説明

変位方向に移動するキャリアテープの所定位置への移動方法および装置

本発明は、連続的に変位方向に移動しているキャリアテープ2の所定位置へ移動する方法に関するものであって、変位ヘッド4は、所定位置に移動させられ、変位ヘッド4は、所定位置まで変位方向に、キャリアテープ2の変位速度に実質的に対応する速度で移動させられ、処置は、変位ヘッド4によって、移動しているキャリアテープ2上の所定位置において実施される。本発明のさらなる態様によれば、変位方向へ連続的に移動するキャリアテープの所定位置への移動のための移動装置が提供される。移動装置は、キャリアテープと、移動しているキャリアテープ上の所定位置において処置を実施するための変位ヘッドとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位方向に移動するキャリアテープの所定位置へ移動する方法および移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアテープ上のコンポーネントを処理および/またはコンポーネントをキャリアテープ上に設置するために、通常、変位ヘッドによって、キャリアテープ上の特定の位置に向かって移動することができる移動装置が利用される。これまで、キャリアテープ上にコンポーネントを設置および/または処理するため、または一般的に処置を実施するためには、キャリアテープが静止している状態で、変位ヘッドが所定の処置を実施することができるように、所定位置で処置を実施する際には、変位ヘッドは所定位置へ移動させられ、かつキャリアテープは停止された。しかし、キャリアテープを停止し、再起動することは非常に時間を費やし、その結果として配置の処理量が全体として減少するという欠点を有する。さらに、キャリアテープは不連続な移動による応力を受け、その結果としてキャリアテープはある状況においては、例えば疲労によって損傷を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上述の欠点を回避するためのものであり、特に、キャリアテープ上の所定位置へ移動する方法および移動装置を提供することにより、処理量の増大およびシステム全体の耐用年数の増大をもたらすものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載された方法、および請求項10に記載された移動装置によって得られるものである。
【0005】
本発明のさらなる有用な実施形態は、従属請求項において特定されるものである。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、変位方向へ連続的に移動するキャリアテープを所定位置に向けて移動する方法が提供される。この目的を達成するために、変位ヘッドは変位方向へのキャリアテープの変位速度と実質的に対応する速度で、所定位置に向けて移動させられる。キャリアテープと変位ヘッドとの両者が変位方向に、特に変位速度で移動している間において、変位ヘッドは、移動しているキャリアテープ上の所定位置において処置を実施する。
【0007】
結果として、変位ヘッドによる処置の実施、特にキャリアテープ上へのコンポーネントの設置、またはキャリアテープ上でのコンポーネントの処理は、処置を実施する際に、変位ヘッドとキャリアテープ、またはその上に位置するコンポーネント間の変位方向へのいかなる相対的な移動も伴わずに実施され得る。
【0008】
特に、キャリアテープは、変位方向に一定速度で連続的に置き換えられるように移動させられる。
【0009】
さらに、所定位置に向けて移動するために、変位ヘッドは、キャリアテープの変位方向を横断する方向に、一定または可変の横方向速度で移動させられてもよい。
【0010】
処置を実施する際に、変位ヘッドとコンポーネントとの間の相対的な横方向速度を無くするために、キャリアテープの変位方向を横断して延びる横方向への変位ヘッドの横方向速度は、処置を実施する際に実質的にゼロであることが提供され得る。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、変位ヘッドは、該所定位置に移動するために、直線状に、円弧状に、または回転して移動させられてもよい。
【0012】
処置として、好ましくは、コンポーネントは、所定位置へ移動する前に変位ヘッドによって取り上げられ、変位ヘッドは、その位置にコンポーネントを設置してもよい。
【0013】
1つの好ましい実施形態によると、複数の所定位置に移動することによって、複数のコンポーネントが取り上げられ、この複数のコンポーネントが、次々にキャリアテープ上で設置され、対応する所定位置で設置されるコンポーネントのそれぞれは、キャリアテープの変位方向にキャリアテープの変位速度に対応する速度で移動させられる。
