Array ( [harmful] => 0 [next] => Array ( [id] => A,2008-537116 [meishou] => レーザー検出および測距(LADAR;LASERDETECTIONANDRANGING)システムのためのサンプルおよびホールド回路 ) [prev] => Array ( [id] => A,2008-537114 [meishou] => クロスした4個の縦方向に連結された慣性センサ ) ) 増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物の同定方法

増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物の同定方法

本発明は、ユビキチンリガーゼの新規基質標的化サブユニットをコードするヌクレオチド配列の発見、同定及び特徴づけに関する。本発明は、ユビキチンリガーゼの新規基質標的化サブユニット:FBP1、FBP2、FBP3、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBPI11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、及びFBP25;をコードするヌクレオチド、遺伝子導入マウス、ノックアウトマウス、宿主細胞発現系、及び該新規基質標的化サブユニットのヌクレオチドによってコードされるタンパク質を含む。本発明は、ユビキチンリガーゼの新規の及び既知の基質標的化サブユニットを使用して、ガン、主要な日和見感染、免疫障害、特定の心血管系疾患、及び炎症性障害などの、増殖障害及び分化障害の治療用の新規の及び既知のユビキチンリガーゼ活性を調節する、新規の及び既知のユビキチンリガーゼの小分子、化合物又は誘導体及び類似体などの、潜在的治療薬を同定するスクリーニングアッセイに関する。本発明はさらに、増殖障害及び分化障害の治療用のユビキチンリガーゼ、並びにそれらの治療用基質を標的化するために設計した、治療プロトコル及び医薬組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1. 緒言)
本発明は、ユビキチンリガーゼの新規基質標的化サブユニットをコードするヌクレオチド配列の発見、同定及び特徴づけに関する。本発明は、ユビキチンリガーゼの新規基質標的化サブユニット:FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP17、FBP18、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23及びFBP25;をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、遺伝子導入マウス、ノックアウトマウス、宿主細胞発現系、及び本発明のヌクレオチドによってコードされるタンパク質を含む。本発明は:アポトーシスを誘導又は阻害に関する新規ユビキチンリガーゼ活性;及び、ガン、主要な日和見感染、免疫障害、特定の心血管系疾患及び炎症性疾患などの増殖障害並びに分化障害の治療に関する新規ユビキチンリガーゼの活性;を調節する、小分子、化合物、又は誘導体、及び新規ユビキチンリガーゼの類似体などの潜在的治療薬を同定するスクリーニングアッセイに関する。本発明はさらに:アポトーシスの調節用のユビキチンリガーゼ及びそれらの基質;並びに増殖障害治療用のユビキチンリガーゼ及びそれらの基質;を標的化するために設計された治療プロトコル並びに医薬組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
(2. 発明の背景)
(2.1 細胞周期制御タンパク質)
真核生物の細胞周期は、それらの活性にサイクリンとよばれる制御サブユニットとの会合が必要であるという理由から、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)とよばれるセリン/スレオニンタンパク質キナーゼのファミリーによって制御される(Hunter及びPinesの論文, 1994, Cell 79:573)。また、Cdkは、様々な抗増殖シグナルに応答して細胞周期停止を仲介する、Cdk阻害剤(Cki)と会合する。配列相同性に基づき、現在までに、2つのファミリーのCkiが哺乳動物細胞で同定されている:p21、p27及びp57を含むCip/Kipファミリー;及び、p15、p16、p18及びp20を含むInkファミリー(Sherr及びRobertsの論文, 1999, Genes Dev. 13: 1501)。
【0003】
(2.2 ユビキチン経路)
ユビキチン介在性タンパク質分解は、p27、p53、p300、サイクリン、E2F、STAT-1、c-Myc、c-Jun、EGF受容体、IκBα、NFκB及びβ-カテニンを含む、多くの細胞性制御タンパク質の時限分解を制御する、非リソソーム性タンパク質分解の重要な経路である(Paganoの論文, 1997, FASEB J. 11:1067に概説されている)。ユビキチンは、全ての真核細胞に豊富に存在する、進化的に高度に保存された76アミノ酸のポリペプチドである。ユビキチン経路は、標的基質へのポリユビキチン鎖の共有結合的連結をもたらし、これはその後、多触媒プロテオソーム複合体によって分解される(Paganoの最近の総説を参照されたい。上記参照)。タンパク質のユビキチン化を制御する多くの段階が知られている。はじめに、ユビキチン活性化酵素(E1)がユビキチンと高エネルギーチオエステルを形成し、これが順次、多くのユビキチン連結酵素(Ubc又はE2)の1つの反応性システイン残基に転移される。標的タンパク質における反応性リジン残基のe-アミノ基へのユビキチンの最終的転移は、ユビキチンリガーゼ(E3)タンパク質を恐らく必要としてよい、又は必要としない反応で起こる。多くのユビキチンリガーゼは、高レベルの基質特異性を保証する。
【0004】
(2.3 ユビキチン経路、及びF-ボックスタンパク質によるG1期の制御)
いくつかの生物での遺伝的研究及び生物学的研究は、細胞周期のG1期がユビキチン経路によって制御されていることを示している。サイクリン、Cki、及び他のG1制御タンパク質のタンパク質分解は、酵母においては、ユビキチン連結酵素Ubc3(Cdc34ともよばれる)、並びに3つのサブユニット:Cdc53、Skp1、及び多くのF-ボックスタンパク質の1つによって形成されるE3ユビキチンリガーゼによって制御される(Pattonらの論文, 1998, Trends in Genet.14:6に概説されている)。F-ボックスタンパク質(FBP)は、サイクリンFで最初に同定され、かつSkp1との相互作用に必要なモチーフであるF-ボックスを含むため、F-ボックスタンパク質とよばれる(Baiの論文, 1996, Cell 86:263)。Cdc53(CulAともよばれる)及びSkp1は、少なくとも3つの異なるE3の形成に関与しているようであり、そのそれぞれが異なるFBPを含む。これらのリガーゼは、Skp1、CulA及びFBPからなるタンパク質モジュールに類似するので、これらはSCFと名づけられた。S.セレビシエ(S. cerevisiae)において、現在までに同定された3つのSCFは:SCFCdc4(これは、F-ボックスタンパク質Cdc4を介して、Cki Sic1及びFar1、複製因子Cdc6、並びに転写活性化因子Gcn4を基質として動員する)、SCFGrr1(これは、F-ボックスタンパク質GRR1を介して、G1サイクリン Cln1及びCln2を基質として動員する)、及びSCFMet30(これは、F-ボックスタンパク質MET30全域で、G1サイクリン Cln3を基質として動員する; Pagano及びPattonの最近の総説を参照されたい。上記参照)である。
【0005】
SCFリガーゼとそれ自体の基質との相互作用は、FBPを介して起こる。FBPは、全ての真核生物に存在する(少なくとも54種の哺乳動物で;Cenciarelliらの論文, 1999, Current Biol. 9: 1177;Winstonらの論文, 1999, Current Biol. 9: 1180)。F-ボックスに加えて、多くのFBPは:タンパク質-タンパク質相互作用、例えばWD-40ドメイン、又はロイシンリッチリピート(LRR);及び、タンパク質-DNA相互作用、例えばタンキラーゼ(tankyrase)結合ドメイン、又はHNHドメイン;の両方を促進する、追加的ドメインを含む。SCFリガーゼの基質特異性は、基質標的化サブユニットとして機能する、異なるFBPによって指示されるので、タンパク質相互作用ドメイン又はDNA相互作用ドメインの様々な組み合わせを有するFBPの多くは、高度に特異的な基質認識を保証する(Cenciarelliらの論文, 上記参照;Winstonらの論文, 上記参照)。
【0006】
ヒトのCki p27、すなわち細胞周期制御性サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害物質の細胞内レベルは、ユビキチン介在性分解によって制御される(Paganoらの論文, 1995, Science 269:682)。同様に、他のヒトのG1制御タンパク質(サイクリンE、サイクリンD1、p21、E2F、β-カテニン)の分解は、ユビキチン経路によって制御される(Paganoらの論文に概説されている。上記参照)。G1制御タンパク質の分解に関与する特定の酵素は未だ同定されていない。S.セレビシエのculAに相同な6個の遺伝子(Cul1、2、3、4a、4b及び5)のファミリーが、ESTデータベースを検索することで同定されている(Kipreosらの論文, 1996, Cell 85:829)。ヒトのS期キナーゼ会合タンパク質1(Skp1)、及びF-ボックスタンパク質Skp2は、インビボで、サイクリンAと会合する(Zhangらの論文, 1995, Cell 82:915)。リン酸化p27は、Skp2によって特異的に認識されることが実証されている。また、Skp1及びSkp2は、Cul1及びROC1/Rbx1と会合して、SCFユビキチンリガーゼ複合体であるSCFSkp2を形成することが明らかにされている。研究は、p27が、SCFSkp2による分解の標的であることを立証したが、該分解に関与する鍵因子は未知であった。異なるキュリン(cullin)に連結される、高度に保存されたユビキチン様タンパク質であるNedd8が、p27の連結反応の必須構成要素であると仮定されてきた(Podustらの論文, 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:4579)。
【0007】
細胞周期制御タンパク質のSuc1(Cdc2突然変異の抑制因子)/Cks(サイクリン依存性キナーゼサブユニット)ファミリーは、いくつかのサイクリン依存性キナーゼ及びリン酸化タンパク質に結合し、かつ細胞周期の進行に不可欠である。Suc1(Haylesらの論文, 1986, Mol. Gen. Genet. 202:291)及びCks1(Hadwigerらの論文, 1989, Mol. Cell Biol. 9:2034)は、サイクリン依存性キナーゼと相互作用する極めて重要な遺伝子産物として、それぞれ分裂酵母及び出芽酵母で発見された。異なる種由来の相同体は、広範な配列保存を共有し、かつ2つのヒト相同体は、出芽酵母において、Cks1と機能上置換可能である(Richardsonらの論文,1990, Genes Dev. 4:1332)。該2つのヒト相同体並びに分裂酵母Suc1の結晶構造は、それらがCdk触媒サブユニットへの結合に関与する、4つ撚りのβシートを共有することを示した(Bourneらの論文, 1996, Cell 84:863;Pinesの論文, 1996, Curr. Biol. 11:1399)。さらに、それらは、Cks/Cdk複合体中のCdk触媒部位に近接した表面上に位置する、高度に保存されたリン酸結合部位を共有する(Bourneらの論文, 上記参照)。
【0008】
Cksタンパク質は、G1からS期への移行、有糸分裂に入ること、及び有糸分裂から出ることを含む、いくつかの細胞周期の移行期に関与するが(Pinesの論文, 1996, 上記参照)、それらの異なる作用のための分子的基盤はあまり理解されていない。Cks1によって活性化された出芽酵母由来のCln2/Cln3-Cdk1複合体(Reynardらの論文, 2000, Mol. Cell Biol. 20:5858)を除いて、Cksタンパク質は、サイクリン依存性キナーゼの触媒活性に直接的には影響しない。しかしながら、Cksタンパク質は、サイクリン依存性キナーゼによる、いくつかの基質の複数部位リン酸化を促進し得る。部分的リン酸化タンパク質、並びにCdkに同時に結合することによって、Cksタンパク質は、該基質に対するキナーゼの親和性を増大させ、それゆえ、その後の複数のリン酸化を加速させることが提唱されている(Pinesの論文, 1996, 上記参照)。実際に、Cksタンパク質は、シクロソーム/APCのサブユニットの、Cdk触媒型複数リン酸化(Patra及びDunphyの論文, 1998, Genes Dev. 12:2549;Shteinberg及びHershkoの論文, 1999, Biochern. Biophys. Res. Commun. 257:12)、並びにCdc25、Myt1及びWee1などのG2/M制御因子(Patraらの論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:36839)を促進させる。
【0009】
(2.4 APC/Cの制御に関与する哺乳動物FBPであるFBP1)
アフリカツメガエルのβ-TrCP1(β-トランスデューシンリピート含有タンパク質(Spevakらの論文, 1993, Mol. Cell. Biol. 8:4953)の哺乳動物の相同体であるFbp1は、Skp1をツーハイブリッドスクリーニングでのベイト(bait)として使用して、同定された(Cenciarelliらの論文, 上記参照)。Fbp1は、7個のWD-40ドメインを含むF-ボックスタンパク質であり(Margottinらの論文, 1998, Mol. Cell 1:565)、NFκB活性化刺激に応答して、IκBαファミリーの分解に関与する(Gonenらの論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:14823;Hatakeyamaらの論文, 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96:3859;Hattoriらの論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:29641;Krollらの論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:7941;Ohtaらの論文, 1999, Mol. Cell 3:535;Shiraneらの論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:28169;Spencerらの論文, 1999, Genes Dev. 13:284;Winstonらの論文, 1999, Genes Dev. 13:270;Wu及びGhoshの論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:29591;Yaronらの論文, 1998, Nature 396:590)。さらに、アフリカツメガエル及びショウジョウバエのFbp1オルソログが、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路の負の制御因子として作用する(Jiang及びStruhlの論文, 1998, Nature 391:493;Marikawa及びElinsonの論文, 1998, Mech. Dev. 77:75)ことに一致して、いくつかの研究は、インビトロ及び哺乳動物培養細胞において、ヒトFbp1がβ-カテニンの安定性を制御することを報告している(Hartらの論文, 1999, Curr. Biol. 9:207;Hatakeyamaらの論文, 上記参照;Kitagawaらの論文, 1999, EMBO J. 18:2401;Latresらの論文, 1999, Oncogene 18:849;Winstonらの論文, 1999, Genes Dev. 13:270)。
【0010】
哺乳動物Fbp1のよく特徴づけられた基質の全ては、共通の破壊モチーフDSGxxSを有し、これはこのモチーフ内に存在する2つのセリン残基のリン酸化時のみ、Fbp1によって認識される。しかしながら、ATF4(Lassotらの論文, 2001, Mol. Cell. Biol. 21:2192)、Smad3(Fukuchiらの論文, 2001, Mol. Biol. Cell 12:1431)、NFκB p105(Orianらの論文, 2000, EMBO J. 19:2580)、及びNFκB p100(Fong及びSunの論文, 2002, J Biol. Chem. 277:22111)などの、完全に保存された結合ドメインを欠くFbp1の追加的な哺乳動物性基質に関するいくつかの最近の証拠がある。保存されたDSGxxSモチーフは、Fbp1基質のみに存在するのではなく、Fbp1を、ウイルス感染細胞内の非生理的基質であるCD4へと標的化させるHIVタンパク質Vpuなどの、Fbp1の特定の制御因子にも存在する。(Margottinらの論文, 上記参照)。また、DSGxxS破壊モチーフは、偽基質とよばれるFbp1のペプチド制御因子に見出され得る;しかしながら、偽基質は、他のFBP標的タンパク質の正常な分解という運命を逃れて、かわりに細胞局在及び基質標的化などの、FBP並びに対応するCksの活性を調節する。例えば、Fbp1偽基質のhnRNP-Uは、不適切な基質標的化からFbp1を阻害するのみならず、Fbp1を核へと局在化させることに貢献する(Davisらの論文, 2002, Genes Dev. 16:439)。
【0011】
β-Trcp2又はFbxW1Bとよばれる、Fbp1/β-Trcp1パラロガス遺伝子産物の存在によって、さらに複雑化される(78%同一、86%類似;Kipreos及びPaganoの論文, 2000, Genome Biology 1:3002.1)。Fbp1及びβ-Trcp2は、成人ヒト組織中で広範に発現している(Cenciarelliらの論文, 上記参照;Koikeらの論文, 2000, Biochem. Biophys. Res. Commun. 269:103)。さらに、β-Trcp2は、インビトロでβ-カテニン及びIκBαファミリーメンバーの両方のユビキチン化を維持させ、かつ哺乳動物培養細胞でそれらの分解を制御する能力において、Fbp1に類似する生物学的特性を有する(Fuchsらの論文, 1999, Oncogene 18:2039;Suzukiらの論文, 1999, Biochem. Biophys. Res. Commun. 256:127;Tanらの論文, 1999, Mol. Cell 3:527)。これらの類似性にもかかわらず、Fbp1は核に局在化し、かつβ-Trcp2は主に細胞質に局在化する(Davisらの論文, 2002, Genes Dev. 16:439)。これら2つのFBPがインビボで重複した機能を有するのか、又はそれらの各々が特定の基質を認識するのかは不明である。
【0012】
(2.5 ガンにおけるユビキチン経路の脱制御、及び他の増殖障害)
ガンは、細胞が急速に増殖しすぎる場合に発症する。細胞増殖は、正のシグナルと負のシグナルとの正味のバランスで決定される。正のシグナルが打ち勝った場合、又は負のシグナルが存在しない場合、細胞は非常に急速に増殖し、ガンが発症する。
通常、細胞は、全ての所与のタンパク質量を厳密に制御し、かつ過剰タンパク質又は任意の不要タンパク質を除去する。そのようにすることで、細胞は、不要タンパク質をユビキチン化し、プロテオソーム分解用にタンパク質を標識する。この機構は腫瘍ではうまくいかず、正のシグナルの過剰な蓄積(発ガンタンパク質)をもたらすか、或いは負の制御因子(腫瘍抑制タンパク質)の異常な分解をもたらす。それゆえ、腫瘍抑制タンパク質の不在下、又は過剰な発ガンタンパク質の存在下で、細胞は絶え間なく複製し、腫瘍を形成する(Ciechanoverの論文, 1998, EMBO J. 17: 7151;Spataroの論文, 1998, Br. J. Cancer 77: 448;に概説されている)。例えば、p53腫瘍抑制因子(Brown及びPaganoの論文, 1997, Biochim. Biophys. Acta 1332:1)、推定上のガン遺伝子β-カテニン(Peiferの論文, 1997, Science 275:1752に概説されている)、及びCki p27(Ciechanoverの論文, 上記参照;Spataroの論文, 上記参照;Lloydの論文, 1999, Am. J Pathol. 154: 313;に概説されている)の異常なユビキチン介在性分解は腫瘍形成と関連し、ユビキチン化酵素をコードするいくつかの遺伝子が腫瘍で突然変異しているかもしれないという仮説を開示する。
【0013】
最初の証拠は、ヒトF-ボックスタンパク質が、酵母における相同体同様(以下を参照されたい)、G1制御タンパク質のユビキチン化に役割を担うことを示す。細胞周期制御タンパク質のチェックされない分解が特定の腫瘍で確認されており、制御されないユビキチンリガーゼが、細胞周期制御因子の分解の変化に役割を担う可能性がある。Mdm2ユビキチンリガーゼの過剰発現は、その基質である腫瘍抑制因子p53のレベルの低下をもたらすことは、よく知られた例である。
【0014】
或いは、F-ボックスタンパク質は、DNA制御タンパク質、又はDNAそれ自体と直接的に相互作用することが明らかにされている(以下を参照されたい)。酵母において、F-ボックスタンパク質は、遺伝的安定性及び老化を制御することが知られており、最近のデータは、哺乳動物細胞において、F-ボックスの阻害がDNA損傷チェックポイントの欠損をもたらし得ることを明らかにしている。それゆえ、新規F-ボックスタンパク質の基質又は活性の同定は、従来の細胞周期タンパク質の理解されている制御を超え、腫瘍形成におけるF-ボックスタンパク質の役割を拡大させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物の同定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(3. 発明の要旨)
本発明は、新規F-ボックスタンパク質、並びに新規F-ボックスタンパク質を標的化するために設計した治療プロトコル及び医薬組成物、並びにF-ボックスタンパク質と増殖障害及び分化障害の治療用基質との相互作用に関する。また、本発明は、新規F-ボックスタンパク質の基質を同定するスクリーニングアッセイ、並びに新規ユビキチンリガーゼを調節又は標的化する作用物質、及びそれらの基質の相互作用を同定するスクリーニングアッセイに関する。本発明はさらに、既知のF-ボックスタンパク質のSkp2の2つの新規基質であるE2F及びp27などの、既知のF-ボックスタンパク質の新規基質の同定に基づくスクリーニングアッセイに関する。本発明のスクリーニングアッセイを、増殖障害又は分化障害用の潜在的治療薬、並びにF-ボックスタンパク質の発現レベル又は酵素活性に関連する他の障害用の潜在的治療薬を同定するために使用してよい。
【0017】
本発明は、部分的に、F-ボックスモチーフを有する新規ユビキチンリガーゼをコードするヌクレオチド配列を含む核酸の、発明者らによる発見、同定及び特徴づけに基づく。ユビキチンリガーゼ複合体の29個の新規基質標的化サブユニットは、FBP1/β-TRCP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5/EMI1、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24及びFBP25である。これらは本明細書に記載されており、はじめに、ユビキチンリガーゼ複合体構成要素との相互作用に基づいて同定されるか(FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6及びFBP7)、又はこれらのタンパク質とDNAデータベースに存在するヌクレオチド配列との配列比較によって同定された(FBP3b、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24及びFBP25)。ユビキチンリガーゼ複合体のこれらの新規基質標的化サブユニットはそれぞれ、F-ボックスモチーフを含み、F-ボックスモチーフを介して新規基質標的化サブユニットはユビキチンリガーゼ複合体の他の構成要素と相互作用する。さらに、これらのFBPのいくつかは、WD-40ドメイン及びLRR(これらは基質との相互作用に関与しているようである)を含むが、他のFBPは、ロイシンジッパー、リングフィンガー、ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフ、プロリンリッチモチーフ、PHDフィンガー、テトラトリコペプチド反復ドメイン、及びSH2ドメインなどの、FBPでかつて同定されていなかった潜在的タンパク質-タンパク質相互作用モジュールを含む。また、アミノ酸配列解析は、ジュモンジ-c(Jumonji-c)ドメイン、CXXC-亜鉛フィンガー、及びHNHドメインなどの、潜在的タンパク質-DNA相互作用ドメインを介して、いくつかのFBPがDNAと直接的に相互作用し得ることを明らかにした。本発明は、部分的に、FBP特異的基質であるp27及びβ-カテニンの発明者らによる発見並びに同定、かつ新規FBP基質の同定方法に基づく。また、新規F-ボックスタンパク質をコードする遺伝子のいくつかは、乳ガン、前立腺ガン及び卵巣ガン、鼻咽喉ガン及び小細胞肺ガン、胃肝臓ガン、バーキットリンパ腫、及び副甲状腺腺腫で頻繁に変化する染色体部位に位置づけられた。
【0018】
本発明は、下記のヌクレオチド配列、そのようなヌクレオチド配列を発現する宿主細胞、及びそのようなヌクレオチド配列の発現産物を含み、該配列は:(a)哺乳動物のFBP1/β-TRCP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5/EMI1、FBP6、FBP7、FBP8、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP17、FBP18、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23及びFBP25をコードするヌクレオチド配列であって、ヒトのヌクレオチド、並びにそれらの遺伝子産物を含む、前記配列;(b)ユビキチンリガーゼ複合体の新規基質標的化サブユニットの一部をコードするヌクレオチド、及びそのようなヌクレオチド配列によって指示されるポリペプチド産物であって、F-ボックスモチーフ、基質結合ドメイン;WD-40ドメイン;ロイシンリッチリピート、ジュモンジ-Cドメインなどを含むが、これらに限定されない、前記ヌクレオチド及び前記産物;(c)前記ドメインの全て又は一部が除去若しくは変更されている新規ユビキチンリガーゼの突然変異体をコードするヌクレオチド、及びそのようなヌクレオチド配列によって指示されるポリペプチド産物;(d)別のポリペプチドに融合した新規ユビキチンリガーゼ又はそのドメインを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド;である。
【0019】
さらに、本発明は、ユビキチンリガーゼ複合体の基質標的化サブユニットのアゴニスト及びアンタゴニストを含み、これらには、小分子、大分子、天然型F-ボックス結合タンパク質に競合する突然変異体、及び抗体、並びに、ユビキチンリガーゼ遺伝子発現を阻害するために使用可能なヌクレオチド配列(例えば、アンチセンス分子及びリボザイム分子、並びに遺伝子制御構築物又は遺伝子置換構築物)、又はユビキチンリガーゼ遺伝子発現を促進するために使用可能なヌクレオチド配列(例えば、強力なプロモーター系の制御下にユビキチンリガーゼ遺伝子を配置させる発現構築物)、及びユビキチンリガーゼ導入遺伝子を発現する遺伝子導入動物、又は新規ユビキチンリガーゼを発現しないノックアウト体を含む。
【0020】
さらに、本発明は、ユビキチンリガーゼ活性を調節する化合物、すなわち、ユビキチンリガーゼ活性のアゴニスト又はアンタゴニストとして作用する化合物の同定用のユビキチンリガーゼ複合体の基質標的化サブユニットの遺伝子及び/又は遺伝子産物の使用方法にも関する。そのような化合物を作用物質として使用して、増殖障害又は分化障害、例えばガンを制御することができる。また、そのような化合物を不妊症などのFBP関連障害の治療用作用物質として使用することができる。特に、本発明は、β-カテニンと、FBP1又はp27及びSkp2との間の相互作用を阻害する方法を含む。また、本発明は:FBP1とFBP5との間の相互作用;FBP24と、エンドスタチン様タンパク質、BAF57、スプライシングアイソフォームSP100-HMG (P23497核自己抗原SP100)及びH326タンパク質などのその結合タンパク質との間の相互作用;並びに、FBL11とMCM7との間の相互作用;を調節する方法も含む。また、本発明は、FBP24及びFBL11とDNAとの相互作用などの、F-ボックスタンパク質とDNAとの間の相互作用を調節する方法も含む。これらの相互作用を調節し得る作用物質を使用して、細胞増殖、成長及び/又はアポトーシスを調節することができる。
【0021】
さらにその上、本発明は、増殖障害又は分化障害用の潜在的治療薬として、新規リガーゼの活性を調節するユビキチンリガーゼ複合体の新規基質標的化サブユニットの誘導体及び類似体を同定するスクリーニング方法を含む。本発明は、ユビキチンリガーゼ複合体の構成要素と相互作用するタンパク質のスクリーニング方法を提供し、該構成要素は、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、FBP25、FBL10、FBL11及びFBP25、又はそれらの誘導体、フラグメント若しくはF-ボックスモチーフなどのドメインを含む。本発明に従って、該スクリーニング方法を既知のアッセイに使用して、タンパク質-タンパク質相互作用を同定してよく、該方法は、ファージディスプレイアッセイ、又は酵母ツーハイブリッドアッセイ系、若しくはそれらの変法を含む。
【0022】
さらに、本発明は、不妊症或いは増殖障害などFBP関連障害のための、診断評価、遺伝的試験並びに/若しくは予後のために、FBP遺伝子配列及び/又は用FBP遺伝子産物配列を使用する方法を対象とする。例えば本発明は、FBP関連障害、例えば不妊症又は増殖障害の診断方法に関し、それらのような方法は:患者サンプルでFBP遺伝子発現を測定する工程;又は、そのような障害を示すと疑われる哺乳動物のゲノムで、そのような障害の存在又は進行と相関するFBP突然変異を検出する工程;を含み得る。特に、本発明は、対象(例えば、ヒト患者)に:(i)図3〜28のパートAに示すタンパク質をコードするFBP遺伝子の突然変異体、又はそれらの相同体;(ii)FBP遺伝子の発現ミス;(iii)FBPタンパク質の発現ミス;の1以上によって特徴づけられる障害の危険性があるかどうかを測定する方法を含む。
【0023】
本発明を、ユビキチンリガーゼ複合体の新規基質標的化サブユニットの同定及び特徴づけを実際に行う実施例を通じて説明する。本発明の実施例はさらに、(i)FBP1とβ-カテニンとの間の特異的相互作用、並びに(ii)既知のFBPであるSkp2と、細胞周期制御タンパク質であるE2F及びp27、並びに細胞周期タンパク質Cks1との間の特異的相互作用の同定を実際に行う。これらの相互作用は、β-カテニンはFBP1の特異的基質である一方で、E2F及びp27はSkp2の基質であり、かつCks1はSkp2及びp27の介在因子であることを示唆する。実際に、本発明の実施例はさらに、β-カテニンがFBP1の特異的基質である一方、p27がSkp2の基質であり、かつCks1がp27及びSkp2の両方に結合することを実証する。新規FBPと相互作用するタンパク質の同定は、本明細書に記載の方法を使用することで可能である。
【0024】
また、本発明の実施例は、(i)FBP24が、伸長因子2(eEF2)、BAF57及びSP100-HMGと特異的に相互作用すること;並びに(ii)FBL11が酵母MCM7のヒト相同体と特異的に相互作用すること;を実証する。本発明を使用してのこれらの相互作用の同定は、F-ボックスタンパク質が、DNA合成及びタンパク質合成(翻訳的伸長)の両方の制御に関与することを示唆する。さらに、本発明の実施例は、FBL11活性の阻害が、細胞増殖の減少をもたらすことを実証する。同様に、本発明の実施例は、FBP24又はFBL12活性の阻害が、細胞増殖の阻害、及び/又はアポトーシスの増加をもたらすことを実証する。新規FBPのユビキチンリガーゼ又は細胞増殖制御活性の同定は、本明細書に記載の方法を使用して可能である。
【0025】
本発明は、Fbp1関連障害を調節する化合物をスクリーニングする方法を含み、該方法は:化合物を、Fbp1及びFbp5に接触させること;及びFbp1の活性を測定すること;を含む。具体的実施態様において、Fbp1の活性を、Fbp1とFbp5との相互作用を測定することで測定する。別の実施態様において、Fbp1の活性を、Fbp5のタンパク質レベルを測定することで測定する。
【0026】
また、本発明は、Fbp1関連障害を調節する化合物のスクリーニング方法を含み、該方法は:(a)化合物を、Fbp1及びFbp5を発現している細胞又は細胞抽出物に接触させ、Fbp1の活性の変化を検出すること;及び(b)前記化合物の不在下で、細胞又は細胞抽出物中のFbp1活性レベルを測定し、そのように(b)で測定したFbp1活性レベルが(a)における活性レベルと異なる場合に、Fbp1関連障害を調節する化合物を同定すること;を含む。具体的実施態様において、Fbp1の活性を、Fbp1とFbp5との相互作用を測定することで測定する。別の具体的実施態様において、Fbp1の活性を、Fbp5のタンパク質レベルを測定することで測定する。
【0027】
さらに本発明は、増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物のスクリーニング方法を含み、該方法は:化合物を、Fbp1及びβ-Trcp2の両方、並びにFbp1標的基質を発現している細胞又は細胞抽出物に接触させること;及び、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を検出すること;を含む。ある具体的実施態様において、該標的基質はβ-カテニンである。別の実施態様において、該標的基質はIκBαである。別の実施態様において、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を、Fbp1又はβ-Trcp2と、β-カテニンとの相互作用の変化を検出することで検出する。さらに具体的実施態様において、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を、Fbp1又はβ-Trcp2と、IκBαとの相互作用の変化を検出することで検出する。別の具体的実施態様において、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を、β-カテニンのタンパク質レベルの変化を検出することで検出する。さらなる具体的実施態様において、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を、IκBαのタンパク質レベルの変化を検出することで検出する。
【0028】
また本発明は、増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物のスクリーニング方法を含み、該方法は:(a)化合物を、Fbp1及びテスト化合物を発現している細胞又は細胞抽出物と接触させ、Fbp1の活性の変化を検出すること;(b)化合物を、β-Trcp2を発現している細胞又は細胞抽出物、及びテスト化合物と接触させ、β-Trcp2の活性の変化を検出すること;及び(c)化合物を、Fbp1及びβ-Trcp2を発現している細胞又は細胞抽出物、並びにFbp1又はβ-Trcp2の活性を変化させているして同定されたテスト化合物又は化合物と接触させ、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を検出すること;を含む。具体的実施態様において、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化を、β-カテニンのタンパク質レベルの変化を検出することで検出する。別の具体的実施態様において、Fbp1又はβ-Trcp2の活性の変化は、IκBαのタンパク質レベルの変化を検出することで検出する。
【0029】
本発明はさらに、増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物、又は細胞のアポトーシスを誘導又は阻害するのに有用な化合物をスクリーニングする方法を含み、該方法は:化合物を、Fbp24及びFbp24標的基質の両方を発現している細胞又は細胞抽出物に接触させること;及び、Fbp24の活性の変化を検出すること;を含む。具体的実施態様において、FBP24の活性の変化を、FBPと該標的基質との相互作用の変化を検出することで検出する。具体的実施態様において、該標的基質はDNAである。別の具体的実施態様において、該標的基質は伸長因子2である。さらに具体的実施態様において、該標的基質は、エンドスタチン様タンパク質である。さらなる具体的実施態様において、該標的基質はBAF57である。別の実施態様において、該標的基質はスプライシングアイソフォームSP100-HMG (P23497核自己抗原SP100)である。さらに別の実施態様において、該標的基質はH326タンパク質である。
【0030】
本発明はさらに、増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物、又は細胞増殖を調節するのに有用な化合物のスクリーニング方法を含み、該方法は:化合物を、Fbl11及びFbl11標的基質の両方を発現している細胞又は細胞抽出物と接触させること;及びFbl11の活性の変化を検出すること;を含む。具体的実施態様において、該標的基質はDNAである。別の具体的実施態様において、標的基質はMCM7である。さらなる具体的実施態様において、Fbl11の活性の変化を、Fbl11とDNAとの相互作用の変化を検出することで検出する。さらに具体的実施態様において、Fbl11の活性の変化を、Fbl11とMCM7との相互作用の変化を検出することで検出する。
また、本発明は、増殖障害及び分化障害の治療に有用な化合物、細胞増殖調節用化合物、又は細胞を化学療法に感作させるための化合物のスクリーニング方法を含み、該方法は:化合物を、Fbl12及びFbl12標的基質の両方を発現している細胞又は細胞抽出物と接触させること;及びFbl12の活性の変化を検出すること;を含む。
【0031】
(3.1 定義)
本明細書で使用するように、用語「F-ボックスモチーフ」は、F-ボックス含有タンパク質とSkp1との相互作用に必要であるとして同定された、約40アミノ酸のストレッチをさす。F-ボックスモチーフの共通配列は、引用によってその全てが本明細書に組み込まれるBaiらの論文, 1996, Cell 86:263に記載されている。
本明細書で使用するように、用語「F-ボックスタンパク質」(FBP)は、F-ボックスモチーフを含むペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をさす。
【0032】
FBPは、ユビキチンリガーゼ複合体の基質標的化サブユニットであるが、本明細書で使用するように、用語「ユビキチンリガーゼ」は、F-ボックスモチーフを含み、かつSkp1と会合するペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をさす。
本明細書で使用するように、用語「FBP遺伝子産物に機能的に等価」は、内因性FBP遺伝子産物の少なくとも1つの生物活性を示す遺伝子産物をさす。例えば、機能的に等価なFBP遺伝子産物は、ユビキチンリガーゼ複合体と会合状態になるので、Skp1と相互作用可能である。そのようなユビキチンリガーゼ複合体は、サイクリン又はckiタンパク質などの特定の細胞周期制御タンパク質をユビキチン化することが可能であり得る。
【0033】
本明細書で使用するように、用語「標的化する」は、遺伝子発現、酵素活性又は他の細胞性因子との相互作用を阻害、阻止若しくは防止することをさす。
本明細書で使用するように、用語「治療薬」は、増殖障害又は関連障害の治療を軽減又は補助する全ての分子、化合物若しくは治療をさす。
本明細書で使用するように、用語「臨床的に正常な個体」は、特定の障害の症状がない個体をさす。
【0034】
本明細書で使用するように、用語「WD-40ドメイン」、「ロイシンリッチリピート」、「ロイシンジッパー」、「リングフィンガー」、「ヘリックス-ループ-ヘリックスモチーフ」、「プロリンリッチモチーフ」、「SH2ドメイン」、「テトラトリコペプチドリピートドメイン」(「TPR」)、「タンキラーゼ結合ドメイン」、及び「PHDフィンガー」は、タンパク質-タンパク質相互作用を仲介することに場合によっては関与するドメインをさす。「WD-40ドメイン」は、トリプトファン残基及びアスパラギン酸残基に富み、かつ三量体Gタンパク質のベータサブユニットに共通して見出される、40アミノ酸リピートからなる共通配列をさす(引用によってその全てが本明細書に組み込まれるNeerらの論文, 1994, Nature 371:297-300、及びその中の引用文献を参照されたい)。「LRR」又は「ロイシンリッチリピート」はロイシンに富む配列であり、またタンパク質-タンパク質相互作用を仲介することに関与することが知られている(引用によってその全てが本明細書に組み込まれるKobe及びDeisenhoferの論文, 1994, Trends, Biochem. Sci. 19:415-421を参照されたい)。「ロイシンジッパー」ドメインは、転写因子の大きなファミリーに存在する、7番目ごとにロイシン残基を有するアミノ酸のストレッチを含むドメインをさす(Landshultzらの論文, 1988, Science 240:1759を参照されたい;また、Sudolらの論文, 1996, Trends Biochem. 21:1、及びKochらの論文, 1991, Science 252:668も参照されたい)。既知の「TPR」ドメインの大部分は、7番目ののC末端ヘリックスとともに、3コピーのヘリックス-ターン-ヘリックスTPRモチーフ(縮重、34アミノ酸リピート)からなり、かつ細胞内シグナリングにおいてタンパク質-タンパク質認識モジュールとして機能する(引用によってその全てが本明細書に組み込まれるCliffらの論文, 2005, J. Mol. Biol., 346:717、及びその中の引用文献を参照されたい)。「PHDフィンガー」は、植物のホメオドメインとして知られる亜鉛-フィンガーモチーフをさし、タンパク質-タンパク質相互作用の仲介にも関与することが知られている(引用によってその全てが本明細書に組み込まれるPanchenkoらの論文, 2004, J. Biol. Chem., 53:56032、及びその中の引用文献を参照されたい)
【0035】
本明細書で使用するように、用語「ジュモンジ-cドメイン」、「CXXC-亜鉛フィンガー」及び「HNHドメイン」は、タンパク質-DNA相互作用の仲介に場合によっては関与するドメインをさす。例えば、「HNHドメイン」は、HNHホーミングエンドヌクレアーゼのサブファミリーをはじめに同定した保存された30アミノ酸モチーフであり、かつタンパク質-DNA結合を仲介する(引用によってその全てが本明細書に組み込まれるKuらの論文, 2002, Nucleic Acids Res., 30:1670、及びその中の引用文献を参照されたい)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(5. 本発明の詳細な説明)
本発明は、新規F-ボックスタンパク質、及びF-ボックスタンパク質の新規基質に関する。本発明は、F-ボックスタンパク質の基質を同定するために設計したスクリーニングアッセイ、並びにF-ボックスタンパク質及びそれらの基質の相互作用及び/又は活性を調節する小分子及び化合物を同定するために設計したスクリーニングアッセイに関する。
【0037】
本発明は、新規F-ボックスタンパク質の基質を同定するスクリーニングアッセイ、及び潜在的治療薬を同定するスクリーニングアッセイに関する。本発明はさらに、新規F-ボックスタンパク質及び既知F-ボックスタンパク質の両方の新規基質の同定に基づくスクリーニングアッセイに関する。本発明のスクリーニングアッセイを使用して:プロトコルに;及び新規ユビキチンリガーゼを標的化するために設計した医薬組成物として;並びに増殖障害の治療用のそれらの基質との相互作用に;使用可能な潜在的治療薬を同定することができる。特定の一実施態様において、本発明は、FBPと、発明者らによって同定された新規基質であるβ-カテニン、p27及びE2Fとの相互作用を標的化するスクリーニングアッセイ、並びに潜在的治療薬に関する。
【0038】
本発明はさらに、新規F-ボックスタンパク質、タンパク質及びペプチドをコードするヌクレオチドの使用を含み、同様に新規ユビキチンリガーゼに対する抗体(例えば、アゴニスト又はアンタゴニストとして作用し得る)、ユビキチンリガーゼ活性又は発現を阻害するアンタゴニストに対する抗体、若しくはユビキチンリガーゼ活性を活性化する、又はその発現を増加させるアゴニストに対する抗体を含む。さらに、新規ユビキチンリガーゼをコードするヌクレオチド、及びタンパク質は、それらの活性を制御又は模倣する化合物の同定に有用であり、それゆえ、ガン及び腫瘍形成の治療に潜在的に有効である。
【0039】
特に、以下に副節で記載する発明は、FBP1/β-TRCP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5/EMI1、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24及びFBP25ポリペプチド、又は新規ユビキチンリガーゼの機能ドメインに対応するペプチド(例えば、F-ボックスモチーフ、基質結合ドメイン、タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン、及びタンパク質-DNA相互作用ドメイン)、突然変異型、切断型又は欠失型(例えば、1以上の機能ドメイン又はそれらの一部が欠失している)、ユビキチンリガーゼ融合タンパク質、それらのような産物をコードするヌクレオチド配列、並びにそれらのようなユビキチンリガーゼ産物をもたらし得る宿主細胞発現系、を含む。本明細書で使用するように、「FBP1」は「β-Trcp1」と互換的であるとみなすことができ、「FBP5」は「Emi1」と互換的であるとみなすことができ、さらに「FBP24」は「FBX9」と互換的であるとみなすことができる。
【0040】
本発明は、ユビキチンリガーゼ複合体の新規構成要素と相互作用するペプチド及びタンパク質のスクリーニング方法を提供し、該方法は、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、及びFBP25、又はそれらの誘導体、フラグメント又は類似体を含む。好ましくは、スクリーニング方法は、さらに以下で記載するように、酵母ツーハイブリッドアッセイ系又はその変法である。タンパク質の誘導体(例えば、フラグメント)及び類似体は、当業者に既知の任意の方法、例えば、以下に記載の修飾型酵母ツーハイブリッドアッセイ系、複合体中のタンパク質に結合する抗体との免疫沈降に続く、免疫沈降済タンパク質のサイズ分画(例えば、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動、又は非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって)ウエスタン解析、非変性ゲル電気泳動などによって、結合パートナーへの結合を解析できる。
【0041】
本発明は、ユビキチンリガーゼの活性を調節する作用物質を同定するためのスクリーニングアッセイに関する。本発明は、インビボ及びインビトロの両方で、新規ユビキチンリガーゼ活性を調節する小分子、化合物、組換えタンパク質、ペプチド、核酸、抗体などを選別するインビボ及びインビトロアッセイの両方を含み、それゆえ増殖障害又は分化障害の治療用の潜在的治療薬を同定する。一実施態様において、本発明は、新規ユビキチンリガーゼと相互作用するタンパク質のスクリーニング方法を提供する。
【0042】
また、本発明は、抗体、及び抗イディオタイプ抗体、アンタゴニスト、並びにアゴニストに加えて、ユビキチンリガーゼ遺伝子の発現を阻害する化合物又はヌクレオチド構築物(転写因子阻害剤、アンチセンス分子又はリボザイム分子、若しくは遺伝子置換構築物或いは制御配列置換構築物)、若しくはユビキチンリガーゼの発現を促進する化合物又はヌクレオチド構築物(例えば、ユビキチンリガーゼコード配列が、プロモーター、プロモーター/エンハンサーなどの発現調節エレメントと機能的に関連している発現構築物)を含む。また、本発明は、ヒトユビキチンリガーゼ(又はその突然変異体)を発現する又は阻害するように遺伝的に改変した宿主細胞及び動物、若しくは動物の内因性ユビキチンリガーゼの発現をノックアウトするように遺伝的に改変した宿主細胞及び動物に関する。
【0043】
最後に、ユビキチンリガーゼタンパク質産物及び融合タンパク質産物(すなわち、タンパク質又はタンパク質ドメインの融合、例えばF-ボックスモチーフ)、抗体及び抗イディオタイプ抗体(Fabフラグメントを含む)、アンタゴニスト又はアゴニスト(ユビキチン化経路を調節する化合物を含む)は、増殖性疾患又は分化性疾患の治療に使用可能である。それゆえ、本発明は、ガン形成及び腫瘍形成の治療用医薬製剤及び治療方法も含む。
本発明の様々な態様を、以下の副節でより詳細に記載する。
【0044】
(5.1 FBP遺伝子)
本発明は、7種の新規ヌクレオチド配列:FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6及びFBP7、及びそれらのフラグメントを含む核酸分子を提供し、該核酸は、それらの遺伝子産物と、ユビキチンリガーゼ複合体の構成要素であるSkp1との相互作用によって同定された新規遺伝子である。本発明はさらに、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP17、FBP18、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、及びFBP25のヌクレオチド配列を含む14種の新規核酸分子を提供し、該同定されたFBP遺伝子の核酸配列は、本明細書に記載している。
【0045】
本明細書で使用するように、「FBP遺伝子」は:
