変化画像検出装置、変化画像転送方法、及びそれらの機能を実現するためのコンピュータープログラム並びにそのコンピュータープログラムを記録した記録媒体
【課題】時系列に並んだ複数の画像の中から、比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる技術を提供する。
【解決手段】変化画像検出装置は、変化画像検出部と、処理対象画像内のN個の部分領域のうちの第Na番目の部分領域と基準画像内の第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域とを比較して変化の有無を判定する判定部と、を備え、判定部が変化がないと判定すると、変化画像検出部は処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択し、判定部は新たな処理対象画像内の第Nb番目の部分領域と、第Nb番目の部分領域についての対応領域とで変化の有無を判定し、判定部が変化があると判定すると、変化画像検出部は、処理対象画像又は処理対象画像よりも時間的に後となる画像を基準画像として選択すると共に、処理対象画像又は処理対象画像よりも時間的に後となる画像を変化画像として検出する。
【解決手段】変化画像検出装置は、変化画像検出部と、処理対象画像内のN個の部分領域のうちの第Na番目の部分領域と基準画像内の第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域とを比較して変化の有無を判定する判定部と、を備え、判定部が変化がないと判定すると、変化画像検出部は処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択し、判定部は新たな処理対象画像内の第Nb番目の部分領域と、第Nb番目の部分領域についての対応領域とで変化の有無を判定し、判定部が変化があると判定すると、変化画像検出部は、処理対象画像又は処理対象画像よりも時間的に後となる画像を基準画像として選択すると共に、処理対象画像又は処理対象画像よりも時間的に後となる画像を変化画像として検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列に並んだ複数の画像の中から、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターからプロジェクターに対して、無線LAN等により動画像データを送信して、動画像を投射表示する動画像表示システムが構築されることがある。このような動画像表示システムとして、コンピューターからプロジェクターへのデータ転送量を減らすために、動画像データの一部のみを転送するシステムが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−33763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシステムでは、動画像を構成する各フレーム画像について、直前のフレーム画像と比較して変化(差分)があるか否かを判定する。そして、変化がある場合には、差分領域を全て含む矩形領域の画像データをコンピューターからプロジェクターに転送する。このような構成のシステムでは、転送データ量は減らすことができるが、各フレーム画像について前のフレーム画像と比較することとなるので、変化を検出して画像データの転送が完了するまでに非常に長時間を要することとなる。特に、コンピューター用ディスプレイに表示される動画像をキャプチャしてプロジェクターに転送する場合には、ディスプレイ表示用のVRAM(VideoRAM)から比較対象となるフレーム画像を順次汎用メモリーにキャプチャして相互に比較を行うこととなる。この場合、比較的動作の遅いVRAMがボトルネックとなり、フレーム画像のキャプチャ及び比較に長時間を要することとなる。それゆえ、変化部分の画像データの転送が完了するまでに非常に長時間を要することとなる。
【0005】
なお、上述の問題点は、プロジェクターに限らず任意の画像表示装置に対して、時間的に前のフレーム画像と比較して変化のある画像(以下、「変化画像」とも呼ぶ。)のデータ転送を行う場合に起こり得る。また、動画像に限らず、デジタルスチルカメラの連写により得られた画像など、時系列に並んだ任意の複数の画像について転送する場合に起こり得る。また、変化画像のデータ転送を行うことなく、変化画像の検出のみを行うようなシステムにおいても、変化画像の検出完了までに長時間を要するという問題として発生し得る。
【0006】
本発明は、時系列に並んだ複数の画像の中から、比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[適用例1]上記目的を達成するために、本発明の変化画像検出装置は、時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するための変化画像検出装置であって、前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する変化画像検出部と、前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する判定部と、を備え、前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択し、前記判定部は、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定し、前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化があると判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出することを要旨とする。
【0008】
本発明の変化画像検出装置は、部分領域と対応領域とを比較して変化の有無を判定するようにしているので、全領域を比較して変化の有無を検出する構成に比べて、変化の有無の判定を短時間で実行することができ、比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる。また、部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合に、第Nb番目の部分領域と、第Nb番目の部分領域についての対応領域とで比較して変化の有無を判定するので、変化が第Nb番目の部分領域に相当する位置においてのみ発生した場合であっても、かかる変化を検出して、変化画像を適切に検出することができる。
【0009】
[適用例2]上記変化画像検出装置は、さらに、表示用画像を記憶するためのフレームメモリーと、汎用メモリーと、を備え、前記変化画像検出部は、前記フレームメモリーに記憶されている画像の一部を、前記部分領域として前記汎用メモリーにコピーするようにしてもよい。
【0010】
このようにすることで、汎用メモリーが部分領域と対応領域との変化の有無の判定ために用いられる構成において、フレームメモリーから汎用メモリーにコピーするのが画像の一部であるので、画像の全領域をコピーする場合に比べて、コピーに要する時間を短縮することができる。したがって、フレームメモリーの動作速度が比較的遅い場合であっても、同じ時刻において、フレームメモリー内の画像(表示用画像)と検出した変化画像とが不一致となることを抑制することができる。
【0011】
[適用例3]上記変化画像検出装置において、各部分領域は、それぞれ互いに隣接しない複数の副部分領域の集合であるようにしてもよい。
【0012】
このようにすることで、互いに隣接しない複数の副部分領域と各対応領域とで比較して変化の有無が判定されるので、1回の変化の有無の判定において網羅する画像内の範囲が比較的広くなり、画像内の一部領域における変化を、比較的少ない判定回数で検出することができる。
【0013】
[適用例4]上記変化画像検出装置において、前記N個の部分領域からなる集合領域は、前記処理対象画像の全領域と一致するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることで、N回の判定によって、画像の全領域について変化の有無を判定して変化画像を検出することができる。
【0015】
[適用例5]上記変化画像検出装置は、さらに、前記変化画像検出装置とネットワークを介して接続する画像表示装置に対して、前記変化画像を転送するための画像転送部を備えるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることで、フレームメモリーの動作が比較的遅い場合であっても、比較的短時間のうちに変化画像を検出して画像表示装置に転送することができる。それゆえ、同じ時刻においてフレームメモリー内の画像(表示用画像)と画像表示装置に転送する画像と、が不一致となることを抑制することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、変化画像検出方法や、変化画像検出方法または変化画像検出装置の機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータープログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例としての変化画像検出装置を適用したプレゼンテーションシステムの概要構成を示す説明図である。
【図2】図1に示すパーソナルコンピューター100の内部構成を示すブロック図である。
【図3】パーソナルコンピューター100において実行されるフレーム転送処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図4】フレーム転送処理によってフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。
【図5】第1の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図6】比較例においてフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。
【図7】第2の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図8】第3の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図9】第4の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図10】第5の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図11】第6の実施例における部分領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
B.第2の実施例:
C.第3の実施例:
D.第4の実施例;
E.第5の実施例:
F.第6の実施例:
G.変形例:
【0020】
A.第1の実施例:
図1は、本発明の一実施例としての変化画像検出装置を適用したプレゼンテーションシステムの概要構成を示す説明図である。このプレゼンテーションシステム1000は、ノート型のパーソナルコンピューター100と、プロジェクターPJと、を備える。このプレゼンテーションシステム1000では、パーソナルコンピューター100が備えるディスプレイ170に表示されている動画像のデータを、プロジェクターPJに転送して投射表示させる。
【0021】
