変性円板疾患の治療のためのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト
変性円板疾患及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症の有効な治療を提供する。少なくとも1つのαアドレナリン作用性アゴニストの有効量の変性円板及び/又は椎間関節又はその付近での投与により、変性円板疾患及び/又は椎間関節によって引き起こされる疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月8日に出願されて「Alpha Adrenergic Receptor Agonists for Treatment of Degenerative Disc Disease(変性円板疾患の治療のためのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト)」と題する米国特許出願番号12/420,192;及び、2008年4月18日に出願されて「Clonidine Formulations In A Biodegradable Polymer Carrier(生分解性ポリマー担体中のクロニジン製剤)」と題する米国仮特許出願番号61/046,201の出願日の利益を特許請求する。これらの開示全体は、本明細書において、参照により本開示へ組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0001] ヒトの脊椎は、26の連続した椎骨より形成される。これら椎骨のそれぞれは、どの隣接する椎骨からも、椎間板(これは、衝撃を吸収して、それぞれの椎骨が別の椎骨に対して直接影響を及ぼすことを防ぐように機能する)によって分離されている。それぞれの椎間板の中心には、プロテオグリカンを含有する髄核がある。髄核の周りには、線維輪と呼ばれる外側の輪がある。変性円板疾患は、この円板の変性を伴う、下部脊椎の一般的な変性状態のいずれも意味する。円板変性にはしばしば疼痛の症状が結び付いて、炎症とニューロパシー疼痛、例えば、脊椎狭窄、脊椎すべり症、及び後方すべり症をもたらす場合がある。
【0003】
[0002] 老化プロセスと関連した円板変性は、一般に、椎間板の髄核からのプロテオグリカンの損失と椎骨間の衝撃を吸収する椎間板の能力の低下に関連している。症状を示さない罹患者もいるが、多くの罹患者は、背及び/又は脚の慢性疼痛に悩まされる。円板変性に関連した疼痛は、患者を無能化して、その生活の質を大いに低下させる場合がある。
【0004】
[0003] 円板変性への非手術治療法が存在する一方で、多くの患者、例えば、重篤な症状のある患者は、非手術治療法へ反応しない場合がある。慣用の手術治療法には、脊椎癒着術(脊椎の融合)を一般に伴うが、これはきわめて侵襲的で、患者に対して一定のリスクが付き物である。
【0005】
[0004] 変性円板疾患の生物学的機序はよく知られていないが、椎間板の髄核に豊富にあるプロテオグリカンの含量が加齢に伴って下降することが知られていて、この疾患の病理発生に重要な因子であると考えられている。椎間板の変性及びヘルニアは、一酸化窒素(NO)、インターロイキン−1(IL−1及びIL−1β)、インターロイキン−6(IL−6)、及びTNF−αのようなサイトカイン、プロスタグランジンE2、及びマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のようなタンパク質の増加量をもたらすことが知られている。これらのタンパク質は、変性した椎間板によって産生される生化学的な剤の間の相互作用において調節的な役割を担う。
【0006】
[0005] 医療専門家に知られている1つの薬物群は、αアドレナリン作動性受容体アゴニストである。一般に、αアドレナリン作動性受容体は、興奮性及び阻害性の機能に媒介する:α1アドレナリン作動性受容体は、典型的には、エフェクター臓器における応答に概して媒介する、興奮性のシナプス後受容体であり、一方、α2アドレナリン作動性受容体は、シナプス後だけでなくシナプス前にも位置していて、そこでそれらは神経伝達物質の放出を阻害する。
【0007】
[0006] 様々な状態を治療するために臨床的に使用されるαアドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、クロニジン、フェノキシベンズアミン、及びプラゾシン(高血圧症とオピオイド禁断の治療用)、ナファゾリン(鼻の充血除去用)、UK−14,304、及びp−アミノクロニジン(緑内障の治療用)が含まれる。
【0008】
[0007] しかしながら、今日まで、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、変性円板疾患及び/又は椎間関節の疼痛及び炎症より生じる疼痛及び/又は炎症に有効な治療薬として広く認められてはいない。従って、変性円板疾患及び/又は椎間関節の疼痛及び炎症より生じる疼痛及び/又は炎症を予防、治療、又は抑制するためにαアドレナリン作動性受容体アゴニストを開発することへのニーズがある。
【発明の概要】
【0009】
[0008] 変性円板疾患及び/又は椎間関節の疼痛及び炎症より生じる望まれない疼痛及び/又は炎症を効果的に抑制、予防、又は治療するための新規の組成物及び方法を提供する。この疼痛及び/又は炎症は、延長された時間帯の間、抑えられる可能性がある。様々な態様において、椎間板ヘルニアのサイズを単一の薬物デポー剤又は多数の薬物デポー剤において低下させる可能性がある、αアドレナリン作動性アゴニストの組成物及び方法を提供する。
【0010】
[0009] 1つの態様では、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれをするのに有用である埋込型薬物デポー剤を提供し、該埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなり、該薬物デポー剤は、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節の付近に埋め込み可能であり、ここで薬物デポー剤は、有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出することが可能である。
【0011】
[0010] 別の態様では、変性円板からの疼痛及び/又は炎症を治療するような治療を必要とする患者においてそれをするための方法を提供し、該方法は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ投与することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する。
【0012】
[0011] なお別の態様では、変性円板からの疼痛及び/又は炎症を抑制するような治療を必要とする患者においてそれをするための方法を提供し、該方法は、治療有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を患者の変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する。
【0013】
[0012] さらになお別の態様では、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び炎症を患者において抑制、予防、又は治療するのに有用である埋込型薬物デポー剤を提供し、該埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストとポリマーを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に埋め込み可能であり、そして該デポー剤は、(i)72時間までの第一期間にわたり、該薬物デポー剤に負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約5%〜約20%のα2アドレナリン作動性アゴニストを、そして(ii)6ヶ月までの後続期間にわたり、該薬物デポー剤に負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約21%〜約99%のα2アドレナリン作動性アゴニストを放出することが可能である。
【0014】
[0013] 提供する組成物及び方法は、限定されないが、外科、慢性炎症性疾患、慢性炎症性腸疾患、滑液嚢炎、骨関節炎、骨溶解、腱炎、坐骨神経痛、変性円板疾患、椎間関節の疼痛及び/又は炎症、狭窄症、ミオパシー、脊椎すべり症、腰痛、椎間関節痛、手根管症候群、足根管症候群、腰下肢痛、等に続く炎症及び/又は疼痛が含まれる、炎症及び/又は疼痛を抑制、予防、又は治療するために使用し得る。
【0015】
[0014] 本医薬組成物は、例えば、薬物デポー剤の一部であってよい。薬物デポー剤は、(i)αアドレナリン作動性受容体アゴニストと生分解性ポリマー(複数)からなる;又は(ii)αアドレナリン作動性受容体アゴニストから本質的になる;又は(iii)αアドレナリン作動性受容体アゴニストと1以上の他の有効成分、界面活性剤、賦形剤又は他の成分、又はそれらの組合せを含む場合がある。他の有効成分、界面活性剤、賦形剤、又は他の成分又はそれらの組合せが製剤中にあるとき、いくつかの態様において、これらの他の化合物又はそれらの組合せは、20重量%未満、19重量%未満、18重量%未満、17重量%未満、16重量%未満、15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満、11重量%未満、10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満を含む。
【0016】
[0015] 様々な態様の追加の特徴及び利点は、以下に続く記載において一部は示されて、一部はその記載より明らかになるか、又は様々な態様の実施より理解され得る。様々な態様の目的と他の利点は、本明細書の記載と付帯の特許請求項において特に指摘される種々の構成要素(elements)と組合せによって実現及び達成されよう。
【0017】
図面の簡単な説明
[0016] 一部は、以下の記載、付帯の特許請求項、及び付帯の図面に関連して、本発明の態様の他の側面、特徴、利益、及び利点が明らかになる。ここで:
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】[0017] 図1Aは、椎間板がヘルニア様であるが、断裂はしていない変性円板疾患である、標的組織部位の横断面図である。
【図1B】[0018] 図1Bは、ヘルニアを起こしていて、椎間板が断裂している変性円板疾患である、標的組織部位の横断面図である。
【図2】[0019] 図2は、線維輪を有する椎間板へ投与されている、アンカーがライン(例、縫合糸、糸、等)により付いた埋込型薬物デポー剤の1つの態様を図解する横断面図である。
【図3】[0020] 図3は、α2アドレナリン作動性受容体アゴニストを使用する以下の投与:クロニジン(CL)0.02mg/kg/日(皮下)、100 DL 7E 対照、5% CL−HCL、CL 5%、CL 8%、1 CL 7%、POE対照、及びPOE CL−Baseについての、7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日、56日、及び63日でのベースラインからの百分率としての熱刺激足逃避潜時のグラフ図である。CL−HCLは、クロニジン塩酸塩を意味する。「POE」は、ポリ(オルトエステル)を意味する。「CL−Base」は、塩基型のクロニジンを意味する。
【図4】[0021] 図4は、以下の投与:クロニジン0.02mg/kg/日(皮下)、100 DL 7E 対照、5% CL−HCL、CL 5%、CL 8%、CL 7%、POE対照、及びPOE CL−Baseについての、8日、15日、22日、29日、36日、43日、50日、57日、及び64日でのベースラインからの百分率としての機械的閾値のグラフ図である。
【図5】[0022] 図5は、放出百分率及び放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの in vitro 放出のグラフ図である。
【図6】[0023] 図6は、放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図7】[0024] 図7は、累積クロニジン放出百分率により測定した、クロニジンHCl動物試験製剤のグラフ図である。
【図8】[0025] 図8は、累積クロニジン放出百分率により測定した、様々な製剤についてのクロニジンHCl放出のグラフ図である。
【図9】[0026] 図9は、あるクロニジン製剤についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。
【図10】[0027] 図10は、ある照射クロニジンHCl製剤についての累積放出プロフィールのグラフ図である。
【図11】[0028] 図11は、2/3/4ペレット剤用量からのクロニジンのある計算1日放出測定値のグラフ図である。
【図12】[0029] 図12は、ある3ペレット剤用量からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図13】[0030] 図13は、ある2/3ペレット剤用量のコアキシャル(coaxial)製剤からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図14】[0031] 図14は、ある照射クロニジン製剤についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。
【図15】[0032] 図15は、ある3ペレット用量製剤についてのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図16】[0033] 図16は、ある3ペレット用量製剤で放出されるクロニジンのマイクログラム数のグラフ図である。
【図17】[0034] 図17は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図18】[0035] 図18は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図19】[0036] 図19は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図20】[0037] 図20は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図21】[0038] 図21は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図22】[0039] 図22は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図23】[0040] 図23は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図24】[0041] 図24は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図25】[0042] 図25は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図26】[0043] 図26は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図27】[0044] 図27は、1つの製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図28】[0045] 図28は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図29】[0046] 図29は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図30】[0047] 図30は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図31】[0048] 図31は、1つの製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図32】[0049] 図32は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図33】[0050] 図33は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図34】[0051] 図34は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0019】
[0052] 図面は、一定比例で描かれてはいないことを理解されたい。さらに、図中の対象間の関係も一定比例ではなく、実のところ、大きさに関して逆の関係を有する場合もある。この図面は、示される各対象の構造への理解と明確性をもたらすように企図されているので、構造の具体的な特徴を例解するために、ある特徴が誇張される場合もある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0053] 本明細書と付帯の特許請求の目的のために、他に示さなければ、本明細書及び特許請求項において使用される、成分量、材料の百分率又は比率、反応条件、及び他の数値を表すすべての数字は、すべての例において「約」という用語によって修飾されていると理解されたい。従って、反対に示さなければ、以下の明細書と付帯の特許請求項に示す数的変数は、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、そして均等論の適用を特許請求の範囲へ制限する試みとしてではなく、それぞれの数的変数は、少なくとも報告される有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方法を適用することによって解釈されるべきである。
【0021】
[0054] 本明細書と本発明の広い範囲に示す数的範囲及び変数が概数であるにもかかわらず、具体例な実施例において示す数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、どの数値も、本来的には、そのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差より必然的に生じるある種の誤差を含有するものである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲には、そこに包含されるありとあらゆるサブ範囲が含まれると理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲には、最小値の1と最大値の10の間(及び、含まれる)のありとあらゆるサブ範囲、即ち、1以上の最小値と10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲(例えば、5.5〜10)が含まれる。
【0022】
[0055] 以下に、その実施例が付帯の図面に図解される、本発明のある態様について詳細に言及する。本発明を例解の態様とともに記載するが、それらは本発明をその態様へ制限することを企図しないと理解されよう。むしろ、本発明には、付帯の特許請求項により規定されるような、本発明内に含まれ得る、すべての代替物、修飾物、及び等価物が含まれると企図される。
【0023】
[0056] 以下の見出しは、本開示を決して制限するものではなく;ある見出し下の態様を他の見出し下の態様とともに使用してよい。
【0024】
[0057] 本明細書と付帯の特許請求項に使用されるように、単数形の「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)には、明白かつ明確に1つの指示物へ限定されなければ、複数の指示物が含まれることに留意されたい。従って、例えば、「薬物デポー剤(a drug depot)」への言及には、1、2、3以上の薬物デポー剤(drug depots)が含まれる。
【0025】
[0058] 「DLG」という略語は、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0026】
[0059] 「DL」という略語は、ポリ(DL−ラクチド)を意味する。
【0027】
[0060] 「LG」という略語は、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0028】
[0061] 「CL」という略語は、ポリカプロラクトンを意味する。
【0029】
[0062] 「DLCL」という略語は、ポリ(DL−ラクチド−コ−カプロラクトン)を意味する。
【0030】
[0063] 「LCL」という略語は、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)を意味する。
【0031】
[0064] 「G」という略語は、ポリグリコリドを意味する。
【0032】
[0065] 「PEG」という略語は、ポリ(エチレングリコール)を意味する。
【0033】
[0066] 「PLGA」という略語は、ポリ(乳酸コグリコール酸)としても知られるポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を意味して、これらは交換可能的に使用される。
【0034】
[0067] 「PLA」という略語は、ポリラクチドを意味する。
【0035】
[0068] 「POE」という略語は、ポリ(オルトエステル)を意味する。
【0036】
[0069] 変性円板疾患を効果的に抑制、予防、又は治療する、新しい組成物及び方法を提供する。様々な態様において、椎間板ヘルニアのサイズを単一の薬物デポー剤又は多数の薬物デポー剤において低下させる、αアドレナリン作動性受容体アゴニストの組成物及び方法を提供する。患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど与えずに、αアドレナリン作動性受容体アゴニストを含有する薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを容易に可能にし得る、新しいαアドレナリン作動性アゴニストの組成物及び方法を提供する。このαアドレナリン作動性アゴニスト薬物デポー剤の組成物及び方法の1つの利点は、今やその薬物デポー剤を標的組織部位へ(例、髄核に、又は脊椎管付近に、等)容易に送達して、椎間板ヘルニアを抑制、予防、又は治療し得ることである。このようにして、ほとんど非侵襲的な手法で椎間板ヘルニアを治療するための薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを達成することができる。
【0037】
αアドレナリン作動性アゴニスト
[0070] 本出願の方法及び組成物は、αアドレナリン作動性アゴニストを利用する。ヒトのアドレナリン作動性受容体は、膜内在性タンパク質であり、α及びβアドレナリン作動性受容体という2つの広い群へ分類されてきた。
【0038】
[0071] 両タイプは、カテコールアミンであるノルエピネフリン及びエピネフリンの結合に対する末梢交感神経系の作用に媒介する。ノルエピネフリンがアドレナリン作動性神経終末により産生されるのに対し、エピネフリンは、副腎髄質によって産生される。これら化合物へのアドレナリン作動性受容体の結合親和性が分類の1つの基礎となる:α受容体は、エピネフリンより強く、そして合成化合物のイソプロテレノールよりさらに強くノルエピネフリンへ結合する傾向がある。これらのホルモンの好ましい結合親和性は、β受容体では逆転している。多くの組織において、α受容体活性化によって誘導される、平滑筋収縮のような機能応答は、β受容体結合によって誘導される応答に対立する。
【0039】
[0072] 続いて言えば、α受容体とβ受容体の間の機能上の対比は、様々な動物及び組織の供給源に由来するこれら受容体の薬理学的な特徴付けによってさらに強調されて洗練された。結果として、α及びβアドレナリン作動性受容体は、α1、α2、α1/α2サブタイプへさらに細分された。α1及びα2受容体の間の機能上の差異が認知されて、これら2つのサブタイプ間の選択結合性を示す化合物が開発されてきた。このように、公開された国際特許出願WO92/0073では、α1サブタイプのアドレナリン作動性受容体へ選択的に結合する、テラゾシンのR(+)エナンチオマーの選択能力が報告された。この化合物のα1/α2選択性が重要であると開示されたのは、α2受容体のアゴニスト刺激がエピネフリン及びノルエピネフリンの分泌を阻害すると言われたのに対し、α2受容体の拮抗作用はこれらのホルモンを増加させると言われたからである。αアドレナリン作動性受容体についてのさらに一般的な背景については、読者は、例えば、Robert R. Ruffolo, Jr.,「alpha-Adrenreceptors: Molecular Biology, Biochemistry and Pharmacology(αアドレナリン受容体:分子生物学、生化学、及び薬理学)」(Progress in Basic and Clinical Pharmacology series, Karger, 1991) のような、当該技術分野で知られたテキストへ注目されたい。動物組織由来のα受容体サブタイプのクローニング、配列決定、及び発現は、α1アドレナリン作動性受容体のα1A、α1B、及びα1Dへの亜分類化をもたらした。同様に、α2アドレナリン作動性受容体も、その薬理学と分子の特徴づけに基づいて、α2A、α2B、及びα2C受容体へ分類された:α2A/D(ヒトではα2Aで、ラットではα2D);α2B;及び、α2C(Bylund et al., Pharmacol. Rev. 46:121-136 (1994); 及び Hein and Kobilka, Neuropharmacol. 357-366 (1995))。α2A及びα2Bのサブタイプは、一部の血管床において動脈収縮を調節することができて、α2A及びα2Cサブタイプは、交感神経終末からのノルエピネフリン放出のフィードバック阻害に媒介する。α2Aサブタイプはまた、α2アドレナリン作動性アゴニストの中枢効果の多くに媒介する(Calzada and Artinano, Pharmacol. Res. 44: 195-208 (2001); Hein et al., Ann. NYAcad. Science 881:265-271 (1999))。それぞれのα2受容体サブタイプは、それ自身の薬理学的及び組織特異性を示すようである。これらサブタイプの1以上へある度合いの特異性を有する化合物は、所与の適応症について、例えば、α2受容体の汎アゴニスト(薬物、クロニジンのような)よりも特異的な治療薬剤であり得る。
【0040】
[0073] 本明細書に使用する「αアドレナリン作動性アゴニスト」という用語は、少なくとも1以上のαアドレナリン作動性受容体又はそのサブタイプへある度合いで結合する、及び/又はそれを活性化する、及び/又は作動させる、及び/又は少なくとも1以上のαアドレナリン作動性受容体又はそのサブタイプを活性又は不活性のコンホメーションで安定化させるあらゆる化合物を意味する。このように、αアドレナリン作動性受容体アゴニストという用語には、1以上のαアドレナリン作動性受容体又はそのサブタイプの完全アゴニストだけでなく、部分アゴニスト、逆アゴニストも含まれることを意味する。
【0041】
[0074] 本明細書に使用する「αアドレナリン作動性受容体アゴニスト」、「αアドレナリン作動性アゴニスト」、及び「αアゴニスト」という用語は、同義である。αアドレナリン作動性アゴニストは、選択的α1アドレナリン作動性アゴニスト、選択的α2アドレナリン作動性アゴニスト、又は混合型α1/α2アドレナリン作動性アゴニストであってよい。本明細書に使用する「混合型α1/α2アゴニスト」という用語は、α1受容体とα2受容体をそのサブタイプの1以上を含めてともに活性化する薬物を意味する。それは、非選択的αアゴニストと呼ばれる場合もある。
【0042】
[0075] 当業者には、選択的α2アゴニストがα1受容体を弱く活性化する場合があって、α1アゴニストがα2受容体を弱く活性化する場合があっても、この弱い活性化が有意な量ではないので、その化合物が依然として選択的α1又はα2アゴニストとして分類されることが理解されよう。
【0043】
[0076] 本明細書に使用する「活性化する」という用語又はその文法上の変形物は、受容体へ結合して、その受容体に細胞又は生理学上の変化を起こさせることを意味する。アゴニスト活性化は、例えば、受容体選択及び増幅技術(RSAT)アッセイ(Messier et al. Pharmacol. Toxicol. 76:308-11 (1995);サイクリックAMPアッセイ(Shimizu et al., J. Neurochem. 16:1609-1619 (1969));及び細胞センサーミクロ生理機能測定(cytosensor microphysiometry)アッセイ(Neve et al., J. Biol. Chem. 267:25748-25753 (1992))が含まれる、多様な定型アッセイのいずれを使用しても特徴付けることができる。例えば、そのようなアッセイは、一般に、単一のαアドレナリン作動性受容体サブタイプだけを天然で発現する細胞を使用して、又は単一の組換えαアドレナリン作動性受容体サブタイプを発現するトランスフェクトされた細胞を使用して実施する。アドレナリン作動性受容体は、ヒトの受容体、又は類似の薬理学を有するヒト受容体の相同体であり得る。RSATアッセイは、集密細胞の混合集団における受容体含有細胞の選択的増殖を生じる、接触阻害の受容体媒介性の損失を測定する。細胞数の増加は、β−ガラクトシダーゼのような適正な検出可能マーカー遺伝子を用いて、所望されるならば、ハイスループット又は超ハイスループットアッセイフォーマットにおいて評価される。Gタンパク質を活性化する受容体、Gqは、増殖性の応答を誘発する。通常Giへ共役するαアドレナリン作動性受容体は、Gq/i5と呼称されるGi受容体認識ドメインを含有するハイブリッドGqタンパク質と同時発現されるときに、RSAT応答を活性化する(Conklin et al., Nature 363:274-6 (1993))。
【0044】
[0077] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、鎮痛及び/又は抗炎症剤として作用する、α1アドレナリン作動性受容体アゴニストを含む。α1アドレナリン作動性受容体は、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーのメンバーである。活性化時に、ヘテロ三量体Gタンパク質のGqは、ホスホリパーゼC(PLC)を活性化して、これがIP3及びカルシウムの増加を引き起こす。これが生理学的効果の引き金になる。α1アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、決して限定されないが、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、メタラミノール、オキシメタゾリン、フェニレフリン、2−(アニリノメチル)イミダゾリン、シネフリン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0045】
[0078] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、鎮痛及び/又は抗炎症剤として作用する、α2アドレナリン作動性受容体アゴニストを含む。本出願に有用なα2アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、決して限定されないが、L−ノルエピネフリン、クロニジン、デクスメデトミジン、アプラクロニジン、メチルドーパ、チザニジン、ブリモニジン、キシロメタゾリン、チザニジン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、グアンファシン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、モキソニジン、ミバゼロール、メデトミド、リルメニジン、UK 14,304、B−HT 933、B−HT 920、オクトパミン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0046】
[0079] 他のαアドレナリン作動性アゴニストには、限定されないが、アミデフリン、アミトラズ、アニソダミン、アプラクロニジン、チラゾリン、デトミジン、エピネフリン、エルゴタミン、エチレフリン、インダニジン、ロフェキシジン、メデトミジン、メフェンテルミン、メタラミノール、メトキサミン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン、ノルフェネフリン、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニルプロパノールアミン、リルメニジン、ロミフィジン、シネフリン、タリペキソール、チザニジン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0047】
[0080] 1つの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、ラセミ混合物として使用することができる。なお別の態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、単一の立体異性体として使用する。別の態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、立体異性体の等しい(1:1)又は等しくない量を含有する、立体異性体の混合物として使用する。例えば、いくつかの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、アゴニストの(+)R及び(−)エナンチオマーの混合物を含んでよい。様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、アゴニストの1:1ラセミ混合物を含んでよい。
【0048】
[0081] αアゴニスト送達のために選択される標的組織部位は、とりわけ、治療される状態、患者において達成されるべき薬物の所望される治療濃度、及び維持されなければならない薬物濃度の持続時間に依存する。
【0049】
[0082] いくつかの態様では、標的組織部位(例、変性円板)又はその付近での薬物デポー剤の局所投与により、通常の経口、静脈内、又は筋肉内用量より低い用量のαアドレナリン作動性アゴニストを使用することが可能になる。例えば、薬物デポー剤の局所投与は、通常の経口、静脈内、又は筋肉内用量の20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%、0.01%である1日用量で達成することができる。逆に、例えば、肝臓トランスアミナーゼ上昇、肝炎、肝不全、ミオパシー、便秘、等のような全身性の副作用は、抑制又は消失される場合がある。
【0050】
[0083] 薬物デポー剤に含まれて、本明細書に記載の方法論で使用されるαアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、α1、α2、α1及びα2)の濃度は、疼痛及び/又は炎症を予防、治療、又は抑制する治療効果をもたらすのに有効な濃度である。ヒト患者において局所投与時に鎮痛効果をもたらすためのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト、例えば、クロニジンの投与量は、典型的には、いくつかの態様において、局所注入により、約150マイクログラム〜800マイクログラム/日の間、又は3〜12マイクログラム/時間の範囲に及ぶ可能性がある。
【0051】
[0084] しかしながら、本開示を読むとすぐ当業者により理解されるように、有効濃度は、選択されるαアドレナリン作動性受容体アゴニスト、投与経路、投与頻度、投与製剤、及び治療される状態に依って変動するものである。
【0052】
[0085] 1つの態様では、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するのに、αアドレナリン作動性アゴニストを約0.0001mg/kg/日〜約40mg/kg/日の量で投与する。別の態様では、αアドレナリン作動性アゴニストを約0.001mg/kg/日〜約4mg/kg/日の量で投与する。1つの態様では、αアドレナリン作動性アゴニストを約0.01mg/kg/日〜約0.4mg/kg/日の量で投与する。
【0053】
[0086] 1つの態様では、1以上のαアドレナリン作動性アゴニストを薬物デポー剤において投与し得て、これはまた別の抗炎症薬及び/又は鎮痛薬を含有する。1以上のαアドレナリン作動性アゴニストを薬物デポー剤に包含することによって、鎮痛薬及び/又は抗炎症薬の効果を増強することができる。1つの態様において、「増強効果」は、αアドレナリン作動性アゴニストと同時投与されるときに、鎮痛薬及び/又は抗炎症薬が単独で投与されるときと同じ鎮痛効果を達成するのにより低い用量の選択される鎮痛及び/又は抗炎症剤が必要とされ得ること、又はαアドレナリン作動性アゴニストとともに通常量の選択される鎮痛薬及び/又は抗炎症薬が投与されるときに、より大きな鎮痛又は抗炎症効果が達成されることを意味する。
【0054】
[0087] 鎮痛薬は、疼痛を抑制、緩和、又は一掃し得る薬剤又は化合物を意味する。αアドレナリン作動性アゴニストに加えて、鎮痛剤の例には、限定されないが、アセトアミノフェン、例えば、リドカイン、ブピビカイン、ロピバカインのような局所麻酔薬、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ダイアモルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ケトベミドン、レボメタジル、レボルファノール、メピリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、アヘン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチンのような麻薬性鎮痛薬、又はこれらの組合せが含まれる。
【0055】
[0088] 「抗炎症剤」という句は、抗炎症効果を有する薬剤又は化合物を意味する。これらの薬剤は、炎症を抑えることによって疼痛を軽減し得る。αアドレナリン作動性アゴニストに加えて、抗炎症剤の例には、限定されないが、スタチン、スリンダク、スルファサラジン、グアニジノエチルジスルフィド、ナロキシン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナク、アロキシプリン、アプロキセン、アスピリン、ジフルニサール、フェノプロフェン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、デスオキシスリンダク、テノキシカム、ケトロラク、フルフェニサール、サルサレート、サリチル酸トリエタノールアミン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナム酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルシン、アロプリノール、オキシプリノール、塩酸ベンジダミン、ジメファダン、インドキソール、イントラゾール、塩酸ミムバン、塩酸パラニレン、テトリダミン、塩酸ベンジンドピリン、フルプロフェン、イブフェナク、ナプロキソール、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモール、フルチアジン、メタザミド、塩酸レチミド、塩酸ネキセリジン、オクタザミド、モリナゾール、ネオシンコフェン、ニマゾール、クエン酸プロキサゾール、テシカム、テシミド、トルメチン、トリフルミデート、フェナメート(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、金、テポキサリン;ジチオカルバメート、又はこれらの組合せが含まれる。抗炎症剤にはまた、ステロイド(例えば、フルオシノロン、コルチゾール、コーチゾン、ヒドロコーチゾン、フルドロコーチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、フルオシノロン、フルチカゾンのような)、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF−α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF−α産生を抑制する)、骨形成タンパク質(BMP)2型又はBMP−4(カスパーゼ8、TNF−αアクチベータの阻害剤)、キナプリル(TNF−αをアップレギュレートするアンジオテンシンIIの阻害剤)、IL−11のようなインターフェロン(TNF−α受容体発現を調節する)、オーリントリカルボン酸(TNF−αを阻害する)、グアニジノエチルジスルフィドのような他の化合物、又はこれらの組合せも含まれる。
【0056】
[0089] 例示の抗炎症剤には、例えば、ナプロキセン;ジクロフェナク;セレコキシブ;スリンダク;ジフルニサール;ピロキシカム;インドメタシン;エトドラク;メロキシカム;イブプロフェン;ケトプロフェン;r−フルルビプロフェン;メフェナム酸;ナブメトン;スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、及びこれらのそれぞれのナトリウム塩;ケトロラクブロメタミン;ケトロラクトロメタミン;ケトロラク酸;コリンマグネシウムトリサリチル酸;ロフェコキシブ;バルデコキシブ;ルミラコキシブ;エトリコキシブ;アスピリン;サリチル酸とそのナトリウム塩;α、β、γ−トコフェロール及びトコトリエノールのサリチル酸エステル(及び、そのすべてのd、l、及びラセミ異性体);アセチルサリチル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルエステル;テノキシカム;アセクロフェナク;ニメスリド;ネパフェナク;アムフェナク;ブロムフェナク;フルフェナメート;フェニルブタゾン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0057】
[0090] 例示のステロイドには、例えば、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コーチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−アセテート、デキサメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコーチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、又はこれらの組合せが含まれる。
【0058】
[0091] 疼痛及び/又は炎症の治療のためにデポー剤に含めることができる有用なスタチンの例には、限定されないが、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン(米国特許第3,883,140を参照のこと。この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、ベロスタチン(シンビノリンとも呼ばれる;米国特許第4,448,784号及び4,450,171号を参照のこと。これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、フルバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、及びフルインドスタチン(Sandoz XU−62−320)、ダルバスタチン(EP出願公開公報番号738510 A2,この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、エプタスタチン、ピタバスタチン、又はこれらの医薬的に許容される塩、又はこれらの組合せが含まれる。様々な態様において、スタチンは、スタチンの(+)R及び(−)−Sエナンチオマーの混合物を含んでよい。様々な態様において、スタチンは、スタチンの1:1ラセミ混合物を含んでよい。
【0059】
[0092] 抗炎症剤には、例えば、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、クロニジン、又はこれらの組合せのような、抗炎症特性のあるものも含まれる。
【0060】
[0093] 他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、本明細書と以下に続く特許請求項のセットがαアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はαアゴニスト(例、α2アゴニスト、α2選択的アゴニスト、α1選択的アゴニスト、α1/α2混合型又は非選択的アゴニスト、等)に言及する場合、本発明者は、立体異性体が含まれるαアドレナリン作動性受容体アゴニストの医薬的に許容される塩にも言及している。医薬的に許容される塩には、化合物の毒性を実質的には高めない、塩生成の酸及び塩基が含まれる。潜在的に好適な塩のいくつかの例には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属とアンモニウムの塩、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸のような鉱酸の塩、並びに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、等のような有機酸の塩が含まれる。
【0061】
[0094] 「薬物デポー剤」は、その中で少なくとも1つのαアドレナリン作動性受容体アゴニストが身体へ投与される組成物である。従って、薬物デポー剤は、所望の部位(例えば、特に、外科の部位又はその付近にある患者の椎間板腔、脊柱管、組織、又は他の炎症部位、等)における埋込み及び保持を促進する物理構造を含んでよい。薬物デポー剤は、薬物そのものも含む。本明細書に使用する「薬物」という用語は、一般に、患者の生理機能を改変させるあらゆる物質を意味するとする。「薬物」という用語は、本明細書において、「治療薬剤」、「治療有効量」、及び「活性医薬成分」又は「API」という用語と交換可能的に使用してよい。他に特定されなければ、「薬物」製剤には、1より多い治療薬剤を含めてよく、ここで治療薬剤の例示の組合せには、2以上の薬物の組合せが含まれると理解される。薬物は、その部位への送達のためにその治療薬剤の濃度勾配を提供する。様々な態様において、薬物デポー剤は、埋込み部位より約0.1mm〜約5cmまでの距離で治療薬剤の最適な薬物濃度勾配を提供して、少なくとも1つのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を含む。
【0062】
[0095] 「デポー剤」には、限定されないが、カプセル剤、マイクロスフェア剤、微粒子剤、マイクロカプセル剤、マイクロファイバー剤、粒子剤、ナノスフェア剤、ナノ粒子剤、コーティング剤、マトリックス剤、ウェハー剤、ピル剤、ペレット剤、エマルジョン剤、リポソーム剤、ミセル剤、ゲル剤、ファイバー剤、ストリップ剤、シート剤、又は他の医薬送達組成物、又はこれらの組合せが含まれる。薬物デポー剤は、医薬品を保持して投与するポンプを含んでよい。いくつかの態様において、薬物デポー剤は、薬物のデポー剤からの放出を可能にする空孔を有する。薬物デポー剤は、デポー剤中で体液が薬物を移送することを可能にする。しかしながら、デポー剤中への細胞浸潤は、デポー剤の空孔のサイズによって妨げられる。このように、いくつかの態様において、デポー剤は、組織基盤として機能して組織増殖を可能にしてはならない。むしろ、薬物デポー剤は、薬物送達にのみ利用される。いくつかの態様において、薬物デポー剤中の空孔は、250〜500ミクロン未満であろう。この孔径は、細胞が薬物デポー剤に浸潤して基盤細胞を構築することを妨げる。このように、この態様では、体液が薬物デポー剤に入るときに薬物が薬物デポー剤より溶出されるが、細胞は入ることを妨げられる。いくつかの態様において、空孔がほとんど又はまったくない場合、薬物は、酵素の作用によって、加水分解作用によって、及び/又は人体中の他の類似の機序によって、薬物デポー剤より外へ溶出される。
【0063】
[0096] デポー剤に適した材料は、理想的には、好ましくはFDA承認されている医薬的に許容される生分解性及び/又はあらゆる生体吸収性の材料、又はGRAS(一般に安全と認められている)材料である。これらの材料は、ポリマー又は非ポリマー性であり、並びに、合成品又は天然に存在するもの、又はこれらの組合せであり得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、生分解性でなくても、生分解性でない材料を含んでもよい。非生分解性ポリマーには、限定されないが、様々なセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、及びアルキルセルロース)、シリコンとシリコンベースのポリマー(ポリジメチルシロキサンのような)、ポリエチレンコ(酢酸ビニル)、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポロキサミン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリエチレン−クロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE又は「TeflonTM」)、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド−ポリスチレン、ポリ−α−クロロ−p−キシレン、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、非分解性エチレン−ビニルアセテート(例、エチレンビニルアセテートディスク、及びポリ(エチレンコビニルアセテート))、及び他の関連した生物学的安定性ポリマー、又はこれらの組合せが含まれる。
