説明

変性疾患の予防および治療のための細菌組成物

本開示は、高度なbsh活性を持つ細菌、その単離物または上清を含む、血清コレステロール、血清脂質、体脂肪もしくは動脈硬化指数を低減させるための、またはアテローム性動脈硬化、心血管もしくは脳血管疾患の予防もしくは治療のための経口組成物であって、高度なbsh活性を持つ細菌はそれぞれ1時間および5時間かけて測定された時にグリコデオキシコール酸(GDCA)を>50μmol/グラム/時でおよびタウロデオキシコール酸(TDCA)を>2μmol/グラム/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>65μmol/g/時でおよびTDCAを>7μmol/g/時で分解する経口組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は2009年5月1日に出願され共に係属している米国仮出願第61/174,740号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は高度なbsh活性を持つ細菌の改良された経口組成物、その単離物または上清、および改良された組成物を調製するためのプロセスに関する。本開示はまた、血清コレステロール、血清脂質、体脂肪または動脈硬化指数(atherogenic index)を低減させるための、ならびにアテローム性動脈硬化、心血管または脳血管疾患の予防および治療のための、改良された経口組成物の方法および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
高コレステロール血症および冠動脈疾患
冠動脈疾患(CAD)は西欧諸国において主たる死亡原因であり、最も一般的な心疾患の形態であり、突然死の最も一般的な原因である。臨床的および疫学的な証拠は増加した血清コレステロールとCADとの間の明らかな関連を立証した。見かけ上は健康な集団の中で、血清コレステロールと冠動脈リスクとの間に指数関数的な関係がある。中年において、CADリスクはコレステロールレベルが1%増加する毎に2から3%ずつ増加する。
【0004】
推定1億700万人のアメリカ人成人が5.18mmol/l(200mg/dL)以上の血清総コレステロールレベルを有する。これらの人のうち、およそ3700万人が6.22mmol/l(240mg/dL)以上のレベルを有する。成人において、6.22mmol/l以上の総コレステロールレベルは心血管に関係した事象についてハイリスクと考えられる一方、5.18から6.22mmol/lの間のレベルはハイリスクの境界線上と考えられる。ナショナルコレステロール教育プログラム(National Cholesterol Education Program: NCEP)の推奨によると、あらゆる治療の第一目標はLDLコレステロールレベルを低下させることである(Third Report of the NCEP Expert Panel、2002年)。新しいガイドラインは今では、介入を必要とするコレステロールのカットオフレベルを推定するのに年齢、家族歴、喫煙、高血圧、低HDLおよび糖尿病などの他のリスク因子を考慮する。一次予防におけるLDLのゴールはそれ故、短期または長期におけるCADに関係した事象についての患者の絶対的なリスクに依存する。現在は、近年改訂されたNCEPの推奨によると、さらに3600万人の米国民が高コレステロールについて治療されるべきである。現在は、脂質改変治療に適する患者の半数未満しか治療を受けておらず、治療された患者の3分の1のみがLDLコレステロールのゴールを達成している。
【0005】
アテローム性動脈硬化の病因
アテローム性動脈硬化およびCADにおける増加したLDLコレステロールの関与はよく実証されている。アテローム性動脈硬化はアポリポタンパク質Bを含有するリポタンパク質(例えばLDLコレステロール)が動脈壁中に保持されることにより開始される。時間とともに、動脈壁中に保持されたリポタンパク質は改変され(すなわち凝集され、酸化され)始め、不適応の炎症性応答へ展開する生物学的応答のカスケードを引き起こす(Tabasら、2007年)。とりわけ単球は内皮下層に入り、マクロファージへ分化し、保持された改変リポタンパク質を消化してコレステロールが蓄積された泡沫細胞になる。ついには炎症性細胞が病変に入り、前述の不適応の炎症性応答、確立された病変におけるリポタンパク質保持の拡大により加速されるプロセスへの寄与を助ける。サイトカインおよび増殖因子により媒介されるプロセスは平滑筋細胞が移動してコラーゲン性の線維性被膜(成熟したアテローム硬化プラーク)を形成する原因となるが、これはおそらくは病変を遮断するための傷跡様の応答としての可能性が高い(Tabasら、2007年)。しかしながら病変が進行するにつれ、マクロファージは死滅し、細胞外のデブリ、コレステロールの結晶、プロテアーゼおよび血栓性物質を含有する壊死領域をもたらす。この時点で線維性被膜の薄化、プラークの噴出または浸食が発生することがあり、これらは潜在的に心筋梗塞や脳卒中などの急性の血栓性血管事象を引き起こす。
【0006】
高密度リポタンパク質は「コレステロール逆輸送」において中心的な役割を果たすが、これは過剰なコレステロールが肝臓外の細胞から除去され、身体からの排泄のため肝臓に戻される経路である。末梢組織において、HDLはHDLアポリポタンパク質と細胞表面の結合部位または受容体との相互作用を包含する種々のメカニズムを通じて細胞のコレステロールを除去すると思われる(Tall、1998年)。レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用は吸収されたコレステロールをコレステロールエステルへと変換し、その結果、HDLの吸収能力を増加させることができる。肝臓に戻ると、コレステロールは胆汁酸塩へと代謝されて身体から排泄されうる。LDLおよびHDLコレステロールは身体のコレステロールバランス維持における主な因子であり、LDLに対するHDLの高比率はヒトにおけるCAD発生低下とよく相関する。
【0007】
高い血清トリグリセリドレベルは同様にアテローム性動脈硬化およびCADのリスク因子である。これについての特定の理由はアテローム生成性のキロミクロンおよびVLDLレムナントの産生増加、血清トリグリセリドとHDLとの間に存在する逆相関、ならびに潜在性の結果として生じるLDL増加を包含するが、このLDL増加はレムナント誘導性の肝臓LDL受容体に、同様により高密度でそれ故によりアテローム生成性のLDLの形成に、および血清トリグリセリドと線溶/凝固系との間の相互作用に起因するものである。増加したトリグリセリドレベルとアテローム性動脈硬化症のリスクとの間に複数の関連があるため、高トリグリセリド血症についてのスクリーニングは患者のアテローム性動脈硬化症のリスクを決定する際に重要である。
【0008】
アテローム性動脈硬化における免疫応答
アテローム性動脈硬化の病因は脂質異常症、血管内皮機能障害および慢性炎症性プロセスを包含すると思われている。いくつかの媒介物質がアテローム性動脈硬化における細胞内シグナリングに関与することが示されており、これらは一酸化窒素などの低分子、エイコサノイドおよびステロールなどの脂質媒介物質ならびにサイトカインを包含する。炎症は細胞から細胞へのシグナリングに関与する糖タンパク質であるサイトカインにより媒介され、サイトカインは上皮におけるマクロファージおよび樹状細胞により抗原または異物の刺激に反応して産生される。上皮が活性化されてケモカインおよび接着分子を発現する際、免疫応答は初期の脂肪線条形成に関わり、単球/リンパ球のリクルートメントおよび内皮下層への浸潤を導く。免疫応答はまた、細胞外のマトリックスタンパク質を分解して線維性被膜を弱化するマトリックスプロテアーゼをプラーク内の活性化された細胞が分泌する際、有害な臨床血管事象の発症に働いて、破裂および血栓形成を導く。近年は胃腸上皮表面上のToll様受容体(TLR)が炎症性応答の誘導に関連しており、これは炎症促進性サイトカインの産生のためのスタートシグナルの開始を助ける(TobiasおよびCurtiss、2007年)。
【0009】
特に強調すべき点は、アテローム性動脈硬化の環境における病原性(先天性および適応性)ならびに制御性免疫に対する、炎症促進性および抗炎症性サイトカインの寄与にある。サイトカインは、腫瘍壊死因子(TNF-アルファ)、インターロイキン-12、IL-18およびインターフェロンガンマを包含する基本的に炎症促進性の作用モードを持つサイトカイン、ならびにIL-4、IL-10、IL-13および内因性IL-1受容体アンタゴニストのIL-1raを包含する抗炎症性の作用モードを持つサイトカインに区別されうる。サイトカインの局所環境に応じて、CD4+細胞はTh1(炎症促進性)またはTh2(抗炎症性)系統に分化する。このTh1およびTh2細胞の主要な誘導物質とはそれぞれIL-12およびIL-10である。Th1プロセスに関与するサイトカインはIL-2、IFN-ガンマおよびTNFを包含する一方、Th2プロセスに関与するサイトカインはIL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10およびIL-13を包含する。30を超えるインターロイキンファミリーの主なメンバーが同定されており、その大部分はアテローム発生において役割を果たす。具体的には、それらは主に抗アテローム生成性(IL-1ra、IL-9、IL-10、IL-11)およびアテローム生成促進性(IL-1、IL-2、IL-6、IL-18)の性質に起因している。これらインターロイキンの調節は、アテローム性動脈硬化における免疫療法への最も容易に適用可能なアプローチである。上皮のTLRが非共生微生物のモチーフを認識すると腸内細菌は炎症性応答を開始し、このサイトカインシグナルがアテローム性動脈硬化のリスク増加に変わるものと思われる。この応答の推論は、共生微生物叢はTLRによるそれらの非炎症性モチーフの認識を通じて腸の恒常性を維持することが必要とされることである。近年の研究は、生理食塩水または発酵乳中で、遊離で送達される共生細菌(ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus))を送達することにより、腸において産生される炎症促進性サイトカインが大いに減少されうることを示している(Urbanskaら、2009年)。この研究はL.アシドフィラスが生理食塩水または発酵乳中で経口投与されるとIL-6、IL-12、TNF-アルファおよびIFN-ガンマレベルを減少させることを示した(IL-6のデータのみ公開された)(PrakashおよびUrbanska、2007年)。
【0010】
炎症促進性および抗炎症性サイトカインに加えて、高感度のC反応性タンパク質はほぼ間違いなく冠動脈リスクの最も重要な血清炎症性マーカーである。近年の研究は、CRP基礎レベルが増加した患者が心血管疾患、同様に糖尿病および高血圧のリスク増加状態にあることを示唆する。看護師700名の臨床試験は、トランス脂肪消費が最も多い四分位が最も少ない四分位よりも73%高いC反応性タンパク質の血中レベルを有することを示した(Lopez-Garcia、2005年)。他の研究はCRPが虚血性の壊死を補体依存的な様式で増悪しうることならびにCRPの阻害が心筋および大脳梗塞についての安全で有効な治療でありうることを示している(Pepysら、2006年)。
【0011】
メタボリックシンドローム
脂質異常症、アテローム性動脈硬化および慢性炎症はメタボリックシンドロームを通じて他の変性疾患とつながっている。メタボリックシンドロームは一個人における代謝リスク因子群により特徴づけられ、アテローム性動脈硬化、心血管疾患、脳血管疾患および糖尿病を発症する個人のリスクを増加させる。この一連の兆候および症状は5人中1人に影響を与え、罹患率は年齢の増加とともに増加する。いくつかの試験が米国における罹患率は最大で人口の25%と推定する(Fordら、2002年)。症状および特徴は以下を包含する:空腹時の高血糖-2型糖尿病もしくは空腹時グルコース障害、耐糖能障害またはインスリン抵抗性;高血圧;中心性肥満(内臓性、男性型またはリンゴ型の脂肪症としても知られる)、主としてウェスト周囲の脂肪沈着を伴う過体重。
【0012】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)はメタボリックシンドロームの肝臓での発現と考えられる。NAFLDは過剰なアルコール使用が原因でない場合の肝臓の脂肪性炎症として定義される。NAFLDは肥満、脂質異常症、インスリン抵抗性(IR)およびII型(非インスリン依存性)糖尿病と強く関連している。NAFLDはとりわけ組織像が未定義の場合、代謝性脂肪性肝障害の全範囲に及んでいる。NAFLDは臨床的に最も無痛性である単純な脂肪肝(脂肪性肝)として発現しうるものであり、または炎症もしくは線維症を伴う脂肪肝へと進行しうるものであるが、この場合はNASHと呼ばれる。一方、安定形態のNAFLDでさえ未だ未同定の罹患率を保有しうるが、これは脂肪性肝が非脂肪性肝よりも典型的に低効率で機能するためである。NASHは小葉の炎症を伴う脂肪症を特徴とする中間ステージである可能性が高い。NAFLDは一般的な世界人口の10〜39%に平均発生率20%で影響を及ぼすことが知られている(Angulo、2002年)。
【0013】
NAFLDに関連したリスク因子はいくつかある。これら因子は一般的な生活条件ならびに肥満、高血糖、II型糖尿病および高トリグリセリド血症などの疾患を包含する。加えてNAFLDは中心性肥満および内臓脂肪症に強く関連している。遺伝的および人種的因子もまたNAFLD/NASHに関連している。この障害はそれ故に来る数十年にわたる慢性肝疾患の負担に実質的に寄与するであろう。
【0014】
高コレステロール血症および脂質異常症の治療および予防
ヒトにおいてコレステロールレベルを低下させるための方法は食事管理、行動改変および運動ならびに薬物治療を伴う。食事介入は単独ではほとんどの個人で不十分である。食事性コレステロールを完全に除去して脂肪含量を1日あたりのカロリー摂取量の10パーセントより少なく制限しても、ストレス管理および有酸素運動と組み合わせた時に5年後で4パーセントしかアテローム硬化プラークの退縮がもたらされないことを試験は示す(Ornishら、1990年)。
【0015】
LDLコレステロール低下のための付加的な食事の選択肢が提案されており、この選択肢は可溶性繊維、植物ステロールおよびスタノールならびに大豆タンパク質を包含する。近年の報告は1日あたり5〜10gの可溶性形態の食物繊維がLDLコレステロールをおよそ5%低減させうることを指し示す(Third Report of the NCEP Expert Panel、2002年)。HDLコレステロールに関してはほとんどまたは全く効果がないか、一致しない効果が報告されている。しかしながらコレステロールおよび胆汁代謝経路の調節は必要とされるであろうと思われ、これは食事摂取量を低下させるまたはコレステロール異化作用を増加させる試みが、肝臓の酵素に影響するコレステロール低下薬物治療と組み合わせて用いられなければHDLの減少をもたらすという多くの証拠が試験からあるためである。その上、不溶性繊維は循環コレステロールレベルに顕著に影響すると示されていない。動物およびヒト試験は、植物スタノールおよびステロールが血漿の総コレステロールおよび低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルを低減させることを示す。データは、用量2〜3g/日の植物由来ステロールおよびスタノールエステルがトリグリセリドまたはHDLコレステロールレベルに顕著な変化なくLDLコレステロールレベルを6〜15%減少させることを示している(HallikainenおよびUusitupa、1999年)。さらにはHDLの減少が見られないまたは統計的に有意でないHDL減少を示す試験は、しばしばスタチンなどの肝臓の酵素経路を変えるコレステロール低下薬物治療を受けた患者を包含している。飽和脂肪酸およびコレステロールが少ない食事に包含される大豆タンパク質はLDLコレステロールをおよそ5%低下させることが示されているが、しかしながら必要用量はよく知られていない(Jenkinsら、2000年)。
【0016】
スタチンはHMG-CoA還元酵素の阻害を通じて顕著に内因性のコレステロール合成を低減させ、肝臓において低密度リポタンパク質受容体をアップレギュレートさせることができ、これによりLDL-Cの20〜30%の低減を導く。スタチンの有効性は数多くの臨床試験において十分に評価されている(Pedersenら、1994年)。スタチンはしかしながら、稀であるが潜在的に重篤な副作用を呈することが示されている。これらのうち最も優勢なのは生命を危うくする横紋筋融解症に発展する可能性があるミオパチー、および多発ニューロパチーである(Gaistら、2001年;Gaistら、2002年;OmarおよびWilson、2002年;Staffaら、2002年)。
【0017】
フィブレート治療もまた低HDLコレステロール-高トリグリセリド脂質異常症を持つハイリスク患者において長期の利益を与えることが示されている(Goldenbergら、2008年)。フィブレートはまた一方、胆石、ミオパチーおよび胃の不調のリスク増加を包含する種々の有害な作用にも関連している(SgroおよびEscousse、1991年)。
【0018】
ナイアシンはかなり以前から、1日あたり1〜2グラムの用量で、トリグリセリドを低減させLDL-Cを低下させるために用いられている。興味深いことに、ビタミンB3はこれら同様のレベルでHDL-Cを増加させることが示されており、心イベントを患うリスクがある低HDL-Cの患者に処方されている。残念ながら、顔面および全身の潮紅を包含する不快で重篤な副作用が通常の使用に伴って呈される。
【0019】
胆汁酸捕捉剤(BAS)は1960年代からLDLコレステロール低下のために臨床的に用いられている。胆汁酸捕捉剤は部分的には胃腸の副作用が原因となって服薬順守率が低い(ProbstfiledおよびRifkind、1991年)。
【0020】
プロバイオティクス
プロバイオティクスは一連の臨床的に関係のある健康上の利益に関連することが報告されている。様々な乳酸菌株がヒトおよび動物においてとりわけよく研究されている。プラセボ比較対照試験はL.ロイテリ(L.reuteri)、L.ラムノサス(L.rhamnosus)GG、L.カゼイ(L.casei)およびS.ブラウディ(S.boulardii)が急性下痢の持続時間低減に有効であることを示した(Huangら、2002年)。幼児に投与されたL.ラムノサスGGは院内下痢およびロタウイルス胃腸炎のリスクを低減させた(Szajewskaら、2001年)。Asoらによる試験は、L.カゼイShirotaが成人の結腸直腸がん患者においてヘルパーT細胞およびNK細胞のパーセンテージを増加させ、表在性膀胱がんの再発に対して予防効果を持つことを明らかにした(Asoら、1995年)。加えて、ラクトバチルス属の株を選ぶことで化学物質変異原による腸腫瘍を顕著に抑制することが示されている(Mclntoshら、1999年)。乳酸菌は重篤な急性膵炎の患者において敗血症を予防するために投与されている。Rayesらによる肝臓移植患者に関する無作為化試験は、生きたL.プランタラム(L.plantarum)細胞を摂食することにより標準的抗生物質治療と比較して術後感染症が顕著に低減したことを明らかにした(Rayesら、2002年)。アレルギー予防の手段として、Lodinova-Zadnikovaらによる無作為化比較対照試験は非病原性大腸菌(Escherichia coli)Nissle 1917の誕生時定着の効果を調査した(Lodinova-ZadnikovaおよびSonnenborn、1997年)。大腸菌株を接種された対象は対照の対象と比較して10年および20年後の細菌性病原体定着の顕著な低減、同様にアレルギー発生の顕著な低下を示した。プロバイオティクスはまたクローン病、潰瘍性大腸炎および回腸嚢炎などの炎症性腸疾患(IBD)を管理するための治療選択肢としても用いられている。
