説明

外付け装置

【課題】 小型ゲーム機への取り付けを円滑に行える外付けマイク装置を提供する。
【解決手段】 小型ゲーム機800は、取付面830に、USBポートと係合孔部852と備える。外付けマイク装置は、ケース体200と、USB端子部300と、固定ネジ400と、を備える。USB端子部300と固定ネジ400とはケース体200の取付面230に設けられている。USB端子部300および固定ネジ400はUSBポートおよび係合孔部852の位置にそれぞれ対応して取付面230に配設され、かつ、USB端子部300は取付面230の面内方向において所定量のスライド移動が許容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外付け装置に関する。例えば、携帯用の小型ゲーム機に着脱可能に取り付けられる外付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用の情報処理装置として、例えば、携帯用の小型ゲーム機が知られている。このような小型ゲーム機にあっては、携帯性やデザイン性の向上を図るために、例えば、マイクやカメラ、文字入力等の機能は外付けハードウェアとして別途用意され、小型ゲーム機に着脱自在に取付可能となっている(例えば、特許文献1)。そして、小型ゲーム機および外付けハードウェアの一方に設けられたプラグを他方に設けられたポートに差し込むことによって電気的接続が行われ、信号や電力の双方向伝送が行われる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−144040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば小型ゲーム機に接続ポートを設け、この接続ポートの位置に対応して外付けハードウェアにプラグを設けるように設計しても、製品個体差によって接続ポートとプラグとの位置がずれてしまう場合がしばしば生じる。
このように接続ポートとプラグとの配設位置がずれていた場合に無理にプラグを接続ポートに押し込むとプラグおよび接続ポートに大きなストレスがかかり、故障の原因となりやすい。
【0005】
本発明の目的は、携帯情報処理装置への取り付けを円滑に行える外付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の外付け装置は、接続ポートと係合孔部とを筐体の一側面に有する携帯情報処理装置に外付けされる外付け装置であって、この外付け装置が前記携帯情報処理装置に外付けされる際に前記筐体の前記一側面に対向する取付面を一面に有するケース体と、前記接続ポートに差し込まれるプラグと、前記係合孔部に挿入されて係合する係合手段と、を備え、前記プラグおよび前記係合手段は前記接続ポートおよび前記係合孔部の位置にそれぞれ対応して前記取付面に配設され、かつ、前記プラグは前記取付面の面内方向において所定量のスライド移動が許容されていることを特徴とする。
【0007】
このような構成において、携帯情報処理装置の一側面に取付面を当てるようにして外付け装置が携帯情報処理装置に取り付けられる。このとき、外付け装置のプラグが携帯情報処理装置の接続ポートに差し込まれて接続され、外付け装置の係合手段が携帯情報処理装置の係合孔部に挿入されて係合する。ここで、接続ポートにプラグが挿入されるにあたって、プラグが接続ポートに抵抗無く滑らかに挿入可能な位置に取付面の面内方向でスライド移動する。そして、プラグが接続ポートに差し込まれて、外付け装置が携帯情報処理装置に取り付け固定されるとともに電気的に接続される。
【0008】
携帯情報処理装置の一側面に接続ポートと係合孔部とが配設されており、これら接続ポートと係合孔部との位置に対応してケース体の取付面にプラグと係合手段とが配設されるのであるが、携帯情報処理装置あるいは外付け装置の製造誤差により、これらの配設位置がずれる場合もしばしば生じる。
従来、これらの配設位置がずれていた場合に無理にプラグを接続ポートに差し込んで外付け装置を携帯情報処理装置に取り付けると、プラグに大きなストレスがかかるので望ましくなく、故障の原因ともなりやすい。
【0009】
この点、本発明では、プラグが取付面内においてスライド移動可能に設けられ、プラグが接続ポートの位置に応じて位置調整可能であるので、多少の製造誤差に関係なくプラグを円滑に接続ポートに差し込むことができる。
【0010】
本発明では、前記プラグは、プラグ差込み方向に対して略直交する方向にフランジ状に張り出したスライド板を備え、前記ケース体は、前記プラグを前記取付面から突出させた状態で支持するとともに位置決めするプラグ支持手段と、前記取付面において開口形成され前記プラグを露出させるプラグ露出孔部と、を備え、前記プラグ支持手段は、前記スライド板を間に挟む壁が前記スライド板よりも幅広である所定間隔離間して対向する対向壁と前記スライド板をプラグ差込み方向から挟持する挟持壁とを有し、前記プラグ露出孔部は、前記プラグよりも大きい面積で開口形成されていることが好ましい。
