外壁材、及び該外壁材を備える外壁
【課題】直張り施工する場合であっても胴縁を配置することなく通気、排水の通路を確保することができるとともに、反りも抑制することができる外壁材、及び該外壁材を備える外壁を提供する。
【解決手段】建物1外周に沿って並列される板状の外壁材11、11、…、21、21、…であって、裏面に、該裏面に沿って延在する帯状の凸部14、14、…、24、24、…が少なくとも一本形成されていることを特徴とする。
【解決手段】建物1外周に沿って並列される板状の外壁材11、11、…、21、21、…であって、裏面に、該裏面に沿って延在する帯状の凸部14、14、…、24、24、…が少なくとも一本形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外周に沿って並列して建物外壁を形成する外壁材、及び該外壁材を備える外壁に関し、詳しくは、柱や既存外壁等へ直張りをする場合であっても、排水・通気の通路を確保することができるとともに、高い強度を有する外壁材、及び該外壁材を備える外壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、サイディング等の外壁材を建物の柱や間柱に直接留め付けることにより外壁材の施工が行われることがある(以下、「直張り」と記載することがある。)。その際、複数の柱の室外側面に外壁材を渡すように留め付けると雨水の浸入や結露等により外壁材の室内側面に生じた水を排出したり、室内側の湿気を室外に逃がす通気をしたりするための通路を確保することができない。そのため、従来は柱の室外側面に複数の胴縁を並列し、該胴縁の室外側に外壁材を配置する。これにより胴縁が柱と外壁材とのスペーサーの役割をして上記通路を確保することが可能となる。
【0003】
例えば通気を確保するための胴縁の利用に関する例として特許文献1や特許文献2が開示されている。これによれば上記の通路を得るために柱と外壁材との間に胴縁を用いていることがわかる。特許文献1に記載の発明では胴縁に凹部等を設けることによりさらに通気性等を向上させることができ、特許文献2には、胴縁によって形成された通気路の最下部にグラスウール等を配置した発明を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平5−5330号公報
【特許文献2】特開2006−316491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2を含む従来技術においてはいずれも胴縁を備える必要があり、その材料費及び施工工程を削減したいとの観点から改善の要望があった。
【0006】
ところで、金属サイディングにおいては、特に大きなサイズとなる場合にサイディングに反りが発生して問題となる場合もあった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、直張り施工する場合であっても胴縁を配置することなく通気、排水の通路を確保することができるとともに、反りも抑制することができる外壁材、及び該外壁材を備える外壁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、建物(1)外周に沿って並列される板状の外壁材(11、31、41、51、61)であって、裏面に、該裏面に沿って延在する帯状の凸部(14、14、…、34、34、…、44、44、…、54、54、…、64、64、…)が少なくとも一本形成されていることを特徴とする外壁材を提供することにより前記課題を解決する。
【0010】
ここで、「裏面」とは外壁材が建物に配置された姿勢で室内側に配置される面であり、室外側に配置される意匠面である表面に対向する面を意味する。以下同様である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の外壁材(11、31、41、51、61)における凸部(14、14、…、34、34、…、54、54、…、64、64、…)が裏面に所定の間隔を有して平行に複数並列されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の外壁材(31、61)における凸部(34、34、…、64、64、…)が所定の長さを有して裏面に複数配置されるとともに、該複数の凸部が千鳥状に配列されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外壁材(11、31、41)が、該外壁材の凸部(14、14、…、34、34、…、54、54、…、64、64、…)を建物(1)の躯体(8)又は既存建物の外壁に接触させて留め付けられて建物の外周に並列されることにより形成されることを特徴とする外壁(10)を提供することにより前記課題を解決する。
【0014】
ここで、「建物の躯体」とは柱や間柱、梁等の建物を構成する構造部材を意味する。また、「既存建物の外壁」とは既に施工されている外壁を意味し、これには例えばモルタル等により形成された外壁を挙げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、本発明の外壁材を使用することで、胴縁を用いることなく通気、排水の通路を確保して外壁を形成することが可能となる。これにより胴縁の材料費や施工の工数を減らすことができ、経済性及び利便性に優れた外壁材、及び該外壁材を備える外壁を提供することができる。
【0016】
また、凸部が外壁材の裏面側に所定の長さを有して帯状に形成されるので、当該凸部がいわゆるリブの作用により、外壁材の強度、特に反りの抑制に対して効果を奏するものとなる。
【0017】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0019】
図1は第一実施形態に係る本発明の外壁材11、11、…(図2参照)を備えた外壁10を有する木造の建物1を模式的に示した斜視図である。建物1は、2階建ての住宅であり、1階には窓4、5が設けられ、2階には窓3が備えられている。そして建物1の外周には斜線で示したように外壁材11、11、…(図2参照)を備え、これにより外壁10が形成されている。
【0020】
ここでは一例として上記のような建物1を示して説明したが、本発明が適用される建物はこれに限定されることはなく、以下に説明する本発明の外壁材を配置して外壁を形成することができる様々な建物を対象とすることが可能である。
【0021】