【0021】
L.ロイテリは自然に存在する腸内細菌の最も普遍的なメンバーの1つとしてよく確立されている。宿主特異的なL.ロイテリ株はヒトおよび動物において各種の微生物および化学物質関連疾患からの広範囲の防御を授与することが実証されている(Dobrogosz、2005年)。しかしながら伝統的なプロバイオティック治療は、いくらかの細菌は厳しい胃の条件を生き延びて、不明確ではあるが細菌が複製して生存する場所である結腸に定着するという希望を持っての細菌投与を伴う。十二指腸、空腸または回腸の中では、酸性度、免疫応答および胆汁濃度などの因子のために非常に少ない細菌しか生存しない。コレステロールおよびとりわけ胆汁酸を低下させるため、細菌は小腸の十二指腸または空腸の中に存在しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国出願公開第2007-0116671号
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】Uludagら(2000年)、Adv.Drug Deliv.Rev.42、29〜64ページ
【非特許文献2】Remington’s Pharmaceutical Sciences(Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA2003-20th Edition)
【非特許文献3】The United States Pharmacopeia(The National Formulary(USP 24 NF19)、1999年発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明者は高度な胆汁酸塩加水分解酵素(bsh)活性を持つ細菌が血清コレステロール、血清脂質、体脂肪および動脈硬化指数を低減させるための、ならびにアテローム性動脈硬化、心血管および脳血管疾患の予防および治療のための改良された薬剤を提供することを決定した。
【課題を解決するための手段】
【0025】
したがって1つの態様において、本開示は高度なbsh活性を持つ細菌、その単離物または上清を含む経口組成物であって、前記高度なbsh活性を持つ細菌はそれぞれ1時間および5時間かけて測定された時にグリコデオキシコール酸(GDCA)を>50μmol/グラム/時でおよびタウロデオキシコール酸(TDCA)を>2μmol/グラム/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>65μmol/g/時でおよびTDCAを>7μmol/g/時で分解する経口組成物を提供する。1つの実施形態において、前記高度なbsh活性を持つ細菌は30分間かけて測定された時にGDCAを>300μmol/g/時でおよびTDCAを>40μmol/g/時で分解する。別の実施形態において、前記高度なbsh活性を持つ細菌は30分間かけて測定された時にGDCAを>2000μmol/g/時でおよびTDCAを>500μmol/g/時で分解する。なお別の実施形態において、前記高度なbsh活性を持つ細菌は30分間かけて測定された時にGDCAを>15000μmol/g/時でおよびTDCAを>2000μmol/g/時で分解する。
【0026】
1つの実施形態において、前記細菌はラクトバチルス、ビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)またはロイコノストック(Leuconostoc)である。別の実施形態において、前記ラクトバチルスはラクトバチルス・ロイテリであり、任意選択でラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701089)、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC55148)、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC23272)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB702655)、ラクトバチルス・ロイテリ(LMG18238)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG32271)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG32305)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG37470)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG44001)またはラクトバチルス・ロイテリ(CCUG44144)である。別の実施形態において、前記組成物は担体をさらに含む。
【0027】
なお別の実施形態において、前記細菌の濃度は106〜1012コロニー形成単位(CFU)/グラムである。
【0028】
本開示の細菌は任意選択でポリマーまたはマイクロカプセルもしくはナノカプセル中に含有される。
【0029】
別の実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は炭素源、窒素源、pH4〜7、任意選択でpH5、および12〜24時間、任意選択で12〜16時間の回収時間を含む発酵条件下で増殖される。1つの実施形態において、前記炭素源はマルトース、ショ糖、デキストリン、ソルビトールおよびグルコースの組合せ、またはイヌリンおよびグルコースの組合せを含む。別の実施形態において、前記窒素源は(i)酵母エキスおよび麦芽エキス、酵母エキスおよび牛肉エキス、またはカゼイン加水分解物および麦芽エキス、ならびに(ii)ペプトンまたはトリプトンを含む。
【0030】
なお別の実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は溶解保護物質と共に凍結乾燥される。1つの実施形態において、前記溶解保護物質は終濃度0.2%から10%のマルトデキストリンおよび0.05%から0.33%の酵母エキス、または0.05〜2.5%のイヌリンおよび0.05から0.1%の酵母エキスを含む。1つの実施形態において、前記溶解保護物質は終濃度2〜4%のマルトデキストリンおよび0.1%の酵母エキス、0.3%のイヌリンおよび0.1%の酵母エキス、または0.3%のイヌリンを含む。
【0031】
さらなる実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は液体中で保存され、液体保存条件は2.5〜10%の増殖培地、50〜99.99%のヨーグルトもしくは他の発酵乳、50〜99.99%の培養上清、または5%のMRSを含む最終保存溶液を含む。
【0032】
なおさらなる実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は0.2〜10%のマルトデキストリン、任意選択で1〜3%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母エキス、任意選択で0.1〜0.2%の酵母エキス、0.05から2.5%のイヌリン、任意選択で少なくとも0.2%のイヌリン、0.5Mのトレハロース、0.5Mのフルクトース、0.5Mの乳糖、0.5Mのマルトース、または50〜99.99%、任意選択で50%の使用済み培地などの最終凍結保護溶液中で急速冷凍される。
【0033】
別の態様において、本開示の経口組成物はトリグリセリド低下剤、HDLを増加させるまたはHDL減少を制限するための薬剤、コレステロール低下剤、bsh活性を維持するための薬剤、アディポカインまたは肥満のホルモンを調節するための薬剤、血糖降下剤、または炎症促進性サイトカインであるIL-1α/β、IL-2、IL-15、IL-3、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-ガンマ、TNF-アルファを低減させるための、もしくは抗炎症性サイトカインであるIL-1ra、IL-9、IL-10、IL-11のレベルを増加させるための治療薬をさらに含む。
【0034】
本開示の別の態様において、本発明者は動物、任意選択でヒトなどの哺乳類において血清コレステロール、血清脂質、体脂肪または動脈硬化指数を低減させるための、ならびにアテローム性動脈硬化、心血管または脳血管疾患の予防および治療のための経口組成物の方法および使用を提供する。
【0035】
また本明細書において提供されるのは、細菌を発酵条件下で増殖させる段階、細菌を溶解保護物質と共に凍結乾燥する段階、細菌を液体保存条件下で保存する段階および細菌を凍結保護物質と共に急速冷凍する段階を含む、高度なbsh活性を持つ細菌を生産するためのプロセスである。
【0036】
本開示の他の特徴および利点は以下の詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら詳細な記載および特定の例は本開示の好ましい実施形態を指し示しているかぎり例証としてのみ与えられたものと理解されるべきものであり、これは本開示の趣旨および範囲内の様々な変更および改変はこの詳細な記載から当業者に明らかになるであろうためである。
【0037】
本開示の実施形態は図に関して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(ATCC53608、ATCC53609、ATCC55148、ATCC55739、およびNCIMB701359)による経時的なTDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図2】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(ATCC53608、ATCC53609、ATCC55148、ATCC55739、およびNCIMB701359)による経時的なGDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図3】遊離のラクトバチルス・ロイテリおよびラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)株による経時的なTDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図4】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(LabMet、NCIMB701359)およびラクトバチルス・ファーメンタム(ATCC11976)による経時的なGDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図5】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(LMG9213、NCIMB11951、ATCC23272、NCIMB702656、NCIMB701359、およびNCIMB701089)による経時的なTDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図6】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(LMG9213、NCIMB11951、ATCC23272、NCIMB702656、NCIMB701359、およびNCIMB701089)による経時的なGDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図7】bsh活性を持つ3株のラクトバチルス・ロイテリ、Lr010:ラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)、Lr052:ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701089)およびLr050:ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)の沈殿ゾーンのサイズを示す図である。
【図8】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(ATCC55148、ATCC55739、NCIMB701359、NCIMB701089、NCIMB702655、LMG18238、LMG22877、LMG22878、LMG22879、CCUG32305、CCUG37470、CCUG44001、CCUG44144、CCUG47824)による経時的なTDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図9】遊離のラクトバチルス・ロイテリ株(ATCC55148、ATCC55739、NCIMB701359、NCIMB701089、NCIMB702655、LMG18238、LMG22877、LMG22878、LMG22879、CCUG32305、CCUG37470、CCUG44001、CCUG44144、CCUG47824)による経時的なGDCAの脱抱合を示す図である。実験は3連で行われ、エラーバーは平均値からの1標準偏差を表す。
【図10】異なる溶解保護物質条件を用いるマイクロカプセルの形態の顕微鏡写真についての代表的セットを示す図であり、溶解保護物質に対するマイクロカプセルの比が7:3で、マイクロカプセル化されたラクトバチルスの凍結乾燥および再水和のために用いられた溶解保護物質が生理食塩水、1Mトレハロースおよび10%スキムミルクについての図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明者は高度なbsh活性を持つ細菌が血清コレステロール、血清脂質、体脂肪および動脈硬化指数を低減させるための、ならびにアテローム性動脈硬化、心血管および脳血管疾患の予防および治療のための改良された経口組成物を提供することを示している。
【0040】
組成物
したがって血清コレステロール、血清脂質、体脂肪もしくは動脈硬化指数を低減させるための、またはアテローム性動脈硬化、心血管もしくは脳血管疾患の予防もしくは治療のための経口組成物が提供され、組成物は高度なbsh活性を持つ細菌、その単離物または上清を含む。高度なbsh活性を持つ細菌はそれぞれ1時間および5時間かけて測定された時にグリコデオキシコール酸(GDCA)を>50μmol/グラム/時でおよびタウロデオキシコール酸(TDCA)を>2μmol/グラム/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>65μmol/g/時でおよびTDCAを>7μmol/g/時で分解する。1つの実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌は30分間かけて測定された時にGDCAを>300μmol/g/時でおよびTDCAを>40μmol/g/時で分解する。別の実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌は30分間かけて測定された時にGDCAを>2000μmol/g/時でおよびTDCAを>500μmol/g/時で分解する。なお別の実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌は30分間かけて測定された時にGDCAを>15000μmol/g/時でおよびTDCAを>2000μmol/g/時で分解する。
【0041】
1つの実施形態において、組成物は担体をさらに含む。
【0042】
本明細書において用いられる高度なbsh活性を持つ細菌は、それぞれ1時間および5時間かけて測定された時にGDCAを>50μmol/グラム/時でおよびTDCAを>2μmol/グラム/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>65μmol/g/時でおよびTDCAを>7μmol/g/時で分解し、任意選択で30分間かけて測定された時にGDCAを>300μmol/g/時でおよびTDCAを>40μmol/g/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>2000μmol/g/時でおよびTDCAを>500μmol/g/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>15000μmol/g/時でおよびTDCAを>2000μmol/g/時で分解する細菌を言い、実施例に記載される方法に基づいて当業者により容易に同定される。1つの実施形態において、GDCAおよびTDCAの分解はHPLCにより測定される。HPLCによる胆汁酸塩の決定はScalia、1988年およびJonesら、2003年に記載されている。
【0043】
本明細書において用いられる用語「単離物」は、未精製のサンプルよりも純度が高いまたは活性が高いであろう、分離、単離または分画された細胞培養物または発酵産物の一部を言う。本明細書において用いられる用語「上清」は、静置、沈殿または遠心により堆積された物質の上層にある液体を言う。
【0044】
ある実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌は生きた細菌である。本明細書において用いられる用語「生きた細菌」は、栄養分を代謝して老廃物を排出する細菌のバイオマスを言う。1つの実施形態において、生きた細菌はプロバイオティック細菌である。本明細書において用いられる用語「プロバイオティック細菌」は、適切な量が送達された時に宿主に健康上の利益を授与する生きた微生物を言う。
【0045】
高度なbsh活性を持つ細菌は任意選択でラクトバチルス、ビフィドバクテリウム、ペディオコッカス、ストレプトコッカス、エンテロコッカスまたはロイコノストックである。1つの実施形態において、ラクトバチルスはラクトバチルス・ロイテリであり、任意選択でラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701089)、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC55148)、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC23272)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB702655)、ラクトバチルス・ロイテリ(LMG18238)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG32271)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG32305)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG37470)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG44001)またはラクトバチルス・ロイテリ(CCUG44144)である。
