説明

壁面の飾り棚

【課題】誰でも簡易に壁面所要位置に飾り棚を形成できるようにした壁面の飾り棚を提供すること。
【解決手段】壁面Wに固定した取付孔11を形成した下地板1と、この下地板1の取付孔11に嵌合して固定でき、かつ内部に物品載置棚21を形成した飾り棚本体2と、この飾り棚本体2の表面側に嵌合して一体とし、前面を開口したカバー3とより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面の飾り棚に関し、特に、壁面に形成した開口部に取り付ける下地板に、飾り棚本体、カバーを順次嵌合するようにして組み立てて、所要形状の飾り棚を簡易に形成するようにした壁面の飾り棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築時、或いは改装時に建物の壁面の一部に、特に限定されるものではないが、例えば角形等の形状に切欠部或いは窪みを形成し、該窪みの周囲を囲むように飾り縁を取り付け、時には必要に応じて窪み内部を照射するための照明具を取り付けて壁面飾り棚を構成している。
そして、この飾り棚の大きさや形状に合わせて、かつその窪み内に絵画を展示したり、或いは壺などの美術品や他の物品を展示又は陳列を行うようにし、所要の目的に合わせて室内の雰囲気を醸し出すようにしている。
【0003】
しかしながら、従来の壁面飾り棚は、建設或いは改装時に大工等の専門家の手により、飾り棚の設定位置の壁面に形成する壁面飾り棚の大きさ、形状に合わせて下地板に開口部を形成するが、この開口部は下地板などが露出しているので見栄えも悪くなるため、この開口部の全面及びその周囲を飾るための飾り縁を取り付けたり、飾り棚を形成した後壁紙を貼着るようにしているので、その製作は素人では困難で、専門家による施工が必要となり、またその製作には手数と時間がかかるとともに、製作途中での形状変更などは行えないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の壁面の飾り棚の有する問題点に鑑み、壁面所要位置に予め形成した壁面開口部に固定する合板などの下地板に、別個に工場生産した飾り棚本体とカバーとを順次嵌合して組み立てるようにすることにより、誰でも簡易に壁面所要位置に飾り棚を形成できるようにした壁面の飾り棚を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の壁面の飾り棚は、壁面に形成した取付孔に嵌合して固定でき、かつ内部に物品載置棚を形成した飾り棚本体と、該飾り棚本体の表面側に嵌合して一体とし、前面を開口したカバーとより構成したことを特徴とする壁面の飾り棚。
【0006】
また、同じ目的を達成するため、本発明の壁面の飾り棚は、壁面に固定した取付孔を形成した下地板と、該下地板の取付孔に嵌合して固定でき、かつ内部に物品載置棚を形成した飾り棚本体と、該飾り棚本体の表面側に嵌合して一体とし、前面を開口したカバーとより構成したことを特徴とする。
【0007】
この場合において、飾り棚本体を、取付孔より壁体内に嵌合して固定するようにした筒形の本体片と、壁面の表面側に突出して筒形の本体片よりも大形の鍔状とした取付体片とより構成することができる。
【0008】
また、飾り棚本体の取付体片を、その上部よりも下部を壁面の表面側に大きく突出するように形成することができる。
【0009】
また、飾り棚本体の本体片の天部に照明具を一体に取り付けるようにすることができる。
【0010】
また、カバーを、飾り棚本体の取付体片に外嵌にて着脱可能に取り付けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の壁面の飾り棚によれば、専門家でなくても誰もが壁体への取り付け、組立が簡易に行うことができる。
【0012】
また、飾り棚本体を、取付孔より壁体内に嵌合して固定するようにした筒形の本体片と、壁面の表面側に突出して筒形の本体片よりも大形の鍔状とした取付体片とより構成することにより、壁体に対する飾り棚前面部の突出量が一定となり、精度良く組立形成することができる。
【0013】
また、飾り棚本体の取付体片を、その上部よりも下部を壁面の表面側に大きく突出するように形成することにより、壁体厚が定まっていてもこの下部による壁面前方へ突出部にて飾り棚の収納スペースを広げることができる。
【0014】
