説明

増泡剤及びそれを含有する洗浄剤組成物

【課題】起泡性界面活性剤と共に使用することにより泡立ち速度に優れる増泡剤及びそれらを含む洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)


[但し式中Rは炭素数6〜10のアルキル基を示し、AO、AOは、各々独立にオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる基を示し、AO、AOが同時にオキシエチレン基、オキシプロピレン基の混合でも良い。m,nは互いに独立に0以上の整数であり、1≦m+n≦2の関係がある。]で表される脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物からなる増泡剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い起泡性及び速泡性を付与する増泡剤を提供することにある。およびそれを使用した毛髪洗浄剤組成物、身体洗浄剤組成物、食器用洗剤、洗顔フォームなどの洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、固形石けん、ボディシャンプー、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用洗剤等の洗浄剤には、高い洗浄力はもとより、豊かな泡立ちが要求される。
【0003】
従来、これらの洗浄剤において起泡性界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性界面活性剤、半極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を主剤として用いる。
【0004】
そして、これらを洗浄剤主成分として単独で用いたのでは、一般に速泡性(泡立ちの速さ)、泡量、泡質等が充分でないという欠点が有るため、主剤の他に補助界面活性剤を配合することが種々検討されている。
【0005】
実際に広く製品中に使用されてきた脂肪酸ジエタノールアミドやアミンオキサイドを初めとして、近年では、脂肪酸モノエタノールアミド(特許文献1)、ポリオキシプロピレン脂肪酸イソプロパノールアミド混合物(特許文献2)、ヒドロキシアルキル多価アルコ−ルエ−テル化合物(特許文献3)、グリセリルエーテル(特許文献4)等が提案されてきた。
【0006】
しかしながら、これらの洗浄剤組成物も洗浄性、泡量、泡質は改善されるものの、速泡性など未だ十分に満足のできるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−080785号公報
【特許文献2】特開平09−020740号公報
【特許文献3】特開2003−096435号公報
【特許文献4】特開2001−107097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性界面活性剤、半極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤の起泡性界面活性剤と共に使用することにより泡立ち速度に優れる増泡剤及びそれらを含む洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明の特定の構造を有する脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物は起泡性界面活性剤の起泡性、速泡性を上げる機能を有する増泡剤として使用できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち本発明は、
一般式(1)
【0011】
【化1】

