説明

変換ソケット

【課題】本体基板に実装面積の制約条件を持たせることなく、複数デバイス構成、或いは異なる実装タイプのデバイスを使用できる、表面実装タイプの半導体パッケージを代替する変換ソケットを提供する。
【解決手段】本発明の変換ソケットは、支持体7により、かさ上げされて両面実装が可能なサブ基板1に接続した接続体3の電極4bを本体基板8のパッド6bに半田接合することで、電気的接続、及び固定を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装タイプの半導体パッケージの代替を可能とする変換ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の変換ソケットは、例えば、図4に示すように、IC45をはめ込み保持するソケット本体41と、ソケット本体41を配線基板44に固定する止め具45aとから構成されている。また、本体基板40は、IC45のリード端子46と接触する接触子42を有する複数のランド43が配置された配線基板44と、ナット45bとから構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、他の従来の変換ソケットとして、チップを本体基板にワイヤボンディング接合していたものをフレキシブル基板で接続する構成が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また、他の従来の変換ソケットとして、本体基板上に変換基板を枠状のフレームで持ち上げ、フレームの側面にリード形成した配線により変換基板と本体基板とを電気的接続する構成が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−130913号公報
【特許文献2】特開平11−211749号公報
【特許文献3】特開2009−158838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示す従来の変換ソケットでは、先ず、接触子42を取り付けるために本体基板40にスルーホールを設けなければならない。更に、ソケット本体41を固定する止め具45aを通すために穴を設けなければならない。即ち、変換ソケットを取り付けるには、本体基板40に本来のデバイスを実装する以外に余計な領域を設ける必要がある。その分、本体基板40が大きくなりコストが増大したり、小型化が難しくなると言う問題がある。
【0007】
また、ソケット本体41がリードの外周を覆うため、本体基板40側は部品実装を禁止する必要があり、リードの直近にバイパスコンデンサやダンピング抵抗等を実装できない。そのため、電気的特性が悪くなると言う問題がある。
【0008】
更に、同一の表面実装タイプ単一での変換のため、複数デバイス構成や異なる実装タイプのデバイスでの変換が出来ず、汎用性に乏しいと言う問題がある。
【0009】
特許文献2に示す従来の変換ソケットでは、キャップのように、チップと同サイズ以上で、かつ本体基板に対して平らな形状の部品を直接、本体基板に接着固定しなければ、フレキシブル基板を接続しても接続部が安定せず断線する危険性があるため、搭載部品の形状に制約があると言う問題がある。
【0010】
また、本体基板の部品面上のキャップ接触領域は、ショート防止のために回路配線、スルーホール、パッド等の回路パターンを禁止する必要があり、実装面積の条件が制約されると言う問題がある。或いは、キャップを絶縁物に制限すると言う搭載部品の材質に制約があると言う問題がある。
【0011】
更に、フレキシブル基板とチップとをバンプ接合するため、接合箇所の確認が困難であり、品質保証に問題がある。
【0012】
特許文献3に示す従来の変換ソケットでは、変換基板とフレーム側面の配線との接合、及び本体基板とフレーム側面の配線との接合は、構成上リフローによる半田付けに限定されるため、少量を製作する場合、組立コストがかかると言う問題がある。また、接合状態を目視で確認することが困難であり、品質保証に問題がある。
【0013】
