壁掛便器の取付構造及び壁掛便器
【課題】便器本体に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる壁掛便器の取付構造及び壁掛便器を提供することを目的とする。
【解決手段】後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在する支持部材と、水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、を備え、便器本体を前記支持部材に固定して前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持することを特徴とする壁掛便器の取付構造が提供される。
【解決手段】後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在する支持部材と、水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、を備え、便器本体を前記支持部材に固定して前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持することを特徴とする壁掛便器の取付構造が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、便器本体を床面から浮かせた状態で取り付ける壁掛便器の取付構造及び壁掛便器に関する。
【背景技術】
【0002】
腰掛け式便器を住宅のトイレに取り付けるに際して、フレームの横部材を壁裏の補強に対して固定する構造や、部屋隅の柱に対して固定具を釘で固定し、この固定具に対して横部材を固定する構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載される取り付け構造においては、壁内部の構造柱である管柱に対して壁内面側から左右の固定具をねじ具等により固定し、この左右の固定具に補強バーを架け渡すように固定している。そして、この補強バーに便器本体を固定している。
【0003】
壁掛便器においては、便器に座るなどして便器に荷重がかかると、便器が倒れようとしてその力が後ろ壁面に対して垂直方向に作用する。この便器の倒れによる便器先端の沈み込みの大きさは後ろ壁面の強度に依存する。ここで、後ろ壁面の強度は、後ろ壁面の材質や厚み、後ろ壁を支える間柱の有無、寸法、部屋隅の柱の大きさなどに依存する。
【0004】
しかしながら、リフォームなどでの入れ替え工事の場合、すでに建築構造は完成しているため、間柱の有無、寸法、後ろ壁面の厚さ、強度等は分からず、取り付けようとする部屋によっては、後ろ壁面の変形が過大になる。また、特許文献1に記載の取付構造では、便器本体に下向きに加わる力が後ろ壁に伝わった場合、後ろ壁面の横方向の変形は抑制できても、縦方向の変形を十分に抑制できない。
【0005】
ここで、本明細書における横方向の変形及び縦方向の変形について説明する。
図14(a)〜(b)は、後ろ壁面の変形について例示する模式的斜視図である。
図14(a)では、床面FLから立ち上がる壁面BWが横方向に変形した例、図14(b)では、床面FLから立ち上がる後ろ壁面BWが縦方向に変形した例を表している。
図14(a)に表したように、「横方向の変形」とは、後ろ壁面BWが縦軸Oyの周りに湾曲する変形のことをいう。
図14(b)に表したように、「縦方向の変形」とは、後ろ壁面BWが横軸Oxの周りに湾曲する変形のことをいう。
【0006】
上記のように、特許文献1に記載の取付構造では、左右の固定具に渡される補強バーによって、後ろ壁面の横方向の変形についてはある程度抑制される。しかし、縦方向の変形については十分に抑制することができず、その結果、便器先端の変位(沈み込み)が大きい。
また、補強バーの固定具を管柱に固定する必要があり、後ろ壁の構造によって施工上の制約を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−273933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便器本体に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる壁掛便器の取付構造及び壁掛便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在する支持部材と、水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、を備え、便器本体を前記支持部材に固定して前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持することを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0010】
この壁掛便器の取付構造によれば、後ろ壁面に縦部材が固定されているため、便器本体に加わった下向きの力が、支持部材及び連結部材を介して縦部材に対して前方向きの力として伝わった場合でも、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記後ろ壁面に固定され水平方向に延在し、前記縦部材と連結される横部材をさらに備えたことを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0012】
この壁掛便器の取付構造によれば、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。また、縦部材とともに横部材も後ろ壁面に固定されているため、後ろ壁面の縦方向の変形及び横方向の変形を抑制することができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0013】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記後ろ壁面に向かってみたとき、前記連結部材及び前記支持部材の水平方向の位置は前記縦部材の水平方向の位置と合っていることを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0014】
この壁掛便器の取付構造によれば、便器本体に加わる下向きの力が、支持部材及び連結部材を介して縦部材に直接伝わることになる。これにより、連結部材と縦部材との間で捩れの力が加わらず、便器本体の変位を効果的に抑制することができる。また、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0015】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記縦部材は、前記後ろ壁面に複数箇所で固定されることを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0016】
この壁掛便器の取付構造によれば、縦部材から後ろ壁面に伝わる縦方向の力を複数の固定箇所に分散させることができ、局所的な壁面の変形を抑制することができる。また、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0017】
また、第5の発明は、便器本体と、後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在し、前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持するための支持部材と、水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、を備え、前記便器本体に加わった下向きの力が、前記支持部材及び前記連結部材を介して前記縦部材に対して前方向きの力として伝わった際に、前記後ろ壁面の変形を抑制することを特徴とする壁掛便器である。
【0018】
この壁掛便器によれば、後ろ壁面に縦部材が固定されているため、便器本体に加わった下向きの力が、支持部材及び連結部材を介して縦部材に対して前方向きの力として伝わった場合でも、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。すなわち、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体がしっかりと固定される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、便器本体に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる壁掛便器の取付構造及び壁掛便器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る取付構造体を例示する模式的斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的正面図である。
