説明

変性無機酸化物微粒子、それが分散した変性無機酸化物微粒子分散液およびそれを含む導電性被膜形成用組成物、ならびにそれらの製造方法

【課題】帯電防止能が高く、水に濡れても帯電防止能が低下し難く、さらに、より傷が付き難い塗膜が得られる導電性被膜形成用組成物およびこの製造方法の提供、ならびにこの組成物に含有させることができる変性無機酸化物微粒子、この組成物の製造に用いることができる変性無機酸化物微粒子分散液およびこれらの製造方法の提供。
【解決手段】画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子の表面に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、特定構造のアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩の加水分解生成物を有する、変性無機酸化物微粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性無機酸化物微粒子、それが分散した変性無機酸化物微粒子分散液およびそれを含む導電性被膜形成用組成物、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂はガラス製品と比較して軽量で、強靭性等の優れた特性を備え、さらに安価で加工が容易であるので、自動車部品、光学部品、光ディスク、有機板ガラス、看板等、広い分野において利用されている。
【0003】
しかしながら、合成樹脂は帯電しやすいために埃が付き易く、加えて、傷が付き易いという欠点がある。そこで、この欠点を改良するために従来、種々の提案がなされた。
例えば特許文献1には、(A)特定構造を備える化合物の加水分解物と金属酸化物微粒子の混合物、(B)多官能アクリレート又はメタクリレート、(C)光重合開始剤を配合してなり、該金属酸化物微粒子の固形分重量に対し前記加水分解物が0.5〜40wt%の範囲内であることを特徴とする紫外線硬化性ハードコート樹脂組成物が記載されている。そして、このような組成物は、帯電防止成分のハードコート被膜表面へのブリードアウトが極めて少なく、帯電防止能の耐環境性向上、長期安定化を達成することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4092841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている組成物に代表される従来のハードコート樹脂組成物では、得られる塗膜の帯電防止能が不十分であった。また、例えば雨等の影響で塗膜が水に濡れると、帯電防止能が極端に低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような問題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、帯電防止能が高く、水に濡れても帯電防止能が低下し難く、さらに、より傷が付き難い塗膜が得られる導電性被膜形成用組成物およびこの製造方法を提供することを目的とする。また、この組成物に含有させることができる変性無機酸化物微粒子、この組成物の製造に用いることができる変性無機酸化物微粒子分散液およびこれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(8)である。
(1)画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子の表面に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、下記式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩の加水分解生成物を有する、変性無機酸化物微粒子。
【化1】

ここで、式[1]中、Aはピペリジン環またはピリジン環を意味する。また、R1、R3は各々、炭素数1〜10のアルキル基を意味する。また、R2は炭素数1〜4のアルキル基を意味する。また、X-はCl-、Br-または(R4SO22-を意味し、R4は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を意味する。また、nは2〜10の整数であり、aは0〜2の整数である。
(2)上記(1)に記載の変性無機酸化物微粒子が分散した変性無機酸化物微粒子分散液。
(3)画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子が分散した分散液に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩を添加して得られる、変性無機酸化物微粒子分散液。
(4)pH2において−15mV以上のゼータ電位である、上記(2)または(3)に記載の変性無機酸化物微粒子分散液。
(5)上記(1)に記載の変性無機酸化物微粒子と、マトリックス源と、溶媒とを含む、導電性被膜形成用組成物。
(6)上記(5)に記載の導電性被膜形成用組成物を基材の表面に塗布してなる被膜付き基材。
(7)画像解析法により測定される平均粒子径が4〜200nmである無機酸化物微粒子が分散した固形分濃度5〜60質量%の分散液に、式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩を添加して、上記(2)〜(4)のいずれかに記載の変性無機酸化物微粒子分散液を得る、変性無機酸化物微粒子分散液の製造方法。
(8)前記無機酸化物微粒子が分散した分散液に前記アンモニウム塩を添加した後、25〜100℃で1〜50時間加熱する、上記(7)に記載の変性無機酸化物微粒子分散液の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、帯電防止能が高く、水に濡れても帯電防止能が低下し難く、さらに、より傷が付き難い塗膜が得られる導電性被膜形成用組成物およびこの製造方法を提供することができる。また、この組成物に含有させることができる変性無機酸化物微粒子、この組成物の製造に用いることができる変性無機酸化物微粒子分散液およびこれらの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について説明する。
本発明は、画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子の表面に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、下記式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩の加水分解生成物を有する、変性無機酸化物微粒子である。