【0046】
別の実施形態において、ラクトバチルス・ロイテリは細胞表面タンパク質によって胃腸の上皮細胞に接着して、他の細菌の接着を競合しまたは結合を阻害する。
【0047】
ある実施形態において、本明細書に記載される経口組成物における細菌の濃度は106〜1012コロニー形成単位(CFU)/グラム、任意選択で108〜1012CFU/グラムである。別の実施形態において、本明細書において提供される組成物は106〜1014CFU、任意選択で108〜1013CFUを含む。
【0048】
本明細書において用いられる用語「bsh」または「胆汁酸塩加水分解酵素」は、細菌により生産される胆汁酸塩を加水分解可能な酵素を言う。
【0049】
高度なbsh活性を持つ細菌はバイオマス生産およびbsh活性を向上させる発酵条件下で増殖させうる。1つの実施形態において、発酵条件は、炭素源および窒素源を含む、pHが4から7、回収時間が12から24時間である培地中への接種を含む。特定の実施形態において、発酵条件のpHは5である。なお別の実施形態において、回収時間は12から16時間である。
【0050】
1つの実施形態において、炭素源はマルトース、ショ糖、デキストリン、ソルビトールおよびグルコースの組合せ、またはイヌリンおよびグルコースの組合せを含む。特定の実施形態において、炭素源はマルトースである。1つの実施形態において、炭素源は終濃度2%になるように添加され、例えばもしイヌリンおよびグルコースが用いられるなら、各々1%が添加されて終濃度2%になる。
【0051】
別の実施形態において、窒素源は(i)酵母エキスおよび麦芽エキス、酵母エキスおよび牛肉エキス、またはカゼイン加水分解物および麦芽エキス、ならびに(ii)ペプトンまたはトリプトンを含む。ある実施形態において、窒素源はシステインをさらに含む。ペプトンは任意のペプトンであってよく、ペプトンno.3、魚ペプトン、大豆ペプトン、プロテオースペプトンおよびカゼインペプトンを限定することなく包含する。特定の実施形態において、ペプトンはペプトンno.3である。1つの実施形態において、窒素源は全体の2.5%になるように添加され、例えばもしペプトン、酵母および麦芽エキス源が用いられるなら、1%のペプトン、0.5%の酵母エキスおよび1%の麦芽エキスが添加されて終濃度2.5%になる。別の実施形態において、牛肉エキスは麦芽エキスを代替し、カゼインはペプトンまたは酵母エキスのいずれかを代替する。別の実施形態において、0.01から0.05%のシステインが添加され、任意選択では0.01%である。
【0052】
1つの実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌は遊離の細菌である。本明細書において用いられる用語「遊離の細菌」はポリマー中に固定されていない、または人工細胞マイクロカプセル化によりカプセル化されていない細菌を言う。
【0053】
別の実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌はポリマー、任意選択で天然ポリマーの中に含有または固定される。天然ポリマーはアルギン酸、キトサン、アガロース、ペクチン、アガロペクチン、ゲニピンおよびセルロースを限定することなく包含する。ある実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌はフィルム上に固定される。
【0054】
なお別の実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌はカプセル化される。カプセル化はマクロカプセル化、マイクロカプセル化およびナノカプセル化方法を包含するのに用いられる用語である。用語マイクロカプセル化およびナノカプセル化はカプセル化のサブクラスを言い、小さい、マイクロまたはナノカプセル化されたカプセルが生産される。カプセル化およびマイクロカプセル化技術は当該技術分野で知られている。マイクロカプセルは小さな球状の容器または被覆された織物で1〜999μmの範囲にあり、ナノカプセルは1〜999nmの範囲にある一方、マクロカプセルはより大きな平坦シートまたは中空糸膜の容器である。マクロ、マイクロおよびナノカプセルは細胞代謝および増殖を支援可能な細胞環境を含有しなければならず、これはカプセルが収容した細胞がカプセルに機能性を提供するためである。
【0055】
人工細胞マイクロカプセル化またはナノカプセル化は特別な極薄の半透性ポリマー膜の中に生物学的活性を持つ材料をカプセル化するのに用いられる技術である(例えばChangおよびPrakash、1997年;Chang、1964年を参照)。人工細胞を調製するための方法は関連の技術分野においてよく実証されている。人工細胞膜は特定の各治療装置について当業者により任意選択で選択され、または設計されるが、これは当業者は所望の用途に必要とされる膜性質を持つ人工細胞の調製のためにいくつかの異なる膜を工作するであろうためである。異なる膜の使用は透過性、物質輸送、機械的安定性、緩衝能力、生体適合性および他の特性における変化を可能にする。カプセル膜の物理的性質の中でのバランスは捕捉された細胞の生存を支援するように維持されなければならない。
【0056】
マイクロカプセルはPrakashおよびJonesの米国出願公開第2007-0116671号におけるもののような技術を用いて本発明の細菌用に調製されうるもので、この文献は本明細書に参照により組み込まれる。
【0057】
膜の物質輸送性質は決定的であるが、これは細胞の生存に不可欠な分子の流入速度および代謝老廃物の流出速度が捕捉された細胞の生存率を最終的に決定するためである。任意のバリアが酵素用途に潜在的に適用されうる。通常、所望のカプセル透過度は分子量カットオフ(MWCO)により決定され、用途に依存する。MWCOはカプセル膜孔の通過が許容される分子の最大分子量である(Uludagら(2000年)、Adv.Drug Deliv.Rev.42、29〜64ページ)。移植の場合、MWCOは栄養分の通過を許容するのに足りる高さであるが、抗体および他の免疫系分子を拒絶するのに足りる低さでなければならない。MWCOの範囲は任意選択で3000Dから950,000Dである(ChangおよびPrakash、1998年)。経口で送達されるマイクロカプセルのMWCOは望まれない代謝物が血漿からマイクロカプセル内へ通過するのを許容しなければならず、その後に続いて変質した分子の除去を促進するか、またはその貯蔵に備えるかのいずれかでなければならない(Uludagら、2000年)。経口で投与されるものである本開示の細胞について、栄養分の通過を許容するが抗体および他の免疫分子を遮断する保持器、例えば3000Dから950,000DのMWCOを有する半透性膜が任意選択で用いられる(ChangおよびPrakash、1998年)。あるいは、範囲の下端はおよそ2000D、4000D、5000Dまたは10,000Dであってよく、範囲の上端はおよそ900,000D、750,000Dまたは500,000Dであってよい。
【0058】
細胞治療のために用いられる最も一般的なタイプの膜は単一のアルギン酸ベースのポリマー膜であるが、しかしながら様々なタンパク質、ポリヘモグロビンおよび脂質など、いくつかの他の物質が用いられてもよい(Uludagら、2000年;PrakashおよびJones、2002年)。膜組成物へのなお別のアプローチはポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ酸無水物などの生分解性の合成ポリマーを用いることである。一般的に用いられる膜は中空糸膜、アルギン酸-ポリリジン-アルギン酸(APA)膜、ニトロセルロース、ポリアミド、脂質複合ポリマーおよび脂質小胞を包含する。生きた細胞のカプセル化および酵素のカプセル化のための確立された有望なポリマーはアルギン酸-ポリリジン-アルギン酸(APA)、アルギン酸-ポリメチレン-co-グアニジン-アルギン酸(A-PMCG-A)、ヒドロキシメチルアクリレート-メチルメタクリレート(HEMA-MMA)、多層のHEMA-MMA-MAA、ポリアクリロニトリルビニルクロリド(PAN-PVC)、アクリロニトリル/メタリルスルホン酸ナトリウム(AN-69)、ポリエチレングリコール/ポリペンタメチルシクロペンタシロキサン/ポリジメチルシロキサン(PEG/PD5/PDMS)、ポリN,N-ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)、ケイ素質カプセル化物および硫酸セルロース/アルギン酸ナトリウム/ポリメチレン-co-グアニジン(CS/A/PMCG)を包含する。有用な他の材料は酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸カルシウムおよびk-カラギーナン-ローカストビーンガムゲルビーズ、ジェラン-キサンタンビーズ、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、カラギーナン、デンプンポリ酸無水物、デンプンポリメタクリレート、ポリアミノ酸、腸溶コーティングポリマーを限定することなく包含する。
【0059】
経口の生きた細胞治療における使用が意図された膜の設計は、微生物の死滅を最小化して治療の有効性を最大化するようにいくつかの主要因子を考慮に入れなければならない。有効性を保証するため、経口投与が意図された人工的カプセル化細胞は胃の酸性環境および腸の免疫応答により放出されるイムノグロブリンの両方に対して生きた積荷を保護するよう設計されなければならない。
【0060】
有用な組成物はポリ-L-リジン(PLL)を伴うアルギン酸カルシウムビーズのカプセル化物で、アルギン酸-ポリ-L-リジン-アルギン酸(APA)マイクロカプセルを形成する。APA膜マイクロカプセルにおいて、アルギン酸は中核および細胞のためのマトリックスを形成し、PLLはアルギン酸の中核に結合する。PLLのアルギン酸への結合は、ポリアミド骨格から多方向へ伸長して様々なアルギン酸分子と静電的相互作用を通じて反応する、PLL内の多数の長鎖アルキル-アミノ基の結果である。結果として生じる架橋は、アルギン酸膜の空隙率を低減させて免疫保護バリアを形成する安定な複合膜を生産する。
【0061】
あるいは、アルギン酸/ポリ-l-リジン/ペクチン/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APPPA)、アルギン酸/ポリ-l-リジン/ペクチン/ポリ-l-リジン/ペクチン(APPPP)およびアルギン酸/ポリ-L-リジン/キトサン/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APCPA)の膜がカプセル化のために用いられる。これらの多層膜組成物はGI安定性テストにおいて良好に働いて、水、希釈した酸および塩基、同様にイオンキレート物質の存在下での完全な溶解に対する耐性向上を提供し、一方で膜透過度へのより精密な制御を許容する。
【0062】
生きた細胞を含有する治療用の人工細胞を調製するのに利用可能な様々な方法がある。例えば古典的なアルギン酸-ポリリジン-アルギン酸(APA)膜の調製の場合、細菌細胞などの生きた細胞は天然ポリマーであるアルギン酸(1.5%)のマトリックス中に懸濁される。粘性のポリマー-細菌懸濁液はシリンジポンプを用いて23ゲージ針を通される。16ゲージの同軸針を通された滅菌圧縮空気は次いで23ゲージ針の先端から出てくる液滴を剪断するのに用いられる。液滴は穏やかに撹拌されたCaCl2(1.4%)などの氷冷された凝固化学物質溶液の中で15分間かけてゲル化させる。CaCl2中でのゲル化後、ビーズは次いでHEPESを用いて洗浄され(HEPES、pH7.20中に0.05%)、ポリリジンで被覆されて(0.1%で10分間)、HEPES中で再び洗浄される(HEPES、pH7.20中に0.05%)。結果として生じるカプセルは次いでアルギン酸との反応により被覆され(0.1%で10分間)、適当な化学物質を用いて内部の中核内容物を溶解させるよう洗浄される。このステップに、3.00%のクエン酸浴(1:1のHEPESバッファー-生理食塩水、pH7.20中に3.00%)がしばしば用いられる。形成されたマイクロカプセルは次いで4℃で、最少溶液(90%の水に対して10%の細胞栄養分)中で保存されうる。
【0063】
したがって1つの実施形態において、高度なbsh活性を持つ細菌はポリマー性の半透性マイクロカプセル(1〜999μm)またはナノカプセル(1〜999nm)の中にカプセル化される。1つの実施形態において、ポリマー性の半透性マイクロカプセルまたはナノカプセルはアルギン酸/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APA)、アルギン酸/キトサン/アルギン酸(ACA)またはアルギン酸/ゲニピン/アルギン酸(AGA)の膜を含む。別の実施形態において、マイクロカプセルまたはナノカプセルはアルギン酸/ポリ-l-リジン/ペクチン/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APPPA)、アルギン酸/ポリ-l-リジン/ペクチン/ポリ-l-リジン/ペクチン(APPPP)、アルギン酸/ポリ-L-リジン/キトサン/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APCPA)、アルギン酸-ポリメチレン-co-グアニジン-アルギン酸(A-PMCG-A)、ヒドロキシメチルアクリレート-メチルメタクリレート(HEMA-MMA)、多層のHEMA-MMA-MAA、ポリアクリロニトリルビニルクロリド(PAN-PVC)、アクリロニトリル/メタリルスルホン酸ナトリウム(AN-69)、ポリエチレングリコール/ポリペンタメチルシクロペンタシロキサン/ポリジメチルシロキサン(PEG/PD5/PDMS)またはポリN,N-ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)の膜を含む。なお別の実施形態において、マイクロカプセルまたはナノカプセルは中空糸、ニトロセルロース、ポリアミド、脂質複合ポリマー、脂質小胞、ケイ素質カプセル化物、硫酸セルロース/アルギン酸ナトリウム/ポリメチレン-co-グアニジン(CS/A/PMCG)、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸カルシウム、k-カラギーナン-ローカストビーンガムゲルビーズ、ジェラン-キサンタンビーズ、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、カラギーナン、デンプンポリ酸無水物、デンプンポリメタクリレート、ポリアミノ酸または腸溶コーティングポリマーを含む。
【0064】
さらなる実施形態において、ポリマー性のマイクロカプセルまたはナノカプセルはpH1〜8および/または胆汁[1〜30mmol]などの胃腸条件に対して耐性である。
【0065】
本明細書において開示される経口組成物は任意選択で凍結乾燥、熱乾燥、スプレー乾燥またはフリーズドライされる。あるいは経口組成物は任意選択で湿ったものとして調製される。
【0066】
ある実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は生存率および改良されたbsh活性を長時間かけて確保するために溶解保護物質と共に凍結乾燥される。典型的な溶解保護物質は終濃度0.2%から10%のマルトデキストリンおよび0.05%から0.33%の酵母エキス、または0.05〜2.5%のイヌリンおよび0.05から0.1%の酵母エキスを限定することなく包含する。1つの実施形態において、前記溶解保護物質は終濃度2〜4%のマルトデキストリンおよび0.1%の酵母エキス、0.3%のイヌリンおよび0.1%の酵母エキス、または0.3%のイヌリンを含む。
【0067】
別の実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は生存率および改良されたbsh活性を確保するために液体中で保存される。典型的な液体保存条件は終濃度2.5〜10%の増殖培地(本明細書に記載されるようなもの)、50〜99.99%のヨーグルトもしくは他の発酵乳、50〜99.99%の培養上清、または5%のMRSを含む保存溶液を限定することなく包含する。
【0068】
なお別の実施形態において、本明細書に記載される経口組成物は生存率および改良されたbsh活性を確保するために急速冷凍される。典型的な急速冷凍条件は終濃度0.2〜10%のマルトデキストリン、任意選択で1〜3%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母エキス、任意選択で0.1〜0.2%の酵母エキス、0.05から2.5%のイヌリン、任意選択で少なくとも0.2%のイヌリン、0.5Mのトレハロース、0.5Mのフルクトース、0.5Mの乳糖、0.5Mのマルトースまたは50〜99.99%、任意選択で50%の使用済み培地を含む凍結保護溶液を限定することなく包含する。
【0069】
本明細書において用いられる用語「担体」は対象への投与を促進する許容される担体を言う。例えば経口投与を促進する許容される担体はサプリメント、食品製品、飲料、機能性食品もしくは栄養補助食品、または添加剤を限定することなく包含する。「栄養補助食品」は医薬的、生理的または予防的効果などの健康上の利益を持つと思われる、食品(または植物、動物もしくは他の生物などの食品を作るのに用いられる原料)から単離または精製された製品を意味する。「機能性食品製品」は食品であり、食事の一部として消費され、栄養分を供給する基本的栄養機能を超えて医薬的、生理的または予防的な利益などの健康上の利益を持つものを意味する。
【0070】
別の実施形態において、担体はカプセル、丸剤、ゲルカプセル、液体または溶解性フィルムを含む。
【0071】
