説明

壁体構造物およびその施工方法

【課題】大規模な壁体構造物およびその施工方法の提供
【解決手段】多数の内側側壁構成部材1,2により一方および他方の内側側壁3,4が配置され、各内側側壁3,4の上方部が内側側壁間上方部連結材5により連結され、各内側側壁の下方部が側壁根入れ部支持体1000に根入れされ、内側側壁3,4間には内側側壁間中詰材8が充填されて内側壁体構造物24が構成され、その内側壁体構造物24における各内側側壁の外側に、多数の外側側壁構成部材12,13により一方および他方の外側側壁14,15が配置され、各外側側壁14,15の上方部が、外側側壁間上方部連結材16で連結され、各外側側壁14,15の上端レベルの高さ寸法は各内側側壁3,4の上端レベルの高さ寸法よりも高くされ、各外側側壁14,15の下方部が側壁根入れ部支持体1000に根入れされ、外側側壁14、15間には、内側壁体構造物24全体を埋め込む中詰材が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土石流や泥流の流れを導いたり、貯めたりするための導流堤や砂防ダムに用いる中詰材を有する壁体構造物およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、降雪・降雨などの影響により、堆積した火山噴出物や山腹崩壊土砂等が下流に流出するのを防止するために、砂防施設(砂防ダム、導流堤など)が整備されている。
【0003】
この砂防施設のひとつに二重壁(二重鋼矢板壁)とその内側に中詰め材を備えた壁体構造物が知られている。
従来、(1)前記のような壁体構造物における二重壁を構成する側壁の外側または/あるいは内側に、斜材の頭部が連結されるように斜材が配置されている構造の壁体構造物が知られている(例えば、特許文献1参照。特開2005−139757号公報)。
【0004】
このような斜材を備えた壁体構造物の場合、水平力が作用すると斜材や側壁には部材軸方向力(押込力、引抜力)が発生する。このため、側壁の基礎地盤への根入長が不足するといった問題が発生する場合がある。
【0005】
また、火山の噴火活動の活発化や地球温暖化に伴う気象変動の影響による降雪・降雨の変化により、土石流や泥流の流出状況が激変することがある。このような急激な変化に対し、既設の二重壁(二重鋼矢板壁)からなる壁体構造物の規模では、規模が小さいため対応できなくなり、既設の二重壁の規模を大きくしなければならないケースが生じることが想定される。
【0006】
既設の壁体構造物における二重壁の壁高をより高くする方法として、図31に示すように、既設の二重壁体構造物26の鋼製の各側壁27をそのまま利用し、既設の二重壁体構造物26の各側壁27を構成する鋼矢板27aの上端部に、新たな新設鋼矢板28aを現位置において溶接等の手段で接合して増設側壁28を形成して、鋼矢板全体の長さ(高さ)を長くし、新たに継ぎ足された新設鋼矢板28aからなる増設した側壁28間の上方部に新たなタイ材(増設側壁間連結部材)29を設置(増設)し、増設した側壁28間に中詰材30を充填して壁高を高くする方法が考えられる。
【0007】
しかし、このような方法により壁高を高くする方法では、既設の二重壁(二重鋼矢板壁)の側壁27を構成する鋼矢板27aの上端部が傾斜(中詰土の土圧により鋼矢板壁は曲げ変形する。これに伴い、鋼矢板の上端部は傾斜する。)しているため、新たな鋼矢板同志の横方向の継手のみを嵌合させ、かつ既設鋼矢板27aの上端部に溶接W等の手段で接合することはかなり大変な作業である。図31(b)に示すように、既設の壁体構造物26における側壁上端部は、壁体構造物26内に中詰材31が充填されているために、壁体中央部が外側に多少膨らんで断面太鼓状となっているために、各側壁27上端部は、鉛直方向に向いておらず、側壁間の中央よりに傾斜した状態となり、その傾斜した状態の既設側壁27の上端部に新たに鋼矢板28aなどの側壁構成部材の下端部を溶接により固定して新設の増設側壁28を構築するようになるために、新設の増設壁体32は前記傾斜方向に延長するようになり、鉛直方向に延長することが困難になる。
【0008】
また、図31(b)に示すように、既設側壁27上端部と新設増設側壁28の下端部の溶接接合部Wは、接合部の鉛直方向の位置が側壁延長方向で同一レベルとなる(いも継手となる)ため、この部分の強度を高めることが困難なため、壁体として構造的な弱点ができてしまうなどの問題があった。
【0009】
さらに、既設の壁体構造物自体を利用して大型化する場合には、既設側壁を構成する個々の既設鋼矢板頭部を延長方向に連結しているコンクリート(笠コンクリート)を撤去する必要があり、施工等のコスト、工期の長期化、鉄筋あるいはコンクリートの廃棄物を生じ、廃棄物処理などの面で問題があった。
このため、規模の拡大が容易であると共に、笠コンクリート部における鉄筋あるいはコンクリートなどによる廃棄物の処理を生じない安価な二重壁系の壁体構造物が求められていた。
【0010】
また、高さの高い壁体を構成する上下方向に直列に配置される鋼矢板等の壁体構成部材を、鉛直状態を保った状態で、容易に溶接接合して一体化することができ、溶接の容易性を確保することができ、また溶接接合部は、壁体延長方向において、すべて同じレベルとなることはなく、横方向に隣接する鋼矢板などの壁体構成部材の溶接接合部が、壁体延長方向で千鳥状配置として、溶接接合部が壁体の構造上の弱点となることのない構造的に合理的な壁体構造物が望まれていた。
【特許文献1】特開2005−139757号公報
【特許文献2】特開2005−139755号公報
【特許文献3】特開2004−244983号公報
【非特許文献1】「道路土工 仮設構造物工指針」 48〜49頁、370〜373頁、378頁 平成11年3月 社団法人 日本道路協会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような要望を考慮し、種々検討した結果、既存の壁体構造物における笠コンクリートを撤去することなく、既存の壁体構造物をそのまま利用することで既設壁体構造物の撤去費用がなくなること、また、既設の壁体構造物を、大型化した新設の壁体構造物における芯材として利用し、既設壁体構造物自体または既設壁体構造物を構成する各側壁を、新設の大型化された壁体構造物に作用する主働土圧または受働土圧に対するせん断抵抗要素として利用可能であり、新設の大型化した壁体構造物自体は二重壁体構造物として設計上成立している壁体構造物を一層安定させる要素となることを知見して本発明を完成させた。
【0012】
本発明は、前記の従来技術のように、斜材を配置する必要がないため、斜材の配置に伴う側壁の基礎地盤への根入れ長が不足するという問題が発生しない、より合理的で、安価で容易に施工でき、前記のような要望に十分こたえることが可能な大規模な壁体構造物およびその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明の壁体構造物においては、多数の内側側壁構成部材(1、2)によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に一方および他方の内側側壁(3,4)が配置され、
かつ各内側側壁(3,4)の上方部が内側側壁間上方部連結材(5)により連結され、
各内側側壁(3,4)の下方部が側壁根入れ部支持体(1000)に根入れされ、
一方および他方の内側側壁(3,4)間には内側側壁間中詰材(8)が充填されて内側壁体構造物(24)が構成され、
