説明

変性ポリオレフィン樹脂の製造方法

【課題】連続的に製造することができる変性ポリオレフィン樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】塊状のポリオレフィン樹脂(A)と、前記ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、少なくとも1種の不飽和基(a)と少なくとも1種の極性基(b)とを有する化合物(B)0.01〜20重量部と、有機過酸化物(C)0.001〜10重量部とを押出機(I)に供給する工程、および、前記ポリオレフィン樹脂(A)と前記化合物(B)と前記有機過酸化物(C)とを溶融混練する工程とを含み、前記押出機(I)がコニカル型押出機、ならびに、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備え、前記ポリオレフィン樹脂(A)をコニカル型押出機に供給することを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ポリオレフィン樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低融点のポリオレフィン樹脂は互着性が高く小粒のペレット形状を保持することが困難であるため、通常は塊状のベールまたはペレットとして製造される。塊状のベールやペレットを変性する場合、特許文献1に記載の如く、オートクレーブを用いて有機溶媒中で変性する方法が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−112614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、該変性方法は、バッチ製造であるため、連続的に製造することが困難である。
かかる状況の下、本発明の目的は、連続的に製造することができる変性ポリオレフィン樹脂の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記課題は以下の<1>に記載の手段により解決された。
<1> 塊状のポリオレフィン樹脂(A)と、前記ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、少なくとも1種の不飽和基(a)と少なくとも1種の極性基(b)とを有する化合物(B)0.01〜20重量部と、有機過酸化物(C)0.001〜10重量部と、を押出機(I)に供給する工程と、前記ポリオレフィン樹脂(A)と前記化合物(B)と前記有機過酸化物(C)とを溶融混練する工程と、を含み、前記押出機(I)がコニカル型押出機、ならびに、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備え、前記ポリオレフィン樹脂(A)をコニカル型押出機に供給することを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、連続的に製造することができる変性ポリオレフィン樹脂の製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法は、塊状のポリオレフィン樹脂(A)と、前記ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、少なくとも1種の不飽和基(a)と少なくとも1種の極性基(b)とを有する化合物(B)0.01〜20重量部と、有機過酸化物(C)0.001〜10重量部とを押出機(I)に供給する工程、および、前記ポリオレフィン樹脂(A)と前記化合物(B)と前記有機過酸化物(C)とを溶融混練する工程とを含み、前記押出機(I)がコニカル型押出機、ならびに、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備え、前記ポリオレフィン樹脂(A)をコニカル型押出機に供給することを特徴とする。
以下、「コニカル型押出機、ならびに、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備える押出機(I)」を、単に「押出機(I)」、「塊状のポリオレフィン樹脂(A)」を単に「ポリオレフィン樹脂(A)」、「少なくとも1種の不飽和基(a)と少なくとも1種の極性基(b)とを有する化合物(B)」を単に「化合物(B)」とそれぞれ呼ぶこともある。
【0008】
<ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(A)とは、塊状のポリオレフィン樹脂(A)をいう。具体的にはエチレン、プロピレン、炭素数4〜20のα−オレフィンおよび環状オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも2種類のモノマーを重合して得られる塊状のオレフィン共重合体樹脂を意味する。
なお、ここで言う塊状とは、ベール状、ブロック状、クラム状の塊や互着したパウダーやペレット等をさす。
【0009】
炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、および1−エイコセンのような直鎖状のα−オレフィン;ならびに、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、および2,2,4−トリメチル−1−ペンテンのような分岐状のα−オレフィンを例示することができる。
【0010】