本明細書において開示される、血清コレステロール、血清脂質、体脂肪もしくは動脈硬化指数を低減させるための、またはアテローム性動脈硬化、心血管もしくは脳血管疾患の予防もしくは治療のための経口組成物は任意選択でこのような徴候に対する他の薬剤または治療薬をさらに含む。したがって1つの実施形態において、経口組成物はトリグリセリド低下剤、任意選択でスクアレン合成酵素阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤、スタチン、胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブレートおよび他のPPARアルファアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、リパーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、膵臓ペプチドYY3-36、組換えおよび他のカンナビノイド受容体アンタゴニストまたはロルカセリンなどの5-HT2cアゴニストをさらに含む。別の実施形態において、組成物はHDLを増加させるまたはHDL減少を制限するための薬剤、任意選択でスタチン、胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブレートおよび他のPPARアルファアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、リパーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、膵臓ペプチドYY3-36、組換えおよび他のカンナビノイド受容体アンタゴニストまたはロルカセリンなどの5-HT2cアゴニストをさらに含む。なお別の実施形態において、経口組成物はコレステロール低下剤、任意選択で胆汁酸捕捉剤(BAS)、スタチン、エゼチミブ、アルファ-リノレン酸、オメガ-3,6,9,エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、フィブレート、可溶性繊維、ポリフェノール、ガンマ-オリザノール、ヘスペレチン代謝物、フィトケミカル、他のプロバイオティクス、サイリウム、フィトステロール、フィトスタノール、ビタミン、抗酸化剤または抗生物質をさらに含む。スタチンはロバスタチン、プラバスタチン、ゾコー、フルバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンからなる群より選択されうる。BASはコレスチラミン、コレスチポールまたはコレセベラムであってよい。フィブレートはクロフィブレート、ベザフィブレート、ゲムフィブロジルまたはフェノフィブレートであってよい。さらなる実施形態において、経口組成物はb
sh活性を維持するための薬剤、任意選択でイヌリン、トレハロース、マルトデキストラン、酵母エキス、ポリエチレングリコール、グリセロール、脂質、乳化脂肪、乳製品、グルコース、フルクトース、ショ糖、多糖、無水生命状態(anhydrobiosis)、ポリコサノール、ポリエチレングリコール(PEG)、植物ステロール、植物スタノールまたはオメガ脂肪酸をさらに含む。ポリコサノールはオクタコサノール、トリアコンタノール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、1-ノナコサノール、1-ドトリアコンタノールまたはゲジルアルコール(geddyl alcohol)であってよい。なおさらなる実施形態において、経口組成物はアディポカインまたは肥満のホルモンを調節するための薬剤、任意選択でレプチン、グレリン、レジスチン、アディポネクチン、ケメリン、Il-6、ビスファチン、レチノール結合タンパク質4またはプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1をさらに含む。なお別のさらなる実施形態において、経口組成物は血糖降下剤、任意選択でメトホルミン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、グリブリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジドバイル(Glipizidebile)、グリベンクラミド、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、シタグリプチン、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド、アログリプチン、サクサグリプチン、ビルダグリプチンおよびダパグリフロジンをさらに含む。一層さらなる実施形態において、経口組成物は炎症促進性サイトカインであるIL-1α/β、IL-2、IL-15、IL-3、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-ガンマ、TNF-アルファを低減させるための、または抗炎症性サイトカインであるIL-1ra、IL-9、IL-10、IL-11のレベルを増加させるための治療薬をさらに含む。
【0072】
なお別の実施形態において、経口組成物はビタミンB12をさらに含む。さらなる実施形態において、経口組成物は共役リノール酸(CLA)をさらに含む。なおさらなる実施形態において、経口組成物はロイテリンおよび/またはロイテリサイクリンをさらに含む。
【0073】
方法および使用
本開示は本明細書において開示される経口組成物の方法および使用を包含する。1つの実施形態において、本明細書において開示される経口組成物の、その必要がある動物への投与を含む治療方法が提供される。また動物の治療のための、本明細書において開示される経口組成物の使用も提供される。さらに治療のための薬剤の調製における、本明細書において開示される経口組成物の使用が提供される。また治療における使用のための、本明細書において開示される経口組成物も提供される。
【0074】
本明細書において記載される組成物はその必要がある動物の血清コレステロールを低下させるのに有用である。したがって1つの態様において、本開示はその必要がある動物において血清コレステロールを低下させる方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本明細書において開示される経口組成物を投与する段階を含む。またその必要がある動物において血清コレステロールを低下させるための、本明細書において開示される経口組成物の使用も提供される。またその必要がある動物において血清コレステロールを低下させるための薬剤の調製における、本明細書において開示される経口組成物の使用も提供される。さらにその必要がある動物において血清コレステロールを低下させるのに使用するための、本明細書において開示される経口組成物も提供される。
【0075】
1つの実施形態において、その必要がある動物は、病態の原因となるまたはリスク因子として過剰なコレステロールを有する、血清および/または組織におけるコレステロール蓄積増加により特徴づけられる疾患または障害を有する。コレステロール障害は家族性高コレステロール血症または遺伝性のコレステロール障害(ICD)、例えば7-α-ヒドロキシラーゼのようなコレステロール代謝遺伝子産物の欠損および様々な形態の黄色腫を包含する。血清コレステロールのレベル上昇はアテローム性動脈硬化、胆汁性肝硬変、家族性高脂血症、高コレステロール食、甲状腺機能低下症、心筋梗塞、腎炎症候群および制御できない糖尿病を指し示しうる。「過剰なコレステロール」は典型的な(正常な)コレステロールの範囲外であることを意味する。典型的なコレステロールレベルは200mg/dLより低い。高境界値は200〜239mg/dLで、240mg/dLを超えると高値である。National Cholesterol Education Program NCEP IIIのコレステロールに対する報告は「詳報」および「薬剤治療」の節を包含する。これはスタチン、胆汁酸捕捉剤、食事などによるコレステロール管理例の総説を提供し、コレステロールレベルおよびリスク因子に関係する(例えば表IV.1-1 VI.1-1;VI.1-2、VI.1-3を参照)。本明細書において記載される組成物は胆汁レベルを低減させるという点で胆汁酸捕捉剤と類似している。NCEP報告は、他のリスク因子の存在と関係した医薬治療の使用に対するガイダンスを提供する。コレステロールには2つのタイプ、HDLコレステロール(時に善玉コレステロールと呼ばれる)およびLDLコレステロール(時に悪玉コレステロールと呼ばれる)がある。「過剰なコレステロール」はまたLDLに関して決定されうる。例えば薬剤治療は、LDLコレステロールが>100mg/dL(例えばLDLコレステロールを<100mg/dLに低減させるゴールを持つ)、少なくとも130mg/dL(例えばLDLコレステロールを130mg/dLより低くなるよう低減させるゴールを持つ)、少なくとも160mg/dL(例えばLDLコレステロールを130mg/dLより低くなるよう低減させるゴールを持つ)である場合、複数(2以上)のリスク因子を持つ個人について任意選択で考慮される。その上、薬剤治療はまた、LDLコレステロールが少なくとも190mg/dL(例えばLDLコレステロールを160mg/dLより低くなるよう低減させるゴールを持つ)である場合、0〜1個のリスク因子を持つ個人についても任意選択で考慮される。正常値は年齢と共に上昇する傾向があり、閉経前の女性は同年齢の男性よりいくらか低レベルである。
【0076】
別の実施形態において、血清コレステロールを低下させるための方法および使用はまた、動物の血清高密度リポタンパク質(HDL-C)を増加させ、または低減を制限する。さらなる実施形態において、血清コレステロールを低下させるための方法および使用はまた、動物の血清トリグリセリドを減少させる。なおさらなる実施形態において、血清コレステロールを低下させるための方法および使用はまた動物のアテローム硬化リスク因子を低減させる。アテローム硬化リスク因子は血清ホモシステイン、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質、リポタンパク質(a)、尿酸、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP-9)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1(PAI-1)またはその抗原、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、TNFアルファ、IL-6、P-セレクチン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、細胞間接着分子1(ICAM-1)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、アディポネクチン、レプチン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼAおよびインスリンを限定することなく包含する。
【0077】
なお別の実施形態において、血清コレステロールを低下させるための方法および使用はまた、ビタミンB12を生産して動物に送達する。さらなる実施形態において、血清コレステロールを低下させるための方法および使用はまた、共役リノール酸(CLA)を生産して動物に送達する。なおさらなる実施形態において、血清コレステロールを低下させるための方法および使用はまた、ロイテリンおよびロイテリサイクリンを生産して動物に送達する。
【0078】
本明細書において記載される経口組成物はまた、その必要がある動物において血清トリグリセリドを減少させるのにも有用である。したがって1つの態様において、本開示はその必要がある動物において血清トリグリセリドを減少させる方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本明細書において開示される経口組成物を投与する段階を含む。またその必要がある動物において血清トリグリセリドを減少させるための、本明細書において開示される経口組成物の使用も提供される。またその必要がある動物において血清トリグリセリドを減少させるための薬剤の調製における、本明細書において開示される経口組成物の使用も提供される。さらにその必要がある動物において血清トリグリセリドを減少させるのに使用するための、本明細書において開示される経口組成物も提供される。
【0079】
別の態様において、本開示は動物の動脈硬化指数を低減させるための方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物を動物に投与する段階を含む。また動物の動脈硬化指数を低減させるための、胆汁酸を低下させる量の本開示の組成物の使用も提供される。また動物の動脈硬化指数を低減させるための薬剤の調製における、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。さらに動物の動脈硬化指数を低減させるのに使用するための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物も提供される。動脈硬化指数はTable 1に示される式の少なくとも1つを用いて計算される。
【0080】
なお別の態様において、本開示は動物におけるアテローム性動脈硬化またはアテローム性動脈硬化が原因となる変性障害の予防または治療のための方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物を動物に投与する段階を含む。またアテローム性動脈硬化またはアテローム性動脈硬化が原因となる変性障害の予防または治療のための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。またアテローム性動脈硬化またはアテローム性動脈硬化が原因となる変性障害の予防または治療のための薬剤の調製における、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。さらにアテローム性動脈硬化またはアテローム性動脈硬化が原因となる変性障害の予防または治療に使用するための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物も提供される。変性障害は脳血管疾患、脳卒中、血管疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、血栓症、狭心症、不安定狭心症、間欠性跛行、一過性虚血発作または腎不全を限定することなく包含する。
【0081】
用語「の予防または治療」は状態の見込みを減少させることまたは状態を改善することを言う。
【0082】
さらなる態様において、本開示は動物において全身の体脂肪を低下させる、または肥満もしくは前肥満状態を治療するための方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物を動物に投与する段階を含む。また動物において全身の体脂肪を低下させる、または肥満もしくは前肥満状態を治療するための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。また動物において全身の体脂肪を低下させる、または肥満もしくは前肥満状態を治療するための薬剤の調製における、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。さらに動物において全身の体脂肪を低下させる、または肥満もしくは前肥満状態を治療するのに使用するための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物も提供される。本明細書において用いられる用語「肥満」は疾患、医学的状態または障害を言い、肥満度指数(BMI)>30として定義される。BMI25〜30は前肥満状態である。
【0083】
なおさらなる態様において、本開示は動物における代謝性疾患または障害の予防または治療のための方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物を動物に投与する段階を含む。また動物における代謝性疾患または障害の予防または治療のための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。また動物における代謝性疾患または障害の予防または治療のための薬剤の調製における、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。さらに動物における代謝性疾患または障害の予防または治療に使用するための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物も提供される。代謝性疾患または障害は高脂血症、高血糖、高リポタンパク血症、耐糖能障害(IGT)、インスリン抵抗性、前糖尿病状態、I型糖尿病、II型糖尿病およびメタボリックシンドロームを限定することなく包含する。
【0084】
別の態様において、本開示は動物における高濃度の血清または肝臓の脂質およびトリグリセリドに関連した肝疾患または障害、肝臓の炎症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、脂肪肝、肝線維症、異常に高レベルの血清ALT、AST、GGTまたはAlk-P、エプスタイン・バーウイルス、肝炎、自己免疫性肝炎、肝肉芽腫性疾患、胆管炎、肝細胞がん、胆管癌、代謝性肝疾患の予防または治療のための方法を提供し、この方法は胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物を動物に投与する段階を含む。また動物における高濃度の血清または肝臓の脂質およびトリグリセリドに関連した肝疾患または障害、肝臓の炎症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、脂肪肝、肝線維症、異常に高レベルの血清ALT、AST、GGTまたはAlk-P、エプスタイン・バーウイルス、肝炎、自己免疫性肝炎、肝肉芽腫性疾患、胆管炎、肝細胞がん、胆管癌、代謝性肝疾患の予防または治療のための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。また動物における高濃度の血清または肝臓の脂質およびトリグリセリドに関連した肝疾患または障害、肝臓の炎症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、脂肪肝、肝線維症、異常に高レベルの血清ALT、AST、GGTまたはAlk-P、エプスタイン・バーウイルス、肝炎、自己免疫性肝炎、肝肉芽腫性疾患、胆管炎、肝細胞がん、胆管癌、代謝性肝疾患の予防または治療のための薬剤の調製における、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物の使用も提供される。さらに動物における高濃度の血清または肝臓の脂質およびトリグリセリドに関連した肝疾患または障害、肝臓の炎症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、脂肪肝、肝線維症、異常に高レベルの血清ALT、AST、GGTまたはAlk-P、エプスタイン・バーウイルス、肝炎、自己免疫性肝炎、肝肉芽腫性疾患、胆管炎、肝細胞がん、胆管癌、代謝性肝疾患の予防または治療に使用するための、胆汁酸を低下させる量の本開示の経口組成物も提供される。
【0085】
