壁面緑化パネル取付装置および壁面緑化パネル
【課題】壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることなく、施工の手間がかからない壁面緑化パネル取付装置、および壁面緑化パネルを提供する。
【解決手段】柱材1とL型金具2とパネル支持部材3とからなり、柱材1の側面に縦長の係合溝11が形成されており、係合溝11の開口部の両側縁に薄片12が形成されており、L型金具2と薄片12とは結合部材で接合されており、パネル支持部材3は柱材1に接合されている壁面緑化パネル取付装置である。L型金具2が柱材1の係合溝11の任意の位置で接合可能であるので、壁面5の取り付け不可能な場所を避けて、柱材1を壁面5に設置することができる。そのため、壁面緑化パネルの壁面5への取り付け場所が制約されることがない。1本の柱材1を壁面5に設置するには、2つのL型金具2で足りるので、柱材1を壁面5に設置する施工の手間がかからない。
【解決手段】柱材1とL型金具2とパネル支持部材3とからなり、柱材1の側面に縦長の係合溝11が形成されており、係合溝11の開口部の両側縁に薄片12が形成されており、L型金具2と薄片12とは結合部材で接合されており、パネル支持部材3は柱材1に接合されている壁面緑化パネル取付装置である。L型金具2が柱材1の係合溝11の任意の位置で接合可能であるので、壁面5の取り付け不可能な場所を避けて、柱材1を壁面5に設置することができる。そのため、壁面緑化パネルの壁面5への取り付け場所が制約されることがない。1本の柱材1を壁面5に設置するには、2つのL型金具2で足りるので、柱材1を壁面5に設置する施工の手間がかからない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面緑化パネル取付装置および壁面緑化パネルに関する。さらに詳しくは、壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることなく、施工の手間がかからない壁面緑化パネル取付装置、およびその壁面緑化パネル取付装置により取り付けられた壁面緑化パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和、大気中の炭酸ガスの吸収などのために建築物の壁面に植栽を施す壁面緑化が行われている。
壁面緑化の方法には、主なものとして、植物を壁面上部から下垂させる方法や植栽基盤を壁面に取り付ける方法のほか、壁面に金網やワイヤーなどの登攀補助材を配設し、その登攀補助材に蔓性植物を登攀させる方法がある。
【0003】
その一例である特許文献1の壁面緑化の方法は、図10に示すように、上記登攀補助材として金網104を用いたものであり、壁面101に所定間隔を有して埋設されているアンカー103にT型状ボルト105を螺着して、そのT型状ボルト105に金網104の線材の交差部位を固定する方法である。
しかるに、この従来方法では、金網104の交差部位に位置する壁面101にT型状ボルト105を螺着する必要があるが、壁面101に窓があったり、壁内部に鉄筋が通っていたりすると、T型状ボルト105を螺着するためのアンカー103を壁面101に埋設できず、金網104を配設できないという問題がある。
また、多数のT型状ボルト105が必要であるので、T型状ボルト105の螺着および金網104とT型状ボルト105との固定など、施工の手間が多くかかるという問題がある。
【0004】
これに対し、特許文献2の壁面緑化の方法は、図11に示すように登攀補助材として用いる金網203の外周をフレーム202で囲み壁面緑化パネル208とするものである。壁面緑化パネル208を壁面に施工する際には、フレーム202部分のみを壁面に取り付ければよい。そのため、特許文献1の方法に比べて取付部材の数を削減することができる。
しかるに、取り付け位置の壁面に窓があったり、壁内部に鉄筋が通っていたりすると取り付けができないという問題を解消することはできない。
また、壁面への取り付けは壁面緑化パネル208毎に行う必要があり、壁面緑化パネル208を多数組み合わせて施工する場合には取り付け箇所が多くなるため、施工に手間が掛かるという問題を十分に解消するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2000−17667号