(a)図3に示すFBP1のDNA配列(配列番号:1)、図4に示すFBP2のDNA配列(配列番号:3)、図5に示すFBP3aのDNA配列(配列番号:5)、図6に示すFBP3bのDNA配列(配列番号:23)、図7に示すFBP4のDNA配列(配列番号:7)、図8に示すFBP5のDNA配列(配列番号:9)、図9に示すFBP6のDNA配列(配列番号:11)、図10に示すFBP7のDNA配列(配列番号:13)、図11に示すFBP8のDNA配列(配列番号:25)、図12に示すFBP9のDNA配列(配列番号:27)、図13に示すFBP10のDNA配列(配列番号:29)、図14に示すFBP11のDNA配列(配列番号:31)、図15に示すFBP12のDNA配列(配列番号:33)、図16に示すFBP13のDNA配列(配列番号:35)、図17に示すFBP14のDNA配列(配列番号:37)、図18に示すFBP15のDNA配列(配列番号:39)、図19に示すFBP16のDNA配列(配列番号:41)、図20に示すFBP17のDNA配列(配列番号:43)、図21に示すFBP18のDNA配列(配列番号:45)、図22に示すFBP19のDNA配列(配列番号:47)、図23に示すFBP20のDNA配列(配列番号:49)、図24に示すFBP21のDNA配列(配列番号:51)、図25に示すFBP22のDNA配列(配列番号:53)、図26に示すFBP23のDNA配列(配列番号:55)、図27に示すFBP24のDNA配列(配列番号:57)、図28に示すFBP25のDNA配列(配列番号:59)、図29に示すFBL10のDNA配列(配列番号:93)、図30に示すFBL11のDNA配列(配列番号:95)、図31に示すFBL12のDNA配列(配列番号:97)、を含む核酸分子;
【0046】
(b)図3Aに示すFBP1のアミノ酸配列(配列番号:2)、図4Aに示すFBP2のアミノ酸配列(配列番号:4)、図5Aに示すFBP3aのアミノ酸配列(配列番号:6)、図6Aに示すFBP3bのアミノ酸配列(配列番号:24)、図7Aに示すFBP4のアミノ酸配列(配列番号:8)、図8Aに示すFBP5のアミノ酸配列(配列番号:10)、又は図9Aに示すFBP6のアミノ酸配列(配列番号:12)、図10Aに示すFBP7のアミノ酸配列(配列番号:14)、図11Aに示すFBP8のアミノ酸配列(配列番号:26)、図12Aに示すFBP9のアミノ酸配列(配列番号:28)、図13Aに示すFBP10のアミノ酸配列(配列番号:30)、図14Aに示すFBP11のアミノ酸配列(配列番号:32)、図15Aに示すFBP12のアミノ酸配列(配列番号:34)、図16Aに示すFBP13のアミノ酸配列(配列番号:36)、図17Aに示すFBP14のアミノ酸配列(配列番号:38)、図18Aに示すFBP15のアミノ酸配列(配列番号:40)、図19Aに示すFBP16のアミノ酸配列(配列番号:42)、図20Aに示すFBP17のアミノ酸配列(配列番号:44)、図21Aに示すFBP18のアミノ酸配列(配列番号:46)、図22Aに示すFBP19のアミノ酸配列(配列番号:48)、図23Aに示すFBP20のアミノ酸配列(配列番号:50)、図24Aに示すFBP21のアミノ酸配列(配列番号:52)、図25Aに示すFBP22のアミノ酸配列(配列番号:54)、図26Aに示すFBP23のアミノ酸配列(配列番号:56)、図27Aに示すFBP24のアミノ酸配列(配列番号:58)、図28Aに示すFBP25のアミノ酸配列(配列番号:60)、図29Aに示すFBL10のアミノ酸配列(配列番号:94)、図30Aに示すFBL11のアミノ酸配列(配列番号:96)、図31Aに示すFBL12のアミノ酸配列(配列番号:98)、を含むポリペプチドをコードする全てのDNA配列;
【0047】
(c)高度に厳しい条件下、例えば0.5M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中、65℃での、フィルターに結合しているDNAへのハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC/0.1% SDS中、68℃での洗浄(Ausubelら編の文献, 1989, 『分子生物学の最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)』, 第I巻, Green Publishing Associates社、及びJohn Wiley & sons社, New York, 2.10.3頁)で、(配列番号:2、4、6、8、10、12又は14)若しくは図15の任意のアミノ酸配列をコードするDNA配列の相補鎖にハイブリダイズする全てのDNA配列;及び/又は、
(d)中程度に厳しい条件、例えば0.2×SSC/0.1% SDS中、42℃での洗浄など(Ausubelらの文献, 1989, 上記参照)のより穏和な条件下などで、(配列番号:2、4、6、8、10、12又は14)若しくは図15の任意のアミノ酸配列をコードするDNA配列の相補鎖にハイブリダイズする全てのDNA配列、並びにFBP遺伝子産物に機能的に等価な遺伝子産物をコードするDNA配列;をさす。
【0048】
本発明のFBP遺伝子配列が、他の哺乳動物F-ボックスタンパク質であるSkp2、エロンギン(Elongin)A、サイクリンF、マウスMd6をコードする、先に記載の遺伝子を含まないことを理解されたい(Paganoの論文, 1997, 上記参照;Zhangらの論文, 1995, 上記参照;Baiらの論文, 1996, 上記参照;Skowyraらの論文, 1997, 上記参照;を参照されたい)。さらに、本発明の核酸分子が、単に、ジーンバンク(GenBank)受入番号:AC002428、AI457595、AI105408、H66467、T47217、H38755、THC274684、AI750732、AA976979、AI571815、T57296、Z44228、Z45230、N42405、AA018063、AI751015、AI400663、T74432、AA402415、AI826000、AI590138、AF174602、Z45775、AF174599、THC288870、AI017603、AF174598、THC260994、AI475671、AA768343、AF174595、THC240016、N70417、T10511、AF174603、EST04915、AA147429、AI192344、AF174594、AI147207、AI279712、AA593015、AA644633、AA335703、N26196、AF174604、AF053356、AF174606、AA836036、AA853045、AI479142、AA772788、AA039454、AA397652、AA463756、AA007384、AA749085、AI640599、THC253263、AB020647、THC295423、AA434 109、AA370939、AA215393、THC271423、AF052097、THC288182、AL049953、CAB37981、AL022395、AL031178、THC197682、THC205131、NM_032590、NM_012308及びNM_017703;のヌクレオチド配列のみからなる核酸分子を含まないことを理解されたい。
【0049】
本発明のFBP配列は、真核生物ゲノム由来であり、好ましくは哺乳動物ゲノム、及びより好ましくはヒトゲノム又はマウスゲノム由来である。それゆえ、本発明のヌクレオチド配列は、酵母ゲノム由来のヌクレオチド配列を含まない。特定の実施態様において、本発明のヌクレオチドは、高度に厳しい条件下で、配列番号:1、3、5、7、9、11又は13、若しくは図14に表すDNA配列にハイブリダイズし、F-ボックスモチーフを含みかつSkp1に結合する遺伝子産物をコードする、哺乳動物ゲノム由来のDNA配列を含む。ある具体的な実施態様において本発明のヌクレオチドは、哺乳動物ゲノム由来のDNA配列を含み、該DNA配列は:高度に厳しい条件下で配列番号:1、3、5、7、9、11又は13にハイブリダイズし;F-ボックスモチーフ、及びWD-40、ロイシンリッチ領域、ロイシンジッパーモチーフ、又は他のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインからなる群から選択される別のドメインを含む遺伝子産物をコードし;Skp1に結合し;且つ300又は400ヌクレオチドの長さである。
【0050】
FBP配列は、例えば、真核生物ゲノムDNA(cDNA)又はcDNA配列のいずれかを含み得る。それゆえ、所与のアミノ酸配列をコードする核酸をさす場合には、該核酸がcDNA分子であることが必要であるのみならず、cDNA配列、例えば、mRNAの転写元であり、加工されて所与のアミノ酸配列をコードするcDNA配列をもさし得ることは理解されるべきである。
本明細書で使用するように、FBP遺伝子は、DNA配列(a)〜(d)の縮重変異体もさし得る。
【0051】
また、本発明は、前段落のDNA配列(a)〜(d)にハイブリダイズし、かつそれゆえに該配列に相補的である哺乳動物核酸、好ましくはDNA分子由来の核酸分子を含む。そのようなハイブリダイゼーション条件は、先に記載した条件のように高度に厳しい条件、又はそれほど高度に厳しくはない条件であってよい。該核酸分子がデオキシオリゴヌクレオチド(「オリゴ」)である場合、高度に厳しい条件は、例えば、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム中、37℃(14塩基オリゴ)、48℃(17塩基オリゴ)、55℃(20塩基オリゴ)、及び60℃(23塩基オリゴ)で洗浄することをさし得る。これらの核酸分子は、例えば、(FBP遺伝子核酸配列の増幅反応におけるアンチセンスプライマー用及び/又は該プライマーとして)FBP遺伝子制御に有用なFBP遺伝子アンチセンス分子をコードする、又は該分子として作用してよい。FBP遺伝子制御に関して、そのような技術を使用して、例えば、ガンに関連する細胞増殖を阻止するために、FBPで制御される経路を制御することができる。さらに、そのような配列は、リボザイム及び/又は三重らせん配列の一部として使用可能であり、FBP遺伝子制御にも有用であり得る。さらにその上、そのような分子は診断法の構成要素として使用可能であり、それによって、例えば腫瘍形成又はガンなどの増殖障害又は分化障害のようなFBP関連障害を引き起こす原因となる特定のFBP対立遺伝子の存在を検出することができる。
【0052】
また、本発明は:
(a)任意の前述のFBPコード配列、及び/又はそれらの相補鎖(すなわち、アンチセンス)を含むDNAベクター;
(b)前述のFBPコード配列の発現を指示する制御エレメントに機能的に連結されている、任意の前記コード配列を含むDNA発現ベクター;及び、
(c)該宿主細胞において、前述のFBPコード配列の発現を指示する制御エレメントに機能的に連結されている、任意の前記コード配列を含む遺伝的に改変された宿主細胞;
を含む。
【0053】
本明細書で使用するように、制御エレメントは、これらに限定されないが、誘導性及び非誘導性のプロモーター、エンハンサー、オペレーター、及び発現を駆動し制御する当業者に既知の他のエレメントを含む。そのような制御エレメントは、これらに限定されないが、サイトメガロウイルスhCMV前初期遺伝子、SV40アデノウイルスの初期プロモーター又は後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、ファージAの主要オペレーター領域及び主要プロモーター領域、fdコートタンパク質の制御領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、及び酵母の接合因子のプロモーターを含む。
【0054】
さらに、本発明は、本明細書に記載した全てのDNA配列のフラグメントを含む。
一実施態様において、本発明のFBP遺伝子配列は、哺乳動物の遺伝子配列であり、ヒトの配列が好ましい。
さらに別の実施態様において、本発明のFBP遺伝子配列は、図2、図4〜9、又は図15に示すアミノ酸配列に対応するポリペプチド部分(すなわち、該配列にアミノ酸配列の類似性を示すポリペプチド部分)を含むFBP遺伝子産物をコードしている遺伝子配列であり、図における該対応部分は、FBP遺伝子産物の全長にわたり平均化して表した配列と、約50%よりも高いアミノ酸同一性を示す。
【0055】
具体的実施態様において、核酸をコードしているF-ボックスは、それぞれ、図3B、4B、5B、6B、7B、8B、9B、10B、11B、12B、13B、14B、15B、16B、17B、18B、19B、20B、21B、22B、23B、24B、25B、26B、27B、28B、29B、30B及び31Bのヌクレオチド配列である、配列番号:1、3、5、23、7、9、11、13、15、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、93、95、97のcDNA配列、又はそれらのコード領域、若しくはF-ボックスタンパク質をコードする核酸(例えば、それぞれ、配列番号:2、4、6、24、8、10、12、14、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、68、60、94、96又は98の配列を有するタンパク質、又は図3A、4A、5A、6A、7A、8A、9A、10A、11A、12A、13A、14A、15A、16A、17A、18A、19A、20A、21A、22A、23A、24A、25A、26A、27A、28A、29A、30A又は31Aに記載するようなタンパク質)を含む。
【0056】
さらに本発明は、本発明のFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6又はFBP7(それぞれ、配列番号:1、3、5、7、9、11及び13)をコードしているヌクレオチド配列のヌクレオチドフラグメントを提供する。そのようなフラグメントは、FBP遺伝子配列の少なくとも8ヌクレオチド(すなわち、ハイブリダイズ可能部分)からなり;他の実施態様においては、該核酸は、F-ボックス配列の少なくとも(連続的な)25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、又は200ヌクレオチド、若しくは全長のF-ボックスコード配列からなる。別の実施態様において、該核酸は、その長さが35ヌクレオチド、200ヌクレオチド又は500ヌクレオチドよりも短い。核酸は一本鎖又は二本鎖であり得る。また本発明は、前述の配列にハイブリダイズ可能な核酸、又は該配列に相補的な核酸に関する。特定の態様において、F-ボックス遺伝子のコード領域の少なくとも10、25、50、100又は200ヌクレオチド、若しくは該コード領域全体に相補的な配列を含む核酸を提供する。
【0057】
本発明はさらに、核酸のヒトゲノムヌクレオチド配列に関する。具体的実施態様において、核酸をコードするF-ボックスは、配列番号:1、3、5、7、9、11又は13のゲノム配列、若しくはそれらのコード領域、或いはFBPタンパク質(例えば、配列番号:2、4、6、8、10、12又は14の配列を有するタンパク質)をコードする核酸、を含む。本発明は、FBP遺伝子配列の少なくとも8ヌクレオチド(すなわち、ハイブリダイズ可能部分)からなる精製核酸を提供し;他の実施態様において、該核酸は、FBP遺伝子配列の少なくとも(連続的な)25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、150ヌクレオチド、又は200ヌクレオチド、若しくは全長のFBP遺伝子コード配列からなる。別の実施態様において、該核酸は、その長さが35ヌクレオチド又は500ヌクレオチドよりも短い。核酸は一本鎖又は二本鎖であり得る。また本発明は、前述の配列にハイブリダイズ可能な核酸、又は該配列に相補的な核酸に関する。特定の態様において、FBP遺伝子配列のコード領域の少なくとも10、25、50、100又は200ヌクレオチド、若しくは該コード領域全体に相補的な配列を含む核酸を提供する。
【0058】
本明細書に記載のヒトFBPヌクレオチド配列に加えて、他のFBP遺伝子配列を、必要以上の実験をせずに、当業者に周知かつ本明細書に記載のFBP遺伝子配列と併せて使用される分子生物学的技術で、同定し、容易に単離することができる。例えば、配列番号:1、3、5、7、9、11又は13に記載するような、同じ遺伝子座又は異なる遺伝子座のさらなるヒトFBP遺伝子配列を容易に単離できる。例えば、FBP遺伝子産物の1以上のドメインに広範な相同性を有するタンパク質をコードし、かつFBP遺伝子産物に機能的に等価な遺伝子産物をコードする、ヒトゲノム内の他の遺伝子座又は物理的座位に、遺伝子が存在し得る。さらに、他の種に存在する相同FBP遺伝子配列を、容易に同定及び単離することができる。
【0059】
本発明のFBPヌクレオチド配列はさらに、配列番号:1、3、5、7、9、11又は13のFBPヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドに対して、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又はそれより高いアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0060】
2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するするために、該配列を、至適な比較目的用に並べる(例えば、第2アミノ酸配列又は核酸配列との最適整列用に、第1アミノ酸配列又は核酸配列の配列中にギャップを導入できる)。それから、対応するアミノ酸の位置又はヌクレオチドの位置で、アミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1配列中の位置が、第2配列中の対応位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドで占められている場合、該分子を該位置で同定する。該2つの配列間のパーセント同一性は、該配列群に共有される同一な位置の数の関数である(すなわち、%同一性=同一な重複位置の数/重複位置の全数×100%)。一実施態様において、該2つの配列は同じ長さである。
【0061】
また、2つの配列間のパーセント相同性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成できる。2つの配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin及びAltschulの論文, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877のアルゴリズムとして修飾された、Karlin及びAltschulの論文, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268中の修飾アルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulらの論文, 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムを用い、スコア=100、文字長=12で実施し、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラムを用い、スコア=50、文字長=3で実施し、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的用にギャップを挿入した整列を得るために、Altschulらの論文, 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載の通りGapped BLASTを利用することができる。或いは、PSI-Blastを使用して、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施することができる(Altschulらの論文, 1997, 上記参照)。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラム、及びPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルト変数を使用できる(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。2つの配列の比較用に使用した数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Karlin及びAltschulの論文, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873のアルゴリズムとして修飾された、Karlin及びAltschulの論文, 1990, Proc. Nati. Acad. Sci. USA 87:2264のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulらの論文, 1990, J. Mol. Biol. 215:403のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムを用い、スコア=100、文字長=12で実施し、本発明の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラムを用い、スコア=50、文字長=3で実施し、本発明のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的用にギャップを挿入した整列を得るために、Altschulらの論文, 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389に記載されるGapped BLASTを利用することができる。或いは、PSI-Blastを使用して、分子間の距離関係を検出する反復検索を実施することができる(Altschulらの論文, 1997, 上記参照)。BLASTプログラム、Gapped BLASTプログラム、及びPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルト変数を使用できる(http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい)。配列の比較に使用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers及びMillerの論文, 1988, CABIOS 4:11のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウエアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較する目的でALIGNプログラムを利用する場合、PAM 120重量残基表、12のギャップ長ペナルティー、及び4のギャップペナルティーを使用できる。
【0062】
ギャップを許可して、又はギャップを許可せずに、先に記載したものと同様な技術を使用して、2つの配列間のパーセント同一性を決定することができる。パーセント同一性の計算において、典型的には、完全な一致のみを数える。
本明細書に記載の配列と同じ遺伝子座又は物理的座位に存在するFBP遺伝子配列の同定及び単離に関して、そのような配列を、例えば、標準的な配列決定、及び細菌人工染色体(BAC)技術を利用して、容易に得ることができる。
【0063】
ヒト、又は他の種(例えば、マウス)における、FBP遺伝子相同体のクローニングに関して、本明細書に開示する単離FBP遺伝子配列を標識して使用し、関心のある生物(例えば、マウス)由来の適切な細胞又は組織(例えば、脳組織)から得たmRNAから構築したcDNAライブラリーを選別してよい。使用されるハイブリダイゼーション条件の厳しさは、該cDNAライブラリーが、前記標識配列の採取元の生物型とは異なる生物由来である場合、低めであるべきである。
【0064】
或いは、標識フラグメントを使用して、再び適切な厳しさの条件を使用して、関心のある生物由来のゲノムライブラリーを選別してよい。厳しさの低い条件は、当業者に周知であり、ライブラリー及び標識配列の採取元の特定の生物種によって予想された通り異なる。そのような条件に関するガイダンスに関しては、例えば、Sambrookらの文献, 1989, 『分子クローニング、研究室マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)』, 第2版, Cold Spring Harbor Press, N.Y.;及び、Ausubelらの論文, 上記参照;を参照されたい。さらに、本明細書に記載の任意のFBP遺伝子産物のアミノ酸配列に基づき設計した、2つの縮重オリゴヌクレオチドプライマープールを使用してPCRを実施することによって、FBP遺伝子相同体を、例えば、ヒトの核酸から単離してよい。
【0065】
該PCR産物をサブクローン化して配列決定を行い、該増幅配列が、FBP遺伝子核酸配列の配列を示すことを確実にする。その後、該PCRフラグメントを使用して、様々な方法で、全長cDNAクローンを単離してよい。例えば、増幅フラグメントを標識して、バクテリオファージcDNAライブラリーを選別するために使用してよい。或いは、該標識フラグメントを使用して、ゲノムライブラリーのスクリーニングを介して、ゲノムクローンを単離してよい。
【0066】
また、PCR技術を利用して、全長cDNA配列を単離してよい。例えば、標準的手順に従って、適切な細胞源又は組織源(すなわち、例えば、生体検査又は死後を介して得られた血液サンプル又は脳組織サンプルなどの、FBP遺伝子を発現することが既知であるか、若しくは該発現があると疑われる源)から、RNAを単離してよい。第1鎖合成のプライミング用の増幅フラグメントの最も5'末端に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、逆転写反応を、該RNA上で実施してよい。その後、標準的なターミナルトランスフェラーゼ反応を使用して、上記の結果得られたRNA/DNAハイブリッドをグアニンで「尾部化」してよく、該ハイブリッドをRNAaseHで消化し、それからポリCプライマーを用いて第2鎖合成を開始してよい。それゆえ、増幅フラグメントの上流のcDNA配列を容易に単離できる。使用可能なクローニング戦略の再検討に関しては、例えば、Sambrookらの文献を参照されたい(上記参照)。
【0067】
FBP遺伝子配列をさらに使用して、FBP遺伝子の突然変異対立遺伝子を同定してよい。そのような突然変異対立遺伝子を、例えば、腫瘍形成又はガン原因に関与する増殖障害又は分化障害などのFBP遺伝子障害の症状に寄与する遺伝子型を有することが既知である個体、又は上記が提言されている個体から単離してよい。その後、突然変異対立遺伝子、及び突然変異対立遺伝子産物を、後述の治療システム、診断システム及び予後システムに利用してよい。さらに、そのようなFBP遺伝子配列を使用して、例えば、腫瘍形成又はガン原因に関与する増殖障害又は分化障害などのFBP遺伝子障害に関連し得るFBP遺伝子制御(例えば、プロモーター)の欠損を検出することができる。
【0068】
FBP対立遺伝子を、一本鎖立体構造多形性(SSCP)突然変異検出法、サザンブロット、及び/又はPCR増幅技術で同定してよい。通常、プロモーター領域を含む全FBP配列の重複領域を増幅させるプライマーを設計することができる。一実施態様において、はじめに、コード領域を変異に関して調査することができるような、エキソン-イントロン境界を含むプライマーを設計する。正常個体及び感作個体のリンパ球から単離されたゲノムDNAを、PCRの鋳型として使用する。一本鎖立体構造多形性(SSCP)突然変異検出法、及び/又は配列決定によって、正常個体及び感作個体からのPCR産物を比較する。SSCP解析を以下のように実施することができる:100ngのゲノムDNAを、終濃度、10pmolの各プライマー、0.5UのTaq DNA ポリメラーゼ(Promega社)、1μCiのα-[32P]dCTP(NEN;比活性、3000 Ci/mmol)を添加した、2.5μM dNTP(Pharmacia社)、10 mM トリス-HCl (pH 8.8)、50 mM KCl、1 mM MgCl、0.01% ゼラチンからなる10μlの反応液中で増幅させる。30サイクルの、変性(94℃)、アニーリング(56℃〜64℃、プライマーの融解温度による)及び伸長(72℃)を、サーマルサイクラー(MJ Research社, Boston, MA, USA)で実施し、その後72℃で7分の最終伸長を実施する。該反応混合物の2μlを、0.1% SDS、10mM EDTAで希釈した後、20mM NaOHを含む配列決定停止溶液を1:1で混合する。サンプルを95℃で5分間加熱し、3分間氷上で冷却した後、3 lを5%の(v/v)グリセロールを含む6%アクリルアミド/TBE上で泳動する。ゲルを8Wで12〜15時間、室温で泳動する。強化型スクリーンを用いて、異なる時間、-70℃でフィルムに感光させることで、オートラジオグラフィーを実施する。その後、突然変異型FBP遺伝子産物の機能の欠損又は変化の原因の変異を確認できる。
【0069】
或いは、突然変異FBP遺伝子のcDNAを、例えば、PCRを使用して単離してよい。この場合、オリゴdTオリゴヌクレオチドを、突然変異FBP対立遺伝子を推測上保有する個体で発現することが既知又は疑われる組織から単離したmRNAにハイブリダイズさせ、逆転写酵素を用いて新鎖を伸長させることで、第1cDNA鎖を合成してよい。それから正常遺伝子の5'末端に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを使用して、該cDNAの第2鎖を合成する。それからこれら2つのプライマーを使用して、当業者に周知の方法で、PCRで該産物を増幅し、適切なベクター内にクローン化し、DNA配列解析に供する。突然変異FBP対立遺伝子のDNA配列を、正常FBP対立遺伝子のDNA配列と比較することにより、突然変異FBP遺伝子産物の機能の欠失又は変化の原因となる変異(群)を確認できる。
【0070】
或いは、突然変異FBP対立遺伝子を保有すると疑われる、又は該保有が既知の個体由来のDNAを使用してゲノムライブラリーを構築する、若しくは突然変異FBP対立遺伝子を発現ことが既知である、又は該発現が疑われる組織由来のRNAを使用してcDNAライブラリーを構築することが可能である。その後、健常型FBP遺伝子、又は任意のその適切なフラグメントを標識してプローブとして使用し、そのようなライブラリーで、対応する突然変異FBP対立遺伝子を同定してよい。それから、突然変異FBP遺伝子配列を含むクローンを精製し、当業者に周知の方法に従って、配列解析に供してよい。
【0071】
さらに、例えば、そのような突然変異対立遺伝子を保有すると疑われる、又は該保有が既知の個体において、突然変異FBP対立遺伝子を発現することが既知、又は該発現が疑われる組織から単離したRNAから合成したcDNAを利用して、発現ライブラリーを構築できる。この様式において、推定上の突然変異組織によって作られた遺伝子産物を発現させ、以下の第5.3節に記載するような、正常FBP遺伝子産物に対して産生された抗体とともに、標準的な抗体スクリーニング技術を使用して選別してよい(スクリーニング技術に関しては、例えば、Harlow及びLane編, 1988, 『抗体:研究室マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)』, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harborを参照されたい)。
【0072】
FBPタンパク質の誘導体及び類似体をコードする核酸、並びにFBPアンチセンス核酸を、先に列挙した方法で単離できる。本明細書で使用するように、「F-ボックスタンパク質のフラグメント又は一部をコードする核酸」は、列挙したFBPのフラグメント又は一部のみをコードする核酸をさすものとして解釈されるものとし、連続的配列としてのFBPタンパク質の他の近接部分をさすものではない。
同一種、又は異種の他のFBP遺伝子核酸間で保存された領域(すなわち、相同性を有する領域)を含むFBP遺伝子核酸のフラグメントも提供する。1以上のFBPドメインをコードする核酸を、先に列挙した方法で単離できる。
【0073】
FBP突然変異が、(例えば、ミスセンス変異又はフレームシフト変異の結果として)変化した機能を有する遺伝子産物の発現をもたらす場合、ポリクローナルな抗FBP遺伝子産物抗体のセットは突然変異FBP遺伝子産物と交差反応する可能性が高い。そのような標識抗体との反応を介して検出されたライブラリークローンを精製し、当業者に周知の方法に従って、配列解析に供することができる。
【0074】
(5.2 FBP遺伝子のタンパク質及びポリペプチド)
図1、図2、及び図3〜図28のパートBに表したアミノ酸配列は、FBP遺伝子産物を表す。FBP1遺伝子産物は、本明細書でしばしば「FBP1タンパク質」として言及し、前の第5.1節に記載のFBP1遺伝子配列でコードされる遺伝子産物を含む。同様に、本明細書で、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、FBP25、FBL10、FBL11及びFBL12タンパク質として言及され、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、FBP25、FBL10、FBL11及びFBL12遺伝子産物は、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、FBP25、FBL10、FBL11及びFBL12によってコードされる遺伝子産物を含む。本発明に従い、FBP遺伝子産物をコードする核酸配列は、哺乳動物ゲノムを含む真核生物ゲノム由来である。好ましい実施態様において、FBP遺伝子産物をコードする核酸配列は、ヒトゲノム又はマウスゲノム由来である。
【0075】
FBP遺伝子産物、又はそれらのペプチドフラグメントは、様々な使用のために調製できる。例えば、そのような遺伝子産物、又はそれらのペプチドフラグメントは、診断及び予後アッセイでの抗体産生に使用することができる、若しくはユビキチン化経路に関与する他の細胞性遺伝子産物或いは細胞外遺伝子産物の同定に使用することができ、それにより、細胞周期制御及び増殖障害に関連し得る。
【0076】
さらに、本発明のFBP遺伝子産物は、機能的に等価な(第3.1節の定義を参照されたい)遺伝子産物に相当するタンパク質を含んでよい。本発明のFBP遺伝子産物は、すでに同定されている哺乳動物F-ボックスタンパク質であるSkp2、サイクリンF、エロンギンA、又はマウスMd6を含まない(Paganoの論文, 1997, 上記参照;Zhangらの論文, 1995, 上記参照;Baiらの論文, 1996, 上記参照;Skowyraらの論文, 1997, 上記参照;を参照されたい)。
【0077】
機能的に等価なFBP遺伝子産物は:内部欠失を含む欠失;融合タンパク質を産生する付加を含む付加;又は、先の第5.1節に記載のFBP遺伝子配列によってコードされるアミノ酸配列内及び/又は該配列に近接するアミノ酸残基の置換;を含み得るが、該変化は、機能的に等価なFBP遺伝子産物を産生する「静かな」変化をもたらす。アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒的特性における類似性に基づいて実施してよい。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンを含み;極性中立アミノ酸は、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンを含み;正荷電(塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジン、及びヒスチジンを含み;及び、負荷電(酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸、及びグルタミン酸を含む。
【0078】
或いは、機能の変化を所望する場合、除去又は非保存的変更を実施し、変更されたFBP遺伝子産物を産生することができる。そのような変更は、例えば、FBP遺伝子産物の1以上の生物学的機能を変更させ得る。さらに、そのような変更を、選択した宿主細胞における発現、スケールアップなどにより適合するFBP遺伝子産物を産生するために選択することができる。例えば、ジスルフィド架橋を除くため、システイン残基を除去、又は別のアミノ酸残基に置換することができる。
【0079】
FBP遺伝子産物、それらのペプチドフラグメント、及びそれらの融合タンパク質を、当業者に周知の技術を使用する組換えDNA技術で製造してよい。それゆえ、FBP遺伝子配列を含む核酸を発現することによる、本発明のFBP遺伝子ポリペプチド、ペプチド、融合ペプチド及び融合ポリペプチドの製造方法を本明細書に記載する。当業者に周知の方法を使用して、FBP遺伝子産物コード配列、並びに適切な転写制御シグナル及び翻訳制御シグナルを含む、発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、例えば、インビトロでの組換えDNA技術、合成技術、並びにインビボでの遺伝的組換えを含む。例えば、Sambrookらの論文(上記参照)、及びAusubelらの論文(上記参照)に記載の技術を参照されたい。或いは、例えば合成機を使用して、FBP遺伝子産物配列をコードし得るRNAを化学的に合成してもよい。例えば、『オリゴヌクレオチド合成』, 1984, Gait編, IRL Press, Oxfordに記載の技術を参照されたい。
【0080】
様々な宿主-発現ベクター系を利用して、本発明のFBP遺伝子コード配列を発現させてよい。そのような宿主-発現系は、関心のあるコード配列を産生かつ続いて該コード配列を精製することのできる媒体に相当するが、適切なヌクレオチドコード配列で形質転換又は形質移入した場合には、インサイチュウで本発明のFBP遺伝子産物を産生可能な細胞にも相当する。これらは:FBP遺伝子産物コード配列を含む、組換えバクテリオファージDNAベクター、プラスミドDNAベクター又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換させた細菌(例えば、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis))などの微生物;FBP遺伝子産物コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換させた酵母(例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia));FBP遺伝子産物コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;FBP遺伝子産物コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV);タバコモザイクウイルス(TMV))を感染させた植物細胞系、又はFBP遺伝子産物コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換させた植物細胞系;又は、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、若しくは哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CRO、BHK、293、3T3);を含むが、これらに限定されない。
【0081】
細菌の系において、発現するFBP遺伝子産物の使用意図次第で、多くの発現ベクターを都合に合わせ選択してよい。例えば、FBPタンパク質の医薬組成物の製造用、又はFBPタンパク質に対する抗体産生用に大量のそのようなタンパク質を生産する場合、例えば、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベル発現を指示するベクターが望ましいことがある。そのようなベクターは、これらに限定されないが:大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherらの論文, 1983, EMBO J. 2:1791)であって、FBP遺伝子産物コード配列をlacZコード領域とのインフレームでそれぞれ該ベクターへと連結することができ、それにより融合タンパク質が産生される、前記ベクター;pINベクター(Inouye及びInouyeの論文, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101;Van Heeke及びSchusterの論文, 1989, J.Biol. Chem. 264:5503-5509);などを含む。また、pGEXベクターを使用して、グルタチオンS-トランスフェラーゼとの融合タンパク質として、外来ポリペプチドを発現させてもよい。一般的に、そのような融合タンパク質は可溶であり、グルタチオンアガロースビーズに吸着させた後、遊離グルタチオンの存在下で溶出させることによって、溶解済細胞から容易に精製することができる。トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むpGEXベクターを設計し、該クローン化標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができる。
【0082】
昆虫の系において、オートグラファ・カリフォルニア(Autographa californica)、核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用して、外来遺伝子を発現させる。該ウイルスは、スポドプテラ・フルギパーダ(Spodoptera frugiperda)細胞で増殖する。FBP遺伝子コード配列を、該ウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)にそれぞれクローン化し、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下におく。FBP遺伝子コード配列の挿入の成功は、ポリヘドリン遺伝子の不活性化、及び非閉塞型(non-occluded)組換えウイルスの産生(すなわち、ポリヘドリンウイルスによってコードされるタンパク質性外皮を欠くウイルス)を結果的に生じる。それからこれらの組換えウイルスを使用して、該挿入遺伝子が発現するスポドプテラ・フルギパーダ細胞に感染させる(例えば、Smithらの論文, 1983, J. Virol. 46:584;Smithによる米国特許第4,215,051号を参照されたい)。
【0083】
哺乳動物宿主細胞において、多くのウイルスに発現系を利用してよい。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、関心のあるFBP遺伝子コード配列を、アデノウイルスの転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーター及び三連リーダー配列に連結してよい。その後、該キメラ遺伝子を、インビトロ又はインビボでの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入してよい。該ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1又はE3)における挿入は、感染宿主において生育可能であり且つFBP遺伝子産物を発現することができる組換えウイルスをもたらす(例えば、Logan及びShenkの論文, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:3655を参照されたい)。特定の開始シグナルもまた、挿入されたFBP遺伝子産物コード配列の効率的な翻訳に必要としてもよい。これらのシグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。自身の開始コドン及び隣接配列を含む完全なFBP遺伝子を適切な発現ベクターに挿入する場合、さらなる翻訳制御シグナルは必要でないことがある。しかしながら、FBP遺伝子コード配列の一部のみが挿入される場合、ATG開始コドンをおそらく含む外因性翻訳制御シグナルを備えなければならない。さらに、開始コドンは、所望のコード配列の読み枠に一致させて、該挿入物全体の翻訳を確実にしなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル、及び開始コドンは、天然及び合成の両方を含む様々な起源であり得る。適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含ませることで、発現効率を高めてよい(Bittnerらの論文, 1987, Methods in Enzymol. 153:516を参照されたい)。
【0084】
さらに、挿入配列の発現を調節する宿主細胞系統、又は所望の特定様式で遺伝子産物を修飾及び加工する宿主細胞系統を選択してよい。タンパク質産物のそれらのような修飾(例えば、糖鎖付加)及び加工(例えば、切断)は、該タンパク質の機能に重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後加工並びに翻訳後修飾のための特性及び特定の機構を有する。適切な細胞株又は宿主系を選択して、発現する外来タンパク質の正しい修飾及び加工を確実にすることができる。この目的を達成するために、遺伝子産物の一次転写産物の正常な加工、糖鎖付加、及びリン酸化のための細胞性機構を有する真核生物宿主細胞を使用してよい。そのような哺乳動物宿主細胞は、これらに限定されないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、及びWI38を含む。
【0085】
長期にわたる、高収量の組換えタンパク質産物の安定的発現が好ましい。例えば、FBP遺伝子産物を安定的に発現する細胞株を設計してよい。ウイルス性の複製開始点を含む発現ベクターを使用するよりもむしろ、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター配列、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、など)で制御されるDNA、及び選択可能マーカーを用いて、宿主細胞を形質転換させることができる。外来DNAの導入後、作成した細胞を強化培地中で1〜2日間増殖させた後、選択培地に切り替えることができる。組換えプラスミド中の選択可能マーカーは選択への抵抗性を与え、細胞が該プラスミドを自身の染色体へと安定的に組み込み、増殖させて、順次クローン化し細胞株へと発展可能なフォーカスを形成させることができる。この方法を都合よく使用して、FBP遺伝子産物を発現する細胞株を作成してよい。そのようにして作成された細胞株は、FBP遺伝子産物の内因的活性に影響する化合物のスクリーニング及び評価に特に有用であり得る。
【0086】
それぞれtk細胞、hgprt細胞、又はaprt細胞で使用され得る、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerらの論文, 1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska及びSzybalskiの論文, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2026)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyらの論文, 1980, Cell 22:817)遺伝子を含むが、これらに限定されない、いくつかの選択系を使用することができる。また、抗代謝抵抗性を、以下の遺伝子の選択の基盤として使用できる:メトトレキサートへの抵抗性を付与するdhfr(Wiglerらの論文, 1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:3567;O'Hareらの論文, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci USA 78:1527);ミコフェノール酸への抵抗性を付与するgpt(Mulligan及びBergの論文, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノグリコシドG-418への抵抗性を付与するneo(Colberre-Garapinらの論文, 1981, J. Mol. Biol. 150:1);及び、ハイグロマイシンに抵抗性を付与するhygro(Santerreらの論文, 1984, Gene 30:147)。
【0087】
或いは、発現する融合タンパク質に特異的な抗体を利用して、任意の融合タンパク質を容易に精製できる。例えば、Janknechtらの論文に記載の系は、ヒト細胞株で発現した非変性融合タンパク質の容易な精製を可能にする(Janknechtらの論文, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:8972)。この系において、関心のある遺伝子を、該遺伝子のオープンリーディングフレーム領域が6個のヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに翻訳的に融合されるようなワクシニア組換えプラスミドにサブクローン化する。組換えワクシニアウイルスで感染させた細胞からの抽出物を、Ni2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムに供し、ヒスチジンタグ化タンパク質をイミダゾール含有緩衝液で選択的に溶出させる。
【0088】
また、FBP遺伝子産物を遺伝子導入動物で発現させることもできる。マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ブタ、マイクロピッグ、ヤギ、ヒツジ、並びに、例えば、ヒヒ、サル及びチンパンジーなどのヒト以外の霊長類を含むが、これらに限定されない全ての種の動物を使用して、FBP遺伝子導入動物を作成してよい。用語「遺伝子導入」は、本明細書で使用するように、遺伝的に改変され内因性(すなわち、同種)FBP配列を過剰発現する動物、又は遺伝的に改変され、もはや内因性FBP遺伝子配列を発現しない動物(すなわち、「ノックアウト」動物)、及びそれらの子孫に加えて、異種由来のFBP遺伝子配列を発現する動物(例えば、ヒトFBP配列を発現するマウス)をさす。
【0089】
特に、本発明は、FBP1ノックアウトマウスをさす。また、本発明は、それらのF-ボックスドメインの欠失型であるヒトの変異FBP1及び変異Skp2遺伝子配列を発現するように改変されたマウスに加えて、ヒトの野生型FBP1及び野生型Skp2遺伝子配列を発現する遺伝子導入マウスに関する。当業者に既知の任意の技術を使用して、FBP遺伝子導入遺伝子を動物に導入し、遺伝子導入動物の樹立系統を製造してよい。そのような技術は、これらに限定されないが:前核微量注入(Hoppe及びWagnerによる米国特許第4,873, 191号, 1989);生殖系列へのレトロウイルス介在性遺伝子転移(Van der Puttenらの論文, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 82:6148);胚性幹細胞における遺伝子標的化(Thompsonらの論文, 1989, Cell 56:313);胚の電子穿孔法(Loの論文, 1983, Mol. Cell. Biol. 3:1803);及び、精子介在性遺伝子転移(Lavitranoらの論文, 1989, Cell 57:717);を含む(それらのような技術の総説に関しては、Gordonの論文, 1989, Transgenic Animals, Intl. Rev. Cytol. 115:171を参照されたい)。
【0090】
任意の当業者に既知の技術、例えば、静止状態に誘導した培養胚細胞、培養胎児性細胞又は培養成人細胞由来の核の除核卵母細胞への核移植を使用して、FBP導入遺伝子を含む遺伝子導入動物を作成してよい(Campbellらの論文, 1996, Nature 380:64;Wilmutらの論文, Nature 385:810)。