他の薬剤または治療薬は本明細書において開示される経口組成物と共投与または組み合わせて用いられうる。したがってある実施形態において、本明細書に開示される方法および使用はトリグリセリド低下剤、任意選択でスクアレン合成酵素阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤、スタチン、胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブレートおよび他のPPARアルファアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、リパーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、膵臓ペプチドYY3-36、組換えおよび他のカンナビノイド受容体アンタゴニストまたはロルカセリンなどの5-HT2cアゴニストを投与する段階をさらに含む。別の実施形態において、本明細書において開示される方法および使用はHDLを増加させるまたはHDL減少を制限するための薬剤、任意選択でスタチン、胆汁酸捕捉剤、コレステロール吸収阻害剤、フィブレートおよび他のPPARアルファアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、リパーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、膵臓ペプチドYY3-36、組換えおよび他のカンナビノイド受容体アンタゴニストまたはロルカセリンなどの5-HT2cアゴニストを投与する段階をさらに含む。なお別の実施形態において、本明細書に開示される方法および使用はコレステロール低下剤、任意選択で胆汁酸捕捉剤(BAS)、スタチン、エゼチミブ、アルファ-リノレン酸、オメガ-3,6,9,エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、フィブレート、可溶性繊維、ポリフェノール、ガンマ-オリザノール、ヘスペレチン代謝物、フィトケミカル、他のプロバイオティクス、サイリウム、フィトステロール、フィトスタノール、ビタミン、抗酸化剤または抗生物質を投与する段階をさらに含む。スタチンはロバスタチン、プラバスタチン、ゾコー、フルバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンおよびアトルバスタチンを限定することなく包含する。BASはコレスチラミン、コレスチポールおよびコレセベラムを限定することなく包含する。フィブレートはクロフィブレート、ベザフィブレート、ゲムフィブロジルおよびフェノフィブレートを限定することなく包含する。なお別の実施形態において、本明細書に開示される方法お
よび使用はbsh活性を維持するための薬剤、任意選択でイヌリン、トレハロース、マルトデキストラン、酵母エキス、ポリエチレングリコール、グリセロール、脂質、乳化脂肪、乳製品、グルコース、フルクトース、ショ糖、多糖、無水生命状態、ポリコサノール、ポリエチレングリコール(PEG)、植物ステロール、植物スタノールまたはオメガ脂肪酸を投与する段階をさらに含む。ポリコサノールはオクタコサノール、トリアコンタノール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、1-ノナコサノール、1-ドトリアコンタノールおよびゲジルアルコールを限定することなく包含する。さらなる実施形態において、本明細書に開示される方法および使用はアディポカインまたは肥満のホルモンを調節するための薬剤、任意選択でレプチン、グレリン、レジスチン、アディポネクチン、ケメリン、Il-6、ビスファチン、レチノール結合タンパク質4またはプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1を投与する段階をさらに含む。なおさらなる実施形態において、本明細書に開示される方法および使用は血糖降下剤、任意選択でメトホルミン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、グリブリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジドバイル、グリベンクラミド、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、シタグリプチン、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド、アログリプチン、サクサグリプチン、ビルダグリプチンおよびダパグリフロジンを投与する段階をさらに含む。別の実施形態において、本明細書に開示される方法および使用は炎症促進性サイトカインであるIL-1α/β、IL-2、IL-15、IL-3、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-ガンマ、TNF-アルファを低減させるための、または抗炎症性サイトカインであるIL-1ra、IL-9、IL-10、IL-11のレベルを増加させるための治療薬を投与する段階をさらに含む。
【0086】
本明細書において用いられる用語「動物」は動物界のあらゆるメンバー、任意選択でヒトなどの哺乳類を言う。
【0087】
本明細書において記載される「有効量」または「胆汁酸を低下させる量」の薬剤の投与は、所望の結果に達するのに必要な用量および期間に有効な量として定義される。有効量の高度なbsh活性を持つ細菌組成物は動物の疾患の様子、年齢、性別および体重などの因子に従って任意選択で調整される。用量の処方は最適の治療応答を提供するように容易に調整される。例えばいくつかの分割された用量が毎日投与されてもよく、または用量は治療状況の急迫により指示されるように比例的に低減されてもよい。1つの実施形態において、組成物は1日あたり1から4回投与され、または用いられてよい。
【0088】
組成物は患者に投与されうる薬学的に許容される組成物調製のための既知の方法により調製されうるもので、有効数量の細胞が薬学的に許容される媒体と混合物の中で組み合わされるようになる。適した媒体は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences(Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、USA2003-20th Edition)およびThe United States Pharmacopeia(The National Formulary(USP 24 NF19)、1999年発行)に記載されている。
【0089】
細菌を増殖および調製するためのプロセス
また本明細書において提供されるのは、高度なbsh活性の発達を支援する発酵条件下でbsh産生細菌を増殖させる段階を含む、高度なbsh活性を持つ細菌を調製するためのプロセスである。適した発酵条件は上の組成物の節において記載されている。例えば発酵条件は任意選択で炭素源、窒素源、pH4〜7および12から24時間の回収時間を含む。1つの実施形態において、炭素源は任意選択でマルトース、ショ糖、デキストリン、ソルビトールおよびグルコースの組合せ、またはイヌリンおよびグルコースの組合せを含む糖である。特定の実施形態において、炭素源はマルトースである。別の実施形態において、窒素源は(i)酵母エキスおよび麦芽エキス、酵母エキスおよび牛肉エキス、またはカゼイン加水分解物および麦芽エキス、ならびに(ii)ペプトンまたはトリプトンを含む。別の実施形態において、窒素源はシステインをさらに含む。特定の実施形態において、ペプトンはペプトンno.3である。炭素源および窒素源の典型的濃度は上の組成物の節において記載されるようなものである。
【0090】
さらなる実施形態において、プロセスは遊離のまたはマイクロカプセル化された細菌組成物を本明細書に記載されるような溶解保護物質と共に凍結乾燥する段階をさらに含む。1つの実施形態において、溶解保護物質は終濃度0.2%から10%のマルトデキストリンおよび0.05%から0.33%の酵母エキス、または0.05〜2.5%のイヌリンおよび0.05から0.1%の酵母エキスを含む。1つの実施形態において、溶解保護物質は終濃度2〜4%のマルトデキストリンおよび0.1%の酵母エキス、0.3%のイヌリンおよび0.1%の酵母エキス、または0.3%のイヌリンを含む。
【0091】
代わりの実施形態において、プロセスは高度なbsh活性を持つ遊離のまたはマイクロカプセル化された細菌組成物を液体保存条件下で保存する段階をさらに含む。1つの実施形態において、液体保存条件は2.5〜10%の増殖培地、50〜99.99%のヨーグルトもしくは他の発酵乳、50〜99.99%の培養上清、または5%のMRSを含む最終保存溶液を含む。
【0092】
なお別の実施形態において、プロセスは遊離のまたはマイクロカプセル化された組成物を本明細書に記載されるような凍結保護溶液中で急速冷凍する段階をさらに含む。1つの実施形態において、凍結保護溶液は終濃度0.2〜10%のマルトデキストリン、任意選択で1〜3%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母エキス、任意選択で0.1〜0.2%の酵母エキス、0.05から2.5%のイヌリン、任意選択で少なくとも0.2%のイヌリン、0.5Mのトレハロース、0.5Mのフルクトース、0.5Mの乳糖、0.5Mのマルトースまたは50〜99.99%、任意選択で50%の使用済み培地を含む。本明細書において用いられる急速冷凍は組成物をセ氏-80度より低い温度に供することを言い、例えば遊離のまたはマイクロカプセル化された組成物をセ氏-196度の温度などの液体窒素に供することにより、または組成物をセ氏-130度などの超低温で凍らせることにより、またはドライアイスを用いることにより行われる。
【0093】
上の開示は本開示を一般的に記載するものである。より完全な理解は以下の特定の実施例を参照することにより得ることができる。これらの実施例はもっぱら例証の目的のために記載され、本開示の範囲を制限することは意図されていない。形態の変化および等価物への置換は、状況が好都合であることを示唆または与えるであろう場合に考慮される。
【0094】
以下の限定的でない実施例は本開示を例証するものである。
【0095】
(実施例)
遊離のラクトバチルス・ロイテリ株によるTDCAおよびGDCAの脱抱合(図1および2)
結果
図1および2は、0.4グラムの遊離のラクトバチルス・ロイテリ(ATCC53608、ATCC53609、ATCC55148、ATCC55739、およびNCIMB701359)を用いた試験管内アッセイにおいてHPLCにより測定された、経時的なタウロデオキシコール酸およびグリコデオキシコール酸の脱抱合を示す。HPLCにより測定されたように、NCIMB701359およびATCC55739のラクトバチルス・ロイテリ株は最も高いbsh活性を持つ。アッセイの「分解能」(0.4グラムを用いて2.5時間かけてサンプリングすること)についての限界を考慮すべきであるが、しかしながら、これらの株はこの実験においてテストされた他の株よりも相当にbsh活性が高いことがなお示されており、GDCAレベルが2.5時間時に測定できないことから、基質が限定的になった場合はbsh活性に一層大きな差異がある。
【0096】
材料と方法
細菌および培養条件
ATCC(53609、53608、55148および55739)から得られた4つのラクトバチルス・ロイテリ株およびNCIMB701359は滅菌されたde Man、Rogosa、Sharpe(MRS)ブロス中で、37℃で20時間培養された。増殖された培養物は遠心分離により単離され、回収された細菌細胞は以下のBSHアッセイにおいて用いられた。
【0097】
BSH活性の測定
BSH活性を測定するため、回収された細菌はいずれも5mMのグリコデオキシコール酸ナトリウムおよびタウロデオキシコール酸ナトリウムの組合せを補充された100%のMRS中に添加された(0.4gの細菌細胞/20mlのGDCAおよびTDCA補充MRS)。細菌は次いで反応ブロス中で嫌気的に、37℃で最少の振とう(100rpm)を伴ってインキュベートされ、上清は2.5時間間隔でサンプリングされて抱合胆汁酸濃度を決定するために処理された。簡潔には、10000gで3分間の遠心分離により細菌細胞を除去した後、500μlのサンプルが5μlの6N HClで酸性化された。上清は次いで4mMのGCA(グリココール酸)を内部標準として含有する500μlのメタノールを補充された。サンプルは10分間ボルテックスされ、1000gで15分間遠心分離された。サンプルはHPLCにより分析される前に0.22μmのフィルターでろ過された。胆汁酸塩のHPLC分析はJonesら、2003年により記載された手法に従った。
【0098】
胆汁酸塩のHPLC分析
胆汁酸塩のHPLC分析はJonesら、2003年により記載された手法に従った。分析は逆相C-18カラム(LiChrosorb RP-18、5μm、250×4.6mm)上で行われた。HPLCシステムはProStar210溶媒送達モジュール2式、ProStar320 UV-VIS検出器、ProStar410オートサンプラーおよびGalaxie Chromatography Dataシステム(バージョン1.9.3.2)で構成した。メタノールおよびo-リン酸でpH4.3に調整された50mM酢酸ナトリウムバッファーの混合液(70:30、v/v)は移動相として流速1.0ml/分で適用された。検出器は210nmに設定され、全ての測定は室温で行われた。
【0099】
遊離のラクトバチルス・ロイテリおよびラクトバチルス・ファーメンタムによるTDCAおよびGDCAの脱抱合(図3および4)
結果
図3および4は遊離のラクトバチルス・ロイテリ(Lab Met、NCIMB701359)およびラクトバチルス・ファーメンタム(ATCC11976)の試験管内アッセイにおいてHPLCにより測定された、経時的なタウロデオキシコール酸およびグリコデオキシコール酸の脱抱合を示す。ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)はラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)またはラクトバチルス・ファーメンタム(ATCC11976)よりはるかに優れたbsh活性を有しており、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)細胞の1/8量の画分でさえ試験管内でラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)より優れている。
【0100】
材料と方法
細菌および培養条件
この試験において用いられる細菌株はL.ロイテリ(LabMet、NCIMB701359)およびL.ファーメンタム(ATCC11976)である。細菌は滅菌されたde Man、Rogosa、Sharpe(MRS)ブロス中で、37℃で20時間培養された。増殖された培養物は遠心分離により単離され、回収された細菌細胞は以下のBSHアッセイにおいて用いられた。
【0101】
BSH活性の測定
BSH活性を測定するため、回収された細菌はいずれも5mMのグリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムの組合せを補充された100%のMRS中に添加された(0.4gまたは0.05gの細菌/20mlのGDCAおよびTDCA補充MRS)。細菌は次いで嫌気的に37℃でインキュベートされ、上清は3時間間隔でサンプリングされ、抱合胆汁酸濃度を決定するために反応チューブ中で処理された。簡潔には、10000gで3分間の遠心分離により細菌細胞を除去した後、500μlのサンプルが5μlの6N HClで酸性化された。上清は次いで4mMのGCA(グリココール酸)を内部標準として含有する500μlのメタノールを補充された。サンプルは10分間ボルテックスされ、1000gで15分間遠心分離された。サンプルはHPLCにより分析される前に0.22μmのフィルターでろ過された。胆汁酸塩のHPLC分析はJonesらにより記載された手法に従った。
【0102】
胆汁酸塩のHPLC分析
胆汁酸塩のHPLC分析はJonesら、2003年により記載された手法に従った。分析は逆相C-18カラム(LiChrosorb RP-18、5μm、250×4.6mm)上で行われた。HPLCシステムはProStar210溶媒送達モジュール2式、ProStar320 UV-VIS検出器、ProStar410オートサンプラーおよびGalaxie Chromatography Dataシステム(バージョン1.9.3.2)で構成した。メタノールおよびo-リン酸でpH4.3に調整された50mM酢酸ナトリウムバッファーの混合液(70:30、v/v)は移動相として流速1.0ml/分で適用された。検出器は210nmに設定され、全ての測定は室温で行われた。
【0103】
遊離のラクトバチルス・ロイテリ株によるTDCAおよびGDCAの脱抱合(図5および6)
結果
図5および6は0.2グラムの遊離のラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359、NCIMB701089、NCIMB702656、NCIMB11951、ATCC23272およびLMG9213)を用いた試験管内アッセイにおいてHPLCにより測定された、経時的なタウロデオキシコール酸およびグリコデオキシコール酸の脱抱合を示す。NCIMB701359、NCIMB701089およびATCC23272株は試験の分解能により再び限定されるものの、HPLCにより測定されたように最も優れた度合のbsh活性を有している。
【0104】
材料と方法
細菌および培養条件
この試験において用いられる細菌株はL.ロイテリNCIMB701359、L.ロイテリNCIMB701089、L.ロイテリNCIMB702656、L.ロイテリNCIMB11951、L.ロイテリATCC23272、およびL.ロイテリLMG9213である。細菌は単一のコロニーから接種され、1%接種液で2回継代された。細菌は毎回、滅菌されたde Man、Rogosa、Sharpe(MRS、Difco)ブロス中で、37℃で20時間培養された。増殖された培養物は遠心分離により単離され、回収された細菌細胞は以下のBSHアッセイにおいて用いられた。
【0105】
BSH活性の測定
BSH活性を測定するため、回収された細菌0.2gは5mMのグリココール酸ナトリウムおよびタウロコール酸ナトリウムの組合せを補充された100%のMRS中に添加された(0.2gの細菌/20mlの5mM GDCAおよび5mM TDCA補充MRS)。細菌は次いで嫌気的に37℃でインキュベートされ、上清は1、3、5および7時間後にサンプリングされ、反応チューブ中で抱合胆汁酸濃度を決定された。簡潔には、10000gで3分間の遠心分離により細菌細胞を除去した後、500μlのサンプルが5μlの6N HClで酸性化された。上清は次いで4mMのGCA(グリココール酸)を内部標準として含有する500μlのメタノールを補充された。サンプルは10分間ボルテックスされ、1000gで15分間遠心分離された。サンプルはHPLCにより分析される前に0.45μmのフィルターでろ過された。胆汁酸塩のHPLC分析はJonesらにより記載された手法に従った。
【0106】
高度なbsh活性を持つL.ロイテリおよびコレステロール低減
材料と方法
ラクトバチルス株のbsh活性は上の材料と方法の節において記載されたTDCAおよびGDCAについての標準的なHPLCアッセイにより計算された。xDCAの除去速度はエンドポイントでの模擬腸内容物から除去されたGDCAまたはTDCAの濃度を取得して、ベースラインの値を減算することにより計算された。生産されたDCAの量または除去されたxDCAの量は用いられたマイクロカプセルの質量で除算され、用いられた模擬腸内容物の量で乗算されて、ベースラインからエンドポイントまでの時間単位の経過時間で除算された。これは以下の式によりなされた:低減されたxDCA=μmol生産されたDCAまたは低減されたxDCA/gマイクロカプセル/時間。
