説明

増強剤を含む固形医薬組成物およびその調製方法

本発明は、消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な医薬組成物を提供する。一態様では、前記医薬組成物が、治療上効果的な量の治療活性成分と、少なくとも1種の水溶性増強剤、例えば、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子約4個から約20個の炭素鎖長を有する増強剤と、糖とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、それぞれの開示の全体を引用することにより本明細書の一部をなすものとする2011年1月26日出願の米国特許出願第13/014,156号明細書および2010年1月28日出願の米国特許仮出願第61/299,211号明細書の利益を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は全般的に、経口投与のための吸収増強剤を含む固形医薬組成物およびその調製方法に関する。この組成物は、治療活性成分および治療活性成分の生物学的利用率を最大限にする増強剤の放出特性を備える。
【背景技術】
【0003】
固形の経口用剤形、特に錠剤は、容易に調製して投与することができ、安定性が優れているので、薬物または治療活性成分を投与するために最も一般的で、好ましい剤形である。錠剤およびある種のカプセルの調製には、圧縮可能な組成物が必要である。治療活性成分単独では通常、必要とされる流動特性および固形の経口用剤形を調製するために必要な圧縮性を有さない。したがって、通常は、組成物に適切な流動特性および圧縮特性を与えるための賦形剤が追加して添加される。
【0004】
治療活性成分によっては、固形剤形からの経口吸収が消化管に限定され、したがって活性成分の十分な生物学的利用率を実現するために増強剤が必要とされることがある。活性成分に加えて賦形剤および増強剤を含めると、経口剤形のサイズが著しく大きくなる可能性があり、したがって経口的に投与することができず、かつ/または1剤形中の投与される活性成分の量を減少させて反復投与が必要となる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、この業界では、活性成分の十分な吸収を実現する合理的な特性を有する経口用剤形を形成できる技術および/または配合が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な医薬組成物を提供する。一態様では、この医薬組成物は、治療上効果的な量の治療活性成分と、少なくとも1種の水溶性増強剤と、糖とを含む。水溶性増強剤は、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であってもよく、炭素原子約4個から約20個の炭素鎖長を有する。一実施形態では、医薬組成物は、対象の小腸に進入した後、治療活性成分および増強剤が実質的に類似の速度で同時に放出される。別の実施形態では、医薬組成物は、対象の小腸に進入した後、治療活性成分および増強剤は迅速に放出される。他の実施形態では、治療活性成分はビスホスホネート化合物である。一実施形態では、糖はソルビトールである。別の実施形態では、増強剤はカプリン酸ナトリウムである。
【0007】
本発明の別の態様は、患者に許容されるサイズの1投与単位で経口投与するために、本明細書で記載した医薬組成物を形成する方法を提供する。一態様では、この方法には、剤形を調製する前にいかなる湿潤剤も添加することなく、増強剤を直接圧縮または乾式造粒することが含まれる。
【0008】
本発明の他の態様は、対象の消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な、医学的状態の治療および/または予防のための方法に関する。この方法には、対象に本明細書で記載した医薬組成物を経口的に投与することが含まれる。
【0009】
本発明の目的は、以下の図面および好ましい実施形態の詳細な説明を読むことによって当業者には明らかであるが、このような記載は本発明を例示するものにすぎない。
【0010】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある態様をさらに示すために組み込まれている。本発明は、本明細書で提示した具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つまたは複数を参照にしてより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1−aは、尿中に排泄されたアレンドロン酸ナトリウムの全用量の百分率と投与当たりのカプリン酸ナトリウム(C10)の量との関係を示した図である。図1−bおよび1−cは、様々な量のC10を含有する錠剤それぞれのC10の溶出プロファイルを示した図である。図1−bは、リン酸緩衝液pH6.8におけるC10の溶出プロファイルを示しており、錠剤当たりの放出されたC10の%として表している。図1−cは、リン酸緩衝液pH6.8におけるC10の溶出プロファイルを示しており、錠剤当たりの放出C10の量として表している。図1−dは、インビボにおける性能[尿中に排泄されたアレンドロン酸ナトリウムの%]とインビトロにおける性能[リン酸緩衝液pH6.8においてT=20分に放出されたアレンドロン酸ナトリウムの量(USPパドル装置、50rpm、37℃、900mL、0.1N HCl中で2時間]との相関を示した図である。図1−eは、インビボにおける性能(尿中に排泄されたアレンドロン酸ナトリウムの%)とインビトロにおける性能(リン酸緩衝液pH6.8においてT=20分に放出されたC10の量(USPパドル装置、50rpm、37℃、900mL、0.1N HCl中で2時間)との相関を示している。
【図2】様々な賦形剤を含む錠剤の崩壊時間を示した図である。
【図3】図3(a)は、EXP1414における錠剤のゾレドロン酸の溶出プロファイルを示した図である。図3(b)は、EXP1415における錠剤のゾレドロン酸の溶出プロファイルを示した図である。
【図4】図4(a)は、EXP1414における錠剤のC10の溶出プロファイルを示した図である。図4(b)は、EXP1415における錠剤のC10の溶出プロファイルを示した図である。
【図5】図5(a)は、EXP1427および1428における錠剤のゾレドロン酸の溶出プロファイルを示した図である。図5(b)は、EXP1427および1428における錠剤のゾレドロン酸の1次微分プロットを示した図である。
【図6】図6(a)は、EXP1427および1428における錠剤のC10の溶出プロファイルを示した図である。図6(b)は、EXP1427および1428における錠剤のC10の1次微分プロットを示した図である。
【図7】図7(a)は、EXP1427および1428における錠剤のゾレドロン酸およびC10の溶出プロファイルを示した図である。図7(b)は、EXP1427における錠剤のゾレドロン酸およびC10の溶出プロファイルを示した図である。図7(c)は、EXP1428における錠剤のゾレドロン酸およびC10の溶出プロファイルを示した図である。
【図8】図8(a)および図8(b)は、ソルビトールを含む錠剤におけるアレンドロン酸およびC10の溶出プロファイルを示した図である。図8(c)は、ソルビトールを含む錠剤におけるアレンドロン酸およびC10の1次微分解析を示した図である。
【図9】図9(a)は、ソルビトールを含む錠剤におけるアシリンおよびC10の溶出プロファイルを示した図である。図9(b)は、ソルビトールを含む錠剤におけるアシリンおよびC10の1次微分解析を示した図である。
【図10】酢酸オクトレオチドおよびC10の同時即放性製剤の溶出プロファイルを示した図である。
【図11】酢酸オクトレオチドおよびC10の非同時放出製剤の溶出プロファイルを示した図である。
【図12】酢酸オクトレオチドおよびC10の同時持続放出性製剤の溶出プロファイルを示した図である。
【図13】酢酸オクトレオチドおよびC10の同時即放性製剤、非同時放出製剤および同時持続放出性放出製剤の溶出プロファイルを比較して示した図である。
【図14】酢酸オクトレオチドおよびC10の同時即放性製剤、非同時放出製剤および持続性同時放出製剤のオクトレオチド血漿濃度プロファイルを比較して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の前記態様およびその他の態様について、本明細書で記載した説明および方法に関してここでより詳細に記載する。本発明は、様々な形態で例示することができ、本明細書で記載した実施形態に限定するものではないことを理解されたい。むしろこれらの実施形態は、本開示が詳細かつ全面的なものとなり、当業者に本発明の範囲を充分に伝達するように提供されている。
【0013】
本明細書において本発明の記載で使用した専門用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、本発明を制限するものではない。本発明の実施形態の記載および添付した特許請求の範囲で使用したように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で特に示さない限り、複数形も同様に含むものとする。また、本明細書で使用した「および/または」は、関連して列挙した事項の1つまたは複数の可能な組み合わせのいずれかおよび全てを意味し、かつ包含する。さらに、本明細書で使用した「約」という用語は、化合物の量、用量、時間、温度などの測定可能な値に関するとき、具体的な量の20%、10%、5%、1%、0.5%または0.1%の変動も包含することを意味する。
【0014】
「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、工程、操作、要素、および/または成分の存在を明示するが、その他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分の1つまたは複数および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことをさらに理解されたい。
【0015】
本発明の組成物に適用したとき、「から実質的になる(consists essentially of)(および文法的な変形)」という用語は、追加成分が組成物を物質的に変化させない限り、その組成物がその追加成分を含有することができることを意味する。組成物に適用したとき、「物質的に変化した」という用語は、記載した成分を含む組成物の治療効果と比較して、組成物の効果が少なくとも約20%以上増加または減少することを意味する。
【0016】
文脈で特に示さない限り、説明で使用した技術用語および科学的用語を含む全用語は、本発明が属する業界の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
【0017】
文脈で特に指示しない限り、本明細書で記載した本発明の様々な特性は任意の組み合わせで使用することができることを明確に企図する。例えば、一実施形態に関連して記載された特性は、本発明のその他の実施形態および態様に適用することもでき、組み合わせることもできる。
【0018】
さらに、本発明はまた、本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で記載した任意の特性または特性の組み合わせを排除または除外することができることを意図する。
【0019】
本明細書で記載した特許、特許出願および出版物は全て、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。専門用語に矛盾が存在する場合、本明細書が優先する。
【0020】
I.医薬組成物
本発明の一態様は、消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、(i)治療上効果的な量の治療活性成分と、(ii)少なくとも1種の水溶性増強剤と、(iii)糖とを含むか、それらから実質的になるか、またはそれらからなる。
【0021】
本発明の発明者らは、本明細書で記載した医薬組成物を経口投与した後、活性成分の生物学的利用率を最大限にする重要な2種類の要素を発見した。1つ目は、医薬組成物が対象の小腸に進入した後、治療活性成分および増強剤が実質的に類似の速度で同時に放出されることである。2つ目は、この放出が迅速に起こることである。これら2つの重要な要素の結果として、消化管内で増強剤と治療活性成分との間の相互作用が最大になることが可能であり、治療活性成分の最も好ましく改善された生物学的利用率がもたらされる。生物学的利用率が改善されることによって、以前必要とされたものより少ない用量の使用が可能となり、かつ/または同用量による、より効果的な治療の実現が可能となる。本出願の発明者らはまた、治療活性成分および増強剤のインビボにおける放出速度は、インビトロにおける剤形からの治療活性成分および増強剤の溶出速度および/または崩壊速度を測定することによって予測できることを見出した。
【0022】