【0012】
[但し式中Rは炭素数6〜10のアルキル基を示し、AO、AOは、各々独立にオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる基を示し、AO、AOが同時にオキシエチレン基、オキシプロピレン基の混合でも良い。m,nは互いに独立に0以上の整数であり、 1≦m+n≦2の関係がある。]
で表される脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物からなる増泡剤および
(A1)炭素数6〜10の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族第1級アミンに
(A2)エチレンオキサイドと
(A3)プロピレンオキサイドとを
(A4)A1成分1モルに対してA3成分をモル数で1≦(A2+A3)≦2の範囲で付加反応させることを特徴とする増泡剤の製造方法に関するものである。
【0013】
また、上述の増泡剤に
(B)アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(但し一般式(1)の化合物は除く)、両性界面活性剤、双性界面活性剤、カチオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種または2種以上からなる起泡性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の増泡剤は、起泡性界面活性剤と一緒に配合することにより、従来に無い速泡性を有する高起泡性洗浄剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例6の脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物(POE(2)オクチルアミン)のH−NMR測定結果
【図2】速泡性試験評価に用いた測定装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
本発明の増泡剤は、前記一般式(1)で示される脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物からなる。
【0018】
また、本発明の増泡剤は、
(A1)炭素数6〜10の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族第1級アミンに
(A2)エチレンオキサイドと
(A3)プロピレンオキサイドとを
(A4)A1成分1モルに対してA2及びA3成分をモル数で1≦A2+A3≦2の範囲で付加反応させて得られる。
【0019】
本発明の増泡剤において原料となる脂肪族第1級アミンは炭素数6〜10のアルキル基であることが重要である。
【0020】
本発明の増泡剤において原料となる脂肪族第1級アミンの炭素数が10を超えて長い場合、速泡性及び増泡効果が発現しない為、好ましくない。
【0021】
原料となる脂肪族第1級アミンの炭素数が6を下回って短い場合、増泡効果が消失し好ましくない。
【0022】
本発明の増泡剤において、原料となる脂肪族第1級アミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを原料となる脂肪族第1級アミン1モルに対して各々A2モル、A3モル縮合することにより本発明の増泡剤を得る。
この時各アルキレンオキサイドの付加モル数は、原料となる脂肪族第1級アミンに対して
1≦(A2+A3)≦2の比率で付加反応させることが重要である。
より好ましくは1≦(A2+A3)≦1.9の比率で付加反応させる。
【0023】
A2+A3が1を下回る場合、原料由来の継時着色し、激しいアミン臭が発生する。
【0024】
A2+A3が2を上回った場合、生成物に着色が見られ、品質に問題がある。また、速泡性が低下する等本発明の効果が著しく損なわれ好ましくない。
【0025】
本発明の増泡剤の好適例としては、POE−1ヘキシルアミン、POE−2ヘキシルアミン、POP−1ヘキシルアミン、POE−1/POP−1ヘキシルアミン、POP−2ヘキシルアミン、POE−1へプチルアミン、POE−2へプチルアミン、POP−1へプチルアミン、POE−1/POP−1へプチルアミン、POP−2へプチルアミン、POE−1オクチルアミン、POE−2オクチルアミン、POP−1オクチルアミン、POE−1/POP−1オクチルアミン、POP−2オクチルアミン、POE−1ノニルアミン、POE−2ノニルアミン、POP−1ノニルアミン、POE−1/POP−1ノニルアミン、POP−2ノニルアミン、POE−1デシルアミン、POE−2デシルアミン、POP−1デシルアミン、POE−1/POP−1デシルアミン、POP−2デシルアミンが挙げられるが、速泡性、増泡性の効果より、POE−2オクチルアミンが特に好ましい。
【0026】
本発明の脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物は、対応するアルキルアミンにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加反応させることにより得ることができる。
【0027】
本発明増泡剤の利用に関する洗浄剤組成物に関して述べる。
【0028】
本発明増泡剤は、起泡性界面活性剤と一緒に配合することにより、従来に無い速泡性を有する高起泡洗浄剤を得ることができる。
【0029】
起泡性界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(一般式(1)の化合物は除く)、両性界面活性剤、双性界面活性剤、カチオン性界面活性剤があげられる。
【0030】
起泡性界面活性剤単独では、種類により起泡性能はまちまちであり、脂肪酸塩やN−アシルアミノ酸系界面活性剤は、低刺激性が特徴であるが、泡立ちが弱いことがよく知られている。これらの泡立ちが遅い、若しくは泡立ちにくいアニオン界面活性剤との組み合わせによる速泡効果、増泡効果は顕著である。
【0031】
本発明の増泡剤の洗浄剤への配合量について詳細に述べる。
【0032】
本発明洗浄剤は、(A)本発明増泡剤と(B)起泡性界面活性剤を配合することにより実施できるが、より好ましくはA:Bが重量組成比率で0.5:19.5〜6:14の比率であることが好ましい。さらに好ましくは2.0:18〜3.0:17である。
【0033】
本発明洗浄剤において、本発明増泡剤の比率が0.5:19.5より少ない場合、本発明の速泡性能、増泡性能は発現するが効果が小さい。6:14を超えて多く配合された場合、消泡性が強くなり好ましくない。
【0034】
本発明洗浄剤が液体洗浄剤の場合、(A)本発明増泡剤と(B)起泡性界面活性剤の合計配合量は液体洗浄剤組成物全体の0.1〜50重量%であることが好ましい。さらに好ましくは5〜30重量%である。
【0035】
本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明増泡剤含有洗浄剤にさらに化粧料、医薬品などに通常使用されるその他の成分を、目的に応じて配合することができる。例えば、カチオン化セルロース、ヒドロキシ化セルロース、高重合ポリエチレンオキサイド等の高分子化合物;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;抗炎症剤;防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質又はその加水分解物、シルクから得られる蛋白質又はその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、ツバキ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール粉体;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;などを必要に応じて配合することができる。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物としては、シャンプー、ハンドソープ、ボディシャンプー、固形石鹸等の身体洗浄剤組成物や台所洗剤、衣料用洗剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%で示す。
【0038】
表1の比率で各種脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物を試作した。
【0039】
製造方法は、表1記載の原料アミン1モルを撹拌式1リットルオートクレーブに仕込み150〜160℃にてエチレンオキサイド(EO)及びプロピレンオキサイド(PO)を表1のモル数付加させ目的の脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物を製造した。
【0040】
製造したサンプルのエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの付加モル数をH−NMRにより解析した。図1は実施例6の脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物(POE(2)オクチルアミン)のH−NMR測定結果及びピークである。
【0041】
オクチルアミンの末端のCH−(a)のプロトン積分比を3とすると、窒素の隣のポリオキシエチレンの−CH−(e)のプロトン積分比が3.97であるので、平均付加数は(e)/2=1.99である。また、ヒドロキシル基の隣のポリオキシエチレンの−CH−(f)のプロトン積分比が5.42であるので、ポリオキシエチレンの付加数は(f)/2=2.71である。よって、平均付加モル数は 2.34となり、仕込みモル比に応じた試料が生成されていることを確認した。
【0042】
【表1】

