説明

増殖分化因子受容体、そのアゴニスト、およびアンタゴニスト、ならびにそれらの使用方法

【課題】GDF-8(ミオスタチン)受容体を含む実質的に精製された増殖分化因子(GDF)受容体と共にその機能的ペプチド部分、さらに、GDF受容体またはその機能的ペプチド部分の仮想表示を提供する。
【解決手段】GDF受容体またはその機能的ペプチド部分を用い、細胞におけるミオスタチンシグナル伝達に影響を及ぼす物質を細胞に接触させることによって、細胞に及ぼすミオスタチンの影響を調節する方法であり、被験者の筋細胞または脂肪組織細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を調節することによって、被験者における筋または脂肪組織の異常な量の代謝活性の発達を少なくとも部分的に特徴とする病態の重症度を改善する方法。ミオスタチンシグナル伝達に影響を及ぼす物質を生物に投与することによって、真核生物における筋組織または脂肪組織の増殖を調節する方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖分化因子(GDF)受容体ポリペプチドまたは受容体ポリペプチドの機能的ペプチド部分をコードする実質的に純粋なポリヌクレオチド。
【請求項2】
GDF-8受容体およびGDF-11受容体からなる群より選択されるGDF受容体をコードする、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドの長さが少なくとも15ヌクレオチドである、GDF受容体をコードする、ポリヌクレオチドと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
ベクターに含まれる、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
請求項1記載のポリヌクレオチドを含む、組換え型宿主細胞。
【請求項6】
ポリヌクレオチドによってコードされるGDF受容体またはその機能的ペプチド部分が発現される、請求項5記載の組換え型宿主細胞。
【請求項7】
実質的に純粋な増殖分化因子(GDF)受容体またはその機能的ペプチド部分。
【請求項8】
GDF-8受容体およびGDF受容体からなる群より選択される、請求項7記載のGDF受容体。
【請求項9】
ドミナントネガティブGDF受容体活性を有する、請求項7記載のGDF受容体またはその機能的ペプチド部分。
【請求項10】
請求項7記載のGDF受容体またはその機能的ペプチド部分に特異的に結合する抗体。
【請求項11】
GDF受容体またはGDF受容体のその機能的ペプチド部分の仮想表示。
【請求項12】
GDF受容体がGDF-8受容体およびGDF-11受容体からなる群より選択される、請求項11記載の仮想表示。
【請求項13】
GDF受容体と特異的に相互作用する作用物質をさらに含む、請求項11記載の仮想表示。
【請求項14】
細胞においてミオスタチンシグナル伝達に影響を及ぼす作用物質を細胞に接触させることを含む、細胞に及ぼすミオスタチンの作用を調節する方法。
【請求項15】
作用物質が、細胞によって発現されるミオスタチン受容体とミオスタチンとの特異的相互作用を変化させる、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ミオスタチン受容体がアクチビン受容体である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アクチビン受容体がアクチビンIIB型受容体である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
作用物質がペプチドを含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
ペプチドが、ミオスタチンと特異的に相互作用することができるミオスタチン受容体の細胞外ドメインを含み、それによって、細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ペプチドが増殖分化因子(GDF)プロドメインまたはその機能的ペプチド部分を含み、およびプロドメインまたはその機能的ペプチド部分がミオスタチンと特異的に相互作用して、それによって細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害することができる、請求項18記載の方法。
【請求項21】
GDFプロドメインがミオスタチンプロドメインである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ミオスタチンプロドメインが、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、16、18、および20からなる群より選択されるプロミオスタチンポリペプチドのアミノ酸残基約20〜262個、またはミオスタチンプロドメインの機能的ペプチド部分を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
ミオスタチンプロドメインが、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列:
配列番号:4に記載のアミノ酸残基約20〜263個;
配列番号:2に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:10に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:12に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:8に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:6に記載のアミノ酸残基約20〜263個;
配列番号:18に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:14に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:16に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
配列番号:20に記載のアミノ酸残基約20〜262個;
および
その機能的ペプチド部分、を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
ミオスタチンプロドメインがミオスタチンシグナルペプチドをさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
ペプチドが、アミノ酸配列:
Arg-Xaa-Xaa-Arg(配列番号:21)