その内側壁体構造物(24)における各内側側壁(3,4)の外側に、それぞれ間隔をおいて並行に、多数の外側側壁構成部材(12,13)によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に一方および他方の外側側壁(14,15)が配置され、
かつ各外側側壁(14,15)の上方部が、外側側壁間上方部連結材(16)で連結され、
各外側側壁(14,15)の上端レベルの高さ寸法は各内側側壁(3,4)の上端レベルの高さ寸法よりも高くされ、
前記各外側側壁(14,15)の下方部が側壁根入れ部支持体(1000)に根入れされ、
一方および他方の外側側壁(14、15)間には、前記内側壁体構造物(24)全体を埋め込む中詰材が充填されていることを特徴とする。
第2発明の壁体構造物においては、多数の内側側壁構成部材(1)から構成される一方の内側側壁(3)と多数の内側側壁構成部材(2)から構成される他方の内側側壁(4)が所定間隔(BO)を隔てて配置され、
少なくとも、前記一方の内側側壁(3)と前記他方の内側側壁(4)の上方部が内側側壁間上方部連結材(5)により連結され、
前記一方の内側側壁(3)と前記他方の内側側壁(4)の下方部が側壁根入れ部支持体(1000)に根入れされ、
前記一方の内側側壁(3)と前記他方の内側側壁(4)の間には、内側側壁間中詰材(8)が充填され、
多数の外側側壁構成部材(12)から構成される一方の外側側壁(14)が前記一方の内側側壁(3)と所定間隔(BL)を隔てて配置され、
多数の外側側壁構成部材(13)から構成される他方の外側側壁(15)が前記他方の内側側壁(4)と所定間隔(BR)を隔てて配置され、
前記一方の外側側壁(14)の上方部と前記他方の外側側壁(15)の上方部とは外側側壁間上方部連結材(16)で連結され、前記一方の外側側壁(14)の下方部と前記他方の外側側壁(15)の下方部が側壁根入れ部支持体(1000)に根入れされ、
前記一方の外側側壁(14)と前記一方の内側側壁(3)の間には、内外側壁間中詰材(10)が充填され、
前記他方の外側側壁(15)と前記他方の内側側壁(4)の間には、内外側壁間中詰材(11)が充填され、
前記一方の外側側壁(14)と前記他方の外側側壁(15)との間に外側側壁間中詰材(9)が充填されていることを特徴とする。
第3発明では、第1発明または第2発明の壁体構造物において、
前記一方の内側側壁(3)と前記他方の内側側壁(4)の下方部が側壁根入れ部支持体上表面(150)の近傍で内側側壁間下方部連結材(7)により連結されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかの壁体構造物において、前記一方の内側側壁(3)と前記他方の内側側壁(4)の中間部が、内側側壁間上方部連結材(5)と内側側壁間下方部連結材(7)との上下方向の間において、1段または上下方向に間隔をおいて配置された複数段の内側側壁間中間部連結材(6)により連結されていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかの壁体構造物において、前記外側側壁構成部材(12)と前記外側側壁構成部材(13)の中間部が1段または上下方向に間隔をおいて配置された複数段の外側側壁間中間部連結材(17)により連結されていることを特徴とする。
第6発明では、第1発明〜第5発明のいずれかの壁体構造物において、前記一方の内側側壁(3)の下方部と前記一方の外側側壁(14)の下方部、または前記他方の内側側壁(4)の下方部と前記他方の外側側壁(15)の下方部とが、内外側壁間下方部連結材(20,23)により連結されていることを特徴とする。
第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかの壁体構造物において、前記一方の内側側壁(3)の上方部と前記一方の外側側壁(14)の中間部、または前記他方の内側側壁(4)の上方部と前記他方の外側側壁(15)の中間部とが、内外側壁間中間部連結材(19,22)により連結されていることを特徴とする。
第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれかの壁体構造物において、前記一方の内側側壁(3)の中間部と前記一方の外側側壁(14)の中間部、または前記他方の内側側壁(4)の中間部と前記他方の外側側壁(15)の中間部とが、内外側壁間中間部連結材(19)により連結されていることを特徴とする。
第9発明では、第1発明〜第8発明のいずれかの壁体構造物において、前記内外側壁間連結材(21、22、23)が前記内側側壁間連結材(5、6、7)と非連続的に配設されていることを特徴とする。

第10発明では、第1発明〜第9発明のいずれかの壁体構造物において、前記内外側壁間連結材(21、22、23)が前記内側側壁間連結材(5、6、7)と連続的に配設されていることを特徴とする。
第11発明では、第6発明〜第10発明のいずれかの壁体構造物において、前記内外側壁間連結材(21、22、23)の内側側壁間連結材側の端部と前記内側側壁間連結材(5、6、7)の内外側壁間連結材側の端部とが機械的手段により連結されていることを特徴とする。
第12発明では、第11発明の壁体構造物において、前記内外側壁間連結材(21、22、23)の内側側壁間連結材側の端部には雄ネジ部が設けられ、前記内側側壁間連結材(5、6、7)の内外側壁間連結材側の端部には雄ネジ部が設けられ、前記両方の雄ネジ部が、雌ネジ部を有する雌ネジ体(49)により連結されていることを特徴とする。
第13発明では、第12発明の壁体構造物において、雌ネジ部を有する前記雌ネジ体(36)に代えて、雌ネジ部を有する回動自在な連結装置(49)により連結されていることを特徴とする。
第14発明では、第1発明〜第13発明のいずれかの壁体構造物において、側壁根入れ部支持体(1000)が基礎地盤(1100)であることを特徴とする。
第15発明では、第1発明〜第13発明のいずれかの壁体構造物において、側壁根入れ部支持体(1000)がセメント系材料等の経時硬化性材料からなる固化体(1200)であることを特徴とする。
第16発明では、第1発明〜第15発明のいずれかの壁体構造物において、中詰材(8、9、1、11)として、土砂、石材、ソイルセメント、スラグ、コンクリート系破砕物、貝殻類の破砕物、モルタル、コンクリート等の経時硬化性材料のいずれか1種以上の材料が充填されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の壁体構造物。
第17発明では、第1発明〜第16発明のいずれかの壁体構造物において、側壁構成部材(1,2,12,13)が鋼矢板や鋼管矢板等の鋼製部材またはコンクリート矢板等の非鋼製部材であることを特徴とする。
第18の砂防ダムにおいては、第1発明〜第17発明のいずれかの壁体構造物からなることを特徴とする。
第19発明の壁体構造物の施工方法においては、多数の内側側壁構成部材(1、2)によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に一方および他方の内側側壁(3,4)を配置し、
各内側側壁(3,4)の上方部を内側側壁間上方部連結材(5)により連結し、
各内側側壁(3,4)の下方部を側壁根入れ部支持体(1000)に根入れし、
内側側壁(3,4)間には内側側壁間中詰材(8)を充填して内側壁体構造物(24)を構成し、次いで
その内側壁体構造物(24)における各内側側壁(3,4)の外側に、それぞれ間隔をおいて並行に、多数の外側側壁構成部材(12,13)によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に外側側壁(14,15)を配置し、
