説明

外壁パネルの施工方法

【課題】施工期間を短縮しつつ、外壁表面に満遍なく光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮させる。
【解決手段】枠組3に、外面4oに予め仕上塗膜7が形成された外装材4を固着具14で固定し、該固着具14の頭面14hが外面4oよりも凹んだ凹部6を所定の間隔で有するパネル一次材8を形成するパネル一次材形成工程と、パネル一次材8の凹部6を充填剤16で埋めるとともに該充填剤16の表面16sを仕上塗膜7と略同一の塗料からなる補助塗膜17を施して外壁パネル1を仕上げる凹部補修工程と、充填剤16及び補助塗膜17を完全に硬化させる養生工程と、外壁パネル1を建物Bの外周面Boに取り付ける取付工程と、取り付けられた外壁パネル1の外面1oに、光触媒塗膜18を施す光触媒塗装工程とを含む。パネル一次材形成工程及び凹部補修工程を工場で行うとともに、養生工程の少なくとも一部を工場から建物Bの現場に搬送する搬送過程で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工期間を短縮しつつ、外壁表面に満遍なく光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮させることが可能な外壁パネルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、予め外壁パネルを工場で製造し、これを現場へ搬送して建物の外周面に固定するプレハブ式の外壁パネルの施工方法が広く方法が普及している(例えば、下記特許文献1参照)。また、前記外壁パネルaの製造は、図7(a)、(b)に示されるように、先ず、矩形の枠組ないしその下地材bに、外面に予め仕上塗膜fが施された外装材cを位置決めし、かつ固着具dで固定して、パネル一次材jが形成される。パネル一次材jには、固着具dの頭面d1が外面c1よりも凹んだ凹部eが複数形成されるため、図8(a)に示されるように、前記凹部eにパテ等の充填剤kを注入して硬化させ、さらに該充填剤kの表面k1を、前記仕上塗膜fと略同一の塗料で塗装し、補助塗膜hが形成される。これにより、外壁パネルaが製造される。
【0003】
また、図8(b)に示されるように、近年では、外壁パネルaとして、紫外線を吸収して表面の汚れを分解し、又は親水化作用により洗浄力を高めた所謂セルフクリーニング機能を付与するものが提案されている。この外壁パネルaには、前記外装材cとして、前記仕上塗膜fの外側に光触媒塗膜gが予め形成されたものが用いられる。従って、このようなセルフクリーニング機能付の外壁パネルaの場合、前記凹部eには、充填剤k及び補助塗膜hに加え、下地塗装の後、光触媒塗膜gと略同一の補助光触媒塗料iがスポット的に塗工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−225360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、工期を急ぐあまり、例えば補修された凹部eの補助塗膜hが完全に硬化していない状態で補助光触媒塗料i等が施されると、補助塗膜hないしその周辺の仕上塗膜fが補助光触媒塗料iによって再溶解し、周囲との色調が揃わなくなるなど外観を悪化させる問題があった。
【0006】
このような場合、凹部eに塗装された補助光触媒塗料iにも変質が生じ、その部分だけ局所的に光触媒によるセルフクリーニング機能が十分に発揮できず、汚れが残留するという問題があった。このような問題を防止するために、従来の施工方法では、凹部eへの充填剤k、補助塗膜h、及び/又は補助光触媒塗料iをそれぞれ工場内で完全に硬化させた後に、建物の現場へ搬送していたため、施工期間の短縮が困難であった。
【0007】
また、他の施工方法として、仕上塗膜fが施されていない外装材cに、建物の現場で仕上塗膜fを施し、該仕上塗膜fが完全に硬化した後に光触媒塗膜gを施すことも考えられる。しかしながら、仕上塗膜fは、天候や方位によって養生ムラが生じやすいため、光触媒塗膜gの品質安定化が図りにくく、しかも施工期間が長期化しやすいという問題もあった。