本明細書で使用される、「迅速な放出速度」とは、コーティングを有さない剤形からインビトロにおいて20分で治療活性成分および増強剤の少なくとも80%が溶出することと定義される。その他の実施形態では、「迅速な放出速度」とは、コーティング(例えば、腸溶コーティングまたはその他の種類の遅延放出性もしくは徐放性コーティング)を有する剤形からインビトロにおいて20分で治療活性成分および増強剤の少なくとも80%が溶出することと定義される。一実施形態では、溶出は、USPパドル装置を用いて50rpmでpH6.8リン酸緩衝液900mL中で37℃で実施する。一実施形態では、溶出アッセイには、酸処理の予備工程(例えば、0.1NのHCl中で2時間)が含まれる。「コーティングを有さない剤形」とは、剤形の成分の放出速度を調節するいかなる種類のコーティング(例えば、遅延放出性または徐放性コーティング)も剤形上に有さない、本発明の医薬組成物を含む剤形か、それから実質的になる剤形か、またはそれからなる剤形を意味する。一実施形態では、剤形は錠剤である。あるいは、「迅速な放出速度」とは、コーティングを有さない剤形からインビトロにおいて40分で治療活性成分および増強剤の少なくとも95%が溶出することと定義される。別の実施形態では、迅速な放出速度とは、コーティングを有する剤形からインビトロにおいて40分で治療活性成分および増強剤の少なくとも70%、例えば、40分で少なくとも約75%または80%が溶出することと定義される。
【0023】
本明細書で使用される、「実質的に類似の放出」という用語は、コーティングを有さない剤形から、ある百分率の治療活性成分が放出される時間の、同じ百分率の増強剤が放出される時間に対する比が約1.3から約0.7の範囲であると定義される。その他の実施形態では、「実質的に類似の放出」という用語は、コーティング(例えば、腸溶コーティングまたはその他の種類の遅延放出性もしくは徐放性コーティング)を有する剤形から、ある百分率の治療活性成分が放出される時間の、同じ百分率の増強剤が放出される時間に対する比が約1.3から約0.7の範囲であると定義される。一実施形態では、溶出は、USPパドル装置を用いて50rpmでpH6.8リン酸緩衝液900mL中で37℃で実施する。一実施形態では、溶出アッセイには、酸処理の予備段階(例えば、0.1NのHCl中で2時間)が含まれる。例えば、ゾレドロン酸(治療活性成分)が約20分に80%溶出するならば、カプリン酸ナトリウム(増強剤)は実質的に類似である約14分から26分の範囲で80%溶出しなければならない。一実施形態では、この比は約1.1から約0.9の範囲である。例えば、ゾレドロン酸(治療活性成分)が約20分に80%溶出するならば、カプリン酸ナトリウム(増強剤)は約18分から約22分の範囲で80%溶出しなければならない。
【0024】
一実施形態では、コーティングを有さない剤形中の治療活性成分および増強剤は、pH6.8リン酸緩衝液中で37℃で約40分未満で少なくとも約95%の実質的に類似の溶出性を有する。別の実施形態では、コーティングを有さない剤形中の治療活性成分および増強剤は、pH6.8リン酸緩衝液中で37℃で約30分未満で少なくとも約95%の実質的に類似の溶出性を有する。さらに、一実施形態では、コーティングを有さない剤形中の治療活性成分および増強剤は、pH6.8リン酸緩衝液中で37℃で約20分未満で少なくとも約80%の実質的に類似の溶出性を有する。別の実施形態では、コーティングを有さない剤形中の治療活性成分および増強剤は、pH6.8リン酸緩衝液中で37℃で約18分未満で少なくとも約80%の実質的に類似の溶出性を有する。他の実施形態では、この溶出速度はコーティングを有する剤形と一致する。
【0025】
あるいは、治療活性成分および増強剤の溶出プロファイルはまた、f1およびf2値を使用して比較することもできる。MooreおよびFlanner(Pharm.Tech.20(6):64〜74、1996)は、以下の式に示したように、2つの要素、f1およびf2を使用して、2個の成分の溶出プロファイルを比較するために独立した数学的アプローチのモデルを提案した。
f1={[St=1(R−T)]/[St=1]}・100
f2=50・log{[1+(1/n)St=1(R−T−0.5・100}
【0026】
ここで、RおよびTはそれぞれ、参照物および試験生成物の選択したn時点のそれぞれにおいて溶出した累積百分率である。相対標準偏差(RSDまたは%RSD)は、変動係数の絶対値で、しばしば百分率で表される。%RSDを算出するための式は、%相対標準偏差=((アレイXの標準偏差)/(アレイXの平均))×100(Xは各時点で採取された試料の数)として記載することができる。係数f2が2つのプロファイルの平均二乗差に逆比例する場合、係数f1は2つのプロファイルの間の平均差に比例し、全測定点の中で大きな差を強調する。係数f2は、2つのプロファイルの間の類似性を示す。測定値の性質上、f1は相違係数と呼ばれ、f2は類似係数と呼ばれる。
【0027】
2つの溶出プロファイルが同一の場合、f1=0およびf2=100である。測定された時点全てにおいて平均差が10%であると、f2値は50になる。FDAは2種類の錠剤の溶出プロファイルの間の類似性を示すために、f2値の公式標準値を50〜100と設定した。15未満のf1値は類似性を示すと一般的に受け入れられている。
【0028】
本明細書に含まれるデータによって、剤形が治療活性成分を十分迅速に、かつ増強剤の効果を適切に最大化させるために十分に増強剤を組み合わせて放出するかどうかを決定するために適切な、一連のデータを含む基準を定義することが可能である。以下の基準を適用する。(1)少なくとも6種類の錠剤を各プロファイル測定に使用し、(2)平均溶出値は類似係数を推定するために使用することができ(平均データを使用するため、最初の時点の変動係数%は30%を超えてはならず、その他の時点では20%を超えてはならない)、(3)少なくとも4種類の溶出値を算出で使用しなければならず、そのいずれも0であってはならず、そのうちの1つだけが85%溶出を上回っていてもよい。
【0029】
治療活性成分および増強剤の両方に同じ時点を使用しなければならない。したがって、増強剤および治療活性成分の両方が同時に溶出するための基準全てを満たすことができなくてもよい。1例では、非同時放出が起こる製剤では、プロファイルの1つ(より迅速な成分)が85%を上回る1以上の値を有することが必要であり得る。別の例では、非同時放出を起こす製剤では、その時点で1つの成分がもう1つの成分よりも著しく低い溶出パーセントであるため、両方のプロファイルが同じ時点での%RSDの必要性を満たすことができなくてもよい。
【0030】
独立した数学的アプローチのMooreおよびFlannerモデルは、増強剤および治療活性成分の溶出プロファイルを比較し、同時放出を定義するために適応している。実質的に類似の同時放出は、本明細書では、f1値が15未満と定義される。異なる製剤と同じ活性成分を含有する錠剤を比較する品質管理の目的のために、15未満のf1値は一般的に類似性を示すと受け入れられている。
【0031】
50〜100のf2値は、本明細書では、治療活性成分および増強剤の実質的に類似の同時放出を示すと定義される。本発明者らは、適切な増強剤の性能を保証にするために、活性薬物物質と一緒に経口吸収増強剤を適切に配合するこのような最適化および確実化のアプローチを、だれも使用しないと認識している。
【0032】
いくつかの実施形態では、f1およびf2解析で、時点の数は、4、5、6、7、8または9またはそれ以上であってもよい。当業者は、前記で定義した基準であっても、f1値およびf2値は、試料採取点の数および/または時間の間隔の変化、溶出曲線上の位置およびその他様々なものによって操作することができる。したがって、f1およびf2計算値は、様々な製剤の溶出プロファイルを比較し、本明細書で記載した医薬組成物のプロファイルを示すための手段である。さらに、f1およびf2算出値はまた、1製剤内の増強剤および治療活性成分の放出を比較するための手段として使用することができる。本発明の範囲は、f1およびf2の厳密な値に限定するべきではない。
【0033】
本発明の一実施形態では、増強剤および治療活性成分の溶出プロファイルのf1値は約25未満、例えば、約20、15、10または5未満である。本発明のその他の実施形態では、増強剤および治療活性成分の溶出プロファイルのf2値は少なくとも約50、例えば、少なくとも約55、60、65、70、75、80、85、90または95である。
【0034】
即時に溶出する医薬組成物では、医薬組成物の剤形の崩壊が溶出の律速段階となり得るので、崩壊速度によって溶出の様子を予測することができる。本明細書で記載した医薬組成物の剤形を試験するために使用した崩壊試験は、コーティングを有さない錠剤について、EP2.9.1項「Disintegration of Tablets and Capsules」に記載されているように実施する。概論では水を使用することを推奨している。試験のための温度はセ氏37度である。本発明のいくつかの態様では、本明細書で記載した医薬組成物は比較的速い崩壊速度を実現する。一実施形態では、コーティングを有さない剤形の医薬組成物は、37℃で約15分未満の崩壊時間を有する。別の実施形態では、コーティングを有さない剤形の医薬組成物は、37℃で約10分未満の崩壊時間を有する。
【0035】
本明細書で使用したように、「治療活性成分」という用語は、「活性成分」と同義に使用され、生物学的に有益な効果、好ましくは疾患または異常な生理学的状態の治療において治療効果を有する任意の化合物、複合体または組成物を意味する。この用語はまた、限定はしないが、塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、異性体、断片、類似体などを含む、本明細書で具体的に記載した活性剤の薬学的に許容され、薬理学的に活性のある誘導体を包含する。「治療活性成分」または「活性成分」という用語を使用するとき、および特定の活性成分が具体的に同定されているとき、出願人は活性薬剤自体ならびに薬学的に許容され、薬理学的に活性のある塩、エステル、アミド、プロドラッグ、活性代謝物、異性体、断片、類似体などを含むものとすることを理解されたい。
【0036】
本発明の治療活性成分には、ヒトを含む動物に経口経路を介して投与するために適した任意の活性成分が含まれる。「活性成分」という用語にはまた、経口経路を介してほとんど吸収されない実体が明白に含まれ、例えば、親水性薬物または高分子薬物、例えば、ペプチド、タンパク質、オリゴ糖、多糖またはホルモンが含まれ、限定はしないが、インスリン、カルシトニン、カルシトニン遺伝子調節タンパク質、心房性ナトリウム利尿タンパク質、コロニー刺激因子、ベタセロン、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン、ソマトロピン、ソマトトロピン、ソマトスタチン、インスリン様成長因子(ソマトメジン)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、抗利尿ホルモン(ADH)またはバソプレシンおよびそれらの類似体、例えば、デスモプレシン、副甲状腺ホルモン(PTH)、オキシトシン、エストラジオール、ヒト成長ホルモンを含む成長ホルモン、酢酸ロイプロリド、ゴセレリン酢酸塩、ナファレリン、ブセレリン、第VIII因子、インターロイキン−2などのインターロイキンおよびそれらの類似体ならびに抗血液凝固剤、例えば、ヘパリン、ヘパリン類似物質、低分子ヘパリン(LMWH)ヒルジンおよびそれらの類似体、ビスホスホネート、例えば、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、インカドロネート、インバドロネート、ミノドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネートおよびゾレドロネート、抗血液凝固五糖を含む五糖、抗原、アジュバントなどが含まれる。いくつかの実施形態では、活性成分はグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、それらの類似体またはアゴニスト、例えば、エキセナチド、リラグルチドなどである。いくつかの実施形態では、治療活性成分は低分子ヘパリンである。一実施形態では、低分子ヘパリンは、パルナパリン、フォンダパリヌクス、ナドロパリン、セルトパリン、チンザパリン、ダルテパリンまたはエノキソパリンから選択される。
【0037】
別の実施形態では、治療活性成分は親水性薬物である。本明細書で使用したように、「親水性薬物」という用語は、水中での溶出性が1パーセント(w/v)を上回り、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、トルエンまたは炭化水素などの非極性有機溶媒には実質的に不溶性である薬物と定義される。
【0038】
一実施形態では、活性成分は、ビスホスホン酸またはその薬学的に許容される塩である。その他の実施形態では、活性成分はアレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、インカドロン酸、インバドロン酸、ミノドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸またはそれらの薬学的に許容される塩から選択される。いくつかの実施形態では、活性成分は、アレンドロン酸またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、活性成分は、ゾレドロン酸またはその薬学的に許容される塩である。
【0039】