【0107】
結果
Table 2(表1)は前臨床または臨床でテストされたラクトバチルス・ロイテリ株のbsh活性を示し、5時間または30分間かけて測定された速度(μmol DCA/g/時)で表現される。ラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)は前臨床でコレステロールを低下させることが示されたが、高用量のL.ロイテリおよび高頻度の投薬が必要であった。前臨床試験においてコレステロールを低下させたbsh活性がより高いラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)は、ヒト臨床試験においてコレステロールを顕著に低減させることが確認された。より高い割合のbsh活性が活性に関与したと推測され、閾値レベルのbsh活性が、高い1日用量で送達される遊離の細胞に必要とされるという主張を支持する相当な証拠がある。それぞれ1時間および5時間かけて測定された時にGDCAを>50μmol/グラム/時でおよびTDCAを>2μmol/グラム/時で分解し、106〜1012個の生物数量が送達される生物はコレステロールを低下させるのに十分であると思われる。この理由のため、より一層bsh活性の高いラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701089)は前臨床および臨床試験においてコレステロールを低減させて良好に働くと予測される。加えて、bsh活性はTDCAおよびGDCAについて同じHPLCアッセイで測定され、一方で平均速度は30分の期間にわたって計算された。これは真の酵素速度の正確な決定を提供するが、その理由として、xDCA脱抱合曲線は0から30分の間でより直線的であり、反応がより遅い時点で見られるような基質の利用可能性の低さに制限されないからである。
【0108】
材料と方法は上記のHPLCアッセイの節と同じである。
【0109】
シリアンゴールデンF1Bハムスターにおける高度なbsh活性を持つマイクロカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)の有効性および安全性(Table 3(表2))
結果
Table 3(表2)は高コレステロール血症を誘導され、次いでマイクロカプセル化されたまたは遊離のラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)のいずれかでの強制飼養により処置されたF1Bハムスターについて、脂質エンドポイントの対照値からのパーセント変化を示す。群間に似たような総コレステロール低減がある一方、このモデルにおいて遊離の生物に伴う増加されたLDL-C低減、より少ないHDL-C低減、および改良されたトリグリセリド除去がある。これは全体的な動脈硬化指数(AI)において劇的な差異をもたらし、改良された送達および生存率の見地からマイクロカプセル化に利点がある一方、改良された脂質プロファイルが得られうるという点で高度なbsh活性を持つ遊離の生物の送達にも利点があることを示す。
【0110】
材料と方法
計38匹の7〜8週齢のBio F1BシリアンゴールデンハムスターはBiobreeders、USAから購入された。搬入されるとすぐに動物は1週間の馴化を与えられた。動物は温度および湿度が制御された室内で、12時間逆転した昼夜サイクルを伴って、自由摂取可能な食餌および水と共に1ケージに1匹ずつ飼育された。馴化後、動物は秤量され、血液が採取されてベースラインの脂質が下に記載されるように評価された。
【0111】
高コレステロール血症は0.05%のコレステロールを含有する試験食での5週間の給餌により誘導された。食餌消費および体重増加は毎週モニターされた。血液は4および5週間の誘導の後に採取され、脂質レベルについて分析された。加えて、安全性マーカーが処置(5週間の誘導)開始前に評価された。糞便サンプルは誘導期間の最終日に採取され、胆汁酸含量について評価された。
【0112】
高コレステロール血症誘導食での5週間の給餌後に高コレステロール血症を示さなかった動物は全て除外された(5匹の動物)。残りの動物は次いで血清LDLレベルに基づくブロック無作為化により3つの処置群の1つに割り当てられ、各群の平均体重を等しくするように調整された(各群についてn=11)。無作為化の後、動物は強制飼養により6週間処置を施された。
【0113】
処置期間中、高コレステロール血症試験食での給餌は継続された。摂餌および体重は週1回の頻度でモニターされ、血中脂質レベルは隔週毎に測定された。6週間の処置後、エンドポイントの糞便サンプルが採取され、動物は二酸化炭素により屠殺された。エンドポイントの脂質、安全性マーカーおよび血液学の分析のため、心臓穿刺により血液が採取された。剖検中、各群の代表的な動物からの肝臓が組織分析のために採取された。
【0114】
ヨーグルトを含有するbsh活性がより低いマイクロカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)の脂質低下における有効性および安全性(Table 4(表3))
結果
Table 4(表3)は、6週間の治療期間にわたるマイクロカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)の消費に応答した、穏やかな高コレステロール血症の対象の空腹時脂質におけるパーセント変化を示す。結果は、血清トリグリセリドレベル低減を伴う、血清コレステロールにおける対照に対するいくらかの変化を示す。
【0115】
材料と方法
この試験はプロバイオティックヨーグルト組成物を含有するbsh活性がより低いマイクロカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリ(LabMet)の、ヒトにおいて変性疾患に関連している健康パラメーターに対する有効性を試験した。
【0116】
プロバイオティック製品の消費はいくつかの衰弱性加齢性疾患のリスクマーカーにおいて都合良いシフトを誘導し、プロバイオティック消費は高脂血症の個人において従来の治療と対比して脂質を都合良く変えるであろうと予想された。
【0117】
試験デザインは多フェーズ/ウォッシュアウトの無作為化二重盲検比較試験で、この試験において対象は対照ヨーグルトまたは試験ヨーグルトを6週間にわたって摂取した後、その後に続くフェーズの前に6週間のウォッシュアウトがなされた。
【0118】
血漿LDL-C130〜260mg/dl、TGレベル400mg/dl未満、肥満度指数(BMI)22〜32kg/m2である18〜60歳の健康な男女計30名は無作為化された。
【0119】
正確に知られている組成物の代謝食は臨床試験施設で厳格な監督の下、対象に提供された。食事は栄養的に適切であり、エネルギー所要量の100%を供給した。加えて対象は治療期間中、1日あたり1個の試験ヨーグルトを摂取した。
【0120】
24時間絶食後の血液サンプルは各試験フェーズの開始時および終了時に採取された。1、2日目に得られた血液サンプルは異なる試験測定のベースライン値を測定するのに用いられ、他方、最終日に得られた血液サンプルは血清脂質レベルの最終値を測定するのに用いられた。
【0121】
ヨーグルトを含有する高度なbsh活性を持つマイクロカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)の脂質低下における有効性および安全性(Table 5および6(表4および5))
結果
Table 5および6(表4および5)は、6週間の治療期間にわたるより高度なbsh活性を持つラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)の消費に応答した、高コレステロール血症の対象における空腹時脂質のパーセント変化を示す。結果は、bsh活性値(26.4μmol GDCA/グラム/時および182.6μmol TDCA/グラム/時)から予測されたように、総コレステロールおよびLDLコレステロール、同様にApoBの顕著な減少を示す。この無作為化二重盲検並行群間比較試験は良好に動かされ、良好に制御されていたことから、あらゆるコレステロール低下はプロバイオティック成分が原因であった。
【0122】
材料と方法
この試験はプロバイオティックヨーグルト製剤を含有する高度なbsh活性を持つマイクロカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)の、ヒトにおいて変性疾患に関連している健康パラメーターに対する有効性を試験した。
【0123】
目的は、アルギン酸ポリ-L-リジンアルギン酸(APA)マイクロカプセル化された高度な胆汁酸塩加水分解酵素(bsh)活性を持つラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)を含有するヨーグルト製剤消費の高コレステロール血症成人における血漿脂質レベルに対する効果を評価し、6週間の製品消費後の高コレステロール血症成人における血漿LDL-コレステロール濃度の対照製品と対比した相対的変化を評価することである。
【0124】
実験は多施設(5施設)二重盲検無作為化並行群間比較プラセボ対照試験を伴った。対象はHealth Canada食事勧告に従うよう指示されたが、この勧告は肥満および心疾患のリスク低減を助けることが意図されるものである。試験期間は2週間のウォッシュアウト期間、2週間のならし期間、および6週間の治療期間を包含する10週間であった。ウォッシュアウト期間中、対象は食事指示のみに従った。ならし期間中、プラセボが摂取された。治療またはプラセボ製品が全治療期間中、摂取された。
【0125】
LDL-コレステロール>3.4mmol/L、TGレベル<4.0mmol/L、BMI範囲22〜32kg/m2の18〜74歳の間の健康な男女計120名は無作為化され、109名の対象はプロトコールにより評価された。
【0126】
12時間絶食後の血液サンプルは治療期間の開始時および終了時に採取された。1、2日目に得られた血液サンプルは異なる試験測定のベースライン値を測定するのに用いられ、他方、最終日に得られた血液サンプルは血清脂質レベルの最終値を測定するのに用いられた。
【0127】
高度なbsh活性を持つ細菌の同定(図7およびTable 7(表6))
結果
MRS-TDCA-プレート沈殿ゾーンスクリーニングアッセイは、TDCA bsh活性を決定するための方法としてプレート法は粗く、高度なbsh活性を持つ候補のコレステロール低下プロバイオティクスを同定するには十分でない可能性があることを示す。見て分かるように、より高いbsh活性を持つ培養液はより大きな沈殿ゾーンを持つが、しかしながらDCA沈殿がより高濃度に濃縮される場合、TDCAプレートでのスクリーニングは単独では最も高度なbsh活性を持つ生物を潜在的な候補として同定しない。この理由のため、グリコ抱合体およびタウロ抱合体についてのbsh活性を定量するHPLCアッセイなどのより分解能の高いアッセイが必要とされるであろう。
【0128】
図7はMRS-TDCAプレート上で24時間、嫌気的に増殖された高度なbsh活性を持つ3株のラクトバチルス・ロイテリを示す。沈殿ゾーンのサイズおよび沈殿濃度は各生物について明らかに異なっている。
【0129】
Table 7(表6)は培地を含浸させたフィルターディスクによる24時間の嫌気的増殖後にMRS-TDCAプレート上で測定されたデオキシコール酸(DCA)の沈殿の直径(mm)を示す。値は3枚のMRS-TDCA寒天プレート上での3連の測定の平均値である。Table 7(表6)からの結果をTable 2(表1)からの結果と比較すると、沈殿ゾーンアッセイは高度なbsh活性を持つ細菌を常には区別しないことを示すが、これはLR050がLR052より大きい沈殿ゾーンを持つことは明らかだが、HPLCは、実際はLR052がより高度なbsh活性を持つことを示すためである。
【0130】
材料と方法
ラクトバチルス培養液はMRS培地中、37℃で一晩増殖された。各培養液500μlは予め秤量されたエッペンドルフ中で遠心分離された。上清は除去され、ペレットは秤量された。ペレットは同じ1:10のw/v比になるようMRSで再懸濁され、各培養物の10μlが異なるMRS-TDCA寒天プレート上の2連のフィルターディスクに添加された。プレートは嫌気的に37℃でインキュベートされ、測定がなされた。
【0131】
遊離のラクトバチルス・ロイテリ株によるTDCAおよびGDCAの脱抱合(図8および9)
結果
図8および9は、0.2グラムの遊離のラクトバチルス・ロイテリ(ATCC55148、ATCC55739、NCIMB701359、NCIMB701089、NCIMB702655、LMG18238、LMG22877、LMG22878、LMG22879、CCUG32271、CCUG32305、CCUG37470、CCUG44001、CCUG44144、CCUG47824)を用いた試験管内アッセイにおいてHPLCにより測定された、経時的なタウロデオキシコール酸およびグリコデオキシコール酸の脱抱合を示す。結果は、株ATCC55148、NCIMB701359、NCIMB701089、NCIMB702655、LMG18238、CCUG32271、CCUG32305、CCUG37470、CCUG44001およびCCUG44144はHPLCで測定されたようにとりわけ高度なbsh活性を持つことを示す。
【0132】
材料と方法
細菌および培養条件
ラクトバチルス・ロイテリ株は滅菌されたde Man、Rogosa、Sharpe(MRS)ブロス中で、37℃で20時間培養された。増殖された培養物は遠心分離により単離され、回収された細菌細胞は以下のBSHアッセイにおいて用いられた。
【0133】
BSH活性の測定
BSH活性を測定するため、回収された細菌はいずれも5mMのグリコデオキシコール酸ナトリウムおよびタウロデオキシコール酸ナトリウムの組合せを補充された100%のMRS中に添加された(0.2gの細菌細胞/20mlのGDCAおよびTDCA補充MRS)。細菌は次いで反応ブロス中で嫌気的に、37℃で最少の振とう(100rpm)を伴ってインキュベートされ、上清は2.5時間間隔でサンプリングされ、抱合胆汁酸塩濃度を決定するために処理された。簡潔には、10000gで3分間の遠心分離により細菌細胞を除去した後、500μlのサンプルが5μlの6N HClで酸性化された。上清は次いで4mMのGCA(グリココール酸)を内部標準として含有する500μlのメタノールを補充された。サンプルは10分間ボルテックスされ、1000gで15分間遠心分離された。サンプルはHPLCにより分析される前に0.22μmのフィルターでろ過された。胆汁酸塩のHPLC分析はJonesら、2003年により記載された手法に従った。
【0134】
胆汁酸塩のHPLC分析
胆汁酸塩のHPLC分析はJonesら、2003年により記載された手法に従った。分析は逆相C-18カラム(LiChrosorb RP-18、5μm、250×4.6mm)上で行われた。HPLCシステムはProStar210溶媒送達モジュール2式、ProStar320 UV-VIS検出器、ProStar410オートサンプラーおよびGalaxie Chromatography Dataシステム(バージョン1.9.3.2)で構成した。メタノールおよびo-リン酸でpH4.3に調整された50mM酢酸ナトリウムバッファーの混合液(70:30、v/v)は移動相として流速1.0ml/分で適用された。検出器は210nmに設定され、全ての測定は室温で行われた。
【0135】
(実施例2)-高度なBSH活性
一般的な材料と方法
細菌の接種および増殖:
凍結されたグリセロール細菌ストックの表面は滅菌された木の棒で掻き取られ、MRS寒天プレートに画線された。37℃で嫌気条件下での一晩のインキュベーション後、L.ロイテリNCIMB701359の単一コロニーが金属ループによって滅菌条件下で釣りあげられ、10mLのMRSを含有するチューブ内に移された。培養液は実験での使用のため、37℃で一晩インキュベートされた。
【0136】
L.ロイテリNCIMB701359のマイクロカプセル化:
マイクロカプセルは8%の細胞充填および1.75%のアルギン酸濃度で200μmサイズのノズルを用いて調製された。被覆プロセスは以下の通りである。最初にアルギン酸ビーズはCaCl2に吐き出され、2番目にアルギン酸ビーズは0.85%(w/v)のNaCl中で10分間洗浄され、3番目にアルギン酸ビーズは0.1%(w/v)のε-PLL中で20分間被覆され、4番目にアルギン酸-PLLマイクロカプセルは0.85%(w/v)のNaClで10分間洗浄され、5番目にアルギン酸-PLLマイクロカプセルは0.1%(w/v)のアルギン酸で20分間被覆され、最後にアルギン酸-PLL-アルギン酸マイクロカプセルは0.85%(w/v)のNaClで10分間洗浄された。
【0137】
凍結および凍結乾燥された遊離の細胞についてのBSHアッセイ:
凍結された遊離の細胞は解凍、遠心分離および洗浄されて、5mMのTDCAおよび5mMのGDCAを含有する20mLのMRSに添加された(0.05g)。凍結乾燥された遊離の細胞は5mMのTDCAおよび5mMのGDCAを含有する20mLのMRSに添加された(0.15g)。サンプルは30分後に取り出され、HPLCで分析された。対照は培地単独およびMRS中で増殖された調製直後のマイクロカプセルであった。
【0138】
マイクロカプセルについてのBSHアッセイ:
解凍、洗浄されたマイクロカプセル(相対的活性に依存して0.3gから2.5gの間のサンプル)は5mMのTDCAおよび5mMのGDCAを含有する20mLのMRSに添加された。サンプルは30分後に取り出され、HPLCで分析された。対照は培地単独およびMRS中で増殖された調製直後のマイクロカプセルであった。0.3gのマイクロカプセルは0.03gの遊離細胞のペレットを含有した。
【0139】
BSH活性についてのHPLCアッセイ:
分析は逆相C-18カラム(LiChrosorb RP-18、250mm×4.6mm、5μm)上で流速1.0ml/分で行われた。移動相はメタノールおよび50mM酢酸ナトリウムバッファー(o-リン酸でpH4.3に調整)が70:30の比の混合液で、検出は210nmで測定された。bsh活性は1時間あたり1gのマイクロカプセルあたりのサンプル中の脱抱合されたGDCAおよびTDCAの量により評価された。
【0140】
A.発酵を通じて改良されたbsh活性(Tables 8〜10(表7〜9))
材料と方法
炭素源および窒素源に基づくbsh活性の上昇:
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359細胞は上記の一般的な方法により増殖された。1%のL.ロイテリNCIMB701359は異なる炭素源および窒素源を伴う改変MRS培地中に接種された。接種された培養液は37℃で24時間インキュベートされた。インキュベーション時間の後、0.05gまたは0.1gの細胞ペレットが5mMのTDCAおよび5mMのGDCAを含有する20mLのMRSに添加された。サンプルは0.5時間後および1.5時間後に除去され、HPLCで分析された。MRSは対照の増殖培地として用いられた。分析は上の一般的な方法に記載されたようにHPLCにより行われた。
