説明

変速機制御装置

【課題】システムの変動要因が変動しても変速制御が可能であり、また制御不能なほどに変動した場合には、異常表示とシステム停止が可能な変速機制御装置を提供する。
【解決手段】変速機のシャフト回転角を検出する回転角センサ5、回転角度の位置指令を与える位置指令手段7、回転角センサから得られる実回転位置と位置指令手段から出力される位置指令とより位置偏差及び速度を求め、位置偏差と速度に基づき電圧指令値を求め電圧指令値に基づきモータへの印加電圧及び通電方向を出力する電圧指令生成手段7を備え、変速動作の行われる角度以上、シャフトの最大回転可能角度未満で設定される角度しきい値を設け、位置指令手段は、変速動作開始から回転角センサ入力より判定するシャフト実回転角が角度しきい値を超えるまでは、位置指令を経過時間に応じて角度しきい値より大きい値まで変化させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は運転者の指令により、クラッチ操作及び変速操作をモータの動力を用いて行う機能を備えた変速機制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手動式変速機を制御装置によるアクチュエータ駆動により動作させる自動変速機構(AMT:Automated Mechanical Transmission)は四輪車においては既に実用化されており、また二輪車においても二輪車として好ましい自動変速機構の制御方法が提案されている。
【0003】
例えば、運転者が手元に設置したスイッチの操作による変速指令を制御装置が認識して変速動作を行うもの、あらかじめプログラミングされた変速パターンにもとづき制御装置が自動的に変速動作を行うもの、あるいは両者を運転者が選択可能な方式が提案されており(例えば特許文献1参照)、自動二輪車用変速装置として運転者にイージードライブを提供している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−067741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの自動二輪車用変速装置において、手動式変速機の駆動動力として電動モータの回転力を用いる場合、制御装置にモータ駆動回路を設置し、モータの通電電流量、通電方向を制御することにより変速動作を行っている。
【0006】
電動モータの駆動電流ピークとしては数10Aクラスのものが用いられることが予想され、通常の使用では自動変速制御装置の動作頻度は低いが、高頻度で長時間にわたり通電が行われた場合、又は通常の使用方法でも長期間の使用後には、バッテリが放電過多となってしまうという問題点がある。
【0007】
四輪車においては比較的大容量のバッテリが搭載されているが、自動二輪車、特に小型自動二輪車においては小容量のバッテリしか搭載しておらず、高頻度で長時間にわたり通電が行われると、又は長期間の使用後には容易に放電過多となってしまうことが予測される。
【0008】
また、バッテリが放電過多となった場合、モータ電流を流すことに伴いバッテリ電圧が低下(バッテリ内部抵抗の増大によりバッテリ電圧低下度が大きくなる)して、モータ印加電圧が低下し、モータ速度が低下するため、所定のシーケンスで位置指令を与え位置フィードバックのみでモータ制御を行うと、目標位置まで実位置が到達せず、変速が出来なくなる恐れがある。
【0009】
また、さらにバッテリの放電が進んだ状態においては、モータ通電によるバッテリ電圧の落ち込みにより、モータ制御を行うマイコンに低電圧リセットがかかってしまうことが考えられる。この場合、モータ動作が停止してしまうため、変速実施中にクラッチが切断されたまま停止した場合などは、二輪車が転倒してしまうなど安全上の問題が生ずることになる。
【0010】
上述したシステムの変動要因としては、前記のように特にバッテリ能力、また被制御対象であるミッション側の駆動負荷変化、モータの特性劣化などが挙げられ、これらの変動要因に対するロバスト性の確保、つまり前記要因が変動しても変速制御が可能なシステム、また変速制御が不可能な程に変動した場合は、自己診断によりシステム停止とし運転者に異常表示を行うことが出来るシステムを構築することが課題となる。
【0011】
また、特に小型二輪車においては、安価なシステムコストが求められるため、出来るだけ電圧、電流などの測定項目を減らし低システムコストで、かつロバスト性を確保することが求められている。
【0012】