を含む蛋白質分解切断部位での蛋白質分解切断に対して抵抗性である変異体プロミオスタチンポリペプチドである、請求項18記載の方法。
【請求項26】
変異体ミオスタチンポリペプチドがアミノ酸配列:
Arg-Xaa-Xaa-Arg(配列番号:21)
において変異を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
ペプチドが細胞によって発現されるミオスタチン受容体と特異的に相互作用するが、ミオスタチンシグナル伝達を活性化しない、請求項18記載の方法。
【請求項28】
ペプチドが抗ミオスタチン受容体抗体である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
ペプチドが抗ミオスタチン抗体の抗イディオタイプ抗体である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
ペプチドが細胞によって発現されるミオスタチン受容体と特異的に相互作用して、ミオスタチンシグナル伝達を活性化する、請求項18記載の方法。
【請求項31】
ペプチドが抗ミオスタチン受容体抗体である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
ペプチドが変異体ミオスタチン受容体である、請求項18記載の方法。
【請求項33】
作用物質がフォリスタチンである、請求項15記載の方法。
【請求項34】
作用物質がポリヌクレオチドであって、接触する段階が細胞にポリヌクレオチドを導入する段階を含む、請求項14記載の方法。
【請求項35】
ポリヌクレオチドが、細胞において発現可能なペプチドをコードする、請求項34記載の方法。
【請求項36】
ポリヌクレオチドが変異体ミオスタチン受容体をコードする請求項34記載の方法。
【請求項37】
変異体ミオスタチン受容体が、ミオスタチンシグナル伝達を活性化しないという条件でミオスタチンに結合するミオスタチン受容体細胞外ドメインを含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
変異体ミオスタチン受容体が、ミオスタチン受容体細胞外ドメインに機能的に会合した膜接着ドメインを含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
膜接着ドメインが、ミオスタチン受容体膜貫通ドメインの少なくとも膜接着部分を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
変異体ミオスタチン受容体が蛋白質キナーゼ活性を欠損する、請求項36記載の方法。
【請求項41】
ペプチドがミオスタチンシグナル伝達経路において細胞内ポリペプチドのレベルまたは活性に影響を及ぼす、請求項35記載の方法。
【請求項42】
細胞内ポリペプチドがSmadポリペプチドである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
ペプチドがドミナントネガティブSmadポリペプチドである、請求項42記載の方法。
【請求項44】
SmadポリペプチドがSmad2、Smad3、およびSmad4からなる群より選択され、細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害することを含み、ドミナントネガティブSmadポリペプチドが燐酸化部位を欠損する、請求項43記載の方法。
【請求項45】
細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を増加させることを含み、ドミナントネガティブSmadポリペプチドがSmad6およびSmad7からなる群より選択される、請求項43記載の方法。
【請求項46】
ミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害することを含み、細胞内ポリペプチドがc-skiポリペプチドである、請求項41記載の方法。
【請求項47】
ポリヌクレオチドがアンチセンスヌクレオチド配列であるか、またはアンチセンスヌクレオチド配列をコードする、請求項35記載の方法。
【請求項48】
ミオスタチンシグナル伝達を増加させることを含み、アンチセンスヌクレオチド配列がアンチセンスc-skiヌクレオチド配列である、請求項47記載の方法。
【請求項48】
アンチセンスヌクレオチド配列が、アンチセンスSmadヌクレオチド配列である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
被験者における筋細胞または脂肪組織細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を調節することを含み、被験者における筋または脂肪組織の異常な量の発達または代謝活性を少なくとも部分的に特徴とする病態の重症度を改善する方法。
【請求項50】
筋細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害することを含み、病態が消耗性障害である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
消耗性障害がカヘキシアおよび食欲不振からなる群より選択される、請求項50記載の方法。
【請求項52】
消耗性障害が、筋ジストロフィーおよび神経筋疾患からなる群より選択される筋消耗性障害である、請求項50記載の方法。
【請求項53】
病態が代謝障害である、請求項49記載の方法。
【請求項54】
代謝障害が肥満およびII型糖尿病からなる群より選択される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
筋細胞におけるミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害することを含む、請求項54記載の方法。
【請求項56】
脂肪組織細胞におけるミオスタチンシグナル伝達の増加を含む、請求項54記載の方法。
【請求項57】
生物において増殖分化因子(GDF)受容体によるシグナル伝達に影響を及ぼす作用物質を生物に投与することを含む、真核生物における筋組織または脂肪組織の増殖を調節する方法。
【請求項58】
作用物質が変異体GDF受容体である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
変異体GDF受容体がドミナントネガティブGDF受容体である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
作用物質が、GDF受容体によって媒介されるシグナル伝達経路において細胞内ポリペプチドのレベルまたは活性に影響を及ぼす、請求項57記載の方法。
【請求項61】
GDF受容体がミオスタチン受容体である、請求項57記載の方法。
【請求項62】