一実施形態では、治療活性成分は、GnRHアンタゴニストおよびGnRHアゴニストの両方を含むGnRH関連化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、本発明はGnRHアンタゴニストに適用することができる。いくつかの実施形態では、本発明には、限定はしないが、以下のGnRHアンタゴニスト、アシリン(Ac−D2Nal−D4Cpa−D3Pal−Ser4Aph(Ac)−D4Aph(Ac)−Leu−ILys−Pro−DAla−NH)、アセチル−β−[2−ナフチル]−D−Ala−D−p−クロロ−Phe−β−[3−ピリジル]−D−Ala−Ser−Nε−[ニコチノイル]−Lys−Nε−[ニコチノイル]−D−Lys−Leu−Nε−[イソプロピル]−Lys−Pro−D−Ala−NH(本明細書ではアンチドとも呼ぶ)、アセチル−D2Nal1、D4C1Phe2、D3Pal3、ARg5、Dglu6(AA)(本明細書ではNalGluとも呼ぶ)、アセチル−D2Nal−D4CIPhe−D3Pal−Ser−Aph(Ac)−D−Aph(Ac)−Leu−Lys(lpr)−Pro−D−Ala−NH、アバレリックス(Specialty European Pharma、Dusseldorf、Germany)、Nal−Lys、シナレル、(Searle、Peapack、N.J.)、ガニレリックス(オルガルトラン/アンタゴン)(Organan,West Orange,N.J.)、セトロレリックスI(Aeterna Zentaris Inc、Frankfurt、Germany)、セトロタイド、アザリンB、5および6位にp−ウレイド−フェニルアラニンを包含する新世代長時間作用型GnRH類似体(デガレリクスなど)、FE200486、Ac−D2Nal−D4Cpa−D3Pal−Ser−4Aph(L−ヒドロオロチル)−D4Aph(カルバモイル(carbarnoyl))−Leu−ILys−Pro−DAla−NH(その酢酸塩はFE200486である)、Ac−D2Nal−D4Cpa−D3Pal−Ser−4Aph(Atz)−D4Aph(Atz)−Leu−ILys−Pro−DAla−NH(式中、Atzは3'−アミノ−1H−1’,2’,4’−トリアゾール−5’−イルである)ならびに米国特許第5,506,207号、米国特許第5,821,230号、米国特許第5,998,432号、米国特許第6,156,772号、米国特許第6,156,767号、米国特許第6,150,522号、米国特許第6,150,352号、米国特許第6,147,088号、米国特許第6,077,858号、米国特許第6,077,847号、米国特許第6,025,366号、米国特許第6,017,944号、米国特許第6,004,984号、米国特許第6,214,798号および米国特許第6,875,843号に記載されたアンタゴニストが含まれる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種のGnRHアンタゴニストは、アシリン、アバレリックス、アザリンB、セトロレリックス、ガニレリックス、テベレリックス、デガレリクス、アンチド、オルンチドおよび米国特許第7,098,305号に記載されたGnRHアンタゴニストからなる群から選択される。
【0040】
いくつかの実施形態では、活性成分はHDAC阻害剤である。本明細書で使用したように、「ヒストン脱アセチル化酵素」および「HDAC」という用語は、ヒストンのN末端のリシン残基のα、εアミノ基からアセチル基を除去する酵素のファミリーのいずれか1つを意味するものとする。文脈で他に指示がなければ、「ヒストン」という用語は、任意の種のH1、H2A、H2B、H3、H4およびH5を含む任意のヒストンタンパク質のことを意味する。ヒストン脱アセチル化酵素は、クラスIおよびクラスII酵素を含むことができ、限定はしないが、HDAC−1、HDAC−2、HDAC−3、HDAC−4、HDAC−5、HDAC−6、HDAC−7およびHDAC−8を含むヒト由来であってもよい。いくつかの実施形態では、ヒストン脱アセチル化酵素は、原生動物、細菌または真菌から得られる。
【0041】
本明細書で使用したように、「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」および「HDAC阻害剤」という用語は、ヒストン脱アセチル化酵素と相互作用し、その酵素活性を阻害することができる化合物を意味するものとする。「ヒストン脱アセチル化酵素の酵素活性を阻害する」という表現は、ヒストンからアセチル基を除去するヒストン脱アセチル化酵素の能力を抑制することを意味する。いくつかの実施形態では、ヒストン脱アセチル化酵素の活性のこのような抑制は、少なくとも約50%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%である。その他の実施形態では、ヒストン脱アセチル化酵素の活性は、少なくとも95%または少なくとも99%抑制される。適切なHDAC阻害剤には、限定はしないが、短鎖脂肪酸、例えば、ブチレート、フェニルブチレート、ピバロイルオキシメチルブチレート、N−ヒドロキシ−4−(3−メチル−2−フェニル−ブチリルアミノ)−ベンズアミド,4−(2,2−ジメチル−4−フェニルブチリルアミノ)−N−ヒドロキシベンズアミド、バルプロエートおよびバルプロ酸、ヒドロキサム酸およびそれらの誘導体、例えば、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)およびその誘導体、オキサムフラチン、M−カルボキシケイ皮酸ビスヒドロキサミド、スベリックビスヒドロキサム酸(SBHA)、ニコチンアミド、スクリプタイド(scriptaid)(SB−556629)、スクリプタード(scriptide)、スプリトマイシン(splitomicin)、ルナシン(lunacin)、ITF2357、A−161906、NVP−LAQ824、LBH589、ピロキサミド(pyroxamide)、CBHA、3−Cl−UCHA、SB−623、SB−624、SB−639、SK−7041、MC1293などのプロペンアミド、アロイルピロリルヒドロキシアミド、例えばAPHA化合物8、およびリコスタチン、例えばトリコスタチンAおよびトリコスタチンC、環状テトラペプチド、例えばトラポキシン、ロミデプシン、HC−トキシン、クラミドシン、ジヘテロペプチン、WF−3161、Cyl−1、Cyl−2、アピシジン、デスピペプチド(FK228)、FR225497、FR901375、スピルコスタチン、例えば、スピルコスタチンA、スピルコスタチンBおよびスピルコスタチンC、サリナミド、例えば、サリナミドAおよびサリナミドBならびに環式ヒドロキサム酸含有ペプチド(CHAP)、ベンズアミド、例えば、M344、MS−275、CI−994(N−アセチルジナリン)、タセジナリンおよびシルチノール、三環系ラクタムおよびスルタム誘導体、ジアリルジスルフィドおよびスルホラファンなどの有機硫黄化合物、α−ケトアミドおよびトリフルオロメチルケトンなどの求電子性ケトン、ピメロイルアニリド o−アミノアニリド(PAOA)、デプデシン、プサマプリン(psammaplin)、ツバシン、クルクミン、ヒスタシン、6−クロロ-2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−カルバゾール−1−カルボキサミド、CRA−024781、CRA−026440、CG1521、PXD101、G2M−777、CAY10398、CTPBおよびMGCDO103が含まれる。「HDAC阻害剤」という用語はまたそれらの類似体および形態全てを含み、光学的に純粋な鏡像異性体または混合物、鏡像異性体のラセミ体またはその他、ならびにそれらの薬学的に許容される誘導体型を含む。一実施形態では、HDAC阻害剤は、デプシペプチドである。
【0042】
一実施形態では、活性成分はソマトスタチン、サンドスタチン LAR(酢酸オクトレオチド)、フォルテオ(テリパラチド)、ジェムザール(ゲムシタビン)、キュビシン(ダプトマイシン)、トレアンダ(ベンダムスチン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンD3、アボネックス(インターフェロンβ−1a)、ベルケイド(ボルテゾミブ)およびヒト成長ホルモンから選択される。
【0043】
一実施形態では、活性成分は鉄複合体である。本明細書で使用したように、「鉄」複合体には、酸化状態のいずれかの鉄(Fe)およびいずれかの塩と合わせた鉄(Fe)が含まれる。「2価鉄」とは、+2の電荷をおびた鉄(Fe2+、Fe++、鉄(II)とも称する)を意味する。「3価鉄」とは、+3の電荷をおびた鉄(Fe3+、Fe+++、鉄(III)とも称する)を意味する。2価鉄塩および3価鉄塩の例には、限定はしないが、硫酸第1鉄および硫酸第2鉄、フマル酸第1鉄、フマル酸第2鉄、コハク酸第1鉄、コハク酸第2鉄、グルコン酸第1鉄、グルコン酸第2鉄などが含まれる。その他の複合体の例にはまた、PCT公開番号WO/2005/041928に記載されたものが含まれる。一実施形態では、「鉄」複合体は、キレートまたは塩の形態であってもよい。例には、限定はしないが、ピロリン酸第2鉄およびEDTA鉄ナトリウムが含まれる。
【0044】
本明細書で使用したように、「活性成分」という用語はそれらの形態全てを含み、光学的に純粋な鏡像異性体または混合物、鏡像異性体のラセミ体またはその他、ならびに、例えば、塩、酸、エステルなどの誘導体型を含む。活性成分は、固形物、液体、溶液、懸濁液などを含む任意の適切な相状態で提供することができる。固形の粒子形態で提供されるとき、粒子は、任意の適切な大きさまたは形態であってもよく、1個または複数の結晶形態、半結晶形態および/またはアモルファス形態をとることができる。
【0045】
本明細書で使用したとき、「治療上効果的な量の治療活性成分」とは、動物において治療上有用な応答を惹起する活性成分の量を意味する。いくつかの実施形態では、動物は哺乳類である。いくつかの実施形態では、動物はヒトである。
【0046】
本明細書で使用したように、「増強剤」という用語は、ヒトなどの動物の消化管を通過して、治療活性成分、特に、親水性および/または高分子の治療活性成分の輸送(例えば、吸収)を増強することができる水溶性化合物(または化合物の混合物)を意味する。本明細書で使用した「水溶性」という用語は、室温で、約0.5mg/ml、例えば、1mg/mlまたは10mg/mlの濃度で水に溶出または混和することができる化合物と定義される。増強剤には、限定はしないが、界面活性剤、脂肪酸、中鎖グリセリド、ステロイド界面活性剤、アシルカルニチンおよびアルカノイルコリン、N−アセチル化α−アミノ酸およびN−アセチル化非−α−アミノ酸、例えば、8−[N−(2−ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリン酸ナトリウム(SNAC)および10−[N−(2ヒドロキシベンゾイル)アミノ]デカン酸ナトリウム(SNAD)およびキトサンおよびその他の粘膜付着性のポリマーならびにこれらの化合物の塩および誘導体が含まれる。いくつかの実施形態では、増強剤は、治療活性成分を含む医薬組成物で経口的に投与したとき、増強剤を含まない医薬組成物と比較して治療活性成分の生物学的利用率を少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%または50%増加させる水溶性化合物である。
【0047】
いくつかの実施形態では、増強剤は、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子約4個から約20個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態では、増強剤は、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子約6個から約20個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態では、炭素鎖長は、炭素原子8個から14個である。いくつかの実施形態では、増強剤は、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子6個から20個の炭素鎖長を有するが、但し、(i)増強剤が中鎖脂肪酸のエステルの場合、炭素原子6個から20個の前記炭素鎖長は、カルボン酸部分の鎖長に関連しており、(ii)増強剤が中鎖脂肪酸のエーテルの場合、少なくとも1個のアルコキシ基が炭素原子6個から20個の炭素鎖長を有する。別の実施形態では、増強剤は、室温で固体の中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子8個から14個の炭素鎖長を有するが、但し、(i)増強剤が中鎖脂肪酸のエステルの場合、炭素原子8個から14個の前記炭素鎖長は、カルボン酸部分の鎖長に関連しており、(ii)増強剤が中鎖脂肪酸のエーテルの場合、少なくとも1個のアルコキシ基が炭素原子8個から14個の炭素鎖長を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、増強剤は、中鎖脂肪酸のナトリウム塩である。別の実施形態では、中鎖脂肪酸は、炭素原子8個から14個の炭素鎖長を有する。いくつかの実施形態では、ナトリウム塩は室温で固体である。別の実施形態では、増強剤は、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム(「C10」とも称する)およびラウリル酸ナトリウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、増強剤はカプリン酸ナトリウムである。増強剤はさらに、引用することにより本明細書の一部をなすものとする米国特許出願第2003/0091623号明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、増強剤は組成物中に存在する吸収増強剤のみである。
【0049】