【0011】
このような構成において、プラグ支持手段によってプラグがケース体から突出する状態で支持される。このとき、プラグ差込み方向においては、挟持壁にてプラグのスライド板が挟持され、このプラグ差込み方向には移動しないようにプラグが支持される。一方、プラグ差込み方向に直交する方向においては、スライド板よりも幅広の間隔で対向した対向壁の間にスライド板が配置されており、さらに、プラグ露出孔部がプラグよりも大きい面積で開口形成されているので、プラグ差込み方向に直交する方向では所定のスライド移動が許容される。
【0012】
このような構成によれば、プラグが取付面内においてスライド移動可能となり、プラグが接続ポートの位置に応じて位置調整可能であるので、多少の製造誤差に関係なくプラグを円滑に接続ポートに差し込むことができる。
【0013】
本発明では、前記携帯情報処理装置の一側面において前記接続ポートを間に挟んで2つの係合孔部が設けられており、前記ケース体は、前記取付面において前記プラグを間に挟んで配設された2つの係合手段を備えることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、プラグおよび接続ポートを間にして両側に係合手段および係合孔部があるので、外付け装置を携帯情報処理装置に取り付けた状態で外付け装置に力が作用してもプラグを挟んだ両側が動かないので、プラグにストレスがかかることがない。
特に、プラグを取付面内方向でスライド移動可能としているところ、プラグに力がかかることが望ましくないが、この点、プラグの両側で係合手段が位置決めされているので、プラグに余計な力がかかることを回避して、電気的接続を確実に保ち、また故障を防止することができる。
【0015】
なお、2つの係合手段はプラグから所定距離離間して設けられていることが好ましい。このような構成によれば、プラグから所定距離離間したところで係合孔部に係合手段が係合して係合手段が位置固定されるので、プラグに大きなストレスがかかることを確実に回避することができる。
例えば、外付け装置としてカメラやキーボードなどが例として挙げられるが、カメラであればレンズの向きを変える場合にユーザーが外付け装置に触れることとなり、キーボードであれば文字等の入力の際に外付け装置に触れることになる。このような場合でも、プラグを挟んだ2つの係合手段によってプラグにストレスがかかることを回避することができ、ユーザーが操作しても電気的接続が確実に保たれる外付け装置とすることができる。
【0016】
本発明では、回路基板を備え、前記回路基板と前記プラグとはフレキシブルケーブルで接続されていることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、プラグがスライド移動した場合でも、フレキシブルケーブルが柔軟にたわむことによってプラグと回路基板との電気的接続が維持される。
【0018】
本発明では、前記回路基板は、前記ケース体内で前記プラグの背面に近接して配設され、前記回路基板のうち前記プラグに対向する領域には集積回路が実装されていないことが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、回路基板がプラグに近接配置されているので、ケース体内においてデッドスペースを極力排して外付け装置を小型化することができる。そして、外付け装置を携帯情報処理装置に取り付ける際にプラグがスライド移動する場合でも、プラグの背面に対応する領域には回路基板の集積回路が実装されていないので、仮にプラグが回路基板に非常に近いところで移動しても集積回路等を破損することはない。したがって、非常に小型の外付け装置としながらも、故障等を防止することができる。
【0020】
本発明では、前記係合孔部は雌ネジであり、前記係合手段は、前記ケース体の取付面から突出して設けられ下端に前記雌ネジに螺合する雄ネジ部を有する固定ネジであることが好ましい。
【0021】
このような構成によれば、固定ネジを係合孔部の雌ネジに螺合することで外付け装置を携帯情報処理装置に確実に取り付けることができる。
【0022】
なお、プラグを挟んで2つの係合手段を設ける場合、両方をネジ部とする必要は必ずしもなく、一方をネジとし、他方は、孔に挿入されて位置決めするだけの係合ピンであってもよい。このような構成によれば、一方のネジによって外付け装置を携帯情報処理装置に取付固定でき、さらに、他方に係合ピンを備えることによってプラグの両側が動かないようにしてプラグにストレスがかかることを回避することができる。
【0023】
本発明では、前記固定ネジは、下端側先端部に雄ネジ部を有するネジ軸芯部と、前記ネジ軸芯部に対してフランジ状に設けられたフランジ部と、前記ケース体から露出して前記ネジ軸芯部を回転操作する回転操作部と、を備え、前記ケース体は、前記雄ネジを前記取付面から突出する状態で支持するとともに位置決めする固定ネジ支持手段を備え、前記固定ネジ支持手段は、前記フランジ部を間に挟むように前記固定ネジの差込み方向で対向して設けられた支持壁を備え、前記支持壁の間隔は前記フランジ部の厚みよりも広く前記固定ネジの軸方向への移動が所定量許容されることが好ましい。
