外光利用照明システム
【課題】外光を利用した照明システムにおいて、外光が変動しても照明対象の照度が変動しないようにする。
【解決手段】外光利用照明システム1は、建造物の開口部近傍に配置されて外光を採光する採光装置2と、採光された光を導光する導光装置3と、導光された光を照射対象に照射する照射装置5と、電力供給を受けて発光して照射装置5による光を補う発光装置6と、照射対象の明るさを測定する明るさセンサ7と、明るさセンサ7による測定結果に基づいて照射対象の明るさが所定の照度となるように発光装置6の出力を制御する制御装置8とを備える。これにより、外光が変動しても照射対象の照度が変動しない。
【解決手段】外光利用照明システム1は、建造物の開口部近傍に配置されて外光を採光する採光装置2と、採光された光を導光する導光装置3と、導光された光を照射対象に照射する照射装置5と、電力供給を受けて発光して照射装置5による光を補う発光装置6と、照射対象の明るさを測定する明るさセンサ7と、明るさセンサ7による測定結果に基づいて照射対象の明るさが所定の照度となるように発光装置6の出力を制御する制御装置8とを備える。これにより、外光が変動しても照射対象の照度が変動しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外光を採光し、採光された光を建造物内で導光して照明に利用する外光利用照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外光を照明に有効利用することによってエネルギー消費の抑制を図った照明システムがあり、例えば、外光を凸レンズ又は凹面鏡等の集光部材で集光し、集光した光をアクリル製棒体で建造物内で導光して照射するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような照明システムは、外光が時刻や天候によって大きく変動するため、照明対象の照度が一定とならず、快適な照明とはならない。また、この照明システムは、1つの集光部材で集光した光を建造物内で一旦照射し、さらにその照射光を他の集光部材で集光して順次中継することによって複数の箇所で光を照射するので、光を照射する箇所で光の損失があり、光が十分に照射されない箇所が生じる。
【0003】
また、採光した外光を内周面を反射面とした導光パイプによって建造物内で導光する照明システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。この照明システムは、導光パンプ内の任意の位置に光コンセントを配置して複数の箇所で光を照射可能としている。光コンセントは、光を照射する位置では開放され、他の位置では閉止される。光コンセントの閉止によって光の損失が低減される。しかし、このような照明システムは、導光パイプ等の施工が煩雑であり、また、外光の変動により照明対象の照度が一定とならず、開放する光コンセントの数によって照度が変わる。
【0004】
また、外光をブラインド様の部材で採光し、その光を反射鏡を用いて建造物内で導光する照明システムが知られている(例えば、特許文献3参照)。この照明システムは、導光される光が開放空間内を進むので、反射鏡の正確な施工が必要であり、施工が容易ではない。また、人工光源による照度補正について簡単に記載されているが、太陽の僅かな高度変化によって建造物内の照度分布が変動するので、複数の照度検知手段を用いた大掛かりな照度補正が必要となり、システムの実用化が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−76612号公報
【特許文献2】特開平10−241430号公報
【特許文献3】特開2005−166456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、外光を利用した照明システムにおいて、外光が変動しても照明対象の照度が変動しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、建造物の開口部近傍に配置されて外光を採光する採光装置と、前記採光装置によって採光された光を導光する導光装置と、前記導光装置によって導光された光を照射対象に照射する照射装置と、を備えた外光利用照明システムであって、前記照射装置とは別個に、電力供給を受けて発光して前記照射装置による光を補う発光装置と、前記照射対象の明るさを測定する明るさセンサと、前記明るさセンサによる測定結果に基づいて前記照射対象の明るさが所定の照度となるように前記発光装置の出力を制御する制御装置と、をさらに備えたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の外光利用照明システムにおいて、前記導光装置は、前記採光装置によって採光された光を集光する集光ユニットと、前記集光ユニットによって集光された光を導光する導光路と、前記導光路によって導光された光を分岐する分岐ユニットと、を有するものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の外光利用照明システムにおいて、前記建造物に配置され、前記発光装置、明るさセンサ及び制御装置に給電するための配線ダクトを有し、前記配線ダクトは、前記導光装置の一部を収容する収容部を有し、前記照射装置は、前記収容部に収容された導光装置の一部に接続されると共に、前記配線ダクトに取り付けられるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の外光利用照明システムにおいて、前記明るさセンサは、前記照射装置及び発光装置から前記制御装置を介して離間して配置されるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、採光される外光が変動しても、発光装置が照射装置による光を補うので、照射対象の照度が変動せず、一定の照度が得られる。このため、実用性のある外光利用照明システムを提供することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、導光装置は、採光された光を集光ユニットによって集光してから導光するので、導光路の数が少なくて済み、導光路の施工が容易となる。また、導光された光を分岐ユニットによって分岐することにより、複数の照射装置に適切に光量配分することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、配線ダクトを設けることにより、導光装置、照射装置、発光装置、明るさセンサ及び制御装置を建造物の内装面に大きな影響を与えることなく施工することが出来る。このため、外光利用照明システムを新設工事だけでなく改修工事として施工することが容易となる。