【図4】第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図8】第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図10】(a)〜(b)は、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式図である。
【図11】第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図12】第5の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図13】第6の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図14】(a)〜(b)は、後ろ壁面の変形について例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る取付構造体を例示する模式的斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的正面図である。
図4は、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【0023】
図1に表したように、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、を備え、便器本体100を床面FLから浮かせた状態で支持するものである。
【0024】
縦部材10は、垂直方向に延在する例えば角型材(中空または中実)である。縦部材10には、例えば鋼材が用いられる。図1及び図2に表したように、縦部材10は、後ろ壁面BWに固定部材B1によって固定される。固定部材B1としては、例えばボルト及びナットやビスが用いられる。
【0025】
固定部材B1は、縦部材10の複数箇所に設けられ、これによって後ろ壁面BWに頑丈に固定される。なお、固定部材B1は接着剤であってもよい。接着剤によって固定する場合には、縦部材10の裏面の広い範囲(例えば、裏面全面)に接着剤を塗布して、しっかりと固定することが望ましい。
本実施形態では、2本の縦部材10が所定の間隔で略平行に設けられている。
【0026】
支持部材20は、後ろ壁面BWから離れた位置で床面FLに固定される。支持部材20は、床面FLから垂直方向に延在する例えば角型材(中空または中実)である。支持部材20は、床面FLに例えばL型部材によって固定される。
【0027】
本実施形態では、2本の支持部材20が所定の間隔で平行に設けられている。2本の支持部材20は、床面FLにおいて第1連結部21によって連結され、床面FLから離れた位置で第2連結部22及び第3連結部23によって連結されている。これにより、2本の支持部材20は、その間隔を維持したまま床面FLに頑丈に固定される。
【0028】
連結部材30は、水平方向に延在する。すなわち、連結部材30は、後ろ壁面BWに対して垂直な方向に延在して設けられる。連結部材30の一端30aは縦部材10に固定され、他端30bは支持部材20に固定される。連結部材30によって、支持部材20は縦部材10と一定の間隔でしっかりと保持される。
本実施形態では、2本の縦部材10及び2本の支持部材20に対応して2本の連結部材30が設けられている。
【0029】
便器本体100は、支持部材20の前方面に固定される。支持部材20には例えば2本のボルト25が取り付けられている。また、便器本体100には孔hが設けられている。この孔hにボルト25を通してナットで固定することで、便器本体100を床面FLから浮かせた状態で支持する。便器本体100は、例えば2本のボルト25及びナットで支持部材20に固定されるとともに、便器本体100の後方面の下部が第2連結部22の部分Pに接触して、3点による支持によって固定される。
【0030】
本実施形態では、2本の連結部材30に平板部材35が取り付けられている。平板部材35は2本の連結部材30の間隔を確実に固定するために設けられているとともに、ロータンク200を固定するために用いられる。
【0031】
このような壁掛便器の取付構造では、後ろ壁面BWに縦部材10が固定部材B1によってしっかりと固定されているため、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に前方向きの力として伝わった場合でも、後ろ壁面BWの縦方向の変形を抑制することができる。
【0032】
すなわち、縦部材10は後ろ壁面BWに垂直方向に固定されているため、後ろ壁面BWの垂直方向に沿った強度を補っている。したがって、縦部材10に前方向きに力が加わっても、後ろ壁面BWの垂直方向に沿った広い範囲でその力を受けて、後ろ壁面BWが縦方向に変形(反る)ことを抑制する。
【0033】
このように、縦部材10によって後ろ壁面BWを補強しているため、本実施形態では、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。例えば、木造住宅のように、コンクリート壁に比べて強度の低い壁であっても、また、壁の裏側に設けられる管柱の位置にかかわらず、壁掛け式の便器本体100を頑丈に固定することができる。これにより、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0034】
また、図3に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造では、後ろ壁面BWに向かってみたとき、連結部材30及び支持部材20の水平方向の位置は縦部材10の水平方向の位置と合っている。
【0035】
すなわち、後ろ壁面BWに向かってみると、縦部材10、連結部材30及び支持部材20は直線状に設けられる。このように設けることで、便器本体100に加わる下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に直接伝わることになる。これにより、連結部材30と縦部材10との間で捩れの力が加わらず、便器本体100の変位を効果的に抑制することができる。
【0036】
図4に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器110は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、を備える。
【0037】
縦部材10、支持部材20及び連結部材30は、後ろ壁面BWと便器本体100との間に設けられるキャビネット300の内側に配置される。連結部材30の上に搭載されたロータンク200は、キャビネット300の内側に収納される。
【0038】
このような壁掛便器110では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図6は、第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【0040】
図5に表したように、第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図1に表した第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造に、横部材40をさらに備えた構成である。
横部材40は、水平方向に延在する例えばL型の部材である。横部材40には、例えば縦部材10と同じ材料が用いられる。
【0041】
横部材40は、後ろ壁面BWに固定部材B2によって固定される。固定部材B2としては、例えばボルト及びナットやビスが用いられる。固定部材B2は、横部材40の複数箇所に設けられ、これによって後ろ壁面BWに頑丈に固定される。なお、固定部材B2は接着剤であってもよい。接着剤によって固定する場合には、横部材40の裏面の広い範囲(例えば、裏面全面)に接着剤を塗布して、しっかりと固定することが望ましい。
【0042】
例えば、2本の縦部材10が平行に設けられている場合、横部材40は、2本の縦部材10の上端部10aを連結するように取り付けられる。横部材40は、後ろ壁面BWの幅にわたって設けられていても、後ろ壁面BWの幅よりも狭く設けられていてもよい。