環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、4−メチルシクロペンテン、4,4−ジメチルシクロペンテン、シクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、4,4−ジメチルシクロヘキセン、1,3−ジメチルシクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3,5−シクロヘプタトリエン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキサン、およびシクロドデセンを例示することができる。
【0011】
ポリオレフィン樹脂(A)としては、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−デセン共重合体、エチレン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−ビニルシクロヘキサン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−ビニルシクロヘキサン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン共重合体、1−ブテン−1−デセン共重合体、1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、1−ヘキセン−1−デセン共重合体、1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−オクテン−1−デセン共重合体、1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−デセン−1−オクタデセン共重合体、1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、および1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体のような2種のモノマーの共重合体;
エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−デセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン−1−デセン共重合体、エチレン−1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−デセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクテン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−デセン−1−オクタデセン共重合体、プロピレン−1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−オクテン−1−デセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−1−オクテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、1−ブテン−1−デセン−1−オクタデセン共重合体、1−ブテン−1−デセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、および1−ブテン−1−オクタデセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、のような3種のモノマーの共重合体;ならびに、
エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−デセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−1−デセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン−1−オクタデセン共重合体、およびエチレン−プロピレン−1−ヘキセン−4−メチル−1−ペンテン共重合体のような4種のモノマーの共重合体、を例示することができる。
これらの共重合体は、それぞれ単独で、またはそれらの2種以上を組合せて用いられる。なお、ポリオレフィン樹脂(A)を2種以上使用した場合には、ポリオレフィン樹脂(A)の総重量100重量部に対して、化合物(B)0.01〜20重量部と、有機過酸化物(C)0.001〜10重量部とを使用すればよい。
【0012】
また、ポリオレフィン樹脂(A)は、多種類が上市されており、タフセレンX1107、タフセレンX1105、エスプレンE567、エスプレンE301(住友化学(株)製)が例示できる。
【0013】
ポリオレフィン樹脂(A)の、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布は1〜4であることが好ましく、得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着能を高める観点から、より好ましくは1〜3である。
Mw、MnおよびMw/Mnは、ポリオレフィン樹脂(A)約5mgをo−ジクロロベンゼン5mlに溶解して得られる溶液を用い、以下の条件下、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法によって測定される。
(1)GPC装置として、Waters社製の商品名150C/GPCを用いる。
(2)カラムとして、昭和電工社製の商品名Sodex Packed Column A−80Mを用いる。
(3)上記溶液400μlをインジェクションする。
(4)溶出温度を140℃とする。
(5)溶出溶媒流速を1.0ml/分とする。
