説明

壁面緑化パネル、壁面緑化システム

【課題】壁面から植生シートが落下しにくい構造を備えた壁面緑化パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】表面に緑植物が植生され、壁面側から突出する針状部材に差し込まれることにより支持される植生パッドと、前記植生パッドの側面に対向する方向に位置する第1のフレーム面と、前記植生パッドを挟んで前記壁面と向きあう方向に位置する第2のフレーム面とを備え、前記植生パッドを支持する支持枠と、前記植生パッドの平面方向に沿って延びる複数の線状部材を備える植生パッドの落下防止体と、前記落下防止体を前記支持枠に対して着脱可能に装着する外れ止め部材と、を有することを特徴とする壁面緑化パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の壁面を緑化するための壁面緑化パネルなどに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の意匠性の確保やヒートアイランド現象の抑制を図るために建物の壁面を緑化する壁面緑化パネルが考えられている。この種の壁面緑化パネルとして、従来、建物の壁面に苔が植生された植生シートを接着剤及びアンカーボルトで固定する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−261130号公報
【特許文献2】特開2010−110237号公報
【特許文献3】特開2010−193741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法は、植生シートの表面側から壁面にアンカーボルトが打ち込まれる構成であり、アンカーボルトの本数が多くなると、苔の植生面積が小さくなり壁面緑化の目的を果たせなくなるおそれがあるため、アンカーボルトの本数を多くすることができなかった。そのため、接着剤による接着力が低下し、かつ、アンカーボルトが打ちこまれていない領域から、植生シートが剥がれ落ちるおそれがあった。
【0005】
特に、壁面緑化パネルを駅舎の壁面に設置した場合には、電車から受ける風圧によって植生シートが落下し、この落下した植生シートが線路上部の架線、或いは電車のパンダグラフなどに接触して、電車の運行を妨げるおそれがあった。
【0006】
そこで、本願発明は、壁面から植生シートが落下しにくい構造を備えた壁面緑化パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る壁面緑化パネルは、(1)構造物の壁面緑化に用いられる壁面緑化パネルであって、表面に緑植物が植生され、壁面側から突出する針状部材に差し込まれることにより支持される植生パッドと、少なくとも前記植生パッドの側面に対向する方向に位置する第1のフレーム面と、前記植生パッドを挟んで前記壁面と向きあう方向に位置する第2のフレーム面とを備え、前記植生パッドを支持する支持枠と、前記植生パッドの厚み方向において、前記植生パッドよりも前記壁面から離間した位置に設けられ、前記植生パッドの平面方向に沿って延びる複数の線状部材を備える植生パッドの落下防止体と、前記落下防止体を前記支持枠に対して着脱可能に装着する外れ止め部材と、を有することを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記落下防止体は、網目状に形成することができる。(1)の構成によれば、突状部材から植生パッドが抜けた場合であっても、植生パッドの落下を防止することができる。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記植生パッド及び前記壁面は接着剤により接着するとよい。これにより、植生パッドを壁面に強固に固定することができる。また、植生パッドは突状部材により姿勢が維持されるため、接着剤により植生パッド及び壁面を確実に接着させることができる。すなわち、接着剤が固着する前に、植生パッドが壁面から剥がれるのを防止できる。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)の構成において、前記針状部材の長さは、前記植生パットの厚みよりも短く設定されている。これにより、植生パッドの表面に針状部材が突出するのを防止できる。
【0011】
(5)上記(1)〜(4)の構成において、前記針状部材は、前記壁面に固定される支持プレートに形成することができる。これにより、針状部材を簡単に設けることができる。
【0012】
(6)上記(5)の構成において、前記支持プレート及び前記支持枠は前記植生パッドの厚み方向において互いに重ねて配置されており、これらの支持プレート及び支持枠を貫通して前記壁面に打ち込まれるアンカー部材を有する。これにより、支持プレート及び支持枠の固定作業を簡略化することができ、コストを削減することができる。
【0013】
(7)上記(1)〜(6)の構成において、前記構造物は、駅舎であってもよい。駅舎のように電車走行時に風圧を受ける環境においても、植生パッドの落下を防止することができる。
【0014】
