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壁パネルの固定金具
説明

壁パネルの固定金具

【課題】製作が容易で、安価で、かつ装着時において安定した装着状態を保つことができる壁パネルの固定金具を提供する。
【解決手段】遮音板31の端部上面に取り付けられる固定金具1の横片部8から第1縦辺部2が垂下し、下辺部7を介して第2縦辺部3が斜め上方に立ち上がる。第2縦辺部3の上端部で折り返して第1縦辺部2との間に入り込む山形の内側折り返し部4を形成する。第2縦辺部3の断面は直線状ではなく、上部寄りに曲率の小さい滑らかな弧状部5が形成されており、遮音板31の片面とフランジ24との間に嵌め込んだときに、第2縦辺部3の上端部ではなく、この弧状部5がフランジ24の内面に接し、弧状部5で反力を伝える。弧状部5に形成された幅方向に延びる複数条の切欠き溝6が、引き抜き抵抗を高め、振動などの影響で固定金具1が抜け出すのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルの固定金具に関するものであり、主として道路などに設けられる遮音壁の遮音板の固定に用いられる。
【背景技術】
【0002】
道路用の遮音壁の標準的なタイプの一つとして、H形鋼からなる支柱間に、遮音材を組み込んだ金属パネルや、金属枠を備えたポリカーボネート透光板などからなるパネルの両端を、支柱のフランジ間の溝に挿入し、パネルの片面と一方のフランジの内面との間にバネ反力を与える板バネ式の固定金具を嵌め込んで固定するものがある。
【0003】
その場合、遮音板は上下方向に複数枚設置され、固定金具は、固定金具の側方に延びる横片を上下の遮音板間に挟み込む形で設置される場合が多い。
【0004】
上述のタイプの固定金具に関しては、非特許文献1、非特許文献2などに、H形鋼支柱と遮音板の寸法許容差を考慮した隙間に対して有効に作用することを条件として、12mm〜127mmの隙間の大きさに応じた標準の固定金具の図が示されている。
【0005】
また、このタイプの固定金具としては、例えば特許文献1〜3に記載されたものがある。これらの固定金具における共通の基本形態は、隙間に装着されたときに、遮音板側に当接する第1縦辺部と、この第1縦辺部の下部と連続して斜め上方に延び、上端部が支柱のフランジ内面側に当接する第2縦辺部と、この第2縦辺部の上端部で折り返した山形の内側折り返し部を有し、上述した遮音板の片面と一方のフランジの内面との間の隙間に装着したときに弾性的に変形し、山形の内側折り返し部の山形頂部が第1縦辺部の内面に接触した状態で、遮音板と支柱のフランジ間に設計に応じたバネ反力を与える構造となっている。
【0006】
このうち、特許文献1記載の発明では、第2縦辺部に抜け止め突起が設けられ、抜け止め突起が支柱のフランジ内面に引っ掛かることで、固定金具の抜け出しを防止するようにしたことが特徴となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4061485号公報
【特許文献2】実開平04−057513号公報
【特許文献3】特開平10−280335号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「遮音壁標準設計図集」、日本道路公団、平成11年12月
【非特許文献2】「遮音壁標準設計図集」、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、平成21年7月第2版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、特許文献1記載の発明では、第2縦辺部に設けた抜け止め突起が支柱の溝内面に引っ掛かることで、固定金具の抜け出しを防止するとしている。
【0010】
また、特許文献1において、抜け止め突起の形態は特には限定していないものの、製作上、別途、突起を取り付けることは、コストや引っ掛かりの効果を確保する点で現実的ではなく、実際には特許文献1で実施例として示されているような第2縦辺部の一部を切り起して外側上方に向けて突出させた切り起こし突起とせざるを得ず、非特許文献2にも切り起こし突起を設けたものが図示されている。
【0011】
