説明

増粘性組成物およびそれを含む化粧料

【課題】使用感触に優れ(みずみずしく、べたつき感がなく、肌なじみがよく、肌への残存物がない)、低〜中粘度域において粘度を安定に保つことができ、塩型成分を配合した場合であっても粘度の変化を生じない増粘性組成物、およびそれを含む化粧料を提供する。
【解決手段】(a)特定の疎水変性ポリエーテルウレタン(会合性増粘剤)を0.1〜2質量%と、(b)ゲル化能を有する親水性化合物からなるゲルの破砕により得られるミクロゲルを0.1〜2質量%含有し、かつ(a)成分:(b)成分=0.1:0.9〜0.9〜0.1(質量比)であり、粘度が50〜50,000mPa・s(BL型粘度計、12回転、25℃)である増粘性組成物、および該増粘性組成物を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低〜中粘度の増粘性組成物およびそれを含む化粧料に関する。さらに詳しくは、使用感触に優れ(みずみずしく、べたつき感がなく、肌なじみがよく、肌への残存物がない)、低〜中粘度域での粘度を安定に保つことができる増粘性組成物、およびそれを含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料の増粘方法として、キサンタンガム等の多糖類、ポリアクリル酸等の親水性合成高分子、ベントナイト等の粘土鉱物などを増粘剤として用いる方法が知られている。
【0003】
しかしながら、キサンタンガム等の多糖類を増粘剤として用いた場合、薬剤成分や塩類を同時配合した系での安定性は優れるものの、べたつき感がするなど使用性の面において不具合があった。また、ポリアクリル酸等の親水性合成高分子を用いた場合、べたつき感がなく、さっぱり感が得られ、使用性が良好であるものの、耐塩性、耐イオン性が低いため、薬剤成分や塩類を多配合した場合、系の粘度低下等を引き起こすという不具合があった。さらに、ベントナイト等の粘土鉱物を増粘剤として用いた場合、きしみ感が感じられるなど使用性の点で問題があった。
【0004】
一方、優れた増粘効果を有する水溶性増粘剤として、疎水変性ポリエーテルウレタン(会合性高分子)からなる増粘剤が開発され(特許文献1)、化粧料に利用されている(特許文献2〜3)。すなわち、特許文献2では、疎水変性ポリエーテルウレタンと、カルボキシビニルポリマーおよび/またはキサンタンガムを含む化粧料組成物が開示され、特許文献3では、疎水変性ポリエーテルウレタンとコラーゲンを含む皮膚外用剤が開示されている。
【0005】
また、曳糸性のないさっぱりとした使用感触の増粘剤としてゲル化能を有する親水性化合物ゲルを破砕して得たミクロゲルが開発され、化粧料に利用されている(特許文献4)。上記ミクロゲル以外にも、水溶性エチレン性不飽和モノマーをラジカル重合して得たミクロゲルが別途開発され、このラジカル重合によるミクロゲルと疎水変性ポリエーテルウレタンを含む増粘性組成物および化粧料が開示されている(特許文献5)。
【0006】
しかし上記特許文献2〜5に示す組成物や化粧料はいずれも、クリーム状基剤など、比較的高粘度の基剤の調製を目的としたものである。上記特許文献2の組成物は、増粘効果、使用感触(しっとりさ、べたつき感のなさ)を有するが、低〜中粘度域での粘度安定性や、みずみずしい使用感触についての検討は行っていなかった。上記特許文献3の組成物も、増粘効果、使用感触(弾力感)を有するが、低〜中粘度域での粘度安定性や、みずみずしい使用感触についての検討は行っていなかった。上記特許文献4の増粘剤は、増粘効果、みずみずしい使用感触効果を有するが、低〜中粘度域での粘度安定性や、なじみ感についての検討は行っていなかった。上記特許文献5の組成物は、増粘効果、新規な感触(新規な弾力感)効果を有するが、低〜中粘度域での粘度安定性等についての検討は行っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−71766号公報
【特許文献2】特開2000−239120号公報
【特許文献3】特開2005−343841号公報
【特許文献4】特開2001−342451号公報
【特許文献5】特開2007−291026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、従来の水溶性増粘剤を組み合せることで、それぞれ単独の水溶液では得られない相乗的な増粘効果が得られ、これを利用して低〜中粘度域において粘度を安定に保つことができ、さらに塗布時から塗布後の感触に優れ、塩型薬剤や塩などを配合した際にも、増粘性に影響を及ぼすことなく増粘効果を示す増粘組成物を調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、使用感触に優れ(みずみずしく、べたつき感がなく、肌なじみがよく、肌への残存物がない)、低〜中粘度域において粘度を安定に保つことができ、塩型成分を配合した場合であっても粘度の変化を生じない増粘性組成物、およびそれを含む化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は、(a)下記式(I)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンを0.1〜2質量%と、(b)ゲル化能を有する親水性化合物からなるゲルの破砕により得られるミクロゲルを0.1〜2質量%含有し、かつ(a)成分:(b)成分=0.1:0.9〜0.9〜0.1(質量比)であり、粘度が50〜50,000mPa・s(BL型粘度計、12回転、25℃)である、増粘性組成物を提供する。
【0011】

【0012】
〔式(I)中、R1、R2およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を示し;R3はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し;R5は炭素原子数8〜36の直鎖、分岐または2級のアルキル基を示し;mは2以上の数であり;hは1以上の数であり;kは1〜500の数であり;nは1〜200の数である。〕
また本発明は、上記式(I)中、R1、R2およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、R3はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、R5は炭素原子数12〜24の直鎖、分岐または2級のアルキル基を示し、mは2であり、hは1であり、kは100〜300の数であり、nは10〜100の数である、上記増粘性組成物を提供する。
