説明

変性されたペルフルオロプラスチック及びその製造法

本発明は化学の分野に関し、かつ、例えば摩擦材料において使用することができる変性されたペルフルオロプラスチック及びその製造法に関する。本発明の課題は、構造部材に加工されて同等の滑り特性及び改善された耐摩耗性をもたらす変性されたペルフルオロプラスチックを規定し、更に、このような変性されたペルフルオロプラスチックを製造するための容易でかつ効率的な方法を規定することである。前記課題は、表面が同時に−COOH−基及び/又は−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する変性されたペルフルオロポリマーから成る変性されたペルフルオロプラスチックにおいて、基を介して、及び/又は中心に、他の低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質及び/又はオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーが結合していることを特徴とする変性されたペルフルオロプラスチックにより解決される。前記課題は、更に、同時に−COOH−基及び/又は−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する変性されたペルフルオロポリマーを、置換反応により、及び/又は付加反応により、及び/又はラジカル反応により、他の物質と反応させることを特徴とする、変性されたペルフルオロプラスチックの製造法により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学の分野に関し、かつ、例えば摩擦材料において使用することができる変性されたペルフルオロプラスチック及びその製造法に関する。
【0002】
原子炉建築のための適当なポリマー材料を探索した際、PTFEが、 −その高い化学的及び熱的安定性とは対照的に− 極めて放射線に敏感であることが確認された。PTFEは、不活性条件下であっても酸素の存在下であっても、既に低エネルギー線量で分解され、既に0.2〜0.3kGyで脆性を示し、<100kGyで砕け易くなる。約360℃からは、純粋な放射線化学的な分解に、顕著に熱分解が重なる。
【0003】
放射線化学的な分解の確率過程のために、幅広い多様な鎖長を有する反応生成物が生じる。酸素の存在下にPTFEに照射した場合、まず第一に生じるペルフルオロアルキルラジカルからペルオキシラジカル及びアルコキシラジカルが形成される。アルコキシラジカルの形成の中間体を介して、末端ペルフルオロアルキルラジカルは連鎖短縮及びカルボニルジフルオリドの形成下に徐々に分解される。それに対して、側鎖アルコキシラジカルからは、ペルフルオロアルカン酸フッ化物及び末端ペルフルオロアルキルラジカルが生じる。
【0004】
【化1】

【0005】
極めて少量で、過フッ素化された二酸も形成され、それというのも、ペルフルオロ炭素鎖上に2つの側鎖ラジカル中心が生じることもできるためである。未焼結及び未圧縮のPTFE乳化重合体及びPTFE懸濁重合体は繊維状−フェルト状の特性を示す。例えばPTFEの付着防止特性及び滑り特性を、水性分散液又は有機性分散液、ポリマー、染料、塗料、樹脂又は滑剤への導入により他の媒体に移行させることは不可能であり、それというのも、このPTFEは均質化が不可能であり、凝固の傾向を示し、凝集し、浮遊又は沈殿してしまうためである。
【0006】
約100kGyのエネルギー線量を有するエネルギーに富む放射線の作用により、繊維状−フェルト状のポリマーから、ポリマー鎖の部分的な分解のために流動性の微粉末が得られる。この粉末はなおも脆い凝集物を含有し、該凝集物は容易に粒径<5μmの一次粒子に分割されることができる。反応物の存在下で照射する場合、官能基がポリマー中に組込まれる。照射が空気中で行われる場合、式(9.22)(及び後続の大気湿度による−COF−基の加水分解)によりカルボキシル基が得られる。照射の前に(NHSOを混合した場合、S含有基を得ることができる。この官能基はPTFEの疎水性及び疎有機性を本質的に低下させるため、得られた微粉末を良好に他の媒体と均質化させることができる。このPTFEのプラスの特性、例えば優れた滑り特性、分離特性及び乾燥潤滑特性並びに高い化学的及び熱的安定性は維持される。過フッ素化された鎖が結合しているカルボキシル基及びスルホ基は同様に高い化学的不活性を有する。
【0007】
PTFE及びその分解生成物(極めて低分子である生成物を除く)の不溶性のために、慣用の分子量測定の方法を用いることができない。分子量測定を間接的な方法で行わなければならない[A. Heger et al., Technologie der Strahlenchemie an Polymeren, Akademie-Verlag Berlin 1990]。
【0008】
しばしば、他の材料との非相容性は不利な結果をもたらす。(1)液体アンモニア中のナトリウムアミド及び(2)非プロトン性不活性溶剤中のアルカリアルキル−及びアルカリ−芳香族−化合物を用いた公知の方法によるPTFEの化学的活性化によって変性を達成することができる。この変性を介して、反応によって、又は吸着力によってのみ、改善された界面相互作用を達成することができる。
PTFEの分解生成物は多岐に亘る使用分野において利用され、例えば滑り特性又は付着防止特性の達成を目的としてプラスチックに対する添加剤としても利用される。微粉末物質は多少なりとも微細に分散されて充填剤成分としてマトリックス中に存在する[Ferse et al., Plaste u. Kautschuk, 29 (1982), 458; Ferse et al. DD-PS 146 716 (1979)]。マトリックス成分を溶解させた場合、PTFE微粉末は除去可能であるか又は回収される。
【0009】
PTFE微粉末の使用分野において、慣用のフルオロカーボン不含の添加剤と比較して特性の改善が達成されるが、非相容性、不溶性、緩い結合、更には不均一な分配は多くの使用分野に関して不利である。
【0010】
更に、表面に非単独重合エチレン性不飽和化合物がグラフトされているフッ素含有プラスチック粒子から成る、グラフトされたフッ素含有プラスチック(US5,576,106)は公知である。この場合、非単独重合エチレン性不飽和化合物は酸、エステル又は無水物であってよい。
【0011】
このグラフトされたフッ素含有プラスチックは、溶融法を用いて製造されたフッ素含有プラスチック粉末をエチレン性不飽和化合物の存在下にイオン化放射線の源にさらすことによって製造される。この場合、エチレン性不飽和化合物はフッ素含有プラスチック粒子の表面に結合する。
【0012】
本発明の課題は、構造部材に加工されて同等の滑り特性及び改善された耐摩耗性をもたらし、それにより構造部材のより長い寿命を達成することができる、変性されたペルフルオロプラスチックを規定し、更に、このような変性されたペルフルオロプラスチックを製造するための容易でかつ効率的な方法を規定することである。
【0013】
前記課題は請求項に記載された発明により解決される。他の態様は従属請求項の対象である。
【0014】
変性されたペルフルオロプラスチックは表面が同時に−COOH−基及び/又は−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する、酸素作用下に放射線化学的及び/又はプラズマ化学的に変性されたペルフルオロポリマーから成り、その際、若干又は全ての基を介して、及び/又は若干又は全ての中心に、後続の反応により他の低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質及び/又はオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマー又はその混合物が結合している。
【0015】
有利に、ペルフルオロポリマーは酸素作用下に50kGyより大きい線量で、更に有利に100kGyより大きい線量で放射線化学的に変性されている。
【0016】
同様に有利にペルフルオロポリマーとしてPTFEが使用されている。
【0017】
後続の反応がラジカル反応及び/又は置換反応及び/又は付加反応であることも有利である。
【0018】
反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心に、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー又はオレフィン性不飽和ポリマーが(共)重合により、及び/又はグラフトにより結合している場合も有利である。
【0019】
同様に、−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、物質が、生じたエステル結合及び/又はアミド結合に結合しており、この物質に有利に少なくとも1つの他の官能基が結合している場合も有利である。
【0020】
