説明

増強マルチプレックスFISH

本発明の主題は、標的核酸配列とハイブリダイズできる核酸分子の組み合わせである。FISHアッセイの再現性の問題を克服し、アッセイ時間を減少させるために、ヘアピンプローブを、ヘアピンプローブの標的部位に隣接してアニールするヘルパープローブと組み合わせて用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光in−situハイブリダイゼーションのための多重ヘアピンループの使用と、アッセイの再現性、特異性及び速度の増強とに関する。本発明の第1の態様は、標的核酸配列とハイブリダイズできる核酸分子の組み合わせであって、(a)ヘアピンループを形成できる配列(例えば分子ビーコン)を含む少なくとも1つの核酸と、(b)ヘルパー核酸である第2核酸分子、第3核酸分子及び場合によって少なくとも1つのさらなる核酸分子とを含む組み合わせである。
【背景技術】
【0002】
臨床試料中の病原性生物の迅速な同定は、死亡率、罹患率及び感染性疾患の治療の費用を低減するために、ますます重要性が増している。DNA−ビーコン技術をin−situハイブリダイゼーションの用途に用いること(1)における進展により、FISH技術は、PCR系及びマイクロアレイ技術と速度の点で競争すること及び費用効率の点で勝ることが可能である。本発明の目的は、FISHが経験している再現性の問題を解決し、さらにアッセイ時間の速度をさらに増加することであった。
【0003】
アッセイの速度を増加するために、アッセイの動力学を分析する必要がある(2)。PCRアッセイにおいて、ハイブリダイゼーションに関与する全ての成分は、均質な溶液中にあり、2次速度論に従う。マイクロアレイは、捕捉オリゴヌクレオチドが固相に固定され、分析物が溶液中にあるので擬1次速度に従う(3)。FISHでは、それぞれの役割が交換されているが(すなわち、分析物が固相に固定され、オリゴヌクレオチドが溶液中にある)、構成は速度論の観点から類似している。プローブが固相に結合している場合に測定される速度定数は、溶液中で測定されるものよりも3桁ほど大きさが低かった(3)。よって、in−situハイブリダイゼーション速度論を均質な溶液中のものと同じ次数の大きさにできるとは期待できない。
【0004】
先行技術(state of the art)のハイブリダイゼーションアッセイの速度論的特性は、次のようにまとめることができる。
【0005】

