説明

変性α−シヌクレイン機能の治療のための組成物および方法

α−シヌクレイン機能障害および/または変更された脂質代謝によって特徴付けられる障害を治療するための組成物および方法が提供される。本発明は、α−シヌクレイン機能、リソソームの貯蔵および脂質代謝、特にスフィンゴ糖脂質代謝を調節する薬剤を用いることによって、α−シヌクレイン機能、脂質代謝およびリソソームの貯蔵を調節する方法を記載している。本発明は、疾患の治療のためにα−シヌクレインおよび脂質代謝を調節する方法を記載している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2008年11月14日に出願された米国仮特許出願第61/199,243号の利益を主張し、この出願は、本明細書において参照として援用される。
【背景技術】
【0002】
α−シヌクレイン病と脂質代謝疾患の間、例えば、パーキンソン病(PD)と非神経細胞障害の(1型)ゴーシェ病の間の臨床的および神経病理学的な関連が報告されている。α−シヌクレインは、パーキンソン病および一般にα−シヌクレイン病と称される、いくつかの他の神経細胞疾患において調節不全となる。α−シヌクレインの正常よりも高い発現レベルによって、ヒトにおいて神経変性が引き起こされることが示されており(Singletonら、2003年、Chartier−Harlinら、2004年、Farrerら、2004年、Fuchsら、2007年)、α−シヌクレインレベルの変化は、in vitroおよびin vivo PDモデルにおける毒性に関連付けられる(Manning−Bogら 2002年;Vilaら 2001年;Shererら 2003年)。したがって、細胞の状態に応じて、α−シヌクレインの変更は、神経細胞機能障害、さらに変性の危険因子となり得る。ゴーシェ病(GD)は、正常な条件下で、グルコセレブロシド(GC)をグルコースおよびセラミドに加水分解するグルコセレブロシダーゼ(GCase)の欠損によって引き起こされる(Butters、2007年、Choyら、2007年、Guggenbuhlら、2008年、Hruskaら、2008年)。
【0003】
臨床報告によれば、レボドパへの反応がしばしば乏しい早期発生パーキンソン病(PD)の形態との1型ゴーシェ病の関連が示唆されている(Neudorferら、1996年、Machaczkaら、1999年、Tayebiら、2001年、Varkonyiら、2002年、Bembiら、2003年)。続いて、PDおよびPD様疾患(総称してパーキンソニズムと称される)と診断された患者の、GCase(GBA)をコードする遺伝子中の配列変異体についてのいくつかの遺伝子スクリーニングはまた、この関連を裏付けている(Tayebiら、2003年、Goker−Alpanら、2004年、Lwinら、2004年、Aharon−Peretzら、2005年、Clarkら、2005年、Satoら、2005年、Sidransky、2006年、Konoら、2007年)。これらの研究によると、いくつかのGBA突然変異は、PDの遺伝的危険因子となり得、GCaseの遺伝子におけるさらに小型の変異またはヘテロ接合体の変化は、変性の変化に対する神経細胞の脆弱性を増強し得る可能性を高め得ることが示唆されている。
【0004】
PDとゴーシェ病との関連についてのさらなる証拠は、ホモ接合のGBA突然変異を有するゴーシェ病被験体の神経病理学的試験から得られている。この試験は、(遺伝が確認された)1型ゴーシェ病、パーキンソニズムおよび認知症と診断された患者4名を報告した。封入体沈着(α−シヌクレイン病変−レビー小体様封入体)のパターンと異常なGCase免疫反応性の間の相関が明らかになった。
【0005】
最後に、実験研究は、α−シヌクレインがゴーシェ病とパーキンソニズムの生物学的関連をもたらし得るという考えを裏付けている。GC分解の欠損により、タンパク質クリアランスならびに脂質の異化作用のための細胞内部位であるリソソーム内に糖脂質の蓄積をもたらす。細胞内では、リソソームのクリアランス経路によって、少なくとも一部で、α−シヌクレイン代謝が起こり(Gosaviら、2002年、Leeら、2004年、Ravikumarら、2005年、Leeら、2008年)、リソソーム内では、α−シヌクレインは、スフィンゴ糖脂質(Schlossmacherら、2005年)およびリポフスチンを含めた脂質含有種に結合し、PD脳(Braakら、2001年)およびその疾患のマウスモデル(Meredithら、2002年)の両方で観察がなされた。変更されたα−シヌクレイン、リソソームの貯蔵およびクリアランス、ならびに脂質代謝に関連する状態および疾患を治療する治療薬および治療方法が必要である。本発明は、これらの必要性を満たす方法および組成物および方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、α−シヌクレイン機能、リソソームの貯蔵および脂質代謝、特にスフィンゴ糖脂質代謝を調節する薬剤を用いることによって、α−シヌクレイン機能、脂質代謝およびリソソームの貯蔵を調節する方法を記載している。
【0007】
本発明は、疾患の治療のためにα−シヌクレインおよび脂質代謝を調節する方法を記載している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本発明は、脂質代謝を変更する薬剤を投与することにより、α−シヌクレイン機能障害によって特徴付けられる状態を治療する方法を提供する。一実施形態では、状態は、パーキンソン病、認知症を併発したパーキンソン病、レビー小体認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異体、ハンチントン病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統萎縮症から選択される。一実施形態では、α−シヌクレイン機能障害は、アストロサイトにおいて生じる。別の実施形態では、α−シヌクレイン機能障害は、α−シヌクレイン細線維化、ユビキチン化、輸送、細胞内の区画化、シナプスターゲティング、リソソームの貯蔵、または脂質相互作用における機能障害によって特徴付けられる。別の実施形態では、脂質代謝は、MDR阻害薬の使用と共にセラミドレベルを低下させることによって変更される。関連する実施形態では、脂質代謝は、少なくとも1種のスフィンゴ糖脂質の沈着を減少させることまたはスフィンゴ糖脂質代謝を変更することによって変更される。具体的な実施形態では、スフィンゴ糖脂質はグルコセレブロシドである。関連する実施形態では、脂質代謝を変更する薬剤は、MDR阻害薬、グルコセレブロシダーゼ、およびHMG−CoA還元酵素阻害薬から選択される。一実施形態では、HMG−CoA還元酵素阻害薬は、スタチンである。別の実施形態では、薬剤は、MDR阻害薬であり、MDR阻害薬は、遊離の化合物の形態でまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩として、すぐ下に示される以下の式を有する式1a、1b、または2のイミダゾール誘導体および化合物から選択される。
【0009】
【化1】

【0010】
置換基R、R、R、およびRが、以下の(a)および(b)に記載されている通り定義される、遊離の化合物または薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩の形態の式1。
【0011】
(a)Rが、
(i)置換C1〜11アルキルまたは置換C2〜11アルケニル(置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシからなる群から選択される);または
(ii)一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜11アルキル[アリールはフェニル、フリル、チエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)フェニル、trans−2−フェニルエテニル、2−フェニルエチニル、2−フェニルエチル(前記フェニル基は、ヒドロキシ、ハロ、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシからなる群から選択されるメンバーで一置換または二置換される)、
(b)置換C1〜6アルキル、置換C2〜6アルキルオキシ、置換C2〜6アルキルチオ、置換C2〜6アルコキシカルボニル(置換基は、C1〜6アルコキシ、およびC1〜6アルキルチオからなる群から選択される);および
(c)C1〜11CO、C1〜11CONHR、trans−CH=CHCO、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、RはC1〜11アルキル、またはフェニルC1〜11アルキル、C1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシである)
からなる群から選択される]
からなる群から選択される場合、
およびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択される[置換基は、
(i)置換C1〜6アルキル、
(ii)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、
(iii)置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、
(iv)C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ、
(v)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
(置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルキルアルコキシ、C1〜6アルキルアミノ
(b)C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルケニルアミノ、または
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
から独立に選択される]、
または、RとRは一緒になってアリール基または置換アリールを形成し(置換基は、(i)〜(v)において上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(i)水素;
(ii)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に、水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルからなる群から選択される);
または
(iii)置換アリールC0〜11アルキル(アリール基がフェニル、イミダゾリル、フリル、チエニルから選択され、置換基がA(a〜c)から選択される)
からなる群から選択される;または
(b)Rが、
一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキル[アリールはフェニル、チエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)trans−2置換ベンズイミダゾリルエテニル、trans−2置換ベンズオキサゾリルエテニル、trans−2置換ベンズチアゾリルエテニル(置換基は、水素、ヒドロキシ、ハロ、トリハロメチル、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、C3〜6アルケニルアミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、C1〜4アルキルオキシ−C1〜4アルキルアミノ、置換C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシ、置換C1〜4アルキルオキシカルボニル、置換C1〜4アルキルアミノ、ジ(置換C1〜4アルキル)アミノ、置換C3〜6アルケニルアミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノからなる群から選択され、置換基は上記で定義される通りである)、
(b)trans−2−シアノエテニル、trans−2−アルキルスルホニルエテニル、trans−2−アルケニルスルホニルエテニル、trans−2置換アルキルスルホニルエテニル、trans−2置換アルケニルスルホニルエテニル(置換基は上記で定義される)、
(c)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜6アルコキシC2〜6アルキル、アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルチオC2〜6アルキルであり、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノモルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルからなる群から選択される)、
(d)C1〜6CONR、またはtrans−CH=CHCONR(式中、RおよびRは、独立にC1〜6アルキル、フェニルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシ、ヒドロキシC2〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC2〜6アルキル、アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルチオC2〜6アルキルからなる群から選択され、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルからなる群から選択される)、
(e)RC(O)C1〜6アルキル、RC(O)C2〜6アルケニル(Rは、上記[2(d)]の通り定義される)、
(f)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル(式中、RおよびRは上記[2(d)]の通り定義される)、
(g)R−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RNH−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RN−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RNH−C(O)−O−C0〜33〜6シクロアルカン−1−イル、RN−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RO−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、R−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RO−C(O)−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル(式中、Rは、上記[B(d)]の通り定義される)
からなる群から選択される]
からなる群から選択される場合、
およびRは、それぞれ独立に、
(1)水素、ハロ、トリハロメチル、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、置換C1〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、C1〜6アルキルアミノ、置換C1〜6アルキルアミノ、C3〜6アルケニルアミノ、置換C3〜6アルケニルアミノ、
(2)一置換、二置換、および三置換フェニル[置換基は、独立に、
(i)ハロ、トリフルオロメチル、置換C1〜6アルキル、
(ii)C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、
(iii)C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ、または
(iv)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、
(置換基は、
(a)水素、ヒドロキシ、ハロ、トリフルオロメチル、
(b)C1〜6アルキルアルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルチオ、
(c)C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルケニルアミノ、C3〜6アルケニルチオ、または
(d)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
から選択される]
からなる群から選択され;
ただし、RおよびR基の少なくとも1つは、[B(2)]から選択され、フェニルおよび置換基は、上記(ii)〜(v)から選択され;または、RおよびRは一緒になってフェニル、ピリジルなどのアリール基を形成し、アリールは、場合によっては置換されてもよく、置換基は(i)〜(iv)で上記の通り定義され;
さらに、Rは、
(a)水素;
(b)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に、
(i)水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニル;
(ii)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、
(iii)ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(iv)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、および4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);および
(a)アリールC0〜11アルキル(アリール基は、フェニル、イミダゾリル、フリル、チエニルから選択される)
からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の方法に使用される、遊離の化合物またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩の形態の、式1aの化合物を提供する。
【0013】
【化2】

【0014】
置換基R、R、R、およびRはAまたはBで定義される。
【0015】
(A)Rは、
(i)置換C1〜11アルキルまたは置換C2〜11アルケニル(置換基はヒドロキシおよびC1〜6アルキルオキシからなる群から選択される);および