更に、−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、少なくとも1つの他の1級及び/又は2級アミノ基、又は、少なくとも1つの他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基を有する脂肪族アミノ化合物及び/又は芳香族アミノ化合物及び/又はアルキルアリール−アミノ化合物が結合している場合が有利である。
【0021】
更に、他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基として、無水カルボン酸、ジカルボン酸−及び/又はカルボン酸半エステル−化合物として無水物に再循環可能である無水カルボン酸誘導体、−COOH、−CO−ハロゲン、−COOR、−CO−OOR、−O−CO−OR、−SOH、−SONRR、−SO、−SO−ハロゲン、脂肪族及び/又は芳香族−OH、脂肪族及び/又は芳香族−SH、(メタ)アクリルエステル、(メタ)アクリルアミド誘導体、(メタ)アリル及び他のオレフィン性不飽和重合性化合物及び/又はポリマー、シアンヒドリン、−NCO、−NH−CO−OR、−NH−CS−OR、−NR−CO−NR*****、−NR−CS−NR*****、−CHO、−CORが結合しており、その際、R、R、R**及び/又はR***はアルキル−X、アリール−X又はアルキルアリール−Xを表すか、又は、R、R、R**及び/又はR***はNに結合してHを表すこともでき、かつ、Xは同じか又は異なる官能基を表し、m、n及びoは0以上の数を表す場合も有利である。
【0022】
反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心に、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー又はオレフィン性不飽和ポリマーが(共)重合により、及び/又はグラフトにより結合しており、−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、物質が、生じたエステル結合及び/又はアミド結合に結合しており、−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、少なくとも1つの他の1級及び/又は2級アミノ基、又は、少なくとも1つの他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基を有する脂肪族アミノ化合物及び/又は芳香族アミノ化合物及び/又はアルキルアリール−アミノ化合物が結合している場合も有利である。
【0023】
変性されたペルフルオロプラスチックの本発明による製造法において、同時に−COOH−基及び/又は−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する、酸素作用下に放射線化学的又はプラズマ化学的に変性されたペルフルオロポリマーを、置換反応により、及び/又は付加反応により、及び/又はラジカル反応により、低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質及び/又はオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーと反応させる。
【0024】
有利に、ペルフルオロポリマーは50kGyより大きい線量で、更に有利に100kGyより大きい線量で放射線化学的に変性される。
【0025】
更に有利に、ペルフルオロポリマーとして、密な形又は粉末形のPTFEが使用される。
【0026】
同様に有利に、放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマーは、粉末として、後続の温度処理により、低温で、更に有利に空気下で、−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心の保持下に処理される。
【0027】
放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマーとオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーとを反応させる場合が有利である。
【0028】
−COOH−基及び/又は−COF−基を、1級及び/又は2級アミノ基及び/又はヒドロキシ基及び/又はアミド基及び/又は尿素基及び/又はイソシアナート基及び/又はブロックトイソシアナート基/保護されたイソシアナート基及び/又はウレタン基及び/又はウレトジオン基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させる場合も有利である。
【0029】
更に、−COOH−基及び/又は−COF−基を、1級及び/又は2級アミノ基及び/又はヒドロキシ基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させる場合も有利である。
【0030】
更に、−COOH−基及び/又は−COF−基を、ヒドロキシ基及び/又はエポキシ基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させる場合も有利である。
【0031】
同様に、−COF−基をラクタム化合物又はアルコール化合物と反応させる場合も有利である。
【0032】
更に、−COOH−基及び/又は−COF−基を、アミド基及び/又は尿素基及び/又はイソシアナート基及び/又はブロックトイソシアナート基/保護されたイソシアナート基及び/又はウレタン基及び/又はウレトジオン基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と≧200℃の温度で反応させる場合も有利である。
【0033】
更に同様に、反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマー粉末を、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーと反応させ、−COOH−基及び/又は−COF−基を、1級及び/又は2級アミノ基及び/又はヒドロキシ基及び/又はアミド基及び/又は尿素基及び/又はイソシアナート基及び/又はブロックトイソシアナート基/保護されたイソシアナート基及び/又はウレタン基及び/又はウレトジオン基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させるか、又は−COOH−基及び/又は−COF−基を、ヒドロキシ基及び/又はエポキシ基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させるか、又は−COF−基をラクタム化合物又はアルコール化合物と反応させる場合も有利である。
【0034】
ペルフルオロポリマーの有利な放射線化学的変性の場合、反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心が生じ、これは驚異的にも、ラジカル反応によるモノマー及び/又はポリマーの結合、置換反応及び/又は付加反応が可能である。プラズマ処理の場合、表面的に類似の反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を生じさせ、前記の結合反応のために使用することができるが、この反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心は放射線化学的に製造された反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心と比較してその分布及び密度が最適でない。溶液中でのモノマーを用いたPTFEミクロ粉末変性の後、このPTFEミクロ粉末を分離及び精製した後のIR分光法により、ホモポリマー、コポリマー又はターポリマーの化学結合を変性バッチの調節に応じて検出することができ、即ち、ポリマー鎖はPTFEの抽出によってはもはや分離不可能であった。PTFEミクロ粉末と比較して、反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心なしでは、又は未結合のラジカル開始剤の存在下でも、変性されたPTFEミクロ粉末は生じず;PTFEミクロ粉末は塊状で定量的に、及び不変のまま分離することができた。
【0035】
本発明による解決法の場合、同時に存在する反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心及び−COOH−及び/又は−COF−基に、モノマー及び/又はポリマー又はその混合物がグラフト結合/化学結合される。
【0036】
重合されたグラフト枝構造体に相応して、当業者は、相容化及び/又は後続の化学反応/ポリマーを用いた変性によって、この変性されたペルフルオロプラスチックとマトリックスとの結合/相容化が実現され、これによって未変性の出発材料及び純粋なペルフルオロポリマーとプラスチックとから成る物理的混合物と比較して材料特性及び動摩擦特性の改善並びに耐摩耗性の向上がもたらされるか否かをその都度導き出すことができる。
【0037】