【0014】
請求項4の発明によれば、明るさセンサを照射装置及び発光装置から離間して配置することによって、明るさセンサに照射装置及び発光装置からの直射光が入り難くなり、明るさの誤測定が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る外光利用照明システムの配置例を示す図。
【図2】同システムのブロック構成図。
【図3】同システムにおける採光装置と導光装置の斜視図。
【図4】同採光装置における採光ユニットの断面図。
【図5】同採光ユニットの変形例の断面図。
【図6】上記採光ユニットを支持する構成の斜視図。
【図7】上記システムにおける導光装置の変形例の断面図。
【図8】同導光装置の別の変形例の断面図。
【図9】同導光装置のさらに別の変形例の断面図。
【図10】上記システムにおける配線ダクトの斜視図。
【図11】同配線ダクトに取り付けられる照明器具の斜視図。
【図12】同照明器具における照射装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る外光利用照明システムを図1乃至図12を参照して説明する。図1及び図2に示されるように、外光利用照明システム1(以下、照明システムという)は、外光を採光する採光装置2と、採光装置2によって採光された光を導光する導光装置3と、導光装置3によって導光された光を利用して照明する照明器具4とを有する。採光装置2は、建造物Hの開口部Wの近傍に配置される。照明器具4は、導光装置3によって導光された光を照射対象に照射する照射装置5を有する。照射対象は、例えば、建造物H内の床面F等である。
【0017】
導光装置3は、集光ユニット31と、導光路としての導光用光ファイバ32と、分岐ユニット33とを有する。導光路は、導光用光ファイバ32に替えて、導光管又は導光板であってもよい。集光ユニット31は、採光装置2によって採光された光を集光する。導光用光ファイバ32は、集光ユニットによって集光された光を建造物H内で導光する。分岐ユニット33は、導光用光ファイバ32によって導光された光を分岐する。照射装置5は、分岐ユニット33によって分岐された光を照射する。
【0018】
照明器具4は、照射装置5とは別個に発光装置6を有する。発光装置6は、電力供給を受けて発光して照射装置5による光を補う。また、照明器具4は、照射対象の明るさを測定する明るさセンサ7と、発光装置6の出力を制御する制御装置8とを有する。制御装置8は、明るさセンサに7よる測定結果に基づいて照射対象の明るさが所定の照度となるように発光装置6の出力を制御する。
【0019】
建造物Hの構造躯体の形式は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造等である。建造物Hの用途は、オフィス、店舗、住宅等であり、限定されない。開口部Wは、建造物Hにおける外光が透過する部分であり、一般的には窓部である。開口部Wの近傍とは、開口部Wから入射する外光が受光できる部位であり、例えば、窓台、窓枠、ガラス障子に面する箇所である。採光装置2は、例えば、窓越しに外光を採光するように建造物H内に設置される。
【0020】
図3及び図4に示されるように、採光装置2は、複数の採光ユニット21と、ケーシングボックス22とを有する。ケーシングボックス22は、採光ユニット21の数と同数の孔224を有する。採光ユニット21は、孔224を貫通してケーシングボックス22内から突出する支持軸23によって支持される。採光ユニット21は、大径開口211aと小径開口211bとを有する円錐台形のケーシング211と、ケーシング211の大径開口211aに設けられた採光レンズ212とを備える。採光レンズ212は、凸レンズから成る。採光ユニット21は、採光レンズ212が外光の入射方向に向くように配置される。小径開口211bには、採光用光ファイバ24の一方の端部が挿入される。採光用光ファイバ24は、シール213を介してナット214でケーシング211に締め固定される。採光レンズ212は、採光用光ファイバ24の端部に焦点を有し、入射した外光を屈折して採光用光ファイバ24の端部に入射する。採光用光ファイバ24は、屈折率の異なるアクリル樹脂によるコアとクラッドの多層構造を有する汎用のものであり、石英等の無機材料を用いたものでも良い。採光用光ファイバ24の他方の端部は、ケーシングボックス22内を経由し、ケーシングボックス22の端面より引き出され、集光ユニット31に接続される。ケーシングボックス22は、その外部両端にリブ221が延出されている。リブ221が窓枠等へのねじ留めされることにより、ケーシングボックス22が固定される。リブ221をテープ留め、フックによる吊下げ等をすることによりケーシングボックス22を固定してもよい。
【0021】
図5は、採光ユニット21の変形例を示す。この採光ユニット21は、凸レンズに替えて、ファイバ溶融型光結合器215をケーシング211内に有する。このファイバ溶融型光結合器215は、多数本の光ファイバを束ねて一端を局所加熱し、溶融延伸して細径化したものである。通常のファイバ溶融型光結合器は、光信号を結合するものであるので、光信号の伝送品質を維持するために束ねる光ファイバの本数は数本程度であるが、このファイバ溶融型光結合器215は、光エネルギーを結合すれば足りるので、より多数の光ファイバを束ねて作られる。ファイバ溶融型光結合器215の小径端部215bは、採光用光ファイバ24に接続される。ファイバ溶融型光結合器215の大径端部215aに入射した外光は、溶融型光結合器215内を進み、採光用光ファイバ24に入射する。ケーシング211の大径開口211aには、赤外線カットフィルタ216が設けられる。赤外線カットフィルタ216は、外光に含まれる赤外線を遮断し、ファイバ溶融型光結合器215と採光用光ファイバ24の過熱を防ぐ。
【0022】
図6は採光ユニット21を支持する構成を示す。支持軸23は、ケーシングボックス22内の支持板25に回動自在に立設され、ウォームホイール231を有する。ウォームホイール231は、ウォーム251と噛み合っている。ウォーム251は、支持板25上に取り付けられたモータ252によって回転される。モータ252の回転により、ウォーム251及びウォームホイール231を介して支持軸23が矢印A1で示されるように回動され、採光ユニット21が旋回される。採光ユニット21の旋回によって、大径開口211aの水平面内の向き、すなわち採光ユニット21のヨー角が調整される。ウォームホイール231及びウォーム251に替えて、ラック・アンド・ピニオンを用いてもよい。