この発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、上述したシステムの変動要因が変動しても変速制御が可能であり、さらに変速制御が不可能な程に変動した場合には、異常表示とシステム停止が可能な変速機制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に係る変速機制御装置は、運転者の変速指令に基づきクラッチ操作及び変速操作をモータの動力を用いて変速機のシャフトを回転させることにより行う変速機制御装置において、変速機のシャフト回転角を検出する回転角センサ、回転角度の位置指令を与える位置指令手段、回転角センサから得られる実回転位置と位置指令手段から出力される位置指令とより位置偏差及び速度を求め、位置偏差と速度に基づき電圧指令値を求め電圧指令値に基づきモータへの印加電圧及び通電方向を出力する電圧指令生成手段、変速動作の行われる角度以上、シャフトの最大回転可能角度未満で設定される角度しきい値を設け、位置指令手段は、変速動作開始から回転角センサ入力より判定するシャフト実回転角が角度しきい値を超えるまでは、位置指令を経過時間に応じて角度しきい値より大きい値まで変化させる様にしたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係る変速機制御装置は前記のように構成されているため、変速動作の行われる角度以上、シャフトの最大回転可能角度未満で設定される角度しきい値を設け、位置指令手段は、変速動作開始から回転角センサ入力により判定するシャフト実回転角が角度しきい値を超えるまでは、位置指令を角度しきい値より大きい値とするようにしたので、実回転角度が角度しきい値に近づいた状態でも十分な位置偏差となり、これにより電圧指令が大きくなり、変速の行われる角度以上に設定する角度しきい値まではモータ及びバッテリの能力を最大限に使用しての動作を実施することが可能となり、変動要因がある程度悪化した場合でも変速動作を行うことが出来る。
【0015】
また、変速動作の行われる角度以上、シャフトの最大回転可能角度未満で設定される角度しきい値を設け、位置指令手段は、変速動作開始から回転角センサ入力より判定するシャフト実回転角が角度しきい値を超えるまでは、位置指令を角度しきい値より大きい値まで単位時間に所定角度づつ変化させる様にしたので、位置指令を瞬時に最大値とせず、制御開始直後の位置偏差は小さくその後除々に位置偏差が拡大していく、これにより小印加電圧から順次印加電圧が増加することになり、モータ起動時の突入電流を低減出来、モータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
【0016】
さらに、位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた時、位置指令を中立点とするようにしたので、変速を確認した後にシャフトの中立点戻しを行い動作を完了する、つまり変速動作の行われない角度のうちに中立点戻しを行わずシフトミスが防止出来る。また別の効果として、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、位置指令を中立点とすることで、シャフト実回転角が角度しきい値を超えない場合の位置指令値をシャフトの最大回転可能角度以上に設定し位置誤差を大きくすることにより電圧指令を大きくすることが出来る。
【0017】
さらにまた、位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、位置指令を中立点方向に単位時間に所定角度づつ変化させる様にしたので、中立点に到達時のブレーキ電流を小さく抑えモータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
【0018】
また、位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、即座に位置指令を角度しきい値まで戻し、その後位置指令を経過時間に応じて中立点まで変化させる様にしたので、反転開始時に既に位置指令が角度しきい値まで戻ることになり位置指令が中立点に戻る時間が短縮出来る、よって実際のシャフト角度が中立点に戻る時間も短縮でき、変速に要する時間の短縮となり、変速フィーリングが向上するという効果がある。
【0019】
また、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間は所定の最長時間に制限するようにしたので、変動要因の悪化が著しくシャフトが角度しきい値に到達しない場合に位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間を制限する、つまりモータに電圧印加する時間を制限出来、モータの劣化を防止することが出来る。
【0020】
また、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた時は、位置指令を中立点とし、シャフト実回転角が中立点への復帰時に故障判定し、次回より変速指令を受け付けないようにしたので、変動要因の悪化が著しくシャフトが角度しきい値に到達しない場合に、次回より変速指令を受け付けず、システム停止させて不安定な動作を防止することが出来る。
【0021】
また、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた時は、位置指令を中立点方向に単位時間ごとに所定角度づつ変化させると共に、シャフト実回転角が中立点への復帰時に故障判定し、次回より変速指令を受け付けないようにしたので、変動要因の悪化が著しくシャフトが角度しきい値に到達しない場合に、次回より変速指令を受け付けず、システム停止させて不安定な動作を防止することが出来ることに加え、中立点に到達時のブレーキ電流を小さく抑えモータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
【0022】
