説明

変形性関節症治療薬

【課題】プロテオグリカン、特にコンドロイチン硫酸タイプの生成を選択的に促進する軟骨疾患の予防および/または治療薬を提供する。
【解決手段】下式


(式中、Xはハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは天然若しくは非天然のアミノ酸からなるペプチド残基を表す。)
で表される化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軟骨疾患の予防または治療に有用な薬物に関する。より詳細には、プロテオグリカンの生成促進剤を有効成分とする、変形性関節症およびその他の軟骨疾患の予防または治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
軟骨は軟骨細胞とこれを取り囲む基質からなる結合組織であり、関節、脊柱の椎間板、肋軟骨、耳介、外耳道、恥骨結合、咽喉蓋などに存在する。軟骨は、軟骨細胞と、軟骨細胞が産生する軟骨基質とからなり、軟骨基質の主成分はプロテオグリカンおよびコラーゲン(II型、IX型など)である。
関節疾患は関節軟骨の変性を主たる病変とする疾患であって、種々の原因によりこれら軟骨組織からのプロテオグリカンの遊離が促進され、前後して該組織におけるプロテオグリカンの合成能が低下し始める。同時にI型コレゲナーゼ等の各種メタロプロテイナーゼの遊離と活性化が亢進し軟骨組織のコラーゲンが分解される。これら一連の反応により軟骨組織の破壊が進み、次いで、病変の進行により滑膜の増性、軟骨下骨の破壊、関節辺縁部の軟骨肥大あるいは骨新生がおこり、関節の変形を経て、重篤な場合には機能不全に至る。
【0003】
関節疾患の中でも最も患者数の多い疾患が変形性関節症である。本疾患では加齢が軟骨変性の原因の一つと考えられており、社会の高齢化に伴って今後さらに患者数が増えることが懸念されている。しかしながら、その治療法としては、軟骨変性・軟骨下骨破壊に伴う痛みを取る目的から鎮痛消炎剤やヒアルロン酸製剤が用いられているが、いずれも対症療法的に用いられているに過ぎず、十分な効果はあげていない。
これに対して、プロテオグリカンの生成促進剤が新しい治療剤として着目されている。プロテオグリカンとは、コアタンパク質と呼ばれるタンパク質に1本以上のグリコサミノグリカン(GAG)鎖が結合している構造を有する分子であるが、西村等は、このプロテオグリカンの構造を模倣したGAG鎖伸張の開始剤(イニシエーター)となりうるポリ糖ペプチドを提案し、リウマチ性関節炎や変形性関節症治療剤としての有用性を示唆している(後記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、プロテオグリカンはそのGAG鎖を構成する糖の違いによりコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)およびヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)とに大きく分類され、CSPGの多くは細胞外マトリクスとして存在し、例えばアグリカン(aggrecan)のように軟骨の主要構成成分としての役割を担う一方、HSPGは細胞膜に挿入され例えば成長因子等のシグナル伝達に関与していることが知られている。変形性関節症等の軟骨疾患治療のためには、CSPGの生成促進が重要であるところ、上記のポリ糖ペプチドよりなるイニシエーターはその選択性を確認するまでには至っていない。
【特許文献1】WO2004/076476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、プロテオグリカンの生成促進機能を有し、特に、CSPGを選択的に生成促進させる、軟骨疾患の予防または治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プロテオグリカンのGAG鎖はウロン酸とアミノ糖の2糖を繰り返し単位とする特徴的な構造を持ち、GlcA-Gal-Gal-Xylという共通四糖を介して、コアタンパク質中のセリン残基に結合している。
【化1】

【0007】
そして、GAG鎖を構成する糖の違いによりCSPGおよびHSPGという二つのタイプに分類されることは上述の通りであるが、これら両タイプのPGの生合成分岐点にあたる共通四糖へのヘキソサミン転移メカニズムは未だ不明であった。
本発明者等は、共通四糖上の硫酸基の有無がCSPG/HSPGの仕分け制御に深く関与しているとの洞察から、当該硫酸エステル化が観測される水酸基をフッ素原子で置換した類縁体を合成した。そして、式(I)で表される化合物群が、CSPG伸張のイニシエーターとなることを見出し、更には軟骨細胞において実際にムコ多糖およびアグリカン量を増加させることを確認して本発明を完成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化合物は、プロテオグリカンの生成促進機能を有し、特にCSPGの生成を選択的に促進するので、変形性関節症その他の軟骨疾患の予防または治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は以下のものを提供する。
(1)式(I)
【化2】

【0010】
(式中、Xはハロゲン素原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは天然若しくは非天然のアミノ酸からなるペプチド残基を表す。)
で表される化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
(2)Xがフッ素原子または水酸基である、式(I)の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
(3)−ORがセリンおよび/またはトレオニン含有オリゴペプチドであって、−ORの酸素原子とセリンおよび/またはトレオニンが結合し、さらに該アミノ酸と三糖ユニットが結合した、式(I)の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【0011】
(4)−ORが下式
【化3】

(式中、FITCはアミノ基がフルオレッセインイソチオシアネートで蛍光標識化されていることを表す。)
で表されるグリシルセリン誘導体である、式(I)の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載された式(I)の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬。
(6)上記(1)から(4)のいずれかに記載された式(I)の糖鎖誘導体、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする変形性関節症の予防および/または治療薬。
【0012】
本発明のPG生成促進剤は、下式(I)
【化4】