(ii)一置換、二置換、または三置換アリール−C0〜11アルキル[アリールは、フェニル、フリル、およびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)フェニル、trans−2−フェニルエテニル、2−フェニルエチニル、または2−フェニルエチル(フェニル基は一置換または二置換され、置換基は、ヒドロキシ、ハロ、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシからなる群から選択される);
(b)置換C1〜6アルキル、置換C2〜6アルキルオキシ、置換C2〜6アルキルチオ、または置換C2〜6アルコキシカルボニル(置換基は、C1〜6アルコキシ、およびC1〜6アルキルチオからなる群から選択される);および
(c)C1〜11CO、C1〜11CONHR、trans−CH=CHCO、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜11アルキル、フェニルC1〜11アルキル、またはC1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシである)
からなる群から選択される]
からなる群から選択され;
およびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択され[置換基は、独立に、
(i)置換C1〜6アルキル;
(ii)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、または置換C3〜6アルケニルオキシ;
(iii)置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ;
(iv)C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(v)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
から選択され;
(i)、(ii)、(iii)、および(iv)の置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される];
または、RおよびRは一緒になってアリール基または置換アリールを形成し(置換基は、(i)〜(iv)で上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(i)水素;
(ii)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、およびC1〜6アルコキシカルボニルからなる群から選択される);および
(iii)置換アリールC0〜11アルキル(アリール基は、フェニル、イミダゾリル、フリル、およびチエニルから選択され、置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
からなる群から選択される;または
(B)Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択され[アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(i)trans−2置換ベンズイミダゾリルエテニル、trans−2置換ベンズオキサゾリルエテニル、またはtrans−2置換ベンズチアゾリルエテニル(置換基は、水素、ヒドロキシ、ハロ、トリハロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、C3〜6アルケニルアミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、C1〜4アルキルオキシ−C1〜4アルキルアミノ、置換C1〜4アルキル、置換C1〜4アルキルオキシ、置換C1〜4アルキルオキシカルボニル、置換C1〜4アルキルアミノ、ジ(置換C1〜4アルキル)アミノ、置換C3〜6アルケニルアミノ、およびジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ
からなる群から選択され、置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);
(ii)trans−2−シアノエテニル、trans−2−アルキルスルホニルエテニル、trans−2−アルケニルスルホニルエテニル、trans−2置換アルキルスルホニルエテニル、およびtrans−2置換アルケニルスルホニルエテニル(置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);
(iii)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜6アルコキシ−C2〜6アルキル、アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、または置換C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキルであり、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノモルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、およびチアゾリル
からなる群から選択される);
(iv)C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONR(式中、RおよびRは、独立にC1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシ、ヒドロキシ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ−C2〜6アルキル、アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキルからなる群から選択され、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、およびチアゾリルからなる群から選択される);
(v)R−C(O)−C1〜6アルキルまたはR−C(O)−C2〜6アルケニル(式中、Rは[B(iv)]で上記の通り定義される);
(vi)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル(式中、RおよびRは、[B(iv)]で上記の通り定義される);および
(vii)R−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RNH−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RN−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RNH−C(O)−O−C0〜33〜6シクロアルク−1−イル、RN−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RO−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、R−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RO−C(O)−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル(RおよびRは、[B(iv)]で上記の通り定義される)
からなる群から選択される];
およびRは、それぞれ独立に、
(viii)水素、ハロ、トリハロメチル、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、置換C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、C1〜6アルキルアミノ、置換C1〜6アルキルアミノ、C3〜6アルケニルアミノ、または置換C3〜6アルケニルアミノ;および
(ix)一置換、二置換、または三置換フェニル(置換基は、独立に、
(a)ハロ、トリフルオロメチル、または置換C1〜6アルキル;
(b)C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ;
(c)C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(d)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択され;(a)、(b)、(c)、および(d)についての置換基は、
(1)水素、ヒドロキシ、ハロ、またはトリフルオロメチル;
(2)C1〜6アルキルアルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、またはC1〜6アルキルチオ;
(3)C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルケニルアミノ、またはC3〜6アルケニルチオ;および
(4)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
からなる群から選択され;
ただし、a)RおよびRの少なくとも1種は、[B(ix)]から選択される(置換基は、上記の[B(ix)(b)〜(d)]から選択される);またはb)RおよびRは一緒になって、場合によっては置換アリール基を形成し(置換基は[B(ix)(a)〜(d)]で上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(i)水素;
(ii)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に、
(a)水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、またはC1〜6アルコキシカルボニル;
(b)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、または置換C3〜6アルケニルオキシ;
(c)ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(d)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);および
(iii)アリールC0〜11アルキル(アリール基は、フェニル、イミダゾリル、フリル、またはチエニルから選択される)
からなる群から選択される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、式1aの化合物は、Rが、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される化合物である(アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR
(b)C1〜6CONR、またはtrans−CH=CHCONR
(c)RC(O)C1〜6アルキルまたはRC(O)C2〜6アルケニル;および
(d)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル
からなる群から選択される)。
【0017】
他の実施形態では、式1aの化合物は、Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される化合物である(アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR
(b)C1〜6CONR、またはtrans−CH=CHCONR
(c)RC(O)C1〜6アルキルまたはRC(O)C2〜6アルケニル;および
(d)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル
からなる群から選択される)。
【0018】
本発明の様々な実施形態では、式1aの化合物は、Rが、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される化合物である(アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニルである)。
【0019】
他の実施形態では、Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される(アリール−C0〜6アルキルは、フェニル−C0〜6アルキルである)。いくつかの実施形態では、Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される(アリール−C0〜6アルキルは、アリール−Cアルキルであり、これはアリールに直接結合したアルキル基を有さないアリールである)。
【0020】
様々な実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択される(置換基は、独立に、
(i)C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、または置換C3〜6アルケニルオキシ;
(ii)C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ、および
(iii)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)。
【0021】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択される(置換基は、独立に、C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、およびジ(置換C3〜6アルケニル)アミノからなる群から選択される)。いくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0022】
いくつかの実施形態では、式1aの化合物は、式1bの化合物である。
【0023】
【化3】

【0024】
[式中、Rのそれぞれの場合は、独立に、C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノであり;
は、HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニルである]。
【0025】
いくつかの実施形態では、式1または1aの化合物(式1bまたは2の化合物など)は、遊離の化合物の形態でまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩としてであり、(2−[4−(3−エトキシ−1−プロペニル)フェニル]−−4,5−ビス(4−(2−プロピルアミノ)フェニル)−1H−イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)−5−−(4−N−メチルアミノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−メトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−ピロリジノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−ピロリジノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−(4−N−ジメチルアミノフェニル)−5−−(4−ピロリジノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル−]−4−(4−N−メチルアミノフェニル)−5−(4−ピロリジノ−フェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−N−モルホリノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−(4−N−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−N−モルホリノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−−1−イル)フェニル]−4−(4−N−メチルアミノフェニル)−5−(4−N−モルホリノフェニル)イミダゾール;および2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−4−N−メチルアミノフェニル)−5−(4−N−イソプロピルアミノフェニル)イミダゾールからなる群から選択される。
【0026】
式1または1aの化合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,700,826号および第5,840,721号に記載される通り特定の式となり得る。好ましい組成物および方法は、遊離の化合物の形態でまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩として、以下の式(式2)の化合物を含む。
【0027】
【化4】

【0028】
別の関連する実施形態では、薬剤は、MDR阻害薬であり、MDR阻害薬は、カルシウムチャネル遮断薬、カルモジュリン阻害薬、抗生物質(antibiotica)、心血管治療薬、アントラサイクリンおよびビンカアルカロイドの無細胞毒性の類似体、シクロスポリンA、FK−506、およびシクロペプチドの誘導体からなる群から選択される。
【0029】