しかし、切り起こしによる突出量が小さいと、支柱の溝内面(H形鋼のフランジ内面)に引っ掛かることによる引き抜き抵抗が十分に得られない。
【0012】
また、突出量を大きくした場合には、切り起こしの先端部が支柱からの大きな反力を受けることになり、切り起こし部分先端に集中する反力により切り起こし部分が容易に弾性変形してしまうため、固定金具自体のバネ機能との関係で、必ずしも十分な引き抜き抵抗を与えることはできない。
【0013】
本発明は、上述のような従来技術における課題の解決を図ったものであり、製作が容易で、安価で、かつ装着時において安定した装着状態を保つことができる壁パネルの固定金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の壁パネル固定金具は、支柱の側面に形成された上下方向に延びる嵌合溝に壁パネルの端部を挿入し、壁パネルの片面と嵌合溝の内面との間に嵌入して装着することで、バネ反力により壁パネルを前記支柱に固定するための固定金具である。
【0015】
固定金具の構成としては、上述の壁パネルの片面に当接する第1縦辺部と、この第1縦辺部の下部から連続して斜め上方に延びる第2縦辺部と、この第2縦辺部の上端部で折り返した山形の内側折り返し部とを備え、第2縦辺部の少なくとも上部の所定範囲には、幅方向と直角な断面が前記パネルと反対側に凸となる弧状部が形成されている。
【0016】
本発明の固定金具では、装着時にこの弧状部が前記嵌合溝の内面に当接するとともに、弧状部の表面には第2縦辺部の幅方向に延びる抜け止め防止用の切欠き溝が複数条設けられていることを特徴とする。
【0017】
弧状部は第2縦辺部の一部または全体に緩やかな曲げ加工を施したものでよい。この弧状部はあまり曲げ過ぎず、曲率をできるだけ小さく(曲率半径を大きく)し、滑らかな弧状とすることで、振動などによるずれや固定金具のばね変形に対応じて、嵌合溝の内面に対し広い範囲で接するようにすることができる。
【0018】
切欠き溝はこの当接が想定される範囲に複数条設けることで、引き抜き抵抗を高め、固定金具の抜け出しを防止することができる。
【0019】
切欠き溝の深さは、材質や切欠き溝の長さ、配置などによっても異なるが、第2縦辺部の板厚の1/5〜1/2程度が好ましい。例えば遮音壁用の遮音板を固定するためのスチール製の固定金具の場合の一例としては、例えば1.5mmの板厚に対し、深さ0.5mmの切欠き溝を設けるといった設計となる。
【0020】
切欠き溝の深さが浅過ぎると十分な引き抜き抵抗が得にくく、深すぎると第2縦辺部の強度低下の問題が生ずる可能性があり、また加工も面倒になる。
【0021】
また、同じ切欠き溝の深さで引き抜き抵抗を増す手段としては、切欠き溝の断面について、第2縦辺部の表面における溝下側の切欠き角度が溝上側の切欠き角度より小さくなるようにすればよい。例えば、切欠き溝下側の切欠き角度を第2縦辺部の表面に対し、90°以下とすることが考えられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明では固定金具の装着時においては、支柱の嵌合溝の内面に対し、第2縦辺部の弧状部が当接する構造であり、その部分、すなわち弧状部の当接部分に抜け止め防止用の切欠き溝が形成されているため、非常に安定した装着状態を維持することができる。
【0023】
すなわち、特許文献1や非特許文献2に示された構造では、装着時に第2縦辺部の頂部が支柱の嵌合溝の内面に当接して弾性反力を与える構造であるため、壁体に振動が生じた場合などに上方に抜け出す恐れがあり、それを第2縦辺部の高さ方向中央付近に設けた切り起こしによる突起部先端の引っ掛かりで抑制しようとするものであるため、両者の機能を互いに抑制しあう関係にある。
【0024】
これに対し、本発明では板ばね形式の固定金具として弾性反力を与える位置と抜け出し防止の位置が弧状部で一致しているため、弾性反力を維持しつつ高い引き抜き抵抗力を得ることができる。
【0025】
また、切り起こしによる突起部を形成するためには、コ字状に切り起こす加工手間が必要である上、切り起こしによる第2縦辺部の強度低下の問題が生じるのに対し、本発明における弧状部の曲げ加工や僅かな深さの切欠き溝の切削加工は極めで容易に行うことができ、かつ第2縦辺部についても実質的な強度低下は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を遮音壁の固定金具に適用した場合の一実施形態を示したもので、(a)は左側面図、(b)はその要部拡大断面図、(c)は右側面図である。