本明細書で使用したように、「中鎖脂肪酸の誘導体」には、長さが炭素原子4個から20個の少なくとも1本の炭素鎖を有する脂肪酸誘導体が含まれる。この炭素鎖の特徴は、様々な飽和の程度であってもよい。言い換えると、炭素鎖は、例えば、完全に飽和していてもよく、部分的に不飽和であってもよい(すなわち、1個または複数の炭素−炭素多重結合を含有している)。「脂肪酸誘導体」という用語は、アシル誘導体、例えば、エステル、酸ハロゲン化物、無水物、アミドおよび亜硝酸塩ならびにエーテルおよびグリセリド、例えば、モノ、ジもしくはトリグリセリドも包含することを意味する。「脂肪酸誘導体」という用語は、酸基(または誘導体)の反対の炭素鎖の末端も前述の部分(すなわち、エステル、酸ハロゲン化物、無水物、アミドおよびニトリル、エーテルおよびグリセリド部分)の1つを官能基としている中鎖脂肪酸をさらに包含する。したがって、このような二官能性脂肪酸誘導体には、例えば、二酸およびジエステル(官能基部分が同じ種類である)ならびに異なる官能基部分を含む二官能性化合物、例えば、アミノ酸およびアミノ酸誘導体(例えば、酸(またはそれらのエステルもしくは塩)に対して脂肪酸炭素鎖の反対の末端にアミド部分を含む中鎖脂肪酸、またはそれらのエステルまたは塩)が含まれる。いくつかの実施形態では、中鎖脂肪酸の誘導体は、元の中鎖脂肪酸の吸収増強活性の少なくとも20%、例えば、吸収増強活性の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%またはそれ以上を有する。
【0050】
増強剤の任意の適切な量を本明細書で記載した組成物に組み込むことができる。しかし、いくつかの実施形態では、増強剤の重量百分率は、1投与単位中において医薬組成物の全重量の少なくとも約50パーセントである。別の実施形態では、増強剤の重量百分率は、1投与単位中において医薬組成物の全重量の少なくとも約60パーセントである。一実施形態では、増強剤の量は1投与単位中において少なくとも約2.0mmolである。いくつかの実施形態では、増強剤の量は1投与単位中において少なくとも約2.5mmolである。さらに、一実施形態では、増強剤の量は1投与単位中において少なくとも約3.5mmolである。いくつかの実施形態では、増強剤(例えば、カプリン酸ナトリウム)の量は少なくとも約400mg(カプリン酸ナトリウム約2.06mmol)である。一実施形態では、増強剤(例えば、カプリン酸ナトリウム)の量は少なくとも約550mg(カプリン酸ナトリウム約2.8mmol)である。いくつかの実施形態では、増強剤(例えば、カプリン酸ナトリウム)の量は少なくとも約700mg(カプリン酸ナトリウム約3.6mmol)である。
【0051】
本明細書で使用したように、「治療上効果的な量の増強剤」とは、経口投与を介して治療上効果的な量の治療活性成分の摂取を可能にする増強剤の量を意味する。吸収の不十分な薬物の消化管での吸収を改善するための増強剤の効果は投与部位に左右され、最適な送達の部位は薬物および増強剤に左右されることが示された。
【0052】
糖は、医薬製剤中で希釈剤として広く使用されるが、崩壊特性を有することは知られていない。しかし、糖(例えば、ソルビトールまたはマンニトール)を含む製剤は、糖を含まない製剤よりも非常に迅速に崩壊することが発見された。効果的な量の水溶性生物学的利用率増強剤と共に組み込むと、糖を含めて作製された錠剤は全般的により迅速に崩壊する。崩壊特性を有する結合剤と共に作製された増強剤製剤の中には、糖を含む増強剤製剤よりも遅く崩壊するものがあることも驚くべきことに発見された。本発明の医薬組成物中における糖の存在はまた、活性成分および水溶性増強剤成分の溶出速度に影響を及ぼす可能性がある。糖がない場合、活性剤および水溶性増強剤の溶出速度が明らかに異なっていても、糖(例えば、ソルビトール)が存在するとこれらの成分に実質的に類似の溶出速度がもたらされる可能性があることが発見された。特に、ビスホスホネート(例えば、アレンドロネートまたはゾレドロン酸)および水溶性増強剤(例えば、本明細書で定義したような脂肪酸増強剤、例えば、C10脂肪酸、例えば、カプリン酸ナトリウム)を含む製剤において糖(例えば、ソルビトール)が存在すると、ビスホスホネート活性成分および水溶性増強剤の実質的に類似の溶出速度を容易に実現することができる。
【0053】
任意の適切な糖を、本発明の組成物に含めることができる。本明細書で使用したように、本発明で使用した「糖」には、糖アルコール、単糖、二糖およびオリゴ糖が含まれる。糖アルコールの例には、限定はしないが、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、ラクチトール、ペンチトールおよびヘキシトールが含まれる。単糖の例には、限定はしないが、グルコース、フルクトース、アルドースおよびケトースが含まれる。二糖の例には、限定はしないが、スクロース、イソマルト、ラクトース、トレハロースおよびマルトースが含まれる。オリゴ糖の例には、限定はしないが、マルトトリオース、ラフィノースおよびマルトテトラオースが含まれる。いくつかの実施形態では、糖はソルビトール、マンニトールまたはキシリトールである。いくつかの実施形態では、糖はソルビトールである。いくつかの実施形態では、糖はスクロースである。いくつかの好ましい実施形態では、糖は、水溶性増強剤、例えば、脂肪酸増強剤、例えば、C〜C20、例えば、C〜C14、例えば、C10脂肪酸増強剤またはそれらの塩もしくは誘導体、例えば、カプリン酸ナトリウムなどと共に組み込まれる。糖を含めることはまた、ビスホスホネート、例えば、アレンドロネートまたはゾレドロン酸を含む組成物に好ましい。いくつかの実施形態では、脂肪酸増強剤(例えば、前述のような)およびビスホスホネート活性成分(例えば、前述のような)と組み合わせて糖(例えば、前述の糖、例えば、ソルビトールまたはマンニトール)を含む組成物が特に好ましい。特に、ゾレドロン酸およびC10脂肪酸の溶出速度はソルビトールが存在すると著しく改善されることが発見された。
【0054】
任意の適切な量の糖を本発明の組成物に添加することができる。本発明のいくつかの実施形態では、増強剤および糖の比は、生じた医薬組成物の所望する溶出速度および/または圧縮性を実現するために調節することができる。いくつかの実施形態では、増強剤と糖との重量百分率の比は、約2:1から20:1、例えば、約2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1またはそれらの任意の範囲である。しかし、いくつかの実施形態によれば、増強剤と糖との重量百分率の比は、約3:1から6:1である。さらに、別の実施形態では、増強剤と糖との重量百分率の比は、約5:1である。一実施形態では、増強剤と糖との重量百分率の比は、約4:1である。
【0055】
任意の適切な等級の糖を本発明の組成物で使用することができる。しかし、いくつかの実施形態では、糖の等級の選択は、特定の等級の糖の粒径分布(PSD)に左右され得る。さらに、別の実施形態において、糖の特定の等級は、溶出速度または圧縮性などの生じた医薬組成物の特性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、糖の等級の選択は、その他の賦形剤および治療活性成分のPSDに左右される。いくつかの実施形態では、糖は、パーテック150直接圧縮ソルビトールである。その他の実施形態では、糖はパーテックSI 400(Merck KGaA、Darmstadt、Germany)である。
【0056】
本発明の医薬組成物は、1種または複数の補助的賦形剤、例えば、速度制御高分子材料、希釈剤、滑沢剤、崩壊剤、可塑剤、粘着防止剤、不透明剤、流動促進剤、色素、矯臭剤などを含むことができる。当業者には明らかなように、賦形剤およびその相対量の正確な選択は、最終剤形にある程度左右される。
【0057】
適切な希釈剤には、例えば、薬学的に許容される不活性充填剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、リン酸水素カルシウム、糖および/または前記のいずれかの混合物が含まれる。希釈剤の例には、微結晶セルロース、例えば、商標名アビセル(FMC Corp.、Philadelphia、Pa.)で販売されている微結晶セルロース、例えば、Avicel(商標)pH101、アビセル(商標)pH102およびアビセル(商標)pH112、ラクトース、例えば、ラクトース1水和物、無水ラクトースおよびファルマトースDCL21、リン酸水素カルシウム、例えば、エンコンプレス(Emcompress)、マンニトール、デンプン、ソルビトール、スクロース、グルコースおよびそれらの組み合わせおよび混合物が含まれる。
【0058】
圧縮する粉末の流動性に作用する薬剤を含む適切な滑沢剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、例えば、エアロジル(商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびそれらの組み合わせおよび混合物である。
【0059】
適切な崩壊剤には、例えば、軽度に架橋結合したポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプンおよび修飾デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムおよびそれらの組み合わせおよび混合物が含まれる。
【0060】
本明細書で使用した「速度制御高分子材料」という用語には、本発明の固形経口用剤形からの活性成分の放出を制御または遅延させることができる親水性ポリマー、疎水性ポリマーおよび親水性および/または疎水性ポリマーの混合物が含まれる。適切な速度制御高分子材料には、ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(エチレン)オキシド、アルキルセルロース、例えば、エチルセルロースおよびメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、親水性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート、ポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート、ポリ(アルキルメタクリレート)およびポリ(ビニルアセテート)からなる群から選択されるものが含まれる。その他の適切な疎水性ポリマーには、アクリル酸またはメタクリル酸およびそれぞれのエステルから得られたポリマーおよび/またはコポリマー、ゼイン、ワックス、シェラックおよび水添植物油が含まれる。本発明の実施において特に有用なのは、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリル酸およびポリメタクリレートポリマー、例えば、オイドラギットの商標名(Rohm GmbH、Darmstadt、Germany)で販売されているポリマー、特に、オイドラギット(登録商標)L、オイドラギット(登録商標)S、オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)RSコーティング材料およびそれらの混合物である。これらのポリマーのいくつかは、薬物が放出される部位を制御するための遅延放出ポリマーとして使用することができる。それらには、ポリメタクリレートポリマー、例えば、オイドラギットの商標名(Rohm GmbH、Darmstadt、Germany)で販売されているもの、特に、オイドラギット(登録商標)L、オイドラギット(登録商標)S、オイドラギット(登録商標)RLおよびオイドラギット(登録商標)RSコーティング材料およびそれらの混合物が含まれる。
【0061】
本発明による医薬組成物は、錠剤、粒子、多粒子、カプセル、ペレット、ミニ錠、カプセル化ペレット、カプセル化ミニ錠、カプセル化微粒子、または粘膜付着形態(例えば、錠剤またはカプセル)の剤形であってもよい。一実施形態では、医薬組成物はコーティングしていない剤形(例えば、錠剤)であってもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、胃における活性成分および増強剤の放出、したがって、胃での増強剤の局所的濃度の希釈を最小限に抑え、小腸において薬物および増強剤を放出する遅延放出剤形である。その他の実施形態では、医薬組成物は遅延放出即効型剤形である。このような剤形は、胃内での活性成分および増強剤の放出、したがって、胃での増強剤の局所的濃度の希釈を最小限に抑えるが、小腸内の適切な部位に一旦達したら活性成分および増強剤を迅速に放出し、吸収部位における活性成分および増強剤の局所濃度を最大限にすることによって浸透性の乏しい活性成分の送達を最大限にする。いくつかの剤形では、医薬組成物は錠剤の形態である。
【0062】
本明細書で使用した「錠剤」という用語には、限定はしないが、即放性(IR)錠剤、徐放性(SR)錠剤、マトリックス錠剤、多層錠剤、多層マトリックス錠剤、持続放出性錠剤、遅延放出性錠剤およびパルス放出性錠剤が含まれ、それらのいずれか、またはいずれも1種または複数のコーティング物質、例えば、ポリマーコーティング物質、例えば、腸溶コーティング、速度制御コーティング、半浸透性コーティングなどで任意選択的にコーティングすることができる。「錠剤」という用語はまた、薬物化合物が浸透剤(osmagent)(および任意選択的にその他の賦形剤)と一緒になっており、半浸透性膜でコーティングされており、この半浸透膜が薬物化合物を放出することができる開口部が限定されている、浸透圧送達系を含む。いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、IR錠剤、SR錠剤、コーティングIR錠剤、マトリックス錠剤、コーティングマトリックス錠剤、多層錠剤、コーティング多層錠剤、多層マトリックス錠剤およびコーティング多層マトリックス錠剤からなる群から選択される。さらに、いくつかの実施形態では、医薬組成物は腸溶コーティング錠剤の剤形である。その他の実施形態では、医薬組成物は腸溶コーティング即効型錠剤の剤形である。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、カプセル型の固形の経口用剤形の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のカプセル型の固形の経口用剤形は、即放性カプセル、徐放性カプセル、コーティングされた即放性カプセルおよび遅延放出性カプセルを含むコーティングされた徐放性カプセルからなる群から選択される。さらに、別の実施形態では、カプセル剤形は腸溶コーティングされたカプセル剤形である。いくつかの実施形態では、カプセル剤形は腸溶コーティングされた即効型カプセル剤形である。
