制には、炎症性サイトカインおよびTh1サイトカインが抗原特異的か抗原非特異的のどちらかで放出される局所環境におけるTh1−対抗制御的サプレッサーサイトカインの分泌が関わっている。本明細書で使用する「免疫寛容」とは、この現象を指すために使用される。実際に、経口免疫寛容は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、実験的自己免疫性重症筋無力症、コラーゲン誘発性関節炎(CIA)、およびインスリン依存性糖尿病を包含する動物における多くの自己免疫疾患の治療に有効とされてきた。これらのモデルにおいて、自己免疫疾患の予防および抑制は、Th1からTh2/Th3応答への抗原特異的な体液性および細胞性応答のシフトに関係している。
【0166】
本発明は、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを用いて抗原非特異的先天性免疫活性化および感染チャレンジに対する広域抵抗性を誘導するための方法も包含する。本明細書で使用する抗原非特異的先天性免疫活性化という用語は、B細胞以外の免疫細胞の活性化を指し、例えば、NK細胞、T細胞もしくは抗原非依存的に応答することができる他の免疫細胞またはこれらの細胞の一部の組合せの活性化を包含することがある。感染チャレンジに対する広域抵抗性が誘導されるのは、免疫細胞が、活性な形態であり、初回刺激され、侵入するいかなる化合物または微生物にも応答するためである。細胞は、特定の抗原に対して特異的に初回刺激される必要はない。このことは、生物戦争、および旅行者などの上記に記載されている他の環境において特に有用である。
【0167】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、対象に直接投与することができ、または核酸送達複合体と併せて投与することができる。核酸送達複合体とは、標的化手段(例えば、標的細胞に高親和性結合をもたらす分子)と会合している(例えば、それとイオン結合または共有結合している;または、その内部にカプセル化されている)核酸分子を意味するものとする。核酸送達複合体の例は、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、陽イオン性脂質、ビロソームまたはリポソーム)、または標的細胞特異的結合剤(例えば、標的細胞特異的受容体により認識されるリガンド)と会合している核酸を包含する。好ましい複合体は、in vivoにおいて、標的細胞による内部移行前の有意な脱共役を防ぐのに十分に安定であってよい。しかしながら、複合体は、オリゴヌクレオチドが機能的な形態で放出されるように、細胞内の適切な条件下で切断可能であってよい。
【0168】
抗原およびオリゴヌクレオチドを表面に送達するための送達ビヒクルまたは送達装置について記載されている。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療薬は、単独で(例えば、食塩水または緩衝液中で)、または当技術分野において知られている任意の送達ビヒクルを用いて投与することができる。例えば、以下の送達ビヒクル、すなわち、コクリエート(Chochliates);エマルソーム(Emulsomes)、ISCOM;リポソーム;生細菌ベクター(例えば、サルモネラ、大腸菌(Escherichia coli)、カルメット−ゲラン桿菌(Bacillus calmatte−guerin)、赤痢菌、乳酸桿菌);生ウイルスベクター(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、単純ヘルペス);マイクロスフェア;核酸ワクチン;ポリマー;ポリマー環;プロテオソーム;フッ化ナトリウム;トランスジェニック植物;ビロソーム;ウイルス様粒子について記載されている。他の送達ビヒクルは、当技術分野において知られており、一部の追加例は、ベクターの議論において以下で提供される。
【0169】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの有効量という用語は、望ましい生物学的効果を実現するのに必要または十分な量を指す。例えば、粘膜免疫性を誘導するために抗原と共に投与されるCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの有効量は、抗原への曝露により抗原に応答してIgAの発生を引き起こすのに必要な量であり、一方、全身性免疫を誘導するために必要とされる量は、抗原への曝露により抗原に応答してIgGの発生を引き起こすのに必要な量である。本明細書に提供されている教示と組み合わせて、様々な活性化合物の中から選ぶこと、ならびに効力、相対的生物学的利用能、患者体重、有害副作用の重症度、および好ましい投与様式などの要素を比較検討することにより、実質的な毒性を引き起こさず、さらに、特定の対象を治療するのに全体的に有効である有効な予防的または治療的な処置レジメンを計画することができる。任意の特定の応用例にとっての有効量は、治療されている疾患または状態、投与されている特定のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド、対象のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度などの要素に応じて様々であってよい。当業者は、特定のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療薬の有効量を、必要以上の実験を必要とすることなく経験的に決定することができる。
【0170】
粘膜送達または局所送達のための本明細書に記載されている化合物の対象投与量は、典型的には、1回の投与当たり約0.1μg〜10mgの範囲であり、応用例に応じて、毎日、毎週、または毎月およびそれらの間のその他の時間に与えてもよい。より典型的には、粘膜投与量または局所投与量は、1回の投与当たり約10μg〜5mg、最も典型的には、約100μg〜1mgの範囲であり、2〜4回の投与に数日または数週間の間隔が置かれる。より典型的には、免疫刺激剤投与量は、毎日または毎週の投与で、1回の投与当たり1μg〜10mg、最も典型的には10μg〜1mgの範囲である。化合物が、別の治療薬でなく抗原と共に送達される、抗原特異的な免疫応答を誘導する目的で非経口送達するための本明細書に記載されている化合物の対象投与量は、典型的には、ワクチンアジュバントまたは免疫刺激剤の応用例の場合に有効な粘膜投与量よりも5〜10,000倍高く、より典型的には、10〜1,000倍高く、最も典型的には、20〜100倍高い。先天性免疫応答を誘導する目的で、またはADCCを増加させるため、または抗原特異的免疫応答を誘導するために非経口送達するための本明細書に記載されている化合物の投与量は、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、他の治療薬と組み合わせて、または特殊化した送達ビヒクルで投与される場合、1回の投与当たり約0.1μg〜10mgの範囲であり、応用例に応じて、毎日、毎週、または毎月およびそれらの間のその他の時間に与えてもよい。より典型的には、これらの目的のための非経口投与量は、1回の投与当たり約10μg〜5mg、最も典型的には、約100μg〜1mgの範囲であり、2〜4回の投与に数日または数週間の間隔が置かれる。しかしながら、一部の実施形態において、これらの目的のための非経口投与量は、上記に記載されている典型的な投与量よりも5〜10,000倍高い範囲で使用することができる。
【0171】
本明細書に記載されている任意の化合物について、治療有効量は、まず動物モデルから決定することができる。治療有効投与量は、ヒトで試験された(ヒト臨床試験が開始された)CpGオリゴヌクレオチドならびに他のアジュバント、例えば、LTおよびワクチン接種目的の他の抗原などの類似の薬理学的活性を示すことが知られている化合物についてのヒトデータからも決定することができる。非経口投与には、より高い投与量が必要とされることがある。適用される投与量は、相対的生物学的利用能および投与される化合物の効力に基づいて調整することができる。上記に記載されている方法および当技術分野においてよく知られているような他の方法に基づいて最大の有効性が得られるように投与量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0172】
本発明の製剤は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性の担体、アジュバント、および場合により、他の治療用成分を日常的に含有することがある薬学的に許容できる液剤で投与される。
【0173】
治療で使用する場合、有効量のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを望ましい表面、例えば、粘膜、全身へ送達する任意の様式により対象に投与することができる。本発明の医薬組成物を投与することは、当業者に知られている任意の手段により行うことができる。投与の好ましい経路は、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼、膣、および直腸を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0174】
経口投与の場合、化合物(すなわち、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド、抗原および他の治療薬)は、1種または複数の活性化合物を、当技術分野においてよく知られている薬学的に許容できる担体と混ぜ合わせることにより容易に製剤化することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、治療すべき対象による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固形賦形剤として取得し、場合により、得られる混合物を粉砕し、必要な場合に、適当な助剤を添加した後で顆粒の混合物を処理し、錠剤または糖剤コアを得ることができる。適当な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを包含する糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。望ましい場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を加えることができる。場合により、経口製剤は、食塩水または緩衝液、すなわち、内部の酸性条件を中和するためのEDTA中で製剤化してもよく、または担体なしに投与してもよい。
【0175】
上記の1種または複数の構成成分の経口剤形も具体的に企図されている。1種または複数の構成成分は、誘導体の経口送達が効果的であるように化学的に修飾することができる。一般的に、企図される化学修飾は、構成成分分子自体への少なくとも1つの部分の接続であり、前記部分は、(a)タンパク質分解の阻害;および(b)胃または腸から血流への取り込みを可能にする。1種または複数の構成成分の総体的安定性の増加および体内の循環時間の増加も望ましい。そのような部分の例は、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリプロリンを包含する。AbuchowskiおよびDavis、1981、「Soluble Polymer−Enzyme Adducts」、Enzymes as Drugs、HocenbergおよびRoberts、編、Wiley−Interscience、New York、NY、367〜383ページ;Newmark、他、1982、J.Appl.Biochem.4:185〜189。用いることができる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocane)である。上記に示すように、ポリエチレングリコール部分が薬学的用法として好ましい。
【0176】
構成成分(または、誘導体)について、放出の位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸、または回腸)、または大腸であってよい。当業者は、胃で溶解しないであろうが、十二指腸または腸内のどこかで材料を放出するであろう利用可能な製剤を有する。放出は、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)の保護、または腸におけるなどの胃環境を越えた生物学的活性材料の放出のどちらかにより、胃環境の有害な効果を回避することが好ましい。
【0177】
完全な胃抵抗性を保証するためには、少なくともpH5.0まで不透過性のコーティングが不可欠である。腸溶コーティングとして使用されるより一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、オイドラギットL30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、オイドラギットL、オイドラギットS、およびシェラックである。これらのコーティングは、混合型のフィルム剤として使用することができる。
【0178】
胃に対する保護を意図しないコーティングまたはコーティングの混合物を錠剤上で使用することもできる。これは、糖コーティング、または錠剤の嚥下をより容易にするコーティングを包含することがある。カプセル剤は、乾燥治療薬、すなわち、粉末を送達するためのハードシェル(ゼラチンなど)からなることがあり、液状形態については、ソフトゼラチンシェルを使用することができる。カシェ剤のシェル材料は、粘度の高いデンプン、または他の食用紙であってよい。丸剤、ロゼンジ剤、成形錠剤または湿製錠剤(tablet triturates)については、湿式塊化(moist massing)技法を使用することができる。
【0179】
治療薬は、粒径約1mmの顆粒剤またはペレット剤の形態で微細な多粒子剤として製剤に包含することができる。カプセル投与のための材料の製剤も、粉末、軽度に圧縮されたプラグ、または錠剤であってよい。治療薬は、圧縮により調製されることがある。
【0180】
着色剤および矯味剤がすべて包含されることがある。例えば、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)を製剤化し(リポソームまたはマイクロスフェアカプセル化などにより)、次いで、着色剤および矯味剤を含有する冷蔵飲料などの食用製品内にさらに含有させることができる。
【0181】
不活性材料で治療薬の体積を希釈または増加させることができる。これらの希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、a−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストランおよびデンプンを包含することができる。三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを包含する特定の無機塩も、充填剤として使用することができる。一部の市販希釈剤は、ファスト−フロー(Fast−Flo)、エムデックス(Emdex)、STA−Rx1500、エンコンプレス(Emcompress)およびアビセル(Avicell)である。
【0182】
治療薬の固形剤形への製剤化に崩壊剤が包含されることがある。崩壊剤として使用される材料は、市販のデンプンベースの崩壊剤、エクスプロタブ(Explotab)を包含するデンプンを包含するが、これに限定されるものではない。デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然スポンジおよびベントナイトはすべて使用することができる。別の形態の崩壊剤は、不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末ゴムは、崩壊剤および結合剤として使用することができ、これらは、寒天、カラヤまたはトラガカントなどの粉末ゴムを包含することがある。アルギン酸およびそのナトリウム塩も、崩壊剤として有用である。
【0183】
結合剤は、硬質錠剤を形成して治療薬を一緒に保持するために使用されることがあり、アカシア、トラガカント、デンプンおよびゼラチンなどの天然産物由来の材料を包含する。他のものは、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を包含する。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は共に、治療薬を顆粒化するためにアルコール性溶液中で使用されることがある。
【0184】
抗摩擦剤(anti−frictional agent)は、製剤化プロセス中の固着を防ぐために治療薬の製剤中に包含されることがある。滑沢剤は、治療薬とダイ壁の間の層として使用することができ、これらは、そのマグネシウムおよびカルシウム塩を包含するステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油およびワックスを包含するが、これらに限定されるものではない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、カルボワックス(Carbowax)4000および6000などの可溶性滑沢剤も使用することができる。
【0185】
製剤化中に薬物の流動特性を改善し、圧縮中の再構成を助けることがある流動促進剤が加えられることがある。流動促進剤は、デンプン、タルク、焼成シリカおよび水和シリコアルミネートを包含することがある。
【0186】
水性環境中への治療薬の溶解を助けるために、界面活性剤が浸潤剤として加えられることがある。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤を包含することがある。陽イオン性界面活性剤が使用されることがあり、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトミウム(benzethomium)を包含することがある。界面活性剤として製剤に包含されることがある可能な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独か様々な比の混合物としてのどちらかで、オリゴヌクレオチドまたは誘導体の製剤中に存在することがある。
【0187】
経口的に使用することができる医薬調製物は、ゼラチン製の押し込み式(push−fit)カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製の軟質密封カプセル剤を包含する。押し込み式カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤ならびに、場合により、安定化剤との混合物中に活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液状ポリエチレングリコールなどの適当な液体に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤が加えられることがある。経口投与のために製剤化されたマイクロスフェアも使用されることがある。そのようなマイクロスフェアは、当技術分野において十分に定義されている。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。
【0188】
口腔投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはロゼンジ剤の形態をとることがある。
【0189】
吸入による投与の場合、本発明に従って使用するための化合物は、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを使用し、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で都合良く送達することができる。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。化合物およびラクトースまたはデンプンなどの適当粉末基剤の粉末ミックスを含有するインヘイラーまたはインサフレーターで使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジ剤を製剤化することができる。
【0190】
オリゴヌクレオチド(または、それらの誘導体)の肺送達も本明細書において企図されている。オリゴヌクレオチド(または誘導体)は、吸入中に哺乳動物の肺に送達され、肺上皮層を横断して血流に至る。吸入される分子の他の報告は、Adjei他、1990、Pharmaceutical Research、7:565〜569;Adjei他、1990、International Journal of Pharmaceutics、63:135〜144(酢酸ロイプロリド);Braquet他、1989、Journal of Cardiovascular Pharmacology、13(補遺5):143〜146(エンドセリン−1);Hubbard他、1989、Annals of Internal Medicine、第III巻、206〜212ページ(a1−アンチトリプシン);Smith他、1989、J.Clin.Invest.84:1145〜1146(a−1−プロテイナーゼ);Oswein他、1990、「Aerosolization of Proteins」、Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II、Keystone、Colorado、3月(組換えヒト成長ホルモン);Debs他、1988、J.Immunol.140:3482〜3488(インターフェロン−gおよび腫瘍壊死因子α)およびPlatz他、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を包含する。全身効果のための薬物の肺送達のための方法および組成物は、Wong他による1995年9月19日に出願された米国特許第5,451,569号に記載されている。
【0191】
本発明の実施において使用するために、ネブライザー、定量インヘイラー、および粉末インヘイラーを包含するがこれらに限定されない治療用製品の肺送達のために設計された広範囲な機械装置が企図されており、それらはすべて、当業者にはよく知られている。
【0192】
本発明の実施に適した市販の装置の一部の具体例は、Mallinckrodt,Inc.、St.Louis、Missouri製のウルトラベント(Ultravent)ネブライザー;Marquest Medical Products、Englewood、Colorado製のアコーン(Acorn)IIネブライザー;Glaxo Inc.、Research Triangle Park、North Carolina製のベントリン(Ventolin)定量インヘイラー;およびFisons Corp.、Bedford、Massachusetts製のスピンヘイラー(Spinhaler)粉末インヘイラーである。
【0193】
すべてのそのような装置は、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)の分注に適した製剤の使用を必要とする。典型的には、各製剤は、用いられる装置のタイプに特異的であり、治療に有用な通常の希釈剤、アジュバントおよび/または担体の他に、適切な噴射剤材料の使用を含むことがある。リポソーム、マイクロカプセルもしくはマイクロスフェア、包接錯体、または他のタイプのキャリアの使用も企図されている。化学修飾されたオリゴヌクレオチドも、化学修飾のタイプまたは用いられる装置のタイプに応じて様々な製剤中で調製することができる。
【0194】
ジェット式か超音波式のどちらかのネブライザーで使用するのに適している製剤は、典型的には、溶液1mL当たり生物学的に活性なオリゴヌクレオチド約0.1〜25mgの濃度で水に溶解されたオリゴヌクレオチド(または、誘導体)を含むであろう。製剤は、緩衝液および単糖(例えば、オリゴヌクレオチド安定化および浸透圧の調節のため)を包含することもある。ネブライザー製剤は、エアロゾルを形成する際に溶液の霧化により引き起こされるオリゴヌクレオチドの表面誘起凝集を軽減または予防するために、界面活性剤を含有することもある。
【0195】
定量インヘイラー装置で使用するための製剤は、一般的に、界面活性剤を用いて噴射剤中に懸濁されるオリゴヌクレオチド(または、誘導体)を含有する微粉化した粉末を含むであろう。噴射剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタンを包含する炭化水素、またはそれらの組合せなどの、この目的で用いられる任意の従来の材料であってよい。適当な界面活性剤は、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンを包含する。オレイン酸も、界面活性剤として有用であることがある。
【0196】
粉末インヘイラー装置から分注するための製剤は、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)を含有する微粉化した乾燥粉末を含み、装置からの粉末の分注を容易にする量、例えば、製剤の50〜90重量%でラクトース、ソルビトール、スクロース、またはマンニトールなどの増量剤を包含することもある。オリゴヌクレオチド(または、誘導体)は、遠位肺への最も効果的な送達のために、10mm未満(または、ミクロン)、最も好ましくは、0.5〜5mmの平均粒径を有する粒子形態で調製することが最も有利である。
【0197】
本発明の医薬組成物の鼻腔送達も企図されている。鼻腔送達は、肺における製品の沈着を必要とせずに、鼻に治療用製品を投与した直後に、血流への本発明の医薬組成物の通過を可能にする。鼻腔送達のための製剤は、デキストランまたはシクロデキストリンを含む製剤を包含する。
【0198】
鼻腔投与の場合、有用な装置は、定量噴霧器が接続されている小型の硬質ボトルである。一実施形態において、定量は、本発明の医薬組成物溶液を、規定体積のチャンバー(チャンバーは、チャンバー内の液体が圧縮された場合にスプレーを形成することにより、エアロゾル製剤をエアロゾル化するための寸法にされた開口部を有する)内に引き込むことにより送達される。チャンバーは、本発明の医薬組成物を投与するために圧縮される。具体的実施形態において、チャンバーは、ピストン配列である。そのような装置は、市販されている。
【0199】
あるいは、圧搾された場合にスプレーを形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するための寸法にされた開口部または開口を有するプラスチックの圧搾ボトルが使用される。開口は、普通、ボトルの頂部に見いだされ、頂部は、一般的に、エアロゾル製剤の効率的な投与のために、鼻道に部分的にフィットするように先を細くされている。鼻腔インヘイラーは、測定投与量の薬物を投与するために、一定量のエアロゾル製剤を提供することが好ましい。
【0200】
化合物は、それらを全身に送達することが望ましい場合、注射による、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤が添加された単位剤形で、例えば、アンプル剤またはマルチドーズ容器で提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤またはエマルジョン剤などの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有することがある。
【0201】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態で活性化合物の水溶液を包含する。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁剤として調製することができる。適当な親油性の溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを包含する。水性注射懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を高める物質を含有することがある。場合により、懸濁液は、適当な安定化剤、または高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を高める試剤を含有することもある。
【0202】
あるいは、活性化合物は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水で構成するための粉末形態であってよい。
【0203】
化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤または保留浣腸などの直腸または膣用組成物に製剤化することもできる。
【0204】
これまでに記載されている製剤の他に、化合物は、デポ調製物として製剤化することもできる。そのような長時間作用型製剤は、適当なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容できる油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤化することができる。
【0205】
医薬組成物は、適当な固相またはゲル相の担体または賦形剤を含むこともある。そのような担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0206】
適当な液状または固形医薬調製物形態は、例えば、マイクロカプセル化されている、渦巻形(encochleated)にされている、微視的金粒子上にコーティングされている、リポソーム、噴霧されるエアロゾル、皮膚に埋め込むためのペレットに含有されている、または皮膚内に掻き入れるための鋭い物体上に乾燥されている、吸入用の水溶液または食塩溶液である。医薬組成物は、それらの調製において、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、矯味剤、甘味料または可溶化剤などの賦形剤および添加剤および/または助剤が上記に記載されているように習慣的に使用される、顆粒剤、散剤、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、エマルジョン剤、懸濁剤、クリーム剤、点滴剤または活性化合物が遅延放出される調製物も包含する。医薬組成物は、様々な薬物送達システムで使用するのに適している。薬物送達のための方法についての短い総説については、参照により本明細書に組み込まれているLanger、Science 249:1527〜1533、1990を参照されたい。
【0207】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドならびに、場合により、他の治療薬および/または抗原は、そのまま(ニート)で、または薬学的に許容できる塩の形態で投与することができる。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に許容できるものでなければならないが、薬学的に許容できない塩を好都合に使用し、薬学的に許容できるそれらの塩を調製することができる。そのような塩は、以下の酸、すなわち、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から調製される塩を包含するが、これらに限定されるものではない。カルボン酸基のナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類塩などの塩も調製することができる。
【0208】
適当な緩衝剤は、酢酸および塩(1〜2%w/v);クエン酸および塩(1〜3%w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%w/v);ならびにリン酸および塩(0.8〜2%w/v)を包含する。適当な保存剤は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)およびチメロサール(0.004〜0.02%w/v)を包含する。
【0209】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる担体に包含されていてもよい有効量のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび、場合により、抗原および/または他の治療薬を含有する。薬学的に許容できる担体という用語は、ヒトまたは他の脊椎動物へ投与するのに適している1種または複数の適合性の固形または液状の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。担体という用語は、適用を容易にするように活性成分と混ぜ合わせられる、天然または合成の有機または無機成分を示す。医薬組成物の構成成分は、望ましい薬学的効率を実質的に損なう可能性がある相互作用がないように、本発明の化合物と、またはお互いと、混ぜ合わせることができる。
【0210】
本発明は、さらに制限すると決して解釈すべきでない以下の実施例によりさらに例示される。本出願を通じて引用される参考文献(参考文献、発行済み特許、公開済み特許出願、および同時係属の特許出願を包含する)の全内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれるものとする。
【実施例】
【0211】
材料および方法
オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)および試薬