【0064】
[0097] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、少なくとも1つの生分解性材料を、デポー剤の全重量に基づいて約99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、35%、25%、20%、15%、10%、又は5%の重量%で含み、残りは、活性及び不活性な医薬成分である。
【0065】
[0098] いくつかの態様において、αアゴニストの薬物デポー剤中のローディングは、約0.5重量%〜約30重量%、又は約1重量%〜約20重量%である。いくつかの態様において、ローディングは、約10重量%〜約20重量%である。
【0066】
[0099] 薬物デポー剤は、非吸収性ポリマーも含んでよい。これらの非吸収性ポリマーには、限定されないが、デルリン、ポリウレタン、シリコーン及びポリウレタンの共重合体、ポリオレフィン(ポリイソブチレン及びポリイソプレンのような)、アクリルアミド(ポリアクリル酸及びポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)のような)、ネオプレン、ニトリル、アクリレート(ポリアクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及びN−ビニルピロリドンとアクリレートの共重合体のような)、N−ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、グルコマンナンゲル、加硫ゴム、及びこれらの組合せを含めることができる。ポリウレタンの例には、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポリウレタン、セグメント化ポリウレタン、親水性ポリウレタン、ポリエーテル−ウレタン、ポリカーボネート−ウレタン、及びシリコーンポリエーテル−ウレタンが含まれる。典型的には、非分解性薬物デポー剤は、取り除くことが必要になり得る。
【0067】
[00100] 「治療有効量」又は「有効量」は、投与されるときに、薬物が、例えば、炎症の阻害、疼痛の抑制又は軽減、変性円板疾患の改善、等といった生物活性の改変をもたらすような量である。患者へ投与される投与量は、他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、薬物の投与される薬物動態特性、投与経路、患者の状態及び特性(性別、年齢、体重、健康、サイズ、等)、症状の程度、併用治療法、治療の頻度、及び所望される効果が含まれる多様な要因に依って、単用量又は多用量であり得る。いくつかの態様において、製剤は、即時放出用に設計される。他の態様において、製剤は、持続放出用に設計される。他の態様において、製剤は、1以上の即時放出表面と1以上の継続放出表面を含む。
【0068】
[00101] 「持続(sustained)放出」又は「継続(sustain)放出」(延長放出又は制御放出とも呼ばれる)という句は、ヒト又は他の哺乳動物の身体へ導入されて、1以上の治療薬剤の流れを所定の時間帯にわたり、そしてその所定の時間帯を通して所望の治療効果を達成するのに十分な治療レベルで連続的又は継続的に放出する、1以上の治療薬剤(複数)に言及するために本明細書で使用される。連続的又は継続的な放出の流れへの言及には、薬物デポー剤又はそのマトリックス若しくは成分の in vivo での生物分解の結果として、又は治療薬剤(複数)又は治療薬剤(複数)のコンジュゲートの代謝変換又は溶解の結果として生じる放出が含まれると企図される。当業者には、持続放出製剤が、例によれば、フィルム剤、スラブ剤、シート剤、ペレット剤、微粒子剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、スフェロイド剤、成形誘導体、又はペースト剤として創製され得ることがわかっている。製剤は、等張生理食塩水、生理学的緩衝液、又は患者への注射に許容される他の溶液における懸濁に適している形態であってよい。さらに、製剤は、限定されないが、非経口製剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、埋込型ロッド剤、ペレット剤、プレート剤、又はファイバー剤、等が含まれる、本発明での態様と結びつくときに有用であると当業者に評価される、あらゆる埋込み可能、挿入可能、又は注射可能なシステムとともに使用してよい。
【0069】
[00102] 「即時放出」という句は、本明細書において、身体へ導入されて、それが投与される部位において溶解するか又はそこで吸収されることが可能であり、薬物の溶解又は吸収を遅延又は延長させる意図がない、1以上の治療薬剤(複数)へ言及するために使用される。即時放出は、投与に続く短い時間帯内、例えば、概して数分〜約1時間以内での薬物の放出を意味する。
【0070】
[00103] 「哺乳動物」という用語は、「哺乳動物」という命名法の群からの生物を意味し、限定されないが、ヒト、チンパンジー、ヒトニザル、オランウータン、及びサルのような他の霊長動物、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、等が含まれる。様々な態様において、哺乳動物は、ヒト患者である。
【0071】
[00104] 「放出速度プロフィール」という句は、一定の単位時間にわたり放出される有効成分の割合、例えば、mcg/時間、mcg/日、mg/時間、mg/日、10日間10%/日、等を意味する。当業者が知っているように、放出速度プロフィールは、線形であってもなくてもよい。非限定的な例によれば、薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアゴニストをある時間帯にわたり放出するペレット剤であり得る。
【0072】
[00105] 疾患又は状態を治療すること又はその治療は、疾患の徴候又は症状を軽減する努力において、患者(正常又は他の状態のヒト、又は他の哺乳動物)へ1以上の薬物を投与することが含まれ得るプロトコールを実行することを意味する。軽減は、疾患又は状態の徴候又は症状が出現する前に、並びにその出現の後に起こり得る。このように、「治療すること」又は「治療」には、疾患又は望まれない状態を「予防すること」又はその「予防」が含まれる。加えて、「治療すること」又は「治療」は、徴候又は症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を必要とせず、そして具体的には、患者に対してわずかな効果しか及ぼさないプロトコールも含まれる。「疼痛及び/又は炎症を抑制すること」には、疼痛及び/又は炎症の減少が含まれるが、疼痛及び/又は炎症の徴候又は症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を必要としない。様々な態様において、疼痛及び/又は炎症を抑制することには、疼痛及び/又は炎症のわずかな減少さえ含まれる。例によれば、有効投与量のαアドレナリン作動性受容体アゴニストの投与を使用して、様々な疾患又は状態の疼痛及び/又は炎症の症状を予防、治療、又は緩和することができる。これらの疾患/状態は、口腔・顔面疾患、滑液嚢炎、腱炎、限定されないが、自己免疫疾患(多発性硬化症、変性円板疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、全身性紅斑性狼瘡、及び乾癬のような)、蠕虫のような感染病原体によって誘発される免疫病理(例、リーシュマニア症)とある種のウイルス感染症(HIVが含まれる)、及び細菌感染症(ライム病、結核、及びらい腫らいが含まれる)、組織移植拒絶、移植片対宿主病、及びアトピー性状態(喘息のような)、並びに、アレルギー性鼻炎、胃腸アレルギー(食物アレルギーが含まれる)、好酸球増加症、結膜炎、又は糸球体腎炎が含まれるアレルギーが含まれる、慢性炎症性疾患を含んでよい。
【0073】
[00106] 1つの慢性状態は、坐骨神経痛である。一般に、「坐骨神経痛」は、急性疼痛からニューロパシー疼痛へ移行し得る疼痛の例である。坐骨神経痛は、脊髄の下部(腰領域)より発して、脚の裏側と肢に至る坐骨神経に関連した疼痛を意味する。一般に、坐骨神経痛は、椎間板ヘルニアより始まる。椎間板ヘルニアそのものは、局所の免疫系活性化をもたらす。椎間板ヘルニアはまた、神経根を締め付けるか又は圧迫することによってそれを傷つけて、その領域で追加の免疫系活性化をもたらす場合がある。様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストを使用して、αアドレナリン作動性アゴニストを1以上の標的組織部位(例、神経根、背根神経節、疼痛の集中部位、脊柱又はその付近、等)で局所投与することによって、坐骨神経の疼痛及び/又は炎症を抑制、治療、又は予防することができる。
【0074】
[00107] 「局在化」送達には、1以上の薬物が組織、例えば、神経系の神経根又は脳の領域、又はそれらのごく近傍(例えば、約10cm以内、又は約5cm以内、又は0.1cm以内)の内側に沈積される送達が含まれる。「標的指向される送達系」は、1以上の薬物デポー剤、ゲル剤、又は沈積され得る量の治療薬剤を有するゲルに分散したデポー剤の、疼痛、炎症、又は他の疾患又は状態の治療に必要とされるような標的部位又はその付近への送達を提供する。
【0075】
[00108] 「生分解性」という用語には、薬物デポー剤の全体又は部分が酵素の作用によって、加水分解作用によって、及び/又は人体中の他の類似の機序によって経時的に分解されることが含まれる。様々な態様において、「生分解性」には、治療薬剤が放出された後で、又は放出されている間に、デポー剤(例、微粒子剤、マイクロスフェア剤、等)が身体内で無毒の成分へ崩壊又は分解され得ることが含まれる。「生侵食性」は、デポー剤が、少なくとも一部は、周囲組織に見出される物質、体液との接触によるか又は細胞の作用によって経時的に侵食又は分解されることを意味する。「生体吸収性」は、デポー剤が人体内で例えば細胞又は組織によって崩壊されて吸収されることを意味する。「生体適合性」は、デポー剤が標的組織部位で実質的な組織刺激も壊死も引き起こさないことを意味する。
【0076】
[00109] 「疼痛管理投薬」という句には、疼痛を予防、軽減、又は完全に取り除くために投与される1以上の治療薬剤が含まれる。これらには、1以上のαアドレナリン作動性アゴニストが単独で、又は抗炎症剤、筋弛緩薬、鎮痛薬、麻酔薬、麻薬、等、又はこれらの組合せと組み合わせて含まれる。
【0077】
[00110] 様々な態様において、デポー剤は、埋込み後の最初の24時間、2日、3日、4日、又は5日以内に治療薬剤の初期バースト投薬を引き起こすように設計することができる。「初期バースト」又は「バースト効果」又は「ボーラス用量」は、デポー剤が水性の体液(例、脳脊髄液、血液、等)と接触した後の最初の24時間、2日、3日、4日、又は5日の間に治療薬剤がデポー剤より放出されることを意味する。このバースト効果は、鎮痛薬にとって特に有益であるが、様々な態様において、抗炎症剤では、より長期間のより線形の放出が所望される場合がある。「バースト効果」は、治療薬剤のデポー剤からの増加放出によると考えられている。代わりの態様では、この初期バースト効果を回避するようにデポー剤(例、ゲル剤、ペレット剤、ウェハー剤、等)が設計される(例えば、デポー剤へ外側ポリマーコーティング剤を施すことによって)。
【0078】
[00111] 少なくとも1つのα2アドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を含んでなる薬物デポー剤は、筋弛緩薬と同時投与してよい。同時投与には、別々の薬物デポー剤で同時に投与すること、又は同じ薬物デポー剤において一緒に製剤化することを伴う場合がある。
【0079】
[00112] 例示の筋弛緩薬には、例によれば、そして限定せずに、塩化アルクロニウム、アトラクリウムベシラート、バクロフェン、カルボロニウム、カリソプロドール、カルバミン酸クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、ダントロレン、臭化デカメトニウム、ファザジニウム、ガラミントリエチオジド、ヘキサフルオレニウム、メラドラジン、メフェンシン、メタキサロン、メトカルバモール、ヨウ化メトクリン、パンクロニウム、メシル酸プリジノール、スチラメート、スキサメトニウム、スキセトニウム、チオコルチコシド、チザニジン、トルペリゾン、ツボクラリン、ベクロニウム、又はこれらの組合せが含まれる。
【0080】
[00113] 薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩に加えて、他の治療薬剤又は有効成分も含んでよい。好適な追加の治療薬剤には、限定されないが、インテグリンアンタゴニスト、α4,β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS−188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外製薬)、HMGB−1 mAb(Critical Therapeutics 社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ)、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、又はHuMax IL−15(抗IL15抗体)が含まれる。
【0081】
[00114] αアドレナリン作動性アゴニストと同時投与し得る他の好適な治療薬剤には、ヒトのインターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)の組換え非グリコシル型である、Kineret(登録商標)(アナキンラ)のようなIL−1阻害剤、又はIL−1の作用を阻止するモノクローナル抗体であるAMG108が含まれる。治療薬剤には、グルタミン酸及びアスパラギン酸のような興奮性アミノ酸のアンタゴニスト、又はNMDA受容体、AMPA受容体、及び/又はカイニン酸受容体へのグルタミン酸結合の阻害剤も含まれる。望まれる場合は、上記のPEG化型も使用してよいと考慮される。他の治療薬剤の例には、グルココルチコイドのようなNFκB阻害剤、又はジチオカルバメートのような抗酸化剤が含まれる。
【0082】
[00115] 使用に適した追加の治療薬剤の特別な例には、限定されないが、同化成長因子又は抗異化成長因子、又は骨誘導成長因子、又はこれらの組合せが含まれる。
【0083】
[00116] 好適な同化成長又は抗異化成長因子には、限定されないが、骨形成タンパク質、成長分化因子、LIM鉱化作用タンパク質、CDMP又は前駆細胞、又はこれらの組合せが含まれる。
【0084】
[00117] αアゴニストに加えて、好適な鎮痛剤には、限定されないが、アセトアミノフェン、ブピバカイン、トラマドール、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリンのようなオピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬、又はこれらの組合せが含まれる。オピオイド鎮痛薬には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノピリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、又はこれらの組合せが含まれる。
【0085】
[00118] それぞれのαアドレナリン作動性アゴニストについて、いくつかの態様において、各化合物の放出は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、又は少なくとも15日、又はより長い間であってよい。
【0086】
[00119] 治療薬剤(例、αアゴニスト、筋弛緩薬、ステロイド、等)には、その医薬的に許容される塩も含まれる。本明細書に使用するように、「医薬的に許容される塩」は、開示化合物(例、エステル又はアミン)の誘導体を意味し、ここで親化合物は、その酸性又は塩基性の塩を作製することによって修飾してよい。医薬的に許容される塩の例には、限定されないが、アミンのような塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩又は有機塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、例えば、無毒の無機酸又は有機酸より生成される、親化合物の慣用的な無毒の塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような慣用の無毒の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、又は硝酸のような無機酸より誘導される塩;又は、酢酸、フオル酸(fuoric)、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸のような有機酸より製造される塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、ラセミ混合物((+)−R及び(−)−Sエナンチオマー)、又は各治療薬剤の右旋性及び左旋性異性体のそれぞれも含まれる。治療薬剤は、遊離酸又は塩基型であっても、長期作用活性のためにPEG化されてもよい。
【0087】
クロニジン
[00120] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、クロニジンである。クロニジンに言及するとき、他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、本発明者は、医薬的に許容される塩にも言及していると理解されたい。クロニジンの1つのよく知られた市販の塩は、その塩酸塩である。潜在的に医薬的に許容される塩の他のいくつかの例には、マグネシウム、カリウムのようなアルカリ金属とアンモニウムの塩、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸のような鉱酸の塩、並びに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、等のような有機酸の塩といった、化合物の毒性を実質的には高めない、塩生成の酸及び塩基が含まれる。
【0088】
[00121] さらに、クロニジンに言及するとき、その有効成分は、塩型だけでなく、塩基型(例、遊離塩基)であってもよい。様々な態様において、それが塩基型であるならば、それは、PLGA又はPLAとともに生じ得る加熱又は溶媒処理時に見られる場合のように、重大なポリマー分解がない条件の下でポリマーと組み合わされてよい。非限定的な例によれば、クロニジンをポリ(オルトエステル)とともに製剤化するときは、クロニジン塩基製剤を使用することが望ましいかもしれない。対照的に、クロニジンをPLGAとともに製剤化するときは、HCl塩型を使用することが望ましいかもしれない。
【0089】
[00122] 1つの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、2,6−ジクロロ−N−2−イミダゾリジニルデンベンゼンアミンとも呼ばれるクロニジンを含んでなるα2アドレナリン作動性アゴニストである。クロニジン又はその医薬的に許容される塩は、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために、様々な医薬品製造業者より入手可能である。
【0090】
[00123] 投与量は、ほぼ0.0005〜ほぼ960μg/日であってよい。クロニジンの追加の投与量には、ほぼ0.0005〜ほぼ900μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ500μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ250μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ100μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ75μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ70μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ65μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ60μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ55μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ45μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ40μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ35μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ30μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ20μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ15μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ10μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ5μg/日;及びほぼ0.0025〜ほぼ2.5μg/日が含まれる。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、クロニジンの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、クロニジンの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0091】
[00124] 様々な態様では、クロニジン(ここでクロニジンは、製剤の約0.1重量%〜約30重量%を含む)と少なくとも1つの生分解性ポリマーを含んでなる医薬製剤がある。いくつかの態様において、医薬品のクロニジンは、製剤の約3重量%〜約20重量%、約3重量%〜約18重量%、約5重量%〜約15重量%、又は約7.5重量%〜約12.5重量%を含む。例によれば、5%〜15%のクロニジン組成を使用するとき、クロニジンのポリマーに対するモル比は、267グラム/モル比を有するほぼ80キロダルトンのポリマーを使用するとき、ほぼ16〜53となろう。別の例によれば、組成物中5%〜15%のクロニジン塩基を使用するとき、クロニジン塩基のポリマーに対するモル比は、230グラム/モルのモル量では、ほぼ18〜61となろう。
【0092】
[00125] いくつかの態様において、少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸コグリコリド)(PLGA)又はポリ(オルトエステル)(POE)、又はこれらの組合せを含む。ポリ(乳酸コグリコリド)は、ポリグリコリド(PGA)及びポリラクチドの混合物を含んでよく、いくつかの態様において、その混合物には、ポリグリコリドより多くのポリラクチドがある。様々な態様では、100%のポリラクチドと0%のポリグリコリド;95%のポリラクチドと5%のポリグリコリド;90%のポリラクチドと10%のポリグリコリド;85%のポリラクチドと15%のポリグリコリド;80%のポリラクチドと20%のポリグリコリド;75%のポリラクチドと25%のポリグリコリド;70%のポリラクチドと30%のポリグリコリド;65%のポリラクチドと35%のポリグリコリド;60%のポリラクチドと40%のポリグリコリド;55%のポリラクチドと45%のポリグリコリド;50%のポリラクチドと50%のポリグリコリド;45%のポリラクチドと55%のポリグリコリド;40%のポリラクチドと60%のポリグリコリド;35%のポリラクチドと65%のポリグリコリド;30%のポリラクチドと70%のポリグリコリド;25%のポリラクチドと75%のポリグリコリド;20%のポリラクチドと80%のポリグリコリド;15%のポリラクチドと85%のポリグリコリド;10%のポリラクチドと90%のポリグリコリド;5%のポリラクチドと95%のポリグリコリド;並びに、0%のポリラクチドと100%のポリグリコリドがある。
【0093】
[00126] ポリラクチドとポリグリコリドをともに含む様々な態様では、少なくとも95%のポリラクチド;少なくとも90%のポリラクチド;少なくとも85%のポリラクチド;少なくとも80%のポリラクチド;少なくとも75%のポリラクチド;少なくとも70%のポリラクチド;少なくとも65%のポリラクチド;少なくとも60%のポリラクチド;少なくとも55%のポリラクチド;少なくとも50%のポリラクチド;少なくとも45%のポリラクチド;少なくとも40%のポリラクチド;少なくとも35%のポリラクチド;少なくとも30%のポリラクチド;少なくとも25%のポリラクチド;少なくとも20%のポリラクチド;少なくとも15%のポリラクチド;少なくとも10%のポリラクチド;又は少なくとも5%のポリラクチドがあり;そしてそのバイオポリマーの残りは、ポリグリコリドである。
【0094】
[00127] 様々な態様において、薬物デポー剤に使用する薬物の粒径は、約5〜30マイクロメートルであるが、様々な態様では、約1ミクロン〜250ミクロンの範囲が使用され得る。いくつかの態様において、生分解性ポリマーは、製剤の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、製剤の少なくとも85重量%、製剤の少なくとも90重量%、製剤の少なくとも95重量%、又は製剤の少なくとも97重量%を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの生分解性ポリマーとクロニジンが医薬製剤の唯一の成分である。
【0095】
[00128] いくつかの態様では、粒子の少なくとも75%が約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。
【0096】
[00129] いくつかの態様では、粒子の少なくとも75%が約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。
【0097】
[00130] いくつかの態様では、αアゴニストのクロニジン(ここでクロニジンは、クロニジン塩酸塩とクロニジン塩基の混合物であり、この混合物は、製剤の約0.1重量%〜約30重量%を含む)を含んでなる医薬製剤があり、ポリマーは、その製剤の少なくとも70%を含む。いくつかの態様において、この製剤中のポリマーは、ポリオルトエステルである。
【0098】
[00131] いくつかの態様において、製剤は、生分解性ポリオルトエステルを含む薬物デポー剤を含む。ポリオルトエステルの分解プロセスの機序は、本質において加水分解的又は酵素的、又はその両方であり得る。様々な態様において、分解は、薬物送達系デポー剤の表面(不均一又は表面侵食)で、又はそのデポー剤の全体で均質に(均一又はバルク侵食)起こり得る。ポリオルトエステルは、A. P. Pharma 社(カリフォルニア州レッドウッドシティ)より、又は、1,4−trans−シクロヘキサンジメタノール及び1,6−ヘキサンジオールのようなジオール(複数)及び/又はポリオール(複数)の好適な組合せと3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキソスピロ[5,5]ウンデカン(DETOSU)のようなビス(ケテンアセタール)の反応を介して、又はオルトエステル部分を含んでなるポリマーを生成する他のどの化学反応によっても入手することができる。
【0099】
[00132] いくつかの態様では、クロニジン(ここでクロニジンは、塩酸塩の形態であり、製剤の約0.1重量%〜約30重量%、又は製剤の約1重量%〜約20重量%を含む)と少なくとも1つの生分解性ポリマー(ここで少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(又はポリ(乳酸コグリコール酸))又はポリ(オルトエステル)、又はこれらの組合せを含む)を含んでなる薬物デポー剤中の医薬製剤があり、そして前記少なくとも1つの生分解性ポリマーは、前記製剤の少なくとも70重量%又は80重量%を含む。
【0100】
[00133] いくつかの態様では、クロニジン(ここでクロニジンは、クロニジン塩酸塩とクロニジン塩基の混合物であり、この混合物は、製剤の約0.1重量%〜約30重量%を含む)を含んでなる医薬製剤があり、ポリマーは、その製剤の少なくとも70%を含む。いくつかの態様において、この製剤中のポリマーは、ポリオルトエステルである。
【0101】
[00134] いくつかの態様では、疼痛を治療するための方法がある。これらの方法は、医薬組成物を生物へ投与することを含み、ここで前記医薬組成物は、製剤の約1重量%〜約20重量%と少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む。いくつかの態様において、そのローディングは、約5重量%〜約10重量%である。いくつかの態様において、そのローディングは、約10重量%〜約20重量%である。
【0102】
[00135] いくつかの態様では、クロニジンのより高いローディング、例えば、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のローディングがある。
【0103】
[00136] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、クロニジンと並んで賦形剤を含有する。生分解性ポリマーに加えてクロニジンとともに製剤化し得る例示の賦形剤には、限定されないが、MgO(例、1重量%)、5050 DLG 6E、5050 DLG 1A、mPEG、TBO−Ac、mPEG、Span−65、Span−85、プルロニックF127、TBO−Ac、ソルビタール、シクロデキストリン、マルトデキストリン、プルロニックF68、CaCl、5050 DLG−7A、及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約50重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約40重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約30重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約20重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約10重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約50重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約2重量%を含む。
【0104】
[00137] 薬物デポー剤を投与するときには、三角網(triangulation)の戦略が有効であるかもしれない。このように、医薬製剤(例、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト)を含んでなる複数(少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、等)の薬物デポー剤は、標的組織部位が、2つの製剤がある場合はその製剤間に入るか、又はその周辺が複数の製剤のセットによって画定される領域の内側に入るように、標的組織部位(例えば、椎間板ヘルニアのように、疼痛発生源又は疼痛発生部位としても知られる)の周囲に配置することができる。
【0105】
[00138] いくつかの態様において、製剤は、やや堅くて、長さ、幅、直径、等が様々である。例えば、ある製剤は、0.50mmの直径と4mmの長さを有してよい。粒径は、乳鉢及び乳棒、ジェット乾燥、又はジェット粉砕を使用するような技術によって改変し得ることに留意されたい。
【0106】
[00139] いくつかの態様において、クロニジンは、少なくとも3日の期間の間、1日につき2〜3μgの速度で放出される。いくつかの態様では、この放出速度が、少なくとも10日、少なくとも15日、少なくとも25日、少なくとも50日、少なくとも90日、少なくとも100日、少なくとも135日、少なくとも150日、又は少なくとも180日の間続く。いくつかの態様では、バイオポリマーとともに製剤化された300〜425マイクログラムのクロニジンをヒトの標的組織部位又はその付近に埋め込む。標的部位を三角包囲する多数の部位にクロニジンを埋め込むならば、いくつかの態様において、クロニジンの各部位での全量は、総量300〜425マイクログラムの画分となる。例えば、324マイクログラムの単用量を1つの部位に埋め込んでも、162マイクログラムの2つの個別用量を2つの部位に埋め込んでも、108マイクログラムの3つの個別用量を、標的部位を三角包囲する3つの部位に埋め込んでもよい。生物にとって有害になり得る量未満の量へ全体投与量を制限することが重要である。しかしながら、いくつかの態様では、複数の部位がある場合に、各部位は、単回適用で投与し得た全用量未満を含有してよいが、各部位は独立した放出プロフィールを有して、バイオポリマーの濃度や物質は、持続放出が十分な時間にわたり起こることを確実にするように調整すべきであることを忘れずにいることが重要である。
【0107】
[00140] いくつかの態様では、クロニジン又はクロニジン塩酸塩とポリマーを含んでなる薬物デポー剤があり、ここでポリマーは、様々な態様の1以上であり、薬物デポー剤は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン又はこれらの組合せを含む。
【0108】
[00141] 1つの例示の投薬レジメンでは、ラットに、0.240μg/日の継続放出を135日間提供するのに十分なクロニジンを生分解性ポリマーにおいて提供することができる。この時間帯にわたり投与されるクロニジンの全量は、ほぼ32.4μgとなろう。別の例示の投薬レジメンでは、ヒトに、2.4μg/日の継続放出を135日間提供するのに十分なクロニジンを生分解性ポリマーにおいて提供する。この時間帯にわたり投与されるクロニジンの全量は、ほぼ324μgとなろう。
【0109】
[00142] 複数のペレット剤を使用するとき、ペレット数は、適正なサイズ(即ち、直径0.5mmx長さ4mm)のペレットへ負荷する薬物の量と、どのくらい薬物が必要とされるか(例えば、ほぼ325μgのクロニジン(3つのペレット剤))に基づく。いくつかの態様では、ボーラス量の化合物を最初の数日(約5日)にわたり放出した後で落ち着いて、2.5mg/日を135日間放出するポリマーがある。例示の製剤は、5重量%のクロニジン、100 DL 5Eである。
【0110】
[00143] いくつかの態様では、本出願のポリマーデポー剤により、2.5倍以上の薬物を送達する皮下注射剤と同等である、有効成分の効力を提供することが可能になる。
【0111】
フルオシノロン
[00144] 1つの態様において、αアゴニストに加えて、デポー剤中の抗炎症剤は、フルオシノロン又は、アセトニド塩のようなその医薬的に許容される塩を含む。フルオシノロンは、様々な医薬品製造業者より入手可能である。フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.0005〜ほぼ100μg/日であってよい。フルオシノロンの追加の投与量には、ほぼ0.0005〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ10μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ5μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ1μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.75μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.5μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.25μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.1μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.075μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.05μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.025μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.01μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.0075μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.005μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.025μg/日;及び、ほぼ0.002μg/日が含まれる。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0112】
デキサメタゾン
[00145] 本発明の1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の抗炎症剤は、(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)−9−フルオロ−11,17−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,11,12,14,15,16−オクタヒドロシクロペンタ[a]−フェナントレン−3−オンとも呼ばれる、デキサメタゾン遊離塩基又は酢酸デキサメタゾン又はその医薬的に許容される塩であり、これは、様々な製造業者より入手可能である。
【0113】
[00146] 様々な態様において、デキサメタゾンは、デポー剤より、約10pg〜約80mg/日、約2.4ng/日〜約50mg/日、約50ng/日〜約2.5mg/日、約250ng/日〜約250μg/日、約250ng/日〜約50μg/日、約250ng/日〜約25μg/日、約250ng/日〜約1μg/日、約300ng/日〜約750ng/日、又は約0.50μg/日の用量で放出され得る。様々な態様において、この用量は、約0.01〜約10μg/日又は約1ng〜約120μg/日であってよい。
【0114】
[00147] 1つの例示の態様において、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。
【0115】
GED
[00148] 1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の治療薬剤は、抗炎症特性を有する誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤であるGED(グアニジノエチルジスルフィド)である。GEDは、その炭酸水素塩の形態でよい。
【0116】
[00149] GEDの投与量は、ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ100mg/日であってよい。GEDの追加の投与量には、ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ50mg/日;ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ10mg/日;ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ1mg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ800μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ45μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ40μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ35μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ30μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ20μg/日;及び、ほぼ0.0025〜ほぼ15μg/日が含まれる。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、GEDの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、GEDの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0117】
[00150] 1つの例示の態様において、GEDの投与量は、0.5mg/日と4mg/日の間にある。別の例示の態様において、GEDの投与量は、0.75mg/日と3.5mg/日の間にある。
【0118】
ロバスタチン
[00151] 1つの例示の態様において、α−アゴニストに加えて、薬物デポー剤中の抗炎症剤は、ロバスタチンを含む。ロバスタチンは、様々な製造業者より様々な形態(例、注射剤、散剤、等)で入手し得るスタチンである。例えば、ロバスタチンは、メルクより、Mevacor(登録商標)(米国特許第4,231,938号を参照のこと、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)として入手し得る。ロバスタチンの好適な医薬的に許容される塩には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、1−デオキシ−2−(メチルアミノ)−D−グルシトール、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄若しくは第二鉄、水酸化アンモニウム、又はN−メチルグルカミン、コリン、アルギニン、等のような有機アミン、又はこれらの組合せのような塩基より誘導される1以上の化合物が含まれる。ロバスタチンの好適な医薬的に許容される塩には、そのリチウム、カルシウム、ヘミカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、第一鉄、又は第二鉄の塩、又はこれらの組合せが含まれる。
【0119】
[00152] 様々な態様において、ロバスタチンの治療有効量は、1日につき約0.1pg〜約2000mg、例えば、0.1ng〜1000mg、500mg、100mg、50mg、25mg、10mg、1mg、50μg、25μg、10μg、1μg、500ng、250ng、100ng、75ng、50ng、25ng、15ng、10ng、5ng、又は1ngのロバスタチンを含む。様々な態様において、投与量は、例えば、約3ng/日〜0.3μg/日であってよい。
【0120】
モルヒネ
[00153] 本発明の1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の鎮痛剤は、モルヒネである。モルヒネは、(5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチルモルヒナン−3,6−ジオールとも呼ばれて、化学式:C17H19NO3を有する。モルヒネとその医薬的に許容される塩は、様々な製造業者より入手可能である。1つの例示の態様において、モルヒネは、硫酸モルヒネ又は塩酸モルヒネを含む。
【0121】
[00154] モルヒネの投与量は、1日につき0.1mg〜1000mgであり得る。例えば、モルヒネの投与量は、例えば、1日につき0.1mg〜2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mgのモルヒネであってよい。
【0122】
トラマドール
[00155] 1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の鎮痛剤は、トラマドールである。トラマドールは、(±)cis−2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノール塩酸塩とも呼ばれて、化学式:C16H25NO2を有する。トラマドール又はその医薬的に許容される塩は、様々な製造業者より入手可能である。様々な態様において、トラマドールHCLを使用した。
【0123】
[00156] トラマドールの投与量は、1日につき0.01mg〜500mgであってよい。例えば、トラマドールの投与量は、例えば、1日につき0.1mg〜2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、又は500mgのトラマドールであってよい。
【0124】
[00157] 1つの態様において、薬物デポー剤は、2.5mg/kg/日と30mg/kg/日の間で放出されるのに十分なトラマドールを含有する。別の態様において、薬物デポー剤は、3mg/kg/日と27.5mg/kg/日の間で放出されるのに十分なトラマドールを含有する。
【0125】
[00158] αアドレナリン作動性アゴニストは、非有効成分とともに投与してもよい。これらの非有効成分は、治療薬剤(複数)を運搬すること、安定化させること、及びその放出を制御することが含まれる、多機能の目的を有する場合がある。例えば、持続放出プロセスは、溶解拡散機序によっても、あるいはそれは、浸食−持続プロセスによって支配されてもよい。典型的には、デポー剤は、生分解性であり得る生体適合性材料からなる、固体又は半固体の製剤であろう。「固体」という用語は、堅い材料を意味すると企図されるが、一方「半固体」は、ある度合いの柔軟性を有することにより、デポー剤が曲がって、周囲の組織要求性に従うことを可能にする材料を意味すると企図される。
【0126】
[00159] 様々な態様において、非有効成分は、薬物送達の予定期間に(生分解性の成分では)等しいか又はより長い、又は(非生分解性の成分では)それより長い時間帯の間、組織部位の内側で耐久可能である。
【0127】
[00160] いくつかの態様において、デポー剤の材料は、体温に近いか又はそれより高いが、治療薬剤の崩壊又は分解温度よりは低い、融点又はガラス遷移温度を有し得る。しかしながら、デポー剤の材料の所定の侵食は、負荷した治療薬剤(複数)の遅い放出をもたらすためにも使用し得る。
【0128】
[00161] 様々な態様において、薬物デポー剤は、完全に生分解性でなくてよい。例えば、薬物デポー剤は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せを含んでよい。典型的には、この種の薬物デポー剤は、取り除くことが必要になり得る。
【0129】
[00162] ある例では、薬物デポー剤を使用後に取り除くことを回避することが望ましい場合がある。これらの例において、デポー剤は、生分解性材料を含む場合がある。この目的に利用可能で、標的組織又はその付近に位置づけられるときに、延長された時間帯にわたり分解又は崩壊することが可能であるという特徴を有する、数多くの材料がある。生分解性材料の化学の関数として、この分解プロセスの機序は、本質において加水分解的又は酵素的、又はその両方であり得る。様々な態様において、分解は、薬物送達系デポー剤の表面(不均一又は表面侵食)で、又はその全体で均質に(均一又はバルク侵食)起こり得る。
【0130】
[00163] 様々な態様において、デポー剤は、少なくとも1つの鎮痛剤及び/又は少なくとも1つの抗炎症剤の即時放出又は持続放出をもたらすことができる、生体吸収性及び/又は生分解性のバイオポリマーを含んでよい。好適な持続放出バイオポリマーの例には、限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA又はPLG)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、デンプン、ゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、αトコフェリルアセテート、d−αトコフェリルスクシネートのようなビタミンE類似体、D,L−ラクチド、又はL−ラクチド、 、−カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック)、PEO−PPO−PAA共重合体、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロック共重合体、SAIB(スクロースアセテートイソブチレート)、又はこれらの組合せが含まれる。当業者には、PLGAの可塑剤としてmPEGを使用してよいが、同じ効果を達成するのに他のポリマー/賦形剤も使用してよいことがわかっている。mPEGは、得られる製剤に対して可鍛性を付与する。いくつかの態様において、上記のバイオポリマーはまた、所望の放出プロフィールを提供するために、薬物デポー剤の上でコートしてよい。いくつかの態様において、コーティングの厚さは、薬物のデポー剤からの放出を遅らせるために、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50ミクロンの薄いコーティングから、60、65、70、75、80、85、90、95、100ミクロンのより厚いコーティングであってよい。いくつかの態様において、薬物デポー剤上のコーティングの範囲は、薬物デポー剤からの放出を遅らせるために、約5ミクロン〜約250ミクロン、又は5ミクロン〜約200ミクロンの範囲に及ぶ。
