説明

変色性積層体

【課題】 乾燥状態においては低屈折率顔料による色調が視認されると共に、吸液状態では透明性金属光沢顔料による金属光沢色が視認される装飾性、意外性に富む商品価値の高い変色性積層体を提供する。
【解決手段】 支持体2表面に、低屈折率顔料と、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層3を設けてなる変色性積層体1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変色性積層体に関する。更に詳細には、水等の液体の付着により鮮明な金属光沢色を現出させることのできる変色性積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水の適用により常態と異なる様相に変色する塗膜を形成する塗布液としては、微粉末珪酸と虹彩色パール顔料を含む感湿変色性捺染剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
前記捺染剤を用いて支持体上に塗膜を形成した捺染物は、乾燥時には珪酸により光が乱反射して下層を隠蔽して白色が視認され、水を吸液すると光を透過して透明となるため、パール顔料の金属光沢色が視認されるようになる。
しかしながら、前記捺染物に含まれるパール顔料は、天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料であって、天然雲母中に不純物や鉄等の着色傾向を示す金属イオンの含有量が多いため透明性に乏しい。そのため、塗膜が乾燥状態においては珪酸による白色が視認されず、パール顔料中の天然雲母による黄色乃至褐色の色調が視認されるため、乾燥状態で視認される色調は制限され、商品価値を損なうものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−260075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この種の水等の媒体の適用により色変化する積層体について更に追求し、乾燥状態においては白色等の所望の色調を視認でき、吸液状態では透明性金属光沢顔料による金属光沢色が視認される色変化性に富む変色性積層体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、低屈折率顔料と、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる変色性積層体を要件とする。
更には、前記透明性金属光沢顔料は、ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆した顔料であること、前記低屈折率顔料と透明性金属光沢顔料の重量比が1:0.2〜1:3であること、前記支持体の明度値が6.0以下であること等を要件とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、乾燥状態においては低屈折率顔料による色調が視認されると共に、吸液状態では透明性金属光沢顔料による金属光沢色が視認される装飾性、意外性に富む商品価値の高い変色性積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明変色性積層体の一実施例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
前記透明性金属光沢顔料としては、合成雲母、ガラス、アルミナを芯物質とし、その表面をチタン、ジルコニウム、クロム、バナジウム、鉄等の金属酸化物で被覆したものが挙げられる。
前記合成雲母を芯物質とする透明性金属光沢顔料は、従来の天然雲母と比較して不純物や鉄等の着色傾向を示す金属イオンの含有量が少なく、透明性に優れる。合成雲母は酸化チタン及び/又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆してなり、平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜300μmのものが有効である。前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色を呈する。
ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法平均粒子径を示し、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径である。
前記金属光沢顔料の芯物質として用いられる合成雲母は、その一例としてKMg3(AlSi10)Fが挙げられる。
なお、前記合成雲母の形状は特に限定されないが、偏平形状や鱗片形状のものを例示できる。
前記合成雲母の表面を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料としては、日本光研工業(株)製の商品名「アルティミカ」品番:SB−100(5〜30μm:銀色)、SD−100(10〜60μm:銀色)、SE−100(15〜100μm:銀色)、SF−100(44〜150μm:銀色)、SH−100(150〜600μm:銀色)、YB−100(5〜30μm:金色)、YD−100(10〜60μm:金色)、YE−100(15〜100μm:金色)、YF−100(44〜150μm:金色)、RB−100(5〜300μm:メタリックレッド)、RD−100(10〜60μm:メタリックレッド)、RE−100(15〜100μm:メタリックレッド)、RF−100(44〜150μm:メタリックレッド)、RBB−100(5〜30μm:メタリックパープル)、RBD−100(10〜60μm:メタリックパープル)、RBE−100(15〜100μm:メタリックパープル)、RBF−100(44〜150μm:メタリックパープル)、VB−100(5〜30μm:メタリックバイオレット)、VD−100(10〜60μm:メタリックバイオレット)、VE−100(15〜100μm:メタリックバイオレット)、VF−100(44〜150μm:メタリックバイオレット)、BB−100(5〜30μm:メタリックブルー)、BD−100(10〜60μm:メタリックブルー)、BE−100(15〜100μm:メタリックブルー)、BF−100(44〜150μm:メタリックブルー)、GB−100(5〜30μm:メタリックグリーン)、GD−100(10〜60μm:メタリックグリーン)、GE−100(15〜100μm:メタリックグリーン)、GF−100(44〜150μm:メタリックグリーン)を例示できる。