パーソナルコンピューター100とプロジェクターPJとの間での動画像データの転送は、無線LAN(Local Area Network)を介して行われる。この無線LANとしては、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b規格に準拠した無線LANや、Bluetooth(登録商標)などを用いることができる。プロジェクターPJは、受信した動画像データに基づいて液晶パネル(図示省略)を駆動することで、光源から射出された照明光を変調して画像を投射表示する。なお、プロジェクターPJは、液晶パネルに限らず、任意の光変調素子を用いることができ、例えば、DMD(Digital Micromirror Device:米国TI社の登録商標)を用いることもできる。
【0022】
図2は、図1に示すパーソナルコンピューター100の内部構成を示すブロック図である。このパーソナルコンピューター100は、CPU110と、RAM120と、ROM130と、ハードディスクドライブ140と、入出力インタフェース部150と、キーボード155と、ビデオカード160と、ディスプレイ170と、無線通信処理部180と、を備えている。ビデオカード160は、フレームメモリーとして用いられるVRAM(Video RAM)165を備えている。このVRAM165は、ディスプレイ170に表示する動画像データを1フレーム分だけ格納することができる。RAM120は汎用メモリーであり、全領域格納部ASと、部分領域格納部PSと、を備えている。全領域格納部ASは、1フレーム分の全領域の画像データを格納することができる。一方、部分領域格納部PSは、1フレーム内の一部の領域(部分領域)の画像データを格納することができる。無線通信処理部180は、電波の送受信機やアンテナ等を備え、無線LANを介したデータの送受信を行う。入出力インタフェース部150は、キーボード155からの入力データを内部バスを介してCPU110等に伝える。ハードディスクドライブ140には、複数のフレーム画像からなる動画像データ142が記憶されている。
【0023】
ROM130には、動画像を再生するためのプログラムが記憶されている。このプログラムが起動されてRAM120にロードされると、CPU110は、動画像再生部110dとして機能することとなる。また、ROM130には、動画像データをプロジェクターPJ(図1)に送信するためのフレーム転送用のプログラムが記憶されている。このプログラムが起動されてRAM120にロードされると、CPU110は、変化画像検出部110aとして機能すると共に、変化判定部110b及びフレーム転送部110cとして機能することとなる。
【0024】
ユーザがキーボード155を用いて、動画像データ142を指定して動画像再生メニューを選択すると、動画像再生部110dは、ビデオカード160に対して描画指示を通知する。ビデオカード160内のビデオチップ(図示省略)は、動画像再生部110dからの指示に基づいて、ハードディスクドライブ140から動画像データ142を読み出し、イメージデータを生成してVRAM165に書き込む。そして、ビデオチップ(図示省略)は、VRAM165に書き込まれたイメージデータに基づいて、画像信号を生成してディスプレイ170に出力する。ここで、VRAM165には、1フレーム分の画像データが順番に上書きされていく。それゆえ、VRAM165に順次上書きされる画像データに基づいて、ディスプレイ170に動画像が再生されることとなる。
【0025】
パーソナルコンピューター100では、ディスプレイ170に表示されるのとほぼ同じ動画像をプロジェクターPJ(図1)で投射表示させるために、後述するフレーム転送処理を実行する。このフレーム転送処理において、パーソナルコンピューター100では、VRAM165に記憶されているフレーム画像データをキャプチャしてプロジェクターPJに転送するようにしている。このとき、パーソナルコンピューター100では、転送データ量を低減させるために、各フレーム画像について時間的に前となるフレーム画像と比較を行って変化のあったフレーム画像(変化画像)についてのみ画像データを転送する。
【0026】
図3は、パーソナルコンピューター100において実行されるフレーム転送処理の詳細手順を示すフローチャートである。また、図4は、フレーム転送処理によってフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。図4では、最も左の列の画像は、全領域格納部AS(図2)に記憶されている画像(以下、「基準画像」とも呼ぶ)を示す。また、中央の列の画像は、部分領域格納部PSに格納されている画像(以下、「部分領域画像」とも呼ぶ)を示し、最も右側の画像は、VRAM165に記憶されている表示画像を示す。なお、図4では、各画像が上から下に時系列に並んでいる。
【0027】
パーソナルコンピューター100(図2)において、ユーザがプロジェクターPJへのデータ転送を指示して動画像再生メニューを選択すると、フレーム転送処理が実行される。なお、ハードディスクドライブ140に記憶されている動画像データ142が再生する動画像として指定されたものとする。
【0028】
ステップS205(図3)では、変化画像検出部110a(図2)は、VRAM165内のフレーム画像データを読み出して、基準画像として全領域格納部ASにコピーする。このとき、変化画像検出部110aは、VRAM165内の1フレーム分の全ての領域についての画像データをコピーする。ステップS210では、フレーム転送部110cは、全領域格納部ASから基準画像のフレーム画像データを読み出し、読み出したフレーム画像データを、無線通信処理部180を制御してプロジェクターPJに転送する。図4の例では、時刻T0において、VRAM165内のフレーム画像Faが全領域格納部ASにコピーされると共に、プロジェクターPJに転送されている。
【0029】
ステップS215(図3)では、変化画像検出部110aは、部分領域の順序を示す変数iに1を代入する。ステップS220では、変化画像検出部110aは、VRAM165内の1フレーム分の画像データのうち、部分領域X(i)の画像データを読み出して、部分領域格納部PSにコピーする。
【0030】
図5は、第1の実施例における部分領域を示す説明図である。プレゼンテーションシステム1000では、1フレーム分の画像を縦に並んだ4つの領域に分けて、それぞれ部分領域X(1)、X(2)、X(3)、X(4)と設定している。なお、各部分領域X(1)〜X(4)の面積は互いに等しいことが好ましい。各部分領域のかっこ内の数字は各部分領域の順序を示す。そして、この順序は、各部分領域の並びに従って、上から順番に1、2、3、4と予め設定されている。図4の例では、時刻T1において、最も上に位置する部分領域X(1)が部分領域格納部PSにコピーされている。以下において、部分領域X(i)(i=1〜4)に対応する領域を、「対応領域Y(i)」と呼ぶ。また、順次上書きされるVRAM165内のフレーム画像のうち、部分領域格納部PSにコピーされた部分領域についてのフレーム画像を、「処理対象画像」と呼ぶ。なお、VRAM165内のフレーム画像データは、フレーム転送処理とは関係なく順次上書きされていくので、前述のステップS220実行時のVRAM165内のフレーム画像データは、ステップS205においてコピーしたフレーム画像(基準画像)のデータと異なる場合もある。
【0031】
ステップS225(図3)では、変化判定部110bは、基準画像内の対応領域Y(i)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(i)と、を比較する。具体的には、変化判定部110bは、全領域格納部AS内の対応領域Y(i)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(i)と、において対応する画素の画素値の差分を求めて、全画素についての差分合計値を求める。図4の例では、時刻T1において、部分領域X(1)と対応領域Y(1)とが比較されている。
【0032】
ステップS230(図3)では、変化判定部110bは、対応領域Y(i)と部分領域X(i)とで変化があるか否かを判定する。具体的には、ステップS225で算出した差分合計値が、予め設定されているしきい値よりも大きい場合には変化がありと判定し、差分合計値がしきい値よりも小さい場合には変化なしと判定する。図4の例では、時刻T1において、変化なしと判定されている。
【0033】
ステップS230において変化なしと判定されると、変化画像検出部110aは、VRAM165内のフレーム画像データが、動画像における最後のフレーム画像データであるか否かを判定する(ステップS245)。そして、最後のフレーム画像データでないと判定されると、変化画像検出部110aは、変数iが4であるか否かを判定し(ステップS250)、変数iが4でなければ、変数iを1だけ増やす(ステップS255)。そして、上述したステップS220以降の処理が再び実行される。
【0034】
図4の例では、時刻T1において変化なしと判定されている。そして、このフレーム画像Faが最後のフレーム画像データでないと判定されて、時刻T2では、この時点でVRAM165内に記憶されているフレーム画像Faの部分領域X(2)が部分領域格納部PSにコピーされている。また、時刻T2では、基準画像であるフレーム画像Faの対応領域Y(2)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(2)とが比較されている。ここで、時刻T0と時刻T2との間において動画像の変化はない。したがって、時刻T2において、基準画像と同じ内容のフレーム画像Faについて、部分領域X(2)と対応領域Y(2)とが比較されている。したがって、この場合、ステップS230では再び変化なしと判定されることとなる。
【0035】
一方、ステップS230(図3)において変化ありと判定されると、変化画像検出部110a(図2)は、VRAM165内のフレーム画像データを改めて読み出して変化画像として検出し、その画像データを全領域格納部ASにコピー(上書き)する(ステップS235)。従って、基準画像は、検出された変化画像で更新されることとなる。ステップS240では、フレーム転送部110cは、全領域格納部ASから変化画像(新たな基準画像)の画像データを読み出して、読み出した画像データを無線通信処理部180を制御してプロジェクターPJに転送する。
【0036】
図4の例では、時刻T2と時刻T3との間で動画像の変化が起こり、VRAM195内のフレーム画像の内容が変化している。したがって、時刻T3では、ステップS230において部分領域X(3)と対応領域Y(3)とで変化があると判定されている。時刻T4では、この時点でVRAM165内に記憶されているフレーム画像Fbが、変化画像として検出されて、新たな基準画像として全領域格納部ASに上書きコピーされると共にプロジェクターPJに転送されている。
【0037】
時刻T5では、VRAM165内に記憶されているフレーム画像Fcの部分領域X(4)が部分領域格納部PSにコピーされ、新たな基準画像であるフレーム画像Fbの対応領域Y(4)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(4)とが比較される。
【0038】
前述のステップS250(図3)において、変数iが4であると判定した場合には、ステップS215に戻り、変数iに1が代入された上で、上述したステップS220以降の処理が再び実行される。したがって、再び対応領域X(1)と、部分領域X(1)とで変化の有無が判定されることとなる。なお、前述のステップS245において、最後のフレーム画像データであると判定されると、フレーム転送処理は終了する。
【0039】