【0131】
[00164] ポリマーの異なる組合せを使用する場合(2元、3元(例、PLGA−PEO−PLGA)、又はテルポリマー)、それらは、様々なモル比、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1で使用してよい。様々な態様において、130日の放出では、デポー剤は、50:50 PLGA〜100 PLAを含む。分子量範囲は、0.45〜0.8dI/gである。
【0132】
[00165] 様々な態様において、ポリマーの分子量は、広範囲の数値であり得る。ポリマーの平均分子量は、約1000〜約10,000,000;又は約1,000〜約1,000,000;又は約5,000〜約500,000;又は約10,000〜約100,000;又は約20,000〜50,000であり得る。
【0133】
[00166] いくつかの態様において、少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸コグリコール酸)(PLGA)又はポリ(オルトエステル)(POE)、又はこれらの組合せを含む。ポリ(乳酸コグリコール酸)は、ポリグリコリド(PGA)及びポリラクチドの混合物を含んでよく、そしていくつかの態様において、その混合物中には、ポリグリコリドより多くのポリラクチドがある。様々な他の態様では、100%のポリラクチドと0%のポリグリコリド;95%のポリラクチドと5%のポリグリコリド;90%のポリラクチドと10%のポリグリコリド;85%のポリラクチドと15%のポリグリコリド;80%のポリラクチドと20%のポリグリコリド;75%のポリラクチドと25%のポリグリコリド;70%のポリラクチドと30%のポリグリコリド;65%のポリラクチドと35%のポリグリコリド;60%のポリラクチドと40%のポリグリコリド;55%のポリラクチドと45%のポリグリコリド;50%のポリラクチドと50%のポリグリコリド;45%のポリラクチドと55%のポリグリコリド;40%のポリラクチドと60%のポリグリコリド;35%のポリラクチドと65%のポリグリコリド;30%のポリラクチドと70%のポリグリコリド;25%のポリラクチドと75%のポリグリコリド;20%のポリラクチドと80%のポリグリコリド;15%のポリラクチドと85%のポリグリコリド;10%のポリラクチドと90%のポリグリコリド;5%のポリラクチドと95%のポリグリコリド;及び、0%のポリラクチドと100%のポリグリコリドがある。
【0134】
[00167] ポリラクチドとポリグリコリドをともに含む様々な態様では、少なくとも95%のポリラクチド;少なくとも90%のポリラクチド;少なくとも85%のポリラクチド;少なくとも80%のポリラクチド;少なくとも75%のポリラクチド;少なくとも70%のポリラクチド;少なくとも65%のポリラクチド;少なくとも60%のポリラクチド;少なくとも55%のポリラクチド;少なくとも50%のポリラクチド;少なくとも45%のポリラクチド;少なくとも40%のポリラクチド;少なくとも35%のポリラクチド;少なくとも30%のポリラクチド;少なくとも25%のポリラクチド;少なくとも20%のポリラクチド;少なくとも15%のポリラクチド;少なくとも10%のポリラクチド;又は、少なくとも5%のポリラクチドがあり、このバイオポリマーの残りは、ポリグリコリドである。
【0135】
[00168] 様々な態様において、薬物デポー剤は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン、グリコリド−カプロラクトン又はこれらの組合せを含む。
【0136】
[00169] 当業者が知っているように、異なる末端基のあるポリマーの混和物を有する埋込型エラストマーデポー組成物を使用すると、得られる製剤は、より低いバースト指数(burst index)と調節された送達期間を有するものである。例えば、酸(例、カルボン酸)及びエステル末端基(例、ラウリル、メチル、又はエチルエステル末端基)のあるポリマーを使用してよい。
【0137】
[00170] 追加すると、ポリマーを生成する様々なモノマーのコモノマー比(例えば、所与のポリマーのL/G/CL又はG/CL比)を変化させることによって、調節されたバースト指数及び送達期間を有するデポー組成物が得られる。例えば、50:50のL/G比のポリマーを有するデポー組成物は、約2日〜約1ヶ月の範囲に及ぶ短い送達期間を有する場合があり;65:35のL/G比のポリマーを有するデポー組成物は、約2ヶ月の送達期間を有する場合があり;75:25のL/G比又は75:25のL/CL比のポリマーを有するデポー組成物は、約3ヶ月〜約4ヶ月の送達期間を有する場合があり;85:15のL/G比のポリマー比を有するデポー組成物は、約5ヶ月の送達期間を有する場合があり;25:75のL/CL比又はPLAのポリマーを有するデポー組成物は、6ヶ月以上の送達期間を有する場合があり;Gが50%より多くてLが10%より多いCL/G/L(CLはカプロラクトンを意味し、Gはグリコール酸を意味し、そしてLは乳酸を意味する)のテルポリマーを有するデポー組成物は、約1ヶ月の送達期間を有する場合があり、そしてGが50%未満でLが10%未満であるCL/G/Lのテルポリマーを有するデポー組成物は、6ヶ月までの期間月数を有する場合がある。一般に、CL含量に比してG含量を高めると送達期間が短くなるのに対し、G含量に比してCL含量を高めると送達期間が長くなる。
【0138】
[00171] いくつかの態様において、生分解性ポリマーは、製剤の少なくとも10重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの生分解性ポリマーと少なくとも1つのαアゴニストが医薬製剤の唯一の成分である。
【0139】
[00172] いくつかの態様では、薬物デポー剤の粒子の少なくとも75%が約1マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約5マイクロメートル〜約50マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約10マイクロメートル〜約50マイクロメートルのサイズを有する。
【0140】
[00173] いくつかの態様では、薬物デポー剤の粒子の少なくとも75%が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。
【0141】
[00174] デポー剤は、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又はリン酸ナトリウムのような緩衝剤及びpH調整剤;分解/放出修飾剤;薬物放出調整剤;乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、及びフェニルエチルアルコールのような保存剤;溶解調整剤;安定化剤;及び/又は接着修飾剤のような不活性材料を含有してもよい。典型的には、どのそのような不活性材料も、0〜75重量%の範囲内に、そしてより典型的には0〜30重量%の範囲内に存在するものである。デポー剤を脊椎領域に配置するならば、様々な態様において、デポー剤は、無菌で保存剤なしの材料を含む場合がある。
【0142】
[00175] デポー剤は、様々なサイズ、形状、及び配置であり得る。薬物デポー剤のサイズ、形状、及び配置を決定するときに考慮に容れるべきいくつかの因子がある。例えば、サイズと形状は、ともに埋込み又は注射の部位として選択される標的組織部位に薬物デポー剤を位置づけるときの容易さを考慮する場合がある。加えて、その系の形状及びサイズは、薬物デポー剤が埋込み又は注射の後で動くことを最小にするか又は防ぐように選択すべきである。様々な態様において、薬物デポー剤は、ペレット、スフェア、ロッド又はファイバーのようなシリンダー、ディスク、フィルム、又はシートのような平坦表面、等のような形状にすることができる。柔軟性は、薬物デポー剤の布置を容易にするための考慮事項であり得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、異なるサイズであり得て、例えば、薬物デポー剤は、約0.5mm〜5mmの長さであってよく、約0.01〜約4mmの直径を有してよい。様々な態様において、薬物デポー剤は、例えば、0.05〜0.75mmのような、約0.005〜1.0mmの層厚を有してよい。
【0143】
[00176] 様々な態様において、薬物デポー剤がペレット剤を含むとき、それは、切開部位に、その部位が閉じられる前に、置かれてよい。ペレット剤は、例えば、熱可塑性材料から作ってよい。追加的に、ペレット剤での使用に有利であり得る特殊材料には、限定されないが、持続放出バイオポリマーとして上記に同定された化合物が含まれる。薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストをこのポリマーと混合することによって成形してよい。
【0144】
[00177] 使用者が薬物デポー剤を患者の標的部位中へ正確に位置づけることを可能にするために、X線撮影用マーカーをデポー剤の上に含めることができる。これらのX線撮影用マーカーはまた、使用者がデポー剤のその部位での動き及び分解を経時的に追跡することも可能にする。この態様において、使用者は、数多くの診断造影手法のいずれを使用しても、デポー剤をその部位において正確に位置づけることができる。そのような診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そのようなX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、ビスマス、タンタル、タングステン、ヨウ素、リン酸カルシウム、及び/又は金属のビーズ及び粒子が含まれる。様々な態様において、X線撮影用マーカーは、デポー剤周囲の球体形状又はリングであり得る。
【0145】
[00178] 様々な態様において、ゲル剤は、投薬前粘度を約1〜約2000センチポアズ(cps)、1〜約500cps、又は1〜約200cps又は100cpsの範囲に有する。ゲル剤を標的部位へ投与した後で、ゲル剤の粘度は増加して、ゲル剤は、弾性係数(ヤング率)を約1x10−2〜約6x105ダイン/cm2、又は2x104〜約5x105ダイン/cm2、又は5x104〜約5x105ダイン/cm2の範囲に有するものである。
【0146】
[00179] 1つの態様では、ゲル剤全体に一様分布される少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる付着性ゲルを含有するデポー剤を提供する。ゲル剤は、先に示したような、どの好適なタイプであってもよく、一度配置されたならばゲル剤がその標的指向された送達部位より移動することを防ぐほどに十分粘稠であるべきであり;ゲル剤は、標的指向された組織部位へ実効的に「粘着」又は付着するべきである。ゲル剤は、例えば、標的指向された組織との接触時に、又は標的指向された送達系からの配置の後で固化してよい。標的指向される送達系は、例えば、シリンジ、カテーテル、針、又はカニューレ、又は他の好適なデバイスであってよい。標的指向される送達系は、標的指向された組織部位の中又は上にゲル剤を注入することができる。治療薬剤は、標的指向された組織部位にゲル剤が配置される前にゲル剤へ混合してよい。様々な態様において、ゲル剤は、2成分送達系の一部であってよくて、2つの成分が混合されるときには、ゲル剤を成形してそれが標的組織へ粘着又は付着することを引き起こすように化学プロセスが活性化される。
【0147】
[00180] 様々な態様において、送達後に硬くなるか又は堅くなるゲル剤を提供する。典型的には、硬化ゲル製剤は、投薬前弾性係数を約1x10−2〜約3x105ダイン/cm2、又は2x104〜約2x105ダイン/cm2、又は5x104〜約1x105ダイン/cm2の範囲に有してよい。投薬後(送達後)硬化ゲル剤は、ゴム粘度を有して、弾性係数を約1x104〜約2x106ダイン/cm2、又は1x105〜約7x105ダイン/cm2、又は2x105〜約5x105ダイン/cm2の範囲に有してよい。
【0148】
[00181] 様々な態様において、ポリマーを含有するゲル製剤では、ゲル剤が硬化する速度にポリマー濃度が影響を及ぼす場合がある(例えば、より高濃度のポリマーを有するゲル剤は、より低濃度のポリマーを有するゲル剤より速やかに凝固し得る)。様々な態様において、ゲル剤が硬化するとき、得られるマトリックスはしっかりとしているが、組織の不規則な表面(例えば、骨の窪み及び/又は突起)に従うことも可能である。
【0149】
[00182] ゲル剤に存在するポリマーの百分率は、ポリマー組成物の粘度にも影響を及ぼす場合がある。例えば、より高いポリマー重量百分率を有する組成物は、典型的には、より低いポリマー重量百分率を有する組成物よりも濃厚でより粘稠である。より粘稠な組成物は、よりゆっくり流動する傾向がある。故に、いくつかの事例では、より低い粘度を有する組成物が好ましい場合がある。
【0150】
[00183] 様々な態様において、ゲル剤の分子量は、当該技術分野で知られている多くの方法のどの1つによっても変化させることができる。分子量を変化させる方法の選択は、典型的には、ゲル剤の組成(例、ポリマー対非ポリマー)によって決定される。例えば、様々な態様において、ゲル剤が1以上のポリマーを含む場合、重合化の度合いは、ポリマー開始剤(例、過酸化ベンゾイル)、有機溶媒又はアクチベータ(例、DMPT)、架橋連結剤、重合化剤の量、連鎖移動剤又は連鎖キャッピング剤の取込み、及び/又は反応時間を変化させることによって制御することができる。
【0151】
[00184] 好適なゲルポリマーは、有機溶媒に溶けてよい。ポリマーの溶媒中の溶解性は、ポリマーの結晶性、疎水性、水素結合、及び分子量に依って変動する。より低分子量のポリマーは、通常、有機溶媒中で高分子量のポリマーより容易に溶ける。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマー組成物より速やかに凝固又は固化する傾向がある。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル製剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤より高い溶液粘度を有する傾向がある。
【0152】
[00185] 流動可能なゲル剤であるようにゲル剤を設計するとき、それは、ゲル剤に使用するポリマーの分子量及び濃度に依って、水のそれに似た低粘度からペーストのそれに似た高粘度まで変化する可能性がある。ゲル剤の粘度は、ポリマー組成物がどの慣用の技術によっても(例えば、ブラッシング、噴霧、滴下、注射、又は塗布によって)患者の組織へ適用し得るように変化させることができる。ゲル剤の様々な粘度は、組成物を適用するために使用する技術に依存するものである。
【0153】
[00186] 様々な態様において、ゲル剤は、ゲル剤の分子量と分解時間の測定値である、インヘレント粘度(「I.V.」と略されて、単位は、デシリットル/グラムである)を有する(例えば、高いインヘレント粘度のゲル剤は、より高い分子量を有して、より長い分解時間を有する場合がある)。典型的には、高分子量のゲル剤は、より強いマトリックスを提供して、そのマトリックスは、分解するのにより多くの時間がかかる。対照的に、低分子量のゲル剤は、より速やかに分解して、より軟らかなマトリックスを提供する。様々な態様において、ゲル剤は、約0.10dL/g〜約1.2dL/g又は約0.10dL/g〜約0.40dL/gのインヘレント粘度によって示されるような分子量を有する。
【0154】
[00187] 様々な態様において、ゲル剤は、約300〜約5,000センチポアズ(cp)の粘度を有し得る。他の態様において、ゲル剤は、室温で、約5〜約300cps、約10cps〜約50cps、約15cps〜約75cpsの粘度を有し得る。ゲル剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとその塩、Carbopol、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 500、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000、又はこれらの組合せのような粘度増強剤を有してもよい。
【0155】
[00188] 様々な態様において、ゲル剤にポリマーが利用されるとき、ポリマー組成物には、約10重量%〜約90重量%又は約30重量%〜約60重量%のポリマーが含まれる。
【0156】
[00189] 様々な態様において、ゲル剤は、合成又は天然起源の高分子量の生体適合性エラストマーポリマーより作られるヒドロゲル剤である。ヒドロゲル剤が有する望ましい特性は、人体において、機械応力(特に、剪断と荷重)へ迅速に対応する能力である。
【0157】
[00190] 天然源より得られるヒドロゲル剤が特に興味深いのは、それらが in vivo での適用のために生分解性で生体適合性である可能性がより高いからである。好適なヒドロゲル剤には、例えば、ゼラチン、コラーゲン、シルク、エラスチン、フィブリンのような天然ヒドロゲル剤とアガロースのような多糖由来ポリマー、及びキトサン、グルコマンナンゲル、ヒアルロン酸、架橋連結カルボキシル含有多糖のような多糖、又はこれらの組合せが含まれる。合成ヒドロゲル剤には、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)のようなアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(例、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000)、シリコーン、ポリイソブチレン及びポリイソプレンのようなポリオレフィン、シリコーン及びポリウレタンの共重合体、ネオプレン、ニトリル、硫化ゴム、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のようなアクリレート、およびN−ビニルピロリドンとアクリレートの共重合体、N−ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、又はこれらの組合せより生成されるものが含まれる。ヒドロゲル剤の材料は、必要に応じてさらに架橋連結して、さらなる強度を提供してよい。異なる種類のポリウレタンの例には、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、脂肪族又は芳香族ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネート−ウレタン、又はシリコーンポリエーテル−ウレタン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0158】
[00191] 様々な態様では、治療薬剤をゲル剤中へ直に混合するのではなく、マイクロスフェア剤をゲル剤の内側に分散させてよく、マイクロスフェア剤には、少なくとも1つの鎮痛剤及び/又は少なくとも1つの抗炎症剤が負荷される。1つの態様において、マイクロスフェア剤は、少なくとも1つのα2アドレナリン作動性アゴニストの持続放出をもたらす。なお別の態様において、生分解性であるゲル剤は、マイクロスフェア剤が少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを放出することを妨げるので、マイクロスフェア剤は、それがゲル剤より放出されてしまうまで、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを放出しない。例えば、標的組織部位(例、神経根)の周囲にゲル剤を配置してよい。ゲル剤の内側には、所望の治療薬剤を被包化する複数のマイクロスフェア剤が分散している。これらマイクロスフェア剤のあるものは、一度ゲル剤より放出されたならば分解して、それにより少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを放出する。αアドレナリン作動性アゴニストを別々のマイクロスフェア剤の中へ入れてからこのマイクロスフェア剤を合わせても、その有効成分を初めに合わせてからマイクロスフェア剤へ一緒に入れてもよい。
【0159】
[00192] マイクロスフェア剤は、周囲の組織タイプに依って、体液と同様に、比較的速やかに分散して、それにより少なくとも1つの鎮痛剤と少なくとも1つの抗炎症剤を分散させることができる。いくつかの態様において、マイクロスフェア剤の直径は、約10ミクロンの直径〜約200ミクロンの直径の範囲に及ぶ。いくつかの態様において、それらは、約20〜120ミクロンの直径の範囲に及ぶ。マイクロスフェア剤を作製する方法には、限定されないが、溶媒蒸発、相分離、及び流動床コーティングが含まれる。ある状況では上記が望ましいかもしれないが、他の状況では、少なくとも1つのαアドレナリン作動性受容体アゴニストを明確に定義された標的部位へ緊密に束縛したままにすることがより望ましいかもしれない。
【0160】
[00193] 本発明では、治療薬剤の分散を束縛するような付着性ゲル剤の使用も考慮する。これらのゲル剤は、例えば、椎間板腔に、脊柱管に、又は周囲組織に配置してよい。
【0161】
カニューレと針
[00194] 当業者には、デポー剤を、薬物送達デバイス(例えば、シリンジ、銃式(gun)薬物送達デバイス、又は指向された臓器又は解剖領域への薬物の適用に適したあらゆる医療用デバイス)の一部であり得る「カニューレ」又は「針」を使用して標的部位へ投与し得ることが理解されよう。薬物デポー剤デバイスのカニューレ又は針は、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど引き起こさないように設計される。
【0162】
[00195] カニューレ又は針には、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せのような材料より作製され得るチューブが含まれる。カニューレ又は針には、1以上の先細り領域が含まれてもよい。様々な態様において、カニューレ又は針は、斜めに切られてよい。カニューレ又は針は、埋込みの部位に依っては、患者の正確な治療に必須の先端形状を有してもよい。先端形状の例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、偏向チップ、Hustead、Lancet、又はTuohey が含まれる。様々な態様において、カニューレ又は針はまた、ノンコアリングであって、望まれない針突きを避けるためにそれをカバーする鞘を有してよい。
【0163】
[00196] 中空のカニューレ又は針の寸法は、とりわけ、埋込みの部位に依存する。例えば、硬膜外腔の幅は、胸領域で約3〜5mmにすぎず、腰領域で約5〜7mmである。従って、針又はカニューレは、様々な態様において、これらの特殊領域用に設計することができる。様々な態様において、カニューレ又は針は、経椎間孔アプローチを使用して、、例えば炎症した神経根に沿って脊椎孔空間に挿入してよく、薬物デポー剤は、その状態を治療するためにこの部位に埋め込んでよい。典型的には、経椎間孔アプローチは、椎間孔を通って椎間腔に接近することを伴う。
【0164】
[00197] カニューレ又は針の長さのいくつかの例には、限定されないが、約50〜150mmの長さ(例えば、硬膜外の小児使用では約65mm、標準成人用では約85mm、そして肥満の成人患者では約110mm)が含まれる。カニューレ又は針の厚さは、埋込みの部位にも依存する。様々な態様において、その厚さには、限定されないが、約0.05〜約1.655が含まれる。カニューレ又は針のゲージは、ヒト又は動物の身体への挿入のために、最も広い直径又は最も狭い直径でも、その間の直径でもよい。最も広い直径は、典型的には約14ゲージであり、一方、最も狭い直径は、約25ゲージである。様々な態様において、針又はカニューレのゲージは、約18〜約22ゲージである。
【0165】
[00198] 様々な態様において、薬物デポー剤及び/又はゲル剤と同じように、カニューレ又は針には、使用者が数多くの診断造影手法のいずれかを使用してデポー剤を皮膚の下の部位又はその付近へ正確に位置づけられるように、その部位又はその付近での位置を示すX線撮影用マーカーが含まれる。そのような診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そのようなX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、リン酸カルシウム、及び/又は金属のビーズ又は粒子が含まれる。
【0166】
[00199] 様々な態様において、針又はカニューレには、超音波、蛍光透視法、X線、又は他の造影技術によって可視化し得る透明又は半透明の部分を含めてよい。そのような態様において、透明又は半透明の部分には、その材料又はトポグラフィーの非存在時に比べて針又はカニューレのコントラストを高める、放射線不透過性材料又は超音波応答性トポグラフィーを含めてよい。
【0167】
滅菌
[00200] 薬物デポー剤、及び/又は薬物を投与するための医療用デバイスは、滅菌可能であり得る。様々な態様において、薬物デポー剤、及び/又は薬物を投与するための医療用デバイスの1以上の成分は、最終包装時の最終滅菌工程において放射線によって滅菌される。製品の最終滅菌は、個々の製品成分を別々に滅菌して、最終包装を無菌環境で組立てることが求められる防腐法のような方法より大きな無菌状態の保証を提供する。
【0168】
[00201] 典型的には、様々な態様において、デバイスに深く透過するγ線由来のイオン化エネルギーを利用することを伴う、最終滅菌工程においてγ放射線を使用する。γ線は、微生物を殺すのにきわめて有効であり、それらは、残留物を残さないし、デバイスへ放射活性を付与するほど十分なエネルギーは有さない。γ線は、デバイスが包装状態にあって、γ線滅菌が高圧も真空条件も必要とせず、包装シールと他の成分に応力がかからないときに、利用することができる。加えるに、γ放射線は、透過可能な包装材料の必要性を一掃する。
【0169】
[00202] 様々な態様では、デバイスの1以上の成分を滅菌するために電子ビーム(e−ビーム)放射線を使用してよい。e−ビーム放射線は、一般に低い透過率と高い線量率を特徴とするイオン化エネルギーの形態を含む。e−ビーム照射は、微生物の生殖細胞を含めて、様々な化学及び分子の結合を接触時に変化させる点では、γ線処理に似ている。e−ビーム滅菌のために産生されるビームは、電気の加速及び変換によって産生される、濃縮された高荷電の電子流である。e−ビーム滅菌は、例えば、薬物デポー剤がゲル剤に含まれるときに使用してよい。
【0170】
[00203] デポー剤及び/又はデバイスの1以上の成分を滅菌するのに他の方法も使用してよく、限定されないが、ガス滅菌(例えば、酸化エチレンを用いるような)又は蒸気滅菌が含まれる。
【0171】
キット
[00204] 様々な態様において、キットを提供するが、それには、薬物デポー剤、及び/又は薬物デポー剤(例、ペレット剤)を埋め込むために使用される、一緒に組み合わされた医療用デバイスとともに、追加のパーツを含めてよい。キットには、第一のコンパートメントに薬物デポー剤デバイスを含めてよい。第二のコンパートメントには、薬物デポー剤と局所化薬物送達に必要とされる他のあらゆる機器を保持するケースを含めてよい。第三のコンパートメントには、埋め込み法の無菌状態を維持するためのグローブ、ドレープ、創傷包帯剤、及び他の手技用具、並びに説明用冊子を含めてよい。第四のコンパートメントには、追加のカニューレ及び/又は針を含めてよい。第五のコンパートメントには、X線造影用の薬剤を含めてよい。各ツールは、放射線滅菌したプラスチックの小袋に別々に包装してよい。キットのカバーには、埋め込み手技の図解を含めてよく、無菌状態を維持するために、このコンパートメント全体に透明なプラスチックカバーをかけてよい。
【0172】
投与
[00205] 様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、非経口的に投与してよい。本明細書に使用する「非経口」という用語は、胃腸管を迂回する投与の形式を意味して、例えば、局所化された静脈内、筋肉内の連続的又は間欠的な注入、腹腔内、胸骨内、皮下、術中、髄腔内、椎間板内、椎間板周囲、硬膜外、脊椎周囲、関節内の注射、又はこれらの組合せが含まれる。
【0173】
[00206] 非経口投与には、追加的に、例えば、医薬組成物(例、αアドレナリン作動性アゴニスト)を脊椎の付近へカテーテルを介して局所投与する注入ポンプ、標的部位又はその付近に挿入し得る埋込型ミニポンプ、一定量の組成物を時間あたり連続して、又は間欠的なボーラス用量で放出することができる埋込型制御放出デバイス又は持続放出送達系を含めてよい。使用に適したポンプの1例は、SynchroMed(登録商標)(Medtronic,ミネソタ州ミネアポリス)ポンプである。このポンプは、3つの密閉チャンバを有する。第一のものは、電子モジュールと電池を含有する。第二のものは、ペリスタポンプと薬物リザーバーを含有する。第三のものは不活性ガスを含有し、これは、医薬組成物をペリスタポンプ中へ押しやるのに必要とされる圧力を提供する。ポンプを満たすのに、医薬組成物は、リザーバー充填口を通って拡張可能リザーバーへ注入される。不活性ガスがリザーバーに圧力をかけて、その圧力が医薬組成物をフィルターからポンプチャンバへ押しやる。次いで、医薬組成物は、ポンプチャンバからデバイスの外へ汲み出されてカテーテルへ入り、標的部位での沈積に指向される。医薬組成物の送達速度は、マイクロプロセッサーによって制御される。これにより、類似量又は異なる量の医薬組成物を特定の時間に連続的に、又は送達間の設定間隔で送達するようにポンプを使用することが可能になる。
【0174】
[00207] 本明細書に記載の方法への適用に適した潜在的な薬物送達デバイスには、限定されないが、例えば、米国特許第6,551,290号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、標的特異的な薬物送達のための医療用カテーテルについて記載する];米国特許第6,571,125号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、生物学的に活性な薬剤を制御可能的に放出するための埋込型医療用デバイスについて記載する];米国特許第6,594,880号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、治療薬剤を生物中の選択部位へ送達するための実質組織内注入カテーテルシステムについて記載する];及び、米国特許第5,752,930号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、等量の薬剤をスペース部位へ注入するための埋込型カテーテルについて記載する]に記載のものが含まれる。様々な態様において、ポンプは、フィードバック調節送達で予めプログラム可能な埋込型装置、化学品の制御放出用のマイクロリザーバー浸透圧放出システム、液体医薬品を送達するための小型軽量デバイス、埋込型マイクロミニチュア注入デバイス、埋込型セラミック製バルブポンプアセンブリー、又は折り畳み式(collapsible)流体チャンバ付き埋込型注入ポンプと一緒に適用してよい。Alzet(登録商標)浸透圧ポンプ(Durect 社、カリフォルニア州クパーチノ)は、記載の方法における使用に適した様々なサイズ、排気速度、及び継続期間でも利用可能である。様々な態様では、患者の外科部位へ治療薬剤を送達するための方法を提供する。例えば、埋込型Alzet(登録商標)浸透圧ポンプは、αアゴニストを標的組織部位へ局所的に連続ベースで送達する(例えば、Alzet(登録商標)浸透圧ポンプは、αアゴニストの坐骨神経付近での髄腔内送達のマイクログラム/時間での連続注入を可能にする)。
【0175】
[00208] 本出願の方法は、カニューレを標的組織部位(例、椎間板ヘルニア)又はその付近に挿入して、薬物デポー剤を患者の皮膚の下の標的部位に埋め込むこと、そして薬物デポー剤を保持するか又は標的部位へ付着させるために、ゲル剤を標的部位にブラッシング、滴下、噴霧、注射、又は塗布することを含む。このようにして、薬物デポー剤が標的部位から離れる望まれない移動を抑えるか又はなくす。
【0176】
[00209] 様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは局所投与されるので、治療有効量は、他の経路(経口、局部、等)により投与される用量未満であってよい。例えば、薬物デポー剤から送達される薬物用量は、例えば、経口投与量又は注射用量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は99.9%未満であり得る。その一方で、例えば、肝臓トランスアミナーゼ上昇、肝炎、肝不全、ミオパシー、便秘、等のような全身性の副作用は、抑制又は消失され得る。
【0177】
[00210] 様々な態様において、薬物デポー剤がその中に分散したゲル剤を所望の部位へ投与するには、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して標的組織部位へ挿入して、ゲル剤を標的部位又はその付近に投与する(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)ことができる。薬物デポー剤がゲル剤から分離している態様では、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して注射の部位へ挿入することができて、ゲルの1以上の基層(複数)を標的部位へ投与することができる。1以上の基層(複数)の投与に続き、ゲル剤がデポー剤を適所に保持するか又は移動を抑えることができるように、薬物デポー剤を基層(複数)の上又は中に埋め込むことができる。必要とあれば、薬物デポー剤を囲んでそれをさらに適所に保持するために、単数又は複数の後続ゲル層をそのデポー剤の上に適用することができる。あるいは、薬物デポー剤を初めに埋め込んでから、それを適所に保持するために、薬物デポー剤の周りにゲル剤を配置する(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)ことができる。ゲル剤を使用することによって、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど与えずに、薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを達成することができる。ゲル剤はまた、薬物デポー剤を標的部位へ縫合する必要性を回避して、患者に対する肉体的及び精神的な外傷を抑える。
【0178】
[00211] 様々な態様において、標的部位が脊椎領域を含む場合、初めに体液(例、脊髄液、等)の一部をカニューレ又は針を介して標的部位より吸引してから、デポー剤を投与する(例えば、布置、滴下、注射、又は埋込み、等)ことができる。標的部位を再水和させて(例えば、体液の補充)、この水性環境によって、薬物がデポー剤より放出されるようにする。
【0179】
[00212] 少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト製剤を使用して、様々な医薬調製物(例、薬物デポー剤、注射用製剤、等)を成形することができる。医薬調製物は、固体又は液体であり得る好適な医薬担体において成形して、それとともに投与して、所望されるように非経口又は他の投与に適した形態で配置してよい。当業者が知っているように、既知の担体には、限定されないが、水、生理食塩水溶液、ゼラチン、乳糖、デンプン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、シカリル(sicaryl)アルコール、タルク、植物油、ベンジルアルコール、ゴム、ワックス、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、及び他の既知担体が含まれる。
【0180】
[00213] 別の態様は、疼痛及び/又は炎症に罹患している哺乳動物を治療するための方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの治療有効量を標的部位(例、椎間板ヘルニア)又はその付近に投与することを含んでなる。少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストは、例えば、標的組織部位へ薬物デポー剤として局所投与することができる。
【0181】
[00214] いくつかの態様において、治療上有効な投与量(例、αアドレナリン作動性アゴニストの用量)と放出速度プロフィールは、少なくとも1日(例えば、1〜90日、1〜10日、1〜3日、3〜7日、3〜12日;3〜14日、7〜10日、7〜14日、7〜21日、7〜30日、7〜50日、7〜90日、7〜140日、14〜140日、3日〜135日、3日〜150日、又は3日〜6ヶ月)の期間の間、1以上の変性円板からの炎症及び/又は疼痛を抑えるのに十分である。
【0182】
[00215] いくつかの態様では、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又は少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの一部を標的組織にボーラス用量として投与して、αアドレナリン作動性アゴニストの即時放出を提供する。
【0183】
[00216] いくつかの態様では、標的組織部位へ局所投与することが可能である少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの有効量を含んでなる、炎症の治療に有用な組成物がある。例によれば、それらは、脊椎孔、硬膜外腔、又は脊髄の髄腔へ局所投与することができる。例示の投与経路には、限定されないが、カテーテル薬物ポンプ、1以上の局所注射、ポリマー放出、又はこれらの組合せが含まれる。
【0184】
[00217] いくつかの態様において、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストは、非経口的に、例えば注射によって投与される。いくつかの態様において、注射は、髄腔内注射であり、これは、脊柱管(脊髄を囲む髄腔スペース)への注射を意味する。注射は、筋肉又は他の組織中でもよい。他の態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、外科手術の間の患者の開腹部への布置によって投与される。
【0185】
[00218] いくつかの態様において、製剤は、外科手術時に外科部位へ埋め込み可能である。次いで、有効成分は、デポー剤より持続形式の拡散によって、例えば、外科手術後3〜15日、5〜10日、又は7〜10日の時間帯にわたり放出されて、変性円板疾患より生じる疼痛及び/又は炎症に対処することができる。いくつかの態様において、有効成分は、1以上の薬物の6ヶ月又は1年まで(例えば、90、100、135、150、180日以上)の放出によって、上記に考察したような慢性の疾患/状態に対してより長い期間の疼痛及び/又は炎症の緩和を提供することができる。
【0186】
[00219] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、薬物デポー剤に負荷した少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの全量に対して少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%を、薬物デポー剤を標的組織部位へ投与した後の3〜12日、5〜10日、又は7〜10日の期間にわたり放出することができる。いくつかの態様において、有効成分は、1以上の薬物の6ヶ月又は1年まで(例えば、90、100、135、150、180日以上)の放出によって、上記に考察したような、変性円板疾患より生じる慢性の疾患/状態に対してより長い期間の疼痛及び/又は炎症の緩和を提供することができる。
【0187】
[00220] 様々な態様では、疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤を、そのような治療を必要とする患者に提供して、埋込型薬物デポー剤は、αアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなり、デポー剤は、変性円板疾患より生じる疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために皮膚の下の部位に埋め込み可能であり、ここで薬物デポー剤は、(i)薬物デポー剤に負荷したαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約5%〜約20%のαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を48時間までの第一期間にわたり放出することが可能である1以上の即時放出層(複数)と(ii)薬物デポー剤に負荷したαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約21%〜約99%のαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を3日から6ヶ月までの後続期間にわたり放出することが可能である1以上の持続放出層(複数)を含む。
【0188】
[00221] 非限定的な例によれば、標的組織部位は、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、滑面、又は脊柱管を含んでよい。また例によれば、炎症は、整形外科、又は脊椎外科、又はこれらの組合せに付随する場合がある。さらなる例によれば、外科は、関節鏡外科、塊の切除、椎間板ヘルニア修復、脊椎癒合、胸部、頚部、又は腰部外科、骨盤外科、又はこれらの組合せであり得る。いくつかの態様において、有効成分は、1以上の薬物の6ヶ月又は1年まで(例えば、90、100、135、150、180日以上)の放出によって、上記に考察したような慢性の疾患/状態に対してより長い期間の疼痛及び/又は炎症の緩和を提供することができる。
【0189】
変性円板疾患
[00222] ヒトの脊椎は、26の連続した椎骨より形成される。これら椎骨のそれぞれは、どの隣接する椎骨からも、椎間板(これは、衝撃を吸収して、それぞれの椎骨が別の椎骨に対して直接影響を及ぼすことを防ぐように機能する)によって分離されている。それぞれの椎間板の中心には、プロテオグリカンを含有する髄核がある。髄核の周りには、線維輪と呼ばれる外側の輪がある。
【0190】
[00223] 変性円板疾患は、この円板の変性を伴う、脊椎の一般的な変性状態のいずれも意味する。円板変性にはしばしば疼痛の症状が結び付いて、炎症とニューロパシー疼痛、例えば、脊椎狭窄、脊椎すべり症、及び後方すべり症をもたらす場合がある。
【0191】
[00224] 老化プロセスと関連した円板変性は、一般に、椎間板の髄核からのプロテオグリカンの損失と椎骨間の衝撃を吸収する椎間板の能力の低下に関連している。症状を示さない罹患者もいるが、多くの罹患者は、背及び/又は脚の慢性疼痛に悩まされる。円板変性に関連した疼痛は、患者を無能化して、その生活の質を大いに低下させる場合がある。
【0192】
[00225] 本明細書に使用するように、「変性円板疾患」は、限定されないが、疾患、物理的な衝撃、機械的な断裂、病原体、又は自己免疫応答によって引き起こされる状態が含まれる、椎間板の変性をもたらすあらゆる状態を意味する。
【0193】
[00226] 変性円板疾患は、頚椎(首)、胸椎(胸の背後の背中部分)、腰椎(腰)、仙椎(動かない骨盤へ結合した部分)のような、脊椎中のどの部分でも起こり得る。本明細書において特許請求される態様では、薬物デポー剤を、1以上の変性円板又はその付近に、例えば、頚椎、胸椎、腰椎、及び/又は仙椎に埋め込むことができる。
【0194】
[00227] いくつかの態様において、変性円板疾患には、椎間板ヘルニアを含めることができる。本明細書に使用するように、「椎間板ヘルニア」には、円板の素材(material)が椎間板スペースの限界を越えて局所移動することが含まれる。円板素材は、髄核、軟骨、断片化した骨端の骨、線維輪の組織、又はこれらのあらゆる組合せであり得る。円板素材の移動は、既存の脊髄神経に対して圧力をかける、及び/又は腕又は脚の神経根障害、虚弱、痺れ、及び/又は刺痛をもたらす炎症反応を引き起こす場合がある。神経根障害は、脊髄神経根に影響を及ぼすあらゆる疾患を意味する。
【0195】
[00228] 椎間板ヘルニアは、例えば、坐骨神経痛、圧迫神経、椎間板性腰痛、椎間孔狭窄、圧縮神経(pinched nerve)、圧迫性ニューロパシー、慢性神経痛、感覚及び/又は運動神経障害、痺れ又は虚弱、等のような状態をもたらす可能性がある。従って、本出願の薬物デポー剤は、これらの疾患及び/又は状態を治療するために使用することができる。
【0196】
[00229] いくつかの態様において、椎間板ヘルニアには、線維輪の断裂が含まれ、それにより内側の円板素材(髄核)が押出され、突出、隆起、移動、及び/又は再ヘルニア形成する。時には、円板の押出が甚だしく移動して、元の円板との連続性を失う場合もある。このことが起こるとき、この押出は、腐骨分離と呼ばれる。従って、本出願の薬物デポー剤は、断裂、突出、隆起、押出、再ヘルニア形成、及び移動、髄核の断片化及び/又は腐骨化を治療するために使用することができる。
【0197】
[00230] 「円板の移動又は円板の断片化」は、円板素材が線維輪の開口部より離れて移動して、それより素材が押し出されることを意味する。時には、移動した断片が腐骨分離する。例えば、髄核がヘルニア形成した椎間板より離れて移動して脊椎中の異なる位置で腐骨形成を生じて、圧縮神経又は脊椎狭窄をもたらす場合がある。
【0198】
[00231] 一般に、ほとんどの変性円板疾患は、脊椎の腰領域で生じる。腰部の椎間板ヘルニアは、頚部の椎間板ヘルニアより15倍多く生じて、これは、腰部疼痛の最も一般的な原因の1つである。頚部の円板が影響を受けるのはこの時の8%であり、背の上位〜中位(胸部)の円板が影響を受けるのは、この時の1〜2%にすぎない。時には、変性円板疾患が脊椎の神経根の圧迫をもたらして、激痛性の神経学的症状を生じる可能性がある。神経根(脊髄より分岐する大神経)が圧迫されて、感覚又は運動の変化のような神経学的症状を生じる場合もある。例えば、髄核のヘルニア形成には、しばしば、座位で悪化する腰痛と下肢へ放散する疼痛が伴う。例えば坐骨神経痛での放散痛は、間欠性の鋭い電気ショック感覚、痺れ、及び刺痛、各神経根の運動又は感覚欠損及び/又は反射異常を伴う、鈍痛、灼熱痛、激痛としばしば記載される。
【0199】
[00232] いくつかの態様では、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、クロニジン)を含有する薬物デポー剤を、髄核が線維輪から押出され、突出又は移動している椎間板ヘルニア又はその付近(例、5cm以内)に埋め込むことによって、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、それが薬物デポー剤より溶出されるときに、椎間板ヘルニアに関連した疼痛及び/又は炎症を抑制することができる。いくつかの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、髄核の再吸収の亢進を引き起こす場合があり、髄核ヘルニアのサイズ及び容量を低下させる。いくつかの態様では、髄核ヘルニアのサイズが低下して、再吸収が約15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、45〜50%、55〜60%、65〜70%、75〜80%、85〜90%、又は95〜100%高められるか、又は椎間板ヘルニアが完全に解消される。
【0200】
[00233] いくつかの態様では、αアドレナリン作動性受容体アゴニストを投与することによって、髄核の正常な自発性再吸収の高められた再吸収が、αアドレナリン作動性受容体アゴニストで治療せずとも正常な自発的髄核再吸収により起こり得る量の15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、45〜50%、55〜60%、65〜70%、75〜80%、85〜90%、又は95〜100%より多く起こり得る。例えば、時には、ヘルニア形成した髄核は、治療なしでも、それ自身で自発的に再吸収する。これには、典型的には、約6週〜8週かかる可能性がある。本出願のいくつかの態様では、αアドレナリン作動性アゴニストを椎間板ヘルニア又はその付近に投与することによって髄核の再吸収が増強又は増加されて、ヘルニアが治療なしの場合より速く治癒する。
【0201】
[00234] いくつかの態様では、薬物デポー剤を椎間板ヘルニア又はその付近に埋め込むことによって、髄核ヘルニアのサイズ及び/又は容量が1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4、又は完全に低下する。例えば、薬物デポー剤は、ヘルニアの内部に、椎間板ヘルニアより0.01cm、0.1cm、0.5cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm離して埋め込むことができて、そのサイズ及び/又は容量は、ある期間(例、3日〜6ヶ月、3日〜8週、又は6週〜3ヶ月)の内に、1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4、又は完全に減少する。