【0006】
PCRの固有の問題は、それが阻害剤に感受性であり、影響を受けやすいことである。臨床試料についてのPCRでは、DNA/RNAは、ポリメラーゼ阻害成分を頻繁に有する非常に粗製で過剰に変動性のマトリクスから抽出される。そのような阻害剤は、望ましくない偽陰性の結果を生じることがある。FISHは、シグナルを発するために酵素を必要とせず、よってそのような限定の下にない。
【0007】
マイクロアレイ技術は、既知の配列を固相支持体に固定することを含む。リボソームRNAに対するハイブリダイゼーションのために用いる場合、マイクロアレイ技術は、2次及び3次構造を示す大きいRNA分子内の標的配列への近づきやすさの問題に取り組まなければならない。Fuchsらは、16S及び23S rRNAの両方における領域が、様々な程度の近づきやすさを有することを丹念に示した(4、5)。これは、容易に近づくことができる部位(FuchsスコアI)から全く近づくことができない部位(FuchsスコアVI)にまで及び得る。領域に近づくことができないことは、種特異性のために選択できる部位を限定する。同じく、近づくことができない領域は、最大の変異性を示し、種特異的プローブのために最も望ましい標的である。さらに、それが部分的であっても近づくことができない配列を用いようとする試みは、アッセイにおける非常に望ましくない変動要因としてハイブリダイゼーション結果に揺らぎを導入する。
【0008】
FISHプローブもインタクトなリボソームの複雑な構造に対してハイブリダイズしなければならないので、同じ困難を有する。さらに、直鎖状プローブを、近づくことができる部位とハイブリダイズさせることも、蛍光体とタンパク質/RNA複合体との相互作用により消光を引き起こすことがある。このような場合、生物の総数の1%〜20%の間の様々な量だけが蛍光を示す。この変動要因を有する結果の解釈は、広範な知見及び読み取りの経験を必要とする。試料調製及び温度の揺らぎのようなその他の実験的変動要因により、FISHは、偽陰性の結果を生じる傾向を有する。信頼できる結果を得るために、丹念な制御を組み込まなければならない。プローブが特異的配列に近づくことを2次構造が阻害しないように、プローブ設計において注意しなければならない。ほとんどの種特異的配列は、近づきやすさが乏しい変動性の領域にあるので、このことは難題である(6)。さらに、ハイブリダイゼーション及び洗浄中の温度が精密に制御されないならば、ハイブリダイゼーションは起こらず、偽陰性が生じることがある。FISHアッセイの使用における初期の情熱は、不安定な性能によりすぐに失望に置き換わった。
【0009】
FISHは、
(a)自己蛍光の不適当な読み取りにより、
(b)試料を起源とする粒子状物質の不適当な読み取りにより、
偽陽性の結果を生じることがあり、
(c)直鎖状プローブを用いる場合、不適当な洗浄が偽陽性の最も頻度が高い源であり、
(d)不適当なプローブ設計により、密接に関連する生物との交差反応性が生じることがある(7)。
【0010】
増幅アッセイの絶対的分析感度により、アッセイは、試料採取中又は実験室においてDNA/RNA混入の影響を受けやすくなる(これは次いで、偽陽性の結果を生じる)。偽陽性は、複雑な閉鎖系を用いることにより低減されることがある。
【0011】
FISH技術が競合するために、FISH技術の手順及びハイブリダイゼーション条件は、アッセイの取り扱い、速度論及びハイブリダイゼーション手順に関して能率化される必要がある。感度及び特異性、並びにエネルギー転移の速度及びハイブリダイゼーション速度論を確実にし、よってFISHにおける問題を排除し、性能を著しく増強するための解決策を見つけなければならない。
【0012】
Fuchsらは、懸濁大腸菌(E.coli)細胞の16S RNAにおいて、少なくとも90分間の標準的ハイブリダイゼーション時間を用いて、弱い4〜7%から最適シグナルである75%までのシグナルの増加としてヘルパーオリゴヌクレオチドの使用を示した(6)。蛍光を発する大腸菌細胞は、フローサイトメトリーにより検出された。Fuchsらの教示は、ヘルパーオリゴヌクレオチドが、2次及び3次構造の付近におかれた場合にシグナルを増加できることであり、多重隣接ヘルパーオリゴヌクレオチドの協同の作用により、rRNA上の全ての部位がFISHのために開放されることを示唆する。しかし、これらの教示は、変動する結果を生じる使用と一致しない。いくつかの場合では、4つの隣接ヘルパーが、2つのヘルパーのシグナルに関してシグナルを低減した。
【0013】
Fuchs(6)は、様々なヘルパーの異なる効率について記載し、プローブに隣接するヘルパーがこの領域において最も効率が高かったことを見出した。これらのデータに基づくと、ヘルパーについての最適な位置が、rRNA内の標的の配列及び位置におけるそれぞれの違いによって生物ごとに変動することが期待される。
【0014】
シグナル限定因子は、生物に存在するリボソームの数である。シグナル限定因子は、次いで、生物がストレス条件に対してどのように反応するかに依存する。ストレス条件下では、リボソームの数が下方制御され、完全な4+から非常に弱いシグナルにFISHのシグナル強度を変化させることが当該技術において公知である(7)。
【0015】
米国特許第5,030,557号は、単離リボソームRNAを標的として使用する、溶液中で行われたハイブリダイゼーション実験について記載している(8)。ヘルパーオリゴヌクレオチドは、リボソームRNAへの標識オリゴヌクレオチドの結合を増強するために用いられる。しかし、このことは、増強シグナルを達成するために1晩のインキュベーションを必要とした。さらに、米国特許第5,030,557号は、改善を達成するために50〜200倍高い各ヘルパーの濃度を要求する(8)。さらなるヘルパーを加えることにより、シグナルが20%増加し、第3のヘルパーをさらに加えることにより、シグナルはさらに7%だけ増加した。米国特許第5,030,557号のデータを図1にまとめる。
【0016】
まとめとして、ハイブリダイゼーションによる病原性微生物の迅速同定は、以下の短所により妨げられる。
マイクロアレイ法は、長いインキュベーション時間を必要とすることがわかっている。
PCR法は、マイクロアレイ法より速い。PCRは、粗製試料に曝露された場合に阻害されることがあるポリメラーゼを必要とする。よって、臨床試料はPCRの前に精製されるべきである。
FISHのようなin−situ法は、同定しようとする細胞における標的配列への近づきやすさにより妨げられることがある。一様なハイブリダイゼーション条件は存在しない。むしろ、in−situ法は、それぞれの新しい標的配列又は/及び生物におけるハイブリダイゼーション条件の適合を必要とする。in−situ法の実験条件は、偽陰性又は偽陽性の結果を回避するために非常に注意深く制御されなければならない。さらに、in−situ法は、長いインキュベーション時間を必要とする。
【発明の概要】
【0017】
本発明では、100%の完全シグナルが、rRNA内の位置及び選択した生物に関係なく、表面に固定された細胞に対するFISHアッセイにおいて、分子ビーコンと少なくとも2つのヘルパーオリゴヌクレオチドとの組み合わせにより8分間で達成できることが驚くべきことに見出された。本発明で計画されるようにヘルパーをビーコンと一緒に用いることが、全ての生物の再現可能で均質な染色を完全シグナル強度とともに生じることは、さらに驚くべきことであった。
【0018】
ビーコン−ヘルパーアレイの上記の厳密な設計及びアッセイ条件が、FISH手順が遭遇していた問題点を除去したことは、驚くべきことであった。
【0019】
本発明の目的は、in−situハイブリダイゼーションのためのヘルパー配列と分子ビーコンとの組み合わせについての普遍的な規則を見出し、FISHにおけるハイブリダイゼーション速度論を今まで制限してきた熱力学的制限及び熱移動を克服することである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】米国特許第5,030,557号(「従来のプローブ」)に由来するハイブリダイゼーションデータと本発明のハイブリダイゼーションデータとの比較。米国特許第5,030,557号の表I、IIa、IIb及びIIcのデータを平均化している。(1)米国特許第5,030,557号によるプローブ単独。(2)米国特許第5,030,557号によるプローブと1つのヘルパー。(3)米国特許第5,030,557号によるプローブと2つのヘルパー。(4)米国特許第5,030,557号によるプローブと3つのヘルパー。(5)本発明によるプローブ(分子ビーコン)と4つのヘルパー核酸。「12分」及び「1晩」は、ハイブリダイゼーション期間を示す。「1晩の%改善」は、12分間のハイブリダイゼーションと比較した、1晩インキュベーションのハイブリダイゼーションによる%改善を示す。「%ハイブリダイゼーション」は、ハイブリダイゼーションプローブが占める試料中のハイブリダイゼーション部位のパーセンテージを示す。
【図2】ハイブリダイゼーションの速度論。(1)ヘルパーを有する大腸菌分子ビーコン、(2)ヘルパーを有さない大腸菌、(3)ヘルパーを有するB−Straga−3分子ビーコン(表4を参照されたい)、(4)ヘルパーを有さないB−Straga−3。蛍光は、相対的単位で示す。
【図3】分子ビーコン及び4つのヘルパーオリゴヌクレオチドとrRNA配列とのアラインメントを示すスキーム。
【図4】表1は、本発明のビーコン配列を示す。略語:R&G:Cy3若しくはFITC又はそれらの誘導体のような赤色又は/及び緑色蛍光色素をビーコンに結合させてもよい。
【図5】表2は、PNAビーコンが、本発明において適切でないことを示す。計算は、ビーコンがPNAビーコンであると仮定して、表1の配列を用いて行った。DNAビーコンとは対象的に、以下の5つの基準の全てが充足されなければならない:GC含量<60%、<3塩基の自己相補性、連続で4つのプリン、最大で18の長さ、逆配列回文又は反復又はヘアピン。表2における「有」(「無」)は、基準が充足される(充足されない)ことを示す。「最終」の列は、PNAビーコンが本発明に適切である(「有」)か又はそうでない(「無」)ことを示す。最終における「いいえ」は、5つの基準のうちの1つが満たされないことを示す。「有」は、全ての基準が満たされることを示す。表2の全ての配列は、「無」と判断される。よって、表1の配列はいずれも、PNAビーコンにおいて適切でない。
【図6】表3:表1と同一の条件下で働き、非常に類似した物理化学的条件を有するビーコンプローブのリスト。
【図7】表4:ヘアピンループとヘルパー核酸との個別の組み合わせであって、ビーコン及びヘルパー配列の同族配列が、微生物(「標的生物」)の標的配列上に局在している組み合わせ。ヘアピンループ配列において、同族配列に相補的な配列に下線を付す。「rRNA」は、当てはまるならば、16S又は23S rRNAにおける標的配列の局在のことをいう。「大腸菌とのアラインメント」は、それぞれ大腸菌16S又は23S RNAにおける対応する配列の位置のことをいう。「Fuchsスコア」は、Fuchsら(4)において定義されるスコア(明度のクラス)のことをいう。「キットにおける活性ビーコン」の列は、組み合わせの好ましい群を示す。組み合わせの好ましい群は、グラム陰性生物の血液培養(BC)中の生物、グラム陽性生物の血液培養中の生物、肺炎を引き起こす生物、嚢胞性線維症と関連する生物、及び糞便で見出される生物を同定するために適切な組み合わせの群のことをいう。これらの「診断群」のメンバーは、各列において「1」で示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の態様は、標的核酸配列とハイブリダイズできる核酸分子の組み合わせであって、組み合わせが、
(a)
(i)標的配列とハイブリダイズできる配列と、
(ii)ステムを形成できる2つの相補配列と、
(iii)発光基及び消光基と
を含む少なくとも1つの第1核酸分子であり、核酸がステム−ループ構造を形成すると消光基が蛍光基を消光し、オリゴヌクレオチドが標的配列とハイブリダイズすると蛍光基が励起により発光シグナルを発することができる、少なくとも1つの第1核酸分子と、
(b)第2核酸分子、第3核酸分子及び場合によって少なくとも1つのさらなる核酸分子と
を含み、第2核酸分子、第3核酸分子及び場合による少なくとも1つのさらなる核酸分子が、少なくとも1つの第1核酸がハイブリダイズする配列の5’側又は/及び3’側に位置する配列にて標的配列とハイブリダイズする組み合わせである。
【0022】