括弧内は平均粒子径及び色調を示す。
【0009】
前記ガラスを芯物質とする透明性金属光沢顔料は、扁平ガラス片の表面を酸化チタン及び/又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆した平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜300μmのものが有効である。前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色を呈する。ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法平均粒子径を示し、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径である。
前記ガラス片の表面を金属で被覆した透明性金属光沢顔料としては、日本板硝子(株)製の商品名「メタシャイン」品番:RCFSX−5450TS(6041)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度450±145μm、金色〕、RCFSX−5200TS(6042)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度200±70μm、銀色〕、RCFSX−5140TS(6043)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度140±45μm、銀色〕、RCFSX−5080TS(6044)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度80±30μm、銀色〕、RCFSX−2080TS(6046)〔平均厚さ2±1μm、平均粒度80±30μm、銀色〕、RCFSX−K120TS(6043)〔平均厚さ20±5μm、平均粒度120±20μm、銀色〕、RCFSX−5090RC(8052)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、金色〕、RCFSX−5090RC(8053)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックグリーン〕、RCFSX−5090RC(8069)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックブルー〕、RCFSX−5090RC(8070)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックパープル〕、RCFSX−5090RC(8071)〔平均厚さ5±2μm、平均粒度90±30μm、メタリックレッド〕を例示できる。
また、ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆した二層被覆型の透明性金属光沢顔料を用いることもできる。
前記二酸化ケイ素はガラスよりも硬度が高く、耐酸性に優れているため、芯となるガラス片の厚みを薄くしても割れ難い状態を維持できる。よって、反射面積あたりの重量を小さくすることができると共に、顔料の光透過性を向上することが可能となる。
前記顔料としては、メルク社製の商品名「ミラバル」品番:5311 Scenic White、5411 Magic White KU28、5420 Magic Gold、5421 Magic Copper、5422 Magic Red、5423 Magic Lilac、5424 Magic Blue、5425 Magic Turquoise、5426 Magic Greenを例示できる。
【0010】
アルミナを芯物質とする透明性金属光沢顔料は、薄片状酸化アルミニウムの表面を酸化チタン及び/又は酸化鉄を主成分とする金属酸化物で被覆した平均の厚みが0.1〜5μmであり、平均粒子径が2〜100μmのものが有効である。前記金属酸化物の被覆率によって、金色、銀色、或いはメタリック色の金属光沢色を呈する。ここで、前記平均粒子径は、レーザー回折法平均粒子径を示し、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径である。
前記アルミナの表面を金属酸化物で被覆した金属光沢顔料としては、メルク(株)製の商品名「シラリック」品番:T60−10WNT(10〜30μm:銀色)、T60−20WNT(10〜30μm:金色)、T60−21WNT(10〜30μm:赤色)、F60−50WNT(10〜30μm:銅色)、F60−51WNT(10〜30μm:赤色)、T50−10(10〜30μm:銀色)を例示できる。
【0011】
前記低屈折率顔料としては、珪酸及びその塩、バライト粉、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク、アルミナホワイト、炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは屈折率が1.4〜1.8の範囲にあり、液体を吸液すると良好な透明性を示すものである。
なお、前記珪酸の塩としては、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカリウム、珪酸アルミニウムナトリウム、珪酸アルミニウムカルシウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、珪酸カルシウムナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウムカリウム等が挙げられる。
前記低屈折率顔料の粒径は特に限定されるものではないが、0.03〜10.0μmのものが好適に用いられる。
又、前記低屈折率顔料は2種以上を併用することもできる。
尚、好適に用いられる低屈折率顔料としては珪酸が挙げられる。
前記珪酸は、乾式法により製造される珪酸(以下、乾式法珪酸と称する)であってもよいが、湿式法により製造される珪酸(以下、湿式法珪酸と称する)が好適である。
この点を以下に説明する。
珪酸は非晶質の無定形珪酸として製造され、その製造方法により、四塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素の熱分解等の気相反応を用いる乾式法によるものと、ケイ酸ナトリウム等の酸による分解等の液相反応を用いる湿式法によるものとに大別される。
乾式法珪酸と湿式法珪酸とでは構造が異なり、前記乾式法珪酸は珪酸が密に結合した構造であるのに対して、湿式法珪酸は、珪酸が縮合して長い分子配列を形成した構造部分を有している。