また、飾り棚本体の本体片の天部に照明具を一体に取り付けるようにすることにより、電気的な接続だけで簡単に飾り棚内の照明をすることができる。
【0015】
また、カバーを、飾り棚本体の取付体片に外嵌にて着脱可能に取り付けるようにすることにより、飾り棚本体を下地板に固定しても、カバーにて固定用ビスを確実に覆い、飾り棚外観を美しく仕上げることができる。
また、カバーを着脱可能に取り付けるようにすることにより、デザインの異なるカバーを複数種類用意しておき、展示物等に応じてカバーを選択して使用する等の使用方法を採用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の壁面の飾り棚の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1〜図5に、本発明の壁面の飾り棚の第1実施例を示す。
本発明の壁面の飾り棚Aは、図1〜図2に示すように、壁面Wに形成せんとする飾り棚の位置には、飾り棚の大きさ、形状に合わせて予め下地板wとなる石膏ボード或いは合板を貼り合わせることなく開口した飾り棚取付孔Hを形成し、この壁面開口部の飾り棚取付孔Hに、特に限定されるものではないが、例えば合板製の下地板1をビス止め或いは釘打ちにて固定するとともに、該下地板1には形成する飾り棚の大きさ、形状に合わせた取付孔11を形成し、かつ該下地板1の取付孔11に嵌合してビス止め等にて飾り棚本体2を固定し、該飾り棚本体2の表面側にリング形のカバー3を嵌合して一体となるように構成する。
【0018】
また、飾り棚本体2の内部は空洞とし、かつ物品載置棚21を形成し、この物品載置棚21上に収納或いは展示する物品を載置するようにするとともに、リング形のカバー3の前面は開口した窓孔31となるようにし、このカバー前面の窓孔31より飾り棚内の物品載置棚21上に収納或いは展示する物品、例えば絵画、展示品(図示省略)などの出し入れを行えるようにする。
【0019】
下地板1は、壁面開口部の飾り棚取付孔Hにビス止め、或いは釘打ちなどにて取り付けられるように、一般に壁体を構成する下地板wとなる合板や石膏ボードの板厚と同じ厚さを有する合板にて製作するもので、これにより下地板面と他の壁面とが面一となるようにする。
【0020】
壁面Wの飾り棚取付孔Hは、下地板wとなる合板や石膏ボード等を、その飾り棚取付孔Hとなる位置のみ取り付けずに下地板1の大きさ及びその形状に合わせて開口した飾り棚取付孔Hを形成しておくものとする。なお、この壁面Wの飾り棚取付孔H部には、予め下地板固定桟12を配設しておくと下地板1のビス止め等が確実に行うことができる。
また、壁面Wの飾り棚取付孔H部に下地板1を取り付けた後、壁面Wに貼る壁紙を下地板1の表面にも貼り、他の壁面Wと連続した一体の壁面となるようにする。
【0021】
また、この下地板1に形成して飾り棚本体2を嵌合するようにした飾り棚本体2の取付孔11の形状は、これに嵌合する飾り棚本体2の形状に合わせるように、例えば飾り棚本体2、特に筒形の本体片22の形状と合わせて、円形、四角形、その他の多角形などとし、さらに、図6に示すように、飾り棚本体側に照明具を取り付ける場合は、この照明具を挿入できるようにしてその形状を定めるものとする。
【0022】
飾り棚本体2は、図4に示すように、下地板1の取付孔11に嵌合できる大きさとした筒形の本体片22と、壁面Wの表面側(壁面前方)に突出して固定されるようにした取付体片23とを一体に形成して構成する。
また、該取付体片23を、筒形の本体片22よりも大形の鍔形状とし、かつその上部よりも下部を壁面表面側(壁面前方)に大きく突出するようにするとともに、該飾り棚本体2の内部には展示物などを載置できるようにした物品載置棚21を一体に形成するようにする。
これにより、飾り棚本体内の収納スペースを広げるようにすることができるが、取付体片23の上部よりも下部を壁面表面側に大きく突出するようにして取り付けた状態で、物品載置棚上に展示物などを載置できるようになる。
【0023】
なお、この飾り棚本体2の筒形の本体片22と取付体片23との外形状は同じ形状、特に限定されるものではないが、例えば、図3〜図4に示すように、筒形の本体片22が円形ならば取付体片23も円形に、また、図8〜図10に示すように、筒形の本体片22が角形ならば取付体片23も角形とすることができるが、これを互いに異形状とすることも可能である。