図2は外壁10を室外側正面から見た図で、その一部を表している。ここではわかり易さのため、外壁材(以下「サイディング」と記載することがある。)11、11、…の表面(室外側面)には斜線を付すとともに、外壁材11、11、…を透明に示して建物1の他の構成の一部も見えるように示している。また図2に表したサイディング11、11、…の左右、及び上方にも同様にサイディング11、11、…が並列されているが、ここでは省略している。このように、本発明の外壁材11、11、…は、建物1の外周に沿って並列され、これにより外壁10を形成している。以下、サイディング11、11、…について説明し、その後該サイディング11、11、…によってどのように外壁10が形成されているかを説明する。
【0022】
図3は、サイディング11の斜視図で、図3(a)が表面を手前に、図3(b)が裏面を手前に示した図である。図4は、サイディング11の表面(図4(a))及び裏面(図4(b))を表す平面図である。さらに図5は図4(a)の右側面図で、紙面左側が表面、紙面右側が裏面である。図6は(a)は図4(b)にA−Aで示した線に沿った矢視断面図、図6(b)は図6(a)にBで示した部分を拡大した図である。これら図3〜図6を参照しつつサイディング11について説明する。
【0023】
サイディング11は、全体として板状の部材であり所定の寸法に形成されている。サイディング11の当該寸法は特に限定されるものではないが、例えばサイディング11の高さ(図4における紙面上下方向寸法)は200〜910mm、長さ(図4における紙面左右方向寸法)は2000〜4000mm、厚さ(図5における紙面左右方向寸法)は10〜30mmの範囲で形成される場合が多い。またサイディング11は、いわゆる金属サイディングであり、意匠面板12、取付面板13、係合部15、被係合部16、及び断熱材17を有して形成されている。以下各構成について説明する。
【0024】
意匠面板12は、サイディング11の表面(意匠面)を形成する金属製の板材である。従って意匠面板12の当該表面側面には色彩や模様が付されている。意匠面板12に用いられる金属は特に限定されるものではないが、通常ガルバリウム鋼板、アルミニウム薄板が用いられる。また意匠面板12の厚さは特に限定されるものではないが、所定の強度を得つつ重すぎないように形成する観点から0.1〜1.0mmであることが好ましい。
【0025】
取付面板13は、サイディング11の裏面を形成し、意匠面板12と平行に配置される金属製、紙製、又はプラスチック製の板材である。取付面板13と意匠面板12とは所定の間隔を有するように配置される。また取付面板13の厚さは特に限定されるものではないが、所定の強度を得つつ重すぎないように形成する観点から0.1〜1.0mmであることが好ましい。
【0026】
さらに、取付面板13には、図4(b)、図5、及び図6からわかるように、裏面に凸となるとともに該裏面に沿って一方向に延材し、互いに平行に並列する複数の帯状の凸部14、14、…を有している。凸部14、14、…は図6に示したように断面において略台形であり、該台形の上底に相当する辺が裏面から図6(b)にCで示した大きさで突出するように形成されている。Cで示した大きさは特に限定されるものではないが、後述するように当該凸部14、14、…により通気、排水の通路を確保し、所定の強度を得るために、5mm以上であることが好ましい。また凸部14、14、…の帯状である幅も特に限定されるものではないが、サイディング11の強度(反りを防止)の観点から10mm以上が好ましく、45mm以上であることがさらに好ましい。
【0027】
当該凸部14、14、…は取付面板13の一部を折り曲げて凸とすることにより形成されている。これにより凸部を形成するために他の部材を取り付ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。ただし、これは他の部材を取り付けて凸部を形成することを妨げるものではなく、他の部材を取り付けて凸部を形成してもよい。
【0028】
各凸部14、14、…は、後述するように柱8、8、8、間柱9、9(図2、図8参照)の室外面に配置されるような位置とされる。これにより凸部14、14、…により適切に通気、排水の通路を確保することができる。
【0029】
また、ここで、凸部14、14、…はサイディング11にとって、いわゆるリブを形成しているので、サイディング11、11、…の強度を向上させ、特に反りを抑制することに対し効果を奏する。
【0030】
なお、ここでは1つの実施形態として断面が台形である凸部14、14、…について説明したが、断面形状はこれに限定されることはなく例えば矩形、半円形等であってもよい。本実施形態では製造し易さ等の観点から台形である凸部14、14、…とした。
【0031】
係合部15は、図5からわかるようにサイディング11の一端面から立設するように突出する部材が具備される部位で、突起15a及び片15bを備えている。突起15aはサイディング11の厚さ方向(図5の紙面左右方向)略中央に配置された突起である。片15bは裏面13から延在するように該端面に立設され、突起15aよりも長く形成されている辺である。突起15a及び片15bはいずれも図5に示した断面を有してサイディング11の端面に沿って紙面奥/手前方向に延在している(図3、4参照)。
【0032】
被係合部16は、図5からわかるようにサイディング11の端面のうち上記した係合部15が配置される端面に対向する端面に設けられ、溝16aを有している。該溝16aは、サイディング11の厚さ方向(図5の紙面左右方向)略中央に配置された溝で、溝幅が突起15aの幅より若干大きく形成されている。また溝16aの深さは突起15aの高さと概ね同じである。溝16aは、図5に示した断面を有してサイディング11の端面に沿って紙面奥/手前方向に延在している(図3、4参照)。
【0033】
サイディング11が上記のような係合部15、及び被係合部16を備えることにより、後述するように並列して連結し、建物に安定して取り付けることができる。
【0034】
断熱材17は図6からわかるように、意匠面板12と取付面板13との間隙を埋めるように配置される断熱性を有する素材である。断熱材17として用いられる材料は当該間隙に配置されて適切に断熱性を発揮するものであれば特に限定されることはないが、外壁材の強度向上や生産性の観点から充填性が良く、剛性の高い板状の定型材であることが好ましい。これには例えばウレタンの発泡断熱材を挙げることができる。
【0035】