【0023】
支持板25は、矩形であり、一端がガイドレール222によって、対向する他端が電動スライダ223によって、ケーシングボックス22に対してスライド可能に保持される。支持軸23は、ケーシングボックス22内の部分に自在継手232を有し、ケーシングボックス22の孔224からケーシングボックス22外に突出している。支持板25を矢印A2で示されるようにスライドすると、ケーシングボックス22の孔224の孔縁を支点として支持軸23が傾動する。支持軸23の傾動によって、採光ユニット21の大径開口211aの垂直面内の向き、すなわち採光ユニット21のピッチ角が調整される。このピッチ角の調整に伴うヨー角の変化は、支持軸23の回転によって補正される。ガイドレール222に替えて、リニアガイドを用いてもよい。また、電動スライダ223に替えて、ラック・アンド・ピニオン及びモータを用いてもよい。
【0024】
採光ユニット21を支持する構成は、採光ユニット21のヨー角及びピッチ角が調整可能であれは、上記の構成に限定されず、例えば、採光ユニット21と支持軸23との間に採光ユニット21のピッチ角を調整する機構を設けてもよい。
【0025】
モータ252及び電動スライダ223は、ケーシングボックス22内に設けられた制御用回路(図示せず)によって制御される。採光ユニット21が採光レンズ212を有するものである場合、採光レンズ212が太陽に正対するように制御回路によって採光ユニット21を追尾制御することが望ましい。例えば、制御用回路は、日時と、採光装置2が設置された緯度及び経度に基づいて天球上の太陽位置を算出し、採光ユニット21を追尾制御する。採光レンズ212を有する採光ユニット21は、追尾制御される場合には外光として主に直射日光を採光し、追尾制御されない場合には外光として主に天空光を採光する。太陽光を採光する効率は、直射日光を採光するほうが高い。採光ユニット21がファイバ溶融型光結合器215を有するものである場合、採光ユニット21を正確に追尾制御しなくても効率的に採光可能であり、例えば、採光ユニット21のピッチ角の調整を省略してもよい。
【0026】
複数の採光ユニット21が各々採光用光ファイバ24を有するので、採光装置2によって採光された光は、複数本の採光用光ファイバ24を介して導光装置3に入光される(図3参照)。導光装置3の集光ユニット31は、入光された光を、採光用光ファイバ24の本数よりも少ない本数の導光用光ファイバ32に集光して出光する。導光用光ファイバ32は、光を導光する。導光用光ファイバ32によって導光された光は、分岐ユニット33に入光される。分岐ユニット33は、入光された光を、導光用光ファイバ32の本数よりも多い本数の分岐用光ファイバ34に分岐して出光する。導光用光ファイバ32の本数は、原則として1本である。導光用光ファイバ32及び分岐用光ファイバ34は、屈折率の異なるアクリル樹脂によるコアとクラッドの多層構造を有する汎用のものであり、石英等の無機材料を用いたものでもよい。
【0027】
集光ユニット31は、入光側開口と出光側開口とを有するケーシング311と、凹面鏡312とを備える。入光側開口には採光用光ファイバ24が挿入され、シールを介してケーシング311にナット締め固定される。出光側開口には分岐用光ファイバ34が挿入され、シールを介してケーシング311にナット締め固定される。凹面鏡312は、採光用光ファイバ24から入光された光を集光して導光用光ファイバ32の端部に入射する。
【0028】
分岐ユニット33は、入光側開口と出光側開口とを有するケーシング331と、拡散用の凸面鏡332とを備える。入光側開口には導光用光ファイバ32が挿入され、シールを介してケーシング331にナット締め固定される。出光側開口には分岐用光ファイバ34が挿入され、シールを介してケーシング331にナット締め固定される。凸面鏡332は、導光用光ファイバ32から入光された光を拡散して分岐用光ファイバ34の端部に入射する。
【0029】
図7に示されるように、集光ユニット31は、凹面鏡に替えて、凸レンズ313を有してもよい。凸レンズ313は、複数本の採光用光ファイバ24から入光された光を集光して1本の導光用光ファイバ32の端部に入射する。また、分岐ユニット33は、凸面鏡に替えて、凹レンズ333を有してもよい。凹レンズ333は、導光用光ファイバ32から入光された光を拡散して複数本の分岐用光ファイバ34の端部に入射する。
【0030】
また、図8に示されるように、集光ユニット31は、突き合せ接続による光結合器314を有してもよい。光結合器314は、複数本の採光用光ファイバ24を1本の導光用光ファイバ32のコア部に接続して構成される。導光用光ファイバ32は、採光用光ファイバ24よりも径の大きいものが用いられる。光結合器314は、採光用光ファイバ24から入光された光を導光用光ファイバ32の端部に入光する。また、分岐ユニット33は、突き合せ接続による光分岐器334を有してもよい。光分岐器334は、1本の導光用光ファイバ32のコア部を複数本の分岐用光ファイバ34に接続して構成される。光分岐器334は、導光用光ファイバ32から入光された光を分岐用光ファイバ34の端部に入光する。
【0031】
また、図9に示されるように、集光ユニット31は、ファイバ溶融型光結合器315を有してもよい。ファイバ溶融型光結合器315は、複数本の採光用光ファイバ24から入光された光を1本の導光用光ファイバ32の端部に入光する。また、分岐ユニット33は、ファイバ溶融型光分岐器335を有してもよい。ファイバ溶融型光分岐器335は、1本の導光用光ファイバ32から入光された光を複数本の分岐用光ファイバ34に入光する。
【0032】
このように、導光装置3は、採光された光を集光ユニット31によって集光してから導光するので、導光路である導光用光ファイバ32の本数が少なくて済み、導光用光ファイバ32の施工が容易となる。また、導光された光を分岐ユニット33によって分岐することにより、複数の照射装置5に適切に光量配分することができる。
【0033】
図10及び図11に示されるように、分岐用光ファイバ34の各々の末端は、配線ダクト9内を経由して照射装置5に接続される。配線ダクト9は、建造物の天井面等に配置され、発光装置6、明るさセンサ7及び制御装置8に給電する。また、配線ダクト9は、導光装置3の一部である分岐用光ファイバ34を収容する収容部91を有する。照明器具4は、配線ダクト9に取り付けられる。