【0014】
さらに、その位置での処置として、コンポーネントは処理され、具体的にはワイヤボンドされるように規定されてもよい。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、変位方向へ連続的に移動するキャリアテープの所定位置への移動のための移動装置が提供される。移動装置は、キャリアテープと、移動しているキャリアテープ上の所定位置において処置を実施するための変位ヘッドとを含む。移送装置によって、変位ヘッドは、変位方向を横断して延びる横方向、および変位方向に移動することができ、変位ヘッドが所定位置に向かって、変位方向へキャリアテープの変位速度に実質的に対応する速度で移動させられるように、移送装置は制御装置によって制御される。
【0016】
好ましくは、所定位置に向かって移動するために、変位ヘッドが横方向に一定速度または可変の横方向速度で移動させられ、かつ処置を実施する際に、横方向への横方向速度が実質的にゼロとなるように、制御装置は移送装置を制御する。
【0017】
好ましくは、変位ヘッドは、ある位置でコンポーネントを設置するように設計されてもよい。本発明のさらに他の実施形態によれば、制御装置は、複数の所定位置に移動することによって、複数のコンポーネントが取り上げられ、および該複数のコンポーネントが、次々にキャリアテープ上に設置され、対応する所定位置で設置されるコンポーネントのそれぞれが、キャリアテープの変位方向にキャリアテープの変位速度に対応する速度で移動させられるように、移送装置および変位ヘッドを制御してもよい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参考として以下にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態による移動装置を示す。
【図2】図2は、所定位置を伴うキャリアテープおよび図1の実施形態による変位ヘッドの取り得る変位経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、システム1全体を、変位方向に移動するキャリアテープ2上の位置へ移動する移動装置とともに示す。移動装置はキャリッジ3を含む。変位ヘッド4は、キャリッジ3の長手方向軸上に変位可能に配設され、変位ヘッド4はキャリッジ3の長手方向軸に沿って移動させられることが可能である。キャリッジ3自体は、キャリッジ3の長手方向軸を横切る方向にレール5に沿って変位させられることが可能であり、レール5の方向は好ましくは変位方向と一致する。
【0021】
キャリッジ3およびレール5は、移送装置の一部であり、これによって変位ヘッド4はx方向およびy方向にキャリアテープ2の平面内で移動させられることが可能である。移送装置は、移動装置が変位ヘッド4によってキャリアテープ2の所定位置においていくつかの処置を実施するように、制御ユニット6によって制御される。キャリアテープはキャリアテープユニットを通って移動させられ、キャリアテープはキャリアテープユニットの上に少なくとも部分的に設置されることにより、キャリアテープ2の支持表面が変位ヘッド4の移動領域に提供される。
【0022】
このような移動装置は、キャリアテープ2にコンポーネント、具体的にはコンデンサ、レジスタ、IC等のような電子コンポーネントを所定位置、すなわちキャリアテープ2の対応する凹部に配備することができる。さらに、かかる移動装置は、コンポーネントを特定の方法で処理するためにも使用することができ、このコンポーネントは、キャリアテープ2上の所定位置に配設される。この目的を達成するために、変位ヘッド4は、例えばボンディングワイヤを、コンポーネントの所定位置に提供するワイヤボンディングユニット、またはコンポーネントを処理するためのその他のツール等の対応する処理ユニット(図示せず)とともに提供することができる。
【0023】
移動装置がキャリアテープ2にコンポーネントを配備するために提供される場合、取り上げ点7は、キャリアテープ2の領域の外側に配置され、その取り上げ点において変位ヘッド4によって取り上げられるために提供され得、この目的のために、例えば、取り上げユニットを備え得る。この場合、変位ヘッド4は、そこで提供された1つ以上のコンポーネントを取り上げ、これらをそれに続く方法のステップによってキャリアテープ上の対応する所定位置へ移送し、設置することができる。
【0024】