【0024】
このような構成において、固定ネジ支持手段にて雄ねじ部がケース体から突出する状態で支持される。このとき、フランジ部が支持壁の間に挟まれるようにして固定ネジは支持されるところ、支持壁は所定の間隔で設けられて固定ネジの上下動が許容される。外付け装置を携帯情報処理装置に取り付けるにあたって、プラグを接続ポートに差し込み、かつ、固定ネジを係合孔部に螺合させるが、プラグを接続ポートに差し込む際に同時に固定ネジを係合孔部にねじ込まなくても固定ネジは軸方向に移動する。プラグが接続ポートに完全に差し込まれたところで、固定ネジの回転操作部を回して固定ネジを係合孔部に螺合させる。
【0025】
このような構成によれば、外付け装置を携帯情報処理装置に取り付けるにあたって、プラグを接続ポートに差し込むのと同時に固定ネジを係合孔部にねじ込む必要はなく、プラグを接続ポートに差し込む際には固定ネジは軸方向に移動させて逃がしておけばよい。そして、プラグが接続ポートに差し込まれてから固定ネジを係合孔部に螺合させればよい。よって、プラグの差し込みと固定ネジの回転操作を同時に行わなくてよいので、外付け装置の取付作業がやりやすい。
【0026】
本発明では、前記回転操作部は、前記フランジ部の周端面に形成されたローレットであり、前記ケース体には、前記フランジ部の周端面を露出させる操作窓が開口形成されていることが好ましい。
【0027】
このような構成において、ケース体の操作窓からフランジ部が露出する。
そして、操作窓からフランジ部を回転操作することで固定ネジを回転させて固定ネジを係合孔部に螺合させることができる。
【0028】
本発明では、音声に感応して信号を出力するマイクを備え、前記マイクは、外付け装置が取り付けられた携帯情報処理装置の通常使用状態における前後方向に対して交差する方向に集音部を向けた状態で前記ケース体内に配設され、前記マイクは、無指向性であることが好ましい。
【0029】
このような構成において、外付け装置に設けられたマイクにて音声が集音され、この集音された音声情報が携帯情報処理装置に伝送される。携帯情報処理装置に外付け装置が取り付けられた状態において、携帯情報処理装置を挟んで前後にいるユーザーが発した音声は、携帯情報処理装置の通常使用方向に対して略直交する向きに向けられた集音部に達する。そして、無指向性であるマイクによってこの音声が集音される。
【0030】
このような構成によれば、マイクの集音部が携帯情報処理装置の通常使用状態の前後方向に対して略直交し、かつ、マイクが無指向性であるので、携帯情報処理装置を間にした前後で複数のユーザーが発する音声を一つのマイクで集音することができる。すなわち、外付け装置は一つのマイクを備えていればよいので、外付け装置を小型化することができる。
例えば、携帯情報処理装置の前方にいるユーザー用と、携帯情報処理装置の後方にいるユーザー用とで2つのマイクを備えてもよいが、外付け装置が大型化することが避けられない。
この点、本発明では、マイクの集音部を携帯情報処理装置の通常使用状態に対して略直交する向きにしているので、携帯情報処理装置を挟んで前後にいるユーザーの音声を一つのマイクで集音することができる。
ここで、マイクの集音部がユーザーに正対していないが、この点、本発明ではマイクを無指向性としているので、集音部の向きに対して直交する方向から発せられた音声も集音することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の外付け装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は、小型ゲーム機(携帯情報処理装置)800に外付けマイク装置(外付け装置)100を取り付ける様子を示す図である。
図2は、外付けマイク装置100を取り付けた小型ゲーム機800の使用状態を示す図である。
【0032】
まず、小型ゲーム機800について説明する。
小型ゲーム機800は、全体として厚みが薄い扁平状であって、正面からみたときに、横方向が長手方向となり、縦方向が短手方向となっている。そして、前面の略中央において大きめに設けられた長方形状の液晶ディスプレイ810を見ながらユーザーが左右の各種スイッチ862を操作してゲーム等を楽しむ。
【0033】
小型ゲーム機800は、内部構成部品を組み込む枠状のフレーム820と、フレーム820の内部空間を閉塞するようにフレーム820を挟んで前面と背面とに設けられた前面ケース860および背面ケース870と、を備えている。
前面ケース860には、出力手段としての液晶ディスプレイ810の他、手動操作にて情報または動作指示等を入力する入力手段としての各種スイッチ862等が設けられている。
