説明

変圧器および変圧器システム

【課題】 本発明では、山間部や郊外に設置されている変圧器に備えられている吸湿呼吸器のシリカゲル交換時期の判断において、多くの時間と労力を要することなく、シリカゲルの交換の判断を行うことができる変圧器および変圧器システムを提供することにある。
【解決手段】 内部に変圧器本体1及び絶縁油90を有する変圧器ケース2と、変圧器ケースと連通しており、絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管3と、配管と連通しており、変圧器ケースの外部から配管を介して変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤5を収容する吸湿呼吸器4とを備えた変圧器において、水分吸着剤の色の情報を検出し、検出した色の情報を出力するカラーセンサー6を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器の吸湿呼吸器内に充填された水分吸着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば実用新案文献1に示すように、油入変圧器ケース内部に湿気を含んだ外気を流入させないために、油入変圧器ケースに吸湿呼吸器を設け、油入変圧器ケース内に流入する外気の湿気の除去を行っている。油入変圧器ケース内に外気が流入する理由として、油入変圧器ケース内部に設けられている絶縁油が、夜間になり昼間よりも温度が低くなった際、もしくは変圧器が軽負荷になった際は、油入変圧器内部の絶縁油が収縮することにより、変圧器ケースの外部の空気が変圧器ケース内へ流入するためである。(実用新案文献1の図5)
【0003】
また一方、図5に示す変圧器もあり、同じく変圧器ケースに吸湿呼吸器を設け、変圧器ケース内に流入する外気の湿気の除去を行っている。
【0004】
図5は従来の変圧器を示す縦断面図であり、1が変圧器本体、2が変圧器本体1を内部に収納する変圧器ケースである。さらには変圧器ケース2内部には変圧器本体1を冷却するための絶縁油90を設けており、絶縁油90の上部には空気室91が設けられている。変圧器ケース2上部の図示しないカバーには配管3の一端31が連通されており、さらには配管3の他端32には吸湿呼吸器4の一端41が連通されている。配管3は一端31と他端32を下部に向けた略コの字状の円筒状の管で構成されており、変圧器ケース2の内部と外部との流体(空気)の流出入(変圧器の呼吸作用)の流路となっている。
【0005】
また吸湿呼吸器4は、配管3の他端32に連通された一端41を上部に設け、また他端を下部に呼吸部42を設けた円筒形の透明のガラスで構成され、軸方向が鉛直方向に沿うように設けられている。さらに内部には水分吸着剤であるシリカゲル5を充填している。吸湿呼吸器4も配管3と同じく、変圧器ケースの内部と外部の空気の流出入(変圧器の呼吸作用)の流路となっており、呼吸部42は変圧器ケース3の内部と外部の流体(空気)の流出入口となっている。
【0006】
ここで変圧器の呼吸作用とは一般的に、昼夜による気温変化での絶縁油90の体積変化による変圧器ケース2の内部と外部の空気の流出入(呼吸作用)することである。昼間は気温が高いため、絶縁油9の体積が膨張し、空気室91の空気が押し出され、配管3から吸湿呼吸器4を通じて外部へ流出される。また夜間は気温が低いため、絶縁油9の体積が収縮し、変圧器ケース3の空気室91の圧力が低下することで、変圧器ケース3の外部の空気が吸湿呼吸器4から配管3を通じて変圧器ケース3の内部へ流入される。これは昼夜の気温変化だけでなく、呼吸作用は変圧器の負荷状況の変化によっても起こる。以上が一般的に行われる変圧器の呼吸作用である。
【0007】
この際、外部から流入する空気は湿気を含んでおり、湿気を含んだ空気が変圧器ケース3内に流入すると、絶縁油3の水分含有率が増加することで絶縁耐力が低下し、絶縁破壊を引き起こす可能性がある。よってこれら事故を防ぐために、外部の空気の流路である吸湿呼吸器4の内部に充填させているシリカゲル5によって、外部の空気の湿気を取り除き、乾いた空気を変圧器ケース2内に流入させることで、絶縁破壊を防止している。
【0008】
しかし、シリカゲル5の吸湿量にも限界があるため、数年単位で定期的な交換を実施している。その交換時期は、一般にシリカゲル5は吸湿すると色が変化(変化例として、吸湿すると青色からピンク色)し、この変色状況を目視確認することにより、シリカゲル5の交換時期の目安としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平5−72114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