(式中、Xはハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは天然若しくは非天然のアミノ酸からなるペプチド残基を表す。)
で表される、化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする。
【0013】
式(I)で表される化合物のすべての水酸基は、通常用いられる水酸基の保護基により保護されていても良い。好ましくは保護されていない水酸基である。
ここで、「アルキル」とは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜3までの直鎖状または分岐状のアルキルを包含し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニルおよびn−デシル等が例示される。
「置換されていてもよいアルキル」の置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アシル等が挙げられる。
「ハロゲン」とはF、Cl、Br、およびIを包含する。
【0014】
「アルコキシ」および「アルコキシカルボニル」のアルキル部分は前記「アルキル」と同意であって、いずれも、炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜3までの直鎖状または分岐状のアルキルを包含し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等が例示される。特に好ましくはメチルまたはエチルである。
「アシル」とは、炭素数1〜7の脂肪族アシルおよびアロイルを包含する。具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、アクリロイル、プロピオロイル、メタクリロイル、クロトノイルおよびベンゾイル等が例示される。
【0015】
「ヘテロアリール」とは、O、SおよびNから任意に選択されるヘテロ原子を環内に1個以上有する芳香族複素環式基を包含し、具体的にはピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリルおよびチエニル等の5〜6員環のヘテロアリール;インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンゾピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、ピラゾロピリジン、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、ナフチリジニル、ジヒドロベンゾフリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロベンズオキサジン、テトラヒドロベンゾチエニル等の2環の縮合複素環式基;カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル、イミダゾキノリル等の3環の縮合複素環式基を包含する。好ましくは5〜6員環のヘテロアリールである。
【0016】
「アリール」とは、炭素数6から16の単環性、二環性若しくは三環性の芳香族炭素環を示し、例えばフェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル等を包含し、特にフェニルが好ましい。
「置換されていてもよいアリール」および「置換されていてもよいヘテロアリール」の置換基は「置換されていてもよいアルキル」の場合と同様である。
「天然アミノ酸」は生物が普遍的に利用する20種類のL−α−アミノ酸を意味し、また「非天然アミノ酸」は天然アミノ酸の光学異性体(D-体)の他、天然アミノ酸に存在しない側鎖を有するL−体若しくはD−体のアミノ酸誘導体を包含する。天然アミノ酸の光学異性体(D-体)が好ましい。
「ペプチド残基」はこれら天然および/または非天然アミノ酸が1個から10個ペプチド結合でつながったオリゴペプチドを包含し、1個の天然または非天然アミノ酸を包含する。1個から6個のペプチドが好ましく、さらに1個から3個のペプチドが好ましい。また、このペプチド残基は、ペプチド合成のための保護基および/または当業者に一般的に使用される標識で適宜、修飾されていてもよい。
【0017】
製薬上許容される塩としては、酸付加塩の場合、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;例えばシュウ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;例えばメタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等を挙げることができる。また、塩基付加塩の場合、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルギニン、リシン等の塩基性アミノ酸塩等を挙げることができる。
化合物(I)は、水、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール等の溶媒和物であってもよい。又本発明化合物の溶媒和物の溶媒和数は通常、合成方法、精製方法または結晶化条件等によって変化し得るが、例えば、化合物1分子当り1〜5分子の範囲である。
【0018】
本発明化合物は以下のようにして製造できる。
1)三糖ユニットの合成スキーム
フッ素置換されたグリコシルドナーは、その電子求引性のため反応性が悪く、アノマー位活性化基としてイミデートを用いた時のみ反応が進行した。また、グリコシルアクセプターとして4,6−ベンジリデン化Galを用いた時には3位の水酸基の反応性が悪く反応が進行しなかったため、この水酸基の反応性を高める4,6−シリレン化Galをグリコシルアクセプターとして用いた時のみ反応が進行した。これらのことより、グリコシルドナーのアノマー位活性化基としてはイミデート、鍵フラグメントとなる真ん中のGalは4,6−シリレン化Galを用いる合成ルートを計画した。
【0019】
無置換体の三糖ユニット(41)は以下のスキームに従って合成される。
【化5】

【0020】
鍵化合物であるシリレン化ガラクトースアクセプター(17)に対し、フッ素置換されていない既知のガラクトシルドナー(18)を、それぞれグリコシル化して二糖ユニット(21)とした。シリレン基をHFで脱保護した後、そのままベンジル化して(24)とした。
二糖ユニット(24)のMP(p-メトキシフェニル)基を、後述の通りイミデート体に変換し、これと、既知化合物であるキシロシルアクセプター(36)とグリコシル化して、三糖ユニット(41)とした。この際、アノマー位の選択比は約α:β(1:5)(NMR比)となるが、β体のみフラッシュカラムクロマトグラフィーにより分離精製することができる。
【0021】
また、フッ素化三糖ユニット(40)の合成スキームは以下の通りである。
【化6】

上記三糖ユニット(41)の合成に準じて、フッ素化三糖ユニット(40)を合成できる。
【0022】
2)単糖誘導体の合成
4-Fフラグメント(13)の合成
【化7】

【0023】
反応条件;
a:p-メトキシフェノール, TMSOTf, MS4A, CH2Cl2
b:(1)NaOMe, MeOH, (2)PhCH(OMe)2, CSA, DMF, (3)Ac2O, ピリジン, 三工程で65%
c:NaBH3CN, 2N HCl/Et2O, MS4A, THF, 79%
d:(1)Tf2O, ピリジン, CH2Cl2,(2)TBAF, THF, 二工程で81%
e:(1)NaOMe, MeOH, (2)n-Bu2SnO, トルエン, それからCACl, ピリジン,(3)BzCl, ピリジン, DMAP, CH2Cl2, (4)Et3N, MeOH/CH2Cl2, 54%(1:1),
f:(1)Pd/C, H2, MeOH,(2)NaOMe, MeOH, (3)BzCl, ピリジン, DMAP, CH2Cl2,
g:(1)CAN, CH3CN:Tol: H2O (1.5:1:1), 2, CCl3CN, DBU
【0024】
市販の(6)から既知化合物(7)へと導いた。この(7)を脱Ac化、ベンジリデンアセタールで選択的に4,6-位を保護して、未精製のまま2,3-位をアセチル化して(8)とした。ベンジリデンアセタールをNaBH3CN、2N 塩酸で4位を選択的に開いて(9)とした。この4位水酸基に脱離基であるトリフレート(Tf)をかけた後、そのまま固体TBAFを加えてフッ素化し(10)とした。(10)のAc基を脱保護したものは、溶解性が悪く選択的保護基のかけわけが困難であったため、Snアセタールで2,3-位を保護した。この際、選択的に3位のみ活性化されるので、この部位をモノクロロアセチル基(CA)で保護した後、そのまま2位をBz基で保護した。その後モノクロロアセチル基を選択的に脱保護して(11)とした。
また、(10)を水素添加による6位ベンジル基を脱保護、NaOMeによる2,3-位Ac基の脱保護の後、そのままベンジル化して(12)とした。p−メトキシフェニル基(MP)をCANで脱保護した後、イミデート化して(13)とした。
【0025】
4,6-シリレン化ガラクトース(17)の合成
【化8】