【0010】
【化2】

【0011】
ここで、式[1]中、Aはピペリジン環またはピリジン環を意味する。また、R1、R3は各々、炭素数1〜10のアルキル基を意味する。また、R2は炭素数1〜4のアルキル基を意味する。また、X-はCl-、Br-または(R4SO22-を意味し、R4は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を意味する。また、nは2〜10の整数であり、aは0〜2の整数である。
【0012】
このような変性無機酸化物微粒子を、以下では「本発明の微粒子」ともいう。
また、上記の式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩を、以下では「本発明のアンモニウム塩」ともいう。
【0013】
また、本発明は、画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子が分散した分散液に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩(本発明のアンモニウム塩)を添加して得られる、変性無機酸化物微粒子分散液である。
このような分散液を、以下では「本発明の分散液」ともいう。
【0014】
また、本発明は、本発明の微粒子と、マトリックス源と、溶媒とを含む、導電性被膜形成用組成物である。
このような導電性被膜形成用組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
【0015】
さらに、本発明は、本発明の組成物を基材の表面に塗布してなる被膜付き基材である。
このような被膜付き基材を、以下では「本発明の被膜付き基材」ともいう。
【0016】
<本発明の微粒子>
初めに、本発明の微粒子について説明する。
本発明の微粒子は、特定の平均粒子径の無機酸化物微粒子の表面に、特定量で本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物を有するものである。
【0017】
ここで無機酸化物微粒子の平均粒子径は画像解析法によって測定した値である。具体的には、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製:JSM−5300型)を用いて無機酸化物微粒子を撮影(例えば、倍率250,000倍)し、この画像の250個の粒子について、画像解析装置(例えば、旭化成株式会社製:IP−1000)を用いて粒子径を測定して、得られた粒子径分布から算出したメジアン径が、本発明における前記無機酸化物微粒子の平均粒子径である。
【0018】
前記無機酸化物微粒子は、このような画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmであり、6〜150nmであることが好ましく、8〜130nmであることがより好ましく、10〜50nmであることがさらに好ましい。
【0019】
また、無機酸化物微粒子の種類は特に限定されず、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどを用いることができるが、シリカまたはチタニアを用いることが好ましい。
【0020】
本発明の微粒子は、このような無機酸化物微粒子の表面に、特定量で本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物を有するものである。
本発明のアンモニウム塩は上記のような式[1]で表される構造を備えるが、前記加水分解生成物は、式[1]におけるR1およびR3の各々が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかである本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物であることが好ましい。
また、式[1]におけるaが好ましくは0または1、より好ましくは0である本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物であることが好ましい。
また、式[1]におけるnが好ましくは2〜5、より好ましくは2〜4である本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物であることが好ましい。
【0021】
また、前記無機酸化物微粒子の表面に存する本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物の量は、前記無機酸化物微粒子1モルに対し、5×10-3〜200×10-3モルの量であり、5×10-3〜150×10-3モルの量であることが好ましく、20×10-3〜120×10-3モルの量であることがより好ましい。
【0022】
上記のような、特定の平均粒子径の無機酸化物微粒子の表面に特定量で本発明のアンモニウム塩の加水分解生成物を有するものである本発明の微粒子を用いると、帯電防止能が高く、水に濡れても帯電防止能が低下し難く、さらに、より傷が付き難い塗膜を形成することができる導電性被膜形成用組成物を得ることができる。
【0023】
本発明の微粒子は、次に説明する本発明の分散液に固形分として含まれるものである。つまり、本発明の分散液は本発明の微粒子が分散媒に分散しているものである。したがって、本発明の微粒子は、本発明の分散液における分散媒から分離して得ることができる。
【0024】
<本発明の分散液>
次に、本発明の分散液について説明する。
本発明の分散液は、前述の本発明の微粒子が備える無機酸化物微粒子が分散した分散液に、特定量の本発明のアンモニウム塩を添加して得られるものである。
【0025】
本発明の分散液を得るためには、初めに、前述の本発明の微粒子が備えるものと同様の無機酸化物微粒子(すなわち、画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmであり、シリカ等からなる無機酸化物微粒子)が分散した分散液を用意する。
この分散液の分散媒は特に限定されず、例えば従来公知の分散媒を用いることができる。分散媒は水系であってもよいが、有機系を用いることが好ましい。具体的には後述する本発明の組成物が含む溶媒を分散媒として用いることが好ましい。
また、分散液における固形分濃度についても特に限定されないが、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、20〜40質量%であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明の分散液を得るためには、上記のような無機酸化物微粒子が分散した分散液に、本発明のアンモニウム塩を所定量添加する。