【0013】
また本発明は、(b)成分が、ゲル化能を有する親水性化合物を水または水性成分に溶解した後、放置冷却して形成したゲルを粉砕してなる平均粒径0.1〜1000μmのミクロゲルである、上記増粘性組成物を提供する。
【0014】
また本発明は、ゲル化能を有する親水性化合物が、寒天、カラギーナン、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、アルギン酸の中から選ばれる1種または2種以上である、上記増粘性組成物を提供する。
【0015】
また本発明は、薬剤成分および塩類の中から選ばれる1種または2種以上をさらに含む、上記増粘性組成物を提供する。
【0016】
また本発明は、上記増粘性組成物を含む化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、使用感触に優れ(みずみずしく、べたつき感がなく、肌なじみがよく肌への残存物がない)、低〜中粘度域において粘度を安定に保つことができ、塩型成分を配合した場合であっても粘度の変化を生じない増粘性組成物、およびそれを含む化粧料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に用いられる疎水変性ポリエーテルウレタン(会合性増粘剤)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について詳述する。
【0020】
<(a)成分>
本発明に用いられる(a)成分は下記式(I)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンである。該コポリマーは会合性増粘剤である。会合性増粘剤は、親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分をもつコポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し増粘作用を示すものをいう。このような会合性増粘剤は、図1に示すように水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し、親水部がループ状、ブリッジ状をなし、増粘作用を示す。
【0021】

【0022】
上記式(I)中、R1、R2およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を示す。好ましくは炭素原子数2〜4のアルキレン基である。
【0023】
3はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示す。
【0024】
5は炭素原子数8〜36、好ましくは12〜24の、直鎖、分岐または2級のアルキル基を示す。
【0025】
mは2以上の数である。好ましくは2である。
【0026】
hは1以上の数である。好ましくは1である。
【0027】
kは1〜500の数である。好ましくは100〜300の数である。
【0028】
nは1〜200の数である。好ましくは10〜100の数である。
【0029】
上記式(I)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、例えば、R1−[(O−R2k−OH]m(ここで、R1、R2、k、mは上記で定義したとおり)で表される1種または2種以上のポリエーテルポリオールと、R3−(NCO)h+1(ここで、R3、hは上記で定義したとおり)で表される1種または2種以上のポリイソシアネートと、HO−(R4−O)n−R5(ここで、R4、R5、nは上記で定義したとおり)で表される1種または2種以上のポリエーテルモノアルコールとを反応させることにより得る方法が好適例として挙げられる。
【0030】
この場合、式(I)中のR1〜R5は、用いるR1−[(O−R2k−OH]m、R3−(NCO)h+1、HO−(R4−O)n−R5により決定される。上記3者の仕込み比は、特に限定されるものでないが、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノアルコール由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の比が、NCO/OH=0.8:1〜1.4:1であるのが好ましい。
【0031】
上記式R1−[(O−R2k−OH]mで表されるポリエーテルポリオール化合物は、m価のポリオールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド、スチレンオキシド等を付加重合することによりできる。
【0032】
ここでポリオールとしては、2〜8価のものが好ましく、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタトリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール等の4価のアルコール;アドニット、アラビット、キシリット等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビット、マンニット、イジット等の6価アルコール;ショ糖等の8価アルコール等が挙げられる。
【0033】
また、付加させるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等により、R2が決定されるが、特に入手が容易であり、優れた効果を発揮させるためには、炭素原子数2〜4のアルキレンオキシドあるいはスチレンオキシドが好ましい。
【0034】
付加させるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は単独重合、2種類以上のランダム重合あるいはブロック重合であってよい。付加の方法は通常の方法であってよい。重合度kは1〜500である。R2に占めるエチレン基の割合は、好ましくは全R2の50〜100質量%である。
【0035】
1−[(O−R2k−OH]mの分子量は500〜10万のものが好ましく、1000〜5万のものが特に好ましい。
【0036】
上記式R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネートは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。例えば、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、フェニルメタンのジ−、トリ−、テトライソシアネート等が挙げられる。