(8)上記(1)〜(7)の構成において、前記外れ止め部材は、前記支持枠の外面に前記線状部材を押圧する押圧部を備えるとよい。この構成によれば、支持枠の着脱が容易となる。その結果、植生シートの交換が容易となり、メンテナンス作業を簡易に行うことができる。さらに、前記着脱部に外れ止め部材が設けられるため、メンテナンス作業の容易化と、支持枠の落下防止とを両立することができる。
【0015】
(9)上記(1)〜(8)のうちいずれか一つに記載の壁面緑化パネルを壁面に複数配列することができる。これにより、壁面全体を壁面緑化パネルにより覆うことができる。
【0016】
(10)上記(9)の構成において、該壁面緑化システムは、互いに隣接する第1及び第2の壁面緑化パネルを含み、前記第1及び第2の壁面緑化パネルは、前記支持枠として板状部を共有しており、前記板状部は、一方の面が前記第1の壁面緑化パネルの前記第1のフレーム面であり、他方の面が前記第2の壁面緑化パネルの前記第1のフレーム面である。これにより、支持枠の構成が簡素化され、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、壁面から植生シートが落下しにくい構造を備えた壁面緑化パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】壁面緑化パネルの斜視図(組み立て完成図)である。
【図2】壁面緑化パネルの斜視図(一部を省略した省略図)である。
【図3】壁面緑化システムの正面図である。
【図4】支持枠の断面図である。
【図5A】保持部の断面図である。
【図5B】外れ止め部材の断面図である。
【図6】植生シートの断面図である。
【図7】変形例の支持枠の断面図である。
【図8】落下防止網の変形例を示した平面図である。
【図9】落下防止網の別の変形例を示した平面図である。
【図10】変形例の支持枠の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1及び図2を参照しながら本発明の実施形態に係る壁面緑化パネルについて説明する。図1及び図2は壁面緑化パネルの斜視図であり、図1は壁面緑化パネルの組み立て完成図であり、図2は植生パッド及び落下防止網を省略して図示している。X軸、Y軸及びZ軸は互いに異なる直交する三軸を示す。
【0020】
これらの図を参照して、本実施形態に係る壁面緑化パネル1は、支持枠11、支持プレート12、落下防止網(落下防止体)13及び植生パッド14を含む。壁面緑化パネル1は構造物の壁面2に設置される。構造物の壁面2に壁面緑化パネル1が設置されることにより、建物の意匠性を担保しながら、ヒートアイランド現象などを抑制することができる。当該構造物は、駅舎であってもよい。
【0021】
図3は、本実施形態の壁面緑化パネル1を駅舎の壁面2に適用した壁面緑化システムAの正面図である。壁面緑化パネル1は、矩形状に形成されており、上下方向に延びる駅舎の壁面2にマトリクス状に隙間なく配列される。壁面緑化パネル1は、壁面2全体に配列してもよいし、或いは壁面2の一部に配列してもよい。
【0022】
図4は、支持枠11をX−Y面で切断した断面図である。支持枠11は植生パッド14のX軸方向の外縁部を支持する。支持枠11は、第1のフレーム内面(第1のフレーム面)11a、第2のフレーム内面(第2のフレーム面)11b及び第3のフレーム内面11cを備える。第1のフレーム内面11aはY−Z平面に沿って延びる。第2のフレーム内面11bはX−Z平面に沿って延びる。第3のフレーム内面11cはX−Z平面に沿って延びる。これらの第1〜第3のフレーム内面11a〜11cは、一体的に成形されている。植生パッド14は、第2のフレーム内面11b及び第3のフレーム内面11cに挟まれ領域内に、Z軸方向からスライド挿入されることにより、支持枠11に組み込まれる。
【0023】
支持枠11は、錆び難い材料から形成してもよいし、或いは表面に防錆処理を施した板材を用いてもよい。例えば、ステンレス、アルミニウム、耐候性鋼を用いることができる。
【0024】
第1のフレーム内面11aは、植生パッド14の側面(Y−Z面)と向きあっている。第1のフレーム内面11aが植生パッド14の側面と向きあうことにより、X軸方向から吹き付ける風は支持枠11の外面に当接して、植生パッド14に向かう方向とは異なる方向に向かう。これにより、植生パッド14が支持プレート12から剥がれ、或いは壁面2から脱落するのを抑制できる。
【0025】
第2のフレーム内面11bは、Y軸方向において植生パッド14と向きあう。したがって、植生パッド14にY軸方向の外力が加わった際に、植生パッド14の外縁部が第2のフレーム内面11bに当接して、植生パッド14の移動が規制される。これにより、植生パッド14が壁面緑化パネル1から落下するのを抑制できる。
【0026】
第2のフレーム内面11bと植生パッド14との間にはクリアランスCが形成されている。このクリアランスCは、支持プレート12の支持針12aよりも長く設定されている。これにより、植生パッド14を支持枠11にスライド挿入する際に、植生パッド14が支持針12aに接触するのを防止できる。その結果、植生パッド14をスムーズに支持枠11に収めることができる。