第2の態様では、本発明は、α−シヌクレインを調節する薬剤を投与することにより変更された脂質代謝によって特徴付けられる状態を治療する方法を提供する。α−シヌクレインを調節することができる薬剤は、それだけには限らないが、表1に示されるものから選択することができる。いくつかの実施形態では、調節は、それだけには限らないが、変更された細線維化、折りたたみ、ユビキチン化、輸送、シナプスターゲティング、リソソームの貯蔵、発現、細胞内の区画化、および脂質相互作用を含むことができる。一実施形態では、変更された脂質代謝は、アストロサイトにおいてである。一実施形態では、変更された脂質代謝は、グルコセレブロシドの蓄積である。別の実施形態では、状態は、ゴーシェ病、ファブリー病、リソソーム蓄積症、脂質貯蔵病、糖タンパク質貯蔵病、ムコリピドーシス、ガングリオシドーシス、白質ジストロフィー、ムコ多糖症、ニーマン・ピック病、テイ・サックス病、ハンター症候群、ハーラー病、サンドホフ病および嚢胞性線維症からなる群から選択される。具体的な実施形態では、α−シヌクレイン機能障害を治す薬剤は、アポモルヒネ、ピロガロール、1,4−ナフトキノン、シスプラチン、イソプロテレノール、ピロガリン(pyrogallin)、シアニダノール、スルファサラジン、キナリザリン、ベンセラジド、ヘキサクロロフェン、ピルビニウムパモエート、ドブタミン、メチルドパ、クルクミン、塩化ベルベリン、ダイゼイン、メルブロミン、ノルエピネフリン、ドパミン塩酸塩、カルビドパ、エチルノルエピネフリン塩酸塩、タンニン酸、エライジホスホコリン(elaidyphosphocholine)、ヒドロキノン、クロロフィリドCu複合体Na塩、メチルドパ、イソプロテレノール塩酸塩、ベンセラジド塩酸塩、ドパミン、ドブタミン塩酸塩、甲状腺ホルモン、プルプリン、ナトリウムβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート、ランソプラゾール、ジクロニン塩酸塩、プラモキシン塩酸塩、アゾベンゼン、セファマンドールナトリウム、セファロリジン、ミリセチン、6,2’,3’−トリヒドロキシフラボン、5,7,3’,4’,5’−ペンタヒドロキシフラボン、7,3’,4’,5’−テトラヒドロキシフラボン、(5,6,7,4’−テトラヒドロキシフラボン)、バイカレイン、エリオジクチオール、7,3’,4’−トリヒドロキシイソフラボン、没食子酸エピガロカテキン、ケルセチン、ゴシペチン(3,5,7,8,3’,4’−ヘキサヒドロキシフラボン)、2’,3’−ジヒドロキシフラボン、3’,4’−ジヒドロキシフラボン、5,6−ジヒドロキシ−7−メトキシフラボン、バイカレイン−7−メチルエーテル、l−ドパ、DOPAC、ホモゲンチジン酸、6−ヒドロキシドパミン、エピネフリン、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3−トリヒドロキシ安息香酸、ガレート(没食子酸)、ベンゾキノン、カテコール、リファンピシン、ロスマリン酸、バイカリン、タンシノンIおよびII、エモジン、プロシアニジンB4、レスベラトロール、ルチン、フィセチン、ルテオリン、フスチン(fustin)、エピカテキンガレート、カテキン、アリザリン、タンニン酸、エリオジクチオール(eriodyctol)、カルボプラチン、プルプロガリン−4−カルボン酸、コパリン(koparin)、2,3,4−トリヒドロキシ−4’−エテキシベンゾフェノン、ベオミセス酸、ヘマトキシリン(hamtoxylin)、イリジノールヘキサアセテート(hexaaceatate)、4−アセトキシフェノール、テアフラビンモノガレート、テアフラビンジガレート、スチクト酸、プルプロガリン、2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメトキシ−4’−エトキシベンゾフェノン、プロメタジン塩酸塩、オキシドパミン塩酸塩、ピランテルパモ酸塩、エライジルホスホコリン(elaidylphosphocholine)、アムホテリシンB、没食子酸、フマルプロトセトラル酸、テアフラビン、ヘマトキシリンペンタアセテート、4−メトキシダルベルギオン、エピガロカテキン−3−モノガレート、ロリテトラサイクリン、7,3’−ジメトキシフラボン、リキリチゲニンジメチルエーテル、カテキンペンタアセテート、アピゲニン、3,4−デデスメチル−5−デスヒドロキシ−3’−エトキシスクレロイン(ethoxyscleroin)、それらの誘導体および類似体から選択される。
【0030】
参照による組込み
本明細書中で言及されたすべての特許公報、特許および特許出願は、それぞれ別個の特許公報、特許、または特許出願が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に示される場合と同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本発明の新規な特徴を、添付した特許請求の範囲における特殊性と共に明記する。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される。例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明および次の添付図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、SH−SY5Y細胞中のin vitroコンズリトールBエポキシド治療パラダイムを示す。
【図2】図2は、C57B1/6マウスにおけるin vivoコンズリトールBエポキシド投与パラダイムを示す。
【図3】図3は、神経芽細胞腫細胞中のα−シヌクレインを示す。(A)分化したSH−SY5Y細胞は、GCase阻害薬CBEの濃度を増加するために48時間曝露された。ウエスタンブロット分析では、50〜200μM CBE対ビヒクル治療細胞により治療された細胞中のα−シヌクレインのレベルの増加を示した。(B)α−シヌクレインmRNAの発現は、CBEの濃度を増加するために48時間曝露した、分化したSH−SY5Y細胞中でRT−PCRを用いて測定した。α−シヌクレイン転写の変化は検出されなかった。
【図4】図4は、腹側中脳中のα−シヌクレインを示す。C57BL/6マウスは、単一用量のCBEまたはDMSO200mg/kgを投与され、48時間で屠殺された。腹側中脳サンプルのウエスタンブロット分析では、CBE治療マウス対DMSO治療マウスのPl画分中のα−シヌクレインレベルの増加を示し、S1画分の変化はなかった。
【図5】図5は、マウスの脳中のα−シヌクレインを示す。C57BL/6マウスは、単一用量のCBEまたはDMSO200mg/kgを投与され、48時間で屠殺された。(A)免疫組織化学実験では、CBE治療マウス対ビヒクル治療マウスの黒質におけるGFAP(Cy3)およびα−シヌクレイン(FITC)のレベルの明らかな上昇を明らかにした。横棒=50μm。(B)タンパク質レベルの変更は、皮質において検出されなかった。横棒=20μm。
【図6】図6は、黒質の神経細胞およびグリアα−シヌクレインを示す。より高い倍率での分析は、細胞体内のα−シヌクレイン(FITC)の蓄積およびCBE治療マウス対ビヒクル治療マウスの黒質中のプロセスを明らかに実証している。グリアの活性化は、GFAP免疫組織化学(Cy3)実験によって示される通り、神経網内で頑健であり、α−シヌクレイン免疫反応性の共存は、CBE治療マウスのアストロサイト内で観察された(矢印)。ヘキスト(Hoescht)染色(DAPI)は、核を同定するために用いられた。横棒=20μm。
【図7】図7は、CBE対DMSOにより亜慢性的に治療した老齢マウスにおける黒質内のα−シヌクレイン発現の増加を示す。
【図8】図8は、CBE治療マウスから得られた黒質ニューロン中の銀もくの蓄積を示すが、DMSO治療マウスは蓄積を示さない。
【図9】図9は、α−シヌクレインの変更が、ゴーシェ突然変異を保持するパーキンソン病患者から得られた脳に存在することを示す。写真で示されるのは、Gau+/−脳から得られたサンプルのα−シヌクレインのウエスタンブロット分析である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、α−シヌクレイン機能、リソソームの貯蔵および脂質代謝、具体的には、スフィンゴ糖脂質代謝を調節する薬剤を用いることにより、α−シヌクレイン機能、脂質代謝およびリソソームの貯蔵を調節する方法を記載している。
【0034】
I.α−シヌクレイン−関連障害
シヌクレインは、α−、β−、およびγ−シヌクレインから構成される小型の、シナプス前神経細胞タンパク質のファミリーであり、その中でα−シヌクレイン凝集物がいくつかの神経疾患に関連しているに過ぎない(Ianら、Clinical Neurosc.Res.1巻:445〜455頁、2001年;Trojanowski and Lee、Neurotoxicology 23巻:457〜460頁、2002年)。いくつかの神経変性および/またはアミロイド病の病因におけるシヌクレイン(具体的には、α−シヌクレイン)の役割は、いくつかの観察から発展している。病理学的に、α−シヌクレインは、パーキンソン病の顕著な特徴である封入体である、レビー小体の主な成分として同定されており、その断片は、異なる神経疾患、アルツハイマー病のアミロイドプラークから単離された。生化学的に、組換え型α−シヌクレインは、患者から単離したα−シヌクレインの超微細構造的な特徴を再利用するアミロイド様原線維を形成することが示された。α−シヌクレイン関連疾患は、パーキンソン病、認知症を併発したパーキンソン病、レビー小体認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異体、ハンチントン病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統萎縮症を含めて、様々な神経障害の病因に関与している。異常なタンパク質凝集物は、多くの神経変性疾患の一般的な病的な特徴である。
【0035】
α−シヌクレインは、ゴーシェ病およびパーキンソン病などの疾患の間の生物学的関連となり得、本明細書に記載した本発明の基礎である。α−シヌクレイン疾患は、いくつかの神経変性疾患に共通している。遺伝子増殖は、重症のおよび速やかに進行するパーキンソニズムを引き起こす(Singletonら 2003年)。α−シヌクレインレベルの変化は、神経細胞の脆弱性の増大に関連する(Vilaら 2000年;Manning−Bogら 2002年;Shererら 2003年)。リソソーム分解は、細胞からのα−シヌクレインの主なクリアランス機序であり(Leeら 2004年);この経路および他の経路は、異常なグルコセレブロシダーゼによって影響を与えられる恐れがある(Hruskaら 2006年;Goker−Alpanら 2006年)。α−シヌクレインは、グルコセレブロシド含有脂質と直接相互作用する。このタンパク質は、ヒト由来グルコシルセラミドを強力に結合する(Schlossmacherら 2005年)。
【0036】
II.α−シヌクレインを調節するために有用な薬剤
α−シヌクレインを調節することができる薬剤は、それだけには限らないが表1に示したものから選択することができる。いくつかの実施形態では、調節は、それだけには限らないが、変更された細線維化、折りたたみ、ユビキチン化、輸送、シナプスターゲティング、リソソームの貯蔵、発現、細胞内の区画化、および脂質相互作用を含むことができる。
【0037】
【表1】

【0038】
III.脂質代謝および脂質貯蔵障害
a.スフィンゴ糖脂質代謝(GSL)およびリソソーム貯蔵障害
GSL代謝障害を治療する重要性は、スフィンゴ脂質が有する様々な重要な役割によって強調される。スフィンゴ脂質は、哺乳動物細胞中の膜脂質の遍在性の構成物である。スフィンゴ脂質は、膜マクロドメイン、いわゆる脂質ラフトの形成に要する因子として、膜輸送および細胞内シグナル伝達に関与する。生体膜の構成要素であることに加えて、スフィンゴ糖脂質は、細胞増殖(Hannun and Bell、Science、243巻:500〜507頁(1989年))分化(Schwarzら、J.Biol.Chem.270巻:10990〜10998頁(1995年);Harel and Futerman、J.Biol.Chem.268巻:14476〜14481頁(1993年))、発がん性の転換(Hakomori、Annu.Rev.Biochem.50巻:733〜764頁(1981年);Mortonら、Prog.Brain Res.101巻:251〜275頁(1994年))およびアポトーシスの発生の防止(Nakamuraら、J.Biol.Chem.271巻:1255〜1257頁(1996年))に関与するようである。
【0039】
スフィンゴ脂質の生合成プロセスは以下の通りである。すなわち、第1のステップは、L−セリンのパルミトイルCoAとの縮合反応である。反応は、3−ケトジヒドロスフィンゴシンを生成するためにセリンパルミトイルトランスフェラーゼによって触媒される。次いで、得られた3−ケトジヒドロスフィンゴシンは、ジヒドロスフィンゴシンに還元される。次いで、得られたジヒドロスフィンゴシンは、N−アシル化され、続いてセラミド(Cer)を生成するために不飽和化され得る。Cerを生成するためのこれらの反応は、通常、小胞体(ER)の細胞質ゾルの表面で起こる。次いで、Cerは、ゴルジ装置の内腔側に送達され、ホスファチジルコリン(PC)からCerへのホスホコリンの転移を触媒するSMシンターゼによりスフィンゴミエリン(SM)に転換されると考えられる。Cerはまた、グルコシルセラミド(GlcCer)に転換される。グルコシルセラミドは、グルコースをUDP−グルコースからセラミドに転移するグルコシルセラミドシンターゼ(GCS)によって生成される(Basuら、(1968年)J.Biol.Chem 243巻:5802〜5804頁)。生理的条件下のGlcCer形成の速度は、通常、UDP−グルコースの組織レベルに依存し、ある特定の組織中のグルコースのレベルに依存する(Zadorら、J.Clin.Invest. 91巻:797〜803頁(1993年))。内因性セラミドに基づくin vitroアッセイでは、通常、添加されたセラミドを含む混合物よりも合成率が低くなり、セラミドの組織レベルはまた、通常律速であることが示唆される(Brenkertら、Brain Res. 36巻:183〜193頁(1972年))。
【0040】
しかし、他の多くのGSLとは違って、GlcCerは、通常、ゴルジ二重層の外側のリーフレット上で生成される(Lannertら、J.Biol Chem 273巻:2939〜2946頁(1998年))。その結果、さらなる炭水化物伸張のためにグリコシルトランスフェラーゼによってアクセスされるGlcCerの場合、GlcCerは通常、ゴルジの内腔に転位置させるまたは「反転させる」ことが必要である。MDR1は、糖脂質フリッパーゼとして機能することができ、さらなる炭水化物伸張のためのGlcCerの内腔への転位置を担っているようである。MDR1転位置は、天然のGSL合成に特異的であるようである(DeRosaら、J.Biol. Chem.279巻:7867〜7876頁(2004年))。本発明の化合物は、MDR1の転位置またはフリッパーゼ機能を特異的に阻害することができる、あるいは中性のGSL合成、酸性のGSL合成、またはその両方を調節にするために特異的で有り得る。例えば、この化合物は、Gb3蓄積を阻害できるが、ガングリオシドを阻害することができず、他の化合物は、Gb3およびガングリオシドの両方の蓄積を阻害する。
【0041】
ほとんどのスフィンゴ糖脂質(GSL)は、グルコシルセラミド(GlcCer)に由来する。GSLは、アミノアルコールスフィンゴシンを含む糖脂質のサブタイプであり、セレブロシド、ガングリオシド、およびグロボシドを含む。セレブロシドは、動物および筋肉神経細胞の重要な構成物であり、ミエリンを含む。ガングリオシドは、1種または複数のシアル酸を有するGSLであり、よく知られるガングリオシドは、GD1a、GD1b、GD2、GD3、GM1、GM2、GM3、およびGT1bである。ガングリオシドは、原形質膜の成分であり、細胞シグナル伝達イベントを調節する。これらは、脂質ラフトにも存在している。グロボシドは、側鎖としてのN−アセチルガラクトサミンを有するGSLである。スフィンゴミエリンは、動物細胞膜中に存在し、シグナル伝達においてある役割を果たし得る。GSLの代謝における欠損は、異なる疾患を生じる恐れがあり、例えば、グルコセレブロシドの分解における欠損は、ゴーシェ病を引き起こす恐れがあり、ガラクトセレブロシドにおける欠損は、クラッベ病(Karbbe disease)を引き起こす恐れがある。ガングリオシドは、免疫学において重要であり、神経変性疾患に関与し得る。グロボシドおよびガングリオシドの側鎖を切断するβ−ヘキソサドミニダーゼ(β−hexosadminidase)における欠損は、サンドホフ病を生じる恐れがあり、スフィンゴミエリン蓄積は、ニーマン・ピック病を生じる恐れがある。他の実施形態では、疾患は、パーキンソン病、認知症を併発したパーキンソン病、レビー小体認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異体、ハンチントン病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統萎縮症を含むことができる。
【0042】
本明細書に記載した組成物および方法は、GSL代謝が変更されるGSL代謝性の状態またはα−シヌクレインによって媒介される状態を治療するのに有効である。いくつかの態様では、任意の欠損した酵素、またはGSL生合成経路の基質/生成物の異常なレベルによる状態は治療することができる。状態には、ゴーシェ(GlcCer蓄積)およびファブリー(グロボトライオシル(globotraiosyl)、またはGb3、蓄積)、ならびにそれだけには限らないが、ニーマン・ピック病、テイ・サックス病、およびサンドホフ病を含めた他のリソソーム蓄積症が含まれる。嚢胞性線維症などのグリコシル化されたタンパク質が障害された他の疾患はまた、本発明の組成物および方法により治療することができる。
【0043】
多くの公知のリソソーム蓄積症(LSD)には、類似の病因、すなわち、損なわれたリソソーム加水分解酵素が関与する。一般に、LSDは複合糖質異化作用における遺伝的欠損から生じ、これは、全体で還元されるまたは欠乏しているある特定のリソソーム糖加水分解酵素またはその活性化タンパク質などの単一のリソソーム加水分解酵素の活性によるものとなり得る。損なわれた酵素の基質は、リソソーム中で消化されずに蓄積し、細胞構造の深刻な破損および様々な疾患発現をもたらす。いくつかのスフィンゴリピドーシス、またはスフィンゴ脂質の分解のために重要なリソソーム酵素の不完全な活性によって引き起こされるLSDのタイプは、表2に示され、本発明の組成物および方法によって治療することができる。例えば、「グリコスフィンゴリピドーシス」では、蓄積によって、通常、脂質封入体および正常な細胞機能を防止する多重膜構造を形成する。LSDは、(ゴーシェ病およびニーマン・ピックを含めた)脂質貯蔵障害、ガングリオシドーシス(テイ・サックス病など)、白質ジストロフィー、(ハンター症候群およびハーラー病を含めた)ムコ多糖症、糖タンパク質貯蔵障害、およびムコリピドーシスなど、これらの貯蔵材料の性質によって分類することができる。
【0044】
ゴーシェ病は、公知の最も一般的なリソソーム蓄積症の1つである。1型は、通常、認識される3つの臨床タイプの中で最もよく知られており、通常、神経系が関与しない慢性の経過をたどる。タイプ2および3は両方とも、CNS成分を有し、前者は通常、2歳までに死亡する急性の乳児の形態であり、後者は、亜急性の若年性の形態である。1型のゴーシェ病の発生率は、生児出生の50,000人中約1人であり、アシュケナージにおける生児出生の400人に約1人である(Kolodnyら、1998年、「Storage Diseases of the Reticuloendothelial System」、In:Nathan and Oski’s Hematology of Infancy and Childhood、第5版、2巻、David G.Nathan and Stuart H.Orkin編、W.B.Saunders Co.、1461〜1507頁)。グルコシルセラミドリピドーシスとしても公知の、ゴーシェ病は、通常、酵素グルコセレブロシダーゼの不活性化および(GlcCerとしても公知の)グルコセレブロシドの蓄積によって引き起こされる。グルコセレブロシダーゼは、普通なら、グルコセレブロシドのグルコースおよびセラミドへの加水分解を触媒する。ゴーシェ病において、グルコセレブロシドは、ふくれる組織マクロファージ中で蓄積する。これらの細胞は、通常、肝臓、脾臓および骨髄において見出され、時折、肺、腎臓および腸において見出される。2次性の血液の後遺症には、骨壊死および2次性の病的な骨折を伴う骨減少症を含めて、特徴的な進行性の肝脾腫および骨格の合併症に加えて、重症の貧血および血小板減少症が含まれる。