【0064】
本明細書で使用した「多粒子」という用語は、複数の離散した粒子、ペレット、ミニ錠剤およびそれらの混合物または組み合わせを意味する。医薬組成物が多粒子カプセルの場合、多粒子を含有するためにこのような硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセルを適切に使用することができる。あるいは、多粒子を含有するためにサシェを適切に使用することができる。所望するならば、多粒子は、速度制御ポリマー物質を含有する層でコーティングしてもよい。本発明のいくつかの実施形態による多粒子経口剤形は、インビトロおよび/またはインビボ放出特性が異なる粒子、ペレットまたはミニ錠剤の2個以上の集団のブレンドを含んでいてもよい。例えば、多粒子経口剤形は、適切なカプセルに含有された即時放出性成分および遅延放出性成分のブレンドを含んでいてもよい。
【0065】
あるいは、多粒子と1種または複数の補助的賦形剤とは、多層錠剤などの錠剤形態に圧縮することができる。いくつかの実施形態では、多層錠剤は、同じかまたは異なる放出特性を有する同じ活性成分の同じかまたは異なるレベルを含有する2層を含むことができる。別の実施形態では、多層錠剤は、各層に異なる活性成分を含有することができる。単層または多層のこのような錠剤は、制御放出特性をさらにもたらすために、制御放出ポリマーで任意選択的にコーティングすることができる。さらに、いくつかの実施形態では、本発明の多粒子剤形は、遅延放出即効性ミニ錠剤を含有するカプセルを含む。別の実施形態では、多粒子剤形は、即時放出性ミニ錠剤を含む放出遅延性カプセルを含む。いくつかの実施形態では、多粒子剤形は、遅延放出性顆粒を含むカプセルを含む。別の実施形態では、多粒子剤形は、即時放出性顆粒を含む遅延放出カプセルを含む。
【0066】
前述の実施形態のいずれかの場合、制御放出コーティング(例えば、腸溶コーティング)は、最終剤形(カプセル、錠剤、多層錠剤など)に適用することができる。制御放出コーティングは通常、前記で定義したような速度制御ポリマー物質を含むことができる。このようなコーティング物質の溶出の特性は、pH依存性であってもよく、またはpHに非依存性であってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はコーティングされていてもよく、コーティングされていなくてもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物はコーティングされていない。
【0068】
II.1回投与形態の医薬組成物の形成方法
本発明の別の態様は、本明細書で記載した医薬組成物を患者が許容できるサイズの1回投与単位で形成する方法を提供する。この方法は、剤形を調製する前にいかなる湿潤剤も添加することなく、増強剤を直接圧縮または乾式造粒することを含む。一実施形態では、本明細書で記載した方法は、圧縮または造粒した増強剤を治療活性成分および糖と共に混合することをさらに含む。別の実施形態では、増強剤自体を圧縮または造粒する。一実施形態では、患者が許容できるサイズは、約1.2g/投薬以下である。いくつかの実施形態では、患者が許容できる大きさは、約1.0g/投薬以下である。
【0069】
本明細書で使用したように、「直接圧縮」のプロセスとは、固形剤形に含まれる粉末成分が、その物理的性質を変更することなく直接圧縮されるプロセスのことである。いくつかの実施形態では、直接圧縮プロセスは、いかなる湿潤剤も含まない。
【0070】
本明細書で使用したように、「乾式造粒」のプロセスは、成分を混合し、成分をスラッギング(slugging)し、乾式スクリーニングし、潤沢にし、最終的に成分を圧縮するプロセスである。いくつかの実施形態では、混合工程は、任意選択的に滑沢剤を含む。本発明のいくつかの実施形態によれば、乾式造粒プロセスは、いかなる湿潤剤も含まない。活性成分または賦形剤のいずれかの成分が、錠剤化するのに十分な接着特性を有するとき、乾式造粒プロセスが通常適用される。乾式造粒は、本発明による医薬組成物の調製で使用することが好ましい。特に、乾式造粒の使用は、組成物が水溶性増強剤、例えば、脂肪酸増強剤、例えば、C〜C20、例えば、C〜C14、例えば、C10脂肪酸増強剤またはそれらの塩または誘導体、例えば、カプリン酸ナトリウムを含むとき好ましい。乾式造粒の使用はまた、ビスホスホネート、例えば、アレンドロネートまたはゾレドロン酸を含む組成物に好ましい。乾式造粒プロセスを使用すると、特にこれらの好ましい状況で、医薬組成物からの活性剤の生物学的利用率の改善および迅速な放出をもたらすことができる。このように生物学的利用率が改善されるのは、乾式造粒を使用して調製された1錠在中にはより多くのカプリン酸ナトリウムを組み込むことができること、および乾式造粒によって調製された錠剤によってより迅速な溶出がもたらされることによる可能性がある。したがって、乾式造粒は、水溶性増強剤の投与を介して吸収を増強するための好ましい製造技術である。
【0071】
III.治療方法
本発明の他の態様は、本明細書で記載した医薬組成物を対象に経口的に投与することを含む、対象の消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な、医学的状態の治療および/または予防のための方法を提供する。治療活性成分の治療上効果的な血中レベルをもたらすために対象の消化管への組成物の投与が使用に含まれる場合に特に、医学的状態の治療および/または予防で使用するための医薬組成物も考慮される。
【0072】
いくつかの実施形態では、治療活性成分はビスホスホネート化合物である。医学的状態は、ビスホスホネート化合物が治療的、予防的、または診断的利益をもたらし得る任意の状態であってもよい。医学的状態の例には、限定はしないが、骨粗鬆症、関節リウマチ、骨折、過剰な骨吸収、骨癌およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0073】
一実施形態では、治療活性成分はGnRHアンタゴニストである。医学的状態は、GnRHアンタゴニストが治療的、予防的、または診断的利益をもたらし得る任意の状態であってもよい。医学的状態の例には、限定はしないが、性ホルモン依存性疾患、例えば、良性前立腺過形成、前立腺癌、エストロゲン依存性乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、子宮内膜症および思春期早発症およびヒトまたは動物対象における避妊が含まれる。
【0074】
一態様では、治療活性成分はペプチドまたはタンパク質活性成分である。医学的状態は、ペプチドまたはタンパク質が治療的、予防的、または診断的利益をもたらす任意の状態であってもよい。本発明によって治療、予防または診断することができる医学的状態の例には、限定はしないが、鬱血性心不全、敗血症、ワクチン(例えば、ライム病ワクチン)、慢性C型肝炎、癌(例えば、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、悪性黒色腫、皮膚T細胞リンパ腫、HER2陽性転移乳癌、急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ性白血病)、AIDS関連カポシ肉腫、性器疣贅または陰部疣贅、発作性夜間血色素尿症、多発硬化症、皮膚病変、創面、目の感染症、HIV AIDS、尖圭コンジローマ、重篤な失血、血液量増加症、低タンパク血症、成人および若年性関節リウマチ、膵外分泌不全およびガストリノーマの診断、周術期の血液損失および輸血の必要性を減じるための予防的使用、膿疱性線維症、慢性膵炎、膵管封鎖、重篤な低血糖、消化管画像、ヘパリン誘導性血小板減少症、HIV誘導性体重低下の予防、閉経後骨粗鬆症、再水和、副腎皮質機能不全のスクリーニング、慢性尋常性乾癬、血友病、頚部ジストニア、急性進展性貫壁性心筋梗塞、胚塞栓症、深部静脈血栓症、動脈血栓症または塞栓症、動静脈カニューレの閉塞、原発性インスリン様増殖因子欠損症、慢性皮膚潰瘍、重篤な皮膚熱傷、ワクチンアジュバント、糖尿病(I型およびII型)、肥満、代謝異常症候群X、冠動脈血栓症、IVカテーテルクリアランス、ファブリー病、頚部ジストニア、重篤な原発性腋窩多汗症、斜視、眼瞼痙攣、化学療法によって減少した血小板レベルの増加、皮膚および皮膚構造の感染症、骨髄移植、血友病AおよびBにおける出血性合併症、ゴーシェ病、白血球産生の増加、好中球減少症、ムコ多糖症VI、肝外悪性腫瘍の診断、直腸結腸腫瘍の画像、先端巨大症、貧血、フォンビルブランド病、第XIII因子欠乏症、粘膜症(口の痛み)、女性不妊症、汎細葉性肺気腫および低身長症が含まれる。
【0075】
別の実施形態では、医学的状態には、限定はしないが、先端巨大症、カルチノイド腫瘍、血管作用性小腸ペプチド腫瘍、骨粗鬆症、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、膵癌、皮膚および皮膚構造の感染症、スタフィロコッカスアウレウス血流感染症、慢性リンパ性白血病、無痛性B細胞性非ホジキンリンパ腫、ビタミンB12欠乏症(例えば、菜食主義者、吸収障害、内因子低下、細菌または寄生虫の感染)、多発硬化症、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、成長ホルモン欠乏症、プラダ−ウィリー症候群(PWS)、ターナー症候群、突発性低身長およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0076】
ここで本発明を、以下の実施例を参照してより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、例示のために提示されており、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0077】
[実施例1]
湿式造粒対乾式造粒によって調製した錠剤の生物学的利用率の検討
a.湿式造粒による錠剤の調製
湿式造粒によって調製された錠剤の配合を表1−aに示す。錠剤は以下のように調製した。カプリン酸ナトリウム、アレンドロン酸1ナトリウム三水和物およびPVP K30の乾燥粉末混合物を、25パーセント溶液を使用して造粒した。次に、顆粒をふるい分けし、その後、流動床で乾燥し、粉砕した。次に、顆粒をエアロゾル、マンニトール、ポリプラスドンおよびステアリン酸とともにブレンドした。ブレンドした混合物を圧縮し、予備コーティングした。最終的に、混合物を腸溶コーティングした。
【0078】
本発明の研究者らは、20mgのアレンドロネートおよび550mgのC10を含む錠剤を湿式造粒を使用して調製しようとした。しかし、この錠剤は、破砕性およびコーティング特性が許容されなかったため、崩壊試験でうまくいかなかった。湿式造粒によって調製された錠剤に含まれるC10の最大量は、錠剤が許容可能なコーティング特性および破砕特性を有するように、錠剤当たり約250mgから300mgであることが観察された。
【0079】
実施例1および2に注意されたい。錠剤は全て、アレンドロン酸1ナトリウム塩3水和物を使用して調製した。錠剤1(a)および錠剤1(b)では、アレンドロン酸の量は、アレンドロン酸1ナトリウム塩3水和物と同モルである(アレンドロン酸1ナトリウム塩3水和物7.86mgは、遊離酸であるアレンドロン酸6.0mgと同モルである)。アレンドロン酸ナトリウムまたはアレンドロン酸錠剤に関して本明細書に含めたすべての実施例および図面では、組成物はアレンドロン酸ナトリウムを含有し、量はアレンドロン酸の同モル量として表される。
【0080】
b.乾式造粒による錠剤の調製
乾式造粒によって調製された錠剤の配合を表1−bに示す。錠剤は以下の通りに調製した。カプリン酸ナトリウムおよびソルビトール(約293mgのパーテックSI 400)をまず乾式混合した。次に、スラッギングプロセスをこの乾式混合物に実施した。次いで、この混合物を最初に破砕し、粉砕した。この混合物を賦形剤と共にブレンドし、次に圧縮して予備コーティングした。最後に、混合物を腸溶コーティングした。調製中に、本研究者らは、カプリン酸ナトリウムを乾式造粒するとき、カプリン酸ナトリウム少なくとも550mgが一錠剤中に組み込まれ得ることを発見した。予期せぬことに、乾式造粒によって湿式造粒よりも小さな物質が生成される。
【0081】
c.生物学的利用率データの比較
乾式造粒によって調製されたアレンドロン酸の錠剤の生物学的利用率を、湿式造粒によって調製された錠剤と比較した。表1−aおよび表1−bで例示したように、乾式造粒によって調製したカプリン酸ナトリウム550mgを含む錠剤の生物学的利用率(尿中排泄用量の%)は、湿式造粒によって調製されたカプリン酸ナトリウム合計550mgを含む2種類の錠剤と比較して著しく改善されていた。本発明の研究者らは、この生物学的利用率の改善は、実施例2において以下に論じたように、乾式造粒を使用して調製された1錠剤中にはより多くのカプリン酸ナトリウムを組み込むことができること、および乾式造粒によって調製された錠剤によってより迅速な溶出がもたらされることによると考える。
【0082】
【表1a−1】