また、図示は省略するが、背面ケース870には、ディスクを装着するドライブの蓋が開閉可能に設けられている。
【0034】
フレーム820の外側面には各種のスイッチ(図示省略)が設けられ、さらに、図1中において上方である上側端面は、外付けマイク装置100を取り付ける取付面830となっている。
この取付面830には、左右略中央に配設されたUSBポート840と、このUSBポート840を間にして両側に配設された2つの係合孔部851、852と、が設けられている。
【0035】
USBポート840は、USBプラグ310の差込み口である接続孔部(接続ポート)841と、この接続孔部841を挟んで両側に近接配置された電極部842、842と、を備えている。
係合孔部851、852は、詳細な図示は省略するが、段付き雌ネジあり、すなわち、孔の奥側が段差を持って縮径するとともに内周がねじ切りされている。
なお、係合孔部851、852を間にしてUSBポート840とは反対側の左右両側には、ドライブ開閉スイッチ831あるいは赤外線送受信部832が設けられている。
【0036】
図3は、外付けマイク装置100の正面図である。
図4は、外付けマイク装置100の下面図である。
図5は、図1中のV-V線における外付けマイク装置100の断面図である。
図6は、図1中のVI-VI線における外付けマイク装置100の断面図である。
【0037】
外付けマイク装置100は、内部に収納空間を有するケース体200と、小型ゲーム機800のUSBポート840に接続されるUSB端子部(プラグ)300と、この外付けマイク装置100を小型ゲーム機800に取付固定する固定ネジ(係合手段)400と、マイク500と、演算処理等を行う集積回路610が実装された回路基板600と、を備える。
【0038】
ケース体200は、表ケース210と裏ケース220とを貼り合わせて形成され、全体としては円柱状であって、下面が略平坦面に形成されており、側方視においてはかまぼこ形状にみえる(図6参照)。
外付けマイク装置100が小型ゲーム機800の取付面830に取り付けられる際には、略平坦面に形成された下面が小型ゲーム機800の取付面830に対向する取付面230となる。
そして、ケース体200の一方の端面の略中央には音を取り込むための集音孔240が設けられ、下面(取付面230)において一方寄りには係合ピン231が突設されている。
【0039】
また、ケース体200の側面において他方寄りには固定ネジ400のローレット421を外部に露出させる操作窓250が開口形成され、さらに、取付面230において他方寄りには固定ネジ400を外部に突出させるネジ突出孔232が設けられている。
さらに、取付面230の略中央部において、USB端子部300を外部に突出させるためのUSB露出孔233が開口形成されている。
【0040】
ここで、外付けマイク装置100の取付面230におけるUSB端子部300、係合ピン231および固定ネジ400の配設位置は、小型ゲーム機800の取付面830におけるUSBポート840と2つの係合孔部851、852との配設位置に対応している。
【0041】
図5は、正面側からみた断面図において内部構造を示す図である。
ケース体200は、USB端子部300を支持するとともに位置決めするUSB支持手段(プラグ支持手段)260を備える。
USB支持手段260は、ケース体200の内部における下面側の中央領域にて、所定間隔を隔てて互いに向き合った略コ字状のガイド壁261、261にて構成されている。
【0042】
ガイド壁261は、所定間隔離間して対向する対向壁262と、プラグ差込み方向からUSB端子部300を挟持する挟持壁263と、を有する。
そして、図6に示されるように、ガイド壁261、261の間に対応する領域では、表ケース210および裏ケース220が切り欠かれ、表ケース210と裏ケース220とが接合された際にUSB端子部300を露出させるUSB露出孔233が形成される。
また、図5に示されるように、ケース体200は、その内部において操作窓250を上下方向で挟んで対向し、固定ネジ400を挟んで支持する支持壁(固定ネジ支持手段)251、252を備えている。
【0043】
USB端子部300は、USBプラグ310と、USBプラグ310を間に挟んで両側に設けられた電極ピン320、320と、これらUSBプラグ310および電極ピン320、320が配設された支持台部330と、支持台部330の背面に設けられフランジ状に張り出したスライド板340と、スライド板340の背面に設けられた背面端子部350と、を備える。
【0044】
USB端子部300は、USBプラグ310をケース体200の外部へ突出させる向きでスライド板340がガイド壁261、261の間に嵌められてその位置が決められる。