(6)検出器として、屈折率検出器を用いる。
(7)分子量標準物質として、東ソー(株)製の分子量が6,800,000〜8,400,000であるポリスチレンを用いる。
(8)ポリスチレンの分子量に換算された値として、ポリオレフィン樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求め、次いで、分子量分布(Mw/Mn)を算出する。
【0014】
ポリオレフィン樹脂(A)の数平均分子量は、変性ポリオレフィン樹脂を安定的に製造するという観点から、好ましくは、50,000〜2,000,000であり、より好ましくは70,000〜1,300,000である。
【0015】
ポリオレフィン樹脂(A)のテトラリン中135℃で測定される極限粘度[η]は、変性ポリオレフィン樹脂を安定的に製造するという観点から、好ましくは0.5〜10dl/g、より好ましくは0.7〜7dl/g、さらに好ましくは1〜5dl/gである。
【0016】
本発明において、ポリオレフィン樹脂(A)のJIS K7122に従う示差走査熱量測定によって、−50℃〜200℃の範囲に観測される結晶の融解熱量は60J/g以下である。好ましくは50J/g以下、さらに好ましくは40J/g以下である。
融解熱量が60J/g以下であると、コニカル型押出機での供給に好適であるので好ましい。
【0017】
以上の中でも、ポリオレフィン樹脂(A)としては、生産性の観点から、上記の各物性を満足するプロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−プロピレン−1−オクテン共重合体が好適に例示できる。これらの中でも最も生産性が優れるプロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体が特に好ましい。
【0018】
ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法としては、公知の重合触媒を用いる公知の重合方法を例示することができるが、ポリオレフィン樹脂(A)の製造方法として好ましくは、メタロセン触媒を用いる製造方法である。
メタロセン触媒として、少なくとも1個のシクロペンタジエン型アニオン骨格を有する周期表第4族〜第6族の遷移金属錯体を例示することができる。具体的なメタロセン触媒として、特開平9−151205号公報(対応EP708117A)、特開昭58−19309号公報(対応US4542199A)、特開昭60−35005号公報(対応US4536484A)、特開昭60−35006号公報(対応US4937299A)、特開昭60−35007号公報(対応US5324800A)、特開昭60−35008号公報(対応US4530914A)、特開昭61−130314号公報(対応US4769510A)、特開平3−163088号公報(対応US5703187A)、特開平4−268307号公報(対応US5243001A)、特開平9−12790号公報(対応EP751182A)、特開平9−87313号公報(対応US6329478A)、特開平11−193309号公報(対応US6084048A)、特開平11−80233号公報(対応US6121401A)、または特表平10−508055号公報(対応US5986029A)に記載されたメタロセン触媒を例示することができる。
【0019】
<化合物(B)>
化合物(B)は、少なくとも1種の不飽和基(a)と、少なくとも1種の極性基(b)とを有する化合物である。
本発明で用いられる化合物(B)における不飽和基(a)は、好ましくは炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合である。
本発明で用いられる化合物(B)における極性基(b)として、カルボキシル基、エステル基、アミノ基、アミノ基から誘導されるアンモニウム塩の構造を有する基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エポキシ基、水酸基、イソシアナート基、2−オキサ−1,3−ジオキソ−1,3−プロパンジイル基、ジヒドロオキサゾリル基を例示することができる。
【0020】
化合物(B)として、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸無水物、不飽和エポキシ化合物、不飽和アルコール、不飽和アミン、および不飽和イソシアナートを例示することができる。
具体的な化合物(B)として以下のグループ(1)〜(14)の化合物を例示することができる。化合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用しても良い。
【0021】
〔グループ(1)〕
マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、マレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水メチルナジック酸、無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、イタコン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、およびアリルグリシジルエーテル。
〔グループ(2)〕
無水マレイン酸とジアミンとの反応物のような、下記式で表される化合物(なお、式中、Rは脂肪族基または芳香族基を表す)。
【0022】
【化1】

【0023】
〔グループ(3)〕
大豆油、キリ油、ヒマシ油、アマニ油、麻実油、綿実油、ゴマ油、菜種油、落花生油、椿油、オリーブ油、ヤシ油、およびイワシ油のような天然油脂。