従って、湿式法珪酸は乾式法珪酸と比較して分子構造が粗になるため、湿式法珪酸を適用した場合、乾式法珪酸を用いた系と比較して乾燥状態における光の乱反射性に優れ、常態での隠蔽性が大きくなるものと推察される。
又、多孔質層は水を吸液させるものであるから、湿式法珪酸は乾式法珪酸に比べて粒子表面にシラノール基として存在する水酸基が多く、親水性の度合いが大であり、好適に用いられる。
前記低屈折率顔料と金属光沢顔料の混合比率は、低屈折率顔料1重量部に対して金属光沢顔料0.2〜3重量部であり、より好ましくは、0.3〜2重量部である。低屈折率顔料1重量部に対して金属光沢顔料が0.2重量部未満の場合には、吸液状態における金属光沢性を示し難くなり、低屈折率顔料1重量部に対して金属光沢顔料が3重量部を超えると、乾燥状態において金属光沢顔料の色調が見え易くなり、所望の低屈折率顔料による色調を視認でき難くなり、乾燥状態と吸液状態の色変化の妙味を損なう。
【0012】
前記樹脂としては、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルジョン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂等のバインダー樹脂が挙げられる。
前記低屈折率顔料とこれらのバインダー樹脂の混合比率は、低屈折率顔料の種類及び性状に左右されるが、好ましくは、低屈折率顔料1重量部に対してバインダー樹脂固形分0.5〜2重量部であり、より好ましくは、0.8〜1.5重量部である。低屈折率顔料1重量部に対してバインダー樹脂固形分が0.5重量部未満の場合には、形成される多孔質層の実用的な皮膜強度を得ることが困難であり、2重量部を越える場合には、前記多孔質層内部への水の浸透性が悪くなる。
前記多孔質層は、一般的な塗膜と比較して着色剤に対するバインダー樹脂の混合比率が小さいため、十分な皮膜強度が得られ難い。そこで、前記のバインダー樹脂のうち、ナイロン樹脂又はウレタン系樹脂を用いて耐擦過強度を高めることが好ましい。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン樹脂、ポリカーボネート系ウレタン樹脂、ポリエーテル系ウレタン樹脂等があり、2種以上を併用することもできる。又、前記樹脂が水に乳化分散したウレタン系エマルジョン樹脂や、イオン性を有するウレタン樹脂(ウレタンアイオノマー)自体のイオン基により乳化剤を必要とすることなく自己乳化して、水中に溶解乃至分散したコロイド分散型(アイオノマー型)ウレタン樹脂を用いることもできる。
尚、前記ウレタン系樹脂は水性ウレタン系樹脂又は油性ウレタン系樹脂のいずれを用いることもできるが、水性ウレタン系樹脂、殊に、ウレタン系エマルジョン樹脂やコロイド分散型ウレタン系樹脂が好適に用いられる。
前記ウレタン系樹脂は単独で用いることもできるが、支持体の種類や皮膜に必要とされる性能に応じて、他のバインダー樹脂を併用することもできる。ウレタン系樹脂以外のバインダー樹脂を併用する場合、実用的な皮膜強度を得るためには、前記多孔質層のバインダー樹脂中にウレタン系樹脂を固形分比率で30重量%以上含有させることが好ましい。
前記バインダー樹脂において、架橋性のものは任意の架橋剤を添加して架橋させることにより、さらに皮膜強度を向上させることができる。
前記バインダー樹脂には、水との親和性に大小が存在するが、これらを組み合わせることにより、多孔質層中への浸透時間、浸透度合い、浸透後の乾燥の遅速を調整することができる。更には、適宜分散剤を添加して前記調整をコントロールすることができる。
【0013】
前記低屈折率顔料と、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料と、バインダー樹脂を溶解又は分散する液媒体は、水が安全性、コスト面から好適に用いられるが、水と各種有機溶剤の混合物、或いは、有機溶剤を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、ノルマルヘキサン、ノルマルヘプタン、ノルマルオクタン、ノルマルノナン、ノルマルデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、ミネラルスピリット、流動パラフィン、ベンゼン、トルエン、キシレン、0−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、p−シメン、ソルベントナフサ、テトラヒドロナフタリン、α−ピネン、テレピン油、鉱物油、植物油等の炭化水素類。
メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ノルマルブチルアルコール、イソブチルアルコール、第2ブチルアルコール、第3ブチルアルコール、イソアミルアルコール、フーゼル油、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等の一価アルコール類。
エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、酢酸モノグリセリド、酢酸ジグリセリド、酢酸トリグリセリド、酪酸モノグリセリド等の多価アルコール及びその誘導体。
エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フェニルメチルエーテル、フェニルエチルエーテル、o−クレシルメチルエーテル、m−クレシルメチルエーテル、p−クレシルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジエチレンオキシド、シネオール、フルフラール、フルフリルアルコール、酪酸フルフリル、テトラヒドロフルフリルアルコール、ホルマール、アセタール等のエーテル及びアセタール類。
アセトン、アセトン油、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、カンフル等のケトン類。
蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ノルマルブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ノルマルブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソアミル、イソ吉草酸イソアミル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、桂皮酸エチル、アジピン酸エチル、アジピン酸ブチル、アジピン酸2エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ−n−ヘキシルアジペート、アジピン酸ジ−n−オクチルアジペート、アジピン酸ジ−n−デシルアジペート、フマル酸ジブチル、フマル酸ジイソブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ビス(2エチルヘキシル)、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2エチルヘキシル)、ドデカン2酸ビス(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸トリブチル、トリメリット酸トリス(2エチルヘキシル)、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸アミル、オキシイソ酪酸エチル、酒石酸ジブチル、クエン酸トリブチル、サリチル酸メチル、ジエチルオキサレート、ジブチルオキサレート、マロン酸ジエチル、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジアミルフタレート、ジノルマルヘキシルフタレート、ジノルマルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート等のエステル類。
蟻酸、酢酸、無水酢酸、クレゾール、等の脂肪酸及びフェノール類。アニリン、o−トルイジン、シクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロベンゾール、ニトロアニソール等の窒素化合物類を例示できる。
【0014】
前記低屈折率顔料と、バインダー樹脂と、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料と、液媒体を混合して変色性塗布液が得られる。
前記変色性塗布液を用いて、紙、合成紙、糸、布帛、植毛或いは起毛布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁器、木材、石材、金属等の支持体上に多孔質層を形成して積層体を得ることができる。
尚、前記多孔質層は、塗布液中の媒体が揮発してそれ以外の化合物により形成される層であり、前記透明性金属光沢顔料と低屈折率顔料は樹脂に分散状態に固着されてなる。
なお、前記支持体としては、明度値が6.0以下、即ち0〜6.0であることが好ましく、これは、前記透明性金属光沢顔料が反射色と透過色の二色性効果を有しており、水を吸液したときには、下層が白色等の淡色の場合、入射光が全反射して金属光沢色が視認され難く、これに対して下層が黒色等の濃色の場合、透過色が黒に吸収され、反射色による金属光沢色が明瞭に視認できるからである。
なお、支持体が白色等の淡色の場合は、支持体と多孔質層の間に明度値が6.0以下の着色層を設けることが好ましい。
更に、支持体が透明の場合は、支持体と多孔質層の間、或いは、支持体の裏側に明度値が6.0以下の着色層を設けることができる。
【0015】
前記多孔質層は、公知の手段、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等により形成できる。
【0016】
また、必要により多孔質層上に着色像を設けて複雑な様相変化を示す構成としたり、支持体と多孔質層の間に着色像を設けることもできる。
前記支持体と多孔質層の間に設けた着色像は多孔質像が吸水状態のとき、透視されて視覚効果を高めることができる。
【0017】
前記変色性積層体に水を付着させる手段としては、直接水中に浸漬したり、手や指を水で濡らして接触させる他、水付着具を適用することもできる。
前記水付着具としては、水鉄砲や噴霧機のような水を吹き付ける装置、先端部に筆穂や繊維ペン体等を有する筆記又は塗布具、容器内に水を収容し、且つ、容器内の水を導出する繊維体や刷毛を設けた筆記又は塗布具、スタンプ等が挙げられる。
なお、前記水付着具と、変色性積層体を組み合わせて変色性積層体セットを構成することもできる。
【実施例】
【0018】
以下に実施例及び応用例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は質量部である。
実施例1
変色性塗布液の調製
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−23WNTギャラクシーブルー、メルクジャパン(株)製、粒子径5〜30μm〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0019】
変色性積層体の作製(図1参照)
前記塗布液を黒色の支持体2(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層3(塗膜)を設けて変色性積層体1を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い青色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0020】
実施例2
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−10WNTクリスタルシルバー、メルクジャパン(株)製、粒子径5〜30μm〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕5部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕15部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0021】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い銀色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0022】
実施例3
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−20WNTサンビームゴールド、メルクジャパン(株)製、粒子径5〜30μm〕30部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0023】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0024】
実施例4