【0043】
本実施形態では、縦部材10による後ろ壁面BWの補強に加え、横部材40によっても後ろ壁面BWを補強している。すなわち、本実施形態では、縦部材10によって後ろ壁面BWの垂直方向に沿った補強を行うとともに、横部材40によって後ろ壁面BWの水平方向に沿った補強を行い、後ろ壁面BWの縦方向の変形及び横方向の変形を抑制する。これによって、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
【0044】
図6に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器120は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、横部材40と、を備える。
【0045】
縦部材10、支持部材20、連結部材30及び横部材40は、後ろ壁面BWと便器本体100との間に設けられるキャビネット300の内側に配置される。連結部材30の上に搭載されたロータンク200は、キャビネット300の内側に収納される。
【0046】
図6に表した壁掛便器120においては、横部材40をキャビネット300の天板301を支える部材としても利用することができる。また、横部材40の長さを短くすると(例えば、2本の縦部材10の間隔と同等の長さ)、キャビネット300の扉305を開け際に横部材40が見えることを防止することができる。
【0047】
このような壁掛便器120では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10及び横部材40に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0048】
なお、図5及び図6に表した例には、1本の横部材40が設けられているが、複数本の横部材40を設けてもよい。例えば、2本の横部材40を設けて、そのうちの1本を縦部材10の上端部10aに設け、他の1本を縦部材10の下端部10bに設けるようにしてもよい。これによって、さらなる補強が達成され、便器本体100の沈み込みを効果的に抑制することができるようになる。
また、横部材40は、縦部材10の上端部10aよりも下側の中間部分に設けられていてもよい。
【0049】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図8は、第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【0050】
図7に表したように、第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図1に表した第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造に対して、縦部材10が連結部材30よりも下方に延びている点で相違する。例えば、縦部材10の下端部10bは床面FLに達している。
【0051】
縦部材10を後ろ壁面BWに固定する固定部材B1は、縦部材10の複数箇所に設けられる。
縦部材10の長さは長いほど、縦部材10に対して加わった前方向きの力を分散して、後ろ壁面BWが反ることを効果的に抑制することができる。
【0052】
なお、縦部材10の下端部10bは床面FLに達していなくてもよい。例えば、幅木(図示せず)に達しないように設けて、幅木と干渉しないようにしてもよい。縦部材10の下端部10bを床面FLにまで達しないようにすると、縦部材10を後ろ壁面BWに固定する作業が行いやすくなる。
【0053】
図7に表した壁掛便器の取付構造では、2本の横部材40が設けられている。2本のうちの1本の横部材40は縦部材10の上端部10aに設けられ、他の1本の横部材40は縦部材10と連結部材30との接続部分に設けられている。2本の横部材40は、いずれも固定部材B2によって後ろ壁面BWに固定されている。
【0054】
2本の縦部材10及び2本の横部材40が井桁状に組み合わされて後ろ壁面BWにしっかりと固定されていることで、後ろ壁面BWを十分に補強することができる。
これにより、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定でき、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0055】
図8に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器130は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と及び連結部材30を備える。また、必要に応じて横部材40をさらに備える。
【0056】
縦部材10、支持部材20、連結部材30及び必要に応じて設けられた横部材40は、後ろ壁面BWと便器本体100との間に設けられるキャビネット300の内側に配置される。連結部材30の上に搭載されたロータンク200は、キャビネット300の内側に収納される。
【0057】
図8に表した壁掛便器130においては、縦部材10が連結部材30よりも下方に延びていても、キャビネット300によって隠すことができ、見た目を損なうことはない。
また、横部材40が設けられている場合には、キャビネット300の天板301を支える部材としても利用することができる。また、横部材40の長さを短くすると(例えば、2本の縦部材10の間隔と同等の長さ)、キャビネット300の扉305を開け際に横部材40が見えることを防止できる。
【0058】
このような壁掛便器130では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0059】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図10(a)〜(b)は、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式図である。図10(a)には正面図、図10(b)には側面図が表されている。
【0060】
図9に表したように、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図5に表した第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造の縦部材10を連結部材30よりも下方に延在するとともに、2本の横部材40をさらに備えた構成である。
【0061】
縦部材10の下端部10bは、例えば連結部材30と床面FLとの間に設けられる。例えば、下端部10bは幅木よりも上の位置に配置される。
縦部材10の上端部10aは、2本の横部材40のうち上側の横部材40と接続される。一方、縦部材10の下端部10bは、2本の横部材40のうち下側の横部材40と接続される。
【0062】
例えば、2本の縦部材10が平行に設けられている場合、上側の横部材40は2本の縦部材10の上端部10aを連結するように取り付けられ、下側の横部材40は2本の縦部材10の下端部10bを連結するように取り付けられる。横部材40は、後ろ壁面BWの幅にわたって設けられていても、後ろ壁面BWの幅よりも狭く設けられていてもよい。
【0063】
図10(a)及び(b)に表したように、2本の横部材40は、連結部材30を間にして上下に設けられている。連結部材30には、支持部材20に取り付けられた便器本体100からの荷重や、ロータンク200からの荷重が加わる。この荷重は、連結部材30から縦部材10及び横部材40を介して後ろ壁面BWに前方向の力として伝わる。
【0064】
本実施形態では、連結部材30から後ろ壁面BW側に伝わる力を縦部材10及び連結部材30を間にして上下に配置された横部材40によって広く分散させることができる。これにより、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。したがって、本実施形態では、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
また、縦部材10の下端部10bを床面FLにまで達しないようにすることで、縦部材10及び下側の横部材40を後ろ壁面BWに固定する作業が行いやすくなるというメリットもある。
【0065】
図11に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器140は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、2本の横部材40と、を備える。