本発明のアンモニウム塩は上記のような式[1]で表される構造を備えるが、式[1]においてR1およびR3は、各々、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のいずれかであることが好ましい。
また、式[1]においてaは、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
また、式[1]においてnは、2〜5であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。
【0027】
また、前記無機酸化物微粒子が分散した分散液に本発明のアンモニウム塩を添加する量は、前記無機酸化物微粒子1モルに対し、5×10-3〜200×10-3モルの量であり、5×10-3〜150×10-3モルの量であることが好ましく、20×10-3〜120×10-3モルの量であることがより好ましい。
【0028】
このように、前記無機酸化物微粒子が分散した分散液に特定量の本発明のアンモニウム塩を添加すると、本発明のアンモニウム塩が加水分解し、その加水分解生成物が特定量、前記無機酸化物微粒子の表面に付着する。
本発明者は、無機酸化物微粒子と本発明のアンモニウム塩の加水分解物との間で何らかの化学反応を起こし、これらは強固に結合しているものと考えている。具体的には無機酸化物微粒子の表面の水酸基と、本発明のアンモニウム塩の加水分解物が有する官能基との間で脱水縮合反応が起こり、この加水分解生成物が前記無機酸化物微粒子の表面に強固に付着しているものと考えている。なお、このような化学反応による結合の他にも、何らかの作用によって、前記加水分解物は無機酸化物微粒子の表面に付着している可能性もある。
このような変性無機酸化物微粒子分散液を原料として用いて得られる導電性被膜形成用組成物によると、帯電防止能が高く、水に濡れても帯電防止能が低下し難く、さらに、より傷が付き難い塗膜を形成することができる。
【0029】
また、前記無機酸化物微粒子が分散した分散液に、本発明のアンモニウム塩を所定量添加した後、25〜100℃で1〜50時間加熱することが好ましい。このような加熱を行うことで、これを用いて得られる導電性被膜形成用組成物における帯電防止能がより高くなり、水に濡れても帯電防止能がより低下し難くなり、さらに、より傷が付き難い塗膜を形成することができるからである。これは、このような加熱を行うことで、無機酸化物微粒子と本発明のアンモニウム塩の加水分解物との間の化学反応が進行し、より強固な結合となるためであると本発明者は推定している。
ここで加熱温度は25〜100℃であるが、25〜70℃であることが好ましく、30〜50℃であることがより好ましい。
また、加熱時間は1〜50時間であるが、1〜25時間であることが好ましく、2〜20時間であることがより好ましい。
【0030】
また、このようにして得られる本発明の分散液は、安定性が高く、長時間が経過しても分散状態を保持することができる。
【0031】
また、本発明の分散液は、pH2において−15mV以上のゼータ電位であることが好ましく、20〜70mVであることがより好ましく、30〜60mVであることがさらに好ましい。このようなゼータ電位であると分散液の安定性がより良好になるからである。
【0032】
<本発明の組成物>
次に本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物は、本発明の微粒子と、マトリックス源と、溶媒とを含むものであり、これらを混合して得ることができるが、本発明の分散液とマトリックス源と溶媒とを混合しても得ることができる。また、本発明の分散液において、分散媒として溶媒として用いることができるものを用いている場合、本発明の分散液にマトリックス源を添加して本発明の組成物を得ることもできる。
【0033】
[マトリックス源]
本発明の組成物が含むマトリックス源について説明する。
本発明の塗布液が含むマトリックス源は、本発明の被膜付き基材における被膜中でマトリックス成分となるものであり、有機ケイ素化合物および/または有機樹脂を用いることが好ましい。
【0034】
マトリックス源として用いることができる有機ケイ素化合物は、下記式[II]で表されるものであることが好ましい。
【0035】
式[II]:Rn−SiX4-n
【0036】
ただし、式[II]中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であり、互いに同一であっても異なってもよい。また、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基、ハロゲンまたは水素である。また、nはSiに結合するRの個数を意味し、0〜3の整数であり、1〜3の整数であることが好ましい。よって、Xは少なくとも1つはSiと結合している。
【0037】
また、式[II]中のRが、ハロゲン置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基、エポキシ基、カルボキシル基、ケトン基、エーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ホスフェート基、ハロゲン基、チオール基およびスルホニル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの有機官能基を含むことが好ましい。
【0038】
このような式[II]で表される有機ケイ素化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3−ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等の部分加水分解物などが挙げられる。また、これら有機ケイ素化合物の2種以上の縮合物や変性体であってもよい。
【0039】
また、マトリックス源として用いることができる有機樹脂としては、塗料用樹脂として公知の紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸系樹脂、γ‐グリシルオキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニル系樹脂をはじめとする紫外線硬化性樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
また、これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。
さらに、熱硬化性樹脂または紫外線等電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。また、熱硬化型、電子線硬化型などの硬化性樹脂の場合、マトリックス源は反応前のモノマーであってよい。この場合、マトリックス成分は当該モノマーが重合反応したポリマーである。