また、システム故障発生を運転者に表示するための警告灯を備え、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた時は、警告灯により運転者に異常表示を行うようにしたので、運転者は異常を知ることが容易となる。
【0023】
また、エンジン回転速度検出手段とエンジンの点火制御禁止手段又は燃料噴射禁止手段の少なくとも一つを備え、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた時は、所定のエンジン回転速度を越えた時に点火禁止又は燃料噴射禁止とすることにより、最大エンジン回転速度を制限し運転者に異常表示を行うようにしたので、警告灯及び駆動回路が不要となりコストダウンが可能になると共に、運転者は異常を知ることが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図にもとづいて説明する。図1は、実施の形態1の構成を示すブロック図である。この図において、シフトアップスイッチ1とシフトダウンスイッチ2は運転者が手元で操作出来るように配置されているものとする。運転者がスイッチ1または2を押した時に各スイッチは接地するようにされている。
【0025】
シフトアップスイッチ1およびシフトダウンスイッチ2は各々シフトスイッチ判定手段3に接続されている。シフトスイッチ判定手段3はいずれかのスイッチが十分長い時間閉じた場合に、変速指令及び変速方向(シフトアップ又はシフトダウン)を変速実施判定手段4に出力する。
【0026】
変速実施判定手段4は図示しないギア位置センサから得られるギア位置情報、図示しないエンジン回転センサから得られるエンジン回転速度情報など各種センサからの情報、また異常判定手段13の出力にもとづいて、変速動作をすべきでない車両状態である場合や異常発生時は、Hブリッジ制御手段7に変速指令及び変速方向を伝達しないようにされている。変速実施可の判断をした場合は変速指令及び変速方向をHブリッジ制御手段7に伝達するものとする。
【0027】
Hブリッジ制御手段7は、変速実施判定手段4からの指令に対応して、位置指令を作成する部分を含み、位置指令とシャフト角度検出手段6からのシャフト回転角情報及び電流検出手段12からのモータ電流情報にもとづき、Hブリッジ制御回路8にモータ通電PWM信号及び通電方向信号を出力する。また、異常判定のために指令状況を異常判定手段13にも出力する。
【0028】
Hブリッジ回路9は4個のスイッチング素子からなる周知のモータ駆動回路であり、Hブリッジ制御回路8からの制御信号により任意の2個のスイッチング素子が導通状態となりモータ10に通電を行う。Hブリッジ制御回路8はHブリッジ制御手段7からの通電方向信号にもとづき任意の2個のスイッチング素子にモータ通電PWM信号を出力するようにされている。
【0029】
モータ電源はバッテリ11から供給される。モータ回転力は図示しないギアボックスにより減速され、図示しないレバー、シャフトからなるリンク機構により、図示しないシフトシャフトに駆動力が伝達され、シフトシャフトが回転して変速が行われる。制御対象の変速機は通常左足にシフトシャフトに接続されたシフトペダルがあり、シフトペダルを前に倒すとシフトアップ、後ろに倒すとシフトダウンが可能なように構成されているものである。
【0030】
また、シフトペダルの前後への動作、つまりシフトシャフトの回転により機械的に変速クラッチが切れて、シフトペダルの中立点への戻し動作、つまりシフトシャフトの中立点への戻し回転により再度変速クラッチが接続されるものである。
【0031】
電流検出手段12はバッテリ11とHブリッジ回路9との間に配置され、モータ電流を測定しHブリッジ制御手段7及び異常判定手段13にモータ電流情報を出力する。
回転角度センサ5は図示しないシフトシャフトまたは図示しないギアボックスに取付けられ、シフトシャフト角度を直接的または間接的に測定し、シフトシャフト角度信号をシフトシャフト角度検出手段6に出力する。シフトシャフト角度検出手段6はシフトシャフト角度情報をHブリッジ制御手段7及び異常判定手段13に出力する。
【0032】
異常判定手段13は、シャフト回転角の異常、バッテリ電圧の異常、モータ電流の異常、そしてHブリッジ制御手段7からの異常発生情報の少なくともいずれか一つの入力があった場合、アラーム駆動回路14に駆動指令信号を送信し、アラーム駆動回路14は警告用LED15を点灯させる。また、変速実施判定手段4に異常発生出力を送信し、変速実施判定手段4はシフトスイッチ判定手段3から変速指令及び変速方向が入力されても、Hブリッジ制御手段7に指令を伝達しない。
【0033】
次に、図2及び図3を参照しながらHブリッジ制御手段7の処理を詳細に説明する。
図2は、Hブリッジ制御手段7の位置指令決定方法を表す説明図で、縦軸はシフトシャフト回転角、横軸は時間を示す。また、太線は位置指令を示し、破線はシャフト角度検出手段6から入力されるシャフト回転角実位置を示す。
【0034】
Aの区間は変速指令受付前の状態であり、上述した位置指令及びシフトシャフト回転角実位置共に中立点となっている。Bのタイミングで変速指令が入力される。変速指令が入力され次第、Cの区間において位置指令を単位時間ごとに所定角度づつ角度しきい値より大きい最大値まで増加させる。例えばギアチェンジが実行される角度が20°±2°、機械的な最大回転可能角度が28°±2°であれば、位置指令の最大値は26°程度、角度しきい値は24°程度に設定すれば良い。位置指令の変化率はシフトシャフトの目標回転速度の最大速度以上に設定することとする。