【0043】
得られた本発明増泡剤(実施例1〜5、25〜28、62)及びその周辺物質(比較例1〜3)と起泡性界面活性剤を表2〜6の比率で配合して洗浄剤サンプルを試作した。各洗浄剤サンプルに対して泡立ちの速さ、起泡量等の評価を行った。なお、表3中、「ソフタゾリンLSB」、「ソフタゾリンLAO」、「ソフタゾリンCH」、「ソフタゾリンCL」は、川研ファインケミカル(株)製の両性界面活性剤である。
【0044】
評価方法は以下の通りである。
(A)速泡性
洗浄剤サンプルを界面活性剤濃度が1wt%になるように水で希釈し調整した。動的表面張力計(KRUSS社製「BUBBLE PRESSURE TENSIOMETER−BP−2」)を用い、測定温度25℃での最大泡圧法による継時変化に伴う動的表面張力を測定した。得られたデータを基に、泡立ち初期の時間と推定される0.1〜1秒での動的表面張力曲線の比較を行った。起泡性界面活性剤単独成分の1%水溶液の動的表面張力結果と比較して、本発明増泡剤(実施例1〜5、25〜28)及びその周辺物質(比較例1〜3)を配合したサンプルはどのような動的表面張力曲線を描くか解析を行った。起泡性界面活性剤単独成分の1%水溶液の動的表面張力結果よりも高い表面張力値を示していた場合、気液界面に吸着する界面活性剤が飽和吸着となるまで多くの時間を要してしまうため、吸着速度が遅い、即ち速泡性に欠けるといえる。反対に、起泡性界面活性剤単独成分の1%水溶液の動的表面張力結果よりも低い表面張力値を示していた場合、飽和吸着となるまでの時間が短いので速泡性が高いといえる。
【0045】
泡立ち初期の時間とされる0.1〜1秒の中間である0.5秒での表面張力値を用い、次式(I)より、表面張力変化の差分を算出した。
【0046】
【数1】

