説明

変形くし

【課題】つくり出すヘアスタイルや好みに応じて歯の並び形状等を変形できる変形くしを提供する。
【解決手段】把持するための柄部2と、毛髪を梳かすための複数の歯30を備えた歯部3を設けた変形くし1において、歯部3をアイオノマー樹脂で形成し、日常使用するお湯やドライヤーの熱で歯部3を自在に変形できるようにする。尚、柄部2もアイオノマー樹脂で形成して把持し易いように変形できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアスタイルに応じて熱で変形できる変形くしに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、用途に応じて変形することが可能なくしが存在している。例えば、特許第4343264号公報(特許文献1)には、一列に複数の歯を備えた歯部を有するくしが開示されているが、その歯は曲げ弾性を有しているため、人の頭などの毛髪を梳かす部位に応じてその部位への押圧力でその歯が変形して毛髪の根元にまで及んでこれを効果的に梳かすことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4343264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1のくしについて、毛髪を梳かす部位に応じて前記歯が変形するようにしているが、その部位への押圧力でしか変形できない。よって、つくり出す各種ヘアスタイルに応じて、または好みの形になるようくし自体を変形することは不可能であるといった課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点を解消する為に成されたものであり、つくり出すヘアスタイルに応じて、または好みの形になるよう各歯の並び形状、またその他の部分を変形することが可能な変形くしを提供する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の変形くしは、把持するための柄部と、毛髪を梳かすための複数の歯を備えた歯部を設け、少なくとも前記歯部をアイオノマー樹脂で形成したものとしている。
【0007】
また、前記柄部を前記アイオノマー樹脂で形成すると共に、その先端を尖り形状にすることができる。
【0008】
さらに、前記歯部における前記各歯の間隔を8ミリ以上にしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
よって、本発明の変形くしは、把持するための柄部と、毛髪を梳かすための複数の歯を備えた歯部を設け、少なくとも前記歯部をアイオノマー樹脂で形成したものであるため、日常使用するお湯やドライヤーの熱で歯部を自在に変形でき、つくり出すヘアスタイルに応じて、または好みの形になるよう各歯の並び形状を変形することが可能となる。
【0010】
前記アイオノマー樹脂は弾性を有し、常温での曲げに強い特性を有すると共に、耐摩耗性や耐油・耐薬性においても優れているため、使用耐久期間が長く、しかも整髪料等による化学的な劣化がほとんどないので、劣化変形により毛髪に及ぶダメージを防止することができる。
【0011】
尚、前記柄部を前記アイオノマー樹脂で形成すると共に、その先端を尖り形状にする場合は、把持し易い角度に柄部を熱で変形させたり、または毛髪の立ち上げやすくい上げをし易いように変形させたりすることができる。
【0012】
さらに、前記歯部における前記各歯の間隔を8ミリ以上にする場合は、手ぐし感覚で毛髪を梳かすことができ、しかも毛髪がウェーブ状や巻状であっても梳かす際に生じる摩擦が従来の比較的目の細かいくしよりも大幅に軽減され、毛髪が傷むのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の変形くしを示す図である。
【図2】本発明の変形くしの歯部をスパイラル状に変形した形態を示す図である。
【図3】本発明の変形くしの歯部をジグザグ状に変形した形態を示す図である。
【図4】本発明の変形くしの柄部を変形した形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の変形くしを、図面に示す一実施形態に基づきこれを詳細に説明する。
【0015】
すなわち、本発明の変形くし1は、図1の実施形態で示したように、まず把持するための柄部2と、毛髪を梳かすための複数の歯30を備えた歯部3を設けている。
【0016】
さらに、本発明の変形くし1の特徴として、少なくとも前記歯部3をアイオノマー樹脂で形成したものとしている。
【0017】
前記アイオノマー樹脂とは、既知のものであるがエチレン−メタクリル酸共重合体やエチレン−アクリル酸共重合体の分子間を、ナトリウムや亜鉛などの金属のイオンで分子間結合した構造を有する樹脂のことをいうが、特に比較的低い熱で自在に変形する性質を有するものである。
【0018】
また、前記アイオノマー樹脂は弾性を有し、常温での曲げに強い特性を有すると共に、耐摩耗性や耐油・耐薬性においても優れている。そのため、使用耐久期間が長く、しかも整髪料等による化学的な劣化がほとんどないので、劣化変形により毛髪に及ぶダメージを防止することができる。
【0019】
このように、本発明の変形くし1の前記歯部3を前記アイオノマー樹脂で形成したものとしているため、日常使用するお湯やドライヤーの熱で歯部3を自在に変形でき、つくり出すヘアスタイルに応じて、または好みの形になるよう各歯の並び形状を変形することが可能となるのである。
【0020】
例えば、図2に示すように、前記各歯30の並び形状をスパイラル状に変形させる場合は巻き髪を作り易い形状になり、または図3に示すように、その並び形状をジグザグ状に変形させる場合は毛束感のある毛髪にして特に毛先にニュアンスを出すことが容易になる。
【0021】
加えて、同じく図3に示されているが、前記歯部3における前記各歯30の並び形状をその並び方向に直する方向において変化させる場合はムース状の整髪料を歯部に載せやすくなり、これを毛髪に塗布することが容易になる。
【0022】
尚、前記柄部2を前記アイオノマー樹脂で形成すると共に、その先端を尖り形状にする場合は、把持し易い角度に柄部2を熱で変形させたり、または毛髪の立ち上げやすくい上げをし易いように適宜変形させたりすることができる。
【0023】
尚、前記歯部3における前記各歯30の間隔を8ミリ以上になるよう形成している。よって、本発明の変形くし1は手ぐし感覚で毛髪を梳かすことができ、しかも毛髪がウェーブ状や巻状であっても梳かす際に生じる摩擦が従来の比較的目の細かいくしよりも大幅に軽減され、毛髪が傷むのを防止することができる。
【0024】
したがって、上記に示した本発明の変形くし1は、前記アイオノマー樹脂を採用することで、弾性を活かして毛髪を梳かす部位に応じた歯の変形が可能な従来の特性を持ち合わせつつも、つくり出すヘアスタイルに応じて、または好みの形になるよう各歯30の並び形状などを変形することを可能としたものであるため、市場におけるさらなるニーズに応じるものとなり得る。
【符号の説明】
【0025】
1 変形くし
2 柄部
3 歯部
30 歯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持するための柄部と、毛髪を梳かすための複数の歯を備えた歯部を設け、少なくとも前記歯部をアイオノマー樹脂で形成したことを特徴とする変形くし。
【請求項2】
前記柄部を前記アイオノマー樹脂で形成すると共に、その先端を尖り形状にしたことを特徴とする請求項1に記載の変形くし。
【請求項3】
前記歯部における前記各歯の間隔を8ミリ以上にしたことを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか記載の変形くし。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−104130(P2011−104130A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262474(P2009−262474)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(591199039)ベス工業株式会社 (1)