【0035】
なお、中立点より上方向がシフトペダルを前に倒す回転方向(シフトアップ)、中立点より下方向がシフトペダルを後ろに倒す回転方向(シフトダウン)を示すものとし、図示の例はシフトアップの変速指令が入力された場合を示している。
【0036】
シャフト角度検出手段6から入力されるシャフト回転角実位置が角度しきい値を超えた後、Dの区間においては位置指令を単位時間ごとに所定角度づつ中立点まで戻す。
Eのタイミングでシャフト回転角実位置が中立点に戻ってきたことを確認して変速制御終了とし、Hブリッジ制御手段7は変速実施判定手段4に変速制御終了を伝達する。
【0037】
図3は、Hブリッジ制御手段7のモータ制御方式を示すブロック図である。この図において、16は図2で決定した位置指令を入力する入力部、17はシャフト角度検出手段6で検出したシャフト回転角を入力する入力部、18は位置ゲインKpの乗算部、19はシャフト回転角17を入力としてシャフト回転角速度を出力する速度計算部、20は速度ゲインKdの乗算部、21は電流検出手段12からのモータ電流の入力部、22は電流ゲインの乗算部であり、モータ平均電圧指令Vcを出力する。23は乗算部22のモータ平均電圧Vcを入力としてPWMデューティ指令と回転方向とをHブリッジ制御回路8に出力する出力部である。
【0038】
次に、図3のブロック図の処理について説明する。位置指令の入力部16からの出力θc、回転角の入力部17の出力θ、θを入力として速度計算部19で算出した回転角速度ω、モータ電流の入力部21からの出力iから、図3のブロック図でモータ平均電圧指令Vcを次のように算出する。
Vc=Ki*(Kp*(θc−θ)−Kd*ω−i) (1)
【0039】
次に、式(1)で算出したモータ平均電圧指令Vcを入力として出力部23では、PWMデューティ指令の出力を次式で算出する。
PWMデューティ指令 = |Vc|*100 [%] (2)
回転方向は、例えば、Vcが零以上のとき正転、Vcが零未満のとき逆転とすれば、Vcの符号に応じて正・逆方向の任意の電圧がモータ端子に印加できる。
【0040】
以上のようにこの実施の形態では、Cの区間においては位置指令を単位時間に所定角度づつ角度しきい値より大きい最大値まで増加させる。つまり位置指令を瞬時に最大値としないので、制御開始直後の位置偏差は小さくその後徐々に位置偏差が拡大していく、これにより低PWMデューティから順次PWMデューティが増加することになり、結果としてモータ印加電圧を徐々に増加させていくので、モータ起動時の突入電流を低減出来、モータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
【0041】
また、位置指令の最大値を十分大きい値に設定すれば、実回転角度が角度しきい値に近づいた状態でも十分な位置偏差となるので、これによりPWMデューティを大きくすることが可能である。結果として、起動時に徐々に印加電圧が立ち上がった後は、フル通電(フル印加電圧)で角度しきい値まで駆動することが出来る、よってモータ及びバッテリの能力を最大限使用しての動作を実施することが可能となり、変動要因がある程度悪化した場合でも変速動作を行うことが出来る効果がある。
位置指令の最大値は位置偏差を確保する為に必要であれば、機械的な最大回転可能角度より大きな値を設定しても良い。
位置偏差が小さくなる実回転角度が角度しきい値に近づいた状態でも印加電圧を大きくする為の別の手法としては、位置偏差の積分値に基づく補正項を前記Vcに加算しても良い。
【0042】
また、シャフト回転角実位置が角度しきい値を超えたことを判定し状態Dの中立点への戻し動作に移行するので、角度しきい値は変速動作の行われる角度以上に設定されることより、確実に変速を行った後で戻し動作とすることが出来るため、シフトミスが防止出来るという効果がある。
【0043】
また、状態Dにおいても位置指令を単位時間に所定角度づつ中立点方向に戻す様にしたので、状態Dに移行時に瞬時に中立点にした場合に比べ、戻し速度が低減される、よって速度指令値(Kd*ω)が低減されるので、中立点にシャフト回転角実位置が近づいた際のブレーキ電流が低減される。これにより、モータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
【0044】
また、モータ平均電圧指令Vcを、式(1)の様にしたので、位置フィードバックでの印加電圧調整に加え電流フィードバックにより、例えばバッテリ放電劣化時などバッテリが電流を供給出来ない状態においては、印加電圧を自動調整可能であり、印加電圧調整の応答が向上し変動要因が変動した場合においてもシャフト回転角実位置の応答ばらつきが状態Dにおいて小さくなる。これにより変動要因が変動した場合の戻し速度の低下を抑制出来、ドライバビリティの変化を小さく出来る効果がある。