作用物質がミオスタチンシグナル伝達に影響を及ぼし、それによって生物における筋組織または脂肪組織の増殖を調節する、請求項61記載の方法。
【請求項63】
作用物質が、ミオスタチン受容体とミオスタチンとの特異的相互作用を変化させ、それによってミオスタチンシグナル伝達に影響を及ぼす、請求項62記載の方法。
【請求項64】
作用物質が、ミオスタチン受容体とミオスタチンとの特異的相互作用を減少または阻害して、それによって生物の増殖を増加させる、請求項62記載の方法。
【請求項65】
作用物質がポリヌクレオチドであり、投与する段階が生物の細胞にポリヌクレオチドを導入することを含む、請求項61記載の方法。
【請求項66】
ポリヌクレオチドが、細胞において発現可能なペプチドをコードする、請求項65記載の方法。
【請求項67】
ペプチドが変異体ミオスタチン受容体である、請求項66記載の方法。
【請求項68】
生物において筋組織の増殖を増加させること、脂肪組織の増殖を減少させること、またはその双方を含み、変異体ミオスタチン受容体が、ミオスタチンに結合することができるがミオスタチンシグナル伝達を活性化しないミオスタチン受容体細胞外ドメインを含む、請求項67記載の方法。
【請求項69】
ペプチドがミオスタチンシグナル伝達経路における細胞内ポリペプチドのレベルまたは活性に影響を及ぼす、請求項66記載の方法。
【請求項70】
細胞内ポリペプチドがSmadポリペプチドである、請求項69記載の方法。
【請求項71】
SmadポリペプチドがSmad2、Smad3、およびSmad4からなる群より選択され、生物において筋組織の増殖を増加させること、脂肪組織の増殖を減少させること、またはその双方を含み、ペプチドがドミナントネガティブSmadポリペプチドである、請求項70記載の方法。
【請求項72】
SmadポリペプチドがSmad6およびSmad7からなる群より選択され、生物において筋組織の増殖を減少させること、脂肪組織の増殖を増加させること、またはその双方を含み、ペプチドがドミナントネガティブSmadポリペプチドである、請求項70記載の方法。
【請求項73】
生物において筋組織の増殖を増加させること、脂肪組織の増殖を減少させること、またはその双方を含み、細胞内ポリペプチドがc-skiポリペプチドである、請求項69記載の方法。
【請求項74】
真核生物が脊椎生物である、請求項57記載の方法。
【請求項75】
脊椎生物がウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、マウス、および魚類生物からなる群より選択される、請求項74記載の方法。
【請求項76】
真核生物が無脊椎生物である、請求項57記載の方法。
【請求項77】
無脊椎生物が軟体動物である、請求項76記載の方法。
【請求項78】
ミオスタチンとミオスタチン受容体との特異的相互作用を減少または阻害して、それによって軟体動物の増殖を増加させる作用物質を軟体動物に投与することを含む、請求項77記載の方法。
【請求項79】
軟体動物がエビ、ホタテ貝、ヤリイカ、タコ、およびマキガイからなる群より選択される、請求項77記載の方法。
【請求項80】
ミオスタチンシグナル伝達を増加させ、それによって軟体動物における筋組織の増殖を減少させる作用物質を軟体動物に投与することを含む、請求項77記載の方法。
【請求項81】
軟体動物がナメクジである、請求項80記載の方法。
【請求項82】
以下を含む、増殖分化因子(GDF)受容体と特異的に相互作用する作用物質を同定する方法:
a)GDF受容体を試験作用物質と接触させる段階、および
b)作用物質がGDF受容体と特異的に相互作用するか否かを決定して、それによってGDF受容体と特異的に相互作用する作用物質を同定する段階。
【請求項83】
GDF受容体がミオスタチン受容体である、請求項82記載の方法。
【請求項84】
作用物質がミオスタチンシグナル伝達を増加させるミオスタチン受容体アゴニストである、請求項83記載の方法。
【請求項85】
ミオスタチン受容体アゴニストがミオスタチンの機能的ペプチド部分である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
ミオスタチン受容体アゴニストが抗体である、請求項84記載の方法。
【請求項87】
作用物質が、ミオスタチンシグナル伝達を減少または阻害するミオスタチン受容体アンタゴニストである、請求項83記載の方法。
【請求項88】
ミオスタチン受容体アンタゴニストが変異体プロミオスタチンポリペプチドである、請求項87記載の方法。
【請求項89】
試験作用物質が試験作用物質の組み合わせライブラリを含む、請求項82記載の方法。
【請求項90】
試験作用物質の組み合わせライブラリにおける試験作用物質がペプチド、ポリヌクレオチド、ペプチド模倣体、有機低分子、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項89記載の方法。
【請求項91】
以下を含む、増殖分化因子(GDF)受容体を同定する方法:
a)GDFがGDFの受容体と特異的に相互作用するために適した条件で、GDFまたはその機能的ペプチド部分と、GDF受容体を含むことが疑われる試料とを接触させる段階;および
b)試料中のGDFとGDF受容体との特異的相互作用を検出して、それによってGDF受容体を同定する段階。
【請求項92】
GDFがミオスタチンである、請求項91記載の方法。
【請求項93】
試料が筋細胞試料である、請求項91記載の方法。
【請求項94】
以下を含む、増殖分化因子(GDF)受容体またはGDF受容体の機能的ペプチド部分と特異的に相互作用する作用物質を同定する方法:
a)コンピューターシステムにおいて、仮想GDF受容体またはその機能的ペプチド部分との特異的相互作用能に関して仮想試験物質を調べる段階;および
b)仮想GDF受容体またはその機能的ペプチド部分と仮想試験物質との特異的相互作用を検出して、それによってGDF受容体またはその機能的ペプチド部分と特異的に相互作用する作用物質を同定する段階。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【公開番号】特開2012−235781(P2012−235781A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−147832(P2012−147832)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【分割の表示】特願2002−515943(P2002−515943)の分割
【原出願日】平成13年7月26日(2001.7.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(503036173)ザ ジョーンズ ホプキンス ユニバーシティー スクール オブ メディシン (1)
【Fターム(参考)】