【0040】
[溶媒]
本発明の組成物が含む溶媒について説明する。
本発明の組成物が含む溶媒は、前記マトリックス源および必要に応じて用いる重合開始剤を溶解または分散することができものであれば特に限定はなく、例えば従来公知の溶媒を用いることができる。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用することもできる。
【0041】
[重合開始剤]
また、本発明の組成物は重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤としては例えば従来公知のものを用いることができ、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシメチル−2−メチルフェニル-プロパン−1−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0042】
[本発明の組成物の組成]
本発明の組成物は、本発明の微粒子と、マトリックス源と、溶媒とを含むものであり、他を含んでもよいが、本発明の微粒子と、マトリックス源と、溶媒とからなることが好ましい。
また、本発明の組成物は、マトリックス源として用い得る前記有機ケイ素化合物を加水分解するための触媒として酸またはアルカリを含有してもよい。また、メタノール等の粘度調整剤等を含有してもよい。
【0043】
本発明の組成物における本発明の微粒子およびマトリックス源の合計濃度は特に限定されないものの、固形分として1〜60質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましい。この合計濃度が少なすぎると、一回の塗布では所定の膜厚が得られないことがあり、塗布、乾燥を繰り返すと密着性等が不充分となり、経済性において不利である。逆に、合計濃度が高すぎると、粘度が上昇して、得られる被膜の厚さが不均一になる場合がある。
【0044】
また、本発明の組成物における本発明の微粒子の濃度は特に限定されないものの、固形分として0.05〜48質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましい。
また、本発明の組成物における本発明の微粒子の濃度は、本発明の組成物を用いて被膜を形成した場合に、得られる被膜中の本発明の微粒子の含有量が0.01〜80質量%となるような濃度であることが好ましく、0.05〜75質量%となるような濃度であることがより好ましい。
【0045】
また、本発明の組成物におけるマトリックス源の濃度は特に限定されないものの、固形分として0.2〜57質量%であることが好ましく、0.5〜54質量%であることがより好ましい。
また、本発明の組成物におけるマトリックス源の濃度は、本発明の組成物を用いて被膜を形成した場合に、得られる被膜中のマトリックス成分の含有量が20〜99.99質量%となるような濃度であることが好ましく、25〜99.95質量%となるような濃度であることがより好ましい。
【0046】
本発明の組成物は、本発明の微粒子およびマトリックス源の濃度が上記のようになるように、本発明の微粒子とマトリックス源と溶媒とを混合して得ることができる。また、必要に応じて重合開始剤を加えることもできる。重合開始剤を用いる場合、本発明の組成物における重合開始剤の濃度は0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。
【0047】
<本発明の被膜付き基材>
次に、本発明の被膜付き基材について説明する。
本発明の被膜付き基材は、本発明の組成物を基材の表面に塗布して形成することができるものである。
【0048】
[基材]
本発明の被膜付き基材が備える基材は、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えばガラス、ポリカーボネート(PC)、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン、ノルボルネン等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等が挙げられる。また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。他の被膜としては従来公知のプライマー膜、ハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜等が挙げられる。
【0049】
[マトリックス成分]
本発明の被膜付き基材が備える被膜は、本発明の微粒子の他に、マトリックス成分を含む。
マトリックス成分は、本発明の組成物が含むマトリックス源と同一のものであってよく、有機ケイ素化合物であることが好ましい。
【0050】
[被膜の組成]
本発明の被膜付き基材が備える被膜は、本発明の微粒子とマトリックス成分とを主成分とするものである。ここで主成分とは50質量%以上であることを意味するものとする。
本発明の被膜付き基材が備える被膜における本発明の微粒子とマトリックス成分との合計含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%、すなわち、被膜が実質的に本発明の微粒子とマトリックス成分とからなることが好ましい。
【0051】
また、本発明の被膜付き基材が備える被膜中における本発明の微粒子の含有量は、0.01〜80質量%であり、0.05〜75質量%であることがより好ましい。被膜中の本発明の微粒子の含有量が少なすぎると耐擦傷性、膜強度等が不充分となる場合があり、逆に多すぎるとマトリックス成分が少なく、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
【0052】
また、本発明の被膜付き基材が備える被膜中のマトリックス成分の含有量は、20〜99.99質量%であることが好ましく、25〜99.95質量%であることがより好ましい。マトリックス成分の含有量が少なすぎると基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。逆にマトリックス成分の含有量が多すぎると、本発明の微粒子の量が少なくなり耐擦傷性、膜強度等が不充分となる場合がある。
【0053】
本発明の被膜付き基材は、目的に応じて、本発明の微粒子以外に、従来公知の粒子を被膜中に含むことができる。例えば、低屈折率無機酸化物粒子、高屈折率無機酸化物粒子、導電性無機酸化物粒子等をさらに含有することができる。
【0054】
[被膜の厚さ]