【0091】
本発明は、全ての細胞にFBP導入遺伝子を保有する遺伝子導入動物に加えて、導入遺伝子をいくらか保有するが、全ての細胞が導入遺伝子を保有するわけではない動物、すなわちモザイク動物を提供する。単一導入遺伝子として、又は例えば、頭部-頭部タンデム、又は頭部-尾部タンデムのコンカテマー内に、導入遺伝子を組み込んでよい。また、導入遺伝子を、例えば、下記のLaskoらの論文の教示に従って、特定の細胞型に選択的に組み込み、活性化させてよい(Laskoらの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6232)。そのような細胞型に特異的な活性化に必要な制御配列は、関心のある特定の細胞型次第であり、かつ当業者には明白であろう。FBP導入遺伝子の組織特異的発現を指示するために使用できる制御配列の例は、これらに限定されないが:膵腺房細胞で活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftらの論文, 1984, Cell 38:639;Ornitzらの論文, 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399;MacDonaldの論文, 1987, Hepatology 7:42S);膵臓ベータ細胞で活性であるインスリン遺伝子制御領域(Hanahanの論文, 1985, Nature 315:115);リンパ球で活性である免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlらの論文, 1984, Cell 38:647;Adamsらの論文, 1985, Nature 318:533;Alexanderらの論文, 1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436);肝臓で活性であるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertらの論文, 1987, Genes Dev. 1:268);肝臓で活性であるアルファ-フェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufらの論文, 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639;Hammerらの論文, 1987, Science 235:53);肝臓で活性であるアルファ-1-アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelseyらの論文, 1987, Genes Dev.1:161);骨髄性細胞で活性であるベータ-グロビン遺伝子制御領域(Magramらの論文, 1985, Nature 315:338;Kolliasらの論文, 1986, Cell 46:89);脳の乏突起膠細胞で活性であるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadらの論文, 1987, Cell 48:703);骨格筋で活性であるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Shaniの論文, 1985, Nature 314:283);及び、視床下部で活性である性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonらの論文, 1986, Science 234:1372);を含む。組換えDNA又は合成技術で作成したプロモーターと同様に、哺乳動物細胞で生育するウイルスゲノムから単離したプロモーター(例えば、ワクシニアウイルス7.5kプロモーター、SV40プロモーター、HSVプロモーター、アデノウイルスMLPプロモーター、MMTVプロモーター、LTRプロモーター、及びCMVプロモーター)を使用してよい。
【0092】
FBP遺伝子導入遺伝子を、内因性FBP遺伝子の染色体部位に組み込むことを所望する場合、遺伝子標的化が好ましい。手短に言うと、そのような技術を使用する場合、染色体配列との相同組換えを介して組込み、内因性FBP遺伝子のヌクレオチド配列の機能を破壊するために、内因性FBP遺伝子に相同なヌクレオチド配列をいくらか含むベクターを設計する。また、導入遺伝子を特定の細胞型に選択的に導入し、それにより、例えばGuらの論文の教示に従って、該細胞型においてのみ内因性FBP遺伝子を不活性化させてよい(Guらの論文, 1994, Science 265:103)。そのような細胞型特異的不活性化に必要な制御配列は、関心のある特定の細胞型次第であり、かつ当業者には明白であろう。
【0093】
いったん遺伝子導入動物を作成すると、標準的技術を利用して、組換えFBP遺伝子の発現を調べることができる。はじめのスクリーニングを、サザンブロット解析、又はPCR技術で実施して動物組織を解析し、導入遺伝子の組み込みが起こっているかを調べてよい。また、遺伝子導入動物の組織中における導入遺伝子のmRNAの発現レベルも、前記動物から得られた組織サンプルのノーザンブロット解析、インサイチュウハイブリダイゼーション解析、及びRT-PCR(逆転写酵素PCR)を含むが、これらに限定されない技術を使用して評価してよい。また、FBP遺伝子発現組織の例は、FBP導入遺伝子産物に特異的な抗体を使用して、免疫組織化学的に評価してもよい。
【0094】
組織指示化導入遺伝子を有する遺伝子導入マウスを使用して、無処置動物におけるFBP遺伝子発現の効果を試験することができる。一実施態様において、乳腺でヒトFBP1導入遺伝子を有する遺伝子導入マウスを使用して、マウスの乳房発育及び腫瘍形成におけるFBPの役割を調べることができる。別の実施態様において、乳腺で、ヒトFBP1ドミナントネガティブ変異型(F-ボックス欠失型)を過剰発現する遺伝子導入マウスを作成することができる。具体的実施態様において、例えば、MMTV LTRプロモーター(マウス乳ガンウイルスの長い反復配列)を使用して、乳腺における導入遺伝子の組み込みを指示するのに使用できる。MMTV LTRプロモーター配列を、FBP1遺伝子の最初のATGの上流のヌクレオチド配列に融合させることによって、MMTV/FBP1融合遺伝子を構築することができる。また、SV40ポリアデニル化領域を、FBP1コード領域の下流の配列に融合させることもできる。当業者に周知の方法で遺伝子導入マウスを作成する(Gordonの論文, 1989, 上記参照)。手短に言うと、メスの未成熟B6D2F1マウスを過剰排卵させ、CD-1のオスと交配させる。翌朝、膣栓に関して該メスを調べ、受精卵を回収し、プラスミドベクターを微量注入する。約2000コピーのこの材料を、各前核に微量注入する。創始動物のスクリーニングを、脾臓からのDNA抽出物、及びプローブとしてMMTV/FBP1を使用するサザンハイブリダイゼーションで実施する。子孫のスクリーニングを、尾部DNAのPCRで実施する。いったん遺伝子導入系統を確立したら、後に起こる病理変化と関連付けるために、該導入遺伝子の発現パターンを異なる器官でのノーザンブロット及びRT-PCR解析で測定する。
【0095】
その後、上記の結果得られた遺伝子導入動物を、腫瘍形成における遺伝子の役割に関して調べる。一実施態様において、例えば、FBP導入遺伝子を、乳ガンモデルとして使用するために構築することができる。そのようなマウスにおけるFBP1遺伝子の過剰発現は、β-カテニンのユビキチン化及び分解を増加させ、その結果、腫瘍抑制因子の表現型をもたらすことが予測される。逆に、FBP1欠失変異体の過剰発現は、β-カテニンの安定化、及び乳腺上皮の増殖を誘導することが予測される。
【0096】
別の具体的実施態様において、Tリンパ球においてFBP1導入遺伝子を発現する遺伝子導入マウスを作成する。この実施態様において、CD4陽性T細胞内及びCD4陰性T細胞内の両方で発現を駆動するCD2プロモーターを、FBP遺伝子、例えば、野生型FBP1遺伝子及び変異型FBP1遺伝子の最初のATGの上流に位置する配列に融合させることによって、CD2/FBP1融合遺伝子を構築する。また、該構築物は、FBP遺伝子の下流のSV40ポリアデニル化領域を含み得る。先に記載したような遺伝子導入マウスの作成及び試験後、FBP導入遺伝子の発現を測定する。該導入遺伝子を、胸腺及び脾臓で発現させる。野生型FBP1の過剰発現は、表現型をもたらすことが予測される。例えば、FBP1遺伝子導入マウスの予測可能な表現型は、IκBα分解の増加、NFκB活性の増加、又は細胞増殖の増加を含む。逆に、F-ボックスドメインを欠くFBP1のドミナントネガティブ変異体の過剰発現は、反対の効果、例えばIκBα安定性の向上、NFκB活性の減少、又は細胞増殖の減少を有することが予測され得る。そのような遺伝子導入の表現型を、第5.4節及び第5.5節で使用するようなアッセイで試験することができる。
【0097】
別の具体的実施態様において、Skp2遺伝子を、遺伝子導入マウスのTリンパ球で発現させる。反対に、F-ボックス欠失体はドミナントネガティブとして作用し、p27を安定化させ、かつT細胞活性化を阻害する。CD2/Skp2融合遺伝子の構築、及び遺伝子導入マウスの産生CD2/ FBP1/融合遺伝子に関する記載の通りであり、CD2プロモーターで制御されるFBP1 cDNAの代わりに、野生型SKP2cDNA及び変異型SKP2 cDNAを使用している。創始体及びそれらの子孫を、Skp2導入遺伝子及び変異型SKP2導入遺伝子の存在並びに発現に関して解析する。脾臓及び胸腺における導入遺伝子の発現を、ノーザンブロット及びRT-PCRで解析する。
【0098】
別の具体的実施態様において、マウスのFBP1遺伝子座の不活性化によって、遺伝子導入マウスを構築する。相同組換えによるマウスのFBP1遺伝子座の不活性化は4工程を含む:1)FBP1の標的化ベクターの構築;2)ES+/-細胞の生成;3)ノックアウトマウスの作成;及び、4)表現型の特徴づけ。129 SVマウスゲノムファージライブラリーを使用して、マウスFBP1遺伝子を同定及び単離する。バクテリオファージを適切な密度でまき、アガロースディッシュの表面上にナイロン膜をそっとかぶせることによって、プラークのパターンのインプリントを得ることができる。プラークのパターンの正確なレプリカにおいて、毛細管現象で、バクテリオファージ粒子及びDNAを該フィルターへと移す。変性後、DNAを焼付けにより該フィルターへと結合させた後、32P標識FBP1cDNAとハイブリダイズさせる。余剰のプローブを洗い流した後、該フィルターをオートラジオグラフィーに感光させた。該フィルムを、オリジナルの寒天プレートと合わせることによって同定されたハイブリダイズプラークを、第2スクリーニング及び第3スクリーニング用に採取し、純粋なプラーク標品を得た。この方法を使用して、関心のある領域、例えば、F-ボックスコード領域に及ぶ陽性ファージを単離する。PCR、サザンハイブリダイゼーション、制限マッピング、サブクローン化及びDNA配列決定を使用して、野生型FBP1遺伝子の部分構造を決定できる。
【0099】
相同組換えによってFBP1遺伝子座を不活性化させるため、FBP1遺伝子座中のエキソン3を、アンチセンス方向で、選択可能マーカー、例えばneoR遺伝子で置換した遺伝子標的化ベクターを使用し、構築することができる。エキソン3は、FBP1のSkp1との相互作用に必須であることが既知のF-ボックスモチーフをコードする。該標的化構築物は、選択可能な標的遺伝子に隣接する相同な短腕及び長腕を有する。相同組換えESクローンをPCRで選別するので、該ベクターの腕の1つは比較的短く(2kb)、効率的な増幅を保証する。もう一方の腕は>6kbであり、相同組換えの頻度を最大化させる。該ベクターの長い相同腕の末端に含まれたチミジンキナーゼ(tk)遺伝子は、標的ベクターをランダムに組み込むESクローンに対する、(ガンシロビル(gancylovir)を使用する)さらなる負の選択マーカーを提供する。相同組換えはしばしば直鎖状DNAを使用して起こるので、ES細胞への形質移入に先立ち、該標的化ベクターを直鎖状にする。
【0100】
電気穿孔法、及び胚性幹細胞クローンの二重薬剤選別の後、PCR並びにサザン解析を使用して、相同組換えがFBP1遺伝子座で起こっているかどうかを測定する。サザン解析よりもPCR法でより多くのコロニーを解析できるので、PCRによるスクリーニングが好都合である。さらに、PCRスクリーニングは、ネガティブクローンの迅速な排除を可能にし、それゆえ組換え体が同定されるまでの間に全てのクローンに栄養を与えて凍らせることを避けることができる。相同組換えの検出に関するPCRストラテジーは:一方のプライマーが、標的構築物に特異的な配列、例えば、ネオマイシン遺伝子又は他の選択可能マーカー配列にアニールし、かつ内因性遺伝子座中の配列にはアニールしない;かつ、他方のプライマーが、該構築物の外側の領域にはアニールするが内因性遺伝子座にはアニールしない;ように選択したプライマー対の使用に基づく。サザン解析を使用して、相同組換え現象が起きているか(短腕の相同性及び長腕の相同性の両方)、及び遺伝子重複現象が組換えの間に起こっていないかを確認する。
【0101】
そのようなFBP1ノックアウトマウスを使用して、細胞性制御及び増殖制御における、FBP1の役割を試験する。一実施態様において、FBP1を欠くそのようなマウスの表現型は、細胞過形成、及び腫瘍形成の増加である。別の実施態様において、FBP1ヌルマウスの表現型は、これらに限定されないが、β-カテニン活性の増加、β-カテニンの安定化、細胞増殖の増加、IκBαの蓄積、NF-κB活性の減少、免疫応答欠損、炎症、又は細胞死の増加、若しくはアポトーシス活性の増加を含む。或いは、FBP1遺伝子の欠失は、胚性致死をもたらし得る。この場合において、FBP1対立遺伝子でのヘテロ接合型マウスを、先に記載したアッセイを使用して試験することができ、ヌルFBPマウスの胚を、先に記載したアッセイを使用して試験できる。さらなる実施態様において、FBP1ヌルマウスは、繁殖力が減少した表現型を有する。
また、FBP導入遺伝子を有する遺伝子導入マウスを使用して、FBP遺伝子の発現、及び/又はFBP1遺伝子若しくは遺伝子産物の合成又は活性を調節し得る化合物を選別することができる。そのような化合物及びスクリーニング方法を記載する。
【0102】
(5.3 F-ボックスタンパク質及びそれらの誘導体に対する抗体の産生)
本発明に従い、F-ボックスモチーフ、そのフラグメント又は他の誘導体、若しくはそれらの類似体を免疫原として使用して、それらのような免疫原に免疫特異的に結合する抗体を生産してよい。そのような抗体は、これらに限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリーを含む。具体的実施態様において、ヒトFBPタンパク質に対する抗体を産生する。別の実施態様において、FBPのドメイン(例えば、F-ボックスドメイン、又は基質結合部位)に対する抗体を産生する。
【0103】
FBP、又はFBP誘導体若しくは類似体に対するポリクローナル抗体の産生に関して、当業者に既知の様々な手順を使用してよい。特定の実施態様において、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、FBP25、FBL10、FBL11及びFBl12の配列、又はそれらの部分配列によってコードされるFBPの抗原決定基に対するウサギポリクローナル抗体を得ることができる(Paganoの文献, 1995, 『細胞周期:材料及び方法(Cell Cycle: Materials and Methods)』 M. Pagano編 Spring-Verlag. 217-281)。抗体の産生に関して、ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、これらに限定されない様々な宿主動物を、天然型FBP、又はその合成体又は誘導体(例えば、フラグメント)を注射することで免疫することができる。宿主次第で様々なアジュバントを使用して、免疫反応を亢進させてよく、該アジュバントには、これらに限定されないが:フロイント(完全及び不完全)アジュバント;水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル;リゾレシチンなどの表面活性物質;プルロニックポリオール;ポリアニオン;ペプチド;油乳剤;キーホールリンペットヘモシアニン;ジニトロフェノール;並びにBCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウム・パルバム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバント;を含む。
【0104】
FBP配列、又はその類似体に対して指示されるモノクローナル抗体の調製に関して、培養中の連続細胞系によって抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用してよい。例えば、ハイブリドーマ法は、Kohler及びMilsteinによってはじめに開発され(Kohler及びMilsteinの論文, 1975, Nature 256:495)、並びに、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborらの論文, 1983, lmmunol. Today 4:72)、及びヒトモノクローナル抗体を産生するEBV-ハイブリドーマ法(Coleらの文献, 1985, 『モノクローナル抗体及びガン治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)』, Alan R. Liss社, 77-96)が開発されている。本発明のさらなる実施態様において、最新技術を利用して、無菌動物内でモノクローナル抗体を産生できる(PCT/US90/02545)。本発明に従ってヒト抗体を使用することができ、ヒト抗体は、ヒトハイブリドーマを使用することによって(Coteらの論文, 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026)、又はインビトロでEBVウイルスでヒトB細胞を形質転換させることによって(Coleらの論文, 上記参照)得ることができる。実際に、本発明に従って、適切な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともに、FBPに特異的なマウス抗体分子由来の遺伝子をスプライシングすることによる、「キメラ抗体」の産生用に開発された技術(Morrisonらの論文, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:6851;Neubergerらの論文, 1984, Nature 312:604;Takedaらの論文, 1985, Nature 314:452)を使用することができ;そのような抗体は本発明の範囲内である。
【0105】
本発明に従って、一本鎖抗体の産生に関して記載された技術(米国特許第4,946,778号)を、FBP特異的一本鎖抗体の産生に適合させることができる。本発明のさらなる実施態様は、Fab発現ライブラリーの構築について記載された技術(Huseらの論文, 1989, Science 246:1275)を利用して、FBP、FBP誘導体、又はFBP類似体に所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ簡便な同定を可能にする。
該分子のイディオタイプを含む抗体フラグメントを、既知の技術を使用して作成できる。例えば、そのようなフラグメントは、これらに限定されないが:抗体分子のペプシン消化で産生され得るF(ab')2フラグメント;F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって産生され得るFab'フラグメント;抗体分子をパパイン及び還元剤で処理することによって産生され得るFabフラグメント;及びFvフラグメント;を含む。
【0106】
抗体産生に関して、所望の抗体用スクリーニングを、当業者に既知の技術、例えばELISA(酵素免疫測定法)で達成してよい。例えば、FBPの特定のドメインを認識する抗体を選択するために、そのようなドメインを含むFBPフラグメントに結合する産物用に作成したハイブリドーマをアッセイしてよい。第1FBP相同体に特異的に結合するが、異なるFBP相同体には特異的に結合しない抗体の選択に関して、第1FBP相同体への結合は陽性でかつ第2FBP相同体には結合性を欠くことに基づいて選択することができる。
【0107】
F-ボックスモチーフなどの、FBPのドメインに特異的な抗体も提供する。
本発明のFBP配列の局在及び活性に関連する当業者に既知の方法、例えば、適切な生理学的試料での診断的方法などにおいて、これらのタンパク質の画像化、及び該タンパク質レベルの測定に、前述の抗体を使用できる。
本発明の別の実施態様において(以下を参照されたい)、結合ドメインを含む抗FBP抗体及びそのフラグメントを治療薬として使用する。
【0108】
(5.4 F-ボックスタンパク質と相互作用する、及び/又はそれらの酵素活性に干渉する作用物質の同定用スクリーニングアッセイ)
ユビキチンリガーゼ複合体の新規構成要素は、FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP22、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24及びFBP25を含み、細胞性タンパク質と相互作用し、細胞増殖を制御する。本発明の1つの態様は、ユビキチンリガーゼ活性の潜在的基質などの新規ユビキチンリガーゼと相互作用するポリペプチド又はペプチド若しくは他の化合物を同定するための、新規構成要素のフラグメント、誘導体及び類似体のアッセイ方法並びにスクリーニング方法を提供する。また、本発明は、新規FBPと他のサブユニット、又は新規FBPとSkp1などの複数のユビキチンリガーゼ複合体との相互作用を調節若しくは阻害する化合物、或いは新規FBPが相互作用するユビキチン化酵素を同定するためのスクリーニングアッセイを提供する。
【0109】
さらに別の実施態様において、本発明のアッセイを使用して、新規ユビキチンリガーゼ間、又は新規基質若しくは既知の基質を伴うユビキチンリガーゼ複合体の既知の構成要素(例えば、Skp1)間の相互作用を阻害或いは調節するポリペプチド又はペプチド若しくは他の化合物を同定することができる。限定ではない実例として、本明細書に記載のスクリーニングアッセイを使用して、既知のユビキチンリガーゼ構成要素であるSkp2とその新規基質であるp27との間の相互作用に干渉するペプチド又はタンパク質を同定することができる。別の実施例において、FBP1/β-Trcp1とその新規基質であるβ-カテニンとの間の相互作用に干渉する化合物を、該スクリーニングアッセイを使用して同定する。別の実施例において、FBP1とその新規基質であるFBP5/Emi1との間の相互作用に干渉する化合物を、該スクリーニングアッセイを使用して同定する。別の実施例において、Skp2と別の推定基質であるE2Fとの間の相互作用に干渉する化合物を、該スクリーニングアッセイを使用して同定する。さらに別の実施例において、FBP1と別の推定基質であるIκBαとの間の相互作用に干渉する化合物を、該スクリーニングアッセイを使用して同定する。さらなる実施例において、FBP1アイソフォームFBP1/β-Trcp1及びFBP1B/β-Trcp2と、それらの基質であるβ-カテニンとの間の相互作用に干渉する化合物を、該スクリーニングアッセイを使用して同定する。さらに別の実施例において、FBP1アイソフォームFBP1/β-Trcp1及びFBP1B/β-Trcp2と、それらの基質であるIκBαとの間の相互作用に干渉する化合物を、該スクリーニングアッセイを使用して同定する。
さらに別の実施態様において、本発明のアッセイを使用して、新規FBPの酵素的活性化因子を阻害又は活性化させるポリペプチド若しくはペプチドを同定することができる。
【0110】
(5.4.1 タンパク質-タンパク質相互作用に関するアッセイ)
本発明のユビキチンリガーゼ複合体の新規構成要素に干渉するタンパク質の誘導体、類似体及びフラグメントを、ツーハイブリッドアッセイ系を用いて同定することができる。はじめに酵母で開発されたツーハイブリッド系は、近年、哺乳動物細胞での使用に適合化されており、キットの形式で入手可能である(Fields及びSongの論文, 1989, Nature 340:245;米国特許第5,283,173号;Dangらの論文, 1991, Mol. Cell. Biol. 11:954;Fearonらの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:7958、及びCheckMate Mammalian Two-Hybrid System, Promega社、カタログ番号E2440)。該アッセイ系を酵母で実施する場合、この系で検出される、分子間のタンパク質相互作用は、哺乳動物細胞中の諸条件を模倣する生理的条件下で起こる(Chienらの論文, 1991, Proc. Natl. Acad. Sd. USA. 88:9578)。哺乳動物細胞で実施する場合、タンパク質-タンパク質相互作用を、選択した細胞株でアッセイできる(CheckMate Mammalian Two-Hybrid System, 技術マニュアル番号TM049, 2000, Promega社を参照されたい)。
【0111】
ツーハイブリッド系によるタンパク質相互作用の同定は、レポーター遺伝子の発現の検出に基づいており、該レポーター遺伝子の転写は、それぞれが転写制御遺伝子の半分に融合する2つのタンパク質の相互作用による転写制御遺伝子の再構成に依存する。「ベイト」(すなわち、本発明のユビキチンリガーゼ複合体の新規構成要素又はそれらの誘導体若しくは類似体)タンパク質、及び「プレイ(prey)」(ベイトに相互作用する能力を試験されるタンパク質)タンパク質を、それぞれDNA結合ドメインへの融合タンパク質及び転写制御ドメインへの融合タンパク質として発現させるか、又は「ベイト」タンパク質を転写制御ドメインへの融合タンパク質として、「プレイ」タンパク質をDNA結合ドメインへの融合タンパク質として発現させる。様々な具体的実施態様において、プレイは、少なくとも約50、約100、約500、約1,000、約5,000、約10,000又は約50,000の複雑性(complexity)を有するか;又は、約25〜約100,000、約100〜約100,000、約50,000〜約100,000、若しくは約100,000〜約500,000の範囲の複雑性を有する。例えば、プレイの集団は、(例えば、部位指定変異導入、又はヌクレオチド配列に変異を導入する別の方法で作成されたような)タンパク質の変異体をコードする1以上の核酸であり得る。好ましくは、該プレイの集団は、DNA、例えばcDNA又はゲノムDNA若しくは合成的に作成したDNAでコードされるタンパク質である。例えば、該集団は、mRNA由来のcDNAサンプルの集団の特徴づけられていないサンプルからのcDNA配列を含む、キメラ遺伝子から発現させることができる。
【0112】
具体的実施態様において、ランダムペプチドを発現している組換え生物学的ライブラリーを、プレイ核酸の供給源として使用できる。
一般的に、ベイト集団及びプレイ集団のタンパク質は、選択前配列に隣接する各々のタンパク質を含む、(好ましくは、キメラコード配列の組換え発現による)融合(キメラ)タンパク質として提供される。ある集団に関して、選択前配列は、DNA結合ドメインである。DNA結合ドメインは、プロモーター中のDNA配列を特異的に認識するのであれば、全てのDNA結合ドメインであり得る。例えば、DNA結合ドメインは、転写活性化因子又は転写阻害因子のものである。他の集団に関して、選択前配列は、転写活性化因子又は転写阻害因子の、それぞれ、活性化ドメイン又は阻害ドメインである。制御ドメイン単独(タンパク質配列への融合としてではなく)及びDNA結合ドメイン単独(タンパク質配列への融合としてではなく)は、(該アッセイでの擬陽性を避けるため)検出可能な程度に相互作用を行わないのが好ましい。該アッセイ系はさらに、転写活性化因子(又は転写阻害因子)のDNA結合ドメインに対する結合部位を含むプロモーターに機能的に連結されたレポーター遺伝子を含む。従って、本発明の方法において、プレイ融合タンパク質へのユビキチンリガーゼ融合タンパク質の結合は、レポーター遺伝子の発現を活性化(又は阻害)させる転写活性化因子(又は阻害因子)の再構成を導く。レポーター遺伝子の転写の活性化(又は阻害)は、細胞内、例えば原核生物細胞又は真核生物細胞、好ましくは培養細胞内で起こる。
【0113】
レポーター遺伝子ヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターは、該ヌクレオチド配列の天然型プロモーター又は非天然型プロモーターであり得、かつ該融合タンパク質のDNA結合ドメイン部分により認識されるDNA結合部位(群)は、(該プロモーターがそのような結合部位(群)を通常含むのであれば)該プロモーターに対する天然型、又は該プロモーターに対する非天然型であり得る。
【0114】
或いは、所望の遺伝子(群)の転写活性化結合部位を欠失させ、GAL4結合部位で置換することができる(Bartelらの論文, 1993, BioTechniques 14:920, Chasmanらの論文, 1989, Mol. Cell. Biol. 9:4746)。好ましくは、レポーター遺伝子は、検出可能なマーカー又は選択可能マーカーをコードしている配列を含み、該レポーター遺伝子の発現は、該マーカーが、細胞内で特定の相互作用の存在に応答してオン又はオフにされるような転写活性化因子によって制御される。好ましくは、該アッセイを、転写活性化因子のバックグラウンドレベルの不在下で(転写活性化因子変異体、又はそうでなければ転写活性化因子を欠く細胞で)実施する。
【0115】
該アッセイに使用する活性化ドメイン及びDNA結合ドメインは、当該転写活性化因子が、分離可能な結合ドメイン及び転写活性化ドメインを有する限り、多種多様な転写活性化タンパク質由来であり得る。例えば、S.セレビシエのGAL4タンパク質(Maらの論文, 1987, Cell 48:847)、S.セレビシエのGCN4タンパク質(Hope及びStruhlの論文, 1986, Cell 46:885)、S.セレビシエのARD1タンパク質(Thukralらの論文, 1989, Mol. Cell. Biol. 9:2360)、及びヒトエストロゲン受容体(Kumarらの論文;, 1987, Cell 51:941)は、分離可能なDNA結合ドメイン並びに活性化ドメインを有する。該融合タンパク質に使用するDNA結合ドメイン及び活性化ドメインは、同一の転写活性因子由来である必要はない。具体的実施態様において、GAL4又はLEXA DNA結合ドメインを使用する。別の具体的実施態様において、GAL4又は単純ヘルペスウイルスVP16(Triezenbergらの論文, 1988, Genes Dev. 2:730、及びCheckMate Mammalian Two-Hybrid System, Promega社、カタログ番号E2440)活性化ドメインを使用する。具体的実施態様において、GAL4のアミノ酸1〜147(Maらの論文, 上記参照;Ptashneらの論文, 1990, Nature 346:329)がDNA結合ドメインであり、かつVP16のアミノ酸411〜455(Triezenbergらの論文, 上記参照;Cressらの論文, 1991, Science 251:87)は活性化ドメインを含む。
【0116】
酵母ツーハイブリッドアッセイ系を使用する一実施態様において、酵母の転写因子GAL4をタンパク質-タンパク質相互作用で再構成し、かつ宿主株はGAL4変異型である。別の実施態様において、DNA結合ドメインはAce1Nであり、及び/又は該活性化ドメインはAce1であり、これらはそれぞれAce1タンパク質のDNA結合ドメイン及び活性化ドメインである。Ace1は、二価銅の存在下で、CUP1オペロンからの転写を活性化させる酵母タンパク質である。CUP1は銅をキレート化するメタロチオネインをコードし、CUP1タンパク質の発現は、該発現がなければ宿主細胞に毒性である銅の存在下でも生育を可能にする。また、レポーター遺伝子は、再構成されたAce1N転写活性化因子の結合後すぐに、(所定の発色アッセイで検出可能な)ベータ-ガラクトシダーゼ酵素を発現させるCUP1-lacZ融合体であり得る(Chaudhuriらの論文, 1995, FEBS Letters 357:221を参照されたい)。別の具体的実施態様において、ヒトエストロゲン受容体のDNA結合ドメインを、1又は3つのエストロゲン受容体応答性エレメントで駆動されるレポーター遺伝子とともに使用する(Le Douarinらの論文, 1995, Nucl. Acids. Res. 23:876)。DNA結合ドメイン及び転写活性化/阻害ドメインの各々は、該融合タンパク質が発現する細胞内で機能的な核局在化シグナルを好ましく有することが好ましい(Ylikomiらの論文, 1992, EMBO J. 11:3681;Dingwall及びLaskeyの論文, 1991, TIBS 16:479;を参照されたい)。
【0117】
コードされたタンパク質の単離を促進させるために、融合構築物はさらに、(例えば、それぞれ、グルタチオン、マルトース、又は抗原決定基に特異的な特定の抗体に結合する)親和性精製用に、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、又はマルトース結合タンパク質、若しくは利用可能な抗体の抗原決定基などの親和性タグをコードしている配列を含むことができる(Allenらの論文, 1995, TIBS 20:511)。別の実施態様において、該融合構築物はさらに、細菌細胞において該融合タンパク質の組換え産生に関する細菌性プロモーター配列を含む。
【0118】
該相互作用アッセイが生じる宿主細胞は、当該細胞内でレポーター遺伝子内の転写が起き得、かつ検出可能な全ての原核生物細胞又は真核生物細胞であり得、該細胞は、哺乳動物細胞(例えば、サル、マウス、ラット、ヒト、ウシ)、ニワトリの細胞、細菌細胞、昆虫細胞又は酵母細胞を含むが、これらに限定されない。結合ドメイン融合タンパク質、転写活性化ドメイン融合タンパク質、及びレポーター遺伝子産物をコードし、かつ発現する発現構築物を、細胞融合、形質転換、電子穿孔法、微量注入、又は当業者に既知の他の適切な方法で宿主細胞内に導入する。例えば、酵母においては、該発現構築物を、それぞれの発現構築物を含む細胞の接合によって、宿主細胞内に導入してよい。
【0119】
酵母における該2つの融合タンパク質集団の発現用の様々なベクター及び宿主株が知られており、かつ使用することができる(例えば、米国特許第5,1468,614号;Bartelらの文献, 1993, Hartley編『発生における細胞性相互作用(Cellular Interactions in Development)』中の実践的アプローチ シリーズxviii, IRL Press at Oxford University Press, New York, NY, 153-179;Fields及びSternglanzの論文, 1994, Trends In Genetics 10:286-292;を参照されたい)。
【0120】
細胞の内因性レポーター遺伝子活性がまだ欠失していない場合、レポーター遺伝子に変異を有する細胞を既知の方法により選択してよく、又はレポーター遺伝子の導入前に、既知の遺伝子破壊法で細胞の標的遺伝子を変異させることができる(Rothsteinの論文, 1983, Meth. Enzymol. 101:202-211)。
【0121】
具体的実施態様において、異なる融合タンパク質集団をコードするプラスミドを、共形質転換によって、レポーター遺伝子構築物を含むプラスミドと同時に導入、又は1以上のレポーター遺伝子をすでに含む一種類の宿主細胞中に導入し、タンパク質-タンパク質相互作用アッセイを行うことができる。哺乳動物細胞用のキットアッセイ系を使用する場合、融合タンパク質及びレポーター遺伝子構築物の導入は、製造業者の指示に従う。哺乳動物細胞において、様々なプラスミド又はプラスミドも、細胞融合により一種の細胞に導入してよい。酵母に基づく系において、2種の融合タンパク質集団を接合で、単一細胞に導入してよい(例えば、酵母細胞)。接合型アッセイにおいて、それぞれ、結合ドメイン融合発現構築物(好ましくはプラスミド)及び活性化(又は阻害)ドメイン融合発現構築物(好ましくはプラスミド)で形質転換させた、酵母細胞一倍体の逆の接合型の接合は、両方の構築物を同一の二倍体細胞に送達する。酵母株の接合型は、HO遺伝子を用いた形質転換で操作してよい(Herskowitz及びJensenの論文, 1991, Meth. Enzymol. 194:132)。
【0122】
酵母サッカロミセス・セレビシエの2つの異なる宿主細胞、a型系統及びα型系統を使用して、酵母相互作用接合アッセイを実施する。宿主細胞は、それぞれがDNA結合ドメインに対する1以上の結合部位(例えば、転写活性化因子の)を有する、少なくとも2つのレポーター遺伝子を含むのが好ましい。該活性化ドメイン及びDNA結合ドメインは、2種類のそれぞれのタンパク質集団から形成されるキメラタンパク質の各部分である。ある系統、例えばa系統の宿主細胞は、GAL4などの転写活性化因子のDNA結合ドメインを有するヌクレオチド配列ライブラリーの融合を含む。宿主細胞のこのセットで発現するハイブリッドタンパク質は、該レポーター遺伝子構築物のプロモーター領域又はエンハンサー領域におけるDNA結合部位を認識することができる。酵母宿主細胞の第2セット、例えばα系統は、転写活性化因子の活性化ドメインに融合されたDNA配列のライブラリーの融合体をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0123】
別の実施態様において、該融合構築物を、相同組換えを介して、酵母の染色体に直接的に導入する。これらの目的の相同組換えは、酵母の栄養成長に必須ではない酵母配列、例えばMER2遺伝子、MER1遺伝子、ZIPI遺伝子、REC102遺伝子、又はME14遺伝子を通じて仲介される。
また、バクテリオファージベクターを使用して、DNA結合ドメイン融合タンパク質、及び/又は活性化ドメイン融合タンパク質を発現させることができる。一般的に、ライブラリーは、プラスミドベクターからよりも、バクテリオファージベクターから、より早くかつ容易に調製できる。
【0124】
具体的実施態様において、本発明は、1以上のタンパク質-タンパク質相互作用の検出方法を提供し、該方法は:(a)第1接合型である酵母細胞の第1集団で、本発明の新規ユビキチンリガーゼ構成要素、又はその誘導体若しくは類似体を組換え的に発現させる工程であって:本発明の新規ユビキチンリガーゼ構成要素の配列、及びDNA結合ドメインの配列を含む第1誘導体を含み;酵母細胞の前記第1集団は、前記第1融合タンパク質と第2融合タンパク質とが相互作用するように、前記DNA結合ドメインにより認識される1以上のDNA結合部位で駆動されるプロモーターに機能的に連結された第1ヌクレオチド配列を含み;転写活性化ドメインを含む前記第2融合タンパク質は、前記第1ヌクレオチド配列の転写の増加をもたらす、前記工程;(b)前記第1ヌクレオチド配列の転写の増加が、前記第2融合タンパク質の不在下で起こる、前記第1集団内の酵母細胞を除外する、負の選択工程;(c)前記第1接合型とは異なる第2接合型の酵母細胞の第2集団において、複数の前記第2融合タンパク質を組換え的に発現させる工程であって、各々の第2融合タンパク質は、タンパク質のフラグメント、誘導体又は類似体の配列、並びに転写活性化因子の活性化ドメインの配列を含み、ここで該活性化ドメインは、前記第2融合タンパク質で同じである、前記工程;(d)酵母細胞の前記第1集団を、酵母細胞の前記第2集団と接合させて、二倍体の酵母細胞の第3集団を形成させる工程であって:二倍体酵母細胞の前記第3集団は、DNA結合部位により駆動されるプロモーターに機能的に連結された第2ヌクレオチド配列を含み;該DNA結合部位は、第1融合タンパク質と第2融合タンパク質との相互作用が、前記第2ヌクレオチド配列の転写増加をもたらすような前記DNA結合ドメインによって認識され;ここで該第1ヌクレオチド配列及び第2ヌクレオチド配列は同じ又は異なりうる、前記工程;及び、(e)前記第1ヌクレオチド配列及び/又は第2ヌクレオチド配列の前記転写増加を検出し、それによって第1融合タンパク質と第2融合タンパク質との間の相互作用を検出する工程;を含む。
【0125】
(5.4.2 推定基質を含む、既知のタンパク質とのF-ボックスタンパク質の相互作用を同定するためのアッセイ)
サイクリンファミリー、又はCki阻害タンパク質のメンバーなど細胞周期制御タンパク質の、細胞内存在量は、ユビキチン経路で制御される。哺乳動物の細胞周期制御のユビキチン化に関与する酵素は知られていない。酵母においては、SCF複合体が、細胞周期制御因子に対するユビキチンリガーゼに相当する。本発明の新規F-ボックスタンパク質などのユビキチンリガーゼ複合体のF-ボックス構成要素は、ユビキチンリガーゼ複合体の標的の特異性を決定する。それゆえ本発明は、結合促進条件下で、F-ボックスタンパク質の核酸、タンパク質又は誘導体に特異的に結合する既知分子を選別するアッセイを提供し、その後FBPタンパク質に特異的に結合する分子を同定する。
【0126】
具体的実施態様において、本発明は、F-ボックスタンパク質Fbp1とCul1/Skp1複合体との間の相互作用、及びβ-カテニンの安定性制御におけるその役割を調査するための方法を提供する。第7節の実験に詳細に記載されているように、タンパク質-タンパク質相互作用は、インビボ及びインビトロで、これらのタンパク質に特異的な抗体を使用して調査することができる。
【0127】
別の具体的実施態様において、Skp2と、細胞周期制御性サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害因子であるp27との間の相互作用の検出方法を、第9節に記載するように提供する。Skp2とp27との間の相互作用を標的化して、p27などの細胞周期制御因子との相互作用を含む、Skp2活性の調節因子を同定することができる。p27などのSkp2特異的基質のユビキチン化を、Skp2活性を調節するテスト化合物の能力を測定する手段として使用してよい。本発明のスクリーニングアッセイの別の実施態様において、第9節に記載するような免疫除去アッセイを使用して、Skp2/p27相互作用の調節物質を同定することができる。特に、第9節は、基質としてp27を使用して、インビトロでのユビキチン化活性の検出方法を記載し、また該方法を使用して、Skp2依存性のp27ユビキチン化の調節物質を同定することができる。本発明のスクリーニングアッセイの別の実施態様において、第6.7.1節に記載するようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Skp2活性の阻害剤として使用することができる。そのように同定された、p27ユビキチン化/分解、及びSkp2/p27相互作用の調節物質は、抗ガン治療に有用であり得る。
【0128】
別の具体的実施態様において、Skp2とCks1との間、並びにSkp2、Cks1及びp27の間の相互作用の検出方法を提供する。Skp2とCks1との間、並びにSkp2、Cks1及びp27の間の相互作用を標的化し、Cks1及びp27などの細胞周期に関与する分子との相互作用を含む、Skp2活性の調節物質を同定してよい。p27などのSkp2特異的基質のユビキチン化を、Cks1の存在下又は不在下でSkp2活性を調節するテスト化合物の能力を測定する手段として使用してよい。第9節は、基質として、p27、又は187位のリン酸化スレオニンを有するか若しくは有しないp27のカルボキシ末端に対応するリン酸化ペプチドを使用して、インビトロでCks1を伴う又は伴わないSkp2による、ユビキチン化活性の検出に関する本発明のスクリーニングアッセイの別の実施態様を記載し、また該スクリーニングアッセイを使用して、Skp2依存性のp27のユビキチン化の調節物質を同定することができる。本発明のスクリーニングアッセイの別の実施態様において、第6.7.1節に記載するようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Skp2活性の阻害剤として使用することができる。そのように同定されたp27のユビキチン化/分解、並びにSkp2/Cks1/p27相互作用の調節物質は、抗ガン治療に有用であり得る。
【0129】
別の具体的実施態様において、本発明は、F-ボックスタンパク質Skp2と、細胞周期進行に関与する転写因子であるE2F-1との間の相互作用の検出方法を提供する。Skp2及びE2F-1を共発現しているバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させることができ、細胞抽出物を調製してタンパク質-タンパク質相互作用を解析することができる。第11節に詳細に記載するように、このアッセイを使用して、Skp2などの既知のF-ボックスタンパク質の潜在的標的(E2Fなど)の同定に成功している。このアッセイを使用して、新規F-ボックスタンパク質の標的に加え、他のSkp2標的を同定することができる。
【0130】
別の具体的実施態様において、Fbp1と、Fbp1基質であるβ-カテニン又はIκBαのいずれか一方との間の相互作用の検出方法を提供する。別の具体的実施態様において、Fbp1アイソフォームβ-Trcp2と、β-Trcp2基質であるβ-カテニン又はIκBαのいずれか一方との間の相互作用の検出方法を提供する。さらに別の具体的実施態様において、Fbp1と、Fbp1基質であるβ-カテニン又はIκBαのいずれか一方との間の相互作用に干渉する化合物を提供する。別の具体的実施態様において、β-Trcp2と、β-Trcp2基質であるβ-カテニン又はIκBαのいずれか一方との間の相互作用に干渉する化合物を提供する。Fbp1又はβ-Trcp2と、β-カテニン又はIκBαなどの基質との相互作用を標的化し、FBP1又はβ-Trcp2の調節物質を同定してよい。β-カテニン又はIκBαなどの、FBP1又はβ-Trcp2特異的基質のユビキチン化を、FBP1又はβ-Trcp2活性を調節するテスト化合物の能力を測定する手段として使用してよい。特に、第12節は、基質としてβ-カテニン又はIκBαを使用する、インビトロでの基質安定化の検出方法を記載し、また該方法を使用して、FBP1介在性基質分解又はβ-Trcp2介在性基質分解の調節物質を同定することができる。本発明のスクリーニングアッセイの別の実施態様において、第5.7.1節に記載するようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを、FBP1活性又はβ-Trcp2活性の阻害剤として使用することができる。そのように同定されたβ-カテニン分解又はIκBα分解の調節物質は、抗ガン治療、又は不妊症治療に有用であり得る。
【0131】
本発明はさらに、新規F-ボックスタンパク質(又はそのフラグメント)をユビキチンリガーゼ活性のための構成要素の1つとして有するユビキチンリガーゼ複合体のスクリーニング方法であって、既知の細胞周期制御タンパク質をユビキチン化の潜在的基質として使用するスクリーニング方法を提供する。例えば、FBP核酸を発現するように設計した細胞を使用して、推定上のユビキチンリガーゼ基質分子も発現する細胞において、野生型FBPタンパク質又はドミナントネガティブ変異FBPタンパク質のいずれかを組換え的に産生させることができる。そのような本発明の新規FBPの基質の候補は、これらに限定されないが、IκBα、β-カテニン、myc、E2F-1、p27、p21、サイクリンA、サイクリンB、サイクリンD1、サイクリンE、及びp53などの潜在的基質を含む。その後、該抽出物を使用して:F-ボックスタンパク質とそれらの基質との会合(ウエスタンブロット免疫検定法による);及び、FBPの存在が潜在的基質のレベルを増加又は減少させているかどうか;を試験することができる。
【0132】
(5.5 F-ボックスタンパク質の活性を調節する化合物の同定用アッセイ)
本発明は、以下の副節に記載のインビトロアッセイ系、及びインビボアッセイ系に関し、該系を使用して、既知のFBPと、新規基質、及びユビキチンリガーゼ複合体の新規構成要素との相互作用を調節する化合物又は組成物を同定することができる。また、本発明のスクリーニングアッセイを使用して、新規FBPと、それらの同定された基質、及びユビキチンリガーゼ複合体構成要素との相互作用を調節する化合物又は組成物を同定してよい。
【0133】
発明者らの発見である新規FBP及び新規FBPとユビキチンリガーゼ複合体の他の構成要素との相互作用、並びにユビキチンリガーゼ複合体の既知の基質及び潜在的基質に基づき、潜在的作用物質を、FBPの発現及び活性を妨害する又は調節する能力に関して選別する方法を設計できる。例えば、候補化合物を:FBPとSkp1との相互作用;又はSkp2とE2F-1との特異的相互作用;Skp2とCks1との特異的相互作用;Skp2と、Cks1及びp27との特異的相互作用;又はFBP1/Cul1/Skp1複合体とβ-カテニンとの特異的相互作用;を調節するそれらの能力に関して選別することができる。原則的には、多くの当業者に既知の方法を、設計した本発明のアッセイに容易に適合させることができる。
【0134】
また、本発明のスクリーニングアッセイは、FBP発現及び活性の調節物質を同定するためのハイスループット選別及びアッセイを含む。この実施態様に従い、以下に記載する系をキットへと編成してよい。この目的を達成するために、FBP、並びにユビキチンリガーゼ構成要素、及びユビキチン化経路構成要素を発現する細胞、又はそれらの溶解物を、様々な容器、例えば、バイアル、チューブ、マイクロタイターウエルプレート、ボトルなどに梱包できる。他の試薬を別の容器に含ませ、例えば、ポジティブコントロールサンプル、ネガティブコントロールサンプル、緩衝液、細胞培地などのキットで提供することができる。
【0135】
本発明は、FBP遺伝子及びそれらの遺伝子産物に結合する、又はそうでなければ直接的に相互作用するタンパク質並びに他の化合物の同定に有用なスクリーニング方法論を提供する。スクリーニング方法論は、当業者に周知である(例えば、その全てが引用によって本明細書に組み込まれる1996年10月31日公開のPCT国際公開公報第WO 96/34099号を参照されたい)。該タンパク質及び化合物は、インビボで、同定された遺伝子及びタンパク質と相互作用し、それゆえに医薬的介入及び治療的介入の新たな標的を提供し得る内因性細胞構成要素に加え、組換え体、合成体、及びほかに結合能力を有し、かつそれゆえに医薬品の候補となり得る外因性化合物を含む。それゆえ、一連の実施態様において、細胞溶解物又は組織ホモジネートを、正常FBP遺伝子及び正常FBPタンパク質、又は変異FBP遺伝子及び変異FBPタンパク質の1つに結合するタンパク質若しくは他の化合物に関して選別してよい。
【0136】
或いは、天然型及び/又は合成型(例えば、小分子ライブラリー、又はペプチドライブラリー)両方の様々な外因性化合物のいずれかを、結合能力に関して選別してよい。これらの方法の全ては、FBPタンパク質又はフラグメントとテスト化合物との混合工程、任意の結合の発生に時間をおく工程、及び任意の結合複合体をアッセイする工程を含む。全てのそのような方法は、実質的に純粋なFBPタンパク質、実質的に純粋な機能ドメインフラグメント、融合タンパク質、抗体、並びにそれらの製造方法及び使用方法からなる本開示で可能である。