【0066】
このような壁掛便器140では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10及び横部材40に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0067】
なお、図9及び図10に表した本実施形態に係る壁掛便器の取付構造及び図11に表した壁掛便器140において、横部材40を3本以上設けてもよい。例えば、縦部材10の上端部10a及び下端部10bにそれぞれ横部材40を設けるとともに、連結部材30の一端30aに接続するように横部材40を設けてもよい。
【0068】
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図12に表したように、第5の実施形態に係る壁掛便器の取付構造においては、図1に表し第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造よりも幅の広い縦部材11を備えている点で相違する。
【0069】
縦部材11は、2本の連結部材30の間隔とほぼ等しい幅を有する。縦部材11は、固定部材B1によって後ろ壁面BWに固定される。固定部材B1は、縦部材11の縦横複数箇所に設けられる。
【0070】
すなわち、縦部材11の幅は、縦部材10の幅よりも広いため、縦部材11を後ろ壁面BWに固定する場合には、縦部材10を固定する場合よりも多くの固定部材B1を用いて固定することができる。さらに、幅の広い1つの縦部材11を用いることで、複数の縦部材10を設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0071】
また、幅の広い縦部材11により後ろ壁面BWを、縦、横及び斜めの方向に補強することができる。これによって、後ろ壁面BWの縦方向の変形及び横方向の変形を抑制するとともに、これらを複合した斜め方向の変形についても抑制することができる。したがって、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
【0072】
第5の実施形態に係る壁掛便座の取付構造は、壁掛便器に適用される。これにより、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定でき、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0073】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図13に表したように、第6の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図1に表し第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造に、斜め部材50をさらに備えた構成である。
斜め部材50は、2本の縦部材10の間に設けられた斜めに延在する例えば角型材(中空または中実)である。斜め部材50には、例えば縦部材10と同じ材料が用いられる。
【0074】
斜め部材50は、一端50aが2本の縦部材10のうちの1本の縦部材10の上端部10aに接続され、他端50bが他の縦部材10の下端部10bに接続される。すなわち、斜め部材50は、2本の縦部材10を斜めに繋ぐ部材である。斜め部材50は、後ろ壁面BWに固定部材B3によって固定される。固定部材B3としては、例えばボルト及びナットやビスが用いられる。固定部材B3は、斜め部材50の複数箇所に設けられ、これによって後ろ壁面BWに頑丈に固定される。なお、固定部材B3は接着剤であってもよい。接着剤によって固定する場合には、斜め部材50の裏面の広い範囲(例えば、裏面全面)に接着剤を塗布して、しっかりと固定することが望ましい。
【0075】
本実施形態では、縦部材10による後ろ壁面BWの補強に加え、斜め部材50によっても後ろ壁面BWを補強している。すなわち、本実施形態では、縦部材10によって後ろ壁面BWの垂直方向に沿った補強を行うとともに、斜め部材50によって後ろ壁面BWの斜め方向に沿った補強を行う。これによって、後ろ壁面BWの縦方向の変形及び横方向の変形を抑制し、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
【0076】
なお、本実施形態においては、複数の斜め部材50が設けられていてもよい。複数の斜め部材50は、互いに異なる斜め方向に延在して設けられる。これによって、斜め部材50の延びる方向に沿った壁面BWの補強がなされる。
【0077】
第6の実施形態に係る壁掛便座の取付構造は、壁掛便器に適用される。これにより、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定でき、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造及び壁掛便器によれば、便器本体100に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる。これにより、壁掛け型の便器において着座した際の安心感の高い製品を提供することが可能になる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0080】
例えば、実施形態において縦部材10の延在する垂直方向とは、床面FLに対してほぼ垂直な方向を含む。また、横部材40の延在する水平方向とは、床面FLに対してほぼ平行な方向を含む。
また、実施形態では、2本の縦部材10を用いる例を説明したが、3本以上の縦部材10を用いてもよい。例えば、実施形態で説明した2本の縦部材10の間に他の縦部材10を設けたり、2本の縦部材10よりも外側に他の縦部材10を設けるようにしてもよい。
また、縦部材10、支持部材20、連結部材30、横部材40及び斜め部材50は角型材に限定されず、U字型やL字型など他の断面形状の部材であっても適用可能である。
さらにまた、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0081】
10…縦部材、10a…上端部、10b…下端部、11…縦部材、20…支持部材、21…第1連結部、22…第2連結部、23…第3連結部、25…ボルト、30…連結部材、30a…一端、30b…他端、35…平板部材、40…横部材、50…斜め部材、50a…一端、50b…他端、100…便器本体、110,120,130,140…壁掛便器、200…ロータンク、300…キャビネット、301…天板、305…扉、B1…固定部材、B2…固定部材、B3…固定部材、BW…後ろ壁面、FL…床面、h…孔
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、便器本体を床面から浮かせた状態で取り付ける壁掛便器の取付構造及び壁掛便器に関する。
【背景技術】
【0002】
腰掛け式便器を住宅のトイレに取り付けるに際して、フレームの横部材を壁裏の補強に対して固定する構造や、部屋隅の柱に対して固定具を釘で固定し、この固定具に対して横部材を固定する構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載される取り付け構造においては、壁内部の構造柱である管柱に対して壁内面側から左右の固定具をねじ具等により固定し、この左右の固定具に補強バーを架け渡すように固定している。そして、この補強バーに便器本体を固定している。
【0003】
壁掛便器においては、便器に座るなどして便器に荷重がかかると、便器が倒れようとしてその力が後ろ壁面に対して垂直方向に作用する。この便器の倒れによる便器先端の沈み込みの大きさは後ろ壁面の強度に依存する。ここで、後ろ壁面の強度は、後ろ壁面の材質や厚み、後ろ壁を支える間柱の有無、寸法、部屋隅の柱の大きさなどに依存する。
【0004】
しかしながら、リフォームなどでの入れ替え工事の場合、すでに建築構造は完成しているため、間柱の有無、寸法、後ろ壁面の厚さ、強度等は分からず、取り付けようとする部屋によっては、後ろ壁面の変形が過大になる。また、特許文献1に記載の取付構造では、便器本体に下向きに加わる力が後ろ壁に伝わった場合、後ろ壁面の横方向の変形は抑制できても、縦方向の変形を十分に抑制できない。
【0005】
ここで、本明細書における横方向の変形及び縦方向の変形について説明する。
