説明

増粘組成物

水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物およびその製造方法を提供する。この組成物は、ポリマー増粘剤と一つ以上の界面活性剤とによって増粘される。前記ポリマー増粘剤は、ポリエチレン主鎖、カルボキシル側基、および化学式−(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−Rを有する側基から成り、前記式において、mは正整数、nは0または正整数であり、XとYは水素原子、メチル基、およびエチル基から独立に選択され、Rは8個以上の炭素原子を含む疎水基である。前記界面活性剤は、アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、アルファースルホエステル、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される。

【発明の詳細な説明】
増粘組成物 本発明は増粘ペル酸素(peroxygen)組成物、より詳しくは、水性の増粘アルカリ性過酸化水素組成物、およびこれを製造する方法に関する。
近年、ハロゲン含有消毒剤および/または漂白剤の代用物または代替物として、ペル酸素組成物特に過酸化水素組成物の使用にかなりの興味が持たれている。
アルカリ性過酸化水素組成物の使用に多大の関心が寄せられている。この組成物は酸性過酸化水素組成物に比してすぐれた漂白性能を有することが知られているからである。
特に、専用というわけではないが家庭用の消毒剤および漂白組成物は、非水平表面の消毒に使用されることが多い。したがって、多くの場合に好ましいのは、たとえばそのような組成物を増粘し、組成物が表面を流れ去る速度を低下させて組成物との接触時間を増大させるようにすることである。
アルカリ性の系に普通に用いられる増粘剤の多く、たとえばキサンタンガム(xanthan gum)およびセルロース基剤の増粘剤は、酸化劣化性したがって増粘能力の急速低下のため、過酸化水素と一緒の使用には適さない。代替増粘系の一つがAkzoにより欧州特許出願第0265979号明細書で提案されており、これは第4アンモニウム化合物と短鎖アルキルアリールスルホネートたとえばキシレンスルホン酸ナトリウムとの組合せである。不都合なことに、第4アンモニウム化合物の使用は、この化合物が通常割合に低い生分解性しか示さないため、環境に関する理由で圧力を受けるようになってきた。さらに、第4アンモニウム化合物と短鎖アルキルアリールスルホネートにより増粘された系は、通常大きな粘弾性度を示し、したがって望ましくない流動特性を有する。この問題は、ある程度、香料の添加によって回避または改善することができるが、用途によっては、香料の添加は望ましくない。
本発明のある側面の目的は、水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物を提供し、第4アンモニウム基剤系における問題を回避することである。
本発明の別の側面の目的は、第4アンモニウム基剤系の問題を回避する、水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物の製造方法を提供することである。
本発明の一つの側面によれば、水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物であって、増粘に有効な量の(i)カルボキシレート側基と一般化学式 −(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−Rを有する側基とを有するポリエチレン主鎖(backbone)から成るポリマーであって、前記式において、mが正整数、nが0または正整数であり、XとYが水素原子、メチル基、およびエチル基から独立に選択され、Rが8個以上の炭素原子を含む疎水基であるポリマー、および(ii)アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、アルファースルホエステル、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される一つ以上の界面活性剤、を含むことを特徴とする組成物が提供される。
本発明の第2の側面によれば、水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物の製造方法であって、過酸化水素水溶液に、増粘に有効な量の(i)カルボキシレート側基と一般化学式 −(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−Rを有する側基とを有するポリエチレン主鎖から成るポリマーであって、前記式において、mが正整数、nが0または正整数であり、XとYが水素原子、メチル基、およびエチル基から独立に選択され、Rが8個以上の炭素原子を含む疎水基であるポリマー、および(ii)アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される一つ以上の界面活性剤、が添加され、さらに過酸化水素のpHが中性またはアルカリ性のpHに調節されることを特徴とする方法が提供される。
本発明による組成物と方法において使用されるポリマーは、ポリエチレン主鎖から成る。そのような主鎖は通常エチレン系不飽和化合物の重合によって製造され、鎖状につながった飽和炭素原子を含む。このポリマーは、カルボン酸側基と式−(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−Rを有する側基とのほかに、アルキル側基特に短鎖アルキル基たとえばメチルまたはエチル基を含むことができる。