【0137】
(5.5.1 F-ボックスタンパク質アゴニスト及びF-ボックスタンパク質アンタゴニスト用アッセイ)
FBP核酸、F-ボックスタンパク質及び誘導体をスクリーニングアッセイに使用して、FBP核酸、タンパク質又は誘導体に特異的に結合することでFBPのアゴニスト又はアンタゴニストとして潜在的に使用可能な分子、特にその結合によって細胞増殖に影響を与える分子を検出することができる。好ましい実施態様において、そのようなアッセイを実施して、抗ガン剤、又は薬剤開発用のリード化合物としての潜在的有用性を有する分子を選別する。従って、本発明は、FBP核酸、タンパク質又は誘導体に特異的に結合する分子を検出するためのアッセイを提供する。例えば、FBP核酸を発現する組換え細胞を使用して、これらのアッセイでFBPタンパク質を組換え的に産生し、FBPタンパク質に結合する分子を選別できる。類似の方法を使用して、FBP誘導体又は核酸に結合する分子を選別することができる。上述事項を実施するために使用可能な方法は、一般的に当業者に既知である。本発明のアッセイを、はじめに小規模で(すなわち、試験管内で)最適化した後、ハイスループットアッセイ用に規模を拡大してよい。本発明のスクリーニングアッセイをインビトロで、すなわち試験管内で、精製構成要素又は細胞溶解物を使用して実施してよい。また、本発明のスクリーニングアッセイを、培養モデル及び動物モデル中の無傷細胞で実施してよい。本発明に従い、本明細書に記載するようにインビトロでFBPの活性を調節することが証明されたテスト化合物を、培養細胞及び動物細胞を含むインビボでさらにアッセイし、該テスト化合物がインビボで同様の効果を有するか、並びに細胞周期進行、正の制御因子及び負の制御因子の蓄積又は分解、細胞増殖などにおける該テスト化合物の影響を測定する。
【0138】
本発明に従って、スクリーニングアッセイを設計し、新規F-ボックスタンパク質及び既知F-ボックスタンパク質の活性のアゴニスト又はアンタゴニストとして機能する分子を検出してよい。本発明のこの態様に従って、該テスト化合物をアッセイ系に添加し、新規FBP又は既知FBPの活性におけるその影響、すなわちその基質のユビキチン化、ユビキチンリガーゼ複合体の他の構成要素との相互作用などを測定してよい。これらのアッセイを、該テスト化合物の存在下又は不在下の両方で実施すべきである。
【0139】
本発明に従い、テスト化合物の存在下又は不在下で、新規FBP又は既知FBPのユビキチン化活性を、ユビキチン化経路の精製構成要素を使用してインビトロで測定することができ、又は組織培養細胞若しくは組織サンプル由来の未精製細胞抽出物を使用して測定してよい。本発明の態様の別の実施態様において、ウサギ網状赤血球溶解物(RRL)系などのインビトロ翻訳系にテスト産物を添加することによってスクリーニングを実施し、その後確立した系で進めてよい。別の代替として、先に記載した方法で、互いに相互作用することが確認された精製構成要素又は部分精製構成要素を、テスト作用物質を添加して又は添加せずに、該構成要素間の相互作用が正常に起こり得る条件下におくことができ、該相互作用を解析するために先に確立した手順を使用して、該テスト作用物質の影響を調査することができる。このアプローチにおいて、該精製構成要素又は部分精製構成要素を、ユビキチンリガーゼ複合体構成要素、及びユビキチン経路の構成要素を発現する細胞の抽出物の分画によって調製することができ、又は該構成要素を、それらのクローン化遺伝子又はcDNA若しくはフラグメントの発現から得てよく、その後任意に該発現材料を精製してよい。
【0140】
インビトロ選択法の幅広いカテゴリー内において、いくつかの型の方法は、テスト作用物質のスクリーニングに特に好都合及び/又は有用である可能性が高い。これらは:ユビキチンリガーゼ複合体の2以上の構成要素間の結合相互作用又は該標的基質との相互作用を測定する方法;相互作用する構成要素の1つである酵素の活性を測定する方法;及び、「レポーター」タンパク質、すなわち、該構成要素の1つの制御下におかれた酵素、又は他の検出可能なタンパク質若しくは選択可能なタンパク質の活性又は発現を測定する方法;を含むが、これらに限定されない。
【0141】
2以上の構成要素間の結合相互作用は、様々な方法で測定できる。1つのアプローチは:容易に検出可能な標識で該構成要素の1種を標識し;正常に相互作用し得る条件下に、該標識構成要素と他の構成要素(群)とを共におき;結合していない標識化合物から結合した標識化合物を分離する分離工程を実施し;その後、結合した構成要素の量を測定する。該結合反応に含まれるテスト作用物質の効果は、該作用物質の不在下で結合する量に対して、該作用物質存在下で結合する標識構成要素の量を比較することによって測定可能である。
【0142】
別の実施態様において、ライブラリーのメンバーを、固相上に固定化されたFBPタンパク質(又は核酸若しくは誘導体)と接触させ、FBPタンパク質(又は核酸若しくは誘導体)に結合するライブラリーメンバーを回収することで、スクリーニングを実施することができる。そのようなスクリーニング法の例は、「パニング」とよばれる手法であり、これは:Parmley及びSmithの論文, 1988, Gene 73:305;Fowikesらの論文, 1992, BioTechniques 13:422;PCT公開公報WO 94/18318;及び、本明細書において先に引用した文献;中に実施例(example)として記載されている。
【0143】
別の実施態様において、酵母において、相互作用するタンパク質又はペプチドを選択するツーハイブリッド系(Fields及びSongの論文, 1989, Nature 340:245;Chienらの論文, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 8:9578)を使用して、FBPタンパク質又は誘導体に特異的に結合する分子を同定することができる。
或いは、テスト方法は、該標的基質のユビキチン化などの酵素活性の測定に依存してよい。いったん、新規FBPの基質、又はSkp2、E2F及びp27の新規基質などの既知FBPの新規推定基質が同定されたならば、これらの構成要素をアッセイに使用して、テスト化合物がユビキチンリガーゼ複合体のユビキチンリガーゼ活性に及ぼす効果を測定できる。
【0144】
一実施態様において、スクリーニングアッセイを、テスト化合物の存在下及び不在下で、精製した系を用いて実施してよい。精製基質を、テスト化合物の存在下又は不在下で、精製ユビキチンリガーゼ複合体、精製ユビキチン連結酵素、精製ユビキチン活性化酵素、及び精製ユビキチンとともにインキュベートする。該基質のユビキチン化を、免疫検定法で解析する(Paganoらの論文, 1995, Science 269:682を参照されたい)。手短に述べると、該基質のユビキチン化をインビトロで、50mM トリス pH7.5、5mM MgCl2、2mM ATPγ-S、0.1mM DTT、及び5μMのビオチン化ユビキチン中、50〜200ngのタンパク質を含む反応物中で実施可能である。全反応物(30μl)を、テスト化合物の存在下又は不在下、25℃で最長3時間インキュベートした後、解析用の8%のSDSゲル又は4〜20%の勾配ゲルに供することができる。該ゲルを泳動し、タンパク質を電気泳動的にニトロセルロースに転写する。該基質のユビキチン化は、免疫ブロッティングで検出できる。ユビキチン化基質を、Extravidin-HRP(Sigma社)、又は基質特異抗体、及びECL検出系(ECL detection system)(NEN社)を使用して可視化することができる。
【0145】
別の実施態様において、該基質のユビキチン化を、テスト化合物の存在下又は不在下、培養物又は動物モデルでの無傷細胞でアッセイしてよい。例えば、テスト化合物を動物モデル又は動物組織サンプル由来の未精製抽出物に直接的に投与し、該テスト化合物存在下及び不在下での基質のユビキチン化を測定してよい。これらのアッセイに関して、テスト化合物が添加される宿主細胞を遺伝的に操作し、ユビキチンリガーゼ経路のFBP構成要素、及び標的基質を発現させることがあり、該発現は、一過的発現、誘導的発現又は構成的発現、若しくは安定的発現である。本発明のスクリーニング法の目的に関して、組織培養細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞及び細菌を含むがこれらに限定されない、幅広い種類の宿主細胞を使用することができる。それぞれの細胞型は、固有の利点及び不利な点のセットを有する。初代培養ヒト組織細胞などの哺乳動物細胞は、本発明のアッセイを実施するのに好ましい細胞型であり得るが、これらの細胞はしばしば培養するのが難しい。細菌及び酵母は培養するのが比較的簡単であるが、タンパク質の加工が哺乳動物細胞とは異なる。このユビキチン化アッセイを以下のように実施してよい:はじめに、該抽出物をヒト組織又は動物組織から調製する。ユビキチン化酵素を貯蔵している動物組織サンプルを調製するために、1gの組織を薄切りにし、1mlの氷冷再蒸留水中、Brinkmann Polytron homogenizer (PT 3000, Westbury, NY)を用い、15,000r.p.m.でホモゲナイズすることができる。該サンプルの凍結融解を3回行う。該溶解物をBeckman JA-20.1ローター((Beckman Instruments社, Palo Alto, CA)で、45分間、4℃中、15,000r.p.m.で遠心沈殿させる。該上清を回収し、-80℃で凍結させる。全抽出物の調製方法は、ユビキチン化酵素を保持する(その全てが引用によって本明細書に組み込まれるLodaらの論文,1997, Nature Medicine 3:231)。
【0146】
精製組換え基質を該アッセイ系に添加し:100μgのタンパク質組織ホモジネート、50mM トリス-HCl(pH8.0)、5mM MgCl2、及び1mM DTT、2mM ATP、10mM クレアチンホスホキナーゼ、10mM クレアチンリン酸、並びに5μMのビオチン化ユビキチン;を含む、30μlのユビキチン化混合物中、様々な時間37℃でインキュベートする。その後、抗体又はアフィニティークロマトグラフィーで該基質を再精製する。該基質のユビキチン化を、該基質に特異的な抗体、又はエクストラビジン-HRP (Extravidin-HRP)のいずれかを用いる免疫検定法で測定する。
【0147】
さらに、表現型上、FBPと相互作用する遺伝子を検出するために、ショウジョウバエをモデル系として使用できる。例えば、ショウジョウバエの眼におけるFBPの過剰発現は、より小さくかつ荒い眼をもたらす。ハエゲノムの突然変異誘発を実施した後、該突然変異誘発が、小さく荒い眼の表現型の抑制又は促進をもたらすハエを選択することができ;そのようなハエにおける突然変異遺伝子は、FBPに相互作用/結合するタンパク質をコードする可能性が高い。先に記載した方法で同定した活性化合物を、培養細胞及び/又は動物モデルで試験し、インビボでのFBP活性(例えば、細胞増殖における効果、基質の蓄積など)を阻止する効果を試験する。
【0148】
様々な他の実施態様において、該スクリーニングを、任意の多くの一般的に既知な方法で達成できる。例えば、ペプチドライブラリーのスクリーニングを開示する以下の文献を参照されたい:Parmley及びSmithの論文, 1989, Adv. Exp. Med. Biol. 251:215;Scott及びSmithの論文, 1990, Science 249:386;Fowlkesらの論文, 1992;BioTechniques 13:422;Oldenburgらの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:5393;Yuらの論文, 1994, Cell 76:933;Staudtらの論文, 1988, Science 241:577;Bockらの論文, 1992, Nature 355:564;Tuerkらの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:6988;Ellingtonらの論文, 1992, Nature 355:850;全てLadnerらによる米国特許第5,096,815号、第5,223,409号及び第5,198,346号;Rebar及びPaboの論文, 1993, Science 263:671;、及びPCT公開公報WO 94/18318。
【0149】
化合物、ペプチド及び小分子をスクリーニングアッセイに使用して、候補アゴニスト及びアンタゴニストを同定することができる。一実施態様において、ペプチドライブラリーを使用して、本発明のFBPのアゴニスト又はアンタゴニストを選別することができる。例えば、ランダム又はコンビナトリアルペプチドライブラリー、又は非ペプチドライブラリーなどのダイバーシティライブラリー(diversity libraries)で、FBPに特異的に結合し得る分子を選別することができる。多くのライブラリーは当業者に既知であり、例えば化学合成ライブラリー、組換えライブラリー(例えば、ファージディスプレイライブラリー)、及びインビトロ翻訳に基づくライブラリーが使用可能である。
【0150】
化学合成ライブラリーの例は:Fodorらの論文, 1991, Science 25 1:767;Houghtenらの論文, 1991, Nature 354:84;Lamらの論文, 1991, Nature 354:82;Medynski, 1994, BioTechnology 12:709;Gallopらの論文, 1994, J. Medicinal Chemistry 37:1233;Ohlmeyerらの論文, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10922;Erbらの論文, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422;Houghtenらの論文, 1992, Biotechniques 13:412;Jayawickremeらの論文, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:1614;Salmonらの論文, 1993, Proc.-67-Nail. Acad. Sd. USA 90:11708;PCT公開公報WO 93/20242;及び、Brenner及びLernerらの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sd. USA 89:5381;に記載されている。
【0151】
ファージディスプレイライブラリーの例は:Scott及びSmith, 1990, Science 249:3 86;Devlinらの論文, 1990, Science, 249:404;Christianらの論文, 1992, J. Mol. Biol. 227:711;Lenstra, 1992, J. Iminunol. Meth. 152:149;Kayらの論文, 1993, Gene 128:59;及び、1994年8月18日発行のPCT公開公報WO 94/18318;に記載されている。
インビトロ翻訳に基づくライブラリーは:1991年8月18日発行のPCT公開公報WO 91/05058;及び、Mattheakisらの論文, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:9022;を含むが、これらに限定されない。
【0152】
非ペプチドライブラリーの例としては、ベンゾジアゼピンライブラリー(例えば、Buninらの論文, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:4708を参照されたい)を、該使用に適合させることができる。また、ペプトイドライブラリーも使用できる(Simonらの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:9367)。使用可能なライブラリーの別の例において、ペプチド中のアミド官能性をパーメチル化(permethylated)させて化学的に変換させた組み合わせライブラリーは、Ostreshらの論文(1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11138)に記載されている。
【0153】
(5.5.2 F-ボックスタンパク質と他のタンパク質との相互作用を調節する化合物の同定用アッセイ)
第6.4節で詳細を記載するように、いったん、基質、又は相互作用タンパク質を同定した後、そのようなとタンパク質と相互作用するF-ボックスタンパク質の調節物質に関してアッセイすることができる。本発明は、そのような相互作用のアゴニスト及びアンタゴニストを検出するための方法を提供する。
【0154】
一実施態様において、本発明は、第11節で同定される、F-ボックスタンパク質Skp2とE2F-1との間の相互作用の阻害剤又はアゴニストなどの調節物質を同定する方法を含む。そのような方法は、調節物質の活性のインビボアッセイ及びインビトロアッセイの両方を含む。例えば、インビボアッセイにおいて、Skp2/E2F-1相互作用の潜在的調節物質に並びに、Skp2及びE2F-1を共発現するバキュロウイルスで昆虫細胞を共感染させることができる。本発明のスクリーニング法は、上述の第6.5.1節に記載するように、Skp2の酵素活性を阻害するテスト化合物の能力を測定するインビトロアッセイを含む。第11節に詳細を記載するように、細胞抽出物を調製し、ゲル電気泳動でタンパク質-タンパク質相互作用を解析し、かつ免疫ブロッティングで検出することができる。或いは、インビトロタンパク質-タンパク質相互作用アッセイを使用できる。組換え精製Skp2、E2F-1、及び推定アゴニスト分子又は推定アンタゴニスト分子を、37℃で30分間などの、結合が起こり得る条件下で、共にインキュベートすることができる。タンパク質-タンパク質複合体形成を、本明細書の第7節に記載するようなゲル解析で検出することができる。このアッセイを使用して、Skp2と新規基質との相互作用などの、既知FBPの相互作用の調節物質を同定することができる。
【0155】
別の実施態様において、本発明は、F-ボックスタンパク質/Skp1相互作用の調節物質の同定方法を提供する。そのようなアゴニスト及びアンタゴニストを、インビボ又はインビトロで同定することができる。例えば、F-ボックスタンパク質/Skp1相互作用の調節物質を同定するインビトロアッセイにおいて、37℃で30分間などの、結合が起こり得る条件下で、精製Skp1及び新規FBPを共にインキュベートすることができる。平行反応において、前述の第6.5.1節に記載するような潜在的アゴニスト又はアンタゴニストを、ボックスタンパク質/Skp1インキュベーション前、又は該インキュベーション中のいずれかに添加する。タンパク質-タンパク質相互作用を、本明細書の第7節に記載のものなどのゲル解析で検出することができる。本明細書の第6.7節に記載の方法を使用して、FBP活性の調節物質、及び他のタンパク質との相互作用の調節物質を、医薬品として使用することができる。
【0156】
別の実施態様において、本発明は、FBP1-FBP5相互作用の調節物質の同定方法を提供する。そのようなアゴニスト及びアンタゴニストを、インビボ又はインビトロで同定することができる。例えば、FBP1-FBP5相互作用の調節物質を同定するインビトロアッセイにおいて、37℃で30分間などの、結合が起こり得る条件下で、精製FBP5及び精製FBP1を共にインキュベートすることができる。平行反応において、前述の第6.5.1節に記載通りの潜在的アゴニスト又はアンタゴニストを、FBP1-FBP5インキュベーション前、又は該インキュベーション中のいずれかに添加する。タンパク質-タンパク質相互作用を、本明細書の第7節に記載のものなどのゲル解析で検出することができる。本明細書の第6.7節に記載の方法を使用して、FBP活性の調節物質、及び他のタンパク質との相互作用の調節物質を、医薬品として使用することができる。
【0157】
これらのアッセイは、下記のインビトロアッセイを含む、本明細書に記載の任意のスクリーニング法を利用して実施してよい。該スクリーニングは、ユビキチン経路の構成要素を発現する無傷細胞に該テスト作用物質を添加した後、確立されているいずれかの手順で関心のある構成要素を試験することにより、実施することができる。或いは、該テスト作用物質をインビトロ翻訳反応物に添加した後、確立した解析で進めることによってスクリーニングを行うことができる。或いは、先に記載した方法によって互いに相互作用することが確定した精製構成要素又は部分精製構成要素を、テスト作用物質の添加を伴うか又は伴わずに、該構成要素間の相互作用が正常に起こる条件下におくことができ、かつ相互作用を解析するために先に確立した手順を使用して、該作用物質の影響を解析することができる。このアプローチにおいて、該精製構成要素又は部分精製構成要素を、ユビキチンリガーゼ複合体及びユビキチン経路の構成要素を発現する細胞抽出物の画分で調製することができ、又は該構成要素をクローン化した遺伝子又はそれらのcDNA若しくはそれらのフラグメントの発現によって得ることができ、その後任意に該発現物質を精製することができる。
【0158】
インビトロ選択法の広いカテゴリーの中でも、のいくつかのタイプの方法は、テスト作用物質のスクリーニングに特に都合がよい及び/又は有用である可能性がある。これらは:ユビキチンリガーゼ複合体の2以上の構成要素間の結合相互作用、又は該標的基質との結合相互作用を測定する方法;相互作用する構成要素の1つである酵素の活性を測定する方法;及び、「リポーター」タンパク質、すなわち、該構成要素の1つの制御下におかれた、酵素又は他の検出可能なタンパク質若しくは選択可能なタンパク質の活性或いは発現を測定する方法;を含むが、これらに限定されない。
【0159】
2以上の構成要素間の結合相互作用を、様々な方法で測定できる。1つのアプローチは:該構成要素の1つを容易に検出可能な標識で標識し;該構成要素と他の構成要素(群)とをともに、それらが正常に相互作用し得る条件下におき;結合しなかった標識構成要素から結合した標識構成要素を分離する分離段階を実施し;その後、結合した構成要素の量を測定する;ことである。この作用物質の不在下で結合する量に対して、該作用物質の存在下で結合する標識構成要素の量を比較することによって、該結合反応に含まれるテスト作用物質の効果を測定することができる。
【0160】
この型の手順における分離段階は、様々な方法で達成することができる。1つのアプローチにおいて、該標識構成要素の(1つの)結合パートナー(群)を、結合反応前に固相上に固定化することができ、かつ結合反応後に該固相を洗浄することによって、結合していない標識構成要素を除去することができる。該固相上への結合パートナーの付着は、当業者に既知の様々な方法で達成することができ、これらには:化学架橋;プラスチック表面への非特異的接着;固相に付着している抗体との相互作用;該結合パートナー(ビオチンなど)に付着したリガンドと、該固相上に付着したリガンド結合タンパク質(アビジン又はストレプトアビジンなど)との間の相互作用;などを含むが、これらに限定されない。
【0161】
或いは、溶液中で、該標識構成要素とその結合パートナー(群)との相互作用を可能にした後、該分離段階を完了することができる。該標識構成要素とその結合パートナー(群)との間のサイズ差がそのような分離を可能にさせる場合には、結合していない標識構成要素を透過させるが、その結合パートナー(群)又はそのパートナー(群)に結合した標識構成要素を透過させない孔を有する限外濾過膜に該結合反応産物を通すことによって、分離を達成することができる。また:結合パートナーに対する抗体;該パートナーに予め付着したリガンドと相互作用可能なリガンド結合タンパク質;などの、溶液から該標識構成要素の結合パートナーを捕捉することができる任意の試薬を使用しても、分離を達成できる。
【0162】
(5.6 F-ボックスタンパク質、誘導体及び調節物質の診断的使用方法、及び該使用のための組成物)
細胞周期制御因子は、ガン遺伝子(サイクリン、β-カテニンなど)、又は腫瘍抑制遺伝子(cki、p53など)の産物である。それゆえ、ユビキチンリガーゼ複合体の一部であるFBPは、細胞存在量を制御するどの細胞周期制御タンパク質であるかによって、ガン遺伝子又は腫瘍抑制遺伝子の産物であり得る。
【0163】
F-ボックスタンパク質、それらの類似体、誘導体及び部分配列、FBP核酸(及び、それに相補的な配列)、抗FBP抗体は、診断における用途を有する。FBP及びFBP核酸をアッセイに使用して、腫瘍形成、ガン、腺腫などを含む不妊症又は増殖障害若しくは分化障害を検出、予測或いは診断することができる。本発明の新規FBP核酸を、核型異常及びヘテロ接合性欠失に関連する染色体部位に位置させる。欠失がヒト前立腺腫瘍及び小細胞肺ガン(SCLC)の10%に見出され、この部位で腫瘍抑制因子の存在が示唆される染色体位置10q24に、本発明のFBP1核酸を位置させ局在化させる。さらに、小児急性T細胞白血病の7%までが、t(10;14)(q24;q11)又はt(7;10)(q35;q24)のいずれかにおいて、切断点として10q24が関与する転座を伴う。(FBP2が位置する)9q34領域は、ヒトの卵巣ガン及び膀胱ガンでヘテロ接合性(LOH)の欠失部位であることが示されている。本発明のFBP2核酸を、ヒトの卵巣ガン及び膀胱ガンでヘテロ接合性(LOH)の欠失部位であることが示されている染色体位置9q34に位置させ局在化させる。本発明のFBP3核酸を、ヒトSCLCの約75%でヘテロ接合性の欠失を有する推定上の腫瘍抑制遺伝子を含むことが知られる領域である染色体位置13q22に位置させ局在化させる。本発明のFBP4核酸を、ヒトの乳ガン及び鼻咽頭ガンを含む様々な腫瘍において核型異常部位でであることが示されている領域である染色体位置5q12に位置させ局在化させる。本発明のFBP5核酸を、ヒトの卵巣ガン、ヒトの乳ガン及びヒトの胃ガン、肝臓ガン、バーキットリンパ腫、グリオーマ、及び副甲状腺腺腫におけるヘテロ接合性の欠失部位であることが示されている領域である染色体位置6q25〜26に位置させ局在化させる。本発明のFBP7を、乳ガン及び結腸ガンにおける転移段階への進行、並びに副甲状腺腺腫におけるヘテロ接合性の欠失に関連する腫瘍抑制遺伝子を含む領域である染色体位置15q15に位置させ局在化させる。
【0164】
本発明の分子を、免疫検定法などのアッセイに使用し、FBPの発現に影響を与える様々な状態、疾患及び障害を検出、予測、診断又はモニターすることができ、或いはそれらの治療をモニターすることができる。特に、そのような免疫検定法を:免疫特異的結合が起こり得るような条件下で、患者由来のサンプルを抗FBP抗体と接触させること;及び、該抗体による全ての免疫特異的結合量を検出又は測定すること;を含む方法で実施する。具体的態様において、抗体のそのような結合を組織切片において使用して、異常なFBP局在、又はFBPの異常なレベル(例えば、低レベル又は非存在)を検出することができる。具体的実施態様において、FBPに対する抗体を使用して、異常なレベルのFBPが疾患的状態の徴候であるようなFBPの存在に関して、患者の組織サンプル又は血清サンプルをアッセイすることができる。「異常なレベル」によって、該障害のない身体の部分又は対象由来の類似サンプル中の存在に比較してのレベルの増加又は減少、若しくは該サンプル中の存在を表す標準的レベルが意味される。
【0165】
使用可能な免疫検定法の例をいくつか挙げると、は、ウエスタンブロット、免疫組織化学放射線免疫検定法、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、「サンドイッチ」免疫検定法、免疫沈降法、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定法、蛍光免疫検定法、proteinA免疫検定法などの技術を使用する競合アッセイ系又は非競合アッセイ系を含むがこれらに限定されない。
【0166】
また、FBP遺伝子及び関連する核酸配列並びに部分配列、及びそれらの相補配列を、ハイブリダイゼーションアッセイに使用することができる。少なくとも約8ヌクレオチドを含む、FBP核酸配列又はその部分配列を、ハイブリダイゼーションプローブとして使用することができる。ハイブリダイゼーションアッセイを使用して、先に記載したようなFBP発現及び/又は活性の異常な変化に関連する状態、障害又は病状を検出、予測、診断若しくはモニターすることができる。特に:ハイブリダイゼーションが起こり得るような条件下で、核酸を含むサンプルを、FBPのDNA又はRNAにハイブリダイズ可能な核酸プローブと接触させること;及び、結果生じた全てのハイブリダイゼーションを検出又は測定すること;を含む方法で、そのようなハイブリダイゼーションアッセイを実施する。
【0167】
具体的実施態様において、FBPタンパク質、FBPのRNA又はFBPの機能的活性(例えば、ユビキチンリガーゼ標的結合活性、F-ボックスドメイン結合活性、ユビキチンリガーゼ活性など)のレベルの減少を検出することによって、又はFBPの発現若しくは活性の減少をもたらす、FBPのRNA、DNA若しくはFBPタンパク質の突然変異(例えば、FBP核酸の転座、FBP遺伝子又はタンパク質の切断、野生型に比較してのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の変化)を検出することによって、細胞の過剰増殖に関与する疾患及び障害を診断することができ、又はそれらの存在の疑いを検査することができ、若しくはそのような障害を進行させる素因を検出できる。そのような疾患及び障害は、第6.7.3節に記載されるようなものを含むが、これらに限定されない。実例としては:FBPタンパク質のレベルを免疫検定法で検出することができ;FBPのRNAレベルをハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンブロット、インサイチュウハイブリダイゼーション)で検出することができ;FBP活性をインビボ又はインビトロで形成されたE3ユビキチンリガーゼ複合体におけるユビキチンリガーゼ活性を測定することでアッセイすることができ;F-ボックスドメイン結合活性を当業者に一般的に既知の結合アッセイによって、Skp1タンパク質への結合を測定することによってアッセイすることができ;FBP核酸における転座、欠失及び点突然変異を、患者から得られたFBPゲノムDNA又はcDNAの配列決定したFBP遺伝子の少なくともほとんどの部分にわたるフラグメントを好ましく生成するプライマーを使用して、サザンブロッティング、FISH、RFLP解析、SSCP、PCRによって検出することができる;などである。
【0168】
好ましい実施態様において、患者サンプル中のFBPのmRNA又はタンパク質のレベルを検出若しくは測定する。ここにおける事例として:該レベルの減少は、該対象が悪性障害又は過剰増殖障害を患っている、或いは悪性障害又は過剰増殖障害を進行させる素因を有することを示す;該レベルの減少を、身体の悪性障害又は過剰増殖障害を患っていない部分由来の類似サンプル、又は悪性障害又は過剰増殖障害を患っていない対象由来サンプルに存在するレベルに比較する。
別の具体的実施態様において、患者サンプル(生殖細胞など)中のFBPのmRNA又はタンパク質レベルを検出又は測定する。このとき、該レベルの減少は、該対象が不妊症障害を患っている、或いは不妊症障害を進行させる素因を有することを示す;該レベルの減少を、身体の不妊症障害を患っていない部分由来の類似サンプル、又は不妊症障害を患っていない個体と確定された「臨床的に正常な個体」由来の類似サンプルに存在するレベルに比較する。
【0169】
別の具体的実施態様において、FBPタンパク質、FBPのRNA又はFBPの機能的活性(例えば、ユビキチンリガーゼ活性、Skp1結合活性など)のレベルの増加を検出することによって、又はFBPの発現増加若しくは活性の増強をもたらす、FBPのRNA、DNA若しくはFBPタンパク質の突然変異(例えば、FBP核酸の転座、FBP遺伝子又はタンパク質の切断、野生型FBPに比較してのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の変化)を検出することによって、細胞増殖の欠損に関与する疾患及び障害、又は治療用に細胞増殖が望ましい疾患及び障害を診断し、又はそれらが存在する疑いを検査することができ、若しくはそのような障害を進行させる素因を検出できる。そのような疾患及び障害は、第6.7.3節に記載するものを含むが、それらに限定されない。実例としては、FBPタンパク質レベル、FBPのRNAレベル、ユビキチンリガーゼ活性、FBP結合活性、及び転座又は点突然変異の存在を、先に記載したように測定できる。
【0170】
具体的実施態様において、患者サンプル中のFBPのmRNA又はタンパク質レベルを検出又は測定する。ここにおける事例として:該レベルの増加は、該対象が成長障害、又は変性障害若しくは過剰増殖障害、或いは不妊症障害を患っている、或いは成長障害、又は変性障害若しくは過剰増殖障害、或いは不妊症障害を進行させる素因を有することを示す;該レベルの増加を、身体の、成長障害、又は変性障害若しくは過剰増殖障害、或いは不妊症障害を患っていない一部由来の類似サンプル、又は成長障害、又は変性障害若しくは過剰増殖障害、或いは不妊症障害を患っていない対象由来サンプルに存在するレベルに比較する;ことがある。
【0171】
また、1以上の容器中に、抗FBP抗体、及び任意に該抗体に対する標識結合パートナーを含む、診断用途のキットも提供する。或いは、抗FBP抗体を(検出可能マーカー、例えば化学発光部分、酵素部分、蛍光部分、又は放射活性部分で)標識することができる。また、1以上の容器中に、FBPのRNAにハイブリダイズ可能な核酸プローブを含むキットも提供する。具体的実施態様において、キットは:1以上の容器中に、FBP核酸の少なくとも一部の適切な反応条件下で、増幅をプライミングすることができるプライマーの対(例えば、その各々が6〜30ヌクレオチドの範囲のサイズである)[例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、Innisらの文献, 1990, 『PCRプロトコル(PCR Protocols)』, Academic Press社, San Diego, CA)、リガーゼ連鎖反応 (EP 320, 308を参照されたい)、Qレプリカーゼの使用、サイクリックプローブ反応、又は他の当業者に既知の方法]]を含み得る。キットは、さらに任意に、例えば標準又はコントロールとしての使用のための既定量の生成FBPタンパク質若しくは核酸を容器中に含み得る。
【0172】
(5.7 F-ボックスタンパク質、誘導体及び調節物質の治療的使用方法、並びに該使用のための組成物)
以下に記載するのは、FBP活性を活性化又は増強させる化合物によって改善が可能である増殖障害、不妊症障害又は発ガン的病徴の治療におけるF-ボックスタンパク質の使用方法、及び該使用のための組成物であって、それらによって増殖障害又は不妊症障害若しくはガンを改善させ得る。
【0173】
場合によっては、FBPの活性を増加又は増強させる化合物及び方法を使用して、増殖的病徴、不妊的病徴、及び発ガン的病徴を治療することができる。そのような事例は、例えば、少なくとも部分的に、FBP遺伝子発現レベルの減少、又はFBP遺伝子産物の活性レベルの異常によってもたらされる増殖障害又は不妊障害を伴うことがある。例えば、基質がサイクリンファミリーのメンバーなどの正の細胞周期制御因子であるユビキチンリガーゼ複合体のFBP構成要素の活性の減少又は低発現は、細胞増殖の増加をもたらす。そのようなものとして、そのようなFBP遺伝子産物の遺伝子発現レベル及び/又は活性の増加は、増殖性疾患症状の改善をもたらすであろう。
【0174】
別の事例において、FBPの活性を増加又は増強させる化合物を使用して、FBP基質分子などの細胞周期制御に関与する他の遺伝子及び遺伝子産物の発現又は活性に欠損をもたらす増殖的病徴、不妊的病徴及び発ガン的病徴を治療することができる。例えば、サイクリンファミリーのメンバーなどの正の細胞周期陽性分子の発現又は活性の増加は、その過剰な活性をもたらし、細胞増殖の増加をもたらし得る。基質がそのような細胞周期の正の制御因子であるユビキチンリガーゼ複合体のFBP構成要素の発現又は活性を増加させる化合物は、該欠損分子のユビキチン化、及びそれによるその分解の増加をもたらす。そのような欠損から生じた病徴は、FBP活性の増加による障害を補償する化合物によって改善し得る。FBP遺伝子発現レベル又は遺伝子産物の活性レベルを増加させる技術は、以下の第6.7節にて検討する。
【0175】
或いは、FBP活性を減少又は不活化させる化合物及び方法を治療的に使用して、増殖的病徴、不妊的病徴又は発ガン的病徴を回復させてよい。例えば、増殖障害は、FBPの過剰な活性化をもたらす欠損型FBP遺伝子又は遺伝子産物が、少なくとも原因の1つで部分的に引き起こされ得る。そのような欠損型遺伝子産物が、標的をCkiなどの細胞周期阻害分子とするユビキチンリガーゼ複合体の構成要素である場合、過剰に活性なFBPは、細胞周期分子のレベルの減少をもたらし、その結果、細胞増殖の増加をもたらす。そのような事例において、FBP機能を減少又は不活化させる化合物及び方法を使用して、該病徴を治療することができる。
【0176】
別の事例において、FBPの活性を減少させる化合物及び方法を使用して、FBP基質分子などの細胞周期制御に関与する他の遺伝子及び遺伝子産物の発現又は活性の欠損に起因する障害を治療することができる。例えば、Ckiなどの細胞周期の負の制御分子の発現又は活性の欠損は、該分子の活性低下をもたらし、その結果、細胞増殖の増加をもたらし得る。基質がそのような分子であったFBP構成要素のレベル及び/又は活性の減少は、ユビキチン化を低減させ、その結果、そのような欠損型分子のレベルを増加させ得る。したがって、そのようなFBP分子の発現及び/又は活性を減少させることを目的とする化合物並びに方法は、該欠損型遺伝子又は遺伝子産物を補償することによって、病徴の治療に使用可能であり得る。
標的遺伝子の発現レベル及び標的遺伝子産物の活性レベルの低減に関する技術は、以下の第6.7節にて検討する。
【0177】
(5.7.1 阻害性アンチセンス、リボザイム及び三重らせん分子、並びに同定したアゴニスト及びアンタゴニストの治療的使用)
別の実施態様において、腫瘍形成又はガンの原因になる増殖障害又は分化障害、若しくは不妊症の原因になる減数分裂障害などの一部のFBP障害の症状を、FBP遺伝子発現を減少させる周知のアンチセンス、遺伝子「ノックアウト」リボザイム及び/又は三重らせん法とともにFBP遺伝子配列を使用して、FBP遺伝子発現レベル、及び/又はFBP遺伝子産物の活性レベルを低下させることによって改善させて、FBP遺伝子の発現レベルを低下させることができる。FBP遺伝子の活性、発現又は合成を調節する能力(ガンなどのFBP障害の症状を改善させる能力)を示す化合物は、アンチセンス、リボザイム及び三重らせん分子である。そのような分子を設計し、健常型標的遺伝子活性、又は妥当であれば変異型標的遺伝子活性のいずれかを低減又は阻害させてよい。そのような分子の製造技術及び使用は、当業者に周知である。例えば、第9節に記載のように、Skp2のmRNAを標的とするアンチセンスは、Skp2の基質であるp27を安定化させる(図45)。
【0178】
アンチセンスRNA分子及びアンチセンスDNA分子は、標的mRNAにハイブリダイズすることによって、及びタンパク質翻訳を阻害することによって、mRNAの翻訳を直接的に阻止するよう作用する。アンチセンスアプローチは、標的遺伝子mRNAに相補的なオリゴヌクレオチドの設計を要する。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、相補的標的遺伝子mRNA転写産物に結合し、翻訳を阻害する。完全な相補性は好ましくはあるが、必要ではない。
【0179】
本明細書に記載の、RNAの一部に対する配列「相補性」とは、RNAとハイブリダイズし得るのに十分な相補性を有、安定した二重鎖を形成する配列を意味し;したがって二重鎖アンチセンス核酸の場合には、該二重鎖DNAの一方の鎖を試験するか、又は三重鎖形成をアッセイしてよい。該バイブリダイズ能力は、該あんちせんす拡散の相補性の程度と長さの両方に依存する。一般的には、より長いバイブリダイズ拡散は、RNAとより多くの塩基みすまっちを含む可能性があり、それでも安定的二重鎖(又は、本輸であり得るように、三重鎖)を形成し得る。当業者は、標準的な手順を使用してハイブリダイズ複合体の融点を測定することで、許容可能な程度のミスマッチを確認することができる。
【0180】
一実施態様において、FBP遺伝子の非コード領域に相補的なオリゴヌクレオチドを、アンチセンスアプローチに使用して、内因性FBP mRNAの翻訳を妨げようとするのは可能である。アンチセンス核酸は、少なくとも6ヌクレオチドの長さであるべきであり、好ましくは、6〜約50ヌクレオチドにわたる長さのオリゴヌクレオチドである。具体的態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10ヌクレオチド、少なくとも17ヌクレオチド、少なくとも25ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチドである。
【0181】
本発明の実施態様において、F-ボックスモチーフをコードする核酸に対するオリゴヌクレオチド相補性を、図2及び図4〜9に示す。
標的配列の選択にかかわらず、インビトロでの調査をはじめに実施して、アンチセンスオリゴヌクレオチドが遺伝子発現を阻害する能力を定量することが好ましい。これらの調査は、アンチセンス遺伝子阻害と、オリゴヌクレオチドの非特異的な生物学的効果とを区別するコントロールを利用するのが好ましい。また、これらの調査は、標的RNAレベルを、内部コントロールのRNA又はタンパク質レベルと比較することが好ましい。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して得られた結果を、コントロールオリゴヌクレオチドを使用して得られた結果と比較することを想定する。コントロールオリゴヌクレオチドは、テストオリゴヌクレオチドとほぼ同じ長さであり、かつ該オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、該標的配列に特異的なハイブリダイゼーションを妨げるのに必要なアンチセンス配列とわずかに異なることが好ましい。
【0182】
該オリゴヌクレオチドは、一本鎖又は二本鎖の、DNA又はRNA、若しくはキメラ混合体又は誘導体、或いはそれらの修飾型であり得る。塩基部分、糖部分、又はリン酸骨格でオリゴヌクレオチドを修飾し、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーションなどを向上させることができる。オリゴヌクレオチドは、ペプチドなどの他の付属基(例えば、インビボでの宿主細胞受容体の標的化用の基)、又は細胞膜を介しての輸送を促進させる作用物質(例えば、Letsingerらの論文, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:6553;Lemaitreらの論文, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 84:648;1988年12月15日に公開されたPCT公開公報WO88/09810号;を参照されたい)若しくは血液脳関門を介しての輸送を促進させる作用物質(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開公報WO89/10134を参照されたい)、ハイブリダイゼーション誘発性切断物質(例えば、Krolらの論文, 1988, BioTechniques 6:958-976を参照されたい)又はハイブリダイゼーション誘発性相互作用物質(例えば、Zonの論文, 1988, Pharm. Res. 5:539を参照されたい)を含むこともある。この目的を達成するために、オリゴヌクレオチドを、別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発性架橋剤、輸送物質、ハイブリダイゼーション誘発性切断物質などに連結させてよい。
【0183】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、下記群から選択される少なくとも1つの修飾塩基部分を含むことがあり、該修飾塩基は、これらに限定されないが、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル) ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸 (v)、ワイブトキシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸 (v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル) ウラシル、(acp3)w、及び2,6-ジアミノプリンを含む。
【0184】
また、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、これらに限定されないが、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、及びヘキソースを含む群から選択される、少なくとも1つの修飾糖部分を含むことがある。
さらに別の実施態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート(S-ODN)、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホン酸、アルキルホスホトリエステル、及びホルムアセタール、又はそれらの類似体からなる群から選択される、少なくとも1つの修飾リン酸骨格を含む。
【0185】
さらに別の実施態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アノマーオリゴヌクレオチドである。アノマーオリゴヌクレオチドは、通常の単位とは逆に鎖が互いに平行している相補的RNAと特異的な二重鎖ハイブリッドを形成する(Gautierらの論文, 1987, Nucl. Acids Res. 15:6625)。該オリゴヌクレオチドは、2-O-メチルリボヌクレオチド(Inoueらの論文, 1987, Nucl. Acids Res. 15:6131)又はキメラRNA-DNA類似体(Inoueらの論文, 1987, FEBSLett. 215:327)である。
【0186】
本発明のオリゴヌクレオチドは、当業者に既知の標準的方法、例えば自動DNA合成機(Biosearch社, Applied Biosystems社などから市販されているものなど)の使用により合成することができる。例として:ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを、Steinらの方法(1988, Nucl. Acids Res. 16:3209)で合成することができ;メチルホスホン酸オリゴヌクレオチドを、制御された孔ガラス重合体支持体の使用で製造可能である(Sainらの論文, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85:7448);などである。
標的遺伝子コード領域配列に相補的なアンチセンスヌクレオチドを使用できるが、転写された非翻訳領域への相補性が最も好ましい。
【0187】
本発明の一実施態様において、アンチセンスホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(S-ODN)とハイブリダイズした後に、特定の標的mRNAがRNAaseHによって消化されるので、遺伝子発現の下方制御が達成される。どのアンチセンスS-ODNがより成功的であるかを予測する規則は存在しないので、最良の戦略は実験のみに基づき、かつ試行的ないくつかのアンチセンスS-ODNから構成される。アンチセンスホスホロチオエートオリゴヌクレオチド(S-ODN)を設計して、関心のあるmRNAの特定領域に標的化させる。アンチセンスS-ODNの乱雑配列からなるコントロールS-ODNも設計し、同一のヌクレオチド含量を保証し、かつ核酸含量に潜在的に寄与し得る差を最小化する。全てのS-ODNを、Oligos Etc. (Wilsonville, OR)で合成する。研究目的又はエクスビボ遺伝子治療プロトコル用アッセイなどのために、アンチセンス分子を培養細胞へ適用する場合、アンチセンス分子の有効性を試験するには、細胞を100mmの組織培養プレート上で60〜80%コンフルエンスまで培養し、PBSで洗浄し、8mlのOpti-MEM、52.8μlのリポフェクチン、及び終濃度200nMのS-ODNからなるリポフェクション混合物で表面を覆う。リポフェクション試薬及びOpti-MEM(Gibco BRL社)を使用して、リポフェクションを実施する。リポフェクション混合物の存在下で5時間、細胞をインキュベートする。インキュベーション後、培地を完全MEMで置換する。リポフェクション後、様々な時間点で細胞を回収し、タンパク質レベルをウエスタンブロットで解析する。
【0188】
アンチセンス分子は:インビボで対象に直接的に;又はエクスビボ遺伝子治療プロトコルなどで培養細胞に;のいずれかで、該標的遺伝子を発現する細胞へ標的化させるべきである。細胞へのアンチセンスDNA又はRNAの送達に関する多くの方法が開発されており;例えば、アンチセンス分子を直接的に該組織部位注入することができ、又は所望の細胞を標的化するために設計した修飾アンチセンス分子(例えば、標的細胞表面に発現している受容体又は抗原に特異的に結合するペプチド若しくは抗体に連結されたアンチセンス分子)を全身的に投与することが可能である。
【0189】
しかしながら、内因性mRNAの翻訳を抑制するのに十分なアンチセンスの細胞内濃度を達成することは時に困難である。それゆえ、好ましいアプローチでは、強力なpol IIIプロモーター又はpol II プロモーターの制御下にアンチセンスオリゴヌクレオチドをおいている組換えDNA構築物を利用する。患者の標的細胞に形質移入させるためのそのような構築物の使用は、内因性標的遺伝子転写産物と相補的塩基対を形成することによって該標的遺伝子mRNAの翻訳を妨げる、十分量の一本鎖RNAの転写を生じる。例えば、細胞に取り込まれ、アンチセンスRNAの転写を指示するようなベクターを導入することが可能である。そのようなベクターは、転写されて所望のアンチセンスRNAを産生し得る限り、エピソーム性のままであるか、又は染色体に組み込まれ得る。そのようなベクターは、当業界で標準的な組換えDNA技法で構築することができる。ベクターは、哺乳動物細胞での複製及び発現に使用され当業者に既知のプラスミド、ウイルス又は他のものであり得る。アンチセンスRNAをコードする配列の発現は、哺乳動物細胞、好ましくはヒトの細胞で機能する当業者に既知の全てのプロモーターによるものであり得る。そのようなプロモーターは、誘導的プロモーター又は構成的プロモーターによるものであり得る。そのようなプロモーターは、これらに限定されないが:SV40初期プロモーター領域(Bernoist及びChambonの論文, 1981, Nature 290:304);ラウス肉腫ウイルスの3つの長い末端反復に含まれるプロモーター(Yamamotoらの論文, 1980, Cell 22:787);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerらの論文, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441);メタロチオネイン遺伝子の制御配列(Brinsterらの論文, 1982, Nature 296:39);などを含む。プラスミドベクター、コスミドベクター、YACベクター又はウイルスベクターの任意の型を使用して、該組織部位に直接的に導入可能な組換えDNA構築物を調製することができる。或いは、所望の組織を選択的に感染させるウイルスベクターを使用することができ、この場合、投与は別経路(例えば、全身投与)で達成してよい。