【0037】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジプロピルエーテルジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、3−メトキシヘキサンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、3−ブトキシヘキサンジイソシアネート、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0038】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジメチルベンゼンジイソシアネート、エチルベンゼンジイソシアネート、イソプロピルベンゼンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、2,7−ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0040】
ビフェニルジイソシアネートとしては、例えば、ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0041】
フェニルメタンのジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,5,2’,5’−テトラメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシルビス(4−イソシオントフェニル)メタン、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジエトキシジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチル−5,5’−ジメトキシジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジクロロジフェニルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−3,3’−ジイソシアネート等が挙げられる。
【0042】
フェニルメタンのトリイソシアネートとしては、例えば、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,7−ナフタレントリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等が挙げられる。
【0043】
また、これらのポリイソシアネート化合物のダイマー、トリマー(イソシアヌレート結合)で用いられてもよく、また、アミンと反応させてビウレットとして用いてもよい。
【0044】
さらに、これらのポリイソシアネート化合物と、ポリオールを反応させたウレタン結合を有するポリイソシアネートも用いることができる。ポリオールとしては、2〜8価のものが好ましく、前述のポリオールが好ましい。なお、R3−(NCO)h+1として3価以上のポリイソシアネートを用いる場合は、このウレタン結合を有するポリイソシアネートが好ましい。
【0045】
上記式HO−(R4−O)n−R5で表されるポリエーテルモノアルコールは、直鎖および分岐鎖または2級の1価アルコールのポリエーテルであれば特に限定されない。このような化合物は、直鎖および分岐鎖または2級の1価アルコールにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキシド、スチレンオキシド等を付加重合することにより得ることができる。
【0046】
ここでいう直鎖アルコールとは、下記式(II)で表される。
【0047】
6−OH (II)
また、ここでいう分岐鎖アルコールとは、下記式(III)で表される。
【0048】

【0049】
また、2級アルコールとは、下記式(IV)で表される。
【0050】

【0051】
したがって、R5は、上記式(II)〜(IV)において水酸基を除いた基である。上記式(II)〜(IV)においてR6、R7、R8、R10およびR11は炭化水素基またはフッ素炭素基であり、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等である。
【0052】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル等が挙げられる。
【0053】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
【0054】
アルキルアリール基としては、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
【0055】
シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
【0056】
上記式(III)において、R9は炭化水素基、またはフッ化炭素基であり、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキルアリーレン基、シクロアルキレン基、シクロアルケニレン基等である。
【0057】
また、R5は、炭化水素基またはフッ化炭素基であり、そのうちアルキル基であることが好ましく、さらにその合計の炭素原子数が8〜36が好ましく、12〜24が特に好ましい。
【0058】
また、付加させるアルキレンオキシド、スチレンオキシド等は、単独重合、2種以上のランダム重合あるいはブロック重合であってよい。付加の方法は通常の方法であってよい。重合度nは0〜1000であり、好ましくは1〜200、さらに好ましくは10〜200が良い。また、R4に占めるエチレン基の割合が、好ましくは、好ましくは全R4の50〜100重量%、さらに好ましくは、65〜100重量%であると、本発明の目的に良好な会合性増粘剤が得られる。
【0059】
上記式(I)で表されるコポリマーを製造する方法としては、通常のポリエーテルとイソシアネートとの反応と同様にして、例えば、80〜90℃で1〜3時間加熱し、反応せしめて得ることができる。
【0060】