【0202】
[00235] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性アゴニスト(例、クロニジン)は、椎間板ヘルニアの進行及び/又は重症度を逆転、抑制、及び/又は阻害するか又は、椎間板ヘルニアの1以上の症状(例、疼痛、痺れ、刺痛、運動又は感覚の欠損、等)の重症度を低下させる。
【0203】
[00236] いくつかの態様において、椎間板ヘルニアの抑制は、患者の徴候及び症状の改善(例、腰痛、痺れ、等の低下)によって臨床的に判定することができる。いくつかの態様において、椎間板ヘルニアの抑制は、例えば、X線、CT、MRI、骨髄造影法、筋電図、神経伝導検査、等のような診断検査法によって、ヘルニア髄核のサイズ及び/又は容量の低下を測定することによって判定することができる。
【0204】
[00237] いくつかの態様では、変性円板を治療するような治療を必要とする患者においてそれをするための方法を提供し、該方法は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を変性円板又はその付近に投与することを含んでなり、ここで1以上の生分解性薬物デポー剤は、有効量のαアドレナリン作動性受容体アゴニストを少なくとも3日〜6ヶ月の期間にわたり放出することが可能である。
【0205】
[00238] 図解だけの目的のために、図1Aは、椎間板(20a)が関与する変性円板疾患の例を図解する。椎間板(20a)は、2つの成分:線維輪(22a)と髄核(24a)より構成される。髄核(24a)は、線維輪により囲まれた内側の膠状物質である。それが椎間板(20a)上にかかる機械的な負荷を分散させるのに対し、線維輪(22a)は、構造上の完全性を提供して、髄核(24a)を特定の脊椎領域へ束縛する。線維輪(22a)は、椎弓と呼ばれる同心層に配置された、線維軟骨性及び線維性の組織で設計されている。髄核から末梢へ移行するにつれて、線維輪は、より濃密に、より強くなり、より弾性でなく、より流動的でなく、そしてより靭帯らしくなって、最後は最外層に達する。そこでは、その組織は、実際には、堅い、嚢状の靭帯となる。線維輪(22a)は、加齢とともに虚弱化して変性する可能性があり、断裂しはじめる場合もある。図1Aに示すように、線維輪断裂(annular tears)と呼ばれる、線維輪(22a)中の欠損は、初期段階において、髄核の隆起又はヘルニア形成(26)を可能にする。時間が進行して円板が変性するにつれて、図1Bに示すように、それはしばしば、線維輪(22a及び22b)の完全な断裂(28)をもたらす。ヘルニア形成した(20a)又は断裂した(20b)円板は、脊椎管を圧迫して、それが円板(20a、20b)を通過する神経根に対して圧力を及ぼし、下部腰痛を引き起こす。加えて、髄核(24a)は、プロスタグランジンE、ヒスタミン様物質、乳酸、及びポリペプチドアミンのような、感覚神経を興奮させるか又はその興奮性を高めることの可能な物質の有意量を含有する。これらの物質は、線維輪断裂(28)を介して逸出して下部腰痛、坐骨神経痛を高めるか、又は放散性の脚痛をもたらす。加えて、線維輪断裂(25a及び25b)は、線維組織が断裂部分で成長することを引き起こし、これが疼痛及び/又は炎症を高める。
【0206】
[00239] αアドレナリン作動性受容体アゴニストを含有する薬物デポー剤を椎間板ヘルニア又はその付近に埋め込むことができる。例えば、断裂線維輪又はその付近(例、その1cm以内)である。これにより、椎間板ヘルニアに関連した疼痛及び/又は炎症が抑えられる。
【0207】
[00240] 図2は、線維輪(32)に線維輪断裂(34a及び34b)を有する椎間板(30)として示す変性円板疾患の例を図解する。しかしながら、この段階では、薬物デポー剤の埋め込みの結果として髄核(31)が取り囲まれているので、この椎間板は、断裂してはいない。薬物デポー剤(10)は、(プランジャー(37)を使用する針(38)を介してシリンジ(36)により)断裂部分(34a)及び(34b)の隣の組織へ送達される。薬物デポー剤は、欠損部分の1cm、2cm、又は5cm又は10cm以内の組織へ注射してよく、ここではデポー剤が隣接組織(39)に達して、デポー剤は、線維輪断裂(34a及び34b)又はその付近にある。このようにして、薬物の標的指向された送達を達成することができる。
【0208】
[00241] いくつかの態様では、薬物デポー剤がヘルニア形成へより近く送達されるほど、髄核再吸収の増強がより多く生じて、椎間板ヘルニアの抑制もより多くなるものである。「椎間板ヘルニアを抑えること」は、椎間板ヘルニアの数、椎間板ヘルニアの程度(例、領域)、及び/又は椎間板ヘルニアの重症度(例、厚さ、容量)が、そのような投与なしで生じる椎間板ヘルニアの数、程度、及び/又は重症度に比べて抑えられることを引き起こすように組成物を投与することに関連する。様々な態様において、椎間板ヘルニアを抑えることは、プロトコールの一部であってよく、ある手技(例、椎間板ヘルニアを抑えるための後続の外科)を実施することも含められる。この組成物又は手技は、椎間板ヘルニアを促進する刺激に続く椎間板ヘルニアの形成を阻害し得る、椎間板ヘルニアの進行を阻害し得る、及び/又は椎間板ヘルニアの再発を阻害し得る。いくつかの態様では、椎間板ヘルニアを抑えることには、椎間板ヘルニアに関連した疼痛及び/又は炎症の減少を含めて、椎間板ヘルニアの徴候及び/又は症状の減少が含まれる。
【0209】
[00242] 「椎間板ヘルニアを予防すること」は、特別な発作、刺激、又は状態に応答して椎間板ヘルニアが形成される可能性を抑えるために、椎間板ヘルニアの形成に先立って治療組成物を投与することに関連する。様々な態様において、椎間板ヘルニアを予防することは、プロトコールの一部であってよく、ある手技(例、椎間板ヘルニアを抑えるための外科)を実施することも含められる。「椎間板ヘルニアを予防すること」は、椎間板ヘルニア形成の可能性を0まで低下させることを求めないと理解されよう。むしろ「椎間板ヘルニアを予防すること」は、特別な発作又は刺激に続く椎間板ヘルニア形成の可能性の臨床的に有意な低下(例えば、椎間板ヘルニアを促進する特別な発作、状態、又は刺激に応答した椎間板ヘルニアの発症又は数の臨床的に有意な低下)を意味する。
【0210】
[00243] 「椎間板ヘルニアを治療すること」は、椎間板ヘルニアの進行及び/又は重症度を(完全に又は一部)逆転させる、軽減する、抑制する、及び/又は阻害する、又は再発性の椎間板ヘルニアの再発の可能性及び/又は重症度を抑える組成物を投与することに関連する。「椎間板ヘルニアを治療すること」はまた、椎間板ヘルニアの1以上の症状(例、疼痛、痺れ、刺痛、炎症、坐骨神経痛、等)を逆転させる、軽減する、抑制する、その進行を阻害する、又はその再発の可能性及び/又は重症度を抑える組成物を投与することに関連する。様々な態様において、椎間板ヘルニアを治療することは、プロトコールの一部であってよく、ある手技(例、椎間板ヘルニアを抑えるための外科)を実施することも含められる。このように、「椎間板ヘルニアを治療すること」は、ある発作又は刺激に続いて椎間板ヘルニア(複数)がすでに形成されたならば、治療組成物及び/又は手技を投与することを伴う。
【0211】
[00244] 「疼痛」という用語には、侵害刺激と疼痛感覚が含まれ、そのいずれも、疼痛スコアや当該技術分野でよく知られた他の方法を使用して、客観的及び主観的に評価することができる。本明細書に開示される方法及び組成物によって抑制可能、予防可能、又は治療可能な疼痛の例示の種類には、限定なしに、下部腰痛、椎間関節痛、頚痛、脚痛、神経根性疼痛、腕、首、背、腰、脚のニューロパシー疼痛、又は椎間板又は脊椎の外科より生じる関連した疼痛分布が含まれる。
【0212】
[00245] 上記のように脊椎部位を示すが、薬物デポー剤は、皮膚の下のどの部位へも送達することができて、限定されないが、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、椎間関節、又は脊柱管が含まれる。
【0213】
[00246] いくつかの態様では、変性円板疾患及び/又は椎間関節痛の治療のために、αアドレナリン作動性アゴニスト(例、クロニジン)を含有する薬物デポー剤を炎症及び/又は疼痛の部位又はその付近に局所的に埋め込むことができて、薬物デポー剤は、クロニジンを少なくとも1日〜少なくとも6〜12ヶ月の間放出する。
【0214】
[00247] いくつかの態様では、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、クロニジン)を脊椎の椎間関節又はその付近に投与することができる。椎間関節は、安定性をもたらして動きを導くことに役立つ、脊椎の各節にある小さな関節である。椎間関節は、脊椎の関節炎、背の損傷又は背中への機械的ストレス、及び/又は椎間関節での炎症により、有痛性になり得る。薬物デポー剤は、背の疼痛及び/又は炎症を治療、抑制、及び/又は予防するように、頚部(首)、胸部(上背)、及び/又は腰(下背)の椎間関節又はその付近に埋め込むことができる。例えば、αアドレナリン作動性受容体アゴニストを含有する薬物デポー剤は、罹患した椎間関節又はその付近(例えば、約5cm以内、又は約2cm以内、又は0.1cm以内)に埋め込むことができる。このようにして、椎間関節の局所治療を提供する。
【0215】
[00248] 薬物デポー剤中のαアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、クロニジン)を疼痛又は炎症の部位(例、脊椎部位、変性円板、線維輪、椎間関節、等)又はその付近に局所的に投与することによって、変性円板疾患及び/又は椎間関節痛を延長された時間帯の間で効果的に抑制、予防、又は治療することができる。薬物デポー剤は、αアドレナリン作動性アゴニストを1〜90日、1〜10日、1〜3日、3〜7日、3〜12日;3〜14日、7〜10日、7〜14日、7〜21日、7〜30日、7〜50日、7〜90日、7〜140日、14〜140日、3日〜135日、3日〜150日、又は3日〜6ヶ月の期間にわたり放出し得る。
【0216】
[00249] いくつかの態様において、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩は、ゲル剤に懸濁した微粒子剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、及び/又はマイクロファイバー剤を含んでなる複数のデポー剤に被包化される。
【0217】
[00250] いくつかの態様では、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症を阻害するような治療を必要とする患者においてそれをする方法を提供し、該方法は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を皮膚の下の標的組織部位へ外科の前、間、後に送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の有効量を3日〜6ヶ月の期間にわたり放出する。
【0218】
[00251] いくつかの態様において、疼痛及び/又は炎症を予防又は治療するような治療を必要とする患者においてそれをするのに有用な埋込型薬物デポー剤を提供し、該埋込型薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなり、該デポー剤は、炎症を予防又は治療するのに皮膚の下の部位に埋め込み可能であり、ここで薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の有効量を33日〜6ヶ月の期間にわたり放出する。
【0219】
[00252] いくつかの態様では、埋込型薬物デポー剤を提供し、ここで薬物デポー剤は、(i)少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩のボーラス用量を皮膚の下の部位で放出する1以上の即時放出層(複数)と(ii)少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の有効量を3〜12日又は5〜10日又は7〜10日又は3日〜6ヶ月の期間にわたり放出する1以上の持続放出層(複数)を含む。例によれば、薬物デポー剤において、1以上の即時放出層(複数)はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)を含んでよく、1以上の持続放出層(複数)はポリラクチド(PLA)を含んでよい。
【0220】
作製の方法
[00253] 様々な態様において、有効成分(例、αアゴニスト)を含んでなる薬物デポー剤は、生体適合性ポリマーと有効成分又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を組み合わせて、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形することによって作製することができる。
【0221】
[00254] 薬物デポー剤の少なくとも一部を生体適合性ポリマー(複数)、治療薬剤(複数)、及び任意選択の材料より成形するための様々な技術が利用可能であり、溶液加工技術及び/又は熱可塑加工技術が含まれる。溶液加工技術を使用する場合、典型的には、1以上の溶媒種を含有する溶媒系が選択される。溶媒系は、一般的には、注目される少なくとも1つの成分、例えば、生体適合性ポリマー及び/又は治療薬剤にとって良好な溶媒である。溶媒系を構成する特別な溶媒種は、乾燥速度及び表面張力が含まれる、他の特性に基づいて選択することもできる。
【0222】
[00255] 溶液加工技術には、溶媒キャスティング技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、溶媒噴霧技術、ディッピング技術、空気懸濁が含まれる機械懸濁によるコーティング(例、流動コーティング)を伴う技術、インクジェット技術、及び静電技術が含まれる。所望の放出速度と所望の厚さが得られるデポー剤を構築するには、上記に列挙したような技術を適宜繰り返すか又は組み合わせることができる。
【0223】
[00256] 様々な態様では、溶媒を含有する溶液と生体適合性ポリマーを組み合わせて、所望のサイズ及び形状の型へ入れる。このようにして、バリアー層、滑面層、等が含まれるポリマー領域を成形することができる。所望されるならば、さらにこの溶液剤は、以下:他の治療薬剤(複数)とX線造影剤(複数)、等のような他の任意選択の添加剤の1以上を溶解型又は分散型で含むことができる。これにより、溶媒除去後には、上記の分子種を含有するポリマーマトリックス領域が得られる。他の態様では、溶解又は分散した治療薬剤とともに溶媒を含有する溶液剤を、溶液加工及び熱可塑加工の技術が含まれる多様な技術を使用して成形し得る既存のポリマー領域へ適用すると、このとき治療薬剤は、ポリマー領域中へ吸収される。
【0224】
[00257] デポー剤又はその一部を成形するための熱可塑加工技術には、成形技術(例えば、注入成形、回転成形、等)、押出技術(例えば、押出、共押出、多層押出、等)、及び鋳造法が含まれる。
【0225】
[00258] 熱可塑加工法は、様々な態様に従って、1以上の段階において、生体適合性ポリマー(複数)と以下:有効成分(例、αアゴニスト)、任意選択の追加の治療薬剤(複数)、X線造影剤(複数)、等の1以上を混合又は調合することを含む。次いで、得られる混合物を埋込型薬物デポー剤へ成形する。この混合及び成形の操作は、そのような目的のために当該技術分野で知られている慣用のデバイスのいずれも使用して実施してよい。
【0226】
[00259] 熱可塑加工の間、治療薬剤(複数)には、例えば、そのような加工に伴う上昇温度及び/又は機械的剪断力により分解する潜在可能性が存在する。例えば、ある種の治療薬剤は、通常の熱可塑加工条件の下で、実質的な分解を受ける場合がある。従って、加工は、好ましくは、治療薬剤(複数)の実質的な分解を防ぐ、改善された条件の下で実施する。熱可塑加工の間にはいくらかの分解が不可避であり得ると理解されるが、分解は、一般的には、10%以下へ制限される。治療薬剤(複数)の実質的な分解を回避するために加工の間に制御し得る加工条件には、温度、適用される剪断速度、適用される剪断応力、治療薬剤を含有する混合物の滞留時間、並びにポリマー材料と治療薬剤(複数)を混合する技術がある。
【0227】
[00260] 生体適合性ポリマーを治療薬剤(複数)とあらゆる追加の添加剤と混合又は調合してその実質的に均質な混合物を成形することは、当該技術分野で知られていて、ポリマー材料を添加剤と混合するために慣用的に使用されているどのデバイスでも実施してよい。
【0228】
[00261] 熱可塑性材料を利用する場合、様々な添加剤(例、治療薬剤(複数)、不活性成分、等)と混合し得る生体適合性ポリマーを加熱することによってポリマー溶融物を生成して、混合物を生成してよい。そのようにする一般的な方法は、生体適合性ポリマー(複数)及び添加剤(複数)の混合物へ機械的剪断力をかけることである。この形式で生体適合性ポリマー(複数)と添加剤(複数)を混合し得るデバイスには、単軸押出機、二軸押出機、バンバリー型混合機、高速混合機、Ross圧力鍋、等のようなデバイスが含まれる。
【0229】
[00262] 生体適合性ポリマー(複数)と様々な添加剤のいずれも、所望されるならば(例えば、他の理由に増して、治療薬剤の実質的な分解を防ぐために)、最終の熱可塑性の混合及び成形プロセスに先立って、プレ混合してよい。
【0230】
[00263] 例えば、様々な態様では、それがあれば治療薬剤の実質的な分解をもたらすはずの温度及び機械的剪断力の条件の下で、生体適合性ポリマーをX線造影剤(例、放射線不透過剤)とプレ調合する。次いで、このプレ調合された材料をより低い温度及び機械的剪断力の条件下で治療薬剤(例、αアゴニスト)と混合して、得られる混合物を、有効成分含有薬物デポー剤へ成形する。逆に、別の態様では、抑えられた温度及び機械的剪断力の条件の下で、生体適合性ポリマーを治療薬剤とプレ調合することができる。次いで、このプレ調合材料を、やはり抑えられた温度及び機械的剪断力の条件の下で、例えば放射線不透過剤と混合して、得られる混合物を薬物デポー剤へ成形する。
【0231】
[00264] 生体適合性ポリマー及び治療薬剤と他の添加剤の混合物を獲得するために使用する条件は、例えば、使用する特定の生体適合性ポリマー(複数)及び添加剤(複数)、並びに使用する混合デバイスの種類が含まれる、いくつかの要因に依存するものである。
【0232】
[00265] 1例として、様々な温度での混合を促進するために、典型的には、様々な生体適合性ポリマーを軟化させる。例えば、PLGA又はPLAポリマー、放射線不透過剤(例、次炭酸ビスマス)、及び加熱及び/又は機械的剪断力により分解し易い治療薬剤(例、クロニジン)を含んでなるデポー剤を成形する場合、様々な態様において、PGLA又はPLAは、例えば、約150℃〜170℃の温度で放射線不透過剤とプレ混合することができる。次いで、このプレ混合された組成物と治療薬剤を組み合わせて、PGLA又はPLA組成物に典型的であるものより実質的に低い温度及び機械的剪断力の条件で、さらなる熱可塑加工へ処する。例えば、押出機を使用する場合、バレル温度、容量出力は、典型的には、剪断力を制限して、それ故に治療薬剤(複数)の実質的な分解を防ぐように制御する。例えば、治療薬剤とプレ混合組成物は、二軸押出機を実質的により低い温度(例、100〜105℃)で使用して、そして実質的に抑えられた容量出力(例えば、全容量の30%未満、これは200cc/分未満の容量出力に概ね相当する)を使用して、混合/調合することができる。この加工温度は、これらの温度以上での加工は実質的な治療薬剤の分解をもたらすので、抗炎症薬及び鎮痛薬(例、クロニジン)のようなある種の有効成分の融点より十分に低いことが注目される。さらに、ある種の態様では、加工温度が、治療薬剤を含めて組成物内のすべての生理活性化合物の融点未満であることも注目される。調合の後で、得られるデポー剤は、やはり抑えられた温度及び剪断力の条件の下で、所望の形状へ成形される。
【0233】
[00266] 他の態様では、非熱可塑性技術を使用して、生分解性ポリマー(複数)と1以上の治療薬剤をプレ混合する。例えば、生体適合性ポリマーは、1以上の溶媒種を含有する溶媒系に溶かすことができる。どの所望の薬剤(例えば、放射線不透過剤、治療薬剤、又は放射線不透過剤と治療薬剤の両方)もこの溶媒系に溶かすか又は分散させることができる。次いで、得られる溶液/分散液より溶媒を除去して、固体材料を生成する。次いで、得られる固体材料は、所望されるならば、さらなる熱可塑加工(例えば、押出)のために造粒することができる。
【0234】
[00267] 別の例として、治療薬剤は、溶媒系に溶かすか又は分散させることができて、次いでこれを既存の薬物デポー剤(この既存の薬物デポー剤は、溶液及び熱可塑加工技術が含まれる多様な技術を使用して成形し得て、放射線不透過剤及び/又は粘度増強剤が含まれる多様な添加剤を含み得る)へ適用すると、このとき治療薬剤は、薬物デポー剤の上又は中に吸収される。次いで、上記のように、得られる固体材料は、所望されるならば、さらなる加工のために造粒することができる。
【0235】
[00268] 典型的には、生体適合性ポリマー(複数)、治療薬剤(複数)、及び放射線不透過剤(複数)を含んでなる薬物デポー剤を成形するために、押出法を使用してよい。共押出法も利用してよく、これは、同一又は異種の層又は領域を含んでなる薬物デポー剤(例えば、即時及び/又は持続薬物放出を可能にする流体透過性を有する1以上のポリマーマトリックス層又は領域を含んでなる構造体)を産生するために使用することができる成形法である。共注入又は連続注入成形技術のような他の加工及び成形技術によって、多重領域デポー剤も成形することができる。
【0236】
[00269] 様々な態様において、熱可塑加工法より出現し得るデポー剤(例、ペレット剤、ストリップ剤、等)は、冷却される。冷却法の例には、空気冷却、及び/又は冷却浴中の浸漬が含まれる。いくつかの態様では、押出されたデポー剤を冷却するために水浴を使用する。しかしながら、有効成分として水溶性の治療薬剤が使用される場合は、治療薬剤の水浴への無用な損失を回避するために、浸漬時間は、最小限に保つべきである。
【0237】
[00270] 様々な態様では、浴より出した後に、周囲温か又は温かい空気ジェットの使用により水分又は湿分をすぐに除去することで、薬物のデポー剤表面での再結晶を防いで、それにより埋込み又は挿入時の高い薬物用量の「初期バースト」又は「ボーラス用量」を(この放出プロフィールが望まれていなければ)制御又は最小化することができる。
【0238】
[00271] 様々な態様において、薬物をポリマーと混合又は噴霧してから、そのデポー剤を所望の形状へ成形することによって、薬物デポー剤を製造することができる。様々な態様では、有効成分をPLGA又はPEG550ポリマーとともに使用して混合又は噴霧して、得られるデポー剤を押出によって成形して、乾燥させてよい。
【0239】
[00272] 薬物デポー剤はまた、生体適合性ポリマーと少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を組み合わせて、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形することによって作製してよい。
【0240】
[00273] 本発明について今や概ね記載したので、以下の実施例(これは、例示のために提供して、特定しなければ、本発明を限定することを企図しない)への以下の言及を通して、それはより容易に理解することができよう。
【実施例】
【0241】
[00274] 実施例
[00275] 以下の実施例は、初期バーストがあまり大きくなく(即ち、最初の5日で負荷薬物の7%以下)、1日用量が135日間ほぼ2.4μg/日±0.5μg/日である、いくつかの特に有利な結果を示す。例えば、図10及び11;14;及び19を参照のこと。これらの図は、5重量%〜8重量%の薬物ローディングが有利な結果をもたらすことをさらに示す。
【0242】
[00276] ニューロパシー疼痛の2ヶ月慢性絞扼性神経損傷(CCI)モデルを使用して、生侵食性ポリマーに被包化したコルチコステロイド、フルオロシノロンの様々な製剤をフルオロシノロン皮下(SC)投与と比較して評価した。以下の表5に提供するような様々な製剤について、疼痛関連行動を抑制することを評価した:熱刺激足逃避潜時については、術後7、14、21、28、35、42、49、56、及び64日目にベースラインで評価して、一方、機械的閾値は、術後8、15、22、29、36、43、50、57、及び64日目に評価した。これらの試験の結果を図示する棒グラフを図3〜4に示す。
【0243】
[00277] In-Vitro 溶出試験は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS,pH7.4)において37℃で行った。簡潔に言えば、5mLのPBSに浸漬する前にロッド剤(n=3)を秤量した。規則的な時間間隔でPBSを分析用に取り出して、5mLの新鮮なPBSに置き換えた。このPBS溶出緩衝液について、UV−Vis分光法を使用して、クロニジン含量を分析した。
【0244】
[00278] 実施例1:製剤試験
[00279] 本発明者は、ポリマーの種類、薬物負荷量、賦形剤(賦形剤が無いいくつかの製剤も含まれる)、ペレットサイズ、及び加工法が異なるいくらかのクロニジン製剤を調製した。これらの製剤について、以下の表1、表2、及び表3に記載する。これらの製剤について、in vitro 放出試験(クロニジンの放出されるマイクログラム数、並びにその累積放出百分率を測定する)が含まれるいくらかの試験を実施した。これらの試験の結果を図7〜36に表す。
【0245】
[00280] In-Vitro 溶出試験は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS,pH7.4)において37℃で行った。5mLのPBSに浸漬する前にロッド剤(n=3)を秤量した。規則的な時間間隔でPBSを分析用に取り出して、5mLの新鮮なPBSに置き換えた。このPBS溶出緩衝液について、UV−Vis分光法を使用して、クロニジン含量を分析した。
【0246】
[00281] 表1
【0247】
【表1−1】
【0248】
【表1−2】
【0249】
[00282] 表2
【0250】
【表2】
【0251】
[00283] 表3
【0252】
【表3】
【0253】
[00284] ポリマーについての表内のコードを以下のように説明する。最初の単数又は複数の数字は、DL−ラクチド(例、ポリラクチド)のグリコリド(例、ポリグリコリド)に対するモノマーモル百分率比を意味する。最初の数字に続く文字コードは、ポリマー(複数)を意味して、ポリマー識別子である。ポリマーの文字コードに続く第二の数字は、標的IV指示子であり、範囲(dl/g)の中点の10倍である。ある種のIV指示子の意味を表4に表す。
【0254】
[00285] 表4
【0255】
【表4】
【0256】
[00286] ポリマーのコード内の最終文字は、末端基の指示子である。例えば、「E」はエステル末端基を意味して、一方「A」は酸末端基を意味する。
【0257】
[00287] 例によれば、100 DL 7Eは、0.60〜0.80dL/gのインヘレント粘度を有するポリマーである。それは、エステル末端基を有する100%のポリ(DL−ラクチド)を含有する。これは、Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より入手可能である。
【0258】
[00288] 実施例2:
[00289] 本発明者は、5ヶ月クロニジン/ポリマー薬物デポー剤のラット慢性絞扼性神経損傷モデルにおける効力を評価した。この動物モデルは、Bennett モデル(ウィスターラット)であった。目的:5ヶ月ポリマークロニジン溶出デポー剤がラットのニューロパシー疼痛モデルにおいて疼痛関連の行動応答を改善し得るかどうかを判定すること。
【0259】
[00290] 実験デザイン:4ヶ所の緩やかな縫合糸(chromic gut)結紮を、1mm離して、中位大腿の総坐骨神経の周囲に結び付けた。各動物は、表5に記載の投薬に従って、試験品又は対照品の処置を受けた。
【0260】
[00291] 表5
【0261】
【表5】
【0262】
[00292] 本発明者は、本研究を64日の期間で行って、以下の2つの試験:(1)Hargreaves 試験;及び(2)von Frey 試験を利用した。熱性痛覚過敏の Hargreaves 試験は、7、14、21、28、35、42、49、56、及び63日目に行った。機械的異疼痛の von Frey モノフィラメント試験(熱性試験の翌日に実施する)は、8、15、22、29、36、43、50、57、及び64日目に行った。これらの試験の結果を図3及び4に要約して、列挙した時間帯でのクロニジンの効力を示す。これらの結果を図3及び4に要約する。
【0263】
[00293] 熱的痛覚過敏についての疼痛行動応答(ベースラインの百分率として測定)(図3)は、0.02mg/kg/日で皮下送達されたクロニジンが、非負荷ポリマーデポー剤(100 DL 7W対照又はPOE対照)のいずれとも比較するときに、行動応答を首尾一貫して抑制した(58%対45%)ことを示す。5つのクロニジン負荷ポリマーデポー剤は、いずれも非負荷デポー剤と比較するときに、疼痛行動応答を抑えることができたが、いずれの製剤も、埋め込み時の薬物の初期バースト後のある時点で効力の下降を受けた。機械的アロディニアについての疼痛行動応答(ベースラインの百分率として測定)は、0.02mg/kg/日で皮下送達されたクロニジンが、非負荷ポリマーデポー剤(100 DL 7W対照又はPOE対照)のいずれとも比較するときに、行動応答を抑制したことを示す。
【0264】
実施例3:クロニジン薬物デポー剤の放出プロフィール
[00294] 図5は、放出百分率及び放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの in vitro 放出のグラフ図である(表2)。いくつかの製剤は、45日間でクロニジンの80%を放出した。この2、3、又は4のペレット剤用量は、ヒトに埋め込まれるであろう用量を模倣している。すべての製剤が初期バースト効果を最初の2日以内に有して、ここで薬物デポー剤は、10%〜80%の累積放出を有した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤がより速い放出プロフィールを有した。
【0265】
[00295] 図6は、放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である(表3)。いくつかの製剤は、クロニジンを60日にわたり放出した。標的1日用量は、2.4mg/日であった。すべての製剤が初期バースト効果を最初の2日以内に有して、ここで薬物デポー剤は、約35〜65mcgのボーラス用量を放出した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤がより速い放出プロフィールを有した。
【0266】
[00296] 図7は、累積クロニジン放出百分率により測定した、クロニジンHCl動物試験製剤のグラフ図である(表3)。いくつかの製剤は、60日間にクロニジンの少なくとも60%を放出した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤が45〜60日にわたるより長い放出プロフィールを有した。
【0267】
[00297] 図8は、累積クロニジン放出百分率により測定した、様々な製剤(表3)についてのクロニジンHCl放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、60日間にクロニジンの少なくとも70%を放出した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤が60日にわたるより長い放出プロフィールを有した。
【0268】
[00298] 図9は、あるクロニジン製剤(表3)についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。いくつかの製剤は、60日間にクロニジンの少なくとも60%を放出した。
【0269】
[00299] 図10は、ある照射クロニジンHCl製剤(表3)についての累積放出プロフィールのグラフ図である。いくつかの製剤は、80日以上の間にクロニジンの少なくとも50%を放出した。
【0270】
[00300] 図11は、2/3/4ペレット剤用量(これらは、ヒトの用量に近似している)からのある計算1日放出測定値のグラフ図である。いくつかの製剤(表3)は、クロニジンを85日間放出した。
【0271】
[00301] 図12は、ある3ペレット剤用量(表3)からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンを65日以上の間放出した。
【0272】
[00302] 図13は、ある2/3ペレット剤用量のコアキシャル製剤(表3)からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンを85日以上の間放出した。
【0273】
[00303] 図14は、ある照射クロニジン製剤(表3)についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンの約50%を85日以上の間放出した。
【0274】
[00304] 図15は、ある3ペレット用量製剤(表3)についてのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンを85日以上の間放出した。
【0275】
[00305] 図16は、ある3ペレット用量製剤(表3)で放出されるクロニジンのマイクログラム数のグラフ図である。いくつかの製剤は、初期バースト効果を約2日間、次いで連日放出を60日以上の間、有した。
【0276】
[00306] 図17は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。10重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 DLG 7Eを含有する製剤は、120日もの間に約90累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0277】
[00307] 図18は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。20重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 DLG 7Eを含有する製剤は、140日もの間に約90累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0278】
[00308] 図19は、ある製剤(表1)についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンの約95%を110日にわたり放出した。
【0279】
[00309] 図20は、1つの製剤(表1)についての60日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。放出は、比較的連続していた。
【0280】
[00310] 図21は、ある製剤(表1)についての約40日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0281】
[00311] 図22は、ある製剤(表1)についての約20日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0282】
[00312] 図23は、ある製剤(表1)についての3〜5日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0283】
[00313] 図24は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤が7日間で約90累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。この製剤は、より小さなサイズ(0.75mmx0.75mm)を有したが、それはより大きな直径のデポー剤に比較して、放出の表面積を増加させる。
【0284】
[00314] 図25は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤が30日以上の間に100以上の累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0285】
[00315] 図26は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。Span 85は、1つの製剤の可塑剤である。すべての製剤が50日以上の間に約30〜50累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0286】
[00316] 図27は、表1に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。5重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 PLGAを含有する製剤は、75日以上もの間に約100累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0287】
[00317] 図28は、表1に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。5重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 PLGAと可塑剤としてのSpan 65を含有する製剤は、70日もの間に約65累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0288】
[00318] 図29は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。約20日間で約90累積%の薬物をデポー剤より放出した1つの製剤を除けば、すべての製剤が100日以上の間に約90〜110累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0289】
[00319] 図30は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤が28日以上の間に約55〜85累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0290】
[00320] 図31は、表1に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。10重量%のクロニジン薬物負荷とポリマーDL−PLAを含有する製剤は、約18日間で約45累積放出%の薬物をデポー剤より放出したが、これは疼痛及び/又は炎症の急性状態に適しているかもしれない。
【0291】
[00321] 図32は、表2に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤がPOEと10%又は20%のクロニジン薬物負荷を有した。薬物を約35日以内に放出した1つの製剤を除けば、すべての製剤が120日以上の間に約80〜90累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0292】
[00322] 図33は、表2に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。10重量%のクロニジン薬物負荷とポリマーPOEを含有する製剤は、約60日間で約60累積放出%の薬物をデポー剤より放出したが、これは疼痛及び/又は炎症の慢性状態に適しているかもしれない。
【0293】
[00323] 図34は、表2に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。この製剤は、約23日間で約35累積放出%のクロニジンをデポー剤より放出した。
【0294】
[00324] 図5〜34は、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症、及び/又は1以上の椎間関節の疼痛及び炎症を抑制、予防、又は治療するのに有用な様々な薬物デポー製剤を示す。
【0295】
[00325] 当業者には、本明細書に記載の様々な態様に対して、本明細書の教示の精神又は範囲より逸脱することなく様々な修飾及び変形を作製し得ることが明らかであろう。従って、様々な態様には、本教示の範囲内の様々な態様の他の修飾及び変形も含まれると企図される。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月8日に出願されて「Alpha Adrenergic Receptor Agonists for Treatment of Degenerative Disc Disease(変性円板疾患の治療のためのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト)」と題する米国特許出願番号12/420,192;及び、2008年4月18日に出願されて「Clonidine Formulations In A Biodegradable Polymer Carrier(生分解性ポリマー担体中のクロニジン製剤)」と題する米国仮特許出願番号61/046,201の出願日の利益を特許請求する。これらの開示全体は、本明細書において、参照により本開示へ組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0001] ヒトの脊椎は、26の連続した椎骨より形成される。これら椎骨のそれぞれは、どの隣接する椎骨からも、椎間板(これは、衝撃を吸収して、それぞれの椎骨が別の椎骨に対して直接影響を及ぼすことを防ぐように機能する)によって分離されている。それぞれの椎間板の中心には、プロテオグリカンを含有する髄核がある。髄核の周りには、線維輪と呼ばれる外側の輪がある。変性円板疾患は、この円板の変性を伴う、下部脊椎の一般的な変性状態のいずれも意味する。円板変性にはしばしば疼痛の症状が結び付いて、炎症とニューロパシー疼痛、例えば、脊椎狭窄、脊椎すべり症、及び後方すべり症をもたらす場合がある。
【0003】
[0002] 老化プロセスと関連した円板変性は、一般に、椎間板の髄核からのプロテオグリカンの損失と椎骨間の衝撃を吸収する椎間板の能力の低下に関連している。症状を示さない罹患者もいるが、多くの罹患者は、背及び/又は脚の慢性疼痛に悩まされる。円板変性に関連した疼痛は、患者を無能化して、その生活の質を大いに低下させる場合がある。
【0004】
[0003] 円板変性への非手術治療法が存在する一方で、多くの患者、例えば、重篤な症状のある患者は、非手術治療法へ反応しない場合がある。慣用の手術治療法には、脊椎癒着術(脊椎の融合)を一般に伴うが、これはきわめて侵襲的で、患者に対して一定のリスクが付き物である。
【0005】
[0004] 変性円板疾患の生物学的機序はよく知られていないが、椎間板の髄核に豊富にあるプロテオグリカンの含量が加齢に伴って下降することが知られていて、この疾患の病理発生に重要な因子であると考えられている。椎間板の変性及びヘルニアは、一酸化窒素(NO)、インターロイキン−1(IL−1及びIL−1β)、インターロイキン−6(IL−6)、及びTNF−αのようなサイトカイン、プロスタグランジンE2、及びマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のようなタンパク質の増加量をもたらすことが知られている。これらのタンパク質は、変性した椎間板によって産生される生化学的な剤の間の相互作用において調節的な役割を担う。
【0006】
[0005] 医療専門家に知られている1つの薬物群は、αアドレナリン作動性受容体アゴニストである。一般に、αアドレナリン作動性受容体は、興奮性及び阻害性の機能に媒介する:α1アドレナリン作動性受容体は、典型的には、エフェクター臓器における応答に概して媒介する、興奮性のシナプス後受容体であり、一方、α2アドレナリン作動性受容体は、シナプス後だけでなくシナプス前にも位置していて、そこでそれらは神経伝達物質の放出を阻害する。
【0007】
[0006] 様々な状態を治療するために臨床的に使用されるαアドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、クロニジン、フェノキシベンズアミン、及びプラゾシン(高血圧症とオピオイド禁断の治療用)、ナファゾリン(鼻の充血除去用)、UK−14,304、及びp−アミノクロニジン(緑内障の治療用)が含まれる。
【0008】
[0007] しかしながら、今日まで、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、変性円板疾患及び/又は椎間関節の疼痛及び炎症より生じる疼痛及び/又は炎症に有効な治療薬として広く認められてはいない。従って、変性円板疾患及び/又は椎間関節の疼痛及び炎症より生じる疼痛及び/又は炎症を予防、治療、又は抑制するためにαアドレナリン作動性受容体アゴニストを開発することへのニーズがある。
【発明の概要】
【0009】
[0008] 変性円板疾患及び/又は椎間関節の疼痛及び炎症より生じる望まれない疼痛及び/又は炎症を効果的に抑制、予防、又は治療するための新規の組成物及び方法を提供する。この疼痛及び/又は炎症は、延長された時間帯の間、抑えられる可能性がある。様々な態様において、椎間板ヘルニアのサイズを単一の薬物デポー剤又は多数の薬物デポー剤において低下させる可能性がある、αアドレナリン作動性アゴニストの組成物及び方法を提供する。
【0010】
[0009] 1つの態様では、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれをするのに有用である埋込型薬物デポー剤を提供し、該埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなり、該薬物デポー剤は、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節の付近に埋め込み可能であり、ここで薬物デポー剤は、有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出することが可能である。
【0011】
[0010] 別の態様では、変性円板からの疼痛及び/又は炎症を治療するような治療を必要とする患者においてそれをするための方法を提供し、該方法は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ投与することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する。
【0012】
[0011] なお別の態様では、変性円板からの疼痛及び/又は炎症を抑制するような治療を必要とする患者においてそれをするための方法を提供し、該方法は、治療有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を患者の変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する。
【0013】
[0012] さらになお別の態様では、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び炎症を患者において抑制、予防、又は治療するのに有用である埋込型薬物デポー剤を提供し、該埋込型薬物デポー剤は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストとポリマーを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に埋め込み可能であり、そして該デポー剤は、(i)72時間までの第一期間にわたり、該薬物デポー剤に負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約5%〜約20%のα2アドレナリン作動性アゴニストを、そして(ii)6ヶ月までの後続期間にわたり、該薬物デポー剤に負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約21%〜約99%のα2アドレナリン作動性アゴニストを放出することが可能である。
【0014】
[0013] 提供する組成物及び方法は、限定されないが、外科、慢性炎症性疾患、慢性炎症性腸疾患、滑液嚢炎、骨関節炎、骨溶解、腱炎、坐骨神経痛、変性円板疾患、椎間関節の疼痛及び/又は炎症、狭窄症、ミオパシー、脊椎すべり症、腰痛、椎間関節痛、手根管症候群、足根管症候群、腰下肢痛、等に続く炎症及び/又は疼痛が含まれる、炎症及び/又は疼痛を抑制、予防、又は治療するために使用し得る。
【0015】
[0014] 本医薬組成物は、例えば、薬物デポー剤の一部であってよい。薬物デポー剤は、(i)αアドレナリン作動性受容体アゴニストと生分解性ポリマー(複数)からなる;又は(ii)αアドレナリン作動性受容体アゴニストから本質的になる;又は(iii)αアドレナリン作動性受容体アゴニストと1以上の他の有効成分、界面活性剤、賦形剤又は他の成分、又はそれらの組合せを含む場合がある。他の有効成分、界面活性剤、賦形剤、又は他の成分又はそれらの組合せが製剤中にあるとき、いくつかの態様において、これらの他の化合物又はそれらの組合せは、20重量%未満、19重量%未満、18重量%未満、17重量%未満、16重量%未満、15重量%未満、14重量%未満、13重量%未満、12重量%未満、11重量%未満、10重量%未満、9重量%未満、8重量%未満、7重量%未満、6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満を含む。