【特許文献2】特開平10−313692号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることなく、施工の手間がかからない壁面緑化パネル取付装置、およびその壁面緑化パネル取付装置により取り付けられた壁面緑化パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の壁面緑化パネル取付装置は、柱材と、該柱材を壁面に取り付ける壁面取付部材と、前記柱材に登攀補助パネルを取り付けるパネル支持部材とからなる壁面緑化パネル取付装置であって、前記柱材の側面に、その長手方向に延びる係合溝が形成されており、前記壁面取付部材は前記係合溝の長手方向における任意の位置で結合自在であり、前記パネル支持部材は前記柱材に接合されていることを特徴とする。
第2発明の壁面緑化パネルは、第1発明の壁面緑化パネル取付装置が複数本壁面に設置され、該複数本の壁面緑化パネル取付装置に掛け渡すように1枚もしくは複数枚の前記登攀補助パネルが前記パネル支持部材に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、壁面取付部材が柱材の係合溝の長手方向における任意の位置で接合自在であるので、窓や壁内部の鉄筋などの取り付け不可能な場所を避けて、柱材を壁面に設置することができる。そのため、壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることがない。また、1本の柱材を壁面に設置するには、2つの壁面取付部材を用いて2箇所を取り付ければ足りるので、柱材を壁面に設置する施工の手間がかからない。
第2発明によれば、登攀補助パネルの数箇所をパネル支持部材に取り付けることができるので、登攀補助パネルを強固に配設することができる。また、複数枚の登攀補助パネルを配設すれば、任意の形状、広さの壁面緑化パネルとして施工できる。さらに、一つの壁面取付部材に複数枚の登攀補助パネルを取付けることもできるので、施工の手間がかからない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネル取付装置の部分拡大正面図である。図2は同壁面緑化パネル取付装置の部分拡大側面図である。図3は同壁面緑化パネル取付装置の平面図である。
【0010】
図1に示すように、壁面緑化パネル取付装置は柱材1と壁面取付部材であるL型金具2とパネル支持部材3とからなる。本実施形態において柱材1は、中空の角パイプであり、アルミニウム製押出形材によって形成されている。柱材1の左右両側面には、柱材1の長手方向に沿って延びる係合溝11が設けられている(図2参照)。この係合溝11は断面視T型をしており、後述するナット22およびボルト21の端部が収まる形状となっている(図3参照)。また、係合溝11の開口部の両側縁には、係合溝11に沿って薄片12が形成されている。これら係合溝11と薄片12で形成される空間にナット22が収容されるようになっている。ナット22の大きさに比べ、係合溝11と薄片12で形成される空間が大きくなるように形成されており、ナット22が係合溝11に沿って滑動可能となっている。
【0011】
本実施形態において、壁面取付部材にはL型金具2を用いている。ボルト21をL型金具2の一片に設けられた孔を通して、上記の係合溝11に収められたナット22に螺合することにより、L型金具2は柱材1に接合される。ボルト21を緩めるとナット22は係合溝11に沿って動くことができるので、L型金具2も柱材1の係合溝11の任意の位置に動かすことができる。L型金具2を所定の位置に動かした後に、ボルト21を締めると、ナット22とボルト21で柱材1の薄片12とL型金具2を挟み、L型金具2を柱材1に対して固定することができる。
【0012】
前記L型金具2の他片に設けられた孔を通して、螺子23を壁面5に螺合すると柱材1を壁面5に設置することができる。もちろん、壁面取付金具2と壁面5との設置には螺子23に限られるものではなく、コンクリート釘など壁面5の材質によって適当なものを選択すればよい。また、壁面取付部材としては、L型金具2以外のものであっても、柱材1を壁面5に取り付けることができ、接合位置を変更できるものであれば、任意の金具を使用できる。
【0013】
上記のとおり、L型金具2が柱材1の係合溝11の長手方向における任意の位置で接合自在であるので、壁面5に窓があったり壁内部に鉄筋があったりして、螺子23が取り付け不可能な場所がある場合でも、L型金具2を適した位置に配置し、柱材1を壁面5に設置することができる。そのため、壁面緑化パネルの壁面5への取り付け場所が制約されることがない。
【0014】
また、柱材1は壁面緑化パネルを施工する範囲に合わせて任意の長さとすることができるが、1本の柱材1を壁面5に設置するには、2つのL型金具2を用いて2箇所を取り付ければ足りる。そのため、柱材1を壁面5に設置する施工の手間がかからない。
もちろん、L型金具2の数を増やして柱材1を強固に壁面5に設置することも可能である。登攀補助パネル4およびそれに登攀する植物の重量を考慮してL型金具2の数を選択すればよい。
【0015】