標的核酸配列とハイブリッドを形成でき、標的配列とハイブリッドが形成されないときはステム−ループ構造を形成できる本発明の少なくとも1つの第1核酸は、本明細書において、「ビーコン」、「分子ビーコン」、「ヘアピン」又は「ヘアピンループ」ともいい、「開放」形(ステムが形成されない)及び「閉鎖」形(ステムが形成される)が含まれる。開放形は、標的配列とハイブリッドを形成しないビーコン及び標的配列とハイブリッドを形成するビーコンを含む。
【0023】
特に、第1核酸分子は、ヘアピンループ、例えば分子ビーコンを形成できる配列を含む。
【0024】
第1核酸分子の配列(i)は、本明細書において、「プローブ配列」又は「分子ビーコンのプローブ配列」とも称する。
【0025】
1つより多い第1核酸が存在するならば、2つ以上の第1核酸がハイブリダイズする配列は、互いに直接隣接して独立して位置するか、又は1、2、3、4、5若しくはそれより多いヌクレオチドのような少なくとも1つのヌクレオチドのギャップにより独立して分離されてもよい。2つ以上の第1核酸がハイブリダイズする配列は、1又は複数のヘルパーがギャップ内の配列とハイブリダイズできるように十分に大きいギャップにより分離されてもよい。
【0026】
1つより多い第1核酸が存在するならば、これらは、同じ遺伝子を指向してもよい。言い換えると、1つより多い第1核酸が存在するならば、1つより多い第1核酸の標的配列は、同じ遺伝子から得られる配列から選択できる。好ましくは、これらの配列はオーバーラップしない。このことにより、増幅することなく個別の遺伝子の検出が可能になる。
【0027】
1つより多い第1核酸が存在するならば、これらは、同じ遺伝子の発現生成物mRNAを指向してもよい。言い換えると、1つより多い第1核酸が存在するならば、1つより多い第1核酸の標的配列は、同じ遺伝子により発現されたmRNAから得られる配列から選択できる。好ましくは、これらの配列は、オーバーラップしない。このことにより、増幅することなく個別の遺伝子の検出が可能になる。
【0028】
本発明では、「互いに直接隣接して位置する」とは、核酸分子が標的配列上の隣接する位置にてハイブリダイズするならば、ギャップが残されないことを意味する。
【0029】
第2核酸、第3核酸及び少なくとも1つのさらなる核酸は、本明細書において、「ヘルパー」又は「ヘルパー核酸」又は「ヘルパーオリゴヌクレオチド」と命名する。
【0030】
本発明において設計されるヘルパーの同族配列は、ビーコンの同族配列の5’又は/及び3’端上に近接して配置してもよい。多重のヘルパーを用いてもよいが、完全シグナル強度は、2、3又は4つのヘルパーのいずれかを用いて達成できる。本発明の組み合わせは、好ましくは、2、3、4、5、6、7、8又は10のヘルパー核酸を含む。好ましくは、本発明の組み合わせは、2、3、4のヘルパー核酸を含む。
【0031】
本発明の組み合わせの核酸は、互いに直接隣接する場所にて標的配列とハイブリダイズするか、又は1、2、3、4、5若しくはそれより多いヌクレオチドのような少なくとも1つのヌクレオチドのギャップにより独立して分離されていてもよい。例えば、少なくとも2つの核酸分子は、1、2、3、4、5又はそれより多いヌクレオチドのような少なくとも1つのヌクレオチドのギャップにより互いに分離された場所にて標的配列とハイブリダイズしてもよい。
【0032】
より好ましくは、本発明の組み合わせは、4つのヘルパー核酸を含む。最も好ましい構成では、4つのヘルパーの同族配列は、直接隣接して、ビーコンの同族配列の隣にギャップなく互いに直接隣接して、ビーコンの同族配列の5’側方に2つ及び3’端に2つ位置する。一例を図3に示す。この設計では、標的配列位置及びFuchsによる近づきやすさは無視できる。
【0033】
標的配列は、少なくとも1つの第1核酸分子、第2核酸分子、第3核酸分子及び場合による少なくとも1つのさらなる核酸分子がハイブリダイズする配列が、標的配列の非オーバーラップ配列であるように選択してもよい。
【0034】
例示的構成を図3に示す。「1」及び「2」と称するヘルパーは、ビーコンのステム部分をリボソームから遠ざけ、スペーサーとして機能するビーコンのプローブ配列の5’端から延び、「3」及び「4」と命名するヘルパーは、3’端から延びる。ヘルパー2及び4は、等しくギャップなくそれぞれ5’及び3’端上でヘルパー1及び3の隣に配置される。ハイブリダイゼーションにおける最大限の相乗作用を達成するために、全てのプローブ及びヘルパー配列は、同族配列との結合に関して同じ熱力学的特性を有していてもよい。オリゴヌクレオチドのこの厳密な選択により、リボソームRNAの再現可能な開放のための100塩基(例えば89〜120の間)の長さのリボソームRNAをカバーする大量ハイブリダイゼーション動作と、小さい20マー(16〜26マー)オリゴヌクレオチドの迅速な速度論及び高い特異性との巧みな編成(全て上記の同じストリンジェントな条件に働く)が可能になる。
【0035】
本発明の核酸がハイブリダイズする標的配列の配列は、本明細書においてそれぞれの核酸の「同族配列」と称する。例えば、第1核酸(すなわち分子ビーコン)の同族配列は、本明細書で示すように、配列(i)がハイブリダイズする標的配列の配列である。本発明の組み合わせの核酸分子と標的配列とのハイブリッドは、本明細書において、「同族配列とのハイブリッド」又は「同族ハイブリッド」ともいう。
【0036】
本発明の様々な実施形態で使用される標的核酸配列は、細胞の核酸配列であってもよい。細胞は、真核細胞又は原核細胞であってもよい。細胞は、生体試料又は臨床試料に存在できる任意の細胞であってもよい。特に、標的核酸配列は、細菌、酵母及びカビから、特にグラム陽性又は/及びグラム陰性細菌から選択される微生物のような微生物の核酸配列であってもよい。疾患状態に依存して、あるいくつかの病原体は最も頻繁に原因因子であり、よって、診断群にまとめることができる。あるいくつかの病原体の追加又は省略が、95百分位数に到達するために地域疫学に依存して要求されることがある。表1の列挙は、欧州及び北米のほとんどでの要件をカバーする。微生物は、好ましくは、表1及び表4に列挙する微生物から選択される。
【0037】
本発明で使用される細胞は、懸濁又は/及び懸濁培養に維持されてもよい。
【0038】
標的核酸配列は、DNA配列又は/及びRNA配列、特に細菌16S rRNA又は/及び細菌23S rRNA配列のようなrRNA配列であってもよい。標的核酸配列は、mRNA配列であってもよい。
【0039】
特に、第1核酸分子の2つの相補配列(ii)は、配列(i)を挟み、すなわち(ii)の第1配列が配列(ii)の3’端に位置し、(ii)の第2配列が配列(i)の5’端に位置する。
【0040】
(ii)の2つの相補配列は、4〜10ヌクレオチド、特に4、5、6、7、8、9、10又はそれより多いヌクレオチドの長さを独立して有してもよい。好ましくは、(ii)の2つの配列は、同じ長さを有する。
【0041】
第1核酸分子において、発光基は、ステムを形成できる2つの相補配列の一方に結合してもよく、消光剤は、2つの相補配列の他方に結合してもよく、よって消光剤が、ステムが形成される場合に発光を本質的に消光し、発光は、ヘアピンが開放される場合に発光シグナルを発することができる。
【0042】
好ましくは、発光基は、少なくとも1つの第1核酸分子の5’端にて、又は5’端から1、2、3、4、5若しくは6ヌクレオチド離れた位置にて独立して結合する。この場合、消光剤は、発光基により覆われていない他方の端、すなわち3’端にて、又は3’端から1、2、3、4、5若しくは6ヌクレオチド離れた位置にて独立して結合する。
【0043】
発光基が、少なくとも1つの第1核酸分子の3’端にて、又は3’端から1、2、3、4、5若しくは6ヌクレオチド離れた位置にて独立して結合することも好ましい。この場合、消光剤は、発光基により覆われていない他方の端、すなわち5’端にて、又は5’端から1、2、3、4、5若しくは6ヌクレオチド離れた位置にて独立して結合する。
【0044】
発光基は、少なくとも1つの第1核酸分子とリンカーにより独立して連結してもよい。消光基は、少なくとも1つの第1核酸分子とリンカーにより独立して連結してもよい。当業者は、適切なリンカーを熟知している。リンカーは、少なくとも1つのヌクレオチドを独立して含んでもよい。
【0045】
当業者は、適切な発光基及び消光剤を熟知している。発光基は、好ましくは、蛍光基である。適切な蛍光基は、UVから可視まで、IR光範囲までを吸収し、励起及び発光により光を物理的に分離することを可能にするストークスシフトで発光する、商業的に容易に入手可能なものから独立して選択できる。蛍光基において、自己蛍光は、増強されたストークスシフトにより低減され得る。適切な蛍光基は、FAM、Cy3、FITC及びそれらの誘導体から独立して選択してもよい。
【0046】
発光、特に蛍光は、顕微鏡観察、フローサイトメトリー又は当該技術において既知の任意のその他の適切な方法により決定してもよい。懸濁又は懸濁培養に維持している細胞において、発光、特に蛍光は、フローサイトメトリーにより決定してもよい。
【0047】
本発明のビーコンと標的配列とのハイブリダイゼーションは、同族配列の存在下でループが折り畳まれない条件下で起こることができる。閉じたステムを有するビーコンは、より高い特異性を示し、配列の長さの増加による減少を補償する。
【0048】
この目標は、ハイブリダイゼーション条件下でさえ負であるがループ配列(同族DNA/RNAハイブリッド)よりも実質的に高い(あまり負でない)ΔGを有するステム配列を、好ましくはMg2+の非存在下で選択することにより達成される。よって、標的配列とのハイブリダイゼーションは、Mg2+を本質的に含まない条件によりステムが不安定化される場合に起こることができる。
【0049】
「実質的により高いΔG」とは、約−15〜約−25kcal/molの間、好ましくは約−17〜約−23kcal/molの間、さらにより好ましくは約−19〜約−21kcal/molの間の各ΔGの差を意味する。
【0050】
ともにビーコンの一部分を形成する発光基の消光を達成するために、標的配列とハイブリダイズしないビーコン分子において、ハイブリダイゼーション反応の後にステム形成が誘導されなければならない。このことは、例えば、ΔG<0を有するビーコンにより達成でき、よって、ヘアピンが自発的に形成される。さらに、ステム形成は、本明細書で記載するようにMg2+含有緩衝液で洗浄することにより導入してもよい。
【0051】
特に、ヘアピンループは、標準化されたハイブリダイゼーション条件下(例えばMg2+を本質的に含まない条件下)で、可能性のある立体制限がハイブリダイゼーションプロセスを妨げないようにステムが開放されるような方法で構築される。例えば、立体制限は、標的配列がrRNA配列である場合に存在し得る。エフェクターが蛍光体であるならば、蛍光体は、リボソームタンパク質の近接により消光されない。
【0052】
ハイブリダイゼーション後のステム形成の誘導のために適切な条件は、例えば約0.1〜約20mM Mg2+、約1〜約20mM Mg2+、5〜約15mM Mg2+、約8〜約12mM Mg2+、約1mM〜約10mM Mg2+、約2.5mM〜約7.5mM Mg2+を含有するMg2+含有緩衝液を含む。好ましくは、約5mM Mg2+又は約10mM Mg2+の濃度である。緩衝液は、pH>8、好ましくは約8.3を有してもよい。pHは、約7.5〜約9又は約8〜約8.5に調整してもよい。
【0053】
さらに、ヘアピンループはそれらの全体で機能し、切開できない。最近傍のステムとループ及びスタッキング効果は、それらの熱力学的特性にとって重大な影響を有する。本発明の好ましい核酸を、表1、表3及び表4に記載する。これらは、好ましいステム配列が、種を同定するために選択された配列のΔG、T、GC含量又は長さから独立していることを明確に示す。
【0054】
本発明では、標準化された条件に適切な本発明の組み合わせにおいて使用される核酸の個別の構築についての熱力学的仕様は、次のように設定される。核酸の形成のためのギブズエネルギー(ΔG)は、以下のような様式で設計できる。
ハイブリダイゼーション条件下で同族標的配列の非存在下においてヘアピンステムが自発的に形成される(ΔG<0)。
同族ハイブリッドのΔGが、ヘアピンステムのΔGよりも著しく低い(すなわち、より負である)。
同族配列の各ΔGが、ミスマッチ又は非同族配列よりも低い。
ヘアピンループの形成についてのTが、ヘアピンループのTがハイブリッドのTよりも低いか又は本質的にハイブリッドのTであるような様式で設計されなければならない。
【0055】
特に、本発明の組み合わせの核酸は、標的配列(これは、好ましくは標的mRNA又は標的DNA配列である)の天然のリフォールディングにより生じるΔGよりも負が大きいΔGで標的配列と独立してハイブリダイズする。
【0056】