反応条件
a:(1)NaOMe, MeOH, (2)n-Bu2SnO, トルエン,還流,その後臭化アリル、臭化テトラブチルアンモニウム、
b:(1)DTBP, 2, 6-ルチジン, (2)BzCl, ピリジン, DMAP、
c:[Ir(COD)(PMePh2)2PF6], H2, その後TsOH H2O
【0026】
市販の(14)から既知化合物(15)へと導いた後、4,6-位を選択的にシリレン化した。これをそのまま2位をベンジル化して(16)とした。(16)のアリル基を脱保護して、シリレン化ガラクトースアクセプター(17)とした。
3)化合物(I)の合成
こうして得られた三糖ユニットはそのまま脱保護すれば、Rがp-メトキシフェニルである本発明化合物(I)となる。
また、常法に従ってイミデート体に変換した後、HORとカップリングさせ、Bz基を脱保護すれば種々の化合物(I)に誘導することができる。
Rとしては、天然アミノ酸2個から4個のオリゴペプチドが好ましく、特にセリン若しくはスレオニンの側鎖OH基とカップリングさせたものが好ましい。また、そのCSPG生成促進作用を損なわない範囲で、標識化した誘導体が好適に利用される。
【0027】
本発明のPG生成促進剤は、例えば慢性関節リウマチや変形性関節症等の軟骨疾患の治療または予防に有効である。好ましくは鎮痛剤として経口または非経口投与用に処方され得る。
経口投与による場合、本剤は通常の製剤、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;またはシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形としても用いることができる。非経口投与による場合、水性または油性懸濁注射剤、点鼻液として用いることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、安定剤等を任意に用いることができる。
【0028】
本発明の製剤は、治療有効量の化合物を製薬上許容される担体または希釈剤とともに組み合わせる(例えば混合する)ことによって製造され、その場合、周知の、容易に入手できる成分を用いて既知の方法により製造される。
本発明の医薬組成物を製造する際、活性成分は担体と混合されるかまたは担体で希釈されるか、カプセル、サッシェー、紙、あるいは他の容器の形態をしている担体中に入れられる。担体が希釈剤として働く時、担体は媒体として働く固体、半固体、または液体の材料であり、それらは錠剤、丸剤、粉末剤、口中剤、エリキシル剤、懸濁剤、エマルジョン剤、溶液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(液体媒質中の固体)、軟膏にすることができ、例えば、10%までの活性化合物を含む。
【0029】
当業者には公知の適当な担体はいずれもこの製剤のために使用できる。このような製剤では担体は、固体、液体、または固体と液体の混合物である。例えば、静脈注射のために有効成分の化合物を4%デキストロース/0.5%クエン酸ナトリウム水溶液中に溶解する。固形の製剤は粉末、錠剤およびカプセルを包含する。固形担体は、香料、滑沢剤、溶解剤、懸濁剤、結合剤、錠剤崩壊剤、カプセル剤にする材料としても役立つ1またはそれ以上の物質である。経口投与のための錠剤は、トウモロコシデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、および/またはゼラチン、アカシアなどの結合剤、およびステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、滑石などの滑沢剤とともに炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムなどの適当な賦形剤を含む。
【0030】
粉末剤では担体は細かく粉砕された活性成分と混合された、細かく粉砕された固体である。錠剤では活性成分は、適当な比率で、必要な結合性を持った担体と混合されており、所望の形と大きさに固められている。粉末剤および錠剤は約1〜約99重量%の本発明の新規化合物である活性成分を含んでいる。適当な固形担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、ココアバターである。
【0031】
液体製剤は懸濁剤、エマルジョン剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。活性成分は、滅菌水、滅菌有機溶媒、または両者の混合物などの製薬上許容し得る担体中に溶解または懸濁することができる。活性成分はしばしば適切な有機溶媒、例えばプロピレングリコール水溶液中に溶解することができる。水性デンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液、または適切な油中に細かく砕いた活性成分を散布することによってその他の組成物を製造することもできる。
本発明における化合物の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態および疾患の種類によっても異なるが、通常、経口投与の場合、成人1日あたり約0.1mg〜7000mg、好ましくは、約0.5mg〜2000mgを、要すれば分割して投与すればよい。また、非経口投与の場合、成人1日あたり約0.1mg〜1000mg、好ましくは、約0.5mg〜500mgを投与する。
【実施例】
【0032】
本発明化合物の効果を下記の方法により試験した。
試験例1 CS/HS生成比の検証試験
アッセイはCHO−K1細胞で行った。まず、CHO−K1細胞を24ウェルプレート上にまき、これに合成したフッ素無置換体(Ia)(糖ペプチド(61))およびフッ素置換体(Ib)(糖ペプチド(60))(それぞれ30mMに調整)をそれぞれ10μLずつ加えた。これを37℃で48時間培養後、培養上清をフィルターろ過し、さらに上清をゲルろ過(Sephadex G-10)して脱塩等の簡易精製を行った。これを、ゲルろ過クロマトグラフィー(TSK-GEL SuperSW3000)により分析した。GAG鎖が伸長したかどうかは、イニシエーターがゲルろ過カラムの排除体積領域から溶離するかどうかを調べることにより判断した。
【0033】
続いて、この排除体積領域から溶出した分画をコンドロイチナーゼABCで酵素分解し、得られる生成物をHPLCで分析した。酵素分解の条件は次の通りである。
コンドロイチナーゼABC酵素 10 mU
0.4M トリス塩酸緩衝液、pH 8.0
0.4M 酢酸ナトリウム
0.1% BSA、37℃、12h
コンドロイチナーゼABCにより消化されなかったピーク(HS)およびCSの酵素消化生成物のピークの比からHS/CSを推定した(図1および図2参照)。
フッ素無置換体(Ia)は、GAG鎖が伸長し、CSの割合が多くなっている。それでもかなりのHS鎖が伸びているのは、Eskoらの報告によるとアグリコン芳香族の疎水性が増加するにつれHS生成比が上昇することから、(Ia)は巨大芳香族環であるFITCをラベル官能基として持っているためHSがある程度生成したものと推定される。尚、フッ素置換体(Ib)は伸長活性自体がそれほど高くなく、HSの比率も多少高くなっている。
【0034】
試験例2 軟骨生成促進試験
ヒト正常軟骨細胞(NHAC-kn)を滅菌マイクロチューブ(1.5ml)内で細胞増殖用培地(CGM培地)を用い3日間培養して細胞塊を形成させた後、超低接着プレート(コーニング社;24ウェル)に移して細胞分化用培地を用い培養した。各被験物質は終濃度1〜100 ng/mlになるように希釈して添加し、陰性対照としてはDMSO(基剤群)を、陽性対照としてはBMP-2(30, 100 ng/ml)を用いた。化合物を添加後37℃、0.5% CO2条件下で14日間培養を行った後、各ウェルの培養上清と細胞塊を回収した。細胞塊は超音波処理で破砕した後、遠心分離して溶解液を回収した。細胞塊溶解液および細胞上清に含有するムコ多糖量とアグリカン量を、酸性ムコ多糖定量キット(ホクドー、プライマリーセル社)およびヒトアグリカンELISAキット(バイオソース社)で定量した。
ムコ多糖産生量およびアグリカン産生量をそれぞれ図3および図4に示す。
NHAC-kn細胞を用いた3D培養系において、糖ペプチド(Ia)および(Ib)はいずれも100 ng/mlでのみムコ多糖およびアグリカン産生を有意に亢進させた。プロテオグリカンのイニシエーターとして作用に加えて、アグリカン産生系も活性化することが示唆された。
【0035】
参考例1
4-Fフラグメント(13)の合成
アセタール(8)の合成
【化9】

