説明

壁部形成機構

【課題】差込みによって形成される壁部の連結状態を確実に維持しうる壁部形成機構を提供する。
【解決手段】角部9c,10c付きフラップ9,10一対を用いて壁部を形成する薄板材料製の壁部形成機構1であって、壁部形成状態は、一対のフラップ9,10を、切込み部11,12を介し、一方のフラップの水平方向先端9a,10aが他方のフラップの角部9c,10c内面に当接するよう相互に差込むことによって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁部形成機構、例えば、段ボール製箱体の壁部を形成する壁部形成機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、段ボール製や厚紙製の箱体に関し、その壁部を差込みによって形成することが知られている。例えば、特許文献1は、角部付きフラップ2枚を相互に差込んで側壁を形成する、組立式傾斜容器を開示し〔特許文献1・図10、参照〕、2枚のフラップは、ともに、同じ形態の切込み部(図面番号24a,25a)を備え、この切込み部は、組立て状態で水平方向に延在する誘導切込みと、この誘導切込みに、切込み角を介して連通する三角形状のストッパ開口部とからなる。これら誘導切込みと、ストッパ開口部とは、切込み角を介して略直角に連通している。
この特許文献によれば、組立式傾斜容器の側壁を形成するには、2枚のフラップを、一方の誘導切込みが他方の誘導切込み内に進入するように、旋回させ、それらの誘導切込みの終点である切込み角が相互に当接したのち、2枚のフラップを垂直方向に移動させてストッパ開口部の閉鎖端を相互に当接させ、これにより、側壁を形成したと、称している。
しかしながら、このような既知の箱体は、実際に使用すると、壁部を形成したのち、フラップの連結が外れやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−182723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記問題点に鑑み、本発明の課題は、差込みによって形成される壁部の連結状態を確実に維持しうる壁部形成機構を提供することである。
【課題を解決するための手段および効果】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一対の角部付きフラップの各水平先端部を、各々、対応するフラップの各角部内面に当接させることにより、壁部形成後の連結状態を良好に維持でき、これにより前記課題を達成できることを見出し、この知見に基づき、本発明が完成するに至ったのである。
すなわち本発明は、角部付きフラップ一対を用いて壁部を形成する薄板材料製の壁部形成機構であって、
壁部形成状態において、前記各フラップは、水平方向に延在する誘導切込みと、前記誘導切込みに連通し垂直方向に延在する係止溝とを有する切込み部を備え、かつこれら誘導切込みおよびこれら係止溝は、各々、相互に反対方向に延在しており、
前記壁部形成状態は、一対の前記フラップを、前記切込み部を介し、一方のフラップの水平方向先端が他方のフラップの角部内面に当接するよう相互に差込むことによって形成されていることを特徴とする壁部形成機構を提供する。
本発明によれば、前記した既知の技術とは異なって、少なくとも一方のフラップの水平先端を、他方の角部内面に当接させることを、発明特定事項とすることにより、既知の技術には不可能な壁部形成後の維持を達成できるという、技術的効果を奏することができたのである。すなわち、角部付きフラップは、角部を折目として折り畳まれているため、もとの非折り畳み状態に復帰しようとする反発力を示し、この反発力を角部内面への当接によって吸収することができるのである。
【0006】
また本発明は、その第2の形態によれば、本発明の壁部形成機構を備えた箱体を提供する。好適には、前記各角部は、前記フラップと前記フラップに連続する起立壁との間で形成されており、これら起立壁の間において、当該各起立壁に連続する基板を設ける。また好適には、前記誘導切込みと、前記係止溝とは、切込み角を介して連通しており、前記壁部形成状態において、一対の前記フラップのうち、前記係止溝が前記切込み角から下方に延在するフラップは、その誘導切込みよりも下部に位置するフラップ下部が系外に露出している。
