説明

変性顔料を含むポリマーおよびその製造方法

【課題】変性顔料をポリマー組成物中に組み込むための改善された方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、水性ポリマー溶液に導入して混合物を形成し、ここで該水性ポリマー溶液は脱水されていないこと、ならびに、該混合物を脱水してポリマー組成物を形成することを含む、ポリマー組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマー組成物に関し、より特には、変性顔料を含むポリマー組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,559,169号および第5,851,280号(参照することによって、その全部が本明細書に組入れられる)は、種々の用途(例えば、プラスチック、タイヤおよび他のポリマー品)において有用である変性炭素生成物を含むポリマー組成物を記載する。
【0003】
変性炭素生成物または変性顔料を含むポリマー組成物の製造において、変性顔料をポリマー組成物中に組み込むための改善された方法が考案され得るなら、有益であろう。典型的には、変性顔料、例えば変性カーボンブラックが、水性溶液中で形成され、この得られたスラリーを乾燥し、乾燥変性カーボンブラックが生じる。次に、この乾燥変性カーボンブラックをポリマー組成物および他の組成物、例えばインクおよびコーティングに組み込むことができる。かくして、変性カーボンブラックを乾燥し、かつポリマー中に生成物を再分散させるのに、実質的な費用がかかる。その上、変性プロセスは一般に、副生物、例えば生成物から容易には除去されない塩の生成をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された発明は、実質的に改善され、より経済的な方法を可能にする。カーボンブラックのために別個の乾燥工程を排除することができる。そのうえ、生成物と結合する塩をより容易に除去することができる。さらには、カーボンブラックおよびポリマーを含む得られたエラストマーコンパウンドは、別個の再分散工程を必要としない。また、エラストマーコンパウンドは、良好なカーボンブラック分散性を有し、したがって、改善された特性をもたらす。
【0005】
本発明の特徴は、変性顔料をポリマー組成物中に組み込む方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の特徴は、変性顔料をポリマー組成物中に導入する方法を提供することであり、これは、経済的な節約をもたらし、ならびに、変性顔料を含むポリマー組成物を製造するのに必要な時間を減らす。
【0007】
本発明の別の特徴は、成分の優れた分散性を有する生成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の特徴は、改善された性能を有する生成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の特徴は、実質的に結合した副生物なしに生成物を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、一部は以下の記載において示され、一部は、記載から明らかであるか、または本発明を実施することによってわかり得る。本発明の目的および他の利点は、書かれた記載および添付の特許請求の範囲において特に指摘された要素および組合せによって、実現され、得られるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの利点および他の利点を達成するために、本発明の目的に従えば、本明細書において具体化され、広く記載されているように、本発明は、少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法に関する。この方法は、少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーをポリマー溶液に導入して混合物を形成することを含む。充填剤の変性は、好ましくは水性媒体中で行う。この段階では、ポリマー溶液は脱水されていない。スラリーを導入後、次に、混合物を脱水して、ポリマー組成物を形成する。ポリマー溶液は、ポリマーエマルジョン、ポリマー懸濁液または、フリーラジカル重合により製造されたポリマーであることができる。さらに、溶媒ベースの重合により製造されたポリマーはまた、本発明の方法から利益を得ることができる。
【0012】
本発明はまた、少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、エマルジョンポリマーの前駆体の溶液に導入することによる、ポリマー組成物の製造方法に関する。次に前駆体の重合を開始して、ポリマー生成物を形成する。この生成物を次に脱水して、本発明のポリマー組成物を形成する。
【0013】
ポリマー組成物の別の製造方法においては、その方法は、ポリマーエマルジョンの存在下で、少なくとも1つの有機基を顔料に結合させて、ポリマー生成物を形成することを含む。次に、この生成物を脱水して、本発明のポリマー組成物を形成する。
【0014】
さらには、本発明は、溶液重合または懸濁重合により製造されたポリマーおよび溶媒の、クエンチされた(quenched)、未洗浄の溶液の存在下で、少なくとも1つの有機基を顔料に結合させることによる、ポリマー組成物の形成方法に関する。次に、この混合物を洗浄し、脱水して、本発明のポリマー組成物を形成することができる。
【0015】
本発明のさらなる方法においては、少なくとも1種の変性カーボンブラックまたは顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、溶液重合または懸濁重合により製造されたポリマーのクエンチされた溶液に導入して、混合物を形成することによって、ポリマー組成物が形成される。次にこの混合物を洗浄し、脱水して、本発明のポリマー組成物を形成する。
【0016】