図6は、比較例においてフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。なお、この比較例では、パーソナルコンピューター(図示省略)が備えるRAMには、1フレーム分の全領域の画像データを格納することができる2つの全領域格納部(第1全領域格納部及び第2全領域格納部)が設けられている。図6において最も左側の列は、第1全領域格納部に記憶されている画像(比較例における基準画像)を示す。また、中央の列は第2全領域格納部に記憶されている画像(比較例における処理対象画像)を示し、最も右側の列は、VRAMに記憶されている画像を示す。
【0040】
時刻T0において、VRAM内のフレーム画像Faの全領域が第1全領域格納部にコピーされてプロジェクターに転送されている。時刻T1では、VRAM内のフレーム画像Faが第2全領域格納部にコピーされると共に、第1全領域格納部内の基準画像(フレーム画像Fa)と第2全領域格納部内の処理対象画像(フレーム画像Fa)との比較が開始される。ここで、第2の領域格納部にコピーされる画像データは、フレーム画像Faの全領域のデータである。また、画像比較は全領域について実行される。したがって、変化の有無の判定結果が出るまでの期間は、上述した実施例よりも比較的長時間となる。図6の比較例では、時刻T4において「変化なし」との判定結果が出ている。この場合、変化画像を検出しなかったので、プロジェクターへのフレーム画像の転送は行われない。そして、時刻T5において、VRAM内のフレーム画像Fcが新たな処理対象画像として第2全領域格納部にコピーされて、基準画像であるフレーム画像Faとの比較が開始される。
【0041】
時刻T2と時刻T3との間に、VRAM内のフレーム画像の内容は変わっている。したがって、VRAM経由でディスプレイに表示される画像は、フレーム画像Faからフレーム画像Fbに変化することとなる。一方、上述したように、時刻T4における「変化なし」との判定結果から、プロジェクターにはフレーム画像Fbは転送されない。したがって、プロジェクターでは、フレーム画像Faが投射表示され続けることとなる。そうすると、プロジェクターに転送されて投射表示される画像(フレーム画像Fa)と、VRAM経由でディスプレイに表示される画像(フレーム画像Fb)とは相違することとなる。
【0042】
以上説明したように、本実施例におけるフレーム転送処理では、動画像の変化を判定する際に、VRAM165内のフレーム画像の全領域のうち、一部の領域のみを部分領域格納部PSにコピー(キャプチャ)し、変化ありと判定した場合にのみ変化画像の全領域を全領域格納部ASにコピーするようにしている。したがって、VRAM165の動作が比較的遅くとも、動画像の変化を判定するたびにフレーム画像の全領域をVRAMからコピーする構成に比べて、変化画像を検出するまでに要する時間を短縮することができる。それゆえ、同じ時刻において、パーソナルコンピューター100のディスプレイ170に表示される画像と、プロジェクターPJによって投射表示される画像とが不一致となることを抑制することができる。また、動画像の変化を判定する際に、対応領域と部分領域とを比較するようにしている。したがって、全領域について基準画像と処理対象画像とを比較する構成に比べて、変化画像を検出するまでに要する時間を短縮することができる。また、フレーム転送処理では、動画像の変化の有無を判定するたびに、前回とは異なる位置の部分領域と対応領域とで比較するようにしている。そして、連続4回の変化判定(図5におけるステップS215〜S255)で1フレーム分の全領域が網羅されるように、部分領域と対応領域とを比較している。したがって、仮に、動画像の変化がフレーム画像内の一部の領域の変化であっても、その変化が4フレーム分以上の期間継続していれば、少なくとも連続4回の変化判定によってかかる変化を検出することができる。それゆえ、変化判定の精度の低下を抑制することができる。
【0043】
B.第2の実施例:
図7は、第2の実施例における部分領域を示す説明図である。第2の実施例におけるプレゼンテーションシステムは、フレーム画像内における部分領域X(i)の位置が異なる点においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。
【0044】
第1の実施例では、1フレーム分の画像を縦に並んだ4つの領域に分けて、部分領域X(1)〜X(4)と設定していた(図4参照)。これに対して、本実施例では、図7に示すように、1フレーム分の画像を縦方向に2つ横方向に2つの合計4つの領域に分け、左上の領域を部分領域X(1)とし、右下の領域を部分領域X(2)とし、右上の領域を部分領域X(3)とし、左下の領域を部分領域X(4)としている。このようにして部分領域X(1)〜X(4)を設定した場合であっても、フレーム転送処理によって比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる。なお、この実施例からも理解できるように、1フレーム分の全領域を任意の形状の4つの部分領域に分けることができる。例えば、1フレーム分の全領域を横に並んだ4つの部分領域に分けることもできる。
【0045】
C.第3の実施例:
図8は、第3の実施例における部分領域を示す説明図である。第3の実施例におけるプレゼンテーションシステムは、部分領域の数が異なる点と、部分領域の順序の設定方法が異なる点と、においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。
【0046】
上述した各実施例では、部分領域の数は、部分領域X(1)〜X(4)の4つであった。これに対して、本実施例では、5つの部分領域X(1)〜X(5)が設定されている。これらの部分領域X(1)〜X(5)は、第1の実施例と同様に、互いに縦に並んだ領域である。なお、各部分領域X(1)〜X(5)の面積は同じである。ここで、各部分領域X(1)〜X(5)の位置は、第1の実施例と異なり、上から順番に並んでいない。具体的には、部分領域X(1)は中央の領域であり、部分領域X(2)は部分領域X(1)の1つ上の領域である。また、部分領域X(3)は部分領域X(1)の1つ下の領域であり、部分領域X(4)は最も上の領域である。そして、部分領域X(5)は最も下の領域である。したがって、フレーム画像の中央から外側へ順次変化判定の対象となる領域が変っていくこととなる。
【0047】
以上のような構成とすることで、1フレームを4分割して部分領域とする構成に比べて、部分領域の面積が小さくなる。それゆえ、VRAM165から部分領域格納部PSに画像データをコピーする時間をより短縮することができると共に、1回の画像比較に要する時間をより短縮することができる。また、本実施例では、変化判定の対象となる領域を中央から外側に順次変わるようにしているので、中央部において変化が起こるような動画像については、第1及び第2の実施例に比べて、比較的短時間のうちに動画像の変化を検出することができる。
【0048】
D.第4の実施例:
図9は、第4の実施例における部分領域を示す説明図である。第4の実施例におけるプレゼンテーションシステムでは、部分領域の形状が異なる点においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。上述した各実施例では、各部分領域は1つのまとまった領域であった。これに対して、本実施例の各部分領域は、離れた位置にある複数の領域(以下、「副部分領域」と呼ぶ)の集合となっている。具体的には、図9(A)では、1フレーム分の全領域を8つの副部分領域に分割している。そして、部分領域X(1)は、最も上の副部分領域と上から5番目の副部分領域とからなる。また、部分領域X(2)は、上から2番目と6番目の副部分領域からなる。部分領域X(3)は、上から3番目と7番目の副部分領域からなる。部分領域X(4)は、上から4番目と最下の副部分領域からなる。図9(B)の例では、1フレーム分の全領域が16の副部分領域に分けられており、互いに離れた位置にある異なる4つの副部分領域から1つの部分領域が構成されている。したがって、全領域は、合計4つの部分領域X(1)〜X(4)から構成されている。図9(C)の例では、1フレーム分の全領域が32の副部分領域に分けられており、互いに離れた位置にある異なる8つの副部分領域から1つの部分領域が構成されている。したがって、全領域は、図9(A)、(B)と同様に、4つの部分領域X(1)〜X(4)で構成されている。
【0049】
このような構成とすることで、1回の変化判定で離れた位置にある複数の副部分領域について画像比較を行うので、動画像の変化がフレーム画像内の一部の領域の変化である場合に、かかる変化を、前述の第1及び第2の実施例に比べてより少ない回数の画像比較で検出することができる。すなわち、より多くの副部分領域で1つの部分領域を構成することで、1回の画像比較で網羅する画像内の範囲をより広くすることができる。したがって、より少ない回数の画像比較で動画像の変化を検出することができる。なお、部分領域を構成する副部分領域の数が非常に多くなると、各副部分領域の画像データをVRAM165内から検索してRAM120にコピーするためのオーバヘッド時間が増えるため、動画像の変化の検出に要する時間の短縮化は抑制されてしまうものと考える。
【0050】
E.第5の実施例:
図10は、第5の実施例における部分領域を示す説明図である。第5の実施例におけるプレゼンテーションシステムは、部分領域の形状が異なる点においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。上述した第1の実施例では、各部分領域X(1)〜X(4)の形状は互いに同じであり、面積も互いに同じであった。これに対して、本実施例における部分領域X(1)〜X(4)は、互いに面積が異なり、また、部分領域X(1)は部分領域X(2)〜X(4)と形状が異なる。
【0051】
具体的には、部分領域X(1)の形状は矩形である。一方、部分領域X(2)の形状は、部分領域X(1)を囲むドーナツ状の形状である。また、部分領域X(3)の形状は、部分領域X(2)と同様にドーナツ状の形状であるが、その面積は部分領域X(2)よりも大きい。部分領域X(4)の形状は、部分領域X(2),X(3)と同様にドーナツ状の形状であるが、その面積は部分領域X(3)よりも大きい。このような構成であっても、フレーム転送処理によって比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる。なお、本実施例とは異なり、各部分領域について、面積と形状とのうち、いずれか一方のみが互いに異なる構成としてもよい。
【0052】
F.第6の実施例:
図11は、第6の実施例における部分領域を示す説明図である。第6の実施例におけるプレゼンテーションシステムでは、部分領域の形状が異なる点と、全ての部分領域を合わせた領域がフレーム画像の全領域と一致していない点と、において第2の実施例におけるプレゼンテーションシステムと異なり、他の構成については、第2の実施例と同じである。
【0053】
本実施例における部分領域X(1)〜X(4)は、第2の実施例における部分領域X(1)〜X(4)(図7)から、それぞれ、フレーム画像の頂点付近の矩形領域を除いた形状を有している。したがって、各部分領域X(1)〜X(4)を合わせた領域は、フレーム画像の全領域とは一致しないこととなる。なお、このような部分領域X(1)〜X(4)に基づいて変化画像を検出した場合であっても、プロジェクターPJに転送する画像データは、変化画像の全領域の画像データ(1フレーム分の画像データ)であるものとする。
【0054】
このような構成では、第2の実施例に比べて各部分領域の面積が小さくなるので、VRAM165から部分領域格納部PSに画像データをコピーするのに要する時間、及び、画像比較に要する時間を短縮することができる。なお、本実施例では、フレーム画像における4隅の矩形領域においてのみ動画像が変化した場合には、かかる変化を検出することができない。しかしながら、これら矩形領域のみの変化は発生頻度が低いものと想定される。それゆえ、このような構成であっても、動画像の変化判定の精度を著しく低下させることにはならないものと考えられる。