【0045】
スフィンゴミエリンリピドーシスとしても公知のニーマン・ピック病は、細網内皮系の泡沫細胞浸潤によって特徴付けられる障害のグループを含む。ニーマン・ピックにおける泡沫細胞は、スフィンゴミエリン、より少ない程度まで、コレステロールを含めた他の膜脂質でふくれる。ニーマン・ピックは、通常、タイプAおよびB疾患において酵素スフィンゴミエリナーゼの不活性化によって引き起こされ、タイプBでは残留酵素活性が27倍多い。ニーマン・ピックにおける主な臓器系の病態生理は、簡潔に以下にまとめて示すことができる。脾臓は、タイプAおよびB患者の最も広範に関与する臓器である。肺は、不定の程度で関与し、タイプB患者における肺疾患は、慢性気管支肺炎による主な死亡原因である。肝臓の関与はばらつきがあるが、重度に罹患した患者は、生命を脅かす肝硬変、門脈圧亢進症、および腹水を有し得る。リンパ節の関与は、疾患の重症度に応じてばらつきがある。中枢神経系(CNS)の関与は、ニーマン・ピックの主なタイプを区別する。ほとんどのタイプBの患者は、CNSの関与を経験せず、CNSの関与はタイプA患者に特徴的である。腎臓は、ニーマン・ピック病に中程度に関与するに過ぎない。
【0046】
ファブリー病は、セラミドトリヘキソシダーゼとしても公知の、α−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)の欠損によって特徴付けられるX連鎖劣性遺伝LSDであり、グロボトリアオシルセラミド(GL−3、またはGb3)など、末端α−ガラクトシル残留物を有するスフィンゴ糖脂質の蓄積による血管のおよび他の疾患の発現をもたらす(一般にDesnick R Jら、1995年、α−galactosidase A Deficiency: Fabry Disease、In:The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease、Scriverら編、McGraw−Hill、New York、第7版、2741〜2784頁を参照のこと)。症状は、無汗症(発汗しない)、有痛性の手指、左室肥大、腎症状、および虚血性脳卒中を含み得る。症状の重症度は、劇的に変わる(Grewal、J.Neurol.241巻:153〜15頁(1994年))。心臓に限定して発現する変異体は認識されており、その発生率は、かつて考えられたものより一般的となり得る(Nakao.N.Engl.J.Med.333巻:288〜293頁(1995年))。
【0047】
GM2ガングリオシドーシスまたはヘキソサミニダーゼA欠損症としても公知のテイ・サックス病は遺伝性障害であり、最も一般的な変異体、乳児テイ・サックス病は致命的である。この疾患は、通常、HEXA遺伝子上の突然変異によって引き起こされる。HEXA遺伝子は、リソソーム酵素β−ヘキソサミニダーゼAのα−サブユニットをコードする。GM2−ガングリオシドの加水分解は、通常3つのタンパク質を必要とする。ヘキソサミニダーゼAの2つのサブユニット、およびこの酵素のための基質特異的補因子として働く、小型の糖脂質輸送タンパク質、GM2活性化タンパク質(GM2A)である。これらのタンパク質のいずれか1つの欠損は、主に神経細胞のリソソーム神経細胞のリソソーム中でガングリオシドの貯蔵をもたらす。HEXA突然変異によって引き起こされるヘキソサミニダーゼAの欠損は、テイ・サックス病を生じる恐れがある。
【0048】
サンドホフ病を伴う患者は、テイ・サックスと類似の症状を有する。サンドホフ病は、神経細胞の進行性の破壊を引き起こす脂質貯蔵障害である。疾患は通常、遺伝し、それにはCNSおよびリソソーム酵素β−ヘキソサミニダーゼAおよびBのβ−サブユニットをコードするHEXB遺伝子の突然変異が関与する。したがって、HEXB突然変異は、β−ヘキソサミニダーゼAおよびBに影響を与えることができ、神経細胞破壊および疾患を引き起こす、GM2ガングリオシドおよびこれらの分子の蓄積をもたらす他の分子の崩壊を防止し得る。
【0049】
LSD以外の疾患および状態はまた、本発明の組成物および方法によって治療される。例えば、嚢胞性線維症など、スフィンゴ糖脂質合成の増加によって生じた他の疾患またはスフィンゴ糖脂質合成の増加をもたらす他の疾患は治療することができる。嚢胞性線維症(CF)上皮細胞は、頂端膜側上でより高い密度のアシアリル化(asialylated)ガングリオシド(ガングリオテトラオシルセラミド、Gg4)を発現し、細菌感染症を獲得するCF個体のより高い感受性として現れる(Hart and Winstanley、British Medical Bulletin 61巻:81〜96頁(2002年))。
【0050】
【表2】

【0051】
IV.脂質代謝を変更するために有用な薬剤
いくつかの実施形態では、この開示は、MDR阻害薬などのスフィンゴ糖脂質レベルを調節する薬剤などの脂質代謝を変更するための化合物、グルコセレブロシダーゼレベルを増加する化合物、およびスタチンなどのコレステロールを低下する薬物を提供する。
【0052】
a.スフィンゴ糖脂質(GSL)レベルを調節するために有用な薬剤
i.イミダゾール誘導体または化合物
イミダゾール誘導体または化合物のクラスは、遊離の化合物またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩の形態で式1に示した通りである。
【0053】
【化5】

【0054】
[式中、置換基R、R、R、およびRは、以下の(a)および(b)に記載されている通り定義され、
(a)Rは、
(i)置換C1〜11アルキルまたは置換C2〜11アルケニル(置換基は、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシからなる群から選択される);または
(ii)一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜11アルキル[アリールは、フェニル、フリル、チエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)フェニル、trans−2−フェニルエテニル、2−フェニルエチニル、2−フェニルエチル(前記フェニル基は、ヒドロキシ、ハロ、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシからなる群から選択されるメンバーで一置換または二置換される)、
(b)置換C1〜6アルキル、置換C2〜6アルキルオキシ、置換C2〜6アルキルチオ、置換C2〜6アルコキシカルボニル(置換基は、C1〜6アルコキシ、およびC1〜6アルキルチオからなる群から選択される);および
(c)C1〜11CO、C1〜11CONHR、trans−CH=CHCO、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜11アルキル、またはフェニルC1〜11アルキル、C1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシである)
からなる群から選択される]
からなる群から選択される場合、
およびRは、それぞれ独立に一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択される[置換基は、独立に、
(i)置換C1〜6アルキル、
(ii)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、
(iii)置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、
(iv)C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ、
(vi)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
(置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルキルアルコキシ、C1〜6アルキルアミノ
(b)C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルケニルアミノ、または
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
から選択される]、
または、RおよびRは一緒になってアリール基または置換アリールを形成し(置換基は、(i)〜(v)で上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(i)水素;
(ii)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルからなる群から選択される);または
(iii)置換アリールC0〜11アルキル(アリール基は、フェニル、イミダゾリル、フリル、チエニルから選択され、置換基はA(a〜c)から選択される)
からなる群から選択される;または
(b)Rが、
一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキル[アリールはフェニル、チエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)trans−2置換ベンズイミダゾリルエテニル、trans−2置換ベンズオキサゾリルエテニル、trans−2置換ベンズチアゾリルエテニル(置換基は、水素、ヒドロキシ、ハロ、トリハロメチル、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、C3〜6アルケニルアミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、C1〜4アルキルオキシ−C1〜4アルキルアミノ、置換C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシ、置換C1〜4アルキルオキシカルボニル、置換C1〜4アルキルアミノ、ジ(置換C1〜4アルキル)アミノ、置換C3〜6アルケニルアミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノからなる群から選択され、置換基は上記で定義される通りである)、
(b)trans−2−シアノエテニル、trans−2−アルキルスルホニルエテニル、trans−2−アルケニルスルホニルエテニル、trans−2置換アルキルスルホニルエテニル、trans−2置換アルケニルスルホニルエテニル(置換基は上記で定義される)、
(c)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜6アルコキシC2〜6アルキル、アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルチオC2〜6アルキルであり、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノモルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルからなる群から選択される)、
(d)C1〜6CONR、またはtrans−CH=CHCONR(式中、RおよびRは、独立にC1〜6アルキル、フェニルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシ、ヒドロキシC2〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシC2〜6アルキル、アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオC2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノC2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノC2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルチオC2〜6アルキルからなる群から選択され、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリルからなる群から選択される)
(e)RC(O)C1〜6アルキル、RC(O)C2〜6アルケニル(Rは、上記[2(d)]の通り定義される)、
(f)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル(式中、RおよびRは上記[2(d)]の通り定義される)、
(g)R−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RNH−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RN−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RNH−C(O)−O−C0〜33〜6シクロアルカン−1−イル、RN−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RO−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、R−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル、RO−C(O)−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルカン−1−イル(式中、Rは、上記[B(d)]の通り定義される)
からなる群から選択される]
からなる群から選択される場合、
およびRは、それぞれ独立に、
(1)水素、ハロ、トリハロメチル、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、置換C1〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、C1〜6アルキルアミノ、置換C1〜6アルキルアミノ、C3〜6アルケニルアミノ、置換C3〜6アルケニルアミノ、
(2)一置換、二置換、および三置換フェニル[置換基は、独立に、
(i)ハロ、トリフルオロメチル、置換C1〜6アルキル、
(ii)C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、
(iii)C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ、または
(iv)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
(置換基は、
(a)水素、ヒドロキシ、ハロ、トリフルオロメチル、
(b)C1〜6アルキルアルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルキルチオ、
(c)C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルケニルアミノ、C3〜6アルケニルチオ、または
(d)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
から選択される]
からなる群から選択され;
ただし、RおよびR基の少なくとも1つは、[B(2)]から選択され、フェニルおよび置換基は、上記(ii)〜(v)から選択される;あるいは、RおよびRは一緒になってフェニル、ピリジルなどのアリール基を形成し(アリールは、場合によっては置換されてもよく、置換基は(i)〜(iv)で上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(a)水素;
(b)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に、
(i)水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニル;
(ii)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、
(iii)ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(iv)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、および4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);および
(b)アリールC0〜11アルキル(アリール基は、フェニル、イミダゾリル、フリル、チエニルから選択される)
からなる群から選択される。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明は、本発明の方法に使用するために、遊離の化合物またはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩の形態で、式1aの化合物を提供する。
【0056】
【化6】

【0057】
式中、置換基R、R、R、およびRは、AまたはBで定義され、
(B)Rは、
(i)置換C1〜11アルキルまたは置換C2〜11アルケニル(置換基は、ヒドロキシおよびC1〜6アルキルオキシからなる群から選択される);および
(ii)一置換、二置換、または三置換アリール−C0〜11アルキル[アリールは、フェニル、フリル、およびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)フェニル、trans−2−フェニルエテニル、2−フェニルエチニル、または2−フェニルエチル(フェニル基は、一置換または二置換され、置換基は、ヒドロキシ、ハロ、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルキルオキシからなる群から選択される);
(b)置換C1〜6アルキル、置換C2〜6アルキルオキシ、置換C2〜6アルキルチオ、または置換C2〜6アルコキシカルボニル(置換基は、C1〜6アルコキシ、およびC1〜6アルキルチオからなる群から選択される);および
(c)C1〜11CO、C1〜11CONHR、trans−CH=CHCO、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜11アルキル、フェニルC1〜11アルキル、またはC1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシである)
からなる群から選択される]
からなる群から選択され;
およびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択され[置換基は、独立に、
(i)置換C1〜6アルキル;
(ii)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、または置換C3〜6アルケニルオキシ;