変圧器ケースの呼吸量(変圧器ケース2の内部と外部の空気の流出入量)は、それぞれの設置場所である気温変化や、また変圧器本体の負荷変動状況に依存している。従って、シリカゲルの吸湿量は、これら変圧器ケースの呼吸量及び、設置場所の湿度の影響を大きく受け、シリカゲルの交換時期も変圧器毎にまちまちとなってしまう。
【0011】
このことから変圧器毎の定期的な巡視確認が行われており、吸湿呼吸器のシリカゲルの変色状況を確認した上で取替要否ついて判断している。しかし変圧器の中で自動電圧調整器などの山間部や郊外に設置されている変圧器の巡視には、多くの時間と労力を要し、特に巡視した結果シリカゲルの交換が不要な場合には無駄な人件費が発生してしまうことになる。
【0012】
本発明はこのような無駄な巡視を省くためになされた発明である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に記載された発明は、内部に変圧器本体及び絶縁油を有する変圧器ケースと、変圧器ケースと連通しており、絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管と、配管と連通しており、変圧器ケースの外部から配管を介して変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤を収容する吸湿呼吸器とを備えた変圧器を対象とし、水分吸着剤の色の情報を検出し、検出した色の情報を出力するカラーセンサーを備えたものである。
【0014】
請求項2に記載された発明は、内部に変圧器本体及び絶縁油を有する変圧器ケースと、変圧器ケースと連通しており、絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管と、配管と連通しており、変圧器ケースの外部から配管を介して変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤を収容する吸湿呼吸器とを備えた変圧器を対象とし、水分吸着剤の色の情報を検出する検出部と、検出された色の情報を、色の濃度を示すデータに変換する変換部と、色の濃度を示すデータを出力する出力部とを有するカラーセンサーを備えたものである。
【0015】
請求項3に記載された発明は、内部に変圧器本体及び絶縁油を有する変圧器ケースと、変圧器ケースと連通しており、絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管と、配管と連通しており、変圧器ケースの外部から配管を介して変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤を収容する吸湿呼吸器とを備えた変圧器を対象とし、水分吸着剤の色の情報を検出する検出部と、検出された色の情報を、色の濃度を示すデータに変換する変換部と、色の濃度を示すデータと、予め設定された閾値とを比較し、データが示す色の濃度が閾値よりも濃度が高い場合は、水分吸着剤が交換時期であると判断する判定部と、判定部で交換時期と判定された場合は、交換時期であることを示す信号を出力する信号出力部とを有するカラーセンサーを備えたものである。
【0016】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明に加えて、色の濃度を示すデータは、第1の色の濃度を示すデータと、第2の色の濃度を示すデータと、第3の色の濃度を示すデータとで構成され、判定部は、第1乃至3の色の濃度を示すデータの内、少なくとも1つの色の濃度を示すデータに対して予め閾値が設定され、閾値が設定された色の濃度を示すデータが閾値を超えた場合は、水分吸着剤が交換時期であると判断するものである。
【0017】
請求項5に記載された発明は、請求項1乃至4に記載された発明に加えて、吸湿呼吸器は、透明の筒状で構成され、軸方向が鉛直方向に沿うように配管と連通しており、水分吸着剤を軸方向に対し、上端部、中央部、下端部と分けた場合、カラーセンサーは、水分吸着剤の上端部の色の情報を検出するものである。
【0018】
請求項6に記載された発明は、請求項1乃至4に記載された発明に加えて、吸湿呼吸器は、透明の筒状で構成され、軸方向が鉛直方向に沿うように配管と連通しており、水分吸着剤を軸方向に対し、上端部、中央部、下端部と分けた場合、カラーセンサーは、水分吸着剤の中央部の色の情報を検出するものである。
【0019】
請求項7に記載された発明は、請求項1乃至6に記載された発明に加えて、水分吸着剤はシリカゲルであるとするものである。
【0020】
請求項8に記載された発明は、請求項2に記載された変圧器と、変圧器の電気的情報を監視する子局と、子局と伝送路によって接続され、伝送路を介して子局から変圧器の電気的情報を受信し、変圧器の情報を収集する親局とを備え、変圧器から出力された色の濃度を示すデータを子局が受信し、伝送路を介して子局から色の濃度を示すデータを親局に送信し、親局が色の濃度を示すデータを受信するものである。