【0034】
配線ダクト9は、下方に開口する略コの字形断面を有する長尺体92を基本の構造部材として備える。長尺体92は、底面部93と側面部94とを有する。側面部94は、底面部93より上方に延出する1対の延出片95を有する。この延出片95と底面部93とで分岐用光ファイバ34を収容するための収容部91を形成する。長尺体92の開口側には、底面部93と略平行に内方側に延出する複数の延出片96a、96b、96cを有する。2対の延出片96a、96bは、照明器具4を取り付けるための溝状の係受部96dを形成する。また、配線ダクト9は、照明器具4に給電するための1対の導体97を有する。導体97は、係受部96d近傍にある2対の延出片96b、96cによって保持される。底面部93は、長手方向に一定間隔で開口98を有する。分岐用光ファイバ34は、開口98を通して収容部91から引き出される。また、底面部93は、開口98と開口98との間に肉盛りされた補強部99aを有する。補強部99aは、ねじ孔を有する。配線ダクト9は、ねじ99bによって建造物に固定される。
【0035】
照明器具4は、配線ダクト9の係受部96dと組み付けられる係載部41を有する。係載部41は、照明器具4の外郭に設けられる軸部42と、軸部42の端部に回動自在に配置されて一体的に回動する2片の回動片43、44とを有する。1方の回動片43は、回動によって係受部96dと機械的に組みつけられる。他方の回動片44は、受電用電極45を有する。回動片43が係受部96dと機械的に組みつけられたとき、受電用電極45は、配線ダクト9の導体97と電気的に接触される。
【0036】
このように、配線ダクト9を設けることにより、導光装置3、照射装置5、発光装置6、明るさセンサ7及び制御装置8を建造物の内装面に大きな影響を与えることなく施工することが出来る。このため、照明システム1を新設工事だけでなく改修工事として施工することが容易となる。
【0037】
照明器具4は、照射装置5、発光装置6、明るさセンサ7及び制御装置8を一体的に有する。照射装置5を発光装置6等と一体化せず、単独の継ぎ手(図示せず)によって支持してもよく、この継ぎ手が多軸の回動機構を有し、鉛直面内及び水平面内で回動するように構成してもよい。
【0038】
図12に示されるように、照射装置5は、入光側開口51aと、出光側開口51bと、を有するケーシング51と、拡散用凹レンズ52とを備える。入光側開口51aには分岐用光ファイバ34が挿入されシールを介してケーシング51にナット締め固定される。拡散用凹レンズ52は、ケーシング51の出光側開口51bに配置される。分岐用光ファイバ34から出射される光は、拡散用凹レンズ52によって拡散されて照射される。
【0039】
発光装置6は、照射装置5に隣接して配置される(図11参照)。発光装置6は、光源としてのLEDパッケージと、LEDパッケージから出射される光を配光する光学部材とを有し、制御装置8によって出力が制御される。
【0040】
明るさセンサ7は、焦電素子と制御素子とを有する。焦電素子は、照射装置5及び発光装置6の照射対象、例えば床面を検知対象とするように設定されており、照射対象からの反射光によって明るさを検知する。制御素子は、焦電素子の出力電圧を閾値で区分けしたり、適切なレンジで増幅することにより、出力電圧を照度信号に変換し、測定結果として制御装置8に送信する。明るさセンサ7は、照射装置5及び発光装置6から制御装置8を介して離間して配置される。
【0041】
明るさセンサ7のこのような配置によって、明るさセンサ7に照射装置5及び発光装置6からの直射光が入り難くなり、明るさの誤測定が低減される。
【0042】
制御装置8は、AC/DCコンバータと演算回路とを有する。AC/DCコンバータは、配線ダクト9の導体97から受電用電極45で受電したAC電圧をDC電圧に変換して降圧し、制御装置8の演算回路、発光装置6及び明るさセンサ7に給電する。演算回路は、メモリ、時刻を計時するタイマ等を有し、明るさセンサ7による測定結果に基づいて照射対象の明るさが所定の照度となるように発光装置6の出力を制御する。所定の照度は、例えば、メモリに予め記憶された値、又は時刻によって規定される値とされる。
【0043】
上記のように構成された照明システム1は、採光される外光が変動しても、発光装置6が照射装置5による光を補うので、照射対象の照度が変動せず、一定の照度が得られる。
【0044】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、照射装置5の分岐用光ファイバ34と拡散用凹レンズ52との間にシャッタを設けて、照明器具4の消灯時にシャッタを閉じるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 外光利用照明システム
2 採光装置
3 導光装置
31 集光ユニット
32 導光用光ファイバ(導光路)
33 分岐ユニット
34 分岐用光ファイバ(導光装置の一部)
5 照射装置
6 発光装置
7 明るさセンサ
8 制御装置
9 配線ダクト
91 収容部
F 床面(照射対象)
H 建造物
W 開口部
【技術分野】
【0001】
本発明は、外光を採光し、採光された光を建造物内で導光して照明に利用する外光利用照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外光を照明に有効利用することによってエネルギー消費の抑制を図った照明システムがあり、例えば、外光を凸レンズ又は凹面鏡等の集光部材で集光し、集光した光をアクリル製棒体で建造物内で導光して照射するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような照明システムは、外光が時刻や天候によって大きく変動するため、照明対象の照度が一定とならず、快適な照明とはならない。また、この照明システムは、1つの集光部材で集光した光を建造物内で一旦照射し、さらにその照射光を他の集光部材で集光して順次中継することによって複数の箇所で光を照射するので、光を照射する箇所で光の損失があり、光が十分に照射されない箇所が生じる。
【0003】