(iii)置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ;
(iv)C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(v)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
から選択される
((i)、(ii)、(iii)、および(iv)の置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)];
または、RおよびRは一緒になってアリール基または置換アリールを形成し(置換基は、(i)〜(iv)で上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(i)水素;
(ii)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、およびC1〜6アルコキシカルボニルからなる群から選択される);および
(iii)置換アリールC0〜11アルキル(アリール基は、フェニル、イミダゾリル、フリル、およびチエニルから選択され、置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)
からなる群から選択される;または、
(B)Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択され[アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(i)trans−2置換ベンズイミダゾリルエテニル、trans−2置換ベンズオキサゾリルエテニル、またはtrans−2置換ベンズチアゾリルエテニル(置換基は、水素、ヒドロキシ、ハロ、トリハロメチル、C1〜4アルキル、C1〜4アルキルオキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルアミノ、ジ(C1〜4アルキル)アミノ、C3〜6アルケニルアミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、C1〜4アルキルオキシ−C1〜4アルキルアミノ、置換C1〜4アルキル、置換C1〜4アルキルオキシ、置換C1〜4アルキルオキシカルボニル、置換C1〜4アルキルアミノ、ジ(置換C1〜4アルキル)アミノ、置換C3〜6アルケニルアミノ、およびジ(置換C3〜6アルケニル)アミノからなる群から選択され、置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);
(ii)trans−2−シアノエテニル、trans−2−アルキルスルホニルエテニル、trans−2−アルケニルスルホニルエテニル、trans−2置換アルキルスルホニルエテニル、およびtrans−2置換アルケニルスルホニルエテニル(置換基は、
(a)ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、またはC1〜6アルキルアミノ;
(b)C3〜6アルケニルオキシ、またはC3〜6アルケニルアミノ;および
(c)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);
(iii)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR(式中、Rは、C1〜6アルコキシ−C2〜6アルキル、アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、または置換C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキルであり、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノモルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、およびチアゾリルからなる群から選択される);
(iv)C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONR(式中、RおよびRは、独立にC1〜6アルキル、フェニル−C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニルメチレンオキシ、ヒドロキシ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルオキシ−C2〜6アルキル、アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルコキシ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルアミノ−C2〜6アルキル、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ−C2〜6アルキル、置換C1〜6アルキルチオ−C2〜6アルキルからなる群から選択され、置換基は、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノ−C3〜6アルケニル)ピペラジノ、イミダゾリル、オキサゾリル、およびチアゾリルからなる群から選択される);
(v)R−C(O)−C1〜6アルキルまたはR−C(O)−C2〜6アルケニル(R7は[B(iv)]で上記の通り定義される);
(vi)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル(式中、RおよびRは、[B(iv)]で上記の通り定義される);および
(vii)R−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RNH−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RN−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RNH−C(O)−O−C0〜33〜6シクロアルク−1−イル、RN−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RO−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、R−C(O)−O−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル、RO−C(O)−C0〜3アルキル−C3〜6シクロアルク−1−イル(RおよびRは、[B(iv)]で上記の通り定義される)
からなる群から選択される];
およびRは、それぞれ独立に、
(viii)水素、ハロ、トリハロメチル、C1〜6アルキル、置換C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、置換C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ、C1〜6アルキルアミノ、置換C1〜6アルキルアミノ、C3〜6アルケニルアミノ、または置換C3〜6アルケニルアミノ;および
(ix)一置換、二置換、または三置換フェニル[置換基は、独立に、
(a)ハロ、トリフルオロメチル、または置換C1〜6アルキル;
(b)C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、置換C3〜6アルケニルオキシ;
(c)C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(d)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択され;(a)、(b)、(c)、および(d)についての置換基は、
(1)水素、ヒドロキシ、ハロ、またはトリフルオロメチル;
(2)C1〜6アルキルアルコキシ、C1〜6アルキルアミノ、またはC1〜6アルキルチオ;
(3)C3〜6アルケニルオキシ、C3〜6アルケニルアミノ、またはC3〜6アルケニルチオ;および
(4)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される]
からなる群から選択され;
ただし、a)RおよびRの少なくとも1種は、[B(ix)]から選択される(置換基は、上記の[B(ix)(b)〜(d)]から選択される);またはb)RおよびRは一緒になって、場合によっては置換アリール基を形成し(置換基は[B(ix)(a)〜(d)]で上記の通り定義される);
さらに、Rは、
(i)水素;
(ii)置換C1〜11アルキルまたはC2〜11アルケニル(置換基は、独立に、
(a)水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキルオキシ、C1〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルアミノ、フェニル−C1〜6アルキルアミノ、またはC1〜6アルコキシカルボニル;
(b)置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、または置換C3〜6アルケニルオキシ;
(c)ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ;および
(d)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される);および
(iii)アリールC0〜11アルキル(アリール基はフェニル、イミダゾリル、フリル、またはチエニルから選択される)
からなる群から選択される。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態では、式1aの化合物は、Rが、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される化合物である(アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR
(b)C1〜6CONR、またはtrans−CH=CHCONR
(c)RC(O)C1〜6アルキルまたはRC(O)C2〜6アルケニル;および
(d)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル
からなる群から選択される)。
【0059】
他の実施形態では、式1aの化合物は、Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される化合物である(アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、
(a)C1〜6CO、trans−CH=CHCO、C1〜6CONHR、またはtrans−CH=CHCONHR
(b)C1〜6CONR、またはtrans−CH=CHCONR
(c)RC(O)C1〜6アルキルまたはRC(O)C2〜6アルケニル;および
(d)HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル
からなる群から選択される)。
【0060】
本発明の様々な実施形態では、式1aの化合物は、Rが、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される化合物である(アリールは、フェニルおよびチエニルからなる群から選択され、置換基は、HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニルである)。
【0061】
他の実施形態では、Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される(アリール−C0〜6アルキルは、フェニル−C0〜6アルキルである)。いくつかの実施形態では、Rは、一置換、二置換、および三置換アリール−C0〜6アルキルからなる群から選択される(アリール−C0〜6アルキルは、アリール−Cアルキルであり、これはアリールに直接結合したアルキル基を有さないアリールである)。
【0062】
様々な実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択される(置換基は、独立に、
(i)C1〜6アルキルオキシ、置換C1〜6アルキルオキシ、C3〜6アルケニルオキシ、または置換C3〜6アルケニルオキシ;
(ii)C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノ、および
(iv)ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、置換イミダゾリル、ピペラジノ、4−N−C1〜6アルキルピペラジノ、4−N−C3〜6アルケニルピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC1〜6アルキル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルコキシC3〜6アルケニル)ピペラジノ、4−N−(C1〜6アルキルアミノC1〜6アルキル)ピペラジノ、または4−N−(C1〜6アルキルアミノC3〜6アルケニル)ピペラジノ
からなる群から選択される)。
【0063】
いくつかの実施形態では、RおよびRは、それぞれ独立に、一置換、二置換、および三置換フェニルからなる群から選択される(置換基は、独立に、C1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、およびジ(置換C3〜6アルケニル)アミノからなる群から選択される)。いくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0064】
いくつかの実施形態では、式1aの化合物は、式1bの化合物である。
【0065】
【化7】

【0066】
[式中、Rのそれぞれの場合は、独立にC1〜6アルキル−アミノ、ジ(C1〜6アルキル)アミノ、置換C1〜6アルキル−アミノ、ジ(置換C1〜6アルキル)アミノ、C3〜6アルケニル−アミノ、ジ(C3〜6アルケニル)アミノ、置換C3〜6アルケニル−アミノ、またはジ(置換C3〜6アルケニル)アミノであり;
は、HO−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、R−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RNH−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RN−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、RO−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニル、またはR−C(O)−O−C1〜6アルキル−C2〜6アルケニルである]。
【0067】
いくつかの実施形態では、式1または1aの化合物(式1bまたは2の化合物など)は、遊離の化合物の形態でまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩としてであり、(2−[4−(3−エトキシ−1−プロペニル)フェニル]−−4,5−ビス(4−(2−プロピルアミノ)フェニル)−1H−イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−(4−N,N−ジエチルアミノフェニル)−5−−(4−N−メチルアミノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−メトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−ピロリジノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−ピロリジノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−(4−N−ジメチルアミノフェニル)−5−−(4−ピロリジノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル−]−4−(4−N−メチルアミノフェニル)−5−(4−ピロリジノ−フェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4,5−ビス(4−N−モルホリノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−(4−N−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−N−モルホリノフェニル)イミダゾール;2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−−1−イル)フェニル]−4−(4−N−メチルアミノフェニル)−5−(4−N−モルホリノフェニル)イミダゾール;および2−[4−(3−エトキシ−trans−1−プロペン−1−イル)フェニル]−4−4−N−メチルアミノフェニル)−5−(4−N−イソプロピルアミノフェニル)イミダゾールからなる群から選択される。
【0068】
式1または1aの化合物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,700,826号および第5,840,721号に記載される通り特定の式となり得る。好ましい組成物および方法は、遊離の化合物の形態でまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩として、以下の式(式2)の化合物を含む。
【0069】
【化8】

【0070】
式1または1aの化合物(式1bまたは2の化合物など)は、この分野で公知の任意の適当な方法によって合成される。このクラスの化合物および式2の化合物のための合成の例は、特に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5840721号に開示される。
【0071】
ii.MDR阻害薬
本発明の化合物は、GSL合成および/または代謝を調節し、α−シヌクレイン機能を調節する。これらの化合物は、複合体GSLの蓄積を防止することができる。これらの化合物は、より長い鎖のGSL形成または複合体GSL形成を阻害することができる。これらの化合物は、GSL生合成に関与するABC輸送体の活性を調節することによりGSL合成および/または代謝を調節することができる。ABC輸送体は、MDR1遺伝子によってコードされたP−糖タンパク質となり得る。MDR1は、通常、細胞外のいくつかの無関係の有機化合物を輸送するATP依存性流出ポンプとして働く170kDa膜糖タンパク質(gp−170またはPgp)をコードする(Jurankaら、FASEB J.3巻:2583〜2592頁(1989年))。gp−170の発現レベルは、薬剤抵抗性の程度と相関することが示されている(Raderer and Sscheitharer、Cancer 72巻:3553〜3563頁(1993年))。Gp−170は、全範囲の抗新生物薬を含めて、広範囲の構造的に無関係の化合物を活発に押し出すポンプとして働くようである。別のATP依存性膜流出ポンプ、MRP遺伝子の生成物はまた、他のATP依存性のおよび酵素的な機序を有するため、MDR現象に関与している(Krishnamachary and Center、Cancer Res.53巻:3658〜3661頁(1993年))。