カルボキシレート側基はポリエチレン主鎖に直接結合することができ、あるいは適当な結合基たとえば飽和ヒドロカルビル鎖によってポリエチレン主鎖から分離することができる。カルボキシレート基は遊離カルボン酸基としても存在することができるが、組成物のpHの関係で、塩の形で存在することがもっとも多い。
式−(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−Rを有する側基はポリエチレン主鎖に直接結合することができるが、あるいは適当な結合基を通じて結合することができる。適当な結合基は当業者には容易にわかるものであり、多くの場合、飽和ヒドロカルビル基、カルボニル基、およびアミド基から成るグループから選択される。好ましくは、この結合基は1〜4個の炭素原子を含む。前記式において、mは正整数であって通常2以上であり、しばしば10よりも大きく、もっともしばしば20よりも大きいが、100よりも大きいのは実際的でない。
この化合物において、nは0または正整数を示す。通常nは0であるが、0でない場合、nはmより小さいことが多い。Rは少なくとも8個の炭素原子を含む疎水基を示す。Rは線状、枝分かれ、もしくは環状アルキル基、随意に置換したアルカリール(alkaryl)基、または随意に置換したアルアルキル基とすることができる。好ましくは、Rは24個よりも多くの炭素原子を含まず、特に好ましくは18個よりも多くの炭素原子を含まない。
特に好ましいポリマーのグループは、1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商品名“Rheovis CR”,“Rheovis CRX”,および“Rheovis CR3”で購入できた市販製品である。これらのポリマーが界面活性剤との組合せにおいて増粘における有効性を示すのは、式−(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−Rの側基がそれ自身および界面活性剤ミセルと会合することと、カルボキシル側基によって生じるこのポリマーの膨張性(swelling nature)とによると考えられる。
本発明による組成物におけるポリマーの濃度は、たとえば得ることの望ましい粘度に応じて広い範囲で変えることができる。この濃度は普通約0.1〜約10wt%の範囲にあり、もっと普通には約0.5〜約5wt%の範囲にある。
本発明の組成物と方法において前述のポリマーのいずれかとともに使用する界面活性剤は、アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される。二つ以上の界面活性剤の混合物特に非イオン活性剤と陰イオン界面活性剤との混合物を使用することができる。低HLBを有する非イオン界面活性剤を使用する場合、界面活性剤の混合物を使用するのが特に好ましいと考えられる。そのような低HLB界面活性剤は水溶性が低いことが多く、曇った溶液を生じることがある。界面活性剤混合物の使用は、この問題の克服に役立ちうるものであり、同時に他の利点たとえば清浄化力の改善をも与えうるものである。
適当なアルコールエトキシレートには、アルキルフェノールエトキシレート、第2アルコールエトキシレート、および線状または枝分かれ第1アルコールエトキシレートが含まれる。もっとも好ましくは、このアルコールエトキシレートは線状第1アルコールエトキシレートである。適当なアルコールエトキシレートとしては、8〜約22個の炭素原子、しばしば9〜約18個の炭素原子を含むアルキル部分を有するものがある。このアルコールエトキシレートのエトキシレート基の数はしばしば2以上、もっともしばしば3〜約30である。好ましくは、エトキシレートの数は約4〜約16である。いくつかの実施態様においては、アルコールエトキシレートが6〜9個のエトキシレートから成る場合に良い結果が得られた。このアルコールエトキシレートは低分子量アルキルまたはアリール基たとえばメチル、エチル、イソプロピル、第3ブチル、またはベンジル基でキャップすることができるが、キャップしないのが好ましい。
適当なアルキルベンゼンスルホネートには、線状および枝分かれアルキルベンゼンスルホネートが含まれ、線状アルキルベンゼンスルホネートが好ましい。好ましくは、アルキル部分は6〜18個の炭素原子より好ましくは10〜14個の炭素原子を含む。もっとも好ましいアルキルベンゼンスルホネートはドデシルベンゼンスルホネートである。
適当なアルキルスルホネートには、線状および枝分かれアルキルスルホネートが含まれる。適当なアルキルスルホネートの例としては、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム、およびラウリル硫酸ナトリウムがある。その他の種類の適当なアルキルスルフェートとしては、スルフェート基が1以上たとえば2〜6個のエトキシレート基を通じてアルキル基に結合されているアルキルエーテルスルフェートがある。
本発明の方法で使用できるアルキルグルコシドは一般化学式R−O−(G)nを有し、この式でRはアルキル鎖を、Gはグルコシド部分を、nは正整数を示す。Rは、天然産出物から、または合成によって誘導することができ、しばしば8〜18個の炭素原子を含む。多くの適当なアルキルグルコシドにおいて、nは1〜5である。
本発明による組成物の界面活性剤の濃度は、通常約0.1wt%よりも大きく、しばしば約0.25wt%よりも大きい。また約10wt%よりも大きいのは実際的でない。好ましくは、界面活性剤の濃度は約0.5〜約5wt%である。