【0021】
請求項9に記載された発明は、請求項3乃至4に記載された変圧器と、変圧器の電気的情報を監視する子局と、子局と伝送路によって接続され、伝送路を介して子局から変圧器の電気的情報を受信し、変圧器の情報を収集する親局とを備え、変圧器から出力された交換時期であることを示す信号を子局が受信し、伝送路を介して子局から交換時期であることを示す信号を親局に送信し、親局が交換時期であることを示す信号を受信するものである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1乃至9に記載された発明によれば、山間部や郊外に設置されている変圧器において、巡視点検を行うことなく、簡易な手段で水分吸着剤の交換時期を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態を示した変圧器の縦断面図および、変圧器システムを表した図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示した変圧器のカラーセンサーの内部の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示した変圧器のカラーセンサーの内部の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を示した変圧器の要部である吸湿呼吸器の縦断面図を表した図である。
【図5】従来技術に係る変圧器の縦断面図を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0025】
<第1の実施形態>
図1乃至図2は本発明に係わる変圧器および変圧器システムの第1の実施形態を示したもので、図1が縦断面図、図2がカラーセンサーの内部の回路構成を説明するためのブロック図である。(なお図1では、従来例である図5と同じ構成部品には同じ番号を振り当てている。)
【0026】
従来例と同じ構成部品は、本実施形態では説明を省略する。図1で12は変圧器ケース2内部でかつ、変圧器本体1の上部に設けられているタップ切換器12である。タップ切換器12は、変圧器の二次側電圧が基準電圧を逸脱する場合は、タップ切換器12がタップ切換を行うことで二次側に適正な電圧を調整している。またタップ切換器12は図示しない制御配線によって制御装置70に電気的に接続されており、制御装置70の指令でもってタップ切換器12はタップ切換を行っている。
【0027】
また変圧器ケース2内部には、系統の1次側および2次側の電圧電流等を検出している計器用変圧器13が設けられている。計器用変圧器13で検出した電圧電流等は、同じく前記制御配線を介して、制御装置70に送信される。
【0028】
以上のように制御装置70は図示しない制御配線を介して、タップ切換器12および計器用変圧器13と電気的に接続され、制御配線を介して変圧器の電圧電流情報を計器用変圧器13から収集し、それらの情報を基に、例えば二次側電圧が基準電圧を逸脱した場合は、制御配線を介してタップ切換器12にタップ切換指令を出している。これら図示しない制御用配線は制御配管71の内部に配線されている。また、制御装置70は制御箱72に収納されている。
【0029】
また変圧器設置場所とは別に、制御装置70からケーブル72を介して接続されている子局73が設けられている。子局73は、変圧器の計器用変圧器13が検出している電圧や電流の情報を制御装置70からケーブル72等を介して送信され、子局73がそれら情報を収集することで、変圧器および系統の監視を行っている。さらに子局73とは別に、子局73から伝送路74等を介して遠方に親局75(営業所)が設けられている。子局73は収集している前記情報を伝送路74介して親局75(営業所)へ送信する。親局75はこれらの情報を収集し、これらの情報の監視およびこれらの情報を元に、子局73に必要な指令等を行っている。以上が変圧器および子局73、親局75を含めた変圧器および系統の監視を行うシステムである。
【0030】
次にカラーセンサー6を設けた変圧器の吸湿呼吸器4およびシリカゲル5について説明する。
【0031】
シリカゲル5は吸湿すれば、色が青色からピンク色に変色するが、シリカゲル5全体が一様にまんべんなく変色する訳ではない。吸湿呼吸器4に充填されているシリカゲル5を、軸方向に対し上から順に、上端部、中央部、下端部と分けた場合、ほとんどの変圧器において、シリカゲル5は下端部から吸湿によりピンク色に変色が行われる。変圧器の設置条件やその他の条件によって、順序はまちまちではあるが、下端部から最初に変色し、次は上端部が変色、最終的に中央部が変色することで、シリカゲル5の吸湿能力が失われていく。下端部の次に上端部の色が変色する理由として、呼吸作用によって空気室91の空気を排気する際に、若干湿気が含まれているとも考えられる。