【0072】
いくつかの実施形態では、MDRを調節する化合物は、GSL合成を調節し、それだけには限らないが、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、テニポシド、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン、プリアマイシン(pliamycin)(ミトラマイシン)、およびアクチノマイシンDを含むことができる(Jonesら、Cancer(Suppl)72巻:3484〜3488頁(1993年))。多くの腫瘍は、本質的に多剤耐性であり(例えば、結腸および腎臓の腺癌)、他の腫瘍は、治療の経過中MDRを獲得する(例えば、神経芽細胞腫および小児白血病)。最近では、MDR細胞は、薬物−感受性細胞と違って、グルコシルセラミドのレベルの増加を示し(Lavieら、J.Biol.Chem 271巻:19530〜19536271頁:19530〜19536頁(1996年))、さらにMDRモジュレーターは、癌細胞中のセラミド代謝の制御により化学療法薬への細胞の感受性を高め得るということが示されている(Lavieら、J.Biol.Chem 272巻:1682〜1687頁(1997年))。セラミドの単一のグリコシル化された形態である、グルコシルセラミド(GlcCer)の蓄積は、化学療法に反応しにくい患者に由来するいくつかのMDR癌細胞および腫瘍の特徴である(Lavieら、J.Biol.Chem.271巻:19530〜19536頁(1996年);Luccら、Anticancer Res.18巻:475〜480頁(1998年))。糖化経路を遮断することによりセラミド代謝を修正すると、細胞毒性への癌細胞感受性が高まることが示されている(Lucciら、Int.J.Onc.15巻:541〜546頁(1999年);Lavieら、J.Biol.Chem.272巻:1682〜1687頁(1997年);Lucciら、Cancer 86巻:299〜310頁(1999年))。さらに、セラミド生成を増強し、糖化を制限する薬物の組み合わせは、癌細胞モデルにおける死滅を促進することを示している(Lavieら、J.Biol.Chem.272巻:1682〜1687頁(1997年);Lucciら、Cancer 86巻:299〜310頁(1999年))。他の作業によれば、セラミド毒性は、グルコシルセラミドシンターゼ阻害薬の封入体によるネズミのルイス肺癌およびヒト神経上皮腫細胞の実験的な転移において増強され得るということが示されている(Inokuchiら、Cancer Res.50巻:6731〜6737頁(1990年);Spinediら、Cell Death Differ.5巻:785〜791頁(1998年))。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載した化合物は、MDR1活性をもたらすことによりGSLレベルを調節することができる。これらの化合物は、MDRを調節することに比べて、GlcCerレベルを調節するための特異性を高めさせることができる。例えば、様々な構造的に多様な薬剤が同定されており、これらは一部のMDR腫瘍細胞への正常な薬物感受性を部分的にまたは時には完全に回復することができる。これらの化学療法増感剤は、薬物流出の増加を逆転させる、gp−170に干渉するこれらの能力の結果として有効であるが、これらの薬剤のうち、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ベラパミル)、カルモジュリン阻害薬(例えば、トリフルオペラジン)、抗生物質(例えば、エリスロマイシン)、心血管アゴニスト(例えば、キニジン)、アントラサイクリンおよびビンカアルカロイドの無細胞毒性類似体、シクロスポリンAおよびその類似体、FK−506およびその類似体、およびシクロペプチドの誘導体である(Lumら、Cancer(Suppl)72巻:3502〜3514頁(1993年))。これらの薬剤の多くは、他の臓器系へのかなりのその薬理学的効果による癌の治療に関する化学療法指数にもたらされる寄与がわずかである。本発明の化合物は、MDRの逆転ではなくGSL合成に影響を与えるMDR1の転位置またはフリッパーゼ活性に特異的となり得、かなりの毒性の欠如および他の非特異的な薬理学的効果をも有し得る。あるいは、化合物は、どちらにも影響を与えるが、MDRではなくGSLレベルにより大きく影響を与え得る。
【0074】
例えば、異常なGSL代謝を示す細胞は、GlcCerレベルを調節する濃度または用量で本発明の化合物により治療することができるが、癌細胞中のMDRに影響を与えない。GSL代謝障害に罹患した被験体に投与される化合物は、GSL障害の症状を寛解させることができるが、癌に罹患した被験体のMDRを寛解させることはできない。本発明の化合物の治療上有効な用量は、GSL障害の症状に影響を与え得るが、MDRに影響を与えることができない。いくつかの実施形態では、これらの化合物は、他のMDR阻害薬が調節しない、特異的なGSL、例えば中性のGSLまたは酸性のGSL、またはその両方のレベルを特に調節することができる。これらの化合物は、他のMDR阻害薬に比べてGSLに影響を与えることにおいて、より高い特異性を有し得るまたは活性を増加させることができ、したがって、GSL代謝障害を治療する上でより有効となり得る。用量および毒性はまた、MDR1阻害薬によりMDRを治療することに比べて、GSL障害を治療するために用いられる化合物を変化させることができる。
【0075】
本発明の化合物の組み合わせはまた提供される。好ましい実施形態では、組み合わせは、相乗効果を有する。本発明は、化合物をいくつかの異なる種類の化合物のいずれかと共に投与することを考慮している。これらには、例えば、α−シヌクレイン機能のモジュレーター、酵素阻害治療のための競合的基質、酵素補充療法および遺伝子治療のための酵素、および酵素のシャペロンが含まれる。例えば、本発明の組成物は、本明細書に記載した式1の第1の化合物を、グルコシルセラミドシンターゼ阻害薬である第2の化合物と共に含むことができる。いくつかの実施形態では、グルコシルセラミドシンターゼ阻害薬は、ミグルスタット、または、1−ブチル−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−3,4,5−トリオールである。用いることができる別の化合物は、以前にD−トレオ異性体として同定された、PDMP(1R−フェニル−2R−デカノイルアミノ−3−モルホリノ−1−プロパノール)であり(Inokuchiら、J.Lipid Res.28巻:565〜571頁(1987年))、PDMPは、細胞および動物の様々な化学的および生理的変化をもたらすことが見出されている(Radinら、「Use of 1−Phenyl−2−Decanoylamino−3−Morpholino−1−Propanol (PDMP), an Inhibitor of Glucosylceramide Synthesis」、In NeuroProtocols、A Companion to Methods in Neurosciences、S.K.Fisherら編、(Academic Press、San Diego)3巻:145〜155頁(1993年)およびRadinら、「Metabolic Effects of Inhibiting Glucosylceramide Synthesis with PDMP and Other Substances」、In Advances in Lipid Research;Sphingolipids in Signaling、Part B.、R.M.Bellら編、(Academic Press、San Diego)28巻:183〜213頁(1993年))。PDMPの相同体、類似体、または誘導体はまた、P4化合物(1−フェニル−2−パルミトイルアミノ−3−ピロリジノ−1−プロパノール)など、用いることができる。(Shaymanら、J.Biol.Chem.、277巻:18447〜18453頁(2002年);Asano、Glycobiology 13巻:93R〜104R(2003年);Jimboら、J.Biochem.(Tokyo)127巻:485〜491頁(2000年))。N−ブチルデオキシノジリマイシンなどのイミノ糖に基づくグルコシルセラミドシンターゼ阻害薬はまた、用いることができる。
【0076】
iii.酵素補充療法
いくつかの実施形態では、GSLの調節は、グルコセレブロシダーゼなどの酵素置換療法(ERT)と共に本発明の化合物を含む組成物または例えば、イミグルセラーゼ(ヒトβ−グルコセレブロシダーゼの類似体)またはα−ガラクトシダーゼと共に、グルコセレブロシダーゼを調節する化合物を含む組成物を投与することを含む(Brady、Acta Paediatr.Suppl. 92巻:19〜24頁(2003);Heukampら、Pathol Res.Pract. 199巻:159〜163頁(2003年);Wilcoxら、Am.J.Hum.Genet.75巻:(65〜74頁)(2004年))。組み合わせ治療は、遺伝子治療をも含み、例えば、ファブリー病を伴う患者は、ファブリー患者から得られた皮膚線維芽細胞を形質導入するために用いられる、欠損したα−GalAをコードするcDNAを運搬する組換え型レトロウイルス(Medinら、Proc.Natl. Acad.Sci. USA 93巻:7917〜7922頁(1996年))で本発明の化合物と共に治療することができる。
【0077】
別の実施形態では、式1の化合物は、シャペロンと組み合わせて投与される。シャペロンは、タンパク質の折りたたみにおいて重要な役割を果たす。ミスフォールドしたタンパク質は、通常、細胞の品質管理機序によって除去される、または蓄積しタンパク質輸送に影響を与える。本発明の化合物と組み合わせて用いられる人工シャペロンには、高濃度のグリセロール、ジメチルスルホキシド、トリメチルアミンN−オキシドなどの非特異的な化学的シャペロンが含まれる、あるいは、重水素化水は、突然変異タンパク質を安定させ、いくつかの疾患において突然変異タンパク質の細胞内輸送を増加させることが示されている(Brownら、Cell Stress Chaperones 1巻:117〜125頁(1996年);Burrowsら、Proc. Natl.Acad.Sci. USA;97巻:1796〜1801頁(2000年))。酵素に結合し小胞体からリソソームへの酵素の輸送を促進する薬理学的シャペロンは用いることができる。好ましい実施形態では、式1の化合物は、活性部位特異的シャペロン(ASSC)と共に投与される。1−デオキシガラクトノジリマイシン(DGJ)(米国特許第6,274,597号および第6,774,135号)などの、当技術分野で公知のASSCは用いることができる。ASSCは、ミスフォールドしたタンパク質を安定させ、リソソームへの輸送のために適切なタンパク質の構造を可能にすると考えられ、したがって、ASSCは、LSDを寛解させる助けとなる(米国特許第6,583,158号、第6,589,964号、第6,599、919号)。他のASSCには、グルコイミダゾール(GIZ)およびポリヒドロキシシクロヘキセニルアミン(PHCA)誘導体(米国特許公開第20050137223号)が含まれ、これは、ゴーシェ病などの突然変異グルコセレブロシダーゼに関連する疾患を治療するために本発明の化合物と組み合わせて用いることができる。ヒドロキシピペリジン(HP)誘導体(米国特許出願第20050130972号)は、例えば、ゴーシェ病を有する個体を治療するのに式1の化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0078】
b.脂質代謝を変更するために有用な他の薬剤
いくつかの実施形態では、他の薬剤が、代謝を制限するのを変更するために用いることができる。具体的な実施形態では、HMG Co A還元酵素阻害薬またはスタチンは、脂質代謝を変更するために用いることができる。関連する実施形態では、コレステロール合成または脂肪酸合成を調節する薬剤は、脂質代謝を変更するために利用することができる。かかる薬剤は、合成または天然由来となり得る。模範的なスタチンは、それだけには限らないが、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンが含まれる。
【0079】
V.診断方法
(a)パーキンソン病および関連疾患
パーキンソン病(PD)のための診断に関して、PD用の特定の試験またはマーカーは存在しない。通常、診断は、患者に直接問診するまたは患者を直接観察することにより行われる病歴および神経学的検査に基づいており、統一パーキンソン病評価尺度(the Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)を用いることを含むことができる。DaTSCANと呼ばれるSPECT走査装置用の放射性トレーサーは、パーキンソン病に特徴的なドパミン喪失を診断するために特定化される。疾患は、パーキンソニズムの他の原因と重複する症状により特にその早期に正確に診断しにくい可能性がある。いくつかの実施形態では、運動前野の診断がなされる。他の実施形態では、遺伝子検査は利用される。医師は、症状が連続して存在することが明らかになるまで、しばらくの間その患者を観察する必要があるかもしれない。PDを伴う人々のCTおよびMRI脳スキャンは、正常であり、したがって、診断に有用でない。しかし、医師らは、パーキンソニズムの徴候をもたらし得る他の疾患について評価するために脳スキャンまたは臨床検査を求める場合も有り得る。
【0080】
PDを診断するために、医師は、反応、反射、および運動の様々な単純な試験を含めて標準的な神経学的検査を実施する。PDの診断は、一般に、主な3つの徴候、すなわち、安静時振戦、固縮、および運動緩慢のうちの少なくとも2つの存在ならびに抗精神病薬または運動を制御する脳の領域における多発性の小型の脳卒中などの第2の原因の非存在に依存する。患者は、振戦および運動緩慢を最も認識しており、固縮を認識しにくい傾向がある。運動緩慢は、患者がどのくらい速く指と母指を打ち合わせることができるか、または足を上下に軽く踏みならすことができるかを決定することによって試験される。振戦は、単純な検査によって決定される。医師は、患者が運動に抵抗する感情を緩めている間、頚部、上肢、および下肢を動かすことによって固縮を評価する。体位の不安定性は、検者が患者の後ろに立ち、患者に後方に引いたとき患者自身のバランスを保つよう求める、「引っ張り試験(pull test)」により試験される。検者は、患者が転倒しないよう注意し、勢いよく引き戻して患者の回復する能力を評価する。この検査には、特に、脳内でドパミン機能を遮断し得る薬剤への曝露のために慎重な病歴を記録することも含まれる。
【0081】
他の実施形態では、EKG、EEG、睡眠行動などの他の生理学的なマーカーは、症状の発生前または発生後にPDを診断するために測定される。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明の方法によって治療することができる被験体は、手、腕、脚、顎および顔の振戦、腕、脚および体幹の硬直または固縮、運動の緩慢さ、バランスおよび協調の乏しさ、および体位の不安定性を含むがそれだけに限らない症状の1つまたは複数を経験する患者である。いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療することができる被験体は、医師によってパーキンソン病と診断されている患者である。いくつかの実施形態では、本発明の方法により治療することができる被験体は、パーキンソン病と診断されていないが、PDの症状を経験している患者である。
【0083】
(b)ゴーシェ病および関連疾患
ゴーシェ病または他の関連する脂質貯蔵病の診断に関して、診断のための特定の単純な試験またはマーカーは、存在しない可能性がある。通常、診断は、臨床検査および他の生理的な変数と組み合わせて、患者に直接問診するまたは患者を直接観察することにより行われる病歴および検査に基づいている。ゴーシェ病の特定の場合において、確定的な診断は遺伝子検査によりなされる。多数の異なる突然変異があるため、β−グルコシダーゼ遺伝子の配列決定は、診断を確認する必要がある場合がある。出生前の診断は利用可能であり、公知の遺伝的危険因子があるときに有用である。
【0084】
診断は、高アルカリホスファターゼ、アンギオテンシン変換酵素(ACE)および免疫グロブリンレベルなどの生化学的な異常より、または「縮れた紙(crinkled paper)」の細胞質および糖脂質を含むマクロファージを示す細胞分析によって示すこともできる。
【0085】
VI.使用の方法
本発明の組成物により治療しようとする「患者」、「被験体」または「宿主」は、ヒトまたはヒト以外の動物を意味し得る。本発明の化合物は、それだけには限らないが神経疾患および脂質貯蔵病などの疾患および障害の治療に有用である。一実施形態では、本発明の組成物は、例えば、神経の疾患および障害、リソソーム蓄積症および障害、または脂質代謝疾患または障害を治療することを含めて、かなり多くの使用のための医薬品の製造に用いられる。
【0086】
用語が本明細書に用いられるような「治療効果」は、治療上の利益および/または予防上の利益を包含する。治療上の利益により、治療対象となる根本的な障害の根絶または寛解を意味する。また、治療上の利益は、患者がまだ根本的な障害に苦しんでいる恐れがあるにもかかわらず、改善が患者において観察されるような、根本的な障害に関連する生理的症状の1種または複数の根絶または寛解で達成される。予防上の利益の場合、組成物は、この疾患の診断がなされていない可能性があっても、ある特定の疾患を発症するリスクのある患者に投与することも、疾患の生理的症状の1つまたは複数を報告される患者に投与することもできる。予防効果には、疾患もしくは状態の発現を遅延させるまたは除去すること、疾患もしくは状態の症状の発生を遅延させるまたは除去すること、疾患もしくは状態の進行を遅らせる、停止させるまたは逆転させること、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0087】
