説明

壊死性全腸炎の発生を減少させるための方法及び組成物

【課題】壊死性全腸炎の発生を減少させるための方法及び組成物の提供。
【解決手段】実質的にコレステロールを含まない長鎖多不飽和脂肪酸(PUFA)、例えばアラキドン酸(AA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を含む経腸処方物、及びこのような経腸組成物は、n−6及びn−3長鎖PUFA、リン脂質及び/又はコリンを供給する組成物を投与することによって壊死性全腸炎の発生を減少させることができる。n−6及びn−3長鎖PUFAを含んでおり、かつこれらが優勢的にホスフチジルコリン形態にあるから、卵黄脂質から得られる組成物が好ましい。これは相乗作用を生じると考えられる。また、改良された感覚器官受容性及び安定性を与えるこのような組成物の製造方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般に、長鎖多不飽和脂肪酸(PUFA)を含む経腸処方物、及びこのような経腸組成物の製造方法、及び壊死性全腸炎の発生を減少させるための方法に関する。より詳しくは、本発明は、実質的にコレステロールを含まない、卵黄脂質から由来し得る、長鎖PUFA、アラキドン酸(AA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)を供給する経腸組成物に関する。卵黄から生じる長鎖PUFAは、リン脂質形態が主要素である。このような組成物の製造方法は、改良された感覚器官受容性及び安定性を提供する。このような組成物の経腸投与は、壊死性全腸炎の発生を減少させうる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
経腸処方物又は組成物における長鎖PUFAは、様々な文献の主題になっている。例えば米国特許第4,670,285号(Clandinin)は、乳児処方物への使用に適した特殊な脂肪ブレンドを開示している。より特定すれば、Clandinin脂肪ブレンドは、少なくとも1つのC20又はC22n−6脂肪酸とC20又はC22n−3脂肪酸とを含んでいる。これらの脂肪酸は、脂肪ブレンドが与えられる乳児に有害な作用を引起こすことを防ぐような、ある規定量のものとして開示されている。C20又はC22n−6脂肪酸は、この製品中のすべての脂肪酸の総量の約0.13〜5.6重量%で存在している。C20又はC22n−3脂肪酸は、存在している場合、製品中のすべての脂肪酸の総量の約0.01から3.33重量%で含まれている。Clandininは、n−6及びn−3脂肪酸を供給するために、卵脂質の使用を開示している。しかしながらClandininによって用いられている卵脂質はまた、高いレベルのコレステロールも含んでいる。さらにはこの文献は、卵黄脂質75〜95重量部の使用を教示しており、油の残りの部分はココヤシ油又は大豆油である。脂肪酸に関してClandininが用いている命名法をここでも使用する。
【0003】
第WO93/20717号は、少刺激性量以下の量の遊離長鎖(C16〜C22)脂肪酸とトリグリセリドとを含む乳児処方物を開示している。この出願はまた、乳児処方物におけるこのような脂肪酸の低級アルキルエステル、例えばエチルエステルを提供することによって、遊離脂肪酸が乳児の腸上皮に損傷を与える性向を実質的に排除するが、この脂肪酸部分の吸収及び処理が可能であることを開示している。
【0004】
Lichtenbergerの米国特許第4,918,063号は、潰瘍及び炎症性腸疾患の予防又は治療用のリン脂質と中性脂質との独特の混合物を含む組成物を開示している。この特許は、飽和又は不飽和リン脂質と、飽和又は不飽和トリグリセリド及び/又はステロールとの混合物を、実験動物モデルにおいて潰瘍保護効果を与えるものとして開示している。この特許はまた、活性を高めるために、この脂質混合物に多価カチオン又は酸化防止剤を含めることも教示している。
【0005】
Kohnらの国際公開第WO96/10922号は、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸がリン脂質の形態で脂肪混合物中に存在していることを特徴とする乳児処方用脂肪混合物を開示している。
【0006】
Tomarelliの欧州特許出願第0376628B1号は、唯一のパルミチン酸油源としてランダム化パーム油又はランダム化パームオレイン油を利用している全植物油脂肪組成物を開示している。この全植物油脂肪組成物は未熟児(pre−term)(又は低出生体重児)用の乳児処方用への使用に特に適しているということも開示されている。このTomarelli出願の未熟児用脂肪組成物は、中鎖トリグリセリド(MCT)を、ランダム化パルミチン酸油、ラウリン酸油、オレイン酸油、及びリノール酸油と共に含んでいる。
【0007】
前記文献は大きな貢献をなしたが、栄養補給に適した濃度での長鎖PUFA源としての卵リン脂質を含む乳児処方物に対するニーズが存在する。このような処方物が許容しうる感覚器官受容性を有するように、卵リン脂質を含む経腸処方物を調製する方法のためのもう1つのニーズも存在する。このような組成物は、成熟児及び/又は未熟児用の乳児処方物における特別な用途を有する。このような長鎖PUFAのニーズは、適切な神経の発達及び視力の発達のために必要なものとして確立されている。さらには消化管に対する保護作用もありうる。
【0008】
壊死性全腸炎(NEC)は、出生体重が約1500グラムより低い乳児の場合は重大な問題である。約30年間の研究にもかかわらず、NECの正確な病因及び病態生理学はいまだに不明である。NECは、関係する消化管構造及び腸壁嚢状気腫の虚血壊死を特徴とする命に関わる病気である。これは腸穿孔を生じる結果になることが多い。NECを有する未熟児は、熱不安定性、嗜眠、胃停留、嘔吐、腹部膨満、大便中のひどい血又は潜血、及び腸壁嚢状気腫のラジオグラフによる証拠、門脈中の空気又は気腹といった臨床図を示す。無呼吸発作、ショック、及び皮膚硬化が急激に現れ、死亡も普通に発生する。
【0009】
数多くの研究者が様々な観察研究を行ない、この疾病に影響を与える要因を仮定している。(Nue、“Pediatr.Clin.North.Am.”1996年4月、43(2):409−32)。次の観察事項及び要因を例として挙げる。
【0010】
・Flageoleらの“Necrotizing Enterocolitis of the Newborn,Review for the Clinician”,Union−Med−Can.1991年9月−09月;120(5):334−8では、NECの病因には、腸間膜虚血、胃腸未熟、経腸栄養補給が含まれ、感染でさえ可能性があると考えられている。
【0011】
・Caplanらの“Role of Platelet Activating Factor and Tumor Necrosis Factor−Alpha Neonatal Necrotizing Enterocolitis”,Journal of Pediatrics、1990年6月、960−964は、血小板活性化因子及び腫瘍壊死因子アルファがNEC患者の場合上昇していることを報告している。
【0012】
・Kliegmanらの“Clostridia as Pathogens in Neonatal Necrotizing Enterocolitis”,The Journal of Pediatrics、1979年8月、287−289は、新生児NECの子供からのClostridia perfringensの単離を報告している。
【0013】