【0083】
【表1a−2】

【0084】
【表1b】

【0085】
【表2】

【0086】
図1−aは、湿式造粒を使用することによって調製した様々な製剤対乾式造粒によって調製した製剤の生物学的利用率を図示している。乾式造粒によって調製した錠剤は四角、三角および丸形で示す。湿式造粒によって調製した錠剤は菱形で示す。図1は、湿式造粒によって調製した錠剤の生物学的利用率が、投薬したカプリン酸ナトリウムの量に関係なく類似していることを示している。乾式造粒によって調製した錠剤の生物学的利用率(菱形)は、同様の配合であるが湿式造粒によって調製した錠剤(四角)と比較して約2倍である。
【0087】
図1−aに示したように、乾式造粒によって製造された錠剤(菱形)は、尿中に排泄された全用量の百分率が最高である。したがって、中鎖脂肪酸塩を使用して収集したこれらのデータによって証明されたように、乾式造粒は、水溶性増強剤を投与することによって吸収を増強するための好ましい製造技術である。さらに、C10を全部で500mg含む錠剤2個の生物学的利用率(四角)は、C10を250mg含む錠剤1個(丸)と同様であり、C10を550mg含む錠剤1個(菱形)よりもずっと低いことが認められた。したがって、錠剤中の増強剤の量は、錠剤の生物学的利用率に影響を及ぼす主要な変数ではないようである。C10の必要量は、反復投与単位よりも1回投与単位に含まれることが好ましいことがさらに示唆される。
【0088】
図1−bおよび図1−cは、様々な量のC10を含有する錠剤のC10の溶出プロファイルを示した図である。図1−bは、リン酸緩衝液pH6.8におけるC10の溶出プロファイルを示しており、錠剤当たりの放出されたC10の%として表している。図1−cは、リン酸緩衝液pH6.8におけるC10の溶出プロファイルを示しており、錠剤当たりの放出されたC10の量として表している。溶出試験は、コーティングしていない錠剤で実施した。錠剤をpH6.8リン酸緩衝液約900mlに入れ、USPパドル装置を使用して50rpmで撹拌した。系は37℃に維持した。アレンドロン酸およびC10の溶出プロファイルを作製するために、試料は規定の時点で採取した。図1−bおよび図1−cの両方で示したように、約20分後、C10約550mgを含有する錠剤は比較的良好な溶出プロファイルを有する。
【0089】
図1−dは、インビボにおける性能(尿中に排泄されたアレンドロン酸の%)とインビトロにおける性能(リン酸緩衝液pH6.8においてT=20分に放出されたアレンドロン酸の量(USPパドル装置、50rpm、37℃、900mL、0.1N HCl中で2時間))との関係を示した図である。図1−eは、インビボにおける性能(尿中に排泄されたアレンドロン酸の%)とインビトロにおける性能(リン酸緩衝液pH6.8においてT=20分に放出されたC10の量(USPパドル装置、50rpm、37℃、900mL、0.1N HCl中で2時間)との関係を示した図で、乾式造粒錠剤がインビボ吸収においてより良好であることを示している。図1−dで示したように、インビトロで溶出したアレンドロン酸の量の増加と観察されたC10約550mgを含有する錠剤のインビボ性能の上昇との間には明らかな相関はない。しかし、図1−eで示したように、インビトロで溶出したC10の量の増加(剤形当たり)とC10約550mgを含有する錠剤のインビボ性能の上昇との間には相関がある。したがって、剤形当たりのC10の量の増加は、C10のより迅速な溶出速度をもたらし、次いで、迅速な溶出速度は錠剤の生物学的利用率の改善をもたらす。
【0090】
[実施例3]
様々な賦形剤を含む錠剤の崩壊時間
水溶性生物学的利用能増強剤および様々な賦形剤を含有する錠剤の崩壊時間の研究を実施した。結果は図2にまとめて示す。微結晶セルロースおよびアルファ化デンプンは、錠剤の希釈および崩壊特性のために医薬で広く使用されている。糖は、医薬製剤中で希釈剤として広く使用されるが、崩壊特性を有することは知られていない。EXP1366、EXP1371、EXP1372およびEXP1373で使用した錠剤の配合を表3〜表6に挙げる。図2に示したように、糖(例えば、ソルビトールまたはマンニトール)を含む製剤は、糖を含まない製剤よりも非常に迅速に崩壊する。結論として、効果的な量の水溶性生物学的利用能増強剤と共に組み込むと、糖と共に作製された錠剤はより迅速に崩壊する。崩壊特性を有する結合剤と共に作製された増強剤製剤は、糖を含む増強剤製剤よりも遅く崩壊することは驚くべきことである。
【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
[実施例4]
ゾレドロン酸およびC10を含む錠剤のためにソルビトールを含む錠剤対微結晶セルロースを含む錠剤の溶出速度
ソルビトールと共に形成された水溶性増強剤を含有するゾレドロン酸錠剤対微結晶セルロースと共に形成された錠剤の溶出速度を試験するための研究を実施した。微結晶セルロースを含む錠剤(EXP1414)の配合を表7に示し、ソルビトールを含む錠剤(EXP1415)の配合を表8に示す。EXP1414およびEXP1415の両方について、錠剤はコーティングしなかった。EXP1414およびEXP1415のゾレドロン酸およびC10の溶出を表9〜表12に示す。ゾレドロン酸およびC10の溶出プロファイルを図3および図4に図示する。
【0096】
図3および図4および表9〜表12に示したように、EXP1415(ソルビトールを含む錠剤)におけるゾレドロン酸およびC10の溶出は、EXP1414(微結晶セルロースを含む錠剤)の溶出と比較して非常に速い。例えば、EXP1415におけるC10は、約30分で約100%溶出する。EXP1415におけるゾレドロン酸は、約30分で約100%溶出する。対照的に、EXP1414のC10およびゾレドロン酸の溶出は、約45分後にようやく約80%に達する。したがって、ゾレドロン酸およびC10の溶出速度はソルビトールが存在すると著しく改善されると結論づけることができる。
【0097】
さらに、図3(b)を図4(b)と比較すると、ゾレドロン酸およびC10の溶出は、EXP1415における錠剤と実質的に類似している。例えば、EXP1415におけるゾレドロン酸は、約30分で約100%溶出する。EXP1415におけるC10は、同様に約30分で約100%溶出する。対照的に、EXP1414のゾレドロン酸およびC10の溶出は、あまり類似していない。この結果も驚くべきことで、おそらく、微結晶セルロースを含む錠剤で認められた崩壊速度が予想外に遅いためであろう。
【0098】
【表7】

【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
【表10】

【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
[実施例5]
ソルビトール対微結晶セルロースを含む錠剤のf1およびf2の検討
本明細書で記載した製剤の溶出プロファイルを分析するために、f1(差違係数)およびf2(類似係数)分析も実施した。f1およびf2の試験および算出は、当業者には公知である(例えば、J.W.Moore and H.H.Flanner、Mathematical Comparison of curves with an emphasis on in vitro dissolution profiles.Pharm.Tech.20(6):64〜74、1996;V.P.Shah,etc.、In vitro dissolution profile comparison−statistics and analysis of the similarity factor、f2.Pharm.Res.15:889〜896、1998を参照のこと)。
【0105】
(1)ゾレドロン酸およびC10を含む錠剤
EXP1427で使用した錠剤の配合は、EXP1414で使用した錠剤(微結晶セルロースを含む錠剤)と同じである。EXP1428で使用した錠剤の配合は、EXP1415で使用した錠剤(ソルビトールを含む錠剤)と同じである。EXP1427および1428の溶出データおよびf1およびf2分析を表13〜表23に挙げる。溶出プロファイルおよび1次微分分析は図5から図7に図示する。表13〜表20および図5から図7に示したように、f1およびf2分析は、EXP1428の錠剤(ソルビトールを含む)のゾレドロン酸およびC10の溶出プロファイルは実質的に類似であることを示している。しかし、EXP1427の錠剤のゾレドロン酸およびC10の溶出プロファイルは明らかに異なっている。この所見は、製剤中にソルビトールが存在すると、活性成分(ゾレドロン酸)および増強剤(C10)の実質的に類似の溶出速度がもたらされる可能性があることを示している。
【0106】
【表13】

【0107】
【表14】

【0108】
【表15】

【0109】
【表16】

【0110】
【表17】

【0111】
【表18】

【0112】
【表19】

【0113】
【表20】

【0114】
(2)アレンドロネート、C10およびソルビトールを含む錠剤
アレンドロネート、C10およびソルビトールを含む錠剤は、乾式造粒を使用して調製した錠剤と同じ配合をしており、実施例(1b)で前述したのと同様の方法によって調製した。溶出速度は、実施例2のように測定した。溶出データおよびf1およびf2分析を表21〜表24に挙げる。溶出プロファイルおよび1次微分分析は図8(a)、図8(b)および図8(c)に図示する。表21〜表24および図8(a)、図8(b)および図8(c)に示したように、f1およびf2分析は、アレンドロネートおよびC10の溶出プロファイルは実質的に類似であることを示している。
【0115】
【表21】

【0116】
【表22】

【0117】
【表23】

【0118】
【表24】

【0119】
(3)アシリン、C10およびソルビトールを含む錠剤
アシリン、C10およびソルビトールを含む錠剤は、前述のゾレドロン酸、C10およびソルビトールを含む錠剤と同様に調製した。溶出データおよびf1およびf2分析値を表25〜表27に挙げる。溶出プロファイルおよび1次微分分析はまた、図9(a)および図9(b)に図示する。表25〜表27および図9(a)および図9(b)に示したように、f1およびf2分析は、アシリンおよびC10の溶出プロファイルが実質的に類似であることを示している。
【0120】
【表25】

【0121】
【表26】

【0122】
【表27】

【0123】
[実施例6]
様々な投与条件での生物学的利用率の検討
鼻空腸挿管によって空腸へ投与した低分子ヘパリン(LMWH)の吸収に対する中鎖脂肪酸、カプリン酸(C10)のナトリウム塩の様々な用量の影響を評価するために、ヒトでの挿管試験を実施した。すべての空腸内への投与は、各投与について特注した空腸設置の鼻空腸カテーテルによって投与された。以下の表28に示したように、パルナパリンおよび増強剤(C10)の溶液を投与すると(同時投与)(実験2)、C10を15分早く投与し、その後パルマパリンを投与した場合(実験6)と比べて、生物学的利用率が改善される。薬物および増強剤が溶液中に一緒に存在するので、この実験では、消化管内での腸溶コーティング錠剤からの薬物および増強剤双方の迅速かつ完全な同時放出が繰り返される。これらのデータは、剤形から実質的に同じ速度で活性成分および増強剤を放出させることの重要性を強調している。
【0124】
【表28】