【0032】
第1の実施形態ではカラーセンサー6を図1に示すように配管3の他端32に設け、シリカゲル5の上端部の色を検出する。つまり第1の実施形態ではシリカゲル5の上端部の色の情報を検出する。
【0033】
この場合は、前述したように配管3の他端32にカラーセンサー6を設けているので、配管3の他端32における呼吸作用の空気の流出入が阻害されている。よって、配管の他端32付近の側面に新たな呼吸口32aを設け、そこを新たな空気の流出入口とすることで、変圧器の呼吸作用を可能にしている。
【0034】
次に図2でもってカラーセンサー6の説明を行う。
【0035】
図2がカラーセンサーの内部の回路構成を示すブロック図であり、検出部62と、変換部67と、出力部65とで構成されている。検出部62は色の情報を検出し、例えば対象物であるシリカゲル5の色の情報を検出する。変換部67はこれらの色の情報を、色の濃度を示すデータに変換する。例えば、検出部62で検出した色の情報を、第1の色の濃度を示すデータとして、赤色の濃度を数値で表す。同じく、第2の色の濃度を示すデータとして、青色の濃度を数値で表し、第3の色の濃度を示すデータとして、緑色の濃度を数値で表す。このように変換部67では、シリカゲル5の色の情報を3色の濃度の強さとして、数値化しデータとして表す。例えば、まだ吸湿が行われていない比較的新しいシリカゲル5に対しては、赤20、緑30、青500と数値化されたデータとして表される(シリカゲルが新しいので青の濃度を示す数値が高い)。出力部65はそれら3色の色の濃度を示すデータを出力するためのものである。
【0036】
また図1の61は、出力部65で出力された色の情報である3色の濃度を示すデータを、制御装置70へ送信するための媒体である配線である。配線61は、図1に示すように配管3内部を通り、変圧器ケース2内部、制御配管72を介して、制御装置70に接続される。このように出力部65で出力された色の情報である3色の濃度を示すデータを、配線61を介して、制御装置70へ送信し、制御装置70は前記データを受信する。このように既存の変圧器部品を配線61の通路とすることで、新たなカラーセンサー用の配管を設けることなく、美観の維持を果たし、コストアップも防ぐことができる。制御装置70は配線61を媒体として送信された色の情報である3色の濃度を示すデータを一旦収集している。
【0037】
ここで親局75から色の情報収集の指令を伝送路74を介して子局73へ出す。子局73はその指令を受け、制御装置70で収集している色の情報である3色の濃度を示すデータをケーブル72を介して子局73へ送信させ、子局73が3色の濃度を示すデータを受信し、子局73から親局75へ伝送路を介して、親局75へ色の情報である3色の濃度を示すデータを送信する。
【0038】
親局75である営業所は、これら色の情報である3色の濃度を示すデータを受信し、データを確認して、シリカゲル5を交換すべきかどうかの判断を行う。
【0039】
以上のような構成とすることで、山間部や郊外に設置されている変圧器であっても、シリカゲル5の色の情報を親局75で知ることができ、わざわざ現地に赴かなくとも、シリカゲル5の交換時期を親局75である営業所で判断することができる。なお本発明は変圧器に備えられている既存の制御装置70、ケーブル72、子局73、伝送路75を利用することで、新たな送信媒体を設けることなく、既存の設備で、シリカゲル5の色の情報を親局75で収集できることから、経済的にも負担をかけることなく、簡易な手段で色の情報を収集することができる。
【0040】
また第1の実施形態では、シリカゲル5の上端部の色の情報を検出しているため、上端部の色がピンク色に変色した時を、シリカゲル5の交換時期と判断している。
【0041】
<第2の実施形態>
図3は本発明に係わる変圧器および変圧器システムの第2の実施形態を示したもので、カラーセンサーの内部の回路構成を説明するためのブロック図である。
【0042】
第2の実施形態は図3に示すように、第1の実施形態と比べてカラーセンサーの内部の回路構成に相違があり、その他の構成については第1の実施形態と同じである。
【0043】
図3に示すように、カラーセンサー6は検出部62と、変換部67、判定部63、閾値入力部64、信号出力部65とが設けられている。
【0044】
検出部62は前述したように、色の情報を検出する。変換部67は、検出部62で検出された色の情報を第1乃至3の色の濃度を示すデータとして、赤、緑、青の3色の濃度を数値化してデータとして表す。
【0045】
閾値入力部64は例えば、赤、緑、青である第1乃至3の色の濃度を示すデータに対し、少なくとも1つの色の濃度を示すデータに対して閾値を入力し、予め閾値を設定するためのものである。判定部63は、前記閾値が設定された色の濃度を示すデータが、予め設定された閾値を超えた場合(濃度が高い場合)は、シリカゲル5が交換時期であると判断する。
