外側から適用する患者インタフェースシステムおよび方法
【課題】患者用インタフェースを利用して分離した組織の閉塞を強化するシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】第1の流体移動構成要素FTC1は、液体を運ぶ特性を有するレイヨンなどの多孔性素材のストリップを具えている。FTC1は、浸出する流体を移動させるために縫合線上に直接配置できる。FTC.2は、ポリウレタンエーテルなどの好適な疎水性フォーム材を具えており、FTC1と連通するアンダードレープのスロットの上に配置される。負圧力が、接続用の流体移動構成要素FTC.3を介してFTC2に加わるように構成されている。組織閉塞方法は、所定の量の流体が排水されたときに吸引を中止するための自動遮断装置を有する手動式吸引装置を利用して手動で操作する方法を具える。自動操作方法は、様々な患者および操作状況に応答するように予めプログラム可能なマイクロプロセッサを利用する。
【解決手段】第1の流体移動構成要素FTC1は、液体を運ぶ特性を有するレイヨンなどの多孔性素材のストリップを具えている。FTC1は、浸出する流体を移動させるために縫合線上に直接配置できる。FTC.2は、ポリウレタンエーテルなどの好適な疎水性フォーム材を具えており、FTC1と連通するアンダードレープのスロットの上に配置される。負圧力が、接続用の流体移動構成要素FTC.3を介してFTC2に加わるように構成されている。組織閉塞方法は、所定の量の流体が排水されたときに吸引を中止するための自動遮断装置を有する手動式吸引装置を利用して手動で操作する方法を具える。自動操作方法は、様々な患者および操作状況に応答するように予めプログラム可能なマイクロプロセッサを利用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、縫合された傷口および切開を治療し、その中の水分を管理する医療装置および方法に関し、特に、外科的切開などの組織分離を乾燥および/または洗浄(irrigate)し、外側の患者用インタフェースと真空源により生成される周囲の空気圧を利用して、切開されあるいは傷ついた部分を圧迫および安定させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織分離は、外科処置や、外傷性および慢性の創傷などの他の原因により生じる。様々な医療処置は、組織分離を閉じるのに利用されている。閉塞および治療を促進するための重要な研究は、分離組織部分を一緒に固定することに関連する。切開および創傷は、縫合糸、ステープル、および他の治療用閉塞装置により閉じることができる。手術における「一次癒合」(関節癒合)は、創傷の「閉塞」である。骨、筋膜、および筋肉などの耐荷重性組織の場合、これは、縫合材、ステープル、あるいはプレートおよびねじなどの多くの部材を必要とする。「閉じられた」創傷の場合、上皮層はシールであろう。これを実現すべく、皮膚および皮下層(すなわち、深部の真皮層および脂肪組織の浅筋膜あるいは繊維層それぞれ)の「耐荷重性」領域は、分離した部分を結合すべく、およそコラーゲン沈着に十分な長さで少なくとも固定される。
【0003】
他の重要な研究は、出血の制御、瘢痕の低減、血腫、血清腫、および「死腔」の形成の排除、痛みの管理を含む。死腔の問題は、皮下の閉塞で発生する傾向がある。比較的浅い創傷は通常、縫合糸、ステープル、接着剤、および粘着性のあるテープストリップなどの表面に適用される閉塞技術により閉じることができる。しかしながら、深い創傷は、皮膚の表面の閉塞だけでなく、耐荷重性面の縫合糸の多くの層を時間をかけて交換する必要がある。
【0004】
感染予防は、別の重要な研究である。局所的な治療は、切開あるいは創傷部分の細菌を制御あるいは防止する様々な抗生物質およびドレスを含む。感染は、好適な抗生物質および他の薬により体系的に治療および制御できる。
【0005】
他の組織分離の治療の目的は、手術の外傷および瘢痕の影響を最小化し、浮腫を最小化することである。したがって、様々な閉塞技術、術後処置、薬理学を利用して、術後の腫れ、出血、血清種、感染、および他の好ましくない術後の副作用を低減する。分離組織の研究は、手術を含む医療分野で非常に一般的であるため、効果的、便宜的、感染のない、審美的な組織の閉塞は、患者および医療関係者双方の立場から非常に所望されている。したがって、本発明のシステム、インタフェースおよび方法は広く実践でき、多くの患者に様々な利益をもたらすことができる。
【0006】
流体制御の研究は通常、組織分離の治療に関連する。例えば、皮下の出血は、外科的切開内の筋膜および筋肉層で起こる。したがって、ディープドレインチューブは通常、このような切開の排水をする目的で設けられる。患者の血液全体を再輸血する設備および技術が非常に発達するにつれ、多くの人が自己血輸を経験している。このような処置は、献血に対する依存や先天的な危険性を低減する利点がある。また、漿液は通常、切開および創傷部分から分泌し、排水および処分する必要がある。新しい切開および創傷は通常、最初の治療、特に分離した組織部分が閉じられる縫合およびステープルの線に沿った治療の間、数日間にわたり患者の皮膚表面で血液および他の流体を出す。
【0007】
流体制御の他の分野は、洗浄に関連する。様々な洗浄薬(irrigant)が、感染の防止、麻酔、成長因子の導入、および治療を促進するために、分離組織の領域に供給される。効果的な流体制御システムは、連続的あるいは同時に排水し洗浄する機能を提供するのが好ましい。
【0008】
一般的な整形外科手術は、尻、膝、肘、肩、足および他の関節の関節全置換(TJR)を含む。結果として生じる組織分離は、交換した関節に関連する屈曲、動作の影響を受ける。関節は治療の選択肢として固定できるが、萎縮および剛性が生じ、リハビリの期間を長くする傾向がある。よりよい選択肢は、できるだけ早く関節の機能を回復させることである。このように、整形外科手術の重要な目的は、最大の可動域で患者の手足の最大限の使用を早急に回復させることに関連する。
【0009】
同様の研究が、他の様々な医療処置に関連して行われている。例えば、皮膚弁(flap)および傷跡の修復を含む関節切開、再生および美容手術は、組織の閉塞を必要とし、しばしば動作およびストレッチの影響を受ける。他の例は、厚いあるいは不安定な皮下組織部分の切開および創傷を含んでおり、皮膚および皮下組織の固定は、深部の縫合の裂開を低減する。患者の手足および患者自身が移動できるようになるという要望は、外側の圧縮および組織の安定化の現在利用可能な方法の制限と矛盾する。例えば、様々な種類の包帯(bandage wrap)や圧迫靴下が、これらの目的のために使用されているが、いずれも本発明の利点および利益を提供しない。
【0010】
前述した処置は、以下に説明する多くの他の応用例と同様に、流体制御および外側からの圧迫のために表面に適用される患者用インタフェースを具える組織閉塞治療システムおよび方法の利益を享受する。
【0011】
手術後の流体の排水は、体液の収集および排水に適したチューブ、スポンジ、および多孔性素材を組み合わせることにより実現できる。従来技術は、排水を補助する技術および方法を有する。例えば、Zamierowskiの米国特許第4,969,880、第5,100,396、第5,261,893、第5,527,293、および第6,071,267は、外科的切開を含む創傷から流体を排水するのを補助すべく、圧力差(pressure gradient)、すなわち真空および陽圧力の利用を開示している。このような圧力差は、内側あるいは外側で多孔性スポンジ素材を創傷に適用し、これを浸透性、半浸透性あるいは不浸透性膜で覆い、これに吸引真空源を連結することにより実現できる。患者から吸い出された流体は、廃棄するために収集される。このような流体制御方法は、患者の治療を非常に改善することが分かっている。術後等の流体管理は、洗浄、感染の制御、痛みの制御、成長因子の適用等のために流体を創傷部分へ適用することに関連する。創傷の排水装置は、組織の固定および不動を実現するために利用され、治療および閉塞を補助する。これは、内側の閉じられた創傷の排水と、創傷の表面に適用される外側の開いた創傷用の真空装置双方により実現できる。近接した状態で組織を固定することは、ボーラスタイオーバードレス(bolus tie-over dressing)(ステントドレス)、テープ、ストラップ、および(コンタクト)キャスティング(contact casting)により実現できる。
【0012】
外科的な創傷および切開は、細胞移動と、細胞およびコラーゲンの結合を促進可能な組織の安定化および固定化により利益を享受できる。組織の安定化および固定化によるこのような利益は、隣接する皮膚層の固定を目的とした骨折および傷口の固定を含む多くの処置に関連して生じる。
【0013】
水分管理は、深い組織における血液および浸出液と皮膚表面近くの浸出液を伴う外科的切開の別の重要な態様である。例えば、初めに、湿った段階は、細胞の移動を促進すべく上皮層に提供される。次に、組織乾燥段階は、有用なケラチン層の発育を促進すべく行われる。また、水分管理は、排出された流体から抽出される細菌を効果的に制御する。残りの細菌は、創傷を乾燥する処置により十分に低減できる。いくつかの事例では、このような水分を補給し乾燥する二段階の連続的な治療は、十分な細菌の制御を提供し、抗生物質および殺菌剤を排除あるいは低減する。
【0014】
このような段階と同時に、効果的な治療の手順は、創傷内の破壊的な力を防止しつつ、安定化および固定を管理する。治療手順は、通常、浸出が最大となる術後48時間の最大量を含む様々な創傷の浸出液の量を処理すべきである。閉じられた排水処理は通常、外科的切開内に配置されたチューブドレインを関連する。開かれた排水処理は、ガーゼドレスおよび流体を吸収する他の吸収性のある製品を利用できる。しかしながら、従来の多くの流体を扱う処置および製品は、追加の浄化ステップを必要とし、患者および医療関係者が流体汚染物質の影響を受け、定期的なドレスの交換を必要とする傾向がある。さらに、不十分な排水は、外科的な切開近くの組織面で孤立する残りの血液、浸出液、浸出物を生じさせる。
【0015】
さらに、特定の出血および他の皮下の状態は、皮膚表面を圧迫する止血鉗子により治療できる。遊離液体による浮腫はこれにより処置できる。
【0016】
従来、本発明の利点および特徴を有する外側から適用される患者用インタフェースシステムおよび方法は利用できなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施例では、表面に適用される患者用インタフェースを利用して分離した組織の閉塞を強化するシステムおよび方法が提供される。表面下の排水、洗浄、および自己輸血の構成要素が、表面に適用される外側のインタフェースとともに任意で使用できる。外側のインタフェースは、縫合あるいはステープルの線上に有利に配置でき、スポンジあるいはフォーム材を具える第2の移動構成要素に流体を運びあるいは移動させるために患者に直接適用されるレイヨンなどの多孔性素材のストリップを具える第1の移動構成要素を具えている。アンダードレープは、流体が当該移動構成要素間を通過するために、スロットなどのアンダードレープ開口部を介して移動要素の間に配置される。オーバードレープは、第2の移動構成要素と周囲の皮膚表面上に配置される。患者用インタフェースは、バキューム補助閉塞装置などの負圧力源に連結される。手動制御の実施例は、所定量の流体が収集されたときに排水を中断させるシャットオフバルブを具える有限容量の流体容器を利用する。自動制御の実施例は、負圧力源の動作を制御する様々な入力に反応するようにプログラミングされたマイクロプロセッサを利用する。本発明による閉じられた創傷あるいは切開の治療方法は、治療処置の異なる3つ段階に相当する流体の制御活動の3つの段階に関連する。第1の段階では、活発な排水が処理される。第2の段階では、構成要素が、独立してあるいは連続して取り外すことができる。第3の段階では、第2の移動構成要素は、保護のために任意で残すことができ、また縫合あるいはステープルの線から第1の移動構成要素を介して残りの流体を排出するのを促進する。
【0018】
本発明の他の実施例では、ドレスシステムの構成要素が、効率的に利用するため予め組み立てることができる。フォーム片は、完全なあるいは部分的なレイヨンカバーときっちり閉まるオーバードレープを設けてもよい。再閉可能なシールストリップを具えるアクセスパネルは、フォーム片および創傷部分へアクセスするためにオーバードレープに設置できる。予め組み立てられた外側のドレスは、交換あるいは向きを変えるために、再閉可能なシールストリップを介してアクセス可能なフォーム片を収容するシースを設けることができる。また、治療部位へのアクセスは、シールストリップを介して提供される。このシステムは、止血鉗子として使用できる。
【0019】
図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施例を含んでおり、本発明の様々な目的および特徴を示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、組織の閉鎖治療と本発明を具現化するシステムの概略的なブロック図である。
【図2】図2は、ディープドレインチューブが挿入された状態の切開された組織の分離を示す斜視図である。
【図3】図3は、切開された組織の斜視図であり、分離した組織の皮膚部分が縫合された様子が示されている。
【図4】図4は、前記切開された組織の斜視図であり、分離した組織の皮膚の表面よりも下の深い皮膚層部分が縫合された様子が示されている。
【図5】図5は、前記切開された組織の斜視図であり、レーヨン製のストリップである第1の流体移動構成要素(FTC.1)とアンダードレイプが、縫合線に配置されている様子を示している。
【図6】図6は、前記切開された組織の斜視図であり、FTC.1とアンダードレイプが縫合線に配置された様子を示している。
【図7】図7は、前記切開された組織の斜視図であり、第2の流体移動構成要素(FTC.2)が配置された様子を示している。
【図8】図8は、前記切開された組織の斜視図であり、オーバードレイプが配置された様子を示している。
【図9】図9は、前記切開された組織の斜視図であり、システムを負圧源に接続するために、流体移動構成要素(FTC.3)を適切な位置に接続する様子が示されている。
【図10】図10は、図9の10−10線に沿った前記切開された組織の断面図であり、FTC.3を詳細に示している。
【図11a】図11aは、前記切開された組織の斜視図であり、FTC.3が取り外され、通気のためにオーバードレープに切り目が入れられた様子が示されている。
【図11b】図11bは、前記切開された組織の斜視図であり、アンダードレイプの穴の開いた裂かれた線とオーバードレイプのスリット線に沿って取り外された患者用インタフェースを示している。
【図11c】図11cは、事前に包装され、患者に適用され、負圧源に接続されるように構成された患者用インタフェースの斜視図である。
【図12a】図12aは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3aを示している。
【図12b】図12bは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3bを示している。
【図12c】図12cは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3cを示している。
【図12d】図12dは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3dを示している。
【図12e】図12eは、患者の関節の湾曲などの関節を補助する取り外し可能なウェッジ部分を有する変更されたFTC.2aを示している。
【図12f】図12fは、患者の関節の湾曲などの関節を補助する取り外し可能なウェッジ部分を有する変更されたFTC.2aを示している。
【図12g】図12gは、代替的な実施例である外側の患者用インタフェースアセンブリを示している。
【図12h】図12hは、代替的な実施例である外側の患者用インタフェースアセンブリを示している。
【図13a】図13aは、本発明を具現化する組織を閉鎖する治療方法を示すフローチャートである。
【図13b】図13bは、本発明を具現化する組織を閉鎖する治療方法を示すフローチャートである。
【図13c】図13cは、本発明を具現化する組織を閉鎖する治療方法を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の代替的な実施例を具える自動的に組織を閉鎖する治療システムのブロック図である。
【図15】図15は、自動的に組織を閉鎖する治療システムの代替的な実施例の断面図である。
【図16】図16は、本発明を具現化する自動的に組織を閉鎖する治療方法の代替的な実施例の部分的なフローチャートである。
【図17】図17は、再密閉可能なアクセスパネルを有する組織を閉鎖する治療システムの断片的な斜視図である。
【図18】図18は、再密閉可能なアクセスパネルの斜視図である。
【図19】図19は、図18の19−19線に沿った組織を閉鎖する治療システムの断面図である。
【図20】図20は、組織を閉鎖するシステムの拡大断面図であり、このシステムの再密閉可能なシールストリップを詳細に示している。
【図21】図21は、組織を閉鎖するシステムの斜視図であり、開いた状態のシールストリップが示されている。
【図22】図22は、組織を閉鎖するシステムの斜視図であり、シールストリップが開いた状態のシールストリップと、取り外されたフォーム片が示されている。
【図23】図23は、本発明の代替的な実施例を具える外側のドレスアセンブリの断面図である。
【図24】図24は、内側および外側のフォーム片を有する組織を閉鎖するシステムの代替的な実施例の断面図である。
【図25】図25は、図24に示すシステムの断面図であり、傷ついた組織の連続的な治療を示している。
【図26】図26は、図24に示すシステムの断面図であり、傷の再上皮化を示している。
【図27】図27は、部分的にレイヨンで包まれたフォーム片の断面図である。
【図28】図28は、外側のフォーム片および内側のフォーム片アセンブリを具える組織を閉鎖するシステムの代替的な実施例の断面図である。
【図29】図29は、この実施例の断面図であり、周囲の空気圧により部分的に潰れた様子を示している。
【図30】図30は、再密閉可能なシールストリップと流体アクセスポートとを具える代替的な構造のドレスの斜視図である。
【図31】図31は、このドレスの下面の斜視図であり、中央のバッキングストリップが取り外されている様子が示されている。
【図32】図32は、このドレスの斜視図であり、側部のバッキングストリップが取り外された様子が示されている。
【図33】図33は、このドレスの斜視図であり、流体ポートに取り付けられた圧縮式バルブ吸引器を具える様子が示されている。
【図34】図34は、このドレスの斜視図であり、周囲の空気圧により部分的に潰れた様子が示されている。
【図35】図35は、このドレスの斜視図であり、開いた状態のシールストリップが示されている。
【図36】図36は、このドレスの斜視図であり、フォーム片が取り出された様子が示されている。
【図37】図37は、完全にレイヨンで包まれたフォーム片の断面図である。
【図38】図38は、分離したライナーおよびフォーム片を具えるドレスの代替的な実施例の斜視図である。
【図39】図39は、ドレスの斜視図であり、フォーム片が取り出された様子が示されている。
【図40】図40は、ドレスの斜視図であり、ライナーが取り出された様子が示されている。
【図41】図41は、芯材を有するシースボトムパネルを具えるドレスの代替的な実施例の斜視図である。