すべてのODNは、標準的なホスホルアミダイト化学反応プロトコルに従って合成し、Coley Pharmaceutical GmbHにより同一性および純度について制御し、Limulusアッセイ(BioWhittaker、Verviers、Belgium)により測定される検出不可能な内毒素レベル(<0.1EU/ml)を有していた。ODNを、無菌で内毒素を含まないTris−EDTA(Sigma、Deisenhofen、Germany)に懸濁し、微生物汚染と内毒素汚染の両方を予防するために無菌条件下で保存および操作した。すべての希釈は、内毒素を含まないTris−EDTAを用いて行った。
【0212】
TLR9アッセイ
HEK293細胞を、エレクトロポレーションにより、それぞれのヒトTLRおよび6xNF−κB−ルシフェラーゼレポータープラスミドを発現するベクターでトランスフェクトした。安定なトランスフェクタント(3×104細胞/ウェル)を、加湿したインキュベーター中で37℃にて16時間にわたって指示量のODNと共にインキュベートした。各データポイントは、3回ずつ行った。細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ遺伝子活性について(Perkin−Elmer、Zaventem、Belgium製のBriteLiteキットを用いて)アッセイした。刺激指数は、ODNを添加しない培地のレポーター遺伝子活性を参照して計算した。
【0213】
細胞精製
健康なヒトドナー由来の末梢血液バフィーコート調製物は、the Blood Bank of the University of Dusseldolf(Germany)から入手し、PBMCは、Ficoll−Hypaque(Sigma)上の遠心分離により精製した。細胞を、5%(v/v)加熱不活性化ヒトAB血清(BioWhittaker)、または10%(v/v)加熱不活性化FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(すべてSigma製)が補充されたRPMI1640培地中37℃にて、加湿したインキュベーター中で培養した。
【0214】
サイトカイン検出およびフローサイトメトリー分析
PBMCを、5×106細胞/mlの濃度で再懸濁し、96ウェル丸底プレート(250μl/ウェル)に加えた。PBMCを、ODNと共にインキュベートし、培養上清(SN)を、指定された時点後に集めた。すぐに使用しない場合、SNを、必要になるまで−20℃にて保存した。
【0215】
SN中のサイトカインの量は、市販の抗体(PBL、New Brunswick、NJ、USA)を用いて開発されたIFN−α用の社内ELISAを用い、またはLuminex多重システム(Luminex Corporation、12212 Technology Boulevard、Austin、Texas78727−6115)上で評価した。
【0216】
動物
雌性BALB/cマウス(6〜8週齢)を、Charles River Canada(Quebec、Canada)から購入し、Coley Pharmaceutical Group Canadaのthe Animal Care Facility内のマイクロアイソレーターに収容した。すべての研究は、the Canadian Council on Animal Careの指針の下にthe Animal Care Committee of Coley Canadaに準拠して行った。すべての動物は、CpG ODNに対してナイーブであった。
【0217】
SA1N腫瘍モデル:雌性A/Jマウス(1群当たり10匹)に、0日目に5×105個のSaI/N腫瘍細胞を皮下注射した。マウスを、腫瘍誘導後8日目に開始し、週に1回、皮下で与えるODN100μgまたはPBS単独で処置した。動物を、生存および腫瘍体積についてモニターした。腫瘍サイズ(長さおよび幅)を、デジタルノギスを用いて測定した。腫瘍体積を、式:腫瘍体積=(0.4)(ab2)(ここで、aは、長径であり、bは、短径である)を用いることにより計算した。
【0218】
In vitroアッセイ
ナイーブなBALB/cマウス脾細胞(3〜5匹の動物のプールから)を、in vitroアッセイに使用した。動物をイソフルランで麻酔し、頸椎脱臼により安楽死させた。脾臓を無菌条件下で摘出し、PBS+0.2%ウシ血清アルブミン(Sigme Chemical Company)に入れた。次いで、脾臓をホモジナイズし、脾細胞を、2%正常マウス血清(Cedarlane Laboratories、Ontario、Canada)、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ、最終濃度1000U/mlおよび1mg/ml;Sigma Chemical Company)、および5×10−5M b−メルカプトエタノール(Sigma Chemical Company)が補充されたRPMI1640(Life Technologies、Grand Island、NY)組織培養培地に再懸濁した。
【0219】
B細胞増殖アッセイ
カボキシ(Caboxy)−フロレセイン(florescein)ジアセテート、スクシミジル(succimidyl)エステル(CFSE)(Invitrogen、Eugene、Oregon、USA)染色BALB/cマウス脾細胞(4×105/ウェル)を、5日にわたって37℃にて加湿した5%CO2インキュベーター中で様々な濃度のODNと共にインキュベートした。次いで、細胞を、CD19用のPE結合抗CD19抗体(BD Pharmingen、San Diego、CA、USA)で染色し、FACSと、続いて、ModFit Software V3.0(Verity Software House Inc.、Topsham、ME、USA)による分析によりB細胞増殖を決定した。
【0220】
(実施例1)
CpGモチーフにおける構造活性相関の検討
非メチル化CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドが、トール様受容体9(TLR9)経路を介して免疫応答を刺激することができることは知られている。TLR9経路を刺激する最高の能力を有するオリゴヌクレオチドを同定するために、CpGモチーフにおける包括的構造活性相関(SAR)研究を行った。結果は、ヒポキサンチンおよび6−チオグアニンによるグアニンの置換が、hTLR9アッセイにおいて類似の活性につながるが、プリン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、8−オキソ−7,8−ジヒドログアニンおよび7−デアザグアニン置換は、hTLR9刺激において40〜80%の低下をもたらすことを示した。さらに、C5およびN4における修飾は、hTLR9経路の刺激をもたらさなかった。これらの知見から、グアニンは、フーグスティーン部位を介して認識され、一方、シトシンは、C,H−エッジにおいてTLR9受容体と結合するSARモデルが得られた(図1aを参照)。したがって、グアニンのフーグスティーン認識部位ならびにシトシンのC,H−エッジにおける無修飾は、hTLR9活性の有意な喪失なしに可能であった。ジヌクレオチドモチーフにおいて検討した塩基修飾のどれも、非修飾CpGモチーフよりも活性であった。
【0221】
(実施例2)
CpGモチーフに近い疎水性チミン塩基形類似体の効果
CpGモチーフに隣接するdT残基の影響を検討するために、2,4−ジフルオロトルエン(FF)(配列番号3〜9)、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)および5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)などのいくつかの疎水性チミン塩基形類似体をCpGモチーフの外側に組み入れた(表1および図2〜3を参照)。驚いたことに、すべての試験した疎水性チミン類似体の組入れは、hTLR9活性の異常に強い増加につながったが、ウラシル残基(メチル基を欠くチミン、図4)による置換は、hTLR9刺激の強い減少につながった。TLR9刺激の増加は、修飾がCpGモチーフの5’側にある場合に顕著であった。CpGモチーフの5’および3’の5−ヨードウラシル(JU)による二重置換は、試験したもののうちで最も強力な刺激をもたらした。対照的に、CpGモチーフにおける2,4−ジフルオロトルエンによるグアニンおよびシトシンの置換は、両方の場合に、TLR9刺激指数の強い減少につながった。
【0222】
疎水性T類似体の組入れも、ヒトPBMCにおけるIFN−α誘導の強い増強をもたらした。予想外に、5−ブロモウリジンおよび5−ヨードウリジンによる、IFN−αを誘導するのに実質的に不活性であるODN(配列番号1)の修飾は、特に、TLR9刺激およびIFN−α誘導の増加をもたらした。これらの修飾を含有しないCpG ODNについてはTLR9とIFN−α誘導の間に逆相関が通常存在する。
【0223】
【表1】
【0224】
(実施例3)
親油性塩基形置換基によるTLR9の活性化
CpGモチーフの5’側にある塩基の様々なタイプの親油性置換が、hTLR9の刺激の有意な増加を引き起こしたことから、5−クロロ−ウラシル、5−トリフルオロメチル−ウラシル、フェニル、アリールおよび置換アリール残基などの他の塩基類似体を、hTLR9を刺激するそれらの能力について検討した(表3)。様々な親油性塩基類似体で修飾されたBクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、BクラスODN配列番号1を、5−クロロ−2’−デオキシウリジン(CU)、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)および5−エチル−2’−デオキシウリジン(EU)で修飾した。hTLR9−NFkB−293細胞を16時間にわたって指示されたODN(図5a)と共にインキュベートした。次いで、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を決定した。CU修飾(配列番号41)、BU修飾(配列番号10)JU修飾(配列番号13)およびEU修飾(配列番号42)オリゴヌクレオチドはすべて、対照(配列番号1)よりも高いTLR9活性の刺激を示した。ウリジン修飾を有する配列番号16は、劇的に減少した活性を示した。第二の実験では、IFN−α産生を測定した(図5b)。ヒトPBMCを、24時間にわたって指示されたように修飾ODNと共にインキュベートした後、上清をELISAにより試験した。JU修飾、BU修飾、およびEU修飾ODNは、対照に対して最も高いIFN−αの増加をもたらした。これらのデータは、BクラスODN上のdUの5’置換が、TLR9活性およびIFN−α産生を増加させることを証明している。
【0225】
TLR9活性化に対するEU修飾の効果をさらに検討するために、CpGの5’(配列番号42)、CpGの3’(配列番号29)、ならびにCpGの5’および3’(配列番号30)にEU修飾を有する修飾オリゴヌクレオチドについて実験を繰り返した。配列番号42および30は、非修飾配列番号1および非修飾BクラスODN配列番号37を上回るTLR9活性化の有意な増加を示した(図6)。
【0226】
【表2】
【0227】
(実施例4)
A、B、C、P、およびTクラスのオリゴヌクレオチド上の親油性置換
ODNの様々なクラスに対する親油性塩基類似体置換の効果を検討するために、Aクラス、Bクラス、Cクラス、Pクラス、およびTクラスオリゴヌクレオチドに修飾を行った。これらのオリゴヌクレオチドの一部の実施例を表3に示す。
【0228】
【表3】
【0229】
修飾BクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号37の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Bクラス誘導体を、TLR9を活性化するそれらの能力についてルシフェラーゼアッセイにおいて評価した(材料および方法を参照)。すべての修飾Bクラスオリゴヌクレオチドは、非修飾配列番号37を上回るTLR9活性化の有意な増加を示した(図7)。
【0230】
修飾AクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号43の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Aクラス誘導体を、図5におけるようにルシフェラーゼアッセイ(図8a)およびPBMCアッセイ(図8b)においてTLR9を活性化するそれらの能力について試験した。TLR9刺激の増加は、修飾がCpGモチーフの5’側にある場合に顕著であったが、CpGモチーフの5’および3’の5−ヨードウラシル(JU)による二重置換は、最も強力な刺激をもたらした。
【0231】
修飾CクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号46、配列番号44および45の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Cクラス誘導体を、TLR9を活性化するそれらの能力について試験した。Aクラス配列配列番号43(非修飾)ならびに配列番号35および36を同時に試験した。図9に示すように、修飾ODN配列番号35、36、44、および45はすべて、ルシフェラーゼアッセイにおいて非修飾AおよびCクラスを越えるTLR9刺激の増加を示した。修飾PクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号46の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Pクラス誘導体を、ルシフェラーゼアッセイにおいてTLR9を活性化するそれらの能力について試験した。図10に示すように、修飾ODN配列番号31〜33は、非修飾ODNを上回るTLR9刺激の増加を示した。
【0232】
修飾TクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、非修飾TクラスODN配列番号52の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Tクラス誘導体を、TLR9を活性化するそれらの能力について試験した。図11に示すように、修飾ODN配列番号47〜50は、ルシフェラーゼアッセイにおいて非修飾TクラスODNを上回るTLR9刺激の増加を示した。ウリジン誘導体配列番号51は、TLR9刺激の低下を示した。
【0233】
上記の実施例が証明するように、CpGモチーフの5’側での親油性T類似体の置換は、試験したすべてのクラスにおいてTLR9活性化の強い増加をもたらし、IFN−α産生を誘導する能力の増加をもたらした。
【0234】
(実施例5)
短い修飾オリゴヌクレオチドによるTLR9の刺激
長さが20ヌクレオチドの修飾CpG ODNが、TLR9活性化について普通でない親和性を示したため、極めて短いCpG ODNを、TLR9を活性化するそれの能力について検討した。極めて短いオリゴヌクレオチドは、細胞による取り込みやすさの増加ならびにDOTAPを使用しない潜在的可能なより簡単な製剤化のために、治療で使用するより長いオリゴヌクレオチドよりも有利であると思われる。3種の短いCpG ODN(ショートマー)すなわち、六量体CpGモチーフ六量体(配列番号38)、六量体の5’JU修飾(配列番号39)、および六量体の5’3’JU修飾(配列番号40)を検討した(表3)(表4)。ショートマーの活性を、ルシフェラーゼアッセイにおいて非修飾Bクラスオリゴヌクレオチド配列番号37と比較した。図12に示すように、配列番号40については特に、修飾ショートマーの使用は、改善された免疫療法医薬品としての高い可能性を示している。
【0235】
【表4】
【0236】
(実施例6)
修飾オリゴヌクレオチドによるin vivoでのTLR9経路の活性化
in vivoでの本発明の修飾ODNの有効性を決定するために、親油性T類似体を有するODNを、単離マウス脾細胞において試験した。BALB/cマウス脾細胞を単離し、修飾Bクラス(配列番号13)、非修飾Bクラス(配列番号37)、および非CpG ODN(配列番号26)と共にインキュベートした(表5)。培養上清を、6時間目(TNF−α)または24時間目(IL−6、IL−10、IL−12)に集め、サイトカイン濃度をELISAにより測定した。図13に示すように、修飾配列番号13とのインキュベーションは、試験したすべてのサイトカインの劇的に増加したレベルをもたらした。
【0237】
次いで、ODNを、脾細胞におけるB細胞増殖を誘導するそれらの能力について試験した。CFSE染色BALB/cマウス脾細胞(4×105/ウェル)を、指示されたODN0.001、0.01、0.1、0.3、1、3または10μg/mlと共にインキュベートした(図14)。インキュベーション後72時間目に、細胞を、細胞表面マーカーCD19について染色し、B細胞増殖を、FACSと、続いて、ModFit Softwareによる分析により決定した。図14に示すように、修飾配列番号13とのインキュベーションは、B細胞増殖の顕著な増加をもたらした。増加は、より低いODN濃度であっても最も顕著であった。
【0238】
in vivoでの修飾ODNの効果を測定するために、BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、総体積100μl中の配列番号13 10、50もしくは100μgまたは配列番号37 100μgを皮下(SC)注射した。対照群は、PBS100μlのみを受けた。動物を、注射の1時間後(TNF−α)または注射の3時間後(IP−10)に心臓穿刺により放血させた。血漿サンプルを、ELISAによりTNF−α(図15a)およびIP−10(図15b)についてアッセイした。修飾配列番号13のBALB/cマウスの注射は、非修飾配列番号37よりも高いTNF−αおよびIP−10産生をもたらし、本発明の親油性塩基形置換ODNが、非修飾免疫刺激性ODNよりも高いin vivoでの免疫刺激をもたらすことを証明している。
【0239】
【表5】
【0240】
(実施例7)
追加修飾を有するオリゴヌクレオチド
親油性塩基類似体を有するODNを、ルシフェラーゼアッセイにおいてTLR9媒介性NF−κB活性を誘導するそれらの能力について試験した(材料および方法を参照)。図16〜23は、追加修飾を有するODNの活性を示している(表6を参照)。
【0241】
他の塩基類似体の活性を試験するために、6−ニトロ−ベンズイミダゾール(6NB)修飾ODN配列番号178および非修飾親配列配列番号1の活性を比較した。図12に示すように、配列番号178は、非修飾親配列に匹敵する程度までTLR9媒介性NF−κBを活性することができた。次に、5−(2−ブロモビニル)−ウリジン修飾ODN(配列番号153〜154)の活性を、非修飾親配列配列番号1の活性と比較した。図17に示すように、両方の修飾ODNは、このアッセイにおいて、親配列よりも活性であった。次に、親配列(配列番号1)のチミジンの代わりに5−プロイニル−dUを有する2種のBクラスODN(配列番号116および117)の活性。図21に示すように、両方の修飾ODNは、親配列の活性に匹敵する活性を有していた。修飾がCGジヌクレオチドの5’側にある配列番号116の活性は、親配列よりもわずかに改善された。
【0242】
JU修飾ODNに対する第二のタイプの修飾の効果を試験するために、2’O−メチルグアノシンをJU修飾ODNに組み入れた。2’O−メチルグアノシン/JU ODN配列番号111〜113の活性を、親配列番号1およびJUのみ修飾配列番号13の活性と比較した。図18に示すように、すべてのJU修飾ODNは、親ODNよりも活性であった。CGジヌクレオチドの3’に2’O−メチルグアノシン修飾を有するODN(配列番号112〜113)は、CGジヌクレオチドの5’に2’O−メチルグアノシン修飾を有するODN(配列番号111)またはJU単独で修飾されたODN(配列番号13)よりもわずかに活性であった。
【0243】
次に、JU修飾分岐ODN(配列番号96、97、101、および102)の活性を、配列番号1の活性と比較した。図19に示すように、2つの接近可能な5’末端を有する分岐ODNはすべて、このアッセイにおいて非修飾配列番号1と同程度かより活性であった。トリエチレングリコールホスフェートスペーサーを有する配列番号101および102は、3’−O−メチル−Gスペーサーを有する配列番号96および97よりも活性であった。
【0244】
次に、短い非修飾BクラスODN(配列番号38)および親油性置換ヌクレオチド類似体および親油性3’タグを有する同一配列のODN(配列番号126)の活性を比較した。両者は、DOTAPと共に、およびDOTAPなしに製剤化した。図20に示すように、JU修飾および親油性タグの追加は、DOTAPの添加のように、ODNの活性を大きく増強した。
【0245】
次に、親油性置換ヌクレオチド類似体の他に第二のヌクレオチド類似体を有するBクラスODN(配列番号138、7−デアザ−dG;配列番号139、イノシン;配列番号140、5−メチル−dC)の活性を、親配列(配列番号1)および親油性置換ヌクレオチド類似体のみを有する同一配列(配列番号13)の活性と比較した。図22に示すように、すべての修飾ODNは、親ODNよりもこのアッセイにおいて活性であった。
【0246】
次に、親油性置換ヌクレオチド類似体を有するTクラスODN(配列番号132〜134)の活性を、免疫刺激性であることが知られているCクラスODN(配列番号198)の活性と比較した。図23に示すように、すべての修飾ODNは、非修飾CクラスODNよりもこのアッセイにおいてかなり高い活性を示した。
【0247】
【表6】
【0248】
(実施例8)
修飾Pクラスオリゴヌクレオチドの活性
親油性塩基類似体を有するPクラスODNを、ルシフェラーゼアッセイにより測定されるようなTLR9を介するNF−kB経路を活性化する能力について試験した。親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜61)の活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。図24に示すように、すべての修飾PクラスODNは、対照に比較して増加したTLR9刺激を示した。図24aは、JU修飾PクラスODNを示し、24bは、EU修飾PクラスODNを示している。
【0249】
次に、修飾PクラスODN(配列番号64(EU修飾)、66〜67(JU修飾))の活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)の活性と比較した。図25に示すように、すべての修飾ODNは、非修飾PクラスODNよりも高度なTLR9刺激を示した。CGジヌクレオチド中にホスホジエステル結合を有する配列番号66は、完全なホスホロチオエート配列番号67と比較して低下した活性を示した。
【0250】
次に、修飾PクラスODNを、IFN−αの発現を誘導するそれらの能力について試験した。親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜61)の活性を、ELISAアッセイにより測定して、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。図26に示すように、すべての修飾PクラスODNは、IFN−α誘導の増加を示した。図26aは、JU修飾PクラスODNを示し、26bは、EU修飾PクラスODNを示している。
【0251】
次に、修飾PクラスODN(EU修飾)、66〜67(JU修飾)を、ELISAアッセイにより測定されるようなIFN−αを誘導する能力について、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)のそれと比較した。図27に示すように、修飾PクラスODNは、IFN−αを誘導する増強された能力を示した。図24におけるように、配列番号66は、配列番号67と比較して低下した活性を示した。
【0252】
次に、修飾PクラスODNを、ヒトPBMCにおいてIL−6を誘導する能力について試験した。3名のドナー由来のPBMCを、24時間にわたって指示された濃度のODNと共にインキュベートし、続いて、上清を、IL−6についてルミネックス(luminex)25−plexにより分析した。修飾PクラスODN(配列番号58、60〜62、図28a)(配列番号64および67、図28b)の活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、および非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。JU修飾ODN(配列番号58、60〜61および67)は、EU修飾ODN(配列番号62および64)よりもわずかに高いIL−6の活性化を示した。すべての修飾ODNは、非修飾ODNと比較して増加した活性を示した。
【0253】
次に、修飾PクラスクラスODN(配列番号58、60〜62、図29a)(配列番号64および67、図29b)の活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、非修飾PクラスODN(配列番号56)、LPS、R−848、SEB、およびポリ[I]:[C]ODNの活性と比較した。3名のドナー由来のCFSE標識PBMCを、5日にわたってODNと共にインキュベートし、次いで、CD19抗体で染色した。CFSE染色が減少したB細胞の割合を決定した。BクラスODNによる処理は、分裂後のB細胞の最も高い割合をもたらした。JU修飾ODNによる処理は、EU修飾ODNよりも高いB細胞の割合をもたらした。
【0254】
in vivoでの修飾PクラスODNの効果を決定するために、BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、様々な投与量のODNを皮下注射した。動物を、注射の3時間後に放血させ、血漿を、ELISAによりIFN−αについて試験した。修飾PクラスODN(配列番号58、60〜62、64および67)の活性を、Bクラス陰性対照(配列番号55)および陰性対照(配列番号26)の活性と比較した。図30に示すように、JU修飾ODN配列番号58、60、および61による処置は、EU修飾ODN配列番号64よりもわずかに高いIFN−α誘導をもたらした。BクラスODN配列番号55は、予想通り、マウスIFN−αをかなり減少させなかった。
【0255】
次に、修飾PクラスODNを、マウスSA1N腫瘍モデルにおける腫瘍体積を減少させるそれらの能力について試験した。雌性A/Jマウス(1群当たり10匹)に、0日目に5×105個のSaI/N腫瘍細胞を皮下注射した。マウスを、親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号60、64および67)、非修飾CクラスODN、非修飾BクラスODN(配列番号55)またはPBS単独、35μg(図31a)または100μg(図31b)で処置した。ODNは、腫瘍誘導後8日目に開始し、週に1回、皮下で与えた。動物を、生存および腫瘍体積についてモニターした。図31aに示すように、修飾PクラスODNによる低用量処置は、腫瘍体積に最も大きな減少を示し、これらのODNが、癌を治療するのに有用であることを示唆した。31bにおけるより高い用量において、すべての修飾PクラスODNおよびCクラスODNは、腫瘍体積を低減するのに有効であった。
【0256】
【表7】
【0257】
例示的修飾ODNの要約を表8に提供する。
【0258】
【表8−1】
【0259】
【表8−2】
【0260】
【表8−3】
【0261】
【表8−4】
【0262】
【表8−5】
【0263】
【表9】
【0264】
均等物
以上に記載された明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能にするのに十分であると見なされる。本発明が、提供される実施例により範囲を限定されないのは、実施例が、本発明の一態様の単なる例示として意図されており、他の機能的に均等な実施形態が、本発明の範囲内にあるためである。本明細書に示されかつ記載されているものの他に、本発明の様々な改変形態は、上記の説明から当業者に明らかになると思われ、添付の特許請求の範囲内に含まれる。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明の各実施形態により包含されるわけではない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12−1】
【図12−2】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】チミン形類似体2,4−ジフルオロトルエン(FF)で修飾されたBクラスオリゴヌクレオチド(ODN)についてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。FF修飾ODN(配列番号3〜9)の活性を、非修飾Bクラス親配列(配列番号1)、完全PS親配列(配列番号2)、および第三の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量のODNで刺激し、NF−κB刺激を、16時間後にルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図3】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。チミジン(T)を、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)(配列番号10〜12)および5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)(配列番号13〜15)で置換した。それらの活性を、非修飾Bクラス親配列(配列番号1)、完全PS親配列(配列番号2)、および第三の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量のODNで刺激し、NF−κB刺激を、16時間後にルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図4】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。2’−デオキシチミジン(T)を、2’−デオキシウリジン(U)(配列番号16〜18)で置換した。U修飾ODNの活性を、非修飾Bクラス親配列(配列番号1)、完全PS親配列(配列番号2)、および第三の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量のODNで刺激し、NF−κB刺激を、16時間後にルシフェラーゼ活性を測定することにより決定した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図5】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイおよびPBMCアッセイの結果を示す2つのグラフである。5−エチル−2’−デオキシウリジン(EU)(配列番号42)、2’−デオキシウリジン(U)(配列番号16)、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)(配列番号13)、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)(配列番号10)、および5−クロロ−2’−デオキシウリジン(CU)(配列番号41)を有するODNの相対活性を、親配列(配列番号1)の活性と比較した。図5aは、TLR9活性を示し、図5bは、IFN−α産生を示している。3名のドナーの平均+/−SEMを示す。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数(図5a)またはIFN−α濃度(pg/ml)(図5b)である。
【図6】EU修飾ODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。EU修飾ODN配列番号29、30、および42の活性を、親配列(配列番号1)および別の非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図7】修飾BクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾配列番号19〜24の活性を、親配列配列番号37の活性と比較した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図8】修飾AクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイおよびPBMCアッセイの結果を示す2つのグラフである。JU修飾配列番号35〜37の活性を、非修飾親配列(配列番号43)および非修飾BクラスODN配列番号1の活性と比較した。図8aは、TLR9活性を示し、図8bは、IFN−α産生を示している。3名のドナーの平均+/−SEMを示す。x軸は、logODN濃度(μM)(図8a)またはODN濃度(μM)(図8b)であり、y軸は、相対刺激指数(図8a)またはIFN−α濃度(pg/ml)(図8b)である。