以上の構成を有して形成されたサイディング11が建物の外周に沿って並列されることにより外壁10となる。図7は図2にD−Dで示した線に沿った垂直矢視断面図、図8(a)は図2にE−Eで示した線に沿った水平矢視断面図である。また図8(b)は図8(a)にFで示した部位を拡大した図である。図7における紙面左が室外側、紙面右が室内側であり、図8における紙面下が室外側、紙面上が室内側である。以下、図2、図7、及び図8を参照しつつサイディング11、11、…が並列されて形成された外壁10について説明する。
【0036】
外壁10は、サイディング11、11、…、透湿防水シート20(図7では不図示)を備えている。その他外壁と室内壁との間には断熱、耐火のための手段である例えばグラスウールや石こうボード等が必要に応じて備えられている。ここではこれらの部材は省略している。
【0037】
外壁10では、サイディング11、11、…は図2からわかるように長手方向を水平にして建物外周に沿って配置されている。このとき係合部15を上、被係合部16を下に向けられて具備される。そして、サイディング11は、スペーサー18を介して係合部15の片15bを柱8に留め付けることにより固定される。ここでスペーサー18は外壁材11の上端部を適切に柱8に取り付けるための部材で、略直方体を有している。またその性質上固定部材19が貫通されるとともに所定の固さを有していることが好ましい。これには例えば木材を挙げることができる。また、上下に隣り合うサイディング11、11、…は、下側に配置されたサイディング11の上端面に具備される突起15aが、その上側に配置されるサイディング11の下端面に具備される溝16a内に挿入されることで係合して連結する。
【0038】
一方、図8からわかるように、サイディング11、11、…が建物に取り付けられる際には、サイディング11、11、…の凸部14、14、…を柱8、8、8や間柱9、9の室外側面に接触させて配置する。これにより図7、図8にGで示した分、梁6、7とサイディング11、11、…との間に間隙が形成され、通気や排水のための通路を確保することができる。このとき従来のように胴縁を必要としないので、その材料費や工数の削減が可能となる。
【0039】
また、図8に示したように、サイディング11、11、…と柱8、8、8、間柱9、9との間に透湿防水シート20が設けられてもよい。透湿防水シート20は、透湿性を有するシートで、かかる性能を備えていればその種類は特に限定されるものではない。これは、室内側から屋外側へ湿度を透過させることができるが、屋外側からの雨水等は遮断するシートを挙げることができる。透湿防水シート20は、ステープル、タッカー、釘、テープ、及び接着剤等で柱8、8、8、間柱9、9に取り付けられる。
【0040】
また、並列されたサイディング11、11、…のうち最も下に配置されたサイディング11の下端部には、水切り(不図示)が備えられてもよい。水切りはクランク状の断面を有して梁7に沿って配置される長尺部材である。これにより図7にGで示した間隙内を落下してきた雨水等を適切に排出することができる。水切りは通常に用いられる水切りをそのまま用いることができ、その材質は特に限定されるものではないが、スチール、アルミニウム、及びステンレス鋼等の金属であることが好ましい。
【0041】
図9は、サイディング11、11、…が備えられた外壁10の変形例にかかる外壁10’のうち、図7に対応する図である。従って、図9は外壁10’の垂直断面図であり、紙面左側が室外側、紙面右が室内側である。ここで外壁10’おいて、外壁10と同じ部材については同一の符号を付した。外壁10’では、サイディング11、11、…が既存の外壁の上から取り付けられて外壁10’を形成している例である。すなわち、サイディング11、11、…と柱8との間にはモルタル21、金網22、下地ボード23が存し、固定部材19’がこれらを貫通することによりサイディング11、11、…が柱8に固定されている。サイディング11、11、…同士の連結については外壁10と共通である。このような外壁10’であっても、図9にHで示したようにモルタル21の室外側面に間隙を形成することができ、通気・排水路を形成することが可能となる。
【0042】
本発明のサイディング11、11、…によれば、既存の外壁の上からも本発明の効果を奏して配置することができ、リフォーム等にも有効な、外壁材及び該外壁を備える外壁を提供することが可能となる。
【0043】
図10は第二実施形態にかかる本発明の外壁材(以下、「サイディング」と記載することがある。)31の斜視図である。図10(a)は表面を手前に、図10(b)は裏面を手前に表した図である。また、図9はサイディング31の表面(図11(a))及び裏面(図11(b))を表す図である。サイディング31も、いわゆる金属サイディングであり、意匠面板32、取付面板33、係合部35、被係合部36、及び断熱材37を有して形成されている。
【0044】
サイディング31の意匠面板32、取付面板33、係合部35、被係合部36、及び断熱材37は、取付面板33の凸部34、34、…のパターンが異なる他、上記したサイディング11の意匠面板12、取付面板13、係合部15、被係合部16、及び断熱材17の説明と概ね共通するのでここでは説明を省略する。
【0045】
サイディング31の凸部34、34、…は、図10(b)及び図11(b)からわかるように、所定の長さを有する凸部34が、サイディング31の長手方向に平行に複数配置され、これらが千鳥状であることを特徴とするものである。これにより、当該サイディング31の長手方向を水平にして建物に配置したとき、柱の室外側面に凸部34、34、…を接触させて渡すように配置し、通気、排水の通路を確保することができる。さらには、図11(b)にJで示したように凸部34、34、…が所定の重なりを有した千鳥状配列とすることにより、凸部34、34、…のリブとしての作用が大きくなり、サイディング31の強度、特に反りの抑制に対する効果を奏するものとなる。
【0046】
図12は、サイディング31の変形例であるサイディング31’の裏面側正面図である。サイディング31の凸部34、34、…が裏面側正面視で直線状であるのに対し、サイディング31’では、凸部34’、34’、…は楕円状である。ここで凸部34’、34’、…は図12にJ’で示した重なりを有した千鳥状配列である。このようなサイディング31’も本発明の外壁材とすることができる。
【0047】