各外側側壁(14,15)の上方部を、外側側壁間上方部連結材(16)で連結し、
各外側側壁(14,15)の上端レベルの高さ寸法を各内側側壁(3,4)の上端レベルの高さ寸法よりも高くし、
前記各外側側壁(14,15)の下方部を側壁根入れ部支持体(1000)に根入れし、
間隔を隔てて並行する各外側側壁(14、15)は、前記内側壁体構造物(24)の上面レベルよりも上面レベルが高くされ、間隔を隔てて並行する各外側側壁(14、15)間には、前記内側壁体構造物(24)全体を埋め込む外側側壁間中詰材(9)を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、大規模な中詰材を有する壁体構造物を築造するに際し、その内部に既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物を取り込むため、その内側壁体構造物の水平方向の耐荷力を利用して、大型化された外側壁体構造物に対して容易に水平方向の耐荷力を向上させることができるとともに、既設の材料(中詰材、側壁構成部材、連結材(タイ材)など)を有効に活用することができる。また、次のような効果が得られる。
(1)既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物に使用されている側壁構成部材が中詰材のせん断変形に対する抵抗力を向上させるため、土石流等の水平外力に対する耐荷性能が向上する。
(2)新たな鋼矢板等の外側側壁構成部材を、従来のように既設の鋼矢板等の側壁構成部材に現位置で溶接等の手段で接合する作業がなく、工場あるいは現場において平置きした状態で接合一体化することが可能なため、溶接接合あるいは建て込みの施工能率が向上すると共に、構築される壁体構造物を精度よく構築することができるため、壁体構造物の品質が向上する。
(3)既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物(内側二重壁)に使用されているタイロッドなどの連結材に大規模な中詰材を有する壁体構造物に使用するタイロッドなどの連結材を回動可能な連結装置などを介して接合することにより、既設連結材を有効活用することができる。
(4)大規模な中詰材を有する壁体構造物を築造するに際し、既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物を、(1)外側壁体構成部材を建て込む場合の搬送路あるいはクレーンの設置場所として有効活用することができ、また(2)作業足場や資材仮置き場として有効活用できるため、狭隘な施工場所でも、効率よく施工することができる。
(5)小規模な中詰材を有する内側壁体構造物を有効活用するため、大規模な中詰材を有する壁体構造物を経済的に築造することができる。
(6)本発明に係わる壁体構造物は、導流堤や砂防ダムにとどまらず、護岸や擁壁、堤防、道路盛土堤体などにも適用できる。
(7)ボルトやナット等のネジ接合による機械的な接合手段により内側側壁間の連結材と内外側壁間の連結材とを接合すると容易に接合することができる。
(8)回動可能な連結装置を介在させて、内側側壁間の連結材と内外側壁間の連結材とを連結すると、内外側壁間の連結材を傾斜した状態で容易に連結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1,図18および図19は、本発明の第1実施形態の壁体構造物25を示すものであって、壁体長手方向(前後方向)に多数の内側側壁構成部材1が並列配置されると共に、その多数の内側側壁構成部材1の下方部が基礎地盤1100などの側壁根入れ部支持体1000内に起振機付き圧入装置等により配置されて、壁体幅方向(左右方向)の一方の内側側壁3が形成され、これに間隔をおいて並行するように、多数の内側側壁構成部材2の下方部が基礎地盤1100などの側壁根入れ部支持体1000内に配置されて他方の内側壁体4が形成され、各内側壁体3,4の上方部は、タイロッドなどの内側側壁上方部連結材5の端部が定着されていることにより連結されている。
【0017】
内側側壁上方部連結材5は、図18および図19に示すように、一方の内側側壁構成部材1と他方の内側側壁構成部材2とに設けられた挿通孔に渡って、両端部に雄ねじ部を有する鋼製タイロッドからなる内側側壁上方部連結材5が挿通されると共に、各内側側壁構成部材1,2の外側において内側側壁上方部連結材5の両端部にそれぞれねじ込み固定されたナット等の雌ねじ部材33が定着されて、各内側壁体構成部材1,2は所定の間隔を保持している。
【0018】
前記の側壁根入れ部支持体1000としては、基礎地盤1100あるいは改良地盤、コンクリート基礎などを用いるようにしてもよい。前記の各内側壁体3,4内に、内側側壁間中詰材8が充填されて、既設壁体構造物としての内側壁体構造物24が形成されている。
【0019】
前記の内側側壁間中詰材8としては、(1)土砂、石材、(2)ソイルセメント、(3)スラグ、(4)コンクリート系破砕物、(5)アサリ、ハマグリ、カキ殻等の貝殻類の破砕物、(6)モルタル、コンクリート等経時硬化性材料、のいずれか1種または2種以上を用いることができる。
【0020】
前記の内側壁体構造物24には、図示を省略するが、各内側側壁3,4の上端には、笠コンクリートが設けられている場合が多い。そして、本発明では、前記の内側壁体構造物24を構成する各内側側壁3,4にそれぞれ間隔(BL,BR)をおいて外側に、下方部が側壁根入れ部支持体1000内に配置され、多数の外側側壁構成部材12,13からなる一方および他方の外側側壁14,15が形成され、各外側側壁構成部材14、15の上方部が鋼製タイロッドなどの外側側壁間上方部連結材16の端部が定着されていることにより連結されている。
【0021】
前記の内側側壁構成部材1,2あるいは各外側側壁構成部材12,13としては、図30(a)に示すようなU形鋼矢板34を使用すると壁体の剛性が高まる。また、壁体長手方向の単位長さ当りの鋼重を低減し経済的な壁体とする場合には、図30(b)に示すようなハット形鋼矢板35を使用するとよい。これら鋼矢板34,35のような壁体構成部材(1,2,12,13)を使用する場合には、図32に示すように、上下方向に隣合う各側壁構成部材(1,2),(12,13)を、壁体長手方向で千鳥状配置とすると、従来のように、壁体長手方向で同じレベルの溶接接合箇所にならず、上下方向の溶接接合部が壁体構造上の強度の弱い部分にならず、合理的な大規模な側壁(3,4),(14,15)を構築することができる。
【0022】
前記の一方の内側側壁3と一方の外側側壁14との間には、一方の内外側壁間中詰材10が充填され、また、前記の他方の内側側壁2と他方の外側側壁15との間には、他方の内外側壁間中詰材11が充填され、それぞれ内側側壁間中詰材8とほぼ同レベル充填された後、外側側壁14,15間に、既設内側壁体構造物24を埋め込むように、外側側壁間中詰材9が充填されて、壁体構造物25を構築している。
【0023】
前記の内外側壁間中詰材10、11および外側側壁間中詰材9としては、前記の内側側壁間中詰材8と同様な材料が充填されている。
【0024】
なお、以下の実施形態では、相違する点を主に説明し、同様な部分については、同様な符号を付して、主に相違する部分を説明する。
【0025】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、一方の内側側壁3の下方部とこれに間隔(BO)をおいて並行する他方の内側側壁4の下方部とは、側壁根入れ部支持体上表面150の近傍に内側側壁間下方部連結材7が配置され、その内側側壁間下方部連結材7の端部が定着されて連結されている。内側側壁間下方部連結材7を側壁根入れ部支持体上表面150の近傍に配置することにより、一方の内側側壁3および他方の内側側壁4を根入れを少なくすることができると共に、内側壁体24の安定性を向上させることができる。