【図42】図42は、カバーがされたフォームコア移動要素を具えるドレスの代替的な実施例の断面図である。
【図43】図43は、この実施例の断面図であり、圧力により潰れたドレスを示している。
【図44】図44は、この実施例の平面図である。
【図45】図45は、この実施例の図44の45−45線に沿った断面図であり、患者に適用される前のドレスの構成が示されている。
【図46】図46は、外科的切開などの細長い組織分離を覆う複数のドレスを含む応用例の平面図である。
【図47】図47は、閉鎖に備えてドレインストリップが取り付けられた傷の斜視図である。
【図48】図48は、上下のレイヨン層を有する本発明の代替的な実施例を具えるドレスの断面図である。
【図49】図49は、ドレスが圧縮された状態の前記実施例の断面図である。
【図50】図50は、レイヨンカバーが網状のフォームコアを囲んだ本発明の代替的な実施例を具える断面図である。
【図51】図51は、ドレスが圧縮された状態の前記実施例の断面図である。
【図52】図52は、センサが制御部に接続された本発明の代替的な実施例を具える断面図である。
【図53】図53は、ドレス内の流体の流れを観測するためのドレスの実験モデルの斜視図である。
【図54】図54は、様々な条件における液体の体積に対する網状のフォームコアの浸水面積を示したグラフである。
【図55】図55は、本発明の代替的な実施例を具える止血鉗子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.導入および環境
必要に応じて、本発明の詳細な実施例がここに開示されているが、開示されている実施例は、本発明の単なる例示であり、様々な形で実施できると理解すべきである。したがって、ここに開示されている構造および機能の詳細は、限定ではなく、請求項の根拠と解釈すべきであり、本発明、実質的には適切な詳細な構造の様々な利用を当業者に教示するための典型的な根拠と解釈すべきである。
【0022】
II.組織閉鎖システム2
図面をより詳細に参照すると、参照数字2は通常、本発明を具体化する組織の閉鎖治療システムを示している。図1に示すように、システム2は、切開部あるいは創傷6を有する患者4に使用するように構成されており、縫糸10、ステープル、あるいは他の好適な医療用固定具で構成される縫合線8により閉じることができる。
【0023】
患者用インタフェース12は、ディープドレイン容器17に関連するディープドレイン負圧源15に連結される任意のディープドレイン14と、外側の患者用インタフェース16とで構成されており、この外側の患者用インタフェースは、レイヨンあるいは他の好適な多孔性素材のストリップを具える第1の流体移動構成要素(fluid transfer component)FTC.1と、通常FTC.1を覆いスロット20aを具えるアンダードレイプ20と、疎水性のスポンジを具える第2の流体移動構成要素FTC.2と、オーバードレイプ24とを具えている。
【0024】
流体処理サブシステム26は、ディープドレイン負圧源15と、表面ドレイン負圧源28とを具え、これは、共通の負圧源と収集容器が好まれる応用例のために組み合わせることができる。負圧源15,28は、手動あるいは電力のいずれかで動作できる。両者は、医療分野では周知である。例えば、手動式の持ち運び可能な真空源(manually operable portable vacuum source)(MOPVS)が、米国特許第3,115,138に示されており、これは、参照によりここに組み込まれている。商標HEMOVAC(登録商標)が付されたMOPVSは、オハイオ州ドーバー所在のZimmer社から入手できる。米国特許第4,828,546(参照によりここに組み込まれている)に示され、ミネソタ州エデンプレイリー所在のSurgidyne社から入手可能な作動装置などのバルブ式作動装置は、短い期間あるいは複数回、小さな創傷に使用できる。さらに、電力作動式バキュームは、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concept社から入手可能な商標THE VAC(登録商標)が付されたバキューム補助閉鎖装置を取り付けできる。さらに、多くの医療施設、具体的には病院および診療所は、壁のコンセントで利用できる吸引源を有する吸引システムが設けられている。
【0025】
有限容量の容器30は、流体が流れるように負圧力源28に接続され、廃棄容器32に排出するように構成されている。シャットオフバルブ34は容器30に関連し、容器30が所定の量まで満たされると、自動的に排水を停止する。
【0026】
任意の自己輸血サブシステム36が、ディープドレイン14に接続でき、患者4に患者自身の血液を再輸血するように構成されている。米国特許第5,785,700は、Zimmer社から入手可能な持ち運びでき取り外し可能な真空源を具えるこのような自己輸血システムを開示しており、参照によりここに組み込まれている。
【0027】
図2は、創傷縁部40a,bを有する第1および第2の分離した組織部38a,bを形成する切開部6を示している。創傷6は、皮膚42から厚い皮層44および皮下層46を介して筋膜48近くまで達しており、開いている。ディープドレインチューブ50は、創傷6の下側部分に配置され、開口部52で皮膚42を貫通している。
【0028】
図3は、皮膚表面42に縫合線56を形成する縫糸54により固定された創傷縁部40a,bを示している。縫糸54の代わりに、ステイプルなどの様々な他の医療用固定具を利用できる。図4は、皮膚表面42の下の厚い皮層44に配置された縫糸55を示している。
【0029】
図5は、縫合線8の上にFTC.1を適用する様子を示している。FTC.1は、縫合線8に沿ってにじみ出る流体を運ぶのに最適なレイヨンなどの好適な多孔性の芯材を具えることが好ましい。また、レイヨンは比較的素速く乾燥し、これにより、レイヨンを通る流体を効率的に移動させる。アンダードレイプ20は、FTC.1上にまた皮膚表面42の近くに配置される。アンダードレイプのスロット20aは通常、FTC.1の中心線に沿って縫合線8に直接的に配置される。FTC.1およびアンダードレイプ20は、ロール状、あるいは所望の長さで縫合線8に配置するのを容易にすべく構成された他の好適な構成にすることができる。図6は、FTC.1およびアンダードレイプが配置された様子を示している。
【0030】
図7には、配置された第2の流体移動構成要素FTC.2が示されている。これは、ポリウレタンエーテル(PUE)などの好適な疎水性のフォーム材を具えるのが好ましく、真空力(負圧)により圧縮可能な網状の格子状(フォーム)材を具え、「シュリンクラップ」タイプにより皮膚表面を圧迫するとともに、流体を通過させる流路を維持する。図に示すように、FTC.2の設置範囲は、アンダードレープ20の設置範囲よりも僅かに小さく、これにより、アンダードレープマージン20bが提供される。代替的に、FTC.1の芯材層(wicking layer)は、FTC.2の設置範囲と同一またはほぼ同じ大きさでもよい。この構成により、裏面が粘着性を有するアンダードレープからリリースレイヤーバッキングを取り外すだけで使用可能な個別の事前に組み立てられたパッドのように事前に作ることができる。また、この構成は、段階的な取り外しや長期の使用よりも、取り外しや交換が臨床上の選択肢として所望される場合、既に皮膚に接着されたドレープを取り外すことなく、アセンブリの中央部を完全に取り外し交換するのを容易にする。
【0031】
図8は、FTC.2およびアンダードレープ20に上にあてがわれたオーバードレープ24を示しており、マージン24aがアンダードレープを超えて延在し、患者の皮膚表面(皮膚)42に接している。図9および10は、FTC.2に設けられたパッチコネクタ58を示しており、これは、ドレープ層58bに挟まれた疎水性フォーム(PUE)材コア58aを具えている。バキュームドレインチューブ60は、フォームコア58aに組み込まれた入口端部60aを具え、ドレープ層58bと、表面排水負圧源28に接続された出口端部60bの間を延在する。
【0032】
図11aは、オーバードレープの開口部54を提供すべく、例えば、オーバードレープ24の一部を切り取ることにより取り外されたFTC.3を示している。さらに、オーバードレープ24は、FTC.2をさらに換気すべく55で切り込みを入れることができる。負圧によりFTC.2の水分を抜き、さらに空気の循環(図11a)により乾かすことは、FTC.2内の湿潤環境を必要とする様々な細菌の増殖を低減するため、大きな治療上の利点をもたらすことができる。したがって、このような細菌およびこれが生成する様々な毒素は、蒸発され、中和され、また患者の体内に再び入ることを阻止できる。細菌の制御は、殺菌剤を取り入れ、ドレープ20,24、FTC.1、FTC.2、およびFTC.3を含む患者用インタフェース12の様々な構成要素を洗浄することにより実現できる。
【0033】
図11bは、アンダードレープのミシン目の切り取り線56およびオーバードレープ24のスリットライン59に沿って取り外された患者用インタフェース12を示している。したがって、アンダードレープおよびオーバードレープのマージン20b,24a以外の患者用インタフェース12のほぼ全部は取り外すことができ、目視検査、評価、洗浄、ステッチの取り外し、ドレスの交換(例えば、図11cに示すような事前にパッケージ化された患者用インタフェース12aにより)、および他の治療の選択肢等のために、縫合線8および皮膚42へのアクセスを提供する。例えば、オーバードレープ24は、FTC.2の設置範囲の周辺部を切ることができ、これを取り外すことができる。FTC.2は、アンダードレープ20およびFTC.1から容易に取り外し可能であることが好適であり、これにより、FTC.2は、把持可能であり、上方に持ち上げることができ、オーバードレープ24を介して、FTC.2の下面とアンダードレープ20の間に外科用メスの操作を容易にする。FTC.1は、図11bに示すように切り取り線56に沿ってアンダードレープ20を破り、これを取り外すことにより任意で取り外すことができる。
【0034】
図11cは、最初のあるいは「ドレス交換」の利用に適したパッケージ化された患者用インタフェースを示している。任意で、レイヨンストリップFTC.1は、フォームスポンジFTC.2と同じ構成あるいは「設置範囲」を有し、これにより、アンダードレープ20を省略できる。代替的に、患者用インタフェース構成要素は、個別にあるいは完全な患者用インタフェース12のサブアセンブリを具える好適なグループで予めパッケージ化できる。例えば、アンダードレープ/FTC。1およびオーバードレープ/FTC.2はそれぞれ、個別に予めパッケージ化できる。患者用インタフェースの様々な大きさおよび構成要素の構成は、特定の患者の状態が示すように、用途に応じて予めパッケージ化できる。特定の大きさおよび構成は、相対的に「普遍的」であり、またTJRなどの特定の医療処置に適用可能であることが好ましく、これにより、患者用インタフェースの一覧表は、単純化できる。代替的に、個々の構成要素は、「個別の(カスタム)」用途の様々な大きさおよび構成で組み立ててもよい。
【0035】
図12a−dは、FTC.2を表面排水負圧源28に接続する代替的な接続用流体移動構成要素FTC.3a−dを示している。FTC.3(図12a)は、FTC.3と同様の構造を有しオーバードレープ24の任意の位置できるように構成されたパッチコネクタを示している。FTC.3aは、Leurロックコネクタ62が設けられている。FTC.3b(図12b)は、患者の手足の周りの布として構成できるオーバードレープ64により部分的に覆われた疎水性(PUE)フォーム材のストリップを具える。FTC.3c(図12c)は、エルボ型コネクタである。FTC.3d(図12d)は、バキュームドレインチューブ60のぶれを調整するように構成されたベロー型エルボコネクタ(bellow-type elbow connector)である。
【0036】
図12e,fは、FTC.2aに形成され、関節の屈曲などの関節に適応するように構成された複数の取り外し可能なウェッジ57を有するFTC.2aの代替的な構造を示している。したがって、FTC.2aの可撓性は、患者の快適性、機動性、柔軟性の目的で、大幅に強化できる。このようなウェッジは、FTC.2aに対して横方向および/または長さ方向に延在できる。FTC.2aは、ウェッジ57があっても無くても、配置されあるいは取り外された状態でも同じように機能する。
【0037】
図12gは、FTC.1の下に配置されたアンダードレープ20を具える修正された患者用インタフェース312を示している。この構成により、アンダードレープ20を阻害することなくFTC.1を取り外すことができる。図12hは、FTC.2と同一の構成あるいは設置範囲を有するFTC.1を具えるさらに修正された患者用インタフェース412を示しており、これにより、これらは、一緒に組み立てて接着できる。この構成では、アンダードレープ20は省略できる。
【0038】
III.治療方法
図13a−cは、本発明を実施する方法のフローチャートを具えている。この方法は、スタート70から始まり、72では、患者の診断および評価を行い、74では、治療計画を策定する。76では、ディープドレイン14が、必要に応じて取り付けられ、78では、切開が縫合される。80では、表面インタフェース構成要素12があてがわれ、82において、外側の構成要素(すなわち、負圧源15,28)に接続される。84では、収集容器の容量が、創傷/切開、血流等の特定などの要素に基づいて予め設定される。
【0039】
段階1
深部の排水が86で発生し、表面の排水が88で発生し、双方は、負圧源15,28により影響を受ける。負圧源28により、PUEフォームFTC.2が部分的につぶれ、これにより、オーバードレープ24が降下し、閉じられた創傷あるいは切開6に陽圧力(positive, compressive fource)を及ぼす。患者用インタフェース12の屋内環境では、このような力は、実質的に周囲の気圧に限定される。この限定的な制御の特徴は、患者用インタフェース12による過度の圧力から患者を保護する。閉じられた創傷あるいは切開6に作用する最大で1気圧である安定的な力は、浮腫の制御および治療の促進において、副木あるいはギブス包帯と同様に機能する。
【0040】
90では、「容器が満ちた」状態が検知され、92の表面排水負圧源の遮断に分岐し、次に、94では、容器の中身が検査および破棄される。判定96において、表面の出血が、目視検査により確認された場合、前記方法は、ステップ98の「アクティブな表面排水の中止」に分岐する。判定100において、縫合線が活発に排出している場合、前記方法は、ステップ88の活発な表面排水に戻って処理を続け、一方、すなわち、創傷/切開から出血がなく、流体がにじみ出ていない場合、活発な表面排水が中断する。
【0041】
通常、段階1は、手動あるいは電気による吸引の影響による深部の排水(相互作用あるいは受動的)と活発な表面排水を特徴とする。術後あるいは外傷後の腫れが最大になり、収り始める標準的な期間は約2、3日である。
【0042】
図13aは、「段階的に構成要素が取り外されたか?」の判定ボックス102で始まる段階2を示している。肯定的な判定の場合、103で独立して構成要素の動作を停止して取り外し、104で活動中の吸引を停止し、106で疎水性のPUEフォーム(FTC.2)の内部の圧力を負圧から陽圧に変圧し、表面の複合的な圧力(surface composite pressure)を外気圧から陽圧に増加される可能性がある。この変圧は、圧縮されあるいは膨張したFTC.2による過度の圧力を表面に加えないことが好ましい。段階1では、負圧(すなわち、吸引/バキューム)は、FTC.2を圧縮し、これにより、オーバードレープ24に接触し、FTC.2による圧力を増加させる。手動あるいは自動のいずれかにより負圧を加えることを中止すると、FTC.2は、オーバードレープ24の圧力に逆らって、皮膚42に対して、特に、縫合線8に沿って同じあるいは反対の反応圧力で再び膨張する。したがって、FTC.2は、単に真空源の使用を中止することにより、外気圧から陽圧に自動的に切り替わる。
【0043】
皮膚42にかかる陽圧は、縫合線8に沿って組織を圧迫および固定して(ステップ8)腫れを軽減し、ステップ110で、FTC.1およびFTC.2の動作と協同して、縫合線8における蒸発作用により排水を続ける。判定ボックス102において否定的な判定の場合、112でインタフェースを取り外し、治療が終了していない場合、113で縫合線を検査および治療し、114で患者用インタフェース12の全部あるいは一部に関連するインタフェースの交換をする。次に、前記方法は段階3に進む。
【0044】
段階3
図13cは、治療方法の段階3を示しており、118で深部の排水が中断されチューブが取り外される。120、122それぞれでは、オーバードレープ24およびFTC.2が取り外される。アンダードレープ20およびFTC.1は、124において、これらを介して縫合線8の目視検査ができるように構成されていることが好適である。縫合線8がしっかりと閉じている場合、126でアンダードレープ20およびFTC.1が取り外され、128で治療が終了する。代替的に、患者の状態に応じて、段階3でインタフェース12の全部あるいは一部を交換して治療を継続してもよい。
【0045】
IV.代替的な嫉視例である組織閉塞システム202
図14は、本発明の代替的な実施例である組織閉塞システム202を概略的に示しており、このシステムは、患者4に関連する様々な状態を検知し患者用インタフェース12に接続される1以上のセンサ206に接続可能なマイクロプロセッサあるいはコントローラ204を具えている。マイクロプロセッサ204は、容器30に関連するバルブ210に接続されたソレノイド208を操作するようにプログラムすることができ、負圧源228が発生させる流体の流れを患者用インタフェース12との接続部を介して制御する。
【0046】
図15は、複数のセンサ206a,b,cに接続されたマイクロプロセッサ204を有する組織閉塞システムを示しており、これらのセンサは、バルブ210a,b,cなどのフロー制御構成要素それぞれに関連している。例えば、患者用インタフェース12は、前述したような外側の患者用インタフェース16と、一対の深部排水チューブ50a,bとを具えることができる。患者用インタフェース12は、1以上の流体容器と、ポンプ(手動あるいは電動)と、システムを制御するマイクロプロセッサ204に接続可能な関連する制御部とを具える任意の供給構成要素214を具えている。この供給構成要素214は任意で、深部排水チューブ50あるいは外側の患者用インタフェースを介して流体を患者に供給する1以上のチューブ50,60を設けてもよい。このような流体は、例えば、抗生物質、オーセンティック(aesthetic)、洗浄剤、成長因子、および治療、耐感染症、および患者の快適性の向上を促進するのに有益な他の流体を含むことができる。
【0047】
代替的な実施例である組織閉塞システム202による治療方法が図16に示されており、これは通常、改良された前治療230および段階1の処置に関連する。この方法は、「開始」から、診察/評価ステップ234、治療計画ステップ236、ディープドレインの挿入238、縫合240、外側のインタフェース用構成要素の適用242、マイクロプロセッサのプログラミング244、チューブの接続などの応用的な構成要素の接続246に進む。段階1は、深部の排水248から始まり、活発な吸引インタフェース250、「縫合線から活発に排水されているか?」判定ボックス252に進む。縫合線が活発に排水している場合、前記方法は、ステップ250の活発な吸引インタフェースに戻り、そうでない場合(252の否定的な判定)は段階2へ進む。
【0048】
V.応用例
本発明の組織閉塞システム2および202の有用な応用例の原理を制限することなく、以下の部分的なリストは、潜在的な患者の状態と発明の応用例を示す処置を表わしている。