さらなる方法においては、充填剤または顔料が水および有機溶媒のエマルジョンまたは混合物の水性相中で処理され得る。変性充填剤または顔料は次に、処理後の有機溶媒に移される。この有機溶媒溶液を、すでに形成されているポリマーの溶液かまたはポリマー前駆体溶液と混合することができる。ポリマー形成後、得られた生成物を洗浄し、脱水することができる。
【0017】
最後に、本発明は、少なくとも1つの有機基を結合した変性顔料を、少なくとも1種のリビングポリマーを含む溶液に導入することによる、ポリマー組成物の製造方法に関する。次に、リビングポリマーを、リビングポリマーを停止させることができる基を有する少なくとも1つの有機基の選択を含む任意の技術によって停止させ、かくして本発明のポリマー組成物を形成することができる。
【0018】
先に述べた一般的記載および以下の詳細な記載の両方が例示であり、説明のためのみのものであり、かつ特許請求された本発明をさらに説明することを意図するものであることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、変性顔料が少なくとも1つの有機基を結合している方法に関する。本発明はさらに、これらの方法から得られる生成物ならびに、本発明の方法の間に形成される中間体混合物または組成物に関する。
【0020】
変性顔料は、少なくとも1つの有機基を結合している顔料である。顔料の例としては、限定されることはないが、あらゆる着色顔料、カーボンブラック、炭素繊維、活性炭、グラファイト、活性化グラファイト、カーボンクロス(carbon cloth)、ガラス質炭素等が挙げられる。好ましくは、変性顔料は、変性された炭素生成物、例えば変性カーボンブラックである。顔料に結合される有機基は、種々の有機基、例えば米国特許第5,955,232号;第5,922,118号;第5,575,845号;第5,630,868号;第5,900,029号;第5,895,522号;第5,885,335号;第5,851,280号;第5,837,045号;第5,803,959号;第5,672,198号;第5,571,311号;第5,630,868号;第5,707,432号;第5,803,959号;第5,554,739号;第5,698,016号および第5,713,988号;ならびにPCT公開公報WO96/18688;WO97/47697;WO99/31175;WO99/41304;WO97/47692およびWO97/47699(すべて、その全部が、参照することによって、本明細書に組入れられる)に記載されたものであり得る。
【0021】
また、本発明の目的のために、変性炭素生成物は、炭素相およびケイ素含有種相を含む凝集体を含む。この凝集体ならびにこの凝集体の製造手段についての記載は、PCT公開公報WO96/37547ならびに米国特許第5,830,930号;第6,008,272号;第5,977,213号;第5,948,835号;第5,919,841号;第5,904,762号;第5,877,238号および第5,869,550号に記載されている。この変性炭素生成物は、そのままで使用することができるか、またはそれに結合された有機基を有することができる。これらの特許、公開公報および特許出願はすべて、参照することにより、その全部が本明細書に組入れられる。
【0022】
変性炭素生成物はまた、本発明の目的のために、炭素相および金属含有種相を含む凝集体であることができ、ここで、金属含有種相は、種々の異なる金属、例えばマグネシウム、カルシウム、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、スズ、アンチモン、クロム、ネオジム、鉛、テルル、バリウム、セシウム、鉄、モリブデン、アルミニウムおよび亜鉛ならびにそれらの混合物であり得る。炭素相および金属含有種相を含む凝集体は、米国特許第6,017,480号および第6,150,453号ならびにPCT公開公報WO98/42778(また、参照することにより、その全部が本明細書に組入れられる)に記載されている。この炭素生成物は、そのままで使用することができるか、またはそれに結合された有機基を有することができる。
【0023】
また、本発明の目的のために、変性炭素生成物は、シリカで被覆されたカーボンブラックを含むことができ、例えばPCT公開公報WO96/37547(1996年11月28日公開)および米国特許第5,916,934号(また、参照することにより、その全部が本明細書に組入れられる)に記載されているものである。この炭素生成物は、そのままで使用することができるか、またはそれに結合された有機基を有することができる。
【0024】
ポリマー組成に依存して、異なる有機基が好ましい。例えば、ポリマー組成物がタイヤまたはタイヤの部品の形成に使用されるなら、好ましくは、有機基は芳香族スルフィドもしくはチオールであるか、または、有機基は、アミン、イオン基、ヒドロキシル基、硫黄含有基、例えばポリスルフィド、スルフェンアミド基、エステル、ケトンもしくはハロゲン含有基からなる。別の基は、フェニルスルファトエチルスルホンであり、これは、水中で充填剤または顔料を電荷安定化された分散体を生じさせるために使用でき、次いで、後には、ポリマーと接触したら、充填剤とポリマーとの改善された相互作用を提供するために使用することができる。
【0025】
変性顔料、特に、芳香族スルフィド基を有する変性炭素生成物は、エラストマーまたはゴム組成物において特に有用である。これらの芳香族スルフィドは、式 Ar(CH2)qSk(CH2)rAr'またはA-(CH2)qSk(CH2)rAr''で示すことができ、ここで、ArおよびAr'は独立して、置換もしくは非置換のアリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、Ar''はアリールまたはヘテロアリール基であり、kは1〜8であり、qおよびrは0〜4である。置換アリール基は、置換アルキルアリール基を含む。アリーレン基は、フェニレン基、特にp-フェニレン基またはベンゾチアゾリレン基を含むことができる。アリール基は、フェニル、ナフチルおよびベンゾチアゾリルを含むことができる。kによって定義される、存在する硫黄の数は、好ましくは2〜4の範囲にある。変性炭素生成物は、式-(C6H4)-Sk-(C6H4)-(ここで、kは1〜8の整数であり、より好ましくはkは2〜4の範囲にある)の、結合された芳香族スルフィド有機基を有することができる。