・Ostertagらの“Early Enteral Feeding Does Not Affect the Incidence of Necrotizing Enterocolitis”,Pediatrics、第77巻、第3号、1986年3月、275−280は、希釈された初期の経腸カロリーは、NECの発生に有害な作用を及ぼさないことを報告している。
【0014】
・Bellらの“Neonatal Necrotizing Enterocolitis”,Annals of Surgery、第187巻、1978年1月、第1号、1−7は、NEC児の治療への組合わせ抗菌治療の使用を示唆している。
【0015】
・Eyalらの“Necrotizing Enterocolitis in the Very Low Birth Weight Infant:Expressed Breast Milk Feeding Compared with Parenteral Feeding”,Archives of Disease in Childhood、1982年、57、274−276は、低出生体重児におけるNECの発生は、経腸栄養補給の開始を遅らせることによって減少したことを報告している。
【0016】
・Finerらの“Vitamin E and Necrotizing Enterocolitis”,Pediatrics、第73巻、第3号、1984年3月、は、水晶体後部線維増殖症から生じる重い後遺症の発生を減少させるためのビタミンEの投与は、NECの発生の増加を伴うことがありうることを示唆している。
【0017】
・Brownらの“Preventing Necrotizing Enterocolitis in Neonates”,JAMA、1978年11月24日、第240巻、第22号、2452−2454は、緩やかな漸増栄養補給療法の使用によってNECが事実上排除されうることを報告している。
【0018】
・Kosloskeの“Pathogenesis and Prevention of Necrotizing Enterocolitis:A Hypothesis Based on Personal Observation and a Review of the Literature”,Pediatrics、第74巻、第6号、1984年12月、1086−1092は、次の3つのうち2つの病理学的事象の一致によってNECが発生するという仮説を立てている。すなわち(1)腸虚血;(2)病原菌の住みつき;及び(3)腸管腔内の過剰なタンパク基質である。
【0019】
上記Kosloskeはまた、母乳のみの栄養供給を受けている乳児にはNECはまれであることをも報告している。ヒトの場合、母乳は、新生児の腸の受動免疫においてある役割を果たしており、腸内細菌叢におけるBifidobacteriumの成長を促進する因子を含んでいる。ヒトの母乳の有益な内容物は、冷凍、低温殺菌、又は貯蔵によって有害な作用を受けることもあるということも報告されている。
【0020】
従ってNECの病因及び治療については多くの論争があり、このひどい多くは致命的な症状の発生をよりよく治療しうるか、及び/又は減少させうる組成物及び方法に対するニーズが依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許第4,670,285号明細書
【特許文献2】国際公開第93/20717号
【特許文献3】米国特許第4,918,063号
【特許文献4】国際公開第96/10922号
【特許文献5】欧州特許第0376628号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Nue“Pediatr.Clin.North.Am.”1996年4月、43(2):409−32
【非特許文献2】Flageoleら“Necrotizing Enterocolitis of the Newborn,Review for the Clinician”,Union−Med−Can.1991年9月−09月;120(5):334−8
【非特許文献3】Caplanら“Role of Platelet Activating Factor and Tumor Necrosis Factor−Alpha Neonatal Necrotizing Enterocolitis”,Journal of Pediatrics、1990年6月、960−964
【非特許文献4】Kliegmanら“Clostridia as Pathogens in Neonatal Necrotizing Enterocolitis”,The Journal of Pediatrics、1979年8月、287−289
【非特許文献5】Ostertagら“Early Enteral Feeding Does Not Affect the Incidence of Necrotizing Enterocolitis”,Pediatrics、第77巻、第3号、1986年3月、275−280
【非特許文献6】Bellら“Neonatal Necrotizing Enterocolitis”,Annals of Surgery、第187巻、1978年1月、第1号、1−7
【非特許文献7】Eyalら“Necrotizing Enterocolitis in the Very Low Birth Weight Infant:Expressed Breast Milk Feeding Compared with Parenteral Feeding”,Archives of Disease in Childhood、1982年、57、274−276
【非特許文献8】Finerら“Vitamin E and Necrotizing Enterocolitis”,Pediatrics、第73巻、第3号、1984年3月
【非特許文献9】Brownら“Preventing Necrotizing Enterocolitis in Neonates”,JAMA、1978年11月24日、第240巻、第22号、2452−2454
【非特許文献10】Kosloske“Pathogenesis and Prevention of Necrotizing Enterocolitis:A Hypothesis Based on Personal Observation and a Review of the Literature”,Pediatrics、第74巻、第6号、1984年12月、1086−1092
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は多くの側面を有する。第一の側面において、本発明は壊死性全腸炎に罹りやすい乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法であって、前記方法が、C20n−6脂肪酸、C22n−6脂肪酸、C20n−3脂肪酸、及びC22ω−3脂肪酸の群から選ばれる少なくとも1つの長鎖PUFAを有効量投与することを含む方法を企図している。例えばn−6脂肪酸であるアラキドン酸の投与は有効であることが分かった。投与は経腸(経口)又は非経腸であってもよい。より好ましくはn−6脂肪酸とn−3脂肪酸との組合わせ、例えばアラキドン酸及びドコサヘキサエン酸、が共に用いられる。経腸投与は、1日につき乳児体重1kgあたり少なくともn−6脂肪酸1.0mgのレベルで行なう。より好ましい実施態様では、重量比約2:1〜約4:1でn−6脂肪酸とn−3脂肪酸との組合わせを用い、1日あたり少なくとも5.0mgの長鎖n−6脂肪酸を投与する。
【0024】