・外科的切開などの閉じられた組織分離の上。
・関節切開術、再生手術、美容手術、組織弁(flap)および傷跡の修正、関節全置換術などによる切開部は、動作およびストレッチの影響を受けやすい関節の上、即ち、尻、膝、肘、肩および足。
・皮膚および皮下組織の固定が深部の縫合による裂開を低減する厚いあるいは不安定な皮下組織の領域内の任意の創傷。
・不規則な腔が生成される再生手術による創傷。これらは、腫瘍、移植片、骨、他の組織の切除が含まれる。手足の長さおよび形状の変化、骨および他の深部の構造の大きさ、位置、および輪郭の変化。
・創傷内の死腔の除去および予防は重要である。
・血腫および血清種の治療。
・切断断端。
・腹部、胸部、脇腹、および患者の閉塞および移動を補助する創傷の固定がされる他の創傷。
・テープあるいは他の粘着剤を繰り返し取り外し交換することにより、痛み、炎症、あるいは創傷の近くの皮膚の水ぶくれを発生させる脆弱あるいは敏感な皮膚の領域の創傷。位。
・風呂やシャワーの水による雑菌の混入を防ぐために皮膚が十分に治る前に、患者が入浴したい場合の創傷。
・糞、尿、および他の体の流体による汚染の影響を受けやすい創傷。
・子供、高齢者、精神病、神経病の患者、およびドレスおよび創傷を阻害し易い他の患者。
・繰り返される創傷の検査により治療が妥協される複数のコンサルタントおよび介護者を有する患者。
・深部の閉塞および表面の縫合糸およびステープル。
・任意の清潔な外科的あるいは外傷性の切開、開口部、あるいは縫合糸により完全あるいは部分的に閉じた部位、あるいは皮膚の縁部が、ドレスの負圧ゾーンの幅よりも狭い隙間に配置される部位、すなわち、最大の間隔がFTC.1(レイヨンストリップ)よりも狭いあるいは同じである部位。
・美容整形および再生手術では、本発明のシステムおよび方法は、早期の出血、浸出、斑状出血、および創傷の浮腫の影響を制御および抑制することができる。
・手足の手術の場合、この方法による圧縮および排水が、周囲の圧縮用ラッピングの必要性を無くしあるいは低減する。
・尻および膝の切開などの排水を長引かせる傾向がある組織分離、治療を阻害する傾向がある糖尿病などの健康状態を有する患者の組織分離。病院の短期間の滞在は、腫れの軽減および排水の制御に起因する。
【0049】
VI.ケーススタディ
・一般概念:フォーム材(FTC.2)を手術部位および他の創傷の表面に順次適用すること。縫合線の空気乾燥は、レイヨンストリップ(FTC.1)により容易になる。
・段階1:能動的あるいは受動的な深部の排水(ドレインチューブ)、(外科的な切開部、縫合線から出血および浸出するドレインの頂部に配置される)PUEフォームの表面に適用される能動的な吸引、陽圧を切開部分全体に加える能動的な吸引圧縮PUEフォーム、PUEフォームの下にある皮膚上の3−800型MVTRを有する粘着層フォルムのアンダードレープ、縫合線上のレイヨン(あるいは他の好適な多孔性の芯材)ストリップ、PUEフォーム材を覆う同じような種の粘着性フィルムのオーバードレープ(3−800型MVTR)。
・期間:約2乃至3日、すなわち、切開/縫合線の活発な排水がおさまり、縫合線が乾燥および治る有効な時間。
・段落2:(エルボ)コネクタを切り離すことにより活発な吸引を取り去り、FTC.2を適切な位置に配置する。吸引が取り外された後、FTC.2は、オーバーラップに逆らって膨張し、手術部位に陽圧差を加える。段階2を通じて軽い圧力を維持してよく、レイヨンストリップを介したFTC.2への残りの排水機能により、縫合線の乾燥が続けられる。深部のドレインチューブは、深部の排水のために段階2を通じて適切な位置に配置される。
・期間;約3日、すなわち、術後3乃至6日である。
・段階3:オーバードレープおよびFTC.2を取り外し、アンダードレープおよびレイヨンストリップを残し、創傷の回復状態を目で観察し、所望の透明性(transparency desireble)。
・期間:数週間(例えば、上限3週間)。
・臨床試験の確認:深刻な治療上の問題を有する患者の胸部の上側の手術部位の閉鎖は、優れた結果と迅速な創傷の治癒を示した。
・表皮下(表皮下)の縫合糸は、レイヨンストリップとの接触を防止し、早期の縫合糸の取り外し、あるいは圧縮可能な空のスポンジの真下の皮膚を圧縮する必要がある。
・オプション:創傷部分の圧力のマッピングを調整し、圧力および、流れ等を制御および監視する圧力変換器を使用する。
【0050】
VII.代替的な実施例である組織閉鎖システム302
本発明の代替的な実施例を具える組織閉鎖システム302が、図17乃至22に示されている。このシステム302は、筋膜の直上の削られた領域306と、主に真皮と皮下層に配置される上側の組織分離308を有する創傷304を閉じるように構成されている。ウェッジ型の内側の流体移動構成要素(フォーム片)310は、組織分離領域308に配置され、創傷304の両側に配置されたサイドドレープ312の間に挿入される。外側の流体移動構成要素(フォーム片)314は、内側の構成要素310とサイドドレープ312の上部に配置され、外側ドレープ316により覆われる。任意の最深部のフォーム片330は、削られた領域306に配置可能であり、当該領域にフィットする大きさにでき、内側のフォーム片310にあるいは当該フォームから流体および傾度力を移動あるいは伝達できる。
【0051】
再閉可能なアクセスパネル318が、外側ドレープ316」に形成された開口部の上に配置され、中心領域の中心線に沿って長さ方向に延在する再閉可能シールストリップ324を有する接着剤が塗布されていない中心領域322を取り囲む接着剤が塗布された周辺部320を具えている。シールストリップ324は、溝328に取り外し可能に把持されるリブあるいはビード326を具えている(図20)。
【0052】
使用時には、周辺部322の周囲の再閉可能なアクセスパネル318は、外側のドレープ316に固定され、ドレスシステム302のフォーム片310,314へのアクセスを提供する。例えば、フォーム片310,314は交換でき(図21および22)、治療を施すことができ、創傷の回復の様子を目で確認できる。
【0053】
VIII.代替的な外側のドレス402
図23乃至27は、外側のドレス402を示しており、これは、事前に製造できあるいは事前に組み立てることができ、様々な創傷の治療および閉鎖の応用例に利用できる。このドレス402は、例えば、412で示す縫合糸、ステープル、接着剤あるいは他の好適な機械的な固定具によりフォーム片404の上側の周辺部410に固定されたオープントップ408を具えているレイヨンカバー406で部分的に囲まれたフォーム片404を具えている。ドレス402は、フォームを覆う中心部416と周辺の患者に接触するスカート部418を具える外側のドレープ414を事前に取り付けておくことが好適である。折り曲げられたマージン420が、ドレープ部材416,418が交差する部分に形成され、フォーム片404の下に部分的に配置され、皮膚を保護し、水膨れが生じる可能性のあるフォーム片404の縁部の周囲に圧力が低い真空の空間が形成されるのを防止する。使用時には、ドレス402は、マージン420の周囲を切断し、フォーム片404およびどれー部の外側部分416を取り外すことにより容易に交換できる。したがって、創傷は、検査、洗浄、鮮創、治療等ができ、新しいドレス402を配置できる。患者に接触する元のドレスのスカート部418は残すことができる。
【0054】
図23は、エルボ連結部417および排出チューブ419からの流体の流れ(排出)を示す矢印421を示している。代替的に、流体は、チューブ419および連結部417を介してドレス402に注入してもよい。水圧/空気圧の力の矢印423は、図23に示されており、下向きの(即ち、患者への)力を示しており、これは、吸引によってフォーム片404を圧縮することにより発生させることができ、負圧差を解消し、ドレスを陽圧差に変化させる。陽圧差モードの動作では、ドレス402は、創傷近くの組織にフォーム片404を押しつけることにより浮腫を制御する。この方法で浮腫を制御することは、多くの潜在的な医療効果がある。例えば、治癒が促進され、瘢痕組織が最小化され、患者の不安を軽減できる。
【0055】
図24は、皮下層の頂部の真皮の下に配置される内側のフォーム片422と共に使用される外側のドレス402を示している。内側のフォーム片422は、皮下層に圧力差を適用するように構成されており、これにより、組織の成長および閉鎖が促進される。図24に示すドレスシステムの内側/外側の構成は、浮腫を制御するための圧力(陽圧力差)などの圧力差を外側および内側のフォーム片404,422に適用することにより、縮小して堅く動かない浮腫になった柔軟な創傷の縁部424を修復および生成することができる。
【0056】
図25は、真皮426により囲まれ、別の内側のフォーム片428が配置された状態の創傷を示している。皮下層はほぼ治る。図26は、創傷の縁部430を表皮で繋ぐための配置された外側のフォーム片404を示している。図27は、レイヨンカバー406により側面および底面を覆われ、オープントップ408が残された外側のフォーム片404を示している。
【0057】
IX.代替的な実施例であるドレスシステム502
図28は、前述したフォーム片404と同様の外側フォーム片504と、真皮および皮下層に配置された内側のフォームアセンブリ506とを具えるさらに別の実施例である内側/外側ドレスシステムの構成502を示している。このアセンブリは、創傷により形成される削られた腔510の筋膜の上部の皮下層の底部に配置可能な隣接した内側のフォーム片508と、外側のフォーム片504と近位の内側のフォーム片508との間の創傷の真皮および皮下層部分に主に配置された遠位の内側のフォーム片412とで構成されている。
【0058】
ドレスシステムの構成502は、様々な創傷の構成を様々な治療の段階に適応させるべく、必要に応じて構成および再構成できる。例えば、近位の内側のフォーム片508は、削られた腔510が閉じたときに取り外すことができる。同様に、遠位の内側のフォーム片512は、皮下層および真皮が治ったときに取り外すことができる。さらに、フォーム片504,508および512は、ドレスの交換に関連して必要に応じて、また創傷の構成が変化したときに、異なる大きさのフォーム片と交換できる。このような大きさおよび構成は、圧力勾配(陽および負双方)、流体制御、浮腫制御、抗菌測定、洗浄、および他の治療手順の有益な効果を最適化するために選択できる。さらに、前述したアクセスパネル318は、このシステムのフォーム片および創傷自体にアクセスすべく、ドレスシステム502と関連して使用できる。
【0059】
図29は、ドレープ316が圧縮された外側のフォーム片504上できつく引っ張られた状態で、外側の真空源の真空の影響により圧縮された内側/外側のドレスシステム502を示している。このように圧縮された場合に、システム502は、陽圧力差、圧縮力を創傷の領域に伝えるように構成されている。
【0060】
X.代替的な実施例であるドレスアセンブリ602
図30乃至37は、本発明の代替的な実施例を具えた再閉可能な事前に組み立てられた外側のドレスアセンブリ602を示している。ドレスアセンブリ602は、レイヨン606あるいは所望の吸収性および/あるいは水分を運ぶ能力を有する他の好適な素材で完全に覆うことができるフォーム片604を具えている。また、フォーム片604は、ポリウレタン、疎水性フォームなどの好適な素材を具えるコア605を具えている。代替的に、疎水性あるいは親水性の特性を有する他の素材を利用してもよい。フォーム片604の様々な大きさおよび形状を利用してよく、医療処置の課程でその大きさに切断および切り取ってもよい。
【0061】
フォーム片604は、中央の開口部618を形成する取り外しできるように接着剤が塗られたストリップ612,614および616により選択的に覆われるボトムパネル610を具える再閉可能なシース608に取り外し可能に配置される。図31に示すように、ボトムパネルの中央の開口部618は、中央のバックストリップ614により主に覆われている。中央のバックストリップ614を取り外すことにより、開口部618を介してフォーム片604が現れる。また、再閉可能なシース608は、中心部で端部から端部に長さ方向に延在する再閉可能なシールストリップ622を有するトップパネル620を具えている。このシールストリップ622は、前述した再閉可能なシールストリップ324と同様の構成でもよい。また、トップパネル620は、例えば、Leurロック連結部あるいは他の好適な流体連結装置を具えることができる流体ポート324,326を具えている。
【0062】
シース608は、ポリエチレン、あるいは浸透性、可撓性、生体適合性、抗菌特性などの性能基準に基づいて選択された他の好適な素材を具えることができる。様々な浸透性および半浸透性素材は通常、空気循環にさらすことにより治癒が促進される医療の応用例では皮膚のドレープとして利用される。シース608は、連続的なバキューム吸引が利用可能でありドレス602が気密性を必要としない応用例のために、このような素材から形成できる。
【0063】
本発明の方法の実施例によると、ドレスアセンブリ602は、予め組み立てることができ、あるいは特定の用途に適した構成要素を利用して特注で組み立てることができる。予め組み立てられて種類の場合、ドレス602は、予め殺菌され、殺菌したパッケージに包装されるのが好適である。
【0064】
ドレス602は通常、出血および他の流体の浸出を制御するために、最近閉じられた外科的切開に利用される。例えば、ドレス602は、縫合線636上に配置されるボトムパネルの開口部618を利用して患者に配置される(図36)。中央のバックストリップ614は、ボトムパネル610から剥がされ、ボトムパネル610の開口部618および接着剤628が露出する(図33)。開口部618は、流体の移動を提供し、これはまた、浸透性素材からシースのボトムを構成することにより、あるいはこれらの間に他の通路構成を設けることにより提供される。次に、ドレス602は、ボトムパネルの接着剤が一時的に固定する状態で患者に配置される。次に、図32に示すように、側部のバックストリップ612,616が取り外され、ボトムパネル610が、完全に患者に固定される。
【0065】
流体ポート624,626は、特定の治療方法に応じて、流体の抽出あるいは注入のいずれか一方あるいは双方を行うように構成されている。抽出する場合、真空源はポート624,626のいずれかあるいは双方に取り付けでき、壁面吸い込み(wall suction)などの機械的な電力式圧力差供給源(pressure differential source)を具えることができる。代替的に、吸引バルブ630(図33)あるいはインディアナ州ワルシャワ所在のZimmer社から入手可能なHemovac装置などの手動式の機械的な吸引装置を設けることができる。このような手動式の吸引装置は、患者の移動性を提供し、比較的操作が単純である。電気式の吸引および流体ポンプ装置は、断続的および交互の吸引を提供し、且つ患者の状態のフィードバック信号に自動的に反応するように予めプログラミングされている。図33に示すように、負圧力差(吸引)を提供することにより、フォーム片604上のシース608が潰れる。このように、前述した様々な動的な流体の力および流体の動作の影響は、操作および制御できる。
【0066】
図34は、流体の流れの矢印632で示すように、流体ポート24の双方から排出した結果、シース608がさらに潰れた様子を示している。周囲の空気圧の力の矢印634は、この力の作用を示しており、これは、フォーム片604上でシース608を潰す傾向がある。
【0067】
図35は、ドレス602の内側にアクセスするための開いた状態のシールストリップ622を示している。次に、フォーム片604は、図36に示すように取り外すことができ、縫合線636が目で検査でき、および/あるいは治療できる。フォーム片604は、必要に応じて裏返しあるいは交換できる。図37は、フォーム片の断面を示しており、これは、レイヨンあるいは他の好適な芯材606で完全に覆うことができ、縫合線636に対していずれかの側面を配置するのを容易にする
【0068】
XI.代替的な実施例であるドレスアセンブリ702
図38乃至40は、本発明の代替的な実施例を具えるドレスアセンブリ702を示しており、これは、好適な疎水性あるいは親水性のフォーム材を具えるフォーム片を具えている。フォーム片704は、前述したシース608と同様なシース708に選択的および取り外し可能に配置できる。ライナ706は、縫合線636からフォーム片704へ流体を移動させるように構成され、さらにフォーム片704が患者に直接接触するのを防止するように構成されたレイヨン片あるいは他の好適な素材を具えることができる。リニア706は、シース708のボトムパネルに平らに設置するような大きさにすることができる。
【0069】
使用時には、ドレスアセンブリ702は、シースを取り外し、患者への粘着を阻害することなく、創傷の検査、創傷の治療、および構成要素の交換処理用に構成されたドレスで、フォーム片704およびライナ706などの容易に利用可能な構成要素を利用するように構成されている。図39は、再使用あるいは再配置のために裏返し可能なフォーム片704を取り外す様子が示されている。図40は、容易に交換可能なリニア706を取り外す様子が示されている。リニア706が取り外された状態では、縫合糸の取り外し、検査、治療、洗浄、および他の処置のために、縫合線636が露出される。次に、シース708が再び閉じられ、バキューム補助および/または他の治療が再開する。
【0070】
XII.代替的な実施例であるドレスアセンブリ802
ドレスアセンブリ802は、図41に示す本発明の代替的な実施例を具えており、これは、再閉可能なシールストリップ808により開閉するように構成されたシース806内にフォーム片804を具えている。シース806は、好適な半浸透性あるいは不浸透性ドレープ材を具えることができる上側のドレープ部材810を具えている。シース806は、相対的に流体の密閉性があるシールをシース806の周囲に設けるように構成された接着性の周辺シール813を任意で設けることができる周辺部812を具えている。周辺シール813は、患者の不快、皮膚の浸軟などを最小限にすべく、比較的狭くすることができる。ボトムパネル814は、レイヨンなどの好適な芯材を具えており、シース周辺部812まで延在している。ドレス802を具える素材は、浸透性、密閉性、生体適合性、液体に対する疎水性あるいは親水性の反応、静細(bacteriastatic)および抗菌性の特性、および他の性能に関する特性および基準により選択できる。
【0071】
使用時には、ドレスアセンブリ802は、患者の創傷あるいは縫合線上に配置される。周辺部の接着剤813は、一時的に固定し密閉することができる。テープのストリップ816は、シース806を適切な位置に固定するためにシースの周辺部812上に配置できる。流体は、バキューム源に取り付けできる前述したような好適な流体連結部を介して排出するために、芯材層814を通ってフォーム片804に移動される。さらに、ドレスアセンブリ802は、前述したように、陽圧力差を提供するように構成されている。シールストリップ808は、前述したように、フォーム片を裏返しあるいは交換するために、フォーム片804へのアクセスを可能にする。
【0072】
フォーム片804、ドレープの上側部分810、および芯材層814は、独立した動作により組み立てることができ、これらの構成要素間の取り付けのみ、ドレープの上側部分810が芯材層814に接続される周辺部812で行われる。このような独立した自由な動作により、ドレスアセンブリ802が再構成し、患者や圧力差などの様々な作用する力に適合する。このように、個々の構成要素は、他の構成要素を阻害しあるいはドレスアセンブリ802の性能および快適性を妨げることなく、互いに独立して膨張および収縮できる。