【0190】
また、触媒的に標的遺伝子mRNA転写産物を切断するために設計されたリボザイムを使用して、標的遺伝子mRNAの転写を妨げ、それによって標的遺伝子産物の発現を妨げることができる(例えば、1990年10月4日に公開されたPCT国際公開公報 W090/11364;Sarverらの論文, 1990, Science 247:1222;を参照されたい)。本発明の実施態様において、FBP遺伝子にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを、図2及び図4〜9に示すような、F-ボックスモチーフをコードする核酸に相補的であるように設計する。
【0191】
リボザイムは、RNAの特異的切断を触媒し得る酵素的RNA分子である(総説:Rossiの論文, 1994, Current Biology 4:469を参照されたい)。リボザイム作用の機構は、相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションと、それに続くエンドヌクレアーゼ的切断事象を必要とする。リボザイム分子の組成は、標的遺伝子mRNAに相補的な1以上の配列、及びmRNA切断を担当する既知の触媒配列を含まなければならない。この配列に関しては、例えば米国特許第5,093,246号を参照されたく、その全ては引用により本明細書に組み込まれる。
【0192】
部位特異的認識配列でmRNAを切断するリボザイムを使用して標的遺伝子mRNAを破壊することができるが、ハンマーヘッドリボザイムの使用が好ましい。ハンマーヘッド型リボザイムは、標的遺伝子と相補的塩基対を形成する隣接領域に指示される部位でmRNAを切断する。唯一の要件とは、標的mRNAが以下の2塩基配列:5'-UG-3'を有することである。ハンマーヘッド型リボザイムの構築及び産生は当業者に周知であり、それらの全てが引用により本明細書に組み込まれる:Myersの文献,『分子生物学及び生命工学:総合卓上参考書(Molecular Biology and Biotechnology: A Comprehensive Desk Reference)』1995, VCH Publishers, New York,(特に833頁の図4を参照されたい);及び、Haseloff及びGerlachの論文, 1988, Nature, 334:585;においてより十分に記載されている。
【0193】
好ましくは、切断認識部位を標的遺伝子mRNAの5'末端付近に位置するようにリボザイムを設計する。これはすなわち効率を上げ、かつ非機能的なmRNA転写産物の細胞内蓄積を最小化するためである。
また、本発明のリボザイムは、(IVS RNA、又はL-19 IVS RNAとして知られる)テトラヒメナ・サーモフィリアにおいて自然に発生し、Thomas Cech及びその同僚らによって広範に記載されているものなどの、RNAエンドリボヌクレアーゼ(以下「Cech型リボザイム」)を含む(Zaugらの論文, 1984, Science, 224:574;Zaug及びCechの論文, 1986, Science, 23 1:470;Zaugらの論文, 1986, Nature, 324:429;University Patents社により公開された国際特許出願WO 88/04300;Been及びCechの論文, 1986, Cell, 47:207)。Cech型リボザイムは、標的RNA配列にハイブリダイズした後に該標的RNAの切断が起こる、8塩基対の活性部位を有する。本発明は、標的遺伝子内に存在する8塩基対の活性部位配列を標的化するCech型リボザイムを含む。
【0194】
アンチセンスアプローチと同様に、リボザイムは(例えば、安定性の向上、標的化などに関して)修飾したオリゴヌクレオチドから構成可能であり、かつインビボで標的遺伝子を発現する細胞に送達されるべきである。好ましい送達方法は、形質移入細胞が十分量のリボザイムを産生して内因性標的遺伝子情報を破壊し、翻訳を阻害するように、強力な構成的pol III プロモーター又はpol II プロモーターの制御下に、リボザイムを「コードしている」DNA構築物を使用することを伴う。アンチセンス分子とは異なりリボザイムは触媒性であるので、より低い細胞内濃度が効率に関して必要である。
【0195】
また、標的化した相同組換えを使用して、標的遺伝子又はそのプロモーターを不活化若しくは「ノックアウト」することによって、内因性標的遺伝子発現を減少させることもできる(例えば、それらの全てが引用により本明細書に組み込まれるSmithiesらの論文, 1985, Nature 3 17:230;Thomas及びCapecchiの論文, 1987, Cell 51:503;Thompsonらの論文, 1989, Cell 5:313;を参照されたい)。例えば、内因性標的遺伝子(標的遺伝子のコード領域若しくは制御領域のいずれか)に相同なDNAに隣接する突然変異した非機能的標的遺伝子(又は全く関連性のないDNA配列)を、選択可能マーカー及び/又は負の選択可能マーカーとともに、又は該マーカーを伴わずに使用し、インビボで標的遺伝子を発現させる細胞に形質移入させることができる。標的化相同組換えを介してのDNA構築物の挿入は、標的遺伝子の不活性化をもたらす。そのようなアプローチは、不活性な標的遺伝子を有する動物子孫の産生に使用することができるES細胞(胚性幹細胞)の修飾に特に適している(例えば、上記のThomas及びCapecchiの論文, 1987、並びにThompsonの論文, 1989,を参照されたい)。しかしこのアプローチは、適切なウイルスベクターを使用して、組換えDNA構築物を、必要な部位にインビボで直接的に投与又は標的化することを条件として、こヒトでの使用に採用することができる。
【0196】
或いは、内因性標的遺伝子発現を、標的遺伝子の制御領域(すなわち、標的遺伝子プロモーター及び/又はエンハンサー)に相補的なデオキシリボヌクレオチドを標的化し、体内の標的細胞における標的遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成させることによって減少させることができる。(一般的には、Heleneの論文, 1991, Anticancer Drug Des., 6: 569;Heleneらの論文, 1992, Ann. N.Y. Acad. Sci., 660:27;及び、Maherの論文, 1992, Bioassays 14: 807;を参照されたい)
【0197】
転写阻害のために三重らせん形成に使用すべき核酸分子は、デオキシヌクレオチドから構成された一本鎖であるべきである。これらのオリゴヌクレオチドの塩基組成は、プリン又はピリミジンのいずれかの大きなストレッチが二重鎖の一方の鎖に存在することを通常必要とするHoogsteen塩基対則を用いて、三重らせん形成を促進するよう設計されるべきである。ヌクレオチド配列はピリミジンベースであることができ、結果として、三重らせんを生じた3本の結び付いた鎖の全域で、TAT+トリプレット及びCGC+トリプレットを生じる。ピリミジンリッチな分子は、該鎖の平行方向で、二重鎖の片鎖のプリンリッチ領域に相補的な塩基を提供する。さらに、核酸分子は、プリンリッチ、例えばG残基のストレッチを含む分子を選択してよい。これらの分子は、大部分のプリン残基が標的二重鎖の片鎖に位置するGC対で豊富なDNA二重鎖を有する三重らせんを形成し、該三重体の3本の鎖の全域でGGCトリプレットを生じる。
【0198】
或いは、通称「スイッチバック」核酸分子を作成することにより、三重らせんの形成のために標的化し得る潜在的配列を増加させてもよい。スイッチバック分子は、5'-3'、3'-5'が交互に並ぶ様式で合成される。従って、スイッチバック分子は、始めに二重鎖の一鎖と、次に他方の鎖と塩基対を形成して、プリン又はピリミジンのいずれかの大きなストレッチが二重鎖の一方の鎖に存在する必要性を排除する。
【0199】
本明細書に記載のアンチセンス分子、リボザイム分子、及び/又は三重らせん分子を使用して突然変異遺伝子発現を阻害する場合、該技術は、正常標的遺伝子対立遺伝子によって産生されるmRNAの転写(三重らせん)及び/又は翻訳(アンチセンス、リボザイム)をかなり効率的に減少又は阻害し得ることが可能であるため、該可能性は、存在する正常標的遺伝子産物の濃度が、正常表現型に必要であるよりも低くてよい場合に生じ得る。そのような場合において、標的遺伝子の活性の実質的に正常なレベルを維持することを確実にするには、そのために、正常な標的遺伝子の活性を示す標的遺伝子ポリペプチドをコードし発現する核酸分子を、以下の第5.7.2節で記載するようなものなどの遺伝子治療法を使用して、アンチセンス、リボザイム、又は三重らせん処理の利用に感受性な配列を含まない細胞に導入することができる。或いは、標的遺伝子が細胞外タンパク質をコードする場合、必要なレベルの標的遺伝子活性を維持するために、正常標的遺伝子タンパク質を共投与することは好ましい可能性がある。
【0200】
本発明の抗センスRNA分子及び抗センスDNA分子、リボザイム分子、及び三重らせん分子を、先に検討したように、当業者に既知の任意のDNA分子及びRNA分子の合成方法で調製してよい。これらは、例えば、固相ホスホルアミダイト化学合成などの当業者に周知のオリゴデオキシリボヌクレオチド及びオリゴリボヌクレオチドの化学合成法を含む。或いは、RNA分子は、アンチセンスRNA分子をコードするDNA配列のインビトロ又はインビボ転写によって産生してよい。そのようなDNA配列を、T7ポリメラーゼプロモーター又はSP6ポリメラーゼプロモーターなどの適切なRNAポリメラーゼプロモーターを組み込んだ、様々なベクターに組み込んでよい。或いは、使用するプロモーター次第で、構成的に又は誘導的にアンチセンスRNAを合成するアンチセンスcDNA構築物を、細胞株に安定的に導入することができる。
【0201】
(5.7.2 遺伝子置換療法)
正常なFBP遺伝子発現レベル及び/又はFBP遺伝子産物の活性レベルの増加に関して、先の第5.1節に記載のFBP遺伝子核酸配列を、例えば、ガンなどの増殖障害、又は不妊症などの減数分裂関連障害の治療に利用することができる。そのような治療は、例えば、遺伝子置換療法の形態において投与できる。具体的には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、及びレトロウイルスベクターを含むがそれらに限定されないベクター、並びにリポソームなどの細胞にDNAを導入する他の粒子を使用して、正常FBP遺伝子、又は正常FBP遺伝子機能を示すFBP遺伝子産物の産生を指示するFBP遺伝子の部分の1以上のコピーを、患者における適切な細胞に挿入してよい。
【0202】
全ての組織で発現させたFBP遺伝子、又は脳において選択的に発現させたFBP1遺伝子などの選択的に発現させたFBP遺伝子に関して、そのような遺伝子置換療法技術は、FBP遺伝子配列を患者の該当細胞型に送達し得るべきである。したがって、一実施態様において、当業者に周知の技術(例えば、1988年4月25日に公開されたPCT公開公報WO89/10134を参照されたい)を使用して、FBP遺伝子配列が容易に血液脳関門を通り脳細胞に送達されることを可能にすることができる。血液-脳関門を通過し得る送達に関しては、例えば先に記載したようなウイルスベクターが好ましい。
【0203】
別の実施態様において、送達技術は、そのようなFBP遺伝子配列の直接的投与を、該配列を発現させる細胞部位に指示することを含む。
全体的なFBP遺伝子発現レベル及び/又はFBP遺伝子産物の活性レベルを増加させるために利用してよいさらなる方法は、適切なFBP発現細胞、好ましくは自己細胞を、FBP障害の症状を改善させるのに十分な部位及び数で、患者に導入することを含む。そのような細胞は組換え又は非組換えのいずれであってもよい。
患者におけるFBP遺伝子発現の全体的な発現レベルを増加させるために投与可能な細胞は、FBP遺伝子を正常に発現している細胞である。
【0204】
或いは、FBP遺伝子配列を発現させるのに、細胞、好ましくは自己細胞を設計することができ、それから該細胞を、例えば、ガン及び腫瘍形成などのFBP障害又は増殖障害若しくは分化障害の症状を改善するのに適切な位置で患者に導入してよい。或いは健常型FBP遺伝子を発現する細胞、及びMHC適合個体由来の細胞を交互に利用することができ、該細胞は例えば脳細胞を含み得る。FBP遺伝子配列の発現を、適切な遺伝子制御配列で制御し、必要な細胞型におけるそのような発現を可能にさせる。そのような遺伝子制御配列は当業者に周知である。そのような細胞に基づく遺伝子療法技術は当業者に周知であり、例えば、Andersonによる米国特許第5,399,349号を参照されたい。
【0205】
投与すべき細胞が非自己細胞である場合、該導入細胞に対する宿主の免疫応答が発現することを妨げる周知技術を使用して、該細胞を投与することができる。例えば、該細胞を、近接した細胞外環境との構成要素の交換を可能にするが、該導入細胞を宿主免疫系には認識させないカプセル化形態で導入してよい。
さらに、先の第6.5節に記載した技術などのFBP遺伝子産物の活性を調節できる技術で同定されたような化合物を、当業者に周知の標準的技術を使用して投与することができる。投与すべき化合物が脳細胞との相互作用を伴う場合、投与技術は血液脳関門の通過を可能にさせる周知の化合物を含むべきである。
【0206】
(5.7.3 標的増殖性細胞障害)
ユビキチンリガーゼ活性に関連する特定の増殖性疾患及び発ガン性疾患に関して、本発明の方法で治療又は予防可能である疾患は、これらに限定されないが:不妊症;ヒトの肉腫及びガン、例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原生肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸ガン、膵臓ガン、乳ガン、卵巣ガン、前立腺ガン、扁平上皮ガン、基底細胞ガン、腺ガン、汗腺ガン、皮脂腺ガン、乳頭ガン、乳頭腺ガン、嚢胞腺ガン、髄様ガン、気管支原生ガン、腎臓細胞ガン、肝ガン、胆管ガン、絨毛ガン、精上皮腫、胚性癌腫、ウイルムス腫瘍、子宮頸ガン、睾丸腫瘍、肺ガン、小細胞肺ガン、膀胱ガン、上皮ガン、グリオーマ、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫;白血病、例えば、急性リンパ球性白血病、及び急性骨髄球性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、及び赤白血病);慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、及び慢性リンパ球性白血病);並びに、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、及び非ホジキン病)、多発性骨髄腫、ワルデンストローム・マクログロブリン血症、及び重鎖病;を含む。
【0207】
細胞増殖の欠損を伴う疾患及び障害、又は治療又は予防に細胞増殖が要求される疾患及び障害、及び、例えば、創傷治癒を促進するか、又は変性組織、病変組織若しくは負傷組織などの再生を促進するFBP機能を阻害することによって治療又は予防可能な疾患及び障害は、これらに限定されないが、退行性障害、成長障害、低増殖性障害、物理的外傷性傷害、病変、及び創傷を含む。
【0208】
(5.8 医薬製剤及び投与方法)
FBP遺伝子発現又は該遺伝子産物の活性に影響を与えることが確認された化合物を、治療的有効量で患者に投与し、細胞増殖性障害を治療又は改善することができる。治療的有効量は、そのような障害の症状の改善をもたらすのに十分な化合物量をさす。
【0209】
(5.8.1 有効量)
そのような化合物の毒性及び治療効果は、培養細胞又は実験動物において標準的な薬学的手法、例えばLD50(当該集団の50%を致死させる用量)及びED50(当該集団の50%で治療的効果を示す用量)で確認することができる。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、LD50/ED50の比として表現できる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用してもよいが、非感染細胞への潜在的損傷を最小化させ、それによって副作用を減少させるために、当該化合物を罹患組織に標的化する送達系を設計するのには注意を要するべきである。
【0210】
培養細胞アッセイ及び動物実験から得られたデータを、ヒトで使用する投与量の範囲を策定する際に使用できる。そのような化合物の投与量は好ましくは血中濃度の範囲内であり、該範囲は、毒性をわずかに有するか又は毒性が全くないED50を含む。投与量は、使用する剤形、及び利用する投与経路によって、上記範囲で変化してよい。本発明の方法で使用される全ての化合物に関して、治療的有効量をはじめに培養細胞アッセイから概算することができる。用量を動物モデルで策定し、培養細胞で測定した通りのIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成するテスト化合物濃度)を含む、血中血漿濃度範囲を達成してよい。そのような情報を使用して、ヒトにおいて有益な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルを、例えば高速液体クロマトグラフィーで測定してもよい。
【0211】
(5.8.2 製剤及び使用)
本発明に従う使用のための医薬組成物を、1以上の生理的に許容し得るキャリアー又は賦形剤を使用して従来の様式で製剤してよい。
それゆえ、当該化合物、並びにそれらの生理的に許容し得る塩及び溶媒和物を、吸入又は吹送(口又は鼻のいずれかを通す)による投与、又は経口投与、口腔投与、非経口投与、若しくは直腸投与用に製剤してよい。
【0212】
経口投与に関して、医薬組成物は、例えば:結合剤(例えば、プレゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、又はリン酸水素カルシウム);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、滑石、又はシリカ);崩壊剤(例えば、ポテトデンプン、又はデンプングリコール酸ナトリウム);又は、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);などの医薬として許容し得る賦形剤と共に、従来の方法で製造される錠剤又はカプセルの形態をとってよい。錠剤を当業者に周知の方法で被覆してよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の形態をとってよく、或いは使用前に、水又は他の適切な溶媒と構成させるための乾燥製品として提供してもよい。そのような液体製剤を:懸濁化剤(例えば、ソルビトール シロップ、セルロース誘導体、又は水素化した食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性溶媒(例えば、アーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコール、又は分画植物油);及び、防腐剤(例えば、メチル又はプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸、若しくはソルビン酸);などの医薬として許容し得る添加剤と共に、従来の方法で製造してよい。また、該調製物は、必要に応じて緩衝液、香味料、着色料及び甘味料を含んでよい。
【0213】
経口投与用製剤を適切に製剤して、活性化合物を制御放出することができる。
口腔投与に関して、該組成物を従来様式で製剤した錠剤又はトローチ剤の形態をとってもよい。
吸入投与に関して、本発明に従った使用のための組成物を、適切な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切な気体の使用を伴う加圧容器又は噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で都合よく供給してよい。加圧エアロゾルの場合、定量を供給する弁を設けることによって、投与量単位を決定してよい。吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)の使用のためのゼラチンなどのカプセル及びカートリッジを製剤してよく、該カプセル及びカートリッジは、該化合物の粉末混合物、及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤を含む。
【0214】
該化合物を、注入、例えば、急速静注法又は持続注入による非経口投与用に製剤してよい。注入用製剤は、追加の防腐剤と共に、単位剤形、例えばアンプル又は複数回用量容器内にあってもよい。該組成物は、油性溶媒又は水性溶媒中に懸濁液、溶液又は乳剤などの形態をとってよく、かつ懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤物質を含んでよい。或いは、該活性成分は、使用前は、適切な溶媒(例えば滅菌済の発熱物質除去水)との構成のために粉末形態であってよい。
また、該化合物を、例えば、カカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含む、坐薬又は停留浣腸などの直腸への組成物に製剤してよい。
【0215】
先に記載した製剤に加えて、デポ製剤として該化合物を製剤してよい。そのような長時間作用性製剤を、埋込(例えば、皮下的埋込、又は筋肉内埋込)、若しくは筋肉内注射によって投与してよい。それゆえ、例えば、適切な高分子又は疎水性材料(例えば、許容可能なオイル中の乳剤)若しくはイオン交換樹脂で該化合物を製剤してよく、或いは難溶性塩のような難溶性誘導体として製剤してもよい。
所望であれば、該組成物は、該活性成分を含む1以上の単位剤形を含むことがある包装又は分注装置内にあってもよい。該包装は例えば、ブリスター包装などの金属箔又はプラスチック箔を含み得る。該包装又は分注装置には、投与用説明書を添付してよい。
【実施例】
【0216】
(6. 実施例:新規ユビキチンリガーゼF-ボックスタンパク質及び該遺伝子の同定及び特徴づけ)
以下の実験は、新規特異的基質をユビキチン化経路に動員するよう作用し得る新規F-ボックスタンパク質を同定するために実施した。いくつかの生物種が関与する実験は、いくつかのFBPが、重要な細胞制御タンパク質(例えば、サイクリン、cdk阻害因子、β-カテニン、IκBαなど)の制御分解に極めて重要な役割を担うことを示した。これらのFBPは、3つの基本サブユニット:キュリンサブユニット(S.セレビシエではCdc53、及びヒトではCull 1とよばれる);Skp1;及び、多くのFBPのうちの1つ;によって形成されるユビキチンタンパク質SCFリガーゼのサブユニットである。SCFリガーゼは、ユビキチン連結酵素(Ubc3又はUbc4)を、異なるFBPによって動員される特定の基質へと標的化させる。模式的には、Ubcはキュリンサブユニットを介して該リガーゼに結合しているが、該基質はFBPサブユニットと相互作用する。FBPはキュリンサブユニットに直接的に結合し得るが、キュリン末端及びFBPのF-ボックスに同時に結合し得る第4のサブユニットであるSkp1の存在は該複合体を安定化させる。それゆえ、ユビキチンリガーゼ複合体の基質特異性は、F-ボックスサブユニットによって与えられる。
【0217】
(6.1 新規F-ボックス遺伝子の同定及び特徴づけに使用する材料及び方法)
(酵母ツーハイブリッドスクリーニング)
F-ボックスタンパク質をコードするヒト遺伝子をクローン化するために、修飾型酵母ツーハイブリッド系を使用して、Skp1会合タンパク質を同定した(Vidalらの論文, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 93:10315;Vidalらの論文, 1996, Proc. Natl, Acad. Sci. U.S. A., 93:10321)。この修飾型の系は、3つの異なるGal4結合部位プロモーターから発現する3つのレポーター遺伝子を利用することで、擬陽性相互作用の数を減らす。この複数のレポーター遺伝子アッセイは、真の相互作用の同定を促進する。
【0218】
新規F-ボックスタンパク質及び推定上のヒトCdc4相同体などのSkp1と相互作用するタンパク質を探索するベイトとして、ヒトSkp1を使用した。酵母GAL4のDNA結合ドメイン(DB、1〜147アミノ酸)及び転写活性化ドメイン(AD、768〜881アミノ酸)をそれぞれコードし、かつ選択マーカーとしてLEU2及びTRP1をそれぞれ含む、pPC97-CYH2プラスミド及びpPC86プラスミドを使用した(Chevray及びNathansの論文, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 89:5789;Vidalらの論文, 上記参照)。
【0219】
以下に記載するPCR産物の相同組換えによって、Skp1とDBとの間のインフレーム融合体を得た。以下の2つのヌクレオチドを設計し、Gene Link社から精製プライマーとして入手した:5'-AGT-AGT-AAC-AAA-GGT-CAA-AGA-CAG-TTG-ACT-GTA-TCG-TCG-AGG-ATG-CCT-TCA-ATT-AAG-TT(配列番号:80);3'-GCG-GTT-ACT-TAC-TTA-GAG-CTC-GAC-GTC-TTA-CTT-ACT-TAG-CTC-ACT-TCT-CTT-CAC-ACC-A (配列番号:81)。該5'プライマーは、skp1遺伝子の5'配列に隣接するpPC97-CYH2プラスミド(下線部)のDBに位置する配列に対応する。該3'プライマーは、skp1遺伝子の3'配列に隣接するpPC97-CYH2プラスミドのポリリンカーに位置する配列に対応する。これらのプライマーを以下の構成要素を含むPCR反応に使用した:100ng のDNA鋳型(skp1 pETプラスミド)、1μMの各プライマー、0.2mM dNTP、2mM MgCl2、10mM KCl、20mM Tris Cl pH 8.0、0.1% Triton X-100、6mM (NH4)2SO4、10μg/ml ヌクレアーゼ不含BSA、1単位のPfu DNAポリメラーゼ(94℃で4分、50℃で1分、72℃で10分を28サイクル)。前もってBglII 及びSalIで消化した100ngのpPC97-CYH2プラスミドの存在下又は不在下で、約100ngのPCR産物を酵母細胞中に形質転換させた(MaV103系統;Vidalらの論文, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:10315;Vidalらの論文, 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:10321)。相同組換えの結果として、skp1cDNAで相同組換えしたpPC97-CYH2プラスミドを含む酵母細胞のみが、ロイシン不在下で成育した。6個のコロニーを単離し、先に記載したように、Skp1の発現を免疫ブロッティングで解析した(Vidalらの論文, 上記参照)。6個のコロニーは全て、発明者らの親和性精製済み抗Skp1抗体で認識されたMr 36,000融合タンパク質を発現していたが、コントロールコロニーでは該タンパク質を発現していなかった。
【0220】
ADドメインの下流のフレームにcDNAフラグメントをクローニングすることによってAD融合体を作成し、該構築物を配列決定、免疫ブロット、及びSkp1との相互作用で確認した。pPC86-Skp2(pPC86)は、pPC86-Skp2、及びpPC86-Skp2-CT(Skp2の181〜435アミノ酸)を含む。Skp2はSkp1の既知の相互作用因子である(Zhangらの論文, 1995, Cell 82: 915)ので、前者の融合体は発明者らのポジティブコントロールに相当し;後者の融合タンパク質は、Skp1との相互作用に必要とされるF-ボックスを欠失しているため、該タンパク質をネガティブコントロールとして使用した。
【0221】
標準的な酢酸リチウム法を使用して、pPC86において、活性型T細胞cDNAライブラリー(Alala 2;Huらの論文, Genes Dev. 11: 2701)で、DB-skp1融合体を連結したMaV103系統を形質転換した。はじめに、形質転換体を合成完全(SC)-Leu-Trpプレート上にまき、2日後に、20mMの3-アミノトリアゾール(3-AT)含有(SC)-Leu-Trp-Hisプレート上にレプリカをまいた。さらに3〜4日インキュベーションした後に成長した酵母コロニーを第1陽性として回収し、さらに3つのレポーターアッセイで試験した:i)20mMの3-ATを追加したSC-Leu-Trp-Hisプレート上での生育;ii)ガラクトシダーゼ活性;及び、iii)対抗選択法として、0.2%の5-フルオロオロ酸(5-fluoroortic acid)含有SC-Leu-Trpプレート上におけるURA3活性。3つの試験の後、3×106個の形質転換体のうち選別したADプラスミドを、選択した15個の陽性コロニーから抽出した。:抽出したADプラスミド及びDBskp1融合体;又は、抽出したADプラスミド、及びコントロールとしてcDNAが挿入されていないpPC97-CYH2ベクター;のいずれかで、MaV103細胞を再度形質転換させた。3つのレポーターアッセイ全てで、その都度陽性であったコロニー(非常に強力な相互作用因子)由来の11のADプラスミド;及び3つ全てではないがいくつかで陽性であったクローン(強力な相互作用因子)由来のさらに4つのADプラスミド;を回収し、自動化されたABI 373 DNAシークエンシングシステムで配列を決定した。
【0222】
(全長FBPのクローニング)
FBP4及びFBP5をコードしている2つのクローンは全長であるようであったが、FBP1、FBP2、FBP3及びFBP7をコードしている他の4つのcDNAの全長クローンは、製造業者の説明書に従いMarathon-Ready cDNAライブラリー(Clonetec社, カタログ番号7406, 7445, 7402)を使用したRACEにより得た。FBP6をコードしている全長クローンは得られなかった。全長クローンに関する基準には、少なくとも以下の2点を含めた:i)既知F-ボックスタンパク質に関連した配列をもたらすORFの同定;ii)推定上の開始メチオニンコドンでのコンセンサスKozak翻訳開始配列の存在;iii)推定上の開始コドンの上流を除く、同じ読み枠中における終止コドンの同定;iV)3つの異なるcDNAライブラリーを使用するRACEによってクローンサイズをさらに増大させないこと。
【0223】
(酵母抽出物由来タンパク質の免疫ブロッティング解析)
酵母細胞を対数増殖期中期まで培養して回収し、洗浄し、緩衝液(50mM トリス pH 8.0, 20% グリセロール, 1mM EDTA, 0.1% Triton X-100, 5mM MgCl2, 10mM β-メルカプトエタノール, 1mM PMSF, 1mg/ml ロイペプチン, 1mg/ml ペプスタチン)中に約109細胞/mlの細胞密度で再懸濁した。細胞を、ガラスビーズの存在下、4℃で10分間ボルテックスすることで破壊した。破片を4℃で15分間、12,000RPMの遠心分離でペレット化した。約50gのタンパク質を:Vidalらの論文, 1996a, 上記参照;Vidalらの論文, 1996b, 上記参照;に記載されるような免疫ブロット解析に供した。
【0224】
(DNAデータベース検索及びタンパク質モチーフ解析)
BLAST、PSI-BLAST (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/) 、及びTGI Sequence Search (http://www.tigr.org/cgi-bin/BlastSearch/blast_tgi.cgi)を使用して、FBP遺伝子に相同性を有するEST(発現配列タグ) を同定した。少なくとも100bp中95%を超えて重複するESTを、Sequencher 3.0を使用して、新規の隣接するオープンリーディングフレーム内へと組み合わせた。タンパク質ドメインを、ProfileScan Server (http://www.isrec.isb-sib.ch/software/PFSCAN_form.html)、BLOCKS Sercher (http://www.blocks.fhcrc.org/biock-search.html)、及びIMB Jena (http://genome.imb-jena.de/cgi-bin/GDEWWW/menu.cgi)で同定した。
【0225】
(F-ボックス変異体の構築)
保存的読み枠を適切な制限酵素で削除することにより、デルタ−F-ボックス変異体[(ΔF)FBP1, 残基32〜179;(ΔF)FBP2, 残基60〜101;(ΔF)FBP3a, 残基40〜76;(ΔF)FBP4, 残基55〜98]を得た。(ΔF)Skp2変異体は、制限酵素BspEI及びXbaIを用いてDNAフラグメント(ヌクレオチド338〜997)を除去し、ヌクレオチド457〜997を含むPCRフラグメントで置換することにより得た。最終構築物は、残基113〜152を欠失したタンパク質をコードした。QuikChange部位指定変異導入キット(Stratagene社)のポリメラーゼ連鎖反応を使用するオリゴヌクレオチド定方向突然変異誘発によって、ロイシン51からアラニンへのFBP3a変異体[FBP3a(L51A)]、並びにトリプトファン76からアラニンへのFBP3a変異体[FBP3a(W76A)]を作成した。全ての変異体の全体を配列決定した。
【0226】
(組換えタンパク質)
以下のヒトタンパク質:Flagタグ化FBP1、Flagタグ化(ΔF)FBP1、Flagタグ化FBP3a、Skp2、HAタグ化Cul1、HA-タグ化Cul2、β-カテニン、Hisタグ化サイクリンD1、Skp1、Hisタグ化Skp1、Hisタグ化エロンギンC;をコードするcDNAフラグメントを、バキュロウイルス発現ベクターpBacpak-8 (Clonetech社)中に挿入し、BaculoGold形質移入キット(Pharmingen社)を使用して、直鎖状バキュロウイルスDNAをSf9細胞中に共形質移入させた。組換えウイルスを使用して5B細胞を感染させ、先に記載したように、免疫ブロッティングで上記遺伝子をコードしたタンパク質の発現を解析した。His-タンパク質を、製造業者の説明書に従いニッケル-アガロース(Invitrogen社) を用いて精製した。
【0227】
(抗体)
抗Cul1抗体を、下記のアミノ酸ペプチド:(C)DGEKDTYSYLA (配列番号:82);をウサギ及びマウスに注射することにより作成した。このペプチドはヒトCul1のカルボキシ末端に対応し、他のキュリンには保存されていない。抗Cul2抗体を下記のアミノ酸ペプチド:(C) ESSFSLNMNFSSKRTKFKITTSMQ (配列番号:83);をウサギに注射することにより作成した。このペプチドは、ヒトCul2のカルボキシ末端から87アミノ酸に位置し、他のキュリンには保存されていない。抗Skp1抗体を、ヒトSkp1のカルボキシ末端に対応するペプチド:(C)EEAQVRKENQW (配列番号:84)をウサギに注射することにより作成した。システイン残基(C)は、該ペプチドをキーホールリンペットヘモシアニン (KLH)に共役させるために付加した。当該抗体を全て作成し、親和性精製(AP)し、先に記載のように特徴づけた(Pagano, M.編, 1995, 『細胞周期:材料及び方法』中「ペプチドから精製抗体へ」, Spring-Verlag, 217-281)。手短に述べると、高い抗原指数(高親水性、良好な表面確率、良好な柔軟性、及び良好な二次構造)を示すペプチド配列を選択した。完全フロイントアジュバントと混合したペプチド-KLHを、ウサギ及びマウスに注射した。次に、35 S-メチオニン標識HeLa抽出物の免疫沈降で顕著な免疫反応性が検出されるまで、不完全フロイントアジュバント中のペプチドを2週間ごとに前記動物に注射した。これらの抗血清は、ヒト抽出物、及び組換えタンパク質含有抽出物の両方において、予測されたサイズでバンドを検出した。
【0228】
Ubc3に対するモノクローナル抗体(Mab)は、Zymed社と共同で作成し、特徴づけた。サイクリンBに対するMab(カタログ番号 sc-245)はSanta Cruz製であり;p21に対するMab(カタログ番号 C24420)、及びp27に対するMab(カタログ番号 K25020)はTransduction lab社製であった。(Mab)サイクリンE(Fahaの論文, 1993, J. of Virology 67: 2456);ヒトp27、Skp2、Cdk2及びサイクリンAに対するAPウサギ抗体(Paganoの論文, 1992, EMBO J. 11: 761)、並びにリン酸化部位特異的p27抗体を、標準的な方法で得たか又は作成した。表示の箇所において、N末端Skp2ペプチドに対するAPヤギ抗体(Santa Cruz社, カタログ番号 sc-1567)を使用した。ラット抗HA抗体はBoehringer Mannheim社製であり(カタログ番号 1867423);ウサギ抗HA抗体はSanta Cruz社製であり(カタログ番号 sc-805);マウス抗Flag抗体はKodak社製であり(カタログ番号 IB13010);ウサギ抗Flag抗体はZymed社製であり(カタログ番号71-5400);抗Skp1マウス抗体、及び抗β-カテニンマウス抗体はTransduction Laboratories社製(それぞれ、カタログ番号 C19220及びP46020)であった。ヒトサイクリンD1に対するMab(AM29のクローン、カタログ番号 33-2500)の調製、精製及び特徴づけを、Zymed社と共同で実施した。ヒトサイクリンD1に対する抗血清は、Ohtsuboらの論文, 1995, Mol. Cell Biol., 15:2612に記載されているように作成した。
【0229】
(抽出物調製、及び細胞同調)
タンパク質抽出を、1μMのオカダ酸が溶解緩衝液中に存在するのが違うだけで、先に記載のPaganoの論文, 1993, J. Cell Biol. 121:101のように実施した。ヒト肺線維芽細胞IMR-90を、48時間の血清飢餓によってG0/G1に同調させ、血清の再添加による再刺激によって細胞周期を再び開始させた。Paganoの論文, 1992, EMBO J. 11: 761に記載のように、有糸分裂シェイクオフ(mitotic shake-off)により、HeLa細胞を同調させた。同調をフローサイトメトリーでモニターした。インビトロユビキチン化及び分解アッセイに関して、48時間のロバスタチン処理及び、以下に記載のようにタンパク質抽出を実施して、G1のHeLa細胞を得た。
【0230】
(免疫沈降及び免疫ブロッティング)
3〜5容量の標準溶解緩衝液の添加により細胞抽出物を調製し(Paganoらの論文, 1992, Science 255:1144)、免疫沈降用の条件は:Jenkins及びXiongの論文, 1995 上記参照;Paganoらの論文, 1992, Science 255:1144;に記載されているものであった。Tamらの論文, 1994, Oncogene 9:2663に記載されているようなウエットブロッティングによって、タンパク質をゲルからニトロセルロース膜(Novex)へと転写した。化学発光(DuPont-NEN)検出システムを製造業者の説明書に従って使用して、フィルターを免疫ブロッティングに供した。
【0231】
(インビトロユビキチン化アッセイ用タンパク質抽出)
対数増殖しているHeLa-S3細胞を6×105細胞/mlの密度で回収した。約4mlのHeLa-S3細胞ペレットを、20mM Tris-HCl (pH 7.2)、2mM DTT、0.25mM EDTA、10μg/ml ロイペプチン、及び10μg/ml ペプスタチンからなる6ml氷冷緩衝液中に懸濁した。使用前に徹底的にリンスし氷冷した細胞窒素破壊ボム(cell nitrogen-disruption bomb)(Parr社, Moline, IL, カタログ番号4639)に、該懸濁液を移した。ボムチャンバーを窒素タンクに接続し、圧力をゆっくりと1000psiまで上げた。同じ圧力下で30分間チャンバーを氷冷のままにした後、圧力をゆっくりと解除した。該物質をエッペンドルフチューブに移し、微量遠心機中、10,000gで10分間遠心分離した。該上清(S-10)を少量サンプルに分割し、-80℃で凍結させた。
【0232】
(インビトロユビキチン化)
Lyapinaの論文, 1998, Proc Natl Acad Sci USA, 95: 7451に記載のように、ユビキチン化アッセイを実施した。手短に述べると、抗Flag抗体で免疫沈降したFlagタグ化FBPを含む免疫ビーズを、精製した組換えヒトE1及びE2酵素(Ubc2、Ubc3又はUbc4)を、ビオチン化ユビキチンを含む反応混合物に添加した。その後、サンプルを、HRP-ストレプトアビジンを用いたブロッティングで解析した。E1酵素及びE2酵素、並びにビオチン化ユビキチンを、Paganoの論文, 1995, Science 269:682に記載されているように産生した。
【0233】
(一過性形質移入)
以下のヒトタンパク質:FBP1、(ΔF)FBP1、FBP2、(ΔF)FBP2、FBP3a、(ΔF) FBP3a、FBP3a(L51A)、FBP3a(W76A)、FBP4、(ΔF)FBP4、Skp2、(ΔF)Skp2、HAタグ化β-カテニン、非タグ化β-カテニン、Skp1、サイクリンD1;をコードしているcDNAフラグメントを、それらのC末端でFlagタグを付与したフレームに分けて、哺乳動物発現ベクターpcDNA3 (Invitrogen社)に挿入した。製造業者の説明書に従ってFuGENE形質移入試薬 (Boehringer社, カタログ番号1-814-443)を使用し、細胞に形質移入した。
【0234】
(免疫蛍光)
ガラス製カバーガラスの上で培養した形質移入細胞単層をPBSでリンスし、4%パラホルムアルデヒド含有PBSを用いて10分間、4℃で固定した後、0.25% Triton X-100含有PBSを用いて10分間透過処理した。他の固定化プロトコルは、同様の結果を与えた。Paganoの論文, 1994, Genes Dev, 8:1627記載されているように、1μg/mlのウサギ抗Flag抗体を使用して、免疫蛍光染色を実施した。
【0235】
(ノーザンブロット解析)
Clontech社製のヒトの複数の組織のmRNAを使用して、ノーザンブロットを実施した。ランダムプライマーDNA標識化キット(Gibco BRL社)(2×106cpm/ml)を使用して、[アルファ-32P] dCTP (Amersham社)でプローブを放射性標識した。55〜60℃、0.2 ×SSC、0.1% SDSで、洗浄を実施した。FBP1プローブ及びFBP3aプローブは、2つのHindIII制限フラグメント(それぞれ、ヌクレオチド1〜571及び1〜450)であり;FBP2、FBP4、及びFBPプローブは、それぞれの全長cDNAであり;並びに、β-アクチンプローブはClontech社製であった。
【0236】
(蛍光インサイチュウハイブリダイゼーション(FISH))
ツーハイブリッドスクリーニングから得られたcDNAプローブを用いた、λFIX II胎盤ヒトゲノムライブラリー(Stratagene社)のハイストリンジェンシー(high-stringency)スクリーニング(65℃、0.2×SSC、0.1% SDS 洗浄)により、ゲノムクローンを単離した。ハイストリンジェンシーサザンハイブリダイゼーション、及び部分配列解析によって、ファージクローンを確認した。精製全ファージDNAを標識し、M.Pagano編, 1994, 『細胞周期:材料及び方法』, 29に記載されているようにFISHを実施した。
【0237】
(6.2 結果)
(6.2.1 新規F-ボックスタンパク質の特徴づけ、及びそれらのインビボ活性)
改良型の酵母ツーハイブリッド系を使用して、ヒトSkp1の相互作用因子を探索した。ベイトとしてGal4 DB-Skp1融合タンパク質を有するMaV103酵母系統を、プレイとしてGal4 AD融合タンパク質を発現している活性化T細胞cDNAライブラリーで形質転換させた。第1選別、及び再形質転換段階の後、3つの異なるレポーターアッセイを使用して、ヒトSkp1と特異的に相互作用する13の陽性クローンを得た。配列解析の後、該13の抽出cDNAは、FBPをコードしている、7種の異なるオープンリーディングフレーム由来であることが見出された。これらの新規FBPを以下のように命名した:図3に示すFBP1(配列番号:1);図4に示すFBP2(配列番号:3);図5に示すFBP3a(配列番号:5);図7に示すFBP4(配列番号:7);図8に示すFBP5(配列番号:9);図9に示すFBP6(配列番号:11);図10に示すFBP7(配列番号:13)。該7つのFBPの1つであるFBP1(配列番号:1)は、発明者らが選抜を進めている間に、他者もまた同定した(Margottinらの論文, 1998, Molecular Cell, 1:565-74)。
【0238】
BLASTプログラムを使用して、全米バイオテクノロジー情報センター及びゲノム研究所を通じて利用可能なデータベースにおいてF-ボックスを含むと予測されるヒトタンパク質を検索した。これらの予測ヒトFBP由来のF-ボックスモチーフのアライメントを図1に示す。利用可能配列を整列させることにより、これまでに特徴づけられていない19のヒトFBPを同定し(GenBank 受入番号: AC002428、AI457595、AI105408、H66467、T47217、H38755、THC274684、AI750732、AA976979、AI571815、T57296、Z44228、Z45230、N42405、AA018063、AI751015、AI400663、T74432、AA402415、AI826000、AI590138、AF174602、Z45775、AF174599、THC288870、AI017603、AF174598、THC260994、AI475671、AA768343、AF174595、THC240016,N70417、T10511、AF174603、EST04915、AA147429、AI192344、AF174594、AI147207、AI279712、AA593015、AA644633、AA335703、N26196、AF174604、AF053356、AF174606、AA836036、AA853045、AI479142、AA772788、AA039454、AA397652、AA463756、AA007384、AA749085、AI640599、THC253263、AB020647、THC295423、AA434109、AA370939、AA215393、THC271423、AF052097、THC288182、AL049953、CAB37981、AL022395、AL031178、THC197682、及びTHC205131)、これらは先に開示したF-ボックスタンパク質由来のヌクレオチド配列を有していた。
【0239】
それゆえ、19のこれまで特徴づけられていなかった、同定されたFBPヌクレオチド配列を以下のように命名した:図6に示すFBP3b(配列番号:23);図11に示すFBP8(配列番号:25);図12に示すFBP9(配列番号:27);図13に示すFBP10(配列番号:29);図14に示すFBP11(配列番号:31);図15に示すFBP12(配列番号:33);図16に示すFBP13(配列番号:35);図17に示すFBP14(配列番号:37);図18に示すFBP15(配列番号:39);図19に示すFBP16(配列番号:41);図20に示すFBP17(配列番号:43);図21に示すFBP18(配列番号:45);図22に示すFBP19(配列番号:47);図23に示すFBP20(配列番号:49);図24に示すFBP21(配列番号:51);図25に示すFBP22(配列番号:53);図26に示すFBP23(配列番号:55);図27に示すFBP24(配列番号:57);及び、図28に示すFBP25(配列番号:59)。これらの予測されたヒトFBP由来のF-ボックスモチーフのアライメントを図1Aに示す。これらの配列のうち、ヌクレオチド配列の14の同定されたFBP: FBP3b (配列番号:23)、FBP8 (配列番号:25)、FBP11 (配列番号:31)、FBP12 (配列番号:33)、FBP13 (配列番号:35)、FBP14 (配列番号:37)、FBP15 (配列番号:39)、FBP17 (配列番号:43)、FBP18 (配列番号:45)、FBP20 (配列番号:49)、FBP21 (配列番号:51)、FBP22 (配列番号:53)、FBP23 (配列番号:55)、及び FBP25 (配列番号:59);はこれまでにアセンブルされておらず、新規核酸分子に相当する。残り5つの配列:FBP9 (配列番号:27)、FBP10 (配列番号:29)、FBP16 (配列番号:41)、FBP19 (配列番号:47)、及びFBP24 (配列番号:57)は既にアセンブルされ、データベースで開示されていたが、F-ボックスタンパク質としてはこれまで認識されていなかった。
【0240】
ヒトFBPのコンピュータ解析は、いくつかの興味深い特徴を明らかにした(図2におけるFBPの模式的説明を参照されたい)。3つのFBPはWD-40ドメインを含み;7つのFBPはLRRを含み;及び、6つのFBPは、ロイシンジッパー、リングフィンガー、ヘリックス-ループ-ヘリックスドメイン、プロリンリッチモチーフ、及びSH2ドメインなどの、FBPではこれまで同定されていなかった他の潜在的タンパク質-タンパク質相互作用モジュールを含む。
【0241】
ヒトFBPファミリーの例として、いくつかのFBPのより詳細な特徴づけを実施した。新規FBPとヒトSkp1との間の相互作用の特異性を確認するために、インビトロ翻訳した8つのFBPを、ニッケル-アガロースビーズに予め結合させたHisタグ化Skp1に対する結合に関して試験した。コントロールには、唯一のヒトSkp1相同体であるエロンギンCを使用した。7つのFBPはHis-Skp1ビーズに結合し得るが、Hisタグ化エロンギンCビーズには結合できなかった(図32)。Hisタグ化エロンギンCビーズに結合した少量のFBPは、プルダウンアッセイで、ニッケル-アガロースビーズに結合した非会合タンパク質(Hisタグ化p27)を使用した場合にも存在した(実施例、図32、レーン12を参照されたい)ので、該FBPは、非特異的結合に相当する可能性がきわめて高い。
【0242】
F-ボックス欠失変異体である(ΔF)FBP1、(ΔF)FBP2、(ΔF)FBP3a、並びにF-ボックスの保存アミノ酸残基に単一点突然変異を有する変異体FBP3a(L51A)及びFBP3a(W76A)を構築した。F-ボックスを欠失した変異体、及び点突然変異を有する変異体は、Skp1に結合する能力を失っており(図32)、ヒトFBPがSkp1に特異的に結合するにはF-ボックスの完全性が必要であることを確認した。
【0243】