この方法は、1日につき1kgあたりアラキドン酸約1.0から約60mg及び1日につき1kgあたりドコサヘキサエン酸約0.25から約35mgを前記乳児にもたらすのに十分な量の、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸とを含んでいる経腸組成物を供給することによって実施することができる。より典型的な量の、1日につき1kgあたり約5.0から約40mgのアラキドン酸及び約1.5から約20mgのドコサヘキサエン酸である。好ましくはドコサヘキサエン酸に対するアラキドン酸の重量比は、約2から約4である。好ましくは長鎖多不飽和脂肪酸は、リン脂質、特にホスファチジルコリンの形態である。このようなリン脂質は、卵レシチンと卵ホスファチド中に高濃度で存在する。
【0025】
従ってもう1つの側面において、本発明は、乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法を提供し、前記方法は1日あたり少なくとも1.0mgのn−6長鎖多不飽和脂肪酸を供給するように、タンパク質、炭水化物、及びリン脂質を含む十分な量の経腸栄養組成物を前記乳児に供給することを含む。好ましくは、前記供給によって、さらに、おのおのアラキドン酸及びドコサヘキサエン酸の形態で、1日あたり少なくとも0.5mgのn−3長鎖多不飽和脂肪酸を供給する。
【0026】
もう1つの側面において、本発明は、ヒトの乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法を提供し、前記方法は壊死性全腸炎の発生を減少させるのに有効な量でリン脂質を乳児に投与することを含む。
【0027】
一般的には、前記リン脂質は、1日につき1kgあたりリン脂質を約60から約2400μモル、好ましくは約200から約1500μモル、最も好ましくは約400から約1000μモル供給するように投与される。リン脂質源は決定的なものではなく、卵レシチンに由来するリン脂質がこの発明には適している。リン脂質はまた、乳脂肪小球膜を含む動物膜からも容易に得られる。リン脂質に富むその他の源には、大豆油及びその他の種子油が含まれる。卵レシチンリン脂質が用いられる場合、経腸投与に好ましい量は、1日あたり少なくとも長鎖n−6脂肪酸1.0mgとなるのに十分な量である。好ましくは、卵リン脂質は、n−6脂肪酸の有意な部分としてアラキドン酸を供給し、また、好ましくはドコヘキサエン酸及び/又はその他の長鎖n−3脂肪酸も前記比で供給する。これは相乗作用を有しうる。しかしながら、この発明の「リン脂質」という観点において、グリセロール骨格に結合した脂肪酸の長さ及び飽和度は決定的なものではなく、LCPUFA以外の脂肪酸もここで用いることができることが注目される。
【0028】
さらにもう1つの側面において、本発明はヒトの乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法を提供し、前記方法は壊死性全腸炎の発生を減少させるのに有効な量でコリンを乳児に投与することを含む。一般的には、前記コリンは、1日につき1kgあたりコリンを約60から約1800μモル、より好ましくは約150から約1200μモル供給するように投与される。コリン源は決定的なものではなく、ホスファチジルコリンが好ましく、卵レシチンに由来するホスファチジルコリンがこの発明には適している。コリン又はホスファチジルコリンに富むその他の源には、大豆油及びその他の種子油が含まれる。卵レシチンコリンが用いられる場合、1日あたり少なくとも長鎖n−6脂肪酸1.0mgとなるように、n−6及び/又はn−3脂肪酸と組合わせて投与することが好ましい。好ましくは、卵レシチンは、n−6脂肪酸の有意部分としてアラキドン酸を供給し、また、好ましくは、へドコヘキサエン酸及び/又はその他の長鎖n−3脂肪酸をも前記比で供給する。これは相乗作用を有しうる。しかしながら、この「リン脂質」という観点において、本発明に用いられるホスファチジルコリンのグリセロール骨格に結合した脂肪酸の長さ及び飽和度は決定的なものではなく、LCPUFA以外の脂肪酸もここで用いることができる。あるいはまた非リン脂質源から生じるコリンを用いてもよい。
【0029】
さらには、全腸炎に罹りやすい乳児に有益な作用が見られるので、有益な作用が成人にも見られることは十分ありうることである。従って本発明のもう1つの側面は、成人における潰瘍性大腸炎及び関連する腸の症状の治療又は予防における前記組成物のいずれかの使用である。当然ながら用量決定は、成人患者の重い体重に基づいて、及びこの技術で知られているその他の要因に基づいて調節するものとする。
【0030】
経腸配合物及びこれらの製造方法を含む本発明のその他の側面は、この出願全体に記載されている。例えば本発明のさらにもう1つの側面において、卵黄リン脂質を含む経腸処方物の製造方法は、
(a)実質的にコレステロールを含まない乾燥卵ホスファチド粉末を提供する工程;
(b)前記リン脂質フラクションを水相に分散させてリン脂質分散液を形成する工程;及び
(c)前記リン脂質分散液と、前記経腸処方物のその他の成分のスラリーとを組合わせる工程を含んでいる。
【0031】
好ましくは、この方法によれば、水相中への分散により約2から約15重量%の卵ホスファチドを提供する。好ましくはこの卵ホスファチド粉末は、約20から50℃で水に添加される。この側面は、リン脂質の形態でアラキドン酸とドコサヘキサエン酸とを含む乳児用処方物を製造するために用いることができ、前記経腸処方はこの方法によって製造される。
【0032】
さらにもう1つの側面において、本発明は、タンパク質、炭水化物、及び脂質を含む乳児への栄養供給に適した処方物を提供し、ここで改良は、中鎖トリグリセリドと卵リン脂質とを含む脂質ブレンドを特徴としており、ここにおいて、前記卵リン脂質はこの脂質ブレンドの約1重量%から約40重量%のレベルで存在し、前記卵リン脂質は実質的にコレステロールを含まないものである。一般的にはこの卵リン脂質は、この脂質ブレンドの5から30重量%のレベルで存在し、この処方物は、アラキドン酸を100kcalあたり約10から約31mgの濃度で含んでいる。より好ましくはこの処方物はまた、ドコサヘキサエン酸を100kcalあたり約3から約16mgの濃度で含んでおり、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸とは、約4:1から約2:1の比で存在する。
【0033】
発明の詳細な説明
一般的な用語説明
脂肪酸は、様々な長さの炭化水素鎖であり、1つの端部にカルボン酸を有し、従ってこれらはこの位置において幾分極性かつ親水性にされるが、一方で、あるいは炭化水素鎖の長さに依っては様々な程度まで疎水性である。脂肪酸は炭化水素鎖の長さによってカテゴリーに分けられる。例えば約6個より少ない炭素鎖は、「短鎖」と考えられ、約6から18個の炭素鎖は「中鎖」であり、20個又はそれ以上の、炭素鎖は「長鎖」と考えられる。脂肪酸は、また1つ又はそれ以上の炭化水素鎖において「不飽和」の点である二重結合を有していてもよい。ここで用いられている「長鎖PUFA」という用語は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合(多不飽和)を有する20個又はそれ以上の炭素原子の脂肪酸を意味する。脂肪酸における二重結合の数及び位置は、命名法の申し合わせによって示される。例えばアラキドン酸(「AA」又は「ARA」)は、20個の炭素鎖長と、メチル末端から6番目の炭素から始まる4つの二重結合とを有する。その結果、これは「C20:4n−6」と呼ばれる。同様にドコサヘキサエン酸(「DHA」)は、22個の炭素鎖長を有し、6つの二重結合がメチル末端から3番目の炭素から始まり、これは「C22:6n−3」と呼ばれる。あまり一般的ではない長鎖PUFAも知られており、いくつかが表I及びIVに挙げられている(実線の分割線の下)。
【0034】