【0047】
式(I)中のγは、0.5秒での起泡性界面活性剤単独成分の1%水溶液の動的表面張力値(mN/m)で、γは洗浄剤サンプルの動的表面張力値(mN/m)である。式(I)にて算出された値が大きい程表面張力低下能即ち速泡性に優れ、反対に値が小さい、または負である時は、速泡性が低い、または無いといえる。
【0048】
本発明者らは、式(I)にて算出された値の中で、特に3mN/m以上の値を示すサンプルに関しては、官能評価でも明らかな速泡性を有しているという相関性があることを見出した。よって、本評価において速泡性が高い為には、3mN/m以上であることが好ましい。
【0049】
(B)起泡量
各洗浄剤サンプルについてパネラー10名による手洗いによる官能評価を行った。表1の比較例6を基準として評価し、以下の評価基準に従って評価した。
多い・・・○
普通・・・△
少ない・・×
【0050】
(C)泡質
各洗浄剤サンプルについてパネラー10名による手洗いによる官能評価を行った。表1の比較例5を基準(普通)として評価し、細かいか粗いかという評価基準に従って評価した。
【0051】
(D)使用感試験(速泡性、泡質、総合評価)
各洗浄剤剤サンプルについて、パネラー10名により、手洗いによる使用試験を行い、
使用時の泡立ち(泡のボリューム)、
泡質(泡の形状、泡質のクリーミィさ)、
すすぎ時の感触(すすぎやすさ、ヌルつき)、
総合使用感(手洗い後のつっばり感を含めた総合評価)
の官能試験を行った。評価は表1の比較例5を標準3点とした。
【0052】
5段階相対評価とし、評価結果の平均点を算出し、算出された平均値が
4.5 以上の場合を 非常に良好(◎)
4.5〜3.5の場合を 良好(○)
3.5〜3.0の場合を 普通(△)、
3.0 以下の場合を 不良(×)
と表示した。
【0053】
(E)低温安定性の評価
増粘性試験で試作した各サンプルを−5℃で12時間静置したのち、サンプルを取りだし状態観察する。
評価は以下の2段階
× 白濁、結晶析出のあったもの
○ 透明な溶液形態を保持しているもの
【0054】
(F)速泡性測定
表4〜6に記した配合比の洗浄剤を総界面活性剤濃度が1wt%になるように精製水で調整した。この水溶液200mLを図2に表記した泡立て装置の200mL容器(図2のB)に量り入れ、6枚傾斜パドル翼(図2のF)を回転させ、200mLメスシリンダー(図2のA)に収集された泡の量が「100mLに到達した時の時間(秒)」を測定した。この測定で100mLに到達する時間が速い程、速泡性が高いと言える。
【0055】
(G)泡立ち評価
(D)の使用感試験と同様に、各洗浄剤サンプルについて、パネラー10名により、手洗いによる使用試験を行い、使用時の泡の立ち上がりの官能試験を行った。表4の洗浄剤の泡立ち評価は比較例11を、表5の洗浄剤の泡立ち評価は比較例15を、表6の洗浄剤の泡立ち評価は比較例19の標準3点とした。
5段階相対評価とし、評価結果の平均点を算出し、算出された平均値が
4.5 以上の場合を 非常に良好(◎)
4.4〜3.5の場合を 良好(○)
3.4〜3.0の場合を 普通(△)、
2.9 以下の場合を 不良(×)
と表示した。
【0056】
(A)〜(E)の評価結果を下記表2及び表3に、(F)〜(G)の評価結果を下記表4〜6に併記する。
【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
実施例6〜10および比較例4〜6を比較すると、各種脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物を同じ起泡性界面活性剤(ヤシカリ石鹸)と同比率で配合しても、起泡量及び速泡性に関して差異が発生する。特に式(1)のRで示されるC8である実施例7、9、10の起泡量及び速泡性の改善が顕著である。また比較例5および実施例7、9、10を比較するとアルキレンオキシドの付加モル数が大きくなると発明の効果が消失する。このことは、本発明の効果が特定の構造を有する脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物に特異的に発生することを示している。また、その効果は従来より増泡剤として使用されている比較例7、8に示される脂肪酸アルカノールアミドやアルキルグリセリルエーテル類の増泡効果に比較しても優れており、特に速泡性に関してすぐれている。
【0060】
また、表2の実施例11〜16および表3の実施例17〜24によると、本発明の効果が特定の構造を有する脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物の増泡効果は様々な起泡性界面活性剤に対しても優れた増泡効果、速泡効果を与えることがわかる。
【0061】
【表4】