【0141】
pHおよび回収時間に基づくbsh活性の上昇:
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359細胞は上記の一般的な方法により増殖された。1%のL.ロイテリNCIMB701359は、炭素源および窒素源を伴い、NaOHまたはHClを添加することでpHがpH5、6および6.8に調整された増殖培地中に接種された。接種された異なるpH条件の培養液は37℃で12時間から48時間の回収時間でインキュベートされた。インキュベーション時間の後、0.05gまたは0.1gの細胞ペレットが5mMのTDCAおよび5mMのGDCAを含有する20mLのMRSに添加された。サンプルは0.5時間後および1.5時間後に除去され、上の一般的な方法に記載されたようにHPLCで分析された。対照は改変していないMRS培地中で増殖された。
【0142】
結果
改変MRS中で発酵されたラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359についての炭素源からの最も都合良い、bsh活性および収率を上昇させる結果は、マルトースであった。GDCAおよびTDCAはそれぞれ2,253(μmol/g/時)および173(μmol/g/時)の速度で脱抱合され、収率0.015g/mlが維持された(Table 8(表7))。この炭素源(マルトース)を用いて発酵されたラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359についての窒素源からの最も都合良い、GDCAの脱抱合(μmol/g/時)、TDCAの脱抱合(μmol/g/時)(HPLC)および収率(g/ml)の増加を期待する結果は、ペプトンno.3、酵母エキス、麦芽エキスおよびシステインの組合せであった。GDCAおよびTDCAはそれぞれ21,185(μmol/g/時)および2,323(μmol/g/時)の速度で脱抱合され、収率0.013g/mlが維持された(Table 9(表8))。上述の培地(マルトース+ペプトンno.3+酵母エキス+麦芽エキス+システイン)またはMRSのいずれかにおいて発酵されたラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359について、回収時間および初発pHについての最も都合良い、GDCAの脱抱合(μmol/g/時)、TDCAの脱抱合(μmol/g/時)(HPLC)および収率(g/ml)の増加を期待する結果は、pHは5、回収時間は12〜20時間であった(Table 10(表9))。
【0143】
これらの結果は、炭素源および窒素源、pH、および回収時間を包含する条件がラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359での高いbsh活性および細胞収率を達成することを示す。これらの条件は高度な活性を持つ製品を生産するが、この製品はサプリメントまたは機能性食品の型式において有効期間中、高いbshレベルを維持し、商業的に生産するのに対費用効果がある。このデータは、bsh生産機構を持つプロバイオティック細胞は確定した培地および条件で容易に発酵され、治療的レベルの酵素活性および商業的に生存可能レベルのバイオマスを達成することを示す。このプロセスは脂質低下および他の用途のための商業的に生存可能なbsh活性を持つプロバイオティクスを作るのに有用である。
【0144】
B.凍結乾燥により改良されたbsh活性(Table 11(表10)および図10)
材料と方法
高いBSH活性のための凍結乾燥保存条件:
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359を含有するマイクロカプセルは上記の一般的な方法により調製された。マイクロカプセルは、以下の溶解保護溶液に対するマイクロカプセルの比が7:3で保存された:1Mトレハロース、10%マルトデキストリン、1%イヌリン、10%マルトデキストリンおよび0.33%酵母エキス、1Mトレハロースおよび0.33%酵母エキス、1%イヌリンおよび0.33%酵母エキス、10%マルトデキストリンおよび1%カゼイン加水分解物、ならびに10%スキムミルク。マイクロカプセルおよび溶解保護溶液を含有するスラリーは凍結乾燥され、4℃で0、1、2、3、4、5および6週間、個々に一定分量で保存された。各時点で、各溶解保護物質を含有する凍結乾燥されたマイクロカプセルの2連サンプルが生理食塩水で再水和された。上記のマイクロカプセルについてのbshアッセイは上の一般的な方法により、HPLC分析のためのサンプルを調製するのに用いられた。
【0145】
遊離のラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359は上記の一般的な方法により調製された。溶解保護物質は終濃度10%のマルトデキストリンおよび0.33%の酵母エキスで、遊離細胞スラリーに添加された。スラリーは凍結乾燥され、4℃または室温で0、1、2および3カ月間、個々に一定分量で保存された。各時点で、各溶解保護物質を含有する凍結乾燥された細胞の2連サンプルが生理食塩水で再水和された。上記の凍結乾燥された材料についてのbshアッセイは上の一般的な方法により、HPLC分析のためのサンプルを調製するのに用いられた。
【0146】
結果
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359についての溶解保護物質からの最も都合良い、bsh活性を上昇させる結果は、10%のマルトデキストリンおよび0.33%の酵母エキス、1%のイヌリンおよび0.33%の酵母エキス、ならびに1%のイヌリンであった(Table 11(表10))。
【0147】
これらの結果は、溶解保護物質がラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359について高いbsh活性を維持することを示す。溶解保護物質は再水和の際にマイクロカプセルの形態を維持し(図10)、サプリメントまたは機能性食品の型式において有効期間中、高いbshレベルを維持し、商業的に生産するのに対費用効果がある。このデータは、bsh生産機構を持つ遊離のまたはマイクロカプセル化されたプロバイオティック細胞は溶解保護物質と共に容易に凍結乾燥され、治療的レベルの酵素活性を維持することを示す。このプロセスは脂質低下および他の用途のための商業的に生存可能なbsh活性を持つ凍結乾燥されたプロバイオティクスを作るのに有用である。
【0148】
C.液体保存により改良されたbsh活性(Table 12(表11))
材料と方法
BSH活性のための液体保存条件:
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359を含有するマイクロカプセルは上記の一般的な方法により調製された。マイクロカプセルは、以下の保存溶液に対するマイクロカプセルの比が1:1で保存された:5%増殖培地、10%増殖培地、20%増殖培地、10%MRS培地、ヨーグルト、培養上清、1%マルトース、0.85%生理食塩水、1%麦芽エキス、1%イヌリン、10%ソルビトール、0.33%酵母エキス、1%イヌリンおよび0.33%酵母エキス、ならびに1Mフルクトース。結果として生じたマイクロカプセルは保存溶液中で、4℃で4日間の短期保存のため、個々に一定分量で保存された。各液体保存溶液を含有するマイクロカプセルの2連サンプルは保存培地から除去され、生理食塩水で洗浄された。上記のマイクロカプセルについてのbshアッセイは上の一般的な方法により、HPLC分析のためのサンプルを調製するのに用いられた。
【0149】
結果
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359についての液体保存条件からの最も都合良い、4日間の液体保存後のbsh活性を考慮する結果は、ヨーグルト(1:1)、5%の増殖培地(1:1)、10%の増殖培地、20%の増殖培地(1:1)、培養上清(1:1)、および10%のMRS(1:1)であった(Table 12(表11))。
【0150】
これらの結果は、液体保存条件がラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359での高いbsh活性を維持することを示す。これらの条件は高度な活性を持つ製品の生産をもたらすが、この製品は一時的な液体保存の間、高いbshレベルを維持し、商業的プロセスにおける使用に対費用効果がある。このデータは特定の保存条件が液体培地における保存に有益であり、治療的レベルの酵素活性を達成することを示す。このプロセスは短期保存の間、bsh活性を維持するのに有用であり、脂質低下および他の代謝性疾患治療用途のための、bsh活性を持つプロバイオティクスを生産するための商業的に生存可能な生産プロセスを作る。
【0151】
D.急速冷凍を通じて改良されたbsh活性(Table 13(表12))
材料と方法
bsh活性のための急速冷凍保存条件:
ラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359を含有するマイクロカプセルは上記の一般的な方法により調製された。マイクロカプセルは、以下の凍結保護溶液に対するマイクロカプセルの比が1:1で保存された:1Mトレハロース、1Mフルクトース、1%イヌリン、1Mマルトース、1M乳糖、1Mショ糖、10%PEG8000、0.85%生理食塩水、10%スキムミルク、10%デンプンまたは10%フルクトオリゴ糖。マイクロカプセルおよび凍結保護溶液を含有するスラリーは滅菌されたシリンジをゆっくりと通されて球状の液滴を形成し、液滴は液体窒素中に懸濁された。結果として生じた急速冷凍ペレットは液体窒素から単離されて、-80℃で個々に一定分量で保存された。保存直後および3週間後、各凍結保護溶液を含有するペレット化されたマイクロカプセルの2連サンプルは保存培地から除去され、生理食塩水で洗浄された。上記のマイクロカプセルについてのbshアッセイは上の一般的な方法に記載されたHPLC分析のためのサンプルを調製するのに用いられた。
【0152】
遊離のラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359は上の一般的な方法により調製された。遊離細胞ペレットは使用済み培地に、使用済み培地に対する細胞の比が1:1で再懸濁された。結果として生じた細胞スラリーは滅菌されたシリンジをゆっくりと通されて球状の液滴を形成し、液滴は液体窒素中に懸濁された。結果として生じた急速冷凍ペレットは液体窒素から単離されて、-80℃で保存された。使用済み培地の凍結保護溶液を含有するペレット化された細胞の2連サンプルは保存培地から除去された。上記の遊離細胞についてのbshアッセイは上の一般的な方法に記載されたHPLC分析のためのサンプルを調製するのに用いられた。
【0153】
結果
液体窒素中で急速冷凍されたラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359についての凍結保存培地からの最も都合良い結果は、急速冷凍直後および3週間後のカプセル形態および/または残存するbsh活性の%を考慮すると、遊離のまたはマイクロカプセル化された細菌の凍結保存溶液に対する比が1:1で、凍結保存溶液はマルトデキストリンおよび酵母エキス、イヌリン、トレハロース、フルクトース、ショ糖、乳糖、マルトースならびに使用済み培地を指示された濃度で伴うものを包含した(Table 13(表12))。
【0154】
これらの結果は、凍結保存のための液体窒素中での急速冷凍の際の凍結保存条件がカプセル化されたラクトバチルス・ロイテリNCIMB701359の高いbsh活性および良好なマイクロカプセル形態を達成することを示し、サプリメントまたは機能性食品の型式において延長された有効期間中、高いbshレベルを持つ製品の生産を可能にし、商業的に生産するのに対費用効果がある。このデータは高いbsh活性を持つ遊離のまたはマイクロカプセル化されたプロバイオティック細胞がいくつかの凍結保存条件下で容易に調製され、液体窒素中での急速冷凍が治療的レベルの酵素活性および優れたマイクロカプセル形態を達成することを示す。このプロセスは脂質低下および他の用途のための商業的に生存可能なbsh活性を持つプロバイオティクスを作るのに有用である。
【0155】
本開示は現在好ましい例と考えられるものを参照して記載されている一方で、本開示は開示された例に限定されないことが理解されるものである。反対に、本開示は添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に包含される様々な改変および等価的な配置に及ぶように意図される。
【0156】
全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の各刊行物、特許または特許出願が具体的に個別でその全体が参照により組み込まれると指し示されたのと同程度に、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0157】
Table 1:アテローム生成リスクを表し、アテローム性動脈硬化を患うリスクにある患者の予後指標として用いられる動脈硬化指数(AI)を決定するために一般的に用いられる2つの式
動脈硬化指数(AI)=Log(トリグリセリド/HDL-コレステロール)
動脈硬化指数(AI)=(TC-HDL-コレステロール)/(HDL-コレステロール)
【0158】
【表1】

【0159】
【表2】

【0160】
【表3】

【0161】
【表4】

【0162】
【表5】

【0163】
【表6】

【0164】
【表7】

【0165】
【表8】

【0166】
【表9】

【0167】
【表10】

【0168】
【表11】

【0169】
【表12】

【0170】
(参考文献)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度なbsh活性を持つ細菌、その単離物または上清を含む経口組成物であって、前記高度なbsh活性を持つ細菌がそれぞれ1時間および5時間かけて測定された時にGDCAを>50μmol/グラム/時でおよびTDCAを>2μmol/グラム/時で分解し、または30分間かけて測定された時にGDCAを>65μmol/g/時でおよびTDCAを>7μmol/g/時で分解する、経口組成物。
【請求項2】
前記高度なbsh活性を持つ細菌が30分間かけて測定された時にGDCAを>300μmol/g/時でおよびTDCAを>40μmol/g/時で分解する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記高度なbsh活性を持つ細菌が30分間かけて測定された時にGDCAを>2000μmol/g/時でおよびTDCAを>500μmol/g/時で分解する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記高度なbsh活性を持つ細菌が30分間かけて測定された時にGDCAを>15000μmol/g/時でおよびTDCAを>2000μmol/g/時で分解する、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項5】
担体をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項6】
前記細菌が生きている、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項7】
前記細菌が遊離である、請求項1から6のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項8】
前記細菌がラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)、ペディオコッカス(Pediococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)またはロイコノストック(Leuconostoc)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項9】
前記ラクトバチルスがラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)である、請求項8に記載の経口組成物。
【請求項10】
前記ラクトバチルス・ロイテリがラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701359)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB701089)、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC55148)、ラクトバチルス・ロイテリ(ATCC23272)、ラクトバチルス・ロイテリ(NCIMB702655)、ラクトバチルス・ロイテリ(LMG18238)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG32271)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG32305)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG37470)、ラクトバチルス・ロイテリ(CCUG44001)またはラクトバチルス・ロイテリ(CCUG44144)である、請求項9に記載の経口組成物。
【請求項11】
前記細菌の濃度が106〜1012CFU/グラムである、請求項1から10のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項12】
前記高度なbsh活性を持つ細菌が炭素源、窒素源、pH4〜7および12から24時間の回収時間を含む発酵条件下で増殖される、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項13】
前記炭素源がマルトース、ショ糖、デキストリン、ソルビトールおよびグルコースの組合せ、またはイヌリンおよびグルコースの組合せを含む、請求項12に記載の経口組成物。
【請求項14】
前記炭素源がマルトースを含む、請求項12に記載の経口組成物。
【請求項15】
前記窒素源が(i)酵母抽出物および麦芽抽出物、酵母エキスおよび牛肉抽出物、またはカゼイン加水分解物および麦芽抽出物、ならびに(ii)ペプトンまたはトリプトンを含む、請求項12に記載の経口組成物。
【請求項16】
前記窒素源がシステインをさらに含む、請求項15に記載の経口組成物。
【請求項17】
前記ペプトンがペプトンno.3である、請求項15または16に記載の経口組成物。
【請求項18】
前記細菌がポリマー中に固定される、請求項1から17のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項19】