本発明はまた、本発明の治療の新規な方法に使用するために適当な局所、経口および非経口医薬製剤を提供する目的を有する。本発明の化合物は、錠剤、水性または油性懸濁剤、ロゼンジ、トローチ剤、散剤、顆粒剤、乳剤、カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤として経口投与することができる。経口使用のための組成物は、薬学的に味がよい製剤を生成するために甘味剤、矯味剤、着色剤および保存剤の群から選択される1種または複数の薬剤を含むことができる。錠剤は、錠剤の製造に適している非毒性の薬学的に許容される添加剤との混合物として、作用する成分を含む。これらの添加剤は、例えば、(1)炭酸カルシウム、乳糖、リン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロース、またはリン酸ナトリウムなどの不活性賦形剤;(2)コーンスターチまたはアルギン酸などの顆粒化剤および崩壊剤;(3)デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムなどの結合剤;および(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの潤滑剤となり得る。これらの錠剤は、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それによって、より長期間にわたって持続性の作用をもたらす公知の技法によりコーティングされていなくてもコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料は使用することができる。コーティングは、制御放出用の浸透圧治療の錠剤を形成するために米国特許第4,256,108号;第4,160,452号;および第4,265,874号に記載の技法を用いて行うこともできる。
【0088】
現在の発明の薬剤の有効量は、動脈内注射により、静脈内、腹腔内に、非経口で、筋肉内に、皮下に、経口で、局所的に、吸入剤として、またはステントなどの含浸させたもしくはコーティングしたデバイスによって、直腸、口腔、鼻腔内および経皮経路を含めて、類似の効用を有する薬剤の容認された投与方法のいずれかによって、単回または複数回用量で投与することができる。
【0089】
非経口投与の調製には、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液、および乳剤が含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体には、食塩水および緩衝媒体を含めて、水、水溶液、アルコール溶液、アルコール性水溶液、乳剤または懸濁液が含まれる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖および塩化ナトリウムが含まれ、乳酸加リンガー静脈内ビヒクルには、液体および栄養素補液、電解質補充薬(リンガーブドウ糖に基づくものなど)などが含まれる。保存剤および他の添加物はまた、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤、成長因子および不活性ガスなど、存在し得る。
【0090】
したがって、本発明は、遊離の化合物または薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩および化学療法薬もしくは医薬品の形態で、細胞の増殖または障害を抑制するまたは寛解させるのに十分な量でα−シヌクレインを調節する化合物、または脂質代謝を調節する化合物のいずれかで、α−シヌクレイン機能障害および変更された脂質代謝に伴う障害を含むがそれだけには限らない疾患および状態を寛解させるための方法を包含する。一般に、「治療する」「治療」などという用語は、被験体、組織または細胞に影響を与えて所望の薬理学的および/または生理的な効果を得ることを意味するために本明細書で用いられる。効果は、その疾患または徴候または症状を完全にもしくは部分的に防止することに関して予防的となり得、かつ/または例えば、異常な細胞増殖に起因し得る障害および/または有害作用のための部分的治癒または完治に関して治療的となり得る。本明細書で使用される場合、「治療する」は、脊椎動物、哺乳動物、具体的にはヒトにおける疾患もしくは障害の、任意の治療、または予防を包含し、(a)疾患または障害に罹患しやすくなり得るが、それを有すると診断されていない被験体において疾患または障害を発生しないようにすること;(b)疾患もしくは障害を抑制すること、すなわち、その発生を停止させること;または(c)疾患もしくは障害を軽減するまたは寛解させること、すなわち、疾患もしくは障害の後退をもたらすことが含まれる。
【0091】
本発明には、α−シヌクレインに関連する疾患および障害ならびに脂質関連障害を寛解させるのに有用な様々な医薬組成物が含まれる。本発明の一実施形態による医薬組成物は、本明細書において名付けられた化合物のいずれかを遊離の化合物または薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩、場合によっては、1種または複数の医薬品または化合物の組み合わせの形態で用いて、担体、添加剤および添加物または助剤を用いて被験体に投与するのに適した形態に調製される。しばしば用いられる担体または助剤には、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、乳糖、マンニトールおよび他の糖、タルク、牛乳タンパク質、ゼラチン、デンプン、ビタミン、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、ポリエチレングリコールおよび滅菌水、アルコール、グリセロールおよび多価アルコールなどの溶媒が含まれる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養素補液が含まれる。保存剤には、抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスが含まれる。他の薬学的に許容される担体には、例えば、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第15版 Easton:Mack Publishing Co.、1405〜1412頁、1461〜1487頁(1975年)およびThe National Formulary XIV.、第14版 Washington:American Pharmaceutical Association(1975年)に記載される通り、塩、保存剤、緩衝液などを含めた水溶液、非毒性添加剤が含まれる。医薬組成物の様々な構成物のpHおよび厳密な濃度は、通常の当技術分野に従って調整される。Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis for Therapeutics(第7版)を参照のこと。
【0092】
医薬組成物は、好ましくは用量単位で調製され投与される。固形の用量単位は、錠剤、カプセル剤および坐剤である。被験体の治療の場合、化合物の活性、投与方式、障害の性質および重症度、被験体の年齢および体重に応じて、異なる1日量は用いることができる。しかし、ある種の状況下で、より高いもしくはより低い1日量が適切となり得る。1日量の投与は、個別の用量単位あるいはいくつかのより少ない用量単位の形態の単回投与により、さらにはある特定の間隔における細区画された用量の複数回投与により行うことができる。
【0093】
本発明による医薬組成物は、治療上有効な投与量で局所的もしくは全身的に投与することができる。この使用に有効な量は、もちろん、疾患の重症度ならびに被験体の体重および全身状態に依存している。通常、in vitroで用いられる用量は、医薬組成物のin situ投与に有用な量で有用な指針を提供することができ、動物モデルは、ある特定の障害の治療のために有効な用量を決定するために用いることができる。様々な考察は、例えば、Langer、Science、249巻:1527頁、(1990年);Gilmanら(編)(1990年)に記載され、それぞれは参照により本明細書に組み込まれる。活性医薬品の非経口投与のための用量は、非経口用量に適当な転換因子を乗じることにより経口投与用の対応する用量に変換することができる。一般の適用に関して、mg/m×1.8の非経口用量は、ミリグラム(「mg」)の対応する経口用量に等しいかもしれない。the Miller−Keane Encyclopedia & Dictionary of Medicine、Nursing & Allied Health、第5版、(W.B.Saunders Co. 1992年)1708〜1651頁を参照のこと。
【0094】
本明細書に開示される化合物が経口で投与される方法は、例えば、硬質ゼラチンカプセルの形態となり、有効成分は、不活性の固形賦形剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される。これらはまた、軟質ゼラチンカプセルの形態となり得、有効成分は、水またはラッカセイ油、流動パラフィンまたはオリーブ油などの油性媒体と混合される。有効成分は、Tween−20を含むPEG 400などの共溶媒混合物と混合することができる。化合物は、無菌の注射用水性もしくは油性溶液または懸濁液の形態で投与してもよい。化合物は、一般に、静脈内にまたは12時間毎に、1日1〜3回投与される0.5〜10mg/kgの経口用量として投与することができる、あるいは、他の薬剤の投与前1〜4時間に少なくとも1回投与ならびに他の薬剤の投与後8〜12時間以内に少なくとも1回投与すると共に、別の医薬品の投与前および投与後に1〜3回投与することができる。
【0095】
水性懸濁液は通常、水性懸濁液の製造に適した添加剤との混合物として活物質を含む。かかる添加剤は、(1)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの懸濁化剤;(2)(a)レシチンなどの天然に存在するリン脂質;(b)アルキレンオキシドの脂肪酸との縮合物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン;(c)エチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール;(d)ポリオキシエチレンソルビトールモノオレイン酸などの、エチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物、または(e)エチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸となり得る分散剤または湿潤剤となり得る。
【0096】
医薬組成物は、無菌の注射用水性もしくは油性懸濁液の形態となり得る。この懸濁液は、上記で言及しているこのような適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の方法に従って配合することができる。無菌の注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口で許容される賦形剤または溶媒中で、無菌の注射剤もしくは懸濁液となり得る。使用することができる許容されるビヒクルおよび溶媒のうち、とりわけ水、リンゲル液、および生理食塩液である。さらに、無菌の固定油は、通常通り、溶媒または懸濁化媒体として使用される。こうした目的のために、任意の無刺激性の固定油は、合成モノもしくはジグリセリドを含めて用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射用の調製における使用を見出している。
【0097】
本明細書に開示される化合物は、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温で固体であるが直腸温で液体であり、したがって、直腸中で融解して薬物を放出する適当な無刺激性添加剤と薬物を混合することによって調製することができる。かかる材料には、カカオバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
【0098】
本発明に用いられる化合物はまた、小型のユニラメラベシクル、大型のユニラメラベシクル、およびマルチラメラベシクルなど、リポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなど、様々なリン脂質から形成させることができる。
【0099】
局所使用の場合、本明細書に開示される化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゼリー、液剤または懸濁剤などは使用することができる。
【0100】
本発明で用いられる場合、本明細書に開示される化合物の投与量レベルは、平均の成人体重70キログラムで体重1kg当たり約0.5mg〜約20mgのオーダーとなり得、1日体重1kg当たりの用量は約5mg〜約20mgの間(患者1日当たり約0.3gms〜約1.2gms)の範囲が好ましい。単回用量を生成するために担体材料と合わせることができる化合物の量は、治療される宿主および特定の投与方法に応じて変わる。例えば、ヒトへの経口投与を目的とした配合物は、本明細書に開示される化合物約5mg〜1gを、全組成物の約5〜95パーセントまで変わり得る担体材料の適当なおよび都合がよい量と共に含むことができる。投与単位形態は、一般に、化合物の有効成分約5mg〜500mgの間を含む。
【0101】
しかし、任意の特定の患者のためのある特定の用量レベルは、使用されるある特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事療法、投与時間、投与経路、排泄の割合、薬物の組み合わせおよび治療を実施する特定の疾患の重症度を含めた、様々な因子に依存していることが理解される。
【0102】
さらに、本発明の化合物の一部は、溶媒和物を水または一般の有機溶媒で形成することができる。かかる溶媒和物は、本発明の範囲内で包含される。
【0103】
さらなる実施形態では、本発明は、薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物または塩の形態で、活性医薬品または化学療法薬との混合物として、薬学的に許容される賦形剤、アジュバント、または担体と共に、本明細書に開示される化合物を含む組成物を提供する。
【0104】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に示され記載されており、かかる実施形態が例としてのみ提供されることは当業者に明らかである。多数の変形、変更および置換は、現在本発明から逸脱することなく当業者に行われる。本明細書に記載した本発明の実施形態に対する様々な代替物が本発明を実施する際に使用できることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、それによって、方法および構造はこれらの特許請求およびこれらの相当物の範囲内で包含されるものとする。
【実施例】
【0105】
(実施例1)
材料および方法
in vitroにおけるコンズリトールBエポキシド治療:治療パラダイムを図1に示す。SH−SY5Y細胞を、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミンを含むダルベッコ変法イーグル培地で増殖させ、標準的な組織培養技法を用いてTrypLE(GIBCO/Invitrogen;Carlsbad、CA)で1:5で継代培養した。細胞を、B−27および40μMレチノイン酸を補充した神経細胞用培地で7日間分化させた(Pahlmanら、1984年)。細胞を、ジメチルスルホキシド(DMSO;Sigma Chemicals;St.Louis、MO)中で0、12.5、25、50、100もしくは200μMの用量で48時間37℃でCBEに曝露した。この時点では、培養物を、HBSSで洗浄し、10分間トリプシン処理し、その後、1,000×gで10分間遠心し細胞をペレット化した。培地を除去し、細胞を超音波処理により10mMトリス/1mM EDTA/プロテアーゼ阻害薬カクテル(1:1000;Sigma)に溶解した。サンプルを1,000×gで10分間遠心し;上澄み画分を、微粒子画分からデカントした。BCAタンパク質アッセイ(Pierce Chemicals、Rockford、IL)を用いてタンパク質濃度を決定した後、サンプルをウエスタンブロット分析実験に用いるまで凍結した。
【0106】
in vivoにおけるコンズリトールBエポキシド投与:投与パラダイムを図2に示す。マウス(C57BL/6)を12時間の明暗周期で維持し、食物および飲料水を自由に摂餌させた。すべての動物の手順および世話の方法は、Institutional Animal Care and Usage Committeeによって認可された。CBEのα−シヌクレインタンパク質に対する効果を試験する実験において、8週齢のC57BL/6雄マウスを、いくつかの修正形態で前述のように用いた(Kanferら、1975年、Adachi and Volk、1977年、Kanferら、1982年)。マウス(n=8/群)はDMSO中の200mg/kg CBE(Sigma)の単回i.p.注射またはビヒクル単独を投与され、注射後2日目で死亡した。ウエスタンブロット分析のために、脳を除去し、氷の上で解剖し、必要になるまでドライアイスの上で凍結した(Manning−Bogら、2002年、Purisaiら、2005年)。免疫組織化学を利用する実験のために、脳を4%パラホルムアルデヒドで液浸固定し、72時間にわたって10および30%スクロース中で連続的に凍結保護した(Manning−Bogら、2002年、Manning−Bogら、2003年)。脳を40μm間隔で切断し、必要になるまで−20℃で凍結保護溶液に貯蔵した。
【0107】
組織化学:中脳切片を、α−シヌクレイン(Syn−1;Transduction Laboratories;Lexington、KY)またはグリア酸性線維性タンパク質(GFAP;Chemicon;Temecula、CA)に対する抗体を用いて免疫染色した。次いで、切片をFITC複合種特異的2次抗体でインキュベートし、前述のようにスライド上にマウントした(Manning−Bogら2003年)。
【0108】
RT−PCR:RNAを、製造業者の指示に従ってRAN Stat 60(Testest;Friendswood、TX)を用いて様々な用量のCBEでまたはビヒクルで24時間治療したヒト神経芽細胞腫細胞(SH−SY5Y)から抽出した。cDNAを、逆転写(Superscript III;Invitrogen)によって調製した。PCRを、ABI PRISM 7000配列検出系およびプライマーを用いて行った。各PCR反応が増幅の対数期中に有意な閾値(C)に達した周期数を、転写物発現の比較測定として用いた。α−シヌクレイン遺伝子のCを、参照遺伝子マウスHPRTのCに対して検定した。
【0109】