本発明による解決法の特別な利点は、エステル結合及び/又はアミド結合を介して変性されたペルフルオロプラスチックに結合している、少なくとも1つの他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基を有する物質にポリマーが結合し得ること、及び/又は、低分子物質からのポリマー合成反応を介してポリマー鎖が有利に粉末としての変性されたペルフルオロプラスチックに結合可能であり、これは未変性の出発材料及び純粋なペルフルオロプラスチックを含有する物理的混合物と比較して材料特性の改善並びに耐摩耗性の向上をもたらすという点にある。
【0038】
耐摩耗性の改善のために、モノマー及び/又はポリマー又はその混合物と結合している変性されたペルフルオロプラスチックを同時に、マトリックスと非相容性であり、かつ、摩擦係数の低下と同時に耐摩耗性の向上に寄与するPFPE添加剤(PFPE=ペルフルオロポリエーテル)のための貯蔵媒体として利用することは更に有利である。
【0039】
本発明によれば、例えばPTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025)及びPTFE懸濁重合体(Dyneon TF1750)に空気中で500kGyで照射することによって、本発明により変性されたペルフルオロプラスチックが製造される。酸素作用下で50kGyでの照射工程でPTFEミクロ粉末へと分解する間に、反応性PTFE−ラジカル中心及び−COOH−基及び/又は−COF−基が生じる。この反応性PTFE−ラジカル中心は先行技術によれば比較的高温での温度処理により除去されてしまい、それというのもこれはPTFEミクロ粉末の安定化に利用されるためである。同様に、−COF−基は温度処理の際に空中湿度の作用により大幅に−COOH−基に変換される。
【0040】
本発明によれば、反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心及び存在する−COF−基及び−COOH−基が出来る限り完全に維持されるように、温度処理は低温でかつ空気下でのみ実施される。ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心は意図的にオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーとのラジカル反応を用いた結合のためにグラフトに利用することができる。−COF−基及び/又は−COOH−基は意図的に、付加反応及び/又は置換反応を介した、少なくとも1つの他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基を有する試薬/物質の結合のために利用することができる。生じた反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心に結合可能なモノマー及び/又はポリマー及び−COOH−基及び/又は−COF−基に結合可能な物質は、(二価又は多価)官能価の同じか又は異なる反応基を有していてよく、その際、そのうち、後続の反応のための官能基も、有利に粉末としてのペルフルオロプラスチックの(表面)変性のために適当である場合がある。このモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの結合は、この場合分散液中か又は塊状で、又は溶融変性/溶融加工の間に溶融物中で実施することができる。このように、ラジカル結合されたペルフルオロプラスチックを製造することができる。
【0041】
分散液とは、本発明によれば、ペルフルオロポリマー粉末又はペルフルオロプラスチック粉末が液体中で溶解せずに存在し、モノマー(混合物)が液体を形成するか又は液体中に溶解して存在することであると解釈される。液体が過少である場合、分散液はペースト状の塊状物として存在することもできる。
【0042】
渦動化又は流動化された粉末としてのペルフルオロポリマー粉末又はペルフルオロプラスチック粉末を、有利に不活性ガス下でモノマー(混合物)の存在下に、粉末としての本発明により変性されたペルフルオロプラスチックに変換することが、塊状でのラジカル結合/反応であると解釈される。
【0043】
PTFEの他に、放射線変性及び/又はプラズマ変性において酸素作用下に反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心及び−COOH−基及び/又は−COF−基を形成して有する全ての他のフルオロポリマー化合物を、照射及び/又はプラズマ処理の後に本発明により使用し、変性/反応させることが可能である。ペルフルオロポリマー化合物とは、主鎖及び側鎖中に水素原子を含まない全ての過フッ素化オリゴマー及びポリマー(−COOHとしてのカルボン酸官能基上のプロトンを除く)であると解釈され、その際、C−C結合の部分もエーテル架橋を介して実現されていてよい。これには、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(ポリ[テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン])及びPFA(ポリ[テトラフルオロエチレン−コ−ペルフルオロプロピルビニルエーテル])並びにフルオロポリマーの特別な下位群としてのTeflon(R)AF (DuPont)及びCytop(R)が属する。
【0044】
当然のことながら、溶融物中又は溶液中における反応は、溶解するか又は溶融物に変換されることができ、かつ低分子物質及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーと反応することができる放射線及び/又はプラズマ変性されたペルフルオロポリマーのみを用いて行うことができる。
【0045】
結合によって、ラジカル反応により及び/又は置換反応により及び/又は付加反応により変性されるペルフルオロプラスチックは、マトリックス中への導入の後に改善された機械的及び摩擦学的特性を有する。本発明により変性されたペルフルオロプラスチックの使用は、特に動摩擦プロセスが重要な役割を果たすプロセスにおいて重要である。ラジカル反応により及び/又は置換反応により及び/又は付加反応により実現される、マトリックス材料との結合及び/又は相容化によって、良好な結合及び耐摩耗性の改善が達成され、それというのも、PTFE粒子は機械的応力の際にマトリックス材料から摩耗により脱離することができないためである。
【0046】
有利に変性されたPTFE物質/モノマー/ポリマー化合物は、マトリックスを有するグラフトポリマー枝と直接相互作用し、かつ/又は反応によるマトリックスとの化学結合を介して直接相互作用するため、物理的混合物と比較して、結合度に応じて改善された材料特性も認められる。
【0047】
本発明による解決法により、同等の動摩擦係数の際に改善された耐摩耗性、即ち適用における高められた寿命を有する新規の材料が得られる。更に、過フッ素化油、例えばPFPE(ペルフルオロポリエーテル)の添加により、動摩擦係数の更なる低下及び耐摩耗性の顕著な改善が達成され、その際、本発明により有利に変性されたPTFEモノマー/ポリマー化合物は付加的に貯蔵媒体として機能する。
【0048】
更に、本発明を複数の実施例で詳説する。
【0049】
実施例
比較例1
スチレン及びオリゴアミドを有するPTFEミクロ粉末
1リットルフラスコ中で、PTFE重合体(Zonyl MP 1600、未照射の重合体、DuPont、未処理)100gをε−カプロラクタム500ml中に100℃で分散/撹拌し、脱気し、窒素でパージする。PTFE−ε−カプロラクタム分散液に、100℃でスチレン(新たに蒸留されたもの)50mlを添加し、4時間撹拌する。引き続き、バッチを撹拌下に4時間240℃に加熱する。この場合ε−カプロラクタムを溶剤として利用する。
【0050】
分散液からの固体を分離し、交互に徹底的に一度DMAcで洗浄し、その後ギ酸で洗浄する。この手順を数回行った後、メタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0051】
分離し、精製したPTFEミクロ粉末のIR評価により、未照射かつ未処理のPTFEミクロ粉末を用いた場合、純粋な/未変性のPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であり、即ちグラフトないし結合反応が生じなかったことが判明した。PTFE材料10質量%をSEBS及びまたPA−6中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。前記材料を比較物質として摩擦学的試験のために使用した。
【0052】
実施例1
スチレン及びオリゴアミドを用いた照射されたPTFE乳化重合体の変性
試験の実施及び後処理を比較例1と同様に行ったが、但し500kGyで照射したPTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025)100gを使用した。
【0053】