【0016】
[0015] 様々な態様の追加の特徴及び利点は、以下に続く記載において一部は示されて、一部はその記載より明らかになるか、又は様々な態様の実施より理解され得る。様々な態様の目的と他の利点は、本明細書の記載と付帯の特許請求項において特に指摘される種々の構成要素(elements)と組合せによって実現及び達成されよう。
【0017】
図面の簡単な説明
[0016] 一部は、以下の記載、付帯の特許請求項、及び付帯の図面に関連して、本発明の態様の他の側面、特徴、利益、及び利点が明らかになる。ここで:
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】[0017] 図1Aは、椎間板がヘルニア様であるが、断裂はしていない変性円板疾患である、標的組織部位の横断面図である。
【図1B】[0018] 図1Bは、ヘルニアを起こしていて、椎間板が断裂している変性円板疾患である、標的組織部位の横断面図である。
【図2】[0019] 図2は、線維輪を有する椎間板へ投与されている、アンカーがライン(例、縫合糸、糸、等)により付いた埋込型薬物デポー剤の1つの態様を図解する横断面図である。
【図3】[0020] 図3は、α2アドレナリン作動性受容体アゴニストを使用する以下の投与:クロニジン(CL)0.02mg/kg/日(皮下)、100 DL 7E 対照、5% CL−HCL、CL 5%、CL 8%、1 CL 7%、POE対照、及びPOE CL−Baseについての、7日、14日、21日、28日、35日、42日、49日、56日、及び63日でのベースラインからの百分率としての熱刺激足逃避潜時のグラフ図である。CL−HCLは、クロニジン塩酸塩を意味する。「POE」は、ポリ(オルトエステル)を意味する。「CL−Base」は、塩基型のクロニジンを意味する。
【図4】[0021] 図4は、以下の投与:クロニジン0.02mg/kg/日(皮下)、100 DL 7E 対照、5% CL−HCL、CL 5%、CL 8%、CL 7%、POE対照、及びPOE CL−Baseについての、8日、15日、22日、29日、36日、43日、50日、57日、及び64日でのベースラインからの百分率としての機械的閾値のグラフ図である。
【図5】[0022] 図5は、放出百分率及び放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの in vitro 放出のグラフ図である。
【図6】[0023] 図6は、放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図7】[0024] 図7は、累積クロニジン放出百分率により測定した、クロニジンHCl動物試験製剤のグラフ図である。
【図8】[0025] 図8は、累積クロニジン放出百分率により測定した、様々な製剤についてのクロニジンHCl放出のグラフ図である。
【図9】[0026] 図9は、あるクロニジン製剤についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。
【図10】[0027] 図10は、ある照射クロニジンHCl製剤についての累積放出プロフィールのグラフ図である。
【図11】[0028] 図11は、2/3/4ペレット剤用量からのクロニジンのある計算1日放出測定値のグラフ図である。
【図12】[0029] 図12は、ある3ペレット剤用量からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図13】[0030] 図13は、ある2/3ペレット剤用量のコアキシャル(coaxial)製剤からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図14】[0031] 図14は、ある照射クロニジン製剤についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。
【図15】[0032] 図15は、ある3ペレット用量製剤についてのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。
【図16】[0033] 図16は、ある3ペレット用量製剤で放出されるクロニジンのマイクログラム数のグラフ図である。
【図17】[0034] 図17は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図18】[0035] 図18は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図19】[0036] 図19は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図20】[0037] 図20は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図21】[0038] 図21は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図22】[0039] 図22は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図23】[0040] 図23は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図24】[0041] 図24は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図25】[0042] 図25は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図26】[0043] 図26は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図27】[0044] 図27は、1つの製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図28】[0045] 図28は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図29】[0046] 図29は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図30】[0047] 図30は、ある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図31】[0048] 図31は、1つの製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。
【図32】[0049] 図32は、ある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図33】[0050] 図33は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【図34】[0051] 図34は、1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0019】
[0052] 図面は、一定比例で描かれてはいないことを理解されたい。さらに、図中の対象間の関係も一定比例ではなく、実のところ、大きさに関して逆の関係を有する場合もある。この図面は、示される各対象の構造への理解と明確性をもたらすように企図されているので、構造の具体的な特徴を例解するために、ある特徴が誇張される場合もある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[0053] 本明細書と付帯の特許請求の目的のために、他に示さなければ、本明細書及び特許請求項において使用される、成分量、材料の百分率又は比率、反応条件、及び他の数値を表すすべての数字は、すべての例において「約」という用語によって修飾されていると理解されたい。従って、反対に示さなければ、以下の明細書と付帯の特許請求項に示す数的変数は、本発明により得られることが求められる所望の特性に依存して変動し得る概数である。少なくとも、そして均等論の適用を特許請求の範囲へ制限する試みとしてではなく、それぞれの数的変数は、少なくとも報告される有効数字の数に照らして、そして通常の丸め方法を適用することによって解釈されるべきである。
【0021】
[0054] 本明細書と本発明の広い範囲に示す数的範囲及び変数が概数であるにもかかわらず、具体例な実施例において示す数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、どの数値も、本来的には、そのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差より必然的に生じるある種の誤差を含有するものである。さらに、本明細書に開示されるすべての範囲には、そこに包含されるありとあらゆるサブ範囲が含まれると理解されたい。例えば、「1〜10」の範囲には、最小値の1と最大値の10の間(及び、含まれる)のありとあらゆるサブ範囲、即ち、1以上の最小値と10以下の最大値を有するありとあらゆるサブ範囲(例えば、5.5〜10)が含まれる。
【0022】
[0055] 以下に、その実施例が付帯の図面に図解される、本発明のある態様について詳細に言及する。本発明を例解の態様とともに記載するが、それらは本発明をその態様へ制限することを企図しないと理解されよう。むしろ、本発明には、付帯の特許請求項により規定されるような、本発明内に含まれ得る、すべての代替物、修飾物、及び等価物が含まれると企図される。
【0023】
[0056] 以下の見出しは、本開示を決して制限するものではなく;ある見出し下の態様を他の見出し下の態様とともに使用してよい。
【0024】
[0057] 本明細書と付帯の特許請求項に使用されるように、単数形の「a」、「an」(不定冠詞)及び「the」(定冠詞)には、明白かつ明確に1つの指示物へ限定されなければ、複数の指示物が含まれることに留意されたい。従って、例えば、「薬物デポー剤(a drug depot)」への言及には、1、2、3以上の薬物デポー剤(drug depots)が含まれる。
【0025】
[0058] 「DLG」という略語は、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0026】
[0059] 「DL」という略語は、ポリ(DL−ラクチド)を意味する。
【0027】
[0060] 「LG」という略語は、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)を意味する。
【0028】
[0061] 「CL」という略語は、ポリカプロラクトンを意味する。
【0029】
[0062] 「DLCL」という略語は、ポリ(DL−ラクチド−コ−カプロラクトン)を意味する。
【0030】
[0063] 「LCL」という略語は、ポリ(L−ラクチド−コ−カプロラクトン)を意味する。
【0031】
[0064] 「G」という略語は、ポリグリコリドを意味する。
【0032】
[0065] 「PEG」という略語は、ポリ(エチレングリコール)を意味する。
【0033】
[0066] 「PLGA」という略語は、ポリ(乳酸コグリコール酸)としても知られるポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を意味して、これらは交換可能的に使用される。
【0034】
[0067] 「PLA」という略語は、ポリラクチドを意味する。
【0035】
[0068] 「POE」という略語は、ポリ(オルトエステル)を意味する。
【0036】
[0069] 変性円板疾患を効果的に抑制、予防、又は治療する、新しい組成物及び方法を提供する。様々な態様において、椎間板ヘルニアのサイズを単一の薬物デポー剤又は多数の薬物デポー剤において低下させる、αアドレナリン作動性受容体アゴニストの組成物及び方法を提供する。患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど与えずに、αアドレナリン作動性受容体アゴニストを含有する薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを容易に可能にし得る、新しいαアドレナリン作動性アゴニストの組成物及び方法を提供する。このαアドレナリン作動性アゴニスト薬物デポー剤の組成物及び方法の1つの利点は、今やその薬物デポー剤を標的組織部位へ(例、髄核に、又は脊椎管付近に、等)容易に送達して、椎間板ヘルニアを抑制、予防、又は治療し得ることである。このようにして、ほとんど非侵襲的な手法で椎間板ヘルニアを治療するための薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを達成することができる。
【0037】
αアドレナリン作動性アゴニスト
[0070] 本出願の方法及び組成物は、αアドレナリン作動性アゴニストを利用する。ヒトのアドレナリン作動性受容体は、膜内在性タンパク質であり、α及びβアドレナリン作動性受容体という2つの広い群へ分類されてきた。
【0038】
[0071] 両タイプは、カテコールアミンであるノルエピネフリン及びエピネフリンの結合に対する末梢交感神経系の作用に媒介する。ノルエピネフリンがアドレナリン作動性神経終末により産生されるのに対し、エピネフリンは、副腎髄質によって産生される。これら化合物へのアドレナリン作動性受容体の結合親和性が分類の1つの基礎となる:α受容体は、エピネフリンより強く、そして合成化合物のイソプロテレノールよりさらに強くノルエピネフリンへ結合する傾向がある。これらのホルモンの好ましい結合親和性は、β受容体では逆転している。多くの組織において、α受容体活性化によって誘導される、平滑筋収縮のような機能応答は、β受容体結合によって誘導される応答に対立する。
【0039】
[0072] 続いて言えば、α受容体とβ受容体の間の機能上の対比は、様々な動物及び組織の供給源に由来するこれら受容体の薬理学的な特徴付けによってさらに強調されて洗練された。結果として、α及びβアドレナリン作動性受容体は、α1、α2、α1/α2サブタイプへさらに細分された。α1及びα2受容体の間の機能上の差異が認知されて、これら2つのサブタイプ間の選択結合性を示す化合物が開発されてきた。このように、公開された国際特許出願WO92/0073では、α1サブタイプのアドレナリン作動性受容体へ選択的に結合する、テラゾシンのR(+)エナンチオマーの選択能力が報告された。この化合物のα1/α2選択性が重要であると開示されたのは、α2受容体のアゴニスト刺激がエピネフリン及びノルエピネフリンの分泌を阻害すると言われたのに対し、α2受容体の拮抗作用はこれらのホルモンを増加させると言われたからである。αアドレナリン作動性受容体についてのさらに一般的な背景については、読者は、例えば、Robert R. Ruffolo, Jr.,「alpha-Adrenreceptors: Molecular Biology, Biochemistry and Pharmacology(αアドレナリン受容体:分子生物学、生化学、及び薬理学)」(Progress in Basic and Clinical Pharmacology series, Karger, 1991) のような、当該技術分野で知られたテキストへ注目されたい。動物組織由来のα受容体サブタイプのクローニング、配列決定、及び発現は、α1アドレナリン作動性受容体のα1A、α1B、及びα1Dへの亜分類化をもたらした。同様に、α2アドレナリン作動性受容体も、その薬理学と分子の特徴づけに基づいて、α2A、α2B、及びα2C受容体へ分類された:α2A/D(ヒトではα2Aで、ラットではα2D);α2B;及び、α2C(Bylund et al., Pharmacol. Rev. 46:121-136 (1994); 及び Hein and Kobilka, Neuropharmacol. 357-366 (1995))。α2A及びα2Bのサブタイプは、一部の血管床において動脈収縮を調節することができて、α2A及びα2Cサブタイプは、交感神経終末からのノルエピネフリン放出のフィードバック阻害に媒介する。α2Aサブタイプはまた、α2アドレナリン作動性アゴニストの中枢効果の多くに媒介する(Calzada and Artinano, Pharmacol. Res. 44: 195-208 (2001); Hein et al., Ann. NYAcad. Science 881:265-271 (1999))。それぞれのα2受容体サブタイプは、それ自身の薬理学的及び組織特異性を示すようである。これらサブタイプの1以上へある度合いの特異性を有する化合物は、所与の適応症について、例えば、α2受容体の汎アゴニスト(薬物、クロニジンのような)よりも特異的な治療薬剤であり得る。
【0040】
[0073] 本明細書に使用する「αアドレナリン作動性アゴニスト」という用語は、少なくとも1以上のαアドレナリン作動性受容体又はそのサブタイプへある度合いで結合する、及び/又はそれを活性化する、及び/又は作動させる、及び/又は少なくとも1以上のαアドレナリン作動性受容体又はそのサブタイプを活性又は不活性のコンホメーションで安定化させるあらゆる化合物を意味する。このように、αアドレナリン作動性受容体アゴニストという用語には、1以上のαアドレナリン作動性受容体又はそのサブタイプの完全アゴニストだけでなく、部分アゴニスト、逆アゴニストも含まれることを意味する。
【0041】
[0074] 本明細書に使用する「αアドレナリン作動性受容体アゴニスト」、「αアドレナリン作動性アゴニスト」、及び「αアゴニスト」という用語は、同義である。αアドレナリン作動性アゴニストは、選択的α1アドレナリン作動性アゴニスト、選択的α2アドレナリン作動性アゴニスト、又は混合型α1/α2アドレナリン作動性アゴニストであってよい。本明細書に使用する「混合型α1/α2アゴニスト」という用語は、α1受容体とα2受容体をそのサブタイプの1以上を含めてともに活性化する薬物を意味する。それは、非選択的αアゴニストと呼ばれる場合もある。
【0042】
[0075] 当業者には、選択的α2アゴニストがα1受容体を弱く活性化する場合があって、α1アゴニストがα2受容体を弱く活性化する場合があっても、この弱い活性化が有意な量ではないので、その化合物が依然として選択的α1又はα2アゴニストとして分類されることが理解されよう。
【0043】
[0076] 本明細書に使用する「活性化する」という用語又はその文法上の変形物は、受容体へ結合して、その受容体に細胞又は生理学上の変化を起こさせることを意味する。アゴニスト活性化は、例えば、受容体選択及び増幅技術(RSAT)アッセイ(Messier et al. Pharmacol. Toxicol. 76:308-11 (1995);サイクリックAMPアッセイ(Shimizu et al., J. Neurochem. 16:1609-1619 (1969));及び細胞センサーミクロ生理機能測定(cytosensor microphysiometry)アッセイ(Neve et al., J. Biol. Chem. 267:25748-25753 (1992))が含まれる、多様な定型アッセイのいずれを使用しても特徴付けることができる。例えば、そのようなアッセイは、一般に、単一のαアドレナリン作動性受容体サブタイプだけを天然で発現する細胞を使用して、又は単一の組換えαアドレナリン作動性受容体サブタイプを発現するトランスフェクトされた細胞を使用して実施する。アドレナリン作動性受容体は、ヒトの受容体、又は類似の薬理学を有するヒト受容体の相同体であり得る。RSATアッセイは、集密細胞の混合集団における受容体含有細胞の選択的増殖を生じる、接触阻害の受容体媒介性の損失を測定する。細胞数の増加は、β−ガラクトシダーゼのような適正な検出可能マーカー遺伝子を用いて、所望されるならば、ハイスループット又は超ハイスループットアッセイフォーマットにおいて評価される。Gタンパク質を活性化する受容体、Gqは、増殖性の応答を誘発する。通常Giへ共役するαアドレナリン作動性受容体は、Gq/i5と呼称されるGi受容体認識ドメインを含有するハイブリッドGqタンパク質と同時発現されるときに、RSAT応答を活性化する(Conklin et al., Nature 363:274-6 (1993))。
【0044】
[0077] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、鎮痛及び/又は抗炎症剤として作用する、α1アドレナリン作動性受容体アゴニストを含む。α1アドレナリン作動性受容体は、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーのメンバーである。活性化時に、ヘテロ三量体Gタンパク質のGqは、ホスホリパーゼC(PLC)を活性化して、これがIP3及びカルシウムの増加を引き起こす。これが生理学的効果の引き金になる。α1アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、決して限定されないが、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、メタラミノール、オキシメタゾリン、フェニレフリン、2−(アニリノメチル)イミダゾリン、シネフリン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0045】
[0078] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、鎮痛及び/又は抗炎症剤として作用する、α2アドレナリン作動性受容体アゴニストを含む。本出願に有用なα2アドレナリン作動性受容体アゴニストの例には、決して限定されないが、L−ノルエピネフリン、クロニジン、デクスメデトミジン、アプラクロニジン、メチルドーパ、チザニジン、ブリモニジン、キシロメタゾリン、チザニジン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、グアンファシン、グアナベンズ、グアノキサベンズ、グアネチジン、キシラジン、モキソニジン、ミバゼロール、メデトミド、リルメニジン、UK 14,304、B−HT 933、B−HT 920、オクトパミン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0046】
[0079] 他のαアドレナリン作動性アゴニストには、限定されないが、アミデフリン、アミトラズ、アニソダミン、アプラクロニジン、チラゾリン、デトミジン、エピネフリン、エルゴタミン、エチレフリン、インダニジン、ロフェキシジン、メデトミジン、メフェンテルミン、メタラミノール、メトキサミン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルエピネフリン、ノルフェネフリン、オクトパミン、オキシメタゾリン、フェニルプロパノールアミン、リルメニジン、ロミフィジン、シネフリン、タリペキソール、チザニジン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0047】
[0080] 1つの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、ラセミ混合物として使用することができる。なお別の態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、単一の立体異性体として使用する。別の態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、立体異性体の等しい(1:1)又は等しくない量を含有する、立体異性体の混合物として使用する。例えば、いくつかの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、アゴニストの(+)R及び(−)エナンチオマーの混合物を含んでよい。様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、アゴニストの1:1ラセミ混合物を含んでよい。
【0048】
[0081] αアゴニスト送達のために選択される標的組織部位は、とりわけ、治療される状態、患者において達成されるべき薬物の所望される治療濃度、及び維持されなければならない薬物濃度の持続時間に依存する。
【0049】
[0082] いくつかの態様では、標的組織部位(例、変性円板)又はその付近での薬物デポー剤の局所投与により、通常の経口、静脈内、又は筋肉内用量より低い用量のαアドレナリン作動性アゴニストを使用することが可能になる。例えば、薬物デポー剤の局所投与は、通常の経口、静脈内、又は筋肉内用量の20%、15%、10%、5%、1%、0.5%、0.1%、0.01%である1日用量で達成することができる。逆に、例えば、肝臓トランスアミナーゼ上昇、肝炎、肝不全、ミオパシー、便秘、等のような全身性の副作用は、抑制又は消失される場合がある。
【0050】
[0083] 薬物デポー剤に含まれて、本明細書に記載の方法論で使用されるαアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、α1、α2、α1及びα2)の濃度は、疼痛及び/又は炎症を予防、治療、又は抑制する治療効果をもたらすのに有効な濃度である。ヒト患者において局所投与時に鎮痛効果をもたらすためのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト、例えば、クロニジンの投与量は、典型的には、いくつかの態様において、局所注入により、約150マイクログラム〜800マイクログラム/日の間、又は3〜12マイクログラム/時間の範囲に及ぶ可能性がある。
【0051】
[0084] しかしながら、本開示を読むとすぐ当業者により理解されるように、有効濃度は、選択されるαアドレナリン作動性受容体アゴニスト、投与経路、投与頻度、投与製剤、及び治療される状態に依って変動するものである。
【0052】
[0085] 1つの態様では、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するのに、αアドレナリン作動性アゴニストを約0.0001mg/kg/日〜約40mg/kg/日の量で投与する。別の態様では、αアドレナリン作動性アゴニストを約0.001mg/kg/日〜約4mg/kg/日の量で投与する。1つの態様では、αアドレナリン作動性アゴニストを約0.01mg/kg/日〜約0.4mg/kg/日の量で投与する。
【0053】
[0086] 1つの態様では、1以上のαアドレナリン作動性アゴニストを薬物デポー剤において投与し得て、これはまた別の抗炎症薬及び/又は鎮痛薬を含有する。1以上のαアドレナリン作動性アゴニストを薬物デポー剤に包含することによって、鎮痛薬及び/又は抗炎症薬の効果を増強することができる。1つの態様において、「増強効果」は、αアドレナリン作動性アゴニストと同時投与されるときに、鎮痛薬及び/又は抗炎症薬が単独で投与されるときと同じ鎮痛効果を達成するのにより低い用量の選択される鎮痛及び/又は抗炎症剤が必要とされ得ること、又はαアドレナリン作動性アゴニストとともに通常量の選択される鎮痛薬及び/又は抗炎症薬が投与されるときに、より大きな鎮痛又は抗炎症効果が達成されることを意味する。
【0054】
[0087] 鎮痛薬は、疼痛を抑制、緩和、又は一掃し得る薬剤又は化合物を意味する。αアドレナリン作動性アゴニストに加えて、鎮痛剤の例には、限定されないが、アセトアミノフェン、例えば、リドカイン、ブピビカイン、ロピバカインのような局所麻酔薬、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デキストロモラミド、デゾシン、デキストロプロポキシフェン、ダイアモルフィン、フェンタニル、アルフェンタニル、スフェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ケトベミドン、レボメタジル、レボルファノール、メピリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、アヘン、オキシコドン、パパベレタム、ペンタゾシン、ペチジン、フェノペリジン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、コデイン、ジヒドロコデイン、メプタジノール、デゾシン、エプタゾシン、フルピルチンのような麻薬性鎮痛薬、又はこれらの組合せが含まれる。
【0055】
[0088] 「抗炎症剤」という句は、抗炎症効果を有する薬剤又は化合物を意味する。これらの薬剤は、炎症を抑えることによって疼痛を軽減し得る。αアドレナリン作動性アゴニストに加えて、抗炎症剤の例には、限定されないが、スタチン、スリンダク、スルファサラジン、グアニジノエチルジスルフィド、ナロキシン、ジクロフェナク、インドメタシン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、アクロフェナク、アロキシプリン、アプロキセン、アスピリン、ジフルニサール、フェノプロフェン、メフェナム酸、ナプロキセン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、メロキシカム、サリチルアミド、サリチル酸、デスオキシスリンダク、テノキシカム、ケトロラク、フルフェニサール、サルサレート、サリチル酸トリエタノールアミン、アミノピリン、アンチピリン、オキシフェンブタゾン、アパゾン、シンタゾン、フルフェナム酸、クロニキセリル、クロニキシン、メクロフェナム酸、フルニキシン、コルヒチン、デメコルシン、アロプリノール、オキシプリノール、塩酸ベンジダミン、ジメファダン、インドキソール、イントラゾール、塩酸ミムバン、塩酸パラニレン、テトリダミン、塩酸ベンジンドピリン、フルプロフェン、イブフェナク、ナプロキソール、フェンブフェン、シンコフェン、ジフルミドンナトリウム、フェナモール、フルチアジン、メタザミド、塩酸レチミド、塩酸ネキセリジン、オクタザミド、モリナゾール、ネオシンコフェン、ニマゾール、クエン酸プロキサゾール、テシカム、テシミド、トルメチン、トリフルミデート、フェナメート(メフェナム酸、メクロフェナム酸)、ナブメトン、セレコキシブ、エトドラク、ニメスリド、アパゾン、金、テポキサリン;ジチオカルバメート、又はこれらの組合せが含まれる。抗炎症剤にはまた、ステロイド(例えば、フルオシノロン、コルチゾール、コーチゾン、ヒドロコーチゾン、フルドロコーチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン、ベクロメタゾン、フルオシノロン、フルチカゾンのような)、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト、サリドマイド(TNF−α放出阻害剤)、サリドマイド類似体(マクロファージによるTNF−α産生を抑制する)、骨形成タンパク質(BMP)2型又はBMP−4(カスパーゼ8、TNF−αアクチベータの阻害剤)、キナプリル(TNF−αをアップレギュレートするアンジオテンシンIIの阻害剤)、IL−11のようなインターフェロン(TNF−α受容体発現を調節する)、オーリントリカルボン酸(TNF−αを阻害する)、グアニジノエチルジスルフィドのような他の化合物、又はこれらの組合せも含まれる。
【0056】
[0089] 例示の抗炎症剤には、例えば、ナプロキセン;ジクロフェナク;セレコキシブ;スリンダク;ジフルニサール;ピロキシカム;インドメタシン;エトドラク;メロキシカム;イブプロフェン;ケトプロフェン;r−フルルビプロフェン;メフェナム酸;ナブメトン;スルファサラジン、スリンダク、トルメチン、及びこれらのそれぞれのナトリウム塩;ケトロラクブロメタミン;ケトロラクトロメタミン;ケトロラク酸;コリンマグネシウムトリサリチル酸;ロフェコキシブ;バルデコキシブ;ルミラコキシブ;エトリコキシブ;アスピリン;サリチル酸とそのナトリウム塩;α、β、γ−トコフェロール及びトコトリエノールのサリチル酸エステル(及び、そのすべてのd、l、及びラセミ異性体);アセチルサリチル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルエステル;テノキシカム;アセクロフェナク;ニメスリド;ネパフェナク;アムフェナク;ブロムフェナク;フルフェナメート;フェニルブタゾン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0057】
[0090] 例示のステロイドには、例えば、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コーチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−アセテート、デキサメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、フォルモコルタール、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコーチゾン、エタボン酸ロテプレドノール、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−アセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、又はこれらの組合せが含まれる。
【0058】
[0091] 疼痛及び/又は炎症の治療のためにデポー剤に含めることができる有用なスタチンの例には、限定されないが、アトルバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン(米国特許第3,883,140を参照のこと。この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、ベロスタチン(シンビノリンとも呼ばれる;米国特許第4,448,784号及び4,450,171号を参照のこと。これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、フルバスタチン、ロバスタチン、ロスバスタチン、及びフルインドスタチン(Sandoz XU−62−320)、ダルバスタチン(EP出願公開公報番号738510 A2,この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)、エプタスタチン、ピタバスタチン、又はこれらの医薬的に許容される塩、又はこれらの組合せが含まれる。様々な態様において、スタチンは、スタチンの(+)R及び(−)−Sエナンチオマーの混合物を含んでよい。様々な態様において、スタチンは、スタチンの1:1ラセミ混合物を含んでよい。
【0059】
[0092] 抗炎症剤には、例えば、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリン、クロニジン、又はこれらの組合せのような、抗炎症特性のあるものも含まれる。
【0060】
[0093] 他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、本明細書と以下に続く特許請求項のセットがαアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はαアゴニスト(例、α2アゴニスト、α2選択的アゴニスト、α1選択的アゴニスト、α1/α2混合型又は非選択的アゴニスト、等)に言及する場合、本発明者は、立体異性体が含まれるαアドレナリン作動性受容体アゴニストの医薬的に許容される塩にも言及している。医薬的に許容される塩には、化合物の毒性を実質的には高めない、塩生成の酸及び塩基が含まれる。潜在的に好適な塩のいくつかの例には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属とアンモニウムの塩、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸のような鉱酸の塩、並びに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、等のような有機酸の塩が含まれる。
【0061】
[0094] 「薬物デポー剤」は、その中で少なくとも1つのαアドレナリン作動性受容体アゴニストが身体へ投与される組成物である。従って、薬物デポー剤は、所望の部位(例えば、特に、外科の部位又はその付近にある患者の椎間板腔、脊柱管、組織、又は他の炎症部位、等)における埋込み及び保持を促進する物理構造を含んでよい。薬物デポー剤は、薬物そのものも含む。本明細書に使用する「薬物」という用語は、一般に、患者の生理機能を改変させるあらゆる物質を意味するとする。「薬物」という用語は、本明細書において、「治療薬剤」、「治療有効量」、及び「活性医薬成分」又は「API」という用語と交換可能的に使用してよい。他に特定されなければ、「薬物」製剤には、1より多い治療薬剤を含めてよく、ここで治療薬剤の例示の組合せには、2以上の薬物の組合せが含まれると理解される。薬物は、その部位への送達のためにその治療薬剤の濃度勾配を提供する。様々な態様において、薬物デポー剤は、埋込み部位より約0.1mm〜約5cmまでの距離で治療薬剤の最適な薬物濃度勾配を提供して、少なくとも1つのαアドレナリン作動性受容体アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を含む。
【0062】
[0095] 「デポー剤」には、限定されないが、カプセル剤、マイクロスフェア剤、微粒子剤、マイクロカプセル剤、マイクロファイバー剤、粒子剤、ナノスフェア剤、ナノ粒子剤、コーティング剤、マトリックス剤、ウェハー剤、ピル剤、ペレット剤、エマルジョン剤、リポソーム剤、ミセル剤、ゲル剤、ファイバー剤、ストリップ剤、シート剤、又は他の医薬送達組成物、又はこれらの組合せが含まれる。薬物デポー剤は、医薬品を保持して投与するポンプを含んでよい。いくつかの態様において、薬物デポー剤は、薬物のデポー剤からの放出を可能にする空孔を有する。薬物デポー剤は、デポー剤中で体液が薬物を移送することを可能にする。しかしながら、デポー剤中への細胞浸潤は、デポー剤の空孔のサイズによって妨げられる。このように、いくつかの態様において、デポー剤は、組織基盤として機能して組織増殖を可能にしてはならない。むしろ、薬物デポー剤は、薬物送達にのみ利用される。いくつかの態様において、薬物デポー剤中の空孔は、250〜500ミクロン未満であろう。この孔径は、細胞が薬物デポー剤に浸潤して基盤細胞を構築することを妨げる。このように、この態様では、体液が薬物デポー剤に入るときに薬物が薬物デポー剤より溶出されるが、細胞は入ることを妨げられる。いくつかの態様において、空孔がほとんど又はまったくない場合、薬物は、酵素の作用によって、加水分解作用によって、及び/又は人体中の他の類似の機序によって、薬物デポー剤より外へ溶出される。
【0063】
[0096] デポー剤に適した材料は、理想的には、好ましくはFDA承認されている医薬的に許容される生分解性及び/又はあらゆる生体吸収性の材料、又はGRAS(一般に安全と認められている)材料である。これらの材料は、ポリマー又は非ポリマー性であり、並びに、合成品又は天然に存在するもの、又はこれらの組合せであり得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、生分解性でなくても、生分解性でない材料を含んでもよい。非生分解性ポリマーには、限定されないが、様々なセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、及びアルキルセルロース)、シリコンとシリコンベースのポリマー(ポリジメチルシロキサンのような)、ポリエチレンコ(酢酸ビニル)、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポロキサミン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリエチレン−クロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE又は「TeflonTM」)、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド−ポリスチレン、ポリ−α−クロロ−p−キシレン、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、非分解性エチレン−ビニルアセテート(例、エチレンビニルアセテートディスク、及びポリ(エチレンコビニルアセテート))、及び他の関連した生物学的安定性ポリマー、又はこれらの組合せが含まれる。
【0064】
[0097] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、少なくとも1つの生分解性材料を、デポー剤の全重量に基づいて約99.5%、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%、79%、78%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、35%、25%、20%、15%、10%、又は5%の重量%で含み、残りは、活性及び不活性な医薬成分である。
【0065】
[0098] いくつかの態様において、αアゴニストの薬物デポー剤中のローディングは、約0.5重量%〜約30重量%、又は約1重量%〜約20重量%である。いくつかの態様において、ローディングは、約10重量%〜約20重量%である。
【0066】
[0099] 薬物デポー剤は、非吸収性ポリマーも含んでよい。これらの非吸収性ポリマーには、限定されないが、デルリン、ポリウレタン、シリコーン及びポリウレタンの共重合体、ポリオレフィン(ポリイソブチレン及びポリイソプレンのような)、アクリルアミド(ポリアクリル酸及びポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)のような)、ネオプレン、ニトリル、アクリレート(ポリアクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及びN−ビニルピロリドンとアクリレートの共重合体のような)、N−ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、グルコマンナンゲル、加硫ゴム、及びこれらの組合せを含めることができる。ポリウレタンの例には、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポリウレタン、セグメント化ポリウレタン、親水性ポリウレタン、ポリエーテル−ウレタン、ポリカーボネート−ウレタン、及びシリコーンポリエーテル−ウレタンが含まれる。典型的には、非分解性薬物デポー剤は、取り除くことが必要になり得る。
【0067】
[00100] 「治療有効量」又は「有効量」は、投与されるときに、薬物が、例えば、炎症の阻害、疼痛の抑制又は軽減、変性円板疾患の改善、等といった生物活性の改変をもたらすような量である。患者へ投与される投与量は、他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、薬物の投与される薬物動態特性、投与経路、患者の状態及び特性(性別、年齢、体重、健康、サイズ、等)、症状の程度、併用治療法、治療の頻度、及び所望される効果が含まれる多様な要因に依って、単用量又は多用量であり得る。いくつかの態様において、製剤は、即時放出用に設計される。他の態様において、製剤は、持続放出用に設計される。他の態様において、製剤は、1以上の即時放出表面と1以上の継続放出表面を含む。
【0068】
[00101] 「持続(sustained)放出」又は「継続(sustain)放出」(延長放出又は制御放出とも呼ばれる)という句は、ヒト又は他の哺乳動物の身体へ導入されて、1以上の治療薬剤の流れを所定の時間帯にわたり、そしてその所定の時間帯を通して所望の治療効果を達成するのに十分な治療レベルで連続的又は継続的に放出する、1以上の治療薬剤(複数)に言及するために本明細書で使用される。連続的又は継続的な放出の流れへの言及には、薬物デポー剤又はそのマトリックス若しくは成分の in vivo での生物分解の結果として、又は治療薬剤(複数)又は治療薬剤(複数)のコンジュゲートの代謝変換又は溶解の結果として生じる放出が含まれると企図される。当業者には、持続放出製剤が、例によれば、フィルム剤、スラブ剤、シート剤、ペレット剤、微粒子剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、スフェロイド剤、成形誘導体、又はペースト剤として創製され得ることがわかっている。製剤は、等張生理食塩水、生理学的緩衝液、又は患者への注射に許容される他の溶液における懸濁に適している形態であってよい。さらに、製剤は、限定されないが、非経口製剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、ゲル剤、ペースト剤、埋込型ロッド剤、ペレット剤、プレート剤、又はファイバー剤、等が含まれる、本発明での態様と結びつくときに有用であると当業者に評価される、あらゆる埋込み可能、挿入可能、又は注射可能なシステムとともに使用してよい。
【0069】
[00102] 「即時放出」という句は、本明細書において、身体へ導入されて、それが投与される部位において溶解するか又はそこで吸収されることが可能であり、薬物の溶解又は吸収を遅延又は延長させる意図がない、1以上の治療薬剤(複数)へ言及するために使用される。即時放出は、投与に続く短い時間帯内、例えば、概して数分〜約1時間以内での薬物の放出を意味する。
【0070】
[00103] 「哺乳動物」という用語は、「哺乳動物」という命名法の群からの生物を意味し、限定されないが、ヒト、チンパンジー、ヒトニザル、オランウータン、及びサルのような他の霊長動物、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、等が含まれる。様々な態様において、哺乳動物は、ヒト患者である。
【0071】
[00104] 「放出速度プロフィール」という句は、一定の単位時間にわたり放出される有効成分の割合、例えば、mcg/時間、mcg/日、mg/時間、mg/日、10日間10%/日、等を意味する。当業者が知っているように、放出速度プロフィールは、線形であってもなくてもよい。非限定的な例によれば、薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアゴニストをある時間帯にわたり放出するペレット剤であり得る。
【0072】
[00105] 疾患又は状態を治療すること又はその治療は、疾患の徴候又は症状を軽減する努力において、患者(正常又は他の状態のヒト、又は他の哺乳動物)へ1以上の薬物を投与することが含まれ得るプロトコールを実行することを意味する。軽減は、疾患又は状態の徴候又は症状が出現する前に、並びにその出現の後に起こり得る。このように、「治療すること」又は「治療」には、疾患又は望まれない状態を「予防すること」又はその「予防」が含まれる。加えて、「治療すること」又は「治療」は、徴候又は症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を必要とせず、そして具体的には、患者に対してわずかな効果しか及ぼさないプロトコールも含まれる。「疼痛及び/又は炎症を抑制すること」には、疼痛及び/又は炎症の減少が含まれるが、疼痛及び/又は炎症の徴候又は症状の完全な軽減を必要とせず、治癒を必要としない。様々な態様において、疼痛及び/又は炎症を抑制することには、疼痛及び/又は炎症のわずかな減少さえ含まれる。例によれば、有効投与量のαアドレナリン作動性受容体アゴニストの投与を使用して、様々な疾患又は状態の疼痛及び/又は炎症の症状を予防、治療、又は緩和することができる。これらの疾患/状態は、口腔・顔面疾患、滑液嚢炎、腱炎、限定されないが、自己免疫疾患(多発性硬化症、変性円板疾患、慢性関節リウマチ、骨関節炎、インスリン依存型糖尿病(I型糖尿病)、全身性紅斑性狼瘡、及び乾癬のような)、蠕虫のような感染病原体によって誘発される免疫病理(例、リーシュマニア症)とある種のウイルス感染症(HIVが含まれる)、及び細菌感染症(ライム病、結核、及びらい腫らいが含まれる)、組織移植拒絶、移植片対宿主病、及びアトピー性状態(喘息のような)、並びに、アレルギー性鼻炎、胃腸アレルギー(食物アレルギーが含まれる)、好酸球増加症、結膜炎、又は糸球体腎炎が含まれるアレルギーが含まれる、慢性炎症性疾患を含んでよい。
【0073】
[00106] 1つの慢性状態は、坐骨神経痛である。一般に、「坐骨神経痛」は、急性疼痛からニューロパシー疼痛へ移行し得る疼痛の例である。坐骨神経痛は、脊髄の下部(腰領域)より発して、脚の裏側と肢に至る坐骨神経に関連した疼痛を意味する。一般に、坐骨神経痛は、椎間板ヘルニアより始まる。椎間板ヘルニアそのものは、局所の免疫系活性化をもたらす。椎間板ヘルニアはまた、神経根を締め付けるか又は圧迫することによってそれを傷つけて、その領域で追加の免疫系活性化をもたらす場合がある。様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストを使用して、αアドレナリン作動性アゴニストを1以上の標的組織部位(例、神経根、背根神経節、疼痛の集中部位、脊柱又はその付近、等)で局所投与することによって、坐骨神経の疼痛及び/又は炎症を抑制、治療、又は予防することができる。
【0074】
[00107] 「局在化」送達には、1以上の薬物が組織、例えば、神経系の神経根又は脳の領域、又はそれらのごく近傍(例えば、約10cm以内、又は約5cm以内、又は0.1cm以内)の内側に沈積される送達が含まれる。「標的指向される送達系」は、1以上の薬物デポー剤、ゲル剤、又は沈積され得る量の治療薬剤を有するゲルに分散したデポー剤の、疼痛、炎症、又は他の疾患又は状態の治療に必要とされるような標的部位又はその付近への送達を提供する。
【0075】