また、R1−[(O−R2k−OH]mで表されるポリエーテルポリオール(A)と、R3−(NCO)h+1で表されるポリイソシアネート(B)と、HO−(R4−O)n−R5で表されるポリエーテルモノアルコール(C)とを反応させる場合には、式(I)の構造のコポリマー以外のものも副生することがある。例えば、ジイソシアネートを用いた場合、主生成物としては式(I)で表されるC−B−A−B−C型のコポリマーが生成するが、その他、C−B−C型、C−B−(A−B)x−A−B−C型等のコポリマーが副生することがある。この場合、特に式(I)型のコポリマーを分離することなく、式(I)型のコポリマーを含む混合物の状態で本発明に使用することができる。
【0061】
本発明では(a)成分として、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば「アデカノールGT−700」(旭電化工業(株)製)等が挙げられる。
【0062】
(a)成分の配合量は、本発明増粘性組成物中、0.1〜2質量%であり、好ましくは0.2〜1.5質量%である。0.1質量%未満では(a)成分添加効果が認められず、一方、2質量%超では、粘度が高くなりすぎ組成物製造の作用効率が低下したり、使用性の点でべたつきを生じることがあるので好ましくない。
【0063】
<(b)成分>
(b)成分であるゲル化能を有する親水性化合物からなるゲルの破砕により得られるミクロゲルとして、本発明では、ゲル化能を有する親水性化合物を水または水性成分に溶解した後、放置冷却して形成したゲルを粉砕してなる平均粒径0.1〜1000μmのミクロゲルが好ましく用いられる。
【0064】
上記ゲル化能を有する親水性化合物としては、ゲル化能を有する水溶性化合物であって、化粧料、医薬品分野で用いられ得るものであれば特に限定されるものでない。具体的には、ゼラチン、コラーゲン等のゲル化能を有する親水性タンパク質や、寒天、カードラン、スクレログルカン、シゾフィラン、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナン、マンナン、ペクチン、ヒアルロン酸等の親水性多糖類等が例示される。中でも、ゼラチン、寒天、カードラン、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナンは、塩やイオンの影響を受け難く、安定なゲルを調製可能であることから特に好ましく用いられる。ゲル化能を有する親水性化合物は1種または2種以上を用いることができる。
【0065】
これらゲル化能を有する親水性化合物を、水または水性成分に溶解した後、放置冷却して固化させ、ゲルを形成する。上記化合物の水または水性成分への溶解は、混合、加熱等によって行うことができる。
【0066】
ゲル化(固化)は、溶解後、加熱を止めてゲル化温度(固化温度)より低温となるまで放置(静置)することにより行う。
【0067】
水性成分としては、化粧料、医薬品分野において用いられ得る水性成分であれば特に限定されるものでなく、例えば1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類や、エタノール、プロパノール等の低級アルコールのほか、一般に化粧料の水相成分として配合される成分を含有することができる。具体的には、メタリン酸塩、エデト酸塩等のキレート剤や、pH調整剤、防腐剤等が例示されるが、これら例示に限定されるものでない。なお、ゲル化能を有する親水性化合物としてジェランガムを用いる場合、ゲル強度をより向上させるために、水性成分中に陽イオンを添加するのが好ましい。陽イオンとしては、特に限定されるものでないが、1価または2価の陽イオンが好ましく、具体的には1価の陽イオン(H+)を放出する酸、例えば酢酸、クエン酸等、1価または2価の陽イオン、例えばMg++、Ca++、Na+、K+を放出する塩、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【0068】
上記ゲルのゲル強度は、ゲル自体がその形状を維持でき、また次工程のミクロゲルを得ることができる程度のものであれば特に限定されるものでない。本発明では、ゲル強度がかなり高いものでも使用することができ、例えばゼリー強度が1,000g/cm2(日寒水式測定)若しくはそれ以下程度の高ゼリー強度のものでも用いることができる一方、ゼリー強度30g/cm2程度のかなり弱いゲル強度でもミクロゲルを得ることができる。使用性向上の点からはゼリー強度100g/cm2前後のものが好ましい。
【0069】
上記ゲル化能を有する親水性化合物とともに、さらに使用感を変えるため等の目的から、ゲル化能をもたない増粘性化合物を併用してもよい。ゲル化能をもたない増粘性化合物としては、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カチオン化セルロース、プルロニックをはじめとする親水性合成高分子や、キサンタンガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガムをはじめとする親水性天然高分子のほか、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイト等の親水性粘土鉱物等の親水性増粘性化合物が例示される。またこれら化合物の塩も用いることができる。これらゲル化能をもたない親水性の増粘性化合物を併用することにより、得られるゲルのゲル強度を自在に調整することができる。ゲル化能をもたない増粘性化合物の配合割合を増加させることによりゲル強度は低下する。ゲル化能をもたない増粘性化合物は1種または2種以上を用いることができる。
【0070】
ゲル化能をもたない親水性の増粘性化合物の配合割合は、特に限定されるものでないが、ゲル化能を有する親水性化合物に対して1〜100重量%程度の割合で配合することができる。
【0071】
次いで、上記形成されたゲルをホモジナイザー、ディスパー、メカニカルスターラー等により破砕し、望みのミクロゲルを得る。本発明においてミクロゲルの平均粒径は0.1〜1,000μmであり、好ましくは1〜300μm程度、より好ましくは10〜200μm程度である。ミクロゲルの平均粒径が1,000μm超では、指どれが悪くなるなど使用性上問題となる場合があり、一方、0.1μm未満ではゲル製剤としての粘性が保てなくなる場合もある。破砕の度合いは、得られるミクロゲルの平均粒径が上記本発明での範囲を逸脱しない程度において、目的に応じて調節可能であり、より滑らかな使用性が必要とされる場合には高速攪拌により十分に破砕し、細かな粒径のミクロゲルとし、一方、ミクロゲル自体の触感を必要とする場合には軽い攪拌により破砕の度合いを弱めてやや大き目の粒径のミクロゲルとする。
【0072】