【図9】修飾CクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾CクラスODN配列番号27〜28および44〜45の活性を、非修飾親配列配列番号45および非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性と比較した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図10】修飾PクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾配列番号31〜33の活性を、非修飾親配列(配列番号52)の活性と比較した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図11】修飾TクラスODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾配列番号47〜50およびU修飾配列番号51の活性を、非修飾親配列配列番号25の活性と比較した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図12】短いODNについてのルシフェラーゼアッセイの結果を示すグラフである。JU修飾された短いODN配列番号39〜40の活性を、非修飾親配列配列番号38およびBクラスODN配列番号37の活性と比較した。ODNは、DOTAPと共に、およびDOTAPなしに製剤化した。x軸は、logODN濃度(μM)であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図13】BALB/cマウス膵細胞を様々なODNと共に培養した膵細胞培養上清中のサイトカイン濃度を測定するELISAアッセイの結果を示す4つのグラフである。培養上清は、6時間目(TNF−αの場合)または24時間目(IL−6、IL−10およびIL−12の場合)に収集した。JU修飾BクラスODN(配列番号13)、非修飾BクラスODN(配列番号37)、非CpG陰性対照ODN(配列番号26)の活性を比較した。図13a〜dは、それぞれTNF−α、IL−6、IL−10、およびIL−12濃度を示している。x軸は、ODN濃度(μg/ml)であり、y軸は、サイトカイン濃度(pg/ml)である。
【図14】B細胞増殖のFACS分析の結果を示すグラフである。CFSE染色BALB/cマウス膵細胞(4×105/ウェル)を、ODN0.001、0.01、0.1、0.3、1、3または10μg/mlと共にインキュベートした。インキュベーションの72時間後に、細胞を、CD19について染色し、B細胞増殖を、FACSと、続くModFit Softwareによる解析により決定した。JU修飾BクラスODN(配列番号13)、非修飾BクラスODN(配列番号37)、および非CpG陰性対照ODN(配列番号26)の活性を比較した。x軸は、ODN濃度(μg/ml)であり、y軸は、相対B細胞増殖である。
【図15】ELISAにより測定されるようなin vivoサイトカイン産生を示す2つのグラフである。BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、ODN10、50または100μgを皮下注射した。対照群には、PBS100μlを単独で与えた。動物を、注射の1時間後(TNF−αの場合)または3時間後(IP−10の場合)に心臓穿刺により放血させ、血漿を、ELISAによりTNF−αおよびIP−10についてアッセイした。JU修飾BクラスODN(配列番号13)および非修飾BクラスODN(配列番号37)の活性を比較した。図15aは、TNF−α濃度を示し、図15bは、IP−10濃度を示している。x軸は、ODN投与量(μg)であり、y軸は、サイトカイン濃度(pg/ml)である。
【図16】親配列(配列番号1)中のチミジンの代わりにユニバーサル塩基(6−ニトロベンズイミダゾール)を有するBクラスODN(配列番号178)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図17】親配列(配列番号1)中のチミジンの代わりに5−(2−ブロモビニル)−ウリジンを有するBクラスODN(配列番号153および154)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図18】親油性置換ヌクレオチド類似体の他に糖修飾(2’−O−メチルグアノシン)を有するBクラスODN(配列番号111〜113)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらのODNの活性を、親配列(配列番号1)および親油性置換ヌクレオチド類似体のみを有する同一配列(配列番号13)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図19】複数の5’接近可能末端を有する分岐BクラスODNによるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。分岐ODN(配列番号96、97、101、および102)の活性を、配列番号1の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図20】短い非修飾BクラスODN(配列番号38)ならびに親油性置換ヌクレオチド類似体および親油性3’タグを有する同一配列のODN(配列番号126)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。両方とも、DOTAPと共に、およびDOTAPなしに製剤化した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図21】親配列(配列番号1)のチミンの代わりに5−プロイニル(proynyl)−dUを有する2つのBクラスODN(配列番号116および117)によるTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図22】親油性置換ヌクレオチド類似体の他に第二のヌクレオチド類似体を有するBクラスODN(配列番号138、7−デアザ−dG;配列番号139、イノシン;配列番号140、5−メチル−dC)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらのODNの活性を、親配列(配列番号1)および親油性置換ヌクレオチド類似体のみを有する同一配列(配列番号13)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図23】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するTクラスODN(配列番号132〜134)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらの活性を、免疫刺激性CクラスODN(配列番号198)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図24】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜63)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示す2つのグラフである。図24aは、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した配列番号58〜61の活性を示している。図24bは、同一の陽性対照および陰性対照の活性と比較した配列番号62〜63の活性を示している。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図25】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号64、66〜67)によるhTLR9媒介性NF−κB活性化を示すグラフである。これらの活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)の活性と比較した。hTLR9−LUC−293細胞を、指示量の核酸と共にインキュベートし、NF−κB活性化を、ルシフェラーゼ活性を測定することにより16時間後に決定した。x軸は、ODN濃度(μM)の対数であり、y軸は、相対刺激指数である。
【図26】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜63)によるIFN−αの誘導を示す2つのグラフである。図26aは、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した配列番号58〜61の活性を示している。図26bは、同一の陽性対照および陰性対照の活性と比較した配列番号62〜63の活性を示している。ヒトPBMCを、48時間にわたって指示されたODNと共にインキュベートした。次いで、IFN−αを、ELISAにより細胞培養上清中で決定した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図27】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号64、66〜67)によるIFN−αの誘導を示すグラフである。これらの活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)の活性と比較する。ヒトPBMCを、48時間にわたって指示されたODNと共にインキュベートした。次いで、IFN−αを、ELISAにより細胞培養上清中で決定した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図28】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58、60〜62、図28a)(配列番号64および67、図28b)によるIL−6誘導を示す2つのグラフである。活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、および非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。3名のドナー由来のPBMCを、24時間にわたってODNと共にインキュベートし、上清を、ルミネックスにより分析した。平均+/−SEMを示す。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、IL−6濃度(pg/ml)である。
【図29】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスクラスODN(配列番号58、60〜62、図29a)(配列番号64および67、図29b)による処理後のB細胞増殖を示す2つのグラフである。活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、非修飾PクラスODN(配列番号56)、LPS、R−848、SEB、およびポリ[I]:[C]ODNの活性と比較した。3名のドナー由来のCFSE標識PBMCを、5日にわたってODNと共にインキュベートし、次いで、CD19抗体で染色した。CFSE染色が減少したB細胞の割合を決定した。x軸は、ODN濃度(μM)であり、y軸は、分裂後に染色が減少したB細胞の%である。
【図30】親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58、60〜62、64および67)によるマウスIFN−αの誘導を示すグラフである。これらの活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)および陰性対照(配列番号26)の活性と比較する。BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、様々な投与量のODNを皮下注射した。動物を、注射の3時間後に放血させ、血漿を、ELISAによりIFN−αについて試験した。x軸は、ODN投与量(μg)であり、y軸は、IFN−α濃度(pg/ml)である。
【図31】マウスSA1N腫瘍モデルにおける腫瘍体積に対するODNの効果を示す2つのグラフである。雌性A/Jマウス(1群当たり10匹)に、0日目に5×105SaI/N腫瘍細胞を皮下注射した。マウスを、腫瘍誘導後8日目に開始し、週に1回、皮下で与える35μg(図31a)または100μg(図31b)の親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号60、64および67)、非修飾CクラスODN、非修飾BクラスODN(配列番号55)、またはPBS単独で処置した。動物を、生存および腫瘍体積についてモニターした。腫瘍サイズ(長さおよび幅)を、デジタルノギスを用いて測定した。腫瘍体積を、式:腫瘍体積=(0.4)(ab2)(ここで、aは、長径であり、bは、短径である)を用いることにより計算した。x軸は、腫瘍誘導後の日数を示し、y軸は、腫瘍体積(mm3)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、部分的に、増強された免疫刺激能力を示すCpGオリゴヌクレオチドに基づいている。CpGオリゴヌクレオチドは、例えば、トール様受容体9(TLR9)との相互作用を介して免疫系を刺激することが知られている。TLR9の刺激は、Th1偏向免疫応答の刺激、NK細胞活性化およびB細胞活性化を包含する多くの効果を有する。本発明は、一部の態様において、それらのTLR9との相互作用に影響を及ぼす変化した構造を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドの同定に関する。CpGモチーフの外側に親油性置換ヌクレオチド類似体を有するオリゴヌクレオチドが、インターフェロン−α(IFN−α)産生を刺激し、TLR9活性化を誘導する増強された能力を有することが本発明者らにより発見された。この効果は、試験した免疫刺激性オリゴヌクレオチドのすべてのクラスにおいて観察されている。増強された刺激能力を有するこれらの修飾オリゴヌクレオチドは、Eクラスオリゴヌクレオチドと名付けられている。
【0045】
本発明のEクラス修飾オリゴヌクレオチドは、一部の場合に、増強された免疫応答を誘導する能力を有する。免疫応答の誘導とは、免疫細胞の数または活性の任意の増加、またはサイトカインなどの免疫因子の発現または絶対レベルの増加を指す。免疫細胞は、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、B細胞、樹状細胞、マクロファージおよび他の抗原提示細胞を包含するが、これらに限定されるものではない。サイトカインは、インターロイキン、TNF−α、IFN−α、βおよびγ、Fltリガンド、および共刺激分子を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0046】
非メチル化CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドが、トール様受容体9(TLR9)経路を介して免疫応答を刺激することができることは知られている。多くのサイトカインの誘導は、TLR9活性化と相関している。したがって、TLR9刺激が増加するにつれて誘導が増加する。しかしながら、一般的に、CpG ODNについてTLR9とIFN−α誘導の間には逆相関が存在する。本発明の修飾の一部は、TLR活性化とIFN−αの間の逆相関ではなく、より直接的な相関が観察されるような修飾シグナル伝達パターンを生み出すことがあることが発見された。
【0047】
本発明者らは、CpGモチーフと取り囲む領域中の親油性残基の影響について検討することを目指した。以下の実施例に記載されているように、2,4−ジフルオロトルエン、5−ブロモウラシルおよび5−ヨードウラシルなどの親油性置換ヌクレオチド類似体のいくつかの異なるタイプを、CpGモチーフの5’側か3’側のどちらかでCpGオリゴヌクレオチド中に組み入れた。予想外に、これらの親油性置換ヌクレオチド類似体の組入れは、ヒトPBMCにおけるhTLR9活性ならびにIFN−α誘導の異常に強い増加につながった。ウラシル残基(チミンと構造的に類似しているが、メチル基を欠く)などの非親油性ヌクレオチドによる置換は、hTLR9刺激の強い減少を生じた。試験したオリゴヌクレオチドにおいて、TLR9刺激の増加は、親油性置換ヌクレオチド類似体が、モチーフの3’側に位置している場合よりも、CpGモチーフの5’側に位置している場合により良好であるように見えた。二重置換(すなわち、5’および3’親油性置換ヌクレオチド類似体置換)は、試験した置換のうちで最も強力な刺激をもたらした。対照的に、CpGモチーフにおける2,4−ジフルオロトルエンによるグアニンまたはシトシンの置換は、両方の場合に、TLR9刺激指数の強い減少につながった。
【0048】
親油性置換ヌクレオチド類似体修飾は、IFN−α誘導の強い増強をもたらした。特に、5−ブロモウラシルおよび5−ヨードウラシル修飾ODNの場合、TLR9刺激とIFN−α誘導の間の良好な相関があるように見えた。上述のように、この知見は、(i)親分子21317が、IFN−αを誘導するのに事実上不活性であり、(ii)普通は、これらの修飾を含有しないCpG ODNについてTLR9とIFN−α誘導の間に逆相関が存在することから、予想外であった。
【0049】
本発明の一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、配列R1YZR2を有する。オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のそのようなモチーフを包含することがある。R1およびR2は、独立して、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)、ヌクレオチド、または結合のうちのいずれか1つである。しかしながら、R1およびR2のうちの少なくとも1つは、親油性置換ヌクレオチド類似体(L)であることが好ましい。一部の場合に、R1とR2は、共にLである。以下の実施例の項に示すように、CpGモチーフの5’側と3’側の両方にLを有するオリゴヌクレオチドは、特に刺激性である。しかしながら、1つのみのRがLであることがある。例えば、R1がLであってよく、R2がヌクレオチドであり、逆もまた同様である。あるいは、オリゴヌクレオチドが構造5’R1CG3’を含むように、R1がLであってもよく、R2が結合であってもよい。
【0050】
一部の場合に、オリゴヌクレオチドは、配列R1N1YZN2R2(式中、N1およびN2は、長さが0〜3ヌクレオチドのヌクレオチドである)を有する。他の可能な変形形態は、5’R1N1R1YZN23’、5’R3R1YZ3およびR1ZN2R2などの構造を包含する。
【0051】
Yは、ピリミジンヌクレオチドである。Zは、プリン、ピリミジン、または脱塩基残基である。一部の実施形態において、Zは、プリンであることが好ましい。
【0052】
Lは、例えば、5または6員環核酸塩基類似体であってもよい親油性置換ヌクレオチド類似体である。5または6員環核酸塩基類似体の例を以下の式Iの基に示す。
【0053】
【化2】
【0054】
A、B、X、D、E、およびFは、水素または例えば、F、Cl、Br、I、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、シクロアルキル、O−アルキル、O−アルケニル、−NH−アルキル、−N(アルキル)2、−S−アルキル、−SO−アルキル、−SO2−アルキル、ニトロ、シアノ、カルボキシルエステル、フェニル、チオフェニル、ベンジル、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、およびイミノなどであるがこれらに限定されない置換基を有していてもよいC(炭素)またはN(窒素)のうちのいずれか1つである。一部の場合に、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノまたはメチルではない。nは、0または1である。点線は、任意選択の二重結合を示す。しかしながら、少なくとも1つの置換基は、オキソ、チオ、ヒドロキシ、メルカプト、イミノ、アミノ、メチルおよび水素からなる群から選択されることはない。さらに、A、B、X、D、E、およびF原子の合計は、3窒素(N)以下である。一部の実施形態において、すべての原子A、B、X、D、E、Fは、炭素(C)である。あるいは、原子A、B、X、D、E、Fのうちの少なくとも1つ、2つまたは3つは、窒素(N)である。
【0055】
式の化合物は、例えば、以下の親油性置換ヌクレオチド類似体:置換ピリミジン、置換ウラシル、置換トルエン、置換イミダゾールまたは置換ピラゾール、置換トリアゾール、5−クロロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ヨード−ウラシル、5−エチル−ウラシル、5−プロピル−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、(E)−5−(2−ブロモビニル)−ウラシル、または2.4−ジフルオロ−トルエンのうちのいずれかであってもよい。
【0056】
親油性置換ヌクレオチド類似体は、別々であるか、または別の化合物と縮合していてもよい。例えば、親油性置換ヌクレオチド類似体は、3〜6員の芳香族または脂肪族環系と縮合していてもよい。親油性置換ヌクレオチド類似体は、例えば、ペントースまたはヘキソースなどの5〜6員糖部分に連結していてもよい。ペントースの例は、リボースまたはデオキシリボースなどのフラノースであり、ヘキソースの例は、ピラノースである。ペントースまたはヘキソースは、F、アミノ、アルコキシ、アルコキシ−エトキシ、アモニプロピル、アルケニル、アルキニル、またはO2,C4−アルキレン橋により置換されていてもよい。
【0057】
オリゴヌクレオチドは、C6〜C48−ポリエチレングリコール、C3〜C20−アルカン−ジオール、C3〜C18−アルキルアミノリンカー、C3〜C18−アルキルチオールリンカー、コレステロール、胆汁酸、飽和または不飽和脂肪酸、フォレート、ヘキサデシル−グリセロール、ジヘキサデシル−グリセロール基、オクタデシル−グリセロールもしくはジオクタデシル−グリセロール基またはビタミンE基などの非ヌクレオチド修飾を包含することもある。
【0058】
親油性置換ヌクレオチド類似体は、任意の免疫刺激性オリゴヌクレオチド中に組み入れることができる。本発明の一部の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、「CpGジヌクレオチド」である免疫刺激性モチーフを包含する。CpGジヌクレオチドは、メチル化されていてもメチル化されていなくてもよい。少なくとも1つの非メチル化CpGジヌクレオチドを含有する免疫刺激性核酸は、非メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、非メチル化5’シチジンの後に3’グアノシンが続き、ホスフェート結合により連結している)を含有し、免疫系を活性化する核酸分子であり、そのような免疫刺激性核酸は、CpG核酸である。CpG核酸は、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を包含する多くの交付済み特許、公開済み特許出願、および他の刊行物に記載されている。少なくとも1つのメチル化CpGジヌクレオチドを含有する免疫刺激性核酸は、メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、メチル化5’シチジンの後に3’グアノシンが続き、ホスフェート結合により連結している)を含有し、免疫系を活性化する核酸である。他の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、CpGジヌクレオチドを含まない。CpGジヌクレオチドを含まないこれらのオリゴヌクレオチドは、非CpGオリゴヌクレオチドと呼ばれ、それらは、非CpG免疫刺激性モチーフを有する。これらは、少なくとも80%のTを有するODNなどのTリッチODNであることが好ましい。
【0059】
本発明のEクラスODNは、それらが、YGZモチーフの5’および/または3’に親油性置換ヌクレオチド類似体を包含する限りは、Aクラス、Bクラス、Cクラス、TクラスおよびPクラスなどの他のCpG ODNクラスのモチーフおよび特性を包含することがある。
【0060】
「Aクラス」CpG免疫刺激性核酸は、両方とも2000年9月27日に出願された米国非仮特許出願第09/672,126号および公開済みPCT出願PCT/US00/26527(WO01/22990)に記載されている。これらの核酸は、B細胞活性化に対して最小限の効果を有する一方で、高レベルのインターフェロン−αを誘導する能力を特徴とする。AクラスCpG免疫刺激性核酸は、Yamamotoおよび同僚により記載されている六量体パリンドロームGACGTC、AGCGCT、またはAACGTTを必ずしも含有しているわけではない。Yamamoto S他、J Immunol 148:4072〜6(1992)。
【0061】
Aクラス免疫刺激性核酸の例示的配列は、両方とも2000年9月27日に出願された米国非仮特許出願第09/672,126号および公開済みPCT出願PCT/US00/26527(WO01/22990)に記載されている。
【0062】
「Bクラス」ODNは、B細胞を活性化するのには強力であるが、IFN−αおよびNK細胞活性化を誘導するのには比較的弱い。BクラスCpG核酸は、典型的には、完全に安定化されており、特定の好ましい塩基コンテクスト内に非メチル化CpGジヌクレオチドを包含する。例えば、米国特許第6,194,388号;第6,207,646号;第6,214,806号;第6,218,371号;第6,239,116号;および第6,339,068号を参照されたい。別のクラスは、IFN−αおよびNK細胞活性化を誘導するのには強力であるが、B細胞を刺激するのには比較的弱く、このクラスは、「Aクラス」と名付けられている。AクラスCpG核酸は、典型的には、5’および3’末端に安定化されたポリ−G配列および少なくとも6ヌクレオチドのパリンドローム型ホスホジエステルCpGジヌクレオチド含有配列を有する。例えば、公開済み特許出願PCT/US00/26527を参照されたい。
【0063】
CpG核酸のさらに別のクラスは、B細胞およびNK細胞を活性化し、IFN−αを誘導し、このクラスは、Cクラスと名付けられている。「Cクラス」免疫刺激性核酸は、少なくとも2つの別個のモチーフを含有し、免疫系の細胞に対して独特で望ましい刺激効果を有する。これらのODNの一部は、従来の「刺激性」CpG配列と「GCリッチ」または「B細胞中和」モチーフの両方を有する。これらの組合せモチーフ核酸は、B細胞活性化および樹状細胞(DC)活性化の強い誘導剤である従来の「クラスB」CpG ODNに関係する効果と、IFN−αおよびナチュラルキラー(NK)細胞活性化の強い誘導剤であるがB細胞およびDC活性化の比較的不十分な誘導剤である免疫刺激性核酸の最近記載されたクラス(「クラスA」CpG ODN)に関係する効果の中間に位置する免疫刺激効果を有する。Krieg AM他(1995)Nature 374:546〜9;Ballas ZK他(1996)J Immunol 157:1840〜5;Yamamoto S他(1992)J Immunol 148:4072〜6。好ましいクラスB CpG ODNは、ホスホロチオエート主鎖を有することが多く、好ましいクラスA CpG ODNは、混合型またはキメラの主鎖を有するが、組合せモチーフ免疫刺激性核酸のCクラスは、安定化された、例えば、ホスホロチオエート、キメラ、またはホスホジエステル主鎖のどれかを有することがあり、一部の好ましい実施形態において、それらは、セミソフト主鎖を有する。このクラスは、2002年8月19に出願された米国特許出願US10/224,523に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0064】
「Pクラス」免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、5’TLR活性化ドメイン、2つの二重鎖形成領域ならびに任意選択のスペーサーおよび3’尾部を包含するいくつかのドメインを有する。このクラスのオリゴヌクレオチドは、一部の場合に、Cクラスに比べてかなり高レベルのIFN−α分泌を誘導する能力を有する。Pクラスオリゴヌクレオチドは、in vitroおよび/またはin vivoのどちらかで自発的にコンカテマー(concatamers)に自己組織化する能力を有する。これらの分子の作用方法についていかなる特定の理論にも束縛されるわけではないが、1つの可能性のある仮説は、この特性が、Pクラスオリゴヌクレオチドに、特定の免疫細胞内でTLR9をより高度に架橋させる能力を与え、前に記載されたクラスのCpGオリゴヌクレオチドに比較して別個のパターンの免疫活性化を誘導するということである。TLR9受容体の架橋は、形質細胞様樹状細胞におけるI型IFNRフィードバックループを介して、より強力なIFN−α分泌の活性化を誘導することがある。Pクラスオリゴヌクレオチドは、少なくとも、米国出願第11/706,561号に記載されている。
【0065】
「Tクラス」オリゴヌクレオチドは、Bクラスオリゴヌクレオチドに類似したレベルのIL−10を誘導する能力を保持しながら、本発明のODNにおけるように修飾されていない場合にはIFN−α、ならびにIFN関連のサイトカインおよびケモカインの、BクラスまたはCクラスオリゴヌクレオチドよりも低レベルの分泌を誘導する。Tクラスオリゴヌクレオチドは、少なくとも、米国特許出願第11/099,683号に記載されており、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0066】
一実施形態において、本発明の免疫刺激性ODNは、陽イオン性脂質と有利に組み合わせられる。一実施形態において、陽イオン性脂質は、DOTAP(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチル−サルフェート)である。DOTAPの代わりにまたはDOTAPの他に、エンドソームコンパートメントへの輸送を包含する類似の特性を有する他の薬剤を使用することができる。他の脂質製剤は、例えば、EFFECTENE(商標)(特殊なDNA濃縮エンハンサーを有する非リポソーム脂質)およびSUPERFECT(商標)(新規な作用型デンドリマー技術)として包含する。リポソームは、Gibco BRLから、例えば、N−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)などの陽イオン性脂質からなるLIPOFECTIN(商標)およびLIPOFECTACE(商標)として市販されている。リポソームを製造するための方法は、当技術分野においてよく知られており、多くの刊行物に記載されている。リポソームは、Gregoriadis G(1985)Trends Biotechnol 3:235〜241によっても概説されている。
【0067】
他の実施形態において、免疫刺激性ODNは、陽イオン性リポソーム中で製剤化されない。ODN内の修飾類似体の親油性のため、長さが3ヌクレオチドなどの短いODNでさえ、in vivoで効率的に機能するための製剤化を必要としないことがある。
【0068】
一実施形態において、本発明の免疫刺激性ODNは、1次構造と2次構造の両方に関して共有結合で閉じられたダンベル型分子の形態である。一実施形態において、そのような環状オリゴリボヌクレオチドは、介在する二本鎖セグメントにより連結された2つの一本鎖ループを包含する。一実施形態において、少なくとも1つの一本鎖ループは、本発明の免疫刺激性DNAモチーフを包含する。本発明の他の共有結合で閉じられたダンベル型分子は、例えば、二本鎖セグメントが少なくとも部分的にDNAであるキメラDNA:RNA分子(例えば、ホモ二量体dsDNAかヘテロ二量体DNA:RNAのどちらか)を包含し、少なくとも1つの一本鎖ループは、本発明の免疫刺激性DNAモチーフを包含する。あるいは、キメラ分子の二本鎖セグメントは、DNAである。
【0069】
特定の実施形態において、免疫刺激性ODNは、単離される。単離された分子は、実質的に純粋であり、その分子の意図する使用にとって実用的かつ適切な程度まで、天然もしくはin vivo系において普通に見いだされる他の物質を含まない分子である。特に、免疫刺激性ODNは、十分に純粋であり、例えば、医薬調製物を製造するのに有用であるように、細胞の他の生物学的構成物質が十分に除かれている。本発明の単離された免疫刺激性ODNは、医薬調製物中で薬学的に許容できる担体と混合されることがあるため、免疫刺激性ODNは、調製物のわずかな重量百分率のみを占めることがある。しかしながら、免疫刺激性ODNは、生命系において関係する物質から実質的に分離されているという点で、実質的に純粋である。
【0070】
免疫刺激性核酸分子は、キメラ主鎖を有する。本発明の目的のために、キメラ主鎖とは、少なくとも1つのインターヌクレオチド結合が、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様であり、少なくとも1つの他のインターヌクレオチド結合が、安定化されたインターヌクレオチド結合であり、少なくとも1つのホスホジエステルまたはホスホジエステル様結合と少なくとも1つの安定化された結合が異なっている、部分的に安定化された主鎖を指す。ボラノホスホネート結合は、ホスホジエステル結合に比べて安定化されていると報告されていることから、主鎖のキメラ性の目的のために、ボラノホスホネート結合は、状況に応じて、ホスホジエステル様か安定化されているかのどちらかとして分類することができる。例えば、本発明によるキメラ主鎖は、一実施形態において、少なくとも1つのホスホジエステル(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)結合および少なくとも1つのボラノホスホネート(安定化された)結合を包含する可能性がある。別の実施形態において、本発明によるキメラ主鎖は、ボラノホスホネート(ホスホジエステルまたはホスホジエステル様)およびホスホロチオエート(安定化された)結合を包含する可能性がある。「安定化されたインターヌクレオチド結合」とは、ホスホジエステルインターヌクレオチド結合と比較して、in vivo分解(例えば、エキソ−またはエンド−ヌクレアーゼを介して)に対して比較的抵抗性であるインターヌクレオチド結合を意味するものとする。好ましい安定化されたインターヌクレオチド結合は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、およびメチルホスホロチオエートを包含するが、これらに限定されるものではない。他の安定化されたインターヌクレオチド結合は、ペプチド、アルキル、デホスホ、および上記に記載されているような他のものを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0071】