[00108] 「生分解性」という用語には、薬物デポー剤の全体又は部分が酵素の作用によって、加水分解作用によって、及び/又は人体中の他の類似の機序によって経時的に分解されることが含まれる。様々な態様において、「生分解性」には、治療薬剤が放出された後で、又は放出されている間に、デポー剤(例、微粒子剤、マイクロスフェア剤、等)が身体内で無毒の成分へ崩壊又は分解され得ることが含まれる。「生侵食性」は、デポー剤が、少なくとも一部は、周囲組織に見出される物質、体液との接触によるか又は細胞の作用によって経時的に侵食又は分解されることを意味する。「生体吸収性」は、デポー剤が人体内で例えば細胞又は組織によって崩壊されて吸収されることを意味する。「生体適合性」は、デポー剤が標的組織部位で実質的な組織刺激も壊死も引き起こさないことを意味する。
【0076】
[00109] 「疼痛管理投薬」という句には、疼痛を予防、軽減、又は完全に取り除くために投与される1以上の治療薬剤が含まれる。これらには、1以上のαアドレナリン作動性アゴニストが単独で、又は抗炎症剤、筋弛緩薬、鎮痛薬、麻酔薬、麻薬、等、又はこれらの組合せと組み合わせて含まれる。
【0077】
[00110] 様々な態様において、デポー剤は、埋込み後の最初の24時間、2日、3日、4日、又は5日以内に治療薬剤の初期バースト投薬を引き起こすように設計することができる。「初期バースト」又は「バースト効果」又は「ボーラス用量」は、デポー剤が水性の体液(例、脳脊髄液、血液、等)と接触した後の最初の24時間、2日、3日、4日、又は5日の間に治療薬剤がデポー剤より放出されることを意味する。このバースト効果は、鎮痛薬にとって特に有益であるが、様々な態様において、抗炎症剤では、より長期間のより線形の放出が所望される場合がある。「バースト効果」は、治療薬剤のデポー剤からの増加放出によると考えられている。代わりの態様では、この初期バースト効果を回避するようにデポー剤(例、ゲル剤、ペレット剤、ウェハー剤、等)が設計される(例えば、デポー剤へ外側ポリマーコーティング剤を施すことによって)。
【0078】
[00111] 少なくとも1つのα2アドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を含んでなる薬物デポー剤は、筋弛緩薬と同時投与してよい。同時投与には、別々の薬物デポー剤で同時に投与すること、又は同じ薬物デポー剤において一緒に製剤化することを伴う場合がある。
【0079】
[00112] 例示の筋弛緩薬には、例によれば、そして限定せずに、塩化アルクロニウム、アトラクリウムベシラート、バクロフェン、カルボロニウム、カリソプロドール、カルバミン酸クロルフェネシン、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、ダントロレン、臭化デカメトニウム、ファザジニウム、ガラミントリエチオジド、ヘキサフルオレニウム、メラドラジン、メフェンシン、メタキサロン、メトカルバモール、ヨウ化メトクリン、パンクロニウム、メシル酸プリジノール、スチラメート、スキサメトニウム、スキセトニウム、チオコルチコシド、チザニジン、トルペリゾン、ツボクラリン、ベクロニウム、又はこれらの組合せが含まれる。
【0080】
[00113] 薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩に加えて、他の治療薬剤又は有効成分も含んでよい。好適な追加の治療薬剤には、限定されないが、インテグリンアンタゴニスト、α4,β7インテグリンアンタゴニスト、細胞接着阻害剤、インターフェロンγアンタゴニスト、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト(BMS−188667)、CD40リガンドアンタゴニスト、ヒト化抗IL−6 mAb(MRA、トシリズマブ、中外製薬)、HMGB−1 mAb(Critical Therapeutics 社)、抗IL2R抗体(ダクリズマブ、バシリシマブ)、ABX(抗IL−8抗体)、組換えヒトIL−10、又はHuMax IL−15(抗IL15抗体)が含まれる。
【0081】
[00114] αアドレナリン作動性アゴニストと同時投与し得る他の好適な治療薬剤には、ヒトのインターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1Ra)の組換え非グリコシル型である、Kineret(登録商標)(アナキンラ)のようなIL−1阻害剤、又はIL−1の作用を阻止するモノクローナル抗体であるAMG108が含まれる。治療薬剤には、グルタミン酸及びアスパラギン酸のような興奮性アミノ酸のアンタゴニスト、又はNMDA受容体、AMPA受容体、及び/又はカイニン酸受容体へのグルタミン酸結合の阻害剤も含まれる。望まれる場合は、上記のPEG化型も使用してよいと考慮される。他の治療薬剤の例には、グルココルチコイドのようなNFκB阻害剤、又はジチオカルバメートのような抗酸化剤が含まれる。
【0082】
[00115] 使用に適した追加の治療薬剤の特別な例には、限定されないが、同化成長因子又は抗異化成長因子、又は骨誘導成長因子、又はこれらの組合せが含まれる。
【0083】
[00116] 好適な同化成長又は抗異化成長因子には、限定されないが、骨形成タンパク質、成長分化因子、LIM鉱化作用タンパク質、CDMP又は前駆細胞、又はこれらの組合せが含まれる。
【0084】
[00117] αアゴニストに加えて、好適な鎮痛剤には、限定されないが、アセトアミノフェン、ブピバカイン、トラマドール、アミトリプチリン、カルバマゼピン、ガバペンチン、プレガバリンのようなオピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬、又はこれらの組合せが含まれる。オピオイド鎮痛薬には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルフィン、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジアモルホン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルフィン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルフィン、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノピリジン、ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、又はこれらの組合せが含まれる。
【0085】
[00118] それぞれのαアドレナリン作動性アゴニストについて、いくつかの態様において、各化合物の放出は、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも14日、又は少なくとも15日、又はより長い間であってよい。
【0086】
[00119] 治療薬剤(例、αアゴニスト、筋弛緩薬、ステロイド、等)には、その医薬的に許容される塩も含まれる。本明細書に使用するように、「医薬的に許容される塩」は、開示化合物(例、エステル又はアミン)の誘導体を意味し、ここで親化合物は、その酸性又は塩基性の塩を作製することによって修飾してよい。医薬的に許容される塩の例には、限定されないが、アミンのような塩基性残基の鉱酸又は有機酸塩;カルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩又は有機塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、例えば、無毒の無機酸又は有機酸より生成される、親化合物の慣用的な無毒の塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような慣用の無毒の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、又は硝酸のような無機酸より誘導される塩;又は、酢酸、フオル酸(fuoric)、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸のような有機酸より製造される塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、ラセミ混合物((+)−R及び(−)−Sエナンチオマー)、又は各治療薬剤の右旋性及び左旋性異性体のそれぞれも含まれる。治療薬剤は、遊離酸又は塩基型であっても、長期作用活性のためにPEG化されてもよい。
【0087】
クロニジン
[00120] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、クロニジンである。クロニジンに言及するとき、他に特定されなければ、又は文脈より明らかでなければ、本発明者は、医薬的に許容される塩にも言及していると理解されたい。クロニジンの1つのよく知られた市販の塩は、その塩酸塩である。潜在的に医薬的に許容される塩の他のいくつかの例には、マグネシウム、カリウムのようなアルカリ金属とアンモニウムの塩、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、及び硫酸のような鉱酸の塩、並びに、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、グロン酸、コハク酸、アリールスルホン酸、例えば、p−トルエンスルホン酸、等のような有機酸の塩といった、化合物の毒性を実質的には高めない、塩生成の酸及び塩基が含まれる。
【0088】
[00121] さらに、クロニジンに言及するとき、その有効成分は、塩型だけでなく、塩基型(例、遊離塩基)であってもよい。様々な態様において、それが塩基型であるならば、それは、PLGA又はPLAとともに生じ得る加熱又は溶媒処理時に見られる場合のように、重大なポリマー分解がない条件の下でポリマーと組み合わされてよい。非限定的な例によれば、クロニジンをポリ(オルトエステル)とともに製剤化するときは、クロニジン塩基製剤を使用することが望ましいかもしれない。対照的に、クロニジンをPLGAとともに製剤化するときは、HCl塩型を使用することが望ましいかもしれない。
【0089】
[00122] 1つの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、2,6−ジクロロ−N−2−イミダゾリジニルデンベンゼンアミンとも呼ばれるクロニジンを含んでなるα2アドレナリン作動性アゴニストである。クロニジン又はその医薬的に許容される塩は、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために、様々な医薬品製造業者より入手可能である。
【0090】
[00123] 投与量は、ほぼ0.0005〜ほぼ960μg/日であってよい。クロニジンの追加の投与量には、ほぼ0.0005〜ほぼ900μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ500μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ250μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ100μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ75μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ70μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ65μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ60μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ55μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ45μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ40μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ35μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ30μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ20μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ15μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ10μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ5μg/日;及びほぼ0.0025〜ほぼ2.5μg/日が含まれる。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、クロニジンの投与量は、ほぼ0.005〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、クロニジンの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、クロニジンの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0091】
[00124] 様々な態様では、クロニジン(ここでクロニジンは、製剤の約0.1重量%〜約30重量%を含む)と少なくとも1つの生分解性ポリマーを含んでなる医薬製剤がある。いくつかの態様において、医薬品のクロニジンは、製剤の約3重量%〜約20重量%、約3重量%〜約18重量%、約5重量%〜約15重量%、又は約7.5重量%〜約12.5重量%を含む。例によれば、5%〜15%のクロニジン組成を使用するとき、クロニジンのポリマーに対するモル比は、267グラム/モル比を有するほぼ80キロダルトンのポリマーを使用するとき、ほぼ16〜53となろう。別の例によれば、組成物中5%〜15%のクロニジン塩基を使用するとき、クロニジン塩基のポリマーに対するモル比は、230グラム/モルのモル量では、ほぼ18〜61となろう。
【0092】
[00125] いくつかの態様において、少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸コグリコリド)(PLGA)又はポリ(オルトエステル)(POE)、又はこれらの組合せを含む。ポリ(乳酸コグリコリド)は、ポリグリコリド(PGA)及びポリラクチドの混合物を含んでよく、いくつかの態様において、その混合物には、ポリグリコリドより多くのポリラクチドがある。様々な態様では、100%のポリラクチドと0%のポリグリコリド;95%のポリラクチドと5%のポリグリコリド;90%のポリラクチドと10%のポリグリコリド;85%のポリラクチドと15%のポリグリコリド;80%のポリラクチドと20%のポリグリコリド;75%のポリラクチドと25%のポリグリコリド;70%のポリラクチドと30%のポリグリコリド;65%のポリラクチドと35%のポリグリコリド;60%のポリラクチドと40%のポリグリコリド;55%のポリラクチドと45%のポリグリコリド;50%のポリラクチドと50%のポリグリコリド;45%のポリラクチドと55%のポリグリコリド;40%のポリラクチドと60%のポリグリコリド;35%のポリラクチドと65%のポリグリコリド;30%のポリラクチドと70%のポリグリコリド;25%のポリラクチドと75%のポリグリコリド;20%のポリラクチドと80%のポリグリコリド;15%のポリラクチドと85%のポリグリコリド;10%のポリラクチドと90%のポリグリコリド;5%のポリラクチドと95%のポリグリコリド;並びに、0%のポリラクチドと100%のポリグリコリドがある。
【0093】
[00126] ポリラクチドとポリグリコリドをともに含む様々な態様では、少なくとも95%のポリラクチド;少なくとも90%のポリラクチド;少なくとも85%のポリラクチド;少なくとも80%のポリラクチド;少なくとも75%のポリラクチド;少なくとも70%のポリラクチド;少なくとも65%のポリラクチド;少なくとも60%のポリラクチド;少なくとも55%のポリラクチド;少なくとも50%のポリラクチド;少なくとも45%のポリラクチド;少なくとも40%のポリラクチド;少なくとも35%のポリラクチド;少なくとも30%のポリラクチド;少なくとも25%のポリラクチド;少なくとも20%のポリラクチド;少なくとも15%のポリラクチド;少なくとも10%のポリラクチド;又は少なくとも5%のポリラクチドがあり;そしてそのバイオポリマーの残りは、ポリグリコリドである。
【0094】
[00127] 様々な態様において、薬物デポー剤に使用する薬物の粒径は、約5〜30マイクロメートルであるが、様々な態様では、約1ミクロン〜250ミクロンの範囲が使用され得る。いくつかの態様において、生分解性ポリマーは、製剤の少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、製剤の少なくとも85重量%、製剤の少なくとも90重量%、製剤の少なくとも95重量%、又は製剤の少なくとも97重量%を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの生分解性ポリマーとクロニジンが医薬製剤の唯一の成分である。
【0095】
[00128] いくつかの態様では、粒子の少なくとも75%が約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約10マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。
【0096】
[00129] いくつかの態様では、粒子の少なくとも75%が約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約20マイクロメートル〜約180マイクロメートルのサイズを有する。
【0097】
[00130] いくつかの態様では、αアゴニストのクロニジン(ここでクロニジンは、クロニジン塩酸塩とクロニジン塩基の混合物であり、この混合物は、製剤の約0.1重量%〜約30重量%を含む)を含んでなる医薬製剤があり、ポリマーは、その製剤の少なくとも70%を含む。いくつかの態様において、この製剤中のポリマーは、ポリオルトエステルである。
【0098】
[00131] いくつかの態様において、製剤は、生分解性ポリオルトエステルを含む薬物デポー剤を含む。ポリオルトエステルの分解プロセスの機序は、本質において加水分解的又は酵素的、又はその両方であり得る。様々な態様において、分解は、薬物送達系デポー剤の表面(不均一又は表面侵食)で、又はそのデポー剤の全体で均質に(均一又はバルク侵食)起こり得る。ポリオルトエステルは、A. P. Pharma 社(カリフォルニア州レッドウッドシティ)より、又は、1,4−trans−シクロヘキサンジメタノール及び1,6−ヘキサンジオールのようなジオール(複数)及び/又はポリオール(複数)の好適な組合せと3,9−ジエチリデン−2,4,8,10−テトラオキソスピロ[5,5]ウンデカン(DETOSU)のようなビス(ケテンアセタール)の反応を介して、又はオルトエステル部分を含んでなるポリマーを生成する他のどの化学反応によっても入手することができる。
【0099】
[00132] いくつかの態様では、クロニジン(ここでクロニジンは、塩酸塩の形態であり、製剤の約0.1重量%〜約30重量%、又は製剤の約1重量%〜約20重量%を含む)と少なくとも1つの生分解性ポリマー(ここで少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(又はポリ(乳酸コグリコール酸))又はポリ(オルトエステル)、又はこれらの組合せを含む)を含んでなる薬物デポー剤中の医薬製剤があり、そして前記少なくとも1つの生分解性ポリマーは、前記製剤の少なくとも70重量%又は80重量%を含む。
【0100】
[00133] いくつかの態様では、クロニジン(ここでクロニジンは、クロニジン塩酸塩とクロニジン塩基の混合物であり、この混合物は、製剤の約0.1重量%〜約30重量%を含む)を含んでなる医薬製剤があり、ポリマーは、その製剤の少なくとも70%を含む。いくつかの態様において、この製剤中のポリマーは、ポリオルトエステルである。
【0101】
[00134] いくつかの態様では、疼痛を治療するための方法がある。これらの方法は、医薬組成物を生物へ投与することを含み、ここで前記医薬組成物は、製剤の約1重量%〜約20重量%と少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む。いくつかの態様において、そのローディングは、約5重量%〜約10重量%である。いくつかの態様において、そのローディングは、約10重量%〜約20重量%である。
【0102】
[00135] いくつかの態様では、クロニジンのより高いローディング、例えば、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のローディングがある。
【0103】
[00136] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、クロニジンと並んで賦形剤を含有する。生分解性ポリマーに加えてクロニジンとともに製剤化し得る例示の賦形剤には、限定されないが、MgO(例、1重量%)、5050 DLG 6E、5050 DLG 1A、mPEG、TBO−Ac、mPEG、Span−65、Span−85、プルロニックF127、TBO−Ac、ソルビタール、シクロデキストリン、マルトデキストリン、プルロニックF68、CaCl、5050 DLG−7A、及びこれらの組合せが含まれる。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約50重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約40重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約30重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約20重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約10重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約50重量%を含む。いくつかの態様において、賦形剤は、製剤の約0.001重量%〜約2重量%を含む。
【0104】
[00137] 薬物デポー剤を投与するときには、三角網(triangulation)の戦略が有効であるかもしれない。このように、医薬製剤(例、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト)を含んでなる複数(少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、等)の薬物デポー剤は、標的組織部位が、2つの製剤がある場合はその製剤間に入るか、又はその周辺が複数の製剤のセットによって画定される領域の内側に入るように、標的組織部位(例えば、椎間板ヘルニアのように、疼痛発生源又は疼痛発生部位としても知られる)の周囲に配置することができる。
【0105】
[00138] いくつかの態様において、製剤は、やや堅くて、長さ、幅、直径、等が様々である。例えば、ある製剤は、0.50mmの直径と4mmの長さを有してよい。粒径は、乳鉢及び乳棒、ジェット乾燥、又はジェット粉砕を使用するような技術によって改変し得ることに留意されたい。
【0106】
[00139] いくつかの態様において、クロニジンは、少なくとも3日の期間の間、1日につき2〜3μgの速度で放出される。いくつかの態様では、この放出速度が、少なくとも10日、少なくとも15日、少なくとも25日、少なくとも50日、少なくとも90日、少なくとも100日、少なくとも135日、少なくとも150日、又は少なくとも180日の間続く。いくつかの態様では、バイオポリマーとともに製剤化された300〜425マイクログラムのクロニジンをヒトの標的組織部位又はその付近に埋め込む。標的部位を三角包囲する多数の部位にクロニジンを埋め込むならば、いくつかの態様において、クロニジンの各部位での全量は、総量300〜425マイクログラムの画分となる。例えば、324マイクログラムの単用量を1つの部位に埋め込んでも、162マイクログラムの2つの個別用量を2つの部位に埋め込んでも、108マイクログラムの3つの個別用量を、標的部位を三角包囲する3つの部位に埋め込んでもよい。生物にとって有害になり得る量未満の量へ全体投与量を制限することが重要である。しかしながら、いくつかの態様では、複数の部位がある場合に、各部位は、単回適用で投与し得た全用量未満を含有してよいが、各部位は独立した放出プロフィールを有して、バイオポリマーの濃度や物質は、持続放出が十分な時間にわたり起こることを確実にするように調整すべきであることを忘れずにいることが重要である。
【0107】
[00140] いくつかの態様では、クロニジン又はクロニジン塩酸塩とポリマーを含んでなる薬物デポー剤があり、ここでポリマーは、様々な態様の1以上であり、薬物デポー剤は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン又はこれらの組合せを含む。
【0108】
[00141] 1つの例示の投薬レジメンでは、ラットに、0.240μg/日の継続放出を135日間提供するのに十分なクロニジンを生分解性ポリマーにおいて提供することができる。この時間帯にわたり投与されるクロニジンの全量は、ほぼ32.4μgとなろう。別の例示の投薬レジメンでは、ヒトに、2.4μg/日の継続放出を135日間提供するのに十分なクロニジンを生分解性ポリマーにおいて提供する。この時間帯にわたり投与されるクロニジンの全量は、ほぼ324μgとなろう。
【0109】
[00142] 複数のペレット剤を使用するとき、ペレット数は、適正なサイズ(即ち、直径0.5mmx長さ4mm)のペレットへ負荷する薬物の量と、どのくらい薬物が必要とされるか(例えば、ほぼ325μgのクロニジン(3つのペレット剤))に基づく。いくつかの態様では、ボーラス量の化合物を最初の数日(約5日)にわたり放出した後で落ち着いて、2.5mg/日を135日間放出するポリマーがある。例示の製剤は、5重量%のクロニジン、100 DL 5Eである。
【0110】
[00143] いくつかの態様では、本出願のポリマーデポー剤により、2.5倍以上の薬物を送達する皮下注射剤と同等である、有効成分の効力を提供することが可能になる。
【0111】
フルオシノロン
[00144] 1つの態様において、αアゴニストに加えて、デポー剤中の抗炎症剤は、フルオシノロン又は、アセトニド塩のようなその医薬的に許容される塩を含む。フルオシノロンは、様々な医薬品製造業者より入手可能である。フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.0005〜ほぼ100μg/日であってよい。フルオシノロンの追加の投与量には、ほぼ0.0005〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ10μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ5μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ1μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.75μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.5μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.25μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.1μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.075μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ0.05μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.025μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.01μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.0075μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.005μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ0.025μg/日;及び、ほぼ0.002μg/日が含まれる。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、フルオシノロンの投与量は、ほぼ0.001〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、フルオシノロンの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0112】
デキサメタゾン
[00145] 本発明の1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の抗炎症剤は、(8S,9R,10S,11S,13S,14S,16R,17R)−9−フルオロ−11,17−ジヒドロキシ−17−(2−ヒドロキシアセチル)−10,13,16−トリメチル−6,7,8,11,12,14,15,16−オクタヒドロシクロペンタ[a]−フェナントレン−3−オンとも呼ばれる、デキサメタゾン遊離塩基又は酢酸デキサメタゾン又はその医薬的に許容される塩であり、これは、様々な製造業者より入手可能である。
【0113】
[00146] 様々な態様において、デキサメタゾンは、デポー剤より、約10pg〜約80mg/日、約2.4ng/日〜約50mg/日、約50ng/日〜約2.5mg/日、約250ng/日〜約250μg/日、約250ng/日〜約50μg/日、約250ng/日〜約25μg/日、約250ng/日〜約1μg/日、約300ng/日〜約750ng/日、又は約0.50μg/日の用量で放出され得る。様々な態様において、この用量は、約0.01〜約10μg/日又は約1ng〜約120μg/日であってよい。
【0114】
[00147] 1つの例示の態様において、デキサメタゾンは、リン酸デキサメタゾンナトリウムである。
【0115】
GED
[00148] 1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の治療薬剤は、抗炎症特性を有する誘導性一酸化窒素シンターゼ阻害剤であるGED(グアニジノエチルジスルフィド)である。GEDは、その炭酸水素塩の形態でよい。
【0116】
[00149] GEDの投与量は、ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ100mg/日であってよい。GEDの追加の投与量には、ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ50mg/日;ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ10mg/日;ほぼ0.0005μg/日〜ほぼ1mg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ800μg/日;ほぼ0.0005〜ほぼ50μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ45μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ40μg/日;ほぼ0.001〜ほぼ35μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ30μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ25μg/日;ほぼ0.0025〜ほぼ20μg/日;及び、ほぼ0.0025〜ほぼ15μg/日が含まれる。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ15μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ10μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜ほぼ5μg/日である。別の態様において、GEDの投与量は、ほぼ0.005〜2.5μg/日である。いくつかの態様において、GEDの量は、40μg/日と600μg/日の間にある。いくつかの態様において、GEDの量は、200μg/日と400μg/日の間にある。
【0117】
[00150] 1つの例示の態様において、GEDの投与量は、0.5mg/日と4mg/日の間にある。別の例示の態様において、GEDの投与量は、0.75mg/日と3.5mg/日の間にある。
【0118】
ロバスタチン
[00151] 1つの例示の態様において、α−アゴニストに加えて、薬物デポー剤中の抗炎症剤は、ロバスタチンを含む。ロバスタチンは、様々な製造業者より様々な形態(例、注射剤、散剤、等)で入手し得るスタチンである。例えば、ロバスタチンは、メルクより、Mevacor(登録商標)(米国特許第4,231,938号を参照のこと、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)として入手し得る。ロバスタチンの好適な医薬的に許容される塩には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、1−デオキシ−2−(メチルアミノ)−D−グルシトール、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄若しくは第二鉄、水酸化アンモニウム、又はN−メチルグルカミン、コリン、アルギニン、等のような有機アミン、又はこれらの組合せのような塩基より誘導される1以上の化合物が含まれる。ロバスタチンの好適な医薬的に許容される塩には、そのリチウム、カルシウム、ヘミカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、第一鉄、又は第二鉄の塩、又はこれらの組合せが含まれる。
【0119】
[00152] 様々な態様において、ロバスタチンの治療有効量は、1日につき約0.1pg〜約2000mg、例えば、0.1ng〜1000mg、500mg、100mg、50mg、25mg、10mg、1mg、50μg、25μg、10μg、1μg、500ng、250ng、100ng、75ng、50ng、25ng、15ng、10ng、5ng、又は1ngのロバスタチンを含む。様々な態様において、投与量は、例えば、約3ng/日〜0.3μg/日であってよい。
【0120】
モルヒネ
[00153] 本発明の1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の鎮痛剤は、モルヒネである。モルヒネは、(5α,6α)−7,8−ジデヒドロ−4,5−エポキシ−17−メチルモルヒナン−3,6−ジオールとも呼ばれて、化学式:C17H19NO3を有する。モルヒネとその医薬的に許容される塩は、様々な製造業者より入手可能である。1つの例示の態様において、モルヒネは、硫酸モルヒネ又は塩酸モルヒネを含む。
【0121】
[00154] モルヒネの投与量は、1日につき0.1mg〜1000mgであり得る。例えば、モルヒネの投与量は、例えば、1日につき0.1mg〜2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mgのモルヒネであってよい。
【0122】
トラマドール
[00155] 1つの態様において、αアゴニストに加えて、薬物デポー剤中の鎮痛剤は、トラマドールである。トラマドールは、(±)cis−2−[(ジメチルアミノ)メチル]−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノール塩酸塩とも呼ばれて、化学式:C16H25NO2を有する。トラマドール又はその医薬的に許容される塩は、様々な製造業者より入手可能である。様々な態様において、トラマドールHCLを使用した。
【0123】
[00156] トラマドールの投与量は、1日につき0.01mg〜500mgであってよい。例えば、トラマドールの投与量は、例えば、1日につき0.1mg〜2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、又は500mgのトラマドールであってよい。
【0124】
[00157] 1つの態様において、薬物デポー剤は、2.5mg/kg/日と30mg/kg/日の間で放出されるのに十分なトラマドールを含有する。別の態様において、薬物デポー剤は、3mg/kg/日と27.5mg/kg/日の間で放出されるのに十分なトラマドールを含有する。
【0125】
[00158] αアドレナリン作動性アゴニストは、非有効成分とともに投与してもよい。これらの非有効成分は、治療薬剤(複数)を運搬すること、安定化させること、及びその放出を制御することが含まれる、多機能の目的を有する場合がある。例えば、持続放出プロセスは、溶解拡散機序によっても、あるいはそれは、浸食−持続プロセスによって支配されてもよい。典型的には、デポー剤は、生分解性であり得る生体適合性材料からなる、固体又は半固体の製剤であろう。「固体」という用語は、堅い材料を意味すると企図されるが、一方「半固体」は、ある度合いの柔軟性を有することにより、デポー剤が曲がって、周囲の組織要求性に従うことを可能にする材料を意味すると企図される。
【0126】
[00159] 様々な態様において、非有効成分は、薬物送達の予定期間に(生分解性の成分では)等しいか又はより長い、又は(非生分解性の成分では)それより長い時間帯の間、組織部位の内側で耐久可能である。
【0127】
[00160] いくつかの態様において、デポー剤の材料は、体温に近いか又はそれより高いが、治療薬剤の崩壊又は分解温度よりは低い、融点又はガラス遷移温度を有し得る。しかしながら、デポー剤の材料の所定の侵食は、負荷した治療薬剤(複数)の遅い放出をもたらすためにも使用し得る。
【0128】
[00161] 様々な態様において、薬物デポー剤は、完全に生分解性でなくてよい。例えば、薬物デポー剤は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せを含んでよい。典型的には、この種の薬物デポー剤は、取り除くことが必要になり得る。
【0129】
[00162] ある例では、薬物デポー剤を使用後に取り除くことを回避することが望ましい場合がある。これらの例において、デポー剤は、生分解性材料を含む場合がある。この目的に利用可能で、標的組織又はその付近に位置づけられるときに、延長された時間帯にわたり分解又は崩壊することが可能であるという特徴を有する、数多くの材料がある。生分解性材料の化学の関数として、この分解プロセスの機序は、本質において加水分解的又は酵素的、又はその両方であり得る。様々な態様において、分解は、薬物送達系デポー剤の表面(不均一又は表面侵食)で、又はその全体で均質に(均一又はバルク侵食)起こり得る。
【0130】
[00163] 様々な態様において、デポー剤は、少なくとも1つの鎮痛剤及び/又は少なくとも1つの抗炎症剤の即時放出又は持続放出をもたらすことができる、生体吸収性及び/又は生分解性のバイオポリマーを含んでよい。好適な持続放出バイオポリマーの例には、限定されないが、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA又はPLG)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PG)、ポリ(α−ヒドロキシ酸)のポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート、ポリオルトエステル、ポリアスピリン、ポリホスファゲン、コラーゲン、デンプン、ゼラチン化デンプン、ヒアルロン酸、キトサン、ゼラチン、アルギン酸塩、アルブミン、フィブリン、αトコフェリルアセテート、d−αトコフェリルスクシネートのようなビタミンE類似体、D,L−ラクチド、又はL−ラクチド、 、−カプロラクトン、デキストラン、ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA−g−PLGA、PEGT−PBT共重合体(ポリアクティブ)、メタクリレート、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、PEO−PPO−PEO(プルロニック)、PEO−PPO−PAA共重合体、PLGA−PEO−PLGA、PEG−PLG、PLA−PLGA、ポロキサマー407、PEG−PLGA−PEGトリブロック共重合体、SAIB(スクロースアセテートイソブチレート)、又はこれらの組合せが含まれる。当業者には、PLGAの可塑剤としてmPEGを使用してよいが、同じ効果を達成するのに他のポリマー/賦形剤も使用してよいことがわかっている。mPEGは、得られる製剤に対して可鍛性を付与する。いくつかの態様において、上記のバイオポリマーはまた、所望の放出プロフィールを提供するために、薬物デポー剤の上でコートしてよい。いくつかの態様において、コーティングの厚さは、薬物のデポー剤からの放出を遅らせるために、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50ミクロンの薄いコーティングから、60、65、70、75、80、85、90、95、100ミクロンのより厚いコーティングであってよい。いくつかの態様において、薬物デポー剤上のコーティングの範囲は、薬物デポー剤からの放出を遅らせるために、約5ミクロン〜約250ミクロン、又は5ミクロン〜約200ミクロンの範囲に及ぶ。
【0131】
[00164] ポリマーの異なる組合せを使用する場合(2元、3元(例、PLGA−PEO−PLGA)、又はテルポリマー)、それらは、様々なモル比、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、又は10:1で使用してよい。様々な態様において、130日の放出では、デポー剤は、50:50 PLGA〜100 PLAを含む。分子量範囲は、0.45〜0.8dI/gである。
【0132】
[00165] 様々な態様において、ポリマーの分子量は、広範囲の数値であり得る。ポリマーの平均分子量は、約1000〜約10,000,000;又は約1,000〜約1,000,000;又は約5,000〜約500,000;又は約10,000〜約100,000;又は約20,000〜50,000であり得る。
【0133】
[00166] いくつかの態様において、少なくとも1つの生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸コグリコール酸)(PLGA)又はポリ(オルトエステル)(POE)、又はこれらの組合せを含む。ポリ(乳酸コグリコール酸)は、ポリグリコリド(PGA)及びポリラクチドの混合物を含んでよく、そしていくつかの態様において、その混合物中には、ポリグリコリドより多くのポリラクチドがある。様々な他の態様では、100%のポリラクチドと0%のポリグリコリド;95%のポリラクチドと5%のポリグリコリド;90%のポリラクチドと10%のポリグリコリド;85%のポリラクチドと15%のポリグリコリド;80%のポリラクチドと20%のポリグリコリド;75%のポリラクチドと25%のポリグリコリド;70%のポリラクチドと30%のポリグリコリド;65%のポリラクチドと35%のポリグリコリド;60%のポリラクチドと40%のポリグリコリド;55%のポリラクチドと45%のポリグリコリド;50%のポリラクチドと50%のポリグリコリド;45%のポリラクチドと55%のポリグリコリド;40%のポリラクチドと60%のポリグリコリド;35%のポリラクチドと65%のポリグリコリド;30%のポリラクチドと70%のポリグリコリド;25%のポリラクチドと75%のポリグリコリド;20%のポリラクチドと80%のポリグリコリド;15%のポリラクチドと85%のポリグリコリド;10%のポリラクチドと90%のポリグリコリド;5%のポリラクチドと95%のポリグリコリド;及び、0%のポリラクチドと100%のポリグリコリドがある。
【0134】
[00167] ポリラクチドとポリグリコリドをともに含む様々な態様では、少なくとも95%のポリラクチド;少なくとも90%のポリラクチド;少なくとも85%のポリラクチド;少なくとも80%のポリラクチド;少なくとも75%のポリラクチド;少なくとも70%のポリラクチド;少なくとも65%のポリラクチド;少なくとも60%のポリラクチド;少なくとも55%のポリラクチド;少なくとも50%のポリラクチド;少なくとも45%のポリラクチド;少なくとも40%のポリラクチド;少なくとも35%のポリラクチド;少なくとも30%のポリラクチド;少なくとも25%のポリラクチド;少なくとも20%のポリラクチド;少なくとも15%のポリラクチド;少なくとも10%のポリラクチド;又は、少なくとも5%のポリラクチドがあり、このバイオポリマーの残りは、ポリグリコリドである。
【0135】
[00168] 様々な態様において、薬物デポー剤は、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−ε−カプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−ε−カプロラクトン、グリコリド−カプロラクトン又はこれらの組合せを含む。
【0136】
[00169] 当業者が知っているように、異なる末端基のあるポリマーの混和物を有する埋込型エラストマーデポー組成物を使用すると、得られる製剤は、より低いバースト指数(burst index)と調節された送達期間を有するものである。例えば、酸(例、カルボン酸)及びエステル末端基(例、ラウリル、メチル、又はエチルエステル末端基)のあるポリマーを使用してよい。
【0137】
[00170] 追加すると、ポリマーを生成する様々なモノマーのコモノマー比(例えば、所与のポリマーのL/G/CL又はG/CL比)を変化させることによって、調節されたバースト指数及び送達期間を有するデポー組成物が得られる。例えば、50:50のL/G比のポリマーを有するデポー組成物は、約2日〜約1ヶ月の範囲に及ぶ短い送達期間を有する場合があり;65:35のL/G比のポリマーを有するデポー組成物は、約2ヶ月の送達期間を有する場合があり;75:25のL/G比又は75:25のL/CL比のポリマーを有するデポー組成物は、約3ヶ月〜約4ヶ月の送達期間を有する場合があり;85:15のL/G比のポリマー比を有するデポー組成物は、約5ヶ月の送達期間を有する場合があり;25:75のL/CL比又はPLAのポリマーを有するデポー組成物は、6ヶ月以上の送達期間を有する場合があり;Gが50%より多くてLが10%より多いCL/G/L(CLはカプロラクトンを意味し、Gはグリコール酸を意味し、そしてLは乳酸を意味する)のテルポリマーを有するデポー組成物は、約1ヶ月の送達期間を有する場合があり、そしてGが50%未満でLが10%未満であるCL/G/Lのテルポリマーを有するデポー組成物は、6ヶ月までの期間月数を有する場合がある。一般に、CL含量に比してG含量を高めると送達期間が短くなるのに対し、G含量に比してCL含量を高めると送達期間が長くなる。
【0138】
[00171] いくつかの態様において、生分解性ポリマーは、製剤の少なくとも10重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの生分解性ポリマーと少なくとも1つのαアゴニストが医薬製剤の唯一の成分である。
【0139】
[00172] いくつかの態様では、薬物デポー剤の粒子の少なくとも75%が約1マイクロメートル〜約200マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約5マイクロメートル〜約50マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約10マイクロメートル〜約50マイクロメートルのサイズを有する。
【0140】
[00173] いくつかの態様では、薬物デポー剤の粒子の少なくとも75%が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも85%が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子の少なくとも95%が約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。いくつかの態様では、粒子のすべてが約5マイクロメートル〜約20マイクロメートルのサイズを有する。
【0141】
[00174] デポー剤は、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、又はリン酸ナトリウムのような緩衝剤及びpH調整剤;分解/放出修飾剤;薬物放出調整剤;乳化剤;塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、酢酸フェニル水銀、及び硝酸フェニル水銀、重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チメロサール、メチルパラベン、ポリビニルアルコール、及びフェニルエチルアルコールのような保存剤;溶解調整剤;安定化剤;及び/又は接着修飾剤のような不活性材料を含有してもよい。典型的には、どのそのような不活性材料も、0〜75重量%の範囲内に、そしてより典型的には0〜30重量%の範囲内に存在するものである。デポー剤を脊椎領域に配置するならば、様々な態様において、デポー剤は、無菌で保存剤なしの材料を含む場合がある。