【0055】
G.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0056】
G1.変形例1:
上述した各実施例では、検出した変化画像をプロジェクターPJに転送していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、変化画像の転送を行わないで、動画像の中から変化画像を検出するまでを行う変化画像検出装置として構成することもできる。この場合、上述したステップS205や、ステップS220等において、全領域格納部ASや部分領域格納部PSにコピーする画像データは、VRAM165からではなく、ハードディスクドライブ140から読み出すようにする。このような構成においても、ハードディスクドライブ140からフレーム画像の全領域の画像データを読み出して、全領域の画像データを用いて画像比較を行う構成に比べて、より短時間で変化画像を検出することができる。また、上述した各実施例では、変化ありと判定した場合に、改めてVRAM165から1フレーム分の画像データを読み出してプロジェクターPJに転送するようにしている。それゆえ、変化ありと判断した時点でディスプレイ170に表示されている画像と、実際にプロジェクターPJに転送する画像と、で不一致となる可能性がある。しかしながら、前述のように予め変化画像を検出しておくことで、その後、変化画像のみをディスプレイ170に表示すると共にプロジェクターPJに送信すれば、表示画像が不一致となることを抑制することができる。
【0057】
G2.変形例2:
上述した第1の実施例では、各部分領域X(1)〜X(4)の順番は、各部分領域の並びに従って、上から順番に1、2、3、4と設定されていた。また、第3の実施例では、各部分領域X(1)〜X(5)は、画像中央部から外側へと順番に1、2、3、4、5と設定されていた。これらに限らず任意の順序で設定するようにしてもよい。例えば、部分領域が第1の実施例と同様に、縦に並んだ4つの領域X(1)〜X(4)からなる場合において、下から上に1,2,3,4と設定してもよい。また、連続する4回の変化判定で1フレーム分の全領域が網羅されるようであれば、変化判定を行うたびに比較の対象となる部分領域(及び対応領域)をランダムに決定するようにしてもよい。さらには、比較的長期間を通じて各部分領域(各対応領域)を同じ頻度で比較対象とするのであれば、連続する4回の変化判定で全ての部分領域が網羅されなくともよい。また、上述した第1の実施例では、比較対象となる部分領域及び対応領域は、直前の変化判定の結果の如何に関わらず、所定の順番に従って部分領域X(1)〜X(4)の中から定めるようにしていた。これに限らず、変化判定の結果に応じて次回の比較対象とする部分領域及び対象領域を決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、変化ありと判定された場合には、直前の比較対象がいずれの部分領域及び対応領域であっても、次回の比較対象を、部分領域X(1)及び対応領域Y(1)とするようにしてもよい。或いは、変化ありと判定された場合には、次回の比較対象を、前回の比較対象と同じ位置の部分領域及び対応領域としてもよい。以上の実施例及び変形例から理解できるように、常に同じ位置の部分領域及び対応領域を比較対象としなければ、任意の位置の部分領域及び対応領域を次回の比較対象として定めるようにしてもよい。
【0058】
G3.変形例3:
上述した各実施例では、プロジェクターPJに転送する画像データは、変化画像の全領域の画像データであったが、変化画像内の一部領域の画像データを転送するようにしてもよい。具体的には、例えば、ディスプレイ170に表示可能な全領域(デスクトップ領域)のうち、所定のウィンドウ(動画像再生用ウィンドウ等)内に相当する領域の画像データのみを、プロジェクターPJに転送するようにしてよい。この場合、かかるウィンドウ内に相当する領域についてのみ変化判定を行うようにすることで、このウィンドウ内に表示されている動画像の変化を比較的短時間のうちに検出することができる。或いは、変化ありと判定された場合には、変化画像の全領域のうち、比較対象となった部分領域の画像データのみを、部分領域格納部PSから読み出してプロジェクターPJに転送するようにしてもよい。このような構成とすることで、パーソナルコンピューター100からプロジェクターPJに一度に転送するデータ量を、変化画像の全領域の画像データを転送する構成に比べて少なくすることができる。なお、このような構成では、プロジェクターPJが投射表示する画像は、部分的に更新されたちぐはぐな画像となり得る。そこで、変化ありと判定した場合には、その後連続する3回の変化判定において全領域格納部AS内の基準画像を更新しないようにする。このようにすることで、連続4回変化ありと判定させることができ、部分領域X(1)〜X(4)の画像データを、部分領域格納部PSから順次読み出してプロジェクターPJに送信することができる。したがって、プロジェクターPJが投射表示する画像は、全領域について変化後の画像で更新され、ちぐはぐな画像を解消させることができる。
【0059】
G4.変形例4:
上述した各実施例では、部分領域の位置、面積、形状は、予め定められているものとしたが、変化判定の結果によって、ダイナミックに変更するようにしてもよい。具体的には、例えば、4回連続して変化ありと判定された場合には、次回以降における変化判定において、前回までの部分領域よりも狭い面積の領域を、新たな部分領域として設定するようにしてもよい。連続して変化ありと判定しているので、動画像の内容が頻繁に変化しているものと考えられる。この場合、次回の変化判定においても変化ありと判定する可能性が高く、したがって、部分領域の面積が比較的小さくなっても動画像の変化を検出できる可能性は高い。このような構成とすることで、VRAM165からコピーするデータ量、及び変化判定の際に比較するデータ量を低減することができ、より短時間のうちに変化画像を検出することができる。
【0060】
G5.変形例5:
上述した各実施例では、動画像内における変化画像を検出していたが、動画像に限らず、時系列に並んだ任意の複数の画像の中から変化画像を検出することもできる。具体的には、例えば、デジタルスチルカメラの連写によって得られた複数の画像の中から、時間的に前となる画像と比べて変化のある画像を検出することもできる。
【0061】
G6.変形例6:
上述した各実施例では、動画像データ142は、ハードディスクドライブ140に記憶されているものとしたが、これに限らず、任意の記憶装置に記憶されていてもよい。例えば、パーソナルコンピューター100がメモリーカードドライブを備える構成であれば、かかるメモリーカードドライブに挿入されているメモリーカード内に動画像データが記憶されていてもよい。また、パーソナルコンピューター100が無線LANと共に有線LANにも接続する構成であれば、かかる有線LAN経由でコンテンツサーバ(図示省略)等に記憶されている動画像データを読み出す構成としてもよい。
【0062】
G7.変形例7:
上述した各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100…パーソナルコンピューター
110…CPU
110a…変化画像検出部
110b…変化判定部
110c…フレーム転送部
110d…動画像再生部
120…RAM
130…ROM
140…ハードディスクドライブ
142…動画像データ
150…入出力インタフェース部
155…キーボード
160…ビデオカード
170…ディスプレイ
180…無線通信処理部
1000…プレゼンテーションシステム
X(1)〜X(5)…部分領域
PJ…プロジェクター
AS…全領域格納部
PS…部分領域格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列に並んだ複数の画像の中から、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューターからプロジェクターに対して、無線LAN等により動画像データを送信して、動画像を投射表示する動画像表示システムが構築されることがある。このような動画像表示システムとして、コンピューターからプロジェクターへのデータ転送量を減らすために、動画像データの一部のみを転送するシステムが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−33763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のシステムでは、動画像を構成する各フレーム画像について、直前のフレーム画像と比較して変化(差分)があるか否かを判定する。そして、変化がある場合には、差分領域を全て含む矩形領域の画像データをコンピューターからプロジェクターに転送する。このような構成のシステムでは、転送データ量は減らすことができるが、各フレーム画像について前のフレーム画像と比較することとなるので、変化を検出して画像データの転送が完了するまでに非常に長時間を要することとなる。特に、コンピューター用ディスプレイに表示される動画像をキャプチャしてプロジェクターに転送する場合には、ディスプレイ表示用のVRAM(VideoRAM)から比較対象となるフレーム画像を順次汎用メモリーにキャプチャして相互に比較を行うこととなる。この場合、比較的動作の遅いVRAMがボトルネックとなり、フレーム画像のキャプチャ及び比較に長時間を要することとなる。それゆえ、変化部分の画像データの転送が完了するまでに非常に長時間を要することとなる。
【0005】
なお、上述の問題点は、プロジェクターに限らず任意の画像表示装置に対して、時間的に前のフレーム画像と比較して変化のある画像(以下、「変化画像」とも呼ぶ。)のデータ転送を行う場合に起こり得る。また、動画像に限らず、デジタルスチルカメラの連写により得られた画像など、時系列に並んだ任意の複数の画像について転送する場合に起こり得る。また、変化画像のデータ転送を行うことなく、変化画像の検出のみを行うようなシステムにおいても、変化画像の検出完了までに長時間を要するという問題として発生し得る。
【0006】
本発明は、時系列に並んだ複数の画像の中から、比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[適用例1]上記目的を達成するために、本発明の変化画像検出装置は、時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するための変化画像検出装置であって、前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する変化画像検出部と、前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する判定部と、を備え、前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択し、前記判定部は、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定し、前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化があると判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出することを要旨とする。
【0008】