このようにして得られるミクロゲルの粘度は、用途に応じて必要とされる粘度が異なり、一概にいえないが、例えば寒天を用いた場合、寒天濃度0.5〜2%程度で、BL型粘度計(12回転、25℃)による測定で2,000〜1,000,000mPa.s程度のものが好ましい。
【0073】
(b)成分の配合量は、本発明増粘性組成物中、0.1〜2質量%であり、好ましくは0.2〜2質量%である。0.1質量%未満では(b)成分添加効果が認められず、一方、2質量%超では、使用性の点でべたつきを生じることがあるので好ましくない。
【0074】
本発明では(a)成分と(b)成分の配合比(質量比)を、(a)成分:(b)成分=0.1:0.9〜0.9:0.1、好ましくは0.2:0.8〜0.8:0.2の割合で配合する。(a)成分が上記比率より多いとみずみずしさが損なわれ、一方、少ないと
粘度を安定に保つことができず、好ましくない。
【0075】
本発明では、上記(a)成分、(b)成分を組み合せることで、みずみずしく、かつなじみがよく、残存物を生じないという優れた使用感触とともに、(a)成分、(b)成分をそれぞれ単独で用いた場合に比べ、増粘性が飛躍的に増大させることができた。このように増粘性を飛躍的に高めることができるため、(a)成分、(b)成分を低配合して、組成物の粘度を低〜中粘度において安定に保つことができる。一般に組成物においては、そこに配合される増粘性成分(=増粘剤)の配合量変化は、組成物の粘度に対数的変化をもたらす。したがって、組成物中の増粘剤配合量をわずかに変えるだけで組成物の粘度は大きく変動してしまう。すなわち、増粘性が高い増粘剤を単独で用いた場合、組成物の系の粘度が極めて低くなるか(例えば水溶液状)、あるいは高くなりがち(例えばクリーム〜粘稠物状)となり、組成物の系の粘度を低〜中粘度の領域(例えば、手にとったときに流動性のある、とろみのあるゲル状)で安定に保つことは非常に難しい。そこで、増粘性が高い増粘剤を、極めて低配合量範囲(増粘効果が十分でない濃度)で組み合せて配合することで、低〜中粘度の領域で安定に粘度を保つことを試みた。本発明では(a)成分、(b)成分を組み合せることで増粘性に相乗効果が認められたため、両者を低配合することで、このような低〜中粘度域での粘度の維持を簡便かつ容易に行うことが可能となった。
【0076】
本発明組成物では、低〜中粘度範囲として具体的には50〜50,000mPa・s(B型粘度計、25℃)が好ましく、より好ましくは100〜30,000mPa・sである。
【0077】
また本発明の増粘性組成物は、薬剤成分、塩類を配合しても粘度低下などの変化を生じないという効果もある。薬剤成分や塩類は水溶性、油溶性のいずれも用いることができる。
【0078】
薬剤成分としては、ビタミン類、抗炎症剤、抗菌剤等が例示される。薬剤成分の具体例としては、ビタミンB、P、水溶性ビタミンA、D等のビタミン類およびその誘導体、パントテニールエチルエーテル、カルシウムパントテネート、グリチルリチン、グリチルリチン酸塩、グリチルレチン、グリチルレチン酸塩、ロ−ヤルゼリー、ポリフェノール、ニコチン酸およびその誘導体(例えばニコチン酸アミド)、レゾルシンおよびその誘導体、イオウ、サリチル酸およびその誘導体、アルコキシサリチル酸およびその塩、L−アスコルビン酸およびその誘導体、トラネキサム酸およびその誘導体グルコシド、尿素、キシリトール、トレハロース、カフェイン等が挙げられる。
【0079】
また塩類としては、有機酸塩、アミノ酸塩、無機塩などが挙げられる。有機酸塩としては、クエン酸、乳酸、シュウ酸、スルホン酸等の塩酸塩、金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)、アミン塩などが例示される。アミノ酸塩としては、グリシン、アラニン、プロリン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩酸塩、金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩)、アミン塩などが例示される。無機塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、ハロゲン化合物(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)等が挙げられる。
【0080】
本発明増粘剤、あるいは該増粘剤を配合した化粧料は耐塩性が高く、これら塩類を配合したり、あるいは上記薬剤成分を塩の形で用いたものを配合した場合であっても、同時配合する他成分によって系の安定性が左右されることがなく、また、使用性に優れる。
【0081】
なお、従来、寒天、カラギーナン、カードラン、ゼラチン等のゲル化能を有する化合物を増粘剤として用いることもあったが、その場合、これら化合物を加熱、溶解し、攪拌しながら徐冷することにより、固化(ゲル化)させることなく粘稠な状態を得ていた(例えば、特開平11−209262号公報、等)。しかしながら、上記従来法に示すようにゲル化能を有する化合物を攪拌しながら徐冷して増粘剤とする場合、系の増粘の程度に限界がある。特に薬剤成分や塩類等を配合した場合、系の粘度低下が生じる。
【0082】
これに対し本発明では、これら化合物をいったん完全にゲル化(固化)した後、これを粉砕してミクロゲルとしたものを増粘剤として用いる。このようにして得られる本発明増粘剤は、従来化粧料に用いられてきた増粘多糖類あるいは合成高分子増粘剤と異なり、分子レベルの絡み合いにより増粘効果を発揮するものではなく、ゲルを粉砕したミクロゲル同士の摩擦によるものである。したがって、高分子溶液に特徴的な曳糸性は全くみられず、非常にさっぱりとした使用感を実現することができる。また、高分子溶液は配合する薬剤、塩等による影響を受けて粘度低下を起こし、配合が制限される場合があるが、本発明の場合そのような心配がなく、化粧料等の処方の幅を広げることができる。
【0083】
なお、本発明において薬剤成分や塩類等として水溶性のものを用いる場合、上記ゲル化能を有する親水性成分とともに水あるいは水性成分中に溶解させた後、これを放置冷却し固化させてゲルを形成し、次いで該ゲルを粉砕してミクロゲルとして用いてもよく、あるいは、上記ゲル化能を有する親水性成分を水あるいは水性成分中に溶解させた後、放置冷却、固化させて形成したゲルを粉砕してミクロゲルとしたものと薬剤成分や塩類等とを混合して用いてもよい。
【0084】