【0073】
XIII.代替的な実施例であるドレスアセンブリ902
本発明の別の代替的な態様あるいは実施例を具えるドレスアセンブリシステム902が図42乃至46に示されており、これは、切開による組織分離906を有する患者に対する陽圧力および/負の吸引力の適用を制御するように構成されたドレス904を具えている。システム902の有用な利用の普遍性を制限することなく、切開906は、針908、あるいはステープル、接着剤、テープなどの他の好適な創傷を閉じる処置により任意で閉じることができる外科的な切開を含むことができる。切開906は、閉じた状態の吸引排水用チューブ910を切開の底部に具えることができ、これは、周知の外科的処置を利用して、突き刺した切断(stab incision)を通って皮膚表面に運ぶことができる。
【0074】
ドレス904は、任意の周囲のベースリング912を有するドレスカバー909を具えており、これは、下側の面に利用される皮膚に害のない接着剤914の層を有する半浸透性素材を具えている。ドレス904を利用する前に、ベースリングの接着剤914が、リリースタブ917(図44)を有するリリースペーパーバック916(図45)を設ける。ベースリング912は、中央の近位開口部918を規定し、これを介してドレス904が下に向かって開かれる。カバーの上部構造920は、近位パネル922と、通常折り畳まれ潰された縁部を規定する周辺部924と、別の折り畳まれ潰れた縁部で中央の開口部918の周囲のベースリング912に固定される近位リターンリング926とを具えている。このように、ベースおよびリターンリング912,926は、膨張および潰れるように構成され、重なり折られた厚さが2倍のベース構造928を形成する。遠位カバー開口部930が、遠位パネル922に形成され、可撓性のあるベロー形状の折り畳み可能なシースと連通し、これはすなわち、例えば、針が必要ないLeurロックハブあるいは空気バルブなどの他の好適なチューブ連結/閉塞装置を具える末端のコネクタ936で終了する硬質のチューブの長さ934を具えている。チューブ934は、ドレスカバー909の内側と連通する近位端部935を具えている。
【0075】
任意の移動アセンブリあるいは要素938がカバー909内に配置され、これらの中央の開口部918を介して露出される。移動アセンブリ938は任意で、圧縮可能な網状のコア940を具えており、これは、例えば、疎水性、弾力性および記憶性能特性で選択されたポリウレタンエーテルフォーム材を具えることができる。また、移動アセンブリ938は、液体を運ぶ特性と、患者の皮膚に直接接触するための生体適合性を有するOwens(登録商標)レイヨンの手術用ドレスなどの素材を具える多孔性および可撓性のあるリニア942を具えている。
【0076】
ドレスシステム902の有用な利用の普遍性を制限することなく、術後の切開ドレスの利用は、このシステムに適している。ドレス904は、予め組み立てることができ、通常の手術室のような殺菌された状態で開くために殺菌して包装できる。中央の開口部918は、十分に重なった状態の組織分離906に適応する大きさにすることができ、周囲のベースリング接着剤914は、組織分離906の領域の周囲で、潜在的に内側で活動する切開の領域を超えて健康的な皮膚に接着される。複数のドレス904は、端から端に(図46)あるいは並んで配置でき、比較的長い切開950を効果的に覆うことができる。このように複数のドレスを利用する場合、縫合線952は、患者の快適性の目的のために、接着剤が塗られたベースリングが交差する位置を介在するバリア層ストリップ938で覆うことができる。バリア層ストリップ948は、例えば、ニュージャージー州エルウッド所在のIntegrity Medical Device社から入手可能なXeroform(登録商標)ガーゼ、Vaseline(登録商標)ガーゼ、あるいはOwens(登録商標)レイヨンを含む。
【0077】
ベースリングの接着剤914は、治療部位の周りで比較的流体を密閉することが好適である。任意で、ベースリング912は、患者の快適性を向上し、接触領域の浸軟を阻止するための好適な通気特性を有する好適な半浸透性膜材を具えることができる。好適な圧力差源944は、チューブ連結部936に連結される。限定ではなく、圧力源944は、自動および手動式圧力源を具えることができる。例えば、自動の壁面吸い込みは通常、手術室あるいは健康管理施設で利用できる。
【0078】
術後の切開のドレスの場合、手術室の壁面吸い込みは、コネクタ936、真空のドレス904、外された壁面吸い込みに取り付けることができ、これにより、コネクタ936がシステムを密閉する。平衡の「安定状態」は、ドレスカバー909の外側と圧縮された移動アセンブリ938の内側で作用する周囲の空気による陽圧力により実現でき、これにより、圧縮力の矢印939を介して(図43)切開906および周囲の領域に圧縮力を作用する。
【0079】
例えば、図43は、ポリウレタンエーテルフォームコア940を超えて延在し、2重に折り畳まれたカバー周辺部924内に配置される2倍の厚さのライナ周辺部946を形成するレイヨンドレスライナ942を具える潰れた状態のドレス904を示している。この構成では、切開906から浸出する任意の液体が、レイヨンライナ942の液体を運ぶ働きにより、切開906から流体移動矢印941を通って効果的に移動される。通常、術後の一日あるいは二日の短期間、切開線からの漿液滑液性の流体の分泌が予想される。半浸透性のベースリング912を介した僅かな空気の循環が組み合わされたレイヨンライナ942の液体を運ぶ作用が、協同して切開906とこれの周囲の健康的な皮膚を比較的乾いた状態に維持し、浸軟を阻止する。また、ドレス904の構成要素により提供される圧力差は、前述した液体を運ぶ作用と協力して、創傷の浸出液の抽出および除去を助長する。ドレス904が圧縮された状態では(図43)、チューブの近位端935は、流体を直接移動させるために、移動要素938に取り付け、押し込むことができる。
【0080】
真空のドレス904は、多くの医療の切開閉塞および治療の利点を提供する。ドレス904により作用する力から生じる切開および周囲の組織における安定化および固定化の効果は、対向する縁部が摺動し互いに移動する隙間治療(gap healing)とは対照的に、接触治療(contact healing)を促進する。さらに、浮腫および斑状出血の制御は、圧力がドレス904内で解放されたときに予め圧縮された形状および体積を回復する圧縮されたコア940の圧縮力の矢印939を介した陽圧力、圧縮力を用いることにより実現される。このように、例えば、ベースリング912の周囲の制限あるいは制御された漏出の影響は、制御されたコア940の膨張により補正される。ドレス904を介した制限された空気の動きは、内側の水分を制御し、浸軟を低減するなどにとって有益である。
【0081】
システム902は、切開を閉塞および治療する過程で必要に応じて調整および交換できるように構成されている。追加的な空気の移動は、自動あるいは手動式の供給源からコネクタ936を介して供給できる。壁面吸い込み、機械化されたポンプ、および他の自動供給源を利用できる。手動式のバキューム源は、圧迫式バルブ(squeeze-type bulb)(図33の630)と、インディアナ州ワルシャワ所在のZimmer社から入手可能な(Snyder)Hemovac(登録商標)吸引器と、バキュームチューブとを具えている。切開の検査906は、ドレスカバーの上部構造920にL形状の切り込みを入れ、移動アセンブリ938を抽出あるいは持ち上げることにより実現でき、これにより、切開906が露出する。移動アセンブリ938は、裏返しあるいは交換できる。次に、ドレス904は、カバー909の一部を取り替えることにより再び密閉でき、この後、前述したようにドレス904の空気を抜く。治療が完了した後、カバーの上部構造920が切り離され、移動アセンブリ938が破棄される。ベースリング912は、皮膚から剥がすことができ、あるいは接着剤914が離れるまで単に持ち上げられる。
【0082】
ドレスアセンブリ904に関連する安定化、固定化および閉塞力は、分離した組織部分を多義に接触させ、治癒を妨げる組織の横方向の移動を制御および/または阻止することにより、治癒を促進する傾向がある。ドレス902内の力に関連する陽圧力、圧縮力構成要素は、組織分離906を閉じる傾向があり、対向する組織の端部を互いが接触するように固定し、これにより治癒が促進される。創傷の縁部を互いに対して動かす傾向がある様々な他の動的な力を効果的に阻止することができる。
【0083】
XIV.代替的な実施例である外側のドレス1002,1012
図47乃至49は、別の代替的な実施例である外側のドレス1002を示している。図47に示すように、創傷6は、任意のドレインストリップ1004を創傷の縁部の間に配置し、ストリップの遠位端を隣接する皮膚表面上で折り畳むことにより準備される。このようなストリップの使用は周知である。ペンローズドレイン(Penrose drain)と称するラテックスバージョンが、ロードアイランド州クランストン所在のDavol社から入手できる。スワンソン切開ドレイン(Swanson incision drain)と称するシラスティックバージョンが、テネシー州アーリントン所在のWright Medical Tecnology社から入手できる。流体を抽出する代替的な深部創傷装置は、前述したようなドレインチューブや他の装置を具えている。代替的に、このようなドレインストリップ1004は、改良された排水を必要としない切開から省略できる。さらに、ドレインストリップ1004は、レイヨン、「ベール」ドレスあるいはライナ、「N-terface」ライナなどの流体を移動させるライナのストリップ上に配置でき、効率性を高め、皮膚の浸軟を防ぐ。
【0084】
図48は、任意でコア1008に接着あるいは配置可能な表面1009と遠位/上側および近位/下側芯材(例えば、レイヨンあるいは他の好適な芯材)層1010,1012を有する網状のコアあるいはブロック1008(例えば、前述したポリウレタン−エーテル)を具える流体移動構成要素1006を具えるドレス1002を示している。膜ドレープ1014は、流体移動構成要素1006上に配置され、切開6の近くの健康な皮膚に取り外し可能に接着される。エルボ連結部417が、膜ドレープ1014に排出ポートを形成する開口部上に配置される。連結部417は、前述したように吸引あるいは負圧力源に取り付けられる。負圧力源の活動により、流体の移動は、底部の芯材層1012に沿って流体移動構成要素1006の周辺部に向かって横方向(水平方向)に集中する傾向がある。流体移動構成要素1006と周囲の空気との間の圧力差が、図49に示すようにコア1008を圧迫する。例えば、約20%乃至80%の範囲の圧縮が適切である。このように、レイヨン層1010,1012が、特に流体移動構成要素1006の周囲で接近し、これにより、これらの間の流体の移動が促進される。さらに、上側のレイヨン層1010は、負圧力により横方向に内側に引っ張られる傾向がある一方、下側のレイヨン層1012は、皮膚上に配置されているため、もとの形状および大きさを維持する傾向がある。したがって、フォームコア1008よりも圧縮されない上側のレイヨン層110は、周辺端部の周りで下側に偏向する傾向があり、さらに、レイヨン層1010および排水連結部417への流体の流れを促進する。露出したコア1008の周辺部は、例えば、半浸透性素材を具えるできる膜1014を介したコア1008への空気の流れを促進する。
【0085】
図50および51は、芯材(例えば、レイヨンあるいは他の好適な芯材)層1026で完全に包まれたフォームコア1024を具える別の代替的な実施例であるドレスアセンブリ1022を示している。図51は、負圧力による吸引がされた後のドレス1022を示しており、これは、レイヨン層1026を湾曲させ、あるいはコアの周辺端部の下側部分の近くを束にすることができ、これにより、膨張し湾曲した芯材の2層のリム1028を提供する。このリム1028は、患者の皮膚に対する追加のインタフェースを提供し、これにより、せん断力による水膨れなどの圧力に関連する問題を防止あるいは低減する。リム1028は、長期間(3日から3週間)の術後のドレスを必要とする化膿した状態の皮膚を乾燥させるために、改良された空気の流れによる別の利点を提供することができる。
【0086】
さらに別の代替的な実施例であるドレスシステムは、通常は術後約48乃至72時間である初期の滲出段階の間のドレスアセンブリ1012の利用を具えている。この後、ドレスアセンブリ1002が取り外され、レイヨンで包んだドレスアセンブリ1022が、長期間(通常約3日から3週間)の術後の浸出段階で適用される。代替的に、レイヨン芯材層のみを利用して、芯材が補助する浸出液である流体の排水を継続してもよい。しがたって、組織は、重要なコラーゲンの強度を増加し浸出液を除去するために安定化され、これにより、切開6および排水部分を「密閉し」、皮膚表面の乾燥を促進できる。
【0087】
図52は、ドレス1032と通信し、入力信号をコントローラ1036に供給するセンサ1034を有する創傷のドレス1032のさらに別の実施例を示しており、このコントローラは、創傷のドレス1032を具えるシステムの様々な動作パラメータを制御するフィードバックループ1038を具えることができる。例えば、ヘモグロビンの値や、圧力、流体の流れ、温度、患者の状態、並びに様々な浸出液および浸出物特性が監視できる。
【0088】
図53は、ドレスの実験モデル1042を示しており、これは、システム内のモデルの流体の流れに対し垂直である。流体は、底部44で網状のポリウレタンフォームコア1050の側部46,48に沿った領域であって流体移動ゾーンを規定する領域に存在する傾向がある。空気を閉じこめるゾーン1052、すなわちフォームコア1050の頂部および中心部は空気を閉じこめ、これにより、流体が外側の端部に追いやられる。したがって、ポリウレタンエーテルの網状のフォーム材は、空気を内部に閉じこめ、液体を外部に移動させる。この構成では、液体を排水エルボ417に移動させる能力の分岐点は、圧縮されていないフォームコア1050の体積の約10%である液体の体積である。網状のフォーム内の液体の吸収は、通路をタンパク質でコーティングすることにより強化できる。
【0089】
表1は、様々な負圧力レベルにおける網状のポリウレタンエーテルの圧縮効果を示している。
【0090】
図54は、フォームがコーティングされていない状態およびタンパク質でコーティングされた状態において、異なる圧力で追加された液体の体積全体の機能としての網状のウレタンフォームの浸水面積全体を示している。
【0091】
図55は、本発明の代替的な実施例である活発な陽圧力止血鉗子(hemostat)1062を示しており、患者に配置する移動構成要素1066と、これの上に配置され、周囲の皮膚に固定されるオーバードレープ1068とを具える患者用インタフェース1064を具えている。移動構成要素1066は、コア1069を具える素材が皮膚に直接接触させるのに不適切な場合に患者の皮膚に直接接触する任意のライナあるいはカバー1070を具えることができる。移動構成要素1066は、オーバードレープ1068の開口部あるいは排水ポート1072上のエルボ連結部417を介して圧力源1067と連通する。負圧力を移動構成要素1066に加えることにより、陽圧力が移動構成要素1066を介して患者の皮膚に加わる。止血鉗子1062は、遊離液体の浮腫の吸収を加速させるために、局所的な圧力を加えるように構成されている。応用例は、皮下の出血(例えば、1074)や、体腔、内部期間および関節の遊離液体の吸収を含むことができる。他の応用例は、表面に適用される薬剤の吸収を促進する湿布タイプの応用例を具える活発な圧力止血装置1062を利用することができる。図に示すように、センサ1034およびコントローラ1036は、特に、移動構成要素1066による様々な陽圧力に関連する自動制御を提供する様々な動作パラメータを監視できる。例えば、皮下の状態の目に見える熱および赤外線の兆候はセンサ1034により検知でき、これは、コントローラ1036に入力する信号に応答して出力する。圧力は、必要に応じて循環でき、例えば、治療の目的の達成に相当する遊離液体の吸収などの所定の状態になると終了する。
【0092】
本発明の特定の実施例および/または態様が図示および説明されているが、本発明はこれらに限定されず、他の実施例および態様を含むと理解すべきである。例えば、様々な他の好適な素材は、前述した素材の代わりに使用できる。また、構成は特定の応用例に適合するために必要に応じて変更できる。さらに、様々な制御システムを設け、これを異なる動作状況に適切に自動で反応するようにプログラムできる。さらに、前述したシステムおよび方法は、他の様々な治療手順、薬剤および装置と組み合わせることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、縫合された傷口および切開を治療し、その中の水分を管理する医療装置および方法に関し、特に、外科的切開などの組織分離を乾燥および/または洗浄(irrigate)し、外側の患者用インタフェースと真空源により生成される周囲の空気圧を利用して、切開されあるいは傷ついた部分を圧迫および安定させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織分離は、外科処置や、外傷性および慢性の創傷などの他の原因により生じる。様々な医療処置は、組織分離を閉じるのに利用されている。閉塞および治療を促進するための重要な研究は、分離組織部分を一緒に固定することに関連する。切開および創傷は、縫合糸、ステープル、および他の治療用閉塞装置により閉じることができる。手術における「一次癒合」(関節癒合)は、創傷の「閉塞」である。骨、筋膜、および筋肉などの耐荷重性組織の場合、これは、縫合材、ステープル、あるいはプレートおよびねじなどの多くの部材を必要とする。「閉じられた」創傷の場合、上皮層はシールであろう。これを実現すべく、皮膚および皮下層(すなわち、深部の真皮層および脂肪組織の浅筋膜あるいは繊維層それぞれ)の「耐荷重性」領域は、分離した部分を結合すべく、およそコラーゲン沈着に十分な長さで少なくとも固定される。
【0003】
他の重要な研究は、出血の制御、瘢痕の低減、血腫、血清腫、および「死腔」の形成の排除、痛みの管理を含む。死腔の問題は、皮下の閉塞で発生する傾向がある。比較的浅い創傷は通常、縫合糸、ステープル、接着剤、および粘着性のあるテープストリップなどの表面に適用される閉塞技術により閉じることができる。しかしながら、深い創傷は、皮膚の表面の閉塞だけでなく、耐荷重性面の縫合糸の多くの層を時間をかけて交換する必要がある。
【0004】
感染予防は、別の重要な研究である。局所的な治療は、切開あるいは創傷部分の細菌を制御あるいは防止する様々な抗生物質およびドレスを含む。感染は、好適な抗生物質および他の薬により体系的に治療および制御できる。
【0005】
他の組織分離の治療の目的は、手術の外傷および瘢痕の影響を最小化し、浮腫を最小化することである。したがって、様々な閉塞技術、術後処置、薬理学を利用して、術後の腫れ、出血、血清種、感染、および他の好ましくない術後の副作用を低減する。分離組織の研究は、手術を含む医療分野で非常に一般的であるため、効果的、便宜的、感染のない、審美的な組織の閉塞は、患者および医療関係者双方の立場から非常に所望されている。したがって、本発明のシステム、インタフェースおよび方法は広く実践でき、多くの患者に様々な利益をもたらすことができる。
【0006】