本発明の変化画像検出装置は、部分領域と対応領域とを比較して変化の有無を判定するようにしているので、全領域を比較して変化の有無を検出する構成に比べて、変化の有無の判定を短時間で実行することができ、比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる。また、部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合に、第Nb番目の部分領域と、第Nb番目の部分領域についての対応領域とで比較して変化の有無を判定するので、変化が第Nb番目の部分領域に相当する位置においてのみ発生した場合であっても、かかる変化を検出して、変化画像を適切に検出することができる。
【0009】
[適用例2]上記変化画像検出装置は、さらに、表示用画像を記憶するためのフレームメモリーと、汎用メモリーと、を備え、前記変化画像検出部は、前記フレームメモリーに記憶されている画像の一部を、前記部分領域として前記汎用メモリーにコピーするようにしてもよい。
【0010】
このようにすることで、汎用メモリーが部分領域と対応領域との変化の有無の判定ために用いられる構成において、フレームメモリーから汎用メモリーにコピーするのが画像の一部であるので、画像の全領域をコピーする場合に比べて、コピーに要する時間を短縮することができる。したがって、フレームメモリーの動作速度が比較的遅い場合であっても、同じ時刻において、フレームメモリー内の画像(表示用画像)と検出した変化画像とが不一致となることを抑制することができる。
【0011】
[適用例3]上記変化画像検出装置において、各部分領域は、それぞれ互いに隣接しない複数の副部分領域の集合であるようにしてもよい。
【0012】
このようにすることで、互いに隣接しない複数の副部分領域と各対応領域とで比較して変化の有無が判定されるので、1回の変化の有無の判定において網羅する画像内の範囲が比較的広くなり、画像内の一部領域における変化を、比較的少ない判定回数で検出することができる。
【0013】
[適用例4]上記変化画像検出装置において、前記N個の部分領域からなる集合領域は、前記処理対象画像の全領域と一致するようにしてもよい。
【0014】
このようにすることで、N回の判定によって、画像の全領域について変化の有無を判定して変化画像を検出することができる。
【0015】
[適用例5]上記変化画像検出装置は、さらに、前記変化画像検出装置とネットワークを介して接続する画像表示装置に対して、前記変化画像を転送するための画像転送部を備えるようにしてもよい。
【0016】
このようにすることで、フレームメモリーの動作が比較的遅い場合であっても、比較的短時間のうちに変化画像を検出して画像表示装置に転送することができる。それゆえ、同じ時刻においてフレームメモリー内の画像(表示用画像)と画像表示装置に転送する画像と、が不一致となることを抑制することができる。
【0017】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、変化画像検出方法や、変化画像検出方法または変化画像検出装置の機能を実現するためのコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータープログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例としての変化画像検出装置を適用したプレゼンテーションシステムの概要構成を示す説明図である。
【図2】図1に示すパーソナルコンピューター100の内部構成を示すブロック図である。
【図3】パーソナルコンピューター100において実行されるフレーム転送処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図4】フレーム転送処理によってフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。
【図5】第1の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図6】比較例においてフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。
【図7】第2の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図8】第3の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図9】第4の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図10】第5の実施例における部分領域を示す説明図である。
【図11】第6の実施例における部分領域を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1の実施例:
B.第2の実施例:
C.第3の実施例:
D.第4の実施例;
E.第5の実施例:
F.第6の実施例:
G.変形例:
【0020】
A.第1の実施例:
図1は、本発明の一実施例としての変化画像検出装置を適用したプレゼンテーションシステムの概要構成を示す説明図である。このプレゼンテーションシステム1000は、ノート型のパーソナルコンピューター100と、プロジェクターPJと、を備える。このプレゼンテーションシステム1000では、パーソナルコンピューター100が備えるディスプレイ170に表示されている動画像のデータを、プロジェクターPJに転送して投射表示させる。
【0021】
パーソナルコンピューター100とプロジェクターPJとの間での動画像データの転送は、無線LAN(Local Area Network)を介して行われる。この無線LANとしては、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b規格に準拠した無線LANや、Bluetooth(登録商標)などを用いることができる。プロジェクターPJは、受信した動画像データに基づいて液晶パネル(図示省略)を駆動することで、光源から射出された照明光を変調して画像を投射表示する。なお、プロジェクターPJは、液晶パネルに限らず、任意の光変調素子を用いることができ、例えば、DMD(Digital Micromirror Device:米国TI社の登録商標)を用いることもできる。
【0022】
図2は、図1に示すパーソナルコンピューター100の内部構成を示すブロック図である。このパーソナルコンピューター100は、CPU110と、RAM120と、ROM130と、ハードディスクドライブ140と、入出力インタフェース部150と、キーボード155と、ビデオカード160と、ディスプレイ170と、無線通信処理部180と、を備えている。ビデオカード160は、フレームメモリーとして用いられるVRAM(Video RAM)165を備えている。このVRAM165は、ディスプレイ170に表示する動画像データを1フレーム分だけ格納することができる。RAM120は汎用メモリーであり、全領域格納部ASと、部分領域格納部PSと、を備えている。全領域格納部ASは、1フレーム分の全領域の画像データを格納することができる。一方、部分領域格納部PSは、1フレーム内の一部の領域(部分領域)の画像データを格納することができる。無線通信処理部180は、電波の送受信機やアンテナ等を備え、無線LANを介したデータの送受信を行う。入出力インタフェース部150は、キーボード155からの入力データを内部バスを介してCPU110等に伝える。ハードディスクドライブ140には、複数のフレーム画像からなる動画像データ142が記憶されている。
【0023】
ROM130には、動画像を再生するためのプログラムが記憶されている。このプログラムが起動されてRAM120にロードされると、CPU110は、動画像再生部110dとして機能することとなる。また、ROM130には、動画像データをプロジェクターPJ(図1)に送信するためのフレーム転送用のプログラムが記憶されている。このプログラムが起動されてRAM120にロードされると、CPU110は、変化画像検出部110aとして機能すると共に、変化判定部110b及びフレーム転送部110cとして機能することとなる。
【0024】
ユーザがキーボード155を用いて、動画像データ142を指定して動画像再生メニューを選択すると、動画像再生部110dは、ビデオカード160に対して描画指示を通知する。ビデオカード160内のビデオチップ(図示省略)は、動画像再生部110dからの指示に基づいて、ハードディスクドライブ140から動画像データ142を読み出し、イメージデータを生成してVRAM165に書き込む。そして、ビデオチップ(図示省略)は、VRAM165に書き込まれたイメージデータに基づいて、画像信号を生成してディスプレイ170に出力する。ここで、VRAM165には、1フレーム分の画像データが順番に上書きされていく。それゆえ、VRAM165に順次上書きされる画像データに基づいて、ディスプレイ170に動画像が再生されることとなる。
【0025】
パーソナルコンピューター100では、ディスプレイ170に表示されるのとほぼ同じ動画像をプロジェクターPJ(図1)で投射表示させるために、後述するフレーム転送処理を実行する。このフレーム転送処理において、パーソナルコンピューター100では、VRAM165に記憶されているフレーム画像データをキャプチャしてプロジェクターPJに転送するようにしている。このとき、パーソナルコンピューター100では、転送データ量を低減させるために、各フレーム画像について時間的に前となるフレーム画像と比較を行って変化のあったフレーム画像(変化画像)についてのみ画像データを転送する。
【0026】
図3は、パーソナルコンピューター100において実行されるフレーム転送処理の詳細手順を示すフローチャートである。また、図4は、フレーム転送処理によってフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。図4では、最も左の列の画像は、全領域格納部AS(図2)に記憶されている画像(以下、「基準画像」とも呼ぶ)を示す。また、中央の列の画像は、部分領域格納部PSに格納されている画像(以下、「部分領域画像」とも呼ぶ)を示し、最も右側の画像は、VRAM165に記憶されている表示画像を示す。なお、図4では、各画像が上から下に時系列に並んでいる。
【0027】
パーソナルコンピューター100(図2)において、ユーザがプロジェクターPJへのデータ転送を指示して動画像再生メニューを選択すると、フレーム転送処理が実行される。なお、ハードディスクドライブ140に記憶されている動画像データ142が再生する動画像として指定されたものとする。
【0028】
ステップS205(図3)では、変化画像検出部110a(図2)は、VRAM165内のフレーム画像データを読み出して、基準画像として全領域格納部ASにコピーする。このとき、変化画像検出部110aは、VRAM165内の1フレーム分の全ての領域についての画像データをコピーする。ステップS210では、フレーム転送部110cは、全領域格納部ASから基準画像のフレーム画像データを読み出し、読み出したフレーム画像データを、無線通信処理部180を制御してプロジェクターPJに転送する。図4の例では、時刻T0において、VRAM165内のフレーム画像Faが全領域格納部ASにコピーされると共に、プロジェクターPJに転送されている。
【0029】
ステップS215(図3)では、変化画像検出部110aは、部分領域の順序を示す変数iに1を代入する。ステップS220では、変化画像検出部110aは、VRAM165内の1フレーム分の画像データのうち、部分領域X(i)の画像データを読み出して、部分領域格納部PSにコピーする。
【0030】