図14(a)〜(b)は、後ろ壁面の変形について例示する模式的斜視図である。
図14(a)では、床面FLから立ち上がる壁面BWが横方向に変形した例、図14(b)では、床面FLから立ち上がる後ろ壁面BWが縦方向に変形した例を表している。
図14(a)に表したように、「横方向の変形」とは、後ろ壁面BWが縦軸Oyの周りに湾曲する変形のことをいう。
図14(b)に表したように、「縦方向の変形」とは、後ろ壁面BWが横軸Oxの周りに湾曲する変形のことをいう。
【0006】
上記のように、特許文献1に記載の取付構造では、左右の固定具に渡される補強バーによって、後ろ壁面の横方向の変形についてはある程度抑制される。しかし、縦方向の変形については十分に抑制することができず、その結果、便器先端の変位(沈み込み)が大きい。
また、補強バーの固定具を管柱に固定する必要があり、後ろ壁の構造によって施工上の制約を受けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−273933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、便器本体に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる壁掛便器の取付構造及び壁掛便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在する支持部材と、水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、を備え、便器本体を前記支持部材に固定して前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持することを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0010】
この壁掛便器の取付構造によれば、後ろ壁面に縦部材が固定されているため、便器本体に加わった下向きの力が、支持部材及び連結部材を介して縦部材に対して前方向きの力として伝わった場合でも、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0011】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記後ろ壁面に固定され水平方向に延在し、前記縦部材と連結される横部材をさらに備えたことを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0012】
この壁掛便器の取付構造によれば、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。また、縦部材とともに横部材も後ろ壁面に固定されているため、後ろ壁面の縦方向の変形及び横方向の変形を抑制することができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0013】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記後ろ壁面に向かってみたとき、前記連結部材及び前記支持部材の水平方向の位置は前記縦部材の水平方向の位置と合っていることを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0014】
この壁掛便器の取付構造によれば、便器本体に加わる下向きの力が、支持部材及び連結部材を介して縦部材に直接伝わることになる。これにより、連結部材と縦部材との間で捩れの力が加わらず、便器本体の変位を効果的に抑制することができる。また、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0015】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記縦部材は、前記後ろ壁面に複数箇所で固定されることを特徴とする壁掛便器の取付構造である。
【0016】
この壁掛便器の取付構造によれば、縦部材から後ろ壁面に伝わる縦方向の力を複数の固定箇所に分散させることができ、局所的な壁面の変形を抑制することができる。また、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。
【0017】
また、第5の発明は、便器本体と、後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在し、前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持するための支持部材と、水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、を備え、前記便器本体に加わった下向きの力が、前記支持部材及び前記連結部材を介して前記縦部材に対して前方向きの力として伝わった際に、前記後ろ壁面の変形を抑制することを特徴とする壁掛便器である。
【0018】
この壁掛便器によれば、後ろ壁面に縦部材が固定されているため、便器本体に加わった下向きの力が、支持部材及び連結部材を介して縦部材に対して前方向きの力として伝わった場合でも、強度のある縦部材と後ろ壁面とが一体となり、縦部材全体で前向きの力を受けることができる。このため、後ろ壁面の強度によらず、後ろ壁面の変形を抑制することができる。すなわち、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体がしっかりと固定される。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、便器本体に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる壁掛便器の取付構造及び壁掛便器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る取付構造体を例示する模式的斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的正面図である。
【図4】第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図8】第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図10】(a)〜(b)は、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式図である。
【図11】第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【図12】第5の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図13】第6の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
【図14】(a)〜(b)は、後ろ壁面の変形について例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係る取付構造体を例示する模式的斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的正面図である。
図4は、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【0023】
図1に表したように、第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、を備え、便器本体100を床面FLから浮かせた状態で支持するものである。
【0024】
縦部材10は、垂直方向に延在する例えば角型材(中空または中実)である。縦部材10には、例えば鋼材が用いられる。図1及び図2に表したように、縦部材10は、後ろ壁面BWに固定部材B1によって固定される。固定部材B1としては、例えばボルト及びナットやビスが用いられる。
【0025】
固定部材B1は、縦部材10の複数箇所に設けられ、これによって後ろ壁面BWに頑丈に固定される。なお、固定部材B1は接着剤であってもよい。接着剤によって固定する場合には、縦部材10の裏面の広い範囲(例えば、裏面全面)に接着剤を塗布して、しっかりと固定することが望ましい。
本実施形態では、2本の縦部材10が所定の間隔で略平行に設けられている。
【0026】