キャリアテープ2は、駆動装置8によってx方向へ連続的な変位速度で移動させられる。キャリアテープ2の所定位置で処置を実施するため、具体的には、取り上げたコンポーネントを設置するまたはそこに位置するコンポーネントを処理するためには、キャリアテープ2と変位ヘッド4との間の相対速度はできるだけ低いことまたはゼロに等しいことが必要であり、これにより、コンポーネントは正確な位置に設置されるか、またはコンポーネントは正確に所定位置で処理される。こうした理由により、少なくとも処置を実施する際、キャリッジ3は、レール5に沿ってx方向へキャリアテープ2の変位速度で移動させられ、これにより、変位ヘッド4とキャリアテープ2との相対速度はゼロになる。所与の処置を実施する際に、変位ヘッド4とキャリアテープ2との間のいかなる相対速度をも除外するために、x方向を横断して延びる横方向の、すなわちy方向の速度もまた、好ましくはゼロに等しい。
【0025】
キャリアテープ2上の複数の位置に次々に到達させられるべき場合、これは、各々の対応する所定位置へ移動し、一旦所定の処置が実施され、次の対応する位置に移動するために、その後再度変位ヘッド4の横方向移動を再起動するために、例えば、変位ヘッド4をy方向にキャリッジ3に沿って一定の横方向速度で、またはy方向への横方向速度をゼロまで減少させて移動することによって達成されてもよい。変位ヘッドは、各種の方法で制御されることが可能であって、変位ヘッド4の全体の移動は、円弧状に、直線状に、または回転して行なわれてもよい。
【0026】
図2は、キャリアテープ2上の複数の所定位置P(四角形で示す)への移動のための、変位ヘッドの取り得る変位経路を示す。上述の実施形態の例では、キャリアテープ2の速度vは一定であるが、可変速度もまた適用してもよいが、キャリアテープ2の著しい伸張応力、またはキャリアテープ2の停止と再起動とによる処理量の低減を避けるために、キャリアテープ2を完全に停止して処置を行なうことは避けるべきである。しかし、変位ヘッドによる処置の実施の間、キャリアテープは、処置間の変位速度vよりも低い速度で移送されてもよく、制御装置6によって制御される変位ヘッド4のx方向の速度は、キャリアテープ2の速度の変化に適合させられる。
【0027】
この移動は、変位ヘッドの前進移動と同時に行なわれる、すなわち変位ヘッド4はキャリアテープ2のx方向の移動に追従するので、変位ヘッドのx方向の追加的な移送時間が必要ないことにさらなる利点がある。さらに、所定位置間の間隔が異なっている場合でも、x方向の移動距離は、ウェブの速度によって決定することができるので、変位ヘッドのx方向の作業領域は一定のままである。これは、変位ヘッドのx方向の作業領域の寸法、またはx方向の移動距離の寸法は、ウェブの速度により影響および制御される可能性があることを意味する。キャリアテープ2の従来のサイクリック駆動に代わって、今回は、摩擦ホイール駆動をキャリアテープ2に使用することができ、連続移動によって、キャリアテープ2の誘導およびその整列がより容易である。さらに、所定位置はキャリアテープ2上に任意に配設され得るが、従来のサイクリック運転では、そのことは、処理量を最大にする目的でキャリアテープの停止位置の数を減少させることに起因して実現されなかった。
【0028】
間隔zは、ダイとダイとの間の距離を示す。nは、列の数を示す。Sは、1サイクルの間のテープの移動距離に対応する。
【0029】
本出願書類に開示された全ての特徴は、それらが先行技術に関して個々にまたは組み合わされて新規である限りにおいて、本発明に不可欠なものとして請求される。
【0030】
(参照符号の一覧)
1 システム全般
2 キャリアテープ
3 キャリッジ
4 変位ヘッド
5 レール
6 制御装置
7 取り上げ点
8 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位方向に連続的に移動しているキャリアテープの所定位置まで移動する方法であって、
変位ヘッド(4)を所定位置まで移動させることであって、該変位ヘッド(4)は、該所定位置まで、該変位方向に、該キャリアテープの変位速度と実質的に対応する速度で移動させられる、ことと、
該変位ヘッド(4)によって、該移動しているキャリアテープ上の該所定位置において処置を実施することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記キャリアテープ(2)は、前記変位方向に連続的に一定速度で変位させられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定位置に移動するために、前記変位ヘッド(4)は、前記キャリアテープ(2)の前記変位方向に、一定または可変の横方向速度で横方向に移動させられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