一方、薬剤成分や塩類等として油溶性のものを用いる場合、上記ゲル化能を有する親水性成分を水あるいは水性成分中に溶解させた後、これを放置冷却し固化させてゲルを形成し、次いで該ゲルを粉砕してミクロゲルとする一方、これとは別に、油溶性薬剤成分や塩類等を他の油性成分とともに水系中で予備乳化しておき、この予備乳化物と上記ミクロゲルとを混合、乳化して用いるのが好ましい。
【0085】
本発明により得られる増粘性組成物を化粧料として用いる場合、あるいは化粧料に配合して用いる場合、通常、化粧料に配合し得る添加成分、例えば、保湿剤、防腐剤、粉体、色素、香料、pH調整剤等を、本発明の目的、効果を損なわない範囲内で適宜配合することができる。化粧料の剤型としては、ややとろみのあるジェル状、乳液状等が好適剤型として挙げられる。化粧料の具体例としては、例えば、保湿ジェル、マッサージジェル、美容液、化粧水、乳液、メーキャップ化粧料、サンケア用品、ヘアセット剤やヘアジェル等の毛髪化粧料、染毛剤、ボディケア用品等に好ましく適用される。
【0086】
本発明により得られる増粘性組成物を化粧料に用いることにより、増粘性の飛躍的な増大、使用感の向上を図ることができるとともに、薬剤成分や塩類などを高配合、例えば化粧料全量中に20重量%程度含有させた場合でも、系の粘度の低下を生じることがなく、化粧料の系の粘性を維持することが可能となった。また長期にわたって安定で離水等を生じることがない。なお、薬剤成分や塩類等の配合量は、これら成分の配合による所期効果を得るためには化粧料全量中に0.1重量%程度以上とするのが好ましい。
【実施例】
【0087】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限りすべて質量%である。
【0088】
なお本実施例において、以下に示す成分は下記化合物を用いた。
【0089】
・疎水変性ポリエーテルウレタン〔(a)成分〕: 上記式(I)に示すコポリマー(ただし式中、R1、R2、R4はそれぞれエチレン基、R3=ヘキサメチレン基、R5=2−ドデシルドデシル基、h=1、m=2、k=120、n=20)(「アデカノールGT−700」;旭電化工業(株)製)を用いた。
【0090】
・寒天ミクロゲル〔(b)成分〕: 寒天2%水分散液を90℃に加熱し完全に溶解したことを確認した後、静置して流動しないゲル状組成物を得た。このゲルをホモジナイザーにより粉砕して得た寒天ミクロゲル(平均粒径約50μm)を用いた。
【0091】
・ジェランガムミクロゲル〔(b)成分〕: ジェランガム1%水分散液を80℃に加熱し完全に溶解したことを確認した後、塩化ナトリウム2.8%水溶液を添加し均一に攪拌し、静置して流動しないゲル状組成物を得た。このゲルをホモジナイザーにより破砕して得たジェランガムミクロゲル(平均粒径約50μm)を用いた。
【0092】
(実施例1:(a)成分と(b)成分の組み合せによる増粘性相乗効果および耐塩性効果)
まず本発明に用いられる(a)成分と(b)成分の組み合せによる増粘効果および耐塩性効果を確認すべく、下記試験を行った。
【0093】
(a)成分配合量、(b)成分配合量をそれぞれ下記表1に示す配合量で精製水中に配合した水溶液を調製後、室温(25℃)にて1分間経過後、BL型粘度計(ロータNo.3、12回転)により粘度(mPa・s)を測定した。
【0094】
また上記調製した試料に塩を加え、撹拌混合した。塩添加後の粘度を常温(25℃)にて1分間経過後、BL型粘度計(ロータNo.3、12回転)により粘度(mPa・s)を測定し、粘度の耐塩性を評価した。結果を表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
表1〜2に示す結果、例えば、組成物1、4と組成物5との対比、組成物2、4と組成物6との対比、組成物13、14と組成物15との対比、等から明らかなように、(a)成分、(b)成分を単独で配合した組成物に比べ、(a)成分と(b)成分を組み合せることで増粘効果が飛躍的に増大したことが確認された。
【0098】
また組成物8と11との対比、組成物5と12との対比、組成物18と20との対比、組成物21と22との対比から明らかなように、耐塩性効果にも優れることが確認された。
【0099】
(実施例2〜3、比較例1〜7:使用感触)
下記表3、4に示す組成の試料を調製した。この試料を用いて、下記評価基準により使用感を評価した。結果を表5に示す。
【0100】
[塗布時の使用感触(みずみずしさ、べたつきのなさ、なじみのよさ、残存物のなさ(よれのなさ)]
専門パネル(女性10名)に各実施例、比較例の各試料(組成物)を使用してもらい、肌への塗布時の使用感触(みずみずしさ、べたつきのなさ、なじみのよさ、残存物のなさ(よれのなさ)のそれぞれについて、下記の評価基準に基づいて評価した。
(評価)
◎:8名以上が、使用感触に優れると回答
○:6〜7名が、使用感触に優れると回答
△:3〜5名が、使用感触に優れると回答
×:2名以下が、使用感触に優れると回答。
【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
【表5】

【0104】
表3〜4に示す結果から明らかなように、化粧料中に増粘剤として(a)成分、(b)成分を単独配合した化粧料に比べ、(a)成分と(b)成分を組み合せて配合することにより、優れた使用感触を有することが確認された(比較例2と実施例2との対比、比較例3と実施例3との対比)。なお比較例4、5は「特許文献2」(先行技術文献)に示す組成物であり、これら比較例4、5はしっとりさ、べたつきのなさにおいて使用性が良好であったが、総合的にみた使用感触評価は、実施例2、3がより高かった。
【0105】
以下に、さらに本発明の処方例を示す。
【0106】
処方例1 乳液
(配 合 成 分) (質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン 2
(2)ベヘニルアルコール 1
(3)バチルアルコール 0.5
(4)グリセリン 5
(5)1,3−ブチレングリコール 7
(6)エリスリトール 2
(7)硬化油 3
(8)スクワラン 6
(9)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2
(10)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1
(11)モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
(12)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(13)フェノキシエタノール 適量