飾り棚本体2の奥行き方向の長さは、取付体片23の先端が該飾り棚本体2を取り付ける下地板1と対向する位置にて配設した下地板wの内面と接するか、もしくは近設するようにし、これにより飾り棚本体内の物品載置棚21に載置する展示物品が壁体内空間部の下方へ落下しないようにして設定する。
【0024】
飾り棚本体2の取付体片23の表側に外嵌して取り付けるリング形のカバー3は、図5に示すように、飾り棚本体2の取付体片23と同じ形状に、即ちその上部よりも下部を壁面表面側に大きく突出するようにしたリング形或いはドーナツ形に形成する。このカバー3の中は開口した窓孔31となっており、このカバー3の開口した窓孔部より展示物品の出し入れを行えるようにする。
【0025】
このカバー3は、図7に示すように、飾り棚本体2に外嵌することで着脱可能に固定できるようにするとともに、外観を美麗に、安価に仕上げるため、飾り棚本体と共に合成樹脂にて成型することができる。
このように、カバー3を着脱可能に取り付けるようにすることにより、デザイン、具体的には、色調や形状の異なるカバー3を複数種類用意しておき、展示物等に応じてカバー3を選択して使用する等の使用方法を採用することができる。
【0026】
したがって、上述の如く製作した下地板1を壁面Wの飾り棚取付孔H部にビス止め等にて固定し、この下地板1の取付孔11内に飾り棚本体2を嵌合、ビス止めし、かつ該飾り棚本体2にカバー3を外嵌して組み立てて壁面飾り棚とする。この場合、図2に示すように、まず壁面開口部の飾り棚取付孔Hに下地板1をビス止め、或いは釘打ちなどにて取り付ける。その後、この下地板表面と他の壁面W表面とが面一となるようにして、即ち下地板1との接続面が解らないようにして所望の壁紙を貼着して仕上げる。
【0027】
次に、この下地板1の取付孔11内に飾り棚本体2の筒形の本体片22を嵌挿してビス止め固定するが、このビス止めは、図2に示すように、取付体片23の表端面に、かつその周回方向に定間隔に形成したビス孔24に固定用ビス5を挿通し、これを下地板1に螺合することで固定するようにする。この場合、取付体片23の下部が上部よりも壁面表面側(壁面前方)に大きく突出するようにする。
【0028】
飾り棚本体2の下地板側へのビス止め固定後、取付体片表側にリング形のカバー3を外嵌して取り付ける。この場合も、飾り棚本体2と同じように、カバー3の下部が上部よりも壁面表面側に大きく突出するようにし、かつ飾り棚本体側への外嵌にて固定され、所望の壁面飾り棚を構成するようにする。
【実施例2】
【0029】
図6〜図7に、本発明の壁面の飾り棚の第2実施例を示す。
この第2実施例においては、下地板1の取付孔内に嵌合する飾り棚本体2、及び飾り棚本体2に嵌合するリング形のカバー3の構成及びその組立は、第1実施例と同じであるのでその詳細説明を省略するが、この第2実施例では、この飾り棚本体内の展示物品を照射できるよう照明具4を飾り棚本体2と一体に形成したものである。
【0030】
この照明具4としては、小型化を図るため、図6(B)及び図7に示すように、発光ダイオードを採用する。この発光ダイオードは無色のほか、展示物品をより美しく、魅惑的なものとするため、青色、赤色等の有色のものを適宜採用することもできる。
そして、この発光ダイオードの取り付けは、図7に示すように、飾り棚本体2の筒形の本体片において、その上部の一部に発光ダイオード取付片25を一体に形成して、この発光ダイオード取付片25に取り付けるようにし、これにより飾り棚本体2と照明具4としての発光ダイオードとを一体とする。
この場合、下地板1は、円形の取付孔上部に発光ダイオード取付片25を容易に挿通できる形状の切欠部を形成するようにする。
【実施例3】
【0031】
図8〜図10に、本発明の壁面の飾り棚の第3実施例を示す。
この第3実施例の飾り棚の外形状を、四角形としたもので、したがって、下地板1に形成する取付孔11も同じように四角形に形成するものとする。そして、この四角形の取付孔11内に嵌合する飾り棚本体2、及び飾り棚本体2に外嵌して固定するカバー3の形状も同じように四角形とするが、その他の構成及びその組立は、第1実施例及び第2実施例と同様のため、その詳細説明を省略する。
【0032】
以上、本発明の壁面の飾り棚について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