「グリセリド」は、脂肪酸にエステル化されたグリセロール骨格を有する複合脂質である。「トリグリセリド」(すなわち「トリアシルグリセロール」)は、グリセロール骨格上の各ヒドロキシル部位に1つずつ、3つのエステル化脂肪酸を有している。ジ−及びモノ−グリセリドは、おのおの、2つ及び1つのエステル化脂肪酸を有している。ホスホグリセリド(すなわち「リン脂質」又は「ホスファチド」−すべて相互交換可能に用いられている)は、次の点でトリグリセリドとは異なる。すなわち最大2つのエステル化脂肪酸を有する一方、グリセロール骨格の3番目の位置はリン酸がエステル化され、ホスファチジン酸になるという点である。天然では、ホスファチジン酸は、通常は非常に極性なヘッドを与えるアルコールと結合している。通常天然に見られる2つのこのようなアルコールはコリンとエタノールアミンである。「レシチン」は、アミノアルコール、「コリン」と結合したホスファチジン酸であり、「ホスファチジルコリン」としても知られている。レシチンは、脂肪酸成分の含有量が様々であり、例えば卵及び大豆から由来してもよい。セファリン(ホスファチジルエタノールアミン)、ホスファチジルセリン、及びホスファチジリノシトールは、別のホスホグリセリドである。
【0035】
リン脂質は、すべての生物系の膜中に通常見られるものである。リン脂質の従来の源は卵黄及び大豆油である。リン脂質はまた、哺乳類の大脳、腎臓、心臓、及び肺から得ることができ、あるいは乳脂肪小球膜から得ることができる。さらには、特にリン脂質のAA及びDHA脂肪酸成分として、微生物起源の源(単細胞油)、例えば藻油及び真菌油も用いることができる。
【0036】
鶏卵は比較的豊富な脂質源である。鶏卵の卵黄の約33%が脂質であり、このうち約67%はトリグリセリドであり、28%がリン脂質であり、残りの部分は大部分がコレステロールである(パーセントは重量%である)。これらの数字はおよそのものであり、雌鳥の食餌、品種、及び状態に依ってある程度異なるであろう。リン脂質画分のうち約75%がホスファチジルコリンであり、ほかのおよそ20%がホスファチジルエタノールアミンである。コリン部分は、これに結合した特定の脂肪酸に応じて、各リン脂質分子の約15から30%である。従って卵リン脂質のコリン含有量は、約10から約25重量%の様々なものであってもよく、あるいは総卵脂質に対し、約3から約7重量%であってもよい。
【0037】
組成物
この発明に有用な組成物は、n−6及び/又はn−3長鎖PUFAを含んでいる。長鎖PUFA源は決定的なものではない。長鎖PUFAの既知源には、魚油又は海洋油、卵黄脂質及びリン脂質、単細胞油(例えば藻油及び真菌油)が含まれ、特定の長鎖PUFAをより多量に得るには、あるいくつかの源は他の源よりも良好であるということがこの分野では理解されている。その他の長鎖PUFAの食用の半精製又は精製源は、当業者には明らかであろう。新しい長鎖PUFA源は、野菜及び油を含む植物の遺伝子操作によって開発することができ、このような組換え物質の使用もまた、本発明において企図されている。
【0038】
長鎖PUFAは遊離脂肪酸のエステル、すなわちモノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、レシチンを含むホスホグリセリド、及び/又はこれらの混合物の形態で組成物に提供され得る。リン脂質、特にホスファチジルコリンの形態で長鎖PUFAを提供するのが好ましいであろう。現在好ましい源は、少なくとも感覚器官受容性及びコレステロールレベルが許容しうるものであるように加工処理されている場合、卵由来のPUFAに伴う高いリン脂質及び/又はホスファチジルコリン含有量により、卵黄リン脂質であるようである。
【0039】
n−6及び/又はn−3脂肪長鎖PUFAは、例えばコリン及びホスファチジルコリンがそうであるように、静脈内(すなわち非経腸)溶液の形態で投与されてもよい。静脈内溶液は好ましくは、非経腸溶液の毎日の適量摂取として、PUFA、リン脂質、及び/又はコリンの有効量を含むであろう。従って、正確な濃度は、予期される摂取容量に応じて非常に様々なものであり、水和又は栄養ベースの非経腸物においてよりも、ボーラス又は少容量の非経腸投与においての方が有意に、より濃縮されている。非経腸組成物は一般に、製薬的に許容しうる担体及び賦形剤、例えば緩衝剤、保存料等を含む。
【0040】
n−6及び/又はn−3脂肪長鎖PUFA及びコリン及びリン脂質は、あるいは経腸組成物の形態で投与されてもよい。長鎖PUFA、コリン、又はリン脂質を含む経腸組成物は、活性成分の溶液又はエマルジョンの形態であってもよく、あるいはタンパク質、炭水化物、その他の脂肪、ミネラル、及びビタミンを含む栄養マトリックスの形態であってもよい。活性成分を含む経腸組成物は、補足的あるいは完全な栄養補助物も供給しうる。経腸組成物における長鎖PUFAの濃度は、投与方法及び意図された目的に応じて、この組成物のほぼ100重量%(ボーラスエマルジョンの場合)から0.5重量%(栄養的に完全な処方物の場合)であってもよい。完全な栄養処方物において、この濃度は、有効量の長鎖PUFAをもたらすのに十分な処方物が投与されるならば、これより低くてもよい。
【0041】
この発明の特に好ましい実施態様は、未熟児を含む乳児に栄養供給を行なうのに適した栄養的に完全な改良処方物に関する。このような好ましい組成物は、タンパク質、炭水化物、及び脂質を含んでいる。ここにおいて総脂質の約6から約40重量%が、実質的にコレステロールを含まない卵リン脂質である。「実質的に含まない」という用語は、卵リン脂質のコレステロール含有量が総脂質の0.1重量%より少なく、好ましくは0.05重量%より少ないことを意味する。
【0042】
当業者なら、乳児処方物が意味するものを容易に理解するであろう。当初濃縮物又は粉末形態にあり、すぐに供給しうる状態まで希釈又は再構成される場合、典型的な乳児処方物は、この処方物1リットルあたり約10から35グラムのタンパク質、処方物1リットルあたり約20から50グラムの脂質、処方物1リットルあたり約60から110グラムの炭水化物、及びその他の様々な成分、例えばビタミン、ミネラル、繊維、乳化剤等を含んでいる。乳児処方物の成分及びその製造方法を理解することを目的として、次の米国特許が参照してここに組込まれる:1)Masorらの米国特許第5,492,899号;2)Borschelらの米国特許第5,021,245号;3)Katzらの米国特許第5,234,702号;及び4)Masorらの米国特許第5,602,109号、及び5)Mahmoudの米国特許第4,670,268号である。より特定すれば、本発明のこの実施態様は、処方物1リットルあたり脂質約40から50グラムを含む乳児処方物であって、この脂質は中鎖トリグリセリドと実質的にコレステロールを含まない卵リン脂質とのブレンドを含んでいる。一般的にはこの脂質ブレンドは、卵リン脂質約1から40重量%、より好ましくは約5から約30重量%を含んでいる。この実施態様は特に、n−3脂肪酸及びn−6脂肪酸、リン脂質、及び/又はコリンから選ばれる長鎖PUFAを乳児に有益な量で供給するように設計されている。
【0043】
製造方法
鶏の卵黄はトリグリセリドとホスファチドとの両方を含んでいるので、ホスファチドをトリグリセリド、ステロール(例えばコレステロール)及びその他の成分から分離するように、有機溶媒を用いて卵黄を加工処理することが好ましいであろう。少なくとも実験室規模では、様々な文献の方法がこの分離に適している。あるいはまた実質的にコレステロールを含まないこのような卵ホスファチドは、ファンスティール社(Pfanstiehl,Inc.)(イリノイ州ウオーケガン(Waukegan,IL))からカタログ番号P−123として乾燥粉末形態の商品として入手しうる。
【0044】