(14)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.4
(15)寒天ミクロゲル 0.8
(16)精製水 残余
【0107】
処方例2 プロテクター
(配 合 成 分) (質量%)
(1)セタノール 1
(2)グリセリン 5
(3)1,3−ブチレングリコール 5
(4)ポリエチレングリコール20000 2
(5)テトラ(2−エチルヘキサン酸・パラメトキシ桂皮酸)
ペンタエリスリット 3
(6)コハク酸ジ2−エチルヘキシル 3
(7)水酸化カリウム 適量
(8)エデト酸3ナトリウム 0.1
(9)トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)
シリルイソペンチル 2
(10)4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 2
(11)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 2
(12)ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 2
(13)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.5
(14)ジェランガムミクロゲル 0.25
(15)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−1)
0.1
(16)パラベン 適量
(17)フェノキシエタノール 適量
(18)精製水 残余
(19)香料 適量
【0108】
処方例3 乳液
(配 合 成 分) (質量%)
(1)ワセリン 5
(2)ベヘニルアルコール 0.5
(3)バチルアルコール 0.5
(4)グリセリン 7
(5)1,3−ブチレングリコール 7
(6)1,2−ペンタンジオール 1
(7)キシリット 3
(8)ポリエチレングリコール20000 2
(9)硬化油 2
(10)ホホバ油 2
(11)スクワラン 5
(12)イソステアリン酸 0.5
(13)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2
(14)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(15)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.4
(16)ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
(17)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(18)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(19)トリメチルグリシン 3
(20)アルブチン 3
(21)酵母エキス 0.1
(22)酢酸トコフェロール 0.1
(23)チオタウリン 0.1
(24)クララエキス 0.1
(25)ベンガラ 適量
(26)クインスシードエキス 0.1
(27)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.2
(28)寒天ミクロゲル 1.0
(29)フェノキシエタノール 適量
(30)精製水 残余
【0109】
処方例4 透明ジェル
(配 合 成 分) (質量%)
(1)水溶性コラーゲン 1.5
(2)ジプロピレングリコール 7.0
(3)ポリエチレングリコール1500 8.0
(4)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.5
(5)ジェランガムミクロゲル 0.5
(6)POE(15モル)オレイルエーテル 1.0
(7)4−メトキシサリチル酸カリウム 1.0
(8)メチルパラベン 適量
(9)褪色防止剤 適量
(10)色材 適量
(11)エデト酸塩 適量
(12)香料 適量
(13)精製水 残余
【0110】
処方例5 エッセンスジェル
(配 合 成 分) (質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン 5
(2)グリセリン 2
(3)1,3−ブチレングリコール 5
(4)ポリエチレングリコール1500 3
(5)ポリエチレングリコール20000 3
(6)オクタン酸セチル 3
(7)クエン酸 0.01
(8)クエン酸ナトリウム 0.1
(9)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.1
(10)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(11)アスコルビン酸グルコシド 2
(12)酢酸トコフェロール 0.1
(13)オウゴンエキス 0.1
(14)ユキノシタエキス 0.1
(15)エデト酸三ナトリウム 0.1
(16)キサンタンガム 0.3
(17)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレンTR−2)
0.05
(18)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.5
(19)寒天ミクロゲル 1.5
(20)フェノキシエタノール 適量
(21)ジブチルヒドロキシトルエン 適量
(22)精製水 残余
【0111】
処方例6 美白乳液
(配 合 成 分) (質量%)
(1)ワセリン 5
(2)ベヘニルアルコール 0.5
(3)バチルアルコール 0.5
(4)グリセリン 7
(5)1,3−ブチレングリコール 7
(6)1,2−ペンタンジオール 1
(7)キシリット 3
(8)ポリエチレングリコール20000 2
(9)硬化油 2
(10)ホホバ油 2
(11)スクワラン 5
(12)イソステアリン酸 0.5
(13)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2
(14)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5
(15)ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 0.4
(16)ピロ亜硫酸ナトリウム 0.01