精製された固体生成物のIR分光試験によって、PTFE、ポリスチレン及びオリゴアミド/ポリアミド間の化学結合の検出として、PTFEに加えて、極めて強度のポリスチレン吸収及び強度の(オリゴ/ポリ)アミド吸収が検出された。比較例1では、純粋なPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であった。
【0054】
このように変性されたPTFE材料10質量%をSEBS中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は比較例1と極めて類似して同等であるが、それに対して、変性されたPTFE材料はSEBSを含有するコンパウンド中で、SEBSを含有する物理的混合物(比較例1)と比較して55%への摩耗値の著しい低下を示していた。
【0055】
実施例2
スチレン及びオリゴアミドを用いた照射された懸濁重合体の変性
試験の実施及び後処理を比較例1と同様に行ったが、但し500kGyで照射したPTFE懸濁重合体(Dyneon TF 1750)100gを使用した。
【0056】
精製された固体生成物のIR分光試験によって、PTFE、ポリスチレン及びオリゴアミド/ポリアミド間の化学結合の検出として、PTFEに加えて、ポリスチレン吸収及び強度の(ポリ)アミド吸収が検出された。比較例1では、純粋なPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であった。
【0057】
このように変性されたPTFE材料10質量%をPA−6中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は比較例1と極めて類似して同等であるが、それに対して、変性されたPTFE材料はPA−6を含有するコンパウンド中で、PA−6を含有する物理的混合物(比較例1)と比較して45%への摩耗値の低下を示していた。
【0058】
実施例3
スチレン及びオリゴアミドを用いた、プラズマ処理されたPTFE重合体の変性
試験の実施及び後処理を比較例1と同様に行ったが、但し、PTFE重合体(Zonyl MP 1600、未照射の重合体、DuPont、プラズマ処理したもの)100gを使用した。
【0059】
精製された固体生成物のIR分光試験によって、PTFE、ポリスチレン及びオリゴアミド/ポリアミド間の化学結合の検出として、PTFEに加えて、極めて強度のポリスチレン吸収及び(ポリ)アミド吸収が検出された。比較例1では、純粋なPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であった。
【0060】
このように変性されたPTFE材料10質量%をSEBS中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は比較例1と極めて類似して同等であるが、それに対して、変性されたPTFE材料はSEBSを含有するコンパウンド中で、物理的混合物(比較例1)と比較して75%への摩耗値の低下を示していた。
【0061】
実施例4:
スチレンと無水マレイン酸とから成る混合物を用いた照射されたPTFE乳化重合体の変性及びε−カプロラクタムとの後続の反応
1リットルフラスコ中で、新たに酸素作用下に電子照射されたPTFE乳化重合体(Dyneon、TF 2025、500kGyで照射されたもの)100gをNMP500ml中で室温で分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。
【0062】
(a)分散液を100℃に加熱する。スチレン25ml及び無水マレイン酸25gを添加し、4時間撹拌する。引き続き、ε−カプロラクタム50gを添加し、温度を撹拌下に200℃に高め、8時間撹拌する。分散液からの固体を分離し、メタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0063】
(b)分散液を100℃に加熱する。スチレン25ml及び無水マレイン酸25gを添加し、4時間撹拌する。分散液からの固体を分離し、徹底的にDMAcで洗浄する。引き続き、生成物を溶融ε−カプロラクタム300gと混合し、240℃で8時間撹拌し、固体を分離し、メタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0064】
分離し、精製した変性PTFE粉末のIR評価により、(a)において、及び(b)においても、PTFE吸収に加えて、化学結合したPTFE−{スチレン−N(ε−カプロン酸)マレイミド}−オリゴアミド−ターポリマーが検出された。
【0065】
このように変性されたPTFE材料10質量%をPA−6中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は比較例1と極めて類似して同等であるが、それに対して、変性されたPTFE材料はPA−6を含有するコンパウンド中で、PA−6を含有する物理的混合物(比較例1)と比較して60%への摩耗値の低下を示していた。
【0066】
比較例2:
ε−カプロラクタムを含有するPTFEミクロ粉末
1リットルフラスコ中で、PTFEミクロ粉末(TF 9205、熱分解されたもの、Dyneon)100gを溶融物/溶液中でε−カプロラクタム500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。分散液を250℃に加熱し、8時間撹拌する。
【0067】
固体を分離し、徹底的にDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0068】
分離し、精製したPTFEミクロ粉末のIR評価により、純粋なPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であり、即ちPTFEとε−カプロラクタムとの間には反応が生じなかったことが判明した。
【0069】
エポキシ樹脂中へのPTFEミクロ粉末15質量%の導入の後で、及び板状の架橋及び試験体の製造の後で、摩擦学的試験をブロック/リング試験で実施した。前記材料を比較物質として摩擦学的試験のために使用した。
【0070】
実施例5:
ε−カプロラクタムを用いた照射されたPTFE乳化重合体の変性
試験の実施及び後処理を比較例2と同様に行ったが、但しPTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、500kGyで照射したもの)100gを使用した。
【0071】
分離し、精製した変性PTFE粉末のIR評価により、化学結合したPTFE−オリゴアミド−グラフトコポリマーが存在し、即ちPTFEとε−カプロラクタムとの間に反応が生じたことが判明した。IR中にはPTFEの他にアミド吸収が存在し、同時にスペクトル中で−COOH−及び−COF−吸収が消失した。比較例2において、即ち未照射かつ未処理のPTFEミクロ粉末を含有するバッチにおいて、純粋なPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であった。
【0072】
エポキシ樹脂中への変性されたPTFEミクロ粉末15質量%の導入の後で、及び板状の架橋及び試験体の製造の後で、摩擦学的試験をブロック/リング試験で実施した。摩擦学的試験によって、化学的に変性されたPTFE−オリゴアミド−材料は物理的混合物と同等の動摩擦係数を有するが、より高い耐摩耗性を認めることができることが判明した。化学結合した材料を用いたブロック/リング試験の際の摩耗は、比較例2における材料と比較して55%への摩耗の低下を示していた。
【0073】
実施例6:
ε−カプロラクタムを用いた照射されたPTFE懸濁重合体の変性
試験の実施及び後処理を比較例2と同様に行ったが、但しPTFE懸濁重合体(Dyneon TF 1750、500kGyで照射したもの)100gを使用した。
【0074】
分離し、精製したPTFEミクロ粉末のIR評価により、化学結合したPTFE−オリゴアミド−グラフトコポリマーが存在し、即ちPTFEとε−カプロラクタムとの間に反応が生じたことが判明した。IR中にはPTFEの他にアミド吸収が存在し、同時にスペクトル中で−COOH−及び−COF−吸収が消失した。比較例2において、即ち未照射かつ未処理のPTFEミクロ粉末を含有するバッチにおいて、純粋なPTFEのみがIRスペクトル中で検出可能であった。
【0075】
エポキシ樹脂中への変性されたPTFEミクロ粉末15質量%の導入の後で、及び板状の架橋及び試験体の製造の後で、摩擦学的試験をブロック/リング試験で実施した。摩擦学的試験によって、化学的に変性されたPTFE−オリゴアミド−材料は物理的混合物と同等の動摩擦係数を有するが、より高い耐摩耗性を認めることができることが判明した。化学結合した材料を用いたブロック/リング試験の際の摩耗は、比較例2における材料と比較して65%への摩耗の低下を示していた。
【0076】
実施例7:
ε−カプロラクタム及びGMAを用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFEミクロ粉末[PTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、500kGyで照射したもの)]100gを溶融物/溶液中でε−カプロラクタム500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。
【0077】
分散液を250℃に加熱し、8時間撹拌する。分散液を100℃に冷却し、触媒量の2−メチルイミダゾール、安定剤2g及びグリシジルメタクリラート(GMA)20mlを添加し、窒素下で更に4時間撹拌する。固体を分離し、徹底的にDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、GMAが結合している、化学結合したPTFE−オリゴアミドが検出された。ラジカル連鎖開始剤の添加下でのスチレンとの共重合において、IRによって、ポリスチレンとのグラフト/結合を検出することができた。250℃で8時間熱処理した後の生成物の比較試験において、PTFEミクロ粉末へのスチレン結合は検出不可能であった。
【0078】
このように変性されたPTFE材料10質量%をSEBS中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は比較例1と極めて類似して同等であるが、それに対して、変性されたPTFE材料はSEBSを含有するコンパウンド中で、物理的混合物(比較例1)と比較して70%への摩耗値の低下を示していた。
【0079】
実施例8:
GMAを用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、500kGyで照射したもの)100gを溶融物/溶液中でDMAc500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。
【0080】
分散液に、100℃でグリシジルメタクリラート(GMA)20mlを添加し、8時間撹拌する。固体を分離し、徹底的にDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、PTFEに、反応性エポキシ基を有するポリ−GMAが化学結合していることが判明した。実験室用混練機中でのPTFE−{ポリ−GMA}−粉末とカルボキシル基含有PBTとの溶融変性反応において、PBTとのグラフト/結合を検出することができた。
【0081】
このように変性されたPTFE材料10質量%をPBT中に実験室用混練機中で導入し、摩擦学的特性を試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は未変性のPTFE粉末とPBTとから成る材料と極めて類似して同等であるが、それに対して、変性されたPTFE材料はPBTを含有するコンパウンド中で、PBTを含有する物理的混合物と比較して40%への摩耗値の低下を示していた。
【0082】
実施例9:
ε−カプロラクタム及びGMAを用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、500kGyで照射したもの)100gを溶融物/溶液中でε−カプロラクタム500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。
【0083】
分散液に、100℃でグリシジルメタクリラート(GMA)20mlを添加し、8時間撹拌する。分散液を240℃に加熱し、窒素下に4時間撹拌する。固体を分離し、徹底的にDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、PTFEに、反応性エポキシ基とオリゴアミドとを有するポリ−GMAが化学結合していることが判明した。実験室用混練機中でのノボラックとの溶融変性反応において、ノボラックとのグラフト/結合を検出することができた。
このPTFE−ノボラック−系から試験体への加工及び摩擦学的試験により、この材料が、エポキシ樹脂がマトリックスを形成する比較例2と同等の摩擦係数及び高い耐摩耗性を有することが判明した。
【0084】
実施例10:
p−アミノフェノールを用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの)100gをDMAc500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。p−アミノフェノール20gを添加し、100℃で4時間撹拌する。固体生成物を分離し、まずDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、遊離フェノール基を有するPTFEにアミドとして化学結合しているp−アミノフェノールが検出された。
【0085】
(a)第一の変性反応においてGMAを結合させ、その後、検出として、共重合においてスチレンと反応させた。グラフト/結合として、IR分光法によるポリスチレン吸収を検出することができた。圧縮されたPTFE−ポリスチレン−生成物は、純粋なPTFE及び比較例1からの材料と同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び高い耐摩耗性を有していた。
【0086】
(b)第二の変性反応において、p−アミノフェノールが結合しているPTFE粉末を4,4’−ジフルオロ−ジフェニルスルホン及び4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテルと一緒に、縮合触媒の添加下に公知の規定によりポリスルホンに変換した。ポリスルホンの可溶分を除去した後、不溶性のPTFE固体生成物に関してIR分光法によるポリスルホン吸収帯域を検出することができ、即ち、ポリスルホンはPTFEに化学結合していた。圧縮されたPTFE−ポリスルホン−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い耐摩耗性を有していた。
【0087】
実施例11:
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの)100gをDMAc500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。4,4’−ジアミノジフェニルエーテル20gを添加し、100℃で4時間撹拌する。固体生成物を分離し、まずDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0088】
分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、PTFEにアミドとして化学結合している4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが検出された。
【0089】
後続の反応において、変性されたPTFEミクロ粉末に、検出として
(a)GMAを結合させ、これに共重合においてスチレンをグラフトさせ、かつ
(b)フェニルイソシアナートを後のポリ尿素への共有結合のためのモデルとしての尿素基の形成下に添加し、
IR分光法により検出することができた。
【0090】
後続の変性において、公知の規定により、PTFE生成物を、ジメチルアセトアミド(DMAc)中でのジイソシアナート(MDI:TDI=80:20の混合物)及びカルボン酸二無水物(ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物)からのポリイミド合成において使用した。可溶性のポリイミド分を分離した後、IR分光法によりPTFEに結合したポリイミドを検出することができた。圧縮されたPTFE−ポリイミド−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い耐摩耗性を有していた。
【0091】
実施例12:
1,6−アミノヘキサノールを用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの)100gをDMAc500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。1,6−アミノヘキサノール20gを添加し、100℃で4時間撹拌する。固体生成物を分離し、まずDMAcで洗浄し、その後メタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0092】
分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、PTFEにアミドとして化学結合している1,6−アミノヘキサノールが検出された。後続の反応において、検出として、フェニルイソシアナートを結合させ、これをその後ウレタンとしてIR分光法により検出することができた。
【0093】
このように変性されたPTFE粉末を実験室用混練機中でTPUと溶融物中で反応させた。可溶性のTPU分を分離した後、IR分光法により、化学結合したTPUを検出することができ、これをPTFEから溶解により分離することはできなかった。
【0094】