本発明による組成物におけるポリマーと界面活性剤との重量比は、組成物に望まれる性質に応じて、広い範囲から選択することができる。多くの場合、ポリマーと界面活性剤の重量比は、約0.1:1〜約10:1、しばしば約0.25:1〜7.5:1、よりしばしば約0.4:1〜約5:1の範囲で選択される。いくつかの実施態様においては、0.5:1〜3:1の範囲のポリマーと界面活性剤との比を使用したときに良い結果が達成された。
本発明による組成物は非常に広い範囲の濃度の過酸化水素を含むことができる。しかし、多くの用途に対して、過酸化水素の濃度が約1wt%よりも低いか、約35wt%よりも高いのは実際的でなく、約3〜約20wt%の範囲にあることが多い。
本発明による組成物は濃厚過酸化水素水の希釈によって製造することができる。しかし、容易にわかるように、過酸化水素の代替供給源の使用が可能である。
そのような供給源としては、過酸塩たとえば過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムモノおよびテトラヒドレート、ならびに付加化合物たとえばウレアー過酸化物がある。付加化合物は少なくともある程度本発明の組成物に溶解するものとするが、粒状残留物を生じることもありうる。
本発明による組成物は中性またはアルカリ性のpHを有する。本発明において、中性pHという言葉は約6以上の領域のpHを意味する。この組成物のpHは一般に約11よりも大きくなく、通常、約7.2〜約10特に約7.5〜約9.
5の範囲にある。
本発明による組成物は、割合に自由に流動するものからゲルまで広い範囲の粘度で製造することができる。使用される増粘系の量は、多くの場合、約50cPよりも大きく、通常約100cPよりも大きな初期粘度を生じるのに十分なものである。多くの場合、この組成物は約200〜約5,000cPの範囲の初期粘度を有する。本発明のある側面においては、特に使用される界面活性剤がアルコールエトキシレートから成る場合、増粘系は生じる粘度が最初は割合に小さいが、たとえば1日〜20日以上、特に4または5日〜10日間にわたる貯蔵中に増大するように選択される。この粘度の挙動は場合によっては好都合である。この挙動により、組成物の取り扱いたとえば混合と包装を割合に簡単に行うことが可能になり、一方、組成物は貯蔵中により大きな粘度に到達する、ということになるからである。
本発明の組成物は、前述の成分のほかに、一つ以上の追加成分を含むことができ、通常追加成分は過酸化水素安定剤、緩衝剤、染料、および香料から選択される。特に適当な安定剤としては、アミノポリホスホン酸とその塩があり、通常、組成物の約0.01wt%好ましくは約0.1wt%から約3wt%まで使用される。好ましくは、この安定剤はシクロヘキシル−1,2−ジアミノテトラメチレンホスホン酸とその塩である。容易にわかるように、この組成物は付加的な安定剤をも含みうる。この安定剤は、少なくとも一部は、安定化濃厚過酸化水素水の希釈に由来するものである。そのような付加的安定剤の例としてはリン酸塩とスズ酸塩がある。緩衝剤は組成物の所望pHを得るための量が使用される。好ましくは、緩衝剤は安息香酸ナトリウムから成る。
本発明による組成物は、必要成分を適当な容器に装入して、たとえば機械的攪拌器で攪拌することによって製造することができる。通常、この組成物は、周囲温度たとえば15〜約30℃で製造される。周知のように、通常、過酸化水素は割合に濃厚な酸性水溶液として市販されている。この水溶液から本発明の組成物を得るためには、通常、この水溶液の希釈とpH調節を行う。好ましくは、希釈をpH調節の前に行う。pH調節は通常アルカリたとえば水酸化ナトリウムの添加から成り、これは他の成分の添加の前または後に実施することができる。しかし好ましくは、pH調節は他の成分の添加後に実施する。
以上、本発明を一般的に説明したが、以下では本発明の特定実施例を詳しく説明する。ただし、これらの実施例は単なる例である。明記しないかぎり、組成物に関する百分率はwt%である。
例1 1.2%のシクロヘキシル−1,2−ジアミノテトラメチレンホスホン酸(CDTMP)を含む35%過酸化水素水28.46gを、140gの脱イオン水で希釈した。これに、攪拌しながら、カルボキシレート含有ポリマーを含む市販製品(1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商標名“Rheovis CRX”で市販されているものを購入)4g、C1315アルキル部分と9個のエトキシレート基とを有するアルコールエトキシレート界面活性剤(英国のCargo Fleet Chemicalsから商標名Synperonic A9で市販されている)2g、安息香酸ナトリウム3g、および香料(英国のBush Boake Allen Limitedから商標名LK30524で市販されているもの)0.1gを、添加した。pHは、水酸化ナトリウム溶液(12%水溶液)の添加により、9.5に調節した。次に、この組成物に脱イオン水を追加して200gまで増量した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
100cPを示した。32℃、80%相対湿度での20日間の貯蔵後、この組成物は過酸化水素の87%を保持し、また粘度252cPを有していた。
例2 例1の手順を繰返した。ただし、商標名“Rheovis CRX”を有する製品の代わりに、1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商標名“Rheovis CR3”で購入した市販製品4gを使用した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
216cPを示した。32℃、80%相対湿度での28日間の貯蔵後、組成物は過酸化水素の88%を保持し、粘度372cPを有していた。