(相互作用することが知られているSkp2のように)インビボでFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4及びFBP7が、ヒトSkp1及びCul1と相互作用できるかを確定するために、Flagタグ化FBP1、Flagタグ化(ΔF)FBP1、Flagタグ化FBP2、Flagタグ化(ΔF)FBP2、Flagタグ化FBP3a 、Flagタグ化(ΔF)FBP3a、Flagタグ化FBP4、及びFlagタグ化FBP7をHeLa細胞で発現させ、該細胞抽出物を調製し、抗Flag抗体を用いる免疫沈降に供した。Cul1、Cul2(別のヒトキュリン)、及びSkp1に対する特異抗体を用いた免疫ブロットで検出されたように、野生型FBPを発現している細胞由来の抽出物においてのみ、抗Flag抗体はCul1とSkp1とを共沈降させ、Cul2は共沈降させなかった(図32及びデータは示さず)。これらのデータは、酵母のように、ヒトSkp1/キュリン複合体は多くのFBPの足場(scaffold)を形成することを示す。
【0244】
Skp1/Cul1複合体へのFBPの結合は、FBPがユビキチン連鎖反応活性に関連する可能性と一致する。この可能性を検証するために、Flagタグ化FBPをヒトのSkp1及びCul1と共にHeLa細胞で発現させた。抽出物を、抗Flag抗体を用いる免疫沈降に供し、ヒトユビキチン活性化酵素(E1)及びヒトUbcの存在下でユビキチンリガーゼ活性を測定した。試験した全ての野生型FBPは、ユビキチン化タンパク質の高分子量スメア(smear)特性をもたらすユビキチンリガーゼ活性に関連していたが、FBP変異体は関連していなかった(図33)。該リガーゼ活性はN-エチルマレイミド(NEM)感受性であり(図33、レーン2)、かつUbc4及びE1両方の存在を必要とした。Ubc4を用いたものに類似した結果がヒトUbc3を使用して得られたが、Ubc2はこれらのSCFのユビキチンリガーゼ活性を維持することはできなかった(図33;レーン12、13)。
【0245】
間接免疫蛍光法を使用して、FBP 1、FBP2、FBP3a、FBP4及びFBP7の細胞内分布をヒト細胞内で調査した。Flagタグ化させたこれらのタンパク質を、HeLa細胞、U2OS細胞、及び293T細胞で発現させ、抗Flag抗体を用いた免疫蛍光染色に供した。FBP1、FBP4 及びFBP7は細胞質及び核の両方に分布していることが示されたが、FBP2は主に細胞質に、FBP3aは主に核に検出された。例として、図35は、HeLa細胞で観察されたFBP1、FBP2、FBP3a及びFBP4の細胞内局在を示す。(ΔF)FBP1変異体、(ΔF)FBP2変異体、及び(ΔF)FBP3a変異体の局在は、個々の野生型タンパク質の局在と同一であった(図35)。これはF-ボックス、及びF-ボックス依存的なSkp1への結合はFBPの細胞内局在を決定しないことを実証した。免疫蛍光染色は、生化学的な細胞分画の結果に一致した。
【0246】
(6.2.2 新規ユビキチンリガーゼ遺伝子転写産物のノーザンブロット解析)
RNAブロット解析を、複数の正常ヒト組織(心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、脾臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、結腸、末梢血白血球。図36を参照されたい)由来のポリ(A)+ mRNAで実施した。FBP1 mRNA転写産物(〜7kbの主要バンド、並びに〜3.5kb及び〜2.5kbの2つのマイナーバンド)は、調べた16種全てのヒト組織で発現していたが、脳及び精巣でより強く発現していた。精巣は、過剰ではないものの7kb型と等しい量の、より小さなFBP1 mRNA型を発現している唯一の組織であった。FBP2転写物(〜7.7kb及び〜2.4kb)は試験した全ての組織で発現しており、さらにFBP2転写産物の割合はいくらかの組織間差を示した。約4kbのFBP3a転写産物は、試験した全ての組織に存在し、かつより長い露光により、特に精巣において、約3kb及び2kbの2つのマイナー型FBP3aが可視化されるようになった。約4.8kbのFBP4転写産物は試験した全ての正常ヒト組織で発現していたが、特に心臓及び膵臓で豊富であった。最後に、新規FBPの発現パターンを、FBP1(FBP1のmRNA種(〜4kbの主要バンド、及び〜8.5kbのマイナーバンド)は、検出された全ての組織に見出され、特に胎盤で豊富)の発現パターンと比較した。
【0247】
(6.2.3 ヒトFBP遺伝子の染色体局在)
細胞の制御タンパク質(例えば、p53、p27、β-カテニン)の調べられていない分解を特定の腫瘍で観測し、脱制御されたユビキチンリガーゼがこの改変された分解に関与するという仮説が示唆された(Ciechanover, 1998, EMBO J, 17:7151に概説されている)。よく理解されている例は、ユビキチンリガーゼをコードしているガン原遺伝子であるMDM2であり、該過剰発現はその基質である腫瘍抑制因子p53を脱安定化させる(Brown及びPaganoの論文, 1997, Biochm Biophys Acta, 1332:1に概説されている)。ヒトFBP遺伝子の染色体局在を位置づけ、かつ腫瘍又は遺伝的疾患で変化することが知られている遺伝子座に該遺伝子の位置が一致するかを測定するため、蛍光インサイチュウハイブリダイゼーション(FISH)を利用した。FBP1遺伝子は10q24 (図37A);FBP2 は9q34 (図37B);FBP3a は13q22 (図37C);FBP4 は5p12 (図37D) ;及びFBP5は6q25-26 (図37E);に位置し局在していた。FBP遺伝子(特に、FBP1、FBP3a、及びFBP5)は、腫瘍においてしばしば変化される染色体座に局在する(参照及び詳細は、Online Mendelian Inheritance in Manデータベース、http://www3.ncbi.nlm.nih.gov/omim/を参照されたい)。特に、(FBPが位置する)10q24の欠失は、約10%のヒト前立腺腫瘍及び小細胞肺ガン(SCLC)で実証され、この位置で腫瘍抑制遺伝子が存在していることが示唆された。さらに、小児急性T細胞白血病の最大7%までが、t(10;14)(q24;q11)又はt(7;10)(q35;q24)のいずれかのブレークポイントとして10q24を含む転座を伴う。稀にしかないが、(FBP2が位置する)9q34領域は、ヒトの卵巣ガン及び膀胱ガンにおけるヘテロ接合性(LOH)の欠失部位であることが明らかにされている。また、LOHも9q34領域に見出される。最後に、(FBP5が位置する)6q25-26は、ヒトの卵巣ガン、乳ガン、及び胃ガン、肝ガン、バーキットリンパ腫、並びに副甲状腺腺腫における、ヘテロ接合性の欠失部位であることが明らかにされている。
【0248】
(7. 実施例:FBP1はβ-カテニンの安定性を制御する)
β-カテニンタンパク質分解の脱制御は、悪性形質転換と関連している。アフリカツメガエルのSlimb、及びショウジョウバエのFBP1は、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路を負に制御する(Jiang及びStruhlの論文, 1998, 上記参照;Marikawa及びElinsonの論文, 1998, 上記参照)。ユビキチンリガーゼ複合体はその基質と物理的に結合するので、本実施例では、FBP1がβ-カテニンと相互作用し得るかを測定する調査を設計した。その結果は、FBP1が、インビボでβ-カテニンの安定性を制御する新規ユビキチンリガーゼ複合体を形成することを明らかにする。それゆえ、β-カテニンをユビキチン化する新規ユビキチンリガーゼ複合体の構成要素としてのFBP1の同定は、本発明の方法を使用する、アゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、及び新規基質の選別に使用可能である新規標的を提供する。これらのアッセイで同定された分子は、ガン及び増殖障害に対する治療薬として潜在的に有用な薬剤である。
【0249】
(7.1 FBP1機能の同定のための材料及び方法)
組換えタンパク質、F-ボックス変異体構築物、抗体、一過性形質移入、免疫沈降、免疫ブロッティング、培養細胞、及び抽出物調製、並びに本方法の詳細は、上記の第7.1節に記載してある。
【0250】
(7.2 結果)
(7.2.1 ヒトFBP1はβ-カテニンと相互作用する)
Flagタグ化FBP1ウイルス及びβ-カテニンウイルスを使用して、昆虫細胞を共感染させ、抽出物を免疫沈降した後、免疫ブロッティングにより解析した。抗Flag抗体で共免疫沈降させたβ-カテニン(図38A)は、無傷細胞中で、β-カテニンとFBP1が物理的に相互作用していることを示した。酵母FBPであるCdc4の、その基質であるSic1への結合は、Skp1の存在により安定化されることが証明されている(Skowyraらの論文, 1997, Cell, 91:209)。ヒトSkp1の同時発現は、FBP1とβ-カテニンとの間の相互作用強度に影響しなかった。FBP1/β-カテニン相互作用の特異性を試験するために、ヒトのサイクリンD1ウイルス及びFBP1ウイルスで細胞を共感染させた。このサイクリンの選択は、ヒトサイクリンD1がSkp2ユビキチンリガーゼ複合体と複合体を形成し得るという事実から決定した(Skp1-Cul1-Skp2;Yuらの論文, 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:11324)。FBP1/β-カテニン複合体の形成を実証するために使用した同一条件下において、サイクリンD1はFlagタグ化FBP1では共免疫沈降され得ず、かつ抗サイクリンD1抗体はFBP1を共免疫沈降できなかった(図38B、レーン1〜3)。Skp1(図38B、レーン4〜6)又はCdk4の、FBP1及びサイクリンD1との共発現は、サイクリンD1とFBP1との結合を刺激しなかった。
【0251】
その後、HAタグ化β-カテニン、及びFlagタグ化FBP1(野生型又は変異型)を保有する哺乳動物発現プラスミドを、ヒト293細胞に共形質移入させる。野生型、又は(ΔF)FBP1変異体のいずれかで共発現させた場合、抗Flag免疫沈降でβ-カテニンを検出し(図38C、レーン4〜6)、ヒト細胞においてβ-カテニンとFBP1との間で形成される複合体の存在を確認した。
【0252】
(7.2.2 F-ボックス欠失FBP1変異体は、インビボでβ-カテニンを安定化させる)
β-カテニンへの(ΔF)FBP1の会合は、(ΔF)FBP1が、インビボにおいてSkp1/Cul1複合体に結合できなくなる一方で、他方ではβ-カテニンを結合する能力を保持していることによって、ドミナントネガティブ変異体として機能し得ることを示唆した。HAタグ化β-カテニンを、Flagタグ化(ΔF)FBP1、又は別のF-ボックスが欠失されたFBPである(ΔF)FBP2と共に共発現させた。FBP2も、Skp1相互作用因子に関する発明者らのスクリーニングで得られた(FBP2は、FBP1のように、いくつかのWD-40ドメインを含む)。(ΔF)FBP1の存在は、より大量のβ-カテニンの蓄積を特異的にもたらした(図39A)。この蓄積がβ-カテニン安定性の増加によるものなのかを確定するため、発明者らはパルスチェイス解析を使用して、β-カテニンの半減期を測定した。ヒト293細胞を、HAタグ化β-カテニン単独、又は野生型FBP1若しくは変異型FBP1との組み合わせで形質移入させた。野生型Fbp1は、β-カテニン分解にほとんど影響しなかったが、F-ボックス欠失変異体は、β-カテニンの半減期を1〜4時間延長させた(図39B)。
【0253】
また、FBP1は、HIV-1のVpuタンパク質により誘導されるCD4分解に関与する(Margottinらの論文, 上記参照)。VpuはFBP1をDC4へと動員し、かつ(ΔF)FBP1はVpu介在性CD4制御を阻害することが証明されている。さらに、FBP1-ユビキチンリガーゼ複合体もIκBαの安定性を制御する(Yaronらの論文, 1998, Nature, 396:590)。それゆえ、FBP1と、β-カテニン、Vpuタンパク質、CD4、及びIκBαとの間の相互作用は、本発明の方法を使用する、アゴニスト、アンタゴニスト、リガンド、及び新規基質の選別に使用可能な潜在的標的である。
【0254】
(8. 実施例:FBP Skp2の基質としてのp27の同定方法)
哺乳動物G1サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害因子p27の分解は、静止状態から増殖状態への細胞の移行に必要とされる。p27のユビキチン化及び分解は、サイクリン/Cdk複合体によるそのリン酸化に依存する。S期への進行に必須なF-ボックスタンパク質であるSkp2は、リン酸化に依存した様式でp27を特異的に認識する。さらに、インビボ及びインビトロの両方において、Skp2は、リン酸化p27をユビキチン化し分解する機構の律速構成要素である。それゆえ、p27分解は、分裂促進因子の刺激後、Skp2及びサイクリン両方の蓄積による二重制御を受けている。
【0255】
本実施例は、インビトロにおけるSkp2とp27との相互作用を同定するために使用した新規アッセイを開示する。はじめに、基質としてp27を使用して実施したインビトロユビキチン化アッセイを記載する。二番目に、抗Skp2抗体を使用して細胞抽出物からSkp2を除去し、p27ユビキチンリガーゼ活性の効果をアッセイした。上記のような免疫除去抽出物に精製Skp2を戻し、p27のユビキチン化及び分解を回復させる。また、p27のユビキチン化及び分解を妨げるドミナントネガティブ変異体(ΔF)Skp2の使用を開示する。
【0256】
本明細書に記載のアッセイを使用して、細胞増殖を阻害する化合物に関して試験することができる。本アッセイを、第6.5節に記載の、分子、化合物、ペプチド、又は他の作用物質の存在下又は不在下で実施することができる。相互作用又はユビキチン化活性を増幅若しくは阻害する作用物質を、最終産物の形成を同定する増加又は減少によって同定できる。そのような作用物質を使用して、例えば、インビボでSkp2制御型のp27ユビキチン化及び分解を阻害することができる。これらのアッセイで同定された分子は、ガン及び増殖障害に対する治療薬として潜在的に有用な薬剤である。
【0257】
ドミナントネガティブ変異体、例えば(ΔF)Skp2変異体、並びにSKP2 mRNA標的化アンチセンスオリゴであるmRNAは、p27のユビキチン化及び分解を妨げ、ガンに対する遺伝子治療に使用可能である。また、本明細書に記載のアッセイを使用して、新規FBPタンパク質の新規基質、並びに新規ユビキチンリガーゼ複合体と基質の相互作用及び活性の調節因子を同定することもできる。
【0258】
(8.1 Skp2基質としてのp27の同定に関する材料及び方法)
(インビトロユビキチン化アッセイ用タンパク質抽出)
約4mlのHeLa S3細胞ペレットを:20mM Tris-HCl (pH 7.2)、2mM DTT、0.25mM EDTA、10μg/ml ロイペプチン、及び10μg/ml ペプスタチン;からなる氷冷緩衝液6mlに懸濁した。使用前に徹底的にリンスし氷冷した細胞窒素破壊ボム(Parr社, Moline, IL, カタログ番号4639)に、該懸濁液を移した。ボムチャンバーを窒素タンクに接続し、圧力をゆっくりと1000psiまで上げた。同じ圧力下で30分間チャンバーをそのまま氷冷した後、圧力をゆっくりと解除した。該物質をエッペンドルフチューブに移し、微量遠心機中、10,000gで10分間遠心分離した。該上清(S-10)を少量サンプルに分割し、-80℃で凍結させた。細胞窒素破壊ボム抽出物の使用に基づいた抽出物の調製方法は、以前に記載された方法(Paganoらの論文, 1995, Science 269:682-685)よりも、インビトロユビキチン化p27への活性を保存する。
【0259】
(試薬及び抗体)
ユビキチンアルデヒド (Hershko及びRoseの論文, 1987, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:1829-33)、メチル-ユビキチン (Hershko及びRoseの論文, 1985, Biochem. Biophys. Res. Commun. 128:1079-86)、及びp13ビーズ(Brizuelaらの論文, 1987, EMBO J. 6:3507-3514) を、記載の通りに調製した。β,γ-イミドアデノシン-50-三リン酸(AMP-PNP)、スタウロスポリン、ヘキソキナーゼ、及びデオキシ-グルコースはSigma社製であり;ロバスタチンはMerck社から調達し;フラボピリドールはHoechst Marion Roussel社から調達した。Zymed社と共同で、187位にリン酸化スレオニン(T*)を有するヒトp27のカルボキシ末端に対応するリン酸化ペプチドNAGSVEQT*PKKPGLRRRQT (配列番号:85)をウサギに注射することにより、p27リン酸化部位特異抗体を作成した。その後、リン酸化ペプチドクロマトグラフィー及び非リン酸化ペプチドクロマトグラフィーの両方を使用する、2ラウンドのアフィニティークロマトグラフィーで血清から抗体を精製した。他の全ての抗体は第6.1節に記載してある。
【0260】
(免疫除去アッセイ)
免疫除去アッセイに関して、3μlのSkp2抗血清を、15μlのAffi-Prep Protein-Aビーズ(BioRad社)に4℃で90分間吸着させた。該ビーズを洗浄した後、40μlのHeLa抽出物(約400μgのタンパク質)を混合した(4℃、2時間)。ビーズを遠心分離で除去した後、上清を0.45-μのMicrospin filter(Millipore社)を通して濾過した。免疫沈降及び免疫ブロットをPaganoらの論文, 1995(上記参照)に記載されているように実施した。Zymed社(カタログ番号 51-1900)と共同で、M. Paganoの文献, 『細胞周期−材料及び方法(Cell Cycle-Materials and Methods)』, M. Pagano編 (Springer, NY, 1995), 第24章;E. Harlow及びD. Laneの文献,『抗体の使用 研究室マニュアル』(Using antibodies. A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 1998);中に記載の通り、精製GST-Skp2に対するウサギポリクローナル抗体を作成して親和性精製(AP)し、特徴づけした。ヒトCul1に対するモノクローナル抗体(Mab)及びサイクリンE(Fahaらの論文, 1993, J of Virology 67:2456);ヒトp27、Skp1に対するAPウサギ抗体(Latresらの論文, 1999, Oncogene 18:849)、Cdk2に対するAPウサギ抗体(Paganoらの論文, 1992, Science 255:1144)、及びp27リン酸化部位特異抗体。サイクリンBに対するMabはSanta Cruz社製であり (カタログ番号 sc-245);p21に対するMab(カタログ番号 C24420)及びp27に対するMab(カタログ番号 K25020)はTransduction lab社製であり;抗Flagウサギ抗体はZymed社製である(カタログ番号 71-5400)。N末端Skp2ペプチドに対するAPヤギ抗体(Santa Cruz社, カタログ番号 sc-1567)を使用した。
【0261】
(Skp2 F-ボックス変異体の構築)
制限酵素BspEI及びXbaIを用いてDNAフラグメント(ヌクレオチド338〜997)を除去し、該フラグメントをヌクレオチド457〜997を含むPCRフラグメントで置換することにより、(ΔF)Skp2変異体を得た。最終構築物は、残基113〜152を欠失したタンパク質をコードしていた。
【0262】
(組換えタンパク質)
以下のヒトタンパク質:Flagタグ化FBP1、Flagタグ化(ΔF)FBP1、Flagタグ化FBP3a、Skp2、HAタグ化Cul1、HA-タグ化Cul2、β-カテニン、Hisタグ化サイクリンD1、Skp1、Hisタグ化Skp1、Hisタグ化エロンギンC;をコードするcDNAフラグメントを、バキュロウイルス発現ベクターpBacpak-8 (Clonetech社)中に挿入し、BaculoGold形質移入キット(Pharmingen社)を使用して、直鎖状バキュロウイルスDNAをSf9細胞中に共形質移入させた。ヒトHisタグ化サイクリンE及びHAタグ化Cdk2を発現しているバキュロウイルスは、D. Morganから供与された(Desaiの論文, 1992, Mol. Biol. Cell 3:571)。組換えウイルスを使用して5B細胞に感染させ、先に記載したような免疫ブロッティングで該コードタンパク質の発現をアッセイした。ニッケル-アガロース(Invitrogen社)を用い、製造業者の説明書に従ってHis-タンパク質を精製した。適切なバキュロウイルスの共発現によって異なる複合体を形成させ、Skp1及びサイクリンEの5'のHisタグを使用して、ニッケル-アガロースクロマトグラフィーで精製した。特に明記しない限り、組換えタンパク質を下記の量でインキュベーションに添加した:サイクリンE/Cdk2, 〜0.5pmol;Skp1, 〜0.5pmol;Skp2, 0.1pmol;FBP1, 〜0.1pmol;FBP3a, 〜0.1pmol、Cul1, 0.1pmol。精製調製物中のSkp1/Skp2、Skp1/FBP1、Skp1/FBP3a、及びSkp1/Cul1のモル比は〜5であった。
抽出物調製及び細胞同調、一過性形質移入、免疫沈降、及び免疫ブロッティング法を、第6.1節に記載しているように実施した。
【0263】
(8.2 結果)
(8.2.1 p27インビトロユビキチン化アッセイ)
典型的なインビトロユビキチン化アッセイにおいて、対数的に増殖しているHeLa-S3細胞を6×105細胞/mlの密度で回収した。O'Connor及びJackmanの文献, 1995, 『細胞周期−材料及び方法(Cell Cycle-Materials and Methods)』, M.Pagano編, Springer, NY, 第6章中に記載のように、70μMのロバスタチンで48時間処理することにより、細胞をG1で停止させる。1μlのインビトロ翻訳[35S]p27を、30℃で様々な時間(0〜75分)、10μlのユビキチン化混合物(40mM トリス pH 7.6、5mM MgCl2、1mM DTT、10% グリセロール、1μM ユビキチンアルデヒド、1mg/ml メチルユビキチン、10mM クレアチンリン酸、0.1mg/ml クレアチンホスホキナーゼ、0.5mM ATP、1μM オカダ酸、20〜30μg HeLa細胞抽出物を含む)中でインキュベートする。ユビキチンアルデヒドを該ユビキチン化反応に添加し、p27からユビキチン鎖を除去する可能性のあるイソペプチダーゼを阻害することができる。メチルユビキチンの添加は、細胞抽出物中に存在するユビキチンと競合し、p27ユビキチン鎖を終結させる。そのような鎖は、高分子スメアではなく、不連続なバンドとして見える。これらのより短いポリユビキチン鎖はプロテオソームにより低い親和性を有し、それゆえ、より安定である。β-メルカプトエタノールを含むLaemmliサンプルバッファーで反応を終結させ、該産物を変性条件下のタンパク質ゲル上で解析できる。
【0264】
オートラジオグラフィーにより、ポリユビキチン化p27形態を同定する。p27分解アッセイを、以下の:(i)メチル化ユビキチン及びユビキチンアルデヒドを省いた;(ii)HeLa細胞の濃度は約7μg/μlである;(iii)窒素ボム破壊法よりもよくプロテオソーム活性を保存する低張性溶解(Paganoらの論文, 1995, Science 269:682)で抽出物を調製する;こと以外は、同様の様式で実施する。メチルユビキチン不在下で、p27ユビキチン化活性の代わりにp27分解活性を測定できる。
該サンプルをp27に対する抗体で免疫沈降した後、抗ユビキチン抗体で免疫沈降し、8% SDSゲル上で泳動する。本アッセイで測定したような高分子種はユビキチンされている。コントロールとして、13個全てのリジンを欠失しているp27変異体を使用した。p27のこの型の変異体はユビキチン化されておらず、8% SDSゲル上でより高い分子量に泳動される。
【0265】
(8.2.2 p27-Skp2相互作用アッセイ、及びp27-Skp2免疫除去アッセイ)
Skp1/キュリン複合体に対する酵母FBP及びヒトFBPによる特異基質の動員は、リン酸化依存的である。したがって、IκBα及びβ-カテニン由来のペプチドは、特異的かつリン酸化依存的様式で、FBP1に結合する(Yaronの論文, 1998, Nature 396:590;Winstonらの論文, 1999, Genes Dev. 13:270)。187位にリン酸化スレオニンを有するp27リン酸化ペプチドを、上記の第6節に記載しているように、ベイトとしてSkp1を使用するツーハイブリッドスクリーニングを使用することによって単離したSkp2 、並びにFBP1、FBP2、FBP3a、FBP4、FBP5、FBP6、及びFBP7を含む、ヒトFBPに結合する能力に関してアッセイした。これらのFBPのうちの4つは、FBP1及びFBP2におけるWD-40ドメイン、並びにSkp2及びFBP3aにおけるロイシンリッチリピートなどの、潜在的な基質相互作用ドメインを含む。リン酸化p27ペプチドをセファロースビーズ上に固定化し、インビトロ翻訳したこれら7つのFBPと共にインキュベートした(図40A)。1つのFBP、Skp2のみが、リン酸化T187 p27ペプチドに結合することができた。その後、(リン酸化形態、又は非リン酸化形態のいずれかで)p27ペプチドに連結させたビーズ、又はビーズと連結のないリン酸化ペプチドを共に、HeLa細胞抽出物をインキュベートした。該ビーズに安定的に会合したタンパク質を免疫ブロッティングで調べた。リン酸化p27ペプチドには結合するが、コントロールペプチドには結合しないタンパク質として、Skp2、並びにその会合タンパク質であるSkp1及びCul1を容易に検出した(図40B)。
【0266】
Skp2へのp27の会合をさらに調査するために、p27がサイクリンE/Cdk2によってT187でリン酸化される条件下で、インビトロ翻訳したp27を、Skp1/Skp2複合体、サイクリンE/Cdk2複合体、又は両複合体の組み合わせのいずれかと共にインキュベートした(Montagnoliの論文, 1999, Genes Dev. 13:1181)。その後、サンプルを抗Skp2抗体を用いて免疫沈降した。サイクリンE/Cdk2複合体の存在下でのみ、p27はSkp2と共免疫沈降した(図40C)。特に、同条件下において、T187からアラニンへのp27変異体であるp27(T187A)は、抗Skp2抗体で共免疫沈降しなかった。最後に、発明者らは、インビボでのSkp2とp27との会合を試験した。HeLa細胞及びIMR90ヒト二倍体線維芽細胞由来の抽出物を、Skp2に対する2つの異なる抗体を用いた免疫沈降に供した後、免疫ブロットした。p27及びCul1はSkp2免疫沈降物に特異的に検出されたが、サイクリンD1及びサイクリンB1は検出されなかった(図41)。重要なことに、p27のリン酸化T187部位特異抗体を使用して、発明者らは、Skp2結合p27はT187でリン酸化されていることを実証した(図41、レーン2、下側のパネル)。さらに、抗ペプチドp27抗体は、Skp2を特異的に共免疫沈降させた。これらの結果は、p27とSkp2との安定的相互作用が高度に特異的であり、かつT187におけるp27のリン酸化に依存していたことを示す。
【0267】
p27の細胞周期ステージに特異的なユビキチン化及び分解を正確に再現する、p27ユビキチン化用無細胞アッセイが開発されている(Montagnoliらの論文, 上記参照)。このアッセイを使用すると、p27-ユビキチン連結反応活性は、G1停止細胞由来抽出物よりも、非同調的に増殖している細胞由来の抽出物においてより高い(図42A、レーン2及び4)。先行の発見(Montagnoliらの論文, 上記参照)に従って、サイクリンE/Cdk2の添加は、両方の型の抽出物においてp27のユビキチン化を刺激した(図42A、レーン3及び5)。しかしながら、この刺激は、成長細胞由来抽出物でよりもG1停止細胞由来抽出物でかなり弱く、これはサイクリンE/Cdk2に加えて、p27-ユビキチン連結反応系のいくつかの他の構成要素がG1において律速であることを示唆している。他のSCFサブユニットとは対照的に、Skp2レベルは、非同調細胞由来抽出物よりもG1細胞由来抽出物において低く、かつp27のレベルとは逆相関しているので、この構成要素はSkp2であり得る(図42B及び46)。
【0268】
それゆえ、Skp2がp27ユビキチンリガーゼ活性の律速構成要素であるかどうかを決定するために試験を実施した。G1抽出物への組換え精製Skp1/Skp2複合体単独の添加は、p27ユビキチン化をそれほど刺激しなかった(図42A、レーン6)。対照的に、Skp1/Skp2複合体及びサイクリンE/Cdk2複合体の複合添加は、G1抽出物でのp27ユビキチン化を強く刺激した(図42A、レーン7)。同様に、Skp1/Skp2及びサイクリンE/Cdk2の複合添加は、分解アッセイによって測定されたよりも強力にp27タンパク質分解を刺激した(図42A、レーン13〜16)。
【0269】
これらの実験に使用したSkp1/Skp2複合体は、バキュロウイルスHisタグ化Skp1とSkp2とを共発現している昆虫細胞から単離される(及び、ニッケル-アガロースクロマトグラフィーで共精製される)ので、昆虫由来F-ボックスタンパク質His-Skp1はHis-Skp1を共精製し、G1抽出物中のp27ユビキチン化の刺激の原因となるができる。この可能性は、Skp2不在下の昆虫細胞で発現させ、同じ手順で精製したHisタグ化Skp1の同等量の添加が、サイクリンE/Cdk2の存在下におけるp27ユビキチン化を刺激しなかった(図42A、レーン8)ことを証明することによって排除された。さらに、発明者らは、FBP1又はFBP3aのいずれもG1抽出物におけるp27ユビキチン連結反応の刺激に関してSkp2と置き換えることはできないことを発見した(図42A、レーン9〜12)。Skp1/Skp2及びサイクリンE/Cdk2の複合添加によるG1抽出物でのp27ユビキチン化の刺激は、野生型p27でのみ観測されてp27(T187A)変異体では見出され得ず(レーン17〜20)、これはT187におけるp27のリン酸化が、p27のSkp2介在性ユビキチン化に必要であることを示す。これらの発見は、サイクリンE/Cdk2複合体及びSkp1/Skp2複合体の両方が、G1期におけるp27のユビキチン化及び分解の律速であることを示した。
【0270】
p27ユビキチン連結反応に関するSkp2の必要条件をさらに調査するため、Skp2に対する抗体を用いた免疫除去により、非同調的成長細胞の抽出物からSkp2を特異的に取り除いた。該免疫除去手順は、これらの抽出物からSkp2の大部分を効率的に取り除き、p27ユビキチン連結反応活性(図43A、レーン4)並びにp27分解活性の劇的な減少をもたらした。以下の所見に示されるように、この効果は具体的である:(i)免疫前血清を用いた同様の処理は、p27ユビキチン化を阻害しなかった(図43A、レーン3);(ii)組換えGST-Skp2を伴う抗Skp2抗体のプレインキュベーション(レーン5)は、抽出物からのp27ユビキチン化活性の免疫除去を妨げたが、コントロールタンパク質を伴った場合では妨げなかった(レーン4);(iii)His-Skp1/Skp2複合体の添加によって、Skp2除去抽出物におけるp27ユビキチン化活性を回復させることができた(図43B、レーン3)が、His-Skp1(レーン2)、His-Skp1/Cul1複合体(レーン4)、又はHis-Skp1/FBP1の添加では回復させることはできなかった。
【0271】
それから発明者らは、HeLa抽出物からSkp2を免疫沈降させ、この免疫沈降物がp27ユビキチン化活性を有するかどうかを試験した。抗Skp2ビーズは、サイクリンE/Cdk2存在下でp27のユビキチン化を誘導できたが、免疫前(PI)血清を用いて得た免疫沈降物では誘導できなかった(図43C、レーン2及び3)。精製組換えE1ユビキチン活性化酵素、及び精製組換えUbc3の添加は、p27ユビキチン化を維持させるSkp2免疫沈降物の能力をほとんど減少させず(図43C、レーン5)、これはp27のインビトロ翻訳に使用したウサギ網状赤血球溶解物における両タンパク質の存在に起因する可能性がある。
【0272】
(8.2.3 インビボにおいてF-BOX欠失SKP2変異体はP27を安定化させる)
またSkp2は、インビボで、ユビキチン化介在性分解に関してp27を標的化する。F-ボックス欠失FBP1変異体である(ΔF)FBP1は、インビボにおいて、F-ボックスなしではSkp1/Cul1複合体に結合できないが該基質を結合する能力を保持する可能性が最も高いことから、最も有力なドミナントネガティブ変異体として作用する。それゆえ、いったん細胞で発現させると、(ΔF)Fbは、β-カテニン及びIκBαを隔絶し、かつそれらの安定化をもたらす。F-ボックス欠失Skp2変異体である(ΔF)Skp2を構築した。p27をマウス細胞において単独で、又は(ΔF)Skp2若しくは(ΔF)FBP1との組み合わせのいずれかで発現させた(図44を参照されたい)。(ΔF)Skp2の存在は、より大量のp27の蓄積をもたらした。この蓄積がp27の安定性増大に起因するかどうかを測定するために、パルスチェイス解析を使用して、p27の半減期を測定した(詳細に関しては、上記第8節を参照されたい)。実際に、(ΔF)Skp2は、1時間未満から〜3時間、p27の半減期を延長させた。これらの実験における形質移入効率は約10%であったので、(ΔF)Skp2は共発現したヒト外因性p27の安定性のみに影響を与え、マウス内因性p27には影響しなかった。
【0273】
(8.2.4 Skp2アンチセンス実験)
Skp2レベルの減少が内因性p27の存在量に影響し得るかどうかを測定するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドでSkp2 mRNAを標的化した。2つの異なるアンチセンスオリゴはSkp2タンパク質レベルの減少を誘導したが、コントロールオリゴデオキシヌクレオチドは誘導しなかった(図45)。Skp2減少に伴い、内因性p27タンパク質レベルの実質的増加があった。同様な結果が、ヒドロキシ尿素処理又はアフィジコリン処理を用いてG1/S移行で停止させた細胞で得られた(レーン9〜16)。それゆえ、p27に対するSKP2アンチセンスオリゴの効果は、Skp2レベルの減少に起因して生じ得るG1での停止の二次的な結果ではない。
【0274】
アンチセンス実験を、Yuの論文, 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95: 11324に記載されているように実施した。手短に述べると、ホスホロチオエート骨格、及びC-5プロピンピリミジンを含む4つのオリゴデオキシヌクレオチドを合成した(Yale大学のKeck生命工学資源研究所):(1) 5'-CCTGGGGGATGTTCTCA-3' (配列番号:86) (ヒトSkp2 cDNAヌクレオチド180〜196のアンチセンス方向);(2) 5'-GGCTTCCGGGCATTTAG-3' (配列番号:87) [(1)の入れ換えコントロール];(3) 5'-CATCTGGCACGATTCCA-3' (配列番号:88) (Skp2 cDNAヌクレオチド1137〜1153のアンチセンス方向);(4) 5'-CCGCTCATCGTATGACA-3' (89) [(3)の入れ換えコントロール]。Cytofectin GS(Glen Research社)を使用して製造業者の説明書に従って、該オリゴヌクレオチドをHeLa細胞中に送達した。それから形質移入後16〜18時間、該細胞を培養した。
【0275】
(9. 実施例:FBP Skp2-p27相互作用の介在因子としてのCks1の同定方法)
実施例9において述べるように、p27は、S期への移行に関してリン酸化依存的様式でSkp2によって認識され、かつSkp2は、リン酸化p27をユビキチン化及び分解する機構の律構成要素である。本実施例は、インビトロ及び精製系において、Cks1とSkp2との相互作用、及びCks1とp27との相互作用を同定するために使用した新規アッセイを開示する。はじめに、HeLa細胞抽出物を分画し、p27の連結反応を促進させる画分の活性を試験する。第2に、p27-ユビキチン連結反応に必要な因子としてCks1の同定を、組換えCks1を使用して確認する。第3に、p27がリン酸化された後、p27-ユビキチン連結反応へのCks1の関与を同定する。第4に、Cks1は、p27へのSkp2の結合を増加させる。第5に、Cks1はSkp2に結合する。第6に、Cks1はp27のC末端に結合する。
【0276】
本明細書に記載するアッセイを使用して、細胞増殖を阻害させる化合物を試験することができる。該アッセイは、第6.5節に記載の分子、化合物、ペプチド、又は他の作用物質の存在下又は不在下で実施可能である。該相互作用又はユビキチン化活性を増幅若しくは阻害する作用物質を、同定された最終産物の形成を増加又は減少させることによって同定できる。そのような作用物質を使用して、例えば、インビボで、Skp2制御性p27ユビキチン化及び分解を阻害することができる。これらのアッセイによって同定された分子は、ガン及び増殖障害に対する治療薬として潜在的に有用である。
【0277】
ドミナントネガティブ変異体、及びCks1に代わってドミナントネガティブ変異体を標的化するオリゴであるアンチセンスmRNAはp27ユビキチン化及び分解に干渉し、ガンに対する遺伝子治療に使用できる。本明細書に記載のアッセイを使用して、新規FBPタンパク質のさらなる新規基質、並びに新規ユビキチンリガーゼ複合体-基質相互作用及び活性のさらなる調節因子を同定することができる。
【0278】
(9.1 FBP Skp2/p27相互作用の介在因子としてのCKS1を同定するための材料及び方法)
(タンパク質)
His6タグ化p27及びCdc34を大腸菌内で発現させ、ニッケル-アガロースクロマトグラフィーで精製した。Cks2及びp13Suc1を細菌内で発現させ、ゲル濾過クロマトグラフィーで精製した。His6-Skp1/Skp2、His6-Skp1/β-TrCP、His6-サイクリンE/Cdk2、及びHis6-Cul1/ROC1を、該対応タンパク質をコードするバキュロウイルスを用いた5B昆虫細胞の共感染により作成し、先行の記載の通りニッケル-アガロースクロマトグラフィーで精製した(Montagnoliらの論文, 1999, Genes & Dev. 13:1501;Carranoらの論文, 1999, Nat. Cell Biol. 1:193)。これらの調製物中の組換えタンパク質の概算濃度は:Skp1、5pmole/μl;Skp2、0.5pmole/μl;Cul1、4pmole/μl;ROC1、1pmole/μl;サイクリンE、8pmole/μl;Cdk2、1.5pmole/μl;であった。精製組換えヒトNedd8は、C. Pickartの寛大なる贈り物であり、精製組換えヒトCks1はS. Reedの寛大なる贈り物であった。精製GST-IκBα(1〜154)及びその構成的活性キナーゼIKKβS177E,S181Eは、Z.Q.Panから寛大にも提供された。TnT Quick kit(Promega社)及び35S -メチオニン(Amersham社)を使用するインビトロ転写-翻訳で、35S標識p27タンパク質、35S標識Skp2タンパク質、及び35S標識Cksタンパク質を調製した。
【0279】
(Nedd8連結酵素の精製)
精製組換えヒトNedd8は、C. Pickartの寛大なる贈り物であった。非分画網状赤血球溶解物をGST-Nedd8-セファロース(5mg/ml)のカラムに適用したこと以外は、E2の精製に使用した手順(Hershkoらの論文, 1983, J. Biol. Chem. 258:8206)と同様の「共有結合的親和性」クロマトグラフィー手順で、Nedd8連結酵素の混合物(E1様APP-BP1-Uba3ヘテロ二量体、並びにE2様Ubc12: Osakaらの論文, 1998, Genes Dev. 12:2263;Gong, L., Yeh, E.T.の論文, 1999, J. Biol. Chem. 274:12036)を、ウサギ網状赤血球の溶解物から共精製した。1M KClで洗浄した後、チオールエステル結合で固定化Nedd8に結合した全てのタンパク質を、20mM DTT含有溶液で共溶出した。該DTT溶出液を、限外濾過により網状赤血球溶解物の当初体積の約1/10まで濃縮した。該調製液はCul1に対するNedd8の連結反応に強い活性を有していたが、Cul1からNedd8を除去する加水分解酵素活性は検出されなかった。
【0280】
(p27ユビキチン連結反応に必要な因子の精製)
該緩衝液も10μg/ml キモスタチン及び5μg/ml アプロチニンを含んでいたこと以外は、Montagnoliらの論文, 1999, Genes & Dev. 13:1181に記載のように、50gのHeLa S3細胞由来の凍結ペレット(国立細胞培養センター(National Cell Culture Center))を、窒素細胞破壊ボム(Parr社, Moline, IL)で破壊した。該抽出物を15,000×gで20分間遠心分離し、該上清を再度100,000×gで60分間遠心分離した。2,500mgのタンパク質を250mlの樹脂に使用したこと以外は、Hershkoらの論文, 1983, J. Biol. Chem. 258:8206に記載されているように、該上清をDEAE-セルロースでの分画に供した。該樹脂に吸着しなかった画分(画分1)を回収し、遠心限外濾過で約10mg/mlにまで濃縮した。画分1(100mgのタンパク質)を90℃で10分間の熱処理に供した。該サンプルを30分間氷上に置いておき、その後、該沈降物を遠心分離(10,000×g、15分)で除去した。約99%のタンパク質を熱処理で除去した。該上清を限外濾過で濃縮した後、50mM Tris-HCl、1mM DTT及び0.1% (w/v) Brij-35 (Boehringer社)で平衡化したMonoS HR 5/5カラム(Pharmacia社)に供した。15mlの上記緩衝液で該カラムを洗浄した後、0〜200mM NaClの勾配で溶出した。カラム画分における活性の次は、精製SCFSkp2構成要素存在下でのp27ユビキチン連結反応アッセイであった(以下を参照されたい)。活性のピーク画分は、30〜40mM NaClあたりに溶出された。該因子活性含有ピーク画分を溜めて遠心限外濾過で濃縮し、20mM Tris-HCl (pH 7.2)、150mM NaCl、1mM DTT及び0.1% Brij-35で平衡化したSuperdex-75 HR 10/30カラム(Pharmacia社)でのゲル濾過クロマトグラフィーの最終段階に供した。0.5mlのサンプルを0.4ml/分の流速で回収した。カラム画分を遠心限外濾過(Centricon-10, Amicon社)で50μlの体積に濃縮した。カラム画分の0.004μlのサンプルを、p27-ユビキチン連結反応を刺激する活性に関してアッセイした。結果をホスホロイメージャー(phosphorimager)解析で定量し、ユビキチン抱合体へと変換された35S-p27の百分率で表現した。一番上の矢印は、分子質量マーカータンパク質の溶出位置(kDa)を示す。
【0281】
(質量分析的配列決定)
精製の最終段階からの10-kDaタンパク質を切り出し、Shevchenkoらの論文, 1996, Anal. Chem. 68:850に記載されているようにゲル内消化した。質量分析的解析を、Sciex QSTAR質量分析計 (MDS-Sciex社, Concord, ON, Canada)で実施した。質量2163.5のトリプシンペプチドを、二重荷電種及び三重荷電種からフラグメント化し、ヒトCks1の残基5〜20に完全一致を得た。
【0282】
(p27-ユビキチン連結反応のアッセイ)
特に明記しない限り、反応混合物は10μlの体積中:40mM Tris-HCl (pH 7.6)、5mM MgCl2、1mM DTT、10%(v/v)グリセロール、10mM ホスホクレアチン、100μg/ml クレアチンホスホキナーゼ、0.5mM ATP、1mg/ml ダイズトリプシン阻害因子、1μM ユビキチンアルデヒド、1mg/ml メチル化ユビキチン、1pmol E1、50pmol Cdc34、0.25μl Skp2/Skp1、0.25μl Cul1/ROC1、0.1μl サイクリンE/Cdk2、0.5μlの35S-p27、並びに既定の添加物;を含んでいた。30℃で60分間のインキュベーションの後、サンプルをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びオートラジオグラフィーに供した。バキュロウイルスで発現させて精製したSkp1/β-TrCPを使用した(5pmol Skp1、〜1pmol β-TrCP)こと以外は、Chenらの論文, 2000, J.Biol. Chem. 275:15432に記載されているように、ユビキチンへのIκBαの連結反応をアッセイした。
【0283】
32P標識精製p27の調製、及び該調製物のユビキチン化のアッセイ)
10μlの体積中に:50mM Tris-HCl (pH 7.6)、5mM MgCl2、1mM DTT、10% グリセロール、1mg/ml ダイズトリプシンインヒビター、1μM オカダ酸、及び100μM [32P -γ-] ATP (〜50μCi);を含む反応混合物中に、精製p27(0.18μg)をCdk2/サイクリンEと共にインキュベートした(30℃で60分)。この調製物は、「32P -p27」と呼ばれる。p27からMeUbへの連結反応を、下記の変更:35S-p27を32P-p27で置換したこと; 非標識ATPの濃度を2mMまで増加したこと(35S-p27の調製物中に存在する標識ATPのより完全な同位体希釈のため);及びオカダ酸(1μM)を添加したこと;を伴う先に記載したようなアッセイで実施した。
【0284】
(Skp2/Skp1へのp27の結合アッセイ)
該反応混合物は、10μlの体積中に:40mM Tris-HCl (pH 7.6)、2mg/ml ウシ血清アルブミン、1μl 35S-p27、1μl Cdk2/サイクリンE、1μl Skp2/Skpl、並びにp27-ユビキチン連結反応アッセイ用に先に記載したのと同様の濃度のMgCl2、ATP、DTT、ホスホクレアチン、及びクレチンホスホキナーゼ;を含んでいた。30℃で30分のインキュベーション後、ピメルイミド酸ジメチルで全長Skp2に対するポリクローナルウサギ抗体(Carranoらの論文, 1999, Nat. Cell Biol. 1:193)を共有結合的に連結させた6μlのAffi-prep-ProteinAビーズ(BioRad社)((Harlow及びLaneの文献, 1998, 『抗体 研究室マニュアル(Antibodies. A Laboratory Manual)』中 (Harlow及びLane編), Cold Spring Harb. LabPress, Cold Spring Harbor, NY)を添加した。該サンプルを抗Skp2-ProteinAビーズと共に4℃で2時間回転させ、その後該ビーズを、1-ml部のRIPA緩衝液で4回洗浄した。(Harlow及びLaneの文献, 1998, 上記参照)SDS電気泳動サンプル緩衝液で溶出した後、該サンプルを、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びオートラジオグラフィーに供した。
【0285】
(9.2 結果)
(9.2.1 画分1由来の因子はタンパク質である)
画分1の活性は、90℃での加熱で破壊されなかった。しかしながら、トリプシンを含む熱処理画分1のインキュベーションは該活性を完全に破壊した(図47、レーン2)という所見によって示されるように、該活性因子はタンパク質である。0.6mg/mlのTPCK処理トリプシン(Sigma社 T8642)不在下(レーン1)又は存在下(レーン2)のいずれかで、熱処理画分1(〜0.1mg/ml)を50mM Tris-HCl (pH 8.0)と共に37℃で60分間インキュベートした。トリプシン作用を、2mg/mlのダイズトリプシンインヒビター (STI)の添加により終結させた。レーン3において、トリプシンを用いる同様なインキュベーション前に5分間、STIを添加した。その後、〜50ngの熱処理画分1に対応するサンプルを、p27-ユビキチン化連結反応の刺激に関してアッセイした。トリプシンを含む画分1のインキュベーションを、過剰のダイズトリプシンインヒビター(STI)の添加によって終結させて、該系の他の構成要素へのタンパク質分解ダメージを防ぎ、STIはトリプシン処理後に添加した。トリプシンを用いたインキュベーション前に、加熱した画分1にSTIを添加したコントロール実験で示されているように、STIは実に効率的にトリプシン作用を妨げる(図47、レーン3)。このインキュベーションにおいて、p27-ユビキチン連結反応に有意な減少はない。
【0286】
(9.2.2 画分1由来の因子はNEDD8ではない)
Podustらの論文(Podustらの論文, 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 97:4579)は、ユビキチンへのp27の連結反応には画分1が必要であることを報告し、かつNedd8は画分1の活性構成要素であることを示唆している。Nedd8(酵母においてはRub-1と命名されている)は、Cul1を含む様々なキュリンに連結されている、高度に保存されたユビキチン様タンパク質である(Yehらの論文, 2000, Gene 248:1)。Cul1へのNedd8の連結反応は、絶対に必要ではないが、IκBαへのユビキチン連結反応におけるSCFβ-TrCP複合体の活性を刺激することが示されている(Furukawaらの論文, 2000, Mol. Cell Biol. 20:8 185;Readらの論文, 2000, Mol. Cell Biol. 20:2326;Wuらの論文, 2000, J Biol. Chem. 275:32317)。網状赤血球溶解物におけるインビトロ翻訳で35S-標識p27を産生でき、かつ網状赤血球溶解物はキュリンへのNedd8の連結反応に必要な酵素を含む(Osakaらの論文, 1998, Genes Dev. 12:2549)ので、これらの条件下でNedd8をCul1に連結させることは可能である。しかしながら、組換え精製Nedd8は、p27-ユビキチン連結反応を促して画分1由来の因子を置き換えない(図48A)。表示の図において、〜50ngの熱処理画分1、又は100ngの精製組換えヒトNedd8を、p27-MeUb連結反応アッセイに添加した。
【0287】
この問題をさらに調べるために、Nedd8をCul1に連結させる酵素を、GST-Nedd8-セファロースでのアフィニティークロマトグラフィーで精製した。Nedd8を有するCul1と該精製連結酵素とのインキュベーションは、約半分のCul1分子を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動でより遅く移動するNedd8連結型形態へと変換する(図48B)。Cul1へのNedd8の連結反応。p27-ユビキチン連結反応アッセイで記載したのと同程度の濃度の:トリス (pH 7.6)、MgCl2、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンホスホキナーゼ、DTT、グリセロール、及びSTI;を含む反応混合物100μl中で、Cul1/ROC1(3μl)を、Nedd8(10μg)及び精製Nedd8連結酵素(20μl)と共にインキュベートする。Nedd8連結酵素がないこと以外は同様の条件下で、Cul1/ROC1のコントロール調製物をインキュベートする。30℃で2時間のインキュベーション後、コントロールサンプル、又はNedd8修飾調製物を8%ポリアクリルアミド-SDSゲルで分離し、抗Cul1抗体(Zymed社)を用いて免疫ブロットする。Nedd8に対して指示された特異抗体を用いた免疫ブロッティングで検証されたように、前記より遅い泳動形態は実際にNedd8を含む。