図13は第三実施形態にかかる本発明の外壁材(以下、「サイディング」と記載することがある。)41の斜視図である。図13(a)は表面を手前に、図13(b)は裏面を手前に表した図である。また、図14はサイディング41の表面(図14(a))及び裏面(図14(b))を表す図である。サイディング41も、いわゆる金属サイディングであり、意匠面板42、取付面板43、係合部45、被係合部46、及び断熱材47を有して形成されている。
【0048】
サイディング41の意匠面板42、取付面板43、係合部45、被係合部46、及び断熱材47は、取付面板43の凸部44、44、…のパターンが異なる他、上記したサイディング11の意匠面板12、取付面板13、係合部15、被係合部16、及び断熱材17の説明と概ね共通するのでここでは説明を省略する。
【0049】
サイディング41の凸部44、44、…は、図13(b)及び図14(b)からわかるように、所定の長さを有する凸部44が、サイディング41の縦横に対して斜めに複数に設けられ、これらが平行に並列されていることを特徴とするものである。これによっても、当該サイディング41の長手方向を水平にして建物に配置したとき、柱の室外側面に凸部44、44、…を接触させて配置し、通気、排水の通路を確保することができる。さらには、図14(b)にKで示したように凸部44、44、…が所定の重なりを有して並列されることにより、凸部44、44、…のリブとしての作用が大きくなり、サイディング41の強度、特に反りの抑制に対する効果を奏するものとなる。
【0050】
ここまで、サイディング11、31、41は外壁10、10’のように、建物に配置される際、その長手方向を水平にして取り付けるいわゆる「横張り」形式について説明した。しかし取り付け向きはこれに限定されることはなく、例えば図15に示したようにサイディング11、11の長手方向を垂直にして取り付けるいわゆる「縦張り」形式であってもよい。図15は、当該縦張り形式の本発明の外壁50の図2に対応する図である。すなわち外壁50ではサイディング11’、11’がその長手方向を垂直にして建物外周に取り付けられている。このとき、サイディング11’、11’の係合部、被係合部は該サイディング11’、11’の左右の長辺に備えられる。
【0051】
このような縦張りの場合であっても、上記したサイディング11、31、41をそのまま縦にしたような裏面形状を適用することが可能である。またその他、図16、及び図17に示した裏面側形状を適用することができる。図16、図17は、第四実施形態、及び第五実施形態にかかるサイディング51、61の裏面側形状を示す正面図である。サイディング51、61はいずれも縦張りを想定したサイディングである。
【0052】
図16に示したサイディング51では、取付面板53側に上下を長手方向とする一直線状の凸部54、54、54が並列されている。上下には係合部55、被係合部56を有している。図17に示したサイディング61はでは取付面板63側に千鳥状に配列された凸部64、64、…を備えている。当該凸部64、64、…のそれぞれは、サイディング61の長手方向に直交する短い側(図17の紙面左右方向)を長手方向とする棒状であり、これが図17にJ’’で示した重なりを有して千鳥状に配列されている。上下には係合部65、被係合部66を有している。このようなサイディング51、61も本発明の外壁材とすることができる。
【0053】
以上、現時点においてもっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う外壁材及び該外壁材を備える外壁もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第一実施形態に係る本発明の外壁材(サイディング)及び該外壁材が備えられた外壁を有する建物の外観斜視図である。
【図2】図1に示した外壁材(サイディング)及び該外壁材が備えられた外壁を有する建物の一部を示す外観正面図である。
【図3】外壁材(サイディング)の斜視図である。
【図4】外壁材(サイディング)表面及び裏面を示す図である。
【図5】外壁材(サイディング)の側面図である。
【図6】外壁材(サイディング)のA−A断面図である。
【図7】図2のD−D矢視断面図である。
【図8】図2のE−E矢視断面図である。
【図9】本発明の外壁の変形例を示す図である。
【図10】第二実施形態の外壁材(サイディング)の斜視図である。
【図11】第二実施形態の外壁材(サイディング)の表面及び裏面を示す図である。
【図12】第二実施形態の外壁材(サイディング)の変形例の裏面を示す図である。
【図13】第三実施形態の外壁材(サイディング)の斜視図である。
【図14】第三実施形態の外壁材(サイディング)の表面及び裏面を示す図である。
【図15】縦張りの例による本発明の外壁を有する建物の一部を示す外観正面図である。
【図16】第四実施形態の外壁材(サイディング)の裏面を示す図である。
【図17】第五実施形態の外壁材(サイディング)の裏面を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 建物
3、4、5 窓
6、7 梁(建物の躯体)
8 柱(建物の躯体)
9 間柱(建物の躯体)
10、10’、50 外壁
11、31、41、51、61 サイディング(外壁材)
12、32、42 意匠面板
13、33、43、53、63 取付面板
14、34、44、54、64 凸部
15、35、45、55、65 係合部
16、36、46、56、66 被係合部
17、37、47 断熱材
18 スペーサー
19 固定部材(ビス)
20 透湿防水シート
21 モルタル
22 金網
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外周に沿って並列して建物外壁を形成する外壁材、及び該外壁材を備える外壁に関し、詳しくは、柱や既存外壁等へ直張りをする場合であっても、排水・通気の通路を確保することができるとともに、高い強度を有する外壁材、及び該外壁材を備える外壁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、サイディング等の外壁材を建物の柱や間柱に直接留め付けることにより外壁材の施工が行われることがある(以下、「直張り」と記載することがある。)。その際、複数の柱の室外側面に外壁材を渡すように留め付けると雨水の浸入や結露等により外壁材の室内側面に生じた水を排出したり、室内側の湿気を室外に逃がす通気をしたりするための通路を確保することができない。そのため、従来は柱の室外側面に複数の胴縁を並列し、該胴縁の室外側に外壁材を配置する。これにより胴縁が柱と外壁材とのスペーサーの役割をして上記通路を確保することが可能となる。
