説明

壁面装飾方法

【課題】 本発明は、例えば、古紙や古ダンボール紙から得られる棉状若しくは片状の紙を壁面に付着させて、凹凸のある立体的な壁面装飾を形成することができる壁面装飾方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン1内に入れて、更に接着剤を加えて掻き混ぜてパルプ状の壁面装飾基材を作る工程と、前記壁面装飾基材を壁面2に付着させる工程により施工し得る壁面装飾方法を構成する。また、前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙を予め着色する工程を含める場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面装飾方法に関し、特に、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を壁面に付着させて装飾壁面を形成するために好適に利用することができる壁面装飾方法に係る。
【背景技術】
【0002】
壁面を装飾する方法としては、従来、一般に、壁紙が利用されている。また、網状の粘着シートを利用した特許文献1に開示されている壁面装飾方法も知られている。
【特許文献1】特開2004−107946号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、壁面に壁紙を貼付する場合、剥離紙から壁紙本体を剥がし、膨れが出ないように手で丁寧に貼り付けて行く必要がある。また、壁紙の張り替えの場合には古い壁紙を剥がして、その上に新しい壁紙を貼り付けるのであるが、古い壁紙を剥がしたときに壁面に残る紙層の均一性が問題になる。いずれにしても従来の壁紙は扱い難いという問題があった。また、一般に壁紙では凹凸のある立体的な装飾面は作り難い。そして、近年は紙壁紙よりもむしろ塩化ビニール壁紙が多く使用されるようになっているが、塩化ビニールは焼却処理される際、ダイオキシンを発生する恐れがあり、環境保全の面から問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、例えば、古紙や古ダンボール紙から得られる棉状若しくは片状の紙を壁面に付着させて、凹凸のある立体的な壁面装飾を形成することができる壁面装飾方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン内に入れて壁面装飾基材を作る工程と、壁面に接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層に前記壁面装飾基材を付着させる工程により施工し得る壁面装飾方法を構成する。また、別法として、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン内に入れて、更に接着剤を加えて掻き混ぜてパルプ状の壁面装飾基材を作る工程と、前記壁面装飾基材を壁面に付着させる工程により施工し得る壁面装飾方法を構成する。また、これらの二つの方法を組合わせて構成することもある。そして、前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙を予め着色する工程を含める場合があり、また、接着剤には硼酸、酸化マグネシウム、サリチル酸その他の添加物を含めることがある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の壁面装飾方法は、古紙や古ダンボール紙から得られる棉状若しくは片状の紙を壁面に付着させて、凹凸のある立体的な壁面装飾を形成することができ、古紙や古ダンボール紙と云った廃棄物の再利用を促進させることもできるようになる。また、紙を利用することから有害物質の使用を避けることができ環境保全の面からも有益な壁面装飾方法を施工することができる。また、接着剤への添加物を工夫することで、防火、防黴、防音などの効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の壁面装飾方法を説明するための模式図である。第1工程として綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン1内に入れて、更に接着剤を加えて掻き混ぜてパルプ状の壁面装飾基材を用意する。必要に応じて前記接着剤には水を加える場合もある。
【0008】
前記綿状に解繊した紙としては古紙や古段ボール紙を解繊装置で解繊したものを利用することができる。また、片状に粉砕した紙としてはシュレッダーで粉砕した紙などを使用することができる。接着剤は、例えば、木工ボンド、合成のり、せんたくのり(ポリビニールアルコール)などが適当であり、150倍乃至250倍に水で希釈して用いる。
【0009】
前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙は予め黒色、茶色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色、灰色、白色その他の色に着色される場合もある。
次に、第2工程として前記壁面装飾基材を前記吹き付けガン1を用いて壁面2に吹き付けて前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を前記壁面2に付着させる。なお、前記吹き付けガン1を用いない場合は、多少効率は悪いが、浅草海苔を製造するのと同様に容器から前記壁面装飾基材をつまみ出して前記壁面2に弾き飛ばし順次壁面2に前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を付着させるようにしてもよい。
【0010】
図2は、本発明の他の実施形態の壁面装飾方法を説明するための模式図である。先ず、第1工程として、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン1内に入れて壁面装飾基材を用意する。なお、この際、必要に応じて前記容器又は前記吹き付けガン内に水を加えることもある。また、前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙は予め黒色、茶色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色、灰色、白色その他の色に着色される場合もある。
【0011】
次に、第2工程として壁面2に接着剤層3を形成する。この接着剤層3の形成は刷子で接着剤を前記壁面2に塗布しても、吹き付けガンで接着剤を前記壁面2に吹き付けてもよい。
【0012】
そして、第3工程として前記吹き付けガンによって前記接着剤層3に前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を付着させる。なお、水平に置かれた板面の装飾の場合は、前記容器から篩に前記壁面装飾基材を移し、前記接着剤層3に前記綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を振るい落として付着させることができる。
【0013】
以上、壁面装飾方法について説明したが、図1を参照して説明した壁面装飾方法による装飾面の出来栄えは、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物全体が接着剤に被われるため、少し硬い感じに仕上がる。これに対し、図2を参照して説明した壁面装飾方法による装飾面の出来栄えは、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物の表層部分に接着剤が付かない(水を用いた場合には水が蒸発した後、水を用いない場合とほぼ同様になる)状態になり、ふんわりとした柔らかい感じに仕上がり、恰も刺繍を施したかのような装飾面が得られる。なお、図1を参照して説明した壁面装飾方法と図2を参照して説明した壁面装飾方法とを組合わせて壁面装飾方法を実施することもできる。即ち、綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン内に入れて、更に接着剤を加えて掻き混ぜてパルプ状の壁面装飾基材を作る工程と、壁面に接着剤層を形成する工程と、前記壁面装飾基材を壁面に付着させる工程により施工する。
【0014】
前記各実施形態における接着剤としてはコンクリート、にかわ又は漆を混入して用いることができる。また、前記接着剤には添加物として硼酸や酸化マグネシウムを混入させると耐火性に優れた壁面が得られ、且つ、防黴の役も発揮させることが可能になる。また、添加物として種々の抗菌剤、サリチル酸やホルムアルデヒドの中和剤を入れてもよい。
【0015】
前記壁面装飾基材には吸音材を含めれば防音効果を発揮させることができ、また、片状に粉砕した紙の中に雲母片やガラスビーズなどを混ぜると装飾効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の壁面装飾方法を説明するための模式図である。
【図2】本発明の他の実施形態の壁面装飾方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0017】
1 吹き付けガン
2 壁面
3 接着剤層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン内に入れて壁面装飾基材を作る工程と、壁面に接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層に前記壁面装飾基材を付着させる工程により施工し得る壁面装飾方法。
【請求項2】
綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン内に入れて、更に接着剤を加えて掻き混ぜてパルプ状の壁面装飾基材を作る工程と、前記壁面装飾基材を壁面に付着させる工程により施工し得る壁面装飾方法。
【請求項3】
綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙又はこれらの混合物を適宜の容器又は吹き付けガン内に入れて、更に接着剤を加えて掻き混ぜてパルプ状の壁面装飾基材を作る工程と、壁面に接着剤層を形成する工程と、前記壁面装飾基材を壁面に付着させる工程により施工し得る壁面装飾方法。
【請求項4】
綿状に解繊した紙若しくは片状に粉砕した紙を予め着色する工程を含む請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の壁面装飾方法。
【請求項5】
接着剤には硼酸、酸化マグネシウム、サリチル酸その他の添加物を含む請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の壁面装飾方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−152727(P2006−152727A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347258(P2004−347258)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000108801)タマパック株式会社 (10)