同族ハイブリッド(すなわち、本発明のヘルパー又は/及び分子ビーコンと標的配列とのハイブリッド)のΔGは、ハイブリダイゼーション条件下で約−15〜約−25kcal/molの間、好ましくは約−17〜約−23kcal/molの間、さらにより好ましくは約−19〜約21kcal/molの間の範囲であることが好ましい。同族ハイブリッドのΔGは、本明細書で記載する組み合わせの核酸分子について独立して調整してもよい。
【0057】
ハイブリダイゼーション条件下での少なくとも2つの同族ハイブリッドのΔGが、5kcal/molを超えて変動せず、好ましくは3kcal/mol以下、より好ましくは2kcal/mol以下、最も好ましくは1kcal/mol以下である。特に、ハイブリダイゼーション条件下での同族ハイブリッドのΔGは、5kcal/molを超えて変動せず、好ましくは3kcal/mol以下、より好ましくは2kcal/mol以下、最も好ましくは1kcal/mol以下である。
【0058】
組み合わせの核酸分子は、−60〜−150kcal/mol、−80〜−150kcal/mol又は−100〜−120kcal/molの範囲の組み合わせたΔGで標的配列、好ましくは標的rRNA配列と独立してハイブリダイズしてもよい。驚くべきことに、5つの核酸(1つの分子ビーコンを含む)の厳密にギャップを含まない構成を用いて、普遍的に強いシグナルまでのシグナル強度の増加が、大腸菌の1つの領域について達成されただけでなく、強いシグナル増強が、同じ速度論で広範囲の生物における16S及び23S rRNAの両方の多数の領域についても達成できたことが見出された。全ての生物について同一条件下で、組み合わせて標準化されたΔG=−60〜−150kcal/molで、単一塩基識別能力を失うことなくハイブリダイズできるような様式で同じ熱力学的特徴を全てが有する標識及び未標識オリゴヌクレオチドを組み合わせることが好ましい。
【0059】
プローブ集合体の選択についての基準は、よって、当該技術において用いられる今までの駆動熱力学的パラメータとしてのTを無視して、第1に配列特異性により、第2にハイブリダイゼーションの際に生じる自由エネルギー(ΔG)により駆動されるように決定できる。全てのヘルパー及びビーコンを、非常によく似た特徴を有するように設計できるので、一致したヘルパーをビーコンと一緒に有することが可能なだけでなく、上記のグループ分けの多重の例を作製することもでき、全て同一条件下で働き、密接に類似した速度論で16S及び23S rRNAの両方と結合する。効率的には、例えば短い18〜26マーのオリゴヌクレオチドの識別特異性を維持し、よって天然のリボソーム構造の再形成の間の強いシグナルでのハイブリッド結合に好ましいようにしながら、作製した100マーの自由ハイブリダイゼーションエネルギーを用いてもよい。表4は、それぞれのヘルパーと一緒に設計されたビーコンを、熱力学的特性及びFuchsらによる評点(6)と一緒にまとめる。
【0060】
時に、同族配列は、ビーコン形成を達成するために1つの腕だけが補充されることを必要とする自発的ヘアピンループを形成してもよい。標的配列がrRNA配列であるならば、これは、しかし、エフェクター、例えば蛍光体をリボソームの潜在的に消光性のタンパク質の非常に近傍にする。好ましい構成では、ステムは伸長される。伸長ステムを用いてさえ本明細書で記載する上記の熱力学的仕様に一致するために、方法を工夫して、T及びΔGの両方を仕様の範囲内に維持するようにした。本発明によると、このことは、少なくとも1つの非一致ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体を導入することにより達成できる。本発明では、少なくとも1つの非一致ヌクレオチドの導入は、追加ヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体の導入により増進でき、よって、2つの相補配列は異なる長さを有し、ステムが「曲がる」ようになる(例えば配列番号1の36位を参照されたい)か、又は/及び一致ヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体を非一致ヌクレオチド若しくはヌクレオチド類似体で置き換えることにより達成できる(例えば配列番号7の5位を参照されたい)。よって、本発明では、「ステムを形成できる相補配列」は、少なくとも1つの非一致ヌクレオチド、好ましくは1、2、3、4又は5の非一致ヌクレオチドも含んでもよい。
【0061】
表2からわかるように、PNA−オリゴヌクレオチドの構築における上記の制限のために、本明細書で開示する配列はいずれもPNA−ビーコンとして考案できなかった。オリゴヌクレオチドの長さにおける主な制限は、十分な特異性とハイブリダイズしていない場合にループのリフォールディングを確実にするのに十分なステム長さとの両方を必要とした。よって、微生物のin−situ同定を可能にするために十分な親和性及び速度でハイブリダイズできるDNA−ビーコンを考案することが必要である。
【0062】
本発明のビーコンは、好ましくは、PNAビーコンでない。ビーコンの主鎖は、好ましくは、核酸主鎖、特にDNAである。ビーコンは、核酸部分又は/及びリンカーが存在するならばリンカー中にデオキシリボヌクレオチド類似体又はリボヌクレオチド類似体のような核酸類似体を含んでもよい。この類似体は、好ましくは、糖部分、塩基又は/及びホスフェート基にて改変されたヌクレオチド類似体である。ヌクレオチド類似体は、好ましくは、PNA基礎単位でない。
【0063】
臨床試料における上記の95百分位数に従って、病原体を疾患関連群にグループ分けできる。これらの生物に対するプローブは、特に全てのプローブを1つのチップ上で利用するならば、上記の条件下で同時に働かなければならない。チップの用途は、同族及びステムの両方の特徴の厳密な標準化を要求する。1つより多いプローブ、すなわち少なくとも2つのプローブの組み合わせを使用するならば、全てのプローブは、同じスライド/チップ上で同時に働くように設計されなければならない。
【0064】
本発明の組み合わせの分子ビーコンは、表1、表3及び表4のビーコンから選択してもよい。本発明の組み合わせは、本明細書で記載する1、2、3又はそれより多くのビーコンさえ含んでもよく、これらは、表1、表3及び表4のビーコンから選択してもよい。1つより多いビーコンが本発明の組み合わせに存在するならば、ビーコンは、同じ又は異なる同族配列を有してもよい。個別のビーコンの同族配列は、異なることが好ましい。
【0065】
1つより多いビーコンが本発明の組み合わせに存在するならば、標的配列と(ii)の配列のハイブリッド又は/及び(i)の配列のハイブリッドの個別のビーコンとのΔGの差は、同族配列に関して最大で約4kcal/mol、好ましくは最大で約3kcal/mol、より好ましくは最大で約2kcal/mol、最も好ましくは最大で約1kcal/molであってもよい。
【0066】
第2核酸、第3核酸及び少なくとも1つのさらなる核酸は、少なくとも1つの第1核酸の発光基から区別できる標識を独立して含有してもよい。第2核酸、第3核酸及び少なくとも1つのさらなる核酸は、好ましくは、発光基を含有しない。第2核酸、第3核酸及び少なくとも1つのさらなる核酸は、好ましくは、消光剤を含有しない。
【0067】
ヘルパー核酸分子の設計は、EP07818883.6(1)(これは、本明細書に参照により含まれている)で計画されるような厳密な熱力学的設計に従って行ってもよい。標識ビーコン及びヘルパーの同族配列は全て、同じ熱力学的特徴を有し、よって相乗的に作用してもよい。正確な設計による作用の相乗作用は、ハイブリダイゼーション速度論における差を生じる。
【0068】
標的配列とハイブリダイズできるヘルパー核酸の配列は、その相補標的配列(同族配列)に基づいて設計してもよく、ここで、ヘルパーの配列は、好ましくは、標的配列に関してミスマッチを有さない。分子ビーコンを設計するならば、当業者は、分子ビーコンの同族配列に隣接する配列からヘルパー核酸のための同族配列を選択できる。適切な配列は、公共データベースから得てもよい。本明細書で記載するように、好ましい分子ビーコンは、表1、表3及び表4から選択してもよい。この場合、ヘルパー核酸の同族配列は、表1、表3及び表4に記載するビーコンの同族配列に隣接するそれぞれの生物のデータベース配列から選択してもよい。ヘルパー核酸の同族配列は、表1、表3及び表4に記載する配列から選択してもよい。
【0069】
表1、表3及び表4において「ヘルパー配列」又は「ヘルパー」として示す配列も、分子ビーコンの設計のために使用してもよい。この場合、ステムを形成できるN末端及びC末端相補配列(ii)又は/並びに本明細書で記載するその他の成分が加えられなければならない。表1、表3及び表4に「ビーコン配列」として示す配列も、ヘルパー核酸の設計のために使用してもよい。この場合、ステム配列を排除しなければならない。例えば、表4は、本発明の5つの核酸の組み合わせを示し、ここで、1つの特定の核酸の配列を「ビーコン配列」と称する。表4の組み合わせの1又は複数の配列が分子ビーコンの設計のために選択され、残りの配列がヘルパー配列として使用される表4の任意の組み合わせが本発明の範囲内であることが構想される。当てはまるならば、ステム配列又は/及び本明細書で記載するその他の成分を排除するか又は加える。
【0070】
表4に記載するヘアピンループ及びヘルパー核酸の組み合わせが好ましい。表4は、ヘアピンループ及びヘルパー核酸の個別の組み合わせを記載し、ここで、ヘアピンループ及びヘルパー配列の同族配列は、微生物の標的配列上に局在する。本発明の具体的な実施形態は、ヘアピンループと1、2、3又は4つのヘルパー核酸とを含む表4に記載する組み合わせのことをいう。表4に記載する組み合わせは、ヘアピンループの名称で呼ぶことができる。好ましい組み合わせは、B−Achxyl、B−Acinbaum−IV、B−Acibact−2、B−Baccer−II、B−BacPrev、B−Bcc、B−Ctherm、Citfreu−WIII、B−Clodiff、B−Cloper−II、B−Clospp、Corspp、SB−Corspp、EcoShi、B−EHEC−II、B−Entbac−II、SB−EntSak−I、SB−EntSak−II、Eubiae、Entcoc III、B−Entcoc−II、B−Entalis−2、B−Entium−II、B−E.coli III、B−Haeinf、SB−InqLum、Klepne−5、B−Kleboxy−II、SB−Klepne−6、B−Klepne−4、B−Limo−II、SB−Mycavi−A、SB−Mycavi−B、B−Neigon、B−Neimeng、SB−Panapi、SB−PansppA、SB−PansppB、B−propacn、B−propacn、B−Protmir、B−Protvul、SB−Psaer−E、B−Psaer D、SB−RalsppA、SB−RalsppB、SB−RalsppC、Stalug、B−Sal 1686、B−Sermarc−II、B−Shig−II、B−Shig−III、Sb−Shispp−4、B−Staphspp−2、B−Staur−3、Stalug、B−Stemal−2、B−Straga−3、B−Strepne−2、B−Strepne−3、B−Strpyo−D、B−Strept−III、B−Yers−III及びB−Yers−IIで表される組み合わせから選択してもよい。B−Achxyl、B−Acinbaum−IV、B−Acibact−2、B−Baccer−II、B−BacPrev、B−Bcc、B−Ctherm、Citfreu−WIII、B−Clodiff、B−Cloper−II、B−Clospp、Corspp、SB−Corspp、EcoShi、B−EHEC−II、B−Entbac−II、SB−EntSak−I、SB−EntSak−II、Eubiae、Entcoc III、B−Entcoc−II、B−Entalis−2、B−Entium−II、B−E.coli III、B−Haeinf、SB−InqLum、Klepne−5、B−Kleboxy−II、SB−Klepne−6、B−Klepne−4、B−Limo−II、SB−Mycavi−A、SB−Mycavi−B、B−Neigon、B−Neimeng、SB−Panapi、SB−PansppA、SB−PansppB、B−propacn、B−propacn、B−Protmir、B−Protvul、SB−Psaer−E、B−Psaer D、SB−RalsppA、SB−RalsppB、SB−RalsppC、Stalug、B−Sal 1686、B−Sermarc−II、B−Shig−II、B−Shig−III、Sb−Shispp−4、B−Staphspp−2、B−Staur−3、Stalug、B−Stemal−2、B−Straga−3、B−Strepne−2、B−Strepne−3、B−Strpyo−D、B−Strept−III、B−Yers−III及びB−Yers−IIで表される組み合わせから組み合わせの群を選択することがより好ましい。群は、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、又は表4に記載する組み合わせの全てさえ含んでもよい。群は、表4に記載する組み合わせの最大で60、最大で50、最大で40、最大で30、最大で20、最大で10又は最大で5を含んでもよい。本発明の具体的な実施形態は、本明細書で記載する組み合わせの最小の数又は/及び最大の数を有する群に言及し、任意の組み合わせを表4から選択してもよいことが構想される。例えば、本発明の具体的な実施形態は、表4から選択される2、3、4、5、6、7、8、9又は10の組み合わせを含む群のことをいう。