【0045】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2を図にもとづいて説明する。図4は、実施の形態2の構成を示すブロック図である。シフトアップスイッチ1とシフトダウンスイッチ2は運転者が手元で操作出来るように配置されているものとする。運転者がスイッチ1または2を押した時に各スイッチは接地するようにされている。
【0046】
シフトアップスイッチ1およびシフトダウンスイッチ2は各々シフトスイッチ判定手段3に接続されている。シフトスイッチ判定手段3はいずれかのスイッチが十分長い時間閉じた場合に、変速指令及び変速方向(シフトアップ又はシフトダウン)を変速実施判定手段4に出力する。
【0047】
変速実施判定手段4は図示しないギア位置センサから得られるギア位置情報、エンジン回転センサから出力されたエンジン回転信号をエンジン回転速度判定手段が処理したエンジン回転速度情報など各種センサからの情報及び異常判定手段13の出力にもとづいて、変速動作をすべきでない車両状態である場合や異常発生時は、Hブリッジ制御手段7に変速指令及び変速方向を伝達しない。変速実施可の判断をした場合は変速指令及び変速方向をHブリッジ制御手段7に伝達するものとする。
【0048】
Hブリッジ制御手段7は、変速実施判定手段4からの指令に対応して、位置指令を作成する部分を含み、位置指令とシャフト角度検出手段6からのシャフト回転角情報にもとづき、Hブリッジ制御回路8にモータ通電PWM信号及び通電方向信号を出力する。また、異常判定のために指令状況を異常判定手段13にも出力する。
【0049】
Hブリッジ回路9は4個のスイッチング素子からなる周知のモータ駆動回路であり、Hブリッジ制御回路8からの制御信号により任意の2個のスイッチング素子が導通状態となりモータ10に通電を行う。Hブリッジ制御回路8はHブリッジ制御手段7からの通電方向信号にもとづき任意の2個のスイッチング素子にモータ通電PWM信号を出力する。
【0050】
モータ電源はバッテリ11から供給される。モータ回転力は図示しないギアボックスにより減速され、図示しないレバー、シャフトからなるリンク機構により、図示しないシフトシャフトに駆動力が伝達され、シフトシャフトが回転して変速が行われる。制御対象の変速機は通常左足にシフトシャフトに接続されたシフトペダルがあり、シフトペダルを前に倒すとシフトアップ、後ろに倒すとシフトダウンが可能なように構成されているものである。
【0051】
また、シフトペダルの前後への動作、つまりシフトシャフトの回転により機械的に変速クラッチが切れて、シフトペダルの中立点への戻し動作、つまりシフトシャフトの中立点への戻し回転により再度変速クラッチが接続されるものである。
【0052】
回転角度センサ5は図示しないシフトシャフトまたは図示しないギアボックスに取付けられ、シフトシャフト角度を直接的または間接的に測定し、シフトシャフト角度信号をシフトシャフト角度検出手段6に出力する。シフトシャフト角度検出手段6はシフトシャフト角度情報をHブリッジ制御手段7及び異常判定手段13に出力する。
【0053】
トルクカット指令/異常判定手段13の役割の一つとしては、シフトアップ時のトルクカット指令出力であり、エンジン制御装置25に点火カット指令信号、燃料カット指令信号、スロットル閉指令信号の少なくともいずれか一つを出力する。
【0054】
また、別の役割として、シャフト回転角の異常、Hブリッジ制御手段7からの異常発生情報の少なくともいずれか一つの入力があった場合、変速実施判定手段4に異常発生出力を送信し、変速実施判定手段4はシフトスイッチ判定手段3から変速指令及び変速方向が入力されても、Hブリッジ制御手段7に変速指令を伝達しない。
【0055】
また、エンジン回転速度判定手段から入力されるエンジン回転速度が3000rpmを超えている場合、エンジン制御装置25に点火カット指令または燃料カット指令を出力し、エンジン回転速度を制限することで、運転者への異常発生を伝達することが出来る。
変速指令を受け付けない、つまりシステムを停止しなくても良い軽微な異常の場合は、変速の時間を遅くして運転者に異常伝達しても良い。これにより、アラームランプなどの表示器なしでも運転者に異常伝達可能となり、コストダウンが可能となる効果がある。
【0056】
次に、図5及び図6を参照しながらHブリッジ制御手段7の処理について詳細に説明する。図5はHブリッジ制御手段7の位置指令決定方法を表す説明図で、縦軸はシフトシャフト回転角、横軸は時間を示す。また、太線は位置指令を示し、破線はシャフト角度検出手段6から入力されるシャフト回転角実位置を示す。
【0057】
Aの区間は変速指令受付前の状態であり、上述した位置指令及びシフトシャフト回転角実位置共に中立点となっている。Bのタイミングで変速指令が入力される。変速指令が入力され次第、Cの区間において位置指令を単位時間毎に所定角度づつ角度しきい値より大きい最大値まで増加させる。例えばギアチェンジが実行される角度が20°±2°、機械的な最大回転可能角度が28°±2°であれば、Cの区間における位置指令は26°程度、角度しきい値は24°程度に設定すれば良い。位置指令の変化率はシフトシャフトの目標回転速度の最大速度以上に設定することとする。
【0058】
なお、中立点より上方向がシフトペダルを前に倒す回転方向(シフトアップ)、中立点より下方向がシフトペダルを後ろに倒す回転方向(シフトダウン)を示すものとし、図示の例はシフトアップの変速指令が入力された場合を示している。