内側側壁間下方部連結材7は、前記の内側側壁間上方部連結材5と同様な鋼製タイロッド等の部材が使用される。前記以外の構成は、図1に示す形態と同様である。
【0026】
前記のように、内側側壁間下方部連結材7より、各内側壁体2,4の下方部を連結すると、各内側側壁3,4に作用する内側側壁間中詰材8からの土水圧による各内側側壁3,4の下方部の跳ね出し防止のために側壁根入れ部支持体1000の表面近傍に、内側側壁間下方部連結材7を配置し、より安定した内側側壁3,4とし、かつ内側側壁3,4の根入れ長を短くすることができる。図1に示す壁体構造物25の場合よりも、より安定性の高い内側壁体構造物25とすることができる。
【0027】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、一方の内側側壁3の下方部と、これに間隔BLをおいて対向する一方の外側側壁14の下方部とが、一方の内外側壁間下方部連結材20により連結され、また、他方の内側側壁4の下方部と、これに間隔BRをおいて対向する他方の外側側壁15の下方部とが、他方の内外側壁間下方部連結材23により連結されている。前記各内側側壁間下方部連結材20,23は、それぞれ内外側壁間中詰材10,11あるいは内側側壁間中詰材8に埋め込まれている。前記のように内外側壁間下方部連結材20,23により内側側壁3,4と外側側壁14,15とを連結すると、外側側壁14,15の下方部をより安定した状態で支承できるため、壁体構造物25の安定性が向上すると共に、外側壁体14,15の根入れを少なくすることができる。
図3に2点鎖線で示すように、前記第2実施形態と同様に内側側壁3,4の下方部を、鋼製タイロッドおよび定着用ナット等の内側側壁間下方部連結材7により連結するようにしてもよい。このように内側側壁間下方部連結材7と各内外側壁間下方部連結材20,23とを、配置する場合、例えば図16に示すように、これらの部材が連続した一直線状となるように連続的に配置接続すると応力の伝達効率がよく、各一端側の各内側側壁3および外側側壁14を示すように、内側側壁間上方部連結材5の端部に装着のナット等の雌ねじ部材33の外側に、ターンバックルまたは長ナットからなる雌ネジ体36の一端側の雌ねじ孔を内側側壁間上方部連結材5により連結し、そのターンバックルまたは長ナットからなる雌ネジ体36の他端側の雌ねじ孔に内外壁間下方部連結材20の雄ねじ部をねじ込み連結するようにしてもよい。前記のターンバックルまたは長ナットからなる雌ネジ体36と、内外側壁間下方部連結材20とナット等の雌ねじ部材からなる定着装置により内外側壁間連結装置が構成されている。ねじ接合のような機械的な接合手段により接合すると、容易に効率よく接合することができると共に、接合強度の高い接合構造とすることができる。
【0028】
前記の場合に、一方の内側側壁3と一方の外側側壁14を構成する個々の側壁構成部材1、12が、壁体長手方向に、大きく位置ずれしていない場合には、このような直線状に直列に接続する連結構造とすることができる。
しかし、内側側壁3と外側側壁14を構成する個々の側壁構成部材1、12が、壁体長手方向に、ハンピッチ等大きく位置ずれしている場合には、内側側壁3と外側側壁14の壁体長手方向等の施工誤差を吸収するために、図17に示すように、内側側壁間下方部連結材7に対して、壁体長手方向に位置ずれした位置で、一方の内側側壁3と一方の外側側壁14とを、内外壁間下方部連結材20により連結するようにしてもよい。この場合に、壁体幅方向で、内側側壁3の内側に配置した腹起し37の内側と、一方の外側側壁14を構成する側壁構成部材12の外側において、ナット等の雌ねじ部材33の定着具により定着し、また内側側壁構成部材1の内側に設置した腹起し37間に内外壁間下方部連結材20の端部を配置して、腹起し37間に渡って座金38を配置し、ナット等の雌ねじ部材33の定着具により定着するようにすればよい。外側側壁構成部材12(13)の内側に腹起し39を設置して、多数の外側側壁構成部材12(13)の壁体長手方向の直線性が保たれる。
図17に示す場合は、内側側壁間下方部連結材7と内外側壁間下方部連結材20(23)とが、腹起し37および内側壁体3,4を介して、これらの剛性を利用して非連続的に接続して、内側側壁3,4と外側側壁14,15を連結し、内側側壁3,4の剛性を利用し、外側壁体14,15の下方部の安定性および根入れ深さを浅くするために使用し、ひいては、大規模とされる壁体構造物25の安定性を向上させるようにしている。
なお、前記の内外壁間下方部連結材20(23)は、後記の内外壁間中間部連結材19あるいは内外側壁間上方部連結材18としても利用可能である。
なおまた、内外壁間下方部連結材20(23)を、内側側壁3(4)側に連結するために、例えば、内側側壁間中詰材8を充填する前に、雌ねじ部材33を腹起し37に予め配置しておいてもよく、内外壁間下方部連結材20(23)を内側側壁3(4)側に連結する手段としては、前記の雌ねじ部材33以外にも、図20等に示す構造が可能なため、内側側壁間中詰材8を充填した後に、内外壁間下方部連結材20(23)を内側側壁3(4)側に連結することも可能である。
壁体構造物25は、中詰材8を充填されている内側壁体24を構築するのに長期の施工期間が要求されるため、内側壁体24を施工方向に部分的または全長に渡って構築した後に、壁体構造物25が構築される。内側壁体24は、既設壁体構造物であってもよい。
【0029】
また、図20および図21に示すように、内側側壁間下方部連結材7の端部に、一端側に環状部を有し、基端側に雌ねじ孔を備えた環状部付き雌ねじ部材40(詳細は図29参照)を、前記内側側壁間下方部連結材7に定着の雌ねじ部材33を押し付けるようにねじ込み連結し、その環状部41に、U形金具42を挿通してその半円状部を係止し、前記U形金具42の各脚部43を、雌ねじ孔44およびその両側に脚部挿通孔45を有する連結板46における各脚部挿通孔45に挿通し、前記各脚部43の先端部にナット47をねじ込んで、閉鎖したU形金具48(詳細は図28参照)とし、前記U形金具42が、環状部付き雌ねじ部材40に対して回動可能に連結し、前記連結板46の雌ねじ孔44に、タイロッドからなる内外側壁間下方部連結材20,23の一端側をねじ込み連結し、内外側壁間下方部連結材20,23の他端側を外側側壁14,15に挿通し、座金および傾斜面を有する座金50を介してナット等の雌ねじ部材33により定着するようにしてもよい。
前記の環状部付き雌ねじ部材40と連結板46を備えた閉鎖したU形金具48とにより、両端部に連結手段を備えた回動自在な連結装置49が構成されている。このような回動自在な連結装置49を使用すると、閉鎖したU形金具48を上下方向あるいは横方向に位置調整して、タイロッドからなる内外側壁間下方部連結材20,23を傾斜して状態等に配置することができ、鋼矢板等の内側側壁構成部材1,2と外側側壁構成部材12,13とで施工誤差を生じた場合に、内側側壁間下方部連結材7に直列に、内外側壁間下方部連結材20を連結することができる。前記のような回動自在な連結装置49を使用すると、内側側壁間下方部連結材7に、容易に内外側壁間下方部連結材20を連結することができると共に、施工誤差を容易に吸収することができ、耐久性の高い大規模な壁体構造物25を構築することができる。前記の回動自在な連結装置49は、内側側壁間下方部連結材7と内外側壁間下方部連結材20との連結のみならず、これよりも上位レベルに配置される内側側壁間連結材と内外側壁間連結材との連結に使用できる。