芳香族スルフィド基は、ビス-パラ-(C6H4)-S2-(C6H4)-およびパラ-(C6H4)-S2-(C6H5)であることができる。これらの芳香族スルフィド基のジアゾニウム塩は、その対応する1級アミン、H2N-Ar- Sk-Ar'-N H2またはH2N-Ar- Sk-Ar''から便利に製造することができる。基としては、ジチオジ-4,1-フェニレン、テトラチオジ-4,1-フェニレン、フェニルジチオフェニレン、ジチオジ-4,1-(3-クロロフェニレン)、-(4-C6H4)-S-S-(2-C7H4NS)、-(4-C6H4)-S-S-(4-C6H4)-OH、-6-(2-C7H3NS)-SH、-(4-C6H4)-CH2 CH2-S-S-CH2CH2-(4-C6H4)-、-(4-C6H4)-CH2 CH2-S-S-S-CH2CH2-(4-C6H4)-、-(2-C6H4) -S-S-(2-C6H4)-、-(3-C6H4) -S-S-(3-C6H4)-、-6-(C6H3N2S)、-6-(2-C7H3NS)-S-NRR'(ここで、RR'は-CH2CH2-O-CH2CH2-、-(4-C6H4)-S-S-S-S-(4-C6H4)-、-(4-C6H4)-CH=CH2、-(4-C6H4)-S-SO3H、-(4-C6H4)-SO2NH-(4-C6H4)-S-S-(4-C6H4)-NHSO2-(4-C6H4)-、-6-(2-C7H3NS)-S-S-2-(6-C7H3NS)-、-(4-C6H4)-S-CH2-(4-C6H4)-、-(4-C6H4)-SO2-S-(4-C6H4)-、-(4-C6H4)-CH2-S-CH2-(4-C6H4)-、-(3-C6H4)-CH2-S-CH2-(3-C6H4)-、-(4-C6H4)-CH2-S-S-CH2-(4-C6H4)-、-(3-C6H4)-CH2-S-S-CH2-(3-C6H4)-、-(4-C6H4)-S-NRR'(ここで、RR'は-CH2CH2-O-CH2CH2-)、-(4-C6H4)-SO2 NH-CH2CH2- S-S- CH2CH2-NHSO2-(4-C6H4)-、-(4-C6H4)-2-(1,3-ジチアニル)および-(4-C6H4)-S-(1,4-ピペリジンジイル)-S-(4-C6H4)-を包含する。
【0026】
顔料に結合することができる別の組の有機基は、アミノフェニルを有する有機基、例えば(C6H4)-NH2、(C6H4)-CH2-(C6H4)-NH2、(C6H4)-SO2-(C6H4)-NH2である。有機基はまた、式Ar-Sn-Ar'またはAr-Sn-Ar''で示される芳香族スルフィドを含み、ここで、ArおよびAr'は独立してアリーレン基であり、Ar''はアリールであり、nは1〜8である。
【0027】
好ましくは有機基は、水性媒体中での分散を改善するためのイオン基、イオン化可能基または極性基を有するかもしくは有していない、顔料に直接結合された芳香族基および/またはC1〜C100アルキル基(より好ましくはC1〜C12アルキル基)を含む。有機溶媒、例えばトルエン中での分散のためには、結合される基は好ましくは、非極性または非イオン性である。
【0028】
1つより多いタイプの有機基を顔料に結合することができ、または、異なる結合有機基を有する2つ以上のタイプの変性顔料を使用することができる。2つ以上の異なるタイプの有機基を用いると、特性を組合せることが可能である。2つの異なるタイプの有機基(例えばベンゼンスルホン酸基とビニル芳香族基)が結合されるなら、スルホン酸基は分散性を増加させ、ビニル芳香族基はラジカルグラフト部位として働く。異なる有機基の比は、同じまたは異なることができる。好ましくは、分散体に安定性を与えるために、イオン基、イオン化可能基または極性基の最小処理濃度だけを使用する。例えば、イオン種(例えば、硫酸塩、リン酸塩、有機酸のアルカリ金属塩または4級アンモニウム塩)、非イオン種(例えば、ヒドロキシ、有機酸)または界面活性剤安定剤(例えば、SDMS、SDS、アンタロックス(Antarox))のような基を使用して、水性媒体中の安定な顔料分散体を提供することができる。有機液体中の変性顔料の分散は、これらのより極性の小さい環境とより相溶性である処理を使用することによって、同様のやり方で促進することができる。ラジカルグラフト化部位の目的のための有機基の処理濃度は、物質用途に依存し得る。例えば、エポキシ基の結合は、ヒドロキシ含有ポリマーマトリックス、例えばポリウレタンもしくはポリカーボネートまたはアミンマトリックス、例えばナイロンへのグラフト化を促進する。他の例としては、ラジカル重合における架橋タイプの反応を促進するための、ラジカル感受性ビニル基、例えばスチレンまたはアクリレートの結合が挙げられる。これらの結合基は結局、これらの変性顔料を含む物質の特性に影響を与える。影響される特性としては、限定されることはないが、耐衝撃性挙動、モジュラス応答およびプラスチック中での分散性が挙げられる。
【0029】
また、異なる変性顔料の組合せを使用することができる。例えば、結合された1つのタイプの有機基を有する変性顔料を、結合された異なる有機基を有する別の変性顔料と組合せて使用することができる。また、変性顔料、例えば炭素相とケイ素含有種相とを含む凝集体を、結合された有機基を有する変性炭素生成物等と組合せて使用することなどができる。
【0030】
種々のメカニズム、例えば上記した特許および公開公報に記載されたようなメカニズムによって、少なくとも1つの有機基を顔料に結合することができる。好ましくは有機基は、化学的に、例えば共有結合および/またはイオン結合によって結合される。
【0031】
有機基を顔料に結合する1つの方法は、少なくとも1種のジアゾニウム塩を、ジアゾニウム塩を還元するのに十分な外部から供給される電流の不在下で、顔料と反応させることを含む。すなわち、ジアゾニウム塩と顔料との反応は、ジアゾニウム塩を還元するのに十分な外部の電子供給源なしに進行する。異なるジアゾニウム塩の混合物を、本発明の方法において使用することができる。この方法は、種々の反応条件下で、どのタイプの反応媒体(プロトン性および非プロトン性の溶媒系またはスラリーの両方を含む)中でも行うことができる。
【0032】