【0125】
[実施例7]
酢酸オクトレオチドの錠剤の溶出試験
酢酸オクトレオチド、C10およびソルビトールを含む錠剤の溶出速度を試験するための実験を実施した。この研究には2つの目的があった。1つ目は、影響を及ぼすパラメータの変動を制御して、前記で得られた予期せぬ所見を確かめることである。2つ目は、本発明の利点がペプチドを含む高分子ならびにより小さな従来の化合物に適用されることを確かめることである。3種類の異なる製剤を試験に含めた。(1)酢酸オクトレオチドおよびC10の同時速放、(2)非同時放出製剤(酢酸オクトレオチドの徐放およびC10の同時速放)、ならびに(3)酢酸オクトレオチドおよびC10の同時徐放。3種類の製剤、製造方法および溶出速度を以下に挙げる。
【0126】
(1)酢酸オクトレオチドおよびC10の同時速放
A.製剤
酢酸オクトレオチドおよびC10の同時速放のための配合を表29に示す。
【0127】
【表29】

【0128】
材料を室温に平衡化するために、分配する1時間前に酢酸オクトレオチドを冷凍庫から取り出した。
【0129】
B.製造
(i)分配
全材料を秤量ボート(weight boat)に分配した。次に、カプリン酸ナトリウムおよび酢酸オクトレオチドおよびパーテック SI 150を355μmメッシュで篩い、ステンレススチール製のベースパン(base pan)に入れた。これらの材料を次にプラスティック容器に移し、5分間一緒にブレンドした。次に、ステアリン酸を355μmメッシュで篩い、ブレンドした材料に添加し、さらに2分間ブレンドした。
【0130】
(ii)打錠
次にブレンドした材料を700mgずつ計量し、16×8mm楕円型の部品を装着したMTCM−I単発式錠剤圧縮器でPSI 4500で圧縮した。平均硬度は103Nで、平均重量は699mgであった。全部で60個の錠剤を圧縮した。これらの錠剤をDuma瓶に入れ、冷凍庫で一晩保存した。錠剤を冷凍庫から取り出し、室温に平衡化した。
【0131】
(iii)フィルムコーティング(予備)
オパドライIIイエロー85F32410 51.34gおよび精製水205.26mlを分配し、IKA攪拌機を使用して高速で40分間一緒に混合した。40分後、溶液を90μmメッシュで篩った。大きくしたプラセボ核および酢酸オクトレオチド錠剤の両方をO’Hara Labcoat Mに入れ、錠剤を以下のパラメータを使用してコーティングして、重量が約4.5%増加した。
予備フィルムコーティングパラメータ
回転速度(10rpm)
供給気流量(100m/時間)
供給気流温度(50℃)
排気流温度(27.8℃)
噴霧圧力(0.6バール)
溶液噴霧速度(51mL/分)
【0132】
錠剤は、噴霧工程終了時にパン内で10分間乾燥させた。重量の4.0%増加が実現した。次に、予備コーティングした錠剤を二重袋に入れ、冷凍庫で一晩保存した。
【0133】
(iv)フィルムコーティング(腸溶)
錠剤を冷凍庫から取り出し、室温に平衡化した。Acryl−EZE White 93018509 130.4gおよび精製水521.6mlを分配し、IKA攪拌機を使用して速度で20分間一緒に混合した。20分後、溶液を90μmメッシュで篩った。
【0134】
一塊にした核および酢酸オクトレオチド予備コーティング錠剤の両方をO’Hara Labcoat Mに入れ、錠剤をコーティングして、以下のパラメータを使用して重量が約10%増加した。
腸溶コートフィルムコーティングパラメータ
回転速度(10rpm)
供給気流量(100m/時間)
供給気流温度(53℃)
排気流温度(30℃)
噴霧圧力(0.6バール)
溶液噴霧速度(6mL/分)
【0135】
溶液を適用する前に、錠剤を10分間加熱した。また、予備コーティングした錠剤は、噴霧工程終了時にパン内で10分間乾燥させた。重量の10%増加が実現した。次に、腸溶コーティングした錠剤を二重袋に入れ、冷凍庫で一晩保存した。溶出およびアッセイを調べるために錠剤12個を研究所に提出した。残りの錠剤を二重袋に入れ冷凍庫で保存した。
【0136】
C.溶出速度
酢酸オクトレオチドの溶出速度を表30に、C10の溶出速度を表31に示す。酢酸オクトレオチドおよびC10の溶出プロファイルを図10に図示する。
【0137】
図10および表30および表31に示したように、酢酸オクトレオチドおよびC10の同時即放性製剤の溶出速度は速く、非常に類似している。
【0138】
【表30】

【0139】
【表31】

【0140】
(2)非同時放出製剤(酢酸オクトレオチドの徐放およびC10の速放)
A.製剤
酢酸オクトレオチドおよびC10の非同時放出のための配合を表32に示す。
【0141】
【表32】

【0142】
材料を室温に平衡化するために、分配する1時間前に酢酸オクトレオチドを冷凍庫から取り出した。
【0143】
B.製造
(i)分配/ブレンド(a)
前記の全材料を秤量ボート(weght boat)に分配した。次に、カプリン酸ナトリウムおよびステアリン酸を355μmメッシュで篩い、ステンレススチール製のベースパン(base pan)に入れた。これらの材料を次にプラスティック容器に移し、一緒に5分間混合した。
【0144】
(ii)ブレンド(b)
酢酸オクトレオチドおよびメトセルK4Mも355μmメッシュで篩い、ステンレススチール製のベースパンに入れた。これらの材料を次にプラスティック容器に移し、一緒に5分間混合した。
【0145】
(iii)打錠
ブレンド(a)した材料を取り出し、533.5mgからなる部分に計量し、16×8mm楕円型の部品を装着したMTCM−I単発式錠剤圧縮器で80psiの力で軽く圧縮した。次に、ブレンド(b)を146.5mgからなる部分に計量し、軽く圧縮した錠剤の上部に添加し、これらの部分を4500psiの力で完全に圧縮し、平均硬度100Nおよび平均重量700mgの2層錠剤を製造した。全部で58個の錠剤を圧縮した。
【0146】
これらの錠剤をDuma瓶に入れ、冷凍庫で一晩保存した。錠剤を冷凍庫から取り出し、室温に平衡化した。
【0147】
(iv)フィルムコーティング(予備)
オパドライIIイエロー85F32410 81.0gおよび精製水324mlを分配し、IKA攪拌機を使用して高速で40分間一緒に混合した。40分後、溶液を90μmメッシュで篩った。
【0148】
大きくしたプラセボコアおよび酢酸オクトレオチド錠剤の両方をO’Hara Labcoat Mに入れ、錠剤を以下のパラメータを使用してコーティングして、重量が約4.5%増加した。
予備フィルムコーティングパラメータ
回転速度(5〜15rpm)
供給気流量(40m/時間)
供給気流温度(50℃)
排気流温度(27.6〜29.3℃)
噴霧圧力(0.6バール)
溶液噴霧速度(5mL/分)
【0149】
錠剤は、噴霧工程終了時にパン内で10分間乾燥させた。重量の4.5%増加が実現した。次に、予備コーティングした錠剤を二重袋に入れ、冷凍庫で一晩保存した。
【0150】
(v)フィルムコーティング(腸溶)
錠剤を冷凍庫から取り出し、室温に平衡化した。
【0151】
Acryl−EZE White 9301 8509 130.4gおよび精製水521.6mlを分配し、IKA攪拌機を使用して速度で20分間一緒に混合した。20分後、溶液を90μmメッシュで篩った。大きくしたコアおよび酢酸オクトレオチド予備コーティング錠剤の両方をO’Hara Labcoat Mに入れ、以下のパラメータを使用して錠剤をコーティングして、重量が約10%増加した。
腸溶コートフィルムコーティングパラメータ
回転速度(12rpm)
供給気流量(40m/時間)
供給気流温度(50℃)
排気流温度(28.3〜31.4℃)
噴霧圧力(0.6バール)
溶液噴霧速度(6mL/分)
【0152】
溶液を適用する前に、錠剤を10分間加熱した。また、予備コーティングした錠剤は、噴霧工程終了時にパン内で10分間乾燥させた。重量の10.3%増加が実現した。次に、腸溶コーティングした錠剤を二重袋に入れ、冷凍庫で一晩保存した。溶出およびアッセイを調べるために錠剤12個を研究所に提出した。残りの錠剤を二重袋に入れ冷凍庫で保存した。
【0153】
C.溶出速度
酢酸オクトレオチドの溶出速度を表33に、C10の溶出速度を表34に示す。酢酸オクトレオチドおよびC10の溶出プロファイルを図11に図示する。
【0154】
図11および表33および表34に示したように、C10の溶出速度は、即時であり速く、酢酸オクトレオチドの溶出速度は遅い。
【0155】
【表33】

【0156】
【表34】

【0157】
(3)酢酸オクトレオチドおよびC10の同時徐放性放出
A.配合
酢酸オクトレオチドおよびC10の同時徐放性放出のための配合を表35に示す。
【0158】
【表35】

【0159】
B.製造
(i)分配/ブレンド
全材料を秤量ボートに分配した。次に、カプリン酸ナトリウムおよび酢酸オクトレオチドおよびメトセルK4Mを355μmメッシュで篩い、ステンレススチール製のベースパンに入れた。これらの材料を次にプラスティック容器に移し、一緒に5分間混合した。次に、ステアリン酸を355μmメッシュで篩い、ブレンドした材料に添加し、さらに2分間ブレンドした。
【0160】
(ii)打錠
ブレンドした材料を700mgずつ計量し、16×8mm楕円型の部品を装着したMTCM−I単発式錠剤圧縮器でPSI 4500で圧縮した。平均硬度は105Nで、平均重量は700mgであった。全部で80個の錠剤を圧縮した。これらの錠剤をDuma瓶に入れ、冷凍庫で一晩保存した。錠剤を冷凍庫から取り出し、室温に平衡化した。
【0161】
(iii)フィルムコーティング(予備)
オパドライIIイエロー85F32410 81.0gおよび精製水324mlを分配し、IKA攪拌機を使用して高速で40分間一緒に混合した。40分後、溶液を90μmメッシュで篩った。
【0162】
大きくしたプラセボのコアおよび酢酸オクトレオチド錠剤の両方をO’Hara Labcoat Mに入れ、以下のパラメータを使用して錠剤をコーティングして、重量が約4.5%増加した。
予備フィルムコーティングパラメータ
回転速度(10rpm)
供給気流量(100m/時間)
供給気流温度(50℃)
排気流温度(27.8℃)
噴霧圧力(0.6バール)
溶液噴霧速度(5mL/分)
【0163】
錠剤は、噴霧工程終了時に鍋内で10分間乾燥させた。重量の4.4%増加が実現した。次に、予備コーティングした錠剤を二重袋に入れ、冷凍庫で一晩保存した。
【0164】
(iv)フィルムコーティング(腸溶)
錠剤を冷凍庫から取り出し、室温に平衡化した。Acryl−EZE White 93018509 130.4gおよび精製水521.6mlを分配し、IKA攪拌機を使用して速度で20分間一緒に混合した。20分後、溶液を90μmメッシュで篩った。
【0165】
大きくしたコアおよび酢酸オクトレオチド予備コーティング錠剤の両方をO’Hara Labcoat Mに入れ、以下のパラメータを使用して錠剤をコーティングして、重量が約10%増加した。
腸溶コートフィルムコーティングパラメータ
回転速度(10rpm)
供給気流量(100m/時間)
供給気流温度(53℃)
排気流温度(30℃)
噴霧圧力(0.6バール)
溶液噴霧速度(6mL/分)
【0166】
溶液を適用する前に、錠剤を10分間加熱した。また、予備コーティングした錠剤は、噴霧工程終了時にパン内で10分間乾燥させた。重量の9.6%増加が実現した。次に、腸溶コーティングした錠剤を二重袋に入れ、冷凍庫で一晩保存した。溶出およびアッセイを調べるために錠剤12個を研究所に提出した。残りの錠剤を二重袋に入れ冷凍庫で保存した。
【0167】
C.溶出速度
酢酸オクトレオチドの溶出速度を表39に、C10の溶出速度を表40に示す。酢酸オクトレオチドおよびC10の溶出プロファイルを図12に図示する。
【0168】
図12および表36および表37に示したように、酢酸オクトレオチドおよびC10の溶出速度は非常に類似しており、両方とも遅い。
【0169】
【表36】