ホスホロチオエートなどの修飾主鎖は、ホスホルアミデート化学反応かH−ホスホネート化学反応のどちらかを用いる自動化技法を用いて合成することができる。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されているように製造することができ;アルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を用いて自動固相合成により調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を作成するための方法が記載されている。Uhlmann E他(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconjugate Chem 1:165。キメラオリゴヌクレオチドを調製するための方法も知られている。例えば、Uhlmann他により出願された特許が、そのような技法について記載している。
【0072】
混合型主鎖修飾ODNは、市販のDNA合成装置および標準的ホスホルアミダイト化学反応を用いて合成することができる。(F.E.Eckstein、「Oligonucleotides and Analogs−A Practical Approach」IRL Press、Oxford、UK、1991、ならびにM.D.MatteucciおよびM.H.Caruthers、Tetrahedron Lett.21、719(1980))。カップリグ後、PS結合を、Beaucage試薬(R.P.Iyer、W.Egan、J.B.ReganおよびS.L.Beaucage、J.Am.Chem.Soc.112、1253(1990))(アセトニトリル中0.075M)またはフェニルアセチルジスルフィド(PADS)を用いる硫化と、続く、無水酢酸、テトラヒドロフラン中2,6−ルチジン(1:1:8;v:v:v)およびN−メチルイミダゾール(テトラヒドロフラン中16%)によるキャッピングにより導入する。このキャッピングステップは、ホスホロチオエート結合を位置させるべき位置における望ましくないホスホジエステル(PO)結合の形成を最小限に抑えるために、硫化反応後に行う。ホスホジエステル結合を、例えば、CpGジヌクレオチドに導入する場合、中間体ホスホラス(phosphorous)−IIIを、水/ピリジン中のヨウ素の溶液で処理することにより酸化する。固体支持体からの切断および濃アンモニアで処理することによる最終的な脱保護(50℃にて15時間)後、ODNを、NaCl−グラジエント(例えば、緩衝液A:アセトニトリル/水=1:4/v:v中の10mM NaH2PO4 pH6.8;緩衝液B:アセトニトリル/水=1:4/v:v中の10mM NaH2PO4、1.5M NaCl;1ml/分にて30分で5〜60%B)を用いるGen−Pak Faxカラム(Millipore−Waters)上のHPLCにより、またはキャピラリーゲル電気泳動により分析する。ODNは、HPLCにより、またはSource High Performanceカラム(Amersham Pharmacia)上のFPLCにより精製することができる。HPLC−均一分画を、混ぜ合わせ、C18カラムを介し、または限外濾過により脱塩する。ODNを、MALDI−TOF質量分析法により分析し、計算質量を確認した。
【0073】
本発明の核酸は、他の修飾を包含することもある。これらは、アルキル−およびアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素は、アルキルまたはアリール基により置き換えられている)、ホスホジエステルおよび荷電酸素部分がアルキル化されているアルキルホスホトリエステルなどの非イオン性DNA類似体を包含する。どちらかまたは両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に抵抗性であることが明らかにされている。
【0074】
一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ソフト(soft)オリゴヌクレオチドまたはセミソフト(semi−soft)オリゴヌクレオチドであってよい。ソフトオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−プリンジヌクレオチド(YZ)の内側および真隣にのみ存在する、部分的に安定化された主鎖を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。YZは、YG、ピリミジン−グアノシン(YG)ジヌクレオチドであることが好ましい。少なくとも1つの内部YZジヌクレオチド自体は、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有する。少なくとも1つの内部YZジヌクレオチドの真隣に存在するホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、少なくとも1つの内部YZジヌクレオチドの5’側、3’側、または5’側と3’側の両方であってもよい。
【0075】
特に、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、「内部ジヌクレオチド」を伴う。内部ジヌクレオチドとは、一般に、ヌクレオチド対におけるどちらのヌクレオチドも末端ヌクレオチドではない、すなわち、ヌクレオチド対におけるどちらのヌクレオチドも、オリゴヌクレオチドの5’および3’末端を規定するヌクレオチドではない、インターヌクレオチド結合により連結されている隣接ヌクレオチドの任意の対を意味するものとする。したがって、nヌクレオチド長である直鎖オリゴヌクレオチドは、合計n−1のジヌクレオチドおよびn−3だけの内部ジヌクレオチドを有する。内部ジヌクレオチド中の各インターヌクレオチド結合は、内部インターヌクレオチド結合である。したがって、nヌクレオチド長である直鎖オリゴヌクレオチドは、合計n−1のインターヌクレオチド結合およびn−3だけのインターヌクレオチド結合を有する。したがって、戦略的に置かれるホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合とは、核酸配列中のヌクレオチドの任意の対の間に位置するホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を指す。一部の実施形態において、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、5’または3’末端に最も近いヌクレオチドのどちらの対の間にも位置しない。
【0076】
少なくとも1つの内部YZジヌクレオチドの真隣に存在するホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、それ自体が内部インターヌクレオチド結合であることが好ましい。したがって、N1およびN2が、各々、他とは無関係に、任意の単一ヌクレオチドである配列N1YZN2の場合、YZジヌクレオチドは、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合を有し、さらに、(a)N1およびYは、N1が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結され、(b)ZおよびN2は、N2が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結され、または(c)N1およびYは、N1が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結され、ZおよびN2は、N2が内部ヌクレオチドである場合、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結されている。
【0077】
本発明のオリゴヌクレオチドにおいて、R1YZR2のうちの少なくとも1つのYZは、ホスホジエステル結合を有することがある。あるいは、R1YZR2のYZは、ホスホロチオエート結合を有することがある。一部の実施形態において、R1YZR2のR1Yおよび/またはZR2は、ホスホロチオエート結合を有する。
【0078】
本発明によるソフトオリゴヌクレオチドは、完全に安定化されたオリゴヌクレオチドと比較して、ヌクレアーゼ切断を比較的受けやすいと考えられる。特定の理論または機構に束縛されることを意味しないが、本発明のソフトオリゴヌクレオチドは、完全長ソフトオリゴヌクレオチドに比べて免疫刺激活性が低下したかまたは免疫刺激活性がない断片に切断可能であると考えられる。特にオリゴヌクレオチドの真ん中近くの、少なくとも1つのヌクレアーゼ感受性インターヌクレオチド結合の組入れは、オリゴヌクレオチドの最大免疫刺激活性の持続時間を短縮するためにオリゴヌクレオチドの薬物動態を変化させる「オフスイッチ」を提供すると考えられる。このことは、慢性局所炎症または免疫刺激に関係する損傷を避けることが望ましい組織および臨床応用例、例えば、腎臓において特に価値が高いことがある。
【0079】
セミソフトオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合が、少なくとも1つの内部ピリミジン−プリン(YZ)ジヌクレオチドの内側にのみ存在する、部分的に安定化された主鎖を有する免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。セミソフトオリゴヌクレオチドは、一般的に、対応する完全に安定化された免疫刺激性オリゴヌクレオチドに比べて、増大した免疫刺激効力を有する。セミソフトオリゴヌクレオチドのより大きな効力のため、セミソフトオリゴヌクレオチドは、一部の場合に、より低い有効濃度で使用されることがあり、望ましい生物学的効果を達成するために、従来の完全に安定化された免疫刺激性オリゴヌクレオチドよりも低い有効投与量を有する。
【0080】
セミソフトオリゴヌクレオチドの上述の特性は、一般的に、内部YZジヌクレオチドが関わるホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合の「投与量」を増やすにつれて増加すると考えられる。したがって、例えば、5つの内部YZジヌクレオチドを有する所与のオリゴヌクレオチド配列について一般的に、5つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドは、4つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YGインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であり、3つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であり、2つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であり、1つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合を有するオリゴヌクレオチドよりも免疫刺激性であると考えられる。重要なことには、1つの内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合の包含であっても、内部ホスホジエステルまたはホスホジエステル様YZインターヌクレオチド結合がないよりも有利であると考えられる。ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合の数の他に、核酸の長さに沿った位置も、効力に影響を及ぼすことがある。
【0081】
ソフトおよびセミソフトオリゴヌクレオチドは、一般的に、好ましい内部位置におけるホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合の他に、分解に対して抵抗性である5’および3’末端を包含するものとする。そのような分解抵抗性末端は、対応する非修飾末端を上回るエキソヌクレアーゼ消化に対する抵抗性の増加をもたらす任意の適当な修飾を必要とすることがある。例えば、5’および3’末端は、主鎖の少なくとも1つのホスフェート修飾をそこに包含することにより安定化することができる。好ましい実施形態において、各末端における主鎖の少なくとも1つのホスフェート修飾は、独立して、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、またはメチルホスホロチオエートインターヌクレオチド結合である。別の実施形態において、分解抵抗性末端は、3’末端においてペプチドまたはアミド結合により連結されている1つまたは複数のヌクレオチド単位を包含する。
【0082】
ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、天然において見いだされる核酸を特徴とする結合のタイプである。ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、2つの架橋酸素原子に両側を挟まれ、1つは荷電しておりもう1つは荷電していない2つの追加酸素原子も結合しているリン原子を包含する。ホスホジエステルインターヌクレオチド結合は、オリゴヌクレオチドの組織半減期を短縮することが重要である場合に特に好ましい。
【0083】
ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ホスホジエステルと化学的および/またはジアステレオマー的に類似しているリン含有架橋基である。ホスホジエステルとの類似性の尺度は、ヌクレアーゼ消化に対する脆弱性およびRNAseHを活性化する能力を包含する。したがって、例えば、ホスホロチオエートではなくホスホジエステルオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ消化を受けやすいが、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドとホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは共に、RNAseHを活性化する。好ましい実施形態において、ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ボラノホスフェート(または、同等に、ボラノホスホネート)結合である。米国特許第5,177,198号;米国特許第5,859,231号;米国特許第6,160,109号;米国特許第6,207,819号;Sergueev他、(1998)J Am Chem Soc 120:9417〜27。別の好ましい実施形態において、ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合は、ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートである。ジアステレオマー的に純粋なRpホスホロチオエートは、ヌクレアーゼ消化をより受けやすく、混合型またはジアステレオマー的に純粋なSpホスホロチオエートよりもRNAseHの活性化において優れていると考えられる。CpGオリゴヌクレオチドの立体異性体は、同時係属の、1999年7月27に出願された米国特許出願09/361,575および公開済みPCT出願PCT/US99/17100(WO00/06588)の主題である。本発明の目的にとって、「ホスホジエステル様インターヌクレオチド結合」という用語は、ホスホロジチオエートおよびメチルホスホネートインターヌクレオチド結合を具体的に除外することに留意されたい。
【0084】
上記に記載されているように、本発明のソフトおよびセミソフトオリゴヌクレオチドは、CとGの間のホスホジエステル様結合を有することがある。ホスホジエステル様結合の一例は、Rpコンホメーションのホスホロチオエート結合である。オリゴヌクレオチドp−キラリティーは、活性が測定される時点に応じて、CpGオリゴヌクレオチドの免疫活性に対する見掛け上反対の効果を有することがある。40分の速い時点において、ホスホロチオエートCpGオリゴヌクレオチドのSpではなくRp立体異性体は、マウス脾臓細胞においてJNKリン酸化を誘導する。対照的に、44時間の遅い時点でアッセイされる場合、RpではなくSp立体異性体は、脾臓細胞増殖を刺激するのに活性である。RpおよびSp立体異性体の動態および生物活性のこの差異は、細胞取り込みのいかなる差異によるものではなく、むしろ、p−キラリティーの2つの対立する生物学的役割に起因する可能性が高い。第一に、速い時点における免疫細胞を刺激することについてのSpと比較して増強されたRp立体異性体の活性は、Rpが、CpG受容体、TLR9と相互作用すること、または下流のシグナル伝達経路を誘導することにおいてより有効であり得ることを示している。一方、Spと比較してより速いRp PS−オリゴヌクレオチドの分解は、シグナル伝達のかなり短い持続時間をもたらし、Sp PS−オリゴヌクレオチドは、遅い時点で試験された場合、より生物学的に活性であるように見える。
【0085】
驚くほど強い効果は、CpGジヌクレオチド自体におけるp−キラリティーにより達成される。ステレオランダムなCpGオリゴヌクレオチドと比較して、単一CpGジヌクレオチドがRpで連結している同族体は、わずかにより活性であるが、Sp結合を含有する同族体は、脾臓細胞増殖を誘導することについてほぼ不活性である。
【0086】
「核酸」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、塩基および/または糖におけるなどの、置換または修飾を有する核酸またはオリゴヌクレオチドも包含する。例えば、それらは、2’位のヒドロキシル基以外および5’位のホスフェート基またはヒドロキシ基以外の、低分子量有機基と共有結合している主鎖糖を有する核酸を包含する。したがって、修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を包含することがある。さらに、修飾核酸は、リボースの代わりに、アラビノースまたは2’−フルオロアラビノースなどの糖を包含することがある。したがって、核酸は、主鎖組成が不均一であってよく、それによって、ペプチド−核酸(核酸塩基と共にアミノ酸主鎖を有する)などの一緒に連結されているポリマー単位の任意の可能な組合せを含有することがある。
【0087】
核酸は、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基などの置換プリンおよび置換ピリミジンも包含する。Wagner RW他(1996)Nat Biotechnol 14:840〜4。プリンおよびピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシシトシン、5−フルオロシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換芳香族部分を包含するが、これらに限定されるものではない。他のそのような修飾は、当業者によく知られている。
【0088】
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルインターヌクレオチド架橋、β−D−リボース単位および/または天然のヌクレオチド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)が関わる天然のRNAおよびDNAと比較して、様々な化学修飾および置換を包含することができる。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えば、Uhlmann E他(1990)Chem Rev 90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques、S.Agrawal、編、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke ST他(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107〜129;およびHunziker J他(1995)Mod Synth Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾を有することがあり、各修飾は、天然のDNAまたはRNAからなる同一配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルインターヌクレオチド架橋および/または特定のβ−D−リボース単位および/または特定の天然ヌクレオチド塩基位置に位置する。
【0089】
例えば、本発明は、1つまたは複数の修飾を含むことがあり、各修飾が、独立して、
a)ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオチド架橋の修飾インターヌクレオチド架橋による置き換え、
b)ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の、デホスホ架橋による置き換え、
c)糖ホスフェート主鎖由来の糖ホスフェート単位の別の単位による置き換え、
d)β−D−リボース単位の修飾糖単位による置き換え、および、
e)天然ヌクレオチド塩基の修飾ヌクレオチド塩基による置き換えから選択されるオリゴヌクレオチドに関する。
【0090】
オリゴヌクレオチドの化学修飾についてのより詳細な例は、以下の通りである。
【0091】
ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステルインターヌクレオチド架橋は、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR1R2−ホスホルアミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C1〜C21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C6〜C12)アリール−(C1〜C21)−O−アルキル]エステル、(C1〜C8)アルキルホスホネートおよび/または(C6〜C12)アリールホスホネート架橋、(C7〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO95/01363に開示されている)から選択され、(C6〜C12)アリール、(C6〜C20)アリールおよび、(C6〜C14)アリールが、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノにより置換されていてもよく、R1およびR2が、互いに独立して、水素、(C1〜C18)−アルキル、(C6〜C20)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキル、好ましくは、水素、(C1〜C8)−アルキル、好ましくは、(C1〜C4)−アルキル、および/または、メトキシエチルであるか、またはR1およびR2が、それらを保有する窒素原子と一緒に、群O、SおよびNからの他のヘテロ原子をさらに含有することができる5〜6員複素環を形成する修飾インターヌクレオチド架橋により置き換えることができる。
【0092】
ヌクレオチドの3’および/または5’末端に位置するホスホジエステル架橋の、例えば、デホスホ架橋ホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホンおよび/またはシリル基から選択されるデホスホ架橋による置き換え(デホスホ架橋は、例えば、Uhlmann EおよびPeyman A「Methods in Molecular Biology」、第20巻、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」、S.Agrawal、編、Humana Press、Totowa 1993、第16章、355ffページに記載されている)。
【0093】
糖ホスフェート主鎖(すなわち、糖ホスフェート主鎖は、糖ホスフェート単位からなる)由来の糖ホスフェート単位(すなわち、一緒に糖ホスフェート単位を形成するβ−D−リボースおよびホスホジエステルインターヌクレオチド架橋)は、例えば、モルホリノ−誘導体単位による置き換えである「モルホリノ−誘導体」オリゴマー(例えば、Stirchak EP他(1989)Nucleic Acids Res 17:6129〜41に記載されているような)を構築するのに、または、例えば、PNA主鎖単位による、例えば、2−アミノエチルグリシンによる置き換えであるポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen PE他(1994)Bioconjug Chem 5:3〜7に記載されているような)を構築するのに適している別の単位により置き換えることができる。
【0094】
β−リボース単位、または、β−D−2’−デオキシリボース単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースから選択され、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースが、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C2〜C6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C1〜C6)アルキル−O−(C1〜C6)アルキル]−リボース、2’−NH2−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、および、炭素環式(例えば、Froehler J(1992)Am Chem Soc 114:8320に記載されている)および/または開鎖糖類似体(例えば、Vandendriessche他(1993)Tetrahedron 49:7223に記載されている)および/またはビシクロ糖類似体(例えば、Tarkov M他(1993)Helv Chim Acta 76:481に記載されている)であることが好ましい修飾糖単位により置き換えることができる。
【0095】
一部の実施形態において、糖は、特に、ホスホジエステルまたはホスホジエステル様インターヌクレオチド結合により連結されている一方または両方のヌクレオチドについては、2’−O−メチルリボースである。
【0096】
核酸は、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基などの置換プリンおよび置換ピリミジンも包含する。Wagner RW他(1996)Nat Biotechnol 14:840〜4。プリンおよびピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、およびチミン、ならびに他の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換芳香族部分を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0097】
修飾塩基は、T、C、G、A、およびUなどのDNAおよびRNAにおいて典型的に見いだされる天然に存在する塩基と化学的に異なっているが、これらの天然に存在する塩基と基本的化学構造を同じくする任意の塩基である。修飾ヌクレオチド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、プソイドウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1〜C6)−アルキルウラシル、5−(C2〜C6)−アルケニルウラシル、5−(C2〜C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1〜C6)−アルキルシトシン、5−(C2〜C6)−アルケニルシトシン、5−(C2〜C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン、好ましくは7−デアザ−7置換および/または7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えば、N4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えば、N4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、およびニトロピロールのデオキシリボヌクレオチド、C5−プロピニルピリミジン、およびジアミノプリン、例えば、2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチンまたは天然ヌクレオチド塩基の修飾から選択することができる。このリストは、例示的であることを意味しており、限定していると解釈されるべきではない。
【0098】
本明細書に記載されている特定の式において、一連の修飾塩基が定義されている。例えば、Yという文字は、ピリミジンおよび、一部の実施形態において、シトシンまたは修飾シトシンを含有するヌクレオチドを指すために使用される。本明細書で使用する修飾シトシンとは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置き換えることができる天然に存在するまたは天然に存在しないシトシンのピリミジン塩基類似体である。修飾シトシンは、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシン類似体(例えば、N,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、およびウラシルならびにその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)を包含するが、これらに限定されるものではない。好ましいシトシンの一部は、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンを包含する。本発明の別の実施形態において、シトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香族環系(例えば、フルオロベンゼンまたはジフルオロベンゼン)または水素原子(dSpacer)により置換されている。
【0099】
Zという文字は、プリン、ピリミジン、または脱塩基および、一部の実施形態において、グアニンまたは修飾グアニン塩基を指すために使用される。本明細書で使用する修飾グアニンとは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなくこの塩基を置き換えることができる天然に存在するまたは天然に存在しないグアニンのプリン塩基類似体である。修飾グアニンは、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニンなど)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、および6−チオグアニンを包含するが、これらに限定されるものではない。本発明の別の実施形態において、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、および、K−塩基)、芳香族環系(例えば、ベンズイミダゾールまたはジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)または水素原子(dSpacer)により置換されている。
【0100】
オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の接近可能な5’末端を有することがある。2つのそのような5’末端を有する修飾オリゴヌクレオチドを作成することが可能である。このことは、例えば、3’−3’結合を介して2つのオリゴヌクレオチドを接続させ、1つまたは2つの接近可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチドを生成することにより達成することができる。3’3’結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエートまたはその他の修飾インターヌクレオチド架橋であってよい。そのような結合を完成するための方法は、当技術分野において知られている。例えば、そのような結合は、Seliger,H.;他、Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’− and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisense inhibitors of viral gene expression、Nucleotides & Nucleotides(1991)、10(1〜3)、469〜77およびJiang、他、Pseudo−cyclic oligonucleotides:in vitro and in vivo properties、Bioorganic & Medicinal Chemistry(1999)、7(12)、2727〜2735に記載されている。
【0101】