別の方法においては、プロトン性反応媒体中で、少なくとも1つのジアゾニウム塩が顔料と反応する。異なるジアゾニウム塩の混合物を、本発明のこの方法に使用することができる。この方法はまた、種々の反応条件下で行うことができる。両方の方法において、ジアゾニウム塩は、その場(in situ)で形成されることができる。
【0033】
これらの方法は、ジアゾニウム塩と顔料との反応を進行させるどの反応媒体中でも行うことができる。反応媒体は、溶媒ベースの系であることができる。溶媒は、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒または溶媒の混合物であることができる。プロトン性溶媒は、酸素または窒素に結合した水素を含有する、水またはメタノールのような溶媒であり、よって、水素結合を形成するのに十分に酸性である。非プロトン性溶媒は、先に定義した酸性水素を含まない溶媒である。非プロトン性溶媒としては、例えばヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリルおよびベンゾニトリルのような溶媒が挙げられる。プロトン性溶媒および非プロトン性溶媒についての議論のためには、モリソン(Morrison)およびボイド(Boyd)、有機化学(Organic Chemistry)、第5版、pp.228〜231(アリン アンド ベーコン社(Allyn and Bacon Inc.)、1987)参照。ジアゾニウム塩と炭素生成物との反応は、どのタイプの炭素生成物、例えば羽毛状またはペレット形状の炭素生成物を用いても行うことができる。
【0034】
少なくとも1種の変性顔料が合わせられるポリマーは、天然製品および合成製品を含むどのポリマーであってもよい。ポリマーは、どのタイプのポリマーであってもよく、例えばランダムポリマー、交互ポリマー、グラフトポリマー、ブロックポリマー、星状ポリマー、および/またはくし状ポリマーであることができる。ポリマーはまた、1つ以上のポリブレンドであることができる。ポリマーは、相互侵入ポリマーネットワーク(IPN);同時相互侵入ポリマーネットワーク(SIN);または相互侵入エラストマーネットワーク(IEN)であることができる。ポリマーは、熱可塑性または熱硬化性であることができる。
【0035】
ポリマーの例としては、限定されることはないが、オレフィン含有、ジエン含有、およびブテン含有ポリマーおよびコポリマーが挙げられる。特定の例としては、エラストマー、例えば溶液SBR、天然ゴム、エマルジョンSBR、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、EPDM、EPM、イソブテンエラストマーおよびそれらの官能化したもしくは変性した誘導体またはそれらのブレンドが挙げられる。
【0036】
ポリマーの他の例としては、限定されることはないが、線状および非線状ポリマー、例えばポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン等が挙げられる。他の一般的な種類のポリマーとしては、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、硫黄含有ポリマー(例えばポリスルフィド、(ポリフェニレン)スルフィドおよびポリスルホン)、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、ポリスチレンおよびスチレンコポリマー(ABSを含む)、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ポリオレフィン(例えばポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデン)、フルオロポリマー、アイオノマーポリマー、ケトン基含有ポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド-イミド、オレフィン性二重結合含有ポリマー(例えばポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエン)、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキッド、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、尿素-、メラミン-またはフェノール-ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリマーは、アクリルポリマー、メタクリルポリマーまたはスチレンポリマーであるが、意図される用途に大きく依存する。例えば、補強用途は一般に、ゴム製品が好ましくは抽出可能でないような方法、例えば溶媒で抽出されないような方法で、変性炭素生成物に結合することができるゴム製品の形成を含む。これは、表面に結合されたスチレン基を有する変性炭素生成物を使用することによって達成される。水性媒体のラジカル重合中に、増加する鎖を変性炭素生成物の表面上のこれらの部位にグラフトし、ゴム状コーティングされた粒子を生じることができる。
【0037】
本発明の方法において使用されるポリマーは好ましくは、水性媒介重合環境、例えば乳化重合および懸濁重合および一般に、フリーラジカル重合から形成される。また、溶媒ベースの重合がまた使用できる。したがって、乳化重合および溶液重合が以下で詳細に論じられるが、これらの方法は、一般に、限定されることはないが、懸濁重合および溶媒ベースの重合を含むフリーラジカル重合に適用することができる。
【0038】
先に同定したポリマーの多くは、乳化重合技術および/または溶液重合技術によって製造することができる。例えば、スチレンブタジエンゴムは、乳化重合技術によって製造することができる。当業者は、上記したポリマーの形成において使用することができる種々の重合技術について十分認識を有するであろう。
【0039】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物を製造するために種々の方法を使用することができる。一般に、重合を行うために使用される慣用の成分を、これらの方法における慣用の量で使用することができ、そのような成分は、例えば開始剤、界面活性剤、阻害剤またはクエンチング剤(quenching agent)、架橋剤等である。