本発明の被膜付き基材が備える乾燥後の被膜の厚さ(Th)は50nm〜20μmであることが好ましく、100nm〜20μmであることがより好ましい。被膜の厚さが薄過ぎると耐擦傷性、膜強度が不充分となる場合がある。逆に厚さが厚すぎると、膜の厚さが不均一になったり、被膜にクラックやボイドを生じたり、このため膜強度が不充分となったり、プラスチック等の基材ではカーリング(湾曲あるいは反り)を生じる場合がある。
【0055】
なお、被膜の厚さ(Th)は、触針法で測定して求めた値とする。
【0056】
また、前記無機酸化物微粒子の平均粒子径(DO)と膜厚(Th)との比(DO)/(Th)が0.3〜1.0であることが好ましく、0.5〜0.9であることがより好ましい。さらに、このような(DO)/(Th)であって、かつ、被膜の厚さ(Th)が50nm〜20μmであり、かつ、平均粒子径(DO)が10nm〜20μmであることがさらに好ましい。より基材との密着性、硬度、耐擦傷性等に優れた被膜付基材を得ることができるからである。この比(DO)/(Th)が小さすぎると、基材との密着性を向上させる効果、硬度、耐擦傷性を向上させる効果等が不充分となり、逆に(DO)/(Th)が大きくすると被膜表面に凹凸が形成される場合があり、耐擦傷性、鉛筆硬度等が低下する場合がある。
【0057】
[本発明の被膜付き基材の製造方法]
本発明の被膜付き基材は従来公知の方法で製造することができる。
例えば、本発明の微粒子がアルコールや水等の溶媒に分散している液に有機ケイ素化合物を必要量加え、これに必要に応じて水を加え、さらに必要に応じて加水分解用触媒として酸(塩酸等)またはアルカリを加えて有機ケイ素化合物を加水分解し、これを基材に塗布することによって本発明の被膜付き基材を得ることができる。本発明の微粒子がアルコールや水等の溶媒に分散している液にメタノール等の従来公知の粘度調整剤や、被膜の乾燥速度をコントロールするための従来公知の溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル等)を添加することも好ましい。
また、例えばマトリックス源として有機樹脂を含む本発明の組成物をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって被膜を形成することができる。
【実施例】
【0058】
初めに、実施例で用いるアンモニウム塩I〜IIIを合成した。
以下に各々を合成する方法を説明する。
【0059】
<合成例1:アンモニウム塩I>
[1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウムクロライド]の合成
1−メチルピぺリジン10.0g(0.101モル)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン18.2g(0.092モル)との混合物を90℃で72時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液にアセトニトリル40.0gを加えて濾過した。そして、濾滓を減圧下に乾燥して1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウム=クロライド9.2gを得た。次に、得られた1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウム=クロライド9.2g(0.031モル)をアセトン50.0gに溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム8.9g(0.031モル)を混合して24時間室温で攪拌した。そして、反応液を濃縮し、得られた濃縮残渣に酢酸エチル20.0g加えた後に、析出した結晶を濾過し、得られた濾液を濃縮した。その後、析出した結晶を濃縮残渣から濾過して除き、液体の1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド15.5gを得た。
得られた1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウムクロライドを、以下では「アンモニウム塩I」ともいう。
アンモニウム塩Iの化学式を以下に示す。
【0060】
【化3】

【0061】
<合成例2:アンモニウム塩II>
[1−(トリメトキシシリルプロピル)−3−メチルピリジニウムクロライド]の合成
3−メチルピリジン15.0g(0.161モル)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン29.1g(0.147モル)との混合物を90℃で72時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液に酢酸エチル75.0gを加えて濾過した。そして、濾滓を酢酸エチル15.0gで2回洗浄し、減圧下に乾燥して1−(トリメトキシシリルプロピル)−3−メチルピリジニウムクロライド35.1gを得た。次に、得られた1−(トリメトキシシリルプロピル)−3−メチルピリジニウム=クロライド15.0g(0.051モル)をアセトン60.0gに溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム14.7g(0.051モル)を加えた後、24時間室温で攪拌した。そして、反応液を濾過し、得られた濾液を濃縮し、析出した結晶を濃縮残渣から濾過により除き、液体の1−(トリメトキシシリルプロピル)−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド24.6gを得た。
得られた1−(トリメトキシシリルプロピル)−3−メチルピリジニウムクロライドを、以下では「アンモニウム塩II」ともいう。
アンモニウム塩IIの化学式を以下に示す。
【0062】
【化4】

【0063】
<合成例3:アンモニウム塩III>
[1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド]の合成
1−メチルピぺリジン10.0g(0.101モル)と3−クロロプロピルトリメトキシシラン18.2g(0.092モル)との混合物を90℃で72時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液にアセトニトリル40.0gを加えて濾過した。そして、濾滓を減圧下に乾燥して1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウムクロライド9.2gを得た。次に、得られた1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウムクロライド9.2g(0.031モル)をアセトン50.0gに溶解させ、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム8.9g(0.031モル)を混合して24時間室温で攪拌した。そして、反応液を濃縮し、得られた濃縮残渣に酢酸エチル20.0g加えた後に、析出した結晶を濾過し、得られた濾液を濃縮した。析出した結晶を濃縮残渣から濾過して除き、液体の1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド15.5gを得た。