〔グループ(4)〕
上記のような天然油脂をエポキシ化して得られる化合物。
【0024】
〔グループ(5)〕
アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、2−ペンテン酸、3−ペンテン酸、α−エチルアクリル酸、β−メチルクロトン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン、2−メチル−2−ペンテン酸、3−メチル−2−ペンテン酸、α−エチルクロトン酸、2,2−ジメチル−3−ブテン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、4−デセン酸、9−ウンデセン酸、10−ウンデセン酸、4−ドデセン酸、5−ドデセン酸、4−テトラデセン酸、9−テトラデセン酸、9−ヘキサデセン酸、2−オクタデセン酸、9−オクタデセン酸、アイコセン酸、ドコセン酸、エルカ酸、テトラコセン酸、ミコリペン酸、2,4−ヘキサジエン酸、ジアリル酢酸、ゲラニウム酸、2,4−デカジエン酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、9,12−オクタデカジエン酸、ヘキサデカトリエン酸、アイコサジエン酸、アイコサトリエン酸、アイコサテトラエン酸、リシノール酸、エレオステアリン酸、オレイン酸、アイコサペンタエン酸、エルシン酸、ドコサジエン酸、ドコサトリエン酸、ドコサテトラエン酸、ドコサペンタエン酸、テトラコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘキサコジエン酸、オクタコセン酸、およびトラアコンテン酸のような不飽和カルボン酸。
〔グループ(6)〕
上記不飽和カルボン酸の、エステル、アミドまたは無水物。
【0025】
〔グループ(7)〕
アリルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、アリルカルビノール、メチルプロピペニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、10−ウンデセン−1−オール、プロパルギルアルコール、1,4−ペンタジエン−3−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3,5−ヘキサジエン−2−オール、および2,4−ヘキサジエン−1−オールのような不飽和アルコール。
〔グループ(8)〕
3−ブテン−1,2−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、および2,6−オクタジエン−4,5−ジオールのような不飽和アルコール。
〔グループ(9)〕
上記グループ(7)および(8)の不飽和アルコールの水酸基がアミノ基に置換された不飽和アミン。
【0026】
〔グループ(10)〕
ブタジエンおよびイソプレンのようなジエン化合物の、数平均分子量が約500〜約10,000のような低分子量重合体に、無水マレイン酸またはフェノール類を付加した化合物。
〔グループ(11)〕
ブタジエンおよびイソプレンのようなジエン化合物の、数平均分子量が約10,000以上のような高分子量重合体に、無水マレイン酸またはフェノール類を付加した化合物。
〔グループ(12)〕
ブタジエンおよびイソプレンのようなジエン化合物の、数平均分子量が約500〜約10,000のような低分子量重合体に、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、またはエポキシ基のような基を導入した化合物。
〔グループ(13)〕
ブタジエンおよびイソプレンのようなジエン化合物の、数平均分子量が約10,000以上のような高分子量重合体に、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、またはエポキシ基のような基を導入した化合物。
〔グループ(14)〕
イソシアン酸アリル。
【0027】
中でも、化合物(B)として、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、または2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
【0028】
化合物(B)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)の合計量を100重量部として、0.01〜20重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。
該使用量が0.01重量部未満の場合、ポリオレフィン樹脂(A)への化合物(B)のグラフト量が不十分で、その結果、本発明により得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性が不十分になる傾向にある。該使用量が20重量部を超えた場合、本発明により得られる変性ポリオレフィン樹脂中に残存する未反応の化合物(B)が多くなり、その結果、得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性が不十分となる傾向にある。
なお、本発明において、2種以上の化合物(B)を併用した場合には、総量として上記使用量とする。
【0029】
<有機過酸化物(C)>
本発明で用いられる有機過酸化物(C)は、分解してラジカルを発生した後、ポリオレフィン樹脂(A)からプロトンを引き抜く作用を有する有機過酸化物であり、化合物(B)のポリオレフィン樹脂(A)へのグラフト量を向上させるという観点や、ポリオレフィン樹脂(A)の分解を防止するという観点から、好ましくは、半減期が1分である分解温度が50〜210℃の有機過酸化物である。