【0040】
1つの実施態様においては、少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物は、少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、脱水していないポリマーエマルジョンに導入することによって製造される。スラリーのポリマーエマルジョンへの導入は、本発明の目的のために、混合物であると考えられ得る。次にこの混合物を脱水して、本発明のポリマー組成物を形成する。本発明の目的のために、脱水は、水性相または溶媒相(連続相であり得る)を除去して、形成したポリマーを回収することを含む。
【0041】
混合物の脱水を達成するために、デカンテーション、ろ過等を含む慣用の技術を使用することができる。
【0042】
本発明の別の方法においては、ポリマー組成物は、少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、ポリマーエマルジョンの前駆体に導入することによって形成することができる。ポリマーエマルジョンの前駆体は、重合すると、ポリマーエマルジョンを生じる成分である。スラリーが、ポリマーエマルジョンの前駆体に導入されると、重合が開始されて、ポリマー生成物を形成することができる。次にこのポリマー生成物を脱水して、本発明のポリマー組成物を回収することができる。
【0043】
上記の方法の他に、ポリマーエマルジョンの存在下で変性顔料を形成することによって、ポリマー組成物を作ることができる。特に、この方法は、ポリマーエマルジョンの存在下で、少なくとも1つの有機基を顔料に結合して、生成物を形成することを含む。次にこの生成物を上記のようにして脱水する。そのような方法においては、上記した特許および公開公報において記載した、変性顔料の形成に関連する反応体を、ポリマーエマルジョンの存在下で使用して、反応を行い、それによって、少なくとも1つの有機基の顔料への結合が生じる。この反応が行われて、変性顔料が形成されたら、ポリマーエマルジョンの存在下で変性顔料を脱水プロセスに供して、本発明のポリマー組成物を生じる。
【0044】
一般に、充填剤または顔料の処理の結果として形成されるいかなる塩または副生物も、ポリマー生成物の洗浄および脱水プロセスによって除去される。
【0045】
本発明の別の実施態様においては、少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、例えば溶液重合または懸濁重合により製造されたポリマーのクエンチされた(quenched)溶液に導入して、混合物を形成することによって、ポリマー組成物が形成される。本質的に、この方法においては、溶液ポリマー系が使用され、ここで、ポリマー溶液を洗浄する前であるが、ポリマー溶液をクエンチした後に、少なくとも1種の変性顔料を含むスラリーが導入される。導入されると、クエンチされたポリマー溶液と共に存在するスラリーは次に、溶液重合からポリマーを回収することにおける当業者に公知の慣用の技術を用いて洗浄される。
【0046】
本発明のなお別の実施態様においては、例えば溶液重合または懸濁重合により製造されたポリマーおよび溶媒の、クエンチされ未洗浄の溶液の存在下で、少なくとも1つの有機基を顔料に結合させることによって、ポリマー組成物が形成される。上記した実施態様の1つと同様に、この実施態様においては、変性顔料は実際には、ポリマー溶液中で、溶液重合で使用された成分の存在下で形成される。この場合、変性は、有機溶媒と水との2相混合物中で生じる。処理された顔料または充填剤は、溶媒相へ移される。かくして、前記した特許および公開公報に記載された、変性顔料を形成するために使用される反応体を、溶液ポリマー中に導入し、反応を開始して変性顔料を形成する。クエンチされ未洗浄の溶液ポリマーの存在下で、変性顔料が形成されたら、次に、変性顔料を含む溶液ポリマーを慣用の技術を用いて洗浄して、本発明のポリマー組成物を回収する。
【0047】
最後に、本発明の別の実施態様においては、少なくとも1つの有機基を結合した、変性された乾燥顔料または充填剤が、少なくとも1種のリビングポリマーを含む溶液中に導入され、ポリマー組成物が形成される。好ましくは、少なくとも1つの有機基を結合した変性顔料は、重合を停止することができる停止基である有機基上の成分を有する。そのような基の例は、エステル、ケトン、アミンおよびチオールである。
【0048】
変性顔料を含むスラリーを、種々の方法で製造することができる。スラリーは、カーボンブラックまたは他の顔料(ペレット)の凝集体を水に添加することによって作ることができる。好ましくは、スラリー中の顔料粒子は凝集体を含まず、それで、ポリマー中に容易に分散する。凝集体を含まない変性顔料スラリーを製造する1つの方法は、ミクロ粉砕した(micropulverized)固体を含むペーストを作ることである。装置、例えばボールミルを使用して、液体、例えば水または溶媒の存在下で、顔料をミクロ粉砕する。あるいは、装置、例えばボールミルを使用して、どのような液体もなしに、顔料を脱塊化し、次いでミクロ粉砕した顔料をミキサーの下流に添加することができる。
【0049】
本発明の方法は、WO99/16600;WO97/36724;および米国仮特許出願第60/129,791号(すべて、参照することにより、その全部が本明細書に組入れられる)に記載された発明に組み込むことができる。
【0050】
上記した中間体生成物は、本発明の一部と考えられ、変性顔料がポリマーに組み込まれる方法において独特である。かくして、水性ベースの系かまたは溶媒ベースの系のポリマー溶液の存在下での、変性顔料を含むスラリーの存在は、本発明の一部と考えられ、新規な混合物または組成物と考えられる。
【0051】
本発明のポリマー組成物は、多くの方法で、かつ多くの用途(限定されることはないが、以下の補強用途、ゴム製品、プラスチック製品等を含む)に使用されることができる。
【0052】