ついで卵ホスファチドは本発明の経腸組成物に組込まれる。脂質含有量のために、卵ホスファチドの経腸処方物への組込みは油相では容易であると予測された。しかしながら、驚くべきことに、これらの脂質−脂質分散液は受容しうるものではなく、かつ卵ホスファチドの水性分散液の調製により改良された物産をもたらすことが発見された。最良の結果を生じるには、約2から15重量%、好ましくは約3から約8重量%の水性分散液を、冷ないし室温水(約20〜25℃)において作るのがよい。これより高い温度の水は、あまり許容しえない感覚器官受容性を生じた。
【0045】
これとは別に、炭水化物、タンパク質、及び巨大分子栄養源を含む脂質スラリーを、この分野で知られているように調製し、これらのスラリーを約130から140℃で混合する。ホモゲナイズの直前に、ホスファチド分散液をこの処方物の残りのものと混合する。
【0046】
特に好ましい変形例において、最終生成物ミックスにホスファチド分散液を添加する前に(均質化の直前に)、ホスファチド分散液を中程度の真空下で脱気する。脱気は、どのメカニズムで実施してもよいが、約15インチHgでの微粉砕脱気器が満足すべき結果をもたらした。この追加工程は、最終生成物の感覚器官受容性及び嗅覚特性を、活性炭濾過又はこれら2つの組合わせよりも一層改良することが証明された。(実施例III参照)。
【0047】
この発明において用いうる非経腸組成物を製造するために、通常の滅菌非経腸組成物製造技術を用いることができる。この場合、卵ホスファチドを避け、その代りに、組換え又は単細胞油源に見られるようなトリグリセリド油又は脂肪酸エステルを用いるのが好ましいであろう。
【0048】
工業的有用性
本発明の組成物は、乳児及び/又は成人の栄養補助において有用である。長鎖PUFA、特にn−6及びn−3脂肪酸、最も特定すればAA及びDHAの追加は、乳児の神経の発達及び視力に有益であると一般に考えられてきた。但し相反する報告も文献には見られる。
【0049】
本発明に有用な組成物は、
(a)一般的にはリン脂質又はホスファチジルコリン形態にあるn−6及びn−3脂肪酸から選ばれる長鎖PUFA、
(b)結合している脂肪酸の種類又は長さとは無関係に、極性リン脂質、および
(c)コリン、好ましくはホスファチジルコリンのどれか又は全部を含んでいる。
【0050】
例えば実施例に詳細に記載されている卵リン脂質強化処方物は、より高いレベルの特定の成分の各々を供給し、驚くべきことには、NECに罹りやすい乳児集団におけるNECの発生を実質的に減少させることが分かった。より特定の実施態様において、NECの発生を減少させる方法は、アラキドン酸(AA、20:4n−6)、あるいはより好ましくはドコサヘキサエン酸(DHA、22:6n−3)と組合わせたAAの投与によって得られる。
【0051】
より広義には、本発明のこの側面は、壊死性全腸炎に罹りやすい乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法であって、前記方法はC20n−6脂肪酸、C22n−6脂肪酸、C20n−3脂肪酸、及びC22n−3脂肪酸の群から選ばれる少なくとも1つの長鎖PUFAの有効量の投与を含む方法を企図している。この投与は、1日につき乳児の体重1kgあたり少なくとも1.0mgのn−3脂肪酸のレベルで行なわれる。より好ましい実施態様は、重量比約2:1から約4:1におけるn−6脂肪酸とn−3脂肪酸との組合わせを用いる。
【0052】
さらに、ヒトの乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法が開示されていて、前記方法は、1日あたり長鎖n−6脂肪酸少なくとも1.0mgとなる量で、卵リン脂質を乳児に投与することを含んでいる。好ましくは、卵リン脂質は、n−6脂肪酸の有意な部分としてAAを供給し、好ましくはまた、前記比においてDHA及び/又はその他の長鎖n−3脂肪酸を供給する。
【0053】
この発明の追加の側面は、リン脂質の、特にAA及び/又はDHAのトリグリセリドを有する組成物に比較して、ヒトにおける脂肪酸AA及びDHAの血液血清レベルを容易に増加させるAA及び/又はDHAを含むリン脂質の、ヒトへの経腸投与に関する。
【0054】
本発明による組成物の投与のより適切な目安は、乳児の体重1kgあたりの毎日の摂取(mg)としてである。次の表Aは、本発明において用いうる組成物の各々について、最小限、好ましい、及び理想的目標の範囲についてのガイドラインを示す。
【0055】
【表1】

【0056】
主に、この発明から利益を受けそうな乳児のすべてが同じ容量の処方物を消費するわけではないという事実から、範囲は幅広く分散している。消費が少ない者は各々の成分を少ししか与えられない。理想的目標範囲は、約100kcalが消費されることを想定している。また、コリンの含有量を評価する方法については論争がある。
【0057】
表Aからわかるように、最も好ましくは、AAはDHAよりも2〜4倍多い。また、リン脂質及びコリンの最小レベルは同一であることも観察される。これは、すべてのリン脂質をホスファチジルコリンとして供給することによって達成することができる。コリンはほかの窒素含有アルコール(例えばエタノールアミン、セリン、又はイノシトール)に替えることができるので、総リン脂質に対するコリンの相対量は減少する。
【0058】
AA及び/又はDHAが別々の成分として個別に投与されるか、あるいはその他の成分、例えばタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、及びミネラル、と共に、又はこれらと組合わせて投与することもできる。低出生体重児のための栄養補給は、非経腸(静脈栄養供給)又は経腸のどちらかである。従って長鎖PUFAの適切なレベルは、非経腸栄養溶液に組込まれるか、あるいは通常の低出生体重用経腸処方物に添加されてもよい。最も好ましくは、本発明の方法は、AA及びDHAを含む低出生体重乳児のために設計された乳児処方物の経腸投与によって実施される。このような乳児処方物はさらに、適切なレベルの炭水化物及びタンパク質、ならびにミネラルとビタミンとの適切な組合わせを含んでいる。本発明の方法に用いるための乳児処方物の例は、修正シミラック・スペシャル・ケア(Similac Special Care(R))(オハイオ州コロンバス、ロス・プロダクツ・ディビジョン・オブ・アボット・ラボラトリーズ(Ross Products Division of Abbott Laboratories,Columbus,Ohio))であり、これは実施例IIにおいてより詳細に考察される。
【0059】
この発明のもう1つの側面は、ヒト血液の血清におけるアラキドン酸とドコサヘキサエン酸との血液血清レベルを高める方法であって、前記方法はリン脂質の形態においてAA及びDHAを含む経腸処方物を前記ヒトに投与するステップを含む。
【0060】
本出願人による最近の研究では、NECに罹りやすい乳児への長鎖PUFAの投与が、NECの発生を減少させ、またNECのレベル又は重症度をも低下させるうることを示している。本出願人らはまた、動物又は植物源からのリン脂質の投与は、NECに罹りやすい乳児集団におけるNECの発生を減少させる上でも効果があることをも発見した。
【実施例】
【0061】
実施例1
卵黄ホスファチドをファンスティール社(Pfanstiehl,Inc.)(イリノイ州ウオーケガン(Waukegan,IL)−カタログ番号P−123)から入手し、次の実施例において使用した。この卵ホスファチドの脂肪酸及びコレステロールプロフィルを表1に示す。すべてのn−3及びすべてのn−6「長鎖」PUFAの合計も示す。
【0062】
【表2】

【0063】
当業者なら、卵黄脂質中に含まれている様々な脂肪酸の特定のレベルは、雌鳥の品種、食餌、及び年齢によって様々であることを認識するであろう。さらに、実施例において用いられているホスファチドを調製するためのファンスティール社が用いた抽出手順は、栄養分野において非常に有用な脂肪酸プロフィルを有しつつも、極度に低いレベルのコレステロールしか含まない産物をもたらす。