処置を実施する際に、前記変位方向を横断して延びる横方向への前記横方向速度は、実質的にゼロであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記変位ヘッド(4)は、前記所定位置に移動するために、直線状に、円弧状に、または回転して移動させられることを特徴とする、請求項1乃至4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置での前記処置として、コンポーネントが設置されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記コンポーネントは、前記所定位置に移動する前に、前記変位ヘッドによって取り上げられることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複数の所定位置に移動することによって、複数のコンポーネントが取り上げられ、該複数のコンポーネントが、次々に前記キャリアテープ(2)上に設置され、該対応する所定位置において設置される該コンポーネントのそれぞれは、該キャリアテープ(2)の前記変位方向に、該キャリアテープ(2)の前記変位速度に対応する速度で移動させられることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記位置での前記処置として、コンポーネントが処理されること、具体的には、ワイヤボンドされることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
変位方向に連続的に移動しているキャリアテープ(2)の所定位置へ移動する移動装置であって、
該キャリアテープ(2)と、
該移動しているキャリアテープ(2)上の該所定位置において処置を実施する変位ヘッド(4)と、
該変位ヘッドを該変位方向を横断して延びる横方向、および該変位方向に移動させる移送装置と、
該変位ヘッド(4)が、該所定位置まで該変位方向に、該キャリアテープ(2)の該変位速度に実質的に対応する速度で移動させられるように、該移送装置を制御する制御装置(6)と
を備える、移動装置。
【請求項11】
前記キャリアテープ(2)は、駆動装置によって、連続的に前記変位方向に一定速度で移動させられることを特徴とする、請求項10に記載の移動装置。
【請求項12】
前記制御装置(6)が、前記所定位置に移動するために、前記コンポーネントを前記横方向に一定または可変の横方向速度で移動させられるように、前記移送装置を制御することを特徴とする、請求項10または11に記載の移動装置。
【請求項13】
前記制御装置(6)が、前記処置を実施する際に、前記横方向への前記横方向速度が実質的にゼロであるように、前記移送装置を制御することを特徴とする、請求項10または11に記載の移動装置。
【請求項14】
前記制御装置(6)が、前記変位ヘッド(4)を前記所定位置に移動するために、直線状に、円弧状に、または回転して移動させられるように、前記移送装置を制御することを特徴とする、請求項10乃至13に記載の移動装置。
【請求項15】
前記変位ヘッド(4)が、前記位置における前記処置として、コンポーネントを設置するように設計されることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の移動装置。
【請求項16】
前記制御装置(6)が、前記コンポーネントが、前記所定位置へ移動する前に、前記変位ヘッド(4)によって取り上げられるように、前記移送装置および該変位ヘッド(4)を制御することを特徴とする、請求項15に記載の移動装置。
【請求項17】
前記制御装置(6)が、複数の所定位置に移動することによって、複数のコンポーネントが取り上げられ、かつ該複数のコンポーネントが、次々に前記キャリアテープ上に設置され、前記対応する所定位置に設置される該コンポーネントのそれぞれは、前記変位方向に該キャリアテープ(2)の前記変位速度に対応する速度で移動させられるように、前記移送装置および前記変位ヘッド(4)を制御することを特徴とする、請求項16に記載の移動装置。
【請求項18】
前記制御装置(6)は、前記移動装置および前記変位ヘッド(4)が、前記位置における前記処置としてコンポーネントを処理するように、具体的にはボンドするように、制御することを特徴とする、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の移動装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−536902(P2009−536902A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508360(P2009−508360)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054354
【国際公開番号】WO2007/131896
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508110962)ミュールバウアー アーゲー (10)