得られた1−メチル−1−(トリメトキシシリルプロピル)ピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、以下では「アンモニウム塩III」ともいう。
アンモニウム塩IIIの化学式を以下に示す。
【0064】
【化5】

【0065】
<実施例1>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調整]
平均粒子径12nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール77質量%、水3質量%、シリカ濃度20質量%)の300g(シリカ1モルに相当)をビーカに入れて、40℃恒温槽に浸漬し、攪拌した。そして、シリカオルガノゾルの液温が40℃に達した後、40℃を維持しながらアンモニウム塩Iを23×10-3モルを添加し、2時間継続して攪拌し、シリカ微粒子の表面にアンモニウム塩Iの加水分解生成物が付いた変性シリカ微粒子分散液A1を得た。
【0066】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液A1を10℃で60日間保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
なお、第1表において、安定性試験の結果について「◎」、「○」、「△」、「×」で示しているが、各々は次のような基準に基づいて判断した結果である。
◎:10℃で60日間保管後において、目視外観に変化はなく、粘度が初期粘度の1.2倍以内の変化率のもの。
○:10℃で60日間保管後において、目視外観に変化はなく、粘度が初期粘度の1.2倍超1.5倍以内の変化率のもの。
△:10℃で60日間保管後において、目視外観に変化はあるが、流動性があるもの。
×:10℃で60日間保管後において、目視外観に変化はあり、沈降物が発生しているもの。
【0067】
[塗膜試験(表面抵抗(耐水性)および硬度の測定)]
変性シリカ微粒子分散液A1(固形分21.6質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに、0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4−pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるようにアクリル製基板に塗布し、100℃で20分乾燥して被膜付き基板を形成した。
なお、変性シリカ微粒子分散液A1の固形分濃度は、200℃で20時間の乾燥処理の前後での質量から算定した。
【0068】
このようして得た被膜付き基板の外観観察(目視)を行った。第1表にその結果を示す。
なお、第1表において、外観観察の結果について「◎」、「○」、「△」、「×」で示しているが、各々は次のような基準に基づいて判断した結果である。
◎:目視において、全く白濁が認められないもの。
○:目視において、若干白濁が認められるもの。
△:目視において、やや白濁が認められるもの(「○」よりも白濁しており、「×」よりも白濁していないもの)。
×:目視において、白濁が認められるもの。
【0069】
また、このようにして得た被膜付き基板の表面抵抗を測定した。表面抵抗は、表面抵抗計(三菱化学(株)製:ハイレスタ)を用いて測定した。
測定結果を第1表に示す。
なお、第1表には、表面抵抗の測定結果を用いた耐水性判定の結果についても示した。耐水性判定の基準は、次の通りである。
○:被膜付き基板を水に24時間浸漬した後、100℃で20分間乾燥して得たものの表面抵抗の、浸漬前の被膜付き基板の表面抵抗に対する比(乾燥後/浸漬前)が5倍以内のもの。
△:被膜付き基板を水に24時間浸漬した後、100℃で20分間乾燥して得たものの表面抵抗の、浸漬前の被膜付き基板の表面抵抗に対する比(乾燥後/浸漬前)が5倍を超え、100倍以内のもの。
×:被膜付き基板を水に24時間浸漬した後、100℃で20分間乾燥して得たものの表面抵抗の、浸漬前の被膜付き基板の表面抵抗に対する比(乾燥後/浸漬前)が100倍を超えるもの。
【0070】
次に、上記のようにして得た被膜付き基板の鉛筆硬度を測定した。測定結果を第1表に示す。
なお、鉛筆硬度の測定は鉛筆硬度試験機(東洋精機製作所製)を使用し、鉛筆硬度試験用「三菱ユニ」を用いて、JISK5400に基づき荷重1kg、鉛筆先接触角45度で実施した。
【0071】
<実施例2>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
平均粒子径12nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール77質量%、水3質量%、シリカ濃度20質量%)の300g(シリカ1モルに相当)をビーカに入れて、48℃恒温槽に浸漬し、攪拌した。そして、シリカオルガノゾルの液温が48℃に達した後、48℃を維持しながらアンモニウム塩IIIを70×10-3モルを添加し、17時間継続して攪拌し、シリカ微粒子の表面にアンモニウム塩IIIの加水分解生成物が付いた変性シリカ微粒子分散液A2を得た。
【0072】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液A2を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0073】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液A2(固形分24.5質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0074】
<実施例3>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
平均粒子径12nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール77質量%、水3質量%、シリカ濃度20質量%)の300g(シリカ1モルに相当)をビーカに入れて、40℃恒温槽に浸漬し、攪拌した。シリカオルガノゾルの液温が40℃に達した後、40℃を維持しながらアンモニウム塩Iを110×10-3モルを添加し、17時間継続して攪拌し、シリカ微粒子の表面にアンモニウム塩Iの加水分解生成物が付いた変性シリカ微粒子分散液A3を得た。