さらに、柱材1には係合溝11が左右両側面に設けられているので、L型金具2を左右に取り付けることにより、柱材1を強固に壁面5に設置することが可能である。ただし、左右両側面に係合溝11を設けることは必ずしも必要ではなく、片面のみに係合溝11を設ける構成としてもよい。
【0016】
つぎに、上記壁面緑化パネル取付装置を用いて施工した壁面緑化パネルについて説明する。
図1に示すように、柱材1の正面にはパネル支持部材3が螺子などで接合されている。このパネル支持部材3に登攀補助パネル4を取り付ければ、壁面緑化パネルとして施工できる。
登攀補助パネル4は、特に限定はないが、二重金網などを用いればよい。
【0017】
登攀補助パネル4はパネル支持部材3に取り付ければよく、直接壁面5に取り付ける必要がない。そのため、壁面5への取り付け場所が制約されることなく、柱材1の任意の位置で登攀補助パネル4を取り付けることができる。また、パネル支持部材3は柱材1の正面の任意の位置に任意の数量取り付けることが可能である。そのため、登攀補助パネル4の大きさ、重量などに合わせてパネル支持部材3の位置、数量を選択することができる。
【0018】
図4は本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。図5は同壁面緑化パネルの側面図である。図6は同壁面緑化パネルの平面図である。
図4に示すように、2本の柱材1を壁面5に設置し、その2本の柱材1に掛け渡すように登攀補助パネル41、42を配設することができる。本実施形態では登攀補助パネル41と、登攀補助パネル42の2枚を配設している。
【0019】
各登攀補助パネル41、42の4角付近をパネル支持部材3に取り付けることができるので、登攀補助パネル41、42を強固に配設することができる。また、登攀補助パネル41、42は2枚に限らず、1枚でもよいし、3枚以上を取り付けてもよい。そのため、任意の広さの壁面緑化パネルとして施工することができる。
さらに、複数枚の登攀補助パネル41、42を配設したとしてもL型金具2の数量を増やす必要がない。例えば、2枚の登攀補助パネル41、42を直接壁面5に配設する場合には、各登攀補助パネル41、42の4角を壁面5に取り付けるとすると、合計8箇所で壁面5に取り付けなければならない。これに対して、本実施形態のように2本の柱材1と2枚の登攀補助パネル41、42を用いて施工した場合は、L型金具2は4つで足りる。そのため施工の手間がかからない。
【0020】
なお、本実施形態において2本の柱材1は平行に取り付けているが、並行ではなく互いに傾きをもって配置してもよい。
【0021】
図4に示すように、壁面緑化パネルの下に植栽ポット6を配置し、植栽ポット6で蔓性植物を育成することにより、蔓性植物を登攀補助パネル41、42に登攀させて、壁面緑化することが可能である。
【0022】
図7は登攀補助パネルの配置を変更した実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。図8は同壁面緑化パネルの側面図である。図9は同壁面緑化パネルの平面図である。
【0023】
図7に示すように、柱材1を水平にして壁面5に設置することも可能である。2本の長尺の柱材1を水平にして壁面5に設置し、その2本の柱材1に掛け渡すように登攀補助パネル41、42を配設すると横長の壁面緑化パネルとすることができる。
このように、壁面5への取り付け場所が制約されることなく、任意の形状、広さの壁面緑化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネル取付装置の部分拡大正面図である。
【図2】同壁面緑化パネル取付装置の部分拡大側面図である。
【図3】同壁面緑化パネル取付装置の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。
【図5】同壁面緑化パネルの側面図である。
【図6】同壁面緑化パネルの平面図である。
【図7】登攀補助パネルの配置を変更した実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。
【図8】同壁面緑化パネルの側面図である。
【図9】同壁面緑化パネルの平面図である。
【図10】特許文献1の壁面緑化方法の説明図である。
【図11】特許文献2の壁面緑化方法の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 柱材
11 係合溝
12 薄片
2 L型金具
21 ボルト
22 ナット
23 螺子
3 パネル支持部材
4 登攀補助パネル
41 登攀補助パネル
42 登攀補助パネル
5 壁面
6 植栽ポット