さらに本発明は、その第3の形態によれば、本発明の壁部形成機構を備えたスリーブを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の壁部形成機構に関し、それらのフラップを連結開始段階で示す要部斜視図。
【図2】本発明の壁部形成機構を備えたスリーブを示す、斜視図。
【図3】本発明の壁部形成機構を備えた第1実施形態としての厚紙製の箱体を示す、斜視図。
【図4】図3に示した箱体の側面をX方向から見た図面であって、(a)は、切込み角が相互に当接した壁部形成直前の状態を示し、(b)は壁部形成状態を示す。
【図5】図3に示した箱体の展開図。
【図6】本発明の壁部形成機構を備えた第2実施形態としての段ボール製の箱体を示す、斜視図。
【図7】図6に示した箱体の組立過程を示す斜視図。
【図8】図6に示した箱体の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記したように、本発明は、角部(9c,10c)付きフラップ(9,10)一対を用いて壁部(W)を形成する薄板材料製の壁部形成機構(1)であって、
壁部形成状態において、前記各フラップは、水平方向に延在する誘導切込み(11a,12a)と、前記誘導切込みに連通し垂直方向に延在する係止溝(11b,12b)とを有する切込み部(11,12)を備え、かつこれら誘導切込みおよびこれら係止溝は、各々、相互に反対方向に延在しており、
前記壁部形成状態は、一対の前記フラップを、前記切込み部を介し、一方のフラップの水平方向先端(9a,10a)が他方のフラップの角部内面に当接するよう相互に差込むことによって形成されていることを特徴とする壁部形成機構を提供する〔番号は添付の図面、参照〕。
本明細書に関し、本発明の壁部形成機構を備えたスリーブまたは箱体は、通常上方に開口した開口部を有する状態(以下の実施形態)で使用されるが、特に断らない限り、この使用状態を基準とし、「水平方向、垂直方向」などの用語を使用する。なお、「箱体」は、下方に開口部を有する蓋ケースや水平方向に開口部を有する箱体であってもよく、また開口部を有しない形態であってもよい。さらに、開口部を有する箱体には、5面に壁部を有する通常の箱体形態(以下の第2実施形態)の他、4面に壁部を有する箱体形態(以下の第1実施形態)も包含される。
また、「薄板材料」とは、壁部を形成するのに充分な強度を示す共に組立てに充分な柔軟性を示す材料であればよく、(紙製)段ボール、プラスチック段ボール、厚紙などを例示でき、好適には段ボールまたは厚紙であり、強度の観点から言えば、特に好適には段ボールである。
また本発明の実施形態に関し、展開図は、壁部形成機構等の組立て前の厚紙または段ボールを、平面状態で示し、壁部形成機構等の内側を形成する裏面を示す。また、展開図では、「切り罫線」は実線で示し、折目としての「谷折り罫線」は破線で示す。また、段ボールの展開図では、段が反復して形成される方向を流れ方向と呼び、この流れ方向に垂直な方向を反流れ方向と呼ぶ。
さらに、本明細書に関し、各構成要素は、壁部形成状態を基準として命名する一方、主要な要素は、組立て前のブランクの状態に関し、各要素の名称の後ろに「本体」を付加して命名する。例えば、フラップ9は、ブランクの状態では「フラップ本体9’」と呼ぶ。加えて、以下の壁部形成機構1に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、スリーブ100/箱体200,300について適用される。
【0009】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明することにより、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施形態に制限されるものではない。
【0010】
−壁部形成機構1−
図1は、本発明の壁部形成機構に関し、それらのフラップを、連結開始の段階で示す要部斜視図である。
<概要>