【0046】
例えば、まだ吸湿が行われていない比較的新しいシリカゲル5に対し、検出部62でシリカゲル5の色の情報を検出し、変換部67で変換を行った結果、色の濃度を示すデータとして赤20、緑30、青500であったとする(シリカゲルが新しいので青の濃度を示す数値が高い)。ここで、閾値入力部64で赤色の濃度を示すデータに対して、予め閾値を200と入力し、閾値を設定する。数年経過すれば、変圧器の呼吸作用により、シリカゲル5が吸湿を行い、徐々にピンク色に変色する。このような色の変化を行うことで、検出部62で検出している色の情報において、赤色の濃度を示すデータの値が上昇する。そして検出部62で検出した色の情報で、変換部67で変換された色の濃度を示すデータが、シリカゲルの吸湿により例えば、赤210、緑50、青50となり、赤色の濃度を示すデータが閾値である200を超えた時、判定部63でシリカゲル5が交換時期であると判定する。
【0047】
判定部63で交換時期であると判定された場合は、信号出力66でもって、交換時期であることを示す信号を配線61を介して、制御装置70へ出力し、制御装置70は交換時期であることを示す信号を受信する。
【0048】
最終的には実施形態1で示した経路によって親局75に交換時期であることを示す信号が送信され、シリカゲル交換時期を親局75へ知らせる。
【0049】
以上のような構成とすることで、親局75である営業所は、信号を受け取ったことで、遠方にある変圧器のシリカゲル5の交換時期を自動的に知ることができる。
【0050】
なお本発明を用いることで、シリカゲル5の交換の判断を各々の人が実施する主観的な判断ではなく、予めカラーセンサー6に設定した閾値でもって判断するため、客観的な判断でもってシリカゲル5の交換時期とすることができ、交換時期に明確な基準を作ることができる。
【0051】
なお本実施形態では、閾値が設定された色の濃度を示すデータが、閾値を超えた場合に交換時期であると判断するとしたが、例えば、閾値入力部64で青色の濃度を示すデータに対して、予め閾値を100と入力して、閾値を設定し、当初青500であった青色の濃度を示すデータが閾値である100を下回った時を交換時期であると判断するようにしても良い。すなわち、予め定めた閾値に対し、濃度が高くなる時を交換時期とするのではなく、濃度が低くなる時を交換時期と判断するように閾値を設けても良い。
【0052】
なお第2の実施形態では、カラーセンサー6で判定部63、閾値入力部64、信号出力部66を設けているが、子局73でこれら判定部63、閾値入力部64、信号出力部66を設けても良い。
【0053】
<第3の実施形態>
図4は本発明に係わる変圧器および変圧器システムの第3の実施形態を示したもので、要部である吸湿呼吸器の縦断面図を表している。
【0054】
第3の実施形態はカラーセンサー6の取付場所以外の構成は、実施形態1もしくは2と同じである。
【0055】
図4に示すように、第3の実施形態ではカラーセンサー6を吸湿呼吸器4に充填されているシリカゲル5の中央部の色の情報を検出できるように、カラーセンサー6を吸湿呼吸器4に取付、固定している。
【0056】
これは、前述したように変圧器の設置場所や条件により、シリカゲルの中央部が最も劣化が遅い場合には、中央部にカラーセンサー6を設けることで、交換時期を判断する。
【0057】
以上のように変圧器の設置場所や条件により、カラーセンサー6を適宜シリカゲルのどの箇所の色を検出するか検討してカラーセンサーを配置することで、シリカゲルの交換時期を判断する。
【符号の説明】
【0058】
1 変圧器本体
2 変圧器ケース
3 配管
4 吸湿呼吸器
5 水分吸着剤(シリカゲル)
6 カラーセンサー
62 検出部
63 判定部
65 出力部
66 信号出力部
67 変換部
73 子局
74 伝送路
75 親局
90 絶縁油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に変圧器本体及び絶縁油を有する変圧器ケースと、前記変圧器ケースと連通しており、前記絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管と、前記配管と連通しており、前記変圧器ケースの外部から前記配管を介して前記変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤を収容する吸湿呼吸器とを備えた変圧器において、
前記水分吸着剤の色の情報を検出し、検出した色の情報を出力するカラーセンサーを備えた変圧器。
【請求項2】