【0075】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液A3を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0076】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液A3(固形分27.2質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0077】
<実施例4>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
平均粒子径20nmのチタニア微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるチタニアオルガノゾル(エチルアルコール77質量%、水3質量%、チタニア濃度20質量%)の400gをビーカに入れて、40℃恒温槽に浸漬し、攪拌した。そして、チタニアオルガノゾルの液温が40℃に達した後、40℃を維持しながらアンモニウム塩IIを100×10-3モル添加し、17時間継続して攪拌し、チタニア微粒子の表面にアンモニウム塩IIの加水分解生成物が付いた変性チタニア微粒子分散液A4を得た。
【0078】
[安定性試験]
変性チタニア微粒子分散液A4を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0079】
[塗膜試験]
変性チタニア微粒子分散液A4(固形分26.5質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0080】
<実施例5>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3において用いたシリカオルガノゾルの代わりに、平均粒子径17nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール77質量%、水3質量%、シリカ濃度20質量%)300gを使用し、さらに、アンモニウム塩Iの添加量を50×10-3モルに変更したこと以外は実施例3と同様にして、変性シリカ微粒子分散液A5を得た。
【0081】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液A5を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0082】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液A5(固形分23.2質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0083】
<実施例6>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3において用いたシリカオルガノゾルの代わりに、平均粒子径45nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール67質量%、水3質量%、シリカ濃度30質量%)100gを使用し、さらに、アンモニウム塩Iの添加量を25×10-3モルに変更したこと以外は実施例3と同様にして、変性シリカ微粒子分散液A6を得た。
【0084】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液A6を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0085】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液A6(固形分21.6質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0086】
<実施例7>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3において用いたシリカオルガノゾルの代わりに、平均粒子径120nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール57質量%、水3質量%、シリカ濃度40質量%)100gを使用し、さらに、アンモニウム塩Iの添加量を7×10-3モルに変更したこと以外は実施例3と同様にして、変性シリカ微粒子分散液A7を得た。
【0087】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液A7を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0088】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液A7(固形分20.4質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0089】
<比較例1>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3ではアンモニウム塩Iを110×10-3モル添加したが、この添加量を250×10-3モルとしたこと以外は実施例3と同様にして、変性シリカ微粒子分散液B1を得た。
【0090】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液B1を10℃で60日保管したところ、沈殿物が発生した。その結果を第1表に示す。
【0091】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液B1(固形分34.5質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0092】
<比較例2>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3ではアンモニウム塩Iを110×10-3モル添加したが、この添加量を2×10-3モルとしたこと以外は実施例3と同様にして、変性シリカ微粒子分散液B2を得た。
【0093】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液B2を10℃で60日保管したが、沈殿物もなく、安定であった。その結果を第1表に示す。
【0094】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液B2(固形分20.0質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0095】