ここで、図4あるいは図6に表されるように、USB端子部300のうち支持台部330から先端(USBプラグ310、電極ピン320)がUSB露出孔233より露出する。そして、USB露出孔233は、支持台部330の縦幅および横幅よりもわずかに広い。さらに、USB端子部300の横幅は、ガイド壁間の間隔よりもわずかに短く、ガイド壁261、261の間で左右にスライド移動可能である。そのため、UBS端子部300は、左右および前後に所定量のスライド移動が許容される。
【0045】
USBプラグ310は固定ネジ400に比べて取付面230からの突出長さが長く、USBプラグ310の先端位置は、固定ネジ400の先端位置よりも長く突出している。
また、USBプラグ310は支持台部330に固定的に設けられているのに対して、電極ピン320、320は支持台部に出没可能に設けられ、バネ等の付勢手段によって突出方向へ付勢されている。
【0046】
固定ネジ400は、下端側において段差412を持って縮径するとともに縮径した下端側先端部に雄ネジ411を有するネジ軸芯部410と、ネジ軸芯部410の上端側においてフランジ状に設けられた円板形状のフランジ部420と、フランジ部420の周端面に設けられたローレット(回転操作部)421と、を備える。固定ネジ400は、雄ネジ411がケース体200の取付面230から突出する向きであって、かつ、フランジ部420の周端面がケース体200の操作窓250から露出するように配置される。
【0047】
ここで、操作窓250および支持壁251、252の上下幅がフランジ部420の厚みよりも広くなっており、固定ネジ400は上下方向に所定量だけスライド移動が許容される。
【0048】
集音マイク500は、図7に示されるように、厚みが薄い短円柱状であって、一端面に集音部510が設けられている。そして、このマイク500は、無指向性である。マイク500は、ケース体200内において、集音部510を側方に向けた状態でケース体200の長手方向の一端側に配設され、集音孔240からの音に感応する。
【0049】
回路基板600には、各種の集積回路610が実装されており、回路基板600は、ケース体200内において上側に配設され、すなわち、USB端子部300の背面側に配設されている。
ここで、回路基板600のうち、USB端子部300の背面に対向する領域には集積回路610が設けられておらず、USB端子部300と回路基板600とは極めて近接して配設されている。また、回路基板600とUSB端子部300とは、フレキシブルケーブル630にて電気的に導通されている。
【0050】
このような構成を備える外付けマイク装置100を小型ゲーム機800に取り付ける作業について図8を参照して説明する。
まず、小型ゲーム機800の取付面830に対して外付けマイク装置100の取付面230を正対させる。
外付けマイク装置100を小型ゲーム装置の取付面830に近づけていく際に、外付けマイク装置100のUSBプラグ310を接続孔部841に差し込み、電極ピン320を電極部842、842に差し込む。
さらに、係合ピン231を一方の係合孔部851に差し込み、固定ネジ400の雄ネジ411を他方の係合孔部852に差し込む。
【0051】
このとき、USB端子部300は取付面230内においてスライド移動可能である。
そこで、まず、USBプラグ310を半分ぐらい差し込んだところで、固定ネジ400と係合ピン231とがそれぞれ係合孔部852、852に嵌まるようにケース体200を左右または前後に動かす。
そして、固定ネジ400および係合ピン231の位置が係合孔部852、852にあったところで、USBプラグ310を根元まで差し込むように外付けマイク装置100を小型ゲーム機800の取付面830に押し付ける。
このとき、電極ピン320は電極部842に押し当てられて所定量だけ押し上げられた状態で、電極ピン320と電極部842とが強く当接する。
【0052】
ここで、固定ネジ400の雄ネジ411は係合孔部852の入口に入るが、固定ネジ400を回転させないので係合孔部852と雄ネジ411とが螺合せず、固定ネジ400は、上方に押し上げられる。
USBプラグ310が接続孔部841にしっかりと差し込まれたところで、操作窓250から固定ネジ400のフランジ部420を回して固定ネジ400を回転させて雄ネジ411を係合孔部852に螺合させていく。
すると、外付けマイク装置100が小型ゲーム機800に取り付け固定される。
【0053】
次に、外付けマイク装置100が小型ゲーム機800に取り付けられた際の接続確立およびその後の動作について図9、図10を参照して説明する。
図9は、外付けマイク装置100および小型ゲーム機800のブロック図である。
図10は、小型ゲーム機800と外付けマイク装置100との接続確立処理および音声データ処理の手順を示すフローチャートである。
まず、外付けマイク装置100および小型ゲーム機800のブロック図について説明する。
外付けマイク装置100は、外付けマイク装置全体を制御するUSB制御回路部611と、マイク500とUSB制御回路部611との間で信号をアナログ/デジタル変換するADコンバータ612と、制御プログラム等が記録されたメモリ613と、基準クロックパルスを発振する水晶振動子614と、を備える。