本発明の壁部形成機構1は、図1に示すように、角部9c付きフラップ9と、角部10c付きフラップ10とを備える。これら矩形のフラップ9および10は、各々、それらの垂直長辺に相当する罫線7および8〔図5、参照〕を折目として連続する起立壁5および6を有し、したがって角部9cおよび10cは、各々、フラップ9と起立壁5との間およびフラップ10と起立壁6との間において形成される。
<切込み部11,12>
フラップ9および10は、各々、切込み部11および12を有し、これら要素11および12は、各々、誘導切込み11aおよび12a並びに係止溝11bおよび12bを有する。これら切込み部11,12を相互に介在させることによって、フラップ9,10が積層した二重の壁部W〔図2等〕を形成することができる。
すなわち、2枚のフラップ9,10を、一方の誘導切込み11aが他方の誘導切込み12a内に進入するように、相対的に近接させ、それらの誘導切込みの終点である切込み角A1,A2が相互に当接したのち〔図4(a)、参照〕、2枚のフラップを垂直方向に沿って相対的に反対方向に移動させて係止溝11b,12bの閉鎖端B1,B2を相互に当接させる〔図4(b)、参照〕。この時点で、フラップ9の水平方向先端としての自由長辺9aは、角部10c内面に当接する一方、フラップ10の水平方向先端としての自由長辺10aが角部9c内面に当接し、これにより、壁部の形成状態を良好に維持することができる。なお、この図1では、切込み部11,12の介在を明確にするため、2つのフラップを旋回するような状態で図示したが、このような旋回に限定されず、2枚のフラップの連結方法は、水平移動など相互に近接すれば足りる。
水平な誘導切込みおよびこれに垂直な係止溝には、各々、水平方向および垂直方向に対し±約5度の傾斜している形態も本発明に包含される。すなわち、誘導切込みおよび係止溝は、壁部形成状態で反対方向に延在している限り、上記範囲の傾斜角度は、壁部形成に悪影響を与えるものではない。なおこの実施形態では、差込みの容易性を図るべく、傾斜角度はゼロである。
<起立壁5,6>
フラップ9および10は、各々、角部9cおよび10を折目として連続する起立壁5および6を有し、これら起立壁5,6は、壁部形成状態で相互に平行である実施形態の他、非平行状態であってもよい。
【0011】
<二重の壁部Wの形成状態>
壁部形成状態において、2枚のフラップ9,10は、一方の外面と他方の内面とが当接した状態である。すなわち、誘導切込み11bよりも上部に位置するフラップ9内面〔「フラップ9上部内面」と略称、以下、同様に略称〕と、フラップ10上部外面とが当接すると共に、フラップ9下部外面とフラップ10下部内面とが当接する〔図4(b)、参照〕。もちろん、この実施形態の逆の対応、すなわちフラップ9上部外面とフラップ10上部内面とが当接すると共に、フラップ9下部内面とフラップ10下部外面とが当接している壁部形成状態も本発明に包含される。さらに、この実施形態では、角部9cおよび10c各々に当接する自由長辺10aおよび9a部分は、それらの全体が当接し、連結状態の維持をなお一層向上させることができる。
【0012】
−スリーブ100−
図2は、本発明の壁部形成機構を備えた段ボール製のスリーブを示す、斜視図であり、この実施形態では壁部は側壁として形成される。
スリーブ100は、被包装体(図示せず)の側面を保護する段ボール製包装材であって、この実施形態では、被包装体は、直方体であって、これに対応した形態をスリーブ100は有する。スリーブ9および10は、各々、角部9cおよび10c並びに起立壁5および6を有することに加え、これら起立壁5,6に連続する共通壁101を有するため、スリーブ9,10は、単一の一体的な要素である。
【0013】
−箱体−
箱体は、その実施形態として、厚紙製の箱体200と、段ボール製の箱体300について説明する。これら箱体の実施形態では、壁部は側壁として形成される。
−第1実施形態200−
図3は、本発明の壁部形成機構を備えた第1実施形態としての箱体を示す、斜視図である。図4は、図3に示した箱体の側面をX方向(壁部Wに対し垂直な方向)から見た図面であって、(a)は、切込み角が相互に当接した壁部形成直前の状態を示し、(b)は壁部形成状態を示す。図5は、図3に示した箱体の展開図である。