【0059】
シャフト角度検出手段6から入力されるシャフト回転角実位置が角度しきい値を超えた後、図5のDの区間においては位置指令を単位時間ごとに所定角度づつ中立点まで戻す。Eのタイミングでシャフト回転角実位置が中立点に戻ってきたことを確認して変速制御終了とし、Hブリッジ制御手段7は変速実施判定手段4に変速制御終了を伝達する。
【0060】
しかしながら、バッテリ11の放電過多、シフトシャフトの負荷増大、モータ出力低下などの劣化がある場合は、Cの状態で位置指令を角度しきい値より大きい値にしても本来の動作速度が得られず、シャフト回転角実位置が角度しきい値を超えるまでの時間が長くなる。これは、変速完了までの時間の長期化となり、運転者は前記変動要素の悪化に従い徐々に変速時間の長期化という異常を体感し認識することになる。
【0061】
ただし、Cの状態を継続可能な時間には制限を設ける。例えば制限時間は1秒とし、前記の劣化がさらに進行して1秒、位置指令を角度しきい値より大きい値に固定しても、シャフト回転角実位置が角度しきい値を超えない、つまり変速動作を行う角度までの回転が認められない場合は異常としDの状態に移行させ、位置指令を単位時間ごとに所定角度づつ中立点まで戻す。
【0062】
シャフト回転角実位置が中立点に戻ってきたことを確認して変速制御異常終了とし、Hブリッジ制御手段7は変速実施判定手段4に変速制御終了を伝達し、トルクカット/異常判定手段13に異常終了を伝達する。トルクカット/異常判定手段13は異常発生を変速実施判定手段4に伝達し、変速実施判定手段4は次回より、変速指令をHブリッジ制御手段7に伝達しない。
【0063】
これにより、劣化時はモータに電圧印加する時間を制限出来る効果がある。また異常時はDの状態に移行させ、シャフトを中立点に戻した上で次回より変速指令、つまりシフトスイッチが押されても変速動作を実施しないこととしたので変動要因の悪化が顕著な場合、システム停止させて不安定な動作を防止することが出来る効果がある。
【0064】
図6は、Hブリッジ制御手段7のモータ制御方式を示すブロック図である。この図において、16は図2で決定した位置指令を入力する入力部、17はシャフト角度検出手段6で検出したシャフト回転角を入力する入力部、18は位置ゲインKpの乗算部、19はシャフト回転角を入力としてシャフト回転角速度を出力する速度計算部、20は速度ゲインKdの乗算部、乗算部18の出力から20の出力を加算器で減算しモータ平均電圧指令Vcを出力する。23はモータ平均電圧指令Vcを入力としてPWMデューティ指令と回転方向とをHブリッジ制御回路8に出力する出力部である。
【0065】
次に、図6のブロック図の処理について説明する。位置指令の入力部16からの出力θc、回転角の入力部17の出力θ、θを入力として速度計算部19で算出した回転角速度ωから図6のブロック図でモータ平均電圧指令Vcを次のように算出する。
Vc=Kp*(θc−θ)−Kd*ω (1)
【0066】
次に、式(1)で算出したモータ平均電圧指令Vcを入力として出力部23では、PWMデューティ指令の出力を次式で算出する。
PWMデューティ指令 = |Vc|*100 [%] (2)
回転方向は、例えば、Vcが零以上のとき正転、Vcが零未満のとき逆転とすれば、Vcの符号に応じて正・逆方向の任意の電圧がモータ端子に印加できる。
【0067】
以上のようにこの実施の形態では、Cの区間においては位置指令を単位時間に所定角度づつ角度しきい値より大きい最大値まで増加させる。つまり位置指令を瞬時に最大値としないので、制御開始直後の位置偏差は小さくその後徐々に位置偏差が拡大していく、これにより低PWMデューティから順次PWMデューティが増加することになり、結果としてモータ印加電圧を徐々に増加させていくので、モータ起動時の突入電流を低減出来、モータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
図7は、図5のCの区間の位置指令を与えたシミュレーション結果である。図7(c)のように、起動時にモータ印加電圧が徐々に増加しており、図7(b)に示すように、モータ電流ピークが約20[A]となっている。これに対し図8はCの区間で位置指令を瞬時に最大値としたシミュレーション結果であり、モータ印加電圧は図8(c)に示すように、瞬時に立ち上がっており、起動時のモータ電流ピークは図8(b)に示すように、約30[A]である。
【0068】
また、位置指令の最大値を十分大きい値に設定すれば、実回転角度が角度しきい値に近づいた状態でも十分な位置偏差となるので、これによりPWMデューティを大きくすることが可能である。結果として、起動時に徐々に印加電圧が立ち上がった後は、フル通電(フル印加電圧)で角度しきい値まで駆動することが出来る、よってモータ及びバッテリの能力を最大限使用しての動作を実施することが可能となり、変動要因がある程度悪化した場合でも変速動作を行うことが出来る効果がある。位置偏差が小さくなる実回転角度が角度しきい値に近づいた状態でも印加電圧を大きくする為の別の手法としては、位置偏差の積分値に基づく補正項を前記Vcに加算しても良い。
位置指令の最大値は位置偏差を確保する為に必要であれば、機械的な最大回転可能角度より大きな値を設定しても良い。