本発明は、このような問題の解消を一つの課題とし、その目的の一例は、表面実装タイプの半導体パッケージを代替する変換ソケットにおいて、本体基板に実装面積の制約条件を持たせることなく、かつ複数デバイス構成、或いは異なる実装タイプのデバイスを使用するような汎用性を実現することが出来る変換ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の変換ソケットは、回路パターンを形成した本体基板と、片面、或いは両面に単一、或いは複数の回路部品を実装し、他の回路パターンを形成したサブ基板と、該サブ基板に形成された他の回路パターンと本体基板に形成された回路パターンとを接続する接続体と、前記本体基板上に前記サブ基板を支持する支持体と、を備え、前記接続体は、導電性の材料が絶縁体で皮膜され、一方の端部に導電性の電極を有しており、前記電極は、前記本体基板の回路パターンに配置されるパッドに半田付けされていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の変換ソケットは、請求項1に記載の変換ソケットにおいて、前記支持体は、前記サブ基板に実装された前記単一、或いは複数の回路部品が前記本体基板に接触しないようにかさ上げされることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の変換ソケットは、請求項1、及び請求項2に記載の変換ソケットにおいて、前記支持体の外側に設けられるカバーを更に備え、前記接続体は、前記支持体と前記カバーとに挟み込まれて固定されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の変換ソケットは、請求項1、及び請求項2に記載の変換ソケットにおいて、前記支持体は、中空状に形成され、前記接続体は、前記支持体の一部が内側に配線されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の効果は、本体基板に実装面積の制約条件なしに表面実装タイプの半導体パッケージを代替でき、本体基板の小型化、低コスト化が出来ることである。その理由は、接続手段の電極を本体基板のパッドと半田接合し、かつ変換基板用のサブ基板のかさ上げ用の支持体で支持するので、変換ソケットの固定、及び本体基板との電気接続が可能となるためである。
【0019】
本発明の第2の効果は、表面実装タイプの半導体パッケージを代替する際に電気的特性の劣化を回避できることである。その理由は、第1の効果、即ち本体基板に実装面積の制約がないので、本体基板にバイパスコンデンサやダンピング抵抗を半導体パッケージのパッド直近で実装することが可能となるためである。
【0020】
本発明の第3の効果は、表面実装タイプの半導体パッケージの代替として、複数デバイス構成や異なる実装タイプのデバイスの利用等、汎用的な変換が出来ることである。その理由は、サブ基板により様々な変換回路を構成することが可能となるためである。また、かさ上げ用の支持体でサブ基板が両面実装に出来るので、搭載部品の実装面積を確保することが可能となるためである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1の変換ソケットの一例を示す断面図である。
【図2】実施形態2の変換ソケットの一例を示す断面図である。
【図3】実施形態3の変換ソケットの一例を示す断面図である。
【図4】従来の変換ソケットの一例を示し、図4(a)は断面図、図4(b)は図4(a)のA部拡大図である。
【図5】支持体の一例を示す平面図である。
【図6】実施形態2の変換ソケットのカバーの一例を示す平面図である。
【図7】実施形態3の変換ソケットのカバーとサブ基板の一例を示し、図7(a)は支持体に対するカバーとサブ基板の配置例を示す平面図、図7(b)は支持体の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
<実施形態1>
まず、本実施形態の変換ソケットについて図1、及び図5を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態の変換ソケットは、回路パターンが形成された本体基板8と、他の回路(変換回路)パターンが形成されたサブ基板1と、前記本体基板8上に前記サブ基板1を支持する支持体7と、を備えている。
【0024】
サブ基板1は、その上面(以下、「部品面」と称する。)に単一、或いは複数の搭載(回路)部品2aを、或いは、下面(以下、「半田面」と称する。)に単一、或いは複数の搭載(回路)部品2bを実装し、本来、本体基板8の回路パターンに設けられたパッド6bに実装されるデバイスの代替機能を実現する変換回路を構成する。
【0025】