さらに、3’−末端ヌクレオチド間の結合が、ホスホジエステル、ホスホロチオエートおよび他の修飾架橋ではない3’3’−連結核酸は、トリ−またはテトラ−エチレングリコールホスフェート部分などの追加スペーサーを用いて調製することができる(Durand,M.他、Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two(dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains、Biochemistry(1992)、31(38)、9197〜204、米国特許第5658738号、および米国特許第5668265号)。あるいは、非ヌクレオチドリンカーは、エタンジオール、プロパンジオールから、または標準的なホスホルアミダイト化学反応を用いて脱塩基デオキシリボース(dSpacer)単位(Fontanel,Marie Laurence他、Sterical recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research(1994)、22(11)、2022〜7)から誘導することができる。非ヌクレオチドリンカーは、1回もしくは複数回組み入れるか、またはお互いと組み合わせ、連結すべき2つのODNの3’末端間にいかなる望ましい距離も可能にすることができる。
【0102】
オリゴヌクレオチドは、分解に対して部分的に抵抗性である(例えば、安定化されている)。「安定化されたオリゴヌクレオチド分子」とは、in vivo分解(例えば、エキソ−またはエンド−ヌクレアーゼを介する)に対して比較的抵抗性であるオリゴヌクレオチドを意味するものとする。核酸安定化は、主鎖修飾を介して行うことができる。ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、最大の活性を提供し、細胞内エキソ−およびエンド−ヌクレアーゼによる分解からオリゴヌクレオチドを守る。他の修飾オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル修飾核酸、ホスホジエステル核酸とホスホロチオエート核酸の組合せ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、p−エトキシ、およびそれらの組合せを包含する。
【0103】
ホスホロチオエートなどの修飾主鎖は、ホスホルアミデートかH−ホスホネート化学反応のどちらかを用いる自動化技法を用いて合成することができる。アリール−およびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されているように製造することができ;アルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分は、米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているようにアルキル化されている)は、市販の試薬を用いる自動固相合成により調製することができる。他のDNA主鎖の修飾および置換を作成するための方法が記載されている(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.、Chem.Rev.90:544、1990;Goodchild,J.、Bioconjugate Chem.1:165、1990)。
【0104】
他の安定化されたオリゴヌクレオチドは、アルキル−およびアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素は、アルキルまたはアリール基により置き換えられている)、荷電酸素部分がアルキル化されているホスホジエステルおよびアルキルホスホトリエステルなどの非イオン性DNA類似体を包含する。どちらかまたは両方の末端にテトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールなどのジオールを含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に抵抗性であることが明らかにされている。
【0105】
一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のパリンドローム配列を含む。本明細書で使用する「パリンドローム」および、同等に、「パリンドローム配列」とは、逆方向反復、すなわち、AおよびA’、BおよびB’などが、通常のワトソン−クリック塩基対を形成することができる塩基であるABCDEE’D’C’B’A’などの配列を指すものとする。一部の場合に、パリンドロームは、GCリッチである。GCリッチなパリンドロームは、少なくとも3分の2のGおよびCの塩基組成を有するパリンドロームである。一部の実施形態において、GCリッチなドメインは、「B細胞刺激性ドメイン」の3’側にあることが好ましい。10塩基長のGCリッチなパリンドロームの場合、パリンドロームは、少なくとも8つのGおよびCを含有する。12塩基長のGCリッチなパリンドロームの場合、パリンドロームは、この場合も少なくとも8つのGおよびCを含有する。14量体のGCリッチなパリンドロームの場合、パリンドロームの少なくとも10個の塩基は、GおよびCである。一部の実施形態において、GCリッチなパリンドロームは、もっぱらGおよびCで構成されている。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2つ以上のパリンドローム配列を含有する。
【0106】
DNAは、3’−5’ホスホジエステル結合を介して結合しているデオキシリボヌクレオチドのポリマーである。本発明のポリマーの単位は、3’−5’ホスホジエステル結合を介して結合させることもできる。しかしながら、本発明は、具体的には、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、および2’−5’インターヌクレオチド結合を包含する普通でないインターヌクレオチド結合を有するポリマーも包含する。一実施形態において、そのような普通でない結合は、たとえそのような結合のうちの1つまたは複数がポリマー内のどこかに存在することがあっても、免疫刺激性DNAモチーフから除外される。遊離末端を有するポリマーの場合、1つの3’−3’インターヌクレオチド結合の包含は、2つの遊離5’末端を有するポリマーをもたらすことがある。逆に、遊離末端を有するポリマーの場合、1つの5’−5’インターヌクレオチド結合の包含は、2つの遊離の3’末端を有するポリマーをもたらすことがある。
【0107】
本発明の免疫刺激性組成物は、分岐単位を介して連結させることができる2つ以上の免疫刺激性DNAモチーフを含有することができる。インターヌクレオチド結合は、3’−5’、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、または2’−5’結合であってよい。それに関して、2’−5’という命名は、デオキシリボースの炭素原子に従って選択される。しかしながら、環拡大糖類似体(例えば、ヘキサノース(hexanose)、シクロヘキセン(cylohexene)またはピラノース)または二環式もしくは三環式糖類似体などの非天然糖部分が用いられている場合、この命名は、単量体の命名に従って変化する。普通でないインターヌクレオチド結合は、ホスホジエステル結合であってよいが、あるいは、ホスホロチオエートまたは本明細書に記載されているようなその他の修飾結合として修飾することができる。式IVは、ヌクレオチド分岐単位を介する本発明の分岐DNAオリゴマーおよび修飾オリゴリボヌクレオチド類似体についての一般構造を示している。それに関して、Nu1、Nu2、およびNu3は、3’−5’、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、または2’−5’結合を介して連結されていてよい。DNAオリゴマーの分岐は、非ヌクレオチドリンカーおよび脱塩基スペーサーの使用が関わることもある。一実施形態において、Nu1、Nu2、およびNu3は、同一または異なる免疫刺激性DNAモチーフを表す。
【0108】
【化3】
【0109】
修飾オリゴリボヌクレオチド類似体は、ダブラー(doubler)またはトレブラー(trebler)単位(Glen Research、Sterling、VA)、特に、3’−3’結合を有する修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体を含有することがある。ダブラー単位は、一実施形態において、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイトに基づいていることがある。トレブラー単位は、一実施形態において、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホルアミダイトの組入れに基づいていることがある。修飾オリゴリボヌクレオチド類似体の複数のダブラー、トレブラー、または他のマルチプライア(multiplier)単位による分岐は、本発明の他の実施形態であるデンドリマーにつながる。分岐修飾オリゴリボヌクレオチド類似体は、特に、類似体の非分岐形態と比較して別個の免疫効果を有するTLR3、TLR7、TLR8、およびTLR9などの免疫刺激性RNAとDNAの組合せについて、受容体の架橋につながることがある。さらに、分岐類似体かさもなければ多量体類似体の合成は、分解に対してDNAを安定化させることがあり、治療に有用なレベルの免疫活性を発揮するには弱いか部分的に有効なDNA配列を可能にすることがある。修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体は、ペプチド修飾試薬またはオリゴヌクレオチド修飾試薬(Glen Research)に由来するリンカー単位を含有することもある。さらに、修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体は、ペプチド(アミド)結合によりポリマーに連結されている1つまたは複数の天然または非天然のアミノ酸残基を含有することがある。
【0110】
3’−5’、5’−5’、3’−3’、2’−2’、2’−3’、および2’−5’インターヌクレオチド結合は、直接または間接であってよい。直接結合とは、これに関連して、介在するリンカー部分がない、本明細書に開示されているようなホスフェートまたは修飾ホスフェート結合を指す。介在するリンカー部分は、本明細書に開示されているようなホスフェートまたは修飾ホスフェート結合と区別される有機部分であり、例えば、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、dSpacer(すなわち、脱塩基デオキシヌクレオチド)、ダブラー単位、またはトレブラー単位を包含することがある。
【0111】
結合は、C、H、N、O、S、B、P、およびハロゲンからなり、3〜300原子を含有することが好ましい。3原子を有する例は、例えば、1つのヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基を第二のオリゴヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基と連結するアセタール結合(ODN1−3’−O−CH2−O−3’−ODN2)である。約300原子を有する例は、PEG−40(テトラコンタポリエチレングリコール)である。好ましい結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ボラノホスホネート、アミド、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、尿素、チオ尿素、スルホンアミド、シッフ塩基およびジスルフィド結合である。Solulink BioConjugation System、すなわち、(www.trilinkbiotec.com)を使用することも可能である。
【0112】
オリゴヌクレオチドが、2つ以上の配列部分からなる場合、これらの部分は、同一または異なっていてよい。したがって、3’3’−結合を有するオリゴヌクレオチドにおいて、配列は、同一の5’−ODN1−3’3’−ODN1−5’または異なる5’−ODN1−3’3’−ODN2−5’であってよい。さらに、様々なオリゴヌクレオチド部分の化学修飾ならびにそれらを連結するリンカーは、異なっていてよい。短いオリゴヌクレオチドの取り込みは、長いオリゴヌクレオチドの取り込みより効率が低いように見えることから、2つ以上の短い配列の連結は、改善された免疫刺激をもたらす。短いオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは、2〜20ヌクレオチド、より好ましくは、3〜16ヌクレオチドであるが、最も好ましくは、5〜10ヌクレオチドである。2つ以上の非連結5’末端を有する連結オリゴヌクレオチドが好ましい。
【0113】
オリゴヌクレオチド部分配列は、非ヌクレオチドリンカーにより連結されていることもある。本明細書で使用する「非ヌクレオチドリンカー」とは、プリンまたはピリミジン核酸塩基、および糖ホスフェート、特に、脱塩基リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコール単位またはヘキサエチレングリコール単位を包含するヌクレオチドおよびそのポリマー(すなわち、ポリヌクレオチド)ではない任意のリンカー要素を指す。他の好ましいリンカーは、C3、C6、C12アミノリンカーなどのアルキルアミノリンカー、およびC3またはC6チオールリンカーなどのアルキルチオールリンカーである。オリゴヌクレオチドは、アルキルまたは置換アルキル基によりさらに置換されていてもよい芳香族残基により連結させることもできる。
【0114】
細胞への取り込みを容易にするために、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、一部の実施形態において、長さ3〜100塩基の範囲である。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さ7〜100塩基である。典型的には、6ヌクレオチドを超える任意のサイズの核酸(数kb長であっても)は、十分な免疫刺激モチーフが存在すれば、本発明に従って免疫応答を誘導することができる。しかしながら、本発明の修飾オリゴヌクレオチドの改善された免疫刺激能力は、かなり短い長さの免疫刺激性分子を提供する。一部の実施形態において、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、長さ3〜6塩基である。
【0115】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、本発明の一部の態様において、アレルギーもしくは喘息、感染性生物体による感染または具体的な癌抗原が同定されている癌を発症する危険性がある対象を治療するためのワクチンとして有用である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、感染、アレルギーまたは癌を防御するための抗原またはアレルゲンなしに与えることもでき、この場合に、反復投与が長期の防御を可能にすることがある。本明細書で使用する危険性がある対象とは、感染を引き起こす病原体もしくは癌もしくはアレルゲンへの曝露の任意の危険性または癌を発症する危険性を有する対象である。例えば、危険性がある対象は、特定のタイプの感染因子が見いだされる地域へ旅行することを計画している対象であってよく、または、生活様式または医学的手技を介して、感染性生物体を含有することがある体液に、もしくは生物体に直接曝露される対象、またはさらには感染性生物体もしくはアレルゲンが同定されている地域に住んでいる任意の対象であってよい。感染を発症する危険性がある対象は、医療機関が、特定の感染性生物体抗原によるワクチン接種を推奨する一般集団も包含する。抗原がアレルゲンであり、対象が、その特定の抗原に対するアレルギー性応答を惹起し、対象が、抗原に曝露されることがある場合、すなわち、花粉シーズン中は、その対象は、抗原への曝露の危険性がある。アレルギーまたは喘息を発症する危険性がある対象は、アレルギーまたは喘息を有すると認定されているが、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド治療中は活動性疾患を有しない対象ならびに遺伝的または環境的要因のためにこれらの疾患を発症する危険性があると見なされる対象を包含する。
【0116】
癌を発症する危険性がある対象とは、癌を発症する高い確率を有する対象である。これらの対象は、例えば、その存在が、癌を発症する高い可能性との相関関係を有することが立証されている遺伝的異常を有する対象およびタバコ、アスベスト、または他の化学的毒素などの発癌物質に曝露されている対象、または以前に癌の治療を受けたことがあり、見掛け上の寛解期にある対象を包含する。癌を発症する危険性がある対象が、対象が発症する危険性がある癌のタイプに特異的な抗原およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドで治療される場合、対象は、癌細胞が発生したときに癌細胞を殺傷することができることがある。対象において腫瘍が形成し始めた場合、対象は、腫瘍抗原に対して特異的免疫応答を発現するであろう。
【0117】
予防的治療のためのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの使用の他に、本発明は、感染、アレルギー、喘息、または癌を有する対象を治療するためのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの使用も包含する。
【0118】
感染を有する対象とは、感染性病原体に曝露されたことがあり、体内に急性または慢性の検出可能レベルの病原体を有する対象である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、抗原と共にまたは抗原なしに使用し、感染性病原体のレベルを低減するかまたは感染性病原体を根絶することができる抗原特異的な全身または粘膜の免疫応答を高めることができる。本明細書で使用する感染性疾患とは、体内の外来微生物の存在に起因する疾患である。病原侵入の主要部位である身体の粘膜表面を保護するのに有効なワクチン戦略および治療を開発することが特に重要である。
【0119】
アレルギーを有する対象とは、アレルゲンに応答してアレルギー反応を有するまたはアレルギー反応を呈する危険性がある対象である。アレルギーとは、物質(アレルゲン)に対する獲得過敏性を指す。アレルギー状態は、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、結膜炎、気管支喘息、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹(hives))、および食物アレルギー、ならびに他のアトピー性の状態を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0120】
アレルギーは、一般的に、無害なアレルゲンに対するIgE抗体産生により引き起こされる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの全身投与または粘膜投与により誘導されるサイトカインは、主に、Th1と呼ばれるクラス(例は、IL−12、IP−10、IFN−αおよびIFN−γである)であり、これらは、体液性免疫応答と細胞性免疫応答の両方を誘導する。IL−4およびIL−5サイトカインの産生に関係する免疫応答の他の主要なタイプは、Th2免疫応答と名付けられている。一般に、アレルギー性疾患は、Th2型免疫応答により媒介されるようである。対象における免疫応答を、優位なTh2(IgE抗体の産生およびアレルギーに関係している)からバランスの取れたTh2/Th1応答(アレルギー反応に対して予防的である)へシフトするCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの能力に基づいて、免疫応答を誘導するのに有効な投与量のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを対象に投与し、喘息およびアレルギーを治療または予防することができる。
【0121】
したがって、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、喘息などのアレルギー状態および非アレルギー状態の治療において有意な治療的有用性を有する。Th2サイトカイン、特に、IL−4およびIL−5は、喘息対象の気道において上昇している。これらのサイトカインは、IgEアイソトープスイッチング、好酸球の走化性および活性化ならびに肥満細胞増殖を包含する喘息の炎症性応答の重要な局面を促進する。Th1サイトカイン、特に、IFN−γおよびIL−12は、Th2クローンの形成およびTh2サイトカインの産生を抑制することができる。喘息とは、炎症、気道の狭窄および吸入された物質に対する気道の反応性増加を特徴とする呼吸器系の障害を指す。喘息は、それらに限らないが、アトピー性またはアレルギー性の症状を伴うことが多い。
【0122】
癌を有する対象とは、検出可能な癌性細胞を有する対象である。癌は、悪性または非悪性の癌であってよい。癌または腫瘍は、胆道癌;脳腫瘍;乳癌;子宮頚癌;絨毛癌;大腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;および腎臓癌、ならびに他の癌腫および肉腫を包含するが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、癌は、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、腎細胞癌、前立腺癌、膀胱細胞癌、または結腸癌である。
【0123】
対象は、ヒトまたはイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シチメンチョウ、ニワトリ、霊長類、例えば、サル、および魚(水産養殖種)、例えば、サケを包含するがこれに限定されない脊椎動物を意味するものとする。したがって、本発明は、非ヒト対象における癌および腫瘍、感染、ならびにアレルギー/喘息を治療するためにも使用することができる。癌は、コンパニオンアニマル(すなわち、ネコおよびイヌ)の主な死亡原因の1つである。
【0124】
本明細書で使用する、治療する、治療される、または、治療することという用語は、感染性疾患、癌、アレルギー、または、喘息などの障害に関して使用される場合、疾患の発症(例えば、病原体の感染)に対する対象の抵抗性を高める、または、言い換えれば、対象が疾患を発症する(例えば、病原体に感染する)可能性を低くする予防的治療ならびに対象が疾患を発症した後に疾患と闘い(例えば、感染を減らすか排除する)または疾患が悪化するのを防ぐための治療を指す。
【0125】
CpGオリゴヌクレオチドが抗原と共に投与される場合において、対象は、抗原に曝露されることがある。本明細書で使用する「に曝露される」という用語は、対象を抗原と接触させる能動的ステップかin vivoにおける対象の抗原への受動的曝露のどちらかを指す。対象の抗原への能動的曝露のための方法は、当技術分野においてよく知られている。一般に、抗原は、静脈内、筋肉内、経口、経皮、粘膜、鼻腔内、気管内、または皮下投与などの任意の手段により対象に直接投与される。抗原は、全身的または局所的に投与することができる。抗原およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与するための方法を、以下でより詳細に記載する。対象は、抗原が、体内で免疫細胞への曝露に利用できるようになると、抗原に受動的に曝露される。対象は、例えば、体内への外来性病原体の侵入により、またはその表面上で外来性抗原を発現する腫瘍細胞の発生により、抗原に受動的に曝露されることがある。
【0126】
対象が抗原に受動的に曝露される方法は、特に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与するタイミングに左右されることがある。例えば、癌または感染性疾患またはアレルギー性もしくは喘息性応答を発症する危険性がある対象において、対象は、危険性が最大である場合、すなわち、アレルギーシーズン中または発癌物質への曝露後に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを定期的に投与されることがある。さらに、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、旅行者が感染因子に曝露される危険性がある外国に旅行する前に、旅行者に投与されることがある。同様に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、生物戦争への曝露の危険性がある兵士または民間人に投与され、もし対象が抗原に曝露される場合、抗原に対する全身または粘膜の免疫応答を誘導することができる。
【0127】
本明細書で使用する抗原とは、免疫応答を誘発することができる分子である。抗原は、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖複合体、多糖および他の分子のペプチドおよび非ペプチド模倣体、小分子、脂質、糖脂質、炭水化物、ウイルスおよびウイルス抽出物ならびに寄生虫などの多細胞生物体およびアレルゲンを包含するが、これらに限定されるものではない。抗原という用語は、宿主免疫系により外来性であると認識される任意のタイプの分子を広く包含する。抗原は、癌抗原、微生物抗原、およびアレルゲンを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0128】
本明細書で使用する癌抗原とは、腫瘍または癌細胞表面と結び付き、MHC分子との関連で抗原提示細胞の表面上で発現される場合に、免疫応答を誘発することができるペプチドまたはタンパク質などの化合物である。癌抗原は、例えば、Cohen、他、1994、Cancer Research、54:1055に記載されているように癌細胞の粗抽出物を調製すること、抗原を部分的に精製すること、組換え技術、または知られている抗原のde novo合成のいずれかにより、癌細胞から調製することができる。癌抗原は、組換え的に発現される抗原、腫瘍もしくは癌の免疫原性部分または腫瘍もしくは癌全体を包含するが、これらに限定されるものではない。そのような抗原は、組換え的にまたは当技術分野において知られているその他の手段により単離または調製することができる。
【0129】
本明細書で使用する微生物抗原とは、微生物の抗原であり、ウイルス、細菌、寄生虫、および真菌を包含するが、これらに限定されるものではない。そのような抗原は、インタクトな微生物ならびに天然の分離株およびそれらの断片または誘導体と、天然の微生物抗原と同一であるかまたは類似しており、その微生物に特異的な免疫応答を誘導する合成化合物を包含する。ある化合物は、その化合物が天然の微生物抗原に対して免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘導する場合、天然の微生物抗原に類似している。そのような抗原は、当技術分野において日常的に使用され、当業者によく知られている。
【0130】
ウイルスは、核酸コアおよびタンパク質コートを一般的に含有するが、独立して生きる生物体ではない小さい感染因子である。ウイルスは、タンパク質を欠く感染性核酸の形態をとることもある。ウイルスは、ウイルスが複製することができる生きた細胞がないと生存することができない。ウイルスは、エンドサイトーシスかDNA(ファージ)の直接注入のどちらかにより特定の生きた細胞に入って増殖し、疾患を引き起こす。次いで、増殖したウイルスは、放出され、さらなる細胞に感染することができる。一部のウイルスは、DNA含有ウイルスであり、他のウイルスは、RNA含有ウイルスである。DNAウイルスは、ポックス、ヘルペス、アデノ、パポバ、パルボ、およびヘパドナを包含する。RNAウイルスは、ピコルナ、カリシ、アストロ、トガ、フラビ、コロナ、パラミクソ、オルソミクソ、ブニヤ、アレナ、ラブド、フィロ、ボルナ、レオ、およびレトロを包含する。一部の態様において、本発明は、例えば、動物における牛海綿状脳症(すなわち、狂牛病、BSE)もしくはスクレイピー感染、またはヒトにおけるクロイツフェルト−ヤコブ病などの、プリオンが疾患進行に関与している疾患を治療することも意図している。
【0131】
ウイルスは、エンテロウイルス(ポリオウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなどの、ピコルナウイルス科のウイルスを包含するが、これらに限定されるものではない)、ロタウイルス、アデノウイルス、ならびにA型、B型、C型、D型およびE型肝炎などの肝炎ウイルスを包含するが、これらに限定されるものではない。ヒトにおいて見いだされているウイルスの具体例は、レトロウイルス科(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV−III/LAVとも呼ばれる)、または、HIV−IIIなどのヒト免疫不全ウイルス;およびHIV−LPなどの他の分離株;ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);カリシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス科(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブニヤウイルス科(例えば、ハンターンウイルス、ブニヤウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(大部分のアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV));ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);イリドウイルス科(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);および他のウイルス、急性喉頭気管気管支炎ウイルス、アルファウイルス、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ニパウイルス、ノーウォークウイルス、パピローマウイルス、パラインフルエンザウイルス、鳥インフルエンザ、SARsウイルス、ウエストナイルウイルスを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0132】
本発明の方法は、一部の実施形態において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および肝炎ウイルスの治療に特に有用である。ヒトT細胞リンパ球指向性ウイルスIII(HILV III)としても知られているレトロウイルスの1種であるHIVは、AIDSとして知られている障害をもたらす悪化を引き起こす原因である。HIVは、T細胞に感染して破壊し、免疫系の全体バランスを乱し、患者が他の感染と闘う能力の喪失をもたらし、致命的になることが多い日和見感染に患者をかかりやすくする。
【0133】
ウイルス性肝炎は、腫脹、圧痛、および時には肝臓への永久的な損傷を生じることがある肝臓の炎症である。肝臓の炎症が少なくとも6カ月以上続く場合、慢性肝炎と呼ばれる。A型、B型、C型、D型およびE型を包含するウイルス性肝炎を引き起こすことが知られている少なくとも5つの異なるウイルスが存在する。A型肝炎は、一般的に、ヒトの糞便で汚染されている食物または飲料水を介して移される。B型肝炎は、一般的に、血液などの体液を介して広がる。例えば、B型肝炎は、出生児に母から子供に、性的接触、汚染された輸血および注射針を介して広がることがある。C型肝炎は、とてもありふれており、B型肝炎と同様に、輸血および汚染された注射針を介して広がることが多い。D型肝炎は、併存するB型肝炎ウイルスのキャリアである静注(IV)薬物使用者に見いだされることが最も多い。E型肝炎は、A型ウイルス性肝炎と類似しており、一般的に、粗末な下水設備に関係している。
【0134】