このように変性されたPTFE粉末を実験室用混練機中で更にPBTと(1)、PETと(2)、及びポリエステルエステルエラストマーと(3)溶融物中で反応させた。可溶性ポリエステル分を分離した後、全ての場合において、PTFEに結合したポリエステルをIR分光法により検出することができた。
【0095】
前記試験からの圧縮された材料は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数、及び、純粋な、PTFEで変性されていない出発材料に対して極めて良好な耐摩耗性を有していた。
【0096】
実施例13:
MDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)を用いたPTFE乳化重合体の変性
1リットルフラスコ中で、PTFE乳化重合体(TF 2025、Dyneon、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの)100gを温度処理して優先的に−COOH−基を存在させ、NMP(N−メチルピロリドン)500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。MDI20gを添加し、200℃で8時間撹拌し、その後ε−カプロラクタム10gを遊離イソシアナート基のブロック化のために添加する。固体生成物を分離し、まずDMAcで洗浄し、その後アセトンで洗浄し、乾燥させる。
【0097】
(a)変性されたPTFE粉末30質量%を実験室用混練機中でTPUと溶融物中で反応させ、引き続き可溶性のTPUを分離する。不溶性分に関して、IR分光法によりPTFE吸収に加えてTPUも検出された。
【0098】
摩擦学的試験により、純粋なPTFEと同等の極めて低い摩擦係数、及び、純粋な、PTFEで変性されていない出発材料に対して極めて良好な耐摩耗性を有していた。
【0099】
(b)変性されたPTFE粉末をNMP中に分散させ、MDI及び無水トリメリット酸をポリアミドイミド合成(PAI)の公知の方法によりまず140℃で4時間、その後180℃で更に8時間窒素及び還流冷却下に撹拌する。可溶性のPAI分を分離した後、PTFE残分に化学結合したPAIを検出することができた。
【0100】
摩擦学的試験により、純粋なPTFEと同等の極めて低い摩擦係数、及び、純粋な、PTFEで変性されていないPAIに対して極めて良好な耐摩耗性が判明した。
【0101】
実施例14:
ε−カプロラクタムを用いたPTFE乳化重合体の変性及び引き続くアニオンPA重合
1リットルフラスコ中で、優先的にCOF−基を有するPTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、500kGyで照射したもの)100gを溶融物/溶液中で高純度ε−カプロラクタム500ml中に分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。系に撹拌下に水素化カリウム0.5gを添加する。
【0102】
この分散液をゆっくりと180℃まで加熱する。反応系の加熱の間、アニオン重合が進行する。PTFE−PA−6−生成物を分離する。
【0103】
分析のために、PTFE−PA−6−固体生成物2gをギ酸中に溶解させ、未結合のPA−6−マトリックスを分離する。この操作を4回繰り返す。固体生成物をメタノールで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、化学結合したPTFEポリアミドが存在することが判明した。
【0104】
このようにアニオン重合により製造されたPTFE−PA−6−材料を摩擦学的特性に関して試験した。ブロック/リング試験における摩擦係数は純粋なPTFE及び比較例1からの材料と極めて類似して同等であるが、それに対して、このPTFE−PA−6−(注型ポリアミド)材料は物理的混合物(比較例1)と比較して45%への摩耗値の低下を示していた。
【0105】
実施例15
化学結合したPTFE−ポリアミドイミド−材料(PTFE−PAI)へのPTFE乳化重合体の変性
500mlの三ッ口フラスコ中でポリアミドイミド(Torion, Solvay)50gを(無水)NMP250ml中に撹拌下に100℃で溶解させる。溶液にPTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの)10gを添加し、分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。分散液を引き続き還流加熱及び不活性ガス雰囲気下に200℃で8時間撹拌する。約50℃に冷却した後、固体生成物をメタノール中での沈殿により分離し、乾燥させる。
【0106】
結合の検出のために、沈殿した固体生成物約5gをNMP20ml中で100℃で撹拌する。冷却後、遠心分離し、上澄み溶液を傾瀉する。可溶性のPAI分の分離をこの手順に従って5回繰り返す。その後、残分をフリットで濾過し、NMPで、次いでアセトンで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、PAIがPTFEに抽出不可能な状態で結合して存在することが判明した。
【0107】
圧縮されたPTFE−ポリアミドイミド−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い耐摩耗性を有していた。
【0108】
実施例16
直接合成による、化学結合したPTFE−ポリアミドイミド−材料へのPTFE乳化重合体の変性
500mlの三ッ口フラスコ中に(無水)NMP250mlを装入し、撹拌下に室温でPTFE懸濁重合体(Dynon TF 1750、空中酸素の存在下に1000kGyで新たに照射したもの)10g及びMDI(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート)63.5gを添加し、分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。分散液を引き続き不活性ガス雰囲気下に140℃で1時間撹拌する。その後、TMAn(無水トリメリット酸)48gを添加し、分散液を撹拌下に不活性ガス雰囲気中でゆっくりと180℃に加熱し、8時間撹拌させる。約50℃に冷却した後、固体生成物をメタノール中での沈殿により分離し、乾燥させる。
【0109】
結合の検出のために、実施例15と同様に、沈殿した固体生成物約5gをNMP20ml中で100℃で撹拌する。冷却後、遠心分離し、上澄み溶液を傾瀉する。可溶性のPAI分の分離をこの手順に従って5回繰り返す。その後、残分をフリットで濾過し、NMPで、次いでアセトンで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、PAIがPTFEに抽出不可能な状態で結合して存在することが判明した。
【0110】
圧縮されたPTFE−ポリアミドイミド−生成物は、実施例15と同様に、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い耐摩耗性を有していた。
【0111】
実施例17
化学結合したPTFE−ポリイミド−材料(PTFE−PI)へのPTFE乳化重合体の変性
500mlの三ッ口フラスコ中にポリイミド(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及びNMP中の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート:トルイレンジイソシアナート=20:80の割合の混合物から製造されたもの)50gを(無水)NMP250ml中で撹拌下に100℃で溶解させる。溶液にPTFE乳化重合体(Dyneon TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの)10gを添加し、分散/撹拌し、脱気し、純窒素でパージする。分散液を引き続き還流加熱及び不活性ガス雰囲気下に200℃で8時間撹拌する。約50℃に冷却した後、固体生成物をメタノール中での沈殿により分離し、乾燥させる。結合の検出のために、沈殿した固体生成物約5gをNMP20ml中で100℃で撹拌する。冷却後、遠心分離し、上澄み溶液を傾瀉する。可溶性のポリイミド分の分離をこの手順に従って5回繰り返す。その後、残分をフリットで濾過し、NMPで、次いでアセトンで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、ポリイミドがPTFEに抽出不可能な状態で結合して存在することが判明した。
【0112】
圧縮されたPTFE−ポリイミド−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い熱形状安定性及び耐摩耗性を有していた。
【0113】
実施例18
直接合成による、化学結合したPTFE−ポリイミド−材料(PTFE−PI)へのPTFE乳化重合体の変性