本発明の第1実施形態200は、厚紙製のブランク200’を組立てることによって形成される。
<ブランク200’>
図5の展開図に示すように、第1実施形態200のブランク200’は、フラップ9,10に対応する、長方形のフラップ本体9’,10’を備え、これらフラップ本体9’および10’は、各々、それらの長辺である谷折り罫線7および8から連続する、台形の起立壁本体5’および6’と、これら本体5’,6’の高さ辺に相当する谷折り罫線3,4から連続する、1つの基板本体2’とを備える。
<フラップ9,10>
フラップ9を構成するフラップ本体9’は、その自由端部である自由長辺(図1中、下辺)9aから切込んだ切込み部11を備え、切込み部11は、かかる自由長辺9aからフラップ本体・短辺に平行に延在する導入切込み11aと、これに連通する係止溝11bとを有する。これら導入切込み11aと係止溝11bとは、切込み角A1を介して相互に直交する。他方、フラップ本体10’は、前記フラップ本体9’と同じ形態であって、また、自由長辺への切込み位置を除き、同様に、同じ形態の切込み部12を備え、同じ形態の導入切込み12aと、同じ形態の切込み角A2と、同じ形態の係止溝12bとを有する。なお、切込み部11および12は、各々、自由長辺9aおよび10aへの切込み部分において、対応する導入切込12aおよび11aへの進入を容易にすべく、面取りされる。〔2つの切込み部11,12の自由長辺への切込位置については、以下の<切込み部11,12の詳細>項目、参照〕。
【0014】
<切込み部11,12の詳細>
切込み部11,12は、導入切込み11a,12aと、係止溝11b,12bとからなる。
<<導入切込み11a,12a>>
図5の展開図に示すように、フラップ本体9’および’10の短辺長さ〔壁部形成状態では水平方向長さ〕を、各々、FX1およびFX2とし、導入切込11aおよび12aの長さを、各々、X1およびX2とすると、この実施形態では、次のような条件が成立する。
・ 式:FX1=FX2=X1+X2
・ 式:FX1=FX2および式:X1=X2
(イ)の条件は、実質的に全て部分で二重積層となる条件(以下、「二重積層条件」)であり、(ロ)の条件は、水平方向に関し、当接した切込み角A1,A2(したがって当接した閉鎖端部B1,B2)が中点となる条件に相当する。
次に、フラップ短辺長さFX1と、FX2とが異なる場合、好適には、式:(X1/X2)=0.8〜1.2の条件を充足する。この数値範囲を逸脱すると、壁部形成状態の保持にやや悪影響を与える。
<<係止溝11b,12b/導入切込み11a,12aの切込み位置>>
同様に、垂直方向長さに関して説明する。
1)フラップ本体9’および10’の長辺長さ〔壁部形成状態では垂直方向長さ〕を、各々、FY1およびFY2とし、自由長辺9aおよび10a上の切込位置までの長さ〔壁部形成状態では、垂直長さ〕を、各々、Y3〔壁部形成状態では、壁部頂点からの長さ〕およびY4〔壁部形成状態では、基板からの長さ〕とし、かつ2)係止溝11bおよび12bの長さ〔壁部形成状態では垂直方向長さ〕を、各々、Z1およびZ2とすると、この実施形態では、次のような条件が成立する。
(イ)式:FY1=FY2=(Y3+Z1)+(Y4+Z2)
(ロ)式:FY1=FY2および式:Y3+Z1=Y4+Z2
同様に、(イ)の条件は、二重積層条件であり、(ロ)の条件は、水平方向に関し、当接した閉鎖端部B1,B2が中点となる条件に相当する。
同様に次に、切込み長さFY1とFY2とが異なり、Z1とZ2とが異なれば、好適には、式:(Y3+Z1)/(Y4+Z2)=0.8〜1.2の条件を充足する必要がある。この数値範囲を逸脱すると、壁部形成状態の保持にやや悪影響を与える。
係止溝11b,12bは、それらの長さ〔Y1,Y2〕が短いと壁部形成状態を解除しやすくなる一方、長いと壁部形成状態を形成しにくくなる。係止溝・長さY1,Y2は、フラップの寸法に依存せずに、薄板材料の厚み〔t〕に依存する。すなわち、薄板材料がより厚い場合、切込み角からの移動工程を円滑化すべく、Y1,Y2は、より長くする必要がある一方、薄板材料がより薄い場合には、短い寸法で足りる。好適には、Y1(Y2)/t=3〜15、より好適には5〜10である。例えば、薄板材料として段ボールを用い、t=1.5 mm(Eフルート)の場合、Y1,Y2は10mmであり、t=3.0 mm(Bフルート)の場合、Y1,Y2は20mmである。