市販の(6)を既知化合物(7)へと導いた後、MeOHに懸濁させた。これにNaOMeを入れ1時間攪拌した後、DOWEX 50W×8[H+]を加えて反応を止めた。ろ過、濃縮後、これをDMFに溶かした。この溶液にベンズアルデヒドジメチルアセタール、CSAを加え80℃で3時間攪拌した。トルエン共沸して溶媒を飛ばし、そのままピリジンに溶かした。0℃に冷却して無水酢酸をゆっくりと加え、室温で12時間攪拌した。溶液を濃縮後EtOAcに溶かして、有機層を水、飽和重曹水、ブラインで洗浄後、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、(8)を得た。
(8) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 7.47-7.10(5H, Ph), 6.97(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.85(2H, d, J=9.0Hz, MP), 5.55(1H, s, PhCH), 5.41(1H, t, J=7.8Hz, H3), 5.27(1H, t, J=7.8Hz, H2), 5.08(1H, d, J=7.8Hz, H1), 4.42(1H, dd, J=10.3, 5.0Hz, H6), 3.87(1H, t, J=10.3Hz, H6), 3.83(1H, dd, J=9.6, 7.8Hz, H4), 3.82(3H, s, OMe), 3.64(1H, ddd, J=10.3, 9.6, 5.0Hz, H5), 2.10(6H, Ac).
【0036】
フッ素体(10)の合成
【化10】

(8)をTHFに溶かした後、この溶液を0℃に冷却し、MS4A、NaBH3CNを加えて10分間攪拌した。この溶液にpHチェックしながら酸性になるまで2HCl/Et2O溶液を加え、室温に昇温し3時間攪拌した。セライトでMS4Aをろ過した後、有機層を飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し(9)を得た。
(9) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 7.35-7.26(5H, Ph), 6.95(2H, d, J=3.8Hz, MP), 6.78(2H, d, J=3.8Hz, MP), 5.16(1H, dd, J=9.6, 7.8Hz, H2), 5.11(1H, t, J=9.6Hz, H3), 4.93(1H, d, J=7.8Hz, H1), 4.60(1H, d, J=11.9Hz, Bn), 4.56(1H, d, J=11.9Hz, Bn), 3.83-3.77(3H, m, H4, H6, H6), 3.63(1H, m, H5), 2.10(3H, s, Ac), 2.06(3H, s, Ac).
次いで、(9)をCH2Cl2にとかした後、−15℃に冷却しピリジン、Tf2Oを加えた。1時間攪拌した後TBAFを加え室温に昇温後、さらに12時間攪拌した。有機層を水、飽和重曹水、ブラインで洗浄後、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(10)を得た。
(10) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 7.38-7.28(5H, Bn), 6.99(2H, d, J=9.6Hz, MP), 6.82(2H, d, J=9.6Hz, MP), 5.53(1H, dd, J=10.1, 8.3Hz, H2), 5.06(1H, ddd, J=26.4, 10.1, 2.2Hz, H3), 4.97(1H, dd, J=49.9, 2.2Hz, H4), 4.96(1H, d, J=8.3Hz, H1), 4.59(2H, s, Bn), 3.88(1H, td, J=26.4, 6.6Hz, H5), 3.81-3.74(5H, m, H6, H6, OMe), 2.07(6H, Ac).
【0037】
4-Fフラグメント(13)の合成
【化11】

