説明

壁材留め付け構造

【課題】目地カバー材による継目部の外観性やその取付けの長期安定性の向上を図ることができ、しかも施工性や取り外しをともなうメンテナンス性も良好な壁材留め付け構造とする。
【解決手段】隣接位置で、壁材端部の取付片部11、12が相互に重ねられ、継目部40の形成をともなって止着具30で壁面20に留め付けられる壁材留め付け構造において、嵌合片部51を有する目地カバー材50が、該嵌合片部51で、対向する壁材10A、10B本体端部の溝部15、16に嵌合保持されて継目部40を覆うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁材の留め付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば図8に示したような、金属外装材1aとその裏面側に貼着された断熱材1bとを有し、止着具により壁面に留め付けされるための取付片部1cを備えた金属サイディングを壁材1とすることが知られている。
【0003】
この壁材1は、壁面への取り付けでは、図9に矢印でも示したように、AからEの方向に順次に壁面2に留め付けて張り進めている。隣接する壁材1は、拡大図のように止着具3で固定した壁材1の端面にサネ構造や合いじゃくり構造として接続されている。
【0004】
しかし、この従来の留め付けでは、仮にAの壁材1を破損等の補修や交換のために取り外したい場合には、BからEの壁材1を止着具3とともに全て取り外すことが必要となる。そこで、交換等のメンテナンス性を向上させるために、金属サイディングの壁材1として、図10に示したように、短辺両端部に取付片部1c、1dを備えたものが提案されている(特許文献1参照)。留め付け時には、図11のように、隣接位置で、壁材1端部の取付片部1c、1dが相互に重ねられ、継目部4の形成をともなって、止着具3で壁面2に留め付けられる。
【0005】
この留め付けの構造では、例えばAの壁材1の前後もしくは左右の止着具3を解除するだけで、Aの壁材1だけを補修交換等のために取り外すことが可能となる。図9の場合のように他の全ての壁材1を取り外す必要がないことから、メンテナンス性は顕著に向上することになる。
【0006】
ただ、この留め付け構造ではネジ等の止着具3が継目部4から外観として見えてしまうことになる。そこで、特許文献1においては、外観性を改善するために、継目部4内にシーリング材を充填することや、目地カバー材で継目部4を覆うことも提案されている。後者では、図12のように、目地カバー材5の弾性片部5aを継目部4内の壁材1の対向端面に弾発力で係止させる構造がまず考慮されている。また、図13のように、継目部4内に樹脂ピース6を挿入し、その底面部6aを取付片部1c、1dとともに重ねて止着具3で留め付け、次いで、爪部6bに目地カバー材5の弾性片部5aの端部を係合させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−54435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の金属サイディング壁材の留め付け構造では、壁面から補修交換等のための取り外しや再取り付けにともなうメンテナンス性や継目部4の外観性の向上が図られている。しかしながら、継目部4内へのシーリング材の充填は壁材1表面との異質感があり、汚れも目立ちやすいという問題がある。一方、継目部4を目地カバー材5で覆う方策では、壁材1の対向端面への弾発力での係止は長期安定性に難がある。また、樹脂ピース6を用いる場合には別部材として用意しなければならず、コスト面だけでなく、施工上、そして、取り外しをともなうメンテナンス上にも難点がある。
【0009】
本発明は、以上のことから、目地カバー材による継目部の外観性や取付けの長期安定性の向上を図ることができ、しかも、コスト面だけでなく、施工性や取り外しをともなうメンテナンス性も良好な、壁材留め付け構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の壁材留め付け構造は、隣接位置で、壁材端部の取付片部が相互に重ねられ、継目部の形成をともなって止着具で壁面に留め付けられる壁材の留め付け構造において、嵌合片部を有する目地カバー材が、該嵌合片部で、対向する壁材本体の端部に設けられた溝部に嵌合保持されて継目部を覆うことを特徴としている。
【0011】
上記の壁材留め付け構造では、目地カバー材の嵌合片部および壁材本体端部の溝部内の少くともいずれかにはクッション材もしくはクッション性止水材が設けられて嵌合保持されることが好ましい。
【0012】
また、上記の壁材留め付け構造では、壁材端部の取付片部の重なり部分には防水材が貼着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の壁材留め付け構造では、継目部を目地カバー材で覆い、これを継目部で対向する壁材本体の溝部にしっかりと嵌合保持することから、外観性や取付けの長期安定性が向上する。しかも、補修交換等の場合には、目地カバー材の取り外しや壁材の取り外し、そして再取り付け等が容易であって、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の壁材留め付け構造の一実施形態を例示した断面図である。
【図2】クッション性止水材の配設並びに重なり部分の防水材貼着の実施形態を例示した断面図である。
【図3】溝部が深い位置に設けられた実施形態を例示した断面図である。
【図4】溝部が深い位置で嵌合片部の足の長い目地カバー材の実施形態を例示した断面図である。
【図5】対向する溝部が相互に異なる位置に設けられた実施形態を例示した断面図である。
【図6】対向する溝部が異なる形状で設けられた実施形態を例示した断面図である。
【図7】目地カバー材の保持位置が低い実施形態を例示した断面図である。
【図8】従来の一般的な金属サイディング壁材を例示した要部斜視図である。
【図9】従来の金属サイディング壁材の留め付けによる接続状態を例示した断面図である。
【図10】取り外し等のメンテナンス性が改善された壁材を例示した要部斜視図である。
【図11】図10例示の壁材の留め付けによる接続状態を例示した断面図である。
【図12】目地カバー材を弾発力により継目部に係止する例を示した断面図である。