【0054】
小型ゲーム機800は、制御装置881と、電池等の電源モジュール882と、液晶ディスプレイ810やスピーカ等の出力手段883と、各種スイッチ等の入力手段884と、を備え、さらに、挿入されるカートリッジ等に記録されたアプリケーションソフト885を備える。
【0055】
このような構成において、USBポート840(接続孔部841、電極部842)にUSBプラグ310および電極ピン320が差し込まれた状態(ST100)でアプリケーションソフト885がロードされると(ST101)、アプリケーションソフトのプログラム指令により、電源モジュール882から電極ピン320を介して外付けマイク装置100に電力供給される(ST110)。
この電力供給を受けて外付けマイク装置100のUSB制御回路部611が起動する(ST200)。そして、起動したUSB制御回路部611が小型ゲーム機800の接続を認識するとともに小型ゲーム機800に接続確立要求を送信する(ST210)。
この接続確立要求に対して小型ゲーム機800の制御装置881からUSB制御回路部611に応答信号が出力されて(ST120)、外付けマイク装置100と小型ゲーム機800との間の接続確立処理が行われる(ST220)。
【0056】
このように外付けマイク装置100が小型ゲーム機800に取り付けられた状態において、例えば、図2に示されるように、小型ゲーム機800の前後でユーザーが音声を発する。
すると、この音声がマイク500で集音され(ST230)、集音された音声の信号がAD変換等の信号処理(ST240)を受けたのち、小型ゲーム機800に出力される(ST250)。そして、アプリケーションソフト885のアプリケーションプログラムに従って音声データが処理され(ST130)、出力手段883としての液晶ディスプレイ810やスピーカ等に所定の情報が出力される(ST140)。
【0057】
このような構成を備える第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)USB端子部300が取付面230内においてスライド移動可能に設けられ、USBプラグ310がUSBポート840の位置に応じて位置調整可能であるので、多少の製造誤差に関係なくUSBプラグ310を円滑にUSBポート840に差し込むことができる。
【0058】
(2)USBプラグ310およびUSBポート840を間にして両側で固定ネジ400と係合ピン231とが係合孔部851、852に係合するので、外付けマイク装置100を小型ゲーム装置に取り付けた状態で外付けマイク装置100に力が作用してもUSBプラグ310を挟んだ両側が動かないので、USBプラグ310にストレスがかかることがない。したがって、USBプラグ310に余計な力がかかることを回避して、電気的接続を確実に保ち、また故障を防止することができる。
【0059】
(3)回路基板600とUSB端子部300とがフレキシブルケーブル630で接続されているので、USB端子部300がスライド移動した場合でも、フレキシブルケーブル630が柔軟にたわむことによってUSB端子部300と回路基板600との電気的接続を維持することができる。
【0060】
(4)回路基板600がUSB端子部300の背面においてUSB端子部300に近接配置されているので、ケース体200内においてデッドスペースを極力排して外付けマイク装置100を小型化することができる。また、USB端子部300の背面に対応する領域には回路基板600の集積回路610が実装されていないので、外付けマイク装置100を小型ゲーム機800に取り付ける際にUSB端子部300がスライド移動する場合にUSB端子部300が回路基板600に非常に近いところでスライド移動しても集積回路610等を破損することがない。したがって、非常に小型の外付けマイク装置100としながらも、故障等を防止することができる。
【0061】
(5)固定ネジ400の上下動が許容されているので、外付けマイク装置100を小型ゲーム機800に取り付けるにあたって、USB端子部300をUSBポート840に差し込むとき、同時に固定ネジ400を係合孔部852にねじ込まなくても固定ネジ400は上方に移動できる。そして、USBプラグ310がUSBポート840に完全に差し込まれたところで、固定ネジ400のフランジ部420を操作窓250から回して固定ネジ400を係合孔部852に螺合させることができる。したがって、外付けマイク装置100を小型ゲーム装置に取り付けるにあたって、USBプラグ310の差し込みと固定ネジ400の回転操作を同時に行わなくてよいので、外付けマイク装置100の取付作業がやりやすい。
【0062】