これらの中でも半減期が1分である分解温度は70℃〜200℃であることがより好ましく、90℃〜190℃であることがさらに好ましい。
【0030】
半減期が1分である分解温度が50〜210℃の有機過酸化物として、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、アルキルパーオキシエステル、およびパーオキシカルボネートを例示することができる。中でも、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、アルキルパーオキシエステル、またはパーオキシカルボネートが好ましい。
有機過酸化物(C)として具体的には、ジセチルパーオキシジカルボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカルボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカルボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシ)ジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、ジミリスチルパーオキシカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカルボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブテン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、α−α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、およびp−メンタンハイドロパーオキサイド、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3を例示することができる。
【0031】
有機過酸化物(C)の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)の合計量を100重量部として、0.001〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部である。該使用量が0.001重量部未満の場合、ポリオレフィン樹脂(A)への化合物(B)のグラフト量が不充分なことがあり、10重量部を超えた場合、ポリオレフィン樹脂(A)の分解や架橋が進んで、本発明より得られる変性ポリオレフィン樹脂の接着性が不十分であることがある。
なお、本発明において、2種以上の有機過酸化物(C)を併用した場合には、総量として上記使用量とする。
【0032】
ポリオレフィン樹脂(A)、化合物(B)および有機過酸化物(C)のそれぞれは、スチレンおよびジビニルベンゼンのようなビニル芳香族化合物、または酸化防止剤、耐熱安定剤および中和剤のような公知の添加剤と組合せてもよい。ビニル芳香族化合物の使用量は、ポリオレフィン樹脂(A)の合計量を100重量部として、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。
【0033】
また、本発明において、有機溶媒は使用しないことが好ましく、本発明において押出機(I)を使用することにより、有機溶媒を使用することなく、連続的に変性ポリオレフィン樹脂を製造することができる。従来のバッチ式の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法では、有機溶媒の使用が必須であった。
本発明の製造方法では、有機溶媒を使用せずに変性ポリオレフィン樹脂を製造することができ、作業環境性の向上を図ることができる。
また、本発明の方法で得られる変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)に化合物(B)をグラフト重合させることにより変性した変性ポリオレフィン樹脂である。
【0034】
<押出機(I)>
本発明において、ポリオレフィン樹脂(A)と、化合物(B)と、有機過酸化物(C)とは押出機(I)に供給される。また、前記押出機(I)はコニカル型押出機、ならびに、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備え、前記ポリオレフィン樹脂(A)をコニカル型押出機に供給することを特徴とする。従って、前記押出機(I)は、少なくともコニカル型押出機を備えており、かつ、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備えている。
【0035】
本発明に用いられるコニカル型押出機としては、コニカル型一軸押出機やコニカル型二軸押出機が例示でき、好ましくはコニカル型二軸押出機である。
これらの中でも特に、異方向回転コニカル型二軸押出機が好ましい。
本発明に用いられる単軸押出機および/または平行多軸押出機は、公知の押出機を例示することができるが、好ましくは単軸押出機および/または平行二軸押出機である。
【0036】
コニカル型押出機、単軸押出機および/または平行多軸押出機の配置の順序は特に限定されないが、最も上流側にコニカル型押出機を配置し、その下流に単軸押出機および/または平行多軸押出機を配置することが好ましい。すなわち、本発明において、コニカル型押出機が樹脂排出口を有し、この樹脂排出口が単軸押出機または平行多軸押出機に接続されていることが好ましい。