【図13】樹脂ピースを用いた例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1の断面図は、本発明の壁材留め付け構造の一実施形態を隣接する壁材10A、10Bの接続状態として示している。壁材10A、10Bの各々は、その短辺両端部に壁材本体から延設された取付片部11、12を有し、たとえば金属外装材13と発泡樹脂等の断熱材14とによって構成されている。取付片部11、12は、例えば金属外装材13から延設して板金加工等により形成することができる。隣接する位置では、壁材10Aの取付片部11と壁材10Bの取付片部12とが相互に重ねられ、ネジや釘等の止着具30で壁面20に留め付けられる。この留め付けにともなって、止着具30の上部には継目部40が形成される。
【0016】
継目部40において対向する壁材10A、10Bの本体端部には溝部15、16が設けられている。この溝部15、16への目地カバー材50の嵌合片部51の嵌合により、目地カバー材50が継目部40に保持される。これによって、継目部40は目地カバー材50で覆われ、止着具30は外観として見えることはない。
【0017】
目地カバー材50は、例えば、金属、樹脂あるいはその複合材をもって構成することができる。継目部40への装着、あるいは取り外しが比較的容易とされるべく、目地カバー材50は剛性強度とともに弾性変形性を有するものとし、嵌合片部51が溝部15、16内にしっかりと確実に長期にわたって安定して嵌合保持される。
【0018】
溝部15、16は、壁材10A、10Bの本体を構成する金属外装材13をもって形成されることで、強度、耐久性ともに良好である。
【0019】
仮に、壁材10Aのみを補修や交換等のために取り外す際には、目地カバー材50を弾性変形させて取り外し、次いで止着具30を取り除くことで容易に取付片部11、12での留め付けを解除することが可能となる。メンテナンス性は極めて良好である。
【0020】
目地カバー材50の嵌合片部51、もしくは壁材10A、10B本体端部の溝部15、16の内部のいずれかにクッション材もしくはクッション性止水材を設けることも望ましく考慮される。図2は、溝部15、16内にクッション性止水材60が設けられた実施の形態を示している。クッション材、クッション性止水材のいずれにおいても溝部15、16への嵌合片部51の嵌合による保持のための施工のばらつきがあってもこれが吸収され、取り付け性が向上されることになる。また、シリコン材や発泡ポリオレフィン材、発泡ウレタン材等のクッション性止水材60である場合には、防水、止水性も実現可能となる。
【0021】
また、壁材10A、10Bの壁面20への留め付けにともなう防水、止水性を確保、もしくは向上させるために、図2の実施形態では、取付片部11、12の重なり部分には、止水のための発泡止水材、例えば発泡ポリオレフィン材や発泡ウレタン材等からなる防水材70が予め貼り付けられている。
【0022】
溝部15、16については、図1、図2の例とは別に、継目部40のより深い位置に設けられていてもよい。図3、図4はこのような実施の形態を示している。
【0023】
耐風性、耐振動性等の観点から目地カバー材50の取り付けの強度や信頼性の向上を図る際には、このような深い位置の選択も有効なものとして考慮される。目地カバー材50の嵌合片部51への足の長さもこの深さ位置に合わせることになる。その際に、施工性の向上や保持力の向上のために、図4のように、目地カバー材50はより大きな弾性変形性を示す形状とすることも考慮される。
【0024】
また、対向する溝部15、16の深さ位置は、図5のように互いに異っていてもよい。壁材10A、10Bの建物への配設位置の状況に応じて、施工性や保持安定性等を考慮してこのような相違が選択可能である。
【0025】
目地カバー材50の取り付けや取り外し等の施工性の観点からは、図6のように、溝部15、16の形状が互いに相異していてもよい。この実施の形態では、右側の壁材10Aの溝部15の入口側に傾斜面部15aが設けられ、目地カバー材50の嵌合片部が挿入されやすくしている。
【0026】
もちろん、溝部15、16の断面形状は、以上の形態に限られずに様々であってよい。奥方に向って溝幅が狭くなっていてもよい。あるいは、クッション性止水材60を用いる図2のような場合には、逆に奥方に向って溝幅が広がり、クッション性止水材60やクッション材が溝内に確保されやすくしてもよい。
【0027】
図7は、さらに別の実施の形態を示している。この図7のように、目地カバー材50は、壁材10A、10Bの表面と面一になるように取付け高さ位置をそろえなくてもよい。
【0028】
目地カバー材50の外観表面部には、凹凸や印刷、塗装等の加飾が施されてもよい。
【0029】
以上例示されるような本発明の壁材留め付け構造においては、例えば長尺の壁材がその短編両端部での留め付け接続が、壁材の横張り、縦張りのいずれであってもよい。また、金属サイディングの場合には、その素材構成、製造、加工等は従来公知のものをはじめ様々でよい。もちろん、壁材はこれらに限定されることもない。
【符号の説明】
【0030】
10A、10B 壁材
11、12 取付片部
15、16 溝部
20 壁面
30 止着具
40 継目部
50 目地カバー材
51 嵌合片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接位置で、壁材端部の取付片部が相互に重ねられ、継目部の形成をともなって止着具で壁面に留め付けられる壁材の留め付け構造において、嵌合片部を有する目地カバー材が、該嵌合片部で、対向する壁材本体の端部に設けられた溝部に嵌合保持されて継目部を覆うことを特徴とする壁材留め付け構造。
【請求項2】
目地カバー材の嵌合片部および壁材本体端部の溝部内の少くともいずれかにはクッション材もしくはクッション性止水材が設けられて嵌合保持されることを特徴とする請求項1に記載の壁材留め付け構造。
【請求項3】
壁材端部の取付片部の重なり部分には防水材が貼着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の壁材留め付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−91904(P2013−91904A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232736(P2011−232736)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】