【0027】
また、支持針12aの長さは、植生パッド14の厚みよりも短く設定されている。これにより、植生パッド14を支持針12aに貫通させた際に、植生パッド14の表面から支持針12aが突出するのが防止され、植生パッド14の意匠性が低下するのを抑制できる。
【0028】
再び図1及び図2を参照して、支持枠11の支持枠外面11dには、一つの外れ止め部材15と、複数の保持部材11eとが設けられている。外れ止め部材15は、支持枠外面11dの左側上端部に位置する。複数の保持部材11eは、上下方向(Z軸方向)に所定の間隔を隔てて形成されている。
【0029】
図5Aは、保持部材11eの断面図である。保持部材11eは、舌状に形成されており、上斜め方向に向かって延びている。保持部材11eは、落下防止網13の線状部13aの端部を支持枠外面11dに向かって矢印方向に押圧している。これにより、落下防止網13は、上下方向において支持される。保持部材11eは、支持枠11の壁面にバーリング加工を施すことにより穴の縁を突出させ、この突出した部分を屈曲させることにより形成してもよい。
【0030】
図5Bは、外れ止め部材の断面図である。外れ止め部材15は、落下防止網13を支持枠11の支持枠外面11dに対して着脱可能に装着する。外れ止め部材15は、固定板151と、締結部材152とを含む。固定板151は、X軸方向視において、L字状に折れ曲がった押圧部151aと、押圧部151aの両端部から支持枠外面11dに沿ってZ軸方向に延びる取り付け部151bとを含む。締結部材152は、締結ボルト152aと、締結ナット152bと、押し込みバネ152cと、ワッシャ152dとを含む。締結ボルト152aは、取り付け部151b及び支持枠11を貫通して、支持枠内面11b側に位置する締結ナット152bに締結される。締結ボルト152aが締結ナット152bに締結されることにより、押圧部151aによる押圧作用が働き、線状部13aを支持枠11に対して押圧することができる。押し込みバネ152cは、締結ボルト152aの軸周りに配設されており、ワッシャ152dを介して支持枠11に対して固定板151を押圧している。これにより、落下防止網13は、より強固に支持枠11に対して装着される。さらに、締結ボルト152a及び締結ナット152bは固着手段により固着されている。これにより、締結ボルト152aの回転動作が禁止されるため、締結トルクの低下を抑制できる。固着手段は、溶接、接着剤による接着であってもよい。なお、外れ止め部材15は、一つではなく、複数であってもよい。
【0031】
ここで、落下防止網13を支持枠11から取り外す場合の取り外し方法について説明する。図5Bを参照して、固定板151を支持枠11から離間する方向(Y軸方向に対して反対の方向)に引っ張ると、押し込みバネ152cが縮むことにより固定板151の移動が許容されるため、固定板151から線状部13aに対して加わる押圧力を無くすことができる。そして、固定板151を支持枠11から離間させた状態で、落下防止網13をX軸方向に移動させることにより、固定板151及び支持枠11が対向する対向領域から線状部13aを退避させることができる。図5Aを参照して、線状部13aが前記対向領域から退避した状態で、落下防止網13を保持部材11eによる押圧力に抗しながらZ軸方向に移動させることにより、落下防止網13を支持枠11から取り外すことができる。
【0032】
このように、落下防止網13を支持枠11に対して着脱可能な構成とすることにより、植生パッド14の交換作業を簡素化することができる。
【0033】
支持プレート12は、植生パッド14に面する側の外面に支持針12aを備える。支持針12aは、支持プレート12に対して溶接などの手段により接合されている。図2に図示するように、支持針12aは、所定の間隔を隔てて支持プレート12上に複数設けられている。支持針12aの個数は図示するように3つであってもよいが、これに限定されるものではない。支持針12aは支持プレート12と一体的に形成してもよい。
【0034】
支持針12aは、植生パッド14の裏面側から差し込まれる。これにより、植生パッド14がY軸方向とは反対方向の外力を受けた際に、支持針12aと植生パッド14との間に摩擦力が働き、植生パッド14が支持針12aから抜けるのが抑制される。その結果、植生パッド14が壁面2から脱落するのが防止される。
【0035】
支持プレート12及び支持枠11の第3のフレーム内面11cは、Y軸方向において重なる領域(以下、重なり領域という)を有する。この重なり領域に対して、アンカーボルト21をY軸方向から打ちこむことにより支持枠11及び支持プレート12を壁面2に固定することができる。このように、重なり領域にアンカーボルト21を打ちこむ方法を用いることにより、支持枠11及び支持プレート12を別々に壁面に固定する方法よりも、設置工程を少なくすることができる。これにより、コストを削減することができる。
【0036】
さらに、アンカーボルト21は、植生パッド14により覆われ、外部から視認することができない。したがって、壁面緑化パネル1の意匠性を高めることができる。
【0037】