また、採光した外光を内周面を反射面とした導光パイプによって建造物内で導光する照明システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。この照明システムは、導光パンプ内の任意の位置に光コンセントを配置して複数の箇所で光を照射可能としている。光コンセントは、光を照射する位置では開放され、他の位置では閉止される。光コンセントの閉止によって光の損失が低減される。しかし、このような照明システムは、導光パイプ等の施工が煩雑であり、また、外光の変動により照明対象の照度が一定とならず、開放する光コンセントの数によって照度が変わる。
【0004】
また、外光をブラインド様の部材で採光し、その光を反射鏡を用いて建造物内で導光する照明システムが知られている(例えば、特許文献3参照)。この照明システムは、導光される光が開放空間内を進むので、反射鏡の正確な施工が必要であり、施工が容易ではない。また、人工光源による照度補正について簡単に記載されているが、太陽の僅かな高度変化によって建造物内の照度分布が変動するので、複数の照度検知手段を用いた大掛かりな照度補正が必要となり、システムの実用化が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−76612号公報
【特許文献2】特開平10−241430号公報
【特許文献3】特開2005−166456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、外光を利用した照明システムにおいて、外光が変動しても照明対象の照度が変動しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、建造物の開口部近傍に配置されて外光を採光する採光装置と、前記採光装置によって採光された光を導光する導光装置と、前記導光装置によって導光された光を照射対象に照射する照射装置と、を備えた外光利用照明システムであって、前記照射装置とは別個に、電力供給を受けて発光して前記照射装置による光を補う発光装置と、前記照射対象の明るさを測定する明るさセンサと、前記明るさセンサによる測定結果に基づいて前記照射対象の明るさが所定の照度となるように前記発光装置の出力を制御する制御装置と、をさらに備えたものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の外光利用照明システムにおいて、前記導光装置は、前記採光装置によって採光された光を集光する集光ユニットと、前記集光ユニットによって集光された光を導光する導光路と、前記導光路によって導光された光を分岐する分岐ユニットと、を有するものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の外光利用照明システムにおいて、前記建造物に配置され、前記発光装置、明るさセンサ及び制御装置に給電するための配線ダクトを有し、前記配線ダクトは、前記導光装置の一部を収容する収容部を有し、前記照射装置は、前記収容部に収容された導光装置の一部に接続されると共に、前記配線ダクトに取り付けられるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の外光利用照明システムにおいて、前記明るさセンサは、前記照射装置及び発光装置から前記制御装置を介して離間して配置されるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、採光される外光が変動しても、発光装置が照射装置による光を補うので、照射対象の照度が変動せず、一定の照度が得られる。このため、実用性のある外光利用照明システムを提供することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、導光装置は、採光された光を集光ユニットによって集光してから導光するので、導光路の数が少なくて済み、導光路の施工が容易となる。また、導光された光を分岐ユニットによって分岐することにより、複数の照射装置に適切に光量配分することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、配線ダクトを設けることにより、導光装置、照射装置、発光装置、明るさセンサ及び制御装置を建造物の内装面に大きな影響を与えることなく施工することが出来る。このため、外光利用照明システムを新設工事だけでなく改修工事として施工することが容易となる。
【0014】
請求項4の発明によれば、明るさセンサを照射装置及び発光装置から離間して配置することによって、明るさセンサに照射装置及び発光装置からの直射光が入り難くなり、明るさの誤測定が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る外光利用照明システムの配置例を示す図。
【図2】同システムのブロック構成図。
【図3】同システムにおける採光装置と導光装置の斜視図。
【図4】同採光装置における採光ユニットの断面図。
【図5】同採光ユニットの変形例の断面図。
【図6】上記採光ユニットを支持する構成の斜視図。
【図7】上記システムにおける導光装置の変形例の断面図。
【図8】同導光装置の別の変形例の断面図。
【図9】同導光装置のさらに別の変形例の断面図。
【図10】上記システムにおける配線ダクトの斜視図。
【図11】同配線ダクトに取り付けられる照明器具の斜視図。
【図12】同照明器具における照射装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る外光利用照明システムを図1乃至図12を参照して説明する。図1及び図2に示されるように、外光利用照明システム1(以下、照明システムという)は、外光を採光する採光装置2と、採光装置2によって採光された光を導光する導光装置3と、導光装置3によって導光された光を利用して照明する照明器具4とを有する。採光装置2は、建造物Hの開口部Wの近傍に配置される。照明器具4は、導光装置3によって導光された光を照射対象に照射する照射装置5を有する。照射対象は、例えば、建造物H内の床面F等である。
【0017】
導光装置3は、集光ユニット31と、導光路としての導光用光ファイバ32と、分岐ユニット33とを有する。導光路は、導光用光ファイバ32に替えて、導光管又は導光板であってもよい。集光ユニット31は、採光装置2によって採光された光を集光する。導光用光ファイバ32は、集光ユニットによって集光された光を建造物H内で導光する。分岐ユニット33は、導光用光ファイバ32によって導光された光を分岐する。照射装置5は、分岐ユニット33によって分岐された光を照射する。
【0018】