図5は、第1の実施例における部分領域を示す説明図である。プレゼンテーションシステム1000では、1フレーム分の画像を縦に並んだ4つの領域に分けて、それぞれ部分領域X(1)、X(2)、X(3)、X(4)と設定している。なお、各部分領域X(1)〜X(4)の面積は互いに等しいことが好ましい。各部分領域のかっこ内の数字は各部分領域の順序を示す。そして、この順序は、各部分領域の並びに従って、上から順番に1、2、3、4と予め設定されている。図4の例では、時刻T1において、最も上に位置する部分領域X(1)が部分領域格納部PSにコピーされている。以下において、部分領域X(i)(i=1〜4)に対応する領域を、「対応領域Y(i)」と呼ぶ。また、順次上書きされるVRAM165内のフレーム画像のうち、部分領域格納部PSにコピーされた部分領域についてのフレーム画像を、「処理対象画像」と呼ぶ。なお、VRAM165内のフレーム画像データは、フレーム転送処理とは関係なく順次上書きされていくので、前述のステップS220実行時のVRAM165内のフレーム画像データは、ステップS205においてコピーしたフレーム画像(基準画像)のデータと異なる場合もある。
【0031】
ステップS225(図3)では、変化判定部110bは、基準画像内の対応領域Y(i)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(i)と、を比較する。具体的には、変化判定部110bは、全領域格納部AS内の対応領域Y(i)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(i)と、において対応する画素の画素値の差分を求めて、全画素についての差分合計値を求める。図4の例では、時刻T1において、部分領域X(1)と対応領域Y(1)とが比較されている。
【0032】
ステップS230(図3)では、変化判定部110bは、対応領域Y(i)と部分領域X(i)とで変化があるか否かを判定する。具体的には、ステップS225で算出した差分合計値が、予め設定されているしきい値よりも大きい場合には変化がありと判定し、差分合計値がしきい値よりも小さい場合には変化なしと判定する。図4の例では、時刻T1において、変化なしと判定されている。
【0033】
ステップS230において変化なしと判定されると、変化画像検出部110aは、VRAM165内のフレーム画像データが、動画像における最後のフレーム画像データであるか否かを判定する(ステップS245)。そして、最後のフレーム画像データでないと判定されると、変化画像検出部110aは、変数iが4であるか否かを判定し(ステップS250)、変数iが4でなければ、変数iを1だけ増やす(ステップS255)。そして、上述したステップS220以降の処理が再び実行される。
【0034】
図4の例では、時刻T1において変化なしと判定されている。そして、このフレーム画像Faが最後のフレーム画像データでないと判定されて、時刻T2では、この時点でVRAM165内に記憶されているフレーム画像Faの部分領域X(2)が部分領域格納部PSにコピーされている。また、時刻T2では、基準画像であるフレーム画像Faの対応領域Y(2)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(2)とが比較されている。ここで、時刻T0と時刻T2との間において動画像の変化はない。したがって、時刻T2において、基準画像と同じ内容のフレーム画像Faについて、部分領域X(2)と対応領域Y(2)とが比較されている。したがって、この場合、ステップS230では再び変化なしと判定されることとなる。
【0035】
一方、ステップS230(図3)において変化ありと判定されると、変化画像検出部110a(図2)は、VRAM165内のフレーム画像データを改めて読み出して変化画像として検出し、その画像データを全領域格納部ASにコピー(上書き)する(ステップS235)。従って、基準画像は、検出された変化画像で更新されることとなる。ステップS240では、フレーム転送部110cは、全領域格納部ASから変化画像(新たな基準画像)の画像データを読み出して、読み出した画像データを無線通信処理部180を制御してプロジェクターPJに転送する。
【0036】
図4の例では、時刻T2と時刻T3との間で動画像の変化が起こり、VRAM195内のフレーム画像の内容が変化している。したがって、時刻T3では、ステップS230において部分領域X(3)と対応領域Y(3)とで変化があると判定されている。時刻T4では、この時点でVRAM165内に記憶されているフレーム画像Fbが、変化画像として検出されて、新たな基準画像として全領域格納部ASに上書きコピーされると共にプロジェクターPJに転送されている。
【0037】
時刻T5では、VRAM165内に記憶されているフレーム画像Fcの部分領域X(4)が部分領域格納部PSにコピーされ、新たな基準画像であるフレーム画像Fbの対応領域Y(4)と、部分領域格納部PS内の部分領域X(4)とが比較される。
【0038】
前述のステップS250(図3)において、変数iが4であると判定した場合には、ステップS215に戻り、変数iに1が代入された上で、上述したステップS220以降の処理が再び実行される。したがって、再び対応領域X(1)と、部分領域X(1)とで変化の有無が判定されることとなる。なお、前述のステップS245において、最後のフレーム画像データであると判定されると、フレーム転送処理は終了する。
【0039】
図6は、比較例においてフレーム画像データが転送される様子を模式的に示す説明図である。なお、この比較例では、パーソナルコンピューター(図示省略)が備えるRAMには、1フレーム分の全領域の画像データを格納することができる2つの全領域格納部(第1全領域格納部及び第2全領域格納部)が設けられている。図6において最も左側の列は、第1全領域格納部に記憶されている画像(比較例における基準画像)を示す。また、中央の列は第2全領域格納部に記憶されている画像(比較例における処理対象画像)を示し、最も右側の列は、VRAMに記憶されている画像を示す。
【0040】
時刻T0において、VRAM内のフレーム画像Faの全領域が第1全領域格納部にコピーされてプロジェクターに転送されている。時刻T1では、VRAM内のフレーム画像Faが第2全領域格納部にコピーされると共に、第1全領域格納部内の基準画像(フレーム画像Fa)と第2全領域格納部内の処理対象画像(フレーム画像Fa)との比較が開始される。ここで、第2の領域格納部にコピーされる画像データは、フレーム画像Faの全領域のデータである。また、画像比較は全領域について実行される。したがって、変化の有無の判定結果が出るまでの期間は、上述した実施例よりも比較的長時間となる。図6の比較例では、時刻T4において「変化なし」との判定結果が出ている。この場合、変化画像を検出しなかったので、プロジェクターへのフレーム画像の転送は行われない。そして、時刻T5において、VRAM内のフレーム画像Fcが新たな処理対象画像として第2全領域格納部にコピーされて、基準画像であるフレーム画像Faとの比較が開始される。
【0041】
時刻T2と時刻T3との間に、VRAM内のフレーム画像の内容は変わっている。したがって、VRAM経由でディスプレイに表示される画像は、フレーム画像Faからフレーム画像Fbに変化することとなる。一方、上述したように、時刻T4における「変化なし」との判定結果から、プロジェクターにはフレーム画像Fbは転送されない。したがって、プロジェクターでは、フレーム画像Faが投射表示され続けることとなる。そうすると、プロジェクターに転送されて投射表示される画像(フレーム画像Fa)と、VRAM経由でディスプレイに表示される画像(フレーム画像Fb)とは相違することとなる。
【0042】
以上説明したように、本実施例におけるフレーム転送処理では、動画像の変化を判定する際に、VRAM165内のフレーム画像の全領域のうち、一部の領域のみを部分領域格納部PSにコピー(キャプチャ)し、変化ありと判定した場合にのみ変化画像の全領域を全領域格納部ASにコピーするようにしている。したがって、VRAM165の動作が比較的遅くとも、動画像の変化を判定するたびにフレーム画像の全領域をVRAMからコピーする構成に比べて、変化画像を検出するまでに要する時間を短縮することができる。それゆえ、同じ時刻において、パーソナルコンピューター100のディスプレイ170に表示される画像と、プロジェクターPJによって投射表示される画像とが不一致となることを抑制することができる。また、動画像の変化を判定する際に、対応領域と部分領域とを比較するようにしている。したがって、全領域について基準画像と処理対象画像とを比較する構成に比べて、変化画像を検出するまでに要する時間を短縮することができる。また、フレーム転送処理では、動画像の変化の有無を判定するたびに、前回とは異なる位置の部分領域と対応領域とで比較するようにしている。そして、連続4回の変化判定(図5におけるステップS215〜S255)で1フレーム分の全領域が網羅されるように、部分領域と対応領域とを比較している。したがって、仮に、動画像の変化がフレーム画像内の一部の領域の変化であっても、その変化が4フレーム分以上の期間継続していれば、少なくとも連続4回の変化判定によってかかる変化を検出することができる。それゆえ、変化判定の精度の低下を抑制することができる。
【0043】
B.第2の実施例:
図7は、第2の実施例における部分領域を示す説明図である。第2の実施例におけるプレゼンテーションシステムは、フレーム画像内における部分領域X(i)の位置が異なる点においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。
【0044】
第1の実施例では、1フレーム分の画像を縦に並んだ4つの領域に分けて、部分領域X(1)〜X(4)と設定していた(図4参照)。これに対して、本実施例では、図7に示すように、1フレーム分の画像を縦方向に2つ横方向に2つの合計4つの領域に分け、左上の領域を部分領域X(1)とし、右下の領域を部分領域X(2)とし、右上の領域を部分領域X(3)とし、左下の領域を部分領域X(4)としている。このようにして部分領域X(1)〜X(4)を設定した場合であっても、フレーム転送処理によって比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる。なお、この実施例からも理解できるように、1フレーム分の全領域を任意の形状の4つの部分領域に分けることができる。例えば、1フレーム分の全領域を横に並んだ4つの部分領域に分けることもできる。
【0045】
C.第3の実施例:
図8は、第3の実施例における部分領域を示す説明図である。第3の実施例におけるプレゼンテーションシステムは、部分領域の数が異なる点と、部分領域の順序の設定方法が異なる点と、においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。
【0046】
上述した各実施例では、部分領域の数は、部分領域X(1)〜X(4)の4つであった。これに対して、本実施例では、5つの部分領域X(1)〜X(5)が設定されている。これらの部分領域X(1)〜X(5)は、第1の実施例と同様に、互いに縦に並んだ領域である。なお、各部分領域X(1)〜X(5)の面積は同じである。ここで、各部分領域X(1)〜X(5)の位置は、第1の実施例と異なり、上から順番に並んでいない。具体的には、部分領域X(1)は中央の領域であり、部分領域X(2)は部分領域X(1)の1つ上の領域である。また、部分領域X(3)は部分領域X(1)の1つ下の領域であり、部分領域X(4)は最も上の領域である。そして、部分領域X(5)は最も下の領域である。したがって、フレーム画像の中央から外側へ順次変化判定の対象となる領域が変っていくこととなる。
【0047】