【0071】
本発明の組み合わせの好ましい群は、診断群のことをいう。組み合わせの好ましい群は、例えば表4に示すようなグラム陰性生物の血液培養(BC)中の生物を同定するために適切な組み合わせから選択される。組み合わせのその他の好ましい群は、例えば表4に示すようなグラム陽性生物の血液培養中の生物を同定するために適切な組み合わせから選択される。組み合わせのその他の好ましい群は、例えば表4に示すような肺炎を引き起こすことができる生物を同定するために適切な組み合わせから選択される。組み合わせのその他の好ましい群は、例えば表4に示すような嚢胞性線維症と関連する生物を同定するために適切な組み合わせから選択される。組み合わせのその他の好ましい群は、例えば表4に示すような糞便中で見出される生物を同定するために適切な組み合わせから選択される。
【0072】
表4から選択される組み合わせは、本明細書で記載するように、組み合わせの1又は複数の配列がヘアピンループの設計のために選択され、残りの配列がヘルパー配列として使用される組み合わせであってもよい。言い換えると、表4にプローブ配列(標的配列に対して相補的)として示す配列だけでなく、表4にヘルパー配列として示す配列も、ヘアピンループの設計のために使用してもよい。
【0073】
本発明のヘルパー核酸は、好ましくは、PNAでない。ヘルパーの主鎖は、好ましくは、核酸主鎖、特にDNAである。ヘルパー核酸は、核酸部分又は/及びリンカーが存在するならばリンカー中にデオキシリボヌクレオチド類似体又はリボヌクレオチド類似体のような核酸類似体を含んでもよい。この類似体は、好ましくは、糖部分、塩基又は/及びホスフェート基にて改変されたヌクレオチド類似体である。ヌクレオチド類似体は、好ましくは、PNA基礎単位でない。
【0074】
第2核酸、第3核酸及び少なくとも1つのさらなる核酸は、好ましくは、標的配列とハイブリダイズできる配列中にミスマッチを含有しない。第2核酸、第3核酸及び少なくとも1つのさらなる核酸は、好ましくは核酸分子の3’又は/及び5’末端に独立して位置する標的配列とハイブリダイズしない少なくとも1つのヌクレオチドを独立して含んでもよい。
【0075】
本発明による組み合わせの核酸は、特に、in situハイブリダイゼーションのため、より特にはFISHのために適切である。ハイブリダイゼーションは、本明細書で記載するように細胞内、特に本明細書で記載する微生物内で起こることがある。組み合わせの核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのハイブリダイゼーションのために設計できる。
【0076】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、本明細書で用いる場合、好ましくは、52℃(±0.2℃)にて30分まで、20分まで、15分まで又は10分まで、好ましくは約10分間、高い塩の下で、好ましくは二価のカチオンを本質的に含まない条件下、特にMg2+を本質的に含まない条件下(例えば900mM NaCl、20mM Tris/HCl pH8.3、0.01%w/w SDS、1mM EDTA、20%v/vホルムアミド)でのハイブリダイゼーションと、本質的にエタノール性、低い塩及び室温において約30〜約90秒又は約45〜約75秒間、好ましくは約60秒間の洗浄とを含む。好ましくは、洗浄は、高いMg2+条件下で、例えば50%エタノール、215mM NaCl、5mM MgCl、50mM Tris/HCl pH8.3中で行う。
【0077】
本発明では、ハイブリダイゼーションは、SDS、例えば約0.005%w/w〜0.015%w/w又は約0.01%w/wのSDSの存在下で行ってもよい。ハイブリダイゼーションは、ホルムアミド、例えば約15%v/v〜約25%v/vのホルムアミド、好ましくは約20%v/vのホルムアミドの存在下で行ってもよい。ハイブリダイゼーション中に、EDTAのような2価カチオンと錯体形成できる物質が、約0.2mM〜約2mM又は約0.5mM又は約1.5mMの濃度で存在してもよい。好ましくは、約1mMのEDTA濃度である。
【0078】
室温は、本明細書で用いる場合、好ましくは、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃若しくは約24℃のような約18℃〜約24℃又は約19℃〜約22℃の範囲の温度のことをいう。
【0079】
「本質的にエタノール性の条件」とは、本明細書で用いる場合、好ましくは、0〜90%v/v、40〜90%v/v、50〜90%v/v、60〜90%v/v、例えば40〜60%v/vの範囲、好ましくは約50%v/vのエタノール濃度のことをいう。
【0080】
ハイブリダイゼーション又は/及び洗浄中に、pHは、>8、約7.5〜約9又は約8〜約8.5、好ましくは約8.3に独立して調整してもよい。
【0081】
本明細書で用いる場合、低い塩条件は、約50mM〜約400mM、約100mM〜約300mM又は約150〜約250mMの全塩濃度を含む。好ましくは、215mMのような約200mMの濃度である。高い塩は、本明細書で用いる場合、約700mM〜約1100mM、約800mM〜約1000mM又は約850mM〜950mMの全塩濃度を含む。好ましくは、915mMのような約900mMの濃度である。「全塩濃度」とは、本明細書で用いる場合、1価カチオンの塩の濃度を意味する。
【0082】
本発明の組み合わせにおいて、個別の核酸が一様に機能することが好ましい。「一様に機能する」とは、本発明の異なる核酸プローブを用いて同じハイブリダイゼーション条件下で、例えば標準化されたハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションの成功が達成できることを意味する。言い換えると、本発明の一様に機能する核酸は、ハイブリダイゼーション条件を個別に最適化することを要求しない。
【0083】
本明細書で記載する核酸分子の組み合わせは、1又は複数の組成物において、場合によって、要求されるハイブリダイゼーション試薬と一緒に提供できる。組み合わせは、1つの組成物で提供することが好ましい。
【0084】
本発明の組み合わせの核酸において、そのそれぞれの同族配列に関する個別の核酸のΔG値は、最大で約10kcal/mol、好ましくは最大で約6kcal/mol、より好ましくは最大で約3kcal/mol異なっていてもよい。特に、1つより多いビーコンが本発明の組み合わせに存在するならば、そのそれぞれの同族配列に関する個別のビーコンステムのΔG値は、約8kcal/mol、好ましくは最大で約5kcal/mol、より好ましくは最大で約3kcal/mol異なっていてもよい。
【0085】
本発明の組み合わせの核酸分子は、独立してオリゴヌクレオチドであってもよい。標的配列とハイブリダイズできる核酸分子の配列は、独立して16〜26ヌクレオチドの範囲、特に約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。例えば、標的配列とハイブリダイズする核酸分子の少なくとも1つの配列は、16〜26ヌクレオチドの範囲、特に約20ヌクレオチドの長さを有してもよい。
【0086】
ヘルパー配列が、大過剰濃度で用いられるべきであることを当該技術は教示している。驚くべきことに、上記の構成において要求されるヘルパー及びビーコンの作業濃度は、本質的に等モル濃度であってもよい。さらに、この設計は、rRNA領域への近づきにくさによる制限を除去し、ユニーク配列の自由な選択を可能にした。驚くべきことに、ビーコンがハイブリダイズしている位置にかかわらず、一様な100%のシグナルが8分だけの後に生じることができた。組み合わせの核酸分子は、本質的に等モル濃度の組成物で提供してもよい。本発明において、「本質的に等モル濃度」とは、組成物中の少なくとも2つの核酸分子の濃度が、最大で15重量パーセント、最大で10重量パーセント又は最大で5重量パーセント異なってもよいことを意味する。
【0087】
本発明のさらに別の態様は、本明細書で記載する核酸分子の組み合わせを、要求されるハイブリダイゼーション試薬と場合によって一緒に含むキット又はチップである。好ましくは、チップ又はキットは、別々の組成物中に本明細書で記載する核酸分子の1又は複数の組み合わせ、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多くの組み合わせさえ含有する。キット中又はチップ上の8つの別々の組み合わせが好ましい。グループ分けのリスト、並びにそれにより得られる列挙される生物の検出、列挙及び同定用のキットを表1にまとめる。
【0088】
本発明のさらなる態様は、本発明に従う組み合わせを利用して、遺伝子の活性な発現生成物を、mRNAレベルで、例えば1つより多いヘアピンループ対を予め増幅することなく特定の配列に沿ってアラインメントすることにより検出できることである。抗生物質耐性、毒素生成又はまさに癌遺伝子をコードする遺伝子の高度に発現された配列を、微生物の同定におけるのと同じ速度及び特異性で検出できる。
【0089】
本発明の組み合わせ、キット又は/及びチップは、本明細書で記載する細胞、特に本明細書で記載する微生物の同定のために用いてもよい。本発明の組み合わせ又は/及びキットは、好ましくは、診断用である。より好ましくは、本発明の組み合わせは、本明細書で記載する細胞、特に本明細書で記載する微生物の存在の診断用である。
【0090】
本発明の組み合わせ又は/及びキットは、抗生物質耐性の決定のために用いてもよい。
【0091】
本発明の組み合わせ又は/及びキットは、毒素生成物、例えば本明細書で記載する細胞又は/及び微生物の決定のために用いてもよい。
【0092】
本発明の組み合わせ又は/及びキットは、例えば本明細書で記載する細胞又は/及び微生物における癌遺伝子発現の決定のために用いてもよい。
【0093】
本発明の組み合わせ、キット又は/及びチップは、本明細書で記載する細胞、特に本明細書で記載する微生物の存在の診断の医薬組成物の製造のために用いてもよい。
【0094】
本発明の組み合わせ、キット又は/及びチップは、本明細書で記載する細胞内の病原性の特徴の診断用の医薬組成物の製造のために用いてもよい。
【0095】
組み合わせは、試験管、マイクロタイタープレート、ろ過マイクロタイターウェル、スライド及びチップで行われるように設計されたアッセイに用いることができる。検出は、蛍光、時間分解蛍光を用いて、複数の蛍光体を用いて行うことができる。
【0096】
FISHについての好ましい実施形態では、アッセイは、いくつかの試料を保持して分離するように設計されたガラススライド上で行われる。
【0097】
本発明のさらに別の態様は、試料中の細胞を同定する方法であって、
(a)試料を用意するステップと、
(b)(a)の試料を、本発明に従う核酸分子の組み合わせと、細胞におけるオリゴヌクレオチドと標的配列とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させるステップと、
(c)第1核酸分子の発光基の発光を決定するステップと
を含み、
第1オリゴヌクレオチドの発光が、標的配列の存在を示す、方法である。
【0098】
標的配列の存在は、特に標的配列が細胞又は/及び細胞の群に特異的ならば、細胞又は/及び細胞の群の存在を示す。
【0099】
細胞は、本明細書で記載する細胞、例えば原核又は真核細胞であってもよい。特に、細胞は、本明細書で記載する微生物であってもよい。
【0100】