また、コニカル型押出機の下流に単軸押出機および平行多軸押出機の双方を配置することがより好ましい。さらに好ましくは、上流から下流に向けて、コニカル型押出機、単軸押出機、平行多軸押出機をこの順で配置することである。すなわち、コニカル型押出機は、第1の樹脂排出口を有し、この第1の樹脂排出口が単軸押出機に接続され、さらに単軸押出機が第2の樹脂排出口を有し、この第2の樹脂排出口が平行多軸押出機に接続されていることが好ましい。
【0037】
本発明に用いられる押出機(I)は、コニカル型押出機ならびに単軸押出機および/または平行多軸押出機を備えている押出機であり、さらに1つの供給口(すなわち、押出機(I)全体としては2つ以上の供給口)と、少なくとも1個の真空ベント口を有する押出機であることが好ましい。
【0038】
図1は、本発明に使用できる押出機(I)の一実施形態を示す構成図である。以下にその具体的な構成を説明するが、これらに限定されるものではない。
図1に示す押出機10は、ポリオレフィン樹脂(A)100を投入するための第1の供給口1を有し、ポリオレフィン樹脂(A)100を溶融するコニカル型押出機2を備える。コニカル型押出機2は、ホッパー20と、ホッパー20内の下部に設置され、ホッパー20内に供給されたポリオレフィン樹脂(A)100を混練して押出機内に供給するスクリュー22とを有している。コニカル型押出機2は図示しない外部ヒーターにより加熱されており、また、スクリュー22は、図示しない駆動モーターにより回転可能である。
スクリュー22は、テーパー型のスクリューであり、図示しない駆動モータにより異方向に回転し、その先端がコニカル型押出機2と単軸押出機3との接続部を向くように先細状に配置されている。
また、コニカル型押出機2は、その最下流に第1の樹脂排出口25を有しており、この第1の樹脂排出口25は、単軸押出機3に接続されている。
【0039】
コニカル型押出機2内で溶融されたポリオレフィン樹脂(A)は、第1の樹脂排出口25を介して、さらに単軸押出機3内で溶融混練される。単軸押出機3は、円筒状のシリンダ30と、このシリンダ30内に配置され図示しない駆動モータにより回転する1本のスクリュー32とを有している。単軸押出機3は、図示しない外部ヒータにより加熱することができる。
単軸押出機3のシリンダ温度は適宜選択することができるが、50℃〜300℃であることが好ましく、80℃〜280℃であることがより好ましい。
単軸押出機3の最下流に第2の樹脂排出口34を有しており、この第2の樹脂排出口34は、平行二軸押出機5に接続されている。
【0040】
単軸押出機3の下流には、平行二軸押出機5が配置されている。平行二軸押出機5は、円筒状のシリンダ42と、このシリンダ42内に配置され、図示しない駆動モータにより回転する2本のスクリュー44、44’とを有している。シリンダ42は、複数のヒーターブロックに分けられており、矢印で示す押出方向に向かって温度が高くなるように図示しない外部ヒーターにより加熱されている。
【0041】
また、平行二軸押出機5の押出方向の上流側には、化合物(B)および有機過酸化物(C)102を供給する第2の供給口4が設けられている。第2の供給口4は、シリンダ42において、単軸押出機3からのポリオレフィン樹脂(A)の排出口である、第2の樹脂排出口34よりも、下流に形成されていることが好ましい。
また、シリンダ42の押出方向側の下流端部側には、真空ポンプ50を使用して未反応の化合物(B)と有機過酸化物(C)等を除去するための真空ベント口6が形成されている。シリンダ42の押出方向の端部には、ダイス60が設けられており、平行二軸押出機5において、変性反応が行われる。
【0042】
図1においては第1の供給口1にポリオレフィン樹脂(A)100を、第2の供給口4に化合物(B)および有機過酸化物(C)102を供給しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
即ち、本発明における供給方法としては、
〔1〕予め充分に混合したポリオレフィン樹脂(A)、化合物(B)、有機過酸化物(C)の全部を一括して第1の供給口に供給する方法
〔2〕予め充分に混合した化合物(B)と有機過酸化物(C)の供給を、ポリオレフィン樹脂(A)の投入口よりも押出機の押し出し方向下流側に設けた第2の供給口から供給する方法
〔3〕予め充分に混合した化合物(B)と、有機過酸化物(C)と、塊状ではない公知のポリオレフィン樹脂との投入を、ポリオレフィン樹脂(A)の投入口よりも押出機の押し出し方向下流側に設けた第2の供給口から供給する方法
〔4〕化合物(B)と有機過酸化物(C)の供給を、ポリオレフィン樹脂(A)の供給口よりも押出機の押し出し方向下流側に設けた第2の供給口と第3の供給口から任意の順番で供給する方法
があげられる。
【0043】
ポリオレフィン樹脂(A)、化合物(B)、および、有機過酸化物(C)の供給方法としては、前記〔2〕の方法が特に好ましい。
尚、〔1〕に記載の方法の場合には、第2の供給口を設けなくてもよい。また、〔4〕に記載の方法の場合には平行二軸押出機は、第2の供給口および第3の供給口を備える。
【0044】
コニカル型押出機の溶融混練部の温度は好ましくは50〜300℃、より好ましくは80〜280℃である。溶融混粘温度が50℃以上であると、グラフト量が向上するので好ましい。また、300℃以下であると、ポリオレフィン樹脂(A)や製造されるポリオレフィン樹脂の架橋、分解が生じないので好ましい。
【0045】