【0030】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図2に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、内側側壁間下方部連結材7と外側側壁14,15側とを、図22および図23に拡大して示す連結機構を介して連結するようにした点である。次に、前記の連結機構について説明する。
【0031】
また、図22および図23に示すように、内側側壁3,4に対しは、前記の図20および図21と同様に回動自在な連結装置49における閉鎖したU形金具48を内側側壁間下方部連結材7の連結固定し、外側側壁14,15に、それぞれねじ杆51が挿通されると共に、そのねじ杆51の両端部に、外側側壁構成部材12,13とその内側に配置されている腹起し39とを挟み込むようにそれぞれナット等の雌ねじ部材33を締み込み固定して、ねじ杆51を外側側壁14,15の所定の位置に固定し、前記ねじ杆51の内側端部に、前記と同様な回動自在な連結装置49における環状部付き雌ねじ部材40をねじ込み固定し、その環状部付き雌ねじ部材40の環状部41に、前記と同様に、連結板46およびU形金具42を有する閉鎖したU形金具48を上下方向あるいは横方向に回動可能に装着し、各閉鎖したU形金具48における連結板46に渡って、鋼製タイロッド52の端部雄ねじ部をねじ込み(必要に応じ、鋼製タイロッド52に装着の各ロックナット(図示を省略)を、それぞれ連結板46に圧着し)、内側側壁間下方部連結材7と外側側壁14,15側の閉鎖したU形金具48とを連結するようにしてもよい。このような連結構造では、内側側壁3,4側の内側側壁下方部連結材7と外側側壁14,15側のねじ杆51とが、上下方向あるいは壁体長手方向に位置がずれていても、容易に、ずれを吸収して、内側側壁3,4側と外側側壁14,15側とを連結し、より耐久性の高い大規模な壁体構造物25とすることができる。
【0032】
前記のような回動自在な連結装置49を使用するような場合には、連結板46に鋼製タイロッド52をねじ込み固定した状態で、一端側あるいは両端部の連結板46を、鋼製タイロッド52に装着した状態で、連結板46の透孔に、環状部付き雌ねじ部材40に係止したU形金具42の脚部43を挿通して、連結させるようにすればよい。また、鋼製タイロッド52に回動自在な連結装置49における閉鎖したU形金具48を装着した状態で、鋼製タイロッド52の一端側または両端側の回動自在な連結装置49における環状部付き雌ねじ部材40を内側側壁間下方部連結材7等に連結するようにすればよい。
【0033】
なお、内側側壁間下方部連結材7等の連結材の端部雄ねじ部は、回動自在な連結装置49における環状部付き雌ねじ部材40との連結を容易にするために、内側側壁構成部材1,2の外側に装着のナット等の雌ねじ部材より外側に長く比較的長めにしておくとよい。また、既設の内側壁体構造物24である場合には、ナット等の雌ねじ部材33を締めこんで内側側壁間上方部あるいは中間部もしくは下方部連結材5,6,7の連結長を確保するようにしてもよい。
【0034】
なお、内外側壁間下方部連結材20,23において説明した図20から21あるいは図22〜図22に示す構造は、後記の実施形態における内外側壁間中間部連結材19,22あるいは内外側壁間上方部連結材18,21を使用している各実施形態において適用することができ、図20から図24に示す形態の構造が適用される。
【0035】
(第5施形態)
図5は、本発明の第5実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、各内側側壁3,4を構成する各内側側壁構成部材1,2を、基礎地盤1000に設けた内側溝54に充填したコンクリート等の経時硬化性材料からなる固化体1200内に埋め込み固定するようにした形態である。このような形態では、内側側壁鋼製部材1,2を内側溝54内に建て込み、必要に応じ、内側側壁間上方部連結材5により連結した状態で、経時硬化性材料を内側溝54に充填して前記の固化体1200を形成し、内側側壁間中詰材8を充填・固化して固化体1200を形成するようにすればよい。
このようにコンクリート等の固化体1200に内側側壁構成部材1、2の下部を埋め込み固定するようにすると、基礎地盤1100をより強固にした場合には、内側壁体24の安定性を向上させることができるのでよい。
【0036】
(第6実施形態)
図6は、本発明の第6実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、各外側側壁14,15を構成する各外側側壁構成部材12,13を、基礎地盤1000に設けた外側溝54に充填したコンクリート等の経時硬化性材料からなる固化体1200内に埋め込み固定するようにした形態である。このような形態では、外側壁構成部材12,13を外側溝54内に建て込み、必要に応じ、外側側壁間上方部連結材16により連結した状態で、経時硬化性材料を充填して前記の固化体1200を形成するようにすればよい。
このようにコンクリート等の固化体1200に外側側壁構成部材12、13の下部を埋め込み固定するようにすると、基礎地盤1100をより強固にした場合には、外側側壁14,15の安定性を向上させることができるのでよい。
【0037】
(第7実施形態)
図7は、本発明の第7実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、基礎地盤1000に、外側側壁14,15間の幅寸法よりも広い幅寸法の広幅溝55が壁体長手方向に連続して設けられ、内側側壁3,4を構成する各内側側壁構成部材1,2の下端部および各外側側壁14,15を構成する各外側側壁構成部材12,13の下端部が、コンクリート等の経時硬化性材料からなる固化体1200の下端部まで達するように埋め込み固定するようにした形態である。このように、内外の側壁構成部材を基礎地盤1000より強固な固化体1200内に固定すると、より安定した内側壁体構造物24あるいはこれを埋め込む壁体構造物25とすることができ、また、内側壁体構造物24の下方部がより強固な壁体構造物25となるので、これを埋め込むように構築される壁体構造物25に作用する水平力に対する水平抵抗力を、より確実に高めることができる。
【0038】
(第8実施形態)
図8は、本発明の第8実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、基礎地盤1000上に、外側側壁14,15間の幅寸法よりも広い幅寸法のコンクリート等の経時硬化性材料からなる固化体1200が壁体長手方向に連続して設けられ、内側側壁3,4を構成する各内側側壁構成部材1,2の下端部および各外側側壁14,15を構成する各外側側壁構成部材12,13の下端部が、コンクリート等の経時硬化性材料からなる固化体1200の下端部まで達するように埋め込み固定するようにした形態である。基礎地盤1000に壁体構成部材を打ち込むのが困難であるような場合、あるいは、内外の側壁構成部材を基礎地盤1000より強固な固化体1200内に固定する場合に、このようにすると、より安定した内側壁体構造物24あるいはこれを埋め込む壁体構造物25とすることができ、また、内側壁体構造物24の下方部がより強固な壁体構造物25となるので、これを埋め込むように構築される壁体構造物25に作用する水平力に対する水平抵抗力を確実に高めることができる。
【0039】
(第9実施形態)