図7(a)においては、位置指令を角度しきい値より大きい角度まで徐々に変化させており、Cの区間ほぼ全域でフル通電出来ていることがモータ印加電圧のシミュレーション結果より分かる。
【0069】
また、シャフト回転角実位置が角度しきい値を超えたことを判定し状態Dの中立点への戻し動作に移行するので、角度しきい値は変速動作の行われる角度以上に設定されることより、確実に変速を行った後で戻し動作とすることが出来るため、シフトミスが防止出来るという効果がある。
【0070】
また、状態Dにおいても位置指令を単位時間に所定角度づつ中立点方向に戻す様にしたので、状態Dに移行時に瞬時に中立点にした場合に比べ、戻し速度が低減される、よって速度指令値(Kd*ω)が低減されるので、中立点にシャフト回転角実位置が近づいた際のブレーキ電流が低減される。これにより、モータのブラシ磨耗低減及びモータ駆動回路の電子部品耐久性向上が可能であるという効果がある。
図7は、図5のDの区間の位置指令を与えたシミュレーション結果である。中立点にシャフト回転角実位置が近づいた際のブレーキ電流ピークは図7(b)に示すように、約20[A]である。これに対し、これに対し図8はDの区間で位置指令を瞬時に中立点としたシミュレーション結果であり、中立点にシャフト回転角実位置が近づいた際のブレーキ電流ピークは図8(b)に示すように、約33[A]である。
【0071】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3の構成を示すブロック図は、実施の形態2と同一(図4)であるため、図示及び説明を省略する。
図9(a)はHブリッジ制御手段7の位置指令決定方法を表す。Aの区間は変速指令受付前の状態で太線で表す位置指令及び破線で表すシャフト角度検出手段6より入力されるシャフト回転角実位置共に中立点となっている。Bのタイミングで変速指令が入力される。変速指令が入力され次第、Cの区間においては位置指令を単位時間に所定角度づつ角度しきい値より大きい最大値まで増加させる。例えばギアチェンジが実行される角度が20°±2°、機械的な最大回転可能角度が28°±2°であれば、位置指令の最大値は26°程度、角度しきい値は24°程度に設定すれば良い。位置指令の変化率はシフトシャフトの目標回転速度の最大速度以上に設定することとする。
尚、中立点より上方向がシフトペダルを前に倒す回転方向(シフトアップ)、中立点より下方向がシフトペダルを後ろに倒す回転方向(シフトダウン)とする。この例はシフトアップの変速指令が入力された場合のものである。
【0072】
シャフト角度検出手段6より入力されるシャフト回転角実位置が角度しきい値を超えた後、Dの区間においては位置指令を、まず角度しきい値としその後単位時間あたり所定角度づつ中立点まで戻す。Eのタイミングでシャフト回転角実位置が中立点に戻ってきたことを確認して変速制御終了とし、Hブリッジ制御手段は変速実施判定手段に変速制御終了を伝達する。
ここでは、Dの区間においては位置指令を、まず角度しきい値とする様にしたが、角度しきい値以外での戻し判定を行う場合は、Dの区間において位置指令をまずシャフト回転角実位置としても良い。
【0073】
図9(b)は、Dの区間に移行した直後に位置指令を角度しきい値としない場合の例であり、Dの区間に移行後、位置指令を単位時間あたり所定角度づつ中立点まで戻す様にしている。
よって、Dに移行した時点での位置指令と角度しきい値の差分を戻す時間分だけシャフトの回転動作が図9(a)に比べ遅れることになる。
以上のようにこの実施の形態においては、状態Dに移行した際にまず位置指令を角度しきい値とし、その後単位時間あたり所定角度づつ中立点まで戻すので、状態Dに移行した時点から単位時間あたり所定角度づつ中立点まで戻すのに比べ、位置指令が中立点に戻る時間が短縮出来る、よって実際のシャフト角度が中立点に戻る時間も短縮でき、変速に要する時間の短縮となり、変速フィーリングが向上するという効果がある。
【0074】
この実施の形態のHブリッジ制御手段7のモータ制御のブロック図は実施の形態2と同一(図6)であるため、図示及び説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1におけるHブリッジ制御手段の位置指令決定方法を示す説明図である。
【図3】実施の形態1におけるHブリッジ制御手段のモータ制御方式を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2におけるHブリッジ制御手段の位置指令決定方法を示す説明図である。
【図6】実施の形態2におけるHブリッジ制御手段のモータ制御方式を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】実施の形態2のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】実施の形態3におけるHブリッジ制御手段の位置指令決定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 シフトアップスイッチ、 2 シフトダウンスイッチ、
3 シフトスイッチ判定手段、 4 変速実施判定手段、 5 回転角度センサ、