また、上記各実施例においては、取付孔11を形成した下地板1を用いるようにした実施例について説明したが、この取付孔を壁面Wに直接形成するようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の壁面の飾り棚は、壁面に予め形成した壁面開口部に固定する下地板に、飾り棚本体とカバーを順次嵌合組み立てるようにして壁面所要位置に飾り棚を簡易に形成するという特性を有していることから、壁面の飾り棚の用途に好適に用いることができるほか、例えば、壁面収納庫の用途にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の壁面の飾り棚の第1実施例を示す外観斜視図である。
【図2】壁面の飾り棚の各部材の組立説明図である。
【図3】同壁面の飾り棚を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【図4】同壁面の飾り棚の本体を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【図5】同壁面の飾り棚のカバーを示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【図6】本発明の壁面の飾り棚の第2実施例を示し、(A)は平面図、(B)は断面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【図7】同壁面の飾り棚の断面図である。
【図8】本発明の壁面の飾り棚の第3実施例を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【図9】同壁面の飾り棚の本体を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【図10】同壁面の飾り棚のカバーを示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)は底面図、(E)は左面図、(F)は背面図である。
【符号の説明】
【0035】
A 壁面の飾り棚
H 飾り棚取付孔
W 壁面
w 下地板
1 下地板
11 取付孔
12 下地板固定桟
2 飾り棚本体
21 物品載置棚
22 筒形の本体片
23 取付体片
24 ビス孔
3 カバー
4 照明具
5 固定用ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に形成した取付孔に嵌合して固定でき、かつ内部に物品載置棚を形成した飾り棚本体と、該飾り棚本体の表面側に嵌合して一体とし、前面を開口したカバーとより構成したことを特徴とする壁面の飾り棚。
【請求項2】
壁面に固定した取付孔を形成した下地板と、該下地板の取付孔に嵌合して固定でき、かつ内部に物品載置棚を形成した飾り棚本体と、該飾り棚本体の表面側に嵌合して一体とし、前面を開口したカバーとより構成したことを特徴とする壁面の飾り棚。
【請求項3】
飾り棚本体を、取付孔より壁体内に嵌合して固定するようにした筒形の本体片と、壁面の表面側に突出して筒形の本体片よりも大形の鍔状とした取付体片とより構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の壁面の飾り棚。
【請求項4】
飾り棚本体の取付体片を、その上部よりも下部を壁面の表面側に大きく突出するように形成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の壁面の飾り棚。
【請求項5】
飾り棚本体の本体片の天部に照明具を一体に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の壁面の飾り棚。
【請求項6】
カバーを、飾り棚本体の取付体片に外嵌にて着脱可能に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の壁面の飾り棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−112378(P2009−112378A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285999(P2007−285999)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(392034746)吉川化成株式会社 (22)