例えば、本発明の変性顔料生成物は、プラスチック材料における着色剤として使用できる。本発明の変性顔料生成物はまた、プラスチック材料に導電性を与えるために使用することができる。本発明の変性顔料生成物は、対応する未処理の顔料よりも、分散速度の増加または分散体の質の改善を与えることができる。これらの改善は、プラスチック製造および最終製品の価値においてそれぞれ、経済的利点を提供する。本発明の変性顔料生成物の使用は、プラスチックの耐衝撃強度を改善することができる。かくして、本発明は、プラスチックおよび変性顔料生成物を含む、改善されたプラスチック組成物に関する。
【0053】
慣用の顔料を用いるのと比べて、変性顔料生成物は、種々のプラスチックと共に使用でき、限定されることはないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または工学材料(engineered materials)から作られるプラスチック、例えば複合材料が挙げられる。典型的な種類の熱可塑性樹脂としては、(1)アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂;(2)アセタール類;(3)アクリル類;(4)セルロース類;(5)塩素化ポリエーテル類;(6)フルオロカーボン類、例えばポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP);(7)ナイロン類(ポリアミド);(8)ポリカーボネート類;(9)ポリエチレン類(コポリマーを含む);(10)ポリプロピレン類(コポリマーを含む);(11)ポリスチレン類;(12)ビニル類(ポリ塩化ビニルを含む);(13)熱可塑性ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート;(14)ポリフェニレンエーテルアロイ;ならびに、上記とゴム改質剤とのブレンドおよびアロイが挙げられる。典型的な熱硬化性樹脂としては、(1)アルキッド類;(2)アリル類;(3) アミノ類(メラミンおよび尿素);(4)エポキシ類;(5)フェノール類;(6)ポリエステル類;(7)シリコーン類;(8)ウレタン類が挙げられる。
【0054】
本発明によれば、プラスチック組成物という語は、限定されることはないが、プラスチック材料、製品、物品、表面、布、シート、フィルム等を包含する。例えば、プラスチック材料は、自動車部品、家庭用の羽目板(siding)、スイミングプール用のライン、屋根材料、包装材料、合成繊維、食品および貯蔵容器、光吸収用途(例えばバーコード)ならびに、種々の他の家庭用および工業用の部材を包含する。
【0055】
先の記述から、本発明は、変性顔料を含むポリマーフォームの製造に使用できることがまた理解される。好ましい実施態様においては、充填剤がフォームセル(foam cell)のウィンドウ(window)に優先的に配置される。
【0056】
本発明の変性顔料生成物はまた、慣用の顔料を用いたときと比べて、ゴムおよびエラストマー組成物の配合および製造において使用することができる。したがって、本発明は、本発明の方法を用いた、少なくとも1種のゴムまたはエラストマーおよび、少なくとも1種の変性顔料を含むゴムまたはエラストマー組成物の製造に関する。
【0057】
カーボンブラックは、例えば、ゴム加硫物、例えばタイヤにおけるゴム加硫物の製造に有用である。満足のいく耐磨耗性およびヒステリシス性能を有するタイヤを製造するカーボンブラックを使用することが、タイヤの製造において一般に望ましい。タイヤのトレッドウェア(treadwear)特性は、耐磨耗性に関連している。耐磨耗性が大きくなればなるほど、タイヤがすり減ることなく持続するマイル数が大きくなる。ゴムコンパウンドのヒステリシスは、ゴムコンパウンドを変性させるために施用されるエネルギーと、ゴムコンパウンドがその最初の未変形状態に回復するときに放出されるエネルギーとの間の差異を意味する。低いヒステリシス値を有するタイヤは、回転抵抗(rolling resistance)を減らし、したがって、タイヤを使用している乗物の燃料消費を減らすことができる。かくして、タイヤにおいて、大きい耐磨耗性および低いヒステリシスを与えることができるカーボンブラック生成物を有することが特に望ましい。
【0058】
本発明の変性顔料生成物、好ましくは変性カーボンブラック生成物は、ゴムにおいて有用である。芳香族スルフィド基を含むカーボンブラック生成物は、この用途のために好ましい。本発明のカーボンブラック生成物または他の顔料は、硫黄硬化される、ペルオキシド硬化される、または化学的に架橋されるゴム組成物において使用することができる。
【0059】
本発明の変性顔料生成物は、上記したどのポリマーとも共に使用でき、合成ゴム、例えば約10〜約70重量%のスチレンおよび約90〜約30重量%のブタジエンからなるコポリマー、例えば19部のスチレンと81部のブタジエンとからなるコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンとからなるコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとからなるコポリマーおよび50部のスチレンと50部のブタジエンとからなるコポリマー;共役ジエンからなるポリマーおよびコポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等および、そのような共役ジエンと、それと共重合可能なエチレン性基含有モノマー(例えばスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2-ビニル-ピリジン、5-メチル-2-ビニルピリジン、5-エチル-2-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、アルファメチレンカルボン酸およびそのエステルおよびアミド、例えばアクリル酸およびジアルキルアクリル酸アミド)とのコポリマーが挙げられ;また、ここで使用するのに適当なものは、ジエン、エチレンおよび他の高級アルファオレフィン、例えばプロピレン、ブテン-1およびペンテン-1のコポリマーである。それらはまた、天然ゴムと共に使用することができる。
【0060】