ポリオレフィン樹脂(A)、化合物(B)、有機過酸化物(C)を供給した後の押出機(図1における平行二軸押出機)の溶融混練部は、第1段階の溶融混練部と、第2段階の溶融混練部とに分け、第2段階の溶融混練部(下流側)の温度が第1段階の溶融混練部(上流側)の温度より高いことが好ましい。第1段階の溶融混練部(上流側)の温度は80〜200℃であることが好ましく、より好ましくは120〜180℃であり、第2段階の溶融混練部(下流側)の温度は150〜280℃であることが好ましく、より好ましくは200〜270℃である。
ポリオレフィン樹脂(A)、化合物(B)、有機過酸化物(C)を供給した後の溶融混練時間は、全体として、0.1〜15分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5分である。溶融混練時間が0.1分以上であると、十分なグラフト量を得ることができるので好ましい。また、30分以内であると、ポリオレフィン樹脂(A)や製造される変性ポリオレフィンの架橋や分解が生じないので好ましい。
【0046】
本発明における変性ポリオレフィン樹脂の用途として、各種用途の接着剤、例えば、車両部品、フィルム、バインダー、電気・電子機器部品、電線、建築材料、農・水産・園芸用品、化学産業用品、土木資材、産業・工業資材、家具、文房具、日用・雑貨用品、衣服、容器・包装用品、玩具、レジャー用品、医療用品用の接着剤が挙げられる。
【実施例】
【0047】
本発明を実施例によって以下に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらに限定されることはない。
【0048】
(1)押出機(I)の構成
コニカル型押出機は容量4Lのポリオレフィン樹脂(A)の供給口(ホッパー)を有し、コニカルスクリューとして、上部径100mm、下部径20mmのコニカルスクリューを用いた。また、コニカル型押出機は、異方向回転コニカル型二軸押出機とした。
単軸押出機はスクリュー径35mm、スクリューのネジ長Lとシリンダの孔径Dの比L/D=10のフルフライト式を用いた。
平行二軸押出機はスクリュー径30mm、L/D=42のニーディングディスク方式の平行二軸押出機を用いた。
押出機(I)の構成は、図1に示す通りである。
【0049】
(2)メルトフローレイト(MFR)の測定
JIS K7210に従い、230℃、荷重21.2Nで測定を行った。
【0050】
(3)グラフト量の測定
得られた変性ポリオレフィン樹脂中のグラフト量は、下記の方法で測定を行った。
(a) サンプル1.0gをキシレン10mlに溶解して、溶液を調製した。
(b) 該溶液をメタノール300mlに撹拌しながら滴下して、変性ポリオレフィン樹脂を再沈殿させた。
(c) 再沈殿された変性ポリオレフィン樹脂を回収した。
(d) 回収した変性ポリオレフィン樹脂を真空乾燥した(80℃、8時間)。
(e) 乾燥された変性ポリオレフィン樹脂を熱プレスして、厚さ100μmのフィルムを作製した。
(f) フィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1730cm-1付近の吸収からグラフト量を定量した。
なお、グラフト量(重量%)とは、ポリオレフィン樹脂(A)100重量%に対してグラフト重合した化合物(B)のグラフト量(重量%)を示す。
【0051】
(実施例1)
<ポリオレフィン樹脂(A)の製造>
1)エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体の製造
容量2Lのセパラブルフラスコ反応器に、撹拌器、温度計、滴下ロート、還流冷却管をつけて減圧にしたのち、窒素で置換した。このフラスコに乾燥したトルエン1Lを重合溶媒として導入した。ここにエチレン2NL/分、プロピレン4NL/分、1−ブテン1NL/分を常圧にて連続フィードし、溶媒温度を30℃とした。
トリイソブチルアルミニウム(以後TIBAと略記)0.75mmolを重合槽に添加した後、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド0.0015mmolを重合槽に添加した。その15秒後にトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0075mmolを重合槽に添加し、10分間重合を行った。その結果、本発明の成分(A)に相当するエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体を86.4g得た。エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体中のエチレン単量体単位含有量は42重量%、プロピレン単量体単位含有量は6.9重量%、1−ブテン単量体単位含有量は51.1重量%であった。また、[η]値は1.69dl/gであり、数平均分子量は100,000であり、Mw/Mn値は2.0であり、融解ピークは観測されなかった。
【0052】
2)プロピレン−1−ブテン共重合体の製造
撹拌機を備えた100LのSUS製重合器中で、プロピレンと1−ブテンとを、分子量調節として水素を用い、以下の方法で連続的に共重合させて、プロピレン−1−ブテン共重合体を得た。
重合器の下部から、重合溶媒としてのヘキサンを100L/時間の供給速度で、プロピレンを24.00Kg/時間の供給速度で、1−ブテンを1.81Kg/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
重合器の上部から、重合器中の反応混合物が100Lの量を保持するように、反応混合物を連続的に抜き出した。
重合器の下部から、重合触媒の成分として、ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを0.005g/時間の供給速度で、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを0.298g/時間の供給速度で、トリイソブチルアルミニウムを2.315g/時間の供給速度で、それぞれ連続的に供給した。