【図2】図1の実施形態における固定金具の使用状態を示したもので(a)は鉛直断面図、(b)は水平断面図である。
【図3】本発明を遮音壁の固定金具に適用した場合の他の実施形態を示したもので、(a)は左側面図、(b)はその要部拡大断面図、(c)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明を遮音壁の固定金具に適用した場合の一実施形態を示したもので、この固定金具1は、図2に示すように、H形鋼支柱21の側面に形成された嵌合溝25に、遮音板31の端部を挿入し、遮音板31の一方の面をH形鋼支柱21の一方のフランジ23の内面に押し当てた状態で、遮音板31の他方の面とH形鋼支柱21の一方のフランジ24の内面との間にハンマーなどでたたいて押し込み、固定金具1のバネ反力によって、遮音板31をH形鋼支柱21に固定するものである。
【0029】
H形鋼支柱21は道路に沿って、2mあるいは4m間隔で設置され、ウェブ22と両端のフランジ23、24との間に、両側面に開口する嵌合溝25を形成し、隣り合うH形鋼支柱21間に遮音板31が上下方向に設けられる。
【0030】
なお、比較的一般的な遮音壁の形態としては、下段についてコンクリート板が設置され、その上にグラスウールなどの遮音材を組み込んだ金属製の遮音板31が複数段設置され、屋根上に屈曲させた上部に金属枠を有する透光パネルが取り付けられるといった構造のものがある。その他、さらに表面材が取り付けられる場合が多い。
【0031】
本実施形態の固定金具1は、より具体的には、厚さ1.5mm程度のステンレス帯鋼板を曲げ加工などにより加工したものであり、図1に示すように遮音板31の上面に取り付けられる横片部8の端部から第1縦辺部2が垂下し、下辺部7を介して第2縦辺部3が斜め上方に立ち上がり、第2縦辺部3の上端部で折り返して第1縦辺部2との間に入り込む山形の内側折り返し部4を形成している。
【0032】
横片部8の中央部には嵌合孔9が形成されており、遮音板31の上面に形成された凸部(図示せず)に嵌めるようになっている。第1縦辺部2は遮音板31の片面に沿って垂下する。
【0033】
本発明では、第2縦辺部3の断面が直線状ではなく、図1の例では上部寄りに曲率の小さい滑らかな弧状部5が形成され、図1(a)に二点鎖線で示すように、遮音板31の片面とフランジ24との間に嵌め込んだときに、第2縦辺部3の上端部ではなく、この弧状部5でフランジ24の内面に接し、弧状部5で反力を伝える構造となっている。
【0034】
この弧状部5に幅方向に延びる複数条(図示の例では6条)の切欠き溝6を切削加工などにより形成することで、弧状部5が当接した状態での引き抜き抵抗を高め、振動などの影響で固定金具1が抜け出すのを防止している。
【0035】
切欠き溝6は、図1(b)に拡大して示したように、第2縦辺部3の表面における溝下側の切欠き角度αが溝上側の切欠き角度βより小さくなっている。この例では、固定金具1の板厚1.5mmに対し、深さ0.5mmの切欠きを形成し、溝下側の切欠き角度α=90°、溝上側の切欠き角度β=135°とした。切欠き溝6は幅方向の長さを長くすればそれだけ大きな引き抜き抵抗が得られることになる。
【0036】
表1はバネ反力と引き抜き抵抗についての試験結果をまとめたものである。
【0037】
【表1】

【0038】
比較例1は、従来の第2縦辺部の頂部で反力を受け、第2縦辺部の中央部に突起で引き抜き抵抗を付与するように加工したもの(非特許文献2の図面番号85/195のH150用固定金具に相当)、比較例2は第2縦辺部に特に加工を施さず第2縦辺部がフラットな固定金具、実施例1〜5は図1の実施形態に相当するものである。
【0039】
金属製の遮音パネルをH形鋼支柱に固定するための固定金具の場合、バネ反力200kg以上とされており、データのない比較例2を除き要求性能を満たしている。
【0040】
引き抜き抵抗はバネ反力に相当する荷重がかかった状態での抜け力であり、比較例1が23.0kgであったのに対し、本発明の実施例1〜5では40.5〜48.0kgとほぼ2倍の引き抜き抵抗が確認された。