前記ポリマーがアルギン酸、キトサン、アガロース、ペクチン、アガロペクチン、ゲニピンまたはセルロースを含む、請求項18に記載の経口組成物。
【請求項20】
前記細菌がポリマー性の半透性マイクロカプセルまたはナノカプセルの中にカプセル化される、請求項1から19のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項21】
前記マイクロカプセルまたはナノカプセルがアルギン酸/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APA)、アルギン酸/キトサン/アルギン酸(ACA)またはアルギン酸/ゲニピン/アルギン酸(AGA)の膜を含む、請求項20に記載の経口組成物。
【請求項22】
前記マイクロカプセルまたはナノカプセルがアルギン酸/ポリ-l-リジン/ペクチン/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APPPA)、アルギン酸/ポリ-l-リジン/ペクチン/ポリ-l-リジン/ペクチン(APPPP)、アルギン酸/ポリ-L-リジン/キトサン/ポリ-l-リジン/アルギン酸(APCPA)、アルギン酸-ポリメチレン-co-グアニジン-アルギン酸(A-PMCG-A)、ヒドロキシメチルアクリレート-メチルメタクリレート(HEMA-MMA)、多層のHEMA-MMA-MAA、ポリアクリロニトリルビニルクロリド(PAN-PVC)、アクリロニトリル/メタリルスルホン酸ナトリウム(AN-69)、ポリエチレングリコール/ポリペンタメチルシクロペンタシロキサン/ポリジメチルシロキサン(PEG/PD5/PDMS)またはポリN,N-ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)の膜を含む、請求項20に記載の経口組成物。
【請求項23】
前記マイクロカプセルまたはナノカプセルが中空糸、ニトロセルロース、ポリアミド、脂質複合ポリマー、脂質小胞、ケイ素質カプセル化物、硫酸セルロース/アルギン酸ナトリウム/ポリメチレン-co-グアニジン(CS/A/PMCG)、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸カルシウム、k-カラギーナン-ローカストビーンガムゲルビーズ、ジェラン-キサンタンビーズ、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、カラギーナン、デンプンポリ酸無水物、デンプンポリメタクリレート、ポリアミノ酸または腸溶コーティングポリマーを含む、請求項20に記載の経口組成物。
【請求項24】
前記ポリマー性のマイクロカプセルまたはナノカプセルが胃腸条件に対して耐性である、請求項20に記載の経口組成物。
【請求項25】
凍結乾燥、熱乾燥、スプレー乾燥またはフリーズドライされる、請求項1から24のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項26】
0.2から10%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母抽出物、0.05から2.5%のイヌリンおよび0.1%の酵母抽出物、または0.3%のイヌリンを含む溶解保護物質と共に凍結乾燥される、請求項25に記載の経口組成物。
【請求項27】
湿ったものとして調製される、請求項1から26のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項28】
液体中で保存され、液体保存条件が2.5〜10%の増殖培地、50〜99.99%のヨーグルトもしくは他の発酵乳、50〜99.99%の培養上清、または5%のMRSを含む最終保存溶液を含む、請求項27に記載の経口組成物。
【請求項29】
凍結保護溶液中で急速冷凍される、請求項1から28のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項30】
前記凍結保護溶液が終濃度0.2〜10%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母抽出物、0.05から2.5%のイヌリン、0.5Mのトレハロース、0.5Mのフルクトース、0.5Mの乳糖、0.5Mのマルトースまたは50〜99.99%の使用済み培地を含む、請求項29に記載の経口組成物。
【請求項31】
前記担体がサプリメント、食品製品、飲料、機能性食品または栄養補助食品を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項32】
前記担体がカプセル、丸剤、ゲルカプセル、液体または溶解性フィルムを含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項33】
トリグリセリド低下剤をさらに含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項34】
前記トリグリセリド低下剤がスクアレン合成酵素阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤、スタチン、胆汁酸捕捉剤(BAS)、コレステロール吸収阻害剤、フィブレートもしくは他のPPARアルファアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、リパーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、膵臓ペプチドYY3-36、組換えもしくは他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト、またはロルカセリンなどの5-HT2cアゴニストを含む、請求項33に記載の経口組成物。
【請求項35】
HDLを増加させるまたはHDL減少を制限するための薬剤をさらに含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項36】
前記薬剤がスタチン、胆汁酸捕捉剤(BAS)、コレステロール吸収阻害剤、フィブレートもしくは他のPPARアルファアゴニスト、デュアルPPARアゴニスト、リパーゼ阻害剤、タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤、膵臓ペプチドYY3-36、組換えもしくは他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト、またはロルカセリンなどの5-HT2cアゴニストを含む、請求項35に記載の経口組成物。
【請求項37】
コレステロール低下剤をさらに含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項38】
前記コレステロール低下剤が胆汁酸捕捉剤(BAS)、スタチン、エゼチミブ、アルファ-リノレン酸、オメガ-3,6,9,エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、フィブレート、可溶性繊維、ポリフェノール、ガンマ-オリザノール、ヘスペレチン代謝物、フィトケミカル、他のプロバイオティクス、サイリウム、フィトステロール、フィトスタノール、ビタミン、抗酸化剤または抗生物質を含む、請求項37に記載の経口組成物。
【請求項39】
前記スタチンがロバスタチン、プラバスタチン、ゾコー、フルバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、セリバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンまたはアトルバスタチンを含む、請求項34、36または38に記載の経口組成物。
【請求項40】
前記BASがコレスチラミン、コレスチポールまたはコレセベラムを含む、請求項34、36または38に記載の経口組成物。
【請求項41】
前記フィブレートがクロフィブレート、ベザフィブレート、ゲムフィブロジルまたはフェノフィブレートを含む、請求項36、38または40に記載の経口組成物。
【請求項42】
bsh活性を維持するための薬剤をさらに含む、請求項1から41のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項43】
前記bsh活性を維持するための薬剤がイヌリン、トレハロース、マルトデキストラン、酵母抽出物、ポリエチレングリコール、グリセロール、脂質、乳化脂肪、乳製品、グルコース、フルクトース、ショ糖、多糖、無水生命状態(anhydrobiosis)、ポリコサノール、ポリエチレングリコール(PEG)、植物ステロール、植物スタノールまたはオメガ脂肪酸を含む、請求項42に記載の経口組成物。
【請求項44】
前記ポリコサノールがオクタコサノール、トリアコンタノール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、1-ヘプタコサノール、1-ノナコサノール、1-ドトリアコンタノールまたはゲジルアルコール(geddyl alcohol)を含む、請求項43に記載の経口組成物。
【請求項45】
アディポカインまたは肥満のホルモンを調節するための薬剤をさらに含む、請求項1から44のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項46】
前記アディポカインまたは肥満のホルモンを調節するための薬剤がレプチン、グレリン、レジスチン、アディポネクチン、ケメリン、Il-6、ビスファチン、レチノール結合タンパク質4またはプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1を含む、請求項45に記載の経口組成物。
【請求項47】
血糖降下剤をさらに含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項48】
前記血糖降下剤がメトホルミン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、グリブリド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジドバイル(Glipizidebile)、グリベンクラミド、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、シタグリプチン、ナテグリニド、レパグリニド、ミチグリニド、アログリプチン、サクサグリプチン、ビルダグリプチンまたはダパグリフロジンを含む、請求項47に記載の経口組成物。
【請求項49】
炎症促進性サイトカインであるIL-1α/β、IL-2、IL-15、IL-3、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、IFN-ガンマ、TNF-アルファを低減させるための、または抗炎症性サイトカインであるIL-1ra、IL-9、IL-10、IL-11のレベルを増加させるための治療薬をさらに含む、請求項1から48のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項50】
ビタミンB12をさらに含む、請求項1から49のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項51】
共役リノール酸(CLA)をさらに含む、請求項1から50のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項52】
ロイテリンおよび/またはロイテリサイクリンをさらに含む、請求項1から51のいずれか一項に記載の経口組成物。
【請求項53】
動物の血清コレステロールを低下させるための、胆汁酸を低下させる量の請求項1から52のいずれか一項に記載の経口組成物の使用。
【請求項54】
動物の血清高密度リポタンパク質(HDL-C)を増加させ、または低減を制限するための、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
動物の血清トリグリセリドを減少させるための、請求項53に記載の使用。
【請求項56】
動物のアテローム硬化リスク因子を低減させるための請求項53に記載の使用であって、前記アテローム硬化リスク因子が血清ホモシステイン、フィブリノーゲン、C反応性タンパク質、リポタンパク質(a)、尿酸、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP-9)、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI-1)またはその抗原、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、TNFアルファ、IL-6、P-セレクチン、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、細胞間接着分子1(ICAM-1)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、アディポネクチン、レプチン、リポタンパク質関連ホスホリパーゼAおよびインスリンから選択される、使用。
【請求項57】
ビタミンB12を生産して動物に送達するための、請求項53に記載の使用。
【請求項58】
共役リノール酸(CLA)を生産して動物に送達するための、請求項53に記載の使用。
【請求項59】
ロイテリンおよび/またはロイテリサイクリンを生産して動物に送達するための、請求項53に記載の使用。
【請求項60】
動物の動脈硬化指数を低減させるための、胆汁酸を低下させる量の請求項1から52のいずれか一項に記載の経口組成物の使用。
【請求項61】
前記動脈硬化指数(AI)が式AI=Log(トリグリセリド/HDL-C)またはAI=TC-HDL-C/HDL-Cの少なくとも1つより計算される、請求項60に記載の使用。
【請求項62】
動物におけるアテローム性動脈硬化またはアテローム性動脈硬化が原因となる変性障害の予防または治療のための、胆汁酸を低下させる量の請求項1から52のいずれか一項に記載の経口組成物の使用。
【請求項63】
前記変性障害が脳血管疾患、脳卒中、血管疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、血栓症、狭心症、不安定狭心症、間欠性跛行、一過性虚血発作または腎不全を含む、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
動物において全身の体脂肪を低下させる、または肥満もしくは前肥満状態を治療するための、胆汁酸を低下させる量の請求項1から52のいずれか一項に記載の経口組成物の使用。
【請求項65】
動物における代謝性疾患または障害の予防または治療のための、胆汁酸を低下させる量の請求項1から52のいずれか一項に記載の経口組成物の使用。
【請求項66】
前記代謝性疾患または障害が高脂血症、高血糖、高リポタンパク血症、耐糖能障害(IGT)、インスリン抵抗性、前糖尿病状態、I型糖尿病、II型糖尿病またはメタボリックシンドロームを含む、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
動物における高濃度の血清もしくは肝臓の脂質およびトリグリセリドに関連した肝疾患もしくは障害、肝臓の炎症、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪性肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、脂肪肝、肝線維症、異常に高レベルの血清ALT、AST、GGTもしくはAlk-P、エプスタイン・バーウイルス、肝炎、自己免疫性肝炎、肝肉芽腫性疾患、胆管炎、肝細胞がん、胆管癌または代謝性肝疾患の予防または治療のための、胆汁酸を低下させる量の請求項1から52のいずれか一項に記載の経口組成物の使用。
【請求項68】
前記組成物が1日あたり1から4回用いられる、請求項53から67のいずれか一項に記載の使用。
【請求項69】
前記動物がヒトである、請求項53から68のいずれか一項に記載の使用。
【請求項70】
bsh産生細菌を炭素源、窒素源およびpH4〜7を含む培地中で増殖させる段階ならびに前記細菌を12から24時間後に回収する段階を含む、高度なbsh活性を持つ細菌を調製するためのプロセス。
【請求項71】
前記炭素源がマルトース、ショ糖、デキストリン、ソルビトールおよびグルコースの組合せ、またはイヌリンおよびグルコースの組合せを含む、請求項70に記載のプロセス。
【請求項72】
前記炭素源がマルトースである、請求項70に記載のプロセス。
【請求項73】
前記窒素源が(i)酵母エキスおよび麦芽エキス、酵母エキスおよび牛肉エキス、またはカゼイン加水分解物および麦芽エキス、ならびに(ii)ペプトンまたはトリプトンを含む、請求項70に記載のプロセス。
【請求項74】
前記窒素源がシステインをさらに含む、請求項73に記載のプロセス。
【請求項75】
前記ペプトンがペプトンno.3である、請求項73または74に記載のプロセス。
【請求項76】
遊離のまたはマイクロカプセル化された細菌を溶解保護物質と共に凍結乾燥する段階をさらに含み、前記溶解保護物質が0.2から10%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母エキス、0.05から2.5%のイヌリンおよび0.1%の酵母エキス、または0.3%のイヌリンを含む、請求項70から75のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項77】
高度なbsh活性を持つ遊離のまたはマイクロカプセル化された細菌を液体保存条件下で保存する段階をさらに含み、前記液体保存条件が2.5〜10%の増殖培地、50〜99.99%のヨーグルトもしくは他の発酵乳、50〜99.99%の培養上清、または5%のMRSを含む最終保存溶液を含む、請求項70から75のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項78】
組成物および凍結保護溶液をセ氏-80度より低い温度で急速冷凍する段階をさらに含み、前記凍結保護溶液が終濃度0.2〜10%のマルトデキストリンおよび0.05から0.33%の酵母エキス、0.05から2.5%のイヌリン、0.5Mのトレハロース、0.5Mのフルクトース、0.5Mの乳糖、0.5Mのマルトースまたは50〜99.99%の使用済み培地を含む、請求項70から77のいずれか一項に記載のプロセス。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−525338(P2012−525338A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507553(P2012−507553)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000660
【国際公開番号】WO2010/124387
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(510337791)マイクロファーマ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】