【0003】
例えば通気を確保するための胴縁の利用に関する例として特許文献1や特許文献2が開示されている。これによれば上記の通路を得るために柱と外壁材との間に胴縁を用いていることがわかる。特許文献1に記載の発明では胴縁に凹部等を設けることによりさらに通気性等を向上させることができ、特許文献2には、胴縁によって形成された通気路の最下部にグラスウール等を配置した発明を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平5−5330号公報
【特許文献2】特開2006−316491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1及び特許文献2を含む従来技術においてはいずれも胴縁を備える必要があり、その材料費及び施工工程を削減したいとの観点から改善の要望があった。
【0006】
ところで、金属サイディングにおいては、特に大きなサイズとなる場合にサイディングに反りが発生して問題となる場合もあった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、直張り施工する場合であっても胴縁を配置することなく通気、排水の通路を確保することができるとともに、反りも抑制することができる外壁材、及び該外壁材を備える外壁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
請求項1に記載の発明は、建物(1)外周に沿って並列される板状の外壁材(11、31、41、51、61)であって、裏面に、該裏面に沿って延在する帯状の凸部(14、14、…、34、34、…、44、44、…、54、54、…、64、64、…)が少なくとも一本形成されていることを特徴とする外壁材を提供することにより前記課題を解決する。
【0010】
ここで、「裏面」とは外壁材が建物に配置された姿勢で室内側に配置される面であり、室外側に配置される意匠面である表面に対向する面を意味する。以下同様である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の外壁材(11、31、41、51、61)における凸部(14、14、…、34、34、…、54、54、…、64、64、…)が裏面に所定の間隔を有して平行に複数並列されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の外壁材(31、61)における凸部(34、34、…、64、64、…)が所定の長さを有して裏面に複数配置されるとともに、該複数の凸部が千鳥状に配列されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外壁材(11、31、41)が、該外壁材の凸部(14、14、…、34、34、…、54、54、…、64、64、…)を建物(1)の躯体(8)又は既存建物の外壁に接触させて留め付けられて建物の外周に並列されることにより形成されることを特徴とする外壁(10)を提供することにより前記課題を解決する。
【0014】
ここで、「建物の躯体」とは柱や間柱、梁等の建物を構成する構造部材を意味する。また、「既存建物の外壁」とは既に施工されている外壁を意味し、これには例えばモルタル等により形成された外壁を挙げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、本発明の外壁材を使用することで、胴縁を用いることなく通気、排水の通路を確保して外壁を形成することが可能となる。これにより胴縁の材料費や施工の工数を減らすことができ、経済性及び利便性に優れた外壁材、及び該外壁材を備える外壁を提供することができる。
【0016】
また、凸部が外壁材の裏面側に所定の長さを有して帯状に形成されるので、当該凸部がいわゆるリブの作用により、外壁材の強度、特に反りの抑制に対して効果を奏するものとなる。
【0017】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0019】
図1は第一実施形態に係る本発明の外壁材11、11、…(図2参照)を備えた外壁10を有する木造の建物1を模式的に示した斜視図である。建物1は、2階建ての住宅であり、1階には窓4、5が設けられ、2階には窓3が備えられている。そして建物1の外周には斜線で示したように外壁材11、11、…(図2参照)を備え、これにより外壁10が形成されている。
【0020】
ここでは一例として上記のような建物1を示して説明したが、本発明が適用される建物はこれに限定されることはなく、以下に説明する本発明の外壁材を配置して外壁を形成することができる様々な建物を対象とすることが可能である。
【0021】
図2は外壁10を室外側正面から見た図で、その一部を表している。ここではわかり易さのため、外壁材(以下「サイディング」と記載することがある。)11、11、…の表面(室外側面)には斜線を付すとともに、外壁材11、11、…を透明に示して建物1の他の構成の一部も見えるように示している。また図2に表したサイディング11、11、…の左右、及び上方にも同様にサイディング11、11、…が並列されているが、ここでは省略している。このように、本発明の外壁材11、11、…は、建物1の外周に沿って並列され、これにより外壁10を形成している。以下、サイディング11、11、…について説明し、その後該サイディング11、11、…によってどのように外壁10が形成されているかを説明する。
【0022】
図3は、サイディング11の斜視図で、図3(a)が表面を手前に、図3(b)が裏面を手前に示した図である。図4は、サイディング11の表面(図4(a))及び裏面(図4(b))を表す平面図である。さらに図5は図4(a)の右側面図で、紙面左側が表面、紙面右側が裏面である。図6は(a)は図4(b)にA−Aで示した線に沿った矢視断面図、図6(b)は図6(a)にBで示した部分を拡大した図である。これら図3〜図6を参照しつつサイディング11について説明する。
【0023】
サイディング11は、全体として板状の部材であり所定の寸法に形成されている。サイディング11の当該寸法は特に限定されるものではないが、例えばサイディング11の高さ(図4における紙面上下方向寸法)は200〜910mm、長さ(図4における紙面左右方向寸法)は2000〜4000mm、厚さ(図5における紙面左右方向寸法)は10〜30mmの範囲で形成される場合が多い。またサイディング11は、いわゆる金属サイディングであり、意匠面板12、取付面板13、係合部15、被係合部16、及び断熱材17を有して形成されている。以下各構成について説明する。