免疫ブロット法:遠心によって分離した腹側中脳から得られた画分を免疫ブロット実験のために利用した。超音波処理により10mMトリス/1mM EDTA/プロテアーゼ阻害薬カクテル(1:1000;Sigma、St.Louis、MO)中でホモジナイズした後、サンプルを1,000×gで10分間遠心した。上澄み画分(S1)をデカントし貯蔵し、核および大型の膜断片を含むペレット画分をホモジナイズ緩衝液(P1画分)中で溶解した。タンパク質濃度を測定した。タンパク質をSDS−PAGEにより分離し、ニトロセルロースに移した後、ブロットを遮断し、抗α−シヌクレイン(Signet;Novus Biologicals、Littleton、CO;Abcam、Cambridge、MA;Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA)または抗GAPDH(Sigma)で4℃で終夜インキュベートした。HRPに結合した適当な二次抗体を適用し、ブロットを化学発光基質(Pierce)でインキュベートし、Kodak X−Omat Blueフィルム(Kodak、Rochester、NY)に感光させた。マウスまたはウサギIgGを一次抗体の代わりに用いて対照実験における特異性を確実にした。
【0110】
(実施例2)
CBE曝露のin vitroにおける影響
GCaseの阻害が細胞のα−シヌクレインレベルの変化を引き起こすかどうかを決定することを試験するために、タンパク質レベルを、分化していないSH−SY5Y細胞および神経細胞表現型に分化した細胞においてCBEへの曝露後48時間でウエスタンブロット分析を用いることによって評価した。α−シヌクレインの変化は、分化していない神経芽細胞腫細胞中で検出されなかったが;分化したSH−SY5Y細胞において、α−シヌクレインタンパク質のレベルの増加が観察され、50μM用量でピークに達した(図3a)。タンパク質のレベルの増加が増強された転写によるものか否かを決定するために、RT−PCRを行ってCBEで治療したSH−SY5Yの転写レベルを測定した。α−シヌクレイン遺伝子発現の変化は、CBE治療後24時間で試験した阻害薬の任意の用量で検出されなかった。これらの知見により、CBE曝露後に観察されたα−シヌクレインレベルの増加が増強された発現によるものではないことが示される(図3b)。GCase阻害薬で治療された細胞内に顕性の毒性がないことに留意した。組織培養において、神経細胞の表現型に分化した、CBEに曝露された神経芽細胞腫細胞内のα−シヌクレインの免疫反応性の増加を観察した。
【0111】
(実施例3)
CBE曝露のin vivoにおける影響
黒質内のα−シヌクレインのタンパク質レベル:C57BL/6マウスをCBEの単回注射に曝露し、48時間のα−シヌクレインの変化について評価して、減弱したGCase活性が、特に黒質内でin vivoでのタンパク質の変更に関連するか否かを決定した。以前の報告が、この時点でα−シヌクレインレベルの増強を示しているため、このスケジュールを選択した(Vilaら、2000年、Manning−Bogら、2002年)。CBE対DMSO(ビヒクル)により治療されたマウスの腹側中脳から得られた組織ホモジネートにおいて、α−シヌクレイン免疫反応性をウエスタンブロット分析により評価した。(19kDaで)タンパク質の単量体の形態を示す、より密度の高いα−シヌクレイン陽性バンドを、上澄み画分の変更をせずに、微粒子画分中でCBE対DMSOへの曝露後48時間で検出した(図4)。α−シヌクレインのより高分子の形態の免疫反応性(すなわち、SDS安定性凝集物)をこれらの条件下で観察しなかった。
【0112】
腹側中脳中のα−シヌクレインのタンパク質レベル:腹側中脳内のCBE曝露のα−シヌクレイン対する効果を、やはり免疫組織化学で組織学的に評価した。CBEまたはDMSO曝露後48時間でマウスから得られた黒質を含む冠状切片を、α−シヌクレインに対して得られた抗体(すなわち、Syn−1)を用いて免疫染色した。切片のその後の評価は、頑強な免疫反応性を、治療されたマウス対対照マウスの黒質緻密部の細胞体内で観察し(図5a、6)、α−シヌクレインに対する免疫反応性の増強が、毒物曝露のPDモデルにおけるα−シヌクレイン応答を暗示する、A9ニューロンの細胞質および細胞核(図5a、6)内で検出されたことを明らかにした(Vilaら 2000年;Manning−Bogら 2002年;Goersら 2004年)。α−シヌクレインの明らかな変化は、マウスへのCBEの単回投与後48時間に皮質(図5b)および海馬など、他の脳領域において観察されなかった。
【0113】
アストロサイト中のα−シヌクレインのタンパク質レベル:黒質含有組織切片を、アストロサイトのマーカーに対する抗体、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を用いて免疫染色した。単回全身治療への曝露後48時間で、アストログリアの活性化は、GFAP免疫反応性によって観察された通り、黒質内において明らかであった(図6)。二重標識免疫蛍光分析では、増強されたα−シヌクレインはまた、CBE曝露後の黒質の活性化されたアストロサイト内で検出されたことが明らかにされ(図6)、類似の機序(例えば、異常なタンパク質蓄積および/または輸送)がアストログリアならびにニューロンに寄与し得るということを示唆している。これらの条件下でのアストロサイト内のα−シヌクレインの存在は、ゴーシェ病ならびにPDおよび/またはPD様疾患に関連し得る。ニューロンから放出された細胞外α−シヌクレインは、周囲のアストログリア中に溶解されることができ;実際、かかるイベントは、アストロサイトの活性化に寄与すると仮定されている(Croisier and Graeber、2006年、Braakら、2007年、Lee、2008年)。あるいは、アップレギュレーションは、アストロサイト中のα−シヌクレインレベルの増加を担っている可能性がある。α−シヌクレインは、培養されたヒトのアストロサイトにおいて検出されており、その発現レベルはサイトカイン曝露に応答性である(Tanjiら、2001年)。最近では、VitnerおよびFutermanは、CBEでチャレンジしたアストログリアの培養が、α−シヌクレインmRNAの発現を増強していることを報告しており、転写の増加は、アストロサイト中のα−シヌクレインレベルの増大に少なくとも一部で寄与し得るということを示唆している(2008年)。
【0114】
単一用量後のα−シヌクレインの増加およびアストログリオーシスの証拠、これは、グルコセレブロシダーゼ活性のほんのわずかな変化が細胞のα−シヌクレイン代謝を修正し、変性イベントのカスケードを誘発し得るということが示される。
【0115】
老齢マウスにおけるα−シヌクレイン中のタンパク質レベル:図7は、CBE対DMSOにより亜慢性的に治療した老齢マウスの黒質内のα−シヌクレイン発現の増加を示す。グルコセレブロシダーゼ阻害を持続させると、α−シヌクレイン発現タンパク質のレベルの増加を促進する可能性がある。
【0116】
α−シヌクレインのタンパク質レベルの増加およびα−シヌクレインの転写変化の欠如は、分解の減少によるものとなり得る。ユビキチン−プロテアソーム系は損なわれ得る(総説については、Hruskaら 2006年を参照のこと)。しかし、追加的もしくは選択的に変更されたリソソーム機能は、動物においてα−シヌクレインクリアランスに干渉し得る。CBEでα−シヌクレインの分布を変更すると、タンパク質の正常な細胞内局在(したがって、正常な機能)がゴーシェ病において乱され得るということが示唆される。
【0117】
糖脂質を蓄積するためのタンパク質のリソソームα−シヌクレインクリアランスおよび/または結合の低下(Leeら 2004年;Schlossmacherら 2005年)はまた、正常なα−シヌクレイン代謝、輸送および最終的に、機能の変更に寄与し得る。この可能性の裏付けにおいて、本明細書に提供されるデータによれば、α−シヌクレインの正常な細胞分布がCBEによるGCase阻害後撹乱されることが示される。マウスへのCBE曝露後、神経細胞の細胞体内のタンパク質の蓄積を示し(図3、4)、さらに、α−シヌクレインの腹側中脳レベルが微粒子画分を増加したことを示し(図4)、α−シヌクレイン溶解性および/またはその輸送の変更を示唆している。病的でない条件下で、α−シヌクレインは、シナプスへのその送達を媒介する脂質ラフトと共存するが、変更された脂質代謝の条件下で、この関連は乱される(Fortinら、2004年)。その結果、神経突起から細胞体へのタンパク質の再分布は、異常なおよび潜在的に有毒なα−シヌクレイン種の形成をもたらし得るシナリオを行う(Fortinら、2004年)。このような状況で、減弱したGCase活性または脂質代謝の他の制御因子による正常なα−シヌクレイン脂質相互作用の乱れは、細胞の変性および/または細胞の死亡をもたらす経路を表し得る。
【0118】
細胞の変性:図8は、CBE治療マウスから得られた黒質ニューロン中で銀もくの蓄積を示すが、DMSO治療マウスでは示さない。これは、CBE治療マウスの黒質内でニューロンを変性していることを示し、グルコセレブロシダーゼ阻害が、動物において黒質の細胞死をもたらすことを実証している。
【0119】
(実施例4)
ヒトの脳におけるα−シヌクレインの変更
図9は、ゴーシェ突然変異を保持するパーキンソン病を伴う患者の脳におけるα−シヌクレインの変更を示す。写真で示されるのは、Gau+/−脳から得られたサンプルのα−シヌクレインのウエスタンブロット分析である。
【0120】
(実施例5)
パーキンソン病の治療のための式2の医薬組成物の投与
63歳男性を、パーキンソン病と診断する。男性を、一連の運動試験を実施してから診断する。患者に、式2の化合物の医薬組成物を投与し、投与は1日3回各食後約15分で服用する単回経口錠剤である。約180日の期間、薬剤を継続してから、患者の運動状態を評価する。
【0121】
(実施例6)
ゴーシェ病の治療のためのα−シヌクレインを調節する薬剤の医薬組成物の投与
28歳女性を、ゴーシェ病と診断する。軽度の骨粗鬆症、貧血、脾臓サイズの変化(脾腫)、および皮膚の色素沈着の変化などの生理学的な測定に加えて、女性を遺伝子的に検査する。遺伝子検査後、女性は、β−グルコシダーゼ遺伝子中でホモ接合劣性点変異、N370Sを保持していることが決定される。女性は、必ずしも疾患の過程によって引き起こされることを決定されない、いくつかの不定期な健忘症を除いて外見上の神経症状を示していない。女性は、表1の5つの化合物の医薬組成物が、特にα−シヌクレインを調節することによってゴーシェ病の症状を軽減するその能力について試験される、二重盲検臨床試験に登録する。女性は、約90日間、化合物の1つを投与され、その間、他のゴーシェ病に関連する薬剤を中止する。女性に、約90日の期間中薬物を1日2回舌下投与する。90日の終わりに、いくつかの生理的変数を測定して、脾臓測定、骨状態の評価、貧血状態の評価、および皮膚色素沈着の評価を含めて、臨床試験に対する女性の応答を測定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする被験体において状態を治療する方法であって、前記被験体に対して脂質代謝を変更する薬剤を投与する工程を含み、前記状態がα−シヌクレイン機能障害によって特徴付けられる方法。
【請求項2】
前記状態が、パーキンソン病、認知症を併発したパーキンソン病、レビー小体認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異体、ハンチントン病、パーキンソニズムを伴うアルツハイマー病、および多系統萎縮症からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
α−シヌクレイン機能障害が、α−シヌクレイン細線維化、ユビキチン化、輸送、細胞内の区画化、シナプスターゲティング、リソソームの貯蔵、および脂質相互作用における機能障害によってさらに特徴付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脂質代謝が、セラミドレベルを低下することによって変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
セラミドレベルが、MDR阻害薬によって低下される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
脂質代謝が、少なくとも1種のスフィンゴ糖脂質の沈着を減少させることによって変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
脂質代謝が、スフィンゴ糖脂質代謝を変更することによって変更される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記スフィンゴ糖脂質がグルコセレブロシドである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記脂質代謝を変更する薬剤が、MDR阻害薬、グルコセレブロシダーゼ、およびHMG−CoA還元酵素阻害薬からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤がHMG−CoA還元酵素阻害薬であり、前記HMG−CoA還元酵素阻害薬がスタチンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記薬剤がMDR阻害薬であり、前記MDR阻害薬がイミダゾール誘導体および式1a、1b、または2の化合物から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
式2の化合物が、遊離の化合物の形態でまたはその薬学的に許容されるプロドラッグ、代謝産物、類似体、誘導体、溶媒和物もしくは塩として、以下の式
【化9】


を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬剤がMDR阻害薬であり、前記MDR阻害薬が、カルシウムチャネル遮断薬、カルモジュリン阻害薬、抗生物質、心血管治療薬、アントラサイクリンおよびビンカアルカロイドの無細胞毒性類似体、シクロスポリンA、FK−506、およびシクロペプチドの誘導体からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
治療を必要とする被験体において状態を治療する方法であって、被験体に対してα−シヌクレイン機能障害を治す薬剤を投与する工程を含み、前記状態が、変更された脂質代謝によって特徴付けられる方法。
【請求項15】
前記変更された脂質代謝が、グルコセレブロシドの蓄積である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記状態が、ゴーシェ病、ファブリー病、リソソーム蓄積症、脂質貯蔵病、糖タンパク質貯蔵病、ムコリピドーシス、ガングリオシドーシス、白質ジストロフィー、ムコ多糖症、ニーマン・ピック病、テイ・サックス病、ハンター症候群、ハーラー病、サンドホフ病および嚢胞性線維症からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記α−シヌクレイン機能障害を治す薬剤が、アポモルヒネ、ピロガロール、1,4−ナフトキノン、シスプラチン、イソプロテレノール、ピロガリン、シアニダノール、スルファサラジン、キナリザリン、ベンセラジド、ヘキサクロロフェン、ピルビニウムパモエート、ドブタミン、メチルドパ、クルクミン、塩化ベルベリン、ダイゼイン、メルブロミン、ノルエピネフリン、ドパミン塩酸塩、カルビドパ、エチルノルエピネフリン塩酸塩、タンニン酸、エライジホスホコリン、ヒドロキノン、クロロフィリドCu複合体Na塩、メチルドパ、イソプロテレノール塩酸塩、ベンセラジド塩酸塩、ドパミン、ドブタミン塩酸塩、甲状腺ホルモン、プルプリン、ナトリウムβ−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート、ランソプラゾール、ジクロニン塩酸塩、プラモキシン塩酸塩、アゾベンゼン、セファマンドールナトリウム、セファロリジン、ミリセチン、6,2’,3’−トリヒドロキシフラボン、5,7,3’,4’,5’−ペンタヒドロキシフラボン、7,3’,4’,5’−テトラヒドロキシフラボン、(5,6,7,4’−テトラヒドロキシフラボン)、バイカレイン、エリオジクチオール、7,3’,4’−トリヒドロキシイソフラボン、没食子酸エピガロカテキン、ケルセチン、ゴシペチン(3,5,7,8,3’,4’−ヘキサヒドロキシフラボン)、2’,3’−ジヒドロキシフラボン、3’,4’−ジヒドロキシフラボン、5,6−ジヒドロキシ−7−メトキシフラボン、バイカレイン−7−メチルエーテル、l−ドパ、DOPAC、ホモゲンチジン酸、6−ヒドロキシドパミン、エピネフリン、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、2,3−ジヒドロキシナフタレン、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3−トリヒドロキシ安息香酸、ガレート(没食子酸)、ベンゾキノン、カテコール、リファンピシン、ロスマリン酸、バイカリン、タンシノンIおよびII、エモジン、プロシアニジンB4、レスベラトロール、ルチン、フィセチン、ルテオリン、フスチン、エピカテキンガレート、カテキン、アリザリン、タンニン酸、エリオジクチオール、カルボプラチン、プルプロガリン−4−カルボン酸、コパリン、2,3,4−トリヒドロキシ−4’−エテキシベンゾフェノン、ベオミセス酸、ヘマトキシリン、イリジノールヘキサアセテート、4−アセトキシフェノール、テアフラビンモノガレート、テアフラビンジガレート、スチクト酸、プルプロガリン、2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメトキシ−4’−エトキシベンゾフェノン、プロメタジン塩酸塩、オキシドパミン塩酸塩、ピランテルパモ酸塩、エライジルホスホコリン、アムホテリシンB、没食子酸、フマルプロトセトラル酸、テアフラビン、ヘマトキシリンペンタアセテート、4−メトキシダルベルギオン、エピガロカテキン−3−モノガレート、ロリテトラサイクリン、7,3’−ジメトキシフラボン、リキリチゲニンジメチルエーテル、カテキンペンタアセテート、アピゲニン、3,4−デデスメチル−5−デスヒドロキシ−3’−エトキシスクレロイン、それらの誘導体および類似体からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。

【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−508740(P2012−508740A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536351(P2011−536351)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056116
【国際公開番号】WO2010/056413
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509273444)パーキンソンズ インスティテュート (2)
【出願人】(308023631)
【出願人】(510148278)ニューラルタス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】