グラム陰性とグラム陽性細菌は共に、脊椎動物において抗原としての役割を果たす。そのようなグラム陽性細菌は、パスツレラ種、ブドウ球菌種、および連鎖球菌種を包含するが、これらに限定されるものではない。グラム陰性細菌は、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス種、およびサルモネラ種を包含するが、これらに限定されるものではない。感染性細菌の具体例は、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pyloris)、ボレリアブルグドルフェリ(Borelia burgdorferi)、レジオネラニューモフィリア(Legionella pneumophilia)、マイコバクテリウム種(例えば、結核菌(M.tuberculosis)、トリ結核菌(M.avium)、マイコバクテリウムイントラセルラーレ(M.intracellulare)、マイコバクテリウムカンサシイ(M.kansaii)、マイコバクテリウムゴルドナエ(M.gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカスアガラクチエ(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(ビリダンス群)、ストレプトコッカスフェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカスボビス(Streptococcus bovis)、連鎖球菌(嫌気性種)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、病原性のカンピロバクター種、エンテロコッカス種、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、炭疽菌(Bacillus antracis)、ジフテリア菌(corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム種、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringers)、破傷風菌(Clostridium tetani)、エンテロバクターエロゲネス(Enterobacter aerogenes)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、パスツレラムルトシダ(Pasturella multocida)、バクテロイデス種、フソバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバシラスモニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、トレポネーマパリディウム(Treponema pallidium)、トレポネーマペルテヌエ(Treponema pertenue)、レプトスピラ、リケッチア、およびアクチノマイセスイスラエリイ(Actinomyces israelli)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0135】
真菌の例は、クリプトコッカスネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラスマカプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデスイミティス(Coccidioides immitis)、ブラストミセスデルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)を包含する。
【0136】
他の感染性生物体(すなわち、原生生物)は、熱帯マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、および三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、およびトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)などのプラスモジウム種を包含する。血液感染性および/または組織寄生虫は、プラスモジウム種、バベシアミクロチ(Babesia microti)、バベシアディバージエンス(Babesia divergens)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、リーシュマニア種、ブラジルリーシュマニア(Leishmania braziliensis)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma gambiense)、およびローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠症)、トリパノソーマクルージ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)、およびトキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)を包含する。
【0137】
他の医学的に関連する微生物は、文献に広範囲にわたって記載されており、例えば、C.G.A.Thomas、Medical Microbiology、Bailliere Tindall、Great Britain 1983を参照されたい。その全内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0138】
アレルゲンとは、感受性の対象においてアレルギー性または喘息性の応答を誘導することがある物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑、粉塵、真菌胞子および薬物(例えば、ペニシリン)を包含することがある。天然、動物および植物アレルゲンの例は、以下の属、すなわち、イヌ科(カニスファミリアリス(Canis familiaris));デルマトファゴイデス属(例えば、コナヒョウダニ(Dermatophagoides farinae));ネコ属(イエネコ(Felis domesticus));アンブロシア属(ブタクサ(Ambrosia artemiisfolia));ロリウム属(例えば、ペレニアルライグラス(Lolium perenne)またはイタリアンライグラス(Lolium multiflorum));クリプトメリア属(ニホンスギ(Cryptomeria japonica));アルテルナリア属(アルテルナリアアルテルナータ(Alternaria alternata));アルダー;ハンノキ属(ハンノキ(Alnus gultinoasa));カバノキ属(ビーチ(Betula verrucosa));コナラ属(アメリカンホワイトオーク(Quercus alba));オリーブ属(ヨーロッパオリーブ(Olea europa));ヨモギ属(オオヨモギ(Artemisia vulgaris));オオバコ属(例えば、ヘラオオバコ(Plantago lanceolata));ヒカゲミズ属(例えば、パリエタリアオフィシナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリアユダイカ(Parietaria judaica));チャバネゴキブリ属(例えば、チャバネゴキブリ(Blattella germanica));ミツバチ属(例えば、アピスムルチフローラム(Apis multiflorum));イトスギ属(例えば、ホソイトスギ(Cupressus sempervirens)、アリゾナイトスギ(Cupressus arizonica)およびモントレーイトスギ(Cupressus macrocarpa));ビャクシン属(例えば、ユニペルスサビノイデス(Juniperus sabinoides)、エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)、セイヨウネズ(Juniperus communis)およびユニペルスアシェイ(Juniperus ashei));クロベ属(Thuya)(例えば、コノテガシワ(Thuya orientalis));ヒノキ属(例えば、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa));ゴキブリ属(例えば、ワモンゴキブリ(Periplaneta americana));カモジグサ属(例えば、シバムギ(Agropyron repens));ライムギ属(例えば、ライムギ(Secale cereale));コムギ属(例えば、コムギ(Triticum aestivum));カモガヤ属(例えば、カモガヤ(Dactylis glomerata));ウシノケグサ属(例えば、ヒロハウシノケグサ(Festuca elatior));イチゴツナギ属(例えば、ナガハグサ(Poa pratensis)またはコイチゴツナギ(Poa compressa));カラスムギ属(例えば、マカラスムギ(Avena sativa));シラゲガヤ属(例えば、シラゲガヤ(Holcus lanatus));ハルガヤ属(例えば、ハルガヤ(Anthoxanthum odoratum));オオカニツリ属(例えば、オオカニツリ(Arrhenatherum elatius));コヌカグサ属(例えば、コヌカグサ(Agrostis alba));アワガエリ属(例えば、オオアワガエリ(Phleum pratense));クサヨシ属(例えば、クサヨシ(Phalaris arundinacea));スズメノヒエ属(例えば、アメリカスズメノヒエ(Paspalum notatum));モロコシ属(例えば、セイバンモロコシ(Sorghum halepensis));およびスズメノチャヒキ属(例えば、コスズメノチャヒキ(Bromus inermis))に対して特異的なタンパク質を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0139】
本明細書で使用する実質的に精製されたという用語は、天然で関係する他のタンパク質、脂質、炭水化物または他の材料を実質的に含まないポリペプチドを指す。当業者は、タンパク質精製のための標準的技法を用いてウイルスまたは細菌のポリペプチドを精製することができる。実質的に純粋なポリペプチドは、非還元性ポリアクリルアミドゲル上に単一の主要なバンドを与えることが多いはずである。部分的にグリコシル化されたポリペプチドまたはいくつかの開始コドンを有するポリペプチドの場合、非還元性ポリアクリルアミドゲル上にいくつのバンドが存在することがあるが、これらは、そのポリペプチドに特有のパターンを形成するであろう。ウイルスまたは細菌のポリペプチドの純度は、アミノ末端アミノ酸配列分析により決定することもできる。多糖、小分子、模倣体などの核酸ベクターによりコードされない他のタイプの抗原は、本発明内に包含される。
【0140】
本発明のオリゴヌクレオチドは、抗微生物薬と共に対象に投与されることがある。本明細書で使用する抗微生物薬とは、感染性微生物を殺傷または阻害することができる天然に存在する化合物または合成化合物を指す。本発明に従って有用な抗微生物薬のタイプは、対象が感染しているか、または感染する危険性がある微生物のタイプによって異なるであろう。抗微生物薬は、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、および抗寄生虫薬を包含するが、これらに限定されるものではない。「抗感染薬」、「抗細菌薬」、「抗ウイルス薬」、「抗真菌薬」、「抗寄生虫薬」および「殺寄生虫薬」などの語句は、当業者には十分に確立した意味を有し、標準的な医療テキストで定義されている。手短に言えば、抗細菌薬は、細菌を殺傷または阻害し、抗生物質ならびに類似の機能を有する他の合成または天然化合物を包含する。抗生物質は、微生物などの細胞により二次代謝産物として産生される低分子量分子である。一般に、抗生物質は、微生物に特異的であり、宿主細胞には存在しない1つまたは複数の細菌の機能または構造を妨害する。抗ウイルス薬は、天然源から単離するか、または合成することができ、ウイルスを殺傷または阻害するのに有用である。抗真菌薬は、表在性真菌感染ならびに日和見性および原発性全身性真菌感染を治療するために使用される。抗寄生虫薬は、寄生虫を殺傷または阻害する。
【0141】
ヒト投与に有用な殺寄生虫薬とも呼ばれる抗寄生虫薬の例は、アルベンダゾール、アンホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、塩酸クロロキン、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、ジロキサニドフロエート、エフロルニチン、フラゾリダオン(furazolidaone)、糖質コルチコイド、ハロファントリン、ヨードキノール、イベルメクチン、メベンダゾール、メフロキン、アンチモン酸メグルミン、メラルソプロール、メトリフォネート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモックス、オキサムニキン、パロモマイシン、イセチオン酸ペンタミジン、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、パモ酸ピランテル、ピリメタンミン(pyrimethanmine)−スルホンアミド、ピリメタンミン−スルファドキシン、塩酸キナクリン、硫酸キニーネ、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトロプリム(trimethroprim)−スルファメトキサゾール、およびトリパルサミドを包含するが、これらに限定されることはなく、これらの一部は、単独でまたは他の抗寄生虫薬と組み合わせて使用される。
【0142】
抗細菌薬は、細菌を殺傷するか、または細菌の増殖または機能を阻害する。抗細菌薬の大きなクラスは、抗生物質である。広範囲の細菌を殺傷または阻害するのに有効である抗生物質は、広域抗生物質と呼ばれる。他のタイプの抗生物質は、グラム陽性またはグラム陰性クラスの細菌に対して主に有効である。これらのタイプの抗生物質は、狭域抗生物質と呼ばれる。単一の生物体または疾患に対して有効であるが、他のタイプの細菌に対して有効でない他の抗生物質は、限定域(limited−spectrum)抗生物質と呼ばれる。抗細菌薬は、それらの主要な作用機作に基づいて分類されることがある。一般に、抗細菌薬は、細胞壁合成阻害薬、細胞膜阻害薬、タンパク質合成阻害薬、核酸の合成または機能阻害薬、および競合的阻害薬である。
【0143】
抗ウイルス薬は、ウイルスによる細胞の感染または細胞内のウイルスの複製を防ぐ化合物である。抗ウイルス薬物が抗細菌薬物よりもずっと少ないのは、ウイルス複製のプロセスが、宿主細胞内のDNA複製と密接に関係しているため、非特異的抗ウイルス薬は宿主にとって毒性であることが多いためである。ウイルス感染のプロセス内には、抗ウイルス薬により遮断または阻害されることがあるいくつかの段階がある。これらの段階は、ウイルスの宿主細胞への付着(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱殻(例えば、アマンタジン)、ウイルスmRNAの合成または翻訳(例えば、インターフェロン)、ウイルスRNAまたはDNAの複製(例えば、ヌクレオチド類似体)、新たなウイルスタンパク質の成熟(例えば、プロテアーゼ阻害薬)、ならびにウイルスの出芽および放出を包含する。
【0144】
ヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドに類似しているが、不完全または異常なデオキシリボースまたはリボース基を有する合成化合物である。いったんヌクレオチド類似体が細胞内に入ると、それらはリン酸化され、ウイルスDNAまたはRNAへの組入れを正常なヌクレオチドと競合する三リン酸形態を生じる。いったんヌクレオチド類似体の三リン酸形態が、伸長中の核酸鎖に組み入れられると、ウイルスポリメラーゼとの不可逆的な会合と連鎖停止を引き起こす。ヌクレオチド類似体は、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスの治療に使用される)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの治療に有用である)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器合胞体ウイルスの治療に有用である)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジドブジン(アジドチミジン)、イミキモド、およびレシミキモド(resimiquimod)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0145】
インターフェロンは、ウイルス感染細胞ならびに免疫細胞により分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染細胞に隣接する細胞上の特異的受容体に結合することにより機能し、細胞において、ウイルスによる感染から細胞を守る変化を引き起こす。αおよびβ−インターフェロンも、感染細胞の表面上でクラスIおよびクラスII MHC分子の発現を誘導し、宿主の免疫細胞認識のための抗原提示の増加をもたらす。αおよびβ−インターフェロンは、組換え形態として入手可能であり、慢性B型およびC型肝炎感染の治療に使用されている。抗ウイルス療法に有効である用量において、インターフェロンは、発熱、倦怠感および体重減少などの重度の副作用を有する。
【0146】
本発明において有用な抗ウイルス薬は、免疫グロブリン、アマンタジン、インターフェロン、ヌクレオチド類似体、およびプロテアーゼ阻害薬を包含するが、これらに限定されるものではない。抗ウイルス剤の具体例は、エースマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデフォビル;アロブジン;アルビルセプトスドトックス(Alvircept Sudotox);塩酸アマンタジン;アラノチン;アリルドン;メシル酸アテビルジン;アブリジン;シドホビル;シパムフィリン(Cipamfylline);塩酸シタラビン;メシル酸デラビルジン;デスシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル;エドクスジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファムシクロビル;塩酸ファモチン;フィアシタビン;フィアルリジン;ホサリラート;フォスカルネットナトリウム;ホスホネトナトリウム;ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;ケトキサール(Kethoxal);ラミブジン;ロブカビル;塩酸メモチン;メチサゾン;ネビラピン;ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;塩酸リマンタジン;メシル酸サキナビル;塩酸ソマンタジン;ソリブジン;スタトロン(Statolon);スタブジン;塩酸チロロン;トリフルリジン;塩酸バラシクロビル;ビダラビン;リン酸ビダラビン;ビダラビンナトリウムリン酸塩;ビロキシム;ザルシタビン;ジドブジン;およびジンビロキシムを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0147】
抗真菌薬は、感染性真菌の治療および予防に有用である。抗真菌薬は、それらの作用機序により分類されることがある。一部の抗真菌薬は、グルコース合成酵素を阻害することにより細胞壁阻害薬として機能する。これらは、バシウンギン(basiungin)/ECBを包含するが、これに限定されるものではない。他の抗真菌薬は、膜の完全性を不安定にすることにより機能する。これらは、クロトリマゾール、セルタコナゾール(sertaconzole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナゾール(voriconacole)などのイミダゾール、ならびにFK463、アンホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラジミシン、UK292、ブテナフィン、およびテルビナフィンを包含するが、これらに限定されるものではない。他の抗真菌薬は、キチンを分解することにより(例えば、キチナーゼ)または免疫抑制(501クリーム)により機能する。
【0148】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫応答を増強するために、アジュバントなどの他の治療薬と組み合わせることができる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび他の治療薬は、同時に、または順次に投与することができる。他の治療薬が同時に投与される場合、それらは、同じか、または別々の製剤で投与することができるが、同時に投与される。他の治療薬およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与が時間的に分離されている場合、他の治療薬は、お互いにおよびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドについて順次に投与される。これらの化合物の投与間の時間の分離は、数分であってよく、またはそれより長くてよい。他の治療薬は、アジュバント、サイトカイン、抗体、抗原などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0149】
本発明の組成物は、非核酸アジュバントと共に投与することもできる。非核酸アジュバントとは、本明細書に記載されているCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを除く、体液性および/または細胞性免疫応答を刺激することができる任意の分子または化合物である。非核酸アジュバントは、例えば、デポ効果を生み出すアジュバント、免疫刺激アジュバント、およびデポ効果を生み出しかつ免疫系を刺激するアジュバントを包含する。
【0150】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、粘膜アジュバントとしても有用である。全身性免疫と粘膜免疫は共に、CpG核酸の粘膜送達により誘導されることがこれまでに発見されている。したがって、オリゴヌクレオチドは、他の粘膜アジュバントと組み合わせて投与することができる。
【0151】
免疫応答は、サイトカイン(Bueler & Mulligan、1996;Chow他、1997;Geissler他、1997;Iwasaki他、1997;Kim他、1997)またはB−7共刺激分子(Iwasaki他、1997;Tsuji他、1997)のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドとの同時投与または共直線性(co−linear)発現により誘導または増大させることもできる。サイトカインという用語は、ナノ−〜ピコモル濃度で体液性レギュレーターとして作用し、正常な状態または病的な状態のどちらかで、個々の細胞および組織の機能活性をモジュレートする可溶性のタンパク質およびペプチドの多様な群の一般名として使用される。これらのタンパク質は、細胞間の相互作用も直接媒介し、細胞外環境において生じるプロセスも調節する。サイトカインの例は、IL−1、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン−γ(γ−IFN)、IFN−α、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、FLT−3リガンド、およびCD40リガンドを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0152】
オリゴヌクレオチドは、Th2免疫応答からTh1免疫応答に免疫応答を方向転換させるのにも有用である。このことは、比較的バランスの取れたTh1/Th2環境を生み出す結果となる。Th2からTh1免疫応答への免疫応答の方向転換は、核酸に応答して産生されるサイトカインのレベルを測定することにより(例えば、IL−12、IFN−γおよびGM−CSFを包含するTh1サイトカインを産生する単球細胞および他の細胞を誘導することにより)評価することができる。Th2からTh1応答への免疫応答の方向転換または再平衡は、喘息の治療または予防に特に有用である。例えば、喘息を治療するのに有効な量は、喘息に関係しているTh2タイプの免疫応答をTh1タイプの応答またはバランスの取れたTh1/Th2環境に方向転換するのに有用な量であってよい。Th2サイトカイン、特に、IL−4およびIL−5は、喘息対象の気道において上昇している。本発明のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、免疫系の再平衡を助けるTh1サイトカインの増加を引き起こし、主としてTh2免疫応答に伴う有害作用を予防または軽減する。
【0153】
本発明のオリゴヌクレオチドは、気道リモデリングを治療するのにも有用なことがある。気道リモデリングは、気道における平滑筋細胞増殖および/または粘膜下肥厚に起因し、限られた気流につながる気道狭窄を最終的に引き起こす。本発明のオリゴヌクレオチドは、さらなるリモデリングを予防し、おそらくリモデリングプロセスによって生じる組織増加さえ軽減することがある。
【0154】
オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の生存、分化、活性化および成熟を改善するためにも有用である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の細胞生存、分化、活性化および成熟を促進する独特な能力を有する。
【0155】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、ナチュラルキラー細胞溶解活性および抗体依存性細胞傷害(ADCC)も増加させる。ADCCは、癌細胞などの細胞内標的に特異的な抗体と組み合わせてCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを用いて行うことができる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、抗体と併せて対象に投与される場合、対象の免疫系が誘導され、腫瘍細胞を殺傷する。ADCC手順において有用な抗体は、体内の細胞と相互作用する抗体を包含する。細胞内標的に特異的な多くのそのような抗体は、当技術分野において記載されており、多くは、市販されている。
【0156】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、抗癌療法と併せて投与することもできる。抗癌療法は、癌医薬品、放射線および外科手術を包含する。本明細書で使用する「癌医薬品」とは、癌を治療する目的で対象に投与される薬剤を指す。本明細書で使用する「癌を治療すること」とは、癌の発症を予防すること、癌の症状を軽減すること、および/または確立した癌の増殖を阻害することを包含する。他の態様において、癌医薬品は、癌を発症する危険性を軽減する目的で癌を発症する危険性がある対象に投与される。癌を治療するための様々なタイプの医薬品を本明細書に記載する。本明細書のために、癌医薬品を、化学療法薬、免疫療法薬、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物学的応答調整剤として分類する。
【0157】
さらに、本発明の方法は、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドと一緒に2種以上の癌医薬品を使用することを包含することを意図している。一例として、必要に応じて、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを、化学療法薬と免疫療法薬の両方と共に投与することができる。あるいは、癌医薬品は、癌を有する対象または癌を発症する危険性がある対象を治療する目的で1対象にすべて投与される免疫療法薬および癌ワクチン、または化学療法薬および癌ワクチン、または化学療法薬、免疫療法薬および癌ワクチンを包含することがある。
【0158】
化学療法薬は、メトトレキセート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、糖を含有しないクロロエチルニトロソ尿素、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラジリン(fragyline)、メグラミン(Meglamine)GLA、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MMI270、BAY12−9566、RASファメシル(famesyl)トランスフェラーゼ阻害薬、ファメシルトランスフェラーゼ阻害薬、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレク(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Mitroxantrone)、メタレット(Metaret)/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、Incel/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナール(Lemonal)DP2202、FK317、ピシバニール/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロマイド、エバセト/リポソームドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、ゼロード(Xeload)/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパクス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RAS癌遺伝子阻害薬、BMS−182751/経口白金、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミソール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミソール、カンプトサー/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラリトレキセド(Ralitrexed)、ロイスタチン/クラドリビン、パキセクス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリクス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン(Pharmarubicin)/エピルビシン、デポサイト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタルイミド(Naphtalimide)、LU103793/ドラスタイン(Dolastain)、カエチクス(Caetyx)/リポソームドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメド(Anormed)、YM116、ロジンシード(lodine seed)、CDK4およびCDK2阻害薬、PARP阻害薬、D4809/デキシフォサミド(Dexifosamide)、アイフェス(Ifes)/メスネクス(Mesnex)/イフォサミド(Ifosamide)、ブモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベペシド(Vepeside)/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソ尿素、メルフェラン(melphelan)およびシクロホスファミドなどのアルキル化剤、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロロムブシル(Chlorombucil)、塩酸シタラビン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イフォスファミド、インターフェロンα−2a、α−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH−放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、塩酸メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、塩酸ミトキサントロン、オクトレオチド、プリカマイシン、塩酸プロカルバジン、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エルスロポエチン(Erthoropoietin)、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、および硫酸ビンデシンからなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
免疫療法薬は、リブタキシン、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス、ベクサー、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット、ノボMAb−G2、TNT、グリオマブ−H、GNI−250、EMD−72000、リンフォサイド、CMA676、モノファーム−C、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10Ab、SMART ABL364AbおよびImmuRAIT−CEAからなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
癌ワクチンは、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド共役ワクチン、Her2/neu、オバレックス、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLセラトープ(theratope)、BLP25(MUC−1)、リポソームイディオタイプワクチン、メラシン(Melacine)、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAベースのワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルスおよびイムシスト(ImmuCyst)/テラシス(TheraCys)からなる群から選択することができるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドをモノクローナル抗体などの免疫療法薬と併せて使用すると、ADCCの有意な増強(上記のような)、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、およびIFNαレベルの増加を包含する多くの機序を介して長期生存を高めることができる。核酸は、モノクローナル抗体と組み合わせて使用される場合、生物学的結果を達成するのに必要とされる抗体の投与量を軽減するのに役立つ。