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、充填剤及び補助塗料を完全に硬化させる養生工程の少なくとも一部を工場から施工建物の現場まで搬送する搬送過程で行うとともに、施工現場にて光触媒塗料を塗工することを基本として、施工期間を短縮しつつ、外壁表面に満遍なく光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮させることが可能な外壁パネルの施工方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、プレハブ式の外壁パネルを建物の外周面に施工する方法であって、略矩形状の枠組に、外面に予め仕上塗膜が形成された外装材を固着具で固定し、該固着具の頭面が前記外面よりも凹んだ凹部を所定の間隔で有するパネル一次材を形成するパネル一次材形成工程と、前記パネル一次材の前記凹部を充填剤で埋めるとともに該充填剤の表面を前記仕上塗膜と略同一の塗料からなる補助塗膜を施して外壁パネルを仕上げる凹部補修工程と、前記充填剤及び前記補助塗膜を完全に硬化させる養生工程と、前記外壁パネルを建物の外周面に取り付ける取付工程と、前記取り付けられた前記外壁パネルの前記外面に、光触媒塗膜を施す光触媒塗装工程とを含むとともに、前記パネル一次材形成工程及び凹部補修工程を工場で行うとともに、前記養生工程の少なくとも一部を前記工場から前記建物の現場に搬送する搬送過程で行うことを特徴とする。
【0010】
また請求項2記載の発明は、前記光触媒塗膜には、酸化チタンを含有する光触媒層、及び該光触媒層と前記外壁パネルの前記外面との間に配されかつ該光触媒層による該外壁パネルの劣化を防ぐ保護層とを含む請求項1に記載の外壁パネルの施工方法である。
【0011】
また請求項3記載の発明は、前記光触媒層は、水接触角が30度以下である請求項2に記載の外壁パネルの施工方法である。
【0012】
また請求項4記載の発明は、前記外装材は、窯業系サイディング材、ALC外装材、金属系外装材又は木質系外装材のいずれかである請求項1乃至3の何れかに記載の外壁パネルの施工方法である。
【0013】
また請求項5記載の発明は、前記仕上塗膜の塗料には、フッ素系塗料、無機塗料、有機無機ハイブリッド塗料、アクリルシリコン系塗料、アクリル系、ウレタン系塗料、アクリルウレタン系塗料、又はエポキシ系塗料のいずれかである請求項1乃至4の何れかに記載の外壁パネルの施工方法である。
【0014】
また請求項6記載の発明は、前記外壁パネルには、水切り、ガラリフード、シャッターボックス、ボーダー、幕板、シーラント、破風、雨樋又はサッシの少なくとも1つの付属品が取り付けられており、前記付属品の表面に、プライマーを介して前記光触媒塗膜を施工する工程をさらに含む請求項1乃至5の何れかに記載の外壁パネルの施工方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の外壁パネルの施工方法では、パネル一次材形成工程と、その凹部を充填剤で埋めるとともに該充填剤の表面を仕上塗膜と略同一の塗料からなる補助塗膜を施して外壁パネルを仕上げる凹部補修工程とを工場で行うとともに、前記充填剤及び補助塗膜を完全に硬化させる養生工程の少なくとも一部を工場から建物の施工現場に搬送する搬送過程で行う。このように、本発明では、外壁パネルの搬送時間を有効に利用して充填剤及び補助塗膜を硬化させるため、外壁パネルの工場での滞留時間が減少し、ひいては施工期間を短縮できる。
【0016】
また、外壁パネルが建物の施工現場に到着する頃には、充填剤及び補助塗膜が完全に硬化しているため、外壁パネルを建物に建込んだ後、外壁パネルの外面に光触媒塗膜を施すことができる。しかも、前記補助塗膜は完全に硬化しているため、その再溶解や光触媒塗料の変質等の不具合が抑制される。従って、本発明では、施工期間を短縮しつつ、外壁表面に満遍なく光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の外壁パネルの施工方法で施工される建物を示す斜視図である。
【図2】外壁パネルを拡大して示す部分斜視図である。
【図3】(a)は外装材を枠組に対する固定位置に配された状態を示す断面図、(b)はパネル一次材形成工程により凹部が形成されたパネル一次材を示す断面図である。
【図4】凹部補修工程によって仕上げられた外壁パネルを示す断面図である。
【図5】(a)は保護層が塗装された外壁パネルを示す断面図、(b)は保護層の硬化後に、光触媒塗料が塗装された外壁パネルを示す断面図である。
【図6】外壁パネルに取付けられた水切りを拡大して示す断面図である。
【図7】(a)は枠組に外装材が配された状態を示す断面図、(b)は外装材が枠組に固定された状態を示す断面図である。
【図8】(a)は凹部に充填剤及び補助塗膜が配された状態を示す断面図、(b)は光触媒塗膜が施された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の外壁パネルの施工方法では、工場で予め製造されたプレハブ式の外壁パネル1が、施工現場の例えば工業化住宅等の建物Bの外周面Boに取り付けられる。