【0170】
【表37】

【0171】
(4)3種類の異なる製剤の生物学的利用率
前述の3種類の異なる製剤による酢酸オクトレオチドの生物学的利用率をメスのビーグル犬で調べた。
【0172】
メスのビーグル犬8頭に前記で論じた3種類の製剤の錠剤を4種類の相で投与した。第1相は、IV投与に対応し、その他の治療のための参照剤形である。第2相は、同時速放性製剤に対応する。第3相は、非同時放出製剤に対応する。第4相は、同時徐放性製剤に対応する。各犬に1回経口用量錠剤10mgを投与し、各相の間に少なくとも1週間の休薬期間を設けた。IV制御製剤を同犬(n=8)に50μg/頭の用量で投与した。薬物の血漿レベルを分析するために、以下の時点、0(投与前)、用量投与後15、30、45分、および1、1.5、2、3、4、8、12および24時間に血液を採取した。オクトレオチド血漿濃度をLCMS/MSで測定した。
【0173】
各対象のオクトレオチド濃度時間データから薬物動態パラメータを算出した。静脈注射に対する試験錠剤のCmax、T1/2、AUC(0−t)および%生物学的利用率(%Frel vs IV)。薬物動態パラメータは、UsanskyらによるMSExcel用に書かれたマクロ(Joel I.Usansky,Ph.D.、Atul Desai,M.S.およびDiane Tsang−Liu,PH.D(1999)、PK Functions for Microsoft Excel.)を使用して算出した。全パラメータの群平均、標準偏差および変動係数(CV)%は、MSExcelによる所定の算出で計算した。生物活性データ(PKデータ)の概要を表41から45に挙げる。溶出プロファイルの比較を図13に示す。相1〜4の血漿濃度プロファイルの比較を図14に示す。
【0174】
表38〜42および図14に示したように、同時速放性製剤の生物学的利用率は3種類の製剤の中で最も高い。同時徐放性製剤の生物学的利用率は同時速放性製剤より低いが、IVおよび非同時放出製剤よりは高い。この研究は、オクトレオチドおよび増強剤の同時速放性(同時速放性製剤)は生物学的利用率%Frel vs ivの最もすぐれた増強を提供することを示唆している。同時速放性製剤の%生物学的利用率は、非同時放出製剤の0.45%Frel vs ivおよび同時徐放性製剤の2.45%Frel vs ivと比較して4.85%Frel vs ivであった。
【0175】
f1およびf2分析を表42〜表47に挙げる。表42〜表47に示したように、f1およびf2分析は、酢酸オクトレオチドおよびC10の溶出プロファイルが実質的に類似であることを示している。
【0176】
【表38】

【0177】
【表39】

【0178】
【表40】

【0179】
【表41】

【0180】
【表42】

【0181】
【表43】

【0182】
【表44】

【0183】
【表45】

【0184】
【表46】

【0185】
【表47】

【0186】
前記は、本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。本発明のいくつかの例示的実施形態を記載したが、本発明の新たな教示および利点を著しく逸脱することなく、例示的実施形態において多くの変更が可能であることを当業者は容易に理解するであろう。したがって、このような変更は全て、特許請求の範囲に定義したように本発明の範囲内であるものとする。したがって、前記は、本発明の例示であり、開示した特定の実施形態に制限されるものではなく、開示した実施形態、ならびにその他の実施形態の変更は、添付した特許請求の範囲内に含まれるものとすることを理解されたい。本発明は、以下の特許請求の範囲によって限定され、特許請求の範囲の同等物も含まれるものである。
【図1−a−1−b】

【図1−c−1−d】

【図1−e】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な医薬組成物であって、
(i)治療上効果的な量の治療活性成分と、
(ii)少なくとも1種の水溶性増強剤と、
(iii)糖と
を含み、
対象の小腸に進入した後、前記治療活性成分および前記増強剤の迅速な放出をもたらし、かつ、
コーティングを有さない剤形の形態で、20分で前記治療活性成分および前記増強剤の少なくとも80%のインビトロ溶出をもたらす、医薬組成物。
【請求項2】
コーティングを有さない剤形の形態で、18分で前記治療活性成分および前記増強剤の少なくとも80%のインビトロ溶出をもたらす、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
コーティングを有さない剤形の形態で、40分で前記治療活性成分および/または前記増強剤の少なくとも95%のインビトロ溶出をもたらす、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
コーティングを有さない剤形の形態で、30分で前記治療活性成分および/または前記増強剤の少なくとも95%のインビトロ溶出をもたらす、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記溶出が、USPパドル装置を用いて50rpmでpH6.8リン酸緩衝液900mLにおいて37℃で測定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な医薬組成物であって、
(i)治療上効果的な量の治療活性成分と、
(ii)少なくとも1種の水溶性増強剤と、
(iii)糖と
を含み、
対象の小腸に進入した後、前記治療活性成分および前記増強剤の実質的に類似の放出速度をもたらし、
前記実質的に類似の放出速度が、コーティングを有さない前記医薬組成物の剤形から、ある百分率の前記治療活性成分がインビトロ溶出で放出される時間の、同じ百分率の前記増強剤が放出される時間に対する比で約1.3から約0.7である、医薬組成物。
【請求項7】
前記比が約1.1から約0.9である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記溶出が、USPパドル装置を用いて50rpmでpH6.8リン酸緩衝液900mLにおいて37℃で測定される、請求項6または7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記増強剤および前記治療活性成分の溶出プロファイルのf1が約15未満である、請求項6から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記増強剤および前記治療活性成分の溶出プロファイルのf2が約50から約100の範囲である、請求項6から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な医薬組成物であって、
(i)治療上効果的な量の治療活性成分と、
(ii)少なくとも1種の水溶性増強剤と、
(iii)糖と
を含み、
対象の小腸に進入した後、前記治療活性成分および前記増強剤の迅速な放出をもたらし、かつ、
対象の小腸に進入した後、前記治療活性成分および前記増強剤の実質的に類似の放出速度をもたらす医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物がコーティングを有さない剤形で存在する場合、水中での崩壊時間が37℃で約15分未満である、請求項1から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物がコーティングを有さない剤形で存在する場合、水中での崩壊時間が約37℃で約10分未満である、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
患者に許容されるサイズの単回投与単位で経口投与するための医薬組成物を形成する方法であって、前記組成物が、
(i)治療上効果的な量の治療活性成分と、
(ii)少なくとも1種の水溶性増強剤と、
(iii)糖と
を含み、
前記方法が、剤形を調製する前にいかなる湿潤剤も添加することなく、前記増強剤を直接圧縮または乾式造粒するステップを含む方法。
【請求項15】
圧縮または造粒した増強剤を前記治療活性成分および前記糖と共に混合するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記増強剤自体が圧縮または造粒される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記患者に許容されるサイズが、約1.2グラム/投薬単位以下である、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者に許容されるサイズが、約1.0グラム/投薬単位以下である、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
対象の消化管に投与すると治療活性成分の治療上効果的な血中レベルを対象にもたらすのに効果的な、医学的状態の治療および/または予防のための方法であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含む方法。
【請求項20】
前記糖が、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、スクロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項21】
前記糖がパーテック150直接圧縮ソルビトールである、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項22】
前記増強剤と糖との重量比が約3:1から6:1である、請求項1から21のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項23】
前記増強剤と糖との重量比が約5:1である、請求項1から22のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項24】
前記増強剤と糖との重量比が約4:1である、請求項1から22のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項25】
前記治療活性成分がビスホスホネート化合物である、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項26】
前記ビスホスホネート化合物が、アレンドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、インカドロン酸、イバンドロン酸、ミノドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、チルドロン酸、ゾレドロン酸およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項25に記載の医薬組成物または方法。
【請求項27】
前記ビスホスホネート化合物が、アレンドロン酸、ゾレドロン酸またはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項25に記載の医薬組成物または方法。
【請求項28】
前記治療活性成分が低分子量ヘパリンである、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項29】
前記低分子量ヘパリンが、パルナパリン、フォンダパリヌクス、エノキサパリン、ナドロパリン、セルトパリン、チンザパリン、ダルテパリンおよびエノキソパリンからなる群から選択される、請求項28に記載の医薬組成物または方法。
【請求項30】
前記治療活性成分が親水性薬物または高分子薬物である、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項31】
前記治療活性成分がゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストである、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項32】
前記治療活性成分がアシリンである、請求項31に記載の医薬組成物または方法。
【請求項33】
前記治療活性成分がソマトスタチンである、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項34】
前記治療活性成分が酢酸オクトレオチドである、請求項1から24のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項35】
前記増強剤が、中鎖脂肪酸または中鎖脂肪酸の塩、エステル、エーテルもしくは誘導体であり、炭素原子約4個から約20個の炭素鎖長を有する、請求項1から34のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項36】
前記増強剤が、炭素原子約8個から約14個の炭素鎖長を有する、請求項1から35のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項37】
前記増強剤が、中鎖脂肪酸のナトリウム塩である、請求項1から36のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項38】
前記増強剤が、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウムおよびラウリン酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項1から37のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項39】
前記増強剤がカプリン酸ナトリウムである、請求項1から38のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項40】
前記増強剤が、1投与単位中の前記医薬組成物の全重量の少なくとも約50パーセントの重量百分率で存在する、請求項1から39のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項41】
前記増強剤が、1投与単位中の前記医薬組成物の全重量の少なくとも約60パーセントの重量百分率で存在する、請求項1から40のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項42】
前記増強剤の量が、1投与単位において少なくとも約2.0mmolである、請求項1から41のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項43】
前記増強剤の量が、1投与単位において少なくとも約2.5mmolである、請求項1から42のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項44】
前記増強剤の量が、1投与単位において少なくとも約3.5mmolである、請求項1から43のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項45】
前記増強剤が、前記医薬組成物を調製する前にいかなる湿潤剤も添加することなく、圧縮または造粒される、請求項1から44のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項46】
前記増強剤が、前記医薬組成物を調製する前に直接圧縮される、請求項45に記載の医薬組成物または方法。
【請求項47】
前記増強剤が、前記医薬組成物を調製する前に乾式造粒される、請求項45に記載の医薬組成物または方法。
【請求項48】
前記組成物が、錠剤、粒子、多粒子、カプセル、ペレット、カプセル化ペレットおよびカプセル化微粒子からなる群から選択される剤形である、請求項1から47のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項49】
前記組成物がさらにコーティング、圧縮および/または包装されている、請求項1から48のいずれか一項に記載の医薬組成物または方法。
【請求項50】
請求項1から49のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む固形の経口剤形。
【請求項51】
錠剤、粒子、多粒子、カプセル、ペレット、カプセル化ペレットおよびカプセル化微粒子からなる群から選択される形態の、請求項50に記載の固形の経口剤形。
【請求項52】
前記医学的状態が骨粗鬆症、関節リウマチ、骨折、過剰な骨吸収、骨癌およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19から49のいずれか一項に記載の方法。

【図2】
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【図7(a)−7(b)】
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【図8(b)−8(c)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(c)】
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【図8(a)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−518127(P2013−518127A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551317(P2012−551317)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022908
【国際公開番号】WO2011/094531
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(510295918)メリオン・リサーチ・III・リミテッド (4)
【Fターム(参考)】