(6)マイク500の集音部510を小型ゲーム機800の通常使用状態に対して略直交する向きにしているので、小型ゲーム機800を挟んで前後にいるユーザーの音声を一つのマイク500で集音することができる。そして、マイク500を無指向性としているので、集音部510の向きに対して直交する方向から発せられた音声も集音することができる。このように一つのマイク500を備えていればよいので、外付けマイク装置100を小型化することができる。さらには、厚みが薄い短円柱状のマイク500の厚み方向(円柱軸方向)をケース体200の長手方向にあわせることにより、外付けマイク装置100の長手方向の長さを極力短くすることができる。小型ゲーム機800の取付面830にはドライブ開閉スイッチ831や赤外線送受信部832が設けられている都合上、外付け装置100の長さには制限があるので、外付けマイク装置100の長手方向の長さを短くできることは大きな利点である。
【0063】
(変形例1)
次に、本発明の外付け装置の変形例1について図11を参照して説明する。
変形例1の基本的構成は、第1実施形態に同様であるが、第1実施形態が外付けマイク装置100であったのに対して、変形例1は文字入力用のタッチパネル装置である。
変形例1は、図11において、USB端子部300を有する外付け本体部900にタッチパネル910が設けられている。外付け本体部900の構成は、マイク500を備えていない点を除いて第1実施形態で説明した外付けマイク装置100に基本的に同じである。そして、タッチパネル910には、キーに相当する文字列あるいはイラストが表示されており、スタイラスペン920によってキーを選択すると、選択した文字情報等を入力できる。
【0064】
なお、文字入力用のタッチパネル装置の他、外付け装置としては、カメラやGPS(Global Positioning Systems)などが例として挙げられる。
また、タッチパネルの他、外付け装置としては、キーを打鍵する形式のキーボードであってもよい。
【0065】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
携帯情報処理装置としては小型ゲーム機に限られず、例えば、電子手帳等の携帯情報端末(PDA、personal digital assistant)などが例として挙げられる。
上記実施形態においては、USBプラグ310の先端が固定ネジ400および係合ピン231の先端よりも取付面230から長く突出している場合を例に説明したが、逆に固定ネジ400がUSBプラグ310より長くてもよいのはもちろんである。
なお、USBプラグ310がスライド移動することでUSBプラグ310、固定ネジ400および係合ピン231のそれぞれの位置をUSBポート840および係合孔部851、852の位置に合わせるにあたっては、USBプラグ310をUSBポート840に差し込んだ状態でケース体200を左右あるいは前後に動かして固定ネジ400と係合ピン231の位置を係合孔部851、852にあわせることが自然な操作であるので、USBプラグ310が固定ネジ400および係合ピン231よりも長く突出していることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、小型ゲーム機に外付けする外付け装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】小型ゲーム機に外付けマイク装置を取り付ける様子を示す図。
【図2】外付けマイク装置を取り付けた小型ゲーム機の使用状態を示す図。
【図3】外付けマイク装置の正面図。
【図4】外付けマイク装置の下面図。
【図5】図1中のV-V線における外付けマイク装置100の断面図。
【図6】図1中のVI-VI線における外付けマイク装置100の断面図。
【図7】マイクを示す図。
【図8】外付けマイク装置を小型ゲーム機に取り付ける様子を示す図。
【図9】外付けマイク装置および小型ゲーム機のブロック図。
【図10】小型ゲーム機と外付けマイク装置との接続確立処理および音声データ処理の手順を示すフローチャート。
【図11】変形例1を示す図。
【符号の説明】
【0068】
100…外付けマイク装置、200…ケース体、210…表ケース、220…裏ケース、230…取付面、231…係合ピン、232…ネジ突出孔、233…USB露出孔、240…集音孔、250…操作窓、251…支持壁、260…USB支持手段、261…ガイド壁、262…対向壁、263…挟持壁、300…USB端子部、310…USBプラグ、320…電極ピン、330…支持台部、340…スライド板、350…背面端子部、400…固定ネジ、410…ネジ軸芯部、411…雄ネジ、412…段差、420…フランジ部、421…ローレット、500…マイク、510…集音部、600…回路基板、610…集積回路、611…USB制御回路部、612…ADコンバータ、613…メモリ、614…水晶振動子、630…フレキシブルケーブル、800…小型ゲーム機、810…液晶ディスプレイ、820…フレーム、830…取付面、831…ドライブ開閉スイッチ、832…赤外線送受信部、840…USBポート、841…接続孔部、842…電極部、851…係合孔部、852…係合孔部、860…前面ケース、862…スイッチ、870…背面ケース、881…制御装置、882…電源モジュール、883…出力手段、884…入力手段、885…アプリケーションソフト、900…外付け装置本体部、910…タッチパネル、920…スタイラスペン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ポートと係合孔部とを筐体の一側面に有する携帯情報処理装置に外付けされる外付け装置であって、