流体制御の研究は通常、組織分離の治療に関連する。例えば、皮下の出血は、外科的切開内の筋膜および筋肉層で起こる。したがって、ディープドレインチューブは通常、このような切開の排水をする目的で設けられる。患者の血液全体を再輸血する設備および技術が非常に発達するにつれ、多くの人が自己血輸を経験している。このような処置は、献血に対する依存や先天的な危険性を低減する利点がある。また、漿液は通常、切開および創傷部分から分泌し、排水および処分する必要がある。新しい切開および創傷は通常、最初の治療、特に分離した組織部分が閉じられる縫合およびステープルの線に沿った治療の間、数日間にわたり患者の皮膚表面で血液および他の流体を出す。
【0007】
流体制御の他の分野は、洗浄に関連する。様々な洗浄薬(irrigant)が、感染の防止、麻酔、成長因子の導入、および治療を促進するために、分離組織の領域に供給される。効果的な流体制御システムは、連続的あるいは同時に排水し洗浄する機能を提供するのが好ましい。
【0008】
一般的な整形外科手術は、尻、膝、肘、肩、足および他の関節の関節全置換(TJR)を含む。結果として生じる組織分離は、交換した関節に関連する屈曲、動作の影響を受ける。関節は治療の選択肢として固定できるが、萎縮および剛性が生じ、リハビリの期間を長くする傾向がある。よりよい選択肢は、できるだけ早く関節の機能を回復させることである。このように、整形外科手術の重要な目的は、最大の可動域で患者の手足の最大限の使用を早急に回復させることに関連する。
【0009】
同様の研究が、他の様々な医療処置に関連して行われている。例えば、皮膚弁(flap)および傷跡の修復を含む関節切開、再生および美容手術は、組織の閉塞を必要とし、しばしば動作およびストレッチの影響を受ける。他の例は、厚いあるいは不安定な皮下組織部分の切開および創傷を含んでおり、皮膚および皮下組織の固定は、深部の縫合の裂開を低減する。患者の手足および患者自身が移動できるようになるという要望は、外側の圧縮および組織の安定化の現在利用可能な方法の制限と矛盾する。例えば、様々な種類の包帯(bandage wrap)や圧迫靴下が、これらの目的のために使用されているが、いずれも本発明の利点および利益を提供しない。
【0010】
前述した処置は、以下に説明する多くの他の応用例と同様に、流体制御および外側からの圧迫のために表面に適用される患者用インタフェースを具える組織閉塞治療システムおよび方法の利益を享受する。
【0011】
手術後の流体の排水は、体液の収集および排水に適したチューブ、スポンジ、および多孔性素材を組み合わせることにより実現できる。従来技術は、排水を補助する技術および方法を有する。例えば、Zamierowskiの米国特許第4,969,880、第5,100,396、第5,261,893、第5,527,293、および第6,071,267は、外科的切開を含む創傷から流体を排水するのを補助すべく、圧力差(pressure gradient)、すなわち真空および陽圧力の利用を開示している。このような圧力差は、内側あるいは外側で多孔性スポンジ素材を創傷に適用し、これを浸透性、半浸透性あるいは不浸透性膜で覆い、これに吸引真空源を連結することにより実現できる。患者から吸い出された流体は、廃棄するために収集される。このような流体制御方法は、患者の治療を非常に改善することが分かっている。術後等の流体管理は、洗浄、感染の制御、痛みの制御、成長因子の適用等のために流体を創傷部分へ適用することに関連する。創傷の排水装置は、組織の固定および不動を実現するために利用され、治療および閉塞を補助する。これは、内側の閉じられた創傷の排水と、創傷の表面に適用される外側の開いた創傷用の真空装置双方により実現できる。近接した状態で組織を固定することは、ボーラスタイオーバードレス(bolus tie-over dressing)(ステントドレス)、テープ、ストラップ、および(コンタクト)キャスティング(contact casting)により実現できる。
【0012】
外科的な創傷および切開は、細胞移動と、細胞およびコラーゲンの結合を促進可能な組織の安定化および固定化により利益を享受できる。組織の安定化および固定化によるこのような利益は、隣接する皮膚層の固定を目的とした骨折および傷口の固定を含む多くの処置に関連して生じる。
【0013】
水分管理は、深い組織における血液および浸出液と皮膚表面近くの浸出液を伴う外科的切開の別の重要な態様である。例えば、初めに、湿った段階は、細胞の移動を促進すべく上皮層に提供される。次に、組織乾燥段階は、有用なケラチン層の発育を促進すべく行われる。また、水分管理は、排出された流体から抽出される細菌を効果的に制御する。残りの細菌は、創傷を乾燥する処置により十分に低減できる。いくつかの事例では、このような水分を補給し乾燥する二段階の連続的な治療は、十分な細菌の制御を提供し、抗生物質および殺菌剤を排除あるいは低減する。
【0014】
このような段階と同時に、効果的な治療の手順は、創傷内の破壊的な力を防止しつつ、安定化および固定を管理する。治療手順は、通常、浸出が最大となる術後48時間の最大量を含む様々な創傷の浸出液の量を処理すべきである。閉じられた排水処理は通常、外科的切開内に配置されたチューブドレインを関連する。開かれた排水処理は、ガーゼドレスおよび流体を吸収する他の吸収性のある製品を利用できる。しかしながら、従来の多くの流体を扱う処置および製品は、追加の浄化ステップを必要とし、患者および医療関係者が流体汚染物質の影響を受け、定期的なドレスの交換を必要とする傾向がある。さらに、不十分な排水は、外科的な切開近くの組織面で孤立する残りの血液、浸出液、浸出物を生じさせる。
【0015】
さらに、特定の出血および他の皮下の状態は、皮膚表面を圧迫する止血鉗子により治療できる。遊離液体による浮腫はこれにより処置できる。
【0016】
従来、本発明の利点および特徴を有する外側から適用される患者用インタフェースシステムおよび方法は利用できなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施例では、表面に適用される患者用インタフェースを利用して分離した組織の閉塞を強化するシステムおよび方法が提供される。表面下の排水、洗浄、および自己輸血の構成要素が、表面に適用される外側のインタフェースとともに任意で使用できる。外側のインタフェースは、縫合あるいはステープルの線上に有利に配置でき、スポンジあるいはフォーム材を具える第2の移動構成要素に流体を運びあるいは移動させるために患者に直接適用されるレイヨンなどの多孔性素材のストリップを具える第1の移動構成要素を具えている。アンダードレープは、流体が当該移動構成要素間を通過するために、スロットなどのアンダードレープ開口部を介して移動要素の間に配置される。オーバードレープは、第2の移動構成要素と周囲の皮膚表面上に配置される。患者用インタフェースは、バキューム補助閉塞装置などの負圧力源に連結される。手動制御の実施例は、所定量の流体が収集されたときに排水を中断させるシャットオフバルブを具える有限容量の流体容器を利用する。自動制御の実施例は、負圧力源の動作を制御する様々な入力に反応するようにプログラミングされたマイクロプロセッサを利用する。本発明による閉じられた創傷あるいは切開の治療方法は、治療処置の異なる3つ段階に相当する流体の制御活動の3つの段階に関連する。第1の段階では、活発な排水が処理される。第2の段階では、構成要素が、独立してあるいは連続して取り外すことができる。第3の段階では、第2の移動構成要素は、保護のために任意で残すことができ、また縫合あるいはステープルの線から第1の移動構成要素を介して残りの流体を排出するのを促進する。
【0018】
本発明の他の実施例では、ドレスシステムの構成要素が、効率的に利用するため予め組み立てることができる。フォーム片は、完全なあるいは部分的なレイヨンカバーときっちり閉まるオーバードレープを設けてもよい。再閉可能なシールストリップを具えるアクセスパネルは、フォーム片および創傷部分へアクセスするためにオーバードレープに設置できる。予め組み立てられた外側のドレスは、交換あるいは向きを変えるために、再閉可能なシールストリップを介してアクセス可能なフォーム片を収容するシースを設けることができる。また、治療部位へのアクセスは、シールストリップを介して提供される。このシステムは、止血鉗子として使用できる。
【0019】
図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施例を含んでおり、本発明の様々な目的および特徴を示している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、組織の閉鎖治療と本発明を具現化するシステムの概略的なブロック図である。
【図2】図2は、ディープドレインチューブが挿入された状態の切開された組織の分離を示す斜視図である。
【図3】図3は、切開された組織の斜視図であり、分離した組織の皮膚部分が縫合された様子が示されている。
【図4】図4は、前記切開された組織の斜視図であり、分離した組織の皮膚の表面よりも下の深い皮膚層部分が縫合された様子が示されている。
【図5】図5は、前記切開された組織の斜視図であり、レーヨン製のストリップである第1の流体移動構成要素(FTC.1)とアンダードレイプが、縫合線に配置されている様子を示している。
【図6】図6は、前記切開された組織の斜視図であり、FTC.1とアンダードレイプが縫合線に配置された様子を示している。
【図7】図7は、前記切開された組織の斜視図であり、第2の流体移動構成要素(FTC.2)が配置された様子を示している。
【図8】図8は、前記切開された組織の斜視図であり、オーバードレイプが配置された様子を示している。
【図9】図9は、前記切開された組織の斜視図であり、システムを負圧源に接続するために、流体移動構成要素(FTC.3)を適切な位置に接続する様子が示されている。
【図10】図10は、図9の10−10線に沿った前記切開された組織の断面図であり、FTC.3を詳細に示している。
【図11a】図11aは、前記切開された組織の斜視図であり、FTC.3が取り外され、通気のためにオーバードレープに切り目が入れられた様子が示されている。
【図11b】図11bは、前記切開された組織の斜視図であり、アンダードレイプの穴の開いた裂かれた線とオーバードレイプのスリット線に沿って取り外された患者用インタフェースを示している。
【図11c】図11cは、事前に包装され、患者に適用され、負圧源に接続されるように構成された患者用インタフェースの斜視図である。
【図12a】図12aは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3aを示している。
【図12b】図12bは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3bを示している。
【図12c】図12cは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3cを示している。
【図12d】図12dは、代替的な実施例であるエルボ接続装置FTC.3dを示している。
【図12e】図12eは、患者の関節の湾曲などの関節を補助する取り外し可能なウェッジ部分を有する変更されたFTC.2aを示している。
【図12f】図12fは、患者の関節の湾曲などの関節を補助する取り外し可能なウェッジ部分を有する変更されたFTC.2aを示している。
【図12g】図12gは、代替的な実施例である外側の患者用インタフェースアセンブリを示している。
【図12h】図12hは、代替的な実施例である外側の患者用インタフェースアセンブリを示している。
【図13a】図13aは、本発明を具現化する組織を閉鎖する治療方法を示すフローチャートである。
【図13b】図13bは、本発明を具現化する組織を閉鎖する治療方法を示すフローチャートである。
【図13c】図13cは、本発明を具現化する組織を閉鎖する治療方法を示すフローチャートである。
【図14】図14は、本発明の代替的な実施例を具える自動的に組織を閉鎖する治療システムのブロック図である。
【図15】図15は、自動的に組織を閉鎖する治療システムの代替的な実施例の断面図である。
【図16】図16は、本発明を具現化する自動的に組織を閉鎖する治療方法の代替的な実施例の部分的なフローチャートである。
【図17】図17は、再密閉可能なアクセスパネルを有する組織を閉鎖する治療システムの断片的な斜視図である。
【図18】図18は、再密閉可能なアクセスパネルの斜視図である。
【図19】図19は、図18の19−19線に沿った組織を閉鎖する治療システムの断面図である。
【図20】図20は、組織を閉鎖するシステムの拡大断面図であり、このシステムの再密閉可能なシールストリップを詳細に示している。
【図21】図21は、組織を閉鎖するシステムの斜視図であり、開いた状態のシールストリップが示されている。
【図22】図22は、組織を閉鎖するシステムの斜視図であり、シールストリップが開いた状態のシールストリップと、取り外されたフォーム片が示されている。
【図23】図23は、本発明の代替的な実施例を具える外側のドレスアセンブリの断面図である。
【図24】図24は、内側および外側のフォーム片を有する組織を閉鎖するシステムの代替的な実施例の断面図である。
【図25】図25は、図24に示すシステムの断面図であり、傷ついた組織の連続的な治療を示している。
【図26】図26は、図24に示すシステムの断面図であり、傷の再上皮化を示している。
【図27】図27は、部分的にレイヨンで包まれたフォーム片の断面図である。
【図28】図28は、外側のフォーム片および内側のフォーム片アセンブリを具える組織を閉鎖するシステムの代替的な実施例の断面図である。
【図29】図29は、この実施例の断面図であり、周囲の空気圧により部分的に潰れた様子を示している。
【図30】図30は、再密閉可能なシールストリップと流体アクセスポートとを具える代替的な構造のドレスの斜視図である。
【図31】図31は、このドレスの下面の斜視図であり、中央のバッキングストリップが取り外されている様子が示されている。
【図32】図32は、このドレスの斜視図であり、側部のバッキングストリップが取り外された様子が示されている。
【図33】図33は、このドレスの斜視図であり、流体ポートに取り付けられた圧縮式バルブ吸引器を具える様子が示されている。
【図34】図34は、このドレスの斜視図であり、周囲の空気圧により部分的に潰れた様子が示されている。
【図35】図35は、このドレスの斜視図であり、開いた状態のシールストリップが示されている。
【図36】図36は、このドレスの斜視図であり、フォーム片が取り出された様子が示されている。
【図37】図37は、完全にレイヨンで包まれたフォーム片の断面図である。
【図38】図38は、分離したライナーおよびフォーム片を具えるドレスの代替的な実施例の斜視図である。
【図39】図39は、ドレスの斜視図であり、フォーム片が取り出された様子が示されている。
【図40】図40は、ドレスの斜視図であり、ライナーが取り出された様子が示されている。
【図41】図41は、芯材を有するシースボトムパネルを具えるドレスの代替的な実施例の斜視図である。
【図42】図42は、カバーがされたフォームコア移動要素を具えるドレスの代替的な実施例の断面図である。
【図43】図43は、この実施例の断面図であり、圧力により潰れたドレスを示している。
【図44】図44は、この実施例の平面図である。
【図45】図45は、この実施例の図44の45−45線に沿った断面図であり、患者に適用される前のドレスの構成が示されている。
【図46】図46は、外科的切開などの細長い組織分離を覆う複数のドレスを含む応用例の平面図である。
【図47】図47は、閉鎖に備えてドレインストリップが取り付けられた傷の斜視図である。
【図48】図48は、上下のレイヨン層を有する本発明の代替的な実施例を具えるドレスの断面図である。
【図49】図49は、ドレスが圧縮された状態の前記実施例の断面図である。
【図50】図50は、レイヨンカバーが網状のフォームコアを囲んだ本発明の代替的な実施例を具える断面図である。
【図51】図51は、ドレスが圧縮された状態の前記実施例の断面図である。
【図52】図52は、センサが制御部に接続された本発明の代替的な実施例を具える断面図である。
【図53】図53は、ドレス内の流体の流れを観測するためのドレスの実験モデルの斜視図である。
【図54】図54は、様々な条件における液体の体積に対する網状のフォームコアの浸水面積を示したグラフである。
【図55】図55は、本発明の代替的な実施例を具える止血鉗子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
I.導入および環境
必要に応じて、本発明の詳細な実施例がここに開示されているが、開示されている実施例は、本発明の単なる例示であり、様々な形で実施できると理解すべきである。したがって、ここに開示されている構造および機能の詳細は、限定ではなく、請求項の根拠と解釈すべきであり、本発明、実質的には適切な詳細な構造の様々な利用を当業者に教示するための典型的な根拠と解釈すべきである。
【0022】
II.組織閉鎖システム2
図面をより詳細に参照すると、参照数字2は通常、本発明を具体化する組織の閉鎖治療システムを示している。図1に示すように、システム2は、切開部あるいは創傷6を有する患者4に使用するように構成されており、縫糸10、ステープル、あるいは他の好適な医療用固定具で構成される縫合線8により閉じることができる。
【0023】
患者用インタフェース12は、ディープドレイン容器17に関連するディープドレイン負圧源15に連結される任意のディープドレイン14と、外側の患者用インタフェース16とで構成されており、この外側の患者用インタフェースは、レイヨンあるいは他の好適な多孔性素材のストリップを具える第1の流体移動構成要素(fluid transfer component)FTC.1と、通常FTC.1を覆いスロット20aを具えるアンダードレイプ20と、疎水性のスポンジを具える第2の流体移動構成要素FTC.2と、オーバードレイプ24とを具えている。
【0024】
流体処理サブシステム26は、ディープドレイン負圧源15と、表面ドレイン負圧源28とを具え、これは、共通の負圧源と収集容器が好まれる応用例のために組み合わせることができる。負圧源15,28は、手動あるいは電力のいずれかで動作できる。両者は、医療分野では周知である。例えば、手動式の持ち運び可能な真空源(manually operable portable vacuum source)(MOPVS)が、米国特許第3,115,138に示されており、これは、参照によりここに組み込まれている。商標HEMOVAC(登録商標)が付されたMOPVSは、オハイオ州ドーバー所在のZimmer社から入手できる。米国特許第4,828,546(参照によりここに組み込まれている)に示され、ミネソタ州エデンプレイリー所在のSurgidyne社から入手可能な作動装置などのバルブ式作動装置は、短い期間あるいは複数回、小さな創傷に使用できる。さらに、電力作動式バキュームは、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concept社から入手可能な商標THE VAC(登録商標)が付されたバキューム補助閉鎖装置を取り付けできる。さらに、多くの医療施設、具体的には病院および診療所は、壁のコンセントで利用できる吸引源を有する吸引システムが設けられている。
【0025】
有限容量の容器30は、流体が流れるように負圧力源28に接続され、廃棄容器32に排出するように構成されている。シャットオフバルブ34は容器30に関連し、容器30が所定の量まで満たされると、自動的に排水を停止する。
【0026】
任意の自己輸血サブシステム36が、ディープドレイン14に接続でき、患者4に患者自身の血液を再輸血するように構成されている。米国特許第5,785,700は、Zimmer社から入手可能な持ち運びでき取り外し可能な真空源を具えるこのような自己輸血システムを開示しており、参照によりここに組み込まれている。