<比較例3>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3では平均粒子径12nmのシリカ微粒子がエチルアルコールと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾルを用いたが、これに代えて、平均粒子径280nmのシリカ微粒子がエチルアルコ−ルと水との混合液に分散してなるシリカオルガノゾル(エチルアルコール77質量%、水3質量%、シリカ濃度20質量%)を用いた。また、実施例3ではアンモニウム塩Iを110×10-3モル添加したが、この添加量を23×10-3モルとした。そして、これら以外は実施例3と同様にして、変性シリカ微粒子分散液B3を得た。
【0096】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液B3を10℃で60日保管したところ、目視において変化していたが、流動性は保持されていた。その結果を第1表に示す。
【0097】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液B3(固形分21.5質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0098】
<比較例4>
[変性無機酸化物微粒子分散液の調製]
実施例3ではシリカオルガノゾルを40℃に維持しながらアンモニウム塩Iを110×10-3モル添加し、17時間継続して攪拌したが、この代わりに、シリカオルガノゾルを25℃に維持しながらN−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドを110×10-3モル添加し、4時間継続して攪拌して、変性シリカ微粒子分散液B4を得た。
【0099】
N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドの構造式を以下に示す。
【0100】
【化6】

【0101】
[安定性試験]
変性シリカ微粒子分散液B3を10℃で60日保管したところ、目視において変化していたが、流動性は保持されていた。その結果を第1表に示す。
なお、第1表においては、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドを、「アルコキシシリル基を有するアンモニウム塩IV」と示している。
【0102】
[塗膜試験]
変性シリカ微粒子分散液B4(固形分14.1質量%)の8.37g(固形分換算)とマトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6g(固形分換算)とを混合し、さらに0.01規定塩酸3.4g、メタノール2.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.0g、架橋剤(Tris(2,4-pentanedionato)iron(III)3.1gとTris(2,4-pentanedionato)aluminum(III)1.1gの混合物)を混合して、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0103】
<比較例5>
シリカオルガノゾルを用いずに塗膜試験を行った。
具体的には、アンモニウム塩I:110×10-3モルと、マトリックス成分(γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)11.6gとを混合し、塗布液を調製した。
そして実施例1と同様に、この塗布液を乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、被膜付き基板を形成し、外観観察を行い、表面抵抗を測定し、耐水性を判定し、鉛筆硬度の測定を行った。
結果を第1表に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子の表面に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、下記式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩の加水分解生成物を有する、変性無機酸化物微粒子。
【化1】

ここで、式[1]中、Aはピペリジン環またはピリジン環を意味する。また、R1、R3は各々、炭素数1〜10のアルキル基を意味する。また、R2は炭素数1〜4のアルキル基を意味する。また、X-はCl-、Br-または(R4SO22-を意味し、R4は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を意味する。また、nは2〜10の整数であり、aは0〜2の整数である。
【請求項2】
請求項1に記載の変性無機酸化物微粒子が分散した変性無機酸化物微粒子分散液。
【請求項3】
画像解析法によって測定される平均粒子径が4〜200nmの無機酸化物微粒子が分散した分散液に、前記無機酸化物微粒子1モルに対し5×10-3〜200×10-3モルの量で、式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩を添加して得られる、変性無機酸化物微粒子分散液。
【請求項4】
pH2において−15mV以上のゼータ電位である、請求項2または3に記載の変性無機酸化物微粒子分散液。
【請求項5】
請求項1に記載の変性無機酸化物微粒子と、マトリックス源と、溶媒とを含む、導電性被膜形成用組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の導電性被膜形成用組成物を基材の表面に塗布してなる被膜付き基材。
【請求項7】
画像解析法により測定される平均粒子径が4〜200nmである無機酸化物微粒子が分散した固形分濃度5〜60質量%の分散液に、式[1]で表されるアルコキシシリル基を有するアンモニウム塩を添加して、請求項2〜4のいずれかに記載の変性無機酸化物微粒子分散液を得る、変性無機酸化物微粒子分散液の製造方法。
【請求項8】
前記無機酸化物微粒子が分散した分散液に前記アンモニウム塩を添加した後、25〜100℃で1〜50時間加熱する、請求項7に記載の変性無機酸化物微粒子分散液の製造方法。


【公開番号】特開2012−136384(P2012−136384A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289786(P2010−289786)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】