植生パッド14の裏面には、接着剤が塗布されていてもよい。これにより、植生パッド14は、壁面2に対してより強固に固定される。前述したように、本実施形態の植生パッド14は、支持プレート12の支持針12aにより姿勢が維持される。そのため、植生パッド14と壁面2との間に接着剤が介在した状態で、接着剤を乾燥させることができる。これにより、植生パッド14及び壁面2を強固に固着することができる。
【0038】
次に、図6を参照しながら、植生パッド14について説明する。図6は植生シートの断面図である。同図を参照して、植生パッド14は、基材シート141とこの基材シート141上に植生される緑色の植物142とを含む。植物142は、苔であってもよい。
【0039】
本実施形態の構成によれば、接着剤が固まるまでは、支持針12aから受ける摩擦力により植生パッド14の落下が防止される。接着剤が固着した後は、接着剤による接着力及び支持針12aから受ける摩擦力の双方により植生パッド14の落下が防止される。仮に植生パッド14が支持針12aから外れた場合であっても、落下防止網13により植生パッド14の落下が防止される。さらに、外れ止め部材15が装着されることにより、落下防止網13は、支持枠11から離脱不能となるため、より効果的に植生パッド14の落下が防止される。このように、本実施形態の壁面緑化パネル1は、植生パッド14の落下を防止する複数の機構を有するため、線路の近傍など風圧が高い場所に配置しても、落下する危険性がない。
【0040】
(変形例1)
図7を用いて支持枠11の変形例について説明する。図7は支持枠の変形例であり、図4に対応している。支持枠31は、隣接する植生シート34a、34bの間に位置する板状部31Aを備える。板状部31Aの一方の面には植生シート34aの側面に当接する第1のフレーム内面31Aaが形成され、他方の面には植生シート34bの側面に当接する第1のフレーム内面31Abが形成される。このように、植生シート34a、34bの側面を一つの板状部31Aを用いて突風から保護することができる。これにより、コストを削減することができる。これに加えて、本変形例によれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
落下防止網の変形例について説明する。落下防止網13は、植生パッド14の落下を防止することができれば他の構成であってもよい。当該他の構成は、図8に図示する線状部材41を一方向のみに複数配置した構成であってもよい。当該他の構成は、図9に図示するように線状部材51を折り曲げて多角形の形状を形成し、これらを隙間なく配置した構成であってもよい。さらに、落下防止網13は、ナイロンにより構成してもよい。ナイロンは、錆の発生がなく、紫外線による劣化も少ないため、落下防止網13の寿命を長くすることができる。
【0042】
(変形例2)
上述の実施形態では、支持枠11及び支持プレート12をアンカーボルト21により一体的に壁面2に固定したが、本発明はこれに限られるものではなく、これらを別々に固定してもよい。例えば、アンカーボルト21を用いて支持枠11を壁面2に固定し、アンカーボルト21とは異なるビスを用いて支持プレート12を支持枠11に固定してもよい。
【0043】
(変形例3)
上述の実施形態では、落下防止網13を支持枠11の外面に押圧することにより固定したが、本発明はこれに限られるものではなく、他の構成であってもよい。当該他の構成は、落下防止網13の線状部13aの端部を支持枠11に設けられた穴部に挿入する構成であってもよい。この場合、落下防止網13を屈曲させた状態で、線状部13aを当該穴部に挿入する。当該穴部に線状部13aを挿入した後に、落下防止網13から手を離すと、落下防止網13がフラットな形状に戻り、線状部13aが当該穴部のより奥に移動する。これにより、落下防止網13の落下を防止することができる。この場合、当該穴部が、外れ止め部材に相当する。
【0044】
(変形例4)
上述の実施形態では、図4に図示するように、植生パッド14を支持枠11に組み込むためにクリアランスCを設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、クリアランスCを省略することもできる。図10は本変形例4の支持枠の断面図である。上記実施形態と同一の機能を有する構成要素には同一符合を付している。植生パッド14は、Y軸方向とは反対方向に凸となるように屈曲された状態で、Y軸方向から支持枠11の中に組み込まれる。支持枠11に落下防止網13を装着すると、支持枠11のY軸方向の端面が屈曲した植生パッド14の凸部に当接し、植生パッド14は支持プレート12に接近する方向に押し込まれる。その結果、植生パッド14は、支持針12aに差し込まれて固定される。さらに、植生パッド14を支持針12aに差し込む際に、支持枠11に装着される落下防止網13により、植生パッド14の落下が防止される。
【0045】
(変形例5)