アルミナフレークの表面を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:シラリックT60−25WNTコスメティックターコイス、メルクジャパン(株)製、粒子径5〜30μm〕2部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、イソプロピルアルコール10部、シリコーン系消泡剤0.5部、レベリング剤3.0部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0025】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(樹脂成型物、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い緑色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0026】
実施例5
合成雲母の表面を酸化チタンで被覆した紫色金属光沢顔料〔日本光研工業(株)社製、商品名:アルティミカ BV−100、平均粒子径10〜60μm〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0027】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い紫色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0028】
実施例6
合成雲母の表面を酸化チタンで被覆した金色金属光沢顔料〔日本光研工業(株)社製、商品名:アルティミカ YD−100、平均粒子径10〜60μm〕20部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0029】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0030】
実施例7
偏平状のガラス片を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:メタシャインMC1080RY、日本板硝子(株)製、平均粒子径80μm、平均厚み1μm〕15部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0031】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0032】
実施例8
偏平状のガラス片を酸化チタンで被覆した透明性金属光沢顔料〔商品名:メタシャインMC5090RB、日本板硝子(株)製、平均粒子径90μm、平均厚み5μm〕45部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−1011、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:パーマリンUA−150、三洋化成工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、イソプロピルアルコール20部、シリコーン系消泡剤0.5部、レベリング剤3.0部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0033】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(樹脂成型物、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い青色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0034】
実施例9
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる光輝性顔料[商品名:Miraval 5420 Magic Gold、メルク社製、粒子径20〜200μm]15部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0035】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い金色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0036】
実施例10
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる光輝性顔料[商品名:Miraval 5311 Scenic White、メルク社製、粒子径10〜100μm]10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕10部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0037】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い銀色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0038】
実施例11
扁平ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆してなる光輝性顔料[商品名:Miraval 5423 Magic Lilic、メルク社製、粒子径20〜200μm]20部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランAP−10、大日本インキ化学工業(株)製、固形分30%〕50部、水30部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤2部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0039】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では多孔質層による白色の状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラとした輝度の高い紫色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0040】
比較例1
変色性塗布液の調製
天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した金属光沢顔料〔商品名:イリオジン225、メルクジャパン(株)製、粒子径10〜60μm、青色〕10部、湿式法珪酸〔商品名:ニップシールE−200、日本シリカ工業(株)製〕15部、ウレタンエマルジョン〔商品名:ハイドランHW−930、大日本インキ化学工業(株)製、固形分50%〕30部、水40部、シリコーン系消泡剤0.5部、水系インキ用増粘剤3部、エチレングリコール1部、イソシアネート系架橋剤3部を均一に混合、攪拌して変色性塗布液を得た。