(10)をMeOHに溶かし、Pd炭素を加え水素雰囲気下で3時間攪拌した。セライトろ過、濃縮後MeOHに溶かしNaOMeを加え1時間攪拌した。DOWEX 50W×8[H+]を加えて反応をとめた後、ろ過、濃縮した。これをCH2Cl2に溶かし、ピリジン、BzCl、DMAPを加えて12時間攪拌した。水を加えて反応をとめた後、1N HCl、飽和重曹水、ブラインで洗浄しMgSO4乾燥した。ろ過、濃縮後フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、(12)を得た。
(12) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.15-7.39(15H, Ph), 6.98(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.71(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.05(1H, dd, J=9.4, 8.0Hz, H2), 5.49(1H, dd, J=26.9, 9.4Hz, H3), 5.21(1H, d, J=52.0Hz, H4), 5.21(1H, d, J=8.0Hz, H1), 4.75(1H, dd, J=11.4, 7.4Hz, H6), 4.69(1H, dd, J=11.4, 5.8Hz, H6), 4.27(1H, ddd, J=25.8, 7.4, 5.8Hz, H5), 3.73(3H, s, OMe).
【0038】
次に、(12)をトルエン:CH3CN:水=1.5:1:1に溶かし、CANを加え1時間攪拌した。有機層を水、飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後フラッシュカラムクロマトグラフィーで簡易精製した。不純物が混ざるため、この粗生成物をそのまま次の反応に用いた。粗生成物をCH2Cl2に溶かした後、0℃に冷却しCCl3CN、DBUを加え1時間攪拌した。これをそのまま濃縮しフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(13)を得た。
(13) : 1H-NMR (600MHz, CDCl3, δ) 8.65(1H, s, NH), 8.06-7.17(15H, Ph), 6.84(1H, d, J=3.5Hz, H1), 5.96(1H, dd, J=10.4, 3.8Hz, H2), 5.88(1H, ddd, J=28.6, 10.4, 2.3Hz, H3), 5.31(1H, dd, J=52.4, 2.3Hz, H4), 4.69-4.60(3H, m, H5, H6, H6).
【0039】
参考例2
シリレン化Gal(17)の合成
【化12】

市販の(14)から既知化合物(15)へ文献に従い導いた。(15)をCH2Cl2に溶かし、t-Bu2Si(OTf)2、ピリジンを加え3時間攪拌した。有機層を飽和重曹水、ブラインで洗浄後、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後、この粗生成物をCH2Cl2に溶かし、ピリジン、BzCl、DMAPを入れ、60℃で5時間攪拌した。水を加えて反応をとめた後、有機層を飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、(16)を得た。
(16) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.19-7.46(5H, Ph), 6.94(2H, d, J=8.4Hz, MP), 6.76(2H, d, J=8.4Hz, MP), 5.85(1H, m, H8), 5.83(1H, dd, J=10.1, 8.0Hz, H2), 5.26(1H, dd, J=17.3, 1.5Hz, H9), 5.12(1H, dd, J=10.3, 1.5Hz, H9), 5.01(1H, d, J=8.0Hz, H1), 4.64(1H, d, J=2.7Hz, H4), 4.33(1H, m, H6, H6), 4.22(1H, dd, J=13.3, 5.2Hz, H7), 4.12(1H, dd, J=13.3, 5.9Hz, H7), 3.74(3H, s, OMe), 3.66(1H, dd, J=10.1, 2.7Hz, H3), 3.53(1H, m, H5), 1.11(9H, s, t-Bu), 1.03(9H, s, t-Bu).
【0040】
次いで、Ir触媒をTHFに溶かし、水素雰囲気下で2時間攪拌した。フラスコ内を窒素置換した後、THFに溶かした(16)を加え室温で2時間攪拌した。TLCでアリル基の異性化を確かめた後、TsOH・H2Oを加えて1時間攪拌した。有機層を飽和重曹水、ブラインで洗浄後、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュクロマトグラフィーで精製し、(17)を得た。
(17) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.03-7.43(5H, Ph), 6.93(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.76(2H, d, J=9.0Hz, MP), 5.59(1H, dd, J=9.6, 8.4Hz, H2), 4.97(1H, d, J=8.4Hz, H1), 4.49(1H, d, J=3.0Hz, H4), 4.34(1H, dd, J=12.4, 2.0Hz, H6), 4.30(1H, dd, J=12.4, 1.2Hz, H6), 3.78(1H, td, J=9.6, 3.0Hz, H3), 3.74(3H, s, OMe), 3.58(1H, m, H5), 2.78(1H, d, J=9.6Hz, OH), 1.14(9H, s, t-Bu), 1.08(9H, s, t-Bu).
【0041】
参考例3
二糖ユニットの合成
【化13】