【0041】
図3は本発明を遮音壁の固定金具に適用した場合の他の実施形態を示したもので、図1の実施形態に比べ、H形鋼支柱21のフランジ24と遮音板31との間の隙間が小さい場合に用いられる固定金具11(非特許文献2の図面番号87/195のH125用固定金具に相当)の例である。
【0042】
この例では、厚さ1.5mm程度のステンレス帯鋼板を曲げ加工などにより加工し、図3(a)に示すように第1縦辺部12が垂下し、下端部で折り返した第2縦辺部13が斜め上方に立ち上がり、第2縦辺部13の上端部で折り返して第1縦辺部12との間に入り込む山形の内側折り返し部14を形成している。
【0043】
第1縦辺部12の上端中央部にはボルトなどで取り付けるための取付け孔9が形成されている。
【0044】
図1の実施形態と同様、第2縦辺部13の断面が直線状ではなく、上部寄りに曲率の小さい滑らかな弧状部15が形成され、図1(a)に二点鎖線で示すように、遮音板の片面とフランジ24との間に嵌め込んだときに、第2縦辺部13の上端部ではなく、弧状部15でフランジ24の内面に接し、弧状部15で反力を伝える構造となっている。
【0045】
この弧状部15に幅方向に延びる複数条(図示の例では5条)の切欠き溝16を切削加工などにより形成することで、弧状部15が当接した状態での引き抜き抵抗を高め、振動などの影響で固定金具1が抜け出すのを防止している。
【0046】
切欠き溝16は、図3(b)に拡大して示したように、第2縦辺部13の表面における溝下側の切欠き角度αが溝上側の切欠き角度βより小さくなっている。この例も、固定金具1の板厚1.5mmに対し、深さ0.5mmの切欠きを形成し、溝下側の切欠き角度α=90°、溝上側の切欠き角度β=135°としている。
【0047】
以上、本発明を遮音壁の固定金具に適用した場合の2つの実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0048】
1…固定金具、2…第1縦辺部、3…第2縦辺部、4…内側折り返し部、5…弧状部、6…切欠き溝、7…下辺部、8…横片部、9…嵌合孔、
11…固定金具、12…第1縦辺部、13…第2縦辺部、14…内側折り返し部、15…弧状部、16…切欠き溝、19…取付け孔、
21…H形鋼支柱、22…ウェブ、23…フランジ、24…フランジ、25…嵌合溝、
31…遮音板、32…吸音材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱の側面に形成された上下方向に延びる嵌合溝に壁パネルの端部を挿入し、前記壁パネルの片面と前記嵌合溝の内面との間に嵌入して装着することで、バネ反力により前記壁パネルを前記支柱に固定するための壁パネル固定金具であって、
前記壁パネルの片面に当接する第1縦辺部と、この第1縦辺部の下部から連続して斜め上方に延びる第2縦辺部と、この第2縦辺部の上端部で折り返した山形の内側折り返し部とを有し、
前記第2縦辺部の少なくとも上部の所定範囲には、幅方向と直角な断面が前記パネルと反対側に凸となる弧状部が形成され、装着時に前記弧状部が前記嵌合溝の内面に当接するとともに、前記弧状部の表面には第2縦辺部の幅方向に延びる抜け止め防止用の切欠き溝が複数条設けられていることを特徴とする壁パネル固定金具。
【請求項2】
前記切欠き溝の深さは第2縦辺部の板厚の1/5〜1/2であることを特徴とする請求項1記載の壁パネル固定金具。
【請求項3】
前記切欠き溝の断面は、第2縦辺部の表面における溝下側の切欠き角度が溝上側の切欠き角度より小さくなっていることを特徴とする請求項1または2記載の壁パネル固定金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−100642(P2013−100642A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243493(P2011−243493)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(594141635)片山鉄建株式会社 (1)
【出願人】(511269646)
【Fターム(参考)】