図9は、本発明の第9実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図3に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、各外側壁体14,15相互の上下方向の中間部が、外側壁体間中間部連結材17により連結されて、外側壁体14,15の中間部の膨出を防止するようにされた形態である。このように外側壁体14,15の中間部を適宜、外側壁体間中間部連結材17により連結するようにすると、より寸法精度の高い壁体を構成することができる。外側壁体間中間部連結材17を上下方向に複数段設置するようにしてもよい。前記の外側壁体間中間部連結材17としては、外側壁体間上方部連結材16と同様に、鋼製タイロッド等を使用する。
【0040】
(第10実施形態)
図10は、本発明の第10実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図3に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、内側側壁3,4と外側側壁14,15とが、内外壁間上方格点部連結材18,21により連結されている点が相違するが、そのほかの構成は、同様である。このように内外側壁間上方部連結材18,21により、それぞれ内側側壁3,4と、外側側壁14,15を連結すると、外側側壁14,15の中間部の膨出を防止すると共に、内側壁体構造物24に対して確実に連結し、地震時等に水平利力が作用した場合にせん断抵抗要素として、内側壁体構造物24を確実に利用することができる。また、大規模な壁体構造物25の安定性をいっそう向上させることができる。
【0041】
(第11実施形態)
図11は、本発明の第11実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図10に示す前記実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、図9に示す実施形態と同様に、内側壁体構造物24の上端部近傍において、各外側壁体14,15の中間部相互を外側側壁間中間部連結材17により連結するようにした形態である。このように、外側側壁14,15相互の中間部を、外側側壁間中間部連結材17により連結するようにすると、外側側壁14,15の中間部の膨出を防止し、壁体構造物25を精度よく構築することができる。その他の構成は前記実施形態と同様である。
【0042】
(第12実施形態)
図12は、本発明の第12実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図1に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、図11に示す実施形態と同様に、内側壁体構造物24の上端部近傍において、各外側壁体14,15の中間部相互を外側側壁間中間部連結材17により連結するようにした形態である。その他構成は図1に示す形態と同様である。
【0043】
(第13実施形態)
図13は、本発明の第13実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図12に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、内側側壁3,4相互が、図2に示す実施形態と同様に、内側側壁間下方部連結材7により連結されている壁体構造物25とされている。
【0044】
(第14実施形態)
図14は、本発明の第14実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図10に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、内側側壁間下方部連結材7と、内外側壁間下方部連結材20,23を設けない構成の壁体構造物25とされている。すなわち、内側側壁3,4相互は、内側側壁間上方部連結材5により連結され、内側側壁3,4の上方部と、外側側壁14,15の中間部とは、内外側壁間上方部連結材18,21により連結されている。
【0045】
(第15実施形態)
図15は、本発明の第15実施形態の壁体構造物25を示すものであって、図14に示す実施形態の壁体構造物25と相違する構成は、内側側壁3,4の下方部が、内側側壁間下方部連結材7により連結されている構成としている点であり、その他の構成は同様である。
なお、図15に2点鎖線で示すように、内側側壁3,4相互の中間部を、上下方向に少なくとも1段の内側側壁間中間部連結材6により連結して、内側側壁3,4の中間部の膨出を防止するようにし、寸法精度および耐久性の高い内側壁体24としてもよい。前記の内側側壁間中間部連結材6としては、前記の内側側壁間上方部連結材5およびその定着構造と同じ構造を採用することができる。
【0046】
前記の各実施形態において、内側側壁間上方部連結材5、内側側壁間中間部連結材6、内側側壁下方部連結材7、外側側壁上方部連結材18、外側側壁中間部連結材19、内外側壁間上方部連結材18,21、内外側壁間中間部連結材19,22、内外側壁間下方部連結材20,23における側壁外側に露出する連結材5〜7,18〜23の防錆を図るために、図27に示すように、連結材5〜7,18〜23の端部を囲むように、例えば、鋼製短管状の筒体57を配置すると共に、その筒体57を側壁構成部材1,2,12,13に当接して溶接または接着剤等により固定し、その内側に防錆充填材58を充填することにより、連結材端部の防錆を図るようにしてもよい。前記の防錆充填材58としては、ペトロラタムペースト、グリース、エポキシ樹脂等の防錆材料を使用することができる。
【0047】
前記のように、内側側壁3,4を連結する内側側壁間の各連結材5、6、7の端部防錆処理を施しておくと、通常、内側壁体3,4の構築後に、その外側の外側側壁14,15による壁体構造物25を構築するまでに、長期間を要するため、各連結材5、6、7の端部の雄ねじ部が錆びるのを防止することができる。
【0048】
内側壁体構造物24を構築した後に、外側側壁14,15を構築する場合に、内側壁体構造物24を道路堤体として利用して、内側壁体構造物24上に自走式クレーンあるいは矢板打ち込み装置を配置して、外側側壁14,15を構築したり、固化体用のコンクリート等の経時硬化性材料の搬送路としてトラック等の搬送車の走行路として利用すると、山間地等の狭隘な施工場所でも、効率よく大規模な壁体構造物25を施工することができる。
【0049】
前記実施形態においては、U形鋼矢板(側壁構成部材)あるいはハット形鋼矢板(側壁構成部材)により、内側側壁あるいは外側側壁を構成するようにしたが、コンクリート製矢板などの非鋼製部材を側壁構成部材として使用するようにしてもよい。
【0050】
前記実施形態によると、大規模な中詰材を有する壁体構造物を築造するに際し、その内部に既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物を取り込むため、その内側壁体構造物の水平方向の耐荷力を利用して、大型化された外側壁体構造物に対して容易に水平方向の耐荷力を向上させることができるとともに、既設の材料(中詰材、側壁構成部材、連結材(タイ材)など)を有効に活用することができる。また、次のような効果が得られる。
(1)既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物に使用されている側壁構成部材が中詰材のせん断変形に対する抵抗力を向上させるため、土石流等の水平外力に対する耐荷性能が向上する。