フッ素置換二糖ユニット(24)の合成
グリコシルドナー(13)、グリコシルアクセプター(17)、MSAW300をCH2Cl2/CH3CN(1:1)に溶かし、窒素雰囲気下、室温で30分攪拌した。0℃に冷却した後、CH2Cl2に溶かしたTMSOTfをゆっくりと加え1時間攪拌した。この溶液に飽和重曹水を加えて反応をとめた後、セライトろ過し、有機層をブラインで洗浄した。MgSO4で乾燥後、ろ過、濃縮してフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(20)を得た。
(20) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.06-7.07(20H, Ph), 6.83(2H, d, J=8.8Hz, MP), 6.71(2H, d, J=8.8Hz, MP), 5.81(1H, dd, J=10.5, 7.9Hz, H2’), 5.77(1H, dd, J=8.3, 7.9Hz, H2), 5.26(1H, dd, J=27.0, 10.5Hz, H3’), 5.09(1H, d, J=38.5Hz, H4’), 5.08(1H, d, J=7.9Hz, H1'), 4.87(1H, d, J=7.9Hz, H1), 4.78(1H, s, H4), 4.69(1H, dd, J=11.2, 7.1Hz, H6'), 4.51(1H, dd, J=11.2, 6.3Hz, H6'), 4.22(1H, d, J=12.1 Hz, H6), 4.16(1H, d, J=12.1Hz, H6), 4.09(1H, ddd, J=25.8, 7.1, 6.3Hz, H5'), 3.98(1H, d, J=8.3Hz, H3), 3.73(3H, s, OMe), 3.42(1H, s, H5).
【0042】
次に(20)をTHFに溶かし0℃に冷却した後、(HF)xピリジン(7.0ml, 9.0mmol)を加え6時間攪拌した。飽和重曹水を加えて反応をとめた後、EtOAcで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥後、ろ過、濃縮した。これをそのままCH2Cl2に溶かし、ピリジン(5ml, 2.95mmol)、BzCl(8.7ml, 1.0mmol)、DMAP(触媒量)を入れ、60℃で5時間攪拌した。水を加えて反応をとめた後、有機層を飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、(23)を得た。
(23) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 5.25-7.16(30H, m, Ph), 6.88(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.56(2H, d, 9.0Hz, MP), 5.95(1H, d, J=3.2Hz, H4), 5.85(1H, dd, J=9.5, 8.0Hz, H2), 5.62(1H, dd, J=10.3, 8.0, H2’), 5.20(1H, ddd, J=27.0, 10.5, 2.4Hz, H3’), 5.04(1H, dd, J=50.3, 2.4Hz, H4'), 5.00(1H, d, J=8.0Hz, H1), 4.98(1H, d, J=8.0Hz, H1'), 4.71(1H, ddd, J=11.3, 6.4, H6'), 4.64(1H, dd, J=11.8, 4.2Hz, H6), 4.50(1H, dd, J=11.8, 8.3Hz, H6), 4.47(1H, dd, J=11.3, 7.0Hz, H6'), 4.38(1H, dd, J=9.5, 3.2Hz, H3), 4.21(1H, m, H5), 4.08(1H, m, H5').
【0043】
無置換二糖ユニット(24)の合成
同様に既知化合物であるグリコシルドナー18、グリコシルアクセプター17、MSAW300をCH2Cl2/CH3CN(1:1)に溶かし、窒素雰囲気下、室温で30分攪拌した。0℃に冷却した後、CH2Cl2に溶かしたTMSOTfをゆっくりと加え1時間攪拌した。この溶液に飽和重曹水を加えて反応をとめた後、セライトろ過し、有機層をブラインで洗浄した。MgSO4で乾燥後、ろ過、濃縮してフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(21)を得た。
(21) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.09-7.01(25H, Ph), 6.83(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.71(2H, d, J=9.0Hz, MP), 5.95(1H, d, J=3.2Hz, H4’), 5.85(1H, dd, J=10.3, 7.9Hz, H2’), 5.78(1H, dd, J=9.7, 7.9Hz, H2), 5.51(1H, dd, J=10.3, 3.2Hz, H3’), 5.14(1H, d, J=7.9Hz, H1'), 4.88(1H, d, J=7.9 Hz, H1), 4.88(1H, s, H4), 4.68(1H, dd, J=11.1, 7.1Hz, H6'), 4.37(1H, dd, J=11.1, 5.9Hz, H6'), 4.33(1H, dd, J=7.1, 5.9Hz, H5'), 4.21(1H, d, J=12.1Hz, H6), 4.10(1H, d, J=12.1, H6), 3.95(1H, d, J=9.7Hz, H3), 3.40(1H, s, H5), 1.11(9H, t-Bu×2).
【0044】
(21)をTHFに溶かし0℃に冷却した後、(HF)x・ピリジン(7.0ml, 9.0mmol)を加え6時間攪拌した。飽和重曹水を加えて反応をとめた後、EtOAcで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥後、ろ過、濃縮した。これをそのままCH2Cl2に溶かし、ピリジン(5ml, 2.95mmol)、BzCl(8.7ml, 1.0mmol)、DMAP(触媒量)を入れ、60℃で5時間攪拌した。水を加えて反応をとめた後、有機層を飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4乾燥した。ろ過、濃縮後、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、(24)を得た。
(24) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.24-7.07(35H, Ph), 6.82(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.55(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.02(1H, d, J=3.6Hz, H4), 5.87(1H, d, J=3.4Hz, H4’), 5.84(1H, dd, J=9.6Hz, 7.9Hz, H2), 5.60(1H, dd, J=10.4, 7.8Hz, H2’), 5.40(1H, dd, J=10.4, 3.4Hz, H3'), 5.02(1H, d, J=7.8Hz, H1'), 4.98(1H, d, J=7.9Hz, H1), 4.71(1H, dd, J=11.2, 6.2Hz, H6'), 4.61(1H, dd, J=11.8, 4.1Hz, H6), 4.50(1H, dd, J=11.8, 8.3Hz, H6), 4.34-4.30(2H, m, H6', H3), 4.27(1H, t, J=6.2Hz, H5'), 4.18(1H, dd, J=8.3, 4.1Hz, H5), 3.66(1H, s, OMe).
【0045】
参考例4
ジペプチドの合成
【化14】

市販のZ−グリシン(28)とセリンベンジルエステル(29)をCH2Cl2に溶かし、DPPA、Et3N、およびDMAPを加え、3時間攪拌した。有機層を5%クエン酸水溶液、飽和重曹水、ブラインで洗浄後、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後、EtOAcから結晶化しZ-Gly-Ser(OH)-OBn (30)を得た。
【0046】
実施例1
p-メトキシフェノール体の合成
【化15】