【0062】
【表5】

【0063】
【表6】

【0064】
表4、表5、表6に記した実施例1〜5、25〜38の化合物、及び比較例2〜3の化合物による「100mL到達時の秒数」を比較すると、各種脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物を同種の起泡性界面活性剤と同比率で配合しても、鎖長やアルキレンオキサイド付加量によって速泡性及び起泡量に関して差異が発生する。特に式(1)のRで示されるC8の化合物である実施例2、4、5、27、28、の中でも4、27、28の速泡性及び起泡量の改善が顕著である。また、実施例2及び比較例2を比較すると、アルキレンオキサイドの付加モル数が小さくなる若しくは大きくなると発明の効果が消滅する。また、実施例1〜5、25〜28、並びに比較例1〜3を比較すると、式(1)のRで示される鎖長がC8を極大とした速泡性及び起泡量の改善が顕著である。このことは、本発明が特定の構造を有する脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物に特異的に発生することを示している。また、その効果は従来より増泡剤として使用されている脂肪酸アルカノールアミド類の増泡効果と比較しても優れており、特に速泡性に関して優れていることが分かる。
【0065】
本発明の増泡剤と各種起泡性界面活性剤を組み合わせて以下の洗浄剤組成物を試作した。
いずれも優れた速泡性と泡量を示し総合評価は良い成績であった。
【0066】
実施例56 シャンプー組成物
ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.00%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 4.00%
実施例28のアミン 5.00%
エチレングリコールジステアレート 0.50%
カチオン化セルロース 0.50%
クオータニウム−33 1.00%
セチルアルコール 0.60%
ジメチルポリシロキサン(20cs) 1.00%
グルタミン酸 5%蒸留水希釈液のpH=4.0
防腐剤 0.20%
色素 適量
香料 0.30%
精製水 残余
【0067】
実施例57 殺菌用ハンドソープ組成物
ラウリン酸 5.50%
ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド 3.00%
POE(3)ラウリルエーテル酢酸 30%水溶液 3.00%
塩化ベンザルコニウム 1.00%
塩化ベンゼトニウム 0.50%
実施例4のアミン 2.00%
N−ヤシ脂肪酸アシル−N’−カルボキシメチル−N’−エチレンジアミンナトリウム塩
9.50%
トリエタノールアミン pH=7.8とする量
グリセリン 3.00%
精製水 残余
【0068】
実施例58 ボディソープ
ラウリン酸 6.00%
ミリスチン酸 8.00%
パルミチン酸 2.00%
水酸化カリウム 3.89%
ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン 3.00%
ラウロイル−N−メチル−β−アラニンカリウム 2.00%
実施例27のアミン 3.00%
ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム塩 0.50%
グリセリン 5.00%
エチレングリコールジステアレート 2.00%
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.20%
EDTA・4ナトリウム 0.20%
メチルパラベン 0.20%
精製水 残余
【0069】
実施例59 透明固形洗浄剤組成物
牛脂脂肪酸ナトリウム 32.00%
ヤシ脂肪酸ナトリウム 8.00%
N-ココイル-グルタミン酸ナトリウム 2.00%
実施例4のアミン 5.00%
濃グリセリン 8.00%
白糖 10.00%
エタノール 15.00%
ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド 7.00%
ヒドロキシエタンジホスホン酸 0.50%
精製水 残余
※製造直後の重量に対して80%まで乾燥させて透明固形洗浄剤を得る
【0070】
実施例60 固形洗浄剤組成物
アミソフトGS−11 味の素株式会社製 49.10%
アミソフトCK−11 味の素株式会社製 25.00%
ベヘニルアルコール 2.00%
イソステアリルアルコール 3.00%
アラントイン 0.20%
実施例27のアミン 15.00%
EDTA・2Na 0.10%
酸化チタン 0.10%
精製水 5.50%
【0071】
実施例61 台所用洗浄剤
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 50.00%
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 30.00%
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 6.00%
実施例28のアミン 1.00%
EDTA・2Na 0.10%
クエン酸 0.10%
精製水 12.80%
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の増泡剤は、起泡性界面活性剤と共に使用することにより泡立ち速度に優れるので、洗浄剤の増泡剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[但し式中Rは炭素数6〜10のアルキル基を示し、AO、AOは、各々独立にオキシエチレン基、オキシプロピレン基から選ばれる基を示し、AO、AOが同時にオキシエチレン基、オキシプロピレン基の混合でも良い。m,nは互いに独立に0以上の整数であり、 1≦m+n≦2の関係がある。]
で表される脂肪族第1級アミンのアルキレンオキサイド付加物からなる増泡剤。
【請求項2】
一般式(1)のRが炭素数8の直鎖アルキル基である請求項1記載の増泡剤。
【請求項3】
(A1)炭素数6〜10の直鎖もしくは分岐鎖の脂肪族第1級アミンに
(A2)エチレンオキサイドと
(A3)プロピレンオキサイドとを
(A4)A1成分1モルに対してA3成分をモル数で1≦(A2+A3)≦2の範囲で付加反応させることを特徴とする増泡剤の製造方法。
【請求項4】
(A1)が炭素数8の直鎖アルキルアミンである請求項3記載の増泡剤の製造方法。
【請求項5】
(A1)炭素数8の直鎖アルキルアミンであり、
(A4)A1成分1モルに対してA2及びA3成分をモル数で1≦A2+A3≦1.9の範囲で付加反応させて得られる請求項3記載の増泡剤の製造方法。
【請求項6】
(A)請求項1記載の増泡剤と(B)アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤(但し請求項1記載の一般式(1)の化合物は除く)、両性界面活性剤、双性界面活性剤、カチオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種または2種以上からなる起泡性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−32499(P2013−32499A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−135536(P2012−135536)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【出願人】(390003001)川研ファインケミカル株式会社 (48)
【Fターム(参考)】