例3 例1の手順を繰返した。ただし、商標名“Rheovis CRX”を有する製品の代わりに、1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商標名“Rheovis CR”で購入した市販製品4gを使用した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
192cPを示した。32℃、80%相対湿度での28日間の貯蔵後、組成物は過酸化水素の98%を保持し、粘度88cPを有していた。
例4 21%の過酸化水素、0.72%のCDTMP、5%のポリマー(1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商標名“Rheovis CRX”で市販されているものを購入)、1%の、C9アルキル部分と8個のエトキシレート基とを有するアルコールエトキシレート界面活性剤(英国のcargo Fleet Chemicals Limitedから商品名Synperonic 91/8で市販されているもの)を含む、pH6〜7の組成物を、例1の一般的な方法で製造した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
6,000cPを示した。32℃、80%相対湿度での14日間の貯蔵後、この組成物は過酸化水素の100%を保持し、粘度6,000cPを有していた。
例5 例1の手順に従った。ただし、英国のRohm and Haasが市販しているアルキルグルコシドの溶液(33wt%活性成分)1.8gを、アルコールエトキシレートの代わりに使用し、また安息香酸ナトリウムと香料は使用しなかった。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
1,500cPを示した。周囲温度(約20℃)での4日間の貯蔵後、この組成物の粘度は3,200cPに増大した。
例6 例5の手順に従った。ただし、界面活性剤として0.2%のラウリル硫酸ナトリウムを使用した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
1,200cPを示した。周囲温度(約20℃)での5日間の貯蔵後、この組成物の粘度は3,800cPに増大した。
例7 例5の手順に従った。ただし、英国のCargo Fleet Chemicalsが商標名Caflon NAS 30で市販しているドデシルベンゼンスルホネートの溶液(30wt%活性成分)を0.7%、界面活性剤として使用した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
1,100cPを示した。周囲温度(約20℃)での5日間の貯蔵後、この組成物の粘度は4,200cPに増大した。
例8 例5の手順に従った。ただし、例1のアルコールエトキシレート“Synperonic A9”を0.7%、界面活性剤として使用した。
生成された組成物は初期粘度(B型回転粘度計、スピンドル2,50rpm)
1,500cPを示した。周囲温度(約20℃)での5日間の貯蔵後、この組成物の粘度は2,500cPに増大した。
比較例9 例1の手順に従ったが、アルコールエトキシレート界面活性剤を使用しなかった。
生成された組成物はわずか24cPの粘度しか示さなかった。
比較例10 例1の手順に従った。ただし、使用した界面活性剤は、アルコールエトキシレート界面活性剤ではなく、英国で商標名“Span 80”で市販されている物質ソルビタンモノオレエート2gである。
生成された組成物は曇っており、またわずか24cPの粘度しか示さなかった。
比較例11 例1の手順に従ったが、“Rheovis CRX”ポリマーは使用しなかった。
生成された組成物の粘度は小さすぎて、B型回転粘度計では測定できなかった。
例1〜4の結果は、本発明による増粘組成物が高い粘度と、広い範囲の粘度および過酸化水素濃度にわたる過酸化水素安定性とを両方とも有することを示している。例5〜8の結果は、本発明による種類の界面活性剤を使用して、ある範囲の粘度を発生させることができ、また増粘系を、割合に低い初期粘度を有するが、貯蔵時に粘度が増大する組成物が生成されるように選択することができる、ということを示している。比較例9と11の結果が示すのは、増粘成分のいずれかすなわち本発明によって選択されるポリマーまたは界面活性剤を使用しなかった場合、増粘効果が著しく低下する、ということである。比較例10の結果が示すのは、本発明によらない界面活性剤を、本発明に従って選択した界面活性剤の代わりに使用した場合、前者の界面活性剤の添加は比較例9の組成物の増粘を上回る増粘をもたらさない、ということである。

【特許請求の範囲】
1.水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物であって、増粘に有効な量の (i)カルボキシレート側基と一般化学式 −(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−R を有する側基とを有するポリエチレン主鎖から成るポリマーであって、前記式において、mが正整数、nが0または正整数であり、XとYが水素原子、メチル基、およびエチル基から独立に選択され、Rが8個以上の炭素原子を含む疎水基であるポリマー、および (ii)アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、アルファースルホエステル、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される一つ以上の界面活性剤、 を含むことを特徴とする組成物。