照明器具4は、照射装置5とは別個に発光装置6を有する。発光装置6は、電力供給を受けて発光して照射装置5による光を補う。また、照明器具4は、照射対象の明るさを測定する明るさセンサ7と、発光装置6の出力を制御する制御装置8とを有する。制御装置8は、明るさセンサに7よる測定結果に基づいて照射対象の明るさが所定の照度となるように発光装置6の出力を制御する。
【0019】
建造物Hの構造躯体の形式は、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造等である。建造物Hの用途は、オフィス、店舗、住宅等であり、限定されない。開口部Wは、建造物Hにおける外光が透過する部分であり、一般的には窓部である。開口部Wの近傍とは、開口部Wから入射する外光が受光できる部位であり、例えば、窓台、窓枠、ガラス障子に面する箇所である。採光装置2は、例えば、窓越しに外光を採光するように建造物H内に設置される。
【0020】
図3及び図4に示されるように、採光装置2は、複数の採光ユニット21と、ケーシングボックス22とを有する。ケーシングボックス22は、採光ユニット21の数と同数の孔224を有する。採光ユニット21は、孔224を貫通してケーシングボックス22内から突出する支持軸23によって支持される。採光ユニット21は、大径開口211aと小径開口211bとを有する円錐台形のケーシング211と、ケーシング211の大径開口211aに設けられた採光レンズ212とを備える。採光レンズ212は、凸レンズから成る。採光ユニット21は、採光レンズ212が外光の入射方向に向くように配置される。小径開口211bには、採光用光ファイバ24の一方の端部が挿入される。採光用光ファイバ24は、シール213を介してナット214でケーシング211に締め固定される。採光レンズ212は、採光用光ファイバ24の端部に焦点を有し、入射した外光を屈折して採光用光ファイバ24の端部に入射する。採光用光ファイバ24は、屈折率の異なるアクリル樹脂によるコアとクラッドの多層構造を有する汎用のものであり、石英等の無機材料を用いたものでも良い。採光用光ファイバ24の他方の端部は、ケーシングボックス22内を経由し、ケーシングボックス22の端面より引き出され、集光ユニット31に接続される。ケーシングボックス22は、その外部両端にリブ221が延出されている。リブ221が窓枠等へのねじ留めされることにより、ケーシングボックス22が固定される。リブ221をテープ留め、フックによる吊下げ等をすることによりケーシングボックス22を固定してもよい。
【0021】
図5は、採光ユニット21の変形例を示す。この採光ユニット21は、凸レンズに替えて、ファイバ溶融型光結合器215をケーシング211内に有する。このファイバ溶融型光結合器215は、多数本の光ファイバを束ねて一端を局所加熱し、溶融延伸して細径化したものである。通常のファイバ溶融型光結合器は、光信号を結合するものであるので、光信号の伝送品質を維持するために束ねる光ファイバの本数は数本程度であるが、このファイバ溶融型光結合器215は、光エネルギーを結合すれば足りるので、より多数の光ファイバを束ねて作られる。ファイバ溶融型光結合器215の小径端部215bは、採光用光ファイバ24に接続される。ファイバ溶融型光結合器215の大径端部215aに入射した外光は、溶融型光結合器215内を進み、採光用光ファイバ24に入射する。ケーシング211の大径開口211aには、赤外線カットフィルタ216が設けられる。赤外線カットフィルタ216は、外光に含まれる赤外線を遮断し、ファイバ溶融型光結合器215と採光用光ファイバ24の過熱を防ぐ。
【0022】
図6は採光ユニット21を支持する構成を示す。支持軸23は、ケーシングボックス22内の支持板25に回動自在に立設され、ウォームホイール231を有する。ウォームホイール231は、ウォーム251と噛み合っている。ウォーム251は、支持板25上に取り付けられたモータ252によって回転される。モータ252の回転により、ウォーム251及びウォームホイール231を介して支持軸23が矢印A1で示されるように回動され、採光ユニット21が旋回される。採光ユニット21の旋回によって、大径開口211aの水平面内の向き、すなわち採光ユニット21のヨー角が調整される。ウォームホイール231及びウォーム251に替えて、ラック・アンド・ピニオンを用いてもよい。
【0023】
支持板25は、矩形であり、一端がガイドレール222によって、対向する他端が電動スライダ223によって、ケーシングボックス22に対してスライド可能に保持される。支持軸23は、ケーシングボックス22内の部分に自在継手232を有し、ケーシングボックス22の孔224からケーシングボックス22外に突出している。支持板25を矢印A2で示されるようにスライドすると、ケーシングボックス22の孔224の孔縁を支点として支持軸23が傾動する。支持軸23の傾動によって、採光ユニット21の大径開口211aの垂直面内の向き、すなわち採光ユニット21のピッチ角が調整される。このピッチ角の調整に伴うヨー角の変化は、支持軸23の回転によって補正される。ガイドレール222に替えて、リニアガイドを用いてもよい。また、電動スライダ223に替えて、ラック・アンド・ピニオン及びモータを用いてもよい。
【0024】
採光ユニット21を支持する構成は、採光ユニット21のヨー角及びピッチ角が調整可能であれは、上記の構成に限定されず、例えば、採光ユニット21と支持軸23との間に採光ユニット21のピッチ角を調整する機構を設けてもよい。
【0025】
モータ252及び電動スライダ223は、ケーシングボックス22内に設けられた制御用回路(図示せず)によって制御される。採光ユニット21が採光レンズ212を有するものである場合、採光レンズ212が太陽に正対するように制御回路によって採光ユニット21を追尾制御することが望ましい。例えば、制御用回路は、日時と、採光装置2が設置された緯度及び経度に基づいて天球上の太陽位置を算出し、採光ユニット21を追尾制御する。採光レンズ212を有する採光ユニット21は、追尾制御される場合には外光として主に直射日光を採光し、追尾制御されない場合には外光として主に天空光を採光する。太陽光を採光する効率は、直射日光を採光するほうが高い。採光ユニット21がファイバ溶融型光結合器215を有するものである場合、採光ユニット21を正確に追尾制御しなくても効率的に採光可能であり、例えば、採光ユニット21のピッチ角の調整を省略してもよい。
【0026】