支持部材20は、後ろ壁面BWから離れた位置で床面FLに固定される。支持部材20は、床面FLから垂直方向に延在する例えば角型材(中空または中実)である。支持部材20は、床面FLに例えばL型部材によって固定される。
【0027】
本実施形態では、2本の支持部材20が所定の間隔で平行に設けられている。2本の支持部材20は、床面FLにおいて第1連結部21によって連結され、床面FLから離れた位置で第2連結部22及び第3連結部23によって連結されている。これにより、2本の支持部材20は、その間隔を維持したまま床面FLに頑丈に固定される。
【0028】
連結部材30は、水平方向に延在する。すなわち、連結部材30は、後ろ壁面BWに対して垂直な方向に延在して設けられる。連結部材30の一端30aは縦部材10に固定され、他端30bは支持部材20に固定される。連結部材30によって、支持部材20は縦部材10と一定の間隔でしっかりと保持される。
本実施形態では、2本の縦部材10及び2本の支持部材20に対応して2本の連結部材30が設けられている。
【0029】
便器本体100は、支持部材20の前方面に固定される。支持部材20には例えば2本のボルト25が取り付けられている。また、便器本体100には孔hが設けられている。この孔hにボルト25を通してナットで固定することで、便器本体100を床面FLから浮かせた状態で支持する。便器本体100は、例えば2本のボルト25及びナットで支持部材20に固定されるとともに、便器本体100の後方面の下部が第2連結部22の部分Pに接触して、3点による支持によって固定される。
【0030】
本実施形態では、2本の連結部材30に平板部材35が取り付けられている。平板部材35は2本の連結部材30の間隔を確実に固定するために設けられているとともに、ロータンク200を固定するために用いられる。
【0031】
このような壁掛便器の取付構造では、後ろ壁面BWに縦部材10が固定部材B1によってしっかりと固定されているため、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に前方向きの力として伝わった場合でも、後ろ壁面BWの縦方向の変形を抑制することができる。
【0032】
すなわち、縦部材10は後ろ壁面BWに垂直方向に固定されているため、後ろ壁面BWの垂直方向に沿った強度を補っている。したがって、縦部材10に前方向きに力が加わっても、後ろ壁面BWの垂直方向に沿った広い範囲でその力を受けて、後ろ壁面BWが縦方向に変形(反る)ことを抑制する。
【0033】
このように、縦部材10によって後ろ壁面BWを補強しているため、本実施形態では、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。例えば、木造住宅のように、コンクリート壁に比べて強度の低い壁であっても、また、壁の裏側に設けられる管柱の位置にかかわらず、壁掛け式の便器本体100を頑丈に固定することができる。これにより、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0034】
また、図3に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造では、後ろ壁面BWに向かってみたとき、連結部材30及び支持部材20の水平方向の位置は縦部材10の水平方向の位置と合っている。
【0035】
すなわち、後ろ壁面BWに向かってみると、縦部材10、連結部材30及び支持部材20は直線状に設けられる。このように設けることで、便器本体100に加わる下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に直接伝わることになる。これにより、連結部材30と縦部材10との間で捩れの力が加わらず、便器本体100の変位を効果的に抑制することができる。
【0036】
図4に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器110は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、を備える。
【0037】
縦部材10、支持部材20及び連結部材30は、後ろ壁面BWと便器本体100との間に設けられるキャビネット300の内側に配置される。連結部材30の上に搭載されたロータンク200は、キャビネット300の内側に収納される。
【0038】
このような壁掛便器110では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0039】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図6は、第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【0040】
図5に表したように、第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図1に表した第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造に、横部材40をさらに備えた構成である。
横部材40は、水平方向に延在する例えばL型の部材である。横部材40には、例えば縦部材10と同じ材料が用いられる。
【0041】
横部材40は、後ろ壁面BWに固定部材B2によって固定される。固定部材B2としては、例えばボルト及びナットやビスが用いられる。固定部材B2は、横部材40の複数箇所に設けられ、これによって後ろ壁面BWに頑丈に固定される。なお、固定部材B2は接着剤であってもよい。接着剤によって固定する場合には、横部材40の裏面の広い範囲(例えば、裏面全面)に接着剤を塗布して、しっかりと固定することが望ましい。
【0042】
例えば、2本の縦部材10が平行に設けられている場合、横部材40は、2本の縦部材10の上端部10aを連結するように取り付けられる。横部材40は、後ろ壁面BWの幅にわたって設けられていても、後ろ壁面BWの幅よりも狭く設けられていてもよい。
【0043】
本実施形態では、縦部材10による後ろ壁面BWの補強に加え、横部材40によっても後ろ壁面BWを補強している。すなわち、本実施形態では、縦部材10によって後ろ壁面BWの垂直方向に沿った補強を行うとともに、横部材40によって後ろ壁面BWの水平方向に沿った補強を行い、後ろ壁面BWの縦方向の変形及び横方向の変形を抑制する。これによって、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
【0044】
図6に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器120は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、横部材40と、を備える。
【0045】
縦部材10、支持部材20、連結部材30及び横部材40は、後ろ壁面BWと便器本体100との間に設けられるキャビネット300の内側に配置される。連結部材30の上に搭載されたロータンク200は、キャビネット300の内側に収納される。
【0046】
図6に表した壁掛便器120においては、横部材40をキャビネット300の天板301を支える部材としても利用することができる。また、横部材40の長さを短くすると(例えば、2本の縦部材10の間隔と同等の長さ)、キャビネット300の扉305を開け際に横部材40が見えることを防止することができる。
【0047】
このような壁掛便器120では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10及び横部材40に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0048】
なお、図5及び図6に表した例には、1本の横部材40が設けられているが、複数本の横部材40を設けてもよい。例えば、2本の横部材40を設けて、そのうちの1本を縦部材10の上端部10aに設け、他の1本を縦部材10の下端部10bに設けるようにしてもよい。これによって、さらなる補強が達成され、便器本体100の沈み込みを効果的に抑制することができるようになる。
また、横部材40は、縦部材10の上端部10aよりも下側の中間部分に設けられていてもよい。
【0049】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図8は、第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器を例示する模式的斜視図である。
【0050】