支持体7は、絶縁性を有する材料により形成され、図5に示すように、平面視において略ロの字型に形成されている。この支持体7は、本体基板8の周縁に設置され、サブ基板1をかさ上げすることでサブ基板1の半田面の搭載部品2bの本体基板8への接触が回避されている。
【0026】
なお、当該支持体7は、特にロの字型に特定されるものではなく、コの字型、多角形状、円状等、他の形状であっても良い。また、本実施形態の支持体7は、一体型に形成されて前記サブ基板1を支持しているが、2つの直方体状のものでサブ基板1の両端を支持しても、複数の支柱状のものでサブ基板1を支持しても構わない。また、支持体7はサブ基板1の搭載部品2bとの干渉がない条件であれば、配置も問わない。
【0027】
また、本実施形態の変換ソケットは、本体基板8とサブ基板1の回路パターンを接続する接続体3を備えている。この接続体3は、両端に電気的導通のある電極4a、及び4bを有し、それ以外は絶縁物で被覆された部材であって、サブ基板1の回路パターンに配置されたパッド6aと本体基板8の回路パターンに配置されたパッド6bとを電気的に接続する。具体的にこの接続体3は、例えば、ケーブル線材、或いはフラットケーブル、或いはフレキシブルフラットケーブル、或いはフレキシブル基板等である。また、接続体3の一方の電極4aは、サブ基板1に配置されたパッド6a上に配置され、半田5aによって接続される。一方で、接続体3の他方の電極4bは、本体基板8に配置されたパッド6b上に配置され、半田5bによって接続される。なお、本実施形態では、接続体3の電極4a、半田5a、及びサブ基板1のパッド6aはサブ基板1の部品面に設けているが、半田面に設置しても構わない。
【0028】
また、図1に示すように、本実施形態では、この接続体3は、直線状に配線しているが、S字等の曲線状、或いは直角に折り曲げる等の配線形態としても構わない。また、図1に示すように、本実施形態では接続体3の両端の電極4a、及び4bは、先端がむき出しとなっているが、電極のばらけ回避等のために先端に絶縁物をつないだ形状としても構わない。
【0029】
<実施形態2>
次に、本実施形態の変換ソケットについて図2及び図6を用いて説明する。なお、本実施形態において、実施形態1の部分と同じ部分には同一の符号を付して示しその詳しい説明を省略する。
【0030】
本実施形態2の変換ソケットは、実施形態1の変換ソケットと接続体3の配線形態が異なるものである。
【0031】
本実施形態2の変換ソケットは、図2及び図6に示すように、サブ基板1の周縁及び支持体3の外周縁を覆うカバー9を備えている。このカバー9は、図6に示すように上端部がサブ基板1の周縁を覆うように断面が略L字状に形成されている。接続体3は、サブ基板1、支持体3、及び本体基板8に這わして配置され、その上で、このカバー9により覆われる。よって、支持体3の絶縁部がこのカバー9により固定されるので、接続体3を半田付け固定する際に接続体3の絶縁部と電極4a、4bとの境界に応力が集中することなく分散され、電極4a、及び4bの断線を回避できる。
【0032】
なお、本実施形態2では、支持体3の周縁全体を覆うようにして支持体3の絶縁部を固定するように構成されているが、両面テープ、或いは接着剤等を用いて支持3体の絶縁部を固定するようにしても構わない。
【0033】
また、接続体3の電極4a直近の絶縁部がサブ基板1に接着固定等されていたり、接続体3の電極4a、半田5a、及びサブ基板1のパッド6aがサブ基板1の半田面に設けていたり等して、接続体3の電極4aに応力が集中しない場合は、上からの押さえはなくても構わない。
【0034】
<実施形態3>
次に、本実施形態の変換ソケットについて図3及び図7を用いて説明する。なお、本実施形態において、実施形態1の部分と同じ部分には同一の符号を付して示しその詳しい説明を省略する。
【0035】
本実施形態3の変換ソケットは、実施形態1及び2の変換ソケットと接続体3の配線形態が異なるものである。
【0036】
本実施形態3の変換ソケットは、支持体7の上下に接続体3を通過可能な上切欠部と下切欠部を形成し、接続体3の絶縁部の一部を支持体7の内側に這わすように構成される。
【0037】
この上切欠部によって、サブ基板1側の接続体3が支持体7とサブ基板1とで固定される一方で、下切欠部によって、本体回路基板8側の接続体3が支持体7と本体回路基板8とで挟み込み固定される。
【0038】