【0142】
[00175] デポー剤は、様々なサイズ、形状、及び配置であり得る。薬物デポー剤のサイズ、形状、及び配置を決定するときに考慮に容れるべきいくつかの因子がある。例えば、サイズと形状は、ともに埋込み又は注射の部位として選択される標的組織部位に薬物デポー剤を位置づけるときの容易さを考慮する場合がある。加えて、その系の形状及びサイズは、薬物デポー剤が埋込み又は注射の後で動くことを最小にするか又は防ぐように選択すべきである。様々な態様において、薬物デポー剤は、ペレット、スフェア、ロッド又はファイバーのようなシリンダー、ディスク、フィルム、又はシートのような平坦表面、等のような形状にすることができる。柔軟性は、薬物デポー剤の布置を容易にするための考慮事項であり得る。様々な態様において、薬物デポー剤は、異なるサイズであり得て、例えば、薬物デポー剤は、約0.5mm〜5mmの長さであってよく、約0.01〜約4mmの直径を有してよい。様々な態様において、薬物デポー剤は、例えば、0.05〜0.75mmのような、約0.005〜1.0mmの層厚を有してよい。
【0143】
[00176] 様々な態様において、薬物デポー剤がペレット剤を含むとき、それは、切開部位に、その部位が閉じられる前に、置かれてよい。ペレット剤は、例えば、熱可塑性材料から作ってよい。追加的に、ペレット剤での使用に有利であり得る特殊材料には、限定されないが、持続放出バイオポリマーとして上記に同定された化合物が含まれる。薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストをこのポリマーと混合することによって成形してよい。
【0144】
[00177] 使用者が薬物デポー剤を患者の標的部位中へ正確に位置づけることを可能にするために、X線撮影用マーカーをデポー剤の上に含めることができる。これらのX線撮影用マーカーはまた、使用者がデポー剤のその部位での動き及び分解を経時的に追跡することも可能にする。この態様において、使用者は、数多くの診断造影手法のいずれを使用しても、デポー剤をその部位において正確に位置づけることができる。そのような診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そのようなX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、ビスマス、タンタル、タングステン、ヨウ素、リン酸カルシウム、及び/又は金属のビーズ及び粒子が含まれる。様々な態様において、X線撮影用マーカーは、デポー剤周囲の球体形状又はリングであり得る。
【0145】
[00178] 様々な態様において、ゲル剤は、投薬前粘度を約1〜約2000センチポアズ(cps)、1〜約500cps、又は1〜約200cps又は100cpsの範囲に有する。ゲル剤を標的部位へ投与した後で、ゲル剤の粘度は増加して、ゲル剤は、弾性係数(ヤング率)を約1x10−2〜約6x105ダイン/cm2、又は2x104〜約5x105ダイン/cm2、又は5x104〜約5x105ダイン/cm2の範囲に有するものである。
【0146】
[00179] 1つの態様では、ゲル剤全体に一様分布される少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる付着性ゲルを含有するデポー剤を提供する。ゲル剤は、先に示したような、どの好適なタイプであってもよく、一度配置されたならばゲル剤がその標的指向された送達部位より移動することを防ぐほどに十分粘稠であるべきであり;ゲル剤は、標的指向された組織部位へ実効的に「粘着」又は付着するべきである。ゲル剤は、例えば、標的指向された組織との接触時に、又は標的指向された送達系からの配置の後で固化してよい。標的指向される送達系は、例えば、シリンジ、カテーテル、針、又はカニューレ、又は他の好適なデバイスであってよい。標的指向される送達系は、標的指向された組織部位の中又は上にゲル剤を注入することができる。治療薬剤は、標的指向された組織部位にゲル剤が配置される前にゲル剤へ混合してよい。様々な態様において、ゲル剤は、2成分送達系の一部であってよくて、2つの成分が混合されるときには、ゲル剤を成形してそれが標的組織へ粘着又は付着することを引き起こすように化学プロセスが活性化される。
【0147】
[00180] 様々な態様において、送達後に硬くなるか又は堅くなるゲル剤を提供する。典型的には、硬化ゲル製剤は、投薬前弾性係数を約1x10−2〜約3x105ダイン/cm2、又は2x104〜約2x105ダイン/cm2、又は5x104〜約1x105ダイン/cm2の範囲に有してよい。投薬後(送達後)硬化ゲル剤は、ゴム粘度を有して、弾性係数を約1x104〜約2x106ダイン/cm2、又は1x105〜約7x105ダイン/cm2、又は2x105〜約5x105ダイン/cm2の範囲に有してよい。
【0148】
[00181] 様々な態様において、ポリマーを含有するゲル製剤では、ゲル剤が硬化する速度にポリマー濃度が影響を及ぼす場合がある(例えば、より高濃度のポリマーを有するゲル剤は、より低濃度のポリマーを有するゲル剤より速やかに凝固し得る)。様々な態様において、ゲル剤が硬化するとき、得られるマトリックスはしっかりとしているが、組織の不規則な表面(例えば、骨の窪み及び/又は突起)に従うことも可能である。
【0149】
[00182] ゲル剤に存在するポリマーの百分率は、ポリマー組成物の粘度にも影響を及ぼす場合がある。例えば、より高いポリマー重量百分率を有する組成物は、典型的には、より低いポリマー重量百分率を有する組成物よりも濃厚でより粘稠である。より粘稠な組成物は、よりゆっくり流動する傾向がある。故に、いくつかの事例では、より低い粘度を有する組成物が好ましい場合がある。
【0150】
[00183] 様々な態様において、ゲル剤の分子量は、当該技術分野で知られている多くの方法のどの1つによっても変化させることができる。分子量を変化させる方法の選択は、典型的には、ゲル剤の組成(例、ポリマー対非ポリマー)によって決定される。例えば、様々な態様において、ゲル剤が1以上のポリマーを含む場合、重合化の度合いは、ポリマー開始剤(例、過酸化ベンゾイル)、有機溶媒又はアクチベータ(例、DMPT)、架橋連結剤、重合化剤の量、連鎖移動剤又は連鎖キャッピング剤の取込み、及び/又は反応時間を変化させることによって制御することができる。
【0151】
[00184] 好適なゲルポリマーは、有機溶媒に溶けてよい。ポリマーの溶媒中の溶解性は、ポリマーの結晶性、疎水性、水素結合、及び分子量に依って変動する。より低分子量のポリマーは、通常、有機溶媒中で高分子量のポリマーより容易に溶ける。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマー組成物より速やかに凝固又は固化する傾向がある。高分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル製剤は、低分子量ポリマーが含まれるポリマーゲル剤より高い溶液粘度を有する傾向がある。
【0152】
[00185] 流動可能なゲル剤であるようにゲル剤を設計するとき、それは、ゲル剤に使用するポリマーの分子量及び濃度に依って、水のそれに似た低粘度からペーストのそれに似た高粘度まで変化する可能性がある。ゲル剤の粘度は、ポリマー組成物がどの慣用の技術によっても(例えば、ブラッシング、噴霧、滴下、注射、又は塗布によって)患者の組織へ適用し得るように変化させることができる。ゲル剤の様々な粘度は、組成物を適用するために使用する技術に依存するものである。
【0153】
[00186] 様々な態様において、ゲル剤は、ゲル剤の分子量と分解時間の測定値である、インヘレント粘度(「I.V.」と略されて、単位は、デシリットル/グラムである)を有する(例えば、高いインヘレント粘度のゲル剤は、より高い分子量を有して、より長い分解時間を有する場合がある)。典型的には、高分子量のゲル剤は、より強いマトリックスを提供して、そのマトリックスは、分解するのにより多くの時間がかかる。対照的に、低分子量のゲル剤は、より速やかに分解して、より軟らかなマトリックスを提供する。様々な態様において、ゲル剤は、約0.10dL/g〜約1.2dL/g又は約0.10dL/g〜約0.40dL/gのインヘレント粘度によって示されるような分子量を有する。
【0154】
[00187] 様々な態様において、ゲル剤は、約300〜約5,000センチポアズ(cp)の粘度を有し得る。他の態様において、ゲル剤は、室温で、約5〜約300cps、約10cps〜約50cps、約15cps〜約75cpsの粘度を有し得る。ゲル剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースとその塩、Carbopol、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエチルメタクリレート)、ポリ(メトキシエトキシエチルメタクリレート)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート(MMA)、ゼラチン、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 500、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000、PEG 1450、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000、又はこれらの組合せのような粘度増強剤を有してもよい。
【0155】
[00188] 様々な態様において、ゲル剤にポリマーが利用されるとき、ポリマー組成物には、約10重量%〜約90重量%又は約30重量%〜約60重量%のポリマーが含まれる。
【0156】
[00189] 様々な態様において、ゲル剤は、合成又は天然起源の高分子量の生体適合性エラストマーポリマーより作られるヒドロゲル剤である。ヒドロゲル剤が有する望ましい特性は、人体において、機械応力(特に、剪断と荷重)へ迅速に対応する能力である。
【0157】
[00190] 天然源より得られるヒドロゲル剤が特に興味深いのは、それらが in vivo での適用のために生分解性で生体適合性である可能性がより高いからである。好適なヒドロゲル剤には、例えば、ゼラチン、コラーゲン、シルク、エラスチン、フィブリンのような天然ヒドロゲル剤とアガロースのような多糖由来ポリマー、及びキトサン、グルコマンナンゲル、ヒアルロン酸、架橋連結カルボキシル含有多糖のような多糖、又はこれらの組合せが含まれる。合成ヒドロゲル剤には、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びポリ(アクリロニトリル−アクリル酸)のようなアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレングリコール(例、PEG 3350、PEG 4500、PEG 8000)、シリコーン、ポリイソブチレン及びポリイソプレンのようなポリオレフィン、シリコーン及びポリウレタンの共重合体、ネオプレン、ニトリル、硫化ゴム、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)のようなアクリレート、およびN−ビニルピロリドンとアクリレートの共重合体、N−ビニルラクタム、ポリアクリロニトリル、又はこれらの組合せより生成されるものが含まれる。ヒドロゲル剤の材料は、必要に応じてさらに架橋連結して、さらなる強度を提供してよい。異なる種類のポリウレタンの例には、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、脂肪族又は芳香族ポリウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネート−ウレタン、又はシリコーンポリエーテル−ウレタン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0158】
[00191] 様々な態様では、治療薬剤をゲル剤中へ直に混合するのではなく、マイクロスフェア剤をゲル剤の内側に分散させてよく、マイクロスフェア剤には、少なくとも1つの鎮痛剤及び/又は少なくとも1つの抗炎症剤が負荷される。1つの態様において、マイクロスフェア剤は、少なくとも1つのα2アドレナリン作動性アゴニストの持続放出をもたらす。なお別の態様において、生分解性であるゲル剤は、マイクロスフェア剤が少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを放出することを妨げるので、マイクロスフェア剤は、それがゲル剤より放出されてしまうまで、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを放出しない。例えば、標的組織部位(例、神経根)の周囲にゲル剤を配置してよい。ゲル剤の内側には、所望の治療薬剤を被包化する複数のマイクロスフェア剤が分散している。これらマイクロスフェア剤のあるものは、一度ゲル剤より放出されたならば分解して、それにより少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストを放出する。αアドレナリン作動性アゴニストを別々のマイクロスフェア剤の中へ入れてからこのマイクロスフェア剤を合わせても、その有効成分を初めに合わせてからマイクロスフェア剤へ一緒に入れてもよい。
【0159】
[00192] マイクロスフェア剤は、周囲の組織タイプに依って、体液と同様に、比較的速やかに分散して、それにより少なくとも1つの鎮痛剤と少なくとも1つの抗炎症剤を分散させることができる。いくつかの態様において、マイクロスフェア剤の直径は、約10ミクロンの直径〜約200ミクロンの直径の範囲に及ぶ。いくつかの態様において、それらは、約20〜120ミクロンの直径の範囲に及ぶ。マイクロスフェア剤を作製する方法には、限定されないが、溶媒蒸発、相分離、及び流動床コーティングが含まれる。ある状況では上記が望ましいかもしれないが、他の状況では、少なくとも1つのαアドレナリン作動性受容体アゴニストを明確に定義された標的部位へ緊密に束縛したままにすることがより望ましいかもしれない。
【0160】
[00193] 本発明では、治療薬剤の分散を束縛するような付着性ゲル剤の使用も考慮する。これらのゲル剤は、例えば、椎間板腔に、脊柱管に、又は周囲組織に配置してよい。
【0161】
カニューレと針
[00194] 当業者には、デポー剤を、薬物送達デバイス(例えば、シリンジ、銃式(gun)薬物送達デバイス、又は指向された臓器又は解剖領域への薬物の適用に適したあらゆる医療用デバイス)の一部であり得る「カニューレ」又は「針」を使用して標的部位へ投与し得ることが理解されよう。薬物デポー剤デバイスのカニューレ又は針は、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど引き起こさないように設計される。
【0162】
[00195] カニューレ又は針には、例えば、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエーテル(アミド)、PEBA、熱可塑性エラストマーオレフィン、コポリエステル、及びスチレン熱可塑性エラストマー、鋼、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、高含量の非鉄金属と低相対比率の鉄を有する金属合金、炭素繊維、ガラス繊維、プラスチック、セラミックス、又はこれらの組合せのような材料より作製され得るチューブが含まれる。カニューレ又は針には、1以上の先細り領域が含まれてもよい。様々な態様において、カニューレ又は針は、斜めに切られてよい。カニューレ又は針は、埋込みの部位に依っては、患者の正確な治療に必須の先端形状を有してもよい。先端形状の例には、例えば、Trephine、Cournand、Veress、Huber、Seldinger、Chiba、Francine、Bias、Crawford、偏向チップ、Hustead、Lancet、又はTuohey が含まれる。様々な態様において、カニューレ又は針はまた、ノンコアリングであって、望まれない針突きを避けるためにそれをカバーする鞘を有してよい。
【0163】
[00196] 中空のカニューレ又は針の寸法は、とりわけ、埋込みの部位に依存する。例えば、硬膜外腔の幅は、胸領域で約3〜5mmにすぎず、腰領域で約5〜7mmである。従って、針又はカニューレは、様々な態様において、これらの特殊領域用に設計することができる。様々な態様において、カニューレ又は針は、経椎間孔アプローチを使用して、、例えば炎症した神経根に沿って脊椎孔空間に挿入してよく、薬物デポー剤は、その状態を治療するためにこの部位に埋め込んでよい。典型的には、経椎間孔アプローチは、椎間孔を通って椎間腔に接近することを伴う。
【0164】
[00197] カニューレ又は針の長さのいくつかの例には、限定されないが、約50〜150mmの長さ(例えば、硬膜外の小児使用では約65mm、標準成人用では約85mm、そして肥満の成人患者では約110mm)が含まれる。カニューレ又は針の厚さは、埋込みの部位にも依存する。様々な態様において、その厚さには、限定されないが、約0.05〜約1.655が含まれる。カニューレ又は針のゲージは、ヒト又は動物の身体への挿入のために、最も広い直径又は最も狭い直径でも、その間の直径でもよい。最も広い直径は、典型的には約14ゲージであり、一方、最も狭い直径は、約25ゲージである。様々な態様において、針又はカニューレのゲージは、約18〜約22ゲージである。
【0165】
[00198] 様々な態様において、薬物デポー剤及び/又はゲル剤と同じように、カニューレ又は針には、使用者が数多くの診断造影手法のいずれかを使用してデポー剤を皮膚の下の部位又はその付近へ正確に位置づけられるように、その部位又はその付近での位置を示すX線撮影用マーカーが含まれる。そのような診断造影手法には、例えば、X線造影法又は蛍光透視法が含まれる。そのようなX線撮影用マーカーの例には、限定されないが、バリウム、リン酸カルシウム、及び/又は金属のビーズ又は粒子が含まれる。
【0166】
[00199] 様々な態様において、針又はカニューレには、超音波、蛍光透視法、X線、又は他の造影技術によって可視化し得る透明又は半透明の部分を含めてよい。そのような態様において、透明又は半透明の部分には、その材料又はトポグラフィーの非存在時に比べて針又はカニューレのコントラストを高める、放射線不透過性材料又は超音波応答性トポグラフィーを含めてよい。
【0167】
滅菌
[00200] 薬物デポー剤、及び/又は薬物を投与するための医療用デバイスは、滅菌可能であり得る。様々な態様において、薬物デポー剤、及び/又は薬物を投与するための医療用デバイスの1以上の成分は、最終包装時の最終滅菌工程において放射線によって滅菌される。製品の最終滅菌は、個々の製品成分を別々に滅菌して、最終包装を無菌環境で組立てることが求められる防腐法のような方法より大きな無菌状態の保証を提供する。
【0168】
[00201] 典型的には、様々な態様において、デバイスに深く透過するγ線由来のイオン化エネルギーを利用することを伴う、最終滅菌工程においてγ放射線を使用する。γ線は、微生物を殺すのにきわめて有効であり、それらは、残留物を残さないし、デバイスへ放射活性を付与するほど十分なエネルギーは有さない。γ線は、デバイスが包装状態にあって、γ線滅菌が高圧も真空条件も必要とせず、包装シールと他の成分に応力がかからないときに、利用することができる。加えるに、γ放射線は、透過可能な包装材料の必要性を一掃する。
【0169】
[00202] 様々な態様では、デバイスの1以上の成分を滅菌するために電子ビーム(e−ビーム)放射線を使用してよい。e−ビーム放射線は、一般に低い透過率と高い線量率を特徴とするイオン化エネルギーの形態を含む。e−ビーム照射は、微生物の生殖細胞を含めて、様々な化学及び分子の結合を接触時に変化させる点では、γ線処理に似ている。e−ビーム滅菌のために産生されるビームは、電気の加速及び変換によって産生される、濃縮された高荷電の電子流である。e−ビーム滅菌は、例えば、薬物デポー剤がゲル剤に含まれるときに使用してよい。
【0170】
[00203] デポー剤及び/又はデバイスの1以上の成分を滅菌するのに他の方法も使用してよく、限定されないが、ガス滅菌(例えば、酸化エチレンを用いるような)又は蒸気滅菌が含まれる。
【0171】
キット
[00204] 様々な態様において、キットを提供するが、それには、薬物デポー剤、及び/又は薬物デポー剤(例、ペレット剤)を埋め込むために使用される、一緒に組み合わされた医療用デバイスとともに、追加のパーツを含めてよい。キットには、第一のコンパートメントに薬物デポー剤デバイスを含めてよい。第二のコンパートメントには、薬物デポー剤と局所化薬物送達に必要とされる他のあらゆる機器を保持するケースを含めてよい。第三のコンパートメントには、埋め込み法の無菌状態を維持するためのグローブ、ドレープ、創傷包帯剤、及び他の手技用具、並びに説明用冊子を含めてよい。第四のコンパートメントには、追加のカニューレ及び/又は針を含めてよい。第五のコンパートメントには、X線造影用の薬剤を含めてよい。各ツールは、放射線滅菌したプラスチックの小袋に別々に包装してよい。キットのカバーには、埋め込み手技の図解を含めてよく、無菌状態を維持するために、このコンパートメント全体に透明なプラスチックカバーをかけてよい。
【0172】
投与
[00205] 様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、非経口的に投与してよい。本明細書に使用する「非経口」という用語は、胃腸管を迂回する投与の形式を意味して、例えば、局所化された静脈内、筋肉内の連続的又は間欠的な注入、腹腔内、胸骨内、皮下、術中、髄腔内、椎間板内、椎間板周囲、硬膜外、脊椎周囲、関節内の注射、又はこれらの組合せが含まれる。
【0173】
[00206] 非経口投与には、追加的に、例えば、医薬組成物(例、αアドレナリン作動性アゴニスト)を脊椎の付近へカテーテルを介して局所投与する注入ポンプ、標的部位又はその付近に挿入し得る埋込型ミニポンプ、一定量の組成物を時間あたり連続して、又は間欠的なボーラス用量で放出することができる埋込型制御放出デバイス又は持続放出送達系を含めてよい。使用に適したポンプの1例は、SynchroMed(登録商標)(Medtronic,ミネソタ州ミネアポリス)ポンプである。このポンプは、3つの密閉チャンバを有する。第一のものは、電子モジュールと電池を含有する。第二のものは、ペリスタポンプと薬物リザーバーを含有する。第三のものは不活性ガスを含有し、これは、医薬組成物をペリスタポンプ中へ押しやるのに必要とされる圧力を提供する。ポンプを満たすのに、医薬組成物は、リザーバー充填口を通って拡張可能リザーバーへ注入される。不活性ガスがリザーバーに圧力をかけて、その圧力が医薬組成物をフィルターからポンプチャンバへ押しやる。次いで、医薬組成物は、ポンプチャンバからデバイスの外へ汲み出されてカテーテルへ入り、標的部位での沈積に指向される。医薬組成物の送達速度は、マイクロプロセッサーによって制御される。これにより、類似量又は異なる量の医薬組成物を特定の時間に連続的に、又は送達間の設定間隔で送達するようにポンプを使用することが可能になる。
【0174】
[00207] 本明細書に記載の方法への適用に適した潜在的な薬物送達デバイスには、限定されないが、例えば、米国特許第6,551,290号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、標的特異的な薬物送達のための医療用カテーテルについて記載する];米国特許第6,571,125号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、生物学的に活性な薬剤を制御可能的に放出するための埋込型医療用デバイスについて記載する];米国特許第6,594,880号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、治療薬剤を生物中の選択部位へ送達するための実質組織内注入カテーテルシステムについて記載する];及び、米国特許第5,752,930号(Medtronic へ帰属、この全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)[これは、等量の薬剤をスペース部位へ注入するための埋込型カテーテルについて記載する]に記載のものが含まれる。様々な態様において、ポンプは、フィードバック調節送達で予めプログラム可能な埋込型装置、化学品の制御放出用のマイクロリザーバー浸透圧放出システム、液体医薬品を送達するための小型軽量デバイス、埋込型マイクロミニチュア注入デバイス、埋込型セラミック製バルブポンプアセンブリー、又は折り畳み式(collapsible)流体チャンバ付き埋込型注入ポンプと一緒に適用してよい。Alzet(登録商標)浸透圧ポンプ(Durect 社、カリフォルニア州クパーチノ)は、記載の方法における使用に適した様々なサイズ、排気速度、及び継続期間でも利用可能である。様々な態様では、患者の外科部位へ治療薬剤を送達するための方法を提供する。例えば、埋込型Alzet(登録商標)浸透圧ポンプは、αアゴニストを標的組織部位へ局所的に連続ベースで送達する(例えば、Alzet(登録商標)浸透圧ポンプは、αアゴニストの坐骨神経付近での髄腔内送達のマイクログラム/時間での連続注入を可能にする)。
【0175】
[00208] 本出願の方法は、カニューレを標的組織部位(例、椎間板ヘルニア)又はその付近に挿入して、薬物デポー剤を患者の皮膚の下の標的部位に埋め込むこと、そして薬物デポー剤を保持するか又は標的部位へ付着させるために、ゲル剤を標的部位にブラッシング、滴下、噴霧、注射、又は塗布することを含む。このようにして、薬物デポー剤が標的部位から離れる望まれない移動を抑えるか又はなくす。
【0176】
[00209] 様々な態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは局所投与されるので、治療有効量は、他の経路(経口、局部、等)により投与される用量未満であってよい。例えば、薬物デポー剤から送達される薬物用量は、例えば、経口投与量又は注射用量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、又は99.9%未満であり得る。その一方で、例えば、肝臓トランスアミナーゼ上昇、肝炎、肝不全、ミオパシー、便秘、等のような全身性の副作用は、抑制又は消失され得る。
【0177】
[00210] 様々な態様において、薬物デポー剤がその中に分散したゲル剤を所望の部位へ投与するには、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して標的組織部位へ挿入して、ゲル剤を標的部位又はその付近に投与する(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)ことができる。薬物デポー剤がゲル剤から分離している態様では、初めにカニューレ又は針を皮膚及び柔組織を介して注射の部位へ挿入することができて、ゲルの1以上の基層(複数)を標的部位へ投与することができる。1以上の基層(複数)の投与に続き、ゲル剤がデポー剤を適所に保持するか又は移動を抑えることができるように、薬物デポー剤を基層(複数)の上又は中に埋め込むことができる。必要とあれば、薬物デポー剤を囲んでそれをさらに適所に保持するために、単数又は複数の後続ゲル層をそのデポー剤の上に適用することができる。あるいは、薬物デポー剤を初めに埋め込んでから、それを適所に保持するために、薬物デポー剤の周りにゲル剤を配置する(例えば、ブラッシング、滴下、注射、又は塗布、等)ことができる。ゲル剤を使用することによって、患者に対して肉体的及び精神的な外傷をほとんど与えずに、薬物デポー剤の正確かつ精密な埋込みを達成することができる。ゲル剤はまた、薬物デポー剤を標的部位へ縫合する必要性を回避して、患者に対する肉体的及び精神的な外傷を抑える。
【0178】
[00211] 様々な態様において、標的部位が脊椎領域を含む場合、初めに体液(例、脊髄液、等)の一部をカニューレ又は針を介して標的部位より吸引してから、デポー剤を投与する(例えば、布置、滴下、注射、又は埋込み、等)ことができる。標的部位を再水和させて(例えば、体液の補充)、この水性環境によって、薬物がデポー剤より放出されるようにする。
【0179】
[00212] 少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト製剤を使用して、様々な医薬調製物(例、薬物デポー剤、注射用製剤、等)を成形することができる。医薬調製物は、固体又は液体であり得る好適な医薬担体において成形して、それとともに投与して、所望されるように非経口又は他の投与に適した形態で配置してよい。当業者が知っているように、既知の担体には、限定されないが、水、生理食塩水溶液、ゼラチン、乳糖、デンプン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、シカリル(sicaryl)アルコール、タルク、植物油、ベンジルアルコール、ゴム、ワックス、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、及び他の既知担体が含まれる。
【0180】
[00213] 別の態様は、疼痛及び/又は炎症に罹患している哺乳動物を治療するための方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの治療有効量を標的部位(例、椎間板ヘルニア)又はその付近に投与することを含んでなる。少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストは、例えば、標的組織部位へ薬物デポー剤として局所投与することができる。
【0181】
[00214] いくつかの態様において、治療上有効な投与量(例、αアドレナリン作動性アゴニストの用量)と放出速度プロフィールは、少なくとも1日(例えば、1〜90日、1〜10日、1〜3日、3〜7日、3〜12日;3〜14日、7〜10日、7〜14日、7〜21日、7〜30日、7〜50日、7〜90日、7〜140日、14〜140日、3日〜135日、3日〜150日、又は3日〜6ヶ月)の期間の間、1以上の変性円板からの炎症及び/又は疼痛を抑えるのに十分である。
【0182】
[00215] いくつかの態様では、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又は少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの一部を標的組織にボーラス用量として投与して、αアドレナリン作動性アゴニストの即時放出を提供する。
【0183】
[00216] いくつかの態様では、標的組織部位へ局所投与することが可能である少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの有効量を含んでなる、炎症の治療に有用な組成物がある。例によれば、それらは、脊椎孔、硬膜外腔、又は脊髄の髄腔へ局所投与することができる。例示の投与経路には、限定されないが、カテーテル薬物ポンプ、1以上の局所注射、ポリマー放出、又はこれらの組合せが含まれる。
【0184】
[00217] いくつかの態様において、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストは、非経口的に、例えば注射によって投与される。いくつかの態様において、注射は、髄腔内注射であり、これは、脊柱管(脊髄を囲む髄腔スペース)への注射を意味する。注射は、筋肉又は他の組織中でもよい。他の態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、外科手術の間の患者の開腹部への布置によって投与される。
【0185】
[00218] いくつかの態様において、製剤は、外科手術時に外科部位へ埋め込み可能である。次いで、有効成分は、デポー剤より持続形式の拡散によって、例えば、外科手術後3〜15日、5〜10日、又は7〜10日の時間帯にわたり放出されて、変性円板疾患より生じる疼痛及び/又は炎症に対処することができる。いくつかの態様において、有効成分は、1以上の薬物の6ヶ月又は1年まで(例えば、90、100、135、150、180日以上)の放出によって、上記に考察したような慢性の疾患/状態に対してより長い期間の疼痛及び/又は炎症の緩和を提供することができる。
【0186】
[00219] いくつかの態様において、薬物デポー剤は、薬物デポー剤に負荷した少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニストの全量に対して少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%を、薬物デポー剤を標的組織部位へ投与した後の3〜12日、5〜10日、又は7〜10日の期間にわたり放出することができる。いくつかの態様において、有効成分は、1以上の薬物の6ヶ月又は1年まで(例えば、90、100、135、150、180日以上)の放出によって、上記に考察したような、変性円板疾患より生じる慢性の疾患/状態に対してより長い期間の疼痛及び/又は炎症の緩和を提供することができる。
【0187】
[00220] 様々な態様では、疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤を、そのような治療を必要とする患者に提供して、埋込型薬物デポー剤は、αアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなり、デポー剤は、変性円板疾患より生じる疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために皮膚の下の部位に埋め込み可能であり、ここで薬物デポー剤は、(i)薬物デポー剤に負荷したαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約5%〜約20%のαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を48時間までの第一期間にわたり放出することが可能である1以上の即時放出層(複数)と(ii)薬物デポー剤に負荷したαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の全量に対して約21%〜約99%のαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩を3日から6ヶ月までの後続期間にわたり放出することが可能である1以上の持続放出層(複数)を含む。
【0188】
[00221] 非限定的な例によれば、標的組織部位は、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、滑面、又は脊柱管を含んでよい。また例によれば、炎症は、整形外科、又は脊椎外科、又はこれらの組合せに付随する場合がある。さらなる例によれば、外科は、関節鏡外科、塊の切除、椎間板ヘルニア修復、脊椎癒合、胸部、頚部、又は腰部外科、骨盤外科、又はこれらの組合せであり得る。いくつかの態様において、有効成分は、1以上の薬物の6ヶ月又は1年まで(例えば、90、100、135、150、180日以上)の放出によって、上記に考察したような慢性の疾患/状態に対してより長い期間の疼痛及び/又は炎症の緩和を提供することができる。
【0189】
変性円板疾患
[00222] ヒトの脊椎は、26の連続した椎骨より形成される。これら椎骨のそれぞれは、どの隣接する椎骨からも、椎間板(これは、衝撃を吸収して、それぞれの椎骨が別の椎骨に対して直接影響を及ぼすことを防ぐように機能する)によって分離されている。それぞれの椎間板の中心には、プロテオグリカンを含有する髄核がある。髄核の周りには、線維輪と呼ばれる外側の輪がある。
【0190】
[00223] 変性円板疾患は、この円板の変性を伴う、脊椎の一般的な変性状態のいずれも意味する。円板変性にはしばしば疼痛の症状が結び付いて、炎症とニューロパシー疼痛、例えば、脊椎狭窄、脊椎すべり症、及び後方すべり症をもたらす場合がある。
【0191】
[00224] 老化プロセスと関連した円板変性は、一般に、椎間板の髄核からのプロテオグリカンの損失と椎骨間の衝撃を吸収する椎間板の能力の低下に関連している。症状を示さない罹患者もいるが、多くの罹患者は、背及び/又は脚の慢性疼痛に悩まされる。円板変性に関連した疼痛は、患者を無能化して、その生活の質を大いに低下させる場合がある。
【0192】
[00225] 本明細書に使用するように、「変性円板疾患」は、限定されないが、疾患、物理的な衝撃、機械的な断裂、病原体、又は自己免疫応答によって引き起こされる状態が含まれる、椎間板の変性をもたらすあらゆる状態を意味する。
【0193】
[00226] 変性円板疾患は、頚椎(首)、胸椎(胸の背後の背中部分)、腰椎(腰)、仙椎(動かない骨盤へ結合した部分)のような、脊椎中のどの部分でも起こり得る。本明細書において特許請求される態様では、薬物デポー剤を、1以上の変性円板又はその付近に、例えば、頚椎、胸椎、腰椎、及び/又は仙椎に埋め込むことができる。
【0194】
[00227] いくつかの態様において、変性円板疾患には、椎間板ヘルニアを含めることができる。本明細書に使用するように、「椎間板ヘルニア」には、円板の素材(material)が椎間板スペースの限界を越えて局所移動することが含まれる。円板素材は、髄核、軟骨、断片化した骨端の骨、線維輪の組織、又はこれらのあらゆる組合せであり得る。円板素材の移動は、既存の脊髄神経に対して圧力をかける、及び/又は腕又は脚の神経根障害、虚弱、痺れ、及び/又は刺痛をもたらす炎症反応を引き起こす場合がある。神経根障害は、脊髄神経根に影響を及ぼすあらゆる疾患を意味する。
【0195】
[00228] 椎間板ヘルニアは、例えば、坐骨神経痛、圧迫神経、椎間板性腰痛、椎間孔狭窄、圧縮神経(pinched nerve)、圧迫性ニューロパシー、慢性神経痛、感覚及び/又は運動神経障害、痺れ又は虚弱、等のような状態をもたらす可能性がある。従って、本出願の薬物デポー剤は、これらの疾患及び/又は状態を治療するために使用することができる。
【0196】
[00229] いくつかの態様において、椎間板ヘルニアには、線維輪の断裂が含まれ、それにより内側の円板素材(髄核)が押出され、突出、隆起、移動、及び/又は再ヘルニア形成する。時には、円板の押出が甚だしく移動して、元の円板との連続性を失う場合もある。このことが起こるとき、この押出は、腐骨分離と呼ばれる。従って、本出願の薬物デポー剤は、断裂、突出、隆起、押出、再ヘルニア形成、及び移動、髄核の断片化及び/又は腐骨化を治療するために使用することができる。
【0197】
[00230] 「円板の移動又は円板の断片化」は、円板素材が線維輪の開口部より離れて移動して、それより素材が押し出されることを意味する。時には、移動した断片が腐骨分離する。例えば、髄核がヘルニア形成した椎間板より離れて移動して脊椎中の異なる位置で腐骨形成を生じて、圧縮神経又は脊椎狭窄をもたらす場合がある。
【0198】
[00231] 一般に、ほとんどの変性円板疾患は、脊椎の腰領域で生じる。腰部の椎間板ヘルニアは、頚部の椎間板ヘルニアより15倍多く生じて、これは、腰部疼痛の最も一般的な原因の1つである。頚部の円板が影響を受けるのはこの時の8%であり、背の上位〜中位(胸部)の円板が影響を受けるのは、この時の1〜2%にすぎない。時には、変性円板疾患が脊椎の神経根の圧迫をもたらして、激痛性の神経学的症状を生じる可能性がある。神経根(脊髄より分岐する大神経)が圧迫されて、感覚又は運動の変化のような神経学的症状を生じる場合もある。例えば、髄核のヘルニア形成には、しばしば、座位で悪化する腰痛と下肢へ放散する疼痛が伴う。例えば坐骨神経痛での放散痛は、間欠性の鋭い電気ショック感覚、痺れ、及び刺痛、各神経根の運動又は感覚欠損及び/又は反射異常を伴う、鈍痛、灼熱痛、激痛としばしば記載される。
【0199】
[00232] いくつかの態様では、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、クロニジン)を含有する薬物デポー剤を、髄核が線維輪から押出され、突出又は移動している椎間板ヘルニア又はその付近(例、5cm以内)に埋め込むことによって、αアドレナリン作動性受容体アゴニストは、それが薬物デポー剤より溶出されるときに、椎間板ヘルニアに関連した疼痛及び/又は炎症を抑制することができる。いくつかの態様において、αアドレナリン作動性アゴニストは、髄核の再吸収の亢進を引き起こす場合があり、髄核ヘルニアのサイズ及び容量を低下させる。いくつかの態様では、髄核ヘルニアのサイズが低下して、再吸収が約15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、45〜50%、55〜60%、65〜70%、75〜80%、85〜90%、又は95〜100%高められるか、又は椎間板ヘルニアが完全に解消される。
【0200】
[00233] いくつかの態様では、αアドレナリン作動性受容体アゴニストを投与することによって、髄核の正常な自発性再吸収の高められた再吸収が、αアドレナリン作動性受容体アゴニストで治療せずとも正常な自発的髄核再吸収により起こり得る量の15〜20%、20〜25%、25〜30%、30〜35%、35〜40%、45〜50%、55〜60%、65〜70%、75〜80%、85〜90%、又は95〜100%より多く起こり得る。例えば、時には、ヘルニア形成した髄核は、治療なしでも、それ自身で自発的に再吸収する。これには、典型的には、約6週〜8週かかる可能性がある。本出願のいくつかの態様では、αアドレナリン作動性アゴニストを椎間板ヘルニア又はその付近に投与することによって髄核の再吸収が増強又は増加されて、ヘルニアが治療なしの場合より速く治癒する。
【0201】
[00234] いくつかの態様では、薬物デポー剤を椎間板ヘルニア又はその付近に埋め込むことによって、髄核ヘルニアのサイズ及び/又は容量が1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4、又は完全に低下する。例えば、薬物デポー剤は、ヘルニアの内部に、椎間板ヘルニアより0.01cm、0.1cm、0.5cm、1cm、2cm、3cm、4cm、5cm離して埋め込むことができて、そのサイズ及び/又は容量は、ある期間(例、3日〜6ヶ月、3日〜8週、又は6週〜3ヶ月)の内に、1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4、又は完全に減少する。
【0202】
[00235] いくつかの態様において、αアドレナリン作動性アゴニスト(例、クロニジン)は、椎間板ヘルニアの進行及び/又は重症度を逆転、抑制、及び/又は阻害するか又は、椎間板ヘルニアの1以上の症状(例、疼痛、痺れ、刺痛、運動又は感覚の欠損、等)の重症度を低下させる。
【0203】
[00236] いくつかの態様において、椎間板ヘルニアの抑制は、患者の徴候及び症状の改善(例、腰痛、痺れ、等の低下)によって臨床的に判定することができる。いくつかの態様において、椎間板ヘルニアの抑制は、例えば、X線、CT、MRI、骨髄造影法、筋電図、神経伝導検査、等のような診断検査法によって、ヘルニア髄核のサイズ及び/又は容量の低下を測定することによって判定することができる。
【0204】
[00237] いくつかの態様では、変性円板を治療するような治療を必要とする患者においてそれをするための方法を提供し、該方法は、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を変性円板又はその付近に投与することを含んでなり、ここで1以上の生分解性薬物デポー剤は、有効量のαアドレナリン作動性受容体アゴニストを少なくとも3日〜6ヶ月の期間にわたり放出することが可能である。
【0205】
[00238] 図解だけの目的のために、図1Aは、椎間板(20a)が関与する変性円板疾患の例を図解する。椎間板(20a)は、2つの成分:線維輪(22a)と髄核(24a)より構成される。髄核(24a)は、線維輪により囲まれた内側の膠状物質である。それが椎間板(20a)上にかかる機械的な負荷を分散させるのに対し、線維輪(22a)は、構造上の完全性を提供して、髄核(24a)を特定の脊椎領域へ束縛する。線維輪(22a)は、椎弓と呼ばれる同心層に配置された、線維軟骨性及び線維性の組織で設計されている。髄核から末梢へ移行するにつれて、線維輪は、より濃密に、より強くなり、より弾性でなく、より流動的でなく、そしてより靭帯らしくなって、最後は最外層に達する。そこでは、その組織は、実際には、堅い、嚢状の靭帯となる。線維輪(22a)は、加齢とともに虚弱化して変性する可能性があり、断裂しはじめる場合もある。図1Aに示すように、線維輪断裂(annular tears)と呼ばれる、線維輪(22a)中の欠損は、初期段階において、髄核の隆起又はヘルニア形成(26)を可能にする。時間が進行して円板が変性するにつれて、図1Bに示すように、それはしばしば、線維輪(22a及び22b)の完全な断裂(28)をもたらす。ヘルニア形成した(20a)又は断裂した(20b)円板は、脊椎管を圧迫して、それが円板(20a、20b)を通過する神経根に対して圧力を及ぼし、下部腰痛を引き起こす。加えて、髄核(24a)は、プロスタグランジンE、ヒスタミン様物質、乳酸、及びポリペプチドアミンのような、感覚神経を興奮させるか又はその興奮性を高めることの可能な物質の有意量を含有する。これらの物質は、線維輪断裂(28)を介して逸出して下部腰痛、坐骨神経痛を高めるか、又は放散性の脚痛をもたらす。加えて、線維輪断裂(25a及び25b)は、線維組織が断裂部分で成長することを引き起こし、これが疼痛及び/又は炎症を高める。
【0206】
[00239] αアドレナリン作動性受容体アゴニストを含有する薬物デポー剤を椎間板ヘルニア又はその付近に埋め込むことができる。例えば、断裂線維輪又はその付近(例、その1cm以内)である。これにより、椎間板ヘルニアに関連した疼痛及び/又は炎症が抑えられる。
【0207】
[00240] 図2は、線維輪(32)に線維輪断裂(34a及び34b)を有する椎間板(30)として示す変性円板疾患の例を図解する。しかしながら、この段階では、薬物デポー剤の埋め込みの結果として髄核(31)が取り囲まれているので、この椎間板は、断裂してはいない。薬物デポー剤(10)は、(プランジャー(37)を使用する針(38)を介してシリンジ(36)により)断裂部分(34a)及び(34b)の隣の組織へ送達される。薬物デポー剤は、欠損部分の1cm、2cm、又は5cm又は10cm以内の組織へ注射してよく、ここではデポー剤が隣接組織(39)に達して、デポー剤は、線維輪断裂(34a及び34b)又はその付近にある。このようにして、薬物の標的指向された送達を達成することができる。
【0208】
[00241] いくつかの態様では、薬物デポー剤がヘルニア形成へより近く送達されるほど、髄核再吸収の増強がより多く生じて、椎間板ヘルニアの抑制もより多くなるものである。「椎間板ヘルニアを抑えること」は、椎間板ヘルニアの数、椎間板ヘルニアの程度(例、領域)、及び/又は椎間板ヘルニアの重症度(例、厚さ、容量)が、そのような投与なしで生じる椎間板ヘルニアの数、程度、及び/又は重症度に比べて抑えられることを引き起こすように組成物を投与することに関連する。様々な態様において、椎間板ヘルニアを抑えることは、プロトコールの一部であってよく、ある手技(例、椎間板ヘルニアを抑えるための後続の外科)を実施することも含められる。この組成物又は手技は、椎間板ヘルニアを促進する刺激に続く椎間板ヘルニアの形成を阻害し得る、椎間板ヘルニアの進行を阻害し得る、及び/又は椎間板ヘルニアの再発を阻害し得る。いくつかの態様では、椎間板ヘルニアを抑えることには、椎間板ヘルニアに関連した疼痛及び/又は炎症の減少を含めて、椎間板ヘルニアの徴候及び/又は症状の減少が含まれる。
【0209】
[00242] 「椎間板ヘルニアを予防すること」は、特別な発作、刺激、又は状態に応答して椎間板ヘルニアが形成される可能性を抑えるために、椎間板ヘルニアの形成に先立って治療組成物を投与することに関連する。様々な態様において、椎間板ヘルニアを予防することは、プロトコールの一部であってよく、ある手技(例、椎間板ヘルニアを抑えるための外科)を実施することも含められる。「椎間板ヘルニアを予防すること」は、椎間板ヘルニア形成の可能性を0まで低下させることを求めないと理解されよう。むしろ「椎間板ヘルニアを予防すること」は、特別な発作又は刺激に続く椎間板ヘルニア形成の可能性の臨床的に有意な低下(例えば、椎間板ヘルニアを促進する特別な発作、状態、又は刺激に応答した椎間板ヘルニアの発症又は数の臨床的に有意な低下)を意味する。
【0210】
[00243] 「椎間板ヘルニアを治療すること」は、椎間板ヘルニアの進行及び/又は重症度を(完全に又は一部)逆転させる、軽減する、抑制する、及び/又は阻害する、又は再発性の椎間板ヘルニアの再発の可能性及び/又は重症度を抑える組成物を投与することに関連する。「椎間板ヘルニアを治療すること」はまた、椎間板ヘルニアの1以上の症状(例、疼痛、痺れ、刺痛、炎症、坐骨神経痛、等)を逆転させる、軽減する、抑制する、その進行を阻害する、又はその再発の可能性及び/又は重症度を抑える組成物を投与することに関連する。様々な態様において、椎間板ヘルニアを治療することは、プロトコールの一部であってよく、ある手技(例、椎間板ヘルニアを抑えるための外科)を実施することも含められる。このように、「椎間板ヘルニアを治療すること」は、ある発作又は刺激に続いて椎間板ヘルニア(複数)がすでに形成されたならば、治療組成物及び/又は手技を投与することを伴う。
【0211】
[00244] 「疼痛」という用語には、侵害刺激と疼痛感覚が含まれ、そのいずれも、疼痛スコアや当該技術分野でよく知られた他の方法を使用して、客観的及び主観的に評価することができる。本明細書に開示される方法及び組成物によって抑制可能、予防可能、又は治療可能な疼痛の例示の種類には、限定なしに、下部腰痛、椎間関節痛、頚痛、脚痛、神経根性疼痛、腕、首、背、腰、脚のニューロパシー疼痛、又は椎間板又は脊椎の外科より生じる関連した疼痛分布が含まれる。