【0019】
本実施形態の施工方法では、パネル一次材形成工程、凹部補修工程、養生工程、取付工程、及び光触媒塗装工程を含む。以下、順に各工程を説明する。
【0020】
[パネル一次材形成工程]
パネル一次材形成工程では、図2、図3に示されるように、略矩形状の枠組3に、外装材4がビスや釘等の固着具14にて固定される。この工程は、建物の施工現場ではなく、パネル製造工場で行われる。
【0021】
前記枠組3は、例えば横枠材11と、縦枠材(図示せず)とを矩形状に固着した外枠を具え、また、所定のピッチで垂直にのびる複数の縦桟12が固着されている。本実施形態の横枠材11及び縦枠材は、断面略コ字状の軽量溝形鋼から形成されるが、例えば、木製の枠材から形成することもできる。また、枠組3には、ロックウール又は発泡樹脂等の断熱材5aが配されるとともに、その家屋内側には石膏ボード5b等の内装材が配される。さらに、枠組3の外面側には、例えば透湿防水シート9を介して水平方向にのびる複数の胴ぶち13が固着される。
【0022】
前記外装材4は、例えば、窯業系サイディング材、ALC外装材、金属系外装材、又は木質系外装材で形成され、本実施形態では所定厚さの板状に形成されている。
【0023】
また、図3に示されるように、外装材4の外面4oには、所定の風合い等を持たせた仕上塗膜7が予め施されている。この仕上塗膜7には、例えば、フッ素系塗料、無機塗料、有機無機ハイブリッド塗料、アクリルシリコン系塗料、アクリル系塗料、ウレタン系塗料、アクリルウレタン系塗料、又はエポキシ系塗料などが好適に使用される。
【0024】
前記固着具14は、外装材4の外面4oから縦枠材、横枠材11、縦桟12及び/又は胴ぶち13などの補強材に螺入される。また、本実施形態の外装材4には、図3(a)に示されるように、予め、固着具14を打ち込む位置に、取付孔15と、この取付孔15から外面4o側に向かって拡径するザグリ孔19とを含む孔部13が穿設されている。
【0025】
そして、図3(b)に示されるように、外装材4を所定の位置に合わせ、かつ前記孔部13に固着具14を螺入することにより、パネル一次材が形成される。そして、このパネル一次材には、外装材4の外面4oに、固着具14の頭面14hが外装材4の外面4oよりも凹んだ凹部6を所定の間隔で形成される。
【0026】
[凹部補修工程]
凹部補修工程では、図4に示されるように、前記パネル一次材の凹部6を充填剤16で埋めるとともに、該充填剤16の表面16sには前記仕上塗膜7と略同一の塗料を塗装して補助塗膜17が施される。これにより、外壁パネル1が仕上げられる。
【0027】
前記充填剤16には、例えばパテ等の水密性に優れたものが用いられる。これにより、該凹部6から外壁パネル1の内部への水分の浸入が抑制されるとともに、外装材4の外面4oを面一に揃えることができる。
【0028】
前記充填剤16の主剤としては、硬化時の体積収縮が少なく、水密性に優れる、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、又はエポキシ系樹脂等から選択できる。また、充填剤16には、耐アルカリ性や凝集力を向上させるために、炭酸カルシウム、ガラスバルーン、又はシラスバルーン等を添加することができる。
【0029】
また、本実施形態の凹部6は、外装材4の外面4oから固着具14の頭面14hまでの深さD1が、1.0〜3.0mm程度に設定される。これにより、凹部6は、充填剤16を安定して保持でき、水密性を高める。
【0030】
[養生工程]
養生工程では、充填剤16及び補助塗膜17を硬化させる。本実施形態の施工方法では、この工程の少なくとも一部、好ましくは大部分を、工場から建物Bの施工現場に搬送する搬送過程で行なわれる。例えば、常温硬化型の塗料では、塗装と同時に硬化が進行するが、塗装後、工場内で特に養生させることなく、直ちに搬送工程を付すことが望ましい。
【0031】
このように、本発明では、外壁パネル1の搬送時間を有効に利用して、充填剤16及び補助塗膜17を硬化させるため、外壁パネル1の工場での滞留時間が減少し、ひいては施工期間を短縮できる。しかも、外壁パネル1が建物の施工現場に到着する頃には、充填剤16及び補助塗膜17が略完全に硬化するため、施工現場で作業が滞ることもない。
【0032】
本実施形態では、上述の凹部補修工程を経た外壁パネルを、直ちに前記補修された凹部6が外力を受けないように、例えば、離間材等を介してトラックの荷台上に横積み、又は縦積みし、自然乾燥による養生が行なわれる。また、他の例として、調温装置付のコンテナを使用し、常温よりも高い温度で加温しながら、搬送し養生することもできる。さらに、工場から現場までの概算搬送時間を予め推測し、少なくとも現場到着時には完全硬化するように、搬送開始時間を予定することもできる。