試料は、ヘアピンループにより検出される核酸を含むことが疑われる臨床又は食物試料のような生体起源の任意の試料であってもよい。試料は、細胞、特に細菌、酵母又は/及びカビ、特にグラム陽性又は/及びグラム陰性細菌のような微生物を含む試料であってもよい。アッセイの一般的な手順は、グラム陰性及びグラム陽性生物の前処理においてわずかな逸脱を有して同一である(例えば実施例3を参照されたい)。
【0101】
本発明の方法では、ステップ(b)及び(c)は、in situにて、特にFISHにより行ってもよい。
【0102】
ステップ(b)において、試料を表面上に固定してもよい。ステップ(b)は、本明細書で記載するストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を含んでもよい。
【0103】
ステップ(b)では、(a)の試料と核酸分子の組み合わせとを接触させるステップは、約30分間まで、約20分間まで、約15分間まで又は約10分間まで行ってもよい。
【0104】
ステップ(b)で使用するハイブリダイゼーション緩衝液は、好ましくは、2価カチオンを本質的に含有せず、特に、ステップ(b)で使用するハイブリダイゼーション緩衝液は、好ましくは、マグネシウムを本質的に含まない。
【0105】
ステップ(b)では、組み合わせの核酸は、本質的に等モル濃度で用いてもよい。
【0106】
本発明の方法のステップ(b)は、
(1)本発明のいずれかの少なくとも1つの核酸又は本発明の核酸の組み合わせを生体試料と接触させるサブステップと、
(2)(1)の核酸又は核酸の組み合わせを、試料と、同族配列の存在下でステムが開放される条件下でハイブリダイズさせるサブステップ、例えば2価カチオンを本質的に含まない、特にMg2+を本質的に含まない緩衝液を用いてハイブリダイズさせるサブステップと、
(3)(1)の核酸又は核酸の組み合わせを、試料と、核酸のステムが開放される条件下でハイブリダイズさせるサブステップ、例えば2価カチオンを本質的に含まない、特にMg2+を本質的に含まない緩衝液を用いてハイブリダイズさせるサブステップと、
(4)試料とハイブリッドを形成しない(1)の核酸分子においてステム形成を可能にする条件を誘導するサブステップ、例えばマグネシウム含有緩衝液を用いて、例えばpH>8又は/及び室温にて洗浄するサブステップと
を含んでもよい。
【0107】
上記のようにMg2+を本質的に含まない溶液及びMg2+含有溶液を用いることを含むいずれのハイブリダイゼーションプロトコールも用いることができる。「2価カチオンを本質的に含まない」とは、1mM未満、好ましくは0.1mM未満、より好ましくは0.05mM未満、最も好ましくは0.01mM未満の濃度の2価カチオンのことをいう。「Mg2+を本質的に含まない」とは、1mM未満、好ましくは0.1mM未満、より好ましくは0.05mM未満、最も好ましくは0.01mM未満のMg2+濃度のことをいう。さらに、2価イオンの除去は、約0.2mM〜2mM又は0.5mM〜1.5mMの濃度で存在するEDTAのような錯体形成剤の添加により確実にすることができる。好ましくは、約1mMのEDTA濃度である。
【0108】
ステップ(b)で使用されるマグネシウム含有緩衝液は、約0.1mM〜約20mM Mg2+、約1mM〜約20mM Mg2+、約1mM〜約10mM Mg2+、約2.5mM〜約7.5mM Mg2+を含有してもよい。好ましくは、約5mM Mg2+の濃度である。
【0109】
ハイブリダイゼーションの最後に、全ての非結合ビーコンは、ヘアピンループ形成に戻って確保される必要がある。熱力学的パラメータに従って、リフォールディングは、室温にて自発的に生じるはずである。このことは、2価金属イオンの存在下でのみ確実にできることが見出された。さらに、アッセイの特異性は、停止緩衝液中の1価の塩の濃度に依存した。
【0110】
よって、リフォールディングは、スライドを、まずエタノール浴に、次いで、弱く結合したビーコンとヘアピンループ形成を支持する2価の塩の解離を支持するための1価の塩を含有する停止緩衝液浴に、ヘアピンループ形成に好ましい温度にて短時間浸すことにより達成できる。好ましい構成では、エタノール浴及び塩浴は組み合わされ、0〜90%v/vエタノール、10mM〜1Mの1価の塩、0.1〜20mMの2価の塩を含有し、pH7〜pH9の間に緩衝されることができる。最も好ましい構成では、停止緩衝液は、50% v/vエタノール、215mM NaCl、5mM MgCl及び20mM Tris/HCl pH8.3を含有する。
【0111】
例えば、以下のプロトコールを用いてもよい。分割量の臨床試料を、スライド上の規定された区域に塗布する。好ましくは、10μlの規定された量を塗布して乾燥させる。
1.試料をスライドに熱固定する。
2.グラム陽性生物は、十分に発表された仕様に従ってリゾチーム/リゾスタフィン消化に供する。好ましい実施形態では、消化は、2〜7分間、28〜60℃の間にて、加湿チャンバ中で行う。最も好ましい消化は、(52℃)のホットプレート上にある間に直接、スライドのそれぞれの要求される区域に消化酵素を加えることにより行われ、乾燥まで放置される。
3.次いで、例えばスライドを純粋メタノール又は純粋(少なくとも96%)エタノールに数分間浸漬することにより、孔を形成する。好ましい実施形態では、メタノール又はエタノールは氷のように冷たく、浸漬時間は2〜10分の間である。より好ましい実施形態では、スライドをエタノールに4〜6分間浸漬する。最も好ましい実施形態では、スライドを96%工業用メタノール変性(IMS)エタノール(又は変性エタノールと等価)に5分間、室温にて浸漬する。
4.スライドを、例えば52℃にてホットプレート上で乾燥させる。
5.核酸(1又は複数のビーコン、少なくとも2つのヘルパー)をハイブリダイゼーション緩衝液(これは、Mg2+を本質的に含まないことがある)に溶解し、次いで、スライド加温器上にある間にスライドのそれぞれの区域に塗布する。
6.スライドをハイブリダイゼーション緩衝液で加湿したハイブリダイゼーションチャンバ中に入れる。好ましい実施形態では、スライドを疎水性カバーガラスで覆い、52℃の覆われたスライド加温器上に約10分間置く。
7.スライドを、次いで、マグネシウム含有緩衝液で、例えばpH>8又は/及び室温にて洗浄する。緩衝液は、主に、約0.1〜約20mM Mg2+、特に約1〜約10mM Mg2+、より特には約2.5〜7.5mM Mg2+、さらにより特には約5mM Mg2+を含有する。
8.スライドを、次いで、乾燥させ、封入液で封入してもよく、落射蛍光顕微鏡の下で、例えば400×、600×又は1000×の合計倍率で読み取ることができる。
【0112】
ハイブリダイゼーションのために他の容器を用いるならば、検出は、当該技術において公知のフローサイトメトリー又は自動化蛍光リーダーによることができる。
【0113】
本発明の方法では、本明細書で記載するキット又はチップを用いることもできる。
【0114】
本発明のさらに別の実施形態は、本発明のビーコンのチップへの応用である。チップへの応用のために、ビーコンを、担体表面上に共有結合させる必要がある。このことを容易にするために、設計されたビーコンの3’末端塩基を、ビオチン化するか又はタンパク質及び核酸化学の当該技術において公知の方法を用いてヘテロ2官能性試薬により酵素に連結してもよい。ビオチン化ビーコンは、次いで、商業的な供給源から自由に得ることができるストレプトアビジン被覆チップに加えることができる(19)。この応用では、それぞれのビオチン化ヘアピンループを、1つのチップの複数の別個の区域、例えば少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200若しくは少なくとも500の区域、又は最大で500、最大で400若しくは最大で300の区域に結合させることができる。トータルRNAを、商業的に入手可能なキット(20)を用いて試料から抽出でき、チップに、本明細書で記載するハイブリダイズ条件下で塗布できる。ハイブリダイゼーションの後に、チップを、本明細書で記載するようなマグネシウム含有緩衝液で、例えばpH>8にて短時間洗浄できる。区域上の蛍光は、特異的標的配列、例えば試料中のそれぞれの生物の存在を示す特異的RNAの存在を示す。
【0115】
ハイブリダイゼーションアッセイを大規模な日常的用途のために切り開くために、1つの再利用可能なチップ上で複数の試料を逐次的に分析する必要がある。チップの設計は、大規模製造、効率的な品質管理及び長い貯蔵寿命を可能にしなければならない。
【0116】
このようなアッセイを行うために、それぞれ検出デバイス(チップ)上の規定された位置に塗布できる同一の特徴を有する多数の配列(例えば表1、表3又は/及び表4)を開発した。
【0117】
典型的なアッセイでは、トータルRNAを、市場で容易に入手可能な抽出手順及びキットを利用して試料から抽出し、上記のハイブリダイゼーション条件下でチップ上に置く。ハイブリダイゼーションの後に、チップを上記の停止緩衝液を用いて室温にて洗浄し、当該技術において公知であるように読み取る。サイクルの最後に、全てのハイブリダイズしたRNAを、DNA及びRNAを含まないハイブリダイゼーション緩衝液で約62℃にて洗い流す。温度を、次いで、約52℃に落として、次のハイブリダイゼーションサイクルのために平衡化する。
【実施例】
【0118】
本発明を、以下の実施例及び図面によりさらに説明する。
【0119】
実施例1.ヘルパーの効果
【0120】
最先端の効果の比較。図1は、米国特許第5,030,557号に記載される、プローブハイブリダイゼーションの際のヘルパーオリゴヌクレオチドの効果をまとめる(図1のバー(1)〜(4)を参照されたい)。データは、米国特許第5,030,557号の表I、IIa、IIb及びIIcから得た。平均値を計算した。
【0121】
米国特許第5,030,557号は、単離リボソームRNAに対する標識オリゴヌクレオチドの結合を増強するためのヘルパーオリゴヌクレオチドの使用を教示する。18〜24ヌクレオチドの長さの直鎖状プローブを使用している。ヘルパーは、23〜58ヌクレオチドの長さを有した。しかし、これは、増強されたシグナルを達成するために1晩のインキュベーションを要求した。さらに、米国特許第5,030,557号は、改善を達成するために50〜200倍高い濃度の各ヘルパーを要求する。第2ヘルパーを加えることにより、シグナルが20%増加し、第3ヘルパーをさらに加えることにより、シグナルがさらに7%だけ増加した(図1において「1晩」のバーを参照されたい)。
【0122】
本発明による分子ビーコンと4つのヘルパー核酸の組み合わせを用いる微生物におけるin−situハイブリダイゼーションでは、ハイブリダイゼーションは、12分後に約100%に到達する(図1のバー(5)を参照されたい)。in−situハイブリダイゼーションが、溶液中で起こるハイブリダイゼーションよりも長いハイブリダイゼーション期間を一般的に必要とすることに鑑みて、米国特許第5,030,557号に記載される1晩ハイブリダイゼーションと比較して本発明の組み合わせを用いての12分だけのハイブリダイゼーション期間は、プローブとヘルパーとの最先端の組み合わせに対して強力な改善である。
【0123】
実施例2.in−situハイブリダイゼーションの速度論
【0124】
本発明の分子ビーコン(大腸菌分子ビーコン、B−Straga−3、表4を参照されたい)を、スライド上に固定されたそれぞれ大腸菌及びストレプトコッカス(Streptococcus)とのin−situハイブリダイゼーションにおいて4つのヘルパー核酸の非存在下及び存在下で試験する。ビーコンB−Straga−3は、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)の16S rRNAに位置する標的配列とハイブリダイズする配列を含む。
【0125】
10μlの分割量のそれぞれの細菌懸濁物を、スライドの各区域に置き、乾燥して区域あたり10細胞にした。さらなるin−situハイブリダイゼーションアッセイを、1つの例外以外は本発明で記載するようにして行った。区域1は、時間=0にて、区域2は2分後、区域3は4分後、区域4は6分後、区域5は8分後、区域6は10分後、区域7は11.5分後、及び区域8は停止溶液に浸す前にハイブリダイゼーションミックスを受けた。
【0126】
図2においてわかるように、支援されていない大腸菌ビーコンのハイブリダイゼーションは弱く、よって可逆性であり、rRNAの再アニーリングが、ビーコンとのハイブリダイゼーションよりも好ましい。図2に示すハイブリダイゼーションの速度は、それぞれのヘルパーと一緒にビーコンの厳密な設計による。
【0127】
実施例3
【0128】
アッセイの典型的なハイブリダイゼーション手順は、以下の表に示すようにグラム陰性及びグラム陽性生物の前処理におけるわずかな逸脱を有して、全てのビーコンについて同一である。
【0129】