【0162】
本明細書で使用する「癌抗原」および「腫瘍抗原」という用語は、癌細胞により差次的に発現され、それによって、癌細胞を標的とするために利用することができる抗原を指すために互換的に使用される。癌抗原とは、明らかに腫瘍特異的な免疫応答を潜在的に刺激することができる抗原である。これらの抗原の一部は、必ずしも発現されないが、正常な細胞によりコードされる。これらの抗原は、正常な細胞において普通はサイレントである(すなわち、発現されない)抗原、分化の特定の段階においてのみ発現される抗原ならびに胚抗原および胎児性抗原などの時間的に発現される抗原として特徴付けることができる。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化されたras癌遺伝子)、抑制遺伝子(例えば、突然変異体p53)、内部欠失または染色体転座により生じた融合タンパク質などの突然変異体細胞性遺伝子によりコードされる。さらに他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルスで運ばれるものなどのウイルス遺伝子によりコードされることがある。
【0163】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、自己免疫疾患を治療および予防するのにも有用である。自己免疫疾患は、対象の自分の抗体が宿主組織と反応する、または免疫エフェクターT細胞が、内因性の自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす疾患の一クラスである。したがって、免疫応答は、自己抗原と呼ばれる対象の自分の抗原に対して仕掛けられる。自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体による強皮症、混合性結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、糸球体腎炎(例えば、半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、および自己免疫性糖尿病を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0164】
本明細書で使用する「自己抗原」という用語は、正常宿主組織の抗原を指す。正常宿主組織は、癌細胞を包含していない。したがって、自己抗原に対して仕掛けられる免疫応答は、自己免疫疾患に関連して、望ましくない免疫応答であり、正常組織の破壊および損傷の一因となり、一方、癌抗原に対して仕掛けられる免疫応答は、望ましい免疫応答であり、腫瘍または癌の破壊の一因となる。したがって、自己免疫疾患を治療することを目的とする本発明の一部の態様において、CpG免疫刺激性核酸が自己抗原、特に、自己免疫障害の標的である自己抗原と共に投与されることは推奨されない。
【0165】
他の場合に、CpG免疫刺激性核酸は、低投与量の自己抗原と共に送達されることがある。多くの動物研究は、低投与量の抗原の粘膜投与が、免疫低応答性すなわち「免疫寛容(tolerance)」の状態をもたらすことがあることを立証している。能動機序は、Th1から離れて主にTh2およびTh3(すなわち、TGF−β支配の)応答に向かうサイトカイン媒介性免疫偏向であるように見える。低投与量抗原送達による能動抑制は、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチおよびSLEの療法において非常に興味深い非関連免疫応答(バイスタンダー抑制)を抑制することもある。バイスタンダー抑制には、炎症性サイトカインおよびTh1サイトカインが抗原特異的か抗原非特異的のどちらかで放出される局所環境におけるTh1−対抗制御的サプレッサーサイトカインの分泌が関わっている。本明細書で使用する「免疫寛容」とは、この現象を指すために使用される。実際に、経口免疫寛容は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、実験的自己免疫性重症筋無力症、コラーゲン誘発性関節炎(CIA)、およびインスリン依存性糖尿病を包含する動物における多くの自己免疫疾患の治療に有効とされてきた。これらのモデルにおいて、自己免疫疾患の予防および抑制は、Th1からTh2/Th3応答への抗原特異的な体液性および細胞性応答のシフトに関係している。
【0166】
本発明は、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを用いて抗原非特異的先天性免疫活性化および感染チャレンジに対する広域抵抗性を誘導するための方法も包含する。本明細書で使用する抗原非特異的先天性免疫活性化という用語は、B細胞以外の免疫細胞の活性化を指し、例えば、NK細胞、T細胞もしくは抗原非依存的に応答することができる他の免疫細胞またはこれらの細胞の一部の組合せの活性化を包含することがある。感染チャレンジに対する広域抵抗性が誘導されるのは、免疫細胞が、活性な形態であり、初回刺激され、侵入するいかなる化合物または微生物にも応答するためである。細胞は、特定の抗原に対して特異的に初回刺激される必要はない。このことは、生物戦争、および旅行者などの上記に記載されている他の環境において特に有用である。
【0167】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、対象に直接投与することができ、または核酸送達複合体と併せて投与することができる。核酸送達複合体とは、標的化手段(例えば、標的細胞に高親和性結合をもたらす分子)と会合している(例えば、それとイオン結合または共有結合している;または、その内部にカプセル化されている)核酸分子を意味するものとする。核酸送達複合体の例は、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、陽イオン性脂質、ビロソームまたはリポソーム)、または標的細胞特異的結合剤(例えば、標的細胞特異的受容体により認識されるリガンド)と会合している核酸を包含する。好ましい複合体は、in vivoにおいて、標的細胞による内部移行前の有意な脱共役を防ぐのに十分に安定であってよい。しかしながら、複合体は、オリゴヌクレオチドが機能的な形態で放出されるように、細胞内の適切な条件下で切断可能であってよい。
【0168】
抗原およびオリゴヌクレオチドを表面に送達するための送達ビヒクルまたは送達装置について記載されている。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療薬は、単独で(例えば、食塩水または緩衝液中で)、または当技術分野において知られている任意の送達ビヒクルを用いて投与することができる。例えば、以下の送達ビヒクル、すなわち、コクリエート(Chochliates);エマルソーム(Emulsomes)、ISCOM;リポソーム;生細菌ベクター(例えば、サルモネラ、大腸菌(Escherichia coli)、カルメット−ゲラン桿菌(Bacillus calmatte−guerin)、赤痢菌、乳酸桿菌);生ウイルスベクター(例えば、ワクシニア、アデノウイルス、単純ヘルペス);マイクロスフェア;核酸ワクチン;ポリマー;ポリマー環;プロテオソーム;フッ化ナトリウム;トランスジェニック植物;ビロソーム;ウイルス様粒子について記載されている。他の送達ビヒクルは、当技術分野において知られており、一部の追加例は、ベクターの議論において以下で提供される。
【0169】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの有効量という用語は、望ましい生物学的効果を実現するのに必要または十分な量を指す。例えば、粘膜免疫性を誘導するために抗原と共に投与されるCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの有効量は、抗原への曝露により抗原に応答してIgAの発生を引き起こすのに必要な量であり、一方、全身性免疫を誘導するために必要とされる量は、抗原への曝露により抗原に応答してIgGの発生を引き起こすのに必要な量である。本明細書に提供されている教示と組み合わせて、様々な活性化合物の中から選ぶこと、ならびに効力、相対的生物学的利用能、患者体重、有害副作用の重症度、および好ましい投与様式などの要素を比較検討することにより、実質的な毒性を引き起こさず、さらに、特定の対象を治療するのに全体的に有効である有効な予防的または治療的な処置レジメンを計画することができる。任意の特定の応用例にとっての有効量は、治療されている疾患または状態、投与されている特定のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド、対象のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度などの要素に応じて様々であってよい。当業者は、特定のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療薬の有効量を、必要以上の実験を必要とすることなく経験的に決定することができる。
【0170】
粘膜送達または局所送達のための本明細書に記載されている化合物の対象投与量は、典型的には、1回の投与当たり約0.1μg〜10mgの範囲であり、応用例に応じて、毎日、毎週、または毎月およびそれらの間のその他の時間に与えてもよい。より典型的には、粘膜投与量または局所投与量は、1回の投与当たり約10μg〜5mg、最も典型的には、約100μg〜1mgの範囲であり、2〜4回の投与に数日または数週間の間隔が置かれる。より典型的には、免疫刺激剤投与量は、毎日または毎週の投与で、1回の投与当たり1μg〜10mg、最も典型的には10μg〜1mgの範囲である。化合物が、別の治療薬でなく抗原と共に送達される、抗原特異的な免疫応答を誘導する目的で非経口送達するための本明細書に記載されている化合物の対象投与量は、典型的には、ワクチンアジュバントまたは免疫刺激剤の応用例の場合に有効な粘膜投与量よりも5〜10,000倍高く、より典型的には、10〜1,000倍高く、最も典型的には、20〜100倍高い。先天性免疫応答を誘導する目的で、またはADCCを増加させるため、または抗原特異的免疫応答を誘導するために非経口送達するための本明細書に記載されている化合物の投与量は、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、他の治療薬と組み合わせて、または特殊化した送達ビヒクルで投与される場合、1回の投与当たり約0.1μg〜10mgの範囲であり、応用例に応じて、毎日、毎週、または毎月およびそれらの間のその他の時間に与えてもよい。より典型的には、これらの目的のための非経口投与量は、1回の投与当たり約10μg〜5mg、最も典型的には、約100μg〜1mgの範囲であり、2〜4回の投与に数日または数週間の間隔が置かれる。しかしながら、一部の実施形態において、これらの目的のための非経口投与量は、上記に記載されている典型的な投与量よりも5〜10,000倍高い範囲で使用することができる。
【0171】
本明細書に記載されている任意の化合物について、治療有効量は、まず動物モデルから決定することができる。治療有効投与量は、ヒトで試験された(ヒト臨床試験が開始された)CpGオリゴヌクレオチドならびに他のアジュバント、例えば、LTおよびワクチン接種目的の他の抗原などの類似の薬理学的活性を示すことが知られている化合物についてのヒトデータからも決定することができる。非経口投与には、より高い投与量が必要とされることがある。適用される投与量は、相対的生物学的利用能および投与される化合物の効力に基づいて調整することができる。上記に記載されている方法および当技術分野においてよく知られているような他の方法に基づいて最大の有効性が得られるように投与量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0172】
本発明の製剤は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性の担体、アジュバント、および場合により、他の治療用成分を日常的に含有することがある薬学的に許容できる液剤で投与される。
【0173】
治療で使用する場合、有効量のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを望ましい表面、例えば、粘膜、全身へ送達する任意の様式により対象に投与することができる。本発明の医薬組成物を投与することは、当業者に知られている任意の手段により行うことができる。投与の好ましい経路は、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼、膣、および直腸を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0174】
経口投与の場合、化合物(すなわち、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド、抗原および他の治療薬)は、1種または複数の活性化合物を、当技術分野においてよく知られている薬学的に許容できる担体と混ぜ合わせることにより容易に製剤化することができる。そのような担体は、本発明の化合物を、治療すべき対象による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固形賦形剤として取得し、場合により、得られる混合物を粉砕し、必要な場合に、適当な助剤を添加した後で顆粒の混合物を処理し、錠剤または糖剤コアを得ることができる。適当な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを包含する糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。望ましい場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を加えることができる。場合により、経口製剤は、食塩水または緩衝液、すなわち、内部の酸性条件を中和するためのEDTA中で製剤化してもよく、または担体なしに投与してもよい。
【0175】
上記の1種または複数の構成成分の経口剤形も具体的に企図されている。1種または複数の構成成分は、誘導体の経口送達が効果的であるように化学的に修飾することができる。一般的に、企図される化学修飾は、構成成分分子自体への少なくとも1つの部分の接続であり、前記部分は、(a)タンパク質分解の阻害;および(b)胃または腸から血流への取り込みを可能にする。1種または複数の構成成分の総体的安定性の増加および体内の循環時間の増加も望ましい。そのような部分の例は、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリプロリンを包含する。AbuchowskiおよびDavis、1981、「Soluble Polymer−Enzyme Adducts」、Enzymes as Drugs、HocenbergおよびRoberts、編、Wiley−Interscience、New York、NY、367〜383ページ;Newmark、他、1982、J.Appl.Biochem.4:185〜189。用いることができる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocane)である。上記に示すように、ポリエチレングリコール部分が薬学的用法として好ましい。
【0176】
構成成分(または、誘導体)について、放出の位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸、または回腸)、または大腸であってよい。当業者は、胃で溶解しないであろうが、十二指腸または腸内のどこかで材料を放出するであろう利用可能な製剤を有する。放出は、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)の保護、または腸におけるなどの胃環境を越えた生物学的活性材料の放出のどちらかにより、胃環境の有害な効果を回避することが好ましい。
【0177】
完全な胃抵抗性を保証するためには、少なくともpH5.0まで不透過性のコーティングが不可欠である。腸溶コーティングとして使用されるより一般的な不活性成分の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、オイドラギットL30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、オイドラギットL、オイドラギットS、およびシェラックである。これらのコーティングは、混合型のフィルム剤として使用することができる。
【0178】
胃に対する保護を意図しないコーティングまたはコーティングの混合物を錠剤上で使用することもできる。これは、糖コーティング、または錠剤の嚥下をより容易にするコーティングを包含することがある。カプセル剤は、乾燥治療薬、すなわち、粉末を送達するためのハードシェル(ゼラチンなど)からなることがあり、液状形態については、ソフトゼラチンシェルを使用することができる。カシェ剤のシェル材料は、粘度の高いデンプン、または他の食用紙であってよい。丸剤、ロゼンジ剤、成形錠剤または湿製錠剤(tablet triturates)については、湿式塊化(moist massing)技法を使用することができる。
【0179】
治療薬は、粒径約1mmの顆粒剤またはペレット剤の形態で微細な多粒子剤として製剤に包含することができる。カプセル投与のための材料の製剤も、粉末、軽度に圧縮されたプラグ、または錠剤であってよい。治療薬は、圧縮により調製されることがある。
【0180】
着色剤および矯味剤がすべて包含されることがある。例えば、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)を製剤化し(リポソームまたはマイクロスフェアカプセル化などにより)、次いで、着色剤および矯味剤を含有する冷蔵飲料などの食用製品内にさらに含有させることができる。
【0181】
不活性材料で治療薬の体積を希釈または増加させることができる。これらの希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、a−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストランおよびデンプンを包含することができる。三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムを包含する特定の無機塩も、充填剤として使用することができる。一部の市販希釈剤は、ファスト−フロー(Fast−Flo)、エムデックス(Emdex)、STA−Rx1500、エンコンプレス(Emcompress)およびアビセル(Avicell)である。
【0182】
治療薬の固形剤形への製剤化に崩壊剤が包含されることがある。崩壊剤として使用される材料は、市販のデンプンベースの崩壊剤、エクスプロタブ(Explotab)を包含するデンプンを包含するが、これに限定されるものではない。デンプングリコール酸ナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然スポンジおよびベントナイトはすべて使用することができる。別の形態の崩壊剤は、不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末ゴムは、崩壊剤および結合剤として使用することができ、これらは、寒天、カラヤまたはトラガカントなどの粉末ゴムを包含することがある。アルギン酸およびそのナトリウム塩も、崩壊剤として有用である。
【0183】
結合剤は、硬質錠剤を形成して治療薬を一緒に保持するために使用されることがあり、アカシア、トラガカント、デンプンおよびゼラチンなどの天然産物由来の材料を包含する。他のものは、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を包含する。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は共に、治療薬を顆粒化するためにアルコール性溶液中で使用されることがある。
【0184】
抗摩擦剤(anti−frictional agent)は、製剤化プロセス中の固着を防ぐために治療薬の製剤中に包含されることがある。滑沢剤は、治療薬とダイ壁の間の層として使用することができ、これらは、そのマグネシウムおよびカルシウム塩を包含するステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油およびワックスを包含するが、これらに限定されるものではない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、カルボワックス(Carbowax)4000および6000などの可溶性滑沢剤も使用することができる。
【0185】
製剤化中に薬物の流動特性を改善し、圧縮中の再構成を助けることがある流動促進剤が加えられることがある。流動促進剤は、デンプン、タルク、焼成シリカおよび水和シリコアルミネートを包含することがある。
【0186】
水性環境中への治療薬の溶解を助けるために、界面活性剤が浸潤剤として加えられることがある。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤を包含することがある。陽イオン性界面活性剤が使用されることがあり、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトミウム(benzethomium)を包含することがある。界面活性剤として製剤に包含されることがある可能な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50および60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースならびにカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独か様々な比の混合物としてのどちらかで、オリゴヌクレオチドまたは誘導体の製剤中に存在することがある。
【0187】
経口的に使用することができる医薬調製物は、ゼラチン製の押し込み式(push−fit)カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製の軟質密封カプセル剤を包含する。押し込み式カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤ならびに、場合により、安定化剤との混合物中に活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液状ポリエチレングリコールなどの適当な液体に溶解または懸濁させることができる。さらに、安定化剤が加えられることがある。経口投与のために製剤化されたマイクロスフェアも使用されることがある。そのようなマイクロスフェアは、当技術分野において十分に定義されている。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。
【0188】
口腔投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはロゼンジ剤の形態をとることがある。
【0189】
吸入による投与の場合、本発明に従って使用するための化合物は、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを使用し、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で都合良く送達することができる。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、一定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。化合物およびラクトースまたはデンプンなどの適当粉末基剤の粉末ミックスを含有するインヘイラーまたはインサフレーターで使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジ剤を製剤化することができる。
【0190】
オリゴヌクレオチド(または、それらの誘導体)の肺送達も本明細書において企図されている。オリゴヌクレオチド(または誘導体)は、吸入中に哺乳動物の肺に送達され、肺上皮層を横断して血流に至る。吸入される分子の他の報告は、Adjei他、1990、Pharmaceutical Research、7:565〜569;Adjei他、1990、International Journal of Pharmaceutics、63:135〜144(酢酸ロイプロリド);Braquet他、1989、Journal of Cardiovascular Pharmacology、13(補遺5):143〜146(エンドセリン−1);Hubbard他、1989、Annals of Internal Medicine、第III巻、206〜212ページ(a1−アンチトリプシン);Smith他、1989、J.Clin.Invest.84:1145〜1146(a−1−プロテイナーゼ);Oswein他、1990、「Aerosolization of Proteins」、Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II、Keystone、Colorado、3月(組換えヒト成長ホルモン);Debs他、1988、J.Immunol.140:3482〜3488(インターフェロン−gおよび腫瘍壊死因子α)およびPlatz他、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を包含する。全身効果のための薬物の肺送達のための方法および組成物は、Wong他による1995年9月19日に出願された米国特許第5,451,569号に記載されている。
【0191】
本発明の実施において使用するために、ネブライザー、定量インヘイラー、および粉末インヘイラーを包含するがこれらに限定されない治療用製品の肺送達のために設計された広範囲な機械装置が企図されており、それらはすべて、当業者にはよく知られている。
【0192】
本発明の実施に適した市販の装置の一部の具体例は、Mallinckrodt,Inc.、St.Louis、Missouri製のウルトラベント(Ultravent)ネブライザー;Marquest Medical Products、Englewood、Colorado製のアコーン(Acorn)IIネブライザー;Glaxo Inc.、Research Triangle Park、North Carolina製のベントリン(Ventolin)定量インヘイラー;およびFisons Corp.、Bedford、Massachusetts製のスピンヘイラー(Spinhaler)粉末インヘイラーである。
【0193】
すべてのそのような装置は、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)の分注に適した製剤の使用を必要とする。典型的には、各製剤は、用いられる装置のタイプに特異的であり、治療に有用な通常の希釈剤、アジュバントおよび/または担体の他に、適切な噴射剤材料の使用を含むことがある。リポソーム、マイクロカプセルもしくはマイクロスフェア、包接錯体、または他のタイプのキャリアの使用も企図されている。化学修飾されたオリゴヌクレオチドも、化学修飾のタイプまたは用いられる装置のタイプに応じて様々な製剤中で調製することができる。
【0194】
ジェット式か超音波式のどちらかのネブライザーで使用するのに適している製剤は、典型的には、溶液1mL当たり生物学的に活性なオリゴヌクレオチド約0.1〜25mgの濃度で水に溶解されたオリゴヌクレオチド(または、誘導体)を含むであろう。製剤は、緩衝液および単糖(例えば、オリゴヌクレオチド安定化および浸透圧の調節のため)を包含することもある。ネブライザー製剤は、エアロゾルを形成する際に溶液の霧化により引き起こされるオリゴヌクレオチドの表面誘起凝集を軽減または予防するために、界面活性剤を含有することもある。
【0195】
定量インヘイラー装置で使用するための製剤は、一般的に、界面活性剤を用いて噴射剤中に懸濁されるオリゴヌクレオチド(または、誘導体)を含有する微粉化した粉末を含むであろう。噴射剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、またはトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタンを包含する炭化水素、またはそれらの組合せなどの、この目的で用いられる任意の従来の材料であってよい。適当な界面活性剤は、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンを包含する。オレイン酸も、界面活性剤として有用であることがある。
【0196】
粉末インヘイラー装置から分注するための製剤は、オリゴヌクレオチド(または、誘導体)を含有する微粉化した乾燥粉末を含み、装置からの粉末の分注を容易にする量、例えば、製剤の50〜90重量%でラクトース、ソルビトール、スクロース、またはマンニトールなどの増量剤を包含することもある。オリゴヌクレオチド(または、誘導体)は、遠位肺への最も効果的な送達のために、10mm未満(または、ミクロン)、最も好ましくは、0.5〜5mmの平均粒径を有する粒子形態で調製することが最も有利である。
【0197】
本発明の医薬組成物の鼻腔送達も企図されている。鼻腔送達は、肺における製品の沈着を必要とせずに、鼻に治療用製品を投与した直後に、血流への本発明の医薬組成物の通過を可能にする。鼻腔送達のための製剤は、デキストランまたはシクロデキストリンを含む製剤を包含する。
【0198】
鼻腔投与の場合、有用な装置は、定量噴霧器が接続されている小型の硬質ボトルである。一実施形態において、定量は、本発明の医薬組成物溶液を、規定体積のチャンバー(チャンバーは、チャンバー内の液体が圧縮された場合にスプレーを形成することにより、エアロゾル製剤をエアロゾル化するための寸法にされた開口部を有する)内に引き込むことにより送達される。チャンバーは、本発明の医薬組成物を投与するために圧縮される。具体的実施形態において、チャンバーは、ピストン配列である。そのような装置は、市販されている。
【0199】
あるいは、圧搾された場合にスプレーを形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するための寸法にされた開口部または開口を有するプラスチックの圧搾ボトルが使用される。開口は、普通、ボトルの頂部に見いだされ、頂部は、一般的に、エアロゾル製剤の効率的な投与のために、鼻道に部分的にフィットするように先を細くされている。鼻腔インヘイラーは、測定投与量の薬物を投与するために、一定量のエアロゾル製剤を提供することが好ましい。
【0200】
化合物は、それらを全身に送達することが望ましい場合、注射による、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与のために製剤化することができる。注射用製剤は、保存剤が添加された単位剤形で、例えば、アンプル剤またはマルチドーズ容器で提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤またはエマルジョン剤などの形態をとることができ、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有することがある。
【0201】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態で活性化合物の水溶液を包含する。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射懸濁剤として調製することができる。適当な親油性の溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを包含する。水性注射懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘度を高める物質を含有することがある。場合により、懸濁液は、適当な安定化剤、または高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を高める試剤を含有することもある。
【0202】
あるいは、活性化合物は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水で構成するための粉末形態であってよい。
【0203】
化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤または保留浣腸などの直腸または膣用組成物に製剤化することもできる。
【0204】
これまでに記載されている製剤の他に、化合物は、デポ調製物として製剤化することもできる。そのような長時間作用型製剤は、適当なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容できる油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性の誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤化することができる。
【0205】