<基板2>
基板2は、その形態が罫線3,4に相当する長辺と、対向する一対の短辺とから形成される長方形であって、箱体では通常の使用状態で底板2として機能する。
基板2の短辺長さ、すなわち起立壁5と6との間に形成される二重壁フラップの幅に相当する基板2の短辺長さは、長すぎると、二重壁の面積が過大となって製造コスト高を招くことから、この実施形態のように、フラップ9(10)の垂直長さYよりも小さい。
<起立壁5,6>
起立壁5は、台形の起立壁本体5’から構成され、この本体5’は、谷折り罫線7に相当する底辺と、この底辺に平行な平行対辺と、谷折り罫線3に相当する台形高さ辺と、この台形高さ辺に対向する対向斜辺とから形成される一方、起立壁本体6’は、本体5’と線対称の形態を有し、谷折り罫線8(底辺)と、平行対辺と、谷折り罫線4(台形高さ辺)と、対向斜辺とから形成される。
この実施形態では、起立壁5,6は、相互に平行に存在し、したがって、角部9c,10cは略90℃の平面視内角を有することができる。
【0015】
<組立て>
本発明の第1実施形態(箱体)200を組たてるには、起立壁本体5’および6’を、各々、罫線7および8を折目として谷折りして、起立壁5および6を形成すると共に、フラップ本体9’および10’を、各々、罫線7および8を折目として谷折りしつつ、罫線3および4を旋回軸として旋回させ、切込み部11,12を介して、壁部Wを形成することができる。
形成した第1実施形態200は、一方のフラップ・自由長辺9aが他方のフラップ・角部10cに当接すると共に、他方のフラップ・自由長辺10aが他方のフラップ角部9cに当接しており、強固な壁部Wの連結状態を形成することができる。
【0016】
<二重の壁部Wの形成状態>
前記したように、壁部形成状態に関し、2枚のフラップは、1)フラップ9上部内面と、フラップ10上部外面とが当接すると共に、フラップ9下部外面とフラップ10下部内面とが当接する壁部形成状態と、2)フラップ9上部外面とフラップ10上部内面とが当接すると共に、フラップ9下部内面とフラップ10下部外面とが当接している壁部形成状態とを形成する。
ここで、誘導切込み11bよりも下部に位置するフラップ9下部に着目すると、上記1)は、フラップ9下部が系外に露出せずに「内面」としてフラップ10に当接している状態である一方、上記2)は、フラップ9下部が系外に露出して「外面」としてフラップ10に当接している状態である。このフラップ9と、フラップ10とは、前者が「下方」に延在する係止溝11(b)を有し、後者が「上方」に延在する係止溝12(b)を有する点で異なっている(図4では、フラップ9のみ着色)。
壁部形成状態〔例えば、図4(b)〕を解除するには、フラップ9,10を、閉鎖端部B1とB2とが相対的に離反する方向に、フラップ9下部は、下方向に移動する必要があり〔例えば、図4(a)〕、上記1)の状態では「内面」として当接して、その下端が基板2に当接しているため、より解除は困難である一方、上記2)の方法では「外面」として当接して、その下端は基板2に当接しておらず、解除は、より容易である。もっとも、薄板材料が、厚紙に比し硬質な段ボールである場合、フラップ9下部の下方向の移動自体が困難である。また、いわゆるワンウエイで使用される通常の使用態様では、上記2)の壁部係合状態であっても、その解除は、実質的に不可能である。
かくして、本発明の壁部形成機構を箱体に用いる場合(すなわち、基板を構成要素として有する場合)、好適には、切込み角A1から下方に延在する係止溝11bを有するフラップ9は、そのフラップ下部が系外に露出している。
【0017】
−第2実施形態300−
図6は、本発明の壁部形成機構を備えた第2実施形態としての箱体を示す、斜視図、図7は、図6に示した箱体の組立過程を示す斜視図、および図8は、図6に示した箱体の展開図である。
本発明の第2実施形態300は、段ボール製のブランク300’〔図8〕を組立てることによって形成される。
<ブランク300’>