(23)をトルエン:CH3CN:水=1.5:1:1に溶かし、CANを加え1時間攪拌した。有機層を水、飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後フラッシュカラムクロマトグラフィーで簡易精製した。不純物が混ざるため、この粗生成物をそのまま次の反応に用いた。粗生成物をCH2Cl2に溶かした後、0℃に冷却しCCl3CN、DBUを加え1時間攪拌した。これをそのまま濃縮しフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(34)を得た。また、(24)も同様の条件で反応を行い、(35)を得た。
【0047】
(34) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.50(1H, s, H1), 8.14-7.02(30H, Ph), 6.74(1H, d, J=3.6Hz, H1), 6.10(1H, d, J=3.2Hz, H4), 5.74(1H, dd, J=10.3, 3.6Hz, H2), 5.62(1H, dd, J=10.3, 7.8Hz, H2’), 5.26(1H, ddd, J=26.9, 10.3, 2.5Hz, H3’), 5.09(1H, d, J=7.8Hz, H1’), 5.06(1H, dd, J=50.0, 2.5Hz, H4'), 4.77(1H, dd, J=11.3, 6.6Hz, H6'), 4.65-4.62(2H, m, H3, H5'), 4.56(1H, dd, J=11.3, 6.6Hz, H6'), 4.48(1H, ddd, J=44.6, 11.8, 7.6Hz, H6), 4.48(1H, ddd, J=44.6, 11.8, 4.4Hz, H6), 4.20(1H, ddd, J=26.0, 7.6, 4.4Hz, H5).
(35) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.51(1H, s, H1), 8.16-7.07(35H, Ph), 6.75(1H, d, J=3.6 Hz, H1), 6.10(1H, d, J=3.2Hz, H4), 5.90(1H, d, J=3.4Hz, H4’), 5.74(1H, dd, J=10.3, 3.6Hz, H2), 5.62(1H, dd, J=10.3, 7.9Hz, H2’), 5.09(1H, d, J=7.9Hz, H1’), 5.55(1H, dd, J=10.3, 3.4Hz, H3'), 5.02(1H, d, J=7.8Hz, H1'), 4.71(1H, dd, J=11.2, 6.2Hz, H6'), 4.61(1H, dd, J=12.0, 4.0Hz, H6), 4.44(1H, dd, J=12.0, 8.3Hz, H6), 4.34-4.30(2H, m, H6', H3), 4.35(1H, t, J=6.2Hz, H5'), 4.20(1H, dd, J=8.3, 4.0Hz, H5).
【0048】
次に、グリコシルドナー(34)、既知化合物であるグリコシルアクセプター36、MSAW300をCH2Cl2/CH3CN(1:1)に溶かし、窒素雰囲気下、室温で30分攪拌した。0℃に冷却した後、CH2Cl2に溶かしたTMSOTfをゆっくりと加え1時間攪拌した。この溶液に飽和重曹水を加えて反応をとめた後、セライトろ過し、有機層をブラインで洗浄した。MgSO4で乾燥後、ろ過、濃縮してフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(40)を得た。また、(35)も同様の条件で反応を行い、(41)を得た。
(40) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.05-7.16(40H, Ph), 6.86(2H, d, J=9.0Hz, MP), 6.73(2H, d, J=9.0Hz, MP), 5.75(1H, d, J=3.2Hz, H4), 5.64(1H, t, J=6.2 Hz, H3), 5.55(2H, m, H2’, H2’’), 5.37(1H, dd, J=6.2, 4.7Hz, H1), 5.13(1H, ddd, J=27.0, 10.5, 2.2Hz, H4’’), 4.87(1H, d, J=7.9Hz, H1''), 4.77(1H, d, 8.0Hz, H1'), 4.63(1H, dd, J=11.3, 6.2Hz, H6''), 4.43(1H, dd, J=11.3, 7.0Hz, H6''), 4.25(1H, dd, J=10.5, 3.2Hz, H3'), 4.17(1H, dd, J=11.6, 4.7Hz, H6'), 4.12-3.97(3H, m, H5, H5'', H6'), 3.91(1H, dd, J=10.4, 6.4Hz, H4), 3.73(1H, dd, J=11.6, 7.8Hz, H5'), 3.71(3H, s, OMe), 3.36(1H, dd, J=12.5, 6.4Hz, H5).
(41) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.10-7.09(45H, Ph), 6.89(2H, d, J=9.1Hz, MP), 6.76(2H, d, J=9.1Hz, MP) 5.88(1H, d, J=3.2Hz, H4’), 5.87(1H, d, J=3.0Hz, H4), 5.68-5.56(2H, m, H2’’, H2’), 5.41-5.38(2H, m, H3’’, H2), 5.20(1H, d, J=4.9Hz, H1), 4.97(1H, d, J=7.7Hz, H1''), 4.81(1H, d, J=8.0Hz, H1'), 4.68(1H, dd, J=11.2, 6.3Hz, H6'), 4.32-4.24(3H, m, H3, H5', H6'), 4.20(1H, dd, J=11.6, 4.6Hz, H6''), 4.05(1H, m, H6''), 4.01(1H, dd, J=12.4, 3.9Hz, H5), 3.97(1H, m, H4), 3.77(1H, m, H5''), 3.76(3H, s, OMe), 3.40(1H, dd, J=12.4, 6.4Hz, H5).
【0049】
実施例2
糖ペプチドの合成(1)
【化16】

(40)をトルエン:CH3CN:水=1.5:1:1に溶かし、CANを加え1時間攪拌した。有機層を水、飽和重曹水、ブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。ろ過、濃縮後フラッシュカラムクロマトグラフィーで簡易精製した。不純物が混ざるため、この粗生成物をそのまま次の反応に用いた。粗生成物をCH2Cl2に溶かした後、0℃に冷却しCCl3CN、DBUを加え1時間攪拌した。これをそのまま濃縮しフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(45)を得た。また、(41)も同様の条件で反応を行い、(46)を得た。
【0050】
(45) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.47(1H, s, NH), 8.05-7.09(40H, Ph), 6.52(1H, d, J=3.6Hz, H1), 5.88(1H, t, J=9.7 Hz, H3), 5.78(1H, d, J=3.1Hz, H4’), 5.53(1H, dd, J=10.4, 7.9Hz, H2’’), 5.44(1H, dd, J=9.9, 8.0Hz, H2’), 5.31(1H, dd, J=9.7, 3.6Hz, H2), 5.12(1H, ddd, J=27.1, 10.4, 2.6Hz, H3''), 4.97(1H, dd, J=50.1, 2.6Hz, H4''), 4.84(1H, d, J=7.9 Hz, H1''), 4.68(1H, d, J=8.0 Hz, H1'), 4.64(1H, dd, J=11.3, 6.2Hz, H6''), 4.45(1H, dd, J=11.3, 7.2Hz, H6''), 4.25(1H, dd, J=9.9, 3.1Hz, H3'), 4.13(1H, m, H4), 4.10-3.93(2H, m, H5'', H6'), 3.88(1H, t, J=6.2 Hz, H5'), 3.82(1H, dd, J=11.2, 6.2Hz, H6'), 3.71(1H, dd, J=11.3, 5.8Hz, H5), 3.62(1H, t, J=11.3Hz, H5).
グリコシルドナー(45)、ペプチドアクセプター30、MSAW300をCH2Cl2/CH3CN(1:1)に溶かし、窒素雰囲気下、室温で30分攪拌した。0℃に冷却した後、CH2Cl2に溶かしたTMSOTfをゆっくりと加え1時間攪拌した。この溶液に飽和重曹水を加えて反応をとめた後、セライトろ過し、有機層をブラインで洗浄した。MgSO4で乾燥後、ろ過、濃縮してフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、(50)を得た。また(46)も同様の条件で反応を行い、(51)を得た。
【0051】
(50) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.05-7.16(50H, Ph), 6.56(1H, d, J=7.4Hz, NH), 5.74(1H, d, J=3.6 Hz, H4’), 5.53(1H, dd, J=10.2, 7.8Hz, H2’), 5.53-5.49(2H, m, H3, H2’’), 5.24(1H, m, NH), 5.15(1H, ddd, J=26.9, 10.4, 2.7Hz, H3’’), 5.09(2H, d, J=12.6Hz, Bn×2), 5.04(1H, dd, J=6.0, 4.9Hz, H2), 4.98(2H, d, J=12.6 Hz, Bn×2), 4.97(1H, dd, J=50.4, 2.7Hz, H4''), 4.86(1H, d, J=7.8 Hz, H1''), 4.73(1H, d, J=7.8Hz, H1'), 4.71(1H, m, Ser-α-H), 4.63(1H, dd, J=11.4, 6.6Hz, H6''), 4.51(1H, m, H1), 4.43(1H, dd, J=11.4, 7.2Hz, H6''), 4.25(1H, dd, J=10.2, 3.6Hz, H3'), 4.13(1H, m, H6'), 4.01-3.96(2H, m, H6', H5''), 3.75-3.70(5H, m, H5', Gly-α-H×2, Ser-β-H×2), 3.65(1H, m, H4), 3.55(1H, dd, J=12.2, 3.4Hz, H5), 3.08(1H, m, H5).
(51) : 1H-NMR(600MHz, CDCl3, δ) 8.16-7.05(50H, Ph), 6.72(1H, m, NH), 5.88(2H, s, H4’, H4’’), 5.60-5.55(3H, m, H2’, H2’’, H3), 5.41(1H, dd, J=10.5, 3.2Hz, H3’’), 5.20-4.78(4H, Bn×4), 5.08(1H, m, H2), 4.79(1H, d, J=8.0Hz, H1’), 4.73(1H, m, Ser-α-H), 4.68(1H, dd, J=11.0, 6.1Hz, H6''), 4.57(1H, brs, H1), 4.32-4.25(4H, m, H3', H6', H5'', H6''), 4.15(1H, m, H6'), 4.06(1H, m, H5'), 3.77-3.74(4H, m, Gly-α-H×2, Ser-β-H×2), 3.69(1H, m, H4), 3.55(1H, m, H5), 3.09 (1H, m, H5).
【0052】
実施例3
糖ペプチドの合成(2)
【化17】