【0064】
実施例II
この実施例において、各々実施例Iの卵ホスファチドを用いて又は用いずに、「実験用」及び「対照用」乳児処方物を調製した。対照組成物は、修正シミラック・スペシャル・ケア(Similac Special Care(R))(オハイオ州コロンバス、ロス・プロダクツ・ディビジョン・オブ・アボット・ラボラトリーズ(Ross Products Division of Abbott Laboratories,Columbus,Ohio))であり、次の成分表を用いて調製した。その結果、下記表II〜IVに示されている組成を有する処方物が調製された。
【0065】
水(Kosher)、無脂肪牛乳、加水分解コーンスターチ、ラクトース、分別ココヤシ油(中鎖トリグリセリド)、乳清タンパク濃縮物、大豆油、ココヤシ油、三塩基リン酸カルシウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、アスコルビン酸、モノ−及びジグリセリド、大豆レシチン、炭酸カルシウム、カラゲーナン、塩化コリン、硫酸鉄(II)、m−イノシトール、タウリン、ナイアシンアミド、L−カルニチン、酢酸アルファ−トコフェロール、硫酸亜鉛、パントテン酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸銅(II)、パルミチン酸リボフラビン及びビタミンA、塩化チアミン塩酸塩、塩酸ピリドキシン、ビオチン、葉酸、硫酸マンガン、フィロキノン、ビタミンD3、亜セレン酸ナトリウム、及びシアノコバラミン。
【0066】
一般にタンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、及びミネラルスラリーは、別々に調製され、ついでこれらはホモゲナイズの前に混合される。混合は一般に、乳児処方物の製造に関して既にここに組込まれている米国特許に教示されているように行なわれる。
【0067】
実験用処方物において、実施例Iの卵ホスファチドは、製造中にこの処方物中に組込まれた。先ず、卵ホスファチドは、25℃で水中に分散され、8%分散液が得られる。ホスファチド分散液は、均質化の直前にタンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、及びその他の脂質スラリーと組み合わされ、下記表II〜IVに示されている組成を有する「実験用」処方物を与える。各成分の量は、あるいは低いカロリー密度を有する乳児処方物を調製することがこの技術でよく知られているので、「1リットルあたり」を基準とするものと、「kcalあたり」を基準とするものの両方で示されている。1液体オンスあたりの標準20kcalより高い。
【0068】
【表3】

【0069】
下記表IIIは、対照用及び実験用産物において用いられる脂質含有量(唯一の変数)を示す。これらの2つの処方物は同じ総脂質量を有するが、卵リン脂質を中鎖トリグリセリドの一部と交換していることが主として異なる。この置換は、有意に、より高いレベルのリン脂質とコリン、並びに追加の長鎖PUFAをもたらす。
【0070】
【表4】

【0071】
表IVは、対照用及び実験用処方物についての複合脂肪酸プロフィルを示す。これは、卵レシチンの脂肪酸成分とシミラック・スペシャル・ケア(R)処方物との合計を表わす。
【0072】
【表5】

【0073】
卵ホスファチドを含めることによって、長鎖n−3脂肪酸として総脂質ブレンドの0.21重量%と、長鎖n−6脂肪酸として総脂質ブレンドの0.48重量%とになった。より特定すれば、総脂肪ブレンドの0.14重量%はDHAであり、総脂質ブレンドの0.41重量%はAAであった。1kgの乳児に対して100kcal/kg/日の投与を基準とすると、この処方物は1日あたり約22mgのAAと約7mgのDHAを供給する。当然ながらこれは、本発明の範囲内の比の単に1つの可能な実施態様である。
【0074】
実施例III
この実験において、卵リン脂質の使用に伴う感覚器官受容性の欠点を減少させるために、プロセス変数を評価した。本発明に有用な卵リン脂質の単離により、多くの場合乳児処方における使用にとって幾分異論のある感覚器官受容性を有する卵ホスファチドをもたらす。乳児又は介護者のどちらにも異論のない産物を提供するために、これらはさらにまだ改良することができる。最終産物を改良するためのこの方法は次に記載される。
【0075】
脂肪ブレンドの6重量%が様々な手順を用いて予備処理された卵リン脂質であるという点を除いて、実施例IIと同様ないくつかの栄養処方物を調製した。卵リン脂質を、実施例IIに記載されている油ブレンドの一部中又は水の一部中に分散した。油分散液は許容しえないものであり、約95℃までの加熱後でさえ用いることはできなかった。室温から温かい温度までの水中へのリン脂質の分散は容易に実施され、これは水分散液を形成する好ましい手段である。
【0076】
90℃の水中にリン脂質を約1時間ブレンドすることによって、卵リン脂質分散液3重量%のマスターバッチを調製した。この分散液の一部を、(1)脱気器のみ、(2)カーボン濾過装置のみ、(3)脱気器とカーボン濾過装置との組合わせ、又は(4)処理なし、に通した。
【0077】
活性炭濾過装置は、活性炭80gを含んでおり、脱気装置は中程度の真空(15in.Hg)で操作された。バッチ部分は濾過装置を3回、脱気器を1回通過させた。両方の技術が用いられた場合、この部分はまずフィルターに通され、ついで脱気器に通された。ついで均質化及びサンプル包装の直前に、処理済み部分が各栄養処方物に加えられた。
【0078】
ついでサンプルは、先ず、訓練を受けた評価者パネルによって「風味特徴」(感覚器官受容性)について評価された。このパネルの結果を表Vに示す。
【0079】
【表6】

【0080】
驚くべきことに、最も芳香が少ないサンプルは、脱気器のみを通過した分散液を含むものであった。脱気器とカーボンフィルターを通過した分散液は、対照(リン脂質分散液の処理がないもの)以外では最も評価が低かった。
【0081】
実施例IV
実施例II及びIIIに従って調製された処方物が、テネシー大学新生児センターの新生児室(Neonatal Nursery of the University of Tennessee Newborn Center)で実施された調査において乳児に与えられた。この調査は、Dr.Susan E.Carlsonの指揮のもとでロス・プロダクツ・ディビジョン・オブ・アボット・ラボラトリーズ(Ross Products Division of Abbott Laboratories)(調査AE78)、NICHD助成金RO1−HD31329、及びナショナル・アイ・インスティテュート(National Eye Institute)助成金RO1−EY08770からの財政援助を受けたものである。研究パラメーターは、成長、神経の発達、及び視力を含むものであった。長鎖PUFAは、大脳と目の発達に生理学的に重要であると考えられており、これらは妊娠の最後の3ヶ月間に胎児組織に急速に蓄積される。従って未熟児は成熟児に比べて長鎖PUFAの正常なレベルまで累積されていない。
【0082】
組込み基準:この臨床調査へ入れるかどうかは、心臓、呼吸器、胃腸、又はその他の全身疾患のない1500グラム(750〜1375グラム)より小さい「低」出生体重に基づくものであった。この乳児はまた、仮死分娩も血液型不適合の臨床的合併症の病歴もなかった。この調査に登録された乳児の母親は、胎児に対する悪い作用が証明されているような出生前感染症の病歴はなかった。妊産婦用物質の濫用は除外基準とされた。乳児はすべて、出生後7日目から経口栄養供給が開始された。
【0083】