以上のような構成とすることで、1フレームを4分割して部分領域とする構成に比べて、部分領域の面積が小さくなる。それゆえ、VRAM165から部分領域格納部PSに画像データをコピーする時間をより短縮することができると共に、1回の画像比較に要する時間をより短縮することができる。また、本実施例では、変化判定の対象となる領域を中央から外側に順次変わるようにしているので、中央部において変化が起こるような動画像については、第1及び第2の実施例に比べて、比較的短時間のうちに動画像の変化を検出することができる。
【0048】
D.第4の実施例:
図9は、第4の実施例における部分領域を示す説明図である。第4の実施例におけるプレゼンテーションシステムでは、部分領域の形状が異なる点においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。上述した各実施例では、各部分領域は1つのまとまった領域であった。これに対して、本実施例の各部分領域は、離れた位置にある複数の領域(以下、「副部分領域」と呼ぶ)の集合となっている。具体的には、図9(A)では、1フレーム分の全領域を8つの副部分領域に分割している。そして、部分領域X(1)は、最も上の副部分領域と上から5番目の副部分領域とからなる。また、部分領域X(2)は、上から2番目と6番目の副部分領域からなる。部分領域X(3)は、上から3番目と7番目の副部分領域からなる。部分領域X(4)は、上から4番目と最下の副部分領域からなる。図9(B)の例では、1フレーム分の全領域が16の副部分領域に分けられており、互いに離れた位置にある異なる4つの副部分領域から1つの部分領域が構成されている。したがって、全領域は、合計4つの部分領域X(1)〜X(4)から構成されている。図9(C)の例では、1フレーム分の全領域が32の副部分領域に分けられており、互いに離れた位置にある異なる8つの副部分領域から1つの部分領域が構成されている。したがって、全領域は、図9(A)、(B)と同様に、4つの部分領域X(1)〜X(4)で構成されている。
【0049】
このような構成とすることで、1回の変化判定で離れた位置にある複数の副部分領域について画像比較を行うので、動画像の変化がフレーム画像内の一部の領域の変化である場合に、かかる変化を、前述の第1及び第2の実施例に比べてより少ない回数の画像比較で検出することができる。すなわち、より多くの副部分領域で1つの部分領域を構成することで、1回の画像比較で網羅する画像内の範囲をより広くすることができる。したがって、より少ない回数の画像比較で動画像の変化を検出することができる。なお、部分領域を構成する副部分領域の数が非常に多くなると、各副部分領域の画像データをVRAM165内から検索してRAM120にコピーするためのオーバヘッド時間が増えるため、動画像の変化の検出に要する時間の短縮化は抑制されてしまうものと考える。
【0050】
E.第5の実施例:
図10は、第5の実施例における部分領域を示す説明図である。第5の実施例におけるプレゼンテーションシステムは、部分領域の形状が異なる点においてプレゼンテーションシステム1000(図1)と異なり、他の構成については、第1の実施例と同じである。上述した第1の実施例では、各部分領域X(1)〜X(4)の形状は互いに同じであり、面積も互いに同じであった。これに対して、本実施例における部分領域X(1)〜X(4)は、互いに面積が異なり、また、部分領域X(1)は部分領域X(2)〜X(4)と形状が異なる。
【0051】
具体的には、部分領域X(1)の形状は矩形である。一方、部分領域X(2)の形状は、部分領域X(1)を囲むドーナツ状の形状である。また、部分領域X(3)の形状は、部分領域X(2)と同様にドーナツ状の形状であるが、その面積は部分領域X(2)よりも大きい。部分領域X(4)の形状は、部分領域X(2),X(3)と同様にドーナツ状の形状であるが、その面積は部分領域X(3)よりも大きい。このような構成であっても、フレーム転送処理によって比較的短時間のうちに変化画像を検出することができる。なお、本実施例とは異なり、各部分領域について、面積と形状とのうち、いずれか一方のみが互いに異なる構成としてもよい。
【0052】
F.第6の実施例:
図11は、第6の実施例における部分領域を示す説明図である。第6の実施例におけるプレゼンテーションシステムでは、部分領域の形状が異なる点と、全ての部分領域を合わせた領域がフレーム画像の全領域と一致していない点と、において第2の実施例におけるプレゼンテーションシステムと異なり、他の構成については、第2の実施例と同じである。
【0053】
本実施例における部分領域X(1)〜X(4)は、第2の実施例における部分領域X(1)〜X(4)(図7)から、それぞれ、フレーム画像の頂点付近の矩形領域を除いた形状を有している。したがって、各部分領域X(1)〜X(4)を合わせた領域は、フレーム画像の全領域とは一致しないこととなる。なお、このような部分領域X(1)〜X(4)に基づいて変化画像を検出した場合であっても、プロジェクターPJに転送する画像データは、変化画像の全領域の画像データ(1フレーム分の画像データ)であるものとする。
【0054】
このような構成では、第2の実施例に比べて各部分領域の面積が小さくなるので、VRAM165から部分領域格納部PSに画像データをコピーするのに要する時間、及び、画像比較に要する時間を短縮することができる。なお、本実施例では、フレーム画像における4隅の矩形領域においてのみ動画像が変化した場合には、かかる変化を検出することができない。しかしながら、これら矩形領域のみの変化は発生頻度が低いものと想定される。それゆえ、このような構成であっても、動画像の変化判定の精度を著しく低下させることにはならないものと考えられる。
【0055】
G.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0056】
G1.変形例1:
上述した各実施例では、検出した変化画像をプロジェクターPJに転送していたが、本発明はこれに限定されるものではなく、変化画像の転送を行わないで、動画像の中から変化画像を検出するまでを行う変化画像検出装置として構成することもできる。この場合、上述したステップS205や、ステップS220等において、全領域格納部ASや部分領域格納部PSにコピーする画像データは、VRAM165からではなく、ハードディスクドライブ140から読み出すようにする。このような構成においても、ハードディスクドライブ140からフレーム画像の全領域の画像データを読み出して、全領域の画像データを用いて画像比較を行う構成に比べて、より短時間で変化画像を検出することができる。また、上述した各実施例では、変化ありと判定した場合に、改めてVRAM165から1フレーム分の画像データを読み出してプロジェクターPJに転送するようにしている。それゆえ、変化ありと判断した時点でディスプレイ170に表示されている画像と、実際にプロジェクターPJに転送する画像と、で不一致となる可能性がある。しかしながら、前述のように予め変化画像を検出しておくことで、その後、変化画像のみをディスプレイ170に表示すると共にプロジェクターPJに送信すれば、表示画像が不一致となることを抑制することができる。
【0057】
G2.変形例2:
上述した第1の実施例では、各部分領域X(1)〜X(4)の順番は、各部分領域の並びに従って、上から順番に1、2、3、4と設定されていた。また、第3の実施例では、各部分領域X(1)〜X(5)は、画像中央部から外側へと順番に1、2、3、4、5と設定されていた。これらに限らず任意の順序で設定するようにしてもよい。例えば、部分領域が第1の実施例と同様に、縦に並んだ4つの領域X(1)〜X(4)からなる場合において、下から上に1,2,3,4と設定してもよい。また、連続する4回の変化判定で1フレーム分の全領域が網羅されるようであれば、変化判定を行うたびに比較の対象となる部分領域(及び対応領域)をランダムに決定するようにしてもよい。さらには、比較的長期間を通じて各部分領域(各対応領域)を同じ頻度で比較対象とするのであれば、連続する4回の変化判定で全ての部分領域が網羅されなくともよい。また、上述した第1の実施例では、比較対象となる部分領域及び対応領域は、直前の変化判定の結果の如何に関わらず、所定の順番に従って部分領域X(1)〜X(4)の中から定めるようにしていた。これに限らず、変化判定の結果に応じて次回の比較対象とする部分領域及び対象領域を決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、変化ありと判定された場合には、直前の比較対象がいずれの部分領域及び対応領域であっても、次回の比較対象を、部分領域X(1)及び対応領域Y(1)とするようにしてもよい。或いは、変化ありと判定された場合には、次回の比較対象を、前回の比較対象と同じ位置の部分領域及び対応領域としてもよい。以上の実施例及び変形例から理解できるように、常に同じ位置の部分領域及び対応領域を比較対象としなければ、任意の位置の部分領域及び対応領域を次回の比較対象として定めるようにしてもよい。
【0058】
G3.変形例3:
上述した各実施例では、プロジェクターPJに転送する画像データは、変化画像の全領域の画像データであったが、変化画像内の一部領域の画像データを転送するようにしてもよい。具体的には、例えば、ディスプレイ170に表示可能な全領域(デスクトップ領域)のうち、所定のウィンドウ(動画像再生用ウィンドウ等)内に相当する領域の画像データのみを、プロジェクターPJに転送するようにしてよい。この場合、かかるウィンドウ内に相当する領域についてのみ変化判定を行うようにすることで、このウィンドウ内に表示されている動画像の変化を比較的短時間のうちに検出することができる。或いは、変化ありと判定された場合には、変化画像の全領域のうち、比較対象となった部分領域の画像データのみを、部分領域格納部PSから読み出してプロジェクターPJに転送するようにしてもよい。このような構成とすることで、パーソナルコンピューター100からプロジェクターPJに一度に転送するデータ量を、変化画像の全領域の画像データを転送する構成に比べて少なくすることができる。なお、このような構成では、プロジェクターPJが投射表示する画像は、部分的に更新されたちぐはぐな画像となり得る。そこで、変化ありと判定した場合には、その後連続する3回の変化判定において全領域格納部AS内の基準画像を更新しないようにする。このようにすることで、連続4回変化ありと判定させることができ、部分領域X(1)〜X(4)の画像データを、部分領域格納部PSから順次読み出してプロジェクターPJに送信することができる。したがって、プロジェクターPJが投射表示する画像は、全領域について変化後の画像で更新され、ちぐはぐな画像を解消させることができる。
【0059】
G4.変形例4:
上述した各実施例では、部分領域の位置、面積、形状は、予め定められているものとしたが、変化判定の結果によって、ダイナミックに変更するようにしてもよい。具体的には、例えば、4回連続して変化ありと判定された場合には、次回以降における変化判定において、前回までの部分領域よりも狭い面積の領域を、新たな部分領域として設定するようにしてもよい。連続して変化ありと判定しているので、動画像の内容が頻繁に変化しているものと考えられる。この場合、次回の変化判定においても変化ありと判定する可能性が高く、したがって、部分領域の面積が比較的小さくなっても動画像の変化を検出できる可能性は高い。このような構成とすることで、VRAM165からコピーするデータ量、及び変化判定の際に比較するデータ量を低減することができ、より短時間のうちに変化画像を検出することができる。
【0060】
G5.変形例5:
上述した各実施例では、動画像内における変化画像を検出していたが、動画像に限らず、時系列に並んだ任意の複数の画像の中から変化画像を検出することもできる。具体的には、例えば、デジタルスチルカメラの連写によって得られた複数の画像の中から、時間的に前となる画像と比べて変化のある画像を検出することもできる。