また、サブ基板1上の電極4a近傍の接続体3の絶縁部は、カバー9によって固定される。このカバーは、例えば、図7に示すように、略矩形状であってその四隅に孔が形成され、上部に突出する突起が平面視四隅に形成された支持体7の当該突起にカバー9の孔が嵌め込まれることにより、接続体3を挟み込むようになっている。この場合、サブ基板1は四隅を欠いた十字状に形成され、支持体7に支持される。
【0039】
このように構成された本実施形態の変換ソケットは、接続体3を半田付け固定する際に接続体3の絶縁部と電極4a、4bとの境界に応力が集中することなく分散され、電極4a、及び4bの断線を回避できる。
【0040】
なお、接続体3は、より接続強度を高めるために、両面テープ、或いは接着剤等を用いて、支持体7、或いはカバー9に接着しても構わない。また、接続体3の電極4a、半田5a、及びサブ基板1のパッド6aが変換基板1の半田面に設けられている等の場合であって、接続体3の電極4aに応力が集中しない場合は、当該カバー9をなくしても構わない。
【0041】
このように構成された本実施形態の変換ソケットによれば、実施形態2の変換ソケットでは、接続体3の電極4a、及び4bを位置ずれすることなく、各々パッド6a、及び6bに位置決めするには、接続手段3の寸法を変換基板1の厚み、及び台7の高さから正確に決定し、かつ設計通りの配線作業を行う必要があるが、本実施形態の変換ソケットでは、接続手段3の湾曲部を調整することにより、接続手段3の電極4a、及び4bのパッド6a、及び6bへの位置合わせを容易にできる。
【0042】
以上に説明したように本実施形態1乃至3の変換ソケットは、上述した構成により、接続体3の電極4bを本体基板8に配置されたパッド5bと半田接合することで、本体基板8に実装面積の制約条件をなくすことが可能となり、本体基板8の小型化、低コスト化が実現できる。更には、バイパスコンデンサやダンピング抵抗の直近での実装が可能となり、電気的特性の向上を実現できる。
【0043】
また、サブ基板1に(変換)回路パターンを構成し、或いは、支持体7によりかさ上げされたサブ基板1を両面実装形態にし、搭載部品の実装面積を確保することで、複数デバイス構成や異なる実装タイプのデバイスでの変換が可能となるので、汎用的な変換を実現できる。
【0044】
なお、本願は本実施形態に限定されるものではなく、種々の形態にて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 サブ基板
2a 搭載部品
2b 搭載部品
3 接続体
4a 電極
4b 電極
5a 半田
5b 半田
6a パッド
6b パッド
7 支持体
8 本体基板
9 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路パターンを形成した本体基板と、
片面、或いは両面に単一、或いは複数の回路部品を実装し、他の回路パターンを形成したサブ基板と、
該サブ基板に形成された他の回路パターンと本体基板に形成された回路パターンとを接続する接続体と、
前記本体基板上に前記サブ基板を支持する支持体と、を備え、
前記接続体は、導電性の材料が絶縁体で皮膜され、一方の端部に導電性の電極を有しており、
前記電極は、前記本体基板の回路パターンに配置されるパッドに半田付けされていることを特徴とする変換ソケット。
【請求項2】
請求項1に記載の変換ソケットにおいて、
前記支持体は、前記サブ基板に実装された前記単一、或いは複数の回路部品が前記本体基板に接触しないようにかさ上げされることを特徴とする変換ソケット。
【請求項3】
請求項1、及び請求項2に記載の変換ソケットにおいて、
前記支持体の外側に設けられるカバーを更に備え、
前記接続体は、前記支持体と前記カバーとに挟み込まれて固定されていることを特徴とする変換ソケット。
【請求項4】
請求項1、及び請求項2に記載の変換ソケットにおいて、
前記支持体は、中空状に形成され、
前記接続体は、前記支持体の一部が内側に配線されていることを特徴とする変換ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−176203(P2011−176203A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40166(P2010−40166)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】