(17)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(18)グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
(19)トリメチルグリシン 3
(20)アスコルビン酸グルコシド 2
(21)酢酸トコフェロール 0.1
(22)チオタウリン 0.1
(23)ベンガラ 適量
(24)クインスシードエキス 0.1
(25)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.25
(26)ジェランガムミクロゲル 0.25
(27)フェノキシエタノール 適量
(28)精製水 残余
【0112】
処方例7 洗顔料
(配 合 成 分) (質量%)
(1)グリセリン 6
(2)1,3−ブチレングリコール 4
(3)ポリエチレングリコール400 13
(4)サラシミツロウ 0.5
(5)ステアリン酸 20
(6)ラウリン酸 5
(7)ミリスチン酸 10
(8)POE(25)POPグリコール(30) 0.5
(9)自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2
(10)酸化チタン 0.2
(11)クエン酸ナトリウム 0.05
(12)水酸化カリウム 6.5
(13)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.3
(14)寒天ミクロゲル 0.8
(15)カモミラエキス 0.1
(16)エデト酸3ナトリウム 適量
(17)精製水 残余
(18)香料 適量
【0113】
処方例8 ファンデーション
(配 合 成 分) (質量%)
(1)ベヘニルアルコール 0.5
(2)ジプロピレングリコール 6
(3)ステアリン酸 1
(4)モノステアリン酸グリセリン 1
(5)水酸化カリウム 0.2
(6)トリエタノールアミン 0.8
(7)酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
(8)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(9)黄酸化鉄 1
(10)α−オレフィンオリゴマー 3
(11)ジメチルポリシロキサン(6mPa.s) 2
(12)ジメチルポリシロキサン(100mPa.s) 5
(13)バチルアルコール 0.5
(14)イソステアリン酸 1
(15)ベヘニン酸 0.5
(16)2−エチルヘキサン酸セチル 10
(17)モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1
(18)酸化チタン 3
(19)雲母チタン・ポリアクリル酸アルキル複合粉末 0.5
(20)表面処理酸化チタン(MT−062) 10
(21)ポリアクリ酸アルキル被覆雲母チタン 0.5
(22)黒酸化鉄被覆雲母チタン 0.5
(23)無水ケイ酸 6
(24)パラメトキシケイ皮酸2−エチルへキシル 2
(25)ベンガラ 適量
(26)群青 適量
(27)黒酸化鉄 適量
(28)法定色素 適量
(29)疎水変性ポリエーテルウレタン 0.8
(30)ジェランガムミクロゲル 0.2
(31)ベントナイト 1
(32)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
(33)精製水 残余
(34)香料 適量
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の増粘性組成物およびそれを含む化粧料は、使用感触に優れ(みずみずしく、べたつき感がなく、肌なじみがよく、肌への残存物がない)、低〜中粘度の範囲において粘度を安定に保つことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(I)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンを0.1〜2質量%と、(b)ゲル化能を有する親水性化合物からなるゲルの破砕により得られるミクロゲルを0.1〜2質量%含有し、かつ(a)成分:(b)成分=0.1:0.9〜0.9〜0.1(質量比)であり、粘度が50〜50,000mPa・s(BL型粘度計、12回転、25℃)である、増粘性組成物。

〔式(I)中、R1、R2およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を示し;R3はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し;R5は炭素原子数8〜36の直鎖、分岐または2級のアルキル基を示し;mは2以上の数であり;hは1以上の数であり;kは1〜500の数であり;nは1〜200の数である。〕
【請求項2】
上記式(I)中、R1、R2およびR4は、それぞれ独立に炭素原子数2〜4のアルキレン基を示し、R3はウレタン結合を有していてもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、R5は炭素原子数12〜24の直鎖、分岐または2級のアルキル基を示し、mは2であり、hは1であり、kは100〜300の数であり、nは10〜100の数である、請求項1記載の増粘性組成物。
【請求項3】
(b)成分が、ゲル化能を有する親水性化合物を水または水性成分に溶解した後、放置冷却して形成したゲルを粉砕してなる平均粒径0.1〜1000μmのミクロゲルである、請求項1または2記載の増粘性組成物。
【請求項4】
ゲル化能を有する親水性化合物が、寒天、カラギーナン、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、アルギン酸の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の増粘性組成物。
【請求項5】
薬剤成分および塩類の中から選ばれる1種または2種以上をさらに含む、1〜4のいずれか1項に記載の増粘性組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の増粘性組成物を含む化粧料。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−231061(P2011−231061A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104081(P2010−104081)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】