【0061】
G6.変形例6:
上述した各実施例では、動画像データ142は、ハードディスクドライブ140に記憶されているものとしたが、これに限らず、任意の記憶装置に記憶されていてもよい。例えば、パーソナルコンピューター100がメモリーカードドライブを備える構成であれば、かかるメモリーカードドライブに挿入されているメモリーカード内に動画像データが記憶されていてもよい。また、パーソナルコンピューター100が無線LANと共に有線LANにも接続する構成であれば、かかる有線LAN経由でコンテンツサーバ(図示省略)等に記憶されている動画像データを読み出す構成としてもよい。
【0062】
G7.変形例7:
上述した各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
100…パーソナルコンピューター
110…CPU
110a…変化画像検出部
110b…変化判定部
110c…フレーム転送部
110d…動画像再生部
120…RAM
130…ROM
140…ハードディスクドライブ
142…動画像データ
150…入出力インタフェース部
155…キーボード
160…ビデオカード
170…ディスプレイ
180…無線通信処理部
1000…プレゼンテーションシステム
X(1)〜X(5)…部分領域
PJ…プロジェクター
AS…全領域格納部
PS…部分領域格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するための変化画像検出装置であって、
前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する変化画像検出部と、
前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択し、前記判定部は、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定し、
前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化があると判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出することを特徴とする変化画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変化画像検出装置であって、さらに、
表示用画像を記憶するためのフレームメモリーと、
汎用メモリーと、
を備え、
前記変化画像検出部は、前記フレームメモリーに記憶されている画像の一部を、前記部分領域として前記汎用メモリーにコピーする、
変化画像検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の変化画像検出装置において、
各部分領域は、それぞれ互いに隣接しない複数の副部分領域の集合である、
変化画像検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の変化画像検出装置において、
前記N個の部分領域からなる集合領域は、前記処理対象画像の全領域と一致する、
変化画像検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の変化画像検出装置であって、さらに、
前記変化画像検出装置とネットワークを介して接続する画像表示装置に対して、前記変化画像を転送するための画像転送部を備える、
変化画像検出部。
【請求項6】
時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するための変化画像検出方法であって、
(a)前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する工程と、
(b)前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する工程と、
(c)前記工程(b)において、変化がないと判定した場合には、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択すると共に、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定する工程と、
(d)前記工程(b)において、変化があると判定した場合には、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出する工程と、
を備えることを特徴とする変化画像検出方法。
【請求項7】
時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するためのコンピュータープログラムであって、
前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する機能と、
前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する機能と、
前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合には、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択すると共に、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定する機能と、
前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化があると判定した場合には、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出する機能と、
をコンピューターに実現させるためのコンピュータープログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータープログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するための変化画像検出装置であって、
前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する変化画像検出部と、
前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択し、前記判定部は、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定し、
前記判定部が前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化があると判定した場合には、前記変化画像検出部は、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出することを特徴とする変化画像検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の変化画像検出装置であって、さらに、
表示用画像を記憶するためのフレームメモリーと、
汎用メモリーと、
を備え、
前記変化画像検出部は、前記フレームメモリーに記憶されている画像の一部を、前記部分領域として前記汎用メモリーにコピーする、
変化画像検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の変化画像検出装置において、
各部分領域は、それぞれ互いに隣接しない複数の副部分領域の集合である、
変化画像検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の変化画像検出装置において、
前記N個の部分領域からなる集合領域は、前記処理対象画像の全領域と一致する、
変化画像検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の変化画像検出装置であって、さらに、
前記変化画像検出装置とネットワークを介して接続する画像表示装置に対して、前記変化画像を転送するための画像転送部を備える、
変化画像検出部。
【請求項6】
時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するための変化画像検出方法であって、
(a)前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する工程と、
(b)前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する工程と、
(c)前記工程(b)において、変化がないと判定した場合には、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択すると共に、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定する工程と、
(d)前記工程(b)において、変化があると判定した場合には、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出する工程と、
を備えることを特徴とする変化画像検出方法。
【請求項7】
時系列に並んだ複数の画像のうち、時間的に前となる画像と比べて変化のある変化画像を検出するためのコンピュータープログラムであって、
前記複数の画像の中から、基準画像と処理対象画像とを選択する機能と、
前記処理対象画像の全領域に含まれるN個(Nは2以上の整数)の部分領域のうち、第Na(NaはN以下の自然数)番目の部分領域と、前記基準画像の全領域のうち、前記第Na番目の部分領域に対応する位置の対応領域と、を比較して変化の有無を判定する機能と、
前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化がないと判定した場合には、前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を新たな処理対象画像として選択すると共に、前記新たな処理対象画像の全領域のうち、前記Na番目の部分領域とは異なる位置の第Nb(Na≠NのときはNb=Na+1,Na=NのときはNb=1)番目の部分領域と、前記第Nb番目の部分領域についての前記対応領域と、で変化の有無を判定する機能と、
前記Na番目の部分領域と対応領域とで変化があると判定した場合には、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、新たな基準画像として選択すると共に、前記処理対象画像又は前記処理対象画像よりも時間的に後となる画像を、前記変化画像として検出する機能と、
をコンピューターに実現させるためのコンピュータープログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータープログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−69344(P2013−69344A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−7972(P2013−7972)
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2011−243169(P2011−243169)の分割
【原出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月21日(2013.1.21)
【分割の表示】特願2011−243169(P2011−243169)の分割
【原出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]