【0033】
[取付工程]
取付工程では、図1に示されるように、建物Bの外周面Boに、搬送された外壁パネル1が取り付けられる。外壁パネル1の到着時に、完全硬化していない充填剤16及び補助塗膜17があったとしても、これらは、この取付工程の過程で完全に硬化する。
【0034】
[光触媒塗装工程]
光触媒塗膜工程では、図5に示されるように、建物Bの外周面Boに取り付けられた外壁パネル1の外面1oに、光触媒塗膜18が施される。これにより、外壁パネル1の施工が終了する。
【0035】
本実施形態の光触媒塗装工程では、図5(a)に示されるように、仕上塗膜7及び補助塗膜17の外面に保護層22を塗装する工程と、図5(b)に示されるように、該保護層22が硬化した後に、光触媒塗料を塗装する工程を含む。このように、本実施形態の光触媒塗膜18は、セルフクリーニング機能を具える光触媒層21及び該光触媒層21と外壁パネル1の外面1oとの間に配される保護層22の二層構造で形成される。
【0036】
本実施形態の光触媒層21には、酸化チタンが含まれる。このような光触媒層21は、例えば、紫外線が当てられると、酸化チタンが活性化して有機物質(汚れ)を酸化分解し、雨等の水滴を水膜へ変えて、その汚れを浮かせて流すセルフクリーニング機能を発揮しうる。このようなセルフクリーニング機能を効果的に発揮させるために、光触媒層21は、例えば、0.01〜3.0μmの厚さで施される。
【0037】
なお、光触媒層21は、その表面21sに付着した水膜の水接触角が30度以下に設定されるのが好ましい。これにより、光触媒層21は、優れた親水性を発揮して、汚れを効果的に流しうる。
【0038】
前記保護層22は、例えば、耐薬品性及び耐候性を有するフッ素樹脂、有機無機ハイブリッド樹脂、アクリルシリコン系樹脂、又はシリコンアルコキシド系樹脂等が含まれる。このような保護層22は、光触媒層21の酸化分解による外装材4の劣化を防ぎうる。なお、保護層22は、外装材4の劣化を効果的に抑制するために、例えば、10〜60μm程度の厚さに施される。
【0039】
このように、本実施形態の施工方法では、凹部6の充填剤16及び補助塗膜17が完全に硬化した状態で、外壁パネル1の外面1oに光触媒塗膜18を施すことができる。従って、その再溶解や光触媒塗膜18の変質等の不具合が抑制される。さらに、光触媒塗膜18は、仕上塗膜7及び補助塗膜17を含む外壁パネル1の外面1o全体に施されるので、ムラなく均一に施すことができる。従って、本発明では、外壁パネル1の外面1oに、満遍なく光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮させうるとともに、外観悪化を防ぎうる。
【0040】
また、外壁パネル1には、図1、図2に示されるように、水切り10A、ガラリフード10B、シャッターボックス、ボーダー、幕板、シーラント、破風、雨樋又はサッシ等の付属品10を取り付けることができる。本実施形態の外壁パネル1には、図2及び図6に示されるように、下端側が断面略U字状に湾曲しかつ下端側が、外壁パネル1の下方に配される水切り10Aを含むものが例示される。
【0041】
この付属品10は、例えば前記パネル一次工程において、その上端側が外装材4と胴ぶち13との間で固着される。また、付属品10の表面10sには、光触媒塗膜18との密着性を向上させるために、プライマー23が施されるのが好ましい。このプライマー23には、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、無機系樹脂、有機無機ハイブリッド系樹脂、又はフッ素系樹脂が好適である。
【0042】
前記プライマー23についても、充填剤16及び補助塗膜17と同様に、前記搬送過程で養生工程が行なわれ、建物Bの施工現場に到着する頃には、略完全硬化する。このため、プライマー23の施工による、施工期間の長期化が抑制される。
【0043】
また、前記光触媒工程では、プライマー23が塗工された付属品10に、光触媒塗膜18を塗工するのが望ましい。本実施形態では、仕上塗膜7及び補助塗膜17の外面とともに、プライマー23の外面に保護層22が塗装される。そして、保護層22の硬化後、それぞれに光触媒塗料が塗装される。これにより、光触媒塗膜18は、外壁パネル1と付属品10との間でムラのない二層構造を形成でき、優れたセルフクリーニング機能を発揮しうる。