この外付け装置が前記携帯情報処理装置に外付けされる際に前記筐体の前記一側面に対向する取付面を一面に有するケース体と、
前記接続ポートに差し込まれるプラグと、
前記係合孔部に挿入されて係合する係合手段と、を備え、
前記プラグおよび前記係合手段は前記接続ポートおよび前記係合孔部の位置にそれぞれ対応して前記取付面に配設され、かつ、前記プラグは前記取付面の面内方向において所定量のスライド移動が許容されている
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外付け装置において、
前記プラグは、プラグ差込み方向に対して略直交する方向にフランジ状に張り出したスライド板を備え、
前記ケース体は、前記プラグを前記取付面から突出させた状態で支持するとともに位置決めするプラグ支持手段と、
前記取付面において開口形成され前記プラグを露出させるプラグ露出孔部と、を備え、
前記プラグ支持手段は、前記スライド板を間に挟む壁が前記スライド板よりも幅広である所定間隔離間して対向する対向壁と前記スライド板をプラグ差込み方向から挟持する挟持壁とを有し、
前記プラグ露出孔部は、前記プラグよりも大きい面積で開口形成されている
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の外付け装置において、
前記携帯情報処理装置の一側面において前記接続ポートを間に挟んで2つの係合孔部が設けられており、
前記ケース体は、前記取付面において前記プラグを間に挟んで配設された2つの係合手段を備える
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の外付け装置において、
回路基板を備え、
前記回路基板と前記プラグとはフレキシブルケーブルで接続されている
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載の外付け装置において、
前記回路基板は、前記ケース体内で前記プラグの背面に近接して配設され、
前記回路基板のうち前記プラグに対向する領域には集積回路が実装されていない
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の外付け装置において、
前記係合孔部は雌ネジであり、
前記係合手段は、前記ケース体の取付面から突出して設けられ下端に前記雌ネジに螺合する雄ネジ部を有する固定ネジである
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項7】
請求項6に記載の外付け装置において、
前記固定ネジは、下端側先端部に雄ネジ部を有するネジ軸芯部と、
前記ネジ軸芯部に対してフランジ状に設けられたフランジ部と、
前記ケース体から露出して前記ネジ軸芯部を回転操作する回転操作部と、を備え、
前記ケース体は、前記雄ネジを前記取付面から突出する状態で支持するとともに位置決めする固定ネジ支持手段を備え、
前記固定ネジ支持手段は、前記フランジ部を間に挟むように前記固定ネジの差込み方向で対向して設けられた支持壁を備え、
前記支持壁の間隔は前記フランジ部の厚みよりも広く前記固定ネジの軸方向への移動が所定量許容される
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項8】
請求項7に記載の外付け装置において、
前記回転操作部は、前記フランジ部の周端面に形成されたローレットであり、
前記ケース体には、前記フランジ部の周端面を露出させる操作窓が開口形成されている
ことを特徴とする外付け装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の外付け装置において、
音声に感応して信号を出力するマイクを備え、
前記マイクは、外付け装置が取り付けられた携帯情報処理装置の通常使用状態における前後方向に対して交差する方向に集音部を向けた状態で前記ケース体内に配設され、
前記マイクは、無指向性である
ことを特徴とする外付け装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−21033(P2007−21033A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210473(P2005−210473)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】