【0288】
p27ユビキチン化反応におけるNedd8連結型Cul1及び非修飾型Cul1の調製物の活性を、熱処理画分1の存在下又は不在下で測定する。網状赤血球溶解物もNedd8とCul1との間のアミド結合を迅速に切断する酵素(群)を含むので、細菌で発現させた精製p27(20ng)は、網状赤血球溶解物で翻訳した35S-標識p27よりもむしろ基質として使用した。MeUbへのp27の連結反応は30℃で60分間起こり、その後12.5%ポリアクリルアミド-SDSゲル上で分離してニトロセルロースへ転写し、p27に対して指示されたモノクローナル抗体(Transduction laboratories社)で免疫ブロッティングする。この精製系を使用し、かつ熱処理画分1の存在下において、p27のモノユビキチン化形態誘導体、及びより少ないp27のジユビキチン化誘導体の有意な形成が、非修飾型Cul1によって促進されている(図48C)。インビトロ翻訳した35S-p27を用いて観測した4〜5の連結体とは対照的に、該精製系を用いると、ジユビキチン化形態よりも大きいMeUbを有する連結体は観測されない(図47との比較)。Nedd8に連結されたCul1を用いると、ジユビキチン誘導体の形成の特異的増加を伴う、p27のユビキチン化において適度な刺激が観測される(図48、レーン3)。Cul1の様々な調製物において、Nedd8連結反応は、p27-ユビキチン連結反応の全体速度を1.5〜3倍向上させる。
【0289】
非修飾型Cul1を用いて観測されたp27-ユビキチン連結反応の基礎活性は、バキュロウイルス発現Cul1を精製した昆虫細胞中のNedd8によるその有意な修飾が原因ではない。なぜなら同様の活性は、特異的Nedd8連結反応部位のLys720をArgに変更したCul1変異体(Yehらの論文, 2000, Gene 248:1)を用いても観測されたからである。また、他の研究者も、IκBαのユビキチン化において、同様の変異によってNedd8修飾の除去は有意に減少したが、SFCβ-TrCPの活性を消失させなかったことを観測している(Furukawaらの論文, 2000, Mol. Cell Biol. 20:8 185;Readらの論文, 2000, Mol. Cell Biol. 20:2326;Wuらの論文, 2000, J. Biol. Chem. 275:32317)。重要なことに、Nedd8修飾型Cul1の存在下においてさえ、画分1の追加は依然としてp27-MeUb連結反応に必要である(図48、レーン5及び6)。同様の結果はMeUbを天然型ユビキチンで置き換えた場合に得られたが、後者の場合においてはp27の高分子量ポリユビキチン誘導体が形成されたことが異なる。それゆえ、該データは、画分1の活性構成要素がNedd8であるというPodustらの論文 (Podustらの論文, 2000, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 97:4579)の結論を立証しない。
【0290】
(9.2.3 因子の精製、及びCks1としての該因子の同定)
画分1由来の因子を精製する。図49Aは、ゲル濾過カラムでの精製の最終段階を表す。MonoS段階からの活性物質のピークを、20mM Tris-HCl (pH 7.2)、150mM NaCl、1mM DTT及び0.1% Brij-35で平衡化したSuperdex 75 HR 10/30カラム(Pharmacia社)に適用した。0.5mlのサンプルを、流速0.4ml/分で回収した。遠心限外濾過(Centricon-10、Amicon社)により、50μlの体積にまでカラム画分を濃縮した。カラム画分の0.004μlのサンプルを、p27-ユビキチン連結反応を刺激する活性に関してアッセイした。ホスホロイメージャー解析で結果を定量し、ユビキチン連結体に変換された35S-p27の百分率として表現した。一番上の矢印は、分子質量マーカータンパク質の溶出位置(kDa)を示す。活性は、約10kDaの見かけ分子量における鋭いピークとして溶出した。16%ポリアクリルアミド-SDSゲル上でのSuperdex 75 カラムの表示画分からの2.5μlのサンプルの電気泳動、及びカラム画分の銀染色は、約10kDaの単一タンパク質を示す(図49B)。右側の数字は、分子量マーカータンパク質の移動位置(kDa)を示す。〜10kDaタンパク質ピークの溶出は、画分27〜28における活性ピークの溶出に一致した。しかしながら、活性が顕著に減少している画分30〜31において、同程度のサイズのタンパク質が溶出され続けている。該タンパク質(群)を同定するために、画分28(活性のピーク)、及び活性ピークの次にある画分31からのサンプルを、トリプシンペプチドの質量分析的配列決定に供する。ヒトCks1のアミノ酸残基5〜20に対応する配列QIYYSDKYDDEEFEYRのトリプシンペプチドを、両画分の〜10kDaタンパク質で検出する。これら別々の画分中のCks1タンパク質の活性における差の理由は知られていない。もしかすると、画分31中のCks1タンパク質は、ゲル濾過カラム内排除特性を変更し得る変性コンフォーマーであるかもしれない。
【0291】
(9.2.4 Cks1/Sucタンパク質の活性)
本アッセイに使用する全てのCks/Suc1タンパク質が機能的であったかどうかの調査に取り組むために、タンパク質キナーゼCdk1/サイクリンBによる、サイクロソーム/APCの複数のリン酸化を促進させるこれらのタンパク質の作用を調査した(Patra及びDunphyの論文, 1998, Genes Dev. 12:2549;Shteinberg及びHershkoの論文, 1999, Biochem. Biophys. Res. Commun. 257:12)。Yudkovskyらの論文, 2000(Yudkovskyらの論文, 2000, Biochem. Biophys. Res. Commun. 271:299)に記載されているように、S期のHeLa細胞由来のサイクロソームを部分精製し(上記参照)、500単位のSuc1不含Cdk1/サイクリンBと共にインキュベートした(Shteinberg及びHershkoの論文, 1999, 上記参照)。表示の箇所において、10ng/μlの対応Cks/Suc1タンパク質を添加した。該サンプルを、ヒトCdc27に対して指示されたモノクローナル抗体(Transduction laboratories社)を用いる免疫ブロッティングに供した。図50において示されているように、サイクロソーム/APCのサブユニットであるCdc27のCdk1触媒型過リン酸化は、3つの組換えCks/Suc1タンパク質全てによって顕著に刺激される。これは、Cdc27の非リン酸型における減少、及びSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動においてより遅く移動するいくつかの過リン酸化型への変換によって示される(図47、レーン3〜5)。全ての組換えCks/Suc1タンパク質全てによって促進されるこの大きな電気泳動的シフトは、Cdk1/サイクリンBの作用を必要とする(図50、レーン6)。使用した3つ全ての細菌発現させたCks/Suc1タンパク質は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びクマシー染色で示されるように、少なくとも95%同質である。
【0292】
(9.2.5 p27-ユビキチン連結反応に必要とされる因子がCks1であることの確認)
インビトロ翻訳(図51B、レーン3)したCks1、又は細菌発現で産生させ精製したCks1(図51B、レーン6)は、この反応の因子を効果的に置換した。この作用は、Cks1に特異的であることが見出され、かつCks/Suc1ファミリータンパク質の他のメンバーに共有されない。分裂酵母相同体Suc1に加えて、Cks1に81%同一でありかつ90%相同であるヒトCks2は、インビトロ翻訳で(図51B、レーン4)、又は細菌発現させ精製したタンパク質として(図51B、レーン7及び8)産生した場合、この反応で完全に不活性である。精製組換えCks2及びSuc1は、Cdk1によるCdc27の複数のリン酸化を促進させる能力が実証する通り、それらが機能的であるにもかかわらず、最大50倍高い濃度まで添加した場合においてさえ、p27-ユビキチン連結反応を刺激しない。それゆえ、これらを組み合わせた証拠は、p27-ユビキチン連結反応におけるCks1の作用が特異的であり、かつこのタンパク質ファミリーの他のメンバーに共有されないことを強力に示す。
【0293】
(9.2.6 Cks1はp27へのユビキチンの連結反応を促進する)
Cks1は、全ての哺乳動物SCF複合体の作用に必要ではないようである。よく特徴づけられたSCFβ-TrCPの事例において、該精製複合体は、インビトロにおいて、IκBの強固なユビキチン化を実施する(Tanらの論文, 1999, Mol. Cell 3:527)。さらに、Cks1の添加は、精製SCFβ-TrCPによるリン酸化IκBαへのユビキチンの連結反応速度に目立った影響を与えなかった。SCFSkp2複合体の作用、又はp27-ユビキチン連結反応に必要な他の工程のいずれかに、Cks1が特異的に関与しているようであった。SCFSkp2複合体が認識するためには、p27はThr-187でCdk2によりリン酸化されなければならず(Carranoらの論文, 1999, Nat. Cell Biol. 1:193;Tsvetkovらの論文, 1999, Current Biology 661)、かつCksタンパク質は、全てではないものの、いくつかのCdk/サイクリン複合体のタンパク質キナーゼ活性を刺激しうる(Reynardらの論文, 2000, Mol. Cell Biol. 20:5858)ので、Cks1がCks2によってp27のリン酸化を刺激することは可能性がありそうである。しかしながら、図52Aに示したように、p27はCks1不在下でCdk2/サイクリンEによって迅速にリン酸化され、かつCks1の添加はこの工程に有意な影響を与えない。Cks1がp27のリン酸化の次の段階で作用するという結論は、精製p27をはじめにCdk2/サイクリンE及び32[P-γ] ATPと共にインキュベーションすることによってリン酸化した場合、その後のMeUbへの連結反応は依然としてCks1を必要とする(図52B)発見により裏付けられる。それゆえ、Cks1は、Skp2へのリン酸化p27の結合を強力に刺激する。
【0294】
(9.2.7 Cks1はSkp2へのリン酸化P27の結合に影響を与える)
Cks1によって影響される段階が、Skp2へのリン酸化p27の結合であるかを評価した。Skp1不在下で、組換えSkp2は昆虫細胞内において可溶形態で多くは発現しないので、Skp2の代わりにSkp2/Skp1複合体を使用した。先に、少量ではあるが有意に35S-標識したインビトロ翻訳p27のSkp2/Skp1への結合を検出したが(Skp2に対して指示された抗体を用いた免疫沈降によって)、該結合はCdk2/サイクリンEによるThr-187でのリン酸化に依存する(Carranoらの論文, 1999, 上記参照)。同様の手順を使用して、Skp2/Skp1へのp27の結合はCks1によって著しく刺激される(図52C、レーン2及び3)。リン酸化が不可能な変異体Thr-187-Ala の結合はCks1の存在下ですら起こらなかった(図52C、レーン4及び5)ので、この作用はThr-187でのp27のリン酸化を必要とする。Cks1の作用がインビトロ翻訳p27調製物に存在する網状赤血球溶解物がない完全精製系でも起こるかどうかも知らべるために、同様の実験を、32[P-γ] ATPでリン酸化させ、細菌発現させ精製したp27で実施した。この場合において、Skp2不在下において、抗Skp2- Protein Aビーズへのリン酸化p27のいくぶんか非特異的な結合が存在する。さらに、Cks1によるSkp2/Skp1への32P-p27の特異的結合の著しい刺激が観測された(図52D)。それゆえ、Cks1はSkp2へのリン酸化p27の結合を強力に刺激する。
【0295】
図53Aに表すように、Skp2/Skp1複合体への35S-Cks1の強力な結合が観測された。同様な条件下で、35S-Cks1のSkp2/Skp1への結合は見られなかった。これらの実験においては(組換え天然型Skp2がないために)Skp2/Skp1複合体を使用するので、Skp2不在下でCks1がSkp1に結合し得るかどうかを調べる。図53Bに示す実験において、35S-Cks1を、His6-Skp1又はSkp2/His6-Skp1複合体のいずれかと共にインキュベートした後、Ni-NTA-アガロースビーズへの結合を評価する。Skp2/His6-Skp1へのCks1の結合は観測されたが、His6-Skp1へのCks1の結合は観測されなかった。それゆえ、ヒトCks1は、おそらくSkp2タンパク質を介して、Skp2/Skp1複合体に特異的に結合する。
【0296】
本明細書に記載の結果は、リン酸化ペプチド-セファロースビーズへのSkp2の結合がCks1によって大幅に増加する(しかし、p27由来ペプチドと同一であるが非リン酸化型であるペプチドを含んだコントロールビーズには結合しない)ことを実証した(図53C)。これらの調査結果は、このリン酸化ペプチドへの結合が、Cks1補助型Skp2-p27相互作用を調査する有効な手段として役割を果たし得ることを示す。同じp27由来ペプチドビーズを使用して、リン酸化p27ペプチドへの35S-Cks1の有意な結合が観測されるが、リン酸化p27ペプチドへの35S-Cks1の有意な結合は観測されない(図53D)。これらの調査結果は、Cks1がp27のリン酸化Thr187に直接的に結合することを示し、Cdk2/サイクリンEの存在が、リン酸化p27へのSkp2の結合に必須ではないことを実証する。
【0297】
(10. 実施例:細胞周期制御タンパク質(例えば、E2Fを伴うSkp2)とのFBP相互作用を同定するためのアッセイ)
以下の調査を実施し、既知のFBPであるSkp2の新規基質を同定した。
図57に示すように、E2F-1はSkp2に物理的に結合するが、p53及びサイクリンBを含むアッセイしたユビキチン経路の他の基質は結合しない。Skp2及びE2F-1(レーン1、4及び5);又はSkp2及びヘキサ-ヒスチジンp53(His-p53)(レーン2、6、7、10及び11);又はSkp2及びHis-サイクリンB(レーン3、8、9、12及び13);を共発現しているバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞抽出物を、Skp2に対する抗血清を用いる直接的免疫ブロット(レーン1〜3)と、はじめに指示抗体を用いて免疫沈降した後、Skp2に対する抗血清を用いる免疫ブロット(レーン4〜13)の両方に供した。免疫沈降に使用する抗体は以下のものである:正常精製マウス免疫グロブリン(IgG)(レーン4、6、10及び12)、精製マウスモノクローナル抗E2F-1抗体(KH-95、Santa Cruz社製)(レーン5)、精製マウスモノクローナル抗p53抗体(DO-1、Oncogene Science社)(レーン7)、精製ウサギIgG(レーン8)、精製ウサギポリクローナル抗サイクリンB抗体(レーン9)、精製マウスモノクローナル抗His抗体(クローン34660、Qiagen社)(レーン11及び13)。
【0298】
図54Bに表すように、Skp2はE2F-1に物理的に結合するが、ユビキチン経路の他の基質とは会合しない(p53及びサイクリンB)。Skp2及びE2F-1(レーン1〜3);又はSkp2及びHis-p53(レーン4〜6);又はSkp2及びHis-サイクリンB(レーン7〜9);を共発現するバキュロウイルスを感染させた昆虫細胞抽出物を、指示タンパク質に対する抗体を用いる直接的免疫ブロット(レーン1、4及び7)、又ははじめに指示抗血清を用いて免疫沈降した後、指示タンパク質に対する抗体を用いる免疫ブロットのいずれかに供した(レーン2、3、5、6、8及び9)。免疫沈降に使用する抗血清は次のものである:抗Skp2血清 (レーン2、5及び8)、及び正常ウサギ血清(NRS)(レーン3、6及び9)。
【0299】
図54Cに表すように、E2F-1はSkp2と物理的に会合するが、別のF-ボックスタンパク質(FBP1)は結合しない。Skp2及びE2F-1(レーン1、3及び4);又はFlagタグ化FBP1 及びE2F-1 (レーン2、5及び6);を共発現しているバキュロウイルスを用いて感染させた昆虫細胞抽出物を、マウスモノクローナル抗E2F-1抗体を用いる直接的免疫ブロット(レーン1及び2)、又ははじめに指示抗体を用いて免疫沈降した後、マウスモノクローナル抗E2F-1抗体を用いる免疫ブロット(レーン3〜6)のいずれかに供した。 免疫沈降に使用した抗体は次のものである:抗Skp2血清(レーン3)、NRS(レーン4)、精製ウサギポリクローナル抗Flag(レーン5)、精製ウサギIgG(レーン6)。
また、本実施例において使用する方法論を適用して:FBP1、FBP2、FBP3a、FBP3b、FBP4、FBP5、FBP6、FBP7、FBP8、FBP9、FBP10、FBP11、FBP12、FBP13、FBP14、FBP15、FBP16、FBP17、FBP18、FBP19、FBP20、FBP21、FBP22、FBP23、FBP24、FBP25、FPL10、FBL11、及びFBL12;などの本発明のEBPを含むがこれらに限定されない全てのFBPの新規基質を同定することもできる。
【0300】
(11. 実施例:F-ボックスタンパク質FBP24の特徴づけ、及びインビボにおけるその活性)
FBX9としても知られるFbp24は、細胞の成長及び増殖、特に複製老化の制御、並びに染色質構造の維持における必要性が示されている。(Zhangらの論文, 2003, Proc. Natl. Acad. Sci., 100:3251-3256)。正確な機構は知られていないが、FBX9の3つのアイソフォームのアミノ酸配列解析は、各々のアイソフォームが特徴的なF-ボックスドメイン、並びに:タンキラーゼ(tankyrase)結合ドメインモチーフ、テトラトリコペプチドリピートドメイン(「TPR」)モチーフ、HNHドメインモチーフ、及びロイシンジッパーモチーフ;を含む、いくつかのDNA相互作用指標領域を含むことを明らかにした(図55に模式的に示す;命名法はJinらの論文, 2004, Genes & Dev., 18:2573-2580に概説されている)。HNHドメインモチーフ及びロイシンジッパーモチーフは、直接的なFBX9:DNA相互作用の可能性を示し、一方でタンキラーゼ結合ドメイン及びTPRドメインは、FBX9がゲノム安定性を制御する細胞性シグナル経路に関与することを示唆する。TPRドメインは、テロメアの維持に関与する多くのTPR含有タンパク質を含む、DNA制御タンパク質の特徴である。TPRを含む唯一の分裂酵母F-ボックスタンパク質であるPof3は、短縮テロメアを呈示しているPof3を欠いた系統と共に、染色質維持に関与する。出芽酵母においてTPRを含む唯一のF-ボックスタンパク質であるFcl1も同様にゲノム安定性に必要である。ユビキチン化経路及びゲノム維持経路の両方でのFBX9の推定上の役割は、該タンパク質を増殖障害又は分化障害の治療に関して魅力的な治療標的にする。
【0301】
細胞増殖の制御におけるFBX9の役割を調査するために本実施例における研究を計画した。その結果は、いくつかのFBX9結合タンパク質は、転写制御、染色質再構築、ウイルス複製、及びアポトーシス/老化に決定的に関与することを示す。FBX9の阻害は、HeLa細胞において、UV照射、及び細胞周期停止/アポトーシスへの感受性の増加を誘導した。これらの結果は、FBX9活性の調節が、ガン又は増殖障害の治療において実施可能な戦略であることを示唆する。
【0302】
(11.1 FBP24活性の特徴づけに関する材料及び方法)
質量分析的配列決定法及び免疫蛍光法は第10.1節に記載してあり;組換えタンパク質、F-ボックス変異体の構築、抗体、一過的形質移入、免疫沈降、及び免疫ブロッティング法は第7.1節に記載してある。
【0303】
(細胞、細胞同調、及び細胞周期解析)
公表されているプロトコルに従って、T細胞を単離した(Latresらの論文, 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:2515)。HeLa細胞をATCCから入手した。6〜12時間のノコダゾール処理(40ng/ml)を用いて、HeLa細胞を前中期に同調させた後、Carranoらの論文, 1999, Nat. Cell Biol. 1:193に記載の通り、有糸分裂シェイクオフさせた。細胞周期の同調性を、先に記載のPaganoらの論文, 1992, Science 255:1144のようにフローサイトメトリー及びBrdU取込み実験でモニターした。
【0304】
(免疫蛍光)
細胞を、ポリ-L-リジン(PBS中100μg/ml;Sigma社)で被覆した(4℃で一晩)ガラス製カバーガラス上にまき、PBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSで10分間室温で固定した。中心体染色のみに関しては、細胞を10分間、-20℃の冷メタノール中で固定した。固定化細胞を、PBS/0.1% Triton X-100を用いて3分間透過処理してPBSで洗浄し、PTB緩衝液(PBS/0.1% Triton X-100/0.3% BSA)で30分間室温でブロッキングした。その後、加湿チャンバー内で1〜3時間、一次抗体を用いたインキュベーションを実施した。PBSで3回の洗浄後、テキサスレッド連結二次抗体、又はFITC連結二次抗体(Vector Laboratories社、1:50希釈)を用いて、該カバーガラスを30分間インキュベートした。全ての抗体反応は室温で実施し、希釈液はPTB緩衝液で作成した。DAPI(Vysis社 カタログ番号32-804831)を含むCrystal/包埋媒剤にサンプルを包埋し、全ての核を同定した。蛍光顕微鏡を使用して、中心体/細胞の数、及び有糸分裂像の数を定量した。各サンプルについて少なくとも300個の細胞を数え、各実験を少なくとも4回実施した。
【0305】
(低分子干渉RNAによるサイレンシング)
対数的に増殖しているHeLa細胞を105細胞/6cmディッシュの密度でまき、Elbashirらの論文, 2001, Nature 411:494に記載のようにオリゴフェクトアミン(Invitrogen社)を使用して、オリゴを用いて2回(再播種後24時間目及び48時間目)形質移入させた。最後の形質移入後48時間目に溶解物を調製し、SDS-PAGE及び免疫ブロッティングで解析した。
【0306】
(細胞周期解析)
10μg/ml DNase不含RNase (Boehringer Mannheim社) の存在下、50μg/ml ヨウ化プロピジウム(Sigma社)を用いて細胞DNAを染色した後にフローサイトメトリー(FACSCAN, Becton Dickinson社);及び、BrdU取込み;によって、細胞周期の期をモニターした。
【0307】
(UV光照射)
Toschi及びBravoの論文, 1988, J. Cell Biol., 107:1623に記載の通り、UV照射を実施した。UV照射に曝露させるための細胞を、ガラス製カバーガラス上で単層として増殖させた。該単層を増殖培地から取り出し、PBSでリンスした。その後、UVC 515 Ultraviolet Multilinker (245 nm, Ultra Lum社)中において、該培養物をUV光に曝露した。UV線量を、UV強度メータを用いて測定した。
【0308】
(Flagタグ化タンパク質の精製)
Flagタグ化タンパク質をコードする発現ベクターを含む細胞を単層として、150mmペトリディッシュ中で生育させた。それぞれのディッシュをPBSでリンスし、該培養物を、追加的なプロテアーゼ阻害剤を含む、10mlの全細胞溶解緩衝液で溶解した。細胞溶解、及び抽出物の調製は、製造業者の説明書に従った。細胞抽出物1mlあたり20μgの抗FLAG M2モノクローナル抗体(Sigma社)を添加し、4℃で2時間インキュベートした。ProteinG plus-Agaroseビーズ(Oncogene社)を製造業者の説明書に従って調製し、20μlビーズ/ml抽出物の濃度で、抗FLAG抗体/細胞抽出物混合物に添加した。該ビーズを製造業者の指示に従って作成した。2μg Flag-ペプチド/20μlビーズと共に4℃で一晩インキュベーションすることによって、該ビーズからタンパク質を溶出した。溶出反応からの上清を回収し、ゲル濾過クロマトグラフィーに供した。
【0309】
(11.2 結果)
(11.2.1 FBP24/FBX9の阻害はHELA細胞でアポトーシスを誘導する)
T98G細胞又はHeLa細胞におけるFBX9の欠乏は、siRNAサイレンシングをで行った(図56)。いずれかの細胞株において、オリゴ1、2又は3(レーン4、5、6、8、又はレーン12、13、14、15)は、ウエスタンブロットで検出されたように、Flag-FBX9の発現の減少をもたらした。オリゴ2は、Flag-FBX9翻訳の最も強力な抑制をもたらすようであり(レーン5及び13)、抑制はオリゴ2及び3を組み合わせた場合に向上しなかった(レーン8及び15)。これらのサイレンシングオリゴの使用は、Skp1の発現に影響を与えなかった。FBX9が減少した細胞は、UV照射に対する過敏性(図57C及び57D)を示したことに加えて、G2/Mでの細胞周期停止及びそれに続くアポトーシスを示した(図57A及び57B)。該結果の1つの説明は、FBX9活性の阻害は、DNA損傷チェックポイントのシグナル伝達カスケードを決定的に変更する、ということである。
【0310】
非形質転換細胞において、そのようなチェックポイントはコントロールとしての役割を果たし、細胞周期を通じて協調的な進行を確実にする。コントロールシグナルの崩壊は、制御遺伝子の不適切な発現、アヌエプロイド(anueploid)娘細胞、又は有害な形質転換をもたらす、DNA合成及び有糸分裂などに非協調的な細胞事象をもたらす可能性がある。多くのガンを抑えるための取組みは、形質転換細胞において欠損していることが既知のチェックポイントの復元を指示するが、高度に形質転換したHeLa株におけるFBX9阻害の結果は、有効な毒性戦略が、それよりむしろ残りのコントロール経路の破壊であり得ることを示唆する。或いは、FBX9活性の修飾は組み合わせ治療において有益であり得る。DNAチェックポイントの破壊は、治療効果を増やし、かつ許容可能なレベルへと治療用量を減少させながら、細胞を標準的な抗増殖治療薬に感作させることが可能である。
【0311】
(11.2.2 FBX9は、Skp1及びCul-1と共に機能的なE3ユビキチンリガーゼを形成する)
FBX9の細胞性機能への洞察を得るため、焦点を絞ったプロテオームを利用する戦略を使用して、FBX9結合タンパク質、又はFBX9会合タンパク質を同定した。このアプローチは、FBX9の直接的な標的基質、及びFBX9の制御タンパク質の両方を同定し得る。この目的を達成するために、293T細胞をflagタグ化FBX9をコードする発現ベクターで一過的に形質移入させた。FBX9活性を検証するために、タンパク質回収6時間前に、プロテオソーム阻害剤PS341で形質移入細胞を処理した。全細胞抽出物(WCE)を調製し、ウエスタンブロット解析に供した;プロテオソーム阻害剤を用いた細胞の処理はFBX9発現のレベルに影響していなかった(図58)。その後、抗Flag抗体(Sigma社)を使用して、FBX9複合体をWCEから免疫沈降した。免疫沈降物を0.5M尿素を含む緩衝液で洗浄し、非特異的な結合タンパク質を除去した。過剰のFlagペプチドを含む免疫沈降物からFBX9を含む複合体を取り出し、ゲル濾過クロマトグラフィーで分画した(図59)。分子量〜400kDに対応する画分を、質量分析的配列決定解析用に濃縮した。Cul1及び伸長因子2(「eEF2」)を含む、いくつかの推定上のFBX9結合タンパク質又はFBX9会合タンパク質を同定した。パートナーと思われる他のものは、SWI/SNF関連、マトリクス関連、染色質のアクチン依存性制御因子、サブファミリーe、メンバー1(BAF57);エンドスタチン様タンパク質;P23497核自己抗原SP100のスプライシングアイソフォームSP100-HMG;及び、H326タンパク質;を含んでいた。さらに、Skp1との相互作用を、抗Skp1抗体(Santa Cruz社)を使用してウエスタンブロットで確認した(図60、レーン4)。FBX9結合/会合タンパク質としてのCul1及びSkp1両方の同定は、FBX9が機能的なE3ユビキチンリガーゼであることを意味する。これはさらに、該Flag精製FBX9複合体が、有意水準のポリユビキチン化タンパク質(抗ユビキチン抗体(Covance社)を使用して同定された)を含むことを示唆する(図60、レーン6)。eEF2、エンドスタチン様タンパク質、BAF57、P23497核自己抗原SP100のスプライシングアイソフォームSP100-HMG及びH326タンパク質などの他のFBX9結合/会合タンパク質のさらなる調査は、FBX9機能にさらなる洞察を提供し得る。
【0312】
(11.2.3 FBX9はeEF2と会合する)
質量分析的配列決定ではじめに同定された、FBX9とeEF2との推定される会合を、ウエスタンブロットでさらに確認した。Flag精製した全細胞抽出物を、抗eEF2抗体(Zymed社)に対して試験した(図61)。3つのFBX9アイソフォームは全て、eEF2と会合していることが分かった(図62、レーン3〜5)。プロテオソーム阻害剤の存在又は不在は、FBX9のeEF2への結合に影響しなかった(図63、レーン5及び6)。また、これらの実験でeEF2発現が見かけ上一定レベルである(図63、第1列)のは、eEF2がFBX9介在性ユビキチン化の基質ではないことを示唆する。
【0313】
伸長因子2は非リボソーム性タンパク質キナーゼであり、哺乳動物細胞において高比率の代謝エネルギーのを消費する過程である翻訳伸長に重要な役割を果たす。部分的にMAPキナーゼmTORシグナル伝達経路が制御するリン酸化によって、eEF2キナーゼ活性を阻害する。FBX9とeEF2との会合は、タンパク質合成/細胞エネルギーとユビキチン/プロテオソーム系との間の関連を示唆し、それゆえ、増殖障害の制御に関する独特な治療標的を提供し得る。
【0314】
(12. 実施例:F-BOXタンパク質FBL12の特徴づけ、及びそのインビボ活性)
この節での調査は、Fbl12の細胞活性、並びにFbl12が増殖及び/又は分化の制御において担う可能性のある役割を調査するために設計した。本明細書で報告する結果は、Fbl12活性の阻害が、細胞増殖遅延、及び薬剤誘導性アポトーシスへの感受性の増加に関連していることを実証する。Fbl12活性の変調によって影響を受ける遺伝子の総数は比較的少なかったが、影響を受けた遺伝子の大部分は、悪性の形質転換に役割を担うと古典的に考えられてきた遺伝子、例えば、細胞遊走、血管新生、転移、低酸素反応、及びアポトーシスを制御している遺伝子である。Fbl12がそのような比較的具体的な役割を担っているという可能性は、Fbl12が腫瘍学における治療標的としての魅力的な候補であることを示唆する。
【0315】
(12.1 FBL12活性の特徴づけに関する材料及び方法)
組換えタンパク質、F-ボックス変異体の構築、抗体、一過性形質移入、免疫沈降、及び免疫ブロッティング法は、第7.1節に記載してある。
(12.2 結果)
(12.2.1 FBL12活性の阻害は、細胞増殖遅延、及び薬剤誘導性アポトーシスへの感受性に関連する)
FBL12のコード配列の解析は、該タンパク質のC末端半分にロイシンリッチリピート(「LRR」)ドメインを明らかにした(図64に模式的に示す)。いくつかのヒトタンパク質はLRRドメインを含み、これにはp27ユビキチンリガーゼSkp2が含まれる。LRRドメインは20〜29残基の配列モチーフであり、該主要機能は、タンパク質-タンパク質相互作用の形成に関する多用途的な構造的枠組みを提供しているようである。例えば、Skp2のLRRドメインは、p27へのリン酸化依存的結合を仲介する。Fbl12の細胞性機能を調査するために、テトラサイクリンを誘導する様式で、優性阻害版のFbl12であるFbl12-ΔFBを発現する安定HEK293細胞株を作成した(図65)。Fbl12-ΔFBは、推定基質結合ドメインであるLRRドメインを保持するが、該標的タンパク質のユビキチン化に必要な細胞性機構を動員させるのに必要なN末端F-ボックスドメインを欠失している。Fbl12-ΔFBを発現しているHEK293細胞は、親のコントロール株であるHEK293 EcRに比較してより遅い成長を示した。潜在的な新規治療標的としてのFbl12に関して、Fbl12-ΔFBの発現は、細胞を、スタウオスポリン(stauosporine)(「SSP」)誘導性アポトーシスに対してより感受性にさせる(図66)。
アフィメトリクスマイクロアレイ解析を使用して、Fbl12-ΔFB発現細胞表現型の介在因子である可能性がある遺伝子を同定した。該解析は、Fbl12-ΔFB発現の機能として、発現が増加する(表1)又は減少する(表2)多くの遺伝子を同定した。
【0316】
【表1】

【0317】
【表2】



【0318】
Fbl12-ΔFB発現との相関関係として、発現が変わった遺伝子数は多くはなかった;しかしながら、細胞遊走、血管新生、転移、低酸素、及びアポトーシスの制御に役割を果たす遺伝子の割合が著しい。これらの細胞過程を制御することにおけるFbl12の明白な役割は、腫瘍学における治療標的に有望であることを示唆する。
【0319】
(13. 実施例:F-ボックスタンパク質FBL10及びFBL11の特徴づけ、及びそれらのインビボ活性)
本実施例において、調査を設計し、Fbl10及びFbl11の細胞活性を調べた。該結果は、Fbl10及びFbl11が核タンパク質であり、細胞増殖に関与している可能性があることを示す。興味深いことに、1つの推定上のFbl11会合タンパク質が、ミニ・クロモソーム・メンテナンス7(Mini Chromosome Maintenance 7)(「MCM7」)に対するヒト相同体として同定された。MCM7との相互作用は、Fbl11がDNA複製の制御に関与することを示し得る。Fbl10及びFbl11のコード配列の解析は、転写及び染色質再構築の制御に関与する核タンパク質中に見出されるいくつかのモチーフを明らかにした(図67に模式的に示した)。CXXC-亜鉛フィンガーは直接的にDNAに結合すると考えられているが、ジュモンジ-Cドメイン及びCXXC-亜鉛フィンガーの機能は未知である。PHDフィンガーは、タンパク質-タンパク質相互作用モチーフであると考えられている。さらに、(F-ボックスドメインとは別に)LRRドメイン及びWD40リピートを含む、より一般的なタンパク質-タンパク質相互作用モチーフを同定した。
【0320】
(13.1 FBL10及びFBL11活性の特徴づけに関する材料及び方法)
低分子干渉RNAによるサイレンシング、及び細胞周期解析に関する方法は、第12.1節に記載し;質量分析的配列決定及び免疫蛍光に関する方法は、第10.1節に記載し;組換えタンパク質、F-ボックス変異体の構築、抗体、一過性形質移入、免疫沈降、及び免疫ブロッティング法は、第7.1節に記載している。
(13.2 結果)
(13.2.1 FBL10及びFBL11は、細胞増殖を制御し得る核タンパク質である)
核染色H33258及び蛍光標識抗Flag抗体を使用して、Flagタグ化Fbl10及びFlagタグ化Fbl11をコードする発現ベクターを含むHeLa細胞を可視化した(図68)。Fbl10及びFbl11は、強く染まった「核ドット」で核に局在していることがわかった。
Fbl10及びFbl11の細胞機能に関してさらなる洞察を得るために、Flagタグ化Fbl10、Flagタグ化Fbl11、並びに各々のF-ボックスドメインをそれぞれ欠失した変異版であるFbl10ΔF-ボックス及びFbl11ΔF-ボックスを293T細胞で発現させ、Flagタグに対する抗体で免疫沈降した。Fbl10及びFbl11活性を検証するため、タンパク質を回収する前に、細胞をプロテオソーム阻害剤であるPS341で処理した。Flag精製タンパク質と、Cul1、Skp1、及びRoc1との相互作用をウエスタンブロットで検証した。Fbl10及びFbl11は、それらのF-ボックスドメインを介してSkpに結合する(図69)。Cul1及びRoc1は、Flagタグ化Fbl10及びFlagタグ化Fbl11との免疫沈降が検出されなかった。これは、Flagタグに起因するFbl10及びFbl11の立体構造の変化が原因である可能性がある。この所見は、この実験系に制限されているようである。興味深いことに、キュリンを過剰発現させた場合、全細胞抽出物から精製したCul1はFbl11を含むことが見出された(図70)。
細胞性Fbl10及びFbl11の除去は、siRNAサイレンシングを介して達成された(図71)。Fbl11が減損レベルにある培養物において、活発に細胞周期が進行している細胞(BrdU陽性)の百分率は劇的に減少した。このデータは、Fbl11がDNA複製及び細胞増殖に重要な役割を果たすことを示唆する。
【0321】
(13.2.2 酵母MCM7のヒト相同体に会合するFBL11)
第14.2.1節(上記参照)に記載の293T細胞のFlag精製画分を、さらにゲル濾過クロマトグラフィーで精製した。100kDa及び85kDaで2本の明確なバンドを同定した(図72)。これらの共免疫沈降バンドを、質量分析的配列決定による解析用に回収した。該100kDaのバンドは、転写リプレッサーKap1及びヌクレオリンを含むことが測定され、かつ該85kDaのバンドは、酵母MCM7のヒト相同体を含むことを発見した。
【0322】
MCM7及びFbl11の細胞内分布を、無傷HeLa細胞の免疫蛍光を使用して調べた。MCM7及びFbl11の両方は、核への局在が見出された(図73及び74)。プロテオソーム阻害剤PS341の使用、及びチミジンを使用してのS期での停止は、MCM7の見かけ上のレベルには影響しなかったが、両処理は、Fbl11の核染色を増加させるようである。しかしながら、このFbl11の増加は、ウエスタンブロットを使用しての、これら2つのタンパク質の細胞周期解析では確認されなかった(図75)。同調HeLa細胞におけるFbl11の発現レベル(図75、第1列)は、細胞周期を通じて変化しないようであった。わずかな増加がS期に観察されたが、MCM7レベルも同様に一定のままであった(図75、第2列)。これはおそらく、MCM7とE2F-1との相互作用に起因する。酵母において、E2F-1は転写因子であり、S期前のMCM7の産生を駆動する。
【0323】
Fbl10、Fbl11、及びMCM7を、HeLa細胞のトリトン可溶性画分及びトリトン不溶性画分(DNA結合)の両方で、抽出した(図76)。トリトン不溶性画分は、はじめに細胞DNAに結合していた画分として通常解釈され、これはこれらのタンパク質の少なくとも1画分が、強固にDNAに結合していることを示唆する。トリトン可溶性画分(細胞質性フラクション)中のMCM7は安定であるが、トリトン不溶性画分中のMCM7は、トリトン分画前にプロテオソーム阻害剤ZLL中で細胞をインキュベートすることで示されるように、プロテオソーム依存的分解を必要とする(図77)。この効果を、Fbl11をサイレンシングすることによって、トリトン不溶性画分中で逆転させる(図78)。これらの観測に内在する正確な機構は未だ証明されていないが、よく理解されている酵母系との比較によって説明することができる。
【0324】
酵母において、MCM複合体はMCM2〜7のサブユニットから構成される六量体タンパク質であり、S期中でのDNA複製開始に必要である。該複合体は、DNA複製の開始点領域を認識し、初期のDNA巻き戻しに必要なDNAヘリカーゼ活性を有すると考えられている。複製開始後、該MCM複合体はもはや必要ではなく、開始点領域から除去されるべきである。出芽酵母において、これは、S期後に核からMCM複合体を除去することにより影響される(図79に模式的に示す)。しかしながら、MCM7複合体は、S期が開始した後でさえも、哺乳動物細胞の核に保持されている。それゆえ、MCM複合体を不活性化させる別の方法を哺乳動物細胞で使用すべきである。他のDNA機構ライセンス因子は、過剰複製を回避するために、使用後にプロテオソームで分解されること(図80に模式的に示す)、及び哺乳動物MCM複合体はS期の間リン酸化されること(図81に模式的に示す)が知られている。おそらくその後、Fb11は、再複製を回避するために、S期後にリン酸化MCM7のユビキチン化を仲介する。Fbl11の細胞局在の調節はその後、異常細胞の増殖を制御する手段を提供する可能性がある。
【0325】
本発明は、本発明の個々の態様の一実例として意図され記載される具体的実施態様によって範囲を限定されるべきではない。機能的に等価な方法及び構成要素は、本発明の範囲内である。むしろ、証明して、本明細書に記載したものに加え、本発明の様々な修飾が、上記明細書及び添付の図面から当業者に明らかとなるであろう。そのような修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることを意図している。
本明細書で引用した全ての文献は、あらゆる目的のために、引用により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0326】
【図1】ヒトF-ボックスタンパク質:FBP1 (配列番号:15) 、FBP2 (配列番号:16)、FBP3a (配列番号:17)、FBP3b (配列番号:78)、FBP4 (配列番号:18)、FBP5 (配列番号:19)、FBP6 (配列番号:20)、FBP7 (配列番号:21)、Skp2 (配列番号:22)、FBP8 (配列番号:61) FBP9 (配列番号:62)、FBP10 (配列番号:63)、FBP11 (配列番号:64)、FBP12 (配列番号:65)、FBP13 (配列番号:79);FBP14 (配列番号:66);FBP15 (配列番号:67)、FBP16 (配列番号:68)、FBP17 (配列番号:69)、FBP18 (配列番号:70)、FBP19 (SEQ-13-ID NO:71)、FBP20 (配列番号:72)、FBP21 (配列番号:73)、FBP22 (配列番号:74)、FBP23 (配列番号:75)、FBP24 (配列番号:76)、FBP25 (配列番号:77)における、保存されたF-ボックスモチーフアミノ酸残基のアライメント。Clustal W法(MacVector(商標))を使用して、ツーハイブリッドスクリーニング(ポンド記号で示す)又はBLAST検索(十字で示す)を介して同定したFBPのF-ボックスを有する既知のFBPであるSkp2のF-ボックスのアライメントを実施した後、手動で再調節した。少なくとも15のF-ボックス中に同一の残基をダークグレイの影をつけ、一方類似残基にはライトグレイで影をつける。1個のアスタリスクは、cDNA中の、ポリA尾部を伴う終止コドンのcDNAの存在を示し、一方、潜在的な全長クローンを2個のアスタリスクで示す。該図の底部のアスタリスクは、FBP3aにおいて変異しているアミノ酸残基を示す(図29を参照されたい)。
【0327】
【図2】FBPの模式的説明。ヒトFBP中の推定上のタンパク質-タンパク質相互作用ドメインを示す(説明についてはキーボックスを参照されたい)。ツーハイブリッドスクリーニングで同定されたFBPをポンド記号で示し、BLAST検索を介して同定したFBPを十字で示す。ダブルスラッシュは、対応するcDNAが5'末端で不完全であることを示し;アスタリスクは、終止コドンに続くポリA尾部のcDNA中の存在を示す。
【0328】
【図3A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP1/β-TRCP1のアミノ酸配列(配列番号:2)。B.対応するcDNA(配列番号:1)
【図4A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP2のアミノ酸配列(配列番号:4)。B.対応するcDNA(配列番号:3)
【図5A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP3aのアミノ酸配列(配列番号:6)。B.対応するcDNA(配列番号:5)
【図6A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP3bのアミノ酸配列(配列番号:24)。B.対応するcDNA(配列番号:23)
【図7A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP4のアミノ酸配列(配列番号:8)。B.対応するcDNA(配列番号:7)
【0329】
【図8A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP5/EMI1のアミノ酸配列(配列番号:10)。B.対応するcDNA(配列番号:9)
【図9A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP6のアミノ酸配列(配列番号:12)。B.対応するcDNA(配列番号:11)
【図10A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP7のアミノ酸配列(配列番号:14)。B.対応するcDNA(配列番号:13)
【図11A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP8のアミノ酸配列(配列番号:26)。B.対応するcDNA(配列番号:25)
【図12A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP9のアミノ酸配列(配列番号:28)。B.対応するcDNA(配列番号:27)
【0330】
【図13A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP10のアミノ酸配列(配列番号:30)。B.対応するcDNA(配列番号:29)
【図14A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP11のアミノ酸配列(配列番号:32)。B.対応するcDNA(配列番号:31)
【図15A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP12のアミノ酸配列(配列番号:34)。B.対応するcDNA(配列番号:33)
【図16A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP13のアミノ酸配列(配列番号:36)。B.対応するcDNA(配列番号:35)
【図17A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP14のアミノ酸配列(配列番号:38)。B.対応するcDNA(配列番号:37)
【0331】
【図18A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP15のアミノ酸配列(配列番号:40)。B.対応するcDNA(配列番号:39)
【図19A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP16のアミノ酸配列(配列番号:42)。B.対応するcDNA(配列番号:41)
【図20A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP17のアミノ酸配列(配列番号:44)。B.対応するcDNA(配列番号:43)
【図21A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP18のアミノ酸配列(配列番号:46)。B.対応するcDNA(配列番号:45)
【図22A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP19のアミノ酸配列(配列番号:48)。B.対応するcDNA(配列番号:47)
【0332】
【図23A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP20のアミノ酸配列(配列番号:50)。B.対応するcDNA(配列番号:49)
【図24A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP21のアミノ酸配列(配列番号:52)。B.対応するcDNA(配列番号:51)
【図25A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP22のアミノ酸配列(配列番号:54)。B.対応するcDNA(配列番号:53)
【図26A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP23のアミノ酸配列(配列番号:56)。B.対応するcDNA(配列番号:55)
【図27A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP24のアミノ酸配列(配列番号:58)。B.対応するcDNA(配列番号:57)
【0333】
【図28A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBP25のアミノ酸配列(配列番号:60)。B.対応するcDNA(配列番号:59)
【図29A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBL10のアミノ酸配列(配列番号:94)。B.対応するcDNA(配列番号:93)
【図30A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBL11のアミノ酸配列(配列番号:96)。B.対応するcDNA(配列番号:95)
【図31A−B】A.ヒトF-ボックスタンパク質FBL12のアミノ酸配列(配列番号:98)。B.対応するcDNA(配列番号:97)
【0334】
【図32】FBPはそれらのF-ボックスを介してSkp1と特異的に相互作用する。FBPのcDNA(野生型及び変異型)を転写し、35S-メチオニンの存在下でインビトロ翻訳(IVT)した。Hisタグ化Skp1(レーン1、3、4、6〜10、12、15、17、19及び21)、Hisタグ化エロンギンC(レーン2、5、11、14、16、18、19及び22)、又はHisタグ化p27(レーン12)のいずれかを前結合させたニッケル-アガロースビーズを使用して、(各レーンの一番上に示す)同等量のIVTタンパク質を、ヒスチジンタグ化プルダウンアッセイに供した。結合したIVTタンパク質を、SDS-PAGE及びオートラジオグラフィーで解析した。パネルの左側の矢印は、表示のFBPをさす。タンパク質標準の見かけの分子量を、パネルの右側に示す。
【0335】
【図33】FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4及びFBP7は、インビボにおいて、内因性Skp1及びCul1と新規SCFを形成する。Flagタグ化版のFBP1 (レーン1)、(DF)FBP1 (レーン2)、FBP4 (レーン3)、FBP7 (レーン5)、FBP2 (レーン7)、(DF)FBP2 (レーン8)、FBP3a (レーン9)、(DF)FBP3a (レーン10)、又は空ベクター(レーン4及び6)をコードする哺乳動物発現プラスミドを用いて、HeLa細胞に形質移入した。細胞を溶解し、ウサギ抗Flag抗体を用いた免疫沈降に抽出物を供した(レーン1〜8)。その後、免疫沈降物を、示すようなマウス抗Cul1モノクローナル抗体、ウサギ抗Skp1ポリクローナル抗体、又はウサギ抗Cul2ポリクローナル抗体で免疫ブロットした。最終レーンは、非形質移入HeLa細胞由来の抽出物の25μgを含み;レーン9は、マーカーとして使用した組換えCul1、Skp1又はCul2を含む。酵母キュリンCdc53及び哺乳動物Cul4aに関して既に記載したように、Cul1及びCul2に対する抗体で検出したより遅い移動のバンドは、これら2つのキュリンへのユビキチン様分子の共有結合的付着によって生じるようである。