本発明のゴム組成物はしたがって、少なくとも1種のエラストマー、硬化剤、補強充填剤、カップリング剤および、場合により、種々の加工助剤、エキステンダー油および崩壊抵抗剤を含むことができる。上記した例の他に、エラストマーは、限定されることはないが、1,3-ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン等から製造されるポリマー(例えば、ホモポリマー、コポリマーおよびターポリマー)であることができる。これらのエラストマーが、DSCにより測定したガラス転移点(Tg)‐120〜0℃を有するのが好ましい。そのようなエラストマーの例としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴムおよびそれらの油展誘導体が挙げられる。前記したもののいずれかのブレンドも使用できる。
【0061】
本発明において開示した、製造することができるエラストマー組成物としては、限定されることはないが、加硫組成物(VR)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性エラストマー(TPE)および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)が挙げられる。TPV、TPEおよびTPO物質は、性能特性を失うことなく、数回押出され、成形されるその能力によってさらに分類される。
【0062】
エラストマー組成物は、1種以上の硬化剤、例えば硫黄、硫黄ドナー、活性化剤、促進剤、ペルオキシドおよび、エラストマー組成物の加硫化を行うのに使用される他の添加剤系を含むことができる。
【0063】
本発明の変性顔料、好ましくは変性カーボンブラックを含み、場合により、1種以上のカップリング剤を含む、得られるエラストマーコンパウンドは、種々のエラストマー製品のために使用でき、タイヤおよびその部品、例えばトレッドコンパウンド、アンダートレッドコンパウンド、側壁コンパウンド、ワイヤスキム(wire skim)コンパウンド、インナーライナーコンパウンド、ビード、先端(apex)、ならびに、乗物のタイヤのためのカーカスおよび他の部品に使用されるコンパウンド、工業用ゴム製品、シール、タイミングベルト、パワートランスミッションベルトおよび他のゴム物品が挙げられる。
【0064】
有利には、本発明の変性顔料生成物、特に変性カーボンブラック生成物は、それらを含むゴムまたはエラストマー組成物に、改善された耐磨耗性および/または減じられたヒステリシスを与えることができる。
【0065】
本発明の変性顔料生成物はまた、繊維またはテキスタイルを着色するのに使用できる。この用途のために好ましい変性顔料生成物は、分散性の変性顔料生成物である。したがって、本発明は、繊維またはテキスタイルおよび変性顔料生成物を含む、繊維およびテキスタイル組成物に関する。使用するのに適当な繊維は、天然および合成の繊維、例えば綿、ウール、シルク、リネン、ポリエステルおよびナイロンを含む。使用するのに適当なテキスタイルは、天然および合成の繊維、例えば綿、ウール、シルク、リネン、ポリエステルおよびナイロンを含む。好ましくは、綿、ウール、シルクおよびリネンを含む、天然繊維およびテキスタイルが使用される。
【0066】
本発明の変性顔料生成物は、例えば直接染料および酸性染料を用いて、繊維およびテキスタイルを着色するための当技術分野で公知の手段によって、着色されることができる。また、変性顔料は、紡糸技術、例えば湿式紡糸、乾式紡糸および溶融紡糸技術によって、繊維中に組み込むことができる。染料を用いた着色の一般的議論については、カーク-オスマー(Kirk-Othmer)の化学技術辞典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第8巻、pp280〜350、「染料、適用および評価(Dyes, Application and Evaluation)」(ジョン ワイルズ アンド サンズ(John Wiles and Sons)、1979年)(参照することにより、本明細書に組入れられる)参照。先に論じた、水または溶媒分散性の変性顔料生成物の使用は、耐光性着色剤を用いてこれらの材料を着色する方法を提供する。
【0067】
本発明はまた、トナー樹脂粒子および本発明の変性顔料粒子を含むトナー組成物に関し、ここで、トナー樹脂粒子は、本明細書に記載された方法を用いて形成することができる。米国特許第5,278,018号、第5,510,221号、第5,275,900号、第5,571,654号および第5,484,575号ならびに欧州特許270-066A1に記載されている慣用の添加剤を使用することができ、これらの特許は、参照することによって、本明細書に組入れられる。
【0068】
本発明の他の実施態様は、本明細書に開示された発明の明細および実施について考慮することから、当業者に明らかである。明細書および実施例は、例示のものとしてのみ考慮され、本発明の真の範囲および意図は、以下の特許請求の範囲およびその等価物によって示されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、
少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、水性ポリマー溶液に導入して混合物を形成し、ここで該水性ポリマー溶液は脱水されていないこと、ならびに、
該混合物を脱水してポリマー組成物を形成すること
を含む、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項2】
該水性ポリマー溶液が、エマルジョンポリマー溶液である請求項1記載の方法。
【請求項3】
該水性ポリマー溶液が、懸濁ポリマー溶液である請求項1記載の方法。
【請求項4】
該水性ポリマー溶液が、フリーラジカルポリマー溶液である請求項1記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、
少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、水性ポリマー溶液の前駆体に導入すること;
前記前駆体の重合を行ってポリマー生成物を形成すること;ならびに
前記ポリマー生成物を脱水してポリマー組成物を形成すること