【0130】
読み取りは、視覚的に又は蛍光顕微鏡を用いて自動化読み取りデバイスの支援により行うことができる。当該技術において公知であるように、in−situハイブリダイゼーションは、上記のステップをマイクロタイタープレートで行い、フローサイトメータにより読み取ることによりフローサイトメトリーに容易に適合できる。明白な利点は、自動化が容易なことにある。
【0131】
参考文献
(1) EP 07 818 883.6
(2) M. S. Shchepinov, S. C. Case-Greenand E. M. Southern, Appl Environ Microbiol. 2007 January; 73(1 ): 73-82. Stericfactors influencing hybridisation of nucleic acids to oligonucleotide arrays
(3) Michael M. A. Sekar, Will Bloch andPamela M. St John, Nucleic Acids Research 2005 33(1):366-375; Comparative studyof sequence- dependent hybridization kinetics in solution and on microspheres
(4) BERNHARD M. FUCHS, KAZUAKI SYUTSUBO,WOLFGANG LUDWIG, AND RUDOLF AMANN, APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY,AEM.67.2.961-968.2001 , In Situ Accessibility of Escherichia coli 23S rRNA toFluorescently Labeled Oligonucleotide Probes
(5) BERNHARD MAXIMILIAN FUCHS, GUNTERWALLNER, WOLFGANG BEISKER, INES SCHWIPPL, WOLFGANG LUDWIG, AND RUDOLF AMANN1 ,APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, Dec. 1998, p. 4973-4982 Flow CytometricAnalysis of the In Situ Accessibility of Escherichia coli 16S rRNA forFluorescently Labeled Oligonucleotide Probes
(6) BERNHARD M. FUCHS, FRANK OLIVERGLOCKNER, JORG WULF, AND RUDOLF AMANN, APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY,Aug. 2000, p. 3603-3607, Unlabeled Helper Oligonucleotides Increase the In SituAccessibility to 16S rRNA of Fluorescently Labeled Oligonucleotide Probes
(7) RUDOLF I. AMANN, WOLFGANG LUDWIG,AND KARL-HEINZ SCHLEIFER, MICROBIOLOGICAL REVIEWS, Mar. 1995, p. 143-169,Phylogenetic Identification and In Situ Detection of Individual, MicrobialCells without Cultivation
(8) U.S. Pat. No. 5,030,557: Means andMethods for enhancing nucleic acid hybridisation. Inventors: Hogan JJ andMilliman CL.
(9) WO 1992014841 19920903, NOVELLANTHANIDE CHELATE- CONJUGATED OLIGONUCLEOTIDES.
【0132】
本発明の主題は、以下の実施形態でもある。
【0133】
項目1.標的核酸配列とハイブリダイズできる核酸分子の組み合わせであって、組み合わせが、
(a)
(i)標的配列とハイブリダイズできる配列と、
(ii)ステムを形成できる2つの相補配列と、
(iii)発光基及び消光基と
を含む少なくとも1つの第1核酸分子であり、核酸がステム−ループ構造を形成すると消光基が蛍光基を消光し、オリゴヌクレオチドが標的配列とハイブリダイズすると蛍光基が励起により発光シグナルを発することができる、少なくとも1つの第1核酸分子と、
(b)第2核酸分子、第3核酸分子及び場合によって少なくとも1つのさらなる核酸分子と
を含み、第2核酸分子、第3核酸分子及び場合による少なくとも1つのさらなる核酸分子が、第1核酸がハイブリダイズする配列の5’側又は/及び3’側に位置する配列にて標的配列とハイブリダイズする組み合わせ。
【0134】
項目2.少なくとも1つの第1、第2、第3及び場合による少なくとも1つのさらなる核酸分子がハイブリダイズする配列が、標的配列の非オーバーラップ配列である、項目1に記載の組み合わせ。
【0135】
項目3.核酸が、in situハイブリダイゼーション、特にFISHに適切である、項目1又は2に記載の組み合わせ。
【0136】
項目4.ハイブリダイゼーションが、細胞内で起こる、項目1〜3のいずれかに記載の組み合わせ。
【0137】
項目5.標的核酸配列が、DNA配列及びRNA配列から選択される、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0138】
項目6.標的核酸配列が、rRNA配列である、項目5に記載の組み合わせ。
【0139】
項目7.標的核酸配列が、mRNA配列である、項目5に記載の組み合わせ。
【0140】
項目8.発光基が、第1核酸の5’端又は3’端に独立して結合し、消光剤が、発光基により覆われていない他方の端に結合する、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0141】
項目9.第1核酸分子が、ヘアピンループを形成できる配列、例えば分子ビーコンを含む、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0142】
項目10.核酸分子が、互いに直接隣接する場所にて標的配列とハイブリダイズする、項目1〜8のいずれかに記載の組み合わせ。
【0143】
項目11.少なくとも2つの核酸分子が、少なくとも1つのヌクレオチドのギャップにより互いに分離された場所にて標的配列とハイブリダイズする、項目1〜8のいずれかに記載の組み合わせ。
【0144】
項目12.標的配列とハイブリダイズする核酸分子の少なくとも1つの配列が、16〜26ヌクレオチドの範囲の長さを有する、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0145】
項目13.組み合わせの核酸分子が、本質的に等モル濃度の組成物で提供される、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0146】
項目14.組み合わせの核酸分子が、−15〜−25kcal/molの範囲のΔGで標的配列と独立してハイブリダイズする、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0147】
項目15.組み合わせの核酸が、−60〜−150kcal/mol、−80〜−150kcal/mol又は−100〜−120kcal/molの範囲の組み合わせたΔGで標的配列と独立してハイブリダイズする、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0148】
項目16.組み合わせの核酸が、標的配列の天然のリフォールディングにより生じるΔGよりも負が大きいΔGで標的配列と独立してハイブリダイズする、前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0149】
項目17.診断用の前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0150】
項目18.細胞の存在の診断のための前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0151】
項目19.抗生物質耐性の決定のための前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0152】
項目20.毒素生成の決定のための前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0153】
項目21.癌遺伝子発現の決定のための前記項目のいずれかに記載の組み合わせ。
【0154】
項目22.前記項目のいずれかに記載の組み合わせを含むキット又はチップ。
【0155】
項目23.試料中の細胞を同定する方法であって、
(a)試料を用意するステップと、
(b)(a)の試料を、項目1〜16のいずれかに記載の核酸分子の組み合わせと、細胞におけるオリゴヌクレオチドと標的配列とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させるステップと、
(c)第1核酸分子の発光基の発光を決定するステップと
を含み、
第1オリゴヌクレオチドの蛍光が、標的配列の存在を示す、方法。
【0156】
項目24.試料が、生体試料、特に臨床試料から選択される、項目23に記載の方法。
【0157】
項目25.ステップ(b)及び(c)が、in situにて、特にFISHにより行われる、項目23又は24に記載の方法。
【0158】
項目26.ステップ(b)において、試料が表面上に固定されている、項目23〜25のいずれかに記載の方法。
【0159】
項目27.ステップ(b)が、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件を含む、項目23〜26のいずれかに記載の方法。
【0160】
項目28.(a)の試料と核酸分子の組み合わせとを接触させるステップが、約30分間まで行われる、項目23〜27のいずれかに記載の方法。
【0161】
項目29.ステップ(b)で使用するハイブリダイゼーション緩衝液が、2価カチオンを含有しない、項目23〜28のいずれかに記載の方法。
【0162】
項目30.細胞の同定のための項目1〜21のいずれかに記載の組み合わせ又は項目22に記載のキット若しくはチップの使用。
【0163】
項目31.細胞の存在の診断用の医薬組成物の製造のための項目1〜21のいずれかに記載の組み合わせ又は項目22に記載のキット若しくはチップの使用。
【図4−01】