【0336】
【図34】FBP1、FBP2、FBP3a、FBP4及びFBP7は、ユビキチンリガーゼ活性と関連する。ヒトSkp1、Cul1、及びFlagタグ化版のFBP1 (レーン3)、(DF)FBP1 (レーン4)、FBP2 (レーン2及び5)、(DF)FBP2 (レーン6)、FBP7 (レーン7)、FBP3a (レーン8及び13)、(DF)FBP3a (レーン9)、非関連Flagタグ化タンパク質 (Irf3、レーン10)、FBP4 (レーン11及び12)、又は空ベクター(レーン1)をコードする哺乳動物発現プラスミドを、HeLa細胞に形質移入した。細胞を溶解し、ウサギ抗Flag抗体を用いた免疫沈降に抽出物を供した。精製組換えE1及びUbc4(レーン1〜11)又はUbc2(レーン12及び13)、並びにビオチン化ユビキチンを含む反応混合物の存在下で、免疫沈降物をインキュベートした。レーン2の反応は、NEMも含んでいた。ユビキチン化タンパク質を、HRP-ストレプトアビジンを用いたブロッティングで可視化した。パネル左側の角括弧は、該反応で産生されたユビキチン化タンパク質のスメアを示し、アスタリスクは、煮沸に抵抗性であるE1と連結したユビキチンを示す。
【0337】
【図35】FBPの細胞内局在。Flagタグ化版のFBP1 (a-b)、FBP2 (c-d)、FBP3a (e-f)、FBP4 (g-h)、(DF)FBP2 (i-j)、又は(DF)FBP3a (k-l)をコードする哺乳動物発現プラスミドを、HeLa細胞に形質移入した。24時間後、該細胞を、FBPを染色するためのウサギ抗Flag抗体(a、c、e、g、i、k)、並びに核を染色するためのビスベンズイミド(b、d、f、h、j、l)を用いる免疫蛍光に供した。
【0338】
【図36】ヒト組織におけるFBP転写産物の存在量。異なるヒト組織由来のポリ(A)+ mRNAの電気泳動画分を含む膜を、FBP1 cDNA、FBP2 cDNA、FBP3a cDNA、FBP4 cDNA、Skp2 cDNA、及びβ-アクチンcDNAから調製した特異的プローブでハイブリダイズさせた。図の左側の矢印は、該テキストに記載されているような主要転写産物を示す。
【図37A−E】FBP遺伝子のFISH局在。ゲノムプローブを含む精製ファージDNAを、ジゴキシゲニンdUTPで標識し、Cy3連結抗体で検出した。ゲノムプローブ(赤)の遺伝子座に対応するシグナルが、DAPI-アクチノマイシンD染色した正常ヒト染色体(青-白)に対して見られた。パネルAは、10q24へのFBP1の局在を示し;Bは、9q34へのFBP2の局在を示し;Cは、13q22へのFBP3aの局在を示し;Dは、5p12へのFBP4の局在を示し;及び、Eは、6q25-26へのFBP5の局在を示す。矢印はFBP特異的FISHシグナルを示す。
【0339】
【図38A−C】FBP1はβ-カテニンと会合する。A.β-カテニン単独(レーン1)又β-カテニンとFlagタグ化FBP1との組み合わせ(レーン2)のいずれかを発現しているバキュロウイルス感染昆虫細胞由来の抽出物を、ウサギ抗Flag(rα-Flag)抗体で免疫沈降(IP)した後、示すように、抗Flagマウス(mα-Flag)抗体及び抗β-カテニンマウス抗体で免疫ブロッティングした。レーン3及び4は、同じ抗体で免疫ブロットした、25μgの感染昆虫細胞由来抽出物を含む。B.Skp1の不在下(レーン1〜3)又はSkp1存在下(レーン4〜6)においてサイクリンD1、Flag-FBP1を発現するバキュロウイルス感染昆虫細胞由来の抽出物を、標準ウサギIgG(r-IgG、レーン1及び4)、ウサギ抗Flag抗体(登録商標)α-Flag、レーン2及び5)、又はウサギ抗サイクリンD1抗体(登録商標)α-D1、レーン3及び6)で免疫沈降した。その後、免疫沈降物を、示すように抗Flagマウス(mα-Flag)抗体及びサイクリンD1マウス(mα-D1)抗体で免疫沈降した。最終レーンは、同じ抗体で免疫沈降した、25μgの典型的な感染昆虫細胞由来抽出物を含む。C.293細胞を、HAタグ化β-カテニンをコードする哺乳動物発現プラスミド単独で、又は該プラスミドとFlagタグ化FBP1若しくはFlagタグ化(DF)FBP1のいずれかとの組み合わせで形質移入させた。細胞を溶解し、抽出物を、ウサギ抗Flag抗体(登録商標)a-Flag、レーン4-6)、を用いた免疫沈降に供し、示すように、ラット抗HA(α-HA)抗体及びマウス抗Flag抗体(mα-Flag)抗体で免疫ブロットした。最初の3レーンは、同じ抗体で免疫ブロットした形質移入293細胞由来の抽出物25μgを含む。高レベルのβ-カテニン発現ベクターを形質移入すると、β-カテニンとFBP1及び(DF)FBP1との会合は、β-カテニンレベルとは独立に測定できた。
【0340】
【図39A−B】ドミナントネガティブ(ΔF)FBP1変異体によるβ-カテニンの安定化。A.ヒト293細胞を、HAタグ化β-カテニンをコードする哺乳動物発現プラスミド単独で、又は該プラスミドとFlagタグ化(ΔF)FBP1又はFlagタグ化(ΔF)FBP2のいずれかとの組み合わせで、形質移入させた。細胞を溶解し、抽出物を、示すように、ラット抗HA抗体及びウサギFlag(登録商標)a-Flag)抗体を用いた免疫ブロッティングに供した。B.β-カテニン代謝回転速度のパルスチェイス解析。空ベクター、FBP1、又は(DF)FBP1のいずれかとの組み合わせで、HAタグ化β-カテニンを、293細胞に共形質移入させた。24時間後、細胞を30分間35S-メチオニンで標識し、示している時間、培地でチェイスした。その後、抽出物を、ラット抗HA抗体を用いた免疫沈降に供した。
【0341】
【図40A−C】Skp2へのリン酸化p27の結合。A.187位でリン酸化スレオニン(T*)を有するヒトp27のカルボキシ末端に対応するリン酸化ペプチドNAGSVEQT*PKKPGLRRRQTを共役させたビーズを用いた結合反応に、パネルのインビトロ翻訳化[35S]FBPを使用した。ビーズをRIPA緩衝液で洗浄し、結合タンパク質を溶出させ、電気泳動及びオートラジオグラフィー(上のパネル)に供した。下のパネル:インビトロ翻訳化[35S]FBPインプットの10%。B.HeLa細胞抽出物を、リン酸化p27ペプチド(レーン2)、非リン酸化であること以外は同一のp27ペプチド(レーン1)、又は17位にリン酸化チロシン(Y*)を有するヒトCdk4のアミノ末端ペプチドに対応するコントロールリン酸化ペプチドAEIGVGAY*GTVYKARDPHS(レーン3)、と共役させたビーズと共にインキュベートした。ビーズをRIPA緩衝液で洗浄し、結合タンパク質を、各パネル左側に示すタンパク質に対する抗体で免疫ブロットした。HeLa抽出物の一部(25μg)をコントロールとして使用した(レーン4)。Cul1において移動が遅いバンドは、他のキュリン48ですでに記載したように、ユビキチン様分子の共有結合的接着により生じたもののようである。C.1μlのインビトロ翻訳化[35S]野生型p27(WT、レーン1〜4)、又はp27(T187A)変異体(T187A、レーン5〜6)を、10μlのキナーゼ緩衝液中、30分間、30.1/4Cでインキュベートした。該インキュベート物に、〜2.5pmolの組換え精製サイクリンE/Cdk2、又は〜1pmoleのSkp2(Skp1/Skp2複合体で)を添加した。その後、サンプルを、Skp2に対する抗体が共有結合的に連結されたProtein-Aビーズ6μlと共にインキュベートした。ビーズをRIPA緩衝液で洗浄し、結合タンパク質を電気泳動及びオートラジオグラフィーに供した。レーン1〜6:Skp2結合タンパク質;レーン7及び8:7.5%のインビトロ翻訳化[35S]タンパク質インプット。
【0342】
【図41】p27へのSkp2のインビボ結合。HeLa細胞由来抽出物(レーン1〜2及び5〜6)又はIMR90線維芽細胞由来抽出物(レーン9〜10)を、Skp2に対する別の親和性精製(AP)抗体、又は精製コントロールIgG画分で免疫沈降した。レーン1:ヤギIgG(G-IgG)で免疫沈降した抽出物;レーン2:Skp2 N末端ペプチドに対するAPヤギ抗体(G-α-Skp2)で免疫沈降した抽出物;レーン5及び9:ウサギIgG(R-IgG)で免疫沈降した抽出物;レーン6及び10:Skp2に対するAPウサギ抗体(R-α-Skp2)で免疫沈降した抽出物。免疫沈降物を各パネルの左側に示すタンパク質に対する抗体で免疫ブロットした。下のパネルにおけるレーン1〜4は、p27リン酸化部位特異抗体で免疫沈降した。レーン3、7及び11は、25μgの細胞抽出物を含む;レーン4、8及び12は、マーカーとして使用した関連組換えタンパク質を含む。いくつかのマーカーの移動の変化は、組換えタンパク質におけるタグの存在に起因する。
【0343】
【図42A−B】Skp2及びサイクリンE/Cdk2複合体は、G1抽出物でのp27ユビキチン化を律速する。A.p27のインビトロユビキチン連結反応(レーン1〜12及び17〜20)及び分解(レーン13〜16)を、非同調的に生育しているHeLa細胞由来抽出物(非同調細胞抽出物、レーン2〜3)又はG1停止HeLa細胞由来抽出物(G1抽出物、レーン4〜20)を用いて実施した。レーン1は抽出物を含まない。組換え精製タンパク質を示すように追加した。野生型p27(レーン1〜18)又はp27(T187A)変異体(T187A、レーン19〜20)を使用して、反応を実施した。レーン1〜8、9〜12、及び17〜20は、3つの別の実験由来である。パネル左側の角括弧は、ポリユビキチン化p27に対応する>27,000のバンドのラダーを示す。アスタリスクは、大部分のサンプルに存在する非特異的バンドを示す。B.非同調的HeLa細胞由来抽出物(レーン1)又はG1停止HeLa細胞抽出物(レーン2)における、Skp2及びp27のレベルの免疫ブロット解析。
【0344】
【図43A−C】Skp2はp27-ユビキチン連結反応活性に必要である。A.免疫除去。非同調HeLa細胞由来抽出物を、処理しない(レーン2)、又は免疫前血清で免疫除去した(レーン3)、又は2μgの精製GSTとプレインキュベートし抗Skp2抗体で免疫除去した(レーン4)、又は2μgの精製GST-Skp2とプレインキュベートし抗Skp2抗体で免疫除去した(レーン5)。レーン1は、抽出物を含まない。サンプル(30μgのタンパク質)を、サイクリンE/Cdk2の存在下でp27ユビキチン化に関してアッセイした。パネル左側の角括弧は、ポリユビキチン化p27に対応する>27,000のバンドのラダーを示す。アスタリスクは、全てのサンプルに存在する非特異的バンドを示す。B.再構成。Skp2-免疫除去化抽出物におけるp27ユビキチン化活性の復元を、表示の精製タンパク質の添加によって試験した。全てのサンプルは、30μgのSkp2除去抽出物(Skp2除去抽出物)及びサイクリンE/Cdk2を含んでいた。C.免疫精製。非同調HeLa細胞由来抽出物を、ウサギ抗Skp2抗体(レーン3及び5)又は免疫前血清(PI、レーン2及び4)で免疫沈降した。全抽出物(レーン1)及び免疫ビーズ(レーン2〜5)に、p27、組換え精製サイクリンE/Cdk2、及びユビキチン化反応混合物を添加した。レーン4及び5のサンプルに、組換え精製E1及びUbc3を追加した。その後、全てのサンプルを、p27ユビキチン化に関してアッセイした。
【0345】
【図44A−B】p27分解におけるSkp2のインビボにおける役割。A.インビボにおけるドミナントネガティブ(DF)Skp2変異体によるp27の安定化。NIH-3T3細胞を、ヒトp27をコードする哺乳動物発現ベクター単独(レーン2)、(DF)Skp2(レーン3) 又は(DF)FBP 1(レーン4)のいずれかとp27との組み合わせを用いて、形質移入させた。レーン1:非形質移入細胞。細胞を溶解し、抽出物を、p27、Skp2、又は[Flagタグ化(DF)FBP1を検出する] Flagに対する抗体を用いる免疫ブロッティングに供した。外因性ヒトp27タンパク質は、内因性マウスp27よりも遅く移動する。B.p27の代謝回転速度のパルスチェイス解析。ヒトp27を、空ベクター又は(DF)Skp2のいずれかと組み合わせて、NIH-3T3細胞に形質移入させた。24時間後、細胞を[35S]-メチオニンで20分間標識し、表示の時間、培地中でチェイスした。その後、抽出物を、マウス抗p27抗体を用いた免疫沈降に供した。
【0346】
【図45】Skp2 mRNAを標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドによる細胞性p27の安定化。Skp2 mRNAの2つの異なる領域を標的化する、2つの異なるアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS)を用いて、HeLa細胞を16〜18時間処理した。レーン2、6、12及び16:N末端SKP2領域(NT)を標的化するAS;レーン4及び8:C末端SKP2領域(CT)を標的化するAS;レーン1、3、5、7、11及び15:コントロールオリゴデオキシヌクレオチド対(Ctrl)。レーン1〜4及び5〜8は、2つの別の実験由来である。レーン11〜12及び15〜16:HeLa細胞を、ヒドロキシ尿素又はアフィジコリンのいずれかを用いてそれぞれ24時間、G1/Sで遮断した。その後、細胞をオリゴデオキシヌクレオチドで形質移入させ、12時間後(細胞が再びG1に入る前)に溶解し、Skp2に対する抗体(上のパネル)及びp27に対する抗体(下のパネル)を用いて免疫ブロットした。レーン9及び13:非形質移入HeLa細胞;レーン10及び14:形質移入細胞と同様の薬剤を処理した非形質Hela細胞移入。
【0347】
【図46A−C】p27分解の過程におけるSkp2作用のタイミング。A.IMR90線維芽細胞を血清飢餓によってG0/G1に同調させ、血清で再活性化させ、表示の時間間隔でサンプル化した。表示のタンパク質に対する抗体を用いた免疫ブロットによって、タンパク質抽出物を解析した。12.5%ゲルを使用し、細胞溶解をオカダ酸の存在下で実施したときのみ定常的に観測されたので、Skp2ダブレットは、リン酸化によって生じたものであり得る。B.ノコダゾールを用いて有糸分裂で遮断したHeLa細胞をはがして新鮮培地中に入れ、表示の間隔でサンプル化した。タンパク質抽出物を、表示のタンパク質に対する抗体を用いた免疫ブロッティングで解析した。C.G1のHeLa細胞由来抽出物(ノコダゾール遮断からの解放後3時間)(レーン1)及びS期のHeLa細胞由来抽出物(ノコダゾール遮断からの解放後12時間)(レーン2)のどちらも、抗p27抗体(上の2つのパネル)又は抗Skp2抗体(下の3つのパネル)を使用して免疫沈降した後、表示のタンパク質に対する抗体を用いて免疫ブロットした。
【0348】
【図47】熱安定性因子はトリプシン作用に感受性である。熱処理画分1(〜0.1mg/ml)を、0.6mg/mlのTPCK処理トリプシン(Sigma社 T8642)の不在下(レーン1)又は存在下(レーン2)のいずれかで、50mM トリス-HCl (pH 8.0)と共に、37℃で60分間インキュベートした。2mg/mlのダイズトリプシンインヒビター(STI)の添加で、トリプシン作用を終結させた。レーン3において、トリプシンとの同様のインキュベーション5分前にSTIを添加した。その後、〜50ngの熱処理画分1に対応するサンプルを、p27ユビキチン連結反応の刺激に関してアッセイした。
【0349】
【図48A−C】熱安定性因子はNedd8ではなく、かつNedd8によるCul1の修飾に従う必要がある。A.精製Nedd8は、p27-ユビキチン連結反応の刺激において因子を置換しない。表示の場所において、〜50ngの熱処理画分1、又は100ngの精製組換えヒトNedd8を、p27-MeUb連結反応アッセイに添加した。B.Cul1へのNedd8の連結反応。p27-ユビキチン連結反応アッセイで記載したのと同様の濃度で:トリス (pH 7.6)、MgCl2、ATP、ホスホクレアチン、クレアチンホスホキナーゼ、DTT、グリセロール、及びSTI;を含む反応混合物100μl中で、Cul1/ROC1 (3μl)を、Nedd8(10μg)及び精製Nedd8連結酵素(20μl)と共にインキュベートした。Cul1/ROC1のコントロール調製物を、同様の条件ではあるがNedd8連結酵素を含まない条件下でインキュベートした。30℃で2時間のインキュベーション後、コントロール調製物サンプル(レーン1)又はNedd8修飾調製物サンプル(レーン2)を、8%ポリアクリルアミド-SDSゲルで分離し、抗Cul1抗体(Zymed社)を用いて免疫ブロットした。C.Nedd8修飾型Cul1を含むSCFSkp2複合体は、p27-ユビキチン連結反応に関して、画分1由来の因子をさらに必要とする。p27-MeUb連結反応をアッセイしたが、35S-標識p27は、細菌で発現させ精製したp27(20ng)に置換し、並びにCul1/ROC1は、2μlの非修飾型Cul1/ROC1調製物又は2μlのNedd8修飾型Cul1/ROC1調製物に置換した。インキュベーション(30℃、60分)の後、サンプルを12.5%ポリアクリルアミド-SDSゲルで分離し、ニトロセルロースに転写し、抗p27モノクローナル抗体(Transduction Laboratories社)でブロットした。交差反応タンパク質をアスタリスクで標識した。
【0350】
【図49A−B】p27-ユビキチン連結反応に必要な因子の精製、及びCks1としてのその同定。A.ゲル濾過クロマトグラフィーの最終段階。MonoS段階からの活性物質のピークを、20mM トリス-HCl (pH 7.2)、150mM NaCl、1mM DTT、及び0.1% Brij-35で平衡化したSuperdex 75 HR 10/30 カラム (Pharmacia社)に適用した。0.5mlのサンプルを、流速0.4ml/分で回収した。カラム画分を、遠心限外濾過 (Centricon-l0, Amicon社)により、50μlの体積にまで濃縮した。カラム画分の0.004μlのサンプルを、p27-ユビキチン連結反応を刺激する活性に関してアッセイした。結果をホスホイメージャー(phosphorimager)解析で定量し、ユビキチン連結体に変換された35S-p27の百分率として表現した。上の矢印は、分子量マーカータンパク質の溶出位置(kDa)を示す。B. Superdex 75カラムの表示画分由来の2.5μlのサンプルの銀染色を、16%ポリアクリルアミド-SDSゲルで分離した。右の数字は、分子量マーカータンパク質の移動位置(kDa)を示す。
【0351】
【図50】全て細菌発現させたCks/Suc1タンパク質は、サイクロソーム/APCのCdc27サブユニットの複数のリン酸化(multiphosphorylation)を刺激する。S期のHeLa細胞由来のサイクロソームを部分精製し、500単位のSuc1不含Cdk1/サイクリンBとインキュベートした(Shteinberg及びHershkoの論文, 1999, Biochem. Biophys. Res. Commun. 257:12;Yudkovskyらの論文, 2000, Biochem. Biophys. Res. Commun. 271:299)。表示の場所において、対応するCks/Suc1タンパク質10ng/μlを追加した。該サンプルを、ヒトCdc27に対して指示されたモノクローナル抗体(Transduction laboratories社)を用いた免疫ブロッティングに供した。
【0352】
【図51A−B】Cks1としてのp27-ユビキチン連結反応に必要な因子の同定。A.MeUbへの35S-p27の連結反応をアッセイした。表示の場所において、画分1(5μgタンパク質)又は熱処理画分1(〜50ng)を添加した。パネル左側の角括弧は、ポリユビキチン化p27に対応する>27,000Daのバンドのラダーを示す。B.Cks1はp27-ユビキチン連結反応に必要であるが、他のCksタンパク質は必要ではない。表示の場所において、以下のタンパク質を添加した:「因子」、p27ユビキチン化に必要な因子の精製の最終段階である、Superdexカラムのピークから第28〜29番目の混合画分の0.02μl;「Cks1 IVT」、インビトロ翻訳化Cks1の0.3μl;「Cks2 IVT」、インビトロ翻訳化Cks2の0.3μl;「網状赤血球溶解物」、網状赤血球溶解物翻訳混合物の0.3μl;Cks1、Cks2及びSuc1、細菌発現させ精製した対応するタンパク質の2ng。レーン3及びレーン4における、インビトロ翻訳化35S-標識Cks1及びインビトロ翻訳化35S-標識Cks2は、ゲルから移動して外れてしまったので、見ることはできない。
【0353】
【図52A−D】Cks1は、Skp2へのリン酸化p27の結合を増加させる。A.Cks1は、Cdk2/サイクリンEによるp27のリン酸化に影響を与えない。混合物を、20℃で、表示の時間インキュベートしたことが異なるだけで、精製p27をリン酸化させた。表示の場所で、2ngの精製Cks1を添加した。1μlのサンプルを、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びオートラジオグラフィー用に回収した。B.Cks1は、p27のリン酸化後の段階で作用する。32P精製p27を調製した。表示の場所で、0.02μlの「因子」(図46でのように精製した)又は1ngの精製組換えヒトCks1を添加した。(図46と比較して)インビトロ翻訳化35S-p27を使用して観測した4〜5の連結体とは対照的に、この精製系を使用して、発明者らは、ジユビキチン化形態よりも大きいMeUbを有する連結体を観測しなかった。もしかすると、ユビキチンはp27中の2個のLys残基のみに連結され、より大きな連結体は、MeUbで終結された(網状赤血球溶解物に存在するユビキチン由来の)短いポリユビキチン鎖を含む可能性がある。C.Cks1は、Thr-187のリン酸化に依存して、Skp2/Skp1へのp27の結合を増加させる。Skp2/Skp1への35S-標識野生型(WT)p27又はThr-187-Ala変異体p27(T187A)の結合を測定した。表示の場所において、1ngの精製Cks1を該インキュベーションに添加した。インプットは、出発物質の5%を示す。D.Cks1は、Skp2/Skp1への32P-p27の結合を増加させる。該実験は、35S-p27を32P-標識精製p27に置換したこと以外は、図48の記載と同様であった。
【0354】
【図53A−D】Skp2及びリン酸化p27へのCks1の結合。A.Cks1はSkp2/Skp1に結合するが、Cks2は結合しない。Cdk2/サイクリンE、ATP、及びATP再生系を除外した以外は、Skp2/Skp1へのp27の結合に関して記載したのと同様の手順で、Skp2/Skp1への35S-標識Cks1又は35S-標識Cks2の結合をアッセイした。表示の場所において、1μlのSkp2/Skp1を添加した。B.Cks1はSkp1に結合しない。3aに記載のように、His6-Skp1又はSkp2/His6-Skp1複合体(各1μl)への35S-Cks1の結合を測定したが、沈降用にNi-NTA-アガロースビーズ(Quiagen社, 10μl)を使用した。3a及び3bの両方において、インプットは出発物質の5%を示す。C.Cks1は、p27リン酸化ペプチドへのSkp2の結合を刺激する。p27のC末端アミノ酸19残基に対応するペプチドを連結したセファロースビーズ(「p27ビーズ」)、又はリン酸化Thr187を含む同様のペプチドを連結したセファロースビーズ(「P-p27ビーズ」)を、Carranoらの論文, 1999, Nat. Cell Biol. 1:193に記載のように調製した。インビトロ翻訳した35S-Skp2 (3μl)を、Cks1不在下で(レーン1及び3)、又は10ngのCks1の存在下(レーン4)若しくは100ngのCks1存在下(レーン2及び5)で、15μlの対応するビーズと混合した。4℃で2時間回転させた後、ビーズをRIPA緩衝液で4回洗浄した。D.Cks1はp27リン酸化ペプチドに結合する。35S-Cks1(2μl)を表示のビーズと混合し、該ビーズを図3cのように処理した。インプットは、出発物質の10%を示す。
【0355】
【図54A−C】Skp2/E2F相互作用アッセイのウエスタンブロット解析。該ウエスタンブロット実験の詳細を、第9節の実施例に示す。
【図55】タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン、及びタンパク質-DNA相互作用ドメインを含む、FBX9の3つのアイソフォームの模式的説明。
【図56】FBX9のsRNAサイレンシング。第7.1節に記載のFlagタグ化FBX9をコードするcDNAフラグメントを含む哺乳動物発現ベクターpcDNA3で、T98G細胞及びHeLa細胞に形質移入させた。オリゴフェクトアミン(Invitrogen社)を使用して再びまいた後、24時間目及び48時間目にsRNAを2回形質移入させた後、全細胞溶解物を調製し、抗Flag抗体(Sigma社)を使用してウエスタンブロットで解析した。該溶解物中のSkp-2タンパク質レベルを同様に、比較となる第7.1節において記載したように調製した抗Skp1抗体を使用して解析した。
【0356】
【図57】Hela細胞の細胞周期解析は、FBX9サイレンシング、及びUV照射を対象とした。10μg/ml DNase不含RNaseの存在下で、50μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma社)を用い、かつBrdU取込みにより細胞性DNAを染色した後、細胞周期の期をフローサイトメトリー(FACSCAN, Becton Dickinson社)でモニターした。細胞単層を、UVC 515 Ultraviolet Multilinker (245 nm, Ultra Lum社)中で、UV光に曝露した。
【0357】
【図58】Flagタグ化FBX9のタンパク質レベルは、プロテオソーム阻害剤を用いた細胞の処理によって変化しない。Flagタグ化FBX9、Fbl2b、又は空コントロールをコードする発現ベクターを用いて、HEK293細胞に一過的に形質移入させた(製造業者の指示に従って、リポフェクトアミン2000(Invitrogen社)を使用して、細胞に形質移入させた)。形質移入HEK293細胞を10μMのプロテオソーム阻害剤PS341で6時間、37℃で処理して回収し、全細胞溶解物を調製した。該溶解物を、抗Flag抗体(Sigma社)を使用するウエスタンブロット解析に供した。
【0358】
【図59】FBX9は、高次複合体として存在する。Flag-FBX9をコードする発現ベクターをHek293細胞に形質移入し、回収前にPS341プロテオソーム阻害剤で6時間、37℃でインキュベートし、潜在的基質及び会合した制御タンパク質を単離する能力を増幅させた。抗Flag抗体(Sigma社)を使用して、WCEで免疫沈降を実施した。沈降物を0.5M尿素含有緩衝液で洗浄し、非特異的結合タンパク質を除去した。過剰のFlagペプチドを用いて、FBX9含有複合体を免疫沈降物から回収し、ゲル濾過クロマトグラフィーで分画した。等しい一定分量を、抗Flag抗体を用いたウエスタンブロットで解析し(上のパネル)、銀染色した(下のパネル)。分子量〜400kDに対応する画分を混合し、質量分析的配列決定解析用に濃縮した。
【0359】
【図60】FBX9結合/会合タンパク質としてのCul1及びSkp1の同定は、FBX9が機能的なE3ユビキチンリガーゼであることを意味する。Flag精製したFBX9抽出物を、抗Flag抗体(Sigma社, カタログ番号F3165)、抗Skp1抗体 (Santa Cruz社, カタログ番号SC-52-81)、及び抗ユビキチン抗体 (Covance社, カタログ番号 MMS-258R)を使用するウエスタンブロット解析に供した。分子量マーカーを、図の左に示す。
【0360】
【図61】FBX9結合/会合タンパク質としてのeEF2の同定。Flag精製したFBX9抽出物を、抗Flag抗体 (Sigma社, カタログ番号F3165)、及び抗eEF2抗体(Zymed社)を使用するウエスタンブロット解析に供した。
【図62】FBX9の3つのアイソフォームのeEF2結合/会合タンパク質の同定。Flag精製FBX9抽出物を、抗Flag抗体 (Sigma社, カタログ番号F3165)、及び抗eEF2抗体(Zymed社)を使用するウエスタンブロット解析に供した。
【0361】
【図63】Flag精製したFlag-FBX9発現WCEにおけるeEF2のタンパク質レベルは、プロテオソーム阻害剤での細胞の処理で変化しない。Flag精製したFlag-FBX9抽出物を、抗Flag抗体 (Sigma社, カタログ番号F3165)、及び抗eEF2抗体(Zymed社)を使用するウエスタンブロット解析に供した。第1列におけるeEF2の定常的発現レベルは、eEF2がFBX9介在性ユビキチン化の基質ではないことを示唆する。
【図64A−B】A.Fbl12を含むSCFユビキチンリガーゼの模式的説明。B.LRRドメインを含むFbl12の模式的説明。
【0362】
【図65】HEK293細胞でのFb12のドミナントネガティブ版であるFbl12-ΔFBの発現。Fbl12-ΔFBは、推定上の基質結合ドメインであるLRRドメインを保持するが、標的タンパク質のユビキチン化に必要な細胞性機構を動員させるのに必要なN末端のF-ボックスドメインを欠失している。Fbl12-ΔFBをコードするcDNAを、pIND/V5-His B 哺乳動物発現ベクター(Invitrogen社)にクローン化した。該ベクターは、エクダイソン/ポナステロン誘導性プロモーター、及びV5抗原決定基タグを有する。該発現ベクターを形質移入させたHEK293細胞をポナステロンA(6μM)で6時間処理し、該細胞を回収した。細胞溶解物を調製し、抗VS抗体(Invitrogen社)を用いたウエスタンブロット解析に供した。
【0363】
【図66】Fbl12-ΔFBタンパク質の発現は、HEK293細胞にスタウスポリン(stausporine)誘導性アポトーシスへの感受性を付与する。コントロールのHEK293 EcR安定細胞株を使用して、Fbl12-ΔFBを発現するHEK293の安定細胞株を確立した。HEK293 Fbl12-ΔFB細胞、又はHEK293 EcR細胞を、適切な培地中、1ウエルあたり2.5×103細胞の密度で、96ウエルプレート内にまいた。24時間のインキュベーション後、細胞を6μMのポナステロンAで6時間処理し、Fbl12-ΔFBの発現を誘導させた。ポナステロンAのインキュベーション後、10nMのスタウオスポリン(stauosporine)を各ウエルに添加し、該培養物をさらに10時間インキュベートした。その後、インサイチュウ細胞死検出キットを用いて、細胞をアポトーシスに関してアッセイした。
【0364】
【図67】タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン、及びタンパク質-DNA相互作用ドメインを含む、Fbl10、Fbl11、Skp2及びβ-Tcrpの模式的説明。
【図68】Flagタグ化FBL10及びFlagタグ化Fbl11を発現しているHeLa細胞の免疫蛍光。ガラス製カバーガラス上で生育させた細胞単層をPBSでリンスし、冷メタノール-アセトン(1:1)中で10分間固定した。固定化細胞を、PBS中室温で再水和させ、細胞染色に供した。1:100希釈の抗Flag抗体(Sigma社)を、一次抗体として使用した。該一次抗体とのインキュベーションは、加湿チャンバー内で1時間実施した。PBSで3回の洗浄の後、該カバーガラスを、ビオチン化ウマ抗マウス二次抗体(Vectron Laboratories社, 1:50希釈)と30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、FITC連結ストレプトアビジン(Vectron Laboratories社, 1:50希釈)とインキュベートした。
【0365】
【図69】Skp1、Cul1及びRoc1の同定、並びにFbl10及びFbl11の結合/会合タンパク質。Flag-Fbl10、Flag-Fbl11、又はFlag-ΔF-ボックス変異体を発現する細胞のFlag精製抽出物を、抗Flag抗体(Sigma社, カタログ番号F3165)、抗Skp1抗体(Zymed社)、抗Cul1抗体(Zymed社)、又は抗Roc1抗体(Zymed社)を使用するウエスタンブロット解析に供した。ΔF-ボックス変異体をアッセイしたら、Flag精製タンパク質の免疫沈降物は、Skp1、Cul1又はRoc1のプルダウンに失敗した。
【0366】
【図70】Cul1をコードする哺乳動物発現ベクターを、HEK293細胞に形質移入させた。該ベクターは、Mycタグ又はHAタグを有する発現タンパク質を提供した。形質移入細胞の全細胞溶解物を、記載したように、抗Myc抗体又は抗HA抗体を用いて免疫精製した。精製画分をゲル濾過クロマトグラフィー、及び抗Fbl11抗体を用いたウエスタンブロット解析に供した。
【0367】
【図71】Fbl11のsDNAサイレンシング。U2OS細胞及びHELA細胞に、第7.1節に記載したようなFlagタグ化Fbl11をコードするcDNAフラグメントを含む哺乳動物発現ベクターpcDNA3を形質移入させた。オリゴフェクトアミン(Invitrogen社)を使用して再びまいた後、24時間目及び48時間目にsRNAを2回形質移入させた後、全細胞溶解物を調製し、抗Flag抗体(Sigma社)を使用してウエスタンブロットで解析した。
【0368】
【図72】Flag精製したFlag-Fbl11を発現しているHEK293細胞のWCE中の会合タンパク質。Flag精製したFlag-Fbl11抽出物を、抗Flag抗体(Sigma社, カタログ番号F3165)を使用するウエスタンブロット解析に供した。
【図73】HeLa細胞のMCM7免疫蛍光。ガラス製カバーガラス上で生育させた細胞単層をPBSでリンスし、冷メタノール-アセトン(1:1)中で10分間固定した。固定化細胞を、PBS中室温で再水和させ、細胞染色処理した。抗MCM7抗体を、一次抗体として使用した。該一次抗体とのインキュベーションは、加湿チャンバー内で1時間実施した。PBSで3回の洗浄の後、該カバーガラスを、ビオチン化ウマ抗マウス二次抗体(Vectron Laboratories社, 1:50希釈)と30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、FITC連結ストレプトアビジン(Vectron Laboratories社, 1:50希釈)とインキュベートした。
【0369】
【図74】Flagタグ化FBL11を発現しているHeLa細胞の免疫蛍光。ガラス製カバーガラス上で生育させた細胞単層をPBSでリンスし、冷メタノール-アセトン(1:1)中で10分間固定した。固定化細胞を、PBS中室温で再水和させ、細胞染色処理した。1:100希釈の抗Flag抗体(Sigma社)を、一次抗体として使用した。該一次抗体とのインキュベーションは、加湿チャンバー内で1時間実施した。PBSで3回の洗浄の後、該カバーガラスを、ビオチン化ウマ抗マウス二次抗体(Vectron Laboratories社, 1:50希釈)と30分間インキュベートした。細胞をPBSで3回洗浄し、FITC連結ストレプトアビジン(Vectron Laboratories社, 1:50希釈)とインキュベートした。
【0370】
【図75】Fbl11の発現レベルと細胞周期との相関関係。Flag-Fbl11を発現している細胞のFlag精製抽出物を、抗Flag抗体(Sigma社, カタログ番号F3165)、抗Cul1抗体(Zymed社)、抗MCM7抗体、抗サイクリンA抗体、又は抗E2F1抗体を使用する、ウエスタンブロット解析に供した。
【0371】
【図76】FBL10及びFBL11は、WCEのトリトン可溶相、及びWCEのトリトン不溶相の両方に分離する。Flag-FBL10及びFlag-Fbl11を発現しているHeLa細胞のWCEを、トリトン溶解度に基づく分画に供した。可溶性画分及び不溶性画分を分離してゲル濾過クロマトグラフィーに供し、抗Flag抗体(Sigma社)及び抗MCM7抗体を用いたウエスタンブロット解析に供した。
【0372】
【図77】MCM7は、核におけるプロテオソーム依存的分解の対象である。ZLLのインキュベーション時間の増加を伴うトリトン不溶性画分中のMCM7の発現レベルの増加は、核において、MCM7が通常プロテオソーム分解の対象となっていることを示唆する。HeLa細胞のWCEを、トリトン溶解度に基づく分画に供した。可溶性画分及び不溶性画分を分離してゲル濾過クロマトグラフィーに教師、抗MCM抗体を用いたウエスタンブロット解析に供した。
【0373】
【図78】MCM7プロテオソーム依存的分解は、Fbl11依存的である。sRNAを使用して、Fbl11をサイレンシングした。Flagタグ化Fbl11をコードするcDNAフラグメントを含む哺乳動物発現ベクターpcDNA3で、第7.1節に記載のように、HeLa細胞に形質移入させた。オリゴフェクトアミン(Invitrogen社)を使用して再びまいた後、24時間目及び48時間目にsRNAを2回形質移入させた後、全細胞溶解物をトリトン溶解度に基づく分画に供した。可溶性画分及び不溶性画分を分離してゲル濾過クロマトグラフィーに供し、抗Flag抗体(Sigma社)又は抗MCM7抗体を用いるウエスタンブロット解析に供した。
【0374】
【図79】細胞周期S期後の、S.セレビシエの核由来のMCMの排除を描いた模式的説明。
【図80】S.セレビシエにおいて細胞周期S期を制御するタンパク質シグナル伝達経路、及びMCM7の関与の模式的説明。
【図81】哺乳動物細胞の核におけるMCM複合体の不活性化に関する代替的方法を描いた模式的説明。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増殖障害又は分化障害の治療に有用な化合物の同定方法であって:
a)化合物、F-ボックスタンパク質(FBP)又はそのフラグメント、並びにFBP会合タンパク質を含む構成要素をインキュベートすること(該インキュベートは該構成要素が相互作用するのを可能にさせるのに十分な条件下で実施される);及び、
b)FBPの活性について該化合物の効果を測定すること;
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記FBPがFBX9である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記FBPがFbl10である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記FBPがFbl11である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記FBPがFbl12である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記FBP会合タンパク質が、FBP標的基質である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記FBP標的基質が、ユビキチン経路の構成要素である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記FBP会合タンパク質がFBP偽基質である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記FBP会合タンパク質が、前記FBP標的基質への前記FBPの結合を制御するタンパク質である、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記FBP会合タンパク質が伸長因子2である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項11】
前記FBP会合タンパク質がエンドスタチン様タンパク質である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項12】
前記FBP会合タンパク質がBAF57である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項13】
前記FBP会合タンパク質が、P23497核自己抗原SP100のスプライシングアイソフォームSP100-HMGである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項14】
前記FBP会合タンパク質がH326タンパク質である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項15】
前記FBP会合タンパク質がKap1である、請求項1又は4記載の方法。
【請求項16】
前記FBP会合タンパク質がKap1である、請求項1又は4記載の方法。
【請求項17】
前記測定されるFBP活性が:FBPと、ユビキチンリガーゼ複合体の他の構成要素との相互作用;標的基質又は他のFBP会合タンパク質へのFBPの結合;FBP基質のユビキチン化;又は、FBP基質の分解;である、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記測定されるFBP活性が、DNAへのFBPの結合である、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
哺乳動物における増殖障害又は分化障害の治療方法であって、前記障害の症状を改善するために、それを必要とする哺乳動物に、請求項1〜18のいずれか1項記載の方法で同定された化合物を投与することを含む、前記治療方法。
【請求項20】
前記化合物が、小分子、ペプチド、抗体、アンチセンス分子、又はリボザイムからなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29A】
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【図29B(I)】
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【図29B(II)】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【図35D】
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【図35E】
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【図35F】
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【図35G】
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【図35H】
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【図35I】
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【図35J】
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【図35K】
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【図35L】
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【図36】
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【図37A】
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【図37B】
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【図37C】
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【図37D】
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【図37E】
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【図38A】
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【図38B】
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【図38C】
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【図39A】
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【図39B】
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【図40A】
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【図40B】
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【図40C】
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【図41】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43A】
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【図43B】
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【図43C】
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【図44A】
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【図44B】
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【図45】
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【図46A】
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【図46B】
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【図46C】
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【図47】
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【図48A】
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【図48B】
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【図48C】
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【図49A】
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【図49B】
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【図50】
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【図51A】
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【図51B】
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【図52A】
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【図52B】
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【図52C】
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【図52D】
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【図53A】
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【図53B】
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【図53C】
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【図53D】
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【図54A】
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【図54B】
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【図54C】
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【図55】
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【図56】
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【図57A】
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【図57B】
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【図57C】
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【図57D】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64A】
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【図64B】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【公表番号】特表2008−537115(P2008−537115A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506615(P2008−506615)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013576
【国際公開番号】WO2006/113251
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(594032322)ニューヨーク・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】New York University
【出願人】(591120033)セルジーン・コーポレーション (84)
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
【Fターム(参考)】