【0212】
[00245] 上記のように脊椎部位を示すが、薬物デポー剤は、皮膚の下のどの部位へも送達することができて、限定されないが、少なくとも1つの筋肉、靭帯、腱、軟骨、椎間板、脊髄神経根付近の脊椎孔空間、椎間関節、又は脊柱管が含まれる。
【0213】
[00246] いくつかの態様では、変性円板疾患及び/又は椎間関節痛の治療のために、αアドレナリン作動性アゴニスト(例、クロニジン)を含有する薬物デポー剤を炎症及び/又は疼痛の部位又はその付近に局所的に埋め込むことができて、薬物デポー剤は、クロニジンを少なくとも1日〜少なくとも6〜12ヶ月の間放出する。
【0214】
[00247] いくつかの態様では、αアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、クロニジン)を脊椎の椎間関節又はその付近に投与することができる。椎間関節は、安定性をもたらして動きを導くことに役立つ、脊椎の各節にある小さな関節である。椎間関節は、脊椎の関節炎、背の損傷又は背中への機械的ストレス、及び/又は椎間関節での炎症により、有痛性になり得る。薬物デポー剤は、背の疼痛及び/又は炎症を治療、抑制、及び/又は予防するように、頚部(首)、胸部(上背)、及び/又は腰(下背)の椎間関節又はその付近に埋め込むことができる。例えば、αアドレナリン作動性受容体アゴニストを含有する薬物デポー剤は、罹患した椎間関節又はその付近(例えば、約5cm以内、又は約2cm以内、又は0.1cm以内)に埋め込むことができる。このようにして、椎間関節の局所治療を提供する。
【0215】
[00248] 薬物デポー剤中のαアドレナリン作動性受容体アゴニスト(例、クロニジン)を疼痛又は炎症の部位(例、脊椎部位、変性円板、線維輪、椎間関節、等)又はその付近に局所的に投与することによって、変性円板疾患及び/又は椎間関節痛を延長された時間帯の間で効果的に抑制、予防、又は治療することができる。薬物デポー剤は、αアドレナリン作動性アゴニストを1〜90日、1〜10日、1〜3日、3〜7日、3〜12日;3〜14日、7〜10日、7〜14日、7〜21日、7〜30日、7〜50日、7〜90日、7〜140日、14〜140日、3日〜135日、3日〜150日、又は3日〜6ヶ月の期間にわたり放出し得る。
【0216】
[00249] いくつかの態様において、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩は、ゲル剤に懸濁した微粒子剤、マイクロスフェア剤、マイクロカプセル剤、及び/又はマイクロファイバー剤を含んでなる複数のデポー剤に被包化される。
【0217】
[00250] いくつかの態様では、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症を阻害するような治療を必要とする患者においてそれをする方法を提供し、該方法は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を皮膚の下の標的組織部位へ外科の前、間、後に送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の有効量を3日〜6ヶ月の期間にわたり放出する。
【0218】
[00251] いくつかの態様において、疼痛及び/又は炎症を予防又は治療するような治療を必要とする患者においてそれをするのに有用な埋込型薬物デポー剤を提供し、該埋込型薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を含んでなり、該デポー剤は、炎症を予防又は治療するのに皮膚の下の部位に埋め込み可能であり、ここで薬物デポー剤は、少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の有効量を33日〜6ヶ月の期間にわたり放出する。
【0219】
[00252] いくつかの態様では、埋込型薬物デポー剤を提供し、ここで薬物デポー剤は、(i)少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩のボーラス用量を皮膚の下の部位で放出する1以上の即時放出層(複数)と(ii)少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の有効量を3〜12日又は5〜10日又は7〜10日又は3日〜6ヶ月の期間にわたり放出する1以上の持続放出層(複数)を含む。例によれば、薬物デポー剤において、1以上の即時放出層(複数)はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)を含んでよく、1以上の持続放出層(複数)はポリラクチド(PLA)を含んでよい。
【0220】
作製の方法
[00253] 様々な態様において、有効成分(例、αアゴニスト)を含んでなる薬物デポー剤は、生体適合性ポリマーと有効成分又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を組み合わせて、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形することによって作製することができる。
【0221】
[00254] 薬物デポー剤の少なくとも一部を生体適合性ポリマー(複数)、治療薬剤(複数)、及び任意選択の材料より成形するための様々な技術が利用可能であり、溶液加工技術及び/又は熱可塑加工技術が含まれる。溶液加工技術を使用する場合、典型的には、1以上の溶媒種を含有する溶媒系が選択される。溶媒系は、一般的には、注目される少なくとも1つの成分、例えば、生体適合性ポリマー及び/又は治療薬剤にとって良好な溶媒である。溶媒系を構成する特別な溶媒種は、乾燥速度及び表面張力が含まれる、他の特性に基づいて選択することもできる。
【0222】
[00255] 溶液加工技術には、溶媒キャスティング技術、スピンコーティング技術、ウェブコーティング技術、溶媒噴霧技術、ディッピング技術、空気懸濁が含まれる機械懸濁によるコーティング(例、流動コーティング)を伴う技術、インクジェット技術、及び静電技術が含まれる。所望の放出速度と所望の厚さが得られるデポー剤を構築するには、上記に列挙したような技術を適宜繰り返すか又は組み合わせることができる。
【0223】
[00256] 様々な態様では、溶媒を含有する溶液と生体適合性ポリマーを組み合わせて、所望のサイズ及び形状の型へ入れる。このようにして、バリアー層、滑面層、等が含まれるポリマー領域を成形することができる。所望されるならば、さらにこの溶液剤は、以下:他の治療薬剤(複数)とX線造影剤(複数)、等のような他の任意選択の添加剤の1以上を溶解型又は分散型で含むことができる。これにより、溶媒除去後には、上記の分子種を含有するポリマーマトリックス領域が得られる。他の態様では、溶解又は分散した治療薬剤とともに溶媒を含有する溶液剤を、溶液加工及び熱可塑加工の技術が含まれる多様な技術を使用して成形し得る既存のポリマー領域へ適用すると、このとき治療薬剤は、ポリマー領域中へ吸収される。
【0224】
[00257] デポー剤又はその一部を成形するための熱可塑加工技術には、成形技術(例えば、注入成形、回転成形、等)、押出技術(例えば、押出、共押出、多層押出、等)、及び鋳造法が含まれる。
【0225】
[00258] 熱可塑加工法は、様々な態様に従って、1以上の段階において、生体適合性ポリマー(複数)と以下:有効成分(例、αアゴニスト)、任意選択の追加の治療薬剤(複数)、X線造影剤(複数)、等の1以上を混合又は調合することを含む。次いで、得られる混合物を埋込型薬物デポー剤へ成形する。この混合及び成形の操作は、そのような目的のために当該技術分野で知られている慣用のデバイスのいずれも使用して実施してよい。
【0226】
[00259] 熱可塑加工の間、治療薬剤(複数)には、例えば、そのような加工に伴う上昇温度及び/又は機械的剪断力により分解する潜在可能性が存在する。例えば、ある種の治療薬剤は、通常の熱可塑加工条件の下で、実質的な分解を受ける場合がある。従って、加工は、好ましくは、治療薬剤(複数)の実質的な分解を防ぐ、改善された条件の下で実施する。熱可塑加工の間にはいくらかの分解が不可避であり得ると理解されるが、分解は、一般的には、10%以下へ制限される。治療薬剤(複数)の実質的な分解を回避するために加工の間に制御し得る加工条件には、温度、適用される剪断速度、適用される剪断応力、治療薬剤を含有する混合物の滞留時間、並びにポリマー材料と治療薬剤(複数)を混合する技術がある。
【0227】
[00260] 生体適合性ポリマーを治療薬剤(複数)とあらゆる追加の添加剤と混合又は調合してその実質的に均質な混合物を成形することは、当該技術分野で知られていて、ポリマー材料を添加剤と混合するために慣用的に使用されているどのデバイスでも実施してよい。
【0228】
[00261] 熱可塑性材料を利用する場合、様々な添加剤(例、治療薬剤(複数)、不活性成分、等)と混合し得る生体適合性ポリマーを加熱することによってポリマー溶融物を生成して、混合物を生成してよい。そのようにする一般的な方法は、生体適合性ポリマー(複数)及び添加剤(複数)の混合物へ機械的剪断力をかけることである。この形式で生体適合性ポリマー(複数)と添加剤(複数)を混合し得るデバイスには、単軸押出機、二軸押出機、バンバリー型混合機、高速混合機、Ross圧力鍋、等のようなデバイスが含まれる。
【0229】
[00262] 生体適合性ポリマー(複数)と様々な添加剤のいずれも、所望されるならば(例えば、他の理由に増して、治療薬剤の実質的な分解を防ぐために)、最終の熱可塑性の混合及び成形プロセスに先立って、プレ混合してよい。
【0230】
[00263] 例えば、様々な態様では、それがあれば治療薬剤の実質的な分解をもたらすはずの温度及び機械的剪断力の条件の下で、生体適合性ポリマーをX線造影剤(例、放射線不透過剤)とプレ調合する。次いで、このプレ調合された材料をより低い温度及び機械的剪断力の条件下で治療薬剤(例、αアゴニスト)と混合して、得られる混合物を、有効成分含有薬物デポー剤へ成形する。逆に、別の態様では、抑えられた温度及び機械的剪断力の条件の下で、生体適合性ポリマーを治療薬剤とプレ調合することができる。次いで、このプレ調合材料を、やはり抑えられた温度及び機械的剪断力の条件の下で、例えば放射線不透過剤と混合して、得られる混合物を薬物デポー剤へ成形する。
【0231】
[00264] 生体適合性ポリマー及び治療薬剤と他の添加剤の混合物を獲得するために使用する条件は、例えば、使用する特定の生体適合性ポリマー(複数)及び添加剤(複数)、並びに使用する混合デバイスの種類が含まれる、いくつかの要因に依存するものである。
【0232】
[00265] 1例として、様々な温度での混合を促進するために、典型的には、様々な生体適合性ポリマーを軟化させる。例えば、PLGA又はPLAポリマー、放射線不透過剤(例、次炭酸ビスマス)、及び加熱及び/又は機械的剪断力により分解し易い治療薬剤(例、クロニジン)を含んでなるデポー剤を成形する場合、様々な態様において、PGLA又はPLAは、例えば、約150℃〜170℃の温度で放射線不透過剤とプレ混合することができる。次いで、このプレ混合された組成物と治療薬剤を組み合わせて、PGLA又はPLA組成物に典型的であるものより実質的に低い温度及び機械的剪断力の条件で、さらなる熱可塑加工へ処する。例えば、押出機を使用する場合、バレル温度、容量出力は、典型的には、剪断力を制限して、それ故に治療薬剤(複数)の実質的な分解を防ぐように制御する。例えば、治療薬剤とプレ混合組成物は、二軸押出機を実質的により低い温度(例、100〜105℃)で使用して、そして実質的に抑えられた容量出力(例えば、全容量の30%未満、これは200cc/分未満の容量出力に概ね相当する)を使用して、混合/調合することができる。この加工温度は、これらの温度以上での加工は実質的な治療薬剤の分解をもたらすので、抗炎症薬及び鎮痛薬(例、クロニジン)のようなある種の有効成分の融点より十分に低いことが注目される。さらに、ある種の態様では、加工温度が、治療薬剤を含めて組成物内のすべての生理活性化合物の融点未満であることも注目される。調合の後で、得られるデポー剤は、やはり抑えられた温度及び剪断力の条件の下で、所望の形状へ成形される。
【0233】
[00266] 他の態様では、非熱可塑性技術を使用して、生分解性ポリマー(複数)と1以上の治療薬剤をプレ混合する。例えば、生体適合性ポリマーは、1以上の溶媒種を含有する溶媒系に溶かすことができる。どの所望の薬剤(例えば、放射線不透過剤、治療薬剤、又は放射線不透過剤と治療薬剤の両方)もこの溶媒系に溶かすか又は分散させることができる。次いで、得られる溶液/分散液より溶媒を除去して、固体材料を生成する。次いで、得られる固体材料は、所望されるならば、さらなる熱可塑加工(例えば、押出)のために造粒することができる。
【0234】
[00267] 別の例として、治療薬剤は、溶媒系に溶かすか又は分散させることができて、次いでこれを既存の薬物デポー剤(この既存の薬物デポー剤は、溶液及び熱可塑加工技術が含まれる多様な技術を使用して成形し得て、放射線不透過剤及び/又は粘度増強剤が含まれる多様な添加剤を含み得る)へ適用すると、このとき治療薬剤は、薬物デポー剤の上又は中に吸収される。次いで、上記のように、得られる固体材料は、所望されるならば、さらなる加工のために造粒することができる。
【0235】
[00268] 典型的には、生体適合性ポリマー(複数)、治療薬剤(複数)、及び放射線不透過剤(複数)を含んでなる薬物デポー剤を成形するために、押出法を使用してよい。共押出法も利用してよく、これは、同一又は異種の層又は領域を含んでなる薬物デポー剤(例えば、即時及び/又は持続薬物放出を可能にする流体透過性を有する1以上のポリマーマトリックス層又は領域を含んでなる構造体)を産生するために使用することができる成形法である。共注入又は連続注入成形技術のような他の加工及び成形技術によって、多重領域デポー剤も成形することができる。
【0236】
[00269] 様々な態様において、熱可塑加工法より出現し得るデポー剤(例、ペレット剤、ストリップ剤、等)は、冷却される。冷却法の例には、空気冷却、及び/又は冷却浴中の浸漬が含まれる。いくつかの態様では、押出されたデポー剤を冷却するために水浴を使用する。しかしながら、有効成分として水溶性の治療薬剤が使用される場合は、治療薬剤の水浴への無用な損失を回避するために、浸漬時間は、最小限に保つべきである。
【0237】
[00270] 様々な態様では、浴より出した後に、周囲温か又は温かい空気ジェットの使用により水分又は湿分をすぐに除去することで、薬物のデポー剤表面での再結晶を防いで、それにより埋込み又は挿入時の高い薬物用量の「初期バースト」又は「ボーラス用量」を(この放出プロフィールが望まれていなければ)制御又は最小化することができる。
【0238】
[00271] 様々な態様において、薬物をポリマーと混合又は噴霧してから、そのデポー剤を所望の形状へ成形することによって、薬物デポー剤を製造することができる。様々な態様では、有効成分をPLGA又はPEG550ポリマーとともに使用して混合又は噴霧して、得られるデポー剤を押出によって成形して、乾燥させてよい。
【0239】
[00272] 薬物デポー剤はまた、生体適合性ポリマーと少なくとも1つのαアドレナリン作動性アゴニスト又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を組み合わせて、その組合せより埋込型薬物デポー剤を成形することによって作製してよい。
【0240】
[00273] 本発明について今や概ね記載したので、以下の実施例(これは、例示のために提供して、特定しなければ、本発明を限定することを企図しない)への以下の言及を通して、それはより容易に理解することができよう。
【実施例】
【0241】
[00274] 実施例
[00275] 以下の実施例は、初期バーストがあまり大きくなく(即ち、最初の5日で負荷薬物の7%以下)、1日用量が135日間ほぼ2.4μg/日±0.5μg/日である、いくつかの特に有利な結果を示す。例えば、図10及び11;14;及び19を参照のこと。これらの図は、5重量%〜8重量%の薬物ローディングが有利な結果をもたらすことをさらに示す。
【0242】
[00276] ニューロパシー疼痛の2ヶ月慢性絞扼性神経損傷(CCI)モデルを使用して、生侵食性ポリマーに被包化したコルチコステロイド、フルオロシノロンの様々な製剤をフルオロシノロン皮下(SC)投与と比較して評価した。以下の表5に提供するような様々な製剤について、疼痛関連行動を抑制することを評価した:熱刺激足逃避潜時については、術後7、14、21、28、35、42、49、56、及び64日目にベースラインで評価して、一方、機械的閾値は、術後8、15、22、29、36、43、50、57、及び64日目に評価した。これらの試験の結果を図示する棒グラフを図3〜4に示す。
【0243】
[00277] In-Vitro 溶出試験は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS,pH7.4)において37℃で行った。簡潔に言えば、5mLのPBSに浸漬する前にロッド剤(n=3)を秤量した。規則的な時間間隔でPBSを分析用に取り出して、5mLの新鮮なPBSに置き換えた。このPBS溶出緩衝液について、UV−Vis分光法を使用して、クロニジン含量を分析した。
【0244】
[00278] 実施例1:製剤試験
[00279] 本発明者は、ポリマーの種類、薬物負荷量、賦形剤(賦形剤が無いいくつかの製剤も含まれる)、ペレットサイズ、及び加工法が異なるいくらかのクロニジン製剤を調製した。これらの製剤について、以下の表1、表2、及び表3に記載する。これらの製剤について、in vitro 放出試験(クロニジンの放出されるマイクログラム数、並びにその累積放出百分率を測定する)が含まれるいくらかの試験を実施した。これらの試験の結果を図7〜36に表す。
【0245】
[00280] In-Vitro 溶出試験は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS,pH7.4)において37℃で行った。5mLのPBSに浸漬する前にロッド剤(n=3)を秤量した。規則的な時間間隔でPBSを分析用に取り出して、5mLの新鮮なPBSに置き換えた。このPBS溶出緩衝液について、UV−Vis分光法を使用して、クロニジン含量を分析した。
【0246】
[00281] 表1
【0247】
【表1−1】
【0248】
【表1−2】
【0249】
[00282] 表2
【0250】
【表2】
【0251】
[00283] 表3
【0252】
【表3】
【0253】
[00284] ポリマーについての表内のコードを以下のように説明する。最初の単数又は複数の数字は、DL−ラクチド(例、ポリラクチド)のグリコリド(例、ポリグリコリド)に対するモノマーモル百分率比を意味する。最初の数字に続く文字コードは、ポリマー(複数)を意味して、ポリマー識別子である。ポリマーの文字コードに続く第二の数字は、標的IV指示子であり、範囲(dl/g)の中点の10倍である。ある種のIV指示子の意味を表4に表す。
【0254】
[00285] 表4
【0255】
【表4】
【0256】
[00286] ポリマーのコード内の最終文字は、末端基の指示子である。例えば、「E」はエステル末端基を意味して、一方「A」は酸末端基を意味する。
【0257】
[00287] 例によれば、100 DL 7Eは、0.60〜0.80dL/gのインヘレント粘度を有するポリマーである。それは、エステル末端基を有する100%のポリ(DL−ラクチド)を含有する。これは、Lakeshore Biomaterials(アラバマ州バーミンガム)より入手可能である。
【0258】
[00288] 実施例2:
[00289] 本発明者は、5ヶ月クロニジン/ポリマー薬物デポー剤のラット慢性絞扼性神経損傷モデルにおける効力を評価した。この動物モデルは、Bennett モデル(ウィスターラット)であった。目的:5ヶ月ポリマークロニジン溶出デポー剤がラットのニューロパシー疼痛モデルにおいて疼痛関連の行動応答を改善し得るかどうかを判定すること。
【0259】
[00290] 実験デザイン:4ヶ所の緩やかな縫合糸(chromic gut)結紮を、1mm離して、中位大腿の総坐骨神経の周囲に結び付けた。各動物は、表5に記載の投薬に従って、試験品又は対照品の処置を受けた。
【0260】
[00291] 表5
【0261】
【表5】
【0262】
[00292] 本発明者は、本研究を64日の期間で行って、以下の2つの試験:(1)Hargreaves 試験;及び(2)von Frey 試験を利用した。熱性痛覚過敏の Hargreaves 試験は、7、14、21、28、35、42、49、56、及び63日目に行った。機械的異疼痛の von Frey モノフィラメント試験(熱性試験の翌日に実施する)は、8、15、22、29、36、43、50、57、及び64日目に行った。これらの試験の結果を図3及び4に要約して、列挙した時間帯でのクロニジンの効力を示す。これらの結果を図3及び4に要約する。
【0263】
[00293] 熱的痛覚過敏についての疼痛行動応答(ベースラインの百分率として測定)(図3)は、0.02mg/kg/日で皮下送達されたクロニジンが、非負荷ポリマーデポー剤(100 DL 7W対照又はPOE対照)のいずれとも比較するときに、行動応答を首尾一貫して抑制した(58%対45%)ことを示す。5つのクロニジン負荷ポリマーデポー剤は、いずれも非負荷デポー剤と比較するときに、疼痛行動応答を抑えることができたが、いずれの製剤も、埋め込み時の薬物の初期バースト後のある時点で効力の下降を受けた。機械的アロディニアについての疼痛行動応答(ベースラインの百分率として測定)は、0.02mg/kg/日で皮下送達されたクロニジンが、非負荷ポリマーデポー剤(100 DL 7W対照又はPOE対照)のいずれとも比較するときに、行動応答を抑制したことを示す。
【0264】
実施例3:クロニジン薬物デポー剤の放出プロフィール
[00294] 図5は、放出百分率及び放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの in vitro 放出のグラフ図である(表2)。いくつかの製剤は、45日間でクロニジンの80%を放出した。この2、3、又は4のペレット剤用量は、ヒトに埋め込まれるであろう用量を模倣している。すべての製剤が初期バースト効果を最初の2日以内に有して、ここで薬物デポー剤は、10%〜80%の累積放出を有した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤がより速い放出プロフィールを有した。
【0265】
[00295] 図6は、放出マイクログラム数により測定した、3ペレット剤用量からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である(表3)。いくつかの製剤は、クロニジンを60日にわたり放出した。標的1日用量は、2.4mg/日であった。すべての製剤が初期バースト効果を最初の2日以内に有して、ここで薬物デポー剤は、約35〜65mcgのボーラス用量を放出した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤がより速い放出プロフィールを有した。
【0266】
[00296] 図7は、累積クロニジン放出百分率により測定した、クロニジンHCl動物試験製剤のグラフ図である(表3)。いくつかの製剤は、60日間にクロニジンの少なくとも60%を放出した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤が45〜60日にわたるより長い放出プロフィールを有した。
【0267】
[00297] 図8は、累積クロニジン放出百分率により測定した、様々な製剤(表3)についてのクロニジンHCl放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、60日間にクロニジンの少なくとも70%を放出した。一般に、より高い薬物負荷のある製剤が60日にわたるより長い放出プロフィールを有した。
【0268】
[00298] 図9は、あるクロニジン製剤(表3)についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。いくつかの製剤は、60日間にクロニジンの少なくとも60%を放出した。
【0269】
[00299] 図10は、ある照射クロニジンHCl製剤(表3)についての累積放出プロフィールのグラフ図である。いくつかの製剤は、80日以上の間にクロニジンの少なくとも50%を放出した。
【0270】
[00300] 図11は、2/3/4ペレット剤用量(これらは、ヒトの用量に近似している)からのある計算1日放出測定値のグラフ図である。いくつかの製剤(表3)は、クロニジンを85日間放出した。
【0271】
[00301] 図12は、ある3ペレット剤用量(表3)からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンを65日以上の間放出した。
【0272】
[00302] 図13は、ある2/3ペレット剤用量のコアキシャル製剤(表3)からのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンを85日以上の間放出した。
【0273】
[00303] 図14は、ある照射クロニジン製剤(表3)についての累積 in vitro 放出プロフィールのグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンの約50%を85日以上の間放出した。
【0274】
[00304] 図15は、ある3ペレット用量製剤(表3)についてのクロニジンの計算1日放出のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンを85日以上の間放出した。
【0275】
[00305] 図16は、ある3ペレット用量製剤(表3)で放出されるクロニジンのマイクログラム数のグラフ図である。いくつかの製剤は、初期バースト効果を約2日間、次いで連日放出を60日以上の間、有した。
【0276】
[00306] 図17は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。10重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 DLG 7Eを含有する製剤は、120日もの間に約90累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0277】
[00307] 図18は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。20重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 DLG 7Eを含有する製剤は、140日もの間に約90累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0278】
[00308] 図19は、ある製剤(表1)についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。いくつかの製剤は、クロニジンの約95%を110日にわたり放出した。
【0279】
[00309] 図20は、1つの製剤(表1)についての60日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。放出は、比較的連続していた。
【0280】
[00310] 図21は、ある製剤(表1)についての約40日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0281】
[00311] 図22は、ある製剤(表1)についての約20日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0282】
[00312] 図23は、ある製剤(表1)についての3〜5日にわたるクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。
【0283】
[00313] 図24は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤が7日間で約90累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。この製剤は、より小さなサイズ(0.75mmx0.75mm)を有したが、それはより大きな直径のデポー剤に比較して、放出の表面積を増加させる。
【0284】
[00314] 図25は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤が30日以上の間に100以上の累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0285】
[00315] 図26は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。Span 85は、1つの製剤の可塑剤である。すべての製剤が50日以上の間に約30〜50累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0286】
[00316] 図27は、表1に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。5重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 PLGAを含有する製剤は、75日以上もの間に約100累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0287】
[00317] 図28は、表1に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。5重量%のクロニジン薬物負荷とポリマー8515 PLGAと可塑剤としてのSpan 65を含有する製剤は、70日もの間に約65累積放出%の薬物をデポー剤より放出し、これは疼痛及び/又は炎症の多くの慢性状態に適している。
【0288】
[00318] 図29は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。約20日間で約90累積%の薬物をデポー剤より放出した1つの製剤を除けば、すべての製剤が100日以上の間に約90〜110累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0289】
[00319] 図30は、表1に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤が28日以上の間に約55〜85累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0290】
[00320] 図31は、表1に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。10重量%のクロニジン薬物負荷とポリマーDL−PLAを含有する製剤は、約18日間で約45累積放出%の薬物をデポー剤より放出したが、これは疼痛及び/又は炎症の急性状態に適しているかもしれない。
【0291】
[00321] 図32は、表2に示すように製造したある製剤についてのクロニジンの累積溶出百分率のグラフ図である。すべての製剤がPOEと10%又は20%のクロニジン薬物負荷を有した。薬物を約35日以内に放出した1つの製剤を除けば、すべての製剤が120日以上の間に約80〜90累積放出%の薬物をデポー剤より放出した。
【0292】
[00322] 図33は、表2に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。10重量%のクロニジン薬物負荷とポリマーPOEを含有する製剤は、約60日間で約60累積放出%の薬物をデポー剤より放出したが、これは疼痛及び/又は炎症の慢性状態に適しているかもしれない。
【0293】
[00323] 図34は、表2に示すように製造した1つの製剤についてのクロニジンの累積放出百分率のグラフ図である。この製剤は、約23日間で約35累積放出%のクロニジンをデポー剤より放出した。
【0294】
[00324] 図5〜34は、変性円板疾患からの疼痛及び/又は炎症、及び/又は1以上の椎間関節の疼痛及び炎症を抑制、予防、又は治療するのに有用な様々な薬物デポー製剤を示す。
【0295】
[00325] 当業者には、本明細書に記載の様々な態様に対して、本明細書の教示の精神又は範囲より逸脱することなく様々な修飾及び変形を作製し得ることが明らかであろう。従って、様々な態様には、本教示の範囲内の様々な態様の他の修飾及び変形も含まれると企図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれをするのに有用な埋込型薬物デポー剤であり、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなり、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に埋め込み可能であり、ここで有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出することが可能である、前記埋込型薬物デポー剤。
【請求項2】
αアドレナリン作動性アゴニストを3日〜12ヶ月の期間にわたり放出し、そして、変性円板は椎間板ヘルニアを含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項3】
αアドレナリン作動性アゴニストがα2アドレナリン作動性アゴニストを含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項4】
α2アドレナリン作動性アゴニストが、L−ノルエピネフリン、クロニジン、デクスメトデトミジン、アプラクロニジン、チザニジン、ブリモニジン、キシロメタゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、グアンファシン、グアナベンツ、キシラジン、モキソニジン、メデトミド、リルメニジン、UK 14,304、B−HT 933、B−HT 920、ミバゼロール、オクトパミン、チザニジン、又はこれらの組合せを含む、請求項3に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項5】
ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−εカプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−εカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含んでなる少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項6】
ポリマーを含み、該ポリマーは、その全重量%の約60%〜99%を含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項7】
(i)ボーラス用量のαアドレナリン作動性アゴニストを変性円板又はその付近で3日間までの期間にわたり、そして(ii)有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを12ヶ月までの期間にわたり放出する、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項8】
その中に負荷したαアドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約20%〜約99%のαアドレナリン作動性アゴニストを、それを変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ投与した後の3日〜12ヶ月の期間にわたり放出する、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項9】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び炎症を抑制、治療、又は予防するために、0.1mg〜100mgのα2アドレナリン作動性アゴニストを少なくとも3日の期間の間に24〜48時間にわたり放出する、請求項3に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項10】
その全重量に基づいて約5重量%〜約15重量%のクロニジンと少なくとも80重量%の生分解性ポリマーを含み、有効量のクロニジンを少なくとも150日の期間にわたり放出するように適用される、請求項4に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項11】
ペレット剤の形態である、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項12】
椎間板ヘルニアの5cm以内に埋め込まれて、クロニジンは、椎間板ヘルニアからの疼痛及び/又は炎症を抑制する、請求項4に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項13】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を治療するような治療を必要とする患者においてそれをする方法であって、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に投与することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する、前記方法。
【請求項14】
αアドレナリン作動性アゴニストがα2アドレナリン作動性アゴニストを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
疼痛及び炎症を抑制、治療、又は予防するために、薬物デポー剤が0.1mg〜100mgのαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも3日の期間の間に24〜48時間にわたり放出する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
薬物デポー剤が、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−カプロラクトン、D,L−ラクチド−グリコリド−カプロラクトン、又はこれらの組合せを含んでなるポリマーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
薬物デポー剤がポリマーを含み、該ポリマーは、薬物デポー剤の全重量%の約70%〜約90%を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
薬物デポー剤が(i)ボーラス用量のαアドレナリン作動性アゴニストを変性円板又はその付近で3日〜14日までの期間にわたり、そして(ii)有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを150日までの期間にわたり放出する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制するような治療を必要とする患者においてそれをする方法であって、治療有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を該患者の変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する、前記方法。
【請求項20】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を患者において抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤であり、治療有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストとポリマーを含んでなり;ここで、疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に埋め込み可能であり、そして(i)72時間までの第一期間にわたり、それに負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約5%〜約20%のα2アドレナリン作動性アゴニストを、そして(ii)12ヶ月までの後続期間にわたり、それに負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約21%〜約99%のα2アドレナリン作動性アゴニストを放出することが可能である、前記埋込型薬物デポー剤。
【請求項1】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するような治療を必要とする患者においてそれをするのに有用な埋込型薬物デポー剤であり、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなり、変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に埋め込み可能であり、ここで有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出することが可能である、前記埋込型薬物デポー剤。
【請求項2】
αアドレナリン作動性アゴニストを3日〜12ヶ月の期間にわたり放出し、そして、変性円板は椎間板ヘルニアを含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項3】
αアドレナリン作動性アゴニストがα2アドレナリン作動性アゴニストを含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項4】
α2アドレナリン作動性アゴニストが、L−ノルエピネフリン、クロニジン、デクスメトデトミジン、アプラクロニジン、チザニジン、ブリモニジン、キシロメタゾリン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、グアンファシン、グアナベンツ、キシラジン、モキソニジン、メデトミド、リルメニジン、UK 14,304、B−HT 933、B−HT 920、ミバゼロール、オクトパミン、チザニジン、又はこれらの組合せを含む、請求項3に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項5】
ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−コ−εカプロラクトン、D,L−ラクチド−コ−グリコリド−コ−εカプロラクトン、又はこれらの組合せの1以上を含んでなる少なくとも1つの生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項6】
ポリマーを含み、該ポリマーは、その全重量%の約60%〜99%を含む、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項7】
(i)ボーラス用量のαアドレナリン作動性アゴニストを変性円板又はその付近で3日間までの期間にわたり、そして(ii)有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを12ヶ月までの期間にわたり放出する、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項8】
その中に負荷したαアドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約20%〜約99%のαアドレナリン作動性アゴニストを、それを変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ投与した後の3日〜12ヶ月の期間にわたり放出する、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項9】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び炎症を抑制、治療、又は予防するために、0.1mg〜100mgのα2アドレナリン作動性アゴニストを少なくとも3日の期間の間に24〜48時間にわたり放出する、請求項3に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項10】
その全重量に基づいて約5重量%〜約15重量%のクロニジンと少なくとも80重量%の生分解性ポリマーを含み、有効量のクロニジンを少なくとも150日の期間にわたり放出するように適用される、請求項4に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項11】
ペレット剤の形態である、請求項1に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項12】
椎間板ヘルニアの5cm以内に埋め込まれて、クロニジンは、椎間板ヘルニアからの疼痛及び/又は炎症を抑制する、請求項4に記載の埋込型薬物デポー剤。
【請求項13】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を治療するような治療を必要とする患者においてそれをする方法であって、治療有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に投与することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する、前記方法。
【請求項14】
αアドレナリン作動性アゴニストがα2アドレナリン作動性アゴニストを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
疼痛及び炎症を抑制、治療、又は予防するために、薬物デポー剤が0.1mg〜100mgのαアドレナリン作動性アゴニストを少なくとも3日の期間の間に24〜48時間にわたり放出する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
薬物デポー剤が、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、D−ラクチド、D,L−ラクチド、L−ラクチド、D,L−ラクチド−カプロラクトン、D,L−ラクチド−グリコリド−カプロラクトン、又はこれらの組合せを含んでなるポリマーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
薬物デポー剤がポリマーを含み、該ポリマーは、薬物デポー剤の全重量%の約70%〜約90%を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
薬物デポー剤が(i)ボーラス用量のαアドレナリン作動性アゴニストを変性円板又はその付近で3日〜14日までの期間にわたり、そして(ii)有効量のαアドレナリン作動性アゴニストを150日までの期間にわたり放出する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を抑制するような治療を必要とする患者においてそれをする方法であって、治療有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを含んでなる1以上の生分解性薬物デポー剤を該患者の変性円板及び/又は椎間関節又はその付近へ送達することを含んでなり、ここで薬物デポー剤は有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストを少なくとも1日の期間にわたり放出する、前記方法。
【請求項20】
変性円板及び/又は椎間関節からの疼痛及び/又は炎症を患者において抑制、予防、又は治療するのに有用な埋込型薬物デポー剤であり、治療有効量のα2アドレナリン作動性アゴニストとポリマーを含んでなり;ここで、疼痛及び/又は炎症を抑制、予防、又は治療するために変性円板及び/又は椎間関節又はその付近に埋め込み可能であり、そして(i)72時間までの第一期間にわたり、それに負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約5%〜約20%のα2アドレナリン作動性アゴニストを、そして(ii)12ヶ月までの後続期間にわたり、それに負荷したα2アドレナリン作動性アゴニストの全量に対して約21%〜約99%のα2アドレナリン作動性アゴニストを放出することが可能である、前記埋込型薬物デポー剤。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公表番号】特表2011−508789(P2011−508789A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542438(P2010−542438)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040898
【国際公開番号】WO2009/129433
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040898
【国際公開番号】WO2009/129433
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】
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