図7に表したように、第3の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図1に表した第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造に対して、縦部材10が連結部材30よりも下方に延びている点で相違する。例えば、縦部材10の下端部10bは床面FLに達している。
【0051】
縦部材10を後ろ壁面BWに固定する固定部材B1は、縦部材10の複数箇所に設けられる。
縦部材10の長さは長いほど、縦部材10に対して加わった前方向きの力を分散して、後ろ壁面BWが反ることを効果的に抑制することができる。
【0052】
なお、縦部材10の下端部10bは床面FLに達していなくてもよい。例えば、幅木(図示せず)に達しないように設けて、幅木と干渉しないようにしてもよい。縦部材10の下端部10bを床面FLにまで達しないようにすると、縦部材10を後ろ壁面BWに固定する作業が行いやすくなる。
【0053】
図7に表した壁掛便器の取付構造では、2本の横部材40が設けられている。2本のうちの1本の横部材40は縦部材10の上端部10aに設けられ、他の1本の横部材40は縦部材10と連結部材30との接続部分に設けられている。2本の横部材40は、いずれも固定部材B2によって後ろ壁面BWに固定されている。
【0054】
2本の縦部材10及び2本の横部材40が井桁状に組み合わされて後ろ壁面BWにしっかりと固定されていることで、後ろ壁面BWを十分に補強することができる。
これにより、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定でき、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0055】
図8に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器130は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と及び連結部材30を備える。また、必要に応じて横部材40をさらに備える。
【0056】
縦部材10、支持部材20、連結部材30及び必要に応じて設けられた横部材40は、後ろ壁面BWと便器本体100との間に設けられるキャビネット300の内側に配置される。連結部材30の上に搭載されたロータンク200は、キャビネット300の内側に収納される。
【0057】
図8に表した壁掛便器130においては、縦部材10が連結部材30よりも下方に延びていても、キャビネット300によって隠すことができ、見た目を損なうことはない。
また、横部材40が設けられている場合には、キャビネット300の天板301を支える部材としても利用することができる。また、横部材40の長さを短くすると(例えば、2本の縦部材10の間隔と同等の長さ)、キャビネット300の扉305を開け際に横部材40が見えることを防止できる。
【0058】
このような壁掛便器130では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0059】
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図10(a)〜(b)は、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式図である。図10(a)には正面図、図10(b)には側面図が表されている。
【0060】
図9に表したように、第4の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図5に表した第2の実施形態に係る壁掛便器の取付構造の縦部材10を連結部材30よりも下方に延在するとともに、2本の横部材40をさらに備えた構成である。
【0061】
縦部材10の下端部10bは、例えば連結部材30と床面FLとの間に設けられる。例えば、下端部10bは幅木よりも上の位置に配置される。
縦部材10の上端部10aは、2本の横部材40のうち上側の横部材40と接続される。一方、縦部材10の下端部10bは、2本の横部材40のうち下側の横部材40と接続される。
【0062】
例えば、2本の縦部材10が平行に設けられている場合、上側の横部材40は2本の縦部材10の上端部10aを連結するように取り付けられ、下側の横部材40は2本の縦部材10の下端部10bを連結するように取り付けられる。横部材40は、後ろ壁面BWの幅にわたって設けられていても、後ろ壁面BWの幅よりも狭く設けられていてもよい。
【0063】
図10(a)及び(b)に表したように、2本の横部材40は、連結部材30を間にして上下に設けられている。連結部材30には、支持部材20に取り付けられた便器本体100からの荷重や、ロータンク200からの荷重が加わる。この荷重は、連結部材30から縦部材10及び横部材40を介して後ろ壁面BWに前方向の力として伝わる。
【0064】
本実施形態では、連結部材30から後ろ壁面BW側に伝わる力を縦部材10及び連結部材30を間にして上下に配置された横部材40によって広く分散させることができる。これにより、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。したがって、本実施形態では、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
また、縦部材10の下端部10bを床面FLにまで達しないようにすることで、縦部材10及び下側の横部材40を後ろ壁面BWに固定する作業が行いやすくなるというメリットもある。
【0065】
図11に表したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造を適用した壁掛便器140は、便器本体100と、縦部材10と、支持部材20と、連結部材30と、2本の横部材40と、を備える。
【0066】
このような壁掛便器140では、便器本体100に加わった下向きの力が、支持部材20及び連結部材30を介して縦部材10及び横部材40に対して前方向きの力として伝わった際に、後ろ壁面BWの縦方向及び横方向の変形を抑制する。これにより、着座した際の便器本体100の沈み込みが抑制され、安定感の高い壁掛便器を提供することができるようになる。
【0067】
なお、図9及び図10に表した本実施形態に係る壁掛便器の取付構造及び図11に表した壁掛便器140において、横部材40を3本以上設けてもよい。例えば、縦部材10の上端部10a及び下端部10bにそれぞれ横部材40を設けるとともに、連結部材30の一端30aに接続するように横部材40を設けてもよい。
【0068】
(第5の実施形態)
図12は、第5の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図12に表したように、第5の実施形態に係る壁掛便器の取付構造においては、図1に表し第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造よりも幅の広い縦部材11を備えている点で相違する。
【0069】
縦部材11は、2本の連結部材30の間隔とほぼ等しい幅を有する。縦部材11は、固定部材B1によって後ろ壁面BWに固定される。固定部材B1は、縦部材11の縦横複数箇所に設けられる。
【0070】
すなわち、縦部材11の幅は、縦部材10の幅よりも広いため、縦部材11を後ろ壁面BWに固定する場合には、縦部材10を固定する場合よりも多くの固定部材B1を用いて固定することができる。さらに、幅の広い1つの縦部材11を用いることで、複数の縦部材10を設ける場合に比べて部品点数を少なくすることができる。
【0071】
また、幅の広い縦部材11により後ろ壁面BWを、縦、横及び斜めの方向に補強することができる。これによって、後ろ壁面BWの縦方向の変形及び横方向の変形を抑制するとともに、これらを複合した斜め方向の変形についても抑制することができる。したがって、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
【0072】
第5の実施形態に係る壁掛便座の取付構造は、壁掛便器に適用される。これにより、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定でき、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0073】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係る壁掛便器の取付構造を例示する模式的斜視図である。