【0024】
意匠面板12は、サイディング11の表面(意匠面)を形成する金属製の板材である。従って意匠面板12の当該表面側面には色彩や模様が付されている。意匠面板12に用いられる金属は特に限定されるものではないが、通常ガルバリウム鋼板、アルミニウム薄板が用いられる。また意匠面板12の厚さは特に限定されるものではないが、所定の強度を得つつ重すぎないように形成する観点から0.1〜1.0mmであることが好ましい。
【0025】
取付面板13は、サイディング11の裏面を形成し、意匠面板12と平行に配置される金属製、紙製、又はプラスチック製の板材である。取付面板13と意匠面板12とは所定の間隔を有するように配置される。また取付面板13の厚さは特に限定されるものではないが、所定の強度を得つつ重すぎないように形成する観点から0.1〜1.0mmであることが好ましい。
【0026】
さらに、取付面板13には、図4(b)、図5、及び図6からわかるように、裏面に凸となるとともに該裏面に沿って一方向に延材し、互いに平行に並列する複数の帯状の凸部14、14、…を有している。凸部14、14、…は図6に示したように断面において略台形であり、該台形の上底に相当する辺が裏面から図6(b)にCで示した大きさで突出するように形成されている。Cで示した大きさは特に限定されるものではないが、後述するように当該凸部14、14、…により通気、排水の通路を確保し、所定の強度を得るために、5mm以上であることが好ましい。また凸部14、14、…の帯状である幅も特に限定されるものではないが、サイディング11の強度(反りを防止)の観点から10mm以上が好ましく、45mm以上であることがさらに好ましい。
【0027】
当該凸部14、14、…は取付面板13の一部を折り曲げて凸とすることにより形成されている。これにより凸部を形成するために他の部材を取り付ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。ただし、これは他の部材を取り付けて凸部を形成することを妨げるものではなく、他の部材を取り付けて凸部を形成してもよい。
【0028】
各凸部14、14、…は、後述するように柱8、8、8、間柱9、9(図2、図8参照)の室外面に配置されるような位置とされる。これにより凸部14、14、…により適切に通気、排水の通路を確保することができる。
【0029】
また、ここで、凸部14、14、…はサイディング11にとって、いわゆるリブを形成しているので、サイディング11、11、…の強度を向上させ、特に反りを抑制することに対し効果を奏する。
【0030】
なお、ここでは1つの実施形態として断面が台形である凸部14、14、…について説明したが、断面形状はこれに限定されることはなく例えば矩形、半円形等であってもよい。本実施形態では製造し易さ等の観点から台形である凸部14、14、…とした。
【0031】
係合部15は、図5からわかるようにサイディング11の一端面から立設するように突出する部材が具備される部位で、突起15a及び片15bを備えている。突起15aはサイディング11の厚さ方向(図5の紙面左右方向)略中央に配置された突起である。片15bは裏面13から延在するように該端面に立設され、突起15aよりも長く形成されている辺である。突起15a及び片15bはいずれも図5に示した断面を有してサイディング11の端面に沿って紙面奥/手前方向に延在している(図3、4参照)。
【0032】
被係合部16は、図5からわかるようにサイディング11の端面のうち上記した係合部15が配置される端面に対向する端面に設けられ、溝16aを有している。該溝16aは、サイディング11の厚さ方向(図5の紙面左右方向)略中央に配置された溝で、溝幅が突起15aの幅より若干大きく形成されている。また溝16aの深さは突起15aの高さと概ね同じである。溝16aは、図5に示した断面を有してサイディング11の端面に沿って紙面奥/手前方向に延在している(図3、4参照)。
【0033】
サイディング11が上記のような係合部15、及び被係合部16を備えることにより、後述するように並列して連結し、建物に安定して取り付けることができる。
【0034】
断熱材17は図6からわかるように、意匠面板12と取付面板13との間隙を埋めるように配置される断熱性を有する素材である。断熱材17として用いられる材料は当該間隙に配置されて適切に断熱性を発揮するものであれば特に限定されることはないが、外壁材の強度向上や生産性の観点から充填性が良く、剛性の高い板状の定型材であることが好ましい。これには例えばウレタンの発泡断熱材を挙げることができる。
【0035】
以上の構成を有して形成されたサイディング11が建物の外周に沿って並列されることにより外壁10となる。図7は図2にD−Dで示した線に沿った垂直矢視断面図、図8(a)は図2にE−Eで示した線に沿った水平矢視断面図である。また図8(b)は図8(a)にFで示した部位を拡大した図である。図7における紙面左が室外側、紙面右が室内側であり、図8における紙面下が室外側、紙面上が室内側である。以下、図2、図7、及び図8を参照しつつサイディング11、11、…が並列されて形成された外壁10について説明する。
【0036】
外壁10は、サイディング11、11、…、透湿防水シート20(図7では不図示)を備えている。その他外壁と室内壁との間には断熱、耐火のための手段である例えばグラスウールや石こうボード等が必要に応じて備えられている。ここではこれらの部材は省略している。
【0037】
外壁10では、サイディング11、11、…は図2からわかるように長手方向を水平にして建物外周に沿って配置されている。このとき係合部15を上、被係合部16を下に向けられて具備される。そして、サイディング11は、スペーサー18を介して係合部15の片15bを柱8に留め付けることにより固定される。ここでスペーサー18は外壁材11の上端部を適切に柱8に取り付けるための部材で、略直方体を有している。またその性質上固定部材19が貫通されるとともに所定の固さを有していることが好ましい。これには例えば木材を挙げることができる。また、上下に隣り合うサイディング11、11、…は、下側に配置されたサイディング11の上端面に具備される突起15aが、その上側に配置されるサイディング11の下端面に具備される溝16a内に挿入されることで係合して連結する。