【0027】
図2は、創傷縁部40a,bを有する第1および第2の分離した組織部38a,bを形成する切開部6を示している。創傷6は、皮膚42から厚い皮層44および皮下層46を介して筋膜48近くまで達しており、開いている。ディープドレインチューブ50は、創傷6の下側部分に配置され、開口部52で皮膚42を貫通している。
【0028】
図3は、皮膚表面42に縫合線56を形成する縫糸54により固定された創傷縁部40a,bを示している。縫糸54の代わりに、ステイプルなどの様々な他の医療用固定具を利用できる。図4は、皮膚表面42の下の厚い皮層44に配置された縫糸55を示している。
【0029】
図5は、縫合線8の上にFTC.1を適用する様子を示している。FTC.1は、縫合線8に沿ってにじみ出る流体を運ぶのに最適なレイヨンなどの好適な多孔性の芯材を具えることが好ましい。また、レイヨンは比較的素速く乾燥し、これにより、レイヨンを通る流体を効率的に移動させる。アンダードレイプ20は、FTC.1上にまた皮膚表面42の近くに配置される。アンダードレイプのスロット20aは通常、FTC.1の中心線に沿って縫合線8に直接的に配置される。FTC.1およびアンダードレイプ20は、ロール状、あるいは所望の長さで縫合線8に配置するのを容易にすべく構成された他の好適な構成にすることができる。図6は、FTC.1およびアンダードレイプが配置された様子を示している。
【0030】
図7には、配置された第2の流体移動構成要素FTC.2が示されている。これは、ポリウレタンエーテル(PUE)などの好適な疎水性のフォーム材を具えるのが好ましく、真空力(負圧)により圧縮可能な網状の格子状(フォーム)材を具え、「シュリンクラップ」タイプにより皮膚表面を圧迫するとともに、流体を通過させる流路を維持する。図に示すように、FTC.2の設置範囲は、アンダードレープ20の設置範囲よりも僅かに小さく、これにより、アンダードレープマージン20bが提供される。代替的に、FTC.1の芯材層(wicking layer)は、FTC.2の設置範囲と同一またはほぼ同じ大きさでもよい。この構成により、裏面が粘着性を有するアンダードレープからリリースレイヤーバッキングを取り外すだけで使用可能な個別の事前に組み立てられたパッドのように事前に作ることができる。また、この構成は、段階的な取り外しや長期の使用よりも、取り外しや交換が臨床上の選択肢として所望される場合、既に皮膚に接着されたドレープを取り外すことなく、アセンブリの中央部を完全に取り外し交換するのを容易にする。
【0031】
図8は、FTC.2およびアンダードレープ20に上にあてがわれたオーバードレープ24を示しており、マージン24aがアンダードレープを超えて延在し、患者の皮膚表面(皮膚)42に接している。図9および10は、FTC.2に設けられたパッチコネクタ58を示しており、これは、ドレープ層58bに挟まれた疎水性フォーム(PUE)材コア58aを具えている。バキュームドレインチューブ60は、フォームコア58aに組み込まれた入口端部60aを具え、ドレープ層58bと、表面排水負圧源28に接続された出口端部60bの間を延在する。
【0032】
図11aは、オーバードレープの開口部54を提供すべく、例えば、オーバードレープ24の一部を切り取ることにより取り外されたFTC.3を示している。さらに、オーバードレープ24は、FTC.2をさらに換気すべく55で切り込みを入れることができる。負圧によりFTC.2の水分を抜き、さらに空気の循環(図11a)により乾かすことは、FTC.2内の湿潤環境を必要とする様々な細菌の増殖を低減するため、大きな治療上の利点をもたらすことができる。したがって、このような細菌およびこれが生成する様々な毒素は、蒸発され、中和され、また患者の体内に再び入ることを阻止できる。細菌の制御は、殺菌剤を取り入れ、ドレープ20,24、FTC.1、FTC.2、およびFTC.3を含む患者用インタフェース12の様々な構成要素を洗浄することにより実現できる。
【0033】
図11bは、アンダードレープのミシン目の切り取り線56およびオーバードレープ24のスリットライン59に沿って取り外された患者用インタフェース12を示している。したがって、アンダードレープおよびオーバードレープのマージン20b,24a以外の患者用インタフェース12のほぼ全部は取り外すことができ、目視検査、評価、洗浄、ステッチの取り外し、ドレスの交換(例えば、図11cに示すような事前にパッケージ化された患者用インタフェース12aにより)、および他の治療の選択肢等のために、縫合線8および皮膚42へのアクセスを提供する。例えば、オーバードレープ24は、FTC.2の設置範囲の周辺部を切ることができ、これを取り外すことができる。FTC.2は、アンダードレープ20およびFTC.1から容易に取り外し可能であることが好適であり、これにより、FTC.2は、把持可能であり、上方に持ち上げることができ、オーバードレープ24を介して、FTC.2の下面とアンダードレープ20の間に外科用メスの操作を容易にする。FTC.1は、図11bに示すように切り取り線56に沿ってアンダードレープ20を破り、これを取り外すことにより任意で取り外すことができる。
【0034】
図11cは、最初のあるいは「ドレス交換」の利用に適したパッケージ化された患者用インタフェースを示している。任意で、レイヨンストリップFTC.1は、フォームスポンジFTC.2と同じ構成あるいは「設置範囲」を有し、これにより、アンダードレープ20を省略できる。代替的に、患者用インタフェース構成要素は、個別にあるいは完全な患者用インタフェース12のサブアセンブリを具える好適なグループで予めパッケージ化できる。例えば、アンダードレープ/FTC。1およびオーバードレープ/FTC.2はそれぞれ、個別に予めパッケージ化できる。患者用インタフェースの様々な大きさおよび構成要素の構成は、特定の患者の状態が示すように、用途に応じて予めパッケージ化できる。特定の大きさおよび構成は、相対的に「普遍的」であり、またTJRなどの特定の医療処置に適用可能であることが好ましく、これにより、患者用インタフェースの一覧表は、単純化できる。代替的に、個々の構成要素は、「個別の(カスタム)」用途の様々な大きさおよび構成で組み立ててもよい。
【0035】
図12a−dは、FTC.2を表面排水負圧源28に接続する代替的な接続用流体移動構成要素FTC.3a−dを示している。FTC.3(図12a)は、FTC.3と同様の構造を有しオーバードレープ24の任意の位置できるように構成されたパッチコネクタを示している。FTC.3aは、Leurロックコネクタ62が設けられている。FTC.3b(図12b)は、患者の手足の周りの布として構成できるオーバードレープ64により部分的に覆われた疎水性(PUE)フォーム材のストリップを具える。FTC.3c(図12c)は、エルボ型コネクタである。FTC.3d(図12d)は、バキュームドレインチューブ60のぶれを調整するように構成されたベロー型エルボコネクタ(bellow-type elbow connector)である。
【0036】
図12e,fは、FTC.2aに形成され、関節の屈曲などの関節に適応するように構成された複数の取り外し可能なウェッジ57を有するFTC.2aの代替的な構造を示している。したがって、FTC.2aの可撓性は、患者の快適性、機動性、柔軟性の目的で、大幅に強化できる。このようなウェッジは、FTC.2aに対して横方向および/または長さ方向に延在できる。FTC.2aは、ウェッジ57があっても無くても、配置されあるいは取り外された状態でも同じように機能する。
【0037】
図12gは、FTC.1の下に配置されたアンダードレープ20を具える修正された患者用インタフェース312を示している。この構成により、アンダードレープ20を阻害することなくFTC.1を取り外すことができる。図12hは、FTC.2と同一の構成あるいは設置範囲を有するFTC.1を具えるさらに修正された患者用インタフェース412を示しており、これにより、これらは、一緒に組み立てて接着できる。この構成では、アンダードレープ20は省略できる。
【0038】
III.治療方法
図13a−cは、本発明を実施する方法のフローチャートを具えている。この方法は、スタート70から始まり、72では、患者の診断および評価を行い、74では、治療計画を策定する。76では、ディープドレイン14が、必要に応じて取り付けられ、78では、切開が縫合される。80では、表面インタフェース構成要素12があてがわれ、82において、外側の構成要素(すなわち、負圧源15,28)に接続される。84では、収集容器の容量が、創傷/切開、血流等の特定などの要素に基づいて予め設定される。
【0039】
段階1
深部の排水が86で発生し、表面の排水が88で発生し、双方は、負圧源15,28により影響を受ける。負圧源28により、PUEフォームFTC.2が部分的につぶれ、これにより、オーバードレープ24が降下し、閉じられた創傷あるいは切開6に陽圧力(positive, compressive fource)を及ぼす。患者用インタフェース12の屋内環境では、このような力は、実質的に周囲の気圧に限定される。この限定的な制御の特徴は、患者用インタフェース12による過度の圧力から患者を保護する。閉じられた創傷あるいは切開6に作用する最大で1気圧である安定的な力は、浮腫の制御および治療の促進において、副木あるいはギブス包帯と同様に機能する。
【0040】
90では、「容器が満ちた」状態が検知され、92の表面排水負圧源の遮断に分岐し、次に、94では、容器の中身が検査および破棄される。判定96において、表面の出血が、目視検査により確認された場合、前記方法は、ステップ98の「アクティブな表面排水の中止」に分岐する。判定100において、縫合線が活発に排出している場合、前記方法は、ステップ88の活発な表面排水に戻って処理を続け、一方、すなわち、創傷/切開から出血がなく、流体がにじみ出ていない場合、活発な表面排水が中断する。
【0041】
通常、段階1は、手動あるいは電気による吸引の影響による深部の排水(相互作用あるいは受動的)と活発な表面排水を特徴とする。術後あるいは外傷後の腫れが最大になり、収り始める標準的な期間は約2、3日である。
【0042】
図13aは、「段階的に構成要素が取り外されたか?」の判定ボックス102で始まる段階2を示している。肯定的な判定の場合、103で独立して構成要素の動作を停止して取り外し、104で活動中の吸引を停止し、106で疎水性のPUEフォーム(FTC.2)の内部の圧力を負圧から陽圧に変圧し、表面の複合的な圧力(surface composite pressure)を外気圧から陽圧に増加される可能性がある。この変圧は、圧縮されあるいは膨張したFTC.2による過度の圧力を表面に加えないことが好ましい。段階1では、負圧(すなわち、吸引/バキューム)は、FTC.2を圧縮し、これにより、オーバードレープ24に接触し、FTC.2による圧力を増加させる。手動あるいは自動のいずれかにより負圧を加えることを中止すると、FTC.2は、オーバードレープ24の圧力に逆らって、皮膚42に対して、特に、縫合線8に沿って同じあるいは反対の反応圧力で再び膨張する。したがって、FTC.2は、単に真空源の使用を中止することにより、外気圧から陽圧に自動的に切り替わる。
【0043】
皮膚42にかかる陽圧は、縫合線8に沿って組織を圧迫および固定して(ステップ8)腫れを軽減し、ステップ110で、FTC.1およびFTC.2の動作と協同して、縫合線8における蒸発作用により排水を続ける。判定ボックス102において否定的な判定の場合、112でインタフェースを取り外し、治療が終了していない場合、113で縫合線を検査および治療し、114で患者用インタフェース12の全部あるいは一部に関連するインタフェースの交換をする。次に、前記方法は段階3に進む。
【0044】
段階3
図13cは、治療方法の段階3を示しており、118で深部の排水が中断されチューブが取り外される。120、122それぞれでは、オーバードレープ24およびFTC.2が取り外される。アンダードレープ20およびFTC.1は、124において、これらを介して縫合線8の目視検査ができるように構成されていることが好適である。縫合線8がしっかりと閉じている場合、126でアンダードレープ20およびFTC.1が取り外され、128で治療が終了する。代替的に、患者の状態に応じて、段階3でインタフェース12の全部あるいは一部を交換して治療を継続してもよい。
【0045】
IV.代替的な嫉視例である組織閉塞システム202
図14は、本発明の代替的な実施例である組織閉塞システム202を概略的に示しており、このシステムは、患者4に関連する様々な状態を検知し患者用インタフェース12に接続される1以上のセンサ206に接続可能なマイクロプロセッサあるいはコントローラ204を具えている。マイクロプロセッサ204は、容器30に関連するバルブ210に接続されたソレノイド208を操作するようにプログラムすることができ、負圧源228が発生させる流体の流れを患者用インタフェース12との接続部を介して制御する。
【0046】
図15は、複数のセンサ206a,b,cに接続されたマイクロプロセッサ204を有する組織閉塞システムを示しており、これらのセンサは、バルブ210a,b,cなどのフロー制御構成要素それぞれに関連している。例えば、患者用インタフェース12は、前述したような外側の患者用インタフェース16と、一対の深部排水チューブ50a,bとを具えることができる。患者用インタフェース12は、1以上の流体容器と、ポンプ(手動あるいは電動)と、システムを制御するマイクロプロセッサ204に接続可能な関連する制御部とを具える任意の供給構成要素214を具えている。この供給構成要素214は任意で、深部排水チューブ50あるいは外側の患者用インタフェースを介して流体を患者に供給する1以上のチューブ50,60を設けてもよい。このような流体は、例えば、抗生物質、オーセンティック(aesthetic)、洗浄剤、成長因子、および治療、耐感染症、および患者の快適性の向上を促進するのに有益な他の流体を含むことができる。
【0047】
代替的な実施例である組織閉塞システム202による治療方法が図16に示されており、これは通常、改良された前治療230および段階1の処置に関連する。この方法は、「開始」から、診察/評価ステップ234、治療計画ステップ236、ディープドレインの挿入238、縫合240、外側のインタフェース用構成要素の適用242、マイクロプロセッサのプログラミング244、チューブの接続などの応用的な構成要素の接続246に進む。段階1は、深部の排水248から始まり、活発な吸引インタフェース250、「縫合線から活発に排水されているか?」判定ボックス252に進む。縫合線が活発に排水している場合、前記方法は、ステップ250の活発な吸引インタフェースに戻り、そうでない場合(252の否定的な判定)は段階2へ進む。
【0048】
V.応用例
本発明の組織閉塞システム2および202の有用な応用例の原理を制限することなく、以下の部分的なリストは、潜在的な患者の状態と発明の応用例を示す処置を表わしている。
・外科的切開などの閉じられた組織分離の上。
・関節切開術、再生手術、美容手術、組織弁(flap)および傷跡の修正、関節全置換術などによる切開部は、動作およびストレッチの影響を受けやすい関節の上、即ち、尻、膝、肘、肩および足。
・皮膚および皮下組織の固定が深部の縫合による裂開を低減する厚いあるいは不安定な皮下組織の領域内の任意の創傷。
・不規則な腔が生成される再生手術による創傷。これらは、腫瘍、移植片、骨、他の組織の切除が含まれる。手足の長さおよび形状の変化、骨および他の深部の構造の大きさ、位置、および輪郭の変化。
・創傷内の死腔の除去および予防は重要である。
・血腫および血清種の治療。
・切断断端。
・腹部、胸部、脇腹、および患者の閉塞および移動を補助する創傷の固定がされる他の創傷。
・テープあるいは他の粘着剤を繰り返し取り外し交換することにより、痛み、炎症、あるいは創傷の近くの皮膚の水ぶくれを発生させる脆弱あるいは敏感な皮膚の領域の創傷。位。
・風呂やシャワーの水による雑菌の混入を防ぐために皮膚が十分に治る前に、患者が入浴したい場合の創傷。
・糞、尿、および他の体の流体による汚染の影響を受けやすい創傷。
・子供、高齢者、精神病、神経病の患者、およびドレスおよび創傷を阻害し易い他の患者。
・繰り返される創傷の検査により治療が妥協される複数のコンサルタントおよび介護者を有する患者。
・深部の閉塞および表面の縫合糸およびステープル。
・任意の清潔な外科的あるいは外傷性の切開、開口部、あるいは縫合糸により完全あるいは部分的に閉じた部位、あるいは皮膚の縁部が、ドレスの負圧ゾーンの幅よりも狭い隙間に配置される部位、すなわち、最大の間隔がFTC.1(レイヨンストリップ)よりも狭いあるいは同じである部位。
・美容整形および再生手術では、本発明のシステムおよび方法は、早期の出血、浸出、斑状出血、および創傷の浮腫の影響を制御および抑制することができる。
・手足の手術の場合、この方法による圧縮および排水が、周囲の圧縮用ラッピングの必要性を無くしあるいは低減する。
・尻および膝の切開などの排水を長引かせる傾向がある組織分離、治療を阻害する傾向がある糖尿病などの健康状態を有する患者の組織分離。病院の短期間の滞在は、腫れの軽減および排水の制御に起因する。
【0049】
VI.ケーススタディ
・一般概念:フォーム材(FTC.2)を手術部位および他の創傷の表面に順次適用すること。縫合線の空気乾燥は、レイヨンストリップ(FTC.1)により容易になる。
・段階1:能動的あるいは受動的な深部の排水(ドレインチューブ)、(外科的な切開部、縫合線から出血および浸出するドレインの頂部に配置される)PUEフォームの表面に適用される能動的な吸引、陽圧を切開部分全体に加える能動的な吸引圧縮PUEフォーム、PUEフォームの下にある皮膚上の3−800型MVTRを有する粘着層フォルムのアンダードレープ、縫合線上のレイヨン(あるいは他の好適な多孔性の芯材)ストリップ、PUEフォーム材を覆う同じような種の粘着性フィルムのオーバードレープ(3−800型MVTR)。
・期間:約2乃至3日、すなわち、切開/縫合線の活発な排水がおさまり、縫合線が乾燥および治る有効な時間。
・段落2:(エルボ)コネクタを切り離すことにより活発な吸引を取り去り、FTC.2を適切な位置に配置する。吸引が取り外された後、FTC.2は、オーバーラップに逆らって膨張し、手術部位に陽圧差を加える。段階2を通じて軽い圧力を維持してよく、レイヨンストリップを介したFTC.2への残りの排水機能により、縫合線の乾燥が続けられる。深部のドレインチューブは、深部の排水のために段階2を通じて適切な位置に配置される。
・期間;約3日、すなわち、術後3乃至6日である。
・段階3:オーバードレープおよびFTC.2を取り外し、アンダードレープおよびレイヨンストリップを残し、創傷の回復状態を目で観察し、所望の透明性(transparency desireble)。
・期間:数週間(例えば、上限3週間)。
・臨床試験の確認:深刻な治療上の問題を有する患者の胸部の上側の手術部位の閉鎖は、優れた結果と迅速な創傷の治癒を示した。
・表皮下(表皮下)の縫合糸は、レイヨンストリップとの接触を防止し、早期の縫合糸の取り外し、あるいは圧縮可能な空のスポンジの真下の皮膚を圧縮する必要がある。
・オプション:創傷部分の圧力のマッピングを調整し、圧力および、流れ等を制御および監視する圧力変換器を使用する。
【0050】
VII.代替的な実施例である組織閉鎖システム302