(2)新たな鋼矢板等の外側側壁構成部材を、従来のように既設の鋼矢板等の側壁構成部材に現位置で溶接等の手段で接合する作業がなく、工場あるいは現場において平置きした状態で接合一体化することが可能なため、溶接接合あるいは建て込みの施工能率が向上すると共に、構築される壁体構造物を精度よく構築することができるため、壁体構造物の品質が向上する。
(3)既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物(内側二重壁)に使用されているタイロッドなどの連結材に大規模な中詰材を有する壁体構造物に使用するタイロッドなどの連結材を回動可能な連結装置などを介して接合することにより、既設連結材を有効活用することができる。
(4)大規模な中詰材を有する壁体構造物を築造するに際し、既設の小規模な中詰材を有する内側壁体構造物を、(1)外側壁体構成部材を建て込む場合の搬送路あるいはクレーンの設置場所として有効活用することができ、また(2)作業足場や資材仮置き場として有効活用できるため、狭隘な施工場所でも、効率よく施工することができる。
(5)小規模な中詰材を有する内側壁体構造物を有効活用するため、大規模な中詰材を有する壁体構造物を経済的に築造することができる。
(6)本発明に係わる壁体構造物は、導流堤や砂防ダムにとどまらず、護岸や擁壁、堤防、道路盛土堤体などにも適用できる。
(7)ボルトやナット等のネジ接合による機械的な接合手段により内側側壁間の連結材と内外側壁間の連結材とを接合すると容易に接合することができる。
(8)回動可能な連結装置を介在させて、内側側壁間の連結材と内外側壁間の連結材とを連結すると、内外側壁間の連結材を傾斜した状態で容易に連結することができる。
【0051】
なお、本発明に係わる壁体構造物は、導流堤や砂防ダムにとどまらず、護岸や擁壁、堤防、道路盛土堤体などにも適用できる。道路盛土堤体と
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図3】本発明の第3実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図4】本発明の第4実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図5】本発明の第5実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図6】本発明の第6実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図7】本発明の第7実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図8】本発明の第8実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図9】本発明の第9実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図10】本発明の第10実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図11】本発明の第11実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図12】本発明の第12実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図13】本発明の第13実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図14】本発明の第14実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図15】本発明の第15実施形態の壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図16】内側側壁間の連結材に対して、内外側壁間の連結材をターンバックルまたは長ナットを介して一直線上に連続した状態で連結した形態を示す横断平面図である。
【図17】内側側壁間の連結材に対して、内外側壁間の連結材を一直線上に連続した状態で連結できない場合に、壁体長手方向に内外側壁間の連結材を変位あせた状態で、内外の側壁を連結した形態を示す横断平面図である。
【図18】図1に示す第1実施形態の壁体構造物の一部を拡大して示す横断平面図である。
【図19】図1に示す第1実施形態の壁体構造物の一部を拡大して示す縦断正面図である。
【図20】内外の側壁を回動自在な連結装置を使用して連結する場合の一実施形態を示す横断平面図である。
【図21】図20の縦断正面図である。
【図22】内外の側壁を複数の回動自在な連結装置を使用して連結する場合の一実施形態を示す横断平面図である。
【図23】図22の縦断正面図である。
【図24】内側壁体構造物を示す縦断正面図である。
【図25】図24の横断平面図である。
【図26】図1の一部を拡大して示す一部縦断正面図である。
【図27】(a)は内側側壁間等の連結材の端部を示す縦断正面図、(b)は連結材の端部の防錆処理を施した状態を示す縦断正面図である。
【図28】連結板により閉鎖したU形金具を示すものであって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図29】環状部付きの雌ねじ部材を示すものであって、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図30】側壁構成部材により側壁を構成する場合の形態を示すものであって、(a)はU形鋼矢板相互の継手をかみ合わせて側壁を構成した場合を示す平面図、(b)はハット形鋼矢板相互の継手をかみ合わせて側壁を構成した場合を示す平面図である。
【図31】従来の既設壁体の上部に側壁構成部材を溶接により継ぎ足して、壁体を大型化する場合の説明図であって、(a)は縦断正面図、(b)は側面図である。
【図32】本発明の外側側壁構成部材の形態を示すものであって、鋼矢板を壁体長手方向に千鳥状に配置して、外側側壁を構築する場合の形態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 内側側壁構成部材
2 内側側壁構成部材
3 内側側壁
4 内側側壁
5 内側側壁間上方部連結材
7 内側側壁間下方部連結材
8 内側側壁間中詰材
9 外側側壁間中詰材
10 内外側壁間中詰材
11 内外側壁間中詰材
12 外側側壁構成部材
13 外側側壁構成部材
14 外側側壁
15 外側側壁
17 外側側壁間中間連結材
20 内外側壁間下方部連結材
22 内外側壁間中間連結材
23 内外側壁間下方部連結材
24 内側壁体構造物
25 壁体構造物
26 二重壁体構造物
27 側壁
28 増設側壁
29 タイ材
30 中詰材
31 中詰材
32 増設壁体
33 雌ねじ部材
34 U形鋼矢板
35 ハット形鋼矢板
36 ターンバックルまたは長ナットからなる雌ネジ体
37 腹起し
38 座金
39 腹起し
40 環状部付き雌ねじ部材
41 環状部
42 U形金具
43 脚部
44 雌ねじ部材
45 脚部挿通孔
46 連結板
47 ナット
48 閉鎖したU形金具
49 回動自在な連結装置
50 傾斜面を有する座金
51 ねじ杆
52 鋼製タイロッド
53 内側溝
54 外側溝
55 広幅溝
57 筒体
58 防錆充填材
1000 側壁根入れ部支持体
1100 基礎地盤
1150 側壁根入れ部支持体上表面
1200 経時硬化性材料からなる固化体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の内側側壁構成部材によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に一方および他方の内側側壁が配置され、