【0038】
一方、図8からわかるように、サイディング11、11、…が建物に取り付けられる際には、サイディング11、11、…の凸部14、14、…を柱8、8、8や間柱9、9の室外側面に接触させて配置する。これにより図7、図8にGで示した分、梁6、7とサイディング11、11、…との間に間隙が形成され、通気や排水のための通路を確保することができる。このとき従来のように胴縁を必要としないので、その材料費や工数の削減が可能となる。
【0039】
また、図8に示したように、サイディング11、11、…と柱8、8、8、間柱9、9との間に透湿防水シート20が設けられてもよい。透湿防水シート20は、透湿性を有するシートで、かかる性能を備えていればその種類は特に限定されるものではない。これは、室内側から屋外側へ湿度を透過させることができるが、屋外側からの雨水等は遮断するシートを挙げることができる。透湿防水シート20は、ステープル、タッカー、釘、テープ、及び接着剤等で柱8、8、8、間柱9、9に取り付けられる。
【0040】
また、並列されたサイディング11、11、…のうち最も下に配置されたサイディング11の下端部には、水切り(不図示)が備えられてもよい。水切りはクランク状の断面を有して梁7に沿って配置される長尺部材である。これにより図7にGで示した間隙内を落下してきた雨水等を適切に排出することができる。水切りは通常に用いられる水切りをそのまま用いることができ、その材質は特に限定されるものではないが、スチール、アルミニウム、及びステンレス鋼等の金属であることが好ましい。
【0041】
図9は、サイディング11、11、…が備えられた外壁10の変形例にかかる外壁10’のうち、図7に対応する図である。従って、図9は外壁10’の垂直断面図であり、紙面左側が室外側、紙面右が室内側である。ここで外壁10’おいて、外壁10と同じ部材については同一の符号を付した。外壁10’では、サイディング11、11、…が既存の外壁の上から取り付けられて外壁10’を形成している例である。すなわち、サイディング11、11、…と柱8との間にはモルタル21、金網22、下地ボード23が存し、固定部材19’がこれらを貫通することによりサイディング11、11、…が柱8に固定されている。サイディング11、11、…同士の連結については外壁10と共通である。このような外壁10’であっても、図9にHで示したようにモルタル21の室外側面に間隙を形成することができ、通気・排水路を形成することが可能となる。
【0042】
本発明のサイディング11、11、…によれば、既存の外壁の上からも本発明の効果を奏して配置することができ、リフォーム等にも有効な、外壁材及び該外壁を備える外壁を提供することが可能となる。
【0043】
図10は第二実施形態にかかる本発明の外壁材(以下、「サイディング」と記載することがある。)31の斜視図である。図10(a)は表面を手前に、図10(b)は裏面を手前に表した図である。また、図9はサイディング31の表面(図11(a))及び裏面(図11(b))を表す図である。サイディング31も、いわゆる金属サイディングであり、意匠面板32、取付面板33、係合部35、被係合部36、及び断熱材37を有して形成されている。
【0044】
サイディング31の意匠面板32、取付面板33、係合部35、被係合部36、及び断熱材37は、取付面板33の凸部34、34、…のパターンが異なる他、上記したサイディング11の意匠面板12、取付面板13、係合部15、被係合部16、及び断熱材17の説明と概ね共通するのでここでは説明を省略する。
【0045】
サイディング31の凸部34、34、…は、図10(b)及び図11(b)からわかるように、所定の長さを有する凸部34が、サイディング31の長手方向に平行に複数配置され、これらが千鳥状であることを特徴とするものである。これにより、当該サイディング31の長手方向を水平にして建物に配置したとき、柱の室外側面に凸部34、34、…を接触させて渡すように配置し、通気、排水の通路を確保することができる。さらには、図11(b)にJで示したように凸部34、34、…が所定の重なりを有した千鳥状配列とすることにより、凸部34、34、…のリブとしての作用が大きくなり、サイディング31の強度、特に反りの抑制に対する効果を奏するものとなる。
【0046】
図12は、サイディング31の変形例であるサイディング31’の裏面側正面図である。サイディング31の凸部34、34、…が裏面側正面視で直線状であるのに対し、サイディング31’では、凸部34’、34’、…は楕円状である。ここで凸部34’、34’、…は図12にJ’で示した重なりを有した千鳥状配列である。このようなサイディング31’も本発明の外壁材とすることができる。
【0047】
図13は第三実施形態にかかる本発明の外壁材(以下、「サイディング」と記載することがある。)41の斜視図である。図13(a)は表面を手前に、図13(b)は裏面を手前に表した図である。また、図14はサイディング41の表面(図14(a))及び裏面(図14(b))を表す図である。サイディング41も、いわゆる金属サイディングであり、意匠面板42、取付面板43、係合部45、被係合部46、及び断熱材47を有して形成されている。
【0048】
サイディング41の意匠面板42、取付面板43、係合部45、被係合部46、及び断熱材47は、取付面板43の凸部44、44、…のパターンが異なる他、上記したサイディング11の意匠面板12、取付面板13、係合部15、被係合部16、及び断熱材17の説明と概ね共通するのでここでは説明を省略する。
【0049】
サイディング41の凸部44、44、…は、図13(b)及び図14(b)からわかるように、所定の長さを有する凸部44が、サイディング41の縦横に対して斜めに複数に設けられ、これらが平行に並列されていることを特徴とするものである。これによっても、当該サイディング41の長手方向を水平にして建物に配置したとき、柱の室外側面に凸部44、44、…を接触させて配置し、通気、排水の通路を確保することができる。さらには、図14(b)にKで示したように凸部44、44、…が所定の重なりを有して並列されることにより、凸部44、44、…のリブとしての作用が大きくなり、サイディング41の強度、特に反りの抑制に対する効果を奏するものとなる。
【0050】