臨床調査の間、120人の乳児全員が、出生後最初の7日目以内にこの調査に登録された。登録後まもなく別の病院に移された1人の乳児(対照)を除き、その他のすべての乳児(n−119)が同じ病院で看護を受けた。乳児は3つのグループのうちの1つに入れられた(ランダム、ブラインド)。これらのグループの2つは、入院中に対照用処方物が与えられ、これらのグループのうちの1つは実験用処方物が与えられた(実施例II参照)。入院中に死亡した乳児は、同じ処理グループに割当てられている別の乳児と代えた。この調査の設計によって、より多くの乳児に対照用処方物が与えられた。対照用処方物が与えられた者の総数は、実験用処方物が与えられた者の数の2倍以上であった。
【0084】
発見事項:予期せぬ発見事項としては、実験グループよりも対照グループにおいて壊死性全腸炎(NEC)のより高い発生が見られたことである。表VIは、治療による新生児の総数(対照対実験)を分類したものであり、NECの症状が現われた各グループにおける新生児数を示している。この病気と一致する臨床的徴候及び症状、例えば腹部膨満、胃残留、胆汁嘔吐、ヘム陽性大便、大便中の粘質物の存在、及び≧0.5mg/dLにおけるC反応性タンパク質の存在などの場合、NECが存在するか又はその疑いがあると考えられた(Pourcyrousら、“Significance of Serial C−reactive Protein Responses in Neonatal Infection and Other Diseases”、Pediatr.,1993年、92、431−435)。NECは、対照乳児では15人に、実験グループでは一人のみに確認された。
【0085】
【表7】

【0086】
フィッシャーの精密検定(2テイル)を用いたこのデータの統計学的分析では、対照治療グループにおいてNECが確認された乳児数は、実験治療グループにおけるNECを有する乳児数より有意に多かった(p=0.039)ことを示している。
【0087】
実施例V
この実験において、AA及びDHAを栄養の非経腸(静脈内供給)投与に含めたものを評価する。この非経腸溶液は、この分野で知られている様々な成分を含んでいてもよく、AA及びDHAは、リン脂質、トリグリセリド、又はメチルエステルの形態で供給される。AA及びDHAは、通常の非経腸組成物の担体及び賦形剤と混合された単一の活性成分であってもよい。あるいはより好ましくはAA及びDHAは、乳児の総栄養補給物を補うため又は供給するための非経腸処方物に含まれている。典型的な非経腸栄養溶液は、約2g/kg/日となる脂質レベルを含んでいる。脂質ブレンド中のAA及びDHAのレベルは、好ましくはAAについては10から30mg/kg/日、及びDHAについては3から15mg/kg/日の投与となるものであるべきである。
【0088】
実施例VI
この実験において、実施例IIの実験用処方物の卵レシチンを、対照用処方物中のものよりほぼ10倍高いレベルで大豆レシチンに替える。大豆レシチンは、植物源に由来するその他のリン脂質のように、長鎖多不飽和酸を含まない。しかしながらリン脂質の極性及びこれらが胃腸粘膜中に容易に組込まれうる能力は、胃腸ライニングに保護作用を与えることができ、これによって、実施例IIの実験用処方物の結果に匹敵しうる結果を生じる。さらには、大豆レシチンは、リノール酸(18:2n−6−AAへの食餌必須脂肪酸先駆物質)とリノレン酸(18:3n−3−DHAへの食餌必須脂肪酸先駆物質)とを含んでいる。
【0089】
実施例VII
この実験において、乳児用処方物におけるAA及びDHAを含むリン脂質の使用が、AA及びDHAを含むトリグリセリドの使用と比較される。実施例IIの処方物が、卵リン脂質が匹敵しうるレベルのAA及びDHAを含む単細胞微生物トリグリセリドの混合物と替えられている同様な乳児処方物と比較される。
【0090】
AA及びDHAの血液血清レベルを経腸投与後に測定するために、健康な成熟児を臨床評価に登録する。リン脂質処方物が与えられている乳児は、AA及びDHAをトリグリセリド形態で含む対照用処方物よりも、母乳栄養乳児のレベルと非常に似ている、AA及びDHAの血液血清レベルに達するものと予測される。この実験は、AA及びDHAを含むリン脂質が、AA及びDHAを含むトリグリセリドよりも好ましい投与形態であることを証明するであろう。従ってAA及びDHA血液血清レベルを高めるための改良された経腸処方物及び方法が、ここでは企図される。
【0091】
本発明の組成物及び方法の修正及び代替実施態様は、前記記載を見れば当業者には明白であろう。従ってこの明細書は例証的なものとしてのみ考えられ、当業者にこれの実施方法を教示する目的のためのものである。保護が求められている本発明の範囲全体は、添付クレームに規定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのn−6多不飽和脂肪酸の有効量を壊死性全腸炎に罹りやすい乳児に投与することを含む乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのn−6多不飽和脂肪酸がアラキドン酸を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与が経腸で実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与が非経腸で実施される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのn−6多不飽和脂肪酸が、少なくとも1つのn−3多不飽和脂肪酸と組合わされて投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記n−3多不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸を含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記n−6多不飽和脂肪酸がアラキドン酸を含んでおり、前記n−3多不飽和脂肪酸がドコサヘキサエン酸を含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が、1日につき1kgあたりアラキドン酸約1.0から約60mg、及び1日につき1kgあたりドコサヘキサエン酸約0.25から約35mgを前記乳児に供給するのに十分な量の、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸とを含む経腸組成物を供給することにより実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ドコサヘキサエン酸に対するアラキドン酸の重量比が、約2から約4の範囲である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記n−6多不飽和脂肪酸及び前記n−3多不飽和脂肪酸が、卵レシチン、真菌油、藻油、及び海洋油から成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の源から独立して選ばれる長鎖脂肪酸である、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記n−6多不飽和脂肪酸及び前記n−3多不飽和脂肪酸が、リン脂質形態である、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記非経腸溶液が、1リットルあたり少なくとも20mgのアラキドン酸と、1リットルあたり少なくとも10mgのドコサヘキサエン酸とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記非経腸溶液が、1リットルあたり約20から200mgのアラキドン酸と、約10から50mgのドコサヘキサエン酸とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1日につき1kgあたり少なくとも2.0mgのn−6多不飽和脂肪酸を供給するように、十分な量の、タンパク質、炭水化物及びリン脂質を含む経腸栄養組成物を前記乳児に与えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記栄養供給がさらに、1日につき1kgあたり少なくとも0.5mgのn−3多不飽和脂肪酸をも供給する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記栄養供給が、1日につき1kgあたり少なくとも2.0mgのアラキドン酸と少なくとも0.5mgのドコサヘキサエン酸とを供給する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記経腸組成物が卵リン脂質を含んでいる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