複数の採光ユニット21が各々採光用光ファイバ24を有するので、採光装置2によって採光された光は、複数本の採光用光ファイバ24を介して導光装置3に入光される(図3参照)。導光装置3の集光ユニット31は、入光された光を、採光用光ファイバ24の本数よりも少ない本数の導光用光ファイバ32に集光して出光する。導光用光ファイバ32は、光を導光する。導光用光ファイバ32によって導光された光は、分岐ユニット33に入光される。分岐ユニット33は、入光された光を、導光用光ファイバ32の本数よりも多い本数の分岐用光ファイバ34に分岐して出光する。導光用光ファイバ32の本数は、原則として1本である。導光用光ファイバ32及び分岐用光ファイバ34は、屈折率の異なるアクリル樹脂によるコアとクラッドの多層構造を有する汎用のものであり、石英等の無機材料を用いたものでもよい。
【0027】
集光ユニット31は、入光側開口と出光側開口とを有するケーシング311と、凹面鏡312とを備える。入光側開口には採光用光ファイバ24が挿入され、シールを介してケーシング311にナット締め固定される。出光側開口には分岐用光ファイバ34が挿入され、シールを介してケーシング311にナット締め固定される。凹面鏡312は、採光用光ファイバ24から入光された光を集光して導光用光ファイバ32の端部に入射する。
【0028】
分岐ユニット33は、入光側開口と出光側開口とを有するケーシング331と、拡散用の凸面鏡332とを備える。入光側開口には導光用光ファイバ32が挿入され、シールを介してケーシング331にナット締め固定される。出光側開口には分岐用光ファイバ34が挿入され、シールを介してケーシング331にナット締め固定される。凸面鏡332は、導光用光ファイバ32から入光された光を拡散して分岐用光ファイバ34の端部に入射する。
【0029】
図7に示されるように、集光ユニット31は、凹面鏡に替えて、凸レンズ313を有してもよい。凸レンズ313は、複数本の採光用光ファイバ24から入光された光を集光して1本の導光用光ファイバ32の端部に入射する。また、分岐ユニット33は、凸面鏡に替えて、凹レンズ333を有してもよい。凹レンズ333は、導光用光ファイバ32から入光された光を拡散して複数本の分岐用光ファイバ34の端部に入射する。
【0030】
また、図8に示されるように、集光ユニット31は、突き合せ接続による光結合器314を有してもよい。光結合器314は、複数本の採光用光ファイバ24を1本の導光用光ファイバ32のコア部に接続して構成される。導光用光ファイバ32は、採光用光ファイバ24よりも径の大きいものが用いられる。光結合器314は、採光用光ファイバ24から入光された光を導光用光ファイバ32の端部に入光する。また、分岐ユニット33は、突き合せ接続による光分岐器334を有してもよい。光分岐器334は、1本の導光用光ファイバ32のコア部を複数本の分岐用光ファイバ34に接続して構成される。光分岐器334は、導光用光ファイバ32から入光された光を分岐用光ファイバ34の端部に入光する。
【0031】
また、図9に示されるように、集光ユニット31は、ファイバ溶融型光結合器315を有してもよい。ファイバ溶融型光結合器315は、複数本の採光用光ファイバ24から入光された光を1本の導光用光ファイバ32の端部に入光する。また、分岐ユニット33は、ファイバ溶融型光分岐器335を有してもよい。ファイバ溶融型光分岐器335は、1本の導光用光ファイバ32から入光された光を複数本の分岐用光ファイバ34に入光する。
【0032】
このように、導光装置3は、採光された光を集光ユニット31によって集光してから導光するので、導光路である導光用光ファイバ32の本数が少なくて済み、導光用光ファイバ32の施工が容易となる。また、導光された光を分岐ユニット33によって分岐することにより、複数の照射装置5に適切に光量配分することができる。
【0033】
図10及び図11に示されるように、分岐用光ファイバ34の各々の末端は、配線ダクト9内を経由して照射装置5に接続される。配線ダクト9は、建造物の天井面等に配置され、発光装置6、明るさセンサ7及び制御装置8に給電する。また、配線ダクト9は、導光装置3の一部である分岐用光ファイバ34を収容する収容部91を有する。照明器具4は、配線ダクト9に取り付けられる。
【0034】
配線ダクト9は、下方に開口する略コの字形断面を有する長尺体92を基本の構造部材として備える。長尺体92は、底面部93と側面部94とを有する。側面部94は、底面部93より上方に延出する1対の延出片95を有する。この延出片95と底面部93とで分岐用光ファイバ34を収容するための収容部91を形成する。長尺体92の開口側には、底面部93と略平行に内方側に延出する複数の延出片96a、96b、96cを有する。2対の延出片96a、96bは、照明器具4を取り付けるための溝状の係受部96dを形成する。また、配線ダクト9は、照明器具4に給電するための1対の導体97を有する。導体97は、係受部96d近傍にある2対の延出片96b、96cによって保持される。底面部93は、長手方向に一定間隔で開口98を有する。分岐用光ファイバ34は、開口98を通して収容部91から引き出される。また、底面部93は、開口98と開口98との間に肉盛りされた補強部99aを有する。補強部99aは、ねじ孔を有する。配線ダクト9は、ねじ99bによって建造物に固定される。
【0035】
照明器具4は、配線ダクト9の係受部96dと組み付けられる係載部41を有する。係載部41は、照明器具4の外郭に設けられる軸部42と、軸部42の端部に回動自在に配置されて一体的に回動する2片の回動片43、44とを有する。1方の回動片43は、回動によって係受部96dと機械的に組みつけられる。他方の回動片44は、受電用電極45を有する。回動片43が係受部96dと機械的に組みつけられたとき、受電用電極45は、配線ダクト9の導体97と電気的に接触される。
【0036】
このように、配線ダクト9を設けることにより、導光装置3、照射装置5、発光装置6、明るさセンサ7及び制御装置8を建造物の内装面に大きな影響を与えることなく施工することが出来る。このため、照明システム1を新設工事だけでなく改修工事として施工することが容易となる。
【0037】
照明器具4は、照射装置5、発光装置6、明るさセンサ7及び制御装置8を一体的に有する。照射装置5を発光装置6等と一体化せず、単独の継ぎ手(図示せず)によって支持してもよく、この継ぎ手が多軸の回動機構を有し、鉛直面内及び水平面内で回動するように構成してもよい。
【0038】