【0041】
変色性積層体の作製
前記塗布液を黒色の支持体(紙、明度値2.5)に塗布した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を設けて変色性積層体を得た。
前記変色性積層体は、乾燥状態では金属光沢顔料の淡黄色と多孔質層による白色の混色となるやや黄色味を有する白色状態が視覚される。
前記多孔質層に水を付着させると、多孔質層が透明化して支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、青色の金属光沢色が視覚される。また、この様相変化は繰り返し行なうことができた。
【0042】
応用例1
支持体として青色の目付け量90g/mのポリエステルサテン生地(明度値4.9)上の全面に、実施例1で得た塗布液を用いて、100メッシュのスクリーン版にてベタ印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層(塗膜)を形成して水変色性布帛シートを得た。
前記水変色性布帛シートは、乾燥状態では多孔質層による全面が白色の状態が視認される。
前記水変色性布帛シート上に、水を収容したペンで筆記すると、その部分の多孔質層が透明化して、支持体の黒色と多孔質層中の透明性金属光沢顔料によるキラキラとした輝度の高い青色の金属光沢色の筆跡が視認される。前記様相は未乾燥状態で保持されており、乾燥すると元の白色に復し、筆跡は視認されなくなる。この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0043】
応用例2
実施例4で得たスプレー塗料をスプレーガン(口径0.6mm)に充填して緑色ABS樹脂を射出成形した車型のミニチュアのボディー(明度値5.6)全体に塗装を施した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を形成して水変色性ミニチュアカーを得た。
前記ミニチュアカーは、乾燥状態で多孔質層による全面が白色のミニチュアカーが視認される。
前記ミニチュアカーに水を付着させると、その部分の多孔質層が透明化して、支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料による、キラキラとした輝度の高い緑色の金属光沢色が視覚される。前記様相は未乾燥状態で保持されており、乾燥すると元の白色に復する。この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0044】
応用例3
支持体として黒色の目付け量100g/mのタック付き合成紙(明度値2.0)上に、実施例9で得た塗布液を用いて、100メッシュのスクリーン版にてハート柄を印刷し、70℃で10分間乾燥硬化させて多孔質層(塗膜)を形成して水変色性シールを得た。
前記水変色性布帛シールは、乾燥状態では黒色の合成紙上に多孔質層による白色のハート柄が視認される。
前記ハート柄部に対して、水を収容したスプレーで水を吹き付けると、水が付着した部分の多孔質層が透明化して、支持体の黒色と多孔質層中の透明性金属光沢顔料によって、キラキラと輝度の高い金色の金属光沢色が視覚される。前記様相は未乾燥状態で保持されており、乾燥すると元の白色に復する。この様相変化は繰り返し行うことができた。
また、シール材料であることから、立体物に貼り付けて前記様相変化を楽しむこともできる。
【0045】
応用例4
黒ナイロンタフタ生地を傘用張り材とした。前記張り材(明度値1.8)の上層に、実施例7で得た塗布液を用いて、100メッシュのスクリーン版にて水玉柄を印刷し、130℃で5分間乾燥硬化させて多孔質層(塗膜)を形成して水発色性傘用張り材を得た。
前記水変色性張り材を傘骨に装着して水変色性傘を作製した。
前記水変色性傘は、乾燥状態で黒の下地と多孔質層からなる白色の水玉柄からなる傘が視認される。
前記傘に水を付着させると、その部分の多孔質層が透明化して、支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料によるキラキラと輝度の高い金色の金属光沢色が視覚される。前記様相は未乾燥状態で保持されており、乾燥すると元の白色の水玉柄に復することができ、この様相変化は繰り返し行うことができた。
【0046】
応用例5
実施例5で得た塗布液を100メッシュのスクリーン版を用いて黒色の布帛(明度値2.3)全面に印刷した後、乾燥させて多孔質層(塗膜)を形成することで変色性布帛を得た。更に、前記布帛を縫製して、水着を作製した。
前記水着は、乾燥状態で多孔質層による全面が白色の水着が視認される。
前記水着に水を付着させると、その部分の多孔質層が透明化して、支持体の黒色と、多孔質層中の透明性金属光沢顔料による、キラキラとした輝度の高い紫色の金属光沢色が視認される。前記様相は未乾燥状態で保持されており、乾燥すると元の白色に復する。
この様相変化は繰り返し行うことができた。
【符号の説明】
【0047】
1 変色性積層体
2 支持体
3 多孔質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体表面に、低屈折率顔料と、合成雲母、ガラス、アルミナから選ばれる芯物質を金属酸化物で被覆した透明性金属光沢顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた、吸液状態と非吸液状態で透明性を異にする多孔質層を設けてなる変色性積層体。
【請求項2】
前記透明性金属光沢顔料は、ガラス片の表面を二酸化ケイ素で被覆し、更に二酸化チタンで被覆した顔料である請求項1記載の変色性積層体。
【請求項3】
前記低屈折率顔料と透明性金属光沢顔料の重量比が1:0.2〜1:3である請求項1又は2記載の変色性積層体。
【請求項4】
前記支持体の明度値が6.0以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の変色性積層体。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−208040(P2010−208040A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53791(P2009−53791)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】