本発明の代替的な実施例を具える組織閉鎖システム302が、図17乃至22に示されている。このシステム302は、筋膜の直上の削られた領域306と、主に真皮と皮下層に配置される上側の組織分離308を有する創傷304を閉じるように構成されている。ウェッジ型の内側の流体移動構成要素(フォーム片)310は、組織分離領域308に配置され、創傷304の両側に配置されたサイドドレープ312の間に挿入される。外側の流体移動構成要素(フォーム片)314は、内側の構成要素310とサイドドレープ312の上部に配置され、外側ドレープ316により覆われる。任意の最深部のフォーム片330は、削られた領域306に配置可能であり、当該領域にフィットする大きさにでき、内側のフォーム片310にあるいは当該フォームから流体および傾度力を移動あるいは伝達できる。
【0051】
再閉可能なアクセスパネル318が、外側ドレープ316」に形成された開口部の上に配置され、中心領域の中心線に沿って長さ方向に延在する再閉可能シールストリップ324を有する接着剤が塗布されていない中心領域322を取り囲む接着剤が塗布された周辺部320を具えている。シールストリップ324は、溝328に取り外し可能に把持されるリブあるいはビード326を具えている(図20)。
【0052】
使用時には、周辺部322の周囲の再閉可能なアクセスパネル318は、外側のドレープ316に固定され、ドレスシステム302のフォーム片310,314へのアクセスを提供する。例えば、フォーム片310,314は交換でき(図21および22)、治療を施すことができ、創傷の回復の様子を目で確認できる。
【0053】
VIII.代替的な外側のドレス402
図23乃至27は、外側のドレス402を示しており、これは、事前に製造できあるいは事前に組み立てることができ、様々な創傷の治療および閉鎖の応用例に利用できる。このドレス402は、例えば、412で示す縫合糸、ステープル、接着剤あるいは他の好適な機械的な固定具によりフォーム片404の上側の周辺部410に固定されたオープントップ408を具えているレイヨンカバー406で部分的に囲まれたフォーム片404を具えている。ドレス402は、フォームを覆う中心部416と周辺の患者に接触するスカート部418を具える外側のドレープ414を事前に取り付けておくことが好適である。折り曲げられたマージン420が、ドレープ部材416,418が交差する部分に形成され、フォーム片404の下に部分的に配置され、皮膚を保護し、水膨れが生じる可能性のあるフォーム片404の縁部の周囲に圧力が低い真空の空間が形成されるのを防止する。使用時には、ドレス402は、マージン420の周囲を切断し、フォーム片404およびどれー部の外側部分416を取り外すことにより容易に交換できる。したがって、創傷は、検査、洗浄、鮮創、治療等ができ、新しいドレス402を配置できる。患者に接触する元のドレスのスカート部418は残すことができる。
【0054】
図23は、エルボ連結部417および排出チューブ419からの流体の流れ(排出)を示す矢印421を示している。代替的に、流体は、チューブ419および連結部417を介してドレス402に注入してもよい。水圧/空気圧の力の矢印423は、図23に示されており、下向きの(即ち、患者への)力を示しており、これは、吸引によってフォーム片404を圧縮することにより発生させることができ、負圧差を解消し、ドレスを陽圧差に変化させる。陽圧差モードの動作では、ドレス402は、創傷近くの組織にフォーム片404を押しつけることにより浮腫を制御する。この方法で浮腫を制御することは、多くの潜在的な医療効果がある。例えば、治癒が促進され、瘢痕組織が最小化され、患者の不安を軽減できる。
【0055】
図24は、皮下層の頂部の真皮の下に配置される内側のフォーム片422と共に使用される外側のドレス402を示している。内側のフォーム片422は、皮下層に圧力差を適用するように構成されており、これにより、組織の成長および閉鎖が促進される。図24に示すドレスシステムの内側/外側の構成は、浮腫を制御するための圧力(陽圧力差)などの圧力差を外側および内側のフォーム片404,422に適用することにより、縮小して堅く動かない浮腫になった柔軟な創傷の縁部424を修復および生成することができる。
【0056】
図25は、真皮426により囲まれ、別の内側のフォーム片428が配置された状態の創傷を示している。皮下層はほぼ治る。図26は、創傷の縁部430を表皮で繋ぐための配置された外側のフォーム片404を示している。図27は、レイヨンカバー406により側面および底面を覆われ、オープントップ408が残された外側のフォーム片404を示している。
【0057】
IX.代替的な実施例であるドレスシステム502
図28は、前述したフォーム片404と同様の外側フォーム片504と、真皮および皮下層に配置された内側のフォームアセンブリ506とを具えるさらに別の実施例である内側/外側ドレスシステムの構成502を示している。このアセンブリは、創傷により形成される削られた腔510の筋膜の上部の皮下層の底部に配置可能な隣接した内側のフォーム片508と、外側のフォーム片504と近位の内側のフォーム片508との間の創傷の真皮および皮下層部分に主に配置された遠位の内側のフォーム片412とで構成されている。
【0058】
ドレスシステムの構成502は、様々な創傷の構成を様々な治療の段階に適応させるべく、必要に応じて構成および再構成できる。例えば、近位の内側のフォーム片508は、削られた腔510が閉じたときに取り外すことができる。同様に、遠位の内側のフォーム片512は、皮下層および真皮が治ったときに取り外すことができる。さらに、フォーム片504,508および512は、ドレスの交換に関連して必要に応じて、また創傷の構成が変化したときに、異なる大きさのフォーム片と交換できる。このような大きさおよび構成は、圧力勾配(陽および負双方)、流体制御、浮腫制御、抗菌測定、洗浄、および他の治療手順の有益な効果を最適化するために選択できる。さらに、前述したアクセスパネル318は、このシステムのフォーム片および創傷自体にアクセスすべく、ドレスシステム502と関連して使用できる。
【0059】
図29は、ドレープ316が圧縮された外側のフォーム片504上できつく引っ張られた状態で、外側の真空源の真空の影響により圧縮された内側/外側のドレスシステム502を示している。このように圧縮された場合に、システム502は、陽圧力差、圧縮力を創傷の領域に伝えるように構成されている。
【0060】
X.代替的な実施例であるドレスアセンブリ602
図30乃至37は、本発明の代替的な実施例を具えた再閉可能な事前に組み立てられた外側のドレスアセンブリ602を示している。ドレスアセンブリ602は、レイヨン606あるいは所望の吸収性および/あるいは水分を運ぶ能力を有する他の好適な素材で完全に覆うことができるフォーム片604を具えている。また、フォーム片604は、ポリウレタン、疎水性フォームなどの好適な素材を具えるコア605を具えている。代替的に、疎水性あるいは親水性の特性を有する他の素材を利用してもよい。フォーム片604の様々な大きさおよび形状を利用してよく、医療処置の課程でその大きさに切断および切り取ってもよい。
【0061】
フォーム片604は、中央の開口部618を形成する取り外しできるように接着剤が塗られたストリップ612,614および616により選択的に覆われるボトムパネル610を具える再閉可能なシース608に取り外し可能に配置される。図31に示すように、ボトムパネルの中央の開口部618は、中央のバックストリップ614により主に覆われている。中央のバックストリップ614を取り外すことにより、開口部618を介してフォーム片604が現れる。また、再閉可能なシース608は、中心部で端部から端部に長さ方向に延在する再閉可能なシールストリップ622を有するトップパネル620を具えている。このシールストリップ622は、前述した再閉可能なシールストリップ324と同様の構成でもよい。また、トップパネル620は、例えば、Leurロック連結部あるいは他の好適な流体連結装置を具えることができる流体ポート324,326を具えている。
【0062】
シース608は、ポリエチレン、あるいは浸透性、可撓性、生体適合性、抗菌特性などの性能基準に基づいて選択された他の好適な素材を具えることができる。様々な浸透性および半浸透性素材は通常、空気循環にさらすことにより治癒が促進される医療の応用例では皮膚のドレープとして利用される。シース608は、連続的なバキューム吸引が利用可能でありドレス602が気密性を必要としない応用例のために、このような素材から形成できる。
【0063】
本発明の方法の実施例によると、ドレスアセンブリ602は、予め組み立てることができ、あるいは特定の用途に適した構成要素を利用して特注で組み立てることができる。予め組み立てられて種類の場合、ドレス602は、予め殺菌され、殺菌したパッケージに包装されるのが好適である。
【0064】
ドレス602は通常、出血および他の流体の浸出を制御するために、最近閉じられた外科的切開に利用される。例えば、ドレス602は、縫合線636上に配置されるボトムパネルの開口部618を利用して患者に配置される(図36)。中央のバックストリップ614は、ボトムパネル610から剥がされ、ボトムパネル610の開口部618および接着剤628が露出する(図33)。開口部618は、流体の移動を提供し、これはまた、浸透性素材からシースのボトムを構成することにより、あるいはこれらの間に他の通路構成を設けることにより提供される。次に、ドレス602は、ボトムパネルの接着剤が一時的に固定する状態で患者に配置される。次に、図32に示すように、側部のバックストリップ612,616が取り外され、ボトムパネル610が、完全に患者に固定される。
【0065】
流体ポート624,626は、特定の治療方法に応じて、流体の抽出あるいは注入のいずれか一方あるいは双方を行うように構成されている。抽出する場合、真空源はポート624,626のいずれかあるいは双方に取り付けでき、壁面吸い込み(wall suction)などの機械的な電力式圧力差供給源(pressure differential source)を具えることができる。代替的に、吸引バルブ630(図33)あるいはインディアナ州ワルシャワ所在のZimmer社から入手可能なHemovac装置などの手動式の機械的な吸引装置を設けることができる。このような手動式の吸引装置は、患者の移動性を提供し、比較的操作が単純である。電気式の吸引および流体ポンプ装置は、断続的および交互の吸引を提供し、且つ患者の状態のフィードバック信号に自動的に反応するように予めプログラミングされている。図33に示すように、負圧力差(吸引)を提供することにより、フォーム片604上のシース608が潰れる。このように、前述した様々な動的な流体の力および流体の動作の影響は、操作および制御できる。
【0066】
図34は、流体の流れの矢印632で示すように、流体ポート24の双方から排出した結果、シース608がさらに潰れた様子を示している。周囲の空気圧の力の矢印634は、この力の作用を示しており、これは、フォーム片604上でシース608を潰す傾向がある。
【0067】
図35は、ドレス602の内側にアクセスするための開いた状態のシールストリップ622を示している。次に、フォーム片604は、図36に示すように取り外すことができ、縫合線636が目で検査でき、および/あるいは治療できる。フォーム片604は、必要に応じて裏返しあるいは交換できる。図37は、フォーム片の断面を示しており、これは、レイヨンあるいは他の好適な芯材606で完全に覆うことができ、縫合線636に対していずれかの側面を配置するのを容易にする
【0068】
XI.代替的な実施例であるドレスアセンブリ702
図38乃至40は、本発明の代替的な実施例を具えるドレスアセンブリ702を示しており、これは、好適な疎水性あるいは親水性のフォーム材を具えるフォーム片を具えている。フォーム片704は、前述したシース608と同様なシース708に選択的および取り外し可能に配置できる。ライナ706は、縫合線636からフォーム片704へ流体を移動させるように構成され、さらにフォーム片704が患者に直接接触するのを防止するように構成されたレイヨン片あるいは他の好適な素材を具えることができる。リニア706は、シース708のボトムパネルに平らに設置するような大きさにすることができる。
【0069】
使用時には、ドレスアセンブリ702は、シースを取り外し、患者への粘着を阻害することなく、創傷の検査、創傷の治療、および構成要素の交換処理用に構成されたドレスで、フォーム片704およびライナ706などの容易に利用可能な構成要素を利用するように構成されている。図39は、再使用あるいは再配置のために裏返し可能なフォーム片704を取り外す様子が示されている。図40は、容易に交換可能なリニア706を取り外す様子が示されている。リニア706が取り外された状態では、縫合糸の取り外し、検査、治療、洗浄、および他の処置のために、縫合線636が露出される。次に、シース708が再び閉じられ、バキューム補助および/または他の治療が再開する。
【0070】
XII.代替的な実施例であるドレスアセンブリ802
ドレスアセンブリ802は、図41に示す本発明の代替的な実施例を具えており、これは、再閉可能なシールストリップ808により開閉するように構成されたシース806内にフォーム片804を具えている。シース806は、好適な半浸透性あるいは不浸透性ドレープ材を具えることができる上側のドレープ部材810を具えている。シース806は、相対的に流体の密閉性があるシールをシース806の周囲に設けるように構成された接着性の周辺シール813を任意で設けることができる周辺部812を具えている。周辺シール813は、患者の不快、皮膚の浸軟などを最小限にすべく、比較的狭くすることができる。ボトムパネル814は、レイヨンなどの好適な芯材を具えており、シース周辺部812まで延在している。ドレス802を具える素材は、浸透性、密閉性、生体適合性、液体に対する疎水性あるいは親水性の反応、静細(bacteriastatic)および抗菌性の特性、および他の性能に関する特性および基準により選択できる。
【0071】
使用時には、ドレスアセンブリ802は、患者の創傷あるいは縫合線上に配置される。周辺部の接着剤813は、一時的に固定し密閉することができる。テープのストリップ816は、シース806を適切な位置に固定するためにシースの周辺部812上に配置できる。流体は、バキューム源に取り付けできる前述したような好適な流体連結部を介して排出するために、芯材層814を通ってフォーム片804に移動される。さらに、ドレスアセンブリ802は、前述したように、陽圧力差を提供するように構成されている。シールストリップ808は、前述したように、フォーム片を裏返しあるいは交換するために、フォーム片804へのアクセスを可能にする。
【0072】
フォーム片804、ドレープの上側部分810、および芯材層814は、独立した動作により組み立てることができ、これらの構成要素間の取り付けのみ、ドレープの上側部分810が芯材層814に接続される周辺部812で行われる。このような独立した自由な動作により、ドレスアセンブリ802が再構成し、患者や圧力差などの様々な作用する力に適合する。このように、個々の構成要素は、他の構成要素を阻害しあるいはドレスアセンブリ802の性能および快適性を妨げることなく、互いに独立して膨張および収縮できる。
【0073】
XIII.代替的な実施例であるドレスアセンブリ902
本発明の別の代替的な態様あるいは実施例を具えるドレスアセンブリシステム902が図42乃至46に示されており、これは、切開による組織分離906を有する患者に対する陽圧力および/負の吸引力の適用を制御するように構成されたドレス904を具えている。システム902の有用な利用の普遍性を制限することなく、切開906は、針908、あるいはステープル、接着剤、テープなどの他の好適な創傷を閉じる処置により任意で閉じることができる外科的な切開を含むことができる。切開906は、閉じた状態の吸引排水用チューブ910を切開の底部に具えることができ、これは、周知の外科的処置を利用して、突き刺した切断(stab incision)を通って皮膚表面に運ぶことができる。
【0074】
ドレス904は、任意の周囲のベースリング912を有するドレスカバー909を具えており、これは、下側の面に利用される皮膚に害のない接着剤914の層を有する半浸透性素材を具えている。ドレス904を利用する前に、ベースリングの接着剤914が、リリースタブ917(図44)を有するリリースペーパーバック916(図45)を設ける。ベースリング912は、中央の近位開口部918を規定し、これを介してドレス904が下に向かって開かれる。カバーの上部構造920は、近位パネル922と、通常折り畳まれ潰された縁部を規定する周辺部924と、別の折り畳まれ潰れた縁部で中央の開口部918の周囲のベースリング912に固定される近位リターンリング926とを具えている。このように、ベースおよびリターンリング912,926は、膨張および潰れるように構成され、重なり折られた厚さが2倍のベース構造928を形成する。遠位カバー開口部930が、遠位パネル922に形成され、可撓性のあるベロー形状の折り畳み可能なシースと連通し、これはすなわち、例えば、針が必要ないLeurロックハブあるいは空気バルブなどの他の好適なチューブ連結/閉塞装置を具える末端のコネクタ936で終了する硬質のチューブの長さ934を具えている。チューブ934は、ドレスカバー909の内側と連通する近位端部935を具えている。
【0075】
任意の移動アセンブリあるいは要素938がカバー909内に配置され、これらの中央の開口部918を介して露出される。移動アセンブリ938は任意で、圧縮可能な網状のコア940を具えており、これは、例えば、疎水性、弾力性および記憶性能特性で選択されたポリウレタンエーテルフォーム材を具えることができる。また、移動アセンブリ938は、液体を運ぶ特性と、患者の皮膚に直接接触するための生体適合性を有するOwens(登録商標)レイヨンの手術用ドレスなどの素材を具える多孔性および可撓性のあるリニア942を具えている。
【0076】
ドレスシステム902の有用な利用の普遍性を制限することなく、術後の切開ドレスの利用は、このシステムに適している。ドレス904は、予め組み立てることができ、通常の手術室のような殺菌された状態で開くために殺菌して包装できる。中央の開口部918は、十分に重なった状態の組織分離906に適応する大きさにすることができ、周囲のベースリング接着剤914は、組織分離906の領域の周囲で、潜在的に内側で活動する切開の領域を超えて健康的な皮膚に接着される。複数のドレス904は、端から端に(図46)あるいは並んで配置でき、比較的長い切開950を効果的に覆うことができる。このように複数のドレスを利用する場合、縫合線952は、患者の快適性の目的のために、接着剤が塗られたベースリングが交差する位置を介在するバリア層ストリップ938で覆うことができる。バリア層ストリップ948は、例えば、ニュージャージー州エルウッド所在のIntegrity Medical Device社から入手可能なXeroform(登録商標)ガーゼ、Vaseline(登録商標)ガーゼ、あるいはOwens(登録商標)レイヨンを含む。
【0077】
ベースリングの接着剤914は、治療部位の周りで比較的流体を密閉することが好適である。任意で、ベースリング912は、患者の快適性を向上し、接触領域の浸軟を阻止するための好適な通気特性を有する好適な半浸透性膜材を具えることができる。好適な圧力差源944は、チューブ連結部936に連結される。限定ではなく、圧力源944は、自動および手動式圧力源を具えることができる。例えば、自動の壁面吸い込みは通常、手術室あるいは健康管理施設で利用できる。
【0078】
術後の切開のドレスの場合、手術室の壁面吸い込みは、コネクタ936、真空のドレス904、外された壁面吸い込みに取り付けることができ、これにより、コネクタ936がシステムを密閉する。平衡の「安定状態」は、ドレスカバー909の外側と圧縮された移動アセンブリ938の内側で作用する周囲の空気による陽圧力により実現でき、これにより、圧縮力の矢印939を介して(図43)切開906および周囲の領域に圧縮力を作用する。