2.水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物の製造方法であって、過酸化水素水溶液に、増粘に有効な量の (i)カルボキシレート側基と一般化学式 −(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−R を有する側基とを有するポリエチレン主鎖から成るポリマーであって、前記式において、mが正整数、nが0または正整数であり、XとYが水素原子、メチル基、およびエチル基から独立に選択され、Rが8個以上の炭素原子を含む疎水基であるポリマー、および (ii)アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される一つ以上の界面活性剤、が添加され、さらに 過酸化水素のpHが中性またはアルカリ性のpHに調節されることを特徴とする方法。
3.nが0であることを特徴とする請求項1または2記載の方法または組成物。
4.mが2〜100、好ましくは10〜100であることを特徴とする請求項1、2または3記載の方法または組成物。
5.Rが8〜24個好ましくは8〜18個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の方法または組成物。
6.Rが線状、枝分かれ、または環状アルキル基から成ることを特徴とする請求項5記載の方法または組成物。
7.式−(OCH2CH2)m(OCHXCHY)n−O−R を有する側基が、飽和ヒドロカルビル基、カルボニル基、およびアミド基から成るグループから選択される結合基によって主鎖に結合されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の方法または組成物。
8.ポリマーと界面活性剤との重量比が約0.1:1〜約10:1好ましくは約0.4:1〜約5:1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の方法または組成物。
9.水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物であって、増粘に有効な量の (i)1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商標名“Rheovis CR”,“Rheovis CRX”,または“Rheovis CR3”で購入することのできた市販製品と実質的に同じポリマー、および (ii)アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、アルファースルホエステル、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される一つ以上の界面活性剤、 を含むことを特徴とする組成物。
10.水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素組成物の製造方法であって、過酸化水素水溶液に、増粘に有効な量の (i)1993年8月に英国のAllied Colloids Limitedから商標名“Rheovis CR”,“Rheovis CRX”,または“Rheovis CR3”で購入することのできた市販製品と実質的に同じポリマー、および (ii)アルコールエトキシレート、10個以上の炭素原子を含むアルキルベンゼンスルホネート、6個以上の炭素原子を含むアルキルスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、アルファースルホエステル、およびアルキルグルコシドから成るグループから選択される一つ以上の界面活性剤、 を添加することを特徴とする方法。
11.界面活性剤がアルコールエトキシレートから成ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項記載の方法または組成物。
12.アルコールエトキシレートが8〜約22個好ましくは9〜約18個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項11記載の方法または組成物。
13.アルコールエトキシレートのエトキシレート基の数が2〜約30個好ましくは約4〜約16個であることを特徴とする請求項11または12記載の方法または組成物。
14.pHが約7.2〜約10好ましくは約7.5〜約9.5であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項記載の方法または組成物。
15.粘度が約100〜約5000cPであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項記載の方法または組成物。
16.粘度が最初割合に低いが貯蔵時に増大することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の方法または組成物。
17.実施例のいずれか一つに関して本明細書で実質的に述べた、水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素溶液またはその製造方法。
18.何らかの新しい特徴および特徴の組合せに関して本明細書で実質的に述べた、水性の増粘中性またはアルカリ性過酸化水素溶液またはその製造方法。

【公表番号】特表平9−503534
【公表日】平成9年(1997)4月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−510165
【出願日】平成6年(1994)9月23日
【国際出願番号】PCT/GB94/02069
【国際公開番号】WO95/09226
【国際公開日】平成7年(1995)4月6日
【出願人】
【氏名又は名称】ソルベイ インテロックス リミテッド