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面緑化パネル取付装置および壁面緑化パネルに関する。さらに詳しくは、壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることなく、施工の手間がかからない壁面緑化パネル取付装置、およびその壁面緑化パネル取付装置により取り付けられた壁面緑化パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和、大気中の炭酸ガスの吸収などのために建築物の壁面に植栽を施す壁面緑化が行われている。
壁面緑化の方法には、主なものとして、植物を壁面上部から下垂させる方法や植栽基盤を壁面に取り付ける方法のほか、壁面に金網やワイヤーなどの登攀補助材を配設し、その登攀補助材に蔓性植物を登攀させる方法がある。
【0003】
その一例である特許文献1の壁面緑化の方法は、図10に示すように、上記登攀補助材として金網104を用いたものであり、壁面101に所定間隔を有して埋設されているアンカー103にT型状ボルト105を螺着して、そのT型状ボルト105に金網104の線材の交差部位を固定する方法である。
しかるに、この従来方法では、金網104の交差部位に位置する壁面101にT型状ボルト105を螺着する必要があるが、壁面101に窓があったり、壁内部に鉄筋が通っていたりすると、T型状ボルト105を螺着するためのアンカー103を壁面101に埋設できず、金網104を配設できないという問題がある。
また、多数のT型状ボルト105が必要であるので、T型状ボルト105の螺着および金網104とT型状ボルト105との固定など、施工の手間が多くかかるという問題がある。
【0004】
これに対し、特許文献2の壁面緑化の方法は、図11に示すように登攀補助材として用いる金網203の外周をフレーム202で囲み壁面緑化パネル208とするものである。壁面緑化パネル208を壁面に施工する際には、フレーム202部分のみを壁面に取り付ければよい。そのため、特許文献1の方法に比べて取付部材の数を削減することができる。
しかるに、取り付け位置の壁面に窓があったり、壁内部に鉄筋が通っていたりすると取り付けができないという問題を解消することはできない。
また、壁面への取り付けは壁面緑化パネル208毎に行う必要があり、壁面緑化パネル208を多数組み合わせて施工する場合には取り付け箇所が多くなるため、施工に手間が掛かるという問題を十分に解消するものではない。
【0005】
【特許文献1】特開2000−17667号
【特許文献2】特開平10−313692号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることなく、施工の手間がかからない壁面緑化パネル取付装置、およびその壁面緑化パネル取付装置により取り付けられた壁面緑化パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の壁面緑化パネル取付装置は、柱材と、該柱材を壁面に取り付ける壁面取付部材と、前記柱材に登攀補助パネルを取り付けるパネル支持部材とからなる壁面緑化パネル取付装置であって、前記柱材の側面に、その長手方向に延びる係合溝が形成されており、前記壁面取付部材は前記係合溝の長手方向における任意の位置で結合自在であり、前記パネル支持部材は前記柱材に接合されていることを特徴とする。
第2発明の壁面緑化パネルは、第1発明の壁面緑化パネル取付装置が複数本壁面に設置され、該複数本の壁面緑化パネル取付装置に掛け渡すように1枚もしくは複数枚の前記登攀補助パネルが前記パネル支持部材に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、壁面取付部材が柱材の係合溝の長手方向における任意の位置で接合自在であるので、窓や壁内部の鉄筋などの取り付け不可能な場所を避けて、柱材を壁面に設置することができる。そのため、壁面緑化パネルの壁面への取り付け場所が制約されることがない。また、1本の柱材を壁面に設置するには、2つの壁面取付部材を用いて2箇所を取り付ければ足りるので、柱材を壁面に設置する施工の手間がかからない。
第2発明によれば、登攀補助パネルの数箇所をパネル支持部材に取り付けることができるので、登攀補助パネルを強固に配設することができる。また、複数枚の登攀補助パネルを配設すれば、任意の形状、広さの壁面緑化パネルとして施工できる。さらに、一つの壁面取付部材に複数枚の登攀補助パネルを取付けることもできるので、施工の手間がかからない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネル取付装置の部分拡大正面図である。図2は同壁面緑化パネル取付装置の部分拡大側面図である。図3は同壁面緑化パネル取付装置の平面図である。