500mlの三ッ口フラスコ中で、NMP(無水、蒸留したもの)250ml中に、撹拌下に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)5g、トルイレンジイソシアナート(TDI;2,4−TDI:2,6−TDI=80:20から成る混合物)13.9g及びPTFE乳化重合体(Dynon TF 2025、空中酸素の存在下に新たに1000kGyで照射したもの)10gを添加し、160℃で1時間純窒素通気下に撹拌する。分散液に引き続き3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.2gを添加する。分散液を撹拌及び純窒素通気下にゆっくりと180℃に加熱し、180℃で14時間撹拌する。約50℃に冷却した後、固体生成物をメタノール中での沈殿により分離し、乾燥させる。
【0114】
結合の検出のために、沈殿した材料約5gをNMP20ml中で100℃で撹拌する。冷却後、遠心分離し、上澄み溶液を傾瀉する。可溶性のポリイミド分の分離をこの手順に従って5回繰り返す。その後、残分をフリットで濾過し、NMPで、次いでアセトンで洗浄し、乾燥させる。分離した変性PTFEミクロ粉末のIR評価により、ポリイミドがPTFEに抽出不可能な状態で結合して存在することが判明した。
【0115】
圧縮されたPTFE−ポリイミド−生成物は、実施例16と同様に、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い熱形状安定性及び耐摩耗性を有していた。
【0116】
実施例19
直接合成Aによる、化学結合したPTFE−ポリエーテルエーテルケトン(PTFE−PEEK)へのPTFE乳化重合体の変性
撹拌機、高純度窒素通気装置及びマイクロ蒸留装置を備えた250mlの三ッ口フラスコ中で、NMP(N−メチルピロリドン)150ml中に、p−アミノフェノール変性PTFEミクロ粉末(実施例10により製造されたもの)5g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン22.05g、ビス−シリル化ヒドロキノン25.45g及び過剰の無水炭酸カリウム15gを触媒としてのフッ化セシウムの存在下で装入し、PEEK製造の公知の規定により反応させる。
【0117】
分析:この分散液30mlを冷却後に遠心分離し、上澄み溶液を傾瀉し、再度NMPと撹拌し、遠心分離する。引き続き、固体をメタノールと撹拌し、吸引濾過し、乾燥させる。固体物質を濃硫酸中に撹拌導入し、50℃で4時間撹拌し、一晩放置する(PEEK鎖のスルホン化)。分散液を慎重にフリットで濾過し、半濃縮された硫酸で洗浄する。受け器を交換した後、残分を徹底的に水及びメタノールで洗浄し、乾燥させる。分離した固体生成物のIR評価により、PTFE上に化学結合したPEEK(スルホン化されたもの)が存在していることが判明し、これは抽出不可能であった。変性されたPTFEミクロ粉末の代わりに熱分解されたPTFEミクロ粉末Dyneon TF 9205のみを使用した比較反応では、固体生成物の分離及び精製の後に、IR分光法によって純粋なPTFEのみを検出することができ、これは間接的に化学結合を証明するものである。
【0118】
バッチからの分散液の主要量を約50℃に冷却した後にメタノール/水(1:1)中で沈殿させ、吸引濾過し、水、メタノール及びアセトンで洗浄し、乾燥させる。
【0119】
圧縮されたPTFE−PEEK−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い熱形状安定性及び耐摩耗性を有していた。
【0120】
実施例20
直接合成Bによる、化学結合したPTFE−ポリエーテルエーテルケトン(PTFE−PEEK)へのPTFE乳化重合体の変性
撹拌機、高純度窒素通気装置及びマイクロ蒸留装置を備えた250mlの三ッ口フラスコ中で、NMP150ml中に、新たに照射し後処理していないPTFEミクロ粉末(PTFE乳化重合体Dyneon、TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの、PTFE上に優先的にカルボニルフルオリド基を有する)5g、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン22.05g、ビス−シリル化ヒドロキノン25.45g及び過剰の無水炭酸カリウム15gを触媒としてのフッ化セシウムの存在下で装入し、PEEK製造の公知の規定により反応させる。
【0121】
分析:実施例19による後処理;分離した固体生成物のIR評価により、実施例19と同様に、PTFE上に化学結合したPEEK(スルホン化されたもの)が存在していることが判明し、これは抽出不可能であった。
【0122】
分散液の主要量を実施例19に従って後処理する。
【0123】
圧縮されたPTFE−PEEK−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い熱形状安定性及び耐摩耗性を有していた。
【0124】
実施例21
化学結合したPTFE−ポリエーテルエーテルケトン(PTFE−PEEK)へのPTFE乳化重合体の変性
撹拌機、高純度窒素通気装置及びマイクロ蒸留装置を備えた500mlの三ッ口フラスコ中で、ジフェニルスルホン150ml中にPEEK30gを320℃で撹拌下に溶解させる。溶液を約270℃に冷却し、新たに照射し後処理していないPTFEミクロ粉末(PTFE乳化重合体Dyneon、TF 2025、空中酸素の存在下に新たに500kGyで照射したもの、PTFE上に優先的にカルボニルフルオリド基を有する)5gを添加し、270℃で2時間、更にもう一度320℃で1時間撹拌する。
【0125】
冷却した際にポリマーが析出する。
【0126】
分析:分散液を約180℃に冷却した後、NMP約100mlを添加し、この分散液50mlを引き続き実施例19と同様に後処理する。分離した固体生成物のIR評価により、PTFE上に化学結合したPEEK(スルホン化されたもの)が存在していることが判明し、これは抽出不可能であった。
【0127】
NMPで希釈された分散液の主要量を実施例19と同様に後処理する。
【0128】
圧縮されたPTFE−PEEK−生成物は、純粋なPTFEと同等の摩擦学的に極めて低い摩擦係数及び極めて高い熱形状安定性及び耐摩耗性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が同時に−COOH−基及び/又は−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する、酸素作用下に放射線化学的及び/又はプラズマ化学的に変性されたペルフルオロポリマーから成る変性されたペルフルオロプラスチックにおいて、若干又は全ての基を介して、及び/又は若干又は全ての中心に、後続の反応により他の低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質及び/又はオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマー又はその混合物が結合していることを特徴とする、変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項2】
ペルフルオロポリマーが酸素作用下に放射線化学的に変性されている、請求項1記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項3】
ペルフルオロポリマーが50kGyより大きい線量で放射線化学的に変性されている、請求項2記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項4】
ペルフルオロポリマーが100kGyより大きい線量で放射線化学的に変性されている、請求項2記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項5】
ペルフルオロポリマーとしてPTFEが使用されている、請求項1記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項6】
後続の反応がラジカル反応及び/又は置換反応及び/又は付加反応である、請求項1記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項7】
反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心に、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー又はオレフィン性不飽和ポリマーが(共)重合により、及び/又はグラフトにより結合している、請求項6記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項8】
−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、物質が、生じたエステル結合及び/又はアミド結合に結合している、請求項6記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項9】