【0044】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明をより具現化した実施例について説明する。
本実施例では、工場において、略矩形状の枠組に仕上塗膜が施された外装材を固着具で固定し、該固着具の頭面が外面よりも1.0〜3.0mm分凹んだ凹部を所定の間隔で有するパネル一次材を形成した。また、凹部に充填剤を埋めるとともに、該充填剤の表面を仕上塗膜と略同一の塗料からなる補助塗膜を施して、外壁パネルを仕上げた。この充填剤及び補助塗膜が施工される際に、外壁パネルに取付けられた水切り等の付属品の表面に、厚さ5〜15μmのプライマーを施した。
【0046】
そして、充填剤、補助塗膜及びプライマーが完全に硬化する72時間のうち、工場から建物の施工現場に搬送するのに要する120時間を使用して常温硬化させた。そして、施工現場に到着後、外壁パネルを建物に取り付けた。さらに、外壁パネルの外面、及び付属品に、厚さ2μmの保護層を施して3時間養生させ、しかる後、該保護層の表面に、厚さ0.5μmの光触媒層を施し、3日間養生させた。なお、仕上塗膜、補助塗膜、充填剤、光触媒層、保護層及びプライマーの詳細については次のとおりである。
【0047】
仕上塗膜、補助塗膜:大日本塗料(株)製のVシリコンマイルド(アクリルシリコン系塗料)
充填剤:オート化学(株)製のウレタン系パテ材
光触媒層:日本曹達(株)製のビストレイターL NRC−360C
保護層:日本曹達(株)製のビストレイターL NRC−350A
プライマー:亜細亜工業(株)製の0C8−BX(アクリルウレタン樹脂系)
【0048】
実施例の外壁パネルの施工方法では、建物の施工現場で仕上塗膜、保護層塗膜、及び光触媒塗膜を施した施工方法に比べ、施工期間を72〜96時間短縮することができた。さらに、光触媒塗膜を外壁パネルの表面、及び付属品に施すことができ、満遍なく光触媒によるセルフクリーニング機能を発揮しうることが確認できた。
【符号の説明】
【0049】
1 外壁パネル
3 枠組
4 外装材
6 凹部
14 固着具
16 充填剤
B 建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレハブ式の外壁パネルを建物の外周面に施工する方法であって、
略矩形状の枠組に、外面に予め仕上塗膜が形成された外装材を固着具で固定し、該固着具の頭面が前記外面よりも凹んだ凹部を所定の間隔で有するパネル一次材を形成するパネル一次材形成工程と、
前記パネル一次材の前記凹部を充填剤で埋めるとともに該充填剤の表面を前記仕上塗膜と略同一の塗料からなる補助塗膜を施して外壁パネルを仕上げる凹部補修工程と、
前記充填剤及び前記補助塗膜を完全に硬化させる養生工程と、
前記外壁パネルを建物の外周面に取り付ける取付工程と、
前記取り付けられた前記外壁パネルの前記外面に、光触媒塗膜を施す光触媒塗装工程とを含むとともに、
前記パネル一次材形成工程及び凹部補修工程を工場で行うとともに、前記養生工程の少なくとも一部を前記工場から前記建物の現場に搬送する搬送過程で行うことを特徴とする外壁パネルの施工方法。
【請求項2】
前記光触媒塗膜には、酸化チタンを含有する光触媒層、及び該光触媒層と前記外壁パネルの前記外面との間に配されかつ該光触媒層による該外壁パネルの劣化を防ぐ保護層とを含む請求項1に記載の外壁パネルの施工方法。
【請求項3】
前記光触媒層は、水接触角が30度以下である請求項2に記載の外壁パネルの施工方法。
【請求項4】
前記外装材は、窯業系サイディング材、ALC外装材、金属系外装材又は木質系外装材のいずれかである請求項1乃至3の何れかに記載の外壁パネルの施工方法。
【請求項5】
前記仕上塗膜の塗料には、フッ素系塗料、無機塗料、有機無機ハイブリッド塗料、アクリルシリコン系塗料、アクリル系、ウレタン系塗料、アクリルウレタン系塗料、又はエポキシ系塗料のいずれかである請求項1乃至4の何れかに記載の外壁パネルの施工方法。
【請求項6】
前記外壁パネルには、水切り、ガラリフード、シャッターボックス、ボーダー、幕板、シーラント、破風、雨樋又はサッシの少なくとも1つの付属品が取り付けられており、
前記付属品の表面に、プライマーを介して前記光触媒塗膜を施工する工程をさらに含む請求項1乃至5の何れかに記載の外壁パネルの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−127396(P2011−127396A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289365(P2009−289365)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】