かつ各内側側壁の上方部が内側側壁間上方部連結材により連結され、
各内側側壁の下方部が側壁根入れ部支持体に根入れされ、
一方および他方の内側側壁間には内側側壁間中詰材が充填されて内側壁体構造物が構成され、
その内側壁体構造物における各内側側壁の外側に、それぞれ間隔をおいて並行に、多数の外側側壁構成部材によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に一方および他方の外側側壁が配置され、
かつ各外側側壁の上方部が、外側側壁間上方部連結材で連結され、
各外側側壁の上端レベルの高さ寸法は各内側側壁の上端レベルの高さ寸法よりも高くされ、
前記各外側側壁の下方部が側壁根入れ部支持体に根入れされ、
一方および他方の外側側壁間には、前記内側壁体構造物全体を埋め込む中詰材が充填されていることを特徴とする壁体構造物。
【請求項2】
多数の内側側壁構成部材から構成される一方の内側側壁と多数の内側側壁構成部材から構成される他方の内側側壁が所定間隔を隔てて配置され、
少なくとも、前記一方の内側側壁と前記他方の内側側壁の上方部が内側側壁間上方部連結材により連結され、
前記一方の内側側壁と前記他方の内側側壁の下方部が側壁根入れ部支持体に根入れされ、
前記一方の内側側壁と前記他方の内側側壁の間には、内側側壁間中詰材が充填され、
多数の外側側壁構成部材から構成される一方の外側側壁が前記一方の内側側壁と所定間隔を隔てて配置され、
多数の外側側壁構成部材から構成される他方の外側側壁が前記他方の内側側壁と所定間隔を隔てて配置され、
前記一方の外側側壁の上方部と前記他方の外側側壁の上方部とは外側側壁間上方部連結材で連結され、前記一方の外側側壁の下方部と前記他方の外側側壁の下方部が側壁根入れ部支持体に根入れされ、
前記一方の外側側壁と前記一方の内側側壁の間には、内外側壁間中詰材が充填され、
前記他方の外側側壁と前記他方の内側側壁の間には、内外側壁間中詰材が充填され、
前記一方の外側側壁と前記他方の外側側壁との間に外側側壁間中詰材が充填されていることを特徴とする壁体構造物。
【請求項3】
前記一方の内側側壁と前記他方の内側側壁の下方部が側壁根入れ部支持体上表面の近傍で内側側壁間下方部連結材により連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の壁体構造物。
【請求項4】
前記一方の内側側壁と前記他方の内側側壁の中間部が、内側側壁間上方部連結材と内側側壁間下方部連結材との上下方向の間において、1段または上下方向に間隔をおいて配置された複数段の内側側壁間中間部連結材により連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項5】
前記外側側壁構成部材と前記外側側壁構成部材の中間部が1段または上下方向に間隔をおいて配置された複数段の外側側壁間中間部連結材により連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項6】
前記一方の内側側壁の下方部と前記一方の外側側壁の下方部、または前記他方の内側側壁の下方部と前記他方の外側側壁の下方部とが、内外側壁間下方部連結材により連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項7】
前記一方の内側側壁の上方部と前記一方の外側側壁の中間部、または前記他方の内側側壁の上方部と前記他方の外側側壁の中間部とが、内外側壁間中間部連結材により連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項8】
前記一方の内側側壁の中間部と前記一方の外側側壁の中間部、または前記他方の内側側壁の中間部と前記他方の外側側壁の中間部とが、内外側壁間中間部連結材により連結されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項9】
前記内外側壁間連結材が前記内側側壁間連結材と非連続的に配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項10】
前記内外側壁間連結材が前記内側側壁間連結材と連続的に配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項11】
前記内外側壁間連結材の内側側壁間連結材側の端部と前記内側側壁間連結材の内外側壁間連結材側の端部とが機械的手段により連結されていることを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項12】
前記内外側壁間連結材の内側側壁間連結材側の端部には雄ネジ部が設けられ、前記内側側壁間連結材の内外側壁間連結材側の端部には雄ネジ部が設けられ、前記両方の雄ネジ部が雌ネジ部を有する雌ネジ体により連結されていることを特徴とする請求項11に記載の壁体構造物。
【請求項13】
前記雌ネジ体に代えて、雌ネジ部を有する回動自在な連結装置により連結されていることを特徴とする請求項12に記載の壁体構造物。
【請求項14】
側壁根入れ部支持体が基礎地盤であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項15】
側壁根入れ部支持体がセメント系材料等の経時硬化性材料からなる固化体であることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項16】
中詰材として、土砂、石材、ソイルセメント、スラグ、コンクリート系破砕物、貝殻類の破砕物、モルタル、コンクリート等の経時硬化性材料のいずれか1種以上の材料が充填されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項17】
側壁構成部材が鋼矢板や鋼管矢板等の鋼製部材またはコンクリート矢板等の非鋼製部材であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の壁体構造物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項の壁体構造物からなることを特徴とする砂防ダム。
【請求項19】
多数の内側側壁構成部材によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に一方および他方の内側側壁を配置し、
各内側側壁の上方部を内側側壁間上方部連結材により連結し、
各内側側壁の下方部を側壁根入れ部支持体に根入れし、
内側側壁間には内側側壁間中詰材を充填して内側壁体構造物を構成し、次いで
その内側壁体構造物における各内側側壁の外側に、それぞれ間隔をおいて並行に、多数の外側側壁構成部材によりそれぞれ所定間隔を隔てて並行に外側側壁を配置し、
各外側側壁の上方部を、外側側壁間上方部連結材で連結し、
各外側側壁の上端レベルの高さ寸法を各内側側壁の上端レベルの高さ寸法よりも高くし、
前記各外側側壁の下方部を側壁根入れ部支持体に根入れし、
間隔を隔てて並行する各外側側壁は、前記内側壁体構造物の上面レベルよりも上面レベルが高くされ、間隔を隔てて並行する各外側側壁間には、前記内側壁体構造物全体を埋め込む外側側壁間中詰材を充填することを特徴とする壁体構造物の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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