【0010】
図1に示すように、壁面緑化パネル取付装置は柱材1と壁面取付部材であるL型金具2とパネル支持部材3とからなる。本実施形態において柱材1は、中空の角パイプであり、アルミニウム製押出形材によって形成されている。柱材1の左右両側面には、柱材1の長手方向に沿って延びる係合溝11が設けられている(図2参照)。この係合溝11は断面視T型をしており、後述するナット22およびボルト21の端部が収まる形状となっている(図3参照)。また、係合溝11の開口部の両側縁には、係合溝11に沿って薄片12が形成されている。これら係合溝11と薄片12で形成される空間にナット22が収容されるようになっている。ナット22の大きさに比べ、係合溝11と薄片12で形成される空間が大きくなるように形成されており、ナット22が係合溝11に沿って滑動可能となっている。
【0011】
本実施形態において、壁面取付部材にはL型金具2を用いている。ボルト21をL型金具2の一片に設けられた孔を通して、上記の係合溝11に収められたナット22に螺合することにより、L型金具2は柱材1に接合される。ボルト21を緩めるとナット22は係合溝11に沿って動くことができるので、L型金具2も柱材1の係合溝11の任意の位置に動かすことができる。L型金具2を所定の位置に動かした後に、ボルト21を締めると、ナット22とボルト21で柱材1の薄片12とL型金具2を挟み、L型金具2を柱材1に対して固定することができる。
【0012】
前記L型金具2の他片に設けられた孔を通して、螺子23を壁面5に螺合すると柱材1を壁面5に設置することができる。もちろん、壁面取付金具2と壁面5との設置には螺子23に限られるものではなく、コンクリート釘など壁面5の材質によって適当なものを選択すればよい。また、壁面取付部材としては、L型金具2以外のものであっても、柱材1を壁面5に取り付けることができ、接合位置を変更できるものであれば、任意の金具を使用できる。
【0013】
上記のとおり、L型金具2が柱材1の係合溝11の長手方向における任意の位置で接合自在であるので、壁面5に窓があったり壁内部に鉄筋があったりして、螺子23が取り付け不可能な場所がある場合でも、L型金具2を適した位置に配置し、柱材1を壁面5に設置することができる。そのため、壁面緑化パネルの壁面5への取り付け場所が制約されることがない。
【0014】
また、柱材1は壁面緑化パネルを施工する範囲に合わせて任意の長さとすることができるが、1本の柱材1を壁面5に設置するには、2つのL型金具2を用いて2箇所を取り付ければ足りる。そのため、柱材1を壁面5に設置する施工の手間がかからない。
もちろん、L型金具2の数を増やして柱材1を強固に壁面5に設置することも可能である。登攀補助パネル4およびそれに登攀する植物の重量を考慮してL型金具2の数を選択すればよい。
【0015】
さらに、柱材1には係合溝11が左右両側面に設けられているので、L型金具2を左右に取り付けることにより、柱材1を強固に壁面5に設置することが可能である。ただし、左右両側面に係合溝11を設けることは必ずしも必要ではなく、片面のみに係合溝11を設ける構成としてもよい。
【0016】
つぎに、上記壁面緑化パネル取付装置を用いて施工した壁面緑化パネルについて説明する。
図1に示すように、柱材1の正面にはパネル支持部材3が螺子などで接合されている。このパネル支持部材3に登攀補助パネル4を取り付ければ、壁面緑化パネルとして施工できる。
登攀補助パネル4は、特に限定はないが、二重金網などを用いればよい。
【0017】
登攀補助パネル4はパネル支持部材3に取り付ければよく、直接壁面5に取り付ける必要がない。そのため、壁面5への取り付け場所が制約されることなく、柱材1の任意の位置で登攀補助パネル4を取り付けることができる。また、パネル支持部材3は柱材1の正面の任意の位置に任意の数量取り付けることが可能である。そのため、登攀補助パネル4の大きさ、重量などに合わせてパネル支持部材3の位置、数量を選択することができる。
【0018】
図4は本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。図5は同壁面緑化パネルの側面図である。図6は同壁面緑化パネルの平面図である。
図4に示すように、2本の柱材1を壁面5に設置し、その2本の柱材1に掛け渡すように登攀補助パネル41、42を配設することができる。本実施形態では登攀補助パネル41と、登攀補助パネル42の2枚を配設している。
【0019】
各登攀補助パネル41、42の4角付近をパネル支持部材3に取り付けることができるので、登攀補助パネル41、42を強固に配設することができる。また、登攀補助パネル41、42は2枚に限らず、1枚でもよいし、3枚以上を取り付けてもよい。そのため、任意の広さの壁面緑化パネルとして施工することができる。