壊死性全腸炎に罹りやすい乳児に1日あたりの有効量のリン脂質を投与することを含む、乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法。
【請求項19】
1日につき1kgあたり約60から約2400μモルのリン脂質を供給するのに十分な量の前記栄養組成物を投与することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1日につき1kgあたり約200から約1500μモルのリン脂質を供給するのに十分な量の前記栄養組成物を投与することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記リン脂質が卵レシチンに由来するものである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記リン脂質が、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸とから成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の多不飽和脂肪酸と組合わせて投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記リン脂質が、1日につき1kgあたり約200から約1500μモルのリン脂質、約5.0mgから約40mgのアラキドン酸、及び約1.5mgから約20mgのドコサヘキサエン酸を与えるために、アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸と組合わせて投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
壊死性全腸炎に罹りやすい乳児に1日あたりの有効量のコリンを投与することを含む、乳児における壊死性全腸炎の発生を減少させる方法。
【請求項25】
1日につき1kgあたり約60から約1800μモルのコリンを供給するのに十分な量の、前記コリンを含む栄養組成物を投与することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1日につき1kgあたり約150から約1200μモルのコリンを供給するのに十分な量の前記栄養組成物を投与することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記コリンがホスファチジルコリンの形態である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記ホスファチジルコリンが卵レシチンに由来するものである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コリンが、アラキドン酸とドコサヘキサエン酸とから成る群から選ばれる1つ又はそれ以上の多不飽和脂肪酸と組合わせて投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
30.前記コリンが、1日につき1kgあたり約150から約1200μモルのコリン、約5.0mgから約40mgのアラキドン酸、及び約1.5mgから約20mgのドコサヘキサエン酸を供給するために、アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸と組合わせて投与される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(a)実質的にコレステロールを含まない乾燥卵ホスファチド粉末を提供する工程;
(b)前記リン脂質フラクションを水相中に分散させて、リン脂質分散液を形成する工程;及び
(c)前記リン脂質分散液と、前記経腸処方物の他の成分のスラリーとを組合わせる工程
を含む、卵黄リン脂質を含む経腸処方物の製造方法。
【請求項32】
水相中への前記分散が、約2から約15重量%で卵ホスファチドを提供する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
水相中への前記分散が、約20から50℃で卵ホスファチド粉末を水に添加することを含んでいる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
アラキドン酸とドコサヘキサエン酸とを含む改良経腸処方物であって、前記アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸が、リン脂質の形態にあり、
(a)2から15重量%の前記リン脂質の水性分散液を形成する工程;
(b)前記分散液を脱気に付す工程;
(c)前記脱気分散液と、タンパク質、炭水化物、ビタミン、及びミネラルの群から選ばれる少なくとも1員とを組合わせて、前記経腸処方物を形成する工程;及び
(d)前記経腸処方物を均質化する工程
を含む方法によって製造されることを特徴とする処方物。
【請求項35】
タンパク質、炭水化物及び脂質を含む、乳児に栄養供給するのに適した処方物であって、改良が、中鎖トリグリセリドと卵リン脂質とを含む脂質ブレンドを特徴とし、前記卵リン脂質はこの脂質ブレンドの約1から約40重量%のレベルで存在し、前記卵リン脂質は実質的にコレステロールを含まない、前記処方物。
【請求項36】
卵リン脂質が、脂質ブレンドの5から30重量%のレベルで存在している、請求項35に記載の処方物。
【請求項37】
さらに、100kcalあたり約10から約31mgの濃度でアラキドン酸を含んでいる、請求項35に記載の処方物。
【請求項38】
さらに、100kcalあたり約3から約16mgの濃度でドコサヘキサエン酸を含んでいる、請求項37に記載の処方物。
【請求項39】
前記アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸が、約4:1から約2:1の比で存在している、請求項38に記載の処方物。

【公開番号】特開2011−137015(P2011−137015A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−27692(P2011−27692)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願平10−536871の分割
【原出願日】平成10年2月19日(1998.2.19)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【出願人】(501287551)ザ・ユニバーシテイ・オブ・テネシー・リサーチ・コーポレイシヨン (1)
【Fターム(参考)】