上述の実施形態では、図2に図示するように、支持枠11の外面に外れ止め部材15を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、他の構成であってもよい。当該他の構成は、第2のフレーム内面(第2のフレーム面)11bに外れ止め部材15を設ける構成であってもよい。この場合、落下防止網13は、支持枠11の内面に沿って配置される。外れ止め部材15は、上述の実施形態と同様であってもよい。本変形例の構成によれば、落下防止網13が植生シート14にさらに接近し、植生シート14を支持プレート12に対して押圧することができる。さらに、落下防止効果を維持しながら、植生シート14の接着剤を省略することもできる。
【0046】
上述の実施形態では、締結部材152を用いて固定板151を支持枠11に固定したが、本発明はこれに限られるものではなく、締結部材152の代わりにテーパ形状の部材(以下、テーパ部材という)を用いることができる。すなわち、固定板151の取り付け部151b及び支持枠11に開口部を形成し、この開口部にテーパ部材を圧入することにより、固定手段とすることができる。この場合、テーパ部材を支持枠11に接近するにしたがって縮径するような向きに配置することにより、固定板151がテーパ部材からの抜けることを防止できる。また、テーパ部材を用いた場合、押し込みバネ152cは省略することができる。
【0047】
上述の実施形態では、締結部材152を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、締結部材152の代わりにビスを用いることもできる。この場合、ビスは、支持枠11の外面に溶接してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 壁面緑化パネル
11 支持枠
12 支持プレート
12a 支持針
13 落下防止網
13a 線状部
14 植生シート
15 外れ止め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の壁面緑化に用いられる壁面緑化パネルであって、
表面に緑植物が植生され、壁面側から突出する針状部材に差し込まれることにより支持される植生パッドと、
少なくとも前記植生パッドの側面に対向する方向に位置する第1のフレーム面と、前記植生パッドを挟んで前記壁面と向きあう方向に位置する第2のフレーム面とを備え、前記植生パッドを支持する支持枠と、
前記植生パッドの厚み方向において、前記植生パッドよりも前記壁面から離間した位置に設けられ、前記植生パッドの平面方向に沿って延びる複数の線状部材を備える植生パッドの落下防止体と、
前記落下防止体を前記支持枠に対して着脱可能に装着する外れ止め部材と、
を有することを特徴とする壁面緑化パネル。
【請求項2】
前記落下防止体は、網目状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の壁面緑化パネル。
【請求項3】
前記植生パッド及び前記壁面は接着剤により接着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面緑化パネル。
【請求項4】
前記針状部材の長さは、前記植生パットの厚みよりも短いことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の壁面緑化パネル。
【請求項5】
前記針状部材は、前記壁面に固定される支持プレートに形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の壁面緑化パネル。
【請求項6】
前記支持プレート及び前記支持枠は前記植生パッドの厚み方向において互いに重ねて配置されており、これらの支持プレート及び支持枠を貫通して前記壁面に打ち込まれるアンカー部材を有することを特徴とする請求項5に記載の壁面緑化パネル。
【請求項7】
前記構造物は、駅舎であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一つに記載の壁面緑化パネル
【請求項8】
前記外れ止め部材は、前記支持枠の外面に前記線状部材を押圧する押圧部を備えることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一つに記載の壁面緑化パネル。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか一つに記載の壁面緑化パネルを壁面に複数配列することにより前記構造物の壁面を覆った壁面緑化システム。
【請求項10】
該壁面緑化システムは、互いに隣接する第1及び第2の壁面緑化パネルを含み、
前記第1及び第2の壁面緑化パネルは、前記支持枠として板状部を共有しており、
前記板状部は、一方の面が前記第1の壁面緑化パネルの前記第1のフレーム面であり、他方の面が前記第2の壁面緑化パネルの前記第1のフレーム面であることを特徴とする請求項9に記載の壁面緑化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−135302(P2012−135302A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265279(P2011−265279)
【出願日】平成23年12月2日(2011.12.2)
【出願人】(591075641)東鉄工業株式会社 (36)
【Fターム(参考)】