さらに、複数枚の登攀補助パネル41、42を配設したとしてもL型金具2の数量を増やす必要がない。例えば、2枚の登攀補助パネル41、42を直接壁面5に配設する場合には、各登攀補助パネル41、42の4角を壁面5に取り付けるとすると、合計8箇所で壁面5に取り付けなければならない。これに対して、本実施形態のように2本の柱材1と2枚の登攀補助パネル41、42を用いて施工した場合は、L型金具2は4つで足りる。そのため施工の手間がかからない。
【0020】
なお、本実施形態において2本の柱材1は平行に取り付けているが、並行ではなく互いに傾きをもって配置してもよい。
【0021】
図4に示すように、壁面緑化パネルの下に植栽ポット6を配置し、植栽ポット6で蔓性植物を育成することにより、蔓性植物を登攀補助パネル41、42に登攀させて、壁面緑化することが可能である。
【0022】
図7は登攀補助パネルの配置を変更した実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。図8は同壁面緑化パネルの側面図である。図9は同壁面緑化パネルの平面図である。
【0023】
図7に示すように、柱材1を水平にして壁面5に設置することも可能である。2本の長尺の柱材1を水平にして壁面5に設置し、その2本の柱材1に掛け渡すように登攀補助パネル41、42を配設すると横長の壁面緑化パネルとすることができる。
このように、壁面5への取り付け場所が制約されることなく、任意の形状、広さの壁面緑化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネル取付装置の部分拡大正面図である。
【図2】同壁面緑化パネル取付装置の部分拡大側面図である。
【図3】同壁面緑化パネル取付装置の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。
【図5】同壁面緑化パネルの側面図である。
【図6】同壁面緑化パネルの平面図である。
【図7】登攀補助パネルの配置を変更した実施形態に係る壁面緑化パネルの正面図である。
【図8】同壁面緑化パネルの側面図である。
【図9】同壁面緑化パネルの平面図である。
【図10】特許文献1の壁面緑化方法の説明図である。
【図11】特許文献2の壁面緑化方法の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 柱材
11 係合溝
12 薄片
2 L型金具
21 ボルト
22 ナット
23 螺子
3 パネル支持部材
4 登攀補助パネル
41 登攀補助パネル
42 登攀補助パネル
5 壁面
6 植栽ポット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱材と、該柱材を壁面に取り付ける壁面取付部材と、前記柱材に登攀補助パネルを取り付けるパネル支持部材とからなる壁面緑化パネル取付装置であって、
前記柱材の側面に、その長手方向に延びる係合溝が形成されており、
前記壁面取付部材は前記係合溝の長手方向における任意の位置で接合自在であり、
前記パネル支持部材は前記柱材に接合されている
ことを特徴とする壁面緑化パネル取付装置。
【請求項2】
請求項1記載の壁面緑化パネル取付装置が複数本壁面に設置され、
該複数本の壁面緑化パネル取付装置に掛け渡すように1枚もしくは複数枚の前記登攀補助パネルが前記パネル支持部材に取り付けられている
ことを特徴とする壁面緑化パネル。
【請求項1】
柱材と、該柱材を壁面に取り付ける壁面取付部材と、前記柱材に登攀補助パネルを取り付けるパネル支持部材とからなる壁面緑化パネル取付装置であって、
前記柱材の側面に、その長手方向に延びる係合溝が形成されており、
前記壁面取付部材は前記係合溝の長手方向における任意の位置で接合自在であり、
前記パネル支持部材は前記柱材に接合されている
ことを特徴とする壁面緑化パネル取付装置。
【請求項2】
請求項1記載の壁面緑化パネル取付装置が複数本壁面に設置され、
該複数本の壁面緑化パネル取付装置に掛け渡すように1枚もしくは複数枚の前記登攀補助パネルが前記パネル支持部材に取り付けられている
ことを特徴とする壁面緑化パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−138604(P2010−138604A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316014(P2008−316014)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】
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