この第2実施形態は、前記した第1実施形態とは、段ボールを用いる点並びに壁部形成状態(完成状態)で5面を形成している点で異なることを除き、前記第1実施形態200と同じである。したがって、第1実施形態と同じ要素は同じ符号を用い、また第1実施形態の前記説明は、技術的に矛盾しない限り、この第2実施形態の説明に適用することができる。
第2実施形態300は、本発明の壁部Wに対向する、三重に積層した三重壁部OWを備え、ブランク300’を組立てることによって形成することができる。この三重壁部OWの設置により、本発明の壁部形成状態をより向上させることができる。
ブランク300’は、三重壁部OWの形成に必要な要素を含み、三重壁部OWの最も外側に位置する外壁27を構成する外壁本体27’と、同様に三重壁部OWの最も内側に位置する内壁28を構成する内壁本体28’と、同様に外壁と内壁との間に挿入される中間壁23,24を構成する中間壁本体23’,24’とを備える。
底板2’の罫線33から、順に、外壁本体27’、内壁本体28’が反流れ方向に沿って連続し、これら本体27’と28’との間に二重罫線29,30を設ける。中間壁本体23’および24’は、各々、起立壁本体5’および6’から罫線21および22を折目として連続する。なお、内壁本体28’には差込み片31が形成され、この差込み片31が差込まれる孔32が底板・罫線33に沿って形成される。
<組立て>
以上のように構成される箱体300は、図8に示す展開状態から、図7(a)に示すように一対の起立壁本体5’,6’を起立させつつ、図7(b)に示すように、一対のフラップ本体9’,10’を内方に旋回させて、切込み部11,12を相互に介在させ、図7(c)に示すように、一対のフラップ9,10が積層した二重壁部Wを形成する。壁部形成の後、中間壁本体23’,24’を内方に折り曲げて中間壁23,24を形成し、形成した中間壁23,24を覆うように内壁本体27’を谷折り罫線29,30に沿って折り曲げ、その差込片31を孔32に挿入することで、図6に示すような、外壁/内壁/中間壁からなる三重壁部OWを形成し、箱体を完成することができる。
なお、第2実施形態としての箱体300は、幅に比し高さが高くかつ比較的重量物である銅線リールの収納に適している。
【符号の説明】
【0018】
1:壁部形成機構 9c,10c:角部 11,12:切込み部 11a,12a:誘導切込み 11b,12b:係止溝 W:壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角部付きフラップ一対を用いて壁部を形成する薄板材料製の壁部形成機構であって、
壁部形成状態において、前記各フラップは、水平方向に延在する誘導切込みと、前記誘導切込みに連通し垂直方向に延在する係止溝とを有する切込み部を備え、かつこれら誘導切込みおよびこれら係止溝は、各々、相互に反対方向に延在しており、
前記壁部形成状態は、一対の前記フラップを、前記切込み部を介し、一方のフラップの水平方向先端が他方のフラップの角部内面に当接するよう相互に差込むことによって形成されていることを特徴とする壁部形成機構。
【請求項2】
請求項1記載の壁部形成機構を備えることを特徴とする箱体。
【請求項3】
前記各角部は、前記フラップと前記フラップに連続する起立壁との間で形成されており、これら起立壁の間において、当該各起立壁に連続する基板を設ける請求項2記載の箱体。
【請求項4】
前記誘導切込みと、前記係止溝とは、切込み角を介して連通しており、
前記壁部形成状態において、一対の前記フラップのうち、前記係止溝が前記切込み角から下方に延在するフラップは、その誘導切込みよりも下部に位置するフラップ下部が系外に露出している請求項2記載の箱体。
【請求項5】
請求項1記載の壁部形成機構を備えることを特徴とするスリーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−269827(P2010−269827A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123949(P2009−123949)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(593122789)ユーテック株式会社 (118)
【Fターム(参考)】