ここまで、サイディング11、31、41は外壁10、10’のように、建物に配置される際、その長手方向を水平にして取り付けるいわゆる「横張り」形式について説明した。しかし取り付け向きはこれに限定されることはなく、例えば図15に示したようにサイディング11、11の長手方向を垂直にして取り付けるいわゆる「縦張り」形式であってもよい。図15は、当該縦張り形式の本発明の外壁50の図2に対応する図である。すなわち外壁50ではサイディング11’、11’がその長手方向を垂直にして建物外周に取り付けられている。このとき、サイディング11’、11’の係合部、被係合部は該サイディング11’、11’の左右の長辺に備えられる。
【0051】
このような縦張りの場合であっても、上記したサイディング11、31、41をそのまま縦にしたような裏面形状を適用することが可能である。またその他、図16、及び図17に示した裏面側形状を適用することができる。図16、図17は、第四実施形態、及び第五実施形態にかかるサイディング51、61の裏面側形状を示す正面図である。サイディング51、61はいずれも縦張りを想定したサイディングである。
【0052】
図16に示したサイディング51では、取付面板53側に上下を長手方向とする一直線状の凸部54、54、54が並列されている。上下には係合部55、被係合部56を有している。図17に示したサイディング61はでは取付面板63側に千鳥状に配列された凸部64、64、…を備えている。当該凸部64、64、…のそれぞれは、サイディング61の長手方向に直交する短い側(図17の紙面左右方向)を長手方向とする棒状であり、これが図17にJ’’で示した重なりを有して千鳥状に配列されている。上下には係合部65、被係合部66を有している。このようなサイディング51、61も本発明の外壁材とすることができる。
【0053】
以上、現時点においてもっとも実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う外壁材及び該外壁材を備える外壁もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第一実施形態に係る本発明の外壁材(サイディング)及び該外壁材が備えられた外壁を有する建物の外観斜視図である。
【図2】図1に示した外壁材(サイディング)及び該外壁材が備えられた外壁を有する建物の一部を示す外観正面図である。
【図3】外壁材(サイディング)の斜視図である。
【図4】外壁材(サイディング)表面及び裏面を示す図である。
【図5】外壁材(サイディング)の側面図である。
【図6】外壁材(サイディング)のA−A断面図である。
【図7】図2のD−D矢視断面図である。
【図8】図2のE−E矢視断面図である。
【図9】本発明の外壁の変形例を示す図である。
【図10】第二実施形態の外壁材(サイディング)の斜視図である。
【図11】第二実施形態の外壁材(サイディング)の表面及び裏面を示す図である。
【図12】第二実施形態の外壁材(サイディング)の変形例の裏面を示す図である。
【図13】第三実施形態の外壁材(サイディング)の斜視図である。
【図14】第三実施形態の外壁材(サイディング)の表面及び裏面を示す図である。
【図15】縦張りの例による本発明の外壁を有する建物の一部を示す外観正面図である。
【図16】第四実施形態の外壁材(サイディング)の裏面を示す図である。
【図17】第五実施形態の外壁材(サイディング)の裏面を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 建物
3、4、5 窓
6、7 梁(建物の躯体)
8 柱(建物の躯体)
9 間柱(建物の躯体)
10、10’、50 外壁
11、31、41、51、61 サイディング(外壁材)
12、32、42 意匠面板
13、33、43、53、63 取付面板
14、34、44、54、64 凸部
15、35、45、55、65 係合部
16、36、46、56、66 被係合部
17、37、47 断熱材
18 スペーサー
19 固定部材(ビス)
20 透湿防水シート
21 モルタル
22 金網
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外周に沿って並列される板状の外壁材であって、
裏面に、該裏面に沿って延在する帯状の凸部が少なくとも一本形成されていることを特徴とする外壁材。
【請求項2】
前記凸部が前記裏面に所定の間隔を有して平行に複数並列されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材。
【請求項3】
前記凸部が所定の長さを有して前記裏面に複数配置されるとともに、該複数の凸部が千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の外壁材が、該外壁材の前記凸部を前記建物の躯体又は既存外壁に接触させて留め付けられて前記建物の外周に並列されることにより形成されることを特徴とする外壁。
【請求項1】
建物外周に沿って並列される板状の外壁材であって、
裏面に、該裏面に沿って延在する帯状の凸部が少なくとも一本形成されていることを特徴とする外壁材。
【請求項2】
前記凸部が前記裏面に所定の間隔を有して平行に複数並列されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材。
【請求項3】
前記凸部が所定の長さを有して前記裏面に複数配置されるとともに、該複数の凸部が千鳥状に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の外壁材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の外壁材が、該外壁材の前記凸部を前記建物の躯体又は既存外壁に接触させて留め付けられて前記建物の外周に並列されることにより形成されることを特徴とする外壁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−133154(P2009−133154A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311187(P2007−311187)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(305003542)旭トステム外装株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(305003542)旭トステム外装株式会社 (38)
【Fターム(参考)】
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