内部に変圧器本体及び絶縁油を有する変圧器ケースと、前記変圧器ケースと連通しており、前記絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管と、前記配管と連通しており、前記変圧器ケースの外部から前記配管を介して前記変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤を収容する吸湿呼吸器とを備えた変圧器において、
前記水分吸着剤の色の情報を検出する検出部と、
前記検出された色の情報を、色の濃度を示すデータに変換する変換部と、
前記色の濃度を示すデータを出力する出力部と、
を有するカラーセンサーを備えた変圧器。
【請求項3】
内部に変圧器本体及び絶縁油を有する変圧器ケースと、前記変圧器ケースと連通しており、前記絶縁油の体積変化に伴って呼吸作用が生じた際の流体の流路となる配管と、前記配管と連通しており、前記変圧器ケースの外部から前記配管を介して前記変圧器ケースの内部に流入する流体に含まれる水分を除去するための水分吸着剤を収容する吸湿呼吸器とを備えた変圧器において、
前記水分吸着剤の色の情報を検出する検出部と、
前記検出された色の情報を、色の濃度を示すデータに変換する変換部と、
前記色の濃度を示すデータと、予め設定された閾値とを比較し、前記データが示す色の濃度が前記閾値よりも濃度が高い場合は、前記水分吸着剤が交換時期であると判断する判定部と、
前記判定部で交換時期と判定された場合は、交換時期であることを示す信号を出力する信号出力部と、
を有するカラーセンサーを備えた変圧器。
【請求項4】
前記色の濃度を示すデータは、第1の色の濃度を示すデータと、第2の色の濃度を示すデータと、第3の色の濃度を示すデータとで構成され、
前記判定部は、前記第1乃至3の色の濃度を示すデータの内、少なくとも1つの色の濃度を示すデータに対して予め閾値が設定され、前記閾値が設定された色の濃度を示すデータが前記閾値を超えた場合は、前記水分吸着剤が交換時期であると判断する請求項3に記載の変圧器。
【請求項5】
前記吸湿呼吸器は、透明の筒状で構成され、軸方向が鉛直方向に沿うように前記配管と連通しており、
前記水分吸着剤を軸方向に対し、上端部、中央部、下端部と分けた場合、
前記カラーセンサーは、前記水分吸着剤の上端部の色の情報を検出する請求項1乃至4に記載の変圧器。
【請求項6】
前記吸湿呼吸器は、透明の筒状で構成され、軸方向が鉛直方向に沿うように前記配管と連通しており、
前記水分吸着剤を軸方向に対し、上端部、中央部、下端部と分けた場合、
前記カラーセンサーは、前記水分吸着剤の中央部の色の情報を検出する請求項1乃至4に記載の変圧器。
【請求項7】
前記水分吸着剤はシリカゲルである請求項1乃至6に記載の変圧器。
【請求項8】
請求項2に記載の変圧器と、
前記変圧器の電気的情報を監視する子局と、
前記子局と伝送路によって接続され、前記伝送路を介して前記子局から前記変圧器の電気的情報を受信し、前記変圧器の情報を収集する親局と、
を備え、
前記変圧器から出力された色の濃度を示すデータ
を前記子局が受信し、前記伝送路を介して前記子局から色の濃度を示すデータを前記親局に送信し、前記親局が色の濃度を示すデータを受信する変圧器システム。
【請求項9】
請求項3乃至4に記載の変圧器と、
前記変圧器の電気的情報を監視する子局と、
前記子局と伝送路によって接続され、前記伝送路を介して前記子局から前記変圧器の電気的情報を受信し、前記変圧器の情報を収集する親局と、
を備え、
前記変圧器から出力された交換時期であることを示す信号を前記子局が受信し、前記伝送路を介して前記子局から交換時期であることを示す信号を前記親局に送信し、前記親局が交換時期であることを示す信号を受信する変圧器システム。
【請求項10】
請求項2に記載の変圧器と、
前記変圧器の電気的情報を監視する子局と、
前記子局と伝送路によって接続され、前記伝送路を介して前記子局から前記変圧器の電気的情報を受信し、前記変圧器の情報を収集する親局と、
を備え、
前記変圧器から出力された色の濃度を示すデータを前記子局が受信し、
前記子局は、
前記色の濃度を示すデータと、予め設定された閾値とを比較し、前記データが示す色の濃度が前記閾値よりも濃度が高い場合は、前記水分吸着剤が交換時期であると判断する判定部と、
前記判定部で交換時期と判定された場合は、交換時期であることを示す信号を出力する信号出力部と、
前記判定部で交換時期と判定された場合は、交換時期であることを示す信号を出力する信号出力部とを設け、
前記親局が前記伝送路を介して前記子局から出力された交換時期であることを示す信号を受信する変圧器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77723(P2013−77723A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217139(P2011−217139)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】