医薬組成物は、適当な固相またはゲル相の担体または賦形剤を含むこともある。そのような担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマーを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0206】
適当な液状または固形医薬調製物形態は、例えば、マイクロカプセル化されている、渦巻形(encochleated)にされている、微視的金粒子上にコーティングされている、リポソーム、噴霧されるエアロゾル、皮膚に埋め込むためのペレットに含有されている、または皮膚内に掻き入れるための鋭い物体上に乾燥されている、吸入用の水溶液または食塩溶液である。医薬組成物は、それらの調製において、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、矯味剤、甘味料または可溶化剤などの賦形剤および添加剤および/または助剤が上記に記載されているように習慣的に使用される、顆粒剤、散剤、錠剤、コーティング錠剤、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、エマルジョン剤、懸濁剤、クリーム剤、点滴剤または活性化合物が遅延放出される調製物も包含する。医薬組成物は、様々な薬物送達システムで使用するのに適している。薬物送達のための方法についての短い総説については、参照により本明細書に組み込まれているLanger、Science 249:1527〜1533、1990を参照されたい。
【0207】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドならびに、場合により、他の治療薬および/または抗原は、そのまま(ニート)で、または薬学的に許容できる塩の形態で投与することができる。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に許容できるものでなければならないが、薬学的に許容できない塩を好都合に使用し、薬学的に許容できるそれらの塩を調製することができる。そのような塩は、以下の酸、すなわち、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸から調製される塩を包含するが、これらに限定されるものではない。カルボン酸基のナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類塩などの塩も調製することができる。
【0208】
適当な緩衝剤は、酢酸および塩(1〜2%w/v);クエン酸および塩(1〜3%w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%w/v);ならびにリン酸および塩(0.8〜2%w/v)を包含する。適当な保存剤は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)およびチメロサール(0.004〜0.02%w/v)を包含する。
【0209】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる担体に包含されていてもよい有効量のCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよび、場合により、抗原および/または他の治療薬を含有する。薬学的に許容できる担体という用語は、ヒトまたは他の脊椎動物へ投与するのに適している1種または複数の適合性の固形または液状の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。担体という用語は、適用を容易にするように活性成分と混ぜ合わせられる、天然または合成の有機または無機成分を示す。医薬組成物の構成成分は、望ましい薬学的効率を実質的に損なう可能性がある相互作用がないように、本発明の化合物と、またはお互いと、混ぜ合わせることができる。
【0210】
本発明は、さらに制限すると決して解釈すべきでない以下の実施例によりさらに例示される。本出願を通じて引用される参考文献(参考文献、発行済み特許、公開済み特許出願、および同時係属の特許出願を包含する)の全内容は、参照により明示的に本明細書に組み込まれるものとする。
【実施例】
【0211】
材料および方法
オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)および試薬
すべてのODNは、標準的なホスホルアミダイト化学反応プロトコルに従って合成し、Coley Pharmaceutical GmbHにより同一性および純度について制御し、Limulusアッセイ(BioWhittaker、Verviers、Belgium)により測定される検出不可能な内毒素レベル(<0.1EU/ml)を有していた。ODNを、無菌で内毒素を含まないTris−EDTA(Sigma、Deisenhofen、Germany)に懸濁し、微生物汚染と内毒素汚染の両方を予防するために無菌条件下で保存および操作した。すべての希釈は、内毒素を含まないTris−EDTAを用いて行った。
【0212】
TLR9アッセイ
HEK293細胞を、エレクトロポレーションにより、それぞれのヒトTLRおよび6xNF−κB−ルシフェラーゼレポータープラスミドを発現するベクターでトランスフェクトした。安定なトランスフェクタント(3×104細胞/ウェル)を、加湿したインキュベーター中で37℃にて16時間にわたって指示量のODNと共にインキュベートした。各データポイントは、3回ずつ行った。細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ遺伝子活性について(Perkin−Elmer、Zaventem、Belgium製のBriteLiteキットを用いて)アッセイした。刺激指数は、ODNを添加しない培地のレポーター遺伝子活性を参照して計算した。
【0213】
細胞精製
健康なヒトドナー由来の末梢血液バフィーコート調製物は、the Blood Bank of the University of Dusseldolf(Germany)から入手し、PBMCは、Ficoll−Hypaque(Sigma)上の遠心分離により精製した。細胞を、5%(v/v)加熱不活性化ヒトAB血清(BioWhittaker)、または10%(v/v)加熱不活性化FCS、2mM L−グルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(すべてSigma製)が補充されたRPMI1640培地中37℃にて、加湿したインキュベーター中で培養した。
【0214】
サイトカイン検出およびフローサイトメトリー分析
PBMCを、5×106細胞/mlの濃度で再懸濁し、96ウェル丸底プレート(250μl/ウェル)に加えた。PBMCを、ODNと共にインキュベートし、培養上清(SN)を、指定された時点後に集めた。すぐに使用しない場合、SNを、必要になるまで−20℃にて保存した。
【0215】
SN中のサイトカインの量は、市販の抗体(PBL、New Brunswick、NJ、USA)を用いて開発されたIFN−α用の社内ELISAを用い、またはLuminex多重システム(Luminex Corporation、12212 Technology Boulevard、Austin、Texas78727−6115)上で評価した。
【0216】
動物
雌性BALB/cマウス(6〜8週齢)を、Charles River Canada(Quebec、Canada)から購入し、Coley Pharmaceutical Group Canadaのthe Animal Care Facility内のマイクロアイソレーターに収容した。すべての研究は、the Canadian Council on Animal Careの指針の下にthe Animal Care Committee of Coley Canadaに準拠して行った。すべての動物は、CpG ODNに対してナイーブであった。
【0217】
SA1N腫瘍モデル:雌性A/Jマウス(1群当たり10匹)に、0日目に5×105個のSaI/N腫瘍細胞を皮下注射した。マウスを、腫瘍誘導後8日目に開始し、週に1回、皮下で与えるODN100μgまたはPBS単独で処置した。動物を、生存および腫瘍体積についてモニターした。腫瘍サイズ(長さおよび幅)を、デジタルノギスを用いて測定した。腫瘍体積を、式:腫瘍体積=(0.4)(ab2)(ここで、aは、長径であり、bは、短径である)を用いることにより計算した。
【0218】
In vitroアッセイ
ナイーブなBALB/cマウス脾細胞(3〜5匹の動物のプールから)を、in vitroアッセイに使用した。動物をイソフルランで麻酔し、頸椎脱臼により安楽死させた。脾臓を無菌条件下で摘出し、PBS+0.2%ウシ血清アルブミン(Sigme Chemical Company)に入れた。次いで、脾臓をホモジナイズし、脾細胞を、2%正常マウス血清(Cedarlane Laboratories、Ontario、Canada)、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ、最終濃度1000U/mlおよび1mg/ml;Sigma Chemical Company)、および5×10−5M b−メルカプトエタノール(Sigma Chemical Company)が補充されたRPMI1640(Life Technologies、Grand Island、NY)組織培養培地に再懸濁した。
【0219】
B細胞増殖アッセイ
カボキシ(Caboxy)−フロレセイン(florescein)ジアセテート、スクシミジル(succimidyl)エステル(CFSE)(Invitrogen、Eugene、Oregon、USA)染色BALB/cマウス脾細胞(4×105/ウェル)を、5日にわたって37℃にて加湿した5%CO2インキュベーター中で様々な濃度のODNと共にインキュベートした。次いで、細胞を、CD19用のPE結合抗CD19抗体(BD Pharmingen、San Diego、CA、USA)で染色し、FACSと、続いて、ModFit Software V3.0(Verity Software House Inc.、Topsham、ME、USA)による分析によりB細胞増殖を決定した。
【0220】
(実施例1)
CpGモチーフにおける構造活性相関の検討
非メチル化CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドが、トール様受容体9(TLR9)経路を介して免疫応答を刺激することができることは知られている。TLR9経路を刺激する最高の能力を有するオリゴヌクレオチドを同定するために、CpGモチーフにおける包括的構造活性相関(SAR)研究を行った。結果は、ヒポキサンチンおよび6−チオグアニンによるグアニンの置換が、hTLR9アッセイにおいて類似の活性につながるが、プリン、2−アミノプリン、2,6−ジアミノプリン、8−オキソ−7,8−ジヒドログアニンおよび7−デアザグアニン置換は、hTLR9刺激において40〜80%の低下をもたらすことを示した。さらに、C5およびN4における修飾は、hTLR9経路の刺激をもたらさなかった。これらの知見から、グアニンは、フーグスティーン部位を介して認識され、一方、シトシンは、C,H−エッジにおいてTLR9受容体と結合するSARモデルが得られた(図1aを参照)。したがって、グアニンのフーグスティーン認識部位ならびにシトシンのC,H−エッジにおける無修飾は、hTLR9活性の有意な喪失なしに可能であった。ジヌクレオチドモチーフにおいて検討した塩基修飾のどれも、非修飾CpGモチーフよりも活性であった。
【0221】
(実施例2)
CpGモチーフに近い疎水性チミン塩基形類似体の効果
CpGモチーフに隣接するdT残基の影響を検討するために、2,4−ジフルオロトルエン(FF)(配列番号3〜9)、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)および5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)などのいくつかの疎水性チミン塩基形類似体をCpGモチーフの外側に組み入れた(表1および図2〜3を参照)。驚いたことに、すべての試験した疎水性チミン類似体の組入れは、hTLR9活性の異常に強い増加につながったが、ウラシル残基(メチル基を欠くチミン、図4)による置換は、hTLR9刺激の強い減少につながった。TLR9刺激の増加は、修飾がCpGモチーフの5’側にある場合に顕著であった。CpGモチーフの5’および3’の5−ヨードウラシル(JU)による二重置換は、試験したもののうちで最も強力な刺激をもたらした。対照的に、CpGモチーフにおける2,4−ジフルオロトルエンによるグアニンおよびシトシンの置換は、両方の場合に、TLR9刺激指数の強い減少につながった。
【0222】
疎水性T類似体の組入れも、ヒトPBMCにおけるIFN−α誘導の強い増強をもたらした。予想外に、5−ブロモウリジンおよび5−ヨードウリジンによる、IFN−αを誘導するのに実質的に不活性であるODN(配列番号1)の修飾は、特に、TLR9刺激およびIFN−α誘導の増加をもたらした。これらの修飾を含有しないCpG ODNについてはTLR9とIFN−α誘導の間に逆相関が通常存在する。
【0223】
【表1】
【0224】
(実施例3)
親油性塩基形置換基によるTLR9の活性化
CpGモチーフの5’側にある塩基の様々なタイプの親油性置換が、hTLR9の刺激の有意な増加を引き起こしたことから、5−クロロ−ウラシル、5−トリフルオロメチル−ウラシル、フェニル、アリールおよび置換アリール残基などの他の塩基類似体を、hTLR9を刺激するそれらの能力について検討した(表3)。様々な親油性塩基類似体で修飾されたBクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、BクラスODN配列番号1を、5−クロロ−2’−デオキシウリジン(CU)、5−ブロモ−2’−デオキシウリジン(BU)、5−ヨード−2’−デオキシウリジン(JU)および5−エチル−2’−デオキシウリジン(EU)で修飾した。hTLR9−NFkB−293細胞を16時間にわたって指示されたODN(図5a)と共にインキュベートした。次いで、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を決定した。CU修飾(配列番号41)、BU修飾(配列番号10)JU修飾(配列番号13)およびEU修飾(配列番号42)オリゴヌクレオチドはすべて、対照(配列番号1)よりも高いTLR9活性の刺激を示した。ウリジン修飾を有する配列番号16は、劇的に減少した活性を示した。第二の実験では、IFN−α産生を測定した(図5b)。ヒトPBMCを、24時間にわたって指示されたように修飾ODNと共にインキュベートした後、上清をELISAにより試験した。JU修飾、BU修飾、およびEU修飾ODNは、対照に対して最も高いIFN−αの増加をもたらした。これらのデータは、BクラスODN上のdUの5’置換が、TLR9活性およびIFN−α産生を増加させることを証明している。
【0225】
TLR9活性化に対するEU修飾の効果をさらに検討するために、CpGの5’(配列番号42)、CpGの3’(配列番号29)、ならびにCpGの5’および3’(配列番号30)にEU修飾を有する修飾オリゴヌクレオチドについて実験を繰り返した。配列番号42および30は、非修飾配列番号1および非修飾BクラスODN配列番号37を上回るTLR9活性化の有意な増加を示した(図6)。
【0226】
【表2】
【0227】
(実施例4)
A、B、C、P、およびTクラスのオリゴヌクレオチド上の親油性置換
ODNの様々なクラスに対する親油性塩基類似体置換の効果を検討するために、Aクラス、Bクラス、Cクラス、Pクラス、およびTクラスオリゴヌクレオチドに修飾を行った。これらのオリゴヌクレオチドの一部の実施例を表3に示す。
【0228】
【表3】
【0229】
修飾BクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号37の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Bクラス誘導体を、TLR9を活性化するそれらの能力についてルシフェラーゼアッセイにおいて評価した(材料および方法を参照)。すべての修飾Bクラスオリゴヌクレオチドは、非修飾配列番号37を上回るTLR9活性化の有意な増加を示した(図7)。
【0230】
修飾AクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号43の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Aクラス誘導体を、図5におけるようにルシフェラーゼアッセイ(図8a)およびPBMCアッセイ(図8b)においてTLR9を活性化するそれらの能力について試験した。TLR9刺激の増加は、修飾がCpGモチーフの5’側にある場合に顕著であったが、CpGモチーフの5’および3’の5−ヨードウラシル(JU)による二重置換は、最も強力な刺激をもたらした。
【0231】
修飾CクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号46、配列番号44および45の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Cクラス誘導体を、TLR9を活性化するそれらの能力について試験した。Aクラス配列配列番号43(非修飾)ならびに配列番号35および36を同時に試験した。図9に示すように、修飾ODN配列番号35、36、44、および45はすべて、ルシフェラーゼアッセイにおいて非修飾AおよびCクラスを越えるTLR9刺激の増加を示した。修飾PクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、配列番号46の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Pクラス誘導体を、ルシフェラーゼアッセイにおいてTLR9を活性化するそれらの能力について試験した。図10に示すように、修飾ODN配列番号31〜33は、非修飾ODNを上回るTLR9刺激の増加を示した。
【0232】
修飾TクラスオリゴヌクレオチドによるヒトTLR9の活性化を検討するために、非修飾TクラスODN配列番号52の5−ヨード−2’−デオキシウリジン修飾Tクラス誘導体を、TLR9を活性化するそれらの能力について試験した。図11に示すように、修飾ODN配列番号47〜50は、ルシフェラーゼアッセイにおいて非修飾TクラスODNを上回るTLR9刺激の増加を示した。ウリジン誘導体配列番号51は、TLR9刺激の低下を示した。
【0233】
上記の実施例が証明するように、CpGモチーフの5’側での親油性T類似体の置換は、試験したすべてのクラスにおいてTLR9活性化の強い増加をもたらし、IFN−α産生を誘導する能力の増加をもたらした。
【0234】
(実施例5)
短い修飾オリゴヌクレオチドによるTLR9の刺激
長さが20ヌクレオチドの修飾CpG ODNが、TLR9活性化について普通でない親和性を示したため、極めて短いCpG ODNを、TLR9を活性化するそれの能力について検討した。極めて短いオリゴヌクレオチドは、細胞による取り込みやすさの増加ならびにDOTAPを使用しない潜在的可能なより簡単な製剤化のために、治療で使用するより長いオリゴヌクレオチドよりも有利であると思われる。3種の短いCpG ODN(ショートマー)すなわち、六量体CpGモチーフ六量体(配列番号38)、六量体の5’JU修飾(配列番号39)、および六量体の5’3’JU修飾(配列番号40)を検討した(表3)(表4)。ショートマーの活性を、ルシフェラーゼアッセイにおいて非修飾Bクラスオリゴヌクレオチド配列番号37と比較した。図12に示すように、配列番号40については特に、修飾ショートマーの使用は、改善された免疫療法医薬品としての高い可能性を示している。
【0235】
【表4】
【0236】
(実施例6)
修飾オリゴヌクレオチドによるin vivoでのTLR9経路の活性化
in vivoでの本発明の修飾ODNの有効性を決定するために、親油性T類似体を有するODNを、単離マウス脾細胞において試験した。BALB/cマウス脾細胞を単離し、修飾Bクラス(配列番号13)、非修飾Bクラス(配列番号37)、および非CpG ODN(配列番号26)と共にインキュベートした(表5)。培養上清を、6時間目(TNF−α)または24時間目(IL−6、IL−10、IL−12)に集め、サイトカイン濃度をELISAにより測定した。図13に示すように、修飾配列番号13とのインキュベーションは、試験したすべてのサイトカインの劇的に増加したレベルをもたらした。
【0237】
次いで、ODNを、脾細胞におけるB細胞増殖を誘導するそれらの能力について試験した。CFSE染色BALB/cマウス脾細胞(4×105/ウェル)を、指示されたODN0.001、0.01、0.1、0.3、1、3または10μg/mlと共にインキュベートした(図14)。インキュベーション後72時間目に、細胞を、細胞表面マーカーCD19について染色し、B細胞増殖を、FACSと、続いて、ModFit Softwareによる分析により決定した。図14に示すように、修飾配列番号13とのインキュベーションは、B細胞増殖の顕著な増加をもたらした。増加は、より低いODN濃度であっても最も顕著であった。
【0238】
in vivoでの修飾ODNの効果を測定するために、BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、総体積100μl中の配列番号13 10、50もしくは100μgまたは配列番号37 100μgを皮下(SC)注射した。対照群は、PBS100μlのみを受けた。動物を、注射の1時間後(TNF−α)または注射の3時間後(IP−10)に心臓穿刺により放血させた。血漿サンプルを、ELISAによりTNF−α(図15a)およびIP−10(図15b)についてアッセイした。修飾配列番号13のBALB/cマウスの注射は、非修飾配列番号37よりも高いTNF−αおよびIP−10産生をもたらし、本発明の親油性塩基形置換ODNが、非修飾免疫刺激性ODNよりも高いin vivoでの免疫刺激をもたらすことを証明している。
【0239】
【表5】
【0240】
(実施例7)
追加修飾を有するオリゴヌクレオチド
親油性塩基類似体を有するODNを、ルシフェラーゼアッセイにおいてTLR9媒介性NF−κB活性を誘導するそれらの能力について試験した(材料および方法を参照)。図16〜23は、追加修飾を有するODNの活性を示している(表6を参照)。
【0241】
他の塩基類似体の活性を試験するために、6−ニトロ−ベンズイミダゾール(6NB)修飾ODN配列番号178および非修飾親配列配列番号1の活性を比較した。図12に示すように、配列番号178は、非修飾親配列に匹敵する程度までTLR9媒介性NF−κBを活性することができた。次に、5−(2−ブロモビニル)−ウリジン修飾ODN(配列番号153〜154)の活性を、非修飾親配列配列番号1の活性と比較した。図17に示すように、両方の修飾ODNは、このアッセイにおいて、親配列よりも活性であった。次に、親配列(配列番号1)のチミジンの代わりに5−プロイニル−dUを有する2種のBクラスODN(配列番号116および117)の活性。図21に示すように、両方の修飾ODNは、親配列の活性に匹敵する活性を有していた。修飾がCGジヌクレオチドの5’側にある配列番号116の活性は、親配列よりもわずかに改善された。
【0242】
JU修飾ODNに対する第二のタイプの修飾の効果を試験するために、2’O−メチルグアノシンをJU修飾ODNに組み入れた。2’O−メチルグアノシン/JU ODN配列番号111〜113の活性を、親配列番号1およびJUのみ修飾配列番号13の活性と比較した。図18に示すように、すべてのJU修飾ODNは、親ODNよりも活性であった。CGジヌクレオチドの3’に2’O−メチルグアノシン修飾を有するODN(配列番号112〜113)は、CGジヌクレオチドの5’に2’O−メチルグアノシン修飾を有するODN(配列番号111)またはJU単独で修飾されたODN(配列番号13)よりもわずかに活性であった。
【0243】
次に、JU修飾分岐ODN(配列番号96、97、101、および102)の活性を、配列番号1の活性と比較した。図19に示すように、2つの接近可能な5’末端を有する分岐ODNはすべて、このアッセイにおいて非修飾配列番号1と同程度かより活性であった。トリエチレングリコールホスフェートスペーサーを有する配列番号101および102は、3’−O−メチル−Gスペーサーを有する配列番号96および97よりも活性であった。
【0244】
次に、短い非修飾BクラスODN(配列番号38)および親油性置換ヌクレオチド類似体および親油性3’タグを有する同一配列のODN(配列番号126)の活性を比較した。両者は、DOTAPと共に、およびDOTAPなしに製剤化した。図20に示すように、JU修飾および親油性タグの追加は、DOTAPの添加のように、ODNの活性を大きく増強した。
【0245】
次に、親油性置換ヌクレオチド類似体の他に第二のヌクレオチド類似体を有するBクラスODN(配列番号138、7−デアザ−dG;配列番号139、イノシン;配列番号140、5−メチル−dC)の活性を、親配列(配列番号1)および親油性置換ヌクレオチド類似体のみを有する同一配列(配列番号13)の活性と比較した。図22に示すように、すべての修飾ODNは、親ODNよりもこのアッセイにおいて活性であった。
【0246】
次に、親油性置換ヌクレオチド類似体を有するTクラスODN(配列番号132〜134)の活性を、免疫刺激性であることが知られているCクラスODN(配列番号198)の活性と比較した。図23に示すように、すべての修飾ODNは、非修飾CクラスODNよりもこのアッセイにおいてかなり高い活性を示した。
【0247】
【表6】
【0248】
(実施例8)
修飾Pクラスオリゴヌクレオチドの活性
親油性塩基類似体を有するPクラスODNを、ルシフェラーゼアッセイにより測定されるようなTLR9を介するNF−kB経路を活性化する能力について試験した。親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜61)の活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。図24に示すように、すべての修飾PクラスODNは、対照に比較して増加したTLR9刺激を示した。図24aは、JU修飾PクラスODNを示し、24bは、EU修飾PクラスODNを示している。
【0249】
次に、修飾PクラスODN(配列番号64(EU修飾)、66〜67(JU修飾))の活性を、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)の活性と比較した。図25に示すように、すべての修飾ODNは、非修飾PクラスODNよりも高度なTLR9刺激を示した。CGジヌクレオチド中にホスホジエステル結合を有する配列番号66は、完全なホスホロチオエート配列番号67と比較して低下した活性を示した。
【0250】
次に、修飾PクラスODNを、IFN−αの発現を誘導するそれらの能力について試験した。親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号58〜61)の活性を、ELISAアッセイにより測定して、Bクラス陽性対照(配列番号55)および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。図26に示すように、すべての修飾PクラスODNは、IFN−α誘導の増加を示した。図26aは、JU修飾PクラスODNを示し、26bは、EU修飾PクラスODNを示している。
【0251】
次に、修飾PクラスODN(EU修飾)、66〜67(JU修飾)を、ELISAアッセイにより測定されるようなIFN−αを誘導する能力について、Bクラス陽性対照(配列番号55)、CクラスODN(配列番号68)および非修飾PクラスODN(配列番号57)のそれと比較した。図27に示すように、修飾PクラスODNは、IFN−αを誘導する増強された能力を示した。図24におけるように、配列番号66は、配列番号67と比較して低下した活性を示した。
【0252】
次に、修飾PクラスODNを、ヒトPBMCにおいてIL−6を誘導する能力について試験した。3名のドナー由来のPBMCを、24時間にわたって指示された濃度のODNと共にインキュベートし、続いて、上清を、IL−6についてルミネックス(luminex)25−plexにより分析した。修飾PクラスODN(配列番号58、60〜62、図28a)(配列番号64および67、図28b)の活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、および非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、および非修飾PクラスODN(配列番号56)の活性と比較した。JU修飾ODN(配列番号58、60〜61および67)は、EU修飾ODN(配列番号62および64)よりもわずかに高いIL−6の活性化を示した。すべての修飾ODNは、非修飾ODNと比較して増加した活性を示した。
【0253】
次に、修飾PクラスクラスODN(配列番号58、60〜62、図29a)(配列番号64および67、図29b)の活性を、非修飾BクラスODN(配列番号55)、非修飾CクラスODN(配列番号54)、陰性対照ODN(配列番号53)、非修飾PクラスODN(配列番号56)、LPS、R−848、SEB、およびポリ[I]:[C]ODNの活性と比較した。3名のドナー由来のCFSE標識PBMCを、5日にわたってODNと共にインキュベートし、次いで、CD19抗体で染色した。CFSE染色が減少したB細胞の割合を決定した。BクラスODNによる処理は、分裂後のB細胞の最も高い割合をもたらした。JU修飾ODNによる処理は、EU修飾ODNよりも高いB細胞の割合をもたらした。
【0254】
in vivoでの修飾PクラスODNの効果を決定するために、BALB/cマウス(1群当たり5匹)に、様々な投与量のODNを皮下注射した。動物を、注射の3時間後に放血させ、血漿を、ELISAによりIFN−αについて試験した。修飾PクラスODN(配列番号58、60〜62、64および67)の活性を、Bクラス陰性対照(配列番号55)および陰性対照(配列番号26)の活性と比較した。図30に示すように、JU修飾ODN配列番号58、60、および61による処置は、EU修飾ODN配列番号64よりもわずかに高いIFN−α誘導をもたらした。BクラスODN配列番号55は、予想通り、マウスIFN−αをかなり減少させなかった。
【0255】
次に、修飾PクラスODNを、マウスSA1N腫瘍モデルにおける腫瘍体積を減少させるそれらの能力について試験した。雌性A/Jマウス(1群当たり10匹)に、0日目に5×105個のSaI/N腫瘍細胞を皮下注射した。マウスを、親油性置換ヌクレオチド類似体を有するPクラスODN(配列番号60、64および67)、非修飾CクラスODN、非修飾BクラスODN(配列番号55)またはPBS単独、35μg(図31a)または100μg(図31b)で処置した。ODNは、腫瘍誘導後8日目に開始し、週に1回、皮下で与えた。動物を、生存および腫瘍体積についてモニターした。図31aに示すように、修飾PクラスODNによる低用量処置は、腫瘍体積に最も大きな減少を示し、これらのODNが、癌を治療するのに有用であることを示唆した。31bにおけるより高い用量において、すべての修飾PクラスODNおよびCクラスODNは、腫瘍体積を低減するのに有効であった。
【0256】
【表7】
【0257】
例示的修飾ODNの要約を表8に提供する。
【0258】
【表8−1】
【0259】
【表8−2】
【0260】
【表8−3】
【0261】
【表8−4】
【0262】
【表8−5】
【0263】
【表9】
【0264】
均等物
以上に記載された明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能にするのに十分であると見なされる。本発明が、提供される実施例により範囲を限定されないのは、実施例が、本発明の一態様の単なる例示として意図されており、他の機能的に均等な実施形態が、本発明の範囲内にあるためである。本明細書に示されかつ記載されているものの他に、本発明の様々な改変形態は、上記の説明から当業者に明らかになると思われ、添付の特許請求の範囲内に含まれる。本発明の利点および目的は、必ずしも本発明の各実施形態により包含されるわけではない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12−1】
【図12−2】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2010−504750(P2010−504750A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529800(P2009−529800)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004389
【国際公開番号】WO2008/068638
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508092912)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004389
【国際公開番号】WO2008/068638
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508092912)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】
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