を含む、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項6】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、
水性ポリマー溶液の存在下で、少なくとも1つの有機基を顔料に結合してポリマー生成物を形成すること;
前記ポリマー生成物を脱水してポリマー組成物を形成すること
を含む、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項7】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、
少なくとも1種の変性顔料を含む少なくとも1つのスラリーを、クエンチされたポリマー溶液および重合溶媒に導入して混合物を形成すること;ならびに
前記混合物を洗浄してポリマー組成物を形成すること
を含む、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項8】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、
クエンチされ、未洗浄の溶液ポリマーおよび重合溶媒の存在下で、少なくとも1つの有機基を顔料に結合すること;ならびに
前記混合物を洗浄してポリマー組成物を形成すること
を含む、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項9】
少なくとも1種のポリマーおよび少なくとも1種の変性顔料を含むポリマー組成物の製造方法であって、
少なくとも1つの有機基を結合した変性顔料を、少なくとも1種のリビングポリマーを含む溶液に導入すること;ならびに
前記リビングポリマーの重合を停止すること
を含む、ポリマー組成物の製造方法。
【請求項10】
前記停止が、前記変性顔料に結合され、該変性顔料の一部である少なくとも1つの有機基によって達成される請求項9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種の変性顔料を含むスラリーならびにポリマー溶液を含むポリマー組成物。
【請求項12】
前記スラリーが、変性顔料を水中でミクロ粉砕することによって製造される請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記スラリーが、変性顔料を溶媒中でミクロ粉砕することによって製造される請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記スラリーが、変性顔料を乾式プロセスでミクロ粉砕した後、別のミキサー中で、粉砕した顔料を液体に添加することによって製造される請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記スラリーが、変性顔料を水中でミクロ粉砕することによって製造される請求項5記載の方法。
【請求項16】
前記スラリーが、変性顔料を溶媒中でミクロ粉砕することによって製造される請求項5記載の方法。
【請求項17】
前記スラリーが、変性顔料を乾式プロセスでミクロ粉砕した後、別のミキサー中で、粉砕した顔料を液体に添加することによって製造される請求項5記載の方法。
【請求項18】
前記スラリーが、変性顔料を水中でミクロ粉砕することによって製造される請求項7記載の方法。
【請求項19】
前記スラリーが、変性顔料を溶媒中でミクロ粉砕することによって製造される請求項7記載の方法。
【請求項20】
前記スラリーが、変性顔料を乾式プロセスでミクロ粉砕した後、別のミキサー中で、粉砕した顔料を液体に添加することによって製造される請求項7記載の方法。
【請求項21】
前記変性顔料が、変性カーボンブラック、変性炭素繊維、変性活性炭、変性グラファイト、変性活性化グラファイト、変性カーボンクロス、変性ガラス質炭素またはそれらの組合せである請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記変性顔料が変性カーボンブラックである請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記変性顔料が変性炭素生成物である請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記変性炭素生成物が、炭素相およびケイ素-含有種相を含む凝集体である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記変性炭素生成物が、炭素相および金属含有種相を含む凝集体または、シリカで被覆されたカーボンブラックである請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記変性炭素生成物が、芳香族スルフィド基を結合した炭素生成物である請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記変性顔料が、少なくとも1つの有機基を結合したカーボンブラックである請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記有機基が、芳香族基もしくはC1〜C100アルキル基またはその両方を含む請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーが、溶液SBR、天然ゴム、官能化した溶液SBR、エマルジョンSBR、ポリブタジエン、ポリイソプレンまたはそれらのブレンドである請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2013−28815(P2013−28815A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−223536(P2012−223536)
【出願日】平成24年10月5日(2012.10.5)
【分割の表示】特願2001−561092(P2001−561092)の分割
【原出願日】平成13年1月24日(2001.1.24)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】