(50)をMeOHに溶かし、Pdカーボンを加え水素雰囲気下で3時間攪拌した。セライトろ過、濃縮後MeOHに溶かしNaOMeを加え1時間攪拌した。DOWEX 50W×8[H+]を加えて反応をとめた後、ろ過してファルコンチューブにうつした。これにMeOHの10倍量のEt2Oを加えて生成物を析出させ、遠心分離(3500rpm, 10分間)し上澄みを取り除いた。沈殿物をゲルろ過クロマトグラフィー(Sephadex G-10)により精製し、(55)を得た。また、(51)も同様の条件で反応を行い、(56)を得た。
【0053】
(55) : 1H-NMR (600MHz, CDCl3, δ) 4.68(1H, d, J=50.0Hz, H4’’), 4.57(1H, d, J=7.4 Hz, H1’’), 4.35(1H, d, J=7.4Hz, H1’), 4.29(1H, brs, Ser-α-H), 4.25(1H, d, J=7.3Hz, H1), 4.08(1H, m, Ser-β-H), 4.02(1H, s, H4’), 3.95(1H, m, H5), 3.78-3.41(15H, m), 3.28-3.15(2H, m, H2, H5).
(56) : 1H-NMR (600MHz, CDCl3, δ) 4.47(1H, d, J=7.4Hz, H1’’), 4.38(1H, d, J=7.3Hz, H1’), 4.32(1H, brs, Ser-α-H), 4.29(1H, d, J=7.2Hz, H1), 4.05(1H, d, J=3.2Hz, H4’), 4.04 (1H, m, Ser-β-H), 3.94(1H, dd, J=11.8, 5.3Hz, H5), 3.76(1H, d, J=3.2Hz, H4’’), 3.71-3.42(15H, m), 3.28-3.15(2H, m, H2, H5).
(55)をDMFに縣濁させ、FITC、飽和重曹水を加え室温で3時間攪拌した。この溶液をファルコンチューブに移してEtOH/Et2O(1:10)を加え、沈殿を析出させた。遠心分離(3500rpm, 10分間)し、上澄みを取り除いた後、沈殿物をゲルろ過クロマトグラフィー(Sephadex G-10)により精製し、(60)を得た。また、(56)も同様の条件で反応を行い、(61)を得た。生成物はMALDI-TOF MASSにより分子量を確認した。
質量分析の結果を図5に示す。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の化合物は、医薬、特に変形性関節症その他の軟骨疾患の予防または治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】糖ペプチドを添加してCHO-K1細胞の培養を行い、その上澄のゲル濾過クロマトグラフィーを示す。A1は、糖ペプチド(Ia)を添加した場合であり、溶出した分画をコンドロイチナーゼABCで消化した後のクロマトグラフィーがA2である。
【図2】糖ペプチドを添加してCHO-K1細胞の培養を行い、その上澄のゲル濾過クロマトグラフィーを示す。B1は糖ペプチド(Ib)を添加した場合であり、溶出した分画をコンドロイチナーゼABCで消化した後のクロマトグラフィーがB2である。
【図3】糖ペプチドを添加してヒト正常軟骨細胞を培養し、産生されたムコ多糖量を示すグラフである。
【図4】糖ペプチドを添加してヒト正常軟骨細胞を培養し、産生されたアグリカンを示すグラフである。
【図5】糖ペプチドIa(化合物61)および糖ペプチドIb(化合物60)の質量分析結果、および異なる水酸基にフッ素を有する糖ペプチドの質量分析スペクトルの比較結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)
【化1】

(式中、Xはハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたは天然若しくは非天然のアミノ酸からなるペプチド残基を表す。)
で表される化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
式(I)において、Xがフッ素原子または水酸基である請求項1記載の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
式(I)において、−ORが下式
【化2】

(式中、FITCはアミノ基がフルオレッセインイソチオシアネートで蛍光標識化されていることを表す。)
で表されるグリシルセリン誘導体である、請求項1または2に記載の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、医薬。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の化合物、その薬学上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を有効成分とする、変形性関節症治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−274955(P2009−274955A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227822(P2006−227822)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】