図12に示されるように、照射装置5は、入光側開口51aと、出光側開口51bと、を有するケーシング51と、拡散用凹レンズ52とを備える。入光側開口51aには分岐用光ファイバ34が挿入されシールを介してケーシング51にナット締め固定される。拡散用凹レンズ52は、ケーシング51の出光側開口51bに配置される。分岐用光ファイバ34から出射される光は、拡散用凹レンズ52によって拡散されて照射される。
【0039】
発光装置6は、照射装置5に隣接して配置される(図11参照)。発光装置6は、光源としてのLEDパッケージと、LEDパッケージから出射される光を配光する光学部材とを有し、制御装置8によって出力が制御される。
【0040】
明るさセンサ7は、焦電素子と制御素子とを有する。焦電素子は、照射装置5及び発光装置6の照射対象、例えば床面を検知対象とするように設定されており、照射対象からの反射光によって明るさを検知する。制御素子は、焦電素子の出力電圧を閾値で区分けしたり、適切なレンジで増幅することにより、出力電圧を照度信号に変換し、測定結果として制御装置8に送信する。明るさセンサ7は、照射装置5及び発光装置6から制御装置8を介して離間して配置される。
【0041】
明るさセンサ7のこのような配置によって、明るさセンサ7に照射装置5及び発光装置6からの直射光が入り難くなり、明るさの誤測定が低減される。
【0042】
制御装置8は、AC/DCコンバータと演算回路とを有する。AC/DCコンバータは、配線ダクト9の導体97から受電用電極45で受電したAC電圧をDC電圧に変換して降圧し、制御装置8の演算回路、発光装置6及び明るさセンサ7に給電する。演算回路は、メモリ、時刻を計時するタイマ等を有し、明るさセンサ7による測定結果に基づいて照射対象の明るさが所定の照度となるように発光装置6の出力を制御する。所定の照度は、例えば、メモリに予め記憶された値、又は時刻によって規定される値とされる。
【0043】
上記のように構成された照明システム1は、採光される外光が変動しても、発光装置6が照射装置5による光を補うので、照射対象の照度が変動せず、一定の照度が得られる。
【0044】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、照射装置5の分岐用光ファイバ34と拡散用凹レンズ52との間にシャッタを設けて、照明器具4の消灯時にシャッタを閉じるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 外光利用照明システム
2 採光装置
3 導光装置
31 集光ユニット
32 導光用光ファイバ(導光路)
33 分岐ユニット
34 分岐用光ファイバ(導光装置の一部)
5 照射装置
6 発光装置
7 明るさセンサ
8 制御装置
9 配線ダクト
91 収容部
F 床面(照射対象)
H 建造物
W 開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の開口部近傍に配置されて外光を採光する採光装置と、前記採光装置によって採光された光を導光する導光装置と、前記導光装置によって導光された光を照射対象に照射する照射装置と、を備えた外光利用照明システムであって、
前記照射装置とは別個に、電力供給を受けて発光して前記照射装置による光を補う発光装置と、
前記照射対象の明るさを測定する明るさセンサと、
前記明るさセンサによる測定結果に基づいて前記照射対象の明るさが所定の照度となるように前記発光装置の出力を制御する制御装置と、をさらに備えたことを特徴とする外光利用照明システム。
【請求項2】
前記導光装置は、
前記採光装置によって採光された光を集光する集光ユニットと、
前記集光ユニットによって集光された光を導光する導光路と、
前記導光路によって導光された光を分岐する分岐ユニットと、を有することを特徴とする請求項1に記載の外光利用照明システム。
【請求項3】
前記建造物に配置され、前記発光装置、明るさセンサ及び制御装置に給電するための配線ダクトを有し、
前記配線ダクトは、前記導光装置の一部を収容する収容部を有し、
前記照射装置は、前記収容部に収容された導光装置の一部に接続されると共に、前記配線ダクトに取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外光利用照明システム。
【請求項4】
前記明るさセンサは、前記照射装置及び発光装置から前記制御装置を介して離間して配置されることを特徴とする請求項3に記載の外光利用照明システム。
【請求項1】
建造物の開口部近傍に配置されて外光を採光する採光装置と、前記採光装置によって採光された光を導光する導光装置と、前記導光装置によって導光された光を照射対象に照射する照射装置と、を備えた外光利用照明システムであって、
前記照射装置とは別個に、電力供給を受けて発光して前記照射装置による光を補う発光装置と、
前記照射対象の明るさを測定する明るさセンサと、
前記明るさセンサによる測定結果に基づいて前記照射対象の明るさが所定の照度となるように前記発光装置の出力を制御する制御装置と、をさらに備えたことを特徴とする外光利用照明システム。
【請求項2】
前記導光装置は、
前記採光装置によって採光された光を集光する集光ユニットと、
前記集光ユニットによって集光された光を導光する導光路と、
前記導光路によって導光された光を分岐する分岐ユニットと、を有することを特徴とする請求項1に記載の外光利用照明システム。
【請求項3】
前記建造物に配置され、前記発光装置、明るさセンサ及び制御装置に給電するための配線ダクトを有し、
前記配線ダクトは、前記導光装置の一部を収容する収容部を有し、
前記照射装置は、前記収容部に収容された導光装置の一部に接続されると共に、前記配線ダクトに取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の外光利用照明システム。
【請求項4】
前記明るさセンサは、前記照射装置及び発光装置から前記制御装置を介して離間して配置されることを特徴とする請求項3に記載の外光利用照明システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−154827(P2011−154827A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14635(P2010−14635)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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