図13に表したように、第6の実施形態に係る壁掛便器の取付構造は、図1に表し第1の実施形態に係る壁掛便器の取付構造に、斜め部材50をさらに備えた構成である。
斜め部材50は、2本の縦部材10の間に設けられた斜めに延在する例えば角型材(中空または中実)である。斜め部材50には、例えば縦部材10と同じ材料が用いられる。
【0074】
斜め部材50は、一端50aが2本の縦部材10のうちの1本の縦部材10の上端部10aに接続され、他端50bが他の縦部材10の下端部10bに接続される。すなわち、斜め部材50は、2本の縦部材10を斜めに繋ぐ部材である。斜め部材50は、後ろ壁面BWに固定部材B3によって固定される。固定部材B3としては、例えばボルト及びナットやビスが用いられる。固定部材B3は、斜め部材50の複数箇所に設けられ、これによって後ろ壁面BWに頑丈に固定される。なお、固定部材B3は接着剤であってもよい。接着剤によって固定する場合には、斜め部材50の裏面の広い範囲(例えば、裏面全面)に接着剤を塗布して、しっかりと固定することが望ましい。
【0075】
本実施形態では、縦部材10による後ろ壁面BWの補強に加え、斜め部材50によっても後ろ壁面BWを補強している。すなわち、本実施形態では、縦部材10によって後ろ壁面BWの垂直方向に沿った補強を行うとともに、斜め部材50によって後ろ壁面BWの斜め方向に沿った補強を行う。これによって、後ろ壁面BWの縦方向の変形及び横方向の変形を抑制し、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定できる。
【0076】
なお、本実施形態においては、複数の斜め部材50が設けられていてもよい。複数の斜め部材50は、互いに異なる斜め方向に延在して設けられる。これによって、斜め部材50の延びる方向に沿った壁面BWの補強がなされる。
【0077】
第6の実施形態に係る壁掛便座の取付構造は、壁掛便器に適用される。これにより、後ろ壁の構造によらず壁掛け式の便器本体100をしっかりと固定でき、利用者が着座した際の便器本体100の沈み込みを抑制して安心して利用してもらうことができるようになる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る壁掛便器の取付構造及び壁掛便器によれば、便器本体100に下向きに力が加わった場合の便器先端の変位を十分に抑制することができる。これにより、壁掛け型の便器において着座した際の安心感の高い製品を提供することが可能になる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0080】
例えば、実施形態において縦部材10の延在する垂直方向とは、床面FLに対してほぼ垂直な方向を含む。また、横部材40の延在する水平方向とは、床面FLに対してほぼ平行な方向を含む。
また、実施形態では、2本の縦部材10を用いる例を説明したが、3本以上の縦部材10を用いてもよい。例えば、実施形態で説明した2本の縦部材10の間に他の縦部材10を設けたり、2本の縦部材10よりも外側に他の縦部材10を設けるようにしてもよい。
また、縦部材10、支持部材20、連結部材30、横部材40及び斜め部材50は角型材に限定されず、U字型やL字型など他の断面形状の部材であっても適用可能である。
さらにまた、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0081】
10…縦部材、10a…上端部、10b…下端部、11…縦部材、20…支持部材、21…第1連結部、22…第2連結部、23…第3連結部、25…ボルト、30…連結部材、30a…一端、30b…他端、35…平板部材、40…横部材、50…斜め部材、50a…一端、50b…他端、100…便器本体、110,120,130,140…壁掛便器、200…ロータンク、300…キャビネット、301…天板、305…扉、B1…固定部材、B2…固定部材、B3…固定部材、BW…後ろ壁面、FL…床面、h…孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、
前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在する支持部材と、
水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、
を備え、
便器本体を前記支持部材に固定して前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持することを特徴とする壁掛便器の取付構造。
【請求項2】
前記後ろ壁面に固定され水平方向に延在し、前記縦部材と連結される横部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の壁掛便器の取付構造。
【請求項3】
前記後ろ壁面に向かってみたとき、前記連結部材及び前記支持部材の水平方向の位置は前記縦部材の水平方向の位置と合っていることを特徴とする請求項1または2に記載の壁掛便器の取付構造。
【請求項4】
前記縦部材は、前記後ろ壁面に複数箇所で固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の壁掛便器の取付構造。
【請求項5】
便器本体と、
後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、
前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在し、前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持するための支持部材と、
水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、
を備え、
前記便器本体に加わった下向きの力が、前記支持部材及び前記連結部材を介して前記縦部材に対して前方向きの力として伝わった際に、前記後ろ壁面の変形を抑制することを特徴とする壁掛便器。
【請求項1】
後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、
前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在する支持部材と、
水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、
を備え、
便器本体を前記支持部材に固定して前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持することを特徴とする壁掛便器の取付構造。
【請求項2】
前記後ろ壁面に固定され水平方向に延在し、前記縦部材と連結される横部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の壁掛便器の取付構造。
【請求項3】
前記後ろ壁面に向かってみたとき、前記連結部材及び前記支持部材の水平方向の位置は前記縦部材の水平方向の位置と合っていることを特徴とする請求項1または2に記載の壁掛便器の取付構造。
【請求項4】
前記縦部材は、前記後ろ壁面に複数箇所で固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の壁掛便器の取付構造。
【請求項5】
便器本体と、
後ろ壁面に固定され垂直方向に延在する縦部材と、
前記後ろ壁面から離れた位置で前記床面に固定され垂直方向に延在し、前記便器本体を前記床面から浮かせた状態で支持するための支持部材と、
水平方向に延在し、一端が前記縦部材に固定され、他端が前記支持部材に固定される連結部材と、
を備え、
前記便器本体に加わった下向きの力が、前記支持部材及び前記連結部材を介して前記縦部材に対して前方向きの力として伝わった際に、前記後ろ壁面の変形を抑制することを特徴とする壁掛便器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−108224(P2013−108224A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251645(P2011−251645)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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