【0079】
例えば、図43は、ポリウレタンエーテルフォームコア940を超えて延在し、2重に折り畳まれたカバー周辺部924内に配置される2倍の厚さのライナ周辺部946を形成するレイヨンドレスライナ942を具える潰れた状態のドレス904を示している。この構成では、切開906から浸出する任意の液体が、レイヨンライナ942の液体を運ぶ働きにより、切開906から流体移動矢印941を通って効果的に移動される。通常、術後の一日あるいは二日の短期間、切開線からの漿液滑液性の流体の分泌が予想される。半浸透性のベースリング912を介した僅かな空気の循環が組み合わされたレイヨンライナ942の液体を運ぶ作用が、協同して切開906とこれの周囲の健康的な皮膚を比較的乾いた状態に維持し、浸軟を阻止する。また、ドレス904の構成要素により提供される圧力差は、前述した液体を運ぶ作用と協力して、創傷の浸出液の抽出および除去を助長する。ドレス904が圧縮された状態では(図43)、チューブの近位端935は、流体を直接移動させるために、移動要素938に取り付け、押し込むことができる。
【0080】
真空のドレス904は、多くの医療の切開閉塞および治療の利点を提供する。ドレス904により作用する力から生じる切開および周囲の組織における安定化および固定化の効果は、対向する縁部が摺動し互いに移動する隙間治療(gap healing)とは対照的に、接触治療(contact healing)を促進する。さらに、浮腫および斑状出血の制御は、圧力がドレス904内で解放されたときに予め圧縮された形状および体積を回復する圧縮されたコア940の圧縮力の矢印939を介した陽圧力、圧縮力を用いることにより実現される。このように、例えば、ベースリング912の周囲の制限あるいは制御された漏出の影響は、制御されたコア940の膨張により補正される。ドレス904を介した制限された空気の動きは、内側の水分を制御し、浸軟を低減するなどにとって有益である。
【0081】
システム902は、切開を閉塞および治療する過程で必要に応じて調整および交換できるように構成されている。追加的な空気の移動は、自動あるいは手動式の供給源からコネクタ936を介して供給できる。壁面吸い込み、機械化されたポンプ、および他の自動供給源を利用できる。手動式のバキューム源は、圧迫式バルブ(squeeze-type bulb)(図33の630)と、インディアナ州ワルシャワ所在のZimmer社から入手可能な(Snyder)Hemovac(登録商標)吸引器と、バキュームチューブとを具えている。切開の検査906は、ドレスカバーの上部構造920にL形状の切り込みを入れ、移動アセンブリ938を抽出あるいは持ち上げることにより実現でき、これにより、切開906が露出する。移動アセンブリ938は、裏返しあるいは交換できる。次に、ドレス904は、カバー909の一部を取り替えることにより再び密閉でき、この後、前述したようにドレス904の空気を抜く。治療が完了した後、カバーの上部構造920が切り離され、移動アセンブリ938が破棄される。ベースリング912は、皮膚から剥がすことができ、あるいは接着剤914が離れるまで単に持ち上げられる。
【0082】
ドレスアセンブリ904に関連する安定化、固定化および閉塞力は、分離した組織部分を多義に接触させ、治癒を妨げる組織の横方向の移動を制御および/または阻止することにより、治癒を促進する傾向がある。ドレス902内の力に関連する陽圧力、圧縮力構成要素は、組織分離906を閉じる傾向があり、対向する組織の端部を互いが接触するように固定し、これにより治癒が促進される。創傷の縁部を互いに対して動かす傾向がある様々な他の動的な力を効果的に阻止することができる。
【0083】
XIV.代替的な実施例である外側のドレス1002,1012
図47乃至49は、別の代替的な実施例である外側のドレス1002を示している。図47に示すように、創傷6は、任意のドレインストリップ1004を創傷の縁部の間に配置し、ストリップの遠位端を隣接する皮膚表面上で折り畳むことにより準備される。このようなストリップの使用は周知である。ペンローズドレイン(Penrose drain)と称するラテックスバージョンが、ロードアイランド州クランストン所在のDavol社から入手できる。スワンソン切開ドレイン(Swanson incision drain)と称するシラスティックバージョンが、テネシー州アーリントン所在のWright Medical Tecnology社から入手できる。流体を抽出する代替的な深部創傷装置は、前述したようなドレインチューブや他の装置を具えている。代替的に、このようなドレインストリップ1004は、改良された排水を必要としない切開から省略できる。さらに、ドレインストリップ1004は、レイヨン、「ベール」ドレスあるいはライナ、「N-terface」ライナなどの流体を移動させるライナのストリップ上に配置でき、効率性を高め、皮膚の浸軟を防ぐ。
【0084】
図48は、任意でコア1008に接着あるいは配置可能な表面1009と遠位/上側および近位/下側芯材(例えば、レイヨンあるいは他の好適な芯材)層1010,1012を有する網状のコアあるいはブロック1008(例えば、前述したポリウレタン−エーテル)を具える流体移動構成要素1006を具えるドレス1002を示している。膜ドレープ1014は、流体移動構成要素1006上に配置され、切開6の近くの健康な皮膚に取り外し可能に接着される。エルボ連結部417が、膜ドレープ1014に排出ポートを形成する開口部上に配置される。連結部417は、前述したように吸引あるいは負圧力源に取り付けられる。負圧力源の活動により、流体の移動は、底部の芯材層1012に沿って流体移動構成要素1006の周辺部に向かって横方向(水平方向)に集中する傾向がある。流体移動構成要素1006と周囲の空気との間の圧力差が、図49に示すようにコア1008を圧迫する。例えば、約20%乃至80%の範囲の圧縮が適切である。このように、レイヨン層1010,1012が、特に流体移動構成要素1006の周囲で接近し、これにより、これらの間の流体の移動が促進される。さらに、上側のレイヨン層1010は、負圧力により横方向に内側に引っ張られる傾向がある一方、下側のレイヨン層1012は、皮膚上に配置されているため、もとの形状および大きさを維持する傾向がある。したがって、フォームコア1008よりも圧縮されない上側のレイヨン層110は、周辺端部の周りで下側に偏向する傾向があり、さらに、レイヨン層1010および排水連結部417への流体の流れを促進する。露出したコア1008の周辺部は、例えば、半浸透性素材を具えるできる膜1014を介したコア1008への空気の流れを促進する。
【0085】
図50および51は、芯材(例えば、レイヨンあるいは他の好適な芯材)層1026で完全に包まれたフォームコア1024を具える別の代替的な実施例であるドレスアセンブリ1022を示している。図51は、負圧力による吸引がされた後のドレス1022を示しており、これは、レイヨン層1026を湾曲させ、あるいはコアの周辺端部の下側部分の近くを束にすることができ、これにより、膨張し湾曲した芯材の2層のリム1028を提供する。このリム1028は、患者の皮膚に対する追加のインタフェースを提供し、これにより、せん断力による水膨れなどの圧力に関連する問題を防止あるいは低減する。リム1028は、長期間(3日から3週間)の術後のドレスを必要とする化膿した状態の皮膚を乾燥させるために、改良された空気の流れによる別の利点を提供することができる。
【0086】
さらに別の代替的な実施例であるドレスシステムは、通常は術後約48乃至72時間である初期の滲出段階の間のドレスアセンブリ1012の利用を具えている。この後、ドレスアセンブリ1002が取り外され、レイヨンで包んだドレスアセンブリ1022が、長期間(通常約3日から3週間)の術後の浸出段階で適用される。代替的に、レイヨン芯材層のみを利用して、芯材が補助する浸出液である流体の排水を継続してもよい。しがたって、組織は、重要なコラーゲンの強度を増加し浸出液を除去するために安定化され、これにより、切開6および排水部分を「密閉し」、皮膚表面の乾燥を促進できる。
【0087】
図52は、ドレス1032と通信し、入力信号をコントローラ1036に供給するセンサ1034を有する創傷のドレス1032のさらに別の実施例を示しており、このコントローラは、創傷のドレス1032を具えるシステムの様々な動作パラメータを制御するフィードバックループ1038を具えることができる。例えば、ヘモグロビンの値や、圧力、流体の流れ、温度、患者の状態、並びに様々な浸出液および浸出物特性が監視できる。
【0088】
図53は、ドレスの実験モデル1042を示しており、これは、システム内のモデルの流体の流れに対し垂直である。流体は、底部44で網状のポリウレタンフォームコア1050の側部46,48に沿った領域であって流体移動ゾーンを規定する領域に存在する傾向がある。空気を閉じこめるゾーン1052、すなわちフォームコア1050の頂部および中心部は空気を閉じこめ、これにより、流体が外側の端部に追いやられる。したがって、ポリウレタンエーテルの網状のフォーム材は、空気を内部に閉じこめ、液体を外部に移動させる。この構成では、液体を排水エルボ417に移動させる能力の分岐点は、圧縮されていないフォームコア1050の体積の約10%である液体の体積である。網状のフォーム内の液体の吸収は、通路をタンパク質でコーティングすることにより強化できる。
【0089】
表1は、様々な負圧力レベルにおける網状のポリウレタンエーテルの圧縮効果を示している。
【0090】
図54は、フォームがコーティングされていない状態およびタンパク質でコーティングされた状態において、異なる圧力で追加された液体の体積全体の機能としての網状のウレタンフォームの浸水面積全体を示している。
【0091】
図55は、本発明の代替的な実施例である活発な陽圧力止血鉗子(hemostat)1062を示しており、患者に配置する移動構成要素1066と、これの上に配置され、周囲の皮膚に固定されるオーバードレープ1068とを具える患者用インタフェース1064を具えている。移動構成要素1066は、コア1069を具える素材が皮膚に直接接触させるのに不適切な場合に患者の皮膚に直接接触する任意のライナあるいはカバー1070を具えることができる。移動構成要素1066は、オーバードレープ1068の開口部あるいは排水ポート1072上のエルボ連結部417を介して圧力源1067と連通する。負圧力を移動構成要素1066に加えることにより、陽圧力が移動構成要素1066を介して患者の皮膚に加わる。止血鉗子1062は、遊離液体の浮腫の吸収を加速させるために、局所的な圧力を加えるように構成されている。応用例は、皮下の出血(例えば、1074)や、体腔、内部期間および関節の遊離液体の吸収を含むことができる。他の応用例は、表面に適用される薬剤の吸収を促進する湿布タイプの応用例を具える活発な圧力止血装置1062を利用することができる。図に示すように、センサ1034およびコントローラ1036は、特に、移動構成要素1066による様々な陽圧力に関連する自動制御を提供する様々な動作パラメータを監視できる。例えば、皮下の状態の目に見える熱および赤外線の兆候はセンサ1034により検知でき、これは、コントローラ1036に入力する信号に応答して出力する。圧力は、必要に応じて循環でき、例えば、治療の目的の達成に相当する遊離液体の吸収などの所定の状態になると終了する。
【0092】
本発明の特定の実施例および/または態様が図示および説明されているが、本発明はこれらに限定されず、他の実施例および態様を含むと理解すべきである。例えば、様々な他の好適な素材は、前述した素材の代わりに使用できる。また、構成は特定の応用例に適合するために必要に応じて変更できる。さらに、様々な制御システムを設け、これを異なる動作状況に適切に自動で反応するようにプログラムできる。さらに、前述したシステムおよび方法は、他の様々な治療手順、薬剤および装置と組み合わせることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷あるいは切開用のドレスアセンブリであって、
流体を創傷あるいは切開から移動させるように構成された外側の流体移動構成要素を具える外側の患者用インタフェースを具えており、
前記外側の患者用インタフェースが、周囲の皮膚表面に接するように前記流体移動構成要素上に配置されるオーバードレープを具え、
前記流体移動構成要素が、表面を有する多孔性のコアと、これを囲む芯材カバーとを具え、
前記コアを囲む前記芯材カバーが、芯材層を含み、
前記芯材層が周縁部を含み、
前記流体移動構成要素が、圧縮された形態および圧縮されていない形態を有し、
前記芯材層の周縁部が、前記流体移動構成要素が圧縮された形態において、湾曲して横方向に突出したリムを形成し、
当該ドレスアセンブリがさらに、前記外側の流体移動構成要素に流体が流れるように、前記創傷あるいは切開に配置される内側の流体移動構成要素を具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のドレスアセンブリにおいて、前記内側の流体移動構成要素が、前記創傷あるいは切開内に配置される内側部とこれらの外側に配置される外側部とを有するドレインストリップを具えることを特徴とするドレインアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のドレスアセンブリであって、平らな可撓性素材をそれぞれ具える複数の前記ドレインストリップを具え、当該ドレインストリップの外側部がそれぞれ、前記創傷あるいは切開近くの皮膚表面上で折り畳まれることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のドレスアセンブリであって、前記流体移動構成要素に接続された圧力源を具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のドレスアセンブリであって、前記オーバードレイプに設けられ、前記圧力源に接続される流体ポートを具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項6】
請求項4に記載のドレスアセンブリにおいて、前記圧力源が、手動式のバキューム型装置(vacuum-type device)を具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項7】
請求項4に記載のドレスアセンブリであって、
前記流体移動構成要素に接続され、これらの特性を検知するように構成され、当該特性に応じた出力信号を供給するセンサと、
当該センサに接続され、当該センサからの入力信号を受信し、前記圧力源に出力信号を供給するコントローラと、
前記コントローラの出力および前記コントローラに接続され、前記コントローラの出力に応じたフィードバック信号を供給し、前記フィードバック信号を前記コントローラに入力するフィードバックループとを具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項1】
創傷あるいは切開用のドレスアセンブリであって、
流体を創傷あるいは切開から移動させるように構成された外側の流体移動構成要素を具える外側の患者用インタフェースを具えており、
前記外側の患者用インタフェースが、周囲の皮膚表面に接するように前記流体移動構成要素上に配置されるオーバードレープを具え、
前記流体移動構成要素が、表面を有する多孔性のコアと、これを囲む芯材カバーとを具え、
前記コアを囲む前記芯材カバーが、芯材層を含み、
前記芯材層が周縁部を含み、
前記流体移動構成要素が、圧縮された形態および圧縮されていない形態を有し、
前記芯材層の周縁部が、前記流体移動構成要素が圧縮された形態において、湾曲して横方向に突出したリムを形成し、
当該ドレスアセンブリがさらに、前記外側の流体移動構成要素に流体が流れるように、前記創傷あるいは切開に配置される内側の流体移動構成要素を具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のドレスアセンブリにおいて、前記内側の流体移動構成要素が、前記創傷あるいは切開内に配置される内側部とこれらの外側に配置される外側部とを有するドレインストリップを具えることを特徴とするドレインアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のドレスアセンブリであって、平らな可撓性素材をそれぞれ具える複数の前記ドレインストリップを具え、当該ドレインストリップの外側部がそれぞれ、前記創傷あるいは切開近くの皮膚表面上で折り畳まれることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のドレスアセンブリであって、前記流体移動構成要素に接続された圧力源を具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項5】
請求項4に記載のドレスアセンブリであって、前記オーバードレイプに設けられ、前記圧力源に接続される流体ポートを具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項6】
請求項4に記載のドレスアセンブリにおいて、前記圧力源が、手動式のバキューム型装置(vacuum-type device)を具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【請求項7】
請求項4に記載のドレスアセンブリであって、
前記流体移動構成要素に接続され、これらの特性を検知するように構成され、当該特性に応じた出力信号を供給するセンサと、
当該センサに接続され、当該センサからの入力信号を受信し、前記圧力源に出力信号を供給するコントローラと、
前記コントローラの出力および前記コントローラに接続され、前記コントローラの出力に応じたフィードバック信号を供給し、前記フィードバック信号を前記コントローラに入力するフィードバックループとを具えることを特徴とするドレスアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図12f】
【図12g】
【図12h】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12a】
【図12b】
【図12c】
【図12d】
【図12e】
【図12f】
【図12g】
【図12h】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【公開番号】特開2012−196478(P2012−196478A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−123180(P2012−123180)
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【分割の表示】特願2008−533793(P2008−533793)の分割
【原出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(501394620)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月30日(2012.5.30)
【分割の表示】特願2008−533793(P2008−533793)の分割
【原出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(501394620)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】
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