6 シャフト角度検出手段、 7 Hブリッジ制御手段、 8 Hブリッジ制御回路、 9 Hブリッジ回路、 10 モータ、 11 バッテリ、 12 電流検出手段、 13 異常判定手段、 14 アラーム駆動回路、 15 LED、
16A、16B 入力部、 17 乗算部、 18 速度計算部、 19 乗算部、 20 入力部、 21 電流指令、 22 出力部、 25 エンジン制御部、
26 加算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の変速指令に基づきクラッチ操作及び変速操作をモータの動力を用いて変速機のシャフトを回転させることにより行う変速機制御装置において、
変速機のシャフト回転角を検出する回転角センサ、回転角度の位置指令を与える位置指令手段、回転角センサから得られる実回転位置と位置指令手段から出力される位置指令とより位置偏差及び速度を求め、位置偏差と速度に基づき電圧指令値を求め電圧指令値に基づきモータへの印加電圧及び通電方向を出力する電圧指令生成手段、変速動作の行われる角度以上、シャフトの最大回転可能角度未満で設定される角度しきい値を設け、位置指令手段は変速動作開始から回転角センサ入力より判定するシャフト実回転角が角度しきい値を超えるまでは位置指令を経過時間に応じて角度しきい値より大きい値まで変化させることを特徴とする変速機制御装置。
【請求項2】
変速動作の行われる角度以上、シャフトの最大回転可能角度未満で設定される角度しきい値を設け、位置指令手段は、変速動作開始から回転角センサ入力より判定するシャフト実回転角が角度しきい値を超えるまでは、位置指令を角度しきい値より大きい値まで単位時間に所定角度づつ変化させることを特徴とする請求項1に記載の変速機制御装置。
【請求項3】
位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、位置指令を経過時間に応じて中立点まで変化させることを特徴とする請求項1に記載の変速機制御装置。
【請求項4】
位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、位置指令を中立点方向に単位時間に所定角度づつ変化させることを特徴とする請求項3に記載の変速機制御装置。
【請求項5】
位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、即座に位置指令を角度しきい値まで戻し、その後位置指令を経過時間に応じて中立点まで変化させることを特徴とする請求項1に記載の変速機制御装置。
【請求項6】
位置指令手段は、シャフト実回転角が角度しきい値を超えた場合、即座に位置指令を角度しきい値まで戻し、その後位置指令を中立点方向に単位時間に所定角度づつ変化させることを特徴とする請求項5に記載の変速機制御装置。
【請求項7】
位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間は所定の最長時間制限することを特徴とする請求項1に記載の変速機制御装置。
【請求項8】
位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた場合は、位置指令を経過時間に応じて中立点まで変化させ、シャフト実回転角が中立点に復帰時に故障判定し、次回より変速指令を受け付けないことを特徴とする請求項7に記載の変速機制御装置。
【請求項9】
位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた場合は、位置指令を中立点方向に単位時間に所定角度づつ変化させる、シャフト実回転角が中立点に復帰時に故障判定し、次回より変速指令を受け付けないことを特徴とする請求項7に記載の変速機制御装置。
【請求項10】
システム故障発生を運転者に表示するための警告灯を備え、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた場合は、警告灯により運転者に異常表示を行うことを特徴とする請求項7に記載の変速機制御装置。
【請求項11】
エンジン回転速度検出手段とエンジンの点火制御禁止手段又は燃料噴射禁止手段の少なくとも一つを備え、位置指令手段が位置指令を角度しきい値より大きい値とする時間が所定時間を超えた場合は、所定のエンジン回転速度を越えた場合は点火禁止又は燃料噴射禁止とすることにより、最大エンジン回転速度を制限し運転者に異常表示を行うことを特徴とする請求項7に記載の変速機制御装置。
【請求項12】
モータ電流を測定するモータ電流検出手段を備え、回転角センサから得られる実回転位置と位置指令手段から出力される位置指令とより位置偏差及び速度を求め、位置偏差と速度に基づき電流指令生成手段は電流指令値を算出し、電圧指令手段は電流指令値と電流検出手段から得られる実電流値との偏差に基づき電圧指令を求め電圧指令値に基づきモータへの印加電圧及び通電方向を出力することを特徴とする請求項1に記載の変速機制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−255559(P2007−255559A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80520(P2006−80520)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】