【図4−02】

【図4−03】

【図4−04】

【図4−05】

【図4−06】

【図4−07】

【図4−08】

【図4−09】

【図4−10】

【図4−11】

【図4−12】

【図4−13】

【図4−14】

【図4−15】

【図4−16】

【図4−17】

【図4−18】

【図4−19】

【図4−20】

【図4−21】

【図4−22】

【図4−23】

【図4−24】

【図4−25】

【図4−26】

【図4−27】

【図4−28】

【図4−29】

【図4−30】

【図4−31】

【図4−32】

【図4−33】

【図4−34】

【図4−35】

【図4−36】

【図4−37】

【図4−38】

【図4−39】

【図4−40】

【図4−41】

【図4−42】

【図4−43】

【図4−44】

【図4−45】

【図4−46】

【図4−47】

【図4−48】

【図4−49】

【図4−50】

【図4−51】

【図4−52】

【図4−53】

【図4−54】

【図4−55】

【図4−56】

【図4−57】

【図4−58】

【図4−59】

【図4−60】

【図4−61】

【図4−62】

【図4−63】

【図4−64】

【図5−01】

【図5−02】

【図5−03】

【図5−04】

【図5−05】

【図5−06】

【図5−07】

【図5−08】

【図5−09】

【図5−10】

【図5−11】

【図5−12】

【図5−13】

【図5−14】

【図5−15】

【図5−16】

【図5−17】

【図6−01】

【図6−02】

【図6−03】

【図6−04】

【図6−05】

【図6−06】

【図6−07】

【図7−01】

【図7−02】

【図7−03】

【図7−04】

【図7−05】

【図7−06】

【図7−07】

【図7−08】

【図7−09】

【図7−10】

【図7−11】

【図7−12】

【図7−13】

【図7−14】

【図7−15】

【図7−16】

【図7−17】

【図7−18】

【図7−19】

【図7−20】
















































































































【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸配列とハイブリダイズできる核酸分子の組み合わせであって、組み合わせが、
(a)
(i)標的配列とハイブリダイズできる配列と、
(ii)ステムを形成できる2つの相補配列と、
(iii)発光基及び消光基と
を含む少なくとも1つの第1核酸分子であり、核酸がステム−ループ構造を形成すると消光基が蛍光基を消光し、オリゴヌクレオチドが標的配列とハイブリダイズすると蛍光基が励起により発光シグナルを発することができる、少なくとも1つの第1核酸分子と、
(b)第2核酸分子、第3核酸分子及び場合によって少なくとも1つのさらなる核酸分子と
を含み、第2核酸分子、第3核酸分子及び場合による少なくとも1つのさらなる核酸分子が、第1核酸がハイブリダイズする配列の5’側又は/及び3’側に位置する配列にて標的配列とハイブリダイズする組み合わせ。
【請求項2】
核酸が、in situハイブリダイゼーション、特にFISHに適切である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
標的核酸配列が、DNA配列及びRNA配列から選択され、標的核酸配列が、好ましくはrRNA配列又はmRNA配列である、請求項1又は2に記載の組み合わせ。
【請求項4】
核酸分子が、互いに直接隣接する場所にて標的配列とハイブリダイズするか、又は少なくとも2つの核酸分子が、少なくとも1つのヌクレオチドのギャップにより互いに分離された場所にて標的配列とハイブリダイズする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項5】
標的配列とハイブリダイズする核酸分子の少なくとも1つの配列が、16〜26ヌクレオチドの範囲の長さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項6】
組み合わせの核酸分子が、
(i)−15〜−25kcal/molの範囲のΔGで、
(ii)−60〜−150kcal/mol、−80〜−150kcal/mol若しくは−100〜−120kcal/molの範囲の組み合わせたΔGで、又は/及び
(iii)標的配列の天然のリフォールディングにより生じるΔGよりも負が大きいΔGで
標的配列と独立してハイブリダイズする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項7】
診断用の、特に細胞の存在の診断のための請求項1〜6のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項8】
抗生物質耐性、毒素生成又は/及び癌遺伝子発現の決定のための請求項1〜7のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組み合わせを含むキット又はチップ。
【請求項10】
試料中の細胞を同定する方法であって、
(a)試料を用意するステップと、
(b)(a)の試料を、請求項1〜8のいずれか一項に記載の核酸分子の組み合わせと、細胞におけるオリゴヌクレオチドと標的配列とのハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させるステップと、
(c)第1核酸分子の発光基の発光を決定するステップと
を含み、
第1オリゴヌクレオチドの蛍光が、標的配列の存在を示す、方法。
【請求項11】
試料が、生体試料、特に臨床試料から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(b)及び(c)が、in situにて、特にFISHにより行われる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(b)で使用するハイブリダイゼーション緩衝液が、2価カチオンを含有しない、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
細胞の同定のための請求項1〜8のいずれか一項に記載の組み合わせ又は請求項9に記載のキット若しくはチップの使用。
【請求項15】
細胞の存在の診断用の医薬組成物の製造のための請求項1〜8のいずれか一項に記載の組み合わせ又は請求項9に記載のキット若しくはチップの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−520980(P2013−520980A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555445(P2012−555445)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053341
【国際公開番号】WO2011/107606
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(509103624)ミアコム ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】miacom Diagnostics GmbH
【住所又は居所原語表記】Merowingerplatz 1a,D−40225 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】