エステル結合及び/又はアミド結合を介して結合している物質に、少なくとも1つの他の官能基が結合している、請求項8記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項10】
−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、少なくとも1つの他の1級及び/又は2級アミノ基、又は、少なくとも1つの他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基を有する脂肪族アミノ化合物及び/又は芳香族アミノ化合物及び/又はアルキルアリール−アミノ化合物が結合している、請求項6記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項11】
他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基として、無水カルボン酸、ジカルボン酸−及び/又はカルボン酸半エステル−化合物として無水物に再循環可能である無水カルボン酸誘導体、−COOH、−CO−ハロゲン、−COOR、−CO−OOR、−O−CO−OR、−SOH、−SONRR、−SO、−SO−ハロゲン、脂肪族及び/又は芳香族−OH、脂肪族及び/又は芳香族−SH、(メタ)アクリルエステル、アリル及び他のオレフィン性不飽和重合性化合物及び/又はポリマー、シアンヒドリン、−NCO、−NH−CO−OR、−NH−CS−OR、−NR−CO−NR*****、−N−CS−R*****、−CHO、−CORが結合しており、その際、R、R、R**及び/又はR***はアルキル−X、アリール−X又はアルキルアリール−Xを表すか、又は、R、R、R**及び/又はR***はNに結合してHを表すこともでき、かつ、Xは同じか又は異なる官能基を表し、m、n及びoは0以上の数を表す、請求項10記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項12】
反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心に、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー又はオレフィン性不飽和ポリマーが(共)重合により、及び/又はグラフトにより結合しており、−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、物質が、生じたエステル結合及び/又はアミド結合に結合しており、−COOH−基及び/又は−COF−基との反応を介して、少なくとも1つの他の1級及び/又は2級アミノ基、又は、少なくとも1つの他の反応性又は反応的に変性可能な又は反応的に活性化可能な官能基を有する脂肪族アミノ化合物及び/又は芳香族アミノ化合物及び/又はアルキルアリール−アミノ化合物が結合している、請求項6記載の変性されたペルフルオロプラスチック。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の変性されたペルフルオロプラスチックの製造法において、同時に−COOH−基及び/又は−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する、酸素作用下に放射線化学的又はプラズマ化学的に変性されたペルフルオロポリマーを、置換反応により、及び/又は付加反応により、及び/又はラジカル反応により、低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質及び/又はオレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーと反応させることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の変性されたペルフルオロプラスチックの製造法。
【請求項14】
ペルフルオロポリマーを放射線化学的に変性させる、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ペルフルオロポリマーを50kGyより大きい線量で放射線化学的に変性させる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
ペルフルオロポリマーを100kGyより大きい線量で放射線化学的に変性させる、請求項13記載の方法。
【請求項17】
ペルフルオロポリマーとして、密な形又は粉末形のPTFEを使用する、請求項13記載の方法。
【請求項18】
放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマー粉末を、後続の温度処理により、低温で−COF−基及び反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心の保持下に処理する、請求項13記載の方法。
【請求項19】
放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマー粉末を、後続の温度処理により湿潤空気で処理する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマーを、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーと反応させる、請求項13記載の方法。
【請求項21】
−COOH−基及び/又は−COF−基を、1級及び/又は2級アミノ基及び/又はヒドロキシ基及び/又はアミド基及び/又は尿素基及び/又はイソシアナート基及び/又はブロックトイソシアナート基/保護されたイソシアナート基及び/又はウレタン基及び/又はウレトジオン基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させる、請求項13記載の方法。
【請求項22】
−COOH−基及び/又は−COF−基を、1級及び/又は2級アミノ基及び/又はヒドロキシ基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
−COOH−基及び/又は−COF−基を、ヒドロキシ基及び/又はエポキシ基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させる、請求項13記載の方法。
【請求項24】
−COF−基をラクタム化合物又はアルコール化合物と反応させる、請求項13記載の方法。
【請求項25】
−COOH−基及び/又は−COF−基を、アミド基及び/又は尿素基及び/又はイソシアナート基及び/又はブロックトイソシアナート基/保護されたイソシアナート基及び/又はウレタン基及び/又はウレトジオン基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と≧200℃の温度で反応させる、請求項13記載の方法。
【請求項26】
反応性ペルフルオロアルキル−(ペルオキシ−)ラジカル中心を有する放射線化学的に変性されたペルフルオロポリマー粉末を、オレフィン性不飽和モノマー及び/又はオレフィン性不飽和オリゴマー及び/又はオレフィン性不飽和ポリマーと反応させ、−COOH−基及び/又は−COF−基を、1級及び/又は2級アミノ基及び/又はヒドロキシ基及び/又はアミド基及び/又は尿素基及び/又はイソシアナート基及び/又はブロックトイソシアナート基/保護されたイソシアナート基及び/又はウレタン基及び/又はウレトジオン基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させるか、又は−COOH−基及び/又は−COF−基を、ヒドロキシ基及び/又はエポキシ基を含む低分子及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーの物質との反応において、後続の化学反応をし得る(マクロ)分子中の少なくとも1つの他の官能基と>150℃の温度で反応させるか、又は−COF−基をラクタム化合物又はアルコール化合物と反応させる、請求項13記載の方法。

【公表番号】特表2007−510029(P2007−510029A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537285(P2006−537285)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052621
【国際公開番号】WO2005/042597
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500525405)ライプニッツ−インスティチュート フュア ポリマーフォルシュング ドレスデン エーファウ (8)
【氏名又は名称原語表記】Leibniz−Institut fuer Polymerforschung Dresden e.V.
【住所又は居所原語表記】Hohe Strasse 6,D−01069 Dresden,Germany
【Fターム(参考)】