共重合反応は、重合器の外部に取り付けられたジャケットに冷却水を循環させることによって、45℃で行った。
重合器の上部から連続的に抜き出された反応混合物に少量のエタノールを添加して重合反応を停止させた後、脱モノマーおよび水洗浄し、次いで、大量の水中でスチームによって溶媒を除去することによって、プロピレン−1−ブテン共重合体を得、これを80℃で1昼夜減圧乾燥した。プロピレン−1−ブテン共重合体中のプロピレン単量体単位含有量は94.5重量%、1−ブテン単量体単位含有量は5.5重量%であった。また、[η]値は2.3dl/gであり、数平均分子量は140,000であり、Mw/Mn値は2.2であり、融解ピークは観測されなかった。
【0053】
第1の投入口1から、約10cm角に裁断した上述のエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体(ポリオレフィン樹脂(A))100重量部を投入し、220℃に加熱したコニカル型押出機2 20rpmで混練した後、200℃に加熱した単軸押出機3内で90rpmで溶融混練し、平行二軸押出機5に入れた。第2の投入口4から、無水マレイン酸(化合物(B))2重量部と、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(有機過酸化物(C))0.15重量部と、ジセチルパーオキシジカルボネート(有機過酸化物(C))0.50重量部を投入した。
半減期が1分である温度は、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンでは183℃、ジセチルパーオキシジカルボネートでは99℃である。
平行二軸押出機5において、第2の投入口4周辺は160℃、該投入口より下流側は250℃に加熱し、スクリュー回転数は150rpmとして溶融混練し、変性ポリオレフィン樹脂を得た。
【0054】
(実施例2)
実施例1で使用したポリオレフィン樹脂(A)を上述のエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体に変えた以外は、実施例1と同様に行った。
【0055】
(比較例1)
第2の投入口から約10cm角に裁断した上述のエチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体(ポリオレフィン樹脂(A))100重量部の投入を試みたが、裁断したポリオレフィン樹脂(A)は投入口に付着し、定量的な供給ができなかった。
結果を以下の表1に示す。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に使用できる押出機(I)の一実施形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1 第1の供給口
2 コニカル型押出機
3 単軸押出機
4 第2の供給口
5 平行二軸押出機
6 真空ベント口
10 押出機
20 ホッパー
22 スクリュー
25 第1の樹脂排出口
30 シリンダ
32 スクリュー
34 第2の樹脂排出口
42 シリンダ
44、44’ スクリュー
50 真空ポンプ
60 ダイス
100 ポリオレフィン樹脂(A)
102 化合物(B)および有機過酸化物(C)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状のポリオレフィン樹脂(A)と、
前記ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、少なくとも1種の不飽和基(a)と少なくとも1種の極性基(b)とを有する化合物(B)0.01〜20重量部と、
有機過酸化物(C)0.001〜10重量部と、を押出機(I)に供給する工程と、
前記ポリオレフィン樹脂(A)と前記化合物(B)と前記有機過酸化物(C)とを溶融混練する工程と、を含み、
前記押出機(I)がコニカル型押出機、ならびに、単軸押出機および/または平行多軸押出機を備え、
前記ポリオレフィン樹脂(A)をコニカル型押出機に供給することを特徴とする
変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記押出機(I)が、少なくとも1つの真空ベント口を有する請求項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記コニカル型押出機は樹脂排出口を有し、この樹脂排出口は前記単軸押出機および/または前記平行多軸押出機に接続されている請求項1または2に記載の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記コニカル型押出機は、少なくともポリオレフィン樹脂(A)を供給する第1の供給口を更に有し、
前記単軸押出機および/または前記平行多軸押出機は、前記化合物(B)および前記有機過酸化物(C)の少なくともどちらか一方を供給する第2の供給口を有する請求項1から3いずれか1つに記載の変性